説明

組立箱

【課題】簡単な構造で組立て及び分解の作業性を低下させることなく、外力に対する形状安定性、耐久性を向上させ、潰れや変形などの発生を防止できると共に、過大な外力や落下時の衝撃力などが加わった際には、その力を分散、緩衝して、破損を防止することができる耐衝撃性、形状保持性に優れた組立箱の提供。
【解決手段】差込片が、差込片の先端側の上縁に形成され側面部の中空部に挟持された状態で側面部の側面上壁部の内面と当接する1以上の突起部を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボール、厚紙、合成紙、合成樹脂シート等を折り畳むことにより形成される組立箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な物品を収容、運搬するために、段ボール、厚紙、合成紙、合成樹脂シート等を折り畳むことにより形成される組立箱が利用されている。
そして、この組立箱の組立てや分解を容易にするために、様々な形状や構造が検討されている。また、組立箱が運搬中などに変形したり、潰れたりして、収容物が破損することを防止するために、剛性、耐久性を高める工夫や形状安定性を向上させる工夫も行われている。
例えば(特許文献1)には、段ボールよりなる蓋体、箱体の一体形の組立箱で、一組の側壁を額縁構造とし、額縁内面片を底面片に当接固定せしめ、他の一組の側壁の両側に折込片を設け、額縁内に折込挿入し箱体を形成し、額縁と相俟って蓋体の形成を容易とした組立箱が開示されている。
また、(特許文献2)には、一方側縁に係合孔が形成された紙製の底板と、底板の他方側縁にて起立可能に一体形成された相対する一対の第1側板と、該第1側板の両端部にて上部が垂直線より若干の内側へ傾斜した折り目により折曲可能に一体形成された隅板と、底板の一方側縁にて起立可能に一体形成された相対する一対の起立板と該起立板上部に所要の平面幅で折曲可能に一体形成された頂面板及び該頂面板に折曲可能に一体形成され、下部に係合孔に係止する係止部を有した垂下板からなる第2側板と、係合孔に一致する頂面板の一部を切り抜いて起立板に連続する頂面板とほぼ一致する幅の係合部とからなり、底板に対して第1側板を起立させた状態で隅板を内側へ若干傾けて起立させた状態で第2側板の起立板を隅板に沿って起立させると共に頂面板を平面状にした状態で垂下板を折り返して係止部を係合孔に係止させることにより係合部を内側へ若干傾いた状態で起立させて組み立てられる段積み用紙製箱が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−80627号公報
【特許文献2】特開平11−348992号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)の組立箱は、一組の側壁の両側に設けた折込片を、額縁内に折込挿入し箱体を形成するが、組立時に折込片の上辺及び下辺が額縁上縁片及び底面片と平行になるように形成されている。このため、折込片を額縁内に折込挿入した状態で、折込片の上辺と額縁上縁片の内面との間に隙間が生じ易く、外力や衝撃力、荷重などが加わった際に、折込片を設けた側壁が外方に倒れたり、折込片が額縁から抜けたりして、組立箱の変形や潰れなどが発生し、耐久性、形状安定性に欠けるという課題を有していた。
(2)(特許文献2)の段積み用紙製箱では、各隅板の上辺が、根元側が低く、先端側が高い傾斜状に形成されている。このため、組立て後は、起立板及び垂下板間に挟まれた各隅板の先端部上面に対して押え板が当接し、第1側板の起立状態を保つことができ、隅板が抜け難く、第1側板が外方に倒れて箱の変形や潰れなどが発生することを防止できる。しかし、落下時にコーナ部分に集中する荷重により、隅板が根元からちぎれたり、隅板の先端部が押え板を突き破ったりして箱が裂け、破損が発生し易く、耐衝撃性、耐久性に欠けるという課題を有していた。
【0005】
本発明は上記課題を解決するもので、簡単な構造で組立て及び分解の作業性を低下させることなく、外力に対する形状安定性、耐久性を向上させ、潰れや変形などの発生を防止できると共に、過大な外力や落下時の衝撃力などが加わった際には、その力を分散、緩衝して、破損を防止することができる耐衝撃性、形状保持性に優れた組立箱の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の組立箱は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の組立箱は、底板部と、前記底板部の一辺上に折り目を介して立設される背面部と、前記背面部の両端部に折り目を介して延設される差込片と、前記背面部の両側部で前記底板部の対向する一組の辺にそれぞれ折り目を介して連設され前記折り目で折り返されてコ字型に形成される側面外壁部と側面上壁部と側面内壁部で囲まれる中空部に前記差込片を挟持する側面部と、を備えた包装容器であって、前記差込片が、前記差込片の先端側の上縁に形成され前記側面部の前記中空部に挟持された状態で前記側面部の前記側面上壁部の内面と当接する1以上の突起部を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)底板部の一辺上に折り目を介して立設される背面部には、外方に開こうとする力(元の平面状態に戻ろうとする力)が発生するが、背面部の両端部に折り目を介して延設され、側面部の中空部に挟持される差込片が、先端側の上縁に形成され側面部の側面上壁部の内面と当接する1以上の突起部を有することにより、差込片を側面上壁部で確実に下方に押し下げることができ、背面部が外方に開くことを防止でき、形状安定性に優れる。
(2)差込片が、差込片の先端側の上縁に形成され側壁部の中空部に挟持された状態で側面部の側面上壁部の内面と当接する1以上の突起部を有するので、積載時の荷重などにより背面部を外方に倒そうとする外力が働いた場合でも、突起部が側面部の側面上壁部の内面と当接することによって、差込片が中空部から抜けることがなく、背面部が外方に倒れることを防止して形状を維持することができ、潰れや変形などが発生せず、形状安定性、耐久性に優れる。
【0007】
ここで、段ボール、厚紙、合成紙、合成樹脂シート等を所定の形状に切断し又はくり抜き、要所に必要な折り目、切れ目、嵌合孔などを形成して組立前(展開状態)の組立箱が得られる。
底板部としては方形状に形成されたものが好適に用いられる。
側面部は、折り目を介して連設される側面外壁部と側面上壁部と側面内壁部をコ字型に折り返して形成されるが、底板部に嵌合孔を穿設し、嵌合孔に対応させて側面内壁部に嵌合凸部を形成しておくことにより、側面部を起立させて固定することができる。側面部の中空部の幅(側面外壁部と側面内壁部との隙間)は、差込片の厚さとほぼ同等に形成することが好ましい。差込片を中空部に挟持した状態で、差込片の両面を側面外壁部と側面内壁部に密着させ、側面部が内方や外方に倒れることを防止でき、形状安定性に優れるためである。
突起部の形状は、円形状(円弧状)、三角形状、台形状、矩形状など、様々な形状を選択することができるが、上方から加わる力が分散し易いように、上端の接触面積が少なく、上端側から下端側に向かって徐々に幅が増加する円形状、三角形状、台形状などの形状が特に好適に用いられる。
尚、突起部の大きさ(幅や高さ)、数などは、適宜、選択することができる。また、複数の突起部を形成する場合、各々の突起部の形状や大きさなどは全て同じでもよいし、それぞれ異なっていてもよい。
【0008】
底板部には、背面部と対向して前面部が立設されるが、前面部は、背面部と同様に両端部に折り目を介して差込片を延設し、側面部の中空部に挟持することによって形成することができる。この時の差込片の形状は適宜、選択することができるが、背面部側の差込片と同様の突起部を形成することにより、同様の作用が得られる。また、前面部は、側面部と同様に、折り目を介して連設した前面外壁部と前面上壁部と前面内壁部をコ字型に折り返して形成することもできる。このとき、側面部と同様に、底板部に嵌合孔を穿設し、嵌合孔に対応させて前面内壁部に嵌合凸部を形成することにより、前面部を起立させて固定することができる。
背面部又は前面部には必要に応じて蓋部を連設することができる。このとき、蓋部の両側部や先端部に係止片を形成し、側面部や前面部又は背面部の内側に差し込むことにより、蓋部を簡便に固定することができる。
尚、各部の寸法は、収容物の寸法、形状、数などに応じて、適宜、選択することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の組立箱であって、前記差込片の前記突起部が、上に凸の円弧状に形成された構成を有している。
この構成により、請求項1の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)差込片の突起部が、上に凸の円弧状に形成されることにより、側面部の側面上壁部に加わる力が、突起部で分散し易く、突起部や差込片或いは側面上壁部の変形や破損などの発生を防止することができ、耐久性に優れる。
【0010】
ここで、複数の突起部を形成する場合、突起部と突起部の間は下に凸の円弧状に形成するなどして滑らかにつなぐことが好ましい。突起部に加わる力が分散し易く、差込片や側面上壁部の変形や破損などを効果的に防止できるためである。
【0011】
請求項3に記載の組立箱は、請求項1又は2に記載の組立箱であって、前記差込片に前記突起部が複数形成され、組立前の複数の前記突起部の頂部の高さが、前記差込片の根元側が低く、前記差込片の先端側が高くなるように配置された構成を有している。
この構成により、請求項1又は2の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)差込片に突起部が複数形成されることにより、落下による衝撃力などの外力が差込片に加わった際に、その力を複数の突起部で分散させることができるので、差込片の根元側に力が集中して差込片が背面部からちぎれることや差込片の先端側が側面部の側面上壁部を突き破ることがなく、破損を効果的に防止することができ、耐衝撃性、形状保持性に優れる。
(2)差込片に突起部が複数形成され、組立前の複数の突起部の頂部の高さが、差込片の根元側が低く、差込片の先端側が高くなるように配置されることにより、組立時に差込片の先端側の突起部の頂部を確実に側面部の側面上壁部の内面と当接させ、差込片全体を傾斜させて複数の突起部で差込片全体を側面部の中空部に保持することができ、堅牢性、形状安定性に優れる。
【0012】
ここで、複数の突起部は、頂部の高さが一直線状に並ぶように配置することが好ましい。組立時に複数の突起部の全ての頂部を側面部の平面状の側面上壁部の内面に確実かつ略均等に当接させて、複数の突起部に加わる力を分散させることができ、突起部や差込片の破損を防止し、差込片を強固に固定できるためである。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の組立箱であって、前記差込片が、前記突起部の下方に穿設された貫通孔を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)差込片が、突起部の下方に穿設された貫通孔を有することにより、落下による衝撃力などの過度の外力が差込片に加わった際に、貫通孔を潰すようにして突起部が変形し、外力を緩衝(吸収)することができるので、差込片全体や側面部などの破損を確実に防止することができ、耐衝撃性、形状保持性に優れる。
【0014】
ここで、貫通孔の形状、配置、数は、突起部の形状、配置、数などに応じて、適宜、選択することができる。貫通孔は各々の突起部の下方に独立して形成してもよいし、複数の突起部に共通するように(跨るように)長孔状に形成してもよい。特に、貫通孔を全ての突起部に共通するように(跨るように)形成した場合、突起部に荷重が加わった際に、貫通孔全体が潰れ、全ての突起部が一直線状に並ぶように変形して側面部の側面上壁部の内面と密着するので、突起部の変形後も差込片が中空部から抜けることがなく、背面部が外方に倒れることを確実に防止して形状を保持することができ、形状保持の確実性、信頼性に優れる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明の組立箱によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)差込片の突起部が、側面部の側面上壁部の内面と当接することにより、差込片全体を側面上壁部で確実に下方に押し下げることができ、背面部が外方に開くことを防止できる形状安定性に優れた組立箱を提供することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)側面部の側面上壁部に加わる力を突起部で分散させ、突起部や差込片或いは側面上壁部の変形や破損などの発生を防止することができる耐久性に優れた組立箱を提供することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)差込片の先端側の突起部の頂部を確実に側面部の側面上壁部の内面と当接させ、複数の突起部で差込片全体を側面部の中空部に保持することができる堅牢性、形状安定性に優れた組立箱を提供することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)落下による衝撃力などの過度の外力が差込片に加わった際に、貫通孔が潰れるようにして突起部が変形して外力を緩衝(吸収)することができ、差込片全体や側面部などの破損を確実に防止することができる耐衝撃性、形状保持性に優れた組立箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施の形態1における組立箱を示す模式斜視図
【図2】実施の形態1における組立箱の組立前の状態を示す模式展開平面図
【図3】実施の形態1における組立箱の差込片の差し込み状態を示す要部断面模式側面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における組立箱について、以下図面を参照しながら説明する。
図1は実施の形態1における組立箱を示す模式斜視図である。
図1中、1は1枚の段ボールを折り畳んで形成された本発明の実施の形態1における組立箱、2は組立箱1の底板部、3は折り目2aを介して底板部2に連設された組立箱1の背面部、4は折り目2bを介して底板部2に連設され背面部3と対向配置された組立箱1の前面部、8は背面部3の両側部で底板部2の対向する一組の辺上に立設された組立箱1の側面部、9は折り目2cを介して底板部2に連設された側面部8の側面外壁部、10は折り目9aを介して側面外壁部9に連設された側面部8の側面上壁部、11は折り目10aを介して側面上壁部10に連設された側面部8の側面内壁部、11aは各々の側面内壁部11の前後2箇所に形成され底板部2に穿設された嵌合孔2dに嵌合された嵌合凸部、12は背面部3の上辺に折り目3bを介して連設された組立箱1の蓋部、13aは蓋部12の先端部に折り目12aを介して連設され前面部4の内側に差し込まれる前部係止片、13bは蓋部12の両側部に折り目12bを介して連設され各々の側面部8の内側に差し込まれる側部係止片である。
【0021】
次に、実施の形態1における組立箱の組立方法について説明する。
図2は実施の形態1における組立箱の組立前の状態を示す模式展開平面図である。
図2中、1aは所定の形状に切断され又はくり抜かれ実施の形態1における組立箱1を形成する段ボール、5a,5bは背面部3及び前面部4のそれぞれの両端部に折り目3a,4aを介して延設された差込片、6は各々の差込片5a,5bの先端側の上縁に上に凸の円弧状に形成された複数の突起部、7は各々の差込片5a,5bの複数の突起部6の下方に穿設された長孔状の貫通孔である。
【0022】
まず、実施の形態1における組立箱1を組み立てるには、図2において、背面部3及び前面部4をそれぞれ折り目2a,2bで折り曲げて起立させる。
次に、背面部3及び前面部4のそれぞれの両端部の折り目3a,4aで差込片5a,5bを折り曲げ、底板部2の両側の折り目2c上に重ねる。
次に、底板部2の両側の折り目2c,9a,10aで側面外壁部9,側面上壁部10,側面内壁部11を順に内側に折り曲げ、側面外壁部9と側面内壁部11の間に差込片5a,5bを挟持して、側面内壁部11の嵌合凸部11aを底板部2の嵌合孔2dに嵌合し、コ字型の側面部8を形成して、図1の組立箱1が完成する。
組立箱1の中に収容物を収容した後、折り目3bで蓋部12を折り曲げ、さらに折り目12a,12bで折り曲げた前部係止片13a,側部係止片13bをそれぞれ前面部6,側面部8の内側に差し込んで蓋をする。
【0023】
次に、実施の形態1における組立箱の構造について説明する。
図3は実施の形態1における組立箱の差込片の差し込み状態を示す要部断面模式側面図である。
図3中、8aはコ字型に形成された側面部8(図1参照)の側面外壁部9と側面上壁部10と側面内壁部11で囲まれた中空部である。
図2に示したように、差込片5a,5bは、根元側(折り目3a,4a側)の高さが低く、先端側の高さが高くなるように全体が傾斜して形成されている。また、複数の突起部6は頂部の高さが、差込片5a,5bの根元側が低く、差込片5a,5bの先端側が高くなるように配置されている。
そして、図3に示すように、差込片5aが中空部8aに差し込まれた際に、差込片5aの先端側の上縁に形成された複数の突起部6が側面上壁部10の内面と当接し、差込片5a全体が下方(底面部2側)に押し下げられ、強固に固定される。これにより、差込片5aが中空部8aから抜けることがなく、背面部3が外方に倒れることを防止でき、組立箱1の潰れや変形などの発生を防ぐことができる。
また、差込片5aの下方に形成された貫通孔7を有することにより、落下による衝撃力などの過度の外力によって、背面部3を外方に倒そうとする力が発生し、差込片5aを上方に回動させようとする力が作用した際に、貫通孔7を潰すようにして突起部6が変形し、外力を緩衝(吸収)することができ、差込片5a全体や側面部8などの破損を防止できる。
これらは、前面部4側の差込片5bについても同様なので説明を省略する。
【0024】
本実施の形態では、突起部6を上に凸の円弧状に形成し、突起部6と突起部6の間を下に凸の円弧状につないで、差込片5a,5bの先端側を滑らかな波形に形成した。上端の接触面積が少なく、上端側から下端側に向かって徐々に幅が増加する突起部6により、上方から加わる力を分散させることができ、差込片5a,5bや側面上壁部10の変形や破損などを効果的に防止できるためである。
また、差込片5a,5b全体を傾斜させ、複数の突起部6の頂部の高さが、差込片5a,5bの根元側が低く、差込片5a,5bの先端側が高くなるように一直線状に配置した。複数の突起部6の全ての頂部を側面部8の平面状の側面上壁部10の内面に確実かつ略均等に当接させて、複数の突起部6に加わる力を分散させ、突起部6や差込片5a,5bの破損を防止し、差込片5a,5b全体を強固に固定するためである。
尚、突起部6の形状、大きさ(幅や高さ)、数などは、適宜、選択することができるが、例えば突起部6の形状は、三角形状や台形状などに形成してもよい。また、各々の突起部6の形状や大きさなどは全て同じでもよいし、それぞれ異なっていてもよい。
【0025】
側面部8の中空部8aの幅(側面外壁部9と側面内壁部11との隙間)は、差込片5a,5bの厚さとほぼ同等に形成した。差込片5a,5bを中空部8aに挟持した状態で、差込片5a,5bの両面を側面外壁部9と側面内壁部11に密着させ、側面部8が内方や外方に倒れることを防止でき、形状安定性に優れるためである。
また、貫通孔7の形状、配置、数は、突起部6の形状、配置、数などに応じて、適宜、選択することができる。貫通孔7は各々の突起部6の下方に独立して形成してもよいし、複数の突起部6に共通するように(跨るように)長孔状に形成してもよい。本実施の形態のように、貫通孔7を複数の突起部6に共通するように(跨るように)形成した場合、突起部6に荷重が加わった際に、貫通孔7全体が潰れ易く、複数の突起部6が一直線状に並ぶように変形して側面部8の側面上壁部10の内面と密着するので、突起部6の変形後も差込片5a,5bが中空部8aから抜けることがなく、背面部3や前面部4が外方に倒れることを確実に防止して形状を保持することができ、形状保持の確実性、信頼性に優れる。
【0026】
実施の形態1の組立箱は以上のように構成されているので、以下の作用を有する。
(1)底板部の一辺上に折り目を介して立設される背面部には、外方に開こうとする力(元の平面状態に戻ろうとする力)が発生するが、背面部の両端部に折り目を介して延設され、側面部の中空部に挟持される差込片が、先端側の上縁に形成され側面部の側面上壁部の内面と当接する複数の突起部を有することにより、差込片を側面上壁部で確実に下方に押し下げることができ、背面部が外方に開くことを防止でき、形状安定性に優れる。
(2)差込片が、差込片の先端側の上縁に形成され側壁部の中空部に挟持された状態で側面部の側面上壁部の内面と当接する複数の突起部を有するので、積載時の荷重などにより背面部を外方に倒そうとする外力が働いた場合でも、複数の突起部が側面部の側面上壁部の内面と当接することによって、差込片が中空部から抜けることがなく、背面部が外方に倒れることを防止して形状を維持することができ、潰れや変形などが発生せず、形状安定性、耐久性に優れる。
(3)差込片が、先端側の上縁に形成された複数の突起部を有することにより、落下による衝撃力などの外力が差込片に加わった際に、その力を複数の突起部で分散させることができるので、差込片の根元側に力が集中して差込片が背面部からちぎれることや差込片の先端側が側面部の側面上壁部を突き破ることがなく、破損を効果的に防止することができ、耐衝撃性、形状保持性に優れる。
(4)差込片の各々の突起部が、上に凸の円弧状に形成されることにより、側面部の側面上壁部に加わる力が、突起部で分散し易く、突起部や差込片或いは側面上壁部の変形や破損などの発生を防止することができ、耐久性に優れる。
(5)組立前の差込片の複数の突起部の頂部の高さが、差込片の根元側が低く、差込片の先端側が高くなるように配置されることにより、組立時に差込片の先端側の突起部の頂部を確実に側面部の側面上壁部の内面と当接させ、差込片全体を傾斜させて複数の突起部で差込片全体を側面部の中空部に保持することができ、堅牢性、形状安定性に優れる。
(6)差込片が、突起部の下方に穿設された貫通孔を有することにより、落下による衝撃力などの過度の外力が差込片に加わった際に、貫通孔を潰すようにして突起部が変形し、外力を緩衝(吸収)することができるので、差込片全体や側面部などの破損を確実に防止することができ、耐衝撃性、形状保持性に優れる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、簡単な構造で組立て及び分解の作業性を低下させることなく、外力に対する形状安定性、耐久性を向上させ、潰れや変形などの発生を防止できると共に、過大な外力や落下時の衝撃力などが加わった際には、その力を分散、緩衝して、破損を防止することができる耐衝撃性、形状保持性に優れた組立箱の提供を行い、収容物を確実に保護し、安全に搬送することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 組立箱
1a 段ボール
2 底板部
2a,2b,2c,3a,3b,4a,9a,10a,12a,12b 折り目
2d 嵌合孔
3 背面部
4 前面部
5a,5b 差込片
6 突起部
7 貫通孔
8 側面部
8a 中空部
9 側面外壁部
10 側面上壁部
11 側面内壁部
11a 嵌合凸部
12 蓋部
13a 前部係止片
13b 側部係止片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板部と、前記底板部の一辺上に折り目を介して立設される背面部と、前記背面部の両端部に折り目を介して延設される差込片と、前記背面部の両側部で前記底板部の対向する一組の辺にそれぞれ折り目を介して連設され前記折り目で折り返されてコ字型に形成される側面外壁部と側面上壁部と側面内壁部で囲まれる中空部に前記差込片を挟持する側面部と、を備えた包装容器であって、
前記差込片が、前記差込片の先端側の上縁に形成され前記側面部の前記中空部に挟持された状態で前記側面部の前記側面上壁部の内面と当接する1以上の突起部を備えたことを特徴とする組立箱。
【請求項2】
前記差込片の前記突起部が、上に凸の円弧状に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の組立箱。
【請求項3】
前記差込片に前記突起部が複数形成され、組立前の複数の前記突起部の頂部の高さが、前記差込片の根元側が低く、前記差込片の先端側が高くなるように配置されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の組立箱。
【請求項4】
前記差込片が、前記突起部の下方に穿設された貫通孔を備えたことを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の組立箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−43657(P2013−43657A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180707(P2011−180707)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(506092455)大▲国▼段ボール工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】