組立式の高温体簡便安全移動保持具
【課題】シリコーンゴムを素材として商品化され市場に出ているが、次のような点で課題がある。(1)直接立体形状を成形するため金型が複雑で製作コストが高く、生産性も悪い、(2)高温容器の持ち手が太い場合や摘み部分が大きい場合にそれらを保持し難い、(3)滑り止めや断熱敷き具などの目的には使い難い、(4)中空立体の一体構造のため、広い面積の印刷が難しい、(5)3回回転対称性を保つための歪み防止に生産管理上の特別の注意が必要、(6)生産、流通、販売のそれぞれの段階において嵩高く流通コスト高になる、など。
【解決手段】単純で平面的な同一形状の単体または複数個を立体形状に組み立てて目的形状を得る方式にすることにより、従来品と同等の機能(用途)を実現できる。のみならず、組立接合部分を可逆的接合構造にすることにより、機能(用途)や商品デザインの幅を拡げることができる。
【解決手段】単純で平面的な同一形状の単体または複数個を立体形状に組み立てて目的形状を得る方式にすることにより、従来品と同等の機能(用途)を実現できる。のみならず、組立接合部分を可逆的接合構造にすることにより、機能(用途)や商品デザインの幅を拡げることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理の際の高温容器や調理具などの高温物体を、手指に火傷をせぬ様に速やかに安全に移動させることを可能とする取り扱いが簡便な道具の中、組み立て式のものに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、特許第3513145号で開示され商品化されているシリコーンゴムを用いた「なべつかみ」に類する発明品に関係している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3513145号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許第3513145号で開示されている「なべつかみ」に類する発明品の出願図面の中、図10の形は既にシリコーンゴムを素材として商品化され市場に出ているが、次のような点で課題がある。
(1)直接立体形状を成形するため金型が複雑で製作コストが高く、生産性も悪い、
(2)高温容器の持ち手が太い場合や摘み部分が大きい場合にそれらを保持し難い、
(3)滑り止めや断熱敷き具などの目的には使い難い、
(4)中空立体の一体構造のため、広い面積の印刷が難しい、
(5)3回回転対称性を保つために歪み防止の生産管理上の注意が必要、
(6)生産、流通、販売のそれぞれの段階において嵩高く流通コスト高になる、など。
【課題を解決するための手段】
【0005】
単純で平面的な同一形状の単体または複数個を立体形状に組み立てて目的形状を実現する方式にすることにより、上記課題を解決できる。使用時に組み立てて従来品と同等の形状にすることにより、従来品と同等の機能(用途)を実現できる。のみならず、組立接合部分を繰り返して簡単に外したり留めたりすることができる可逆的接合構造にすることにより、一部を外したり組み合わせ方を変えることができるため、機能(用途)や商品デザインの幅を拡げることができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明により次のような効果を期待できる。
(1)金型コストを低く抑えることができる。
(2)生産性を向上させコストを下げることができる。
(3)組み立てる前の形で流通させることにより流通コストを下げることができる。
(4)機能(用途)を拡げることができる。
(5)印刷をし易くなり、また色の異なる単体の組み合わせができ、商品デザインの幅が 拡がる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】一対の開口穴部と差し込み舌状部をその一部に有する1枚の耐熱性弾性板材を立体形状に形成したもの。
【図2】その一部に複数の穴と複数の凸部が形成されていて、穴部と凸部は互いに嵌め合せることができる1枚の耐熱性弾性樹脂板材。
【図3】図2の一部の穴部と凸部を接合させてできた立体形状の一例。
【図4】図2の2枚を上下に嵌め合せて一枚の厚い板にした形。
【図5】穴部と凸部の形状の一例(模式断面図)、上側が凸部、下側が穴部。
【図6】図5の穴部最小内径が凸部最小外形より小さい場合には、嵌め合せ接合部分に重なりのできることを示す模式図。
【図7】図6の重なり余剰部分が、実際には凸部端面の膨らみとなってより堅い接合状態を得られることを示す模式図。
【図8】図2の2枚を円筒状に組み合わせた形。
【図9】図2の3枚を3回回転対称形状に組み合わせた形。
【図10】図2の3枚を平面的に組み合わせた形のひとつ。
【図11】図2の3枚を平面的に組み合わせた別の形のひとつ。
【図12】図9の2個を用いて熱いお椀状の容器を持った使用例(左)、及び図2の2枚を用いて熱いお椀状の容器を持った使用例(右)。
【図13】図9の2個を用いて熱いお皿状の容器を持った使用例(左)、及び図2の2枚を熱いお皿状の容器を持った使用例(右)。
【図14】図9の2個を用いて熱いコップ状の容器を持った使用例(上左)、及び図2の2枚を用いて熱いコップ状の容器を持った使用例(上右)、及び図2の1枚を用いて熱いコップ状の容器の柄部分を持った使用例(下)。
【図15】図9に「おたま」を載置した使用例。
【図16】図9に「しゃもじ」を載置した使用例。
【図17】図9に「鍋の蓋」を載置した使用例。
【図18】図9に「眼鏡」を載置した使用例。
【図19】図9に「携帯電話」を載置した使用例。
【実施例1】
【0008】
図1は本発明の最も単純な形である。短冊状の耐熱性のある弾性樹脂板の両端に互いに差し留めすることのできる構造を有する。この形で片手鍋の柄ややかんの持ち手が熱い時の断熱保持具として使える。この立体形状は特許3513145号の中の図3に類似しており、2個1組にしてお椀やコップなどが熱い場合の保持具としても使える。板の厚さは自由に選べるが、実用的には1.5〜3.0(mm)程度がよい。弾性樹脂材料としては、例えばシリコーンゴムが耐熱性、耐滑り性、衛生面、価格面で現実的である。ゴム硬度も50前後が実際的である。これ以降の使用例の説明においても、弾性樹脂素材の種類や厚さ、硬度に関して同じことが言える。図1の立体形状の接合部を外して平面状にすれば、鍋敷きとしても、大根おろし具の下に敷いて滑り止め板としても、またペットボトルや瓶詰製品の蓋のオープナーとしても使える。
【0009】
図2は略正方形の板の相対する2カ所に穴部群と凸部群を有する耐熱性のある弾性樹脂板の1枚である。角部にある2カ所の穴は、フックに掛けて保管する便利のための穴である。この1枚を丸めてフック用穴に凸部のひとつを嵌めると図3の形を実現できる。この形は漏斗形状であり、液体を異なる容器に移送する際の道具として使える。各々の穴を貫通穴とせず凹み穴(袋穴)とすることも可能である。一定のレベルの接合強度を得るためには貫通穴の方が実際的である。個々の貫通穴または凸部の大きさや形状またそれらの数は用途に合わせて適当に選べるが、例えば一辺が85(mm)で厚さが2(mm)ゴム硬度が50のシリコーンゴム製の板の場合、ひとつの穴/凸の大きさはφ3〜5(mm)程度が実際的である。
【0010】
図4は図2枚の弾性樹脂板の穴部群と凸部群を嵌め合せて重ねた形態である。この状態では両面ともほぼ平滑面になり、鍋敷きとしてもコースターとしても使える。異なる色の板を組み合わせた場合、デザイン面の面白さも期待できる。
【0011】
図5は凸部と穴部の断面形状の一例の模式図である。この図では凸部の最小外径と穴部の最小内径が同じであり、凸部を穴部に押し込んで嵌め合せると凸部の頂頭部が穴部の形状に丁度一致して納まる。しかし、嵌め合せ接合の強度を増すには穴部の最小内径が凸部の最小外径よりも小さいのが良い。この場合の凸部と穴部の断面をそのまま重ね合わせると、図6に示す如く重なり部分が生じる。実際には、樹脂弾性体の場合この重なりに相当する余剰部分だけ嵌め合せが堅くなり、断面の状態は図7の如くに凸部の頭部分が押されてやや外に張り出すことになる。逆に穴部はやや拡げられる。凸部と穴部の断面寸法形状の取り方により凸部頭部の張り出し方は変わるが、張り出した部分の高さが0.4(mm)程度以下になるように設計すれば、図2に示すような耐熱性弾性樹脂板の複数枚で穴部と凸部の嵌め合せを実現した場合、嵌め合せ部分の平坦度は実用上特に支障なくしかも適度な嵌め合せ強度も実現できる。図5から図7に示すように穴部断面形状が板厚の中央線上下で対称な場合、凸部を穴部に嵌め込む際に穴部の上下どちらの面からでも同等に行うことができる。
【0012】
図8は図2の耐熱性の高い弾性樹脂板の2枚を組み合せて円筒形状にした状態を示す。熱くなった片手鍋の柄ややかんの持ち手を掴むときに便利な形態である。留め外しは簡単に行える。
【0013】
図9は図2の耐熱性の高い弾性樹脂板の3枚を組み合わせて中央に空洞部を有する3回回転対称の立体を形成した状態を示す。同形状同質の3枚の弾性樹脂板の同等の組み合わせなので3回回転対称の立体となる。この形態は特許3513145号の中の図10に相当する。当該発明になる図9では、これが3枚の同じ形状の耐熱性弾性樹脂板の組み合わせで実現されていることが特徴である。3枚の板は簡単に留め外しができて、図10や図11のような平面的な組み合わせ形状にも転換でき、その場合例えば鍋敷きとしての利用が考えられる。1枚の単位で、或いは2枚または3枚を組み合わせて、例えば壜やボトルの蓋のオープナー(滑り止め板)としても使える。図9が図2を単位とした弾性樹脂板から形成されることは、特許3513145号の発明品では実現できなかった用途面の拡がりを意味する他、生産流通面やデザイン面で有利な点がでてくることをも意味する。即ち、図2のような平面形状の成形では金型も単純になり生産性が増す。金型に掛かるコストも生産コストも下げることができる。生産工場内の搬送や製品の流通においても図2の平面形状の単位で行えるため、扱いやすく流通コストを下げることができる。また印刷加工がより行い易くなり、また3枚の板の色を違えることもできるのでデザイン面の幅も拡げることができる。このように、特許3513145号の中の図10と同等の形状を3枚の同一形状の耐熱性弾性樹脂板を組み合わせ形成して実現できることを特徴とする本発明は、用途、コスト、デザインの全ての面で新たな価値を与えてくれる。
【0014】
図9の形態の二つを両手で用いると、特許3513145号になる発明の機能をそのまま実現できる。このときの熱いお椀状の容器の保持使用例を示すのが図12の左図、熱いお皿状の容器の保持使用例を示すのが図13の左図、熱いコップ状の容器の保持使用例を示すのが図14の上左図。これらは、それぞれ特許3513145号中の図11、図13、図12の使用例に相当する。本発明では図9を組み外して3枚の単位に戻した形の図2の状態でも上記のそれぞれの熱い容器を保持することを可能としている。図12の右図は図2の2枚を用いた熱いお椀状の容器を保持使用例、図13の右図は図2の2枚を用いた熱いお皿状の容器の保持使用例、図14の上右図は図2の2枚を用いた熱いコップ状の容器の保持使用例、図14の下図は図2の1枚を用いた熱いコップ状の容器の柄の保持使用例である。また、組み立てた形態のままでも、組み外した其々の単体ででもペットボトル飲料や瓶詰の蓋のオープナーとして使用できる。或いは、机上に置いて中央空洞部を利用して鉛筆やボールペン立てにもなるし、羽根部分の2枚合わせ部分にメモ用紙を挟めばメモホルダーにもなる。このように、複数の単位弾性樹脂板を組み立てた状態でも組み外した状態でも、使用目的や状況に合わせて様々に使用できるのが本発明品の特徴である。
【0015】
図15、図16、図17は、図9の本発明形態が台所で使用される場合、おたまやしゃもじ、鍋の蓋などを置く用途にも便利に使えることを示している。素材が例えばシリコーンゴムのような樹脂弾性体なので、ソフトにそして滑り難くこれらのキッチン用具を載置できる。図9の形態は、その立体形状により3枚の羽根となる2枚合わせ部分に適度な強度が得られるので、流し周りや洗面台周りの水切り、或いは車や家のガラス窓洗浄時の水切りとしても使い易い。図9の形態を洗面台周りに置く場合には、その中空部分に歯ブラシを立てることもできる。図9の形態はまたパソコンやテレビの液晶画面に静電的に付着した埃を画面に傷つけることなく柔らかく掻き取る道具としても使える。非導電材としてのシリコーンゴムは静電的に液晶画面に付着した埃を吸着し易い。勿論、事務机や家具表面などに付着した埃取りとしても使える。付着した汚れは簡単に水で洗浄できる。
【0016】
図18、図19は、図9の発明形態が更に他の物の載置にも使える例を示している。眼鏡や携帯電話をソフトに滑り落ち難く置くことができる。
【符号の説明】
【0017】
1 耐熱性の高い弾性樹脂板状素材を使った本発明の単体の例
2 差し込みの開口部分
3 2の部分に差し込み留めるための舌状突起部分
4 嵌め合せ接合構造の一方、凹み穴または貫通穴部
5 嵌め合せ接合構造の一方、凸部
6 嵌め合せ接合された部分
7 図9に示す組立てられた本発明のひとつ
8 熱いお椀または丼状食器
9 熱いお皿
10 熱いコップ
11 おたま
12 しゃもじ
13 なべ蓋
14 眼鏡
15 携帯電話
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理の際の高温容器や調理具などの高温物体を、手指に火傷をせぬ様に速やかに安全に移動させることを可能とする取り扱いが簡便な道具の中、組み立て式のものに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、特許第3513145号で開示され商品化されているシリコーンゴムを用いた「なべつかみ」に類する発明品に関係している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3513145号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許第3513145号で開示されている「なべつかみ」に類する発明品の出願図面の中、図10の形は既にシリコーンゴムを素材として商品化され市場に出ているが、次のような点で課題がある。
(1)直接立体形状を成形するため金型が複雑で製作コストが高く、生産性も悪い、
(2)高温容器の持ち手が太い場合や摘み部分が大きい場合にそれらを保持し難い、
(3)滑り止めや断熱敷き具などの目的には使い難い、
(4)中空立体の一体構造のため、広い面積の印刷が難しい、
(5)3回回転対称性を保つために歪み防止の生産管理上の注意が必要、
(6)生産、流通、販売のそれぞれの段階において嵩高く流通コスト高になる、など。
【課題を解決するための手段】
【0005】
単純で平面的な同一形状の単体または複数個を立体形状に組み立てて目的形状を実現する方式にすることにより、上記課題を解決できる。使用時に組み立てて従来品と同等の形状にすることにより、従来品と同等の機能(用途)を実現できる。のみならず、組立接合部分を繰り返して簡単に外したり留めたりすることができる可逆的接合構造にすることにより、一部を外したり組み合わせ方を変えることができるため、機能(用途)や商品デザインの幅を拡げることができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明により次のような効果を期待できる。
(1)金型コストを低く抑えることができる。
(2)生産性を向上させコストを下げることができる。
(3)組み立てる前の形で流通させることにより流通コストを下げることができる。
(4)機能(用途)を拡げることができる。
(5)印刷をし易くなり、また色の異なる単体の組み合わせができ、商品デザインの幅が 拡がる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】一対の開口穴部と差し込み舌状部をその一部に有する1枚の耐熱性弾性板材を立体形状に形成したもの。
【図2】その一部に複数の穴と複数の凸部が形成されていて、穴部と凸部は互いに嵌め合せることができる1枚の耐熱性弾性樹脂板材。
【図3】図2の一部の穴部と凸部を接合させてできた立体形状の一例。
【図4】図2の2枚を上下に嵌め合せて一枚の厚い板にした形。
【図5】穴部と凸部の形状の一例(模式断面図)、上側が凸部、下側が穴部。
【図6】図5の穴部最小内径が凸部最小外形より小さい場合には、嵌め合せ接合部分に重なりのできることを示す模式図。
【図7】図6の重なり余剰部分が、実際には凸部端面の膨らみとなってより堅い接合状態を得られることを示す模式図。
【図8】図2の2枚を円筒状に組み合わせた形。
【図9】図2の3枚を3回回転対称形状に組み合わせた形。
【図10】図2の3枚を平面的に組み合わせた形のひとつ。
【図11】図2の3枚を平面的に組み合わせた別の形のひとつ。
【図12】図9の2個を用いて熱いお椀状の容器を持った使用例(左)、及び図2の2枚を用いて熱いお椀状の容器を持った使用例(右)。
【図13】図9の2個を用いて熱いお皿状の容器を持った使用例(左)、及び図2の2枚を熱いお皿状の容器を持った使用例(右)。
【図14】図9の2個を用いて熱いコップ状の容器を持った使用例(上左)、及び図2の2枚を用いて熱いコップ状の容器を持った使用例(上右)、及び図2の1枚を用いて熱いコップ状の容器の柄部分を持った使用例(下)。
【図15】図9に「おたま」を載置した使用例。
【図16】図9に「しゃもじ」を載置した使用例。
【図17】図9に「鍋の蓋」を載置した使用例。
【図18】図9に「眼鏡」を載置した使用例。
【図19】図9に「携帯電話」を載置した使用例。
【実施例1】
【0008】
図1は本発明の最も単純な形である。短冊状の耐熱性のある弾性樹脂板の両端に互いに差し留めすることのできる構造を有する。この形で片手鍋の柄ややかんの持ち手が熱い時の断熱保持具として使える。この立体形状は特許3513145号の中の図3に類似しており、2個1組にしてお椀やコップなどが熱い場合の保持具としても使える。板の厚さは自由に選べるが、実用的には1.5〜3.0(mm)程度がよい。弾性樹脂材料としては、例えばシリコーンゴムが耐熱性、耐滑り性、衛生面、価格面で現実的である。ゴム硬度も50前後が実際的である。これ以降の使用例の説明においても、弾性樹脂素材の種類や厚さ、硬度に関して同じことが言える。図1の立体形状の接合部を外して平面状にすれば、鍋敷きとしても、大根おろし具の下に敷いて滑り止め板としても、またペットボトルや瓶詰製品の蓋のオープナーとしても使える。
【0009】
図2は略正方形の板の相対する2カ所に穴部群と凸部群を有する耐熱性のある弾性樹脂板の1枚である。角部にある2カ所の穴は、フックに掛けて保管する便利のための穴である。この1枚を丸めてフック用穴に凸部のひとつを嵌めると図3の形を実現できる。この形は漏斗形状であり、液体を異なる容器に移送する際の道具として使える。各々の穴を貫通穴とせず凹み穴(袋穴)とすることも可能である。一定のレベルの接合強度を得るためには貫通穴の方が実際的である。個々の貫通穴または凸部の大きさや形状またそれらの数は用途に合わせて適当に選べるが、例えば一辺が85(mm)で厚さが2(mm)ゴム硬度が50のシリコーンゴム製の板の場合、ひとつの穴/凸の大きさはφ3〜5(mm)程度が実際的である。
【0010】
図4は図2枚の弾性樹脂板の穴部群と凸部群を嵌め合せて重ねた形態である。この状態では両面ともほぼ平滑面になり、鍋敷きとしてもコースターとしても使える。異なる色の板を組み合わせた場合、デザイン面の面白さも期待できる。
【0011】
図5は凸部と穴部の断面形状の一例の模式図である。この図では凸部の最小外径と穴部の最小内径が同じであり、凸部を穴部に押し込んで嵌め合せると凸部の頂頭部が穴部の形状に丁度一致して納まる。しかし、嵌め合せ接合の強度を増すには穴部の最小内径が凸部の最小外径よりも小さいのが良い。この場合の凸部と穴部の断面をそのまま重ね合わせると、図6に示す如く重なり部分が生じる。実際には、樹脂弾性体の場合この重なりに相当する余剰部分だけ嵌め合せが堅くなり、断面の状態は図7の如くに凸部の頭部分が押されてやや外に張り出すことになる。逆に穴部はやや拡げられる。凸部と穴部の断面寸法形状の取り方により凸部頭部の張り出し方は変わるが、張り出した部分の高さが0.4(mm)程度以下になるように設計すれば、図2に示すような耐熱性弾性樹脂板の複数枚で穴部と凸部の嵌め合せを実現した場合、嵌め合せ部分の平坦度は実用上特に支障なくしかも適度な嵌め合せ強度も実現できる。図5から図7に示すように穴部断面形状が板厚の中央線上下で対称な場合、凸部を穴部に嵌め込む際に穴部の上下どちらの面からでも同等に行うことができる。
【0012】
図8は図2の耐熱性の高い弾性樹脂板の2枚を組み合せて円筒形状にした状態を示す。熱くなった片手鍋の柄ややかんの持ち手を掴むときに便利な形態である。留め外しは簡単に行える。
【0013】
図9は図2の耐熱性の高い弾性樹脂板の3枚を組み合わせて中央に空洞部を有する3回回転対称の立体を形成した状態を示す。同形状同質の3枚の弾性樹脂板の同等の組み合わせなので3回回転対称の立体となる。この形態は特許3513145号の中の図10に相当する。当該発明になる図9では、これが3枚の同じ形状の耐熱性弾性樹脂板の組み合わせで実現されていることが特徴である。3枚の板は簡単に留め外しができて、図10や図11のような平面的な組み合わせ形状にも転換でき、その場合例えば鍋敷きとしての利用が考えられる。1枚の単位で、或いは2枚または3枚を組み合わせて、例えば壜やボトルの蓋のオープナー(滑り止め板)としても使える。図9が図2を単位とした弾性樹脂板から形成されることは、特許3513145号の発明品では実現できなかった用途面の拡がりを意味する他、生産流通面やデザイン面で有利な点がでてくることをも意味する。即ち、図2のような平面形状の成形では金型も単純になり生産性が増す。金型に掛かるコストも生産コストも下げることができる。生産工場内の搬送や製品の流通においても図2の平面形状の単位で行えるため、扱いやすく流通コストを下げることができる。また印刷加工がより行い易くなり、また3枚の板の色を違えることもできるのでデザイン面の幅も拡げることができる。このように、特許3513145号の中の図10と同等の形状を3枚の同一形状の耐熱性弾性樹脂板を組み合わせ形成して実現できることを特徴とする本発明は、用途、コスト、デザインの全ての面で新たな価値を与えてくれる。
【0014】
図9の形態の二つを両手で用いると、特許3513145号になる発明の機能をそのまま実現できる。このときの熱いお椀状の容器の保持使用例を示すのが図12の左図、熱いお皿状の容器の保持使用例を示すのが図13の左図、熱いコップ状の容器の保持使用例を示すのが図14の上左図。これらは、それぞれ特許3513145号中の図11、図13、図12の使用例に相当する。本発明では図9を組み外して3枚の単位に戻した形の図2の状態でも上記のそれぞれの熱い容器を保持することを可能としている。図12の右図は図2の2枚を用いた熱いお椀状の容器を保持使用例、図13の右図は図2の2枚を用いた熱いお皿状の容器の保持使用例、図14の上右図は図2の2枚を用いた熱いコップ状の容器の保持使用例、図14の下図は図2の1枚を用いた熱いコップ状の容器の柄の保持使用例である。また、組み立てた形態のままでも、組み外した其々の単体ででもペットボトル飲料や瓶詰の蓋のオープナーとして使用できる。或いは、机上に置いて中央空洞部を利用して鉛筆やボールペン立てにもなるし、羽根部分の2枚合わせ部分にメモ用紙を挟めばメモホルダーにもなる。このように、複数の単位弾性樹脂板を組み立てた状態でも組み外した状態でも、使用目的や状況に合わせて様々に使用できるのが本発明品の特徴である。
【0015】
図15、図16、図17は、図9の本発明形態が台所で使用される場合、おたまやしゃもじ、鍋の蓋などを置く用途にも便利に使えることを示している。素材が例えばシリコーンゴムのような樹脂弾性体なので、ソフトにそして滑り難くこれらのキッチン用具を載置できる。図9の形態は、その立体形状により3枚の羽根となる2枚合わせ部分に適度な強度が得られるので、流し周りや洗面台周りの水切り、或いは車や家のガラス窓洗浄時の水切りとしても使い易い。図9の形態を洗面台周りに置く場合には、その中空部分に歯ブラシを立てることもできる。図9の形態はまたパソコンやテレビの液晶画面に静電的に付着した埃を画面に傷つけることなく柔らかく掻き取る道具としても使える。非導電材としてのシリコーンゴムは静電的に液晶画面に付着した埃を吸着し易い。勿論、事務机や家具表面などに付着した埃取りとしても使える。付着した汚れは簡単に水で洗浄できる。
【0016】
図18、図19は、図9の発明形態が更に他の物の載置にも使える例を示している。眼鏡や携帯電話をソフトに滑り落ち難く置くことができる。
【符号の説明】
【0017】
1 耐熱性の高い弾性樹脂板状素材を使った本発明の単体の例
2 差し込みの開口部分
3 2の部分に差し込み留めるための舌状突起部分
4 嵌め合せ接合構造の一方、凹み穴または貫通穴部
5 嵌め合せ接合構造の一方、凸部
6 嵌め合せ接合された部分
7 図9に示す組立てられた本発明のひとつ
8 熱いお椀または丼状食器
9 熱いお皿
10 熱いコップ
11 おたま
12 しゃもじ
13 なべ蓋
14 眼鏡
15 携帯電話
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対となって可逆的に繰り返して簡単に嵌め合せ又は留め合わせそして取り外しが可能な接合構造をその中に備える1枚の板状の耐熱性の高い樹脂弾性体であり、その接合構造を用い必要に応じてそれ自体を平面形状から立体形状に、或いは立体形状から平面形状に変換することができることを特徴とする高温物体簡便安全移動保持具・敷き具、または蓋オープナー、または液体移送具。
【請求項2】
対となって可逆的に繰り返して簡単に嵌め合せ又は留め合わせそして取り外しが可能な接合構造をそれぞれその中に備える複数枚の板状の耐熱性の高い樹脂弾性体から成り、その接合構造を用い必要に応じて互いを接合させ組み合せることによりひとつ又は複数の立体的或いは平面的な形状を組み立てることができ、また必要に応じて接合を解いて個々の単位に戻せることを特徴とする高温物体簡便安全移動保持具・敷き具、または蓋オープナー。
【請求項3】
複数枚の板状の耐熱性の高い樹脂弾性体が同一の寸法形状であることを特徴とする請求項2に記載の高温物体簡便安全移動保持具・敷き具、または蓋オープナー、または器具載置具、または水切り具。
【請求項4】
可逆的に繰り返して簡単に嵌め合せ又は留め合わせそして取り外しが可能な接合構造が凹部(群)又は貫通穴部(群)と凸部(群)の嵌め合せ構造であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の高温物体簡便安全移動保持具・敷き具、または蓋オープナー、または器具載置具、または水切り具。
【請求項5】
貫通穴部(群)の最小内径が凸部(群)最小外径よりも小さくて嵌合を適度に堅く保てることを特徴とする請求項4に記載の高温物体簡便安全移動保持具・敷き具、または蓋オープナー、または器具載置具、または水切り具。
【請求項6】
貫通穴部(群)に凸部(群)を差し込む際に貫通穴部(群)のある板のどちらの面から差し込んでも同等に行えて同等の嵌合になることを特徴とする請求項5に記載の高温物体簡便安全移動保持具・敷き具、または蓋オープナー、または器具の載置具、または水切り具。
【請求項7】
1枚の形状が略長方形または正方形である請求項6に記載の耐熱性樹脂弾性体であり、その3枚を立体に組み合わせるとき中央に空洞を有する略3角柱の3回回転対称形状とすることのできる高温物体簡便安全移動保持具・敷き具、または蓋オープナー、または器具載置具、または水切り具。
【請求項1】
対となって可逆的に繰り返して簡単に嵌め合せ又は留め合わせそして取り外しが可能な接合構造をその中に備える1枚の板状の耐熱性の高い樹脂弾性体であり、その接合構造を用い必要に応じてそれ自体を平面形状から立体形状に、或いは立体形状から平面形状に変換することができることを特徴とする高温物体簡便安全移動保持具・敷き具、または蓋オープナー、または液体移送具。
【請求項2】
対となって可逆的に繰り返して簡単に嵌め合せ又は留め合わせそして取り外しが可能な接合構造をそれぞれその中に備える複数枚の板状の耐熱性の高い樹脂弾性体から成り、その接合構造を用い必要に応じて互いを接合させ組み合せることによりひとつ又は複数の立体的或いは平面的な形状を組み立てることができ、また必要に応じて接合を解いて個々の単位に戻せることを特徴とする高温物体簡便安全移動保持具・敷き具、または蓋オープナー。
【請求項3】
複数枚の板状の耐熱性の高い樹脂弾性体が同一の寸法形状であることを特徴とする請求項2に記載の高温物体簡便安全移動保持具・敷き具、または蓋オープナー、または器具載置具、または水切り具。
【請求項4】
可逆的に繰り返して簡単に嵌め合せ又は留め合わせそして取り外しが可能な接合構造が凹部(群)又は貫通穴部(群)と凸部(群)の嵌め合せ構造であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の高温物体簡便安全移動保持具・敷き具、または蓋オープナー、または器具載置具、または水切り具。
【請求項5】
貫通穴部(群)の最小内径が凸部(群)最小外径よりも小さくて嵌合を適度に堅く保てることを特徴とする請求項4に記載の高温物体簡便安全移動保持具・敷き具、または蓋オープナー、または器具載置具、または水切り具。
【請求項6】
貫通穴部(群)に凸部(群)を差し込む際に貫通穴部(群)のある板のどちらの面から差し込んでも同等に行えて同等の嵌合になることを特徴とする請求項5に記載の高温物体簡便安全移動保持具・敷き具、または蓋オープナー、または器具の載置具、または水切り具。
【請求項7】
1枚の形状が略長方形または正方形である請求項6に記載の耐熱性樹脂弾性体であり、その3枚を立体に組み合わせるとき中央に空洞を有する略3角柱の3回回転対称形状とすることのできる高温物体簡便安全移動保持具・敷き具、または蓋オープナー、または器具載置具、または水切り具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−115537(P2011−115537A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−32964(P2010−32964)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(509061287)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(509061287)
【Fターム(参考)】
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