説明

組立式コンテナ

【課題】 パレットを下部に有しない組立式コンテナに適しており、より簡便な構造で側壁パネルの組み立ておよび分解が可能なコンテナを提供すること。
【解決手段】 底板8と、底板8の周囲に形成される周枠10と、底板8の上に収容空間20を形成するように、周枠10に対して着脱自在に組み立てられる複数の第1および第2側壁パネル12、14と、を有する組立式コンテナである。第1側壁パネル12の下端付近面には、係合凸部40が形成してあり、周枠10の上端縁には、底板8の底面に略垂直な鉛直線Zに対して所定の角度θで傾斜する係合溝42が形成してある。係合凸部40が係合溝42内に斜めに移動して係合することにより、第1側壁パネル12が周枠10に取り付けられ、第1側壁パネル12の側端部に連結されるように、周枠10に対して第2側壁パネル14が設置されることにより、第1側壁パネル12の斜め移動が制限され、係合凸部40が係合溝42から抜けることを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分解して折り畳むことが可能で、しかも再組み立てが可能な組立式コンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
組立コンテナとして、パレット上にそれぞれ独立に4枚の側壁パネルを立設して組み立てられるコンテナが知られている。この従来の組立コンテナでは、コンテナの使用後には、パレットから側板を取り外して折り畳めるので、コンテナの保管スペースを小さくすることができる(たとえば特許文献1および特許文献2)。
【0003】
従来のコンテナは、コンテナの下部に、フォークリフトの爪部を差し込むことが可能な差込孔を有するパレットが一体的に組み立てられることが一般的である。ところが、コンテナの下部にパレットを組み付けると、そのパレットの厚み分だけ、コンテナが高くなり、コンテナ船の内部などのように、高さの制限がある場所に、コンテナを段積みして積み込むことができず、積載効率が悪いなどの課題があった。
【0004】
そこで、シート状のシートパレットが開発され、そのシートパレットの上に、製品をシートフィルムおよびストレッチフィルムなどで包装して設置することが行われている。しかしながら、このような方法では、搬送後に、シートフィルムおよびストレッチフィルムが廃棄物となり、省資源の要請に反することになる。
【0005】
そこで、従来の組立式コンテナにおいて、単純にパレットのみを除去することも考えられるが、従来の組立式コンテナにおいては、パレットに対する側壁パネルの着脱機構が複雑な機構であり、より簡便な着脱機構が求められていた。
【特許文献1】特開2001−97373号公報
【特許文献2】特開2002−255165号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、特に、パレットを下部に有しない組立式コンテナに適しており、より簡便な構造で側壁パネルの組み立ておよび分解が可能なコンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る組立式コンテナは、
底板と、
前記底板の周囲に形成される周枠と、
前記底板の上に収容空間を形成するように、前記周枠に対して着脱自在に組み立てられる複数の第1および第2側壁パネルと、を有する組立式コンテナであって、
前記第1側壁パネルの下端付近面には、係合凸部が形成してあり、
前記周枠の上端縁には、前記底板の底面に略垂直な鉛直線に対して所定の角度で傾斜する係合溝が形成してあり、
前記係合凸部が前記係合溝内に斜めに移動して係合することにより、第1側壁パネルが前記周枠に取り付けられ、
前記第1側壁パネルの側端部に連結されるように、前記周枠に対して前記第2側壁パネルが設置されることにより、第1側壁パネルの斜め移動が制限され、前記係合凸部が前記係合溝から抜けることを防止することを特徴とする。
【0008】
本発明に係る組立式コンテナでは、コンテナの下部に、フォークリフトの爪部を差し込むことが可能な差込孔を有するパレットを一体化する必要がない。したがって、パレットの厚み分だけ、コンテナの高さを従来よりも低く設定することができる。
【0009】
また、本発明のコンテナでは、係合凸部が係合溝内に斜めに移動して係合することにより、第1側壁パネルが前記周枠に取り付けられ、その第1側壁パネルの抜け止めが、第2側壁パネルにより成されるというシンプルな構造であるために、側壁パネルの組み立ておよび分解がきわめて容易である。しかも、シンプルな構造であるために、コンテナの製造コストの低減にも寄与する。
【0010】
好ましくは、前記周枠における対向する位置にそれぞれ第1側壁パネルが配置され、
各第1側壁パネルの下端付近面には、二カ所以上の位置で外方に向けて前記係合凸部が形成してあり、
前記周枠の上端縁には、前記係合凸部の位置に合わせて複数位置で前記係合溝が形成してある。
複数位置で係合凸部と係合溝とを係合させることで、周枠に対する第1側壁パネルの抜け止め固定が確実になる。
【0011】
好ましくは、前記第2側壁パネルは、対向する位置に配置してある前記第1側壁パネルの各側端部を連結するように、前記第1側壁パネルが前記周枠の内側に配置された後に、前記周枠の内側に装着される。
このように構成することで、第1側壁パネルの抜け止めが確実に成される。
【0012】
好ましくは、前記第2側壁パネルの両側端部には、前記第1側壁パネルが前記周枠の内側に配置された後に、前記係合溝に沿う前記第1側壁パネルの斜め移動を制限する側端枠材が具備してある。
本発明では、第1側壁パネルの斜め移動を制限する部材としては、上記の側端枠材に限定されないが、側端枠材は、第2側壁パネルの両側に装着しやすいので、特に好ましい。
【0013】
好ましくは、前記底板の下方には、ベースが設置され、前記ベースの周囲に前記周枠が固定してある。ベースの下部には、通常のパレットやシートパレットなどをスライド移動可能に配置しても良いが、固定しないことが好ましい。コンテナの高さを低く抑えることができるようにするためである。
【0014】
好ましくは、前記鉛直線に対する前記係合溝の傾斜角度が、10〜60度、さらに好ましくは30〜40度である。このような傾斜角度に設定することで、第1側壁パネルを周枠に対して容易に取り付けることができると共に、取付後には良好に抜け止めが成される。この傾斜角度が小さすぎると、抜け止めが緩くなる傾向にあり、傾斜角度が大きすぎると、取付が困難になると共に、係合溝の形成が困難になる傾向にある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態にかかる組立式コンテナの分解斜視図、
図2は図1に示す第1側壁パネルおよび第2側壁パネルの取付構造を示す要部分解斜視図、
図3は図2に示す係合溝の傾斜角度を示す概略図である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係るコンテナ2は、平板状のベース4を有する。ベース4は、たとえば厚さ0.5〜2mm程度の鋼板で構成される。ベース4の下面には、滑りを良くするための滑り向上処理を施しても良い。滑り向上処理としては、たとえばフッ素樹脂、あるいはその他の樹脂などのライニング加工などが例示される。
【0017】
ベース4の下面には、フォークリフトの爪部を差し込むことが可能な差込孔を有するパレットが設置されたり、シートパレットが設置されたり、あるいは、ベース4の下面は、そのまま床の上に設置される。コンテナ2の移動に際しては、ベース4の下面は、パレットの上や床の上などをスライド移動されることがある。
【0018】
ベース4の上面には、補強材6が必要に応じて格子状に配置される。補強材6は、特に限定されないが、たとえばH型鋼材、C型鋼材などで構成される。ベース4の四方周囲には、周枠10が連続して形成してある。周枠10は、相互に向き合う第1枠10aと、第1枠10aに対して連続して形成され、相互に向き合う第2枠10bとを有する。第1枠10aと第2枠10bとは、ベース4の上面に対して上方に突き出ており、同じ高さを有する。
【0019】
ただし、本発明では、第1枠10aと第2枠10bとから成る周枠10は、必ずしも周方向に連続して形成することなく、分離して断続的に形成しても良い。また、第1枠10aの高さと第2枠10bの高さとは、必ずしも同じ高さではなく、異なる高さに設定しても良い。第1枠10aと第2枠10bとから成る周枠10の材質は、特に限定されず、たとえば亜鉛引き鋼板などで構成される。
【0020】
図1に示すように、周枠10の内部に位置するベース4の上には、底板8が設置される。底板8の材質は、特に限定されず、プラスチック段ボール板、合成樹脂板(発泡合成樹脂板を含む)、薄い金属板などが用いられるが、好ましくは、プラスチック段ボール板が用いられる。プラスチック段ボールが好ましいのは、内部に中空構造(ハニカム構造を含む)を持ち、軽量な割に強度が高いからである。プラスチック段ボール板の中でも特に、ポリプロピレン製、ポリエチレン製、ポリカーボネート製のものが好ましい。
【0021】
周枠10における第1枠10aおよび第2枠10bの内側には、それぞれ第1側壁パネル12および第2側壁パネル14が組み付けられ、内部に収容空間20を形成するようになっている。一対の第1側壁パネル12は、相互に向き合うように配置され、一対の第2側壁パネル14は、これらの第1側壁パネル12の両側端を連結するように相互に向き合うように配置される。これらの側壁パネル12および14が組み付けられた状態では、その内部に形成される収容空間20は、蓋板18により閉塞される。
【0022】
第1側壁パネル12および第2側壁パネル14の材質は、特に限定されないが、たとえば底板8と同様な材質で構成される。各第1側壁パネル12の両側端には、側端枠材22が装着してあると共に、上下端には、これらの側端枠材22を連絡するように上下枠材24が装着してあり、パネル12を補強している。これらの枠材は、たとえば鋼材などの金属で構成してある。
【0023】
同様に、各第2側壁パネル14の両側端には、側端枠材26が装着してあると共に、上下端には、これらの側端枠材26を連絡するように上下枠材28が装着してあり、パネル14を補強している。これらの枠材は、たとえば鋼材などの金属で構成してある。パネル14の側端枠材26には、図2に示すように、スライド溝30が形成してある。このスライド溝30には、第1側壁パネル12の側端部が挿入可能になっている。
【0024】
図1および図2に示すように、第1側壁パネル12の下端付近の両側外面には、円柱形状の係合凸部40が具備してある。各係合凸部40の外径は、第1枠10aの上端両側に形成してある係合溝42の幅よりも少し小さい程度の外径である。各係合凸部40は、各係合溝42に入り込む位置に形成してある。
【0025】
図3に示すように、各係合溝42は、その長手方向軸心42aが、底板8の底面に略垂直な鉛直線Zに対して所定角度θで傾斜するようになっている。所定角度θは、好ましくは10〜60度、さらに好ましくは30〜40度である。このような傾斜角度θに設定することで、第1側壁パネル12を周枠10の第1枠10aに対して容易に取り付けることができると共に、取付後には良好に抜け止めが成される。この傾斜角度θが小さすぎると、抜け止めが緩くなる傾向にあり、傾斜角度θが大きすぎると、取付が困難になると共に、係合溝42の形成が困難になる傾向にある。
【0026】
また、係合溝の幅Wは、特に限定されないが、好ましくは、7〜13mmであり、溝の深さLは、特に限定されないが、好ましくは15〜25mmである。同一の第1枠10aの両側に形成する係合溝42の傾斜角度θは、同じ方向に傾斜してあり、同じ傾斜角度である必要がある。一枚の第1側壁パネル12を同じ方向に傾斜移動させて一対の凸部40を各係合溝42に挿入させる必要があるからである。
【0027】
しかしながら、対向する一方の第1枠10aに形成する係合溝42の傾斜角度θと、対向する他方の第1枠10aに形成する係合溝42の傾斜角度θとは、相互に異なっていても良く、また、相互に傾斜方向が異なっていても良い。これらの係合溝42には、異なる第1側壁パネル12の係合凸部が挿入されるからである。
【0028】
本実施形態に係る組立式コンテナ2を組み立てるには、まず、底板8をベース4の上に配置する。その後、各第1側壁パネル12を、図2に示すように、係合凸部40が傾斜している係合溝42に入り込むように、パネルの面方向に斜めに移動させて、第1枠10aの内側にパネル12の下端部を取り付ける。
【0029】
次に、図2に示すように、第1側壁パネル12の各側端部が、第2側壁パネル14の両側端に具備してある側端枠材26のスライド溝30に入り込むように、第2側壁パネル14を、第1側壁パネル12の上から落とし込み、第2側壁パネル14の下端部を第2枠10bの内側に位置させる。その結果、第1側壁パネル12の側端部と第2側壁パネル14の側端部とは連結され、第1側壁パネル12は、側端枠材26により水平方向の移動が制限され、凸部40は係合溝42から抜け止めされる。したがって、第1側壁パネル12が周枠10から外れることはなくなる。同時に、第2側壁パネル14は、第1側壁パネル12に対して強制的に上方にスライド移動させない限りは、コンテナ2から外れることはない。
【0030】
その後に、コンテナ2の収容空間に収容物を入れ、蓋板18を取り付ければ、コンテナ2で収容物の搬送が可能になる。コンテナ2を分解するには、上述した動作を逆に行えばよい。
【0031】
本実施形態に係る組立式コンテナ2では、コンテナ2のベース4の下面に、フォークリフトの爪部を差し込むことが可能な差込孔を有するパレットを一体化する必要がない。したがって、パレットの厚み分だけ、コンテナ2の高さを従来よりも低く設定することができる。
【0032】
また、このコンテナ2では、係合凸部40が係合溝42内に斜めに移動して係合することにより、第1側壁パネル12が周枠10に取り付けられ、その第1側壁パネル12の抜け止めが、第2側壁パネル14により成されるというシンプルな構造である。このために、側壁パネル12および14の組み立ておよび分解がきわめて容易である。しかも、シンプルな構造であるために、コンテナ2の製造コストの低減にも寄与する。
【0033】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば係合凸部40の形状は、円柱形状に限らず、その他の形状でも良い。また、一枚の第1側壁パネル12の下端部外面に形成される係合凸部40の形成個数は、特に限定されず、1つ、または3つ以上であっても良い。
【0034】
さらに本発明では、用途によっては、ベース4の下面に、パレットなどを一体化することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は本発明の一実施形態にかかる組立式コンテナの分解斜視図である。
【図2】図2は図1に示す第1側壁パネルおよび第2側壁パネルの取付構造を示す要部分解斜視図である。
【図3】図3は図2に示す係合溝の傾斜角度を示す概略図である。
【符号の説明】
【0036】
2… 組立式コンテナ
4… ベース
8… 底板
10… 周枠
12… 第1側壁パネル
14… 第2側壁パネル
22,26… 側端枠材
30… スライド溝
40… 係合凸部
42… 係合溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と、
前記底板の周囲に形成される周枠と、
前記底板の上に収容空間を形成するように、前記周枠に対して着脱自在に組み立てられる複数の第1および第2側壁パネルと、を有する組立式コンテナであって、
前記第1側壁パネルの下端付近面には、係合凸部が形成してあり、
前記周枠の上端縁には、前記底板の底面に略垂直な鉛直線に対して所定の角度で傾斜する係合溝が形成してあり、
前記係合凸部が前記係合溝内に斜めに移動して係合することにより、第1側壁パネルが前記周枠に取り付けられ、
前記第1側壁パネルの側端部に連結されるように、前記周枠に対して前記第2側壁パネルが設置されることにより、第1側壁パネルの斜め移動が制限され、前記係合凸部が前記係合溝から抜けることを防止することを特徴とする組立式コンテナ。
【請求項2】
前記周枠における対向する位置にそれぞれ第1側壁パネルが配置され、
各第1側壁パネルの下端付近面には、二カ所以上の位置で外方に向けて前記係合凸部が形成してあり、
前記周枠の上端縁には、前記係合凸部の位置に合わせて複数位置で前記係合溝が形成してある請求項1に記載の組立式コンテナ。
【請求項3】
前記第2側壁パネルは、対向する位置に配置してある前記第1側壁パネルの各側端部を連結するように、前記第1側壁パネルが前記周枠の内側に配置された後に、前記周枠の内側に装着される請求項2に記載の組立式コンテナ。
【請求項4】
前記第2側壁パネルの両側端部には、前記第1側壁パネルが前記周枠の内側に配置された後に、前記係合溝に沿う前記第1側壁パネルの斜め移動を制限する側端枠材が具備してある請求項3に記載の組立式コンテナ。
【請求項5】
前記底板の下方には、ベースが設置され、前記ベースの周囲に前記周枠が固定してある請求項1〜4のいずれかに記載の組立式コンテナ。
【請求項6】
前記鉛直線に対する前記係合溝の傾斜角度が、10〜60度である請求項1〜5のいずれかに記載の組立式コンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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