説明

組立て式プランター

【課題】土圧に耐え得る組立て式プランターを提供する。
【解決手段】組立て式プランター1は、少なくとも2種類の側壁構成部材(4、5、7a〜7d)を植栽空間2を囲繞するように複数並べて構成された側壁3と、側壁3の内部に隠蔽可能に構成され、複数の側壁構成部材(4、5、7a〜7d)を側壁3の周方向にテンションをかけて数珠繋ぎにする第1の連結具61aと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物や樹木を植えるのに用いられる組立て式プランターに関する。
【背景技術】
【0002】
プランターには、収容対象となる植物や樹木の大きさや数、設置環境等の諸条件に応じて、様々な形状、大きさのものが存在する。また、プランターを構成する材料としては、一般に、プラスティック、木、陶磁器又は金属等が挙げられる。
【0003】
組立て式プランターを開示するものとして、例えば特許文献1がある。特許文献1に記載の組立て式プランターは、底板と柱状部材とで形成された枠体に、横方向に延びる複数の側面板を嵌め込んで形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−136281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、組立て式プランターの場合、その内部の植栽空間に収容した土からプランターの外側に向かって圧力(土圧)がかかる。このため、プランターの側壁を複数の部材を並べて構成している場合には、土圧によって複数の部材が全体として外側に湾曲するなど、プランター自身が本来の形状から変形するおそれがある。この点、特許文献1では何ら考慮されていない。
【0006】
そこで、本発明は、土圧に耐え得る組立て式プランターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の組立て式プランターは、少なくとも2種類の側壁構成部材を植栽空間を囲繞するように複数並べて構成された側壁と、側壁の内部に隠蔽可能に構成され、複数の側壁構成部材を側壁の周方向にテンションをかけて数珠繋ぎにする第1の連結具と、を備える。
【0008】
本発明によれば、テンションをかけて複数の側壁構成部材を結束しているので、土圧がかかった場合に複数の側壁構成部材がばらけないように耐え得る。また、第1の連結具が側壁の外部に露出しないので、プランターの外観の意匠性を向上させることができると共に、外部からの第1の連結具への望まないアクセスを抑制することができる。さらに、側壁構成部材の使用枚数を調整することで側壁の大きさ、すなわちプランター自体の大きさを調整することも可能である。
【0009】
好ましくは、複数の側壁構成部材は、側壁の周方向に貫通した少なくとも二つの貫通孔を有する複数の第1の側壁構成部材を有し、少なくとも二つの貫通孔が、第1の側壁構成部材の上下方向において均等間隔で形成されるとよい。また、少なくとも二つの貫通孔のうち、少なくとも一つの貫通孔では、第1の連結具が挿通されて複数の第1の側壁構成部材が数珠繋ぎにされる一方、別の少なくとも一つの貫通孔では、第1の連結具とは別種の第2の連結具が挿通されて複数の第1の側壁構成部材が数珠繋ぎにされるとよい。
【0010】
このような構成によれば、第1の側壁構成部材が2種類の連結具を用いて数珠繋ぎにされるので、1種類の連結具しか用いない場合に比べて、土圧対策がより講じ易くなる。また、第1の側壁構成部材の取扱い(例えば、数珠繋ぎするときの作業性)を向上することも可能となる。さらに、第1の連結具と第2の連結具とが均等間隔で挿通されるため、土圧に対する耐性をより高めることが可能となる。
【0011】
より好ましくは、第1の連結具は、貫通孔に挿通されるワイヤ状部材であり、第2の連結具は、剛体の棒であるとよい。
【0012】
この構成によれば、複数の側壁構成部材にテンションをかけるにはワイヤ状部材を締め上げればよいので、複数の側壁構成部材を結束するのに好適となる。また、数珠繋ぎにした第1の側壁構成部材が土圧により全体として外側に変形するのを、剛体の棒によって抑制することができる。なお、ワイヤ状部材としては、ワイヤのみならず、ロープ、紐などの策状部材を用いることができる。
【0013】
より好ましくは、第1の連結具と第2の連結具とは、上下方向において交互に設けられるとよい。
【0014】
また、好ましい別の一態様によれば、第1の連結具は、ワイヤ状部材と、ワイヤ状部材のテンションを調節可能に、ワイヤ状部材の端部を連結する留め具と、を備えるとよい。そして、複数の側壁構成部材は、側壁の周方向に貫通した第1の貫通孔を有して第1の貫通孔にワイヤ状部材を挿通される複数の第1の側壁構成部材と、留め具を内部に隠蔽可能に配置する配置空間を有する第2の側壁構成部材と、を備えるとよい。
【0015】
好ましくは、ワイヤ状部材及び留め具は、それぞれ二つあり、第1の貫通孔は、第1の側壁構成部材の各々において上下方向に離間して二つが形成されるとよい。そして、二つのワイヤ状部材は、二つの第1の貫通孔のそれぞれに挿通され、二つの留め具は、前記配置空間において、二つのワイヤ状部材の両端部をたすき掛け状に又は互いに平行に連結するとよい。
【0016】
より好ましくは、組立て式プランターは、剛体からなる複数の第2の連結具を更に備えるとよい。そして、複数の第1の側壁構成部材は、第2の連結具を挿通される第2の貫通孔であって、二つの第1の貫通孔の間に、当該二つの第1の貫通孔と均等間隔且つ平行となるように形成された第2の貫通孔を有するとよい。また、複数の第1の側壁構成部材は、第2の連結具の数に対応した数の群に区分けされると共に、この区分けされた群ごとに第2の連結具が第2の貫通孔に挿通されるとよい。
【0017】
このような構成によれば、各貫通孔が上下方向に均等間隔に形成されていることでプランター内部よりの土圧に対する耐性をより高めることができる。また、複数の第1の側壁構成部材を群分けして第2の連結具を挿通しているので、組立てが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る組立て式プランターを示す斜視図である。
【図2】図1のプランターの側壁の一部を構成する側壁構成板を示す斜視図である。
【図3a】図1のプランターの側壁の一部を構成する金属ボックスについて、箱体から蓋材を取り外した開放状態を示す斜視図である。
【図3b】図3aの金属ボックスについて、箱体に蓋材を取り付けた閉塞状態を示す断面図である。
【図4】図1のプランターの仮組み途中の側壁を示す斜視図である。
【図5】図1のプランターの側壁を剛体の棒で仮組みして、植裁空間を取り囲むように並べた状態を示す平面図である。
【図6】図5のプランターの側壁において、金属ボックスの内部から側壁構成板にワイヤ部材を挿入する様子を示す斜視図である。
【図7】図5のプランターの側壁にさらにワイヤ部材を挿通した状態を示す平面図である。
【図8】図7のプランターの仮組みした側壁を垂直に立ち上げた状態を示す斜視図である。
【図9】図8のプランターの金属ボックスの内部にて、ワイヤ部材をターンバックルを用いてテンション調節可能に締め付ける様子を示す斜視図である。
【図10】図9のプランターの側壁にコーナー材をビスを用いて固定する様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではなく、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。
【0020】
図1に示すように、組立て式プランター1の側壁3は、内部に植裁空間2を画定するための4枚の側壁3a,3b,3c及び3dと、プランター1の四隅に設けられたコーナー材7a,7b,7c及び7dと、を有する。側壁3a及び3c、並びに側壁3b及び3cは、互いに平行となるように対向する。隣り合う側壁(例えば、側壁3a及び側壁3b)間にコーナー材(例えば、コーナー材7a)がそれぞれ位置するように組み立てられ、プランター1の形状を上方及び下方が開放された直方体の箱形状にしている。
【0021】
プランター1の使用に際しては、まず、組み立てた側壁3a〜3dの内面に防水シート(図示省略)を添設し、植栽空間2に長方形の底板8を入れて、プランター1の下方を閉じる。このような底板8は、保水・排水層として機能するものであればよく、例えばプラスティック製のパネルを使用できる。次いで、図示省略したが、底板8上に例えばパーライトを敷き詰め、さらにその上に不織布を敷く。このとき、不織布の周縁部を例えば10cm程度立ち上げて、防水シートの下部に添設させる。以上の作業により準備が完了し、植栽空間2に土を入れることでプランター1として使用できることになる。なお、パーライト及び不織布などは一例であり、他の材料を用いてもよい。
【0022】
以下、プランター1の各構成要素について詳述する。
【0023】
図1に示すように、側壁3は、側壁構成部材として、側壁3a〜3dを構成する複数の側壁構成板4及び一つの金属ボックス5と、コーナー材7a〜7dと、を用いたものである。すなわち、複数の側壁構成板4、一つの金属ボックス5及びコーナー材7a〜7dを植栽空間2を囲繞するように並べることで、側壁3が構成される。本実施形態では、側壁3aは連設された10枚の側壁構成板4及び1つの金属ボックス5で構成され、側壁3cは連設された11枚の側壁構成板4で構成され、側壁3b及び3cは各々連設された5枚の側壁構成板4で構成される。
【0024】
ここで、側壁構成板4、金属ボックス5及びコーナー材7a〜7dの材質等について説明すると、各側壁構成板4は、木製の矩形の板であり、互いに同一の幅、高さ及び厚みを有する。金属ボックス5は、ステンレス製の箱体5a及び蓋材5bからなり、全体として側壁構成部材4と同一の幅、高さ及び厚みを有する。コーナー材7a〜7dは、側壁構成板4の厚みと同じ幅及び厚みを有し、かつ、側壁構成板4の高さと同じ高さを有する柱状の木材である。
【0025】
側壁構成板4及びコーナー材7a〜7dの材質は、木のみならず、プラスティックや金属も可能であるが、プランター1としての意匠性を重視すれば木であることが好ましい。金属ボックス5の材質は、ステンレスのみならず、アルミニウムなども可能であるが、耐錆性を有することが好ましい。もっとも、金属製ではなく、木製のボックス5を使用することも可能であるが、耐久性及び経年劣化などを考慮すると、金属製のボックス5であることが好ましい。
【0026】
図2に示すように、側壁構成板4は、高さY及び幅Xによって規定される一対の面として、内面44、外面44´を有する。また、側壁構成板4は、高さY及び厚みZによって規定される一対の面として、側面45、45´を有し、さらに、幅X及び厚みZによって規定される一対の面として、底面46、頂面46'を有する。なお、側壁構成板4における直方体の各辺は、図示省略した面取が施されている。
【0027】
側壁構成板4は、幅Xと平行な方向、すなわち側壁3の周方向に貫通する第1の貫通孔47及び第2の貫通孔48,49を有する。各貫通孔47,48,49は、側壁構成板4の高さYの方向に等間隔で形成されている。したがって、側面45及び45’においては、その中央部には、主貫通孔47の開口部47a及び47bが各々露出すると共に、開口部47a及び47bの上方及び下方である上部及び下部には、副貫通孔48の開口部48a,48b及び副貫通孔49の開口部49a,49bが各々露出している。
【0028】
ここで、第1の貫通孔47と第2の貫通孔48,49とは、挿通される部材が互いに異なる。具体的に、第1の貫通孔47には、複数の側壁構成板4を数珠繋ぎにするために、後述する剛体棒62(参照:図5)が挿通される。一方、第2の貫通孔48、49には、それぞれ、複数の側壁構成板4を数珠繋ぎにするために、後述するワイヤ部材61a,61b(参照:図7)が挿通される。貫通孔47、48,49の形状は、その挿通される部材(剛体棒62、ワイヤ部材61a,61b)のサイズに対応して形成すればよく、ここではこれらのサイズよりも僅かに大きな円形になっている。
【0029】
図3a及び図3bに示すように、金属ボックス5は、箱体5a及び蓋材5bからなるステンレス製の構造体である。箱体5aは、側壁構成板4と同じ高さY、幅X、厚みZを有する。箱体5aは、厚みZ方向の一方が開放された内部空間54(配置空間)を有する形状からなり、その開放端の周縁部から内側に張り出すように折曲げ部分51が延びている。このように形成された折曲げ部分51によって、開放状態の箱体5aのねじれ剛性を高めることができる。また、折曲げ部分51に形成された複数のネジ穴56を介して、折曲げ部分51に蓋材5bがネジ固定される。このネジ固定された状態では、蓋材5bが箱体5aの開放部を閉塞し、金属ボックス5における内部空間54が閉じられた空間となる。
【0030】
金属ボックス5は、側壁構成板4と同様に、剛体棒62及びワイヤ部材61a,61bを挿通可能に構成される。そのため、箱体5aには、一本の剛体棒62を挿通させるための開口部57a、57bと、二本のワイヤ部材61a、61bを挿通させるための開口部58a,58b,59a,59bと、が形成されている。なお、これら開口部57a等の形状は、その挿通される部材(剛体棒62、ワイヤ部材61a,61b)のサイズに対応して形成すればよく、ここではこれらのサイズよりも僅かに大きな円形になっている。
【0031】
具体的には、箱体5aの互いに対向する側面55,55´には、上下方向の中間部に開口部57a、57bが形成され、且つ、その上下に開口部58a,58bと開口部59a,59bとが形成されている。開口部57a、57bは、側壁構成板4の貫通孔47と同じ高さ位置において互いに対向して形成され、剛体棒62を挿通される。一方、開口部58a,58bは、側壁構成板4の貫通孔48と同じ高さ位置において互いに対向して形成され、ワイヤ部材61aを挿通される。同様に、開口部59a,59bは、側壁構成板4の貫通孔49と同じ高さ位置において互いに対向して形成され、ワイヤ部材61bを挿通される。
【0032】
ここで、剛体棒62及びワイヤ部材61a,61bについて、図7を参照して説明する。
まず、剛体棒62は、側壁3a〜3dに対応して4つ設けられており、それぞれが各側壁3a〜3dに挿通されてこれらの内部に隠蔽される。具体的には、側壁3aでは、複数の側壁構成板4と1つの金属ボックス5とが内部に剛体棒62を挿通されて数珠繋ぎに直線状に連結される。一方、他の側壁3b〜3cでは、それぞれ、複数の側壁構成板4が内部に剛体棒62を挿通されて数珠繋ぎに直線状に連結される。このようにして剛体棒62により連結することで、植栽空間2からの土圧によって各側壁3a〜3d又はこれらを構成する側壁構成部材が全体として外側に湾曲するような変形を抑制できる。
【0033】
剛体棒62は、側壁3a〜3dを直線状に維持する支柱として機能する程度の剛性を有していればよく、その形状や素材は限定されるものではない。したがって、アルミ等の金属や強化プラスティックの素材を用いることができる。ただし、耐錆性を確保する観点からすれば、ステンレス製であることが好ましい。剛体棒62の形状は、側壁構成板4等の貫通孔47の施工し易さからすれば、丸棒であることが好ましいが、側壁3a〜3dを直線状に維持するような土圧に耐え得る強度が担保できれば、中実でも中空でもよい。
【0034】
次に、ワイヤ部材61a及び61bは、剛体棒62を挟んでその両側に位置するように計二本設けられ、それぞれが側壁3a〜3dに周方向に亘って挿通されてこれらの内部に隠蔽される。具体的には、ワイヤ部材61aの両端部63a及びワイヤ部材61bの両端部63bが金属ボックス5内に位置するように、ワイヤ部材61a,61bは、全ての側壁構成板4及び金属ボックス5の内部に挿通され、これらを上部及び下部の位置(剛体棒62の上方及び下方)にて数珠繋ぎに連結する。
【0035】
このようなワイヤ部材61a,61bは、可撓性を有し、長手方向に所定の剛性を有するものであればよいが、耐錆性を有する素材から形成されていることが好ましい。そして、図9に示すように、金属ボックス5内では、一方のワイヤ部材61aの端部63aと他方のワイヤ部材61bの端部63bを互いに連結するターンバックル64a、64b(留め具)を用いて、ワイヤ部材61a及び61bがたすき掛け状に連結される。詳細は後述するが、ターンバックル64a,64bを用いて最終的にワイヤ部材61a,61bを締め上げるようにすることで、各側壁3a〜3dが隙間なく結束される。
【0036】
なお、ワイヤ状部材61a及びターンバックル64aは、後記の特許請求の範囲に記載の第1の連結具を構成する部材に相当する。また、剛体棒62は、後記の特許請求の範囲に記載の第2の連結具を構成する部材に相当する。
【0037】
次に、図4ないし図10を参照して、組立て式プランター1の組み立て方を順に説明する。
【0038】
図4に示すように、まず、複数の側壁構成板4及び金属ボックス5を連結し、側壁3a〜3dを各々仮組みする。側壁3aを例に説明すると、最初に、5枚の側壁構成板4(4a〜4e)の貫通孔47に剛体棒62を差し込むと共に、蓋材5bを取り外した状態の金属ボックス5の箱体5aに開口部57a、57bを介して剛体棒62を挿通させる。次いで、同様に残りの5枚の側壁構成板4(4f〜4j)に剛体棒62を挿通する。こうすることで、複数の側壁構成板4及び金属ボックス5を数珠繋ぎに結合した一枚の側壁3aが仮組みされる。側壁3b〜3dについても、同様の作業により、仮組みされる。
【0039】
なお、剛体棒62の長さは、対応する側壁3a〜3dの周方向の長さと同じかそれよりも僅かに短いとよい。こうすることで、仮組みの作業終了時に、各剛体棒62は側壁3a〜3dの内部に完全に隠蔽される。
【0040】
次の組立てステップとして、図5に示すように、仮組みした側壁3a〜3dを植裁空間2を概ね囲繞するように配置する。このとき、側壁3aについては、箱体5aの内部空間54が植栽空間2側に位置するように配置する。この時点では、4枚の側壁3a〜3dは、互いに連結されていない。
【0041】
次いで、図6に示すように、箱体5aの内部空間54から開口部58bへとワイヤ部材61aを挿入し、側壁構成板4の内部へと挿入していく。ワイヤ部材61aは長手方向に所定の剛性を有しているので、図6の矢印の方向へと押し込むことで、隣り合う側壁構成板4の内部へと順に挿入されていく。
【0042】
この挿入により、図7に示す側壁構成板4jの開口部48bより出たワイヤ部材61aは、次に、側壁3b内を挿通され、側壁3c及び側壁3d内を挿通された後、側壁構成板4aの開口部48aへと挿入される。最終的に、箱体5aの開口部58aを通ったワイヤ部材61aの先端部分(端部63a)が、内部空間54に出ることとなる。これにより、ワイヤ部材61aによって、側壁3a〜3dの上部を周方向に数珠繋ぎにした外周ワイヤループが完成される。また、同様の作業により、ワイヤ部材61bによって、側壁3a〜3dの下部を周方向に数珠繋ぎにした内周ワイヤループが完成される。なお、図7では、側壁構成板4の内部を通る剛体棒62及びワイヤ部材61a、61bの各部分を破線で示している。
【0043】
次の組立てステップとして、図8に示すように、仮組みした側壁3a〜3dを垂直に立ち上げる。このとき、剛体棒62が各側壁3a〜3dを連結しているので、側壁3を構成する側壁構成部材がばらけることなく、立ち上げ動作を作業性良く行うことができる。立ち上げた後、ワイヤ部材61a、61bの端部63a、63bをそれぞれ引き込み、これにより植栽空間2を収縮させるように側壁3a〜3dを互いに近接させる。このときも、剛体棒62が各側壁3a〜3dを連結しているので、作業がし易くなっている。そして最終的に、隣り合う側壁の側壁構成板4,4が互いに接するまでワイヤ部材61a、61bを締める(引き込む)。
【0044】
次いで、図9に示すように、ワイヤ部材61a、61bの端部63a、63bに、ターンバックル64a,64b用の端輪部65a、65a’、65b、65b'を形成する。これは、例えば、ワイヤ・ロック66等を用いることで形成することができる。その後、ターンバックル64a、64bによって、端部63a、63bをたすき掛け状に連結し、ワイヤ部材61a、61bにテンションを付与する。
【0045】
ターンバックル64a、64bの作業手順を具体的に説明すると、まず、ターンバックル64a、64bの中央の伸縮用回転部68を最大まで緩め、この緩めた状態のターンバックル64a、64bの両端のつめ69、69に端輪部65a、65a’、65b、65b'をたすき掛け状に引っかける。次いで、ある程度ワイヤ部材61a、61bにテンションをかけて、各ワイヤ・ロック66をペンチで潰す。その後、ターンバックル64a、64bの伸縮用回転部68を締めるように各々回転させる。すると、伸縮用回転部68の両側にあるつめ69、69が互いに近づく方向に移動し、ターンバックル64a,64b自体が収縮する。これにより、ワイヤ部材61a、61bに徐々に側壁3a〜3dの周方向にテンションがかかり、側壁3a〜3dがきつく締め付けられて隙間なく結束されることになる。
【0046】
このようにして、ターンバックル64a,64bによるワイヤ部材61a,61bのテンション調整が完了した後、箱体5bに蓋材5bをネジ固定して金属ボックス5の開放部を閉塞する。これにより、ターンバックル64a,64b及びワイヤ部材61a,61bの端部63a,63bが、金属ボックス5の内部空間54に隠蔽される。
【0047】
最後の組立てステップとして、図10に示すように、コーナー材7a〜7dを側壁3a〜3dの四隅にビス70を用いて固定すれば、プランター1の側壁3の組立てが完成する。このとき、コーナー材7a〜7dによって、隣り合う側壁(3a〜3d)間から露出するワイヤ部材61a、61bの一部が側壁(3a〜3d)側へと押し付けられる。
【0048】
したがって、ワイヤ部材61a、61bは、全ての部分が側壁3a〜3d及びコーナー材7a〜7dによって外部から視認不能に隠蔽される。また、剛体棒62も、全ての部分が側壁3a〜3d及びコーナー材7a〜7dによって外部から視認不能に隠蔽される。側壁3の組立て後は、上述した底板8を植栽空間2に入れ、これに土を入れるなどの作業をする。その結果、プランター1として使用できることになる。
【0049】
以上説明した本実施形態のプランター1によれば、側壁3a〜3dを構成する複数の側壁構成板4及び金属ボックス5をワイヤ部材61a,61bで数珠繋ぎに結束し、しかもその際に、ワイヤ部材61a,61bに側壁3a〜3dの周方向へとテンションをかけている。これにより、植栽空間2に土を入れた場合に、植栽空間2側から土圧を受けても、複数の側壁構成板4及び金属ボックス5がばらけないように耐えることができる。また、複数の側壁構成板4及び金属ボックス5の内部には剛体棒62を挿通しているため、植栽空間2からの土圧によって複数の側壁構成板4及び金属ボックス5が全体として外側に湾曲するような変形(例えば、側壁3a〜3dが全体として楕円状に変形する。)を抑制できる。したがって、土を入れたプランター1の使用時に、側壁3の本来の形状を変形しないように保つことができる。
【0050】
特に、本実施形態によれば、側壁3a〜3dの高さ方向において、ワイヤ部材61a,剛体棒62及びワイヤ部材61bをこの順で且つ均等間隔に配置しているので、側壁3a〜3dの高さ方向においては土圧ができるだけ均等にかかるようになる。これにより、ワイヤ部材のみで数珠繋ぎにする場合、ワイヤ部材及び剛体棒を交互に配置する場合、及びワイヤ部材及び剛体棒を均等でない間隔で配置する場合に比べて、土圧の集中を避けることができる。したがって、土圧に対する側壁3a〜3dの耐久性が向上し、その変形がより一層抑制される。
【0051】
また、複数の側壁構成板4を側壁3a〜3dに対応した4つの群に区分けし、この区分けした群ごとに剛体棒62を挿通している。これにより、側壁3a〜3dの仮組みが容易になる。
【0052】
加えて、複数の側壁構成板4及び金属ボックス5を締め上げるのにワイヤ部材61a,61bを用いているので、その作業もし易い。しかも、複数の側壁構成板4及び金属ボックス5の上下の部分にワイヤ部材61a,61bを挿通するので、ワイヤ部材を一本だけしか使用しない場合に比べ、締めあげたときに複数の側壁構成板4及び金属ボックス5が安定し易い。
【0053】
また、ターンバックル64a,64bを用いることで、ワイヤ部材61a,61bを後から締め付けてテンションを付与することができるので、施工性も良好となる。また、ターンバックル64a,64bを用いる際に、ワイヤ部材61a,61bの両端部63a,63bをたすき掛け状に連結しているので、両者を平行に連結する場合に比べてワイヤ部材61a,61bの緊締力を高めることができる。
【0054】
さらに、ワイヤ部材61a、61b、ターンバックル64a,64b及び剛体棒62は、最終的に側壁3の内部に隠蔽される。これにより、プランター1の外観の意匠性を向上させることができると共に、外部に露出しないので余計な設置スペースを占有しなくても済む。
【0055】
また、側壁構成板4の数を調整することで、プランター1のサイズを微調整することがき、設置場所に適したサイズのプランター1を提供することもできる。なお、この場合には、プランター1の複数のサイズに対応するように、剛体棒62などはその長さが異なるものを複数用意しておけばよい。
【0056】
<変形例>
以下、実施形態のいくつかの変形例について簡単に説明する。
【0057】
プランター1の側壁3は、平面視長方形以外の多角形状のほか、楕円及び正円などその他の形状であってもよい。いずれの場合も、側壁構成部材、剛体棒及びワイヤ部材は、側壁3の平面形状に応じた形状及び長さのものを用いればよい。例えば、側壁3の平面形状が正円である場合には、側壁構成板4は、矩形ではなく、断面円弧状の形状から構成される。
【0058】
側壁構成部材は、上記した3つの種類、すなわち側壁構成板4、金属ボックス5及びコーナー材7a〜7dに限られるものではない。例えば、側壁構成板4として、幅や材質が異なるものを複数用いた場合には、4種類以上の側壁構成部材を用いて側壁3が構成されることになる。また、側壁3の平面形状を正円にする場合には、コーナー材7a〜7dは用いなくて済み、側壁構成板4及び金属ボックス5の最低2種類の側壁構成部材で済むことになる。
【0059】
なお、側壁構成板4の1種類の側壁構成部材では、側壁3は構成されない。上記したワイヤ部材61a,61b及びターンバックル64a、64bを側壁3内に隠蔽する必要があるからである。したがって、これらを隠蔽するために、側壁構成板4とは異なる種類の側壁構成部材(上記実施形態では金属ボックス5)を用いる必要があるので、側壁構成部材としては少なくとも2種類が必要となる。
【0060】
金属ボックス5の配置箇所は、側壁3aの中央部に限られるものではなく、任意である。ただし、ターンバックル64a,64bの作業性を確保できる配置箇所が好ましい。
【0061】
ターンバックル64a、64bは、伸縮用回転部68の回転操作によってつめ69,69の両方が同時に近づくタイプだけではなく、伸縮用回転部68の回転操作によってつめ69,69の一方のみが他方へと動くタイプのものであってもよい。すなわち、伸縮用回転部68は、二つのネジ部が互いに逆ネジとして刻設されたものだけではなく、一つのネジ部を有するものとして構成してもよい。
【0062】
ターンバックル64a,64bによって、ワイヤ部材61a,61bの端部63a、63bをたすき掛け状に連結するだけではなく、端部63aと端部63bとが平行になるようにターンバックル64a,64bで連結することも可能である。ただし、上述したように、たすき掛け状に連結した方が緊締力を高めるのに適している。
【0063】
剛体棒62及びワイヤ部材61a,61bの数は、上記に限定されるものではない。例えば、剛体棒を側壁3aにおいて二つ以上用いることも可能であり、ワイヤ部材を側壁3aにおいて一つだけ又は三つ以上用いることも可能である。ただし、上記した実施形態のように、剛体棒62を挟んで両側にワイヤ部材61a,61bを配置する方が、バランス良く土圧に抵抗することができるなど有効である。また、剛体棒とワイヤ部材とは均等間隔に配置しないことも可能であるが、この点も上述のとおり均等間隔が好ましい。
【符号の説明】
【0064】
1…組立て式プランター、2…植裁空間、3,3a,3b,3c,3d…側壁、4…側壁構成板、5…金属ボックス、5a…箱体、5b…蓋材、47,48,49…貫通孔、47a,47b,48a,48b,49a,49b,57a,57b,58a,58b,59a,59b…開口部、61a,61b…ワイヤ部材、62…剛体棒、63a,63b…端部、64a,64b…ターンバックル(留め具)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2種類の側壁構成部材を植栽空間を囲繞するように複数並べて構成された側壁と、
前記側壁の内部に隠蔽可能に構成され、前記複数の側壁構成部材を前記側壁の周方向にテンションをかけて数珠繋ぎにする第1の連結具と、を備えた組立て式プランター。
【請求項2】
前記複数の側壁構成部材は、前記側壁の周方向に貫通した少なくとも二つの貫通孔を有する複数の第1の側壁構成部材を有し、
前記少なくとも二つの貫通孔は、当該第1の側壁構成部材の上下方向において均等間隔で形成されており、
前記少なくとも二つの貫通孔のうち、少なくとも一つの貫通孔では、前記第1の連結具が挿通されて前記複数の第1の側壁構成部材が数珠繋ぎにされる一方、別の少なくとも一つの貫通孔では、前記第1の連結具とは別種の第2の連結具が挿通されて前記複数の第1の側壁構成部材が数珠繋ぎにされる、請求項1に記載の組立て式プランター。
【請求項3】
前記第1の連結具は、前記貫通孔に挿通されるワイヤ状部材を有し、
前記第2の連結具は、剛体の棒からなる、請求項2に記載の組立て式プランター。
【請求項4】
前記第1の連結具と前記第2の連結具とは、前記上下方向において交互に設けられている、請求項3に記載の組立て式プランター。
【請求項5】
前記第1の連結具は、
ワイヤ状部材と、
前記ワイヤ状部材のテンションを調節可能に、当該ワイヤ状部材の端部を連結する留め具と、を備え、
前記複数の側壁構成部材は、
前記側壁の周方向に貫通した第1の貫通孔を有し、当該第1の貫通孔に前記ワイヤ状部材を挿通される複数の第1の側壁構成部材と、
前記留め具を内部に隠蔽可能に配置する配置空間を有する第2の側壁構成部材と、を備えた、請求項1に記載の組立て式プランター。
【請求項6】
前記ワイヤ状部材及び前記留め具は、それぞれ二つあり、
前記第1の貫通孔は、前記第1の側壁構成部材の各々において上下方向に離間して二つが形成されており、
前記二つのワイヤ状部材は、前記二つの第1の貫通孔のそれぞれに挿通され、
前記二つの留め具は、前記配置空間において、前記二つのワイヤ状部材の両端部をたすき掛け状に又は互いに平行に連結する、請求項5に記載の組立て式プランター。
【請求項7】
剛体からなる複数の第2の連結具を更に備え、
前記複数の第1の側壁構成部材は、前記第2の連結具を挿通される第2の貫通孔であって、前記二つの第1の貫通孔の間に、当該二つの第1の貫通孔と均等間隔且つ平行となるように形成された第2の貫通孔を有し、
前記複数の第1の側壁構成部材は、前記第2の連結具の数に対応した数の群に区分けされると共に、この区分けされた群ごとに前記第2の連結具が前記第2の貫通孔に挿通されている、請求項6に記載の組立て式プランター。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−50385(P2012−50385A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196171(P2010−196171)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(504259812)株式会社チームネット (5)
【Fターム(参考)】