組立ライン
【課題】本発明は、パレットを回収する作業を省くことができる組立ラインを提供することを課題とする。
【解決手段】組立ライン40は、親パレット31と子パレット32とを互いに並べた状態で搬送し、第1群組立機106により親部品11へ子部品を組み込む第1搬送路41と、この第1搬送路の出口41bから親パレット31を受け取り、第2群組立機108により組立の仕上げを行う第2搬送路42と、この第2搬送路の出口42bから親パレット31を受け取り、組立てた機械装置を払い出し、空の親パレット31を戻す第3搬送路43と、第1搬送路の出口41bで空の子パレット32を受け取り、第1搬送路の入口41aに戻すショートパス搬送路45とからなる。
【解決手段】組立ライン40は、親パレット31と子パレット32とを互いに並べた状態で搬送し、第1群組立機106により親部品11へ子部品を組み込む第1搬送路41と、この第1搬送路の出口41bから親パレット31を受け取り、第2群組立機108により組立の仕上げを行う第2搬送路42と、この第2搬送路の出口42bから親パレット31を受け取り、組立てた機械装置を払い出し、空の親パレット31を戻す第3搬送路43と、第1搬送路の出口41bで空の子パレット32を受け取り、第1搬送路の入口41aに戻すショートパス搬送路45とからなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親部品に複数の子部品を順次組み込む組立ラインの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送コンベヤにワークとしての親部品を流し、この親部品へ複数の部品(子部品)を順次組み込む組立ラインが知られている(例えば、特許文献1(図3、図4)参照。)。
【0003】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図11(a)に示すように、組立ラインLに搬送コンベヤCが設けられる。この搬送コンベヤC上に間隔をおいて複数の組立作業ステージ101〜104が備えられる。これらの各々の組立作業ステージ101〜104で、親部品Wへ複数の部品を順次組み込んでいく。各親部品Wの近接位置にて搬送コンベヤC上に、親部品Wと共に移動する段積梱包体110が配置される。これらの段積梱包体110に、各々、親部品Wへ組み込まれる子部品が収納されている。
【0004】
図11(b)に示すように、段積梱包体110は、子部品を収納したパレット111〜114を上下に積み重ねてなる。組立作業ステージ101で、パレット111内の子部品を親部品へ組み込み、空になったパレット111を払い出し、組立作業ステージ102で、パレット112内の子部品を親部品Wへ組み込み、空になったパレット112を払い出し、組立作業ステージ103で、パレット113内の子部品を親部品Wへ組み込み、空になったパレット113を払い出し、組立作業ステージ104でパレット114内の子部品を親部品Wへ組み込むようにした。
【0005】
特許文献1の技術では、各組立作業ステージ101〜104で組立に供する子部品を取り外した後のパレット111〜114は、組立ラインLの外に払い出される。そのため、組立ラインLの外でパレット111〜114を回収する作業が必要となっていた。パレット111〜114を回収する作業を省くことができる技術が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−328333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、パレットを回収する作業を省くことができる組立ラインを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、親部品に複数の子部品を組み込む組立ラインであって、少なくとも親部品を載置する親パレットと子部品の全て若しくは一部を載置する少なくとも1個の子パレットとを、互いに接近させた形態で直列に並べた状態で搬送し、側方に配置される第1群の組み込み手段により親部品へ子部品を順次組み込む第1搬送路と、この第1搬送路の出口から親パレットを受け取り、搬送し、側方に配置される第2群の組み込み手段により親部品へ残りの子部品を順次組み込む第2搬送路と、この第2搬送路の出口から親パレットを受け取り、組立が完了した機械装置を組立ラインから下ろし、空になった親パレットを第1搬送路の入口へ戻す第3搬送路と、第1搬送路の出口で空の子パレットを受け取り、第1搬送路の入口に戻す少なくとも1つのショートパス搬送路とからなり、第1搬送路と第2搬送路と第3搬送路とで閉じた循環路を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明では、搬送路は、第1搬送路と第2搬送路と第3搬送路とを有し、これらの第1〜第3搬送路によって閉じた循環路を形成するものである。
この閉じた循環路によって親パレットと子パレットとを循環させるようにしたので、部品を組み込んだ後の子パレットを回収する手間を省くことができる。
【0010】
加えて、搬送路のうちの第1搬送路は、親パレットと子パレットとを接近させた形態で直列に並べた状態で搬送すると共に親部品に子パレットに載置されている子部品を組み込むための搬送路である。この第1搬送路の出口で空の子パレットを受け取り、第1搬送路の入口に戻す少なくとも1つのショートパス搬送路が備えられている。すなわち、第1搬送路の出口から入口にかけて親パレットから子パレットを分流させる。
第1搬送路の出口と入口の間にショートパス搬送路が渡されているので、不要となった子パレットを搬送する無駄を省くことができる。
【0011】
また、本発明の組立ラインでは、親部品へ組み込むための部品を載置した子パレットから全ての子部品を取り出した後、ショートパス搬送路から子パレットを分流させたので、親パレットのみが搬送される。そのため、搬送されるパレットの長さが短くなる。パレットの長さが短くなれば、その分、閉じた循環路のうちの第2搬送路の長さ及び第3搬送路の長さを短くすることができる。
さらに、ショートパス搬送路で分流・搬送される子パレットは、必要になったときに、親パレットに合流させるので、子パレットの数を減らすこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】機械装置の一例を示す側面図である。
【図2】親部品及び複数の子部品が載置された親パレット並びに複数の子部品が載置された子パレットを説明する図である。
【図3】組立ラインに用いられる搬送コンベヤの配置図である。
【図4】図3の4(a)−4(a)断面図、図3の4(b)−4(b)断面図、図3の4(c)−4(c)断面図及び図3の4(d)−4(d)断面図である。
【図5】図3の5−5線断面図である。
【図6】本発明に係る組立ラインに用いられる旋回コンベヤの斜視図である。
【図7】本発明に係る組立ラインの構成図(平面図)である。
【図8】第1群ロボットで親部品に子部品を組み込んだ状態を説明する図である。
【図9】第2群ロボットで親部品に子部品を組み込んだ状態を説明する図である。
【図10】本発明及び比較例に係る組立ラインの構成図である。
【図11】従来の技術の基本構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施する形態を添付図に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0014】
先ず、本発明の組立ラインにて組み立てられる機械装置の構造を模式的に例示する。
図1に示すように、組み立てられた状態で、機械装置10は、親部品11とこの親部品11に組み込まれる複数の子部品20とからなる。子部品20は、第1子部品21〜第9子部品29から構成される。
なお、子部品の数は機械装置によって異なるものであり、実施例に限定されない。
【0015】
次に、機械装置10の組立に供するパレットを説明する。
図2に示すように、パレットは、親パレット31と子パレット32の2種類が準備される。パレットを側方から見たとき、親パレット31と子パレット32に、各々、組立前の部品が載置されている。図左側の親パレット31に、親部品11及び複数の子部品20のうちの第7子部品27〜第9子部品29が載置されている。図右側の子パレット32に、複数の子部品20のうちの第1子部品21〜第6子部品26が載置されている。
すなわち、親パレット31には、親部品11と第1子部品21〜第3子部品23の合計4つの部品が載置されている。子パレット32には、第4子部品24〜第9子部品29の合計6つの部品が載置されている。
【0016】
コンベヤ幅の関係で、親子パレット31と子パレット32の各々図表裏方向に延びる幅方向寸法は同一にすることが望ましい。親パレット31の長さ方向寸法としてのA1寸法と子パレット32のA2寸法は同一であっても、異なっていても良い。
【0017】
図3〜4で、組立ラインの構成要素となる搬送路の構成要素について説明する。
図3に示すように、組立ライン40に、親パレット(図2、符号31)及び子パレット(図2、符号32)を搬送するために、平面視で、環状を呈する搬送路41、42、43が敷設され、この搬送路41の出口と入口の間にショートパス搬送路45が渡されている。搬送路41、42、43の角部に、パレットを旋回させるための第1〜第4旋回コンベヤ51〜54が各々設けられ、これらの各々の旋回コンベヤ51〜54のワーク流れ方向上流側に、上流側に設けられるコンベヤに沿って上流側コンベヤから旋回コンベヤ51〜54上へパレットを送る第1〜第4入力側プッシャ61〜64が各々設けられ、これらの旋回コンベヤ51〜54の側方にてワーク流れ方向下流側コンベヤの幅方向中心線に沿って、第1〜第4旋回コンベヤ51〜54から下流側のコンベヤへパレットを押し出す第1〜第4出力側プッシャ71〜74が各々設けられている。
【0018】
入力側プッシャ61〜65は、パレットを送る使用状態のときにパレットに力が掛かり、非使用状態のときにパレットの移動を妨げない可動爪67を各々備えている。可動爪67は、例えば、ロッドとの間にばねを介在させることで簡便に構成することができる。
【0019】
次に、搬送路の構成要素となるコンベヤについて説明する。
図4(a)〜(d)に示すように、後述する組立工程の順に、第1〜第6コンベヤ81〜86が配置されている。第1〜第6コンベヤ81〜86は、各々、モータ81a〜86aにより駆動されている。
【0020】
次に、搬送路を構成する第1コンベヤと第3コンベヤとの間に渡したショートパス搬送路を説明する。
図5に示すように、ショートパス搬送路45は、第1コンベヤ81と第3コンベヤ83との間に渡されると共に、第1コンベヤ81及び第3コンベヤ83に対し、パレット流れ方向が直交するように延びているショートパスコンベヤ87を含む。
【0021】
第3コンベヤの側方にショートパスプッシャ68が備えられている。このショートパスプッシャ68は、第3コンベヤ83上の子パレットをショートパスコンベヤ87へ押し出すものである。ショートパスコンベヤ87は、モータ87aによって駆動される。
このショートパスコンベヤ87の下流側にパレットの向きを180°旋回させる第5旋回コンベヤ55が設けられている。
【0022】
次に、第1旋回コンベヤについて説明する。
図6に示すように、第1旋回コンベヤ51は、ベース体91と、このベース体91に設けられ旋回ロッド92aを上方へ指向させたモータ部92と、このモータ部92の旋回ロッド92aの上端に支持され複数のフリーローラが取付けられたコンベヤユニット93とからなる。第1旋回コンベヤ51は、パレットの向きを90°旋回させる機能を有する。
【0023】
なお、第2〜第4旋回コンベヤ(図3、符号52〜54)の構造は、旋回コンベヤの長さが異なるほかは、構造上第1旋回コンベヤ51と変わるところはなく説明を省略する。
また、図5で説明したパレットの向きを180°旋回させる第5旋回コンベヤ55についても、旋回角度及び旋回パレットの長さが異なるほかは第1旋回コンベヤ51と、構造上、変わるところはなく説明を省略する。
【0024】
次に、組立ラインの詳細について説明する。
図7に示すように、組立ライン40は、第1搬送路41と、第2搬送路42と、第3搬送路43と、第1搬送路の出口41bから第1搬送路の入口41aの間に渡されるショートパス搬送路45とを主要素とする。
図中、各搬送路を構成するコンベヤについては、側方から見た図を併記することで、各コンベヤの範囲の理解を容易にした。
【0025】
第1搬送路41は、第1コンベヤ81と、この第1コンベヤ81を流れるパレットの流れる向きを90°変える第1旋回コンベヤ51と、この第1旋回コンベヤ51の下流側に配置した第2コンベヤ82と、この第2コンベヤ82を流れるパレットの流れる向きを90°変える第2旋回コンベヤ52と、この第2旋回コンベヤ52の下流側に配置した第3コンベヤ83とからなる。
【0026】
第1コンベヤ81の側方に、ロボット又は人手によりパレットへ親部品及び子部品を載置する部品載置エリア101が設けられている。
また、第3コンベヤ83に沿って、第1群ロボット105と第1群組立機106からなる第1群の組み込み手段141により親部品へ子部品を順次組み込む第1組立エリア102が設けられている。
【0027】
第1組立エリア102において、流れ方向に所定の間隔をもって設けた第1〜第3ステージ111〜113の一方の側に、後述する組立ロボットへ部品を搬送する第1〜第3ロボット114〜116が並んで配置され、これらの第1〜第3ロボット114〜116に対向する位置にて第1〜第3ステージ111〜113の他方の側に第1群組立機106が配置されている。第1群ロボット105は、第1〜第3ロボット114〜116からなる。第1群組立機106は、第1〜第3組立機117〜119からなる。
【0028】
第2搬送路42は、第4コンベヤ84と、この第4コンベヤ84を流れるパレットの流れる向きを90°変える第3旋回コンベヤ53と、この第3旋回コンベヤ53の下流側に配置した第5コンベヤ85の上流部85mとからなる。
【0029】
第3搬送路43は、第2搬送路の出口42bに位置するピックアップロボット131に相当する位置を起点とする第5コンベヤ85の下流部85nと、この第5コンベヤ85を流れるパレットの流れる向きを90°変える第4旋回コンベヤ54と、この第4旋回コンベヤ54の下流側に配置した第6コンベヤ86とからなる。
【0030】
第4コンベヤ84に沿って、第2群ロボット107と第2群組立機108からなる第2群の組み込み手段142により組立を行う第2組立エリア103が設けられている。
第2組立エリア103において、流れ方向に所定の間隔をもって設けた第4〜第6ステージ121〜123の一方の側に、後述する組立ロボットへ部品を搬送する第4〜第6ロボット124〜126が並んで配置され、これらの第4〜第6ロボット124〜126に対向する位置にて第4〜第6ステージ121〜123の他方の側に第2群組立機108が配置されている。第2群ロボット107は、第4〜第6ロボット124〜126からなる。第2群組立機108は、第4〜第6組立機127〜129からなる。
なお、第1組立エリアで子部品を組み立てる工程及び第2組立エリアで組立の仕上げを行う工程の詳細については次図以降で説明する。
【0031】
次に、上記第1〜第3組立機(図7、符号117〜119)で行われる機械装置10の組立内容について説明を行う。
図8に、第1〜3組立機(図7、符号117〜119)で、親パレット31に載置された親部品11に第1子部品21〜第6子部品26を組み込んだ状態が示される。
なお、第1子部品21〜第6子部品26の第1〜3組立機117〜119での組み込み作業の振り分け等については、機械装置によって適宜変更可能なものである。
【0032】
次に、第2群組立機による組立内容について説明する。
図9に示すように、第4〜6組立機127〜129で、親部品11に第7子部品27〜第9子部品29を組み込むと共に、その過程で、必要な試験等があれば実施し、機械装置(図1、符号10)の組立が完了する。
【0033】
なお、第1搬送路内において、親部品に子部品を順次組み込む組立工程を設けるだけでなく、その過程で、半製品である機械装置を対象に、適宜、必要な調整・試験工程を設けることは差し支えない。
同様に、第2搬送路内において、親部品に子部品を順次組み込む組立工程を設けるだけでなく、その過程で、半製品である機械装置を対象に、適宜、必要な調整・試験工程を設けることは差し支えない。
【0034】
次に、組立ライン状を流れるパレットの流れを説明する。
図7に戻って、第1コンベヤ81上に、この第1コンベヤ81の進行方向前後に親パレット31と子パレット32とが接近した形態で直列に並んでいる。第1コンベヤ81に搬送された親パレット31と子パレット32が部品載置エリア101に到達すると、この部品載置エリア101にて、親パレット31と子パレット32の所定位置に親部品11及び子部品20が載置される。
【0035】
各パレット上に載置された部品配置は、図2(a)に示されている通りであり、本実施例で、1つの機械装置を組み立てるにあたり、1つの親パレット31と1つの子パレット32とが1セットとして利用される。
【0036】
部品載置エリア101で人又はロボット99により親パレット31と子パレット32に複数の子部品20が載置される。これらの複数の子部品20が載置された親パレット31と子パレット32は、第1入力側プッシャ61で第1旋回コンベヤ51へ押され、この第1旋回コンベヤ51上に移動した1つの親パレット31と1つの子パレット32は、共に時計回りに90°旋回した後、第1出力側プッシャ71で第2コンベヤ82へ押される。
【0037】
第2コンベヤ82へ移動した親パレット31と子パレット32は、第2コンベヤ82により搬送され、第2入力側プッシャ62で第2旋回コンベヤ52へ押され、この第2旋回コンベヤ52上に移動した親パレット31と子パレット32は、共に時計回りに90°旋回した後、第2出力側プッシャ72で第3コンベヤ83へ押される。
【0038】
第3コンベヤ83へ移動した親パレット31と子パレット32は、第3コンベヤ83により搬送され、第3コンベヤ83の側方に設けた第1組立エリア102に配置されている第1〜第3組立機117〜119で順次組立が行われる。組立工程の詳細は前述した通りである。
【0039】
第1組立エリア102を通過した後、第1搬送路の出口41bに位置する第3コンベヤの出口83nで、親パレット31は、そのまま、第4コンベヤ84へ乗り移る。一方、親パレット31に引き続いて搬送されている子パレット32は、ショートパスプッシャ68でショートパスコンベヤ87へ押され、ショートパスコンベヤ87へ移動する。このとき、子パレット32上の部品は第1組立エリア102で全て親部品へ組み込まれているため空の状態となっている。
【0040】
第3コンベヤ83から第4コンベヤ84へ移動した親パレット31は、第4コンベヤ84により搬送され、第4コンベヤ84に配置される第2組立エリア103に配置されている第4〜第6組立機127〜129で順次組立が行われる。組立工程の詳細は前述した通りである。
【0041】
親パレット31は、第3入力側プッシャ63で第3旋回コンベヤ53へ押され、この第3旋回コンベヤ53上に移動した親パレット31は、時計回りに90°旋回した後、第3出力側プッシャ73で第5コンベヤ85へ押される。
【0042】
第5コンベヤ85へ移動した組立が完了した機械装置(デファレンシャルユニット(図1、符号10))を載置した親パレット31は、第2搬送路の出口に位置する側方に配置されるピックアップロボット131により組立ライン40から下ろされ、空になった親パレット31を第5コンベヤ85へ載置される。空の親パレット31は、第5コンベヤ85により搬送され、第4入力側プッシャ64で第4旋回コンベヤ54へ押され、この第4旋回コンベヤ54上に移動した親パレット31は、90°旋回した後、第4出力側プッシャ74で第6コンベヤ86へ押される。
【0043】
第6コンベヤ86に移動した空の親パレット31は、第6コンベヤ86により搬送され、第1搬送路の入口41aに位置する第1コンベヤ81に到達し、この空の親パレット31が所定距離だけ移動したときに、ショートパスコンベヤ87上の子パレット32が親パレット31の直後にくるように搬送される。
【0044】
詳細には、子パレット32は、ショートパスコンベヤ87から第5旋回コンベヤ55へ、第5入力プッシャ65で第5旋回コンベヤ55へ押され、この第5旋回コンベヤ55上に移動した子パレット32は、第5旋回コンベヤ55で180°旋回された後、第5入力側プッシャ65で第1コンベヤ81へ押される。
【0045】
図において、第1搬送路41で、親パレット31に接近した状態で、直列に並ぶように子パレット32が流れている。すなわち、親部品を載置する1個の親パレット31と子部品の全て若しくは一部を載置する1個の子パレット32とを、互いに接近させた形態で直列に並べた状態で搬送する。
【0046】
組立が完了した機械装置が載置された親パレット31は、第2搬送路の出口41bから、側方に配置されるピックアップロボット131により組立ライン40から下ろされる。
【0047】
第3搬送路43は、空になった親パレット31を第1搬送路の入口41aへ戻す搬送路である。すなわち、第2搬送路42及び第3搬送路43で、空の親パレット31のみが流れるようにした。
【0048】
ショートパス搬送路45は、第1搬送路の出口41bで空の子パレットを受け取り、この空の子パレットを第1搬送路の入口41aに戻す搬送路であり、空になった子パレットのみが流れる搬送路である。
【0049】
親パレット31と子パレット32は、第1搬送路41では、親パレット31が進行方向で子パレット32よりも先に位置し、且つ、親パレット31と子パレット32とを互いに接近させた形態で直列に並べた状態で流れる。一方、第2及び第3搬送路43では、親パレット31のみが流れる。すなわち、親パレット31と子パレット32とは互いに離間された状態となる。
【0050】
図4を併せて参照して、コンベヤ間の同期をとるために、第1〜第3コンベヤ81〜83の速度を2とするとき、第4〜第6コンベヤ84〜86の速度は1に設定されている。また、ショートパスコンベヤ87の速度は1又は2に設定されている。
【0051】
上記構成により、組立ライン40の搬送路41、42、43及びショートパス搬送路45に親パレット31及び子パレット32を適宜流し、その過程で、ロボット又は組立機械によって親部品(図1、符号11)に子部品(図1、符号20)を組み込むことで機械装置10の組立を完了させることができる
【0052】
次に、本発明による組立ラインの従来例に較べたときの優位性について説明する。
図10(a)に示す実施例では、搬送路は、第1搬送路41と第2搬送路42と第3搬送路43とを有し、これらの搬送路41〜43によって閉じた循環路を形成するものである。この閉じた搬送路41〜43によって親パレット31と子パレット32とを循環させるようにした。従って、部品を組付けた後の子パレット32を回収する手間を省くことができる。
【0053】
加えて、第1搬送路41は、親パレット31と子パレット32とを接近させた形態で直列に並べた状態で搬送すると共に親部品に子部品を組み込むための搬送路である。この第1搬送路の出口41bで空の子パレット32を受け取り第1搬送路の入口41aに戻す1つのショートパス搬送路45が備えられている。すなわち、第1搬送路の出口41bから入口41aにかけて親パレット31から子パレット32を分流させた。
【0054】
図10(b)に示す比較例では、ショートパスは設けられていない。このため、親パレットから子パレットを分流させることはできない。1つのパレットの上に親部品と子部品とが混在して載置される場合、パレットのサイズが大きくなる。すると、実施例と同じ数のステージ数を搬送路に持たせようとすると、図11(a)の実施例に較べて、組立ラインの長さLb(>La)及び幅Wb(>Wa)が大きくなる。
【0055】
図10(a)に戻って、この点、本発明では、第1搬送路の出口41bから第1搬送路の入口41aまで延びており子パレット32を第1搬送路の入口41aに戻す1つのショートパス搬送路45が備えられている。
部品の組み込みの終わった子パレット32を親パレット31から分流させることで、組立ラインの長さLa及び幅Waを小さくすることができる。
【0056】
すなわち、親部品へ組み込む部品を載置した子パレット31から全ての部品を取り出した後、ショートパス搬送路45から子パレット32を分流させれば、後工程で不要な子パレット32を取り除くことができる。親パレット31から子パレット32を分流させたので、パレットの長さが短くなる。従って、閉じた循環路のうちの第2搬送路42に設けたコンベヤの長さ及び第3搬送路43に設けたコンベヤの長さを短くすることができる。
さらに、必要なときに子パレットを親パレットに合流させたので、必要な子パレット32の数を減らすことができる。結果、組立ラインの展開面積を減らすことができる。
【0057】
なお、本実施例では、搬送路は平面視でショートパスを1つ設けた日の字状であるが、ショートパスを2つ設け目の字状にすることは差し支えない。
【0058】
尚、本発明の組立ラインで組み立てられる機械装置は、本実施例で示されるユニット部品に限定されるものではなく、同様な部品構成の任意のユニットに適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、機械装置の組立に好適である。
【符号の説明】
【0060】
10…機械装置、11…親部品、20…複数の子部品、21…第1子部品、22…第2子部品、23…第3子部品、24…第4子部品、25…第5子部品、26…第6子部品、27…第7子部品、28…第8子部品、29…第9子部品、31…親パレット、32…子パレット、40…組立ライン、41…第1搬送路、41a…第1搬送路の入口、41b…第1搬送路の出口、42…第2搬送路、42b…第2搬送路の出口、43…第3搬送路、45…ショートパス搬送路、105…第1群ロボット、106…第1群組立機、107…第2群ロボット、108…第2群組立機、141…第1群の組み込み手段、142…第2群の組み込み手段。
【技術分野】
【0001】
本発明は、親部品に複数の子部品を順次組み込む組立ラインの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送コンベヤにワークとしての親部品を流し、この親部品へ複数の部品(子部品)を順次組み込む組立ラインが知られている(例えば、特許文献1(図3、図4)参照。)。
【0003】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図11(a)に示すように、組立ラインLに搬送コンベヤCが設けられる。この搬送コンベヤC上に間隔をおいて複数の組立作業ステージ101〜104が備えられる。これらの各々の組立作業ステージ101〜104で、親部品Wへ複数の部品を順次組み込んでいく。各親部品Wの近接位置にて搬送コンベヤC上に、親部品Wと共に移動する段積梱包体110が配置される。これらの段積梱包体110に、各々、親部品Wへ組み込まれる子部品が収納されている。
【0004】
図11(b)に示すように、段積梱包体110は、子部品を収納したパレット111〜114を上下に積み重ねてなる。組立作業ステージ101で、パレット111内の子部品を親部品へ組み込み、空になったパレット111を払い出し、組立作業ステージ102で、パレット112内の子部品を親部品Wへ組み込み、空になったパレット112を払い出し、組立作業ステージ103で、パレット113内の子部品を親部品Wへ組み込み、空になったパレット113を払い出し、組立作業ステージ104でパレット114内の子部品を親部品Wへ組み込むようにした。
【0005】
特許文献1の技術では、各組立作業ステージ101〜104で組立に供する子部品を取り外した後のパレット111〜114は、組立ラインLの外に払い出される。そのため、組立ラインLの外でパレット111〜114を回収する作業が必要となっていた。パレット111〜114を回収する作業を省くことができる技術が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−328333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、パレットを回収する作業を省くことができる組立ラインを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、親部品に複数の子部品を組み込む組立ラインであって、少なくとも親部品を載置する親パレットと子部品の全て若しくは一部を載置する少なくとも1個の子パレットとを、互いに接近させた形態で直列に並べた状態で搬送し、側方に配置される第1群の組み込み手段により親部品へ子部品を順次組み込む第1搬送路と、この第1搬送路の出口から親パレットを受け取り、搬送し、側方に配置される第2群の組み込み手段により親部品へ残りの子部品を順次組み込む第2搬送路と、この第2搬送路の出口から親パレットを受け取り、組立が完了した機械装置を組立ラインから下ろし、空になった親パレットを第1搬送路の入口へ戻す第3搬送路と、第1搬送路の出口で空の子パレットを受け取り、第1搬送路の入口に戻す少なくとも1つのショートパス搬送路とからなり、第1搬送路と第2搬送路と第3搬送路とで閉じた循環路を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明では、搬送路は、第1搬送路と第2搬送路と第3搬送路とを有し、これらの第1〜第3搬送路によって閉じた循環路を形成するものである。
この閉じた循環路によって親パレットと子パレットとを循環させるようにしたので、部品を組み込んだ後の子パレットを回収する手間を省くことができる。
【0010】
加えて、搬送路のうちの第1搬送路は、親パレットと子パレットとを接近させた形態で直列に並べた状態で搬送すると共に親部品に子パレットに載置されている子部品を組み込むための搬送路である。この第1搬送路の出口で空の子パレットを受け取り、第1搬送路の入口に戻す少なくとも1つのショートパス搬送路が備えられている。すなわち、第1搬送路の出口から入口にかけて親パレットから子パレットを分流させる。
第1搬送路の出口と入口の間にショートパス搬送路が渡されているので、不要となった子パレットを搬送する無駄を省くことができる。
【0011】
また、本発明の組立ラインでは、親部品へ組み込むための部品を載置した子パレットから全ての子部品を取り出した後、ショートパス搬送路から子パレットを分流させたので、親パレットのみが搬送される。そのため、搬送されるパレットの長さが短くなる。パレットの長さが短くなれば、その分、閉じた循環路のうちの第2搬送路の長さ及び第3搬送路の長さを短くすることができる。
さらに、ショートパス搬送路で分流・搬送される子パレットは、必要になったときに、親パレットに合流させるので、子パレットの数を減らすこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】機械装置の一例を示す側面図である。
【図2】親部品及び複数の子部品が載置された親パレット並びに複数の子部品が載置された子パレットを説明する図である。
【図3】組立ラインに用いられる搬送コンベヤの配置図である。
【図4】図3の4(a)−4(a)断面図、図3の4(b)−4(b)断面図、図3の4(c)−4(c)断面図及び図3の4(d)−4(d)断面図である。
【図5】図3の5−5線断面図である。
【図6】本発明に係る組立ラインに用いられる旋回コンベヤの斜視図である。
【図7】本発明に係る組立ラインの構成図(平面図)である。
【図8】第1群ロボットで親部品に子部品を組み込んだ状態を説明する図である。
【図9】第2群ロボットで親部品に子部品を組み込んだ状態を説明する図である。
【図10】本発明及び比較例に係る組立ラインの構成図である。
【図11】従来の技術の基本構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施する形態を添付図に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0014】
先ず、本発明の組立ラインにて組み立てられる機械装置の構造を模式的に例示する。
図1に示すように、組み立てられた状態で、機械装置10は、親部品11とこの親部品11に組み込まれる複数の子部品20とからなる。子部品20は、第1子部品21〜第9子部品29から構成される。
なお、子部品の数は機械装置によって異なるものであり、実施例に限定されない。
【0015】
次に、機械装置10の組立に供するパレットを説明する。
図2に示すように、パレットは、親パレット31と子パレット32の2種類が準備される。パレットを側方から見たとき、親パレット31と子パレット32に、各々、組立前の部品が載置されている。図左側の親パレット31に、親部品11及び複数の子部品20のうちの第7子部品27〜第9子部品29が載置されている。図右側の子パレット32に、複数の子部品20のうちの第1子部品21〜第6子部品26が載置されている。
すなわち、親パレット31には、親部品11と第1子部品21〜第3子部品23の合計4つの部品が載置されている。子パレット32には、第4子部品24〜第9子部品29の合計6つの部品が載置されている。
【0016】
コンベヤ幅の関係で、親子パレット31と子パレット32の各々図表裏方向に延びる幅方向寸法は同一にすることが望ましい。親パレット31の長さ方向寸法としてのA1寸法と子パレット32のA2寸法は同一であっても、異なっていても良い。
【0017】
図3〜4で、組立ラインの構成要素となる搬送路の構成要素について説明する。
図3に示すように、組立ライン40に、親パレット(図2、符号31)及び子パレット(図2、符号32)を搬送するために、平面視で、環状を呈する搬送路41、42、43が敷設され、この搬送路41の出口と入口の間にショートパス搬送路45が渡されている。搬送路41、42、43の角部に、パレットを旋回させるための第1〜第4旋回コンベヤ51〜54が各々設けられ、これらの各々の旋回コンベヤ51〜54のワーク流れ方向上流側に、上流側に設けられるコンベヤに沿って上流側コンベヤから旋回コンベヤ51〜54上へパレットを送る第1〜第4入力側プッシャ61〜64が各々設けられ、これらの旋回コンベヤ51〜54の側方にてワーク流れ方向下流側コンベヤの幅方向中心線に沿って、第1〜第4旋回コンベヤ51〜54から下流側のコンベヤへパレットを押し出す第1〜第4出力側プッシャ71〜74が各々設けられている。
【0018】
入力側プッシャ61〜65は、パレットを送る使用状態のときにパレットに力が掛かり、非使用状態のときにパレットの移動を妨げない可動爪67を各々備えている。可動爪67は、例えば、ロッドとの間にばねを介在させることで簡便に構成することができる。
【0019】
次に、搬送路の構成要素となるコンベヤについて説明する。
図4(a)〜(d)に示すように、後述する組立工程の順に、第1〜第6コンベヤ81〜86が配置されている。第1〜第6コンベヤ81〜86は、各々、モータ81a〜86aにより駆動されている。
【0020】
次に、搬送路を構成する第1コンベヤと第3コンベヤとの間に渡したショートパス搬送路を説明する。
図5に示すように、ショートパス搬送路45は、第1コンベヤ81と第3コンベヤ83との間に渡されると共に、第1コンベヤ81及び第3コンベヤ83に対し、パレット流れ方向が直交するように延びているショートパスコンベヤ87を含む。
【0021】
第3コンベヤの側方にショートパスプッシャ68が備えられている。このショートパスプッシャ68は、第3コンベヤ83上の子パレットをショートパスコンベヤ87へ押し出すものである。ショートパスコンベヤ87は、モータ87aによって駆動される。
このショートパスコンベヤ87の下流側にパレットの向きを180°旋回させる第5旋回コンベヤ55が設けられている。
【0022】
次に、第1旋回コンベヤについて説明する。
図6に示すように、第1旋回コンベヤ51は、ベース体91と、このベース体91に設けられ旋回ロッド92aを上方へ指向させたモータ部92と、このモータ部92の旋回ロッド92aの上端に支持され複数のフリーローラが取付けられたコンベヤユニット93とからなる。第1旋回コンベヤ51は、パレットの向きを90°旋回させる機能を有する。
【0023】
なお、第2〜第4旋回コンベヤ(図3、符号52〜54)の構造は、旋回コンベヤの長さが異なるほかは、構造上第1旋回コンベヤ51と変わるところはなく説明を省略する。
また、図5で説明したパレットの向きを180°旋回させる第5旋回コンベヤ55についても、旋回角度及び旋回パレットの長さが異なるほかは第1旋回コンベヤ51と、構造上、変わるところはなく説明を省略する。
【0024】
次に、組立ラインの詳細について説明する。
図7に示すように、組立ライン40は、第1搬送路41と、第2搬送路42と、第3搬送路43と、第1搬送路の出口41bから第1搬送路の入口41aの間に渡されるショートパス搬送路45とを主要素とする。
図中、各搬送路を構成するコンベヤについては、側方から見た図を併記することで、各コンベヤの範囲の理解を容易にした。
【0025】
第1搬送路41は、第1コンベヤ81と、この第1コンベヤ81を流れるパレットの流れる向きを90°変える第1旋回コンベヤ51と、この第1旋回コンベヤ51の下流側に配置した第2コンベヤ82と、この第2コンベヤ82を流れるパレットの流れる向きを90°変える第2旋回コンベヤ52と、この第2旋回コンベヤ52の下流側に配置した第3コンベヤ83とからなる。
【0026】
第1コンベヤ81の側方に、ロボット又は人手によりパレットへ親部品及び子部品を載置する部品載置エリア101が設けられている。
また、第3コンベヤ83に沿って、第1群ロボット105と第1群組立機106からなる第1群の組み込み手段141により親部品へ子部品を順次組み込む第1組立エリア102が設けられている。
【0027】
第1組立エリア102において、流れ方向に所定の間隔をもって設けた第1〜第3ステージ111〜113の一方の側に、後述する組立ロボットへ部品を搬送する第1〜第3ロボット114〜116が並んで配置され、これらの第1〜第3ロボット114〜116に対向する位置にて第1〜第3ステージ111〜113の他方の側に第1群組立機106が配置されている。第1群ロボット105は、第1〜第3ロボット114〜116からなる。第1群組立機106は、第1〜第3組立機117〜119からなる。
【0028】
第2搬送路42は、第4コンベヤ84と、この第4コンベヤ84を流れるパレットの流れる向きを90°変える第3旋回コンベヤ53と、この第3旋回コンベヤ53の下流側に配置した第5コンベヤ85の上流部85mとからなる。
【0029】
第3搬送路43は、第2搬送路の出口42bに位置するピックアップロボット131に相当する位置を起点とする第5コンベヤ85の下流部85nと、この第5コンベヤ85を流れるパレットの流れる向きを90°変える第4旋回コンベヤ54と、この第4旋回コンベヤ54の下流側に配置した第6コンベヤ86とからなる。
【0030】
第4コンベヤ84に沿って、第2群ロボット107と第2群組立機108からなる第2群の組み込み手段142により組立を行う第2組立エリア103が設けられている。
第2組立エリア103において、流れ方向に所定の間隔をもって設けた第4〜第6ステージ121〜123の一方の側に、後述する組立ロボットへ部品を搬送する第4〜第6ロボット124〜126が並んで配置され、これらの第4〜第6ロボット124〜126に対向する位置にて第4〜第6ステージ121〜123の他方の側に第2群組立機108が配置されている。第2群ロボット107は、第4〜第6ロボット124〜126からなる。第2群組立機108は、第4〜第6組立機127〜129からなる。
なお、第1組立エリアで子部品を組み立てる工程及び第2組立エリアで組立の仕上げを行う工程の詳細については次図以降で説明する。
【0031】
次に、上記第1〜第3組立機(図7、符号117〜119)で行われる機械装置10の組立内容について説明を行う。
図8に、第1〜3組立機(図7、符号117〜119)で、親パレット31に載置された親部品11に第1子部品21〜第6子部品26を組み込んだ状態が示される。
なお、第1子部品21〜第6子部品26の第1〜3組立機117〜119での組み込み作業の振り分け等については、機械装置によって適宜変更可能なものである。
【0032】
次に、第2群組立機による組立内容について説明する。
図9に示すように、第4〜6組立機127〜129で、親部品11に第7子部品27〜第9子部品29を組み込むと共に、その過程で、必要な試験等があれば実施し、機械装置(図1、符号10)の組立が完了する。
【0033】
なお、第1搬送路内において、親部品に子部品を順次組み込む組立工程を設けるだけでなく、その過程で、半製品である機械装置を対象に、適宜、必要な調整・試験工程を設けることは差し支えない。
同様に、第2搬送路内において、親部品に子部品を順次組み込む組立工程を設けるだけでなく、その過程で、半製品である機械装置を対象に、適宜、必要な調整・試験工程を設けることは差し支えない。
【0034】
次に、組立ライン状を流れるパレットの流れを説明する。
図7に戻って、第1コンベヤ81上に、この第1コンベヤ81の進行方向前後に親パレット31と子パレット32とが接近した形態で直列に並んでいる。第1コンベヤ81に搬送された親パレット31と子パレット32が部品載置エリア101に到達すると、この部品載置エリア101にて、親パレット31と子パレット32の所定位置に親部品11及び子部品20が載置される。
【0035】
各パレット上に載置された部品配置は、図2(a)に示されている通りであり、本実施例で、1つの機械装置を組み立てるにあたり、1つの親パレット31と1つの子パレット32とが1セットとして利用される。
【0036】
部品載置エリア101で人又はロボット99により親パレット31と子パレット32に複数の子部品20が載置される。これらの複数の子部品20が載置された親パレット31と子パレット32は、第1入力側プッシャ61で第1旋回コンベヤ51へ押され、この第1旋回コンベヤ51上に移動した1つの親パレット31と1つの子パレット32は、共に時計回りに90°旋回した後、第1出力側プッシャ71で第2コンベヤ82へ押される。
【0037】
第2コンベヤ82へ移動した親パレット31と子パレット32は、第2コンベヤ82により搬送され、第2入力側プッシャ62で第2旋回コンベヤ52へ押され、この第2旋回コンベヤ52上に移動した親パレット31と子パレット32は、共に時計回りに90°旋回した後、第2出力側プッシャ72で第3コンベヤ83へ押される。
【0038】
第3コンベヤ83へ移動した親パレット31と子パレット32は、第3コンベヤ83により搬送され、第3コンベヤ83の側方に設けた第1組立エリア102に配置されている第1〜第3組立機117〜119で順次組立が行われる。組立工程の詳細は前述した通りである。
【0039】
第1組立エリア102を通過した後、第1搬送路の出口41bに位置する第3コンベヤの出口83nで、親パレット31は、そのまま、第4コンベヤ84へ乗り移る。一方、親パレット31に引き続いて搬送されている子パレット32は、ショートパスプッシャ68でショートパスコンベヤ87へ押され、ショートパスコンベヤ87へ移動する。このとき、子パレット32上の部品は第1組立エリア102で全て親部品へ組み込まれているため空の状態となっている。
【0040】
第3コンベヤ83から第4コンベヤ84へ移動した親パレット31は、第4コンベヤ84により搬送され、第4コンベヤ84に配置される第2組立エリア103に配置されている第4〜第6組立機127〜129で順次組立が行われる。組立工程の詳細は前述した通りである。
【0041】
親パレット31は、第3入力側プッシャ63で第3旋回コンベヤ53へ押され、この第3旋回コンベヤ53上に移動した親パレット31は、時計回りに90°旋回した後、第3出力側プッシャ73で第5コンベヤ85へ押される。
【0042】
第5コンベヤ85へ移動した組立が完了した機械装置(デファレンシャルユニット(図1、符号10))を載置した親パレット31は、第2搬送路の出口に位置する側方に配置されるピックアップロボット131により組立ライン40から下ろされ、空になった親パレット31を第5コンベヤ85へ載置される。空の親パレット31は、第5コンベヤ85により搬送され、第4入力側プッシャ64で第4旋回コンベヤ54へ押され、この第4旋回コンベヤ54上に移動した親パレット31は、90°旋回した後、第4出力側プッシャ74で第6コンベヤ86へ押される。
【0043】
第6コンベヤ86に移動した空の親パレット31は、第6コンベヤ86により搬送され、第1搬送路の入口41aに位置する第1コンベヤ81に到達し、この空の親パレット31が所定距離だけ移動したときに、ショートパスコンベヤ87上の子パレット32が親パレット31の直後にくるように搬送される。
【0044】
詳細には、子パレット32は、ショートパスコンベヤ87から第5旋回コンベヤ55へ、第5入力プッシャ65で第5旋回コンベヤ55へ押され、この第5旋回コンベヤ55上に移動した子パレット32は、第5旋回コンベヤ55で180°旋回された後、第5入力側プッシャ65で第1コンベヤ81へ押される。
【0045】
図において、第1搬送路41で、親パレット31に接近した状態で、直列に並ぶように子パレット32が流れている。すなわち、親部品を載置する1個の親パレット31と子部品の全て若しくは一部を載置する1個の子パレット32とを、互いに接近させた形態で直列に並べた状態で搬送する。
【0046】
組立が完了した機械装置が載置された親パレット31は、第2搬送路の出口41bから、側方に配置されるピックアップロボット131により組立ライン40から下ろされる。
【0047】
第3搬送路43は、空になった親パレット31を第1搬送路の入口41aへ戻す搬送路である。すなわち、第2搬送路42及び第3搬送路43で、空の親パレット31のみが流れるようにした。
【0048】
ショートパス搬送路45は、第1搬送路の出口41bで空の子パレットを受け取り、この空の子パレットを第1搬送路の入口41aに戻す搬送路であり、空になった子パレットのみが流れる搬送路である。
【0049】
親パレット31と子パレット32は、第1搬送路41では、親パレット31が進行方向で子パレット32よりも先に位置し、且つ、親パレット31と子パレット32とを互いに接近させた形態で直列に並べた状態で流れる。一方、第2及び第3搬送路43では、親パレット31のみが流れる。すなわち、親パレット31と子パレット32とは互いに離間された状態となる。
【0050】
図4を併せて参照して、コンベヤ間の同期をとるために、第1〜第3コンベヤ81〜83の速度を2とするとき、第4〜第6コンベヤ84〜86の速度は1に設定されている。また、ショートパスコンベヤ87の速度は1又は2に設定されている。
【0051】
上記構成により、組立ライン40の搬送路41、42、43及びショートパス搬送路45に親パレット31及び子パレット32を適宜流し、その過程で、ロボット又は組立機械によって親部品(図1、符号11)に子部品(図1、符号20)を組み込むことで機械装置10の組立を完了させることができる
【0052】
次に、本発明による組立ラインの従来例に較べたときの優位性について説明する。
図10(a)に示す実施例では、搬送路は、第1搬送路41と第2搬送路42と第3搬送路43とを有し、これらの搬送路41〜43によって閉じた循環路を形成するものである。この閉じた搬送路41〜43によって親パレット31と子パレット32とを循環させるようにした。従って、部品を組付けた後の子パレット32を回収する手間を省くことができる。
【0053】
加えて、第1搬送路41は、親パレット31と子パレット32とを接近させた形態で直列に並べた状態で搬送すると共に親部品に子部品を組み込むための搬送路である。この第1搬送路の出口41bで空の子パレット32を受け取り第1搬送路の入口41aに戻す1つのショートパス搬送路45が備えられている。すなわち、第1搬送路の出口41bから入口41aにかけて親パレット31から子パレット32を分流させた。
【0054】
図10(b)に示す比較例では、ショートパスは設けられていない。このため、親パレットから子パレットを分流させることはできない。1つのパレットの上に親部品と子部品とが混在して載置される場合、パレットのサイズが大きくなる。すると、実施例と同じ数のステージ数を搬送路に持たせようとすると、図11(a)の実施例に較べて、組立ラインの長さLb(>La)及び幅Wb(>Wa)が大きくなる。
【0055】
図10(a)に戻って、この点、本発明では、第1搬送路の出口41bから第1搬送路の入口41aまで延びており子パレット32を第1搬送路の入口41aに戻す1つのショートパス搬送路45が備えられている。
部品の組み込みの終わった子パレット32を親パレット31から分流させることで、組立ラインの長さLa及び幅Waを小さくすることができる。
【0056】
すなわち、親部品へ組み込む部品を載置した子パレット31から全ての部品を取り出した後、ショートパス搬送路45から子パレット32を分流させれば、後工程で不要な子パレット32を取り除くことができる。親パレット31から子パレット32を分流させたので、パレットの長さが短くなる。従って、閉じた循環路のうちの第2搬送路42に設けたコンベヤの長さ及び第3搬送路43に設けたコンベヤの長さを短くすることができる。
さらに、必要なときに子パレットを親パレットに合流させたので、必要な子パレット32の数を減らすことができる。結果、組立ラインの展開面積を減らすことができる。
【0057】
なお、本実施例では、搬送路は平面視でショートパスを1つ設けた日の字状であるが、ショートパスを2つ設け目の字状にすることは差し支えない。
【0058】
尚、本発明の組立ラインで組み立てられる機械装置は、本実施例で示されるユニット部品に限定されるものではなく、同様な部品構成の任意のユニットに適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、機械装置の組立に好適である。
【符号の説明】
【0060】
10…機械装置、11…親部品、20…複数の子部品、21…第1子部品、22…第2子部品、23…第3子部品、24…第4子部品、25…第5子部品、26…第6子部品、27…第7子部品、28…第8子部品、29…第9子部品、31…親パレット、32…子パレット、40…組立ライン、41…第1搬送路、41a…第1搬送路の入口、41b…第1搬送路の出口、42…第2搬送路、42b…第2搬送路の出口、43…第3搬送路、45…ショートパス搬送路、105…第1群ロボット、106…第1群組立機、107…第2群ロボット、108…第2群組立機、141…第1群の組み込み手段、142…第2群の組み込み手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
親部品に子部品を組み込む組立ラインであって、
少なくとも前記親部品を載置する親パレットと前記子部品の全て若しくは一部を載置する少なくとも1個の子パレットとを、互いに接近させた形態で直列に並べた状態で搬送し、側方に配置される第1群の組み込み手段により前記親部品へ前記子部品を順次組み込む第1搬送路と、
この第1搬送路の出口から前記親パレットを受け取り、搬送し、側方に配置される第2群の組み込み手段により前記親部品へ残りの前記子部品を順次組み込む第2搬送路と、
この第2搬送路の出口から前記親パレットを受け取り、組立が完了した機械装置を組立ラインから下ろし、空になった前記親パレット前記第1搬送路の入口へ戻す第3搬送路と、
前記第1搬送路の出口で空の前記子パレットを受け取り、前記第1搬送路の入口に戻す少なくとも1つのショートパス搬送路とからなり、
前記第1搬送路と前記第2搬送路と前記第3搬送路とで閉じた循環路を形成することを特徴とする組立ライン。
【請求項1】
親部品に子部品を組み込む組立ラインであって、
少なくとも前記親部品を載置する親パレットと前記子部品の全て若しくは一部を載置する少なくとも1個の子パレットとを、互いに接近させた形態で直列に並べた状態で搬送し、側方に配置される第1群の組み込み手段により前記親部品へ前記子部品を順次組み込む第1搬送路と、
この第1搬送路の出口から前記親パレットを受け取り、搬送し、側方に配置される第2群の組み込み手段により前記親部品へ残りの前記子部品を順次組み込む第2搬送路と、
この第2搬送路の出口から前記親パレットを受け取り、組立が完了した機械装置を組立ラインから下ろし、空になった前記親パレット前記第1搬送路の入口へ戻す第3搬送路と、
前記第1搬送路の出口で空の前記子パレットを受け取り、前記第1搬送路の入口に戻す少なくとも1つのショートパス搬送路とからなり、
前記第1搬送路と前記第2搬送路と前記第3搬送路とで閉じた循環路を形成することを特徴とする組立ライン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−49101(P2013−49101A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187275(P2011−187275)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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