説明

組立構造物及びその組立方法

【課題】 構造物全体の動作も極力少なく、しかも単純で同期的な展開も特に必要としない三角フレーム組立構造物を提供する。
【解決手段】 枠部材の前記第1の辺に対して略直角方向に延びる第2の辺に設けられ、一つの三角フレームの一辺を構成する枠部材の前記第2の辺を介して他の三角フレームを前記第2の辺の周りに回動自在に結合する第2のヒンジ機構とを備え、前記第2のヒンジ機構を介して結合された複数の三角フレームにより構成される組立構造物が提供される。三角フレームを基本構造として様々な形態の組立構造物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折畳み可能な三角フレームを1つの構造ユニットとして、これを複数連結することにより構成される三角メッシュ構造を持つ2次元または3次元的な組立構造物及びその組立方法に関する。特に、本発明は、必要とささる機能、用途に対応する平板状或いは環筒状或いは多面体等のさまざまな形態の構造物を構成することができる三角フレームを基本構造単位とする組立構造物及びその組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、宇宙空間で利用される大型の展開構造物として、宇宙ステーションのトラス構造セグメント、各種観測センサや太陽電池を取り付けるための伸展マスト、深宇宙探査機の太陽発電用アンテナの支持トラス等の構造が検討されている。例えば、フレームを構成するトラス構造物をスペースシャトルで運搬可能なサイズに分割し、宇宙空間での組立作業を軽減することが提案されている。また、棒状構造材とワイヤを組み合わせてトラス状マストを形成することが知られており、ワイヤを強く引っ張って構造全体の剛性を高め、ワイヤを緩めてコンパクトに収納することも知られている。さらに、細長く柔軟性のある袋状の構造体に気体等を充填してマストを形成し、これを凝固させて構造物として利用することも提案されている。
【0003】
しかしながら、トラス構造物の場合、構造物の軽量化に伴い容量/重量比が増加することにより、通常、収納容量に制限のあるロケットやスペースシャトルによる輸送効率は低下する。そして、大型構造物を構成する場合、軌道上での組立作業の増加が不可避となる。棒状構造材とワイヤを組み合わせる場合には、ワイヤの張力に依存して構造物全体の剛性を高めることには、限界があり、通常の方法では、大型化に伴って構造物全体の十分な剛性確保のための配慮が不可欠となる。さらに構造規模が大きくなり形状が複雑になると、これらの展開動作は複雑となり、意図した動作の確保が困難となる。また、気体等を充填して構造物を構成する場合には、大型宇宙構造物を軽量で廉価に作成することが可能になると予想されているが、形成される形状のばらつきが大きかったり、充分な剛性が得られなかったりするため、この技術を活用できる分野が限定される。
【0004】
さらに、大規模の宇宙構造物を必要とする多目的宇宙ステーションや宇宙太陽発電プラットフォーム等の建設においては、可能な限り軽量で且つ軌道上に効率的に輸送可能な形態を有する構造物であることが望まれる。また、通常の場合、宇宙構造物はその軌道と姿勢の制御が必要であることから、相応の剛性と強度の伴った構造でなければならない。軌道上での建設作業において複雑な作業を遂行するための宇宙飛行士による船外活動や高度な建設作業ロボットを必要とすることも建設費用の増大の大きな要因となる。
【0005】
次に、組立・建設作業を必要としない展開型の宇宙構造物において、構造物の構成と連結、展開方法についての例を挙げると、多数の三角平板或いは六角平板を連結して軌道上に打ち上げ、さらに宇宙空間でこれらを連結して立体的な構造物を形成する技術・方法もそのひとつである。しかし、構造ユニットが面構成であるために充分な収納性が得られなかったり、展開時の力学的挙動が大きかったりしたために、実現性に問題が多い。また、通常の展開方式では多数の構造ユニットを同期展開する必要があるために、展開機構の設計上の重要な問題が少なからず存在する。
【0006】
このように、本発明に関わる従来技術の分野では、宇宙での大掛かりな建設作業を行うことなく、大規模な宇宙構造物をほぼ自動的に建設する手法を見いだすことは困難であった。特に、宇宙輸送機にコンパクトに収納可能で、宇宙輸送時の厳しい力学的環境に耐え得る収納形状を達成すると共に、宇宙での構造物の展開過程において構造ユニット間の同期展開が不要でしかも、構造物全体の動きを抑制した展開方法を実現することは容易ではなかった。
【0007】
【特許文献1】特願2002−017033号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題を解決する手法であって、組立構造物、特に宇宙構造物の基本的形状である多面体形状或いはドーム形状、平板形状或いは環形状等の様々な形態の大型構造物をコンパクトに縮退収納して宇宙輸送機に搭載可能とし、軌道上にてほぼ自動的に展開しあるいは適宜連結して用途に応じた所望の形状の構造物を形成できる。また、展開過程における構造物全体の動作も極力少なく、しかも単純で同期的な展開も特に必要としない三角フレーム組立構造物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記解決しようとする課題は、略平面状でかつ矩形形状を有する枠部材と、
該枠部材の第1の辺に設けられ、他の枠部材の端部と回動自在に結合する第1のヒンジ機構とを有し、
前記枠部材がそれぞれ三角形の一辺を成すように前記第1のヒンジ機構を介して、3つの枠部材を回動自在に結合してほぼ1つの平面内で構成される三角フレームを基本構成要素として形成される組立構造物であって、
前記枠部材の前記第1の辺に対して略直角方向に延びる第2の辺に設けられ、一つの三角フレームの一辺を構成する枠部材の前記第2の辺を介して他の三角フレームを前記第2の辺の周りに回動自在に結合する第2のヒンジ機構とを備え、前記第2のヒンジ機構を介して結合された複数の三角フレームにより構成される組立構造物によって解決することができる。
【0010】
本発明の別の特徴によれば、略平面状でかつ矩形形状を有する枠部材と、
該枠部材の第1の辺に設けられ、他の枠部材の端部と回動自在に結合する第1のヒンジ機構とを有し、
前記枠部材がそれぞれ三角形の一辺を成すように前記第1のヒンジ機構を介して、3つの枠部材を回動自在に結合してほぼ1つの平面内で構成される三角フレームと、
前記枠部材の前記第1の辺に対して略直角方向に延びる第2の辺に設けられ、一つの三角フレームの一辺を構成する枠部材の前記第2の辺を介して該第2の辺の周りに他の三角フレームを回動自在に結合する第2のヒンジ機構とを備え、
前記1つの三角フレームと前記他の三角フレームとが互いに第2のヒンジ機構介して回動自在に結合されて構成される組立構造物が提供される。
【0011】
好ましい態様では、前記枠部材が中間部で二枚重ねになるように完全に折り畳むことを可能にする第3のヒンジ機構を備えており、三角フレームの一つの辺を折り畳むことによって該三角フレームを枠部材の完全な2枚重ね状態で折り畳むことができるようになっている。
【0012】
この場合、好ましくは、前記複数の三角フレームを前記第2のヒンジ機構を介して互い違いに、かつ、隣接する三角フレームを含む平面同士の成す連結角αが全て同一となるように環状に連結した場合において、前記三角フレームと環の軸との成す角度をθとし、連結される三角フレームの数をNとしたとき、以下の式



を満足するようにそれぞれ連結角α、環の軸との成す角θ及び連結される三角フレームの数Nが決定される、ようになっている。
【0013】
また、前記三角フレームを第2のヒンジ機構を介して、連結角が同一となるように5つ連結して五角錐状とすることが好ましい。
【0014】
別の態様では、前記三角フレームの第2のヒンジ機構を介して、互いに連結し、正20面体を構成することが好ましい。
【0015】
さらに、前記三角フレームを互い違いに連結して環状構造物を構成し、さらに該環状構造物の端部の第2のヒンジ機構を介して他の環状構造物を連結して、複数の環状構造物を連結して筒状とすることができる。
【0016】
また、好ましくは、前記組立構造物を構成するそれぞれの三角フレームの枠部材のうちの1つを第3のヒンジ機構を介して折り畳むことによりそれぞれの三角フレームを該第1のヒンジ機構及び第3のヒンジ機構を介して完全に2枚重ねに折り畳み、これによって構造物全体を折り畳むことが可能になっている。
【0017】
本発明の別の特徴によれば、略平面状でかつ矩形形状を有する枠部材の第1の辺に設けられた第1のヒンジ機構を介して他の枠部材を回動自在に結合し、
さらに他の枠部材をそれぞれが三角形の一辺を成すように前記第1のヒンジ機構を介して、3つの枠部材を結合し、ほぼ1つの平面内で構成される三角フレーム形成し、
該三角フレームを構成する前記枠部材の前記第1の辺に対して略直角方向に延びる第2の辺に設けられた第2のヒンジ機構を介して、他の三角フレームを該第2の辺の周りに回動自在に結合し、
他の三角フレームを前記第2のヒンジ機構を介して順次連結することにより、前記第2のヒンジ機構を介して、複数の三角フレーム結合することにより構成される構造物の組立方法が提供される。
【0018】
さらに別の特徴によれば、略平面状でかつ矩形形状を有する枠部材の第1の辺に設けられた第1のヒンジ機構を介して、他の枠部材を回動自在に結合し、
さらに、他の枠部材をそれぞれが三角形の一辺を成すように前記第1のヒンジ機構を介して、3つの枠部材を結合し、ほぼ1つの平面内で構成される三角フレーム形成し、
前記枠部材の前記第1の辺に対して略直角方向に延びる第2の辺に設けられた第2のヒンジ機構を介して、前記第2の辺の周りに他の三角フレームの一辺を構成する枠部材の前記第2の辺を介して他の三角フレームを結合して、
前記1つの三角フレームと前記他の三角フレームとが互いに第2のヒンジ機構介して回動自在に結合された構造物の組立方法が提供される。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、好適には宇宙空間に大型の球状及び円筒状等の2次元あるいは三次元のフレーム構造物を容易に組立ることができる技術にかかる。特に、このフレーム構造物を構成する折畳み可能三角フレームは、移送時には折り畳んで棒状に変形収納され、組立時には三角形状に展開してその辺同士で多数連結することにより大型フレーム構造物を形成することのできる技術にかかる。また、規則的に予め連結された多数の三角フレームを組立時に展開して特定の三角フレーム同士を連結することにより、球状或いは円筒状の堅固なフレーム構造物を構成することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図を参照して、本発明の一実施形態を詳細に説明する。本発明は上記したように折り畳み可能三角フレーム50を基本構成要素として形成されるさまざまな形態の組立構造物に関する。図1は、本発明にしたがう三角フレーム50を構成する構成要素である枠部材10を斜視図の形式で示している。本例においては、三角フレームは3つの辺を構成する3種類の枠部材10、20(図2)及び30(図3及び図4)から構成される。図1の枠部材10は上記3種類の枠部材10、20及び30の共通する構造として一対の平行な長手方向延びる縦(長辺)部材8とこの縦部材8を両端及び所定の間隔をおいて連結するように縦部材8に対して直交方向に延びる複数の横(短辺)部材9を備えている。枠部材10では9本の横部材9が格子状に設けられ、縦部材8を所定間隔で連結している。この縦部材8と横部材9によって梯子形状の共通基材11が形成されている。本例の枠部材10、20及び30は回動自在に結合することができるようになっている。この場合、枠部材10、20及び30は、互いにヒンジ機構を介して回動自在に結合されるようになっている。ヒンジ機構は、一方の側に取付けられた回転軸を有する軸部13(オス側)と他方の側に設けられ、この回転軸を回動自在に受ける受部12(メス側)とからなる。枠部材10は、縦部材8に所定間隔で3カ所設けられた受部12を備えている。共通基材11は、一方の端部の横部材9のヒンジ機構軸部111及び他方の端部の横部材9のヒンジ機構受部112と、縦部材8のヒンジ機構の回動を所定範囲内に抑えるストッパ113を備えている。
【0021】
図2は、枠部材20を斜視図の形式で図示したものであり、枠部材20は、共通基材11と該共通基材11の縦部材8に所定間隔で三カ所設けられたヒンジ機構の軸部13とからなる。
【0022】
図3及び図4は、枠部材30を構成する枠部材30A及び30Bを斜視図の形式で示したものである。枠部材30A及び30Bは、枠部材10及び20の半分の長さを有する。枠部材30Aは一対の縦部材28及びこの縦部材を連結する5本の横部材9を備えた共通基材31と縦部材8に設けられる一対のヒンジ機構の受部32を備えている。枠部材30Aは、枠部材30Bは共通基材31と短辺ヒンジ機構軸部33とからなる。共通基材31は、その一方の端部の横部材9には、ヒンジ機構の受部311及び他方の端部の横部材9のヒンジ機構には、軸部312を備えている。さらに、一方の縦部材(本例では長辺)のヒンジ機構の所定以上の回動を阻止するためのストッパ313を備えている。共通部材31の長さは枠部材10及び枠部材20の共通基材11の長さの半分であり、枠部材30Aのヒンジ機構311と枠部材30Bのヒンジ機構312とを連結して枠部材10及び枠部材20と同じ長さの枠部材30を形成する。
【0023】
図5は枠部材30A及び30Bをヒンジ機構を介して回動自在すなわち折り畳み自在に連結した状態が斜視図の形式で示されている。なお図5に示されている枠部材30では、枠部材30Aの一方の縦部材には、ヒンジ機構の一対の受部33が設けられ、その中間に一定以上の回動を阻止するストッパ313が設けられているのに対し、枠部材30Bの一方の縦部材には、ストッパを挟んで一対のヒンジ機構軸部32が設けられる。
【0024】
図6は、枠部材30において、30Aまたは30Bの一方の縦部材に設けられたヒンジ機構の受部と軸部を取り替えた形態して構成した、枠部材30の変形例としての、枠部材40が斜視図の形式で示されている。すなわち、枠部材40は、30Aと30Bとを入れ替えて結合した構造になっている。
【0025】
本例の三角フレーム50は、枠部材10、20及び30の組み合わせまたは、枠部材10、20及び40の組み合わせから構成される。これに加えて、横部材のヒンジ機構の受部311と軸部312とを入れ替えた態様もあり得る。
【0026】
図7は、枠部材10と枠部材20と枠部材30とを所定の順序で連結して構成した折畳み型三角フレーム50Aを、下方から見た斜視図である。すなわち、枠部材10及び20は一体の共通部材11を備えており、ヒンジ機構の受部12とストッパ113とを交互に配置したものが、枠部材10であり、ヒンジ機構の軸部13とストッパ113とを交互に配置したものが枠部材20である。枠部材30は中央で折り可能な構造の図3ないし図6に関連した構造のものである。すなわち、三角フレーム50Aは、枠部材30を折り畳むことにより、全体として枠部材10、20及び30を2枚重ねとして折り畳むことができる構造になっている。なお、図示の例では、縦部材の一方にのみヒンジ機構及びストッパが設けられているが両方の縦部材にヒンジ機構の受部ないし軸部を設けることもできる。この場合、枠部材10の縦部材と枠部材20の縦部材とに設けられたヒンジ機構とが受部と軸部で対応し、したがって、三角フレーム同士を連結する場合には、枠部材10の辺と枠部材20の辺とが組み合わされて三角フレームが回動自在に結合されることになる。そしてストッパ113の構成によって互いの連結角を決定することができる。なお、通常は枠部材30と40とが組み合わされて結合される。これによって、三角フレーム同士を結合した状態のまま折り畳んで収納することが可能となる。なお、枠部材30を他の三角フレームとの結合しないように組立構造物を形成することもできる。この場合には、この組立部材を構成する三角フレームの枠部材30を折り畳むことにより全体として構造物をコンパクトに折り畳み収納することができる。なお、図7において、枠部材10、20のヒンジ機構は縦部材の同じ側に設けられているが、枠部材30のヒンジ機構はこれとは反対側に設けられている。したがって、本例では、枠部材30を介して三角フレーム同士を結合する場合には、枠部材10、20の場合とは反対側に連結されることになる。なお、必ずしもこのようにすることはなく、枠部材30のヒンジ機構を枠部材10、20と同じ側に設けてもよい。
【0027】
図8は、結合状態にある1組の折畳み型三角フレーム50Aと、折畳み型三角フレーム50Aとは逆の順序で各枠部材を連結して構成した折畳み型三角フレーム50Bとを連結した構造を斜視図で示している。すなわち、三角フレーム50Aと50Bとは、鏡対象の構造を有する。
【0028】
図9及び図10は図7及び図8の例とは異なり、ヒンジ機構がすべて同じ側の縦部材に設けられている。
【0029】
とくに、図9は、枠部材10と枠部材20と枠部材40とを連結して構成した折畳み型三角フレーム60Aを斜視図の形式で示している。この場合、図9は、三角フレーム60Aを、斜め上から見た斜視図である。図10は、折畳み型三角フレーム60Aと、折畳み型三角フレーム60Aとは逆の順序で各枠部材を連結して構成した折畳み型三角フレーム60Bとを連結して結合された1組の三角フレームの結合構造60を斜視図の形式で示した図である。
【0030】
図11は5個の2つ組の三角フレーム60を連結して構成した環状の三角フレーム組立構造物71を斜視図の形態で示す図である。
【0031】
図12には、図9に示す折畳み型三角フレーム60Aを5個連結して形成した五角錐形状の組立構造物72の斜視図である。図示の構造では、枠部材40が最外殻の辺、すなわち外周を構成する辺に位置するように配置されている。
【0032】
図13は、図11に示す環状構造物71と、図12に示す五角錐錘五角推構造物と結合して形成される構造物の斜視図である。図示の例では、三角フレーム組立構造物71を挟むように2個の三角フレーム組立構造物72を結合した構造物である。
【0033】
図14は、図11に示した三角フレーム組立構造物71及び図12に示した組立構造物72のすべての枠部材40を連結して形成した正多面体の組立構造物の斜視図である。本例においては、ほぼ球体を成す立体形状の三角フレーム組立構造物70を形成することができる。図示の例では三角フレーム組立構造物70は正20面体の三角フレーム構造物であり、三角フレームから形成される様々な三角フレーム構造物の一つである。また、図12に図示した5個の折畳み型三角フレーム構造物60Aの数を4個に減らして構成されるピラミッド型のフレーム組立構造物を2個取り付けることにより正16面体の三角フレーム構造物を形成することができる。また、図12に図示した5個の折畳み型三角フレーム60Aを3個に減らして構成されるピラミッド型のフレーム組立構造物を2個取り付けることにより正12面体のフレームフレーム組立構造物が形成することができる。
【0034】
図15は、8個の2つ組三角フレーム50を連結して構成される環状の三角フレーム組立構造物81の斜視図である。この組立構造物81の最外殻を構成する辺すなわち外周を構成する辺は枠部材30となるため、複数の組立構造物81を折り畳み可能に無制限に連結可能である。
【0035】
図16は組立構造物81の環を筒状となるように順次連結して形成される組立構造物の斜視図である。
【0036】
図17、図18、図19及び20図は、図14に示す立体形状に多面体型三角フレーム組立構造物70を二次元形状に折り畳む過程を順次示した斜視図である。
【0037】
図示の様に、最終的には、構造物70は、三角フレームの角辺がすべて折り畳まれた極めてコンパクトな形状することができる。
【0038】
また図21、図22、図23及び24図は、筒状の三角フレーム組立構造物80を二次元的な板状に折り畳む過程を順次に示した斜視図である。
【0039】
以下、これらの図を参照しつつ、図14及び図16の展開完了状態から図20及び図24の収納状態までの収納過程を説明する。収納状態から展開完了状態までの展開過程は収納過程の逆の順序となる。
【0040】
筒状のフレーム組立構造物70の収納は、三角フレームを形成する枠部材10及び枠部材20との成す角度θ1(折畳み角はθ1により一意的に定まる)、枠部材10と枠部材20との連結角α1及び組立構造物71と組立構造物72との連結角β1を変更することよって行う。
【0041】
図14は、θ1=60度、α1=41.18度、β1=41.18度のときの形状である。これらの展開完了時のα1及びβ1の値は解析的に求められる。図17は、まずβ1=0度としたのち、α1が約20度のときの形状である。図15は、α1を0度としたときの形状であり、組立構造物70は平面上に延展開された状態となる。図19は、θ1を約20度に変更したときの形状である。そして、θ1を0度とすることにより図20の収納状態(θ1=0度、α1=0度、β1=0度)となる。
【0042】
筒状の三角フレーム組立構造物80の収納は三角フレームを形成する枠部材10及び枠部材20との成す角度θ2(折畳み角はθ2により一意的に定まる)、枠部材10と枠部材20との連結角α2及び組立構造物81同士の連結角β2を変更することによって行う。図16は、θ2=60度、α2=26.04度、β2=13.19度のときの形状である。これらの展開完了時のα2及びβ2の値は解析的に求められる。図21は、α2が約13度のときの形状であり、湾曲した帯状構造物が連なっている。図22は、α2を0度としたときの形状であり、組立構造物80はなだらかな曲面を形成しているが、β2=0度とすることにより、平面を形成するようになる。図23は、θ2を約20度に変更したときの形状である。そして、θ2を0度とすることにより図24の収納状態(θ1=0度、α1=0度、β1=0度)となる。
【0043】
なお、三角フレームを構成する枠部材及びこれに付随する部品は例示的に記載したものであり、これに限定されるものではない。例えば、枠部材Aと枠部材Bとを連結するヒンジ機構(蝶番)については、一方にはヒンジ機構の心棒側(軸部)の部品を、他方にはヒンジ機構の受け穴側(受部)の部品を取り付け、この部分が連結されたときヒンジ機構を構成し回動自在に結合される。また、ヒンジ機構の回転を抑えるストッパとして断面が扇型の棒状部材を枠部材の長辺に取り付けているが、単なる例示である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上の説明から明らかなように、展開過程においてフレーム構造物同士に機械的干渉を起こす危険性はほとんどない。そして、展開時の構造物の動きは概ね単純であり、その収納形状は極めてコンパクトである。収納時にα1及びα2を0度でない適当な値に設定すれば、平板状の収納形状から円筒状の収納形状に変更することも可能である。
【0045】
また、展開完了時には予め連結していない枠部材が近接し幾何学的に連結可能になる。構造物の剛性を高めるにはこれらの枠部材同士を連結しなければならない。この連結を容易に行うための機構部材が必要であるが、通常の従来技術によって実施可能であり、ここでは詳細に説明を加えない。
【0046】
また、本発明では展開を行うための駆動力について特に規定しない。ヒンジ機構の中に機械的ばねやステッピングモータ等の電気機構部品を組み込んで、枠組同士がストッパで押し合って力学的平衡を得るまで回転駆動するような構成は従来の技術によって容易に達成できる。枠部材同士の結合力を得る方法としては、着脱可能なヒンジ機構を使用して、結合時には挿入された軸で併進移動を固定することが一般的であり、利用環境に応じた適切な設計が可能である。ストッパの接触面に強力な磁石を取り付け、接触面の離反を抑える方法も容易に実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に従う三角フレームを構成する枠部材10の一実施例の図である。
【図2】本発明に従う三角フレームを構成する枠部材20の一実施例の図である。
【図3】本発明に従う三角フレームを構成する枠部材30の一部を成す枠部材30Aの一実施例の図である。
【図4】本発明に従う三角フレームを構成する枠部材30の一部を成す枠部材30Bの一実施例の図である。
【図5】本発明に従う三角フレームを構成する枠部材30が枠部材30Aと枠部材30Bの連結によって構成される模様を示す図である。
【図6】本発明に従う三角フレームを構成する枠部材40が枠部材40Aと枠部材40Bの連結によって構成される模様を示す図である。
【図7】本発明に従う三角フレーム50Aが枠部材10と枠部材20と枠部材30との連結によって構成される模様を示す図である。
【図8】本発明に従う三角フレーム50が三角フレーム50Aと、三角フレーム50Aとは逆順に連結された三角フレーム50Bとの連結によって構成される模様を示す図である。
【図9】本発明に従う三角フレーム60Aが枠部材10と枠部材20と枠部材40との連結によって構成される模様を示す図である。
【図10】本発明に従う三角フレーム60が三角フレーム60Aと、三角フレーム60Aとは逆順に連結された三角フレーム60Bとの連結によって構成される模様を示す図である。
【図11】本発明に従う立体形状のフレーム組立構造物70を構成する環状の三角フレーム組立構造物71を示す図である。
【図12】本発明に従う立体形状状のフレーム組立構造物70を構成する五角錐状のフレーム組立構造物72を示す図である。
【図13】本発明に従う立体形状のフレーム組立構造物70が環状の1個の三角フレーム組立構造物71と2個の五角錐状のフレーム組立構造物72の結合状態を示す斜視図である。
【図14】本発明に従う立体形状のフレーム組立構造物70の展開完了状態を示す図である。
【図15】本発明に従う切り口が正八角形を成す環状の三角フレーム組立構造物81の展開完了状態を示す斜視図である。
【図16】本発明に従う5個の環状の三角フレーム組立構造物81を連結して構成される筒状のフレーム構造物80の展開完了状態を示す図である。
【図17】本発明に従う三角フレーム組立構造物70の展開過程を示す図である。
【図18】本発明に従う三角フレーム組立構造物70の展開過程を示す図である。
【図19】本発明に従う三角フレーム組立構造物70の展開過程を示す図である。
【図20】本発明に従う三角フレーム組立構造物70の収納状態を示す図である。
【図21】本発明に従う筒状の三角フレーム組立構造物80の展開過程を示す図である。
【図22】本発明に従う筒状の三角フレーム組立構造物80の展開過程を示す図である。
【図23】本発明に従う筒状の三角フレーム組立構造物80の展開過程を示す図である。
【図24】本発明に従う立体形状の三角フレーム組立構造物80の収納状態を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
10、20、30 枠部材
11、31、41 共通基材
12、32 長辺ヒンジ機構受部
13、33 長辺ヒンジ機構軸部
111、311、411 短辺ヒンジ機構軸部
112、312、412 短辺ヒンジ機構受部
113、313、413 ストッパ
30A、30B 枠部材30の2分割枠部材
50、60 2つ組三角フレームの組
50A、50B 三角ペアフレーム50を構成する2種類の三角フレーム
60 共通基材
60A、60B 2つ組三角フレーム60を構成する2種類の三角フレーム
70 多面体状(正20面体)の三角フレーム組立構造物
71 多面体状(正20面体)の三角フレーム組立構造物の胴部(円環部)
72 多面体状(正20面体)の三角フレーム組立構造物のキャップ部(五角錐部)
80 筒状(断面正八角形、5層連結)の三角フレーム組立構造物
81 環状(断面正八角形)の三角フレーム組立構造物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略平面状でかつ矩形形状を有する枠部材と、
該枠部材の第1の辺に設けられ、他の枠部材の端部と回動自在に結合する第1のヒンジ機構とを有し、
前記枠部材がそれぞれ三角形の一辺を成すように前記第1のヒンジ機構を介して、3つの枠部材を回動自在に結合してほぼ1つの平面内で構成される三角フレームを基本構成要素として形成される組立構造物であって、
前記枠部材の前記第1の辺に対して略直角方向に延びる第2の辺に設けられ、一つの三角フレームの一辺を構成する枠部材の前記第2の辺を介して他の三角フレームを前記第2の辺の周りに回動自在に結合する第2のヒンジ機構とを備え、前記第2のヒンジ機構を介して結合された複数の三角フレームにより構成される組立構造物。
【請求項2】
略平面状でかつ矩形形状を有する枠部材と、
該枠部材の第1の辺に設けられ、他の枠部材の端部と回動自在に結合する第1のヒンジ機構とを有し、
前記枠部材がそれぞれ三角形の一辺を成すように前記第1のヒンジ機構を介して、3つの枠部材を回動自在に結合してほぼ1つの平面内で構成される三角フレームと、
前記枠部材の前記第1の辺に対して略直角方向に延びる第2の辺に設けられ、一つの三角フレームの一辺を構成する枠部材の前記第2の辺を介して該第2の辺の周りに他の三角フレームを回動自在に結合する第2のヒンジ機構とを備え、
前記1つの三角フレームと前記他の三角フレームとが互いに第2のヒンジ機構介して回動自在に結合されて構成される組立構造物。
【請求項3】
前記枠部材が中間部で二枚重ねになるように完全に折り畳むことを可能にする第3のヒンジ機構を備えており、三角フレームの一つの辺を折り畳むことによって該三角フレームを枠部材の完全な2枚重ね状態で折り畳むことができるようになっていることを特徴とする請求項1または2に記載の組立構造物。
【請求項4】
前記複数の三角フレームを前記第2のヒンジ機構を介して互い違いに、かつ、隣接する三角フレームを含む平面同士の成す連結角αが全て同一となるように環状に連結した場合において、前記三角フレームと環の軸との成す角度をθとし、連結される三角フレームの数をNとしたとき、以下の式



を満足するようにそれぞれ連結角α、環の軸との成す角θ及び連結される三角フレームの数Nが決定される、ことを特徴とする請求項1または2に記載の組立構造物。
【請求項5】
前記三角フレームを第2のヒンジ機構を介して、連結角が同一となるように5つ連結して五角錐状としたことを特徴とする請求項1または2に記載の組立構造物。
【請求項6】
前記三角フレームの第2のヒンジ機構を介して、互いに連結し、正20面体を構成することを特徴とする請求項1ないし2に記載の組立構造物。
【請求項7】
前記三角フレームを互い違いに連結して環状構造物を構成し、さらに該環状構造物の端部の第2のヒンジ機構を介して他の環状構造物を連結して、複数の環状構造物を連結して筒状としたことを特徴とする請求項1ないし2に記載の組立構造物。
【請求項8】
前記組立構造物を構成するそれぞれの三角フレームの枠部材のうちの1つを第3のヒンジ機構を介して折り畳むことによりそれぞれの三角フレームを該第1のヒンジ機構及び第3のヒンジ機構を介して完全に2枚重ねに折り畳み、これによって構造物全体を折り畳むことが可能になっていることを特徴とする請求項4ないし7のいずれかの請求項に記載の組立構造物。
【請求項9】
略平面状でかつ矩形形状を有する枠部材の第1の辺に設けられた第1のヒンジ機構を介して他の枠部材を回動自在に結合し、
さらに他の枠部材をそれぞれが三角形の一辺を成すように前記第1のヒンジ機構を介して、3つの枠部材を結合し、ほぼ1つの平面内で構成される三角フレーム形成し、
該三角フレームを構成する前記枠部材の前記第1の辺に対して略直角方向に延びる第2の辺に設けられた第2のヒンジ機構を介して、他の三角フレームを該第2の辺の周りに回動自在に結合し、
他の三角フレームを前記第2のヒンジ機構を介して順次連結することにより、前記第2のヒンジ機構を介して、複数の三角フレーム結合することにより構成される構造物の組立方法。
【請求項10】
略平面状でかつ矩形形状を有する枠部材の第1の辺に設けられた第1のヒンジ機構を介して、他の枠部材を回動自在に結合し、
さらに、他の枠部材をそれぞれが三角形の一辺を成すように前記第1のヒンジ機構を介して、3つの枠部材を結合し、ほぼ1つの平面内で構成される三角フレーム形成し、
前記枠部材の前記第1の辺に対して略直角方向に延びる第2の辺に設けられた第2のヒンジ機構を介して、前記第2の辺の周りに他の三角フレームの一辺を構成する枠部材の前記第2の辺を介して他の三角フレームを結合して、
前記1つの三角フレームと前記他の三角フレームとが互いに第2のヒンジ機構介して回動自在に結合された構造物の組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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