組立作業装置
【課題】 作業者の習熟度や注意力に依存せず、文字や図以外の手段でも作業手順を示すことが可能であり、作業状況の分析も可能な組立作業装置を提供する。
【解決手段】 パソコンは、作業工程で使用する部品が収容された部品箱の指示ランプを点灯するので(K8)、作業者は、指示ランプが点灯した部品箱6から部品を取り出す(S3)。パソコンは、指示ランプを点灯した部品箱の部品が取り出されたか否かを判断し(K9)、指示ランプを点灯した部品箱の部品が取り出された際には、作業手順情報をディスプレイ装置に表示する(K11)。この作業工程が終了した際には、製品一台分の全行程が終了したか否かを判断し(K14)。他の作業工程が残っている場合には、ステップK8へ分岐して次の作業工程を開始する。
【解決手段】 パソコンは、作業工程で使用する部品が収容された部品箱の指示ランプを点灯するので(K8)、作業者は、指示ランプが点灯した部品箱6から部品を取り出す(S3)。パソコンは、指示ランプを点灯した部品箱の部品が取り出されたか否かを判断し(K9)、指示ランプを点灯した部品箱の部品が取り出された際には、作業手順情報をディスプレイ装置に表示する(K11)。この作業工程が終了した際には、製品一台分の全行程が終了したか否かを判断し(K14)。他の作業工程が残っている場合には、ステップK8へ分岐して次の作業工程を開始する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産工場等において電子機器等の組立作業を管理する組立作業装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生産工場等における電子機器等の組立作業において、一人の作業者が1台の生産用の作業台を用いて全ての組立作業工程を受け持つ作業方式が知られている。この作業方式において、各作業者は、それぞれの組立工程の進捗に対応した作業手順書を参照しながら、必要部品を部品保管場所から取り出して所定の組立作業を行なっている。
【0003】
また、この組立作業方式では、複数の作業者がそれぞれに各人用の作業台を用いて、互いに同一あるいは異なる電子機器等の組立作業を行なっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した組立作業方式にあっては、以下のような問題があった。
【0005】
(1)作業者各人は全作業工程の把握に習熟を必要とし、工程毎に作業手順書を取り出したり、あるいは作業対象となる各部品の配置等を覚えなければならない。
【0006】
(2)作業者の注意力や記憶力に頼る部分が多いため、作業者の不注意によるミスが発生する可能性がある。また、作業の指示内容を作業手順書の文面で表現することには限界がある。
【0007】
(3)作業指示や作業時の品質記録、あるいは作業手順書等に大量の紙媒体を必要とする。
【0008】
(4)各作業者毎や各作業工程毎の作業時間の把握が困難である。
【0009】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、作業者の習熟度や注意力に依存せず、文字や図以外の手段でも作業手順を示すことが可能であり、作業状況の分析も可能な組立作業装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために本発明の請求項1の組立作業装置にあっては、生産工場等にて単一の作業者が当該作業者に割り当てられた生産用の作業台を用いて一連の組立作業を受け持つ作業方式において、各作業工程毎に作業手順をディスプレイ装置に表示する作業手順表示手段と、各作業工程が実施されたことを検出する作業実施検出手段と、該作業実施検出手段にて作業工程が実施されたことを検出した際に、前記ディスプレイ装置での表示を、次の作業工程の作業手順に変更する次工程表示手段と、を備えている。
【0011】
すなわち、作業者が組立作業を開始すると作業順序に従って使用する部品や取り付け箇所や取り付け方法などの作業手順がディスプレイ装置に表示される。そして、各作業工程が実施されたことが検出され、この際には、前記ディスプレイ装置での表示が、次の作業工程の作業手順に変更される。
【0012】
このため、作業者は、全作業工程や部品の配置等を記憶する必要は無い。このとき、前記ディスプレイ装置に表示される作業指示内容は、文字やモノクロ画像ばかりでなく、カラー画像や動画や音声なども必要に応じて利用することができる。
【0013】
また、作業指示書を電子文書として作成することができるため、紙媒体を使用する場合と比較して、作業台の一部を占有することも無く、繰り返し使用による劣化等も生じない。さらに、作業指示書の作成や改変にも柔軟に対応ができ、音声や動画など紙媒体では対応できない内容をも組み合わせることができる。
【0014】
そして、各作業工程が実施されたことを検出することができるため、各作業工程で要した作業時間を自動的に記録して集計することもできる。
【0015】
また、請求項2の組立作業装置においては、一連の組立作業で使用する各部品が種別毎に収容された複数の部品箱を設け、各部品箱に、指示ランプと、当該部品箱内の部品が取り出されたことを検出するセンサとを設けるとともに、次の作業工程で用いる部品が収容された部品箱の前記指示ランプを点灯する指示ランプ点灯手段を備える一方、前記作業実施検出手段は、前記指示ランプを点灯させて指示した部品箱の部品が取り出されたことを当該部品箱に設けられた前記センサで検出した際に、前の作業工程が実施されたと判断する。
【0016】
すなわち、一連の組立作業において、部品保管棚等に設けられた部品箱では、次に使用する部品であることを示す表示ランプが点灯する。そして、この部品箱から部品が取り出されたことがセンサによって検出される。これにより、部品の取り間違えが防止されるとともに、例えば指定外の部品箱の部品が取り出された際には、取り間違えをディスプレイ装置に表示して、次の作業指示を表示しないことにより、作業ミスを未然に防止することができる。
【0017】
そして、部品箱から部品が取り出されたことを検出するセンサが設けられているため、センサの感知時間を記録することで作業者が個々の部品を取り付けるのに要した作業時間を自動的に記録して集計することもできる。また、ディスプレイ装置の画面表示に従って作業時の情報を品質記録として登録することもできる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明の請求項1の組立作業装置にあっては、作業者は組立作業の順序を習熟していなくても、作業台等に設置されたディスプレイ装置の画面表示の案内に従って作業を行うだけで、一連の組立作業を行うことができる。
【0019】
したがって、作業者の習熟度や注意力に依存せず、文字や図以外の手段でも作業手順を示すことが可能となり、作業時間等の作業状況の分析も可能な組立作業装置となり得る。
【0020】
また、請求項2の組立作業装置においては、一連の組立作業において、指示ランプの点灯した部品箱から取り出した部品を取り付けるだけで、部品の取付ミスを確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施の形態を図面に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかる組立作業装置1を示す概観図であり、該組立作業装置1は、生産工場等にて単一の作業者が一連の組立作業を受け持つ作業方式で使用されている。
【0022】
この組立作業装置1は、単一の作業者に割り当てられた生産用の作業台11及び部品棚12を備えて構成されており、この作業台11及び部品棚12を用いて一連の組立作業を行うように構成されている。なお、前記部品棚12は、必要に応じてさらに台数を追加しても良く、あるいは必要がなければ用いなくても良い。
【0023】
前記作業台11には、作業指示の処理を制御するパソコン21と、作業指示内容を表示する液晶パネルからなるディスプレイ装置22と、前記パソコン21にデータを入力するキーボード23及びマウス24とが設けられており、その左側部には、複数の部品箱25,・・・が設けられている。また、この作業台11の側部に配置された前記部品棚12にも複数の部品箱26,・・・が設けられている。
【0024】
各部品箱25,26,・・・には、部品箱25の詳細を示す図2にも示すように、一連の組立作業に使用する各部品31,・・・が種別毎に収容されており、各部品31を組み立てることによって製品が組み立てられるように構成されている。各部品箱25,26,・・・の右側壁32には、作業工程で使用する部品31であることを示すLEDからなる指示ランプ33,43(図3参照)が設けられており、該指示ランプ33,43は、前記パソコン21に接続されている。また、各部品箱25,26,・・・の左側壁35の外面には、当該部品箱25,26内に手が挿入されたことを検出する例えば超音波式や静電容量式の取出センサ36,46(図3参照)が設けられており、該取出センサ36,46も前記パソコン21に接続されている。これにより、部品31取り出し時に挿入された手を前記取出センサ36,46で検出することによって、当該部品箱25,26内の部品31が取り出されたことを前記パソコン21にて検出できるように構成されている。
【0025】
図3は、前記組立作業装置1を示すブロック図であり、該組立作業装置1は、前記パソコン21を中心に構成されている。
【0026】
このパソコン21は、接続ケーブル51を介して第1の入出力インターフェース52に接続されており、該第1の入出力インターフェース52には、接続線53を介して当該作業台11の各部品箱25,・・・に設けられた指示ランプ33及び取出センサ36が接続されている。また、前記第1のインターフェイス52には、接続ケーブル54を介して、前記部品棚12に設けられた第2の入出力インターフェース55に接続されており、該第2の入出力インターフェース55には、前記各部品箱26,・・・に設けられた指示ランプ43及び取出センサ46が接続されている。そして、前記第2の入出力インターフェース55には、接続ケーブル56を介して、他の部品棚に接続できるように構成されている。
【0027】
これにより、前記パソコン21は、いずれかの部品箱25,26の指示ランプ33,43を点灯して使用する部品を示すとともに、前記取出センサ36,46からの入力によって当該部品箱25,26内の部品31が取り出されたか否かを判断できるように構成されている。
【0028】
また、前記パソコン21には、前記キーボード23と前記マウス24が接続されるとともに、記録媒体へのデータの読み書きを行う記憶装置61が接続されている。これにより、前記ディスプレイ装置22に表示する作業手順の画像データ等の入力や、各作業工程での作業時間のデータを、記録媒体に読み書きできるように構成されている。さらに、前記パソコン21には、前記ディスプレイ装置22とスピーカ62とが接続されており、作業手順を前記ディスプレイ装置22に表示したり、エラー時の警告音をスピーカ62から出力できるように構成されている。
【0029】
以上の構成にかかる本実施の形態の動作を、図4に示したフローチャートに従って説明する。
【0030】
すなわち、一連の組立作業を開始する際には、組立作業装置1のパソコン21は、作業者の認証情報が入力されるまで待機しているので(K1)、作業者は、当該作業者に予め付与された認証情報をキーボード23やマウス24を利用してパソコン21に入力して作業者登録を行う(S1)。
【0031】
この認証情報が入力されたパソコン21では、入力された認証情報が予め登録されているかを検索して指定された作業者であり認証可能であるか否かを判断し(K2)、認証情報が登録されておらず認証することが出来ない場合には、「認証不可」をディスプレイ装置22に表示して前記ステップK1へ分岐する。一方、前記認証情報が登録されており、指定された作業者であることを識別できた場合には、作業選択情報が入力されるまで待機する(K4)。
【0032】
この待機状態において、前記作業者は、組み立てる製品をキーボード23やマウス24を利用して選択して作業情報を入力すると(S2)、前記パソコン21は、その選択情報が選択可能か否かを判断する(K5)。前記選択情報が選択できない場合には、「選択不可」を前記ディスプレイ装置22に表示して(K6)、前記ステップK4へ分岐する一方、前記選択情報を選択できる場合には、選択された組立作業における作業手順の設定を行う(K7)。
【0033】
そして、前記パソコン21は、ディスプレイ装置22の画面に作業指示内容を表示するとともに、作業工程(始めは第1作業工程)で使用する部品31が収容された部品箱25,26の指示ランプ33,43を点灯するので(K8)、作業者は、指示ランプ33,43が点灯した部品箱25,26から部品31を取り出す(S3)。すると、前記パソコン21では、各取出センサ36,46,・・・からの入力の有無を検出し、前記指示ランプ33,43を点灯した部品箱25,26の部品31が取り出されたか否か、つまり取り出し指示を行った部品31が取り出されたか否かを判断する(K9)。
【0034】
このとき、前記指示ランプ33,43を点灯した部品箱25,26の部品31以外の部品31、すなわち取り出し指示を行った部品31以外の部品31が取り出された際には、「部品間違い」を前記ディスプレイ装置22に表示するとともに警告音をスピーカ62から出力して(K10)、前記ステップK8に戻る。これにより、前記ディスプレイ装置22での画面表示は、次の作業工程の指示内容に進まず、部品31の取付ミスを確実に防止することができる。
【0035】
一方、前記ステップK9において、前記指示ランプ33,43を点灯した部品箱25,26の部品31、すなわち取り出し指示を行った部品31が取り出されたと判断した際には、作業手順情報を前記ディスプレイ装置22に表示する(K11)。この作業手順情報としては、部品31の取り付け箇所や取り付け方法などが挙げられ、文字情報やモノクロ画像ばかりでなく、カラー画像や動画や音声なども必要に応じて出力する。これにより、作業者は、前記ディスプレイ装置5の画面表示に従って所定の作業を行なう。
【0036】
この作業工程において、作業者は、キーボード23やマウス24を利用することによって、詳細手順の表示や品質的な記録事項の登録、さらには作業の中断や再開などの都度情報を入力することができ(S4)、前記パソコン21では、この都度情報を受け付けるとともに、詳細手順を表示したり、品質情報を記録したり、作業の中断や再開を行う等して都度情報の受付処理を行う(K12)。
【0037】
そして、前記部品31の取り付けが完了した際には、作業ステップが終了した旨を前記キーボード23やマウス24を利用して入力すると(S5)、前記パソコン21では、指定した正規の部品31が取り出されてから現時点まで(K11からK13)の作業時間を記録媒体に記録して統計処理を行った後(K13)、一連の作業工程が終了し製品一台分の全行程が終了したか否かを判断する(K14)。他の作業工程が残っている場合には、前記ステップK8へ分岐して次の作業工程を開始する。
【0038】
具体的に説明すると、前記パソコン21は、次の作業工程で使用する部品31が収容された部品箱25,26の指示ランプ33,43を点灯するので(K8)、作業者は、指示ランプ33,43が点灯した部品箱25,26から部品31を取り出す(S3)。このとき、前記パソコン21は、各取出センサ36,46,・・・からの入力の有無を検出することで、前の作業工程が実施されたか否かを判断することができる。
【0039】
このとき、前記指示ランプ33,43を点灯した部品箱25,26の部品31が取り出されたか否かを判断し(K9)、指定した部品31以外の部品31が取り出された際には、「部品間違い」を前記ディスプレイ装置22に表示し警告音をスピーカ62から出力して(K10)、前記ステップK8に戻る。一方、前記ステップK9において、指定した部品31が取り出された場合には、次の作業工程における作業手順情報を前記ディスプレイ装置22に表示して(K11)、前記各ステップK12〜K14を実行する。
【0040】
このように、前記取出センサ36,46で指定した部品31が取り出されたことを検出することで、前の作業工程が実施されたと判断することができ、前記ディスプレイ装置22での表示が、次の作業工程の作業手順に変更される。
【0041】
そして、前記ステップK14の判断において、一連の作業工程が終了し製品が完成したと判断した場合には、作業継続の有無が入力されるまで待機するので(K15)、作業者は、組立作業を継続するか否かをキーボード23やマウス24を利用して入力する(S6)。この入力を受けたパソコン21においては、組立作業を終了する旨の入力がなされた場合には(K16)、当該作業者による処理を終了する一方、組立作業を継続する旨の入力がなされた場合には、前記ステップK8へ分岐して、次の製品の組立を第1作業工程から開始する。
【0042】
このように、作業者は、指示ランプ33,43が点灯した部品箱25,26から部品31を取り出すとともに、ディスプレイ装置22に表示された作業手順に従って作業を行うだけで、一連の組立作業を行って製品を組み立てることができる。
【0043】
したがって、全作業工程を把握するとともに各部品の配置や取り付け方法等を記憶した熟練者でなくとも、作業工程毎に作業手順書を取り出すこと無く、組立作業を行うことができる。また、作業者の注意力や記憶力に頼った組立作業と比較して、作業者の不注意によるミスを防止することができる。
【0044】
さらに、作業指示書を電子文書として作成することができるため、紙媒体を使用する場合と比較して、作業台の一部を占有することも無く、繰り返し使用による劣化等も生じない。また、作業指示書の作成や改変にも柔軟に対応ができ、音声や動画など紙媒体では対応できない内容をも組み合わせることができる。
【0045】
そして、各作業工程が実施されたことを検出することができるため、各作業工程で要した作業時間を自動的に記録して集計することで、各作業者毎や各作業工程毎の作業時間の把握が可能となるとともに、作業時間等の作業状況の分析も可能となる。加えて、作業指示や作業時の品質記録も可能となる。
【0046】
そして、前記パソコン21を使用して作業手順をプログラムできるため、作業対象製品を変更する場合もプログラムの変更で対応することができる。また、作業工程の変更にもプログラムの一部変更で対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施の形態を示す概観図である。
【図2】同実施の形態の部品箱を示す詳細図である。
【図3】同実施の形態を示すブロック図である。
【図4】同実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図5】図4に続く動作を示すフローチャートである。
【図6】図5に続く動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0048】
1 組立作業装置
11 作業台
12 部品棚
21 パソコン
22 ディスプレイ装置
23 キーボード
24 マウス
25 部品箱
26 部品箱
31 部品
33 指示ランプ
36 取出センサ
43 指示ランプ
46 取出センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産工場等において電子機器等の組立作業を管理する組立作業装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生産工場等における電子機器等の組立作業において、一人の作業者が1台の生産用の作業台を用いて全ての組立作業工程を受け持つ作業方式が知られている。この作業方式において、各作業者は、それぞれの組立工程の進捗に対応した作業手順書を参照しながら、必要部品を部品保管場所から取り出して所定の組立作業を行なっている。
【0003】
また、この組立作業方式では、複数の作業者がそれぞれに各人用の作業台を用いて、互いに同一あるいは異なる電子機器等の組立作業を行なっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した組立作業方式にあっては、以下のような問題があった。
【0005】
(1)作業者各人は全作業工程の把握に習熟を必要とし、工程毎に作業手順書を取り出したり、あるいは作業対象となる各部品の配置等を覚えなければならない。
【0006】
(2)作業者の注意力や記憶力に頼る部分が多いため、作業者の不注意によるミスが発生する可能性がある。また、作業の指示内容を作業手順書の文面で表現することには限界がある。
【0007】
(3)作業指示や作業時の品質記録、あるいは作業手順書等に大量の紙媒体を必要とする。
【0008】
(4)各作業者毎や各作業工程毎の作業時間の把握が困難である。
【0009】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、作業者の習熟度や注意力に依存せず、文字や図以外の手段でも作業手順を示すことが可能であり、作業状況の分析も可能な組立作業装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために本発明の請求項1の組立作業装置にあっては、生産工場等にて単一の作業者が当該作業者に割り当てられた生産用の作業台を用いて一連の組立作業を受け持つ作業方式において、各作業工程毎に作業手順をディスプレイ装置に表示する作業手順表示手段と、各作業工程が実施されたことを検出する作業実施検出手段と、該作業実施検出手段にて作業工程が実施されたことを検出した際に、前記ディスプレイ装置での表示を、次の作業工程の作業手順に変更する次工程表示手段と、を備えている。
【0011】
すなわち、作業者が組立作業を開始すると作業順序に従って使用する部品や取り付け箇所や取り付け方法などの作業手順がディスプレイ装置に表示される。そして、各作業工程が実施されたことが検出され、この際には、前記ディスプレイ装置での表示が、次の作業工程の作業手順に変更される。
【0012】
このため、作業者は、全作業工程や部品の配置等を記憶する必要は無い。このとき、前記ディスプレイ装置に表示される作業指示内容は、文字やモノクロ画像ばかりでなく、カラー画像や動画や音声なども必要に応じて利用することができる。
【0013】
また、作業指示書を電子文書として作成することができるため、紙媒体を使用する場合と比較して、作業台の一部を占有することも無く、繰り返し使用による劣化等も生じない。さらに、作業指示書の作成や改変にも柔軟に対応ができ、音声や動画など紙媒体では対応できない内容をも組み合わせることができる。
【0014】
そして、各作業工程が実施されたことを検出することができるため、各作業工程で要した作業時間を自動的に記録して集計することもできる。
【0015】
また、請求項2の組立作業装置においては、一連の組立作業で使用する各部品が種別毎に収容された複数の部品箱を設け、各部品箱に、指示ランプと、当該部品箱内の部品が取り出されたことを検出するセンサとを設けるとともに、次の作業工程で用いる部品が収容された部品箱の前記指示ランプを点灯する指示ランプ点灯手段を備える一方、前記作業実施検出手段は、前記指示ランプを点灯させて指示した部品箱の部品が取り出されたことを当該部品箱に設けられた前記センサで検出した際に、前の作業工程が実施されたと判断する。
【0016】
すなわち、一連の組立作業において、部品保管棚等に設けられた部品箱では、次に使用する部品であることを示す表示ランプが点灯する。そして、この部品箱から部品が取り出されたことがセンサによって検出される。これにより、部品の取り間違えが防止されるとともに、例えば指定外の部品箱の部品が取り出された際には、取り間違えをディスプレイ装置に表示して、次の作業指示を表示しないことにより、作業ミスを未然に防止することができる。
【0017】
そして、部品箱から部品が取り出されたことを検出するセンサが設けられているため、センサの感知時間を記録することで作業者が個々の部品を取り付けるのに要した作業時間を自動的に記録して集計することもできる。また、ディスプレイ装置の画面表示に従って作業時の情報を品質記録として登録することもできる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明の請求項1の組立作業装置にあっては、作業者は組立作業の順序を習熟していなくても、作業台等に設置されたディスプレイ装置の画面表示の案内に従って作業を行うだけで、一連の組立作業を行うことができる。
【0019】
したがって、作業者の習熟度や注意力に依存せず、文字や図以外の手段でも作業手順を示すことが可能となり、作業時間等の作業状況の分析も可能な組立作業装置となり得る。
【0020】
また、請求項2の組立作業装置においては、一連の組立作業において、指示ランプの点灯した部品箱から取り出した部品を取り付けるだけで、部品の取付ミスを確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施の形態を図面に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかる組立作業装置1を示す概観図であり、該組立作業装置1は、生産工場等にて単一の作業者が一連の組立作業を受け持つ作業方式で使用されている。
【0022】
この組立作業装置1は、単一の作業者に割り当てられた生産用の作業台11及び部品棚12を備えて構成されており、この作業台11及び部品棚12を用いて一連の組立作業を行うように構成されている。なお、前記部品棚12は、必要に応じてさらに台数を追加しても良く、あるいは必要がなければ用いなくても良い。
【0023】
前記作業台11には、作業指示の処理を制御するパソコン21と、作業指示内容を表示する液晶パネルからなるディスプレイ装置22と、前記パソコン21にデータを入力するキーボード23及びマウス24とが設けられており、その左側部には、複数の部品箱25,・・・が設けられている。また、この作業台11の側部に配置された前記部品棚12にも複数の部品箱26,・・・が設けられている。
【0024】
各部品箱25,26,・・・には、部品箱25の詳細を示す図2にも示すように、一連の組立作業に使用する各部品31,・・・が種別毎に収容されており、各部品31を組み立てることによって製品が組み立てられるように構成されている。各部品箱25,26,・・・の右側壁32には、作業工程で使用する部品31であることを示すLEDからなる指示ランプ33,43(図3参照)が設けられており、該指示ランプ33,43は、前記パソコン21に接続されている。また、各部品箱25,26,・・・の左側壁35の外面には、当該部品箱25,26内に手が挿入されたことを検出する例えば超音波式や静電容量式の取出センサ36,46(図3参照)が設けられており、該取出センサ36,46も前記パソコン21に接続されている。これにより、部品31取り出し時に挿入された手を前記取出センサ36,46で検出することによって、当該部品箱25,26内の部品31が取り出されたことを前記パソコン21にて検出できるように構成されている。
【0025】
図3は、前記組立作業装置1を示すブロック図であり、該組立作業装置1は、前記パソコン21を中心に構成されている。
【0026】
このパソコン21は、接続ケーブル51を介して第1の入出力インターフェース52に接続されており、該第1の入出力インターフェース52には、接続線53を介して当該作業台11の各部品箱25,・・・に設けられた指示ランプ33及び取出センサ36が接続されている。また、前記第1のインターフェイス52には、接続ケーブル54を介して、前記部品棚12に設けられた第2の入出力インターフェース55に接続されており、該第2の入出力インターフェース55には、前記各部品箱26,・・・に設けられた指示ランプ43及び取出センサ46が接続されている。そして、前記第2の入出力インターフェース55には、接続ケーブル56を介して、他の部品棚に接続できるように構成されている。
【0027】
これにより、前記パソコン21は、いずれかの部品箱25,26の指示ランプ33,43を点灯して使用する部品を示すとともに、前記取出センサ36,46からの入力によって当該部品箱25,26内の部品31が取り出されたか否かを判断できるように構成されている。
【0028】
また、前記パソコン21には、前記キーボード23と前記マウス24が接続されるとともに、記録媒体へのデータの読み書きを行う記憶装置61が接続されている。これにより、前記ディスプレイ装置22に表示する作業手順の画像データ等の入力や、各作業工程での作業時間のデータを、記録媒体に読み書きできるように構成されている。さらに、前記パソコン21には、前記ディスプレイ装置22とスピーカ62とが接続されており、作業手順を前記ディスプレイ装置22に表示したり、エラー時の警告音をスピーカ62から出力できるように構成されている。
【0029】
以上の構成にかかる本実施の形態の動作を、図4に示したフローチャートに従って説明する。
【0030】
すなわち、一連の組立作業を開始する際には、組立作業装置1のパソコン21は、作業者の認証情報が入力されるまで待機しているので(K1)、作業者は、当該作業者に予め付与された認証情報をキーボード23やマウス24を利用してパソコン21に入力して作業者登録を行う(S1)。
【0031】
この認証情報が入力されたパソコン21では、入力された認証情報が予め登録されているかを検索して指定された作業者であり認証可能であるか否かを判断し(K2)、認証情報が登録されておらず認証することが出来ない場合には、「認証不可」をディスプレイ装置22に表示して前記ステップK1へ分岐する。一方、前記認証情報が登録されており、指定された作業者であることを識別できた場合には、作業選択情報が入力されるまで待機する(K4)。
【0032】
この待機状態において、前記作業者は、組み立てる製品をキーボード23やマウス24を利用して選択して作業情報を入力すると(S2)、前記パソコン21は、その選択情報が選択可能か否かを判断する(K5)。前記選択情報が選択できない場合には、「選択不可」を前記ディスプレイ装置22に表示して(K6)、前記ステップK4へ分岐する一方、前記選択情報を選択できる場合には、選択された組立作業における作業手順の設定を行う(K7)。
【0033】
そして、前記パソコン21は、ディスプレイ装置22の画面に作業指示内容を表示するとともに、作業工程(始めは第1作業工程)で使用する部品31が収容された部品箱25,26の指示ランプ33,43を点灯するので(K8)、作業者は、指示ランプ33,43が点灯した部品箱25,26から部品31を取り出す(S3)。すると、前記パソコン21では、各取出センサ36,46,・・・からの入力の有無を検出し、前記指示ランプ33,43を点灯した部品箱25,26の部品31が取り出されたか否か、つまり取り出し指示を行った部品31が取り出されたか否かを判断する(K9)。
【0034】
このとき、前記指示ランプ33,43を点灯した部品箱25,26の部品31以外の部品31、すなわち取り出し指示を行った部品31以外の部品31が取り出された際には、「部品間違い」を前記ディスプレイ装置22に表示するとともに警告音をスピーカ62から出力して(K10)、前記ステップK8に戻る。これにより、前記ディスプレイ装置22での画面表示は、次の作業工程の指示内容に進まず、部品31の取付ミスを確実に防止することができる。
【0035】
一方、前記ステップK9において、前記指示ランプ33,43を点灯した部品箱25,26の部品31、すなわち取り出し指示を行った部品31が取り出されたと判断した際には、作業手順情報を前記ディスプレイ装置22に表示する(K11)。この作業手順情報としては、部品31の取り付け箇所や取り付け方法などが挙げられ、文字情報やモノクロ画像ばかりでなく、カラー画像や動画や音声なども必要に応じて出力する。これにより、作業者は、前記ディスプレイ装置5の画面表示に従って所定の作業を行なう。
【0036】
この作業工程において、作業者は、キーボード23やマウス24を利用することによって、詳細手順の表示や品質的な記録事項の登録、さらには作業の中断や再開などの都度情報を入力することができ(S4)、前記パソコン21では、この都度情報を受け付けるとともに、詳細手順を表示したり、品質情報を記録したり、作業の中断や再開を行う等して都度情報の受付処理を行う(K12)。
【0037】
そして、前記部品31の取り付けが完了した際には、作業ステップが終了した旨を前記キーボード23やマウス24を利用して入力すると(S5)、前記パソコン21では、指定した正規の部品31が取り出されてから現時点まで(K11からK13)の作業時間を記録媒体に記録して統計処理を行った後(K13)、一連の作業工程が終了し製品一台分の全行程が終了したか否かを判断する(K14)。他の作業工程が残っている場合には、前記ステップK8へ分岐して次の作業工程を開始する。
【0038】
具体的に説明すると、前記パソコン21は、次の作業工程で使用する部品31が収容された部品箱25,26の指示ランプ33,43を点灯するので(K8)、作業者は、指示ランプ33,43が点灯した部品箱25,26から部品31を取り出す(S3)。このとき、前記パソコン21は、各取出センサ36,46,・・・からの入力の有無を検出することで、前の作業工程が実施されたか否かを判断することができる。
【0039】
このとき、前記指示ランプ33,43を点灯した部品箱25,26の部品31が取り出されたか否かを判断し(K9)、指定した部品31以外の部品31が取り出された際には、「部品間違い」を前記ディスプレイ装置22に表示し警告音をスピーカ62から出力して(K10)、前記ステップK8に戻る。一方、前記ステップK9において、指定した部品31が取り出された場合には、次の作業工程における作業手順情報を前記ディスプレイ装置22に表示して(K11)、前記各ステップK12〜K14を実行する。
【0040】
このように、前記取出センサ36,46で指定した部品31が取り出されたことを検出することで、前の作業工程が実施されたと判断することができ、前記ディスプレイ装置22での表示が、次の作業工程の作業手順に変更される。
【0041】
そして、前記ステップK14の判断において、一連の作業工程が終了し製品が完成したと判断した場合には、作業継続の有無が入力されるまで待機するので(K15)、作業者は、組立作業を継続するか否かをキーボード23やマウス24を利用して入力する(S6)。この入力を受けたパソコン21においては、組立作業を終了する旨の入力がなされた場合には(K16)、当該作業者による処理を終了する一方、組立作業を継続する旨の入力がなされた場合には、前記ステップK8へ分岐して、次の製品の組立を第1作業工程から開始する。
【0042】
このように、作業者は、指示ランプ33,43が点灯した部品箱25,26から部品31を取り出すとともに、ディスプレイ装置22に表示された作業手順に従って作業を行うだけで、一連の組立作業を行って製品を組み立てることができる。
【0043】
したがって、全作業工程を把握するとともに各部品の配置や取り付け方法等を記憶した熟練者でなくとも、作業工程毎に作業手順書を取り出すこと無く、組立作業を行うことができる。また、作業者の注意力や記憶力に頼った組立作業と比較して、作業者の不注意によるミスを防止することができる。
【0044】
さらに、作業指示書を電子文書として作成することができるため、紙媒体を使用する場合と比較して、作業台の一部を占有することも無く、繰り返し使用による劣化等も生じない。また、作業指示書の作成や改変にも柔軟に対応ができ、音声や動画など紙媒体では対応できない内容をも組み合わせることができる。
【0045】
そして、各作業工程が実施されたことを検出することができるため、各作業工程で要した作業時間を自動的に記録して集計することで、各作業者毎や各作業工程毎の作業時間の把握が可能となるとともに、作業時間等の作業状況の分析も可能となる。加えて、作業指示や作業時の品質記録も可能となる。
【0046】
そして、前記パソコン21を使用して作業手順をプログラムできるため、作業対象製品を変更する場合もプログラムの変更で対応することができる。また、作業工程の変更にもプログラムの一部変更で対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施の形態を示す概観図である。
【図2】同実施の形態の部品箱を示す詳細図である。
【図3】同実施の形態を示すブロック図である。
【図4】同実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図5】図4に続く動作を示すフローチャートである。
【図6】図5に続く動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0048】
1 組立作業装置
11 作業台
12 部品棚
21 パソコン
22 ディスプレイ装置
23 キーボード
24 マウス
25 部品箱
26 部品箱
31 部品
33 指示ランプ
36 取出センサ
43 指示ランプ
46 取出センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産工場等にて単一の作業者が当該作業者に割り当てられた生産用の作業台を用いて一連の組立作業を受け持つ作業方式において、
各作業工程毎に作業手順をディスプレイ装置に表示する作業手順表示手段と、
各作業工程が実施されたことを検出する作業実施検出手段と、
該作業実施検出手段にて作業工程が実施されたことを検出した際に、前記ディスプレイ装置での表示を、次の作業工程の作業手順に変更する次工程表示手段と、
を備えたことを特徴とする組立作業装置。
【請求項2】
一連の組立作業で使用する各部品が種別毎に収容された複数の部品箱を設け、各部品箱に、指示ランプと、当該部品箱内の部品が取り出されたことを検出するセンサとを設けるとともに、
次の作業工程で用いる部品が収容された部品箱の前記指示ランプを点灯する指示ランプ点灯手段を備える一方、
前記作業実施検出手段は、前記指示ランプを点灯させて指示した部品箱の部品が取り出されたことを当該部品箱に設けられた前記センサで検出した際に、前の作業工程が実施されたと判断することを特徴とした請求項1に記載の組立作業装置。
【請求項1】
生産工場等にて単一の作業者が当該作業者に割り当てられた生産用の作業台を用いて一連の組立作業を受け持つ作業方式において、
各作業工程毎に作業手順をディスプレイ装置に表示する作業手順表示手段と、
各作業工程が実施されたことを検出する作業実施検出手段と、
該作業実施検出手段にて作業工程が実施されたことを検出した際に、前記ディスプレイ装置での表示を、次の作業工程の作業手順に変更する次工程表示手段と、
を備えたことを特徴とする組立作業装置。
【請求項2】
一連の組立作業で使用する各部品が種別毎に収容された複数の部品箱を設け、各部品箱に、指示ランプと、当該部品箱内の部品が取り出されたことを検出するセンサとを設けるとともに、
次の作業工程で用いる部品が収容された部品箱の前記指示ランプを点灯する指示ランプ点灯手段を備える一方、
前記作業実施検出手段は、前記指示ランプを点灯させて指示した部品箱の部品が取り出されたことを当該部品箱に設けられた前記センサで検出した際に、前の作業工程が実施されたと判断することを特徴とした請求項1に記載の組立作業装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2006−167829(P2006−167829A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−360906(P2004−360906)
【出願日】平成16年12月14日(2004.12.14)
【出願人】(000210964)中央電子株式会社 (81)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月14日(2004.12.14)
【出願人】(000210964)中央電子株式会社 (81)
【Fターム(参考)】
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