説明

組立装置

【課題】短時間で組電池を組み立て可能な組立装置を提供する。
【解決手段】標準組電池Sを分解し、標準組電池Sを構成する複数の電池モジュールMを用いて、組電池A1・A2を組み立てるための組立装置1であって、標準組電池Sを分解するための分解台10と、分解台10の右側に隣接し、組電池A1・A2を組み立てるための組立台20と、を具備し、分解台10及び組立台20は、電池モジュールMを載置可能、かつ、左右方向に沿って、電池モジュールMを分解台10から組立台20に移動可能に構成される複数のローラ11・21を有し、組立台20は、複数の電池モジュールMを配列方向に沿って挟むように配置される固定板23及び可動押圧部材26を有し、可動押圧部材26は、電池モジュールMの配列方向に沿って移動可能、かつ、所定の位置に固定可能に構成され、複数の電池モジュールMを固定板23に向けて押圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方向に配列された複数の電池モジュールを具備する組電池を組み立てるための組立装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一方向(直列)に配列された状態で一体的に拘束され、互いに電気的に接続された複数の電池モジュールを具備する組電池が広く知られている(特許文献1参照)。
【0003】
上記のような組電池は、搭載される電池モジュールの数が用途ごとに異なっており、当該電池モジュールの数に応じた製造設備が設置される。
しかしながら、設置された製造設備に対応しない数の電池モジュールを有する組電池を製造する場合においては、当該電池モジュールの数に合わせて製造設備を改造する必要があり、組電池の製造コストが増加するという問題が生じる。
【0004】
上記の問題を解決するために、前記製造設備に対応しない数の電池モジュールを有する組電池を製造する場合は、前記製造設備で製造された組電池における電池モジュールの拘束を解除し、当該電池モジュールを用いて新たに組電池を組み立てる作業が行われている。
しかしながら、このような組電池の組み立て作業においては、電池モジュールの移動及び整列を手作業で1個ずつ行っているのが現状であり、組電池の組み立てに多くの時間を要する点で不利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−048965公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、短時間で組電池を組み立て可能な組立装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の組立装置は、一方向に配列される複数の電池モジュールと、当該複数の電池モジュールを拘束する標準拘束部材と、を具備する標準組電池を分解し、前記標準組電池を構成する電池モジュールを用いて、複数かつ前記標準組電池が有する前記電池モジュールよりも少ない数の前記電池モジュールと、これらの電池モジュールを拘束する拘束部材と、を具備する組電池を組み立てるための組立装置であって、前記標準組電池を載置して、当該標準組電池における標準拘束部材の拘束を解除するための分解台と、当該分解台に隣接し、前記組電池を組み立てるための組立台と、を具備し、前記分解台及び前記組立台は、前記電池モジュールを載置可能、かつ、前記電池モジュールを前記分解台から前記組立台に移動可能に構成される複数のローラを有し、前記組立台は、当該組立台上に移動された複数の電池モジュールを配列方向に沿って挟むように配置される一対の組立用挟持部材を有し、前記一対の組立用挟持部材の少なくとも一方は、前記組立台上の電池モジュールの配列方向に沿って移動可能、かつ、所定の位置に固定可能に構成され、前記一対の組立用挟持部材は、前記組立台上の複数の電池モジュールに前記拘束部材が取り付け可能な状態となるように、当該複数の電池モジュールを配列方向に沿って押圧する。
【0008】
本発明の組立装置において、前記一対の組立用挟持部材は、固定板、及び可動押圧部材であり、前記固定板は、前記組立台のローラにおける前記電池モジュールとの接触部分よりも高い位置まで突出するように形成され、前記可動押圧部材は、前記組立台上に移動された複数の電池モジュールの配列方向に沿って移動可能、かつ、所定の位置に固定可能に構成され、当該複数の電池モジュールに前記拘束部材が取り付け可能な状態となるように、当該複数の電池モジュールを前記固定板に向けて押圧することが好ましい。
【0009】
本発明の組立装置において、前記分解台は、前記標準組電池を構成する複数の電池モジュールの配列方向に沿って、当該標準組電池を挟むように配置される一対の分解用挟持部材を有し、前記一対の分解用挟持部材の少なくとも一方は、前記分解台上における複数の電池モジュールの配列方向に沿って移動可能、かつ、所定の位置に固定可能に構成され、前記一対の分解用挟持部材は、前記標準組電池から前記標準拘束部材を取り外し可能な状態となるように、当該標準組電池を構成する複数の電池モジュールの配列方向に沿って、当該標準組電池を押圧することが好ましい。
【0010】
本発明の組立装置において、前記一対の分解用挟持部材は、押圧部材、及び可動板であり、前記押圧部材は、前記標準組電池から前記標準拘束部材を取り外し可能な状態となるように、前記標準組電池を前記可動板に向けて押圧するように構成され、前記可動板は、前記分解台上における複数の電池モジュールの配列方向に沿って移動可能、かつ、所定の位置に固定可能に構成され、当該電池モジュールの配列方向における前記標準組電池の一端面に当接可能な位置に配置されることが好ましい。
【0011】
本発明の組立装置において、前記組立台は、前記分解台に対して、当該分解台上における前記電池モジュールの配列方向と水平に直交する方向に位置することが好ましい。
【0012】
本発明の組立装置において、前記標準拘束部材は、前記電池モジュールの配列方向に沿って延出する複数の標準拘束ロッドから構成され、前記複数の標準拘束ロッドは、前記標準組電池を構成する複数の電池モジュールにおける前記分解台のローラとの接触面と、当該接触面とは反対側の面とを挟持するように配置され、前記分解台における複数のローラは、前記接触面側に配置される標準拘束ロッドの位置に合わせて、当該標準拘束ロッドが通過できる程度の幅を有する間隙が形成されるように配置されることが好ましい。
【0013】
本発明の組立装置において、前記拘束部材は、前記電池モジュールの配列方向に沿って延出する複数の拘束ロッドから構成され、前記複数の拘束ロッドは、前記組電池を構成する複数の電池モジュールにおける前記組立台のローラとの接触面と、当該接触面とは反対側の面とを挟持するように配置され、前記組立台における複数のローラは、前記接触面側に配置される拘束ロッドの位置に合わせて、当該拘束ロッドが通過できる程度の幅を有する間隙が形成されるように配置され、前記組立台に形成される間隙には、前記接触面側に配置される拘束ロッドが前記組立台上の複数の電池モジュールを拘束する位置にて、当該拘束ロッドを支持する支持部材が設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る組立装置によれば、短時間で組電池を組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る標準組電池を示す斜視図。
【図2】本発明に係る組立装置を示す平面図。
【図3】標準組電池が載置された状態の分解台を示す背面図。
【図4】本発明に係る組立装置を用いた、標準組電池の分解作業、及び組電池を組み立て作業を示す図。
【図5】本発明に係る組立装置を用いた、標準組電池の分解作業、及び組電池を組み立て作業を示す図。
【図6】本発明に係る組立装置を用いた、標準組電池の分解作業、及び組電池を組み立て作業を示す図。
【図7】本発明に係る組立装置を用いた、標準組電池の分解作業、及び組電池を組み立て作業を示す図。
【図8】本発明に係る組立装置を用いた、標準組電池の分解作業、及び組電池を組み立て作業を示す図。
【図9】本発明に係る組立装置を用いた、標準組電池の分解作業、及び組電池を組み立て作業を示す図。
【図10】本発明に係る組立装置を用いた、標準組電池の分解作業、及び組電池を組み立て作業を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、図面を参照して、本発明に係る組立装置の一実施形態である組立装置1について説明する。
組立装置1は、所定の製造設備で製造された組電池S(以下、「標準組電池S」と記す)を分解し、当該標準組電池Sを構成する複数の電池モジュールM・M・・・を用いて、標準組電池Sとは異なる数のモジュールM・M・・・を具備する2つの組電池A1・A2を組み立てる際に使用される装置である。
【0017】
まず、標準組電池S及び組電池A1・A2の構成について説明する。
図1に示すように、標準組電池Sは、複数個(本実施形態においては、34個)の電池モジュールM・M・・・を具備する組電池である。
なお、説明の便宜上、図1における上下方向を標準組電池Sの上下方向と規定する。
【0018】
電池モジュールMは、二次電池として構成される複数のセルが扁平な直方体状の容器に収納されて構成されており、当該容器の幅広面同士が接触するように、一方向(直列)に複数個配列されている。なお、電池モジュールMは、複数のセルを有するものに限定しない。つまり、電池モジュールMは、単一のセルから構成されたものを含み、少なくとも1つのセルを有していればよい。
複数の電池モジュールM・M・・・は、直列に配列された状態で、一対の上側標準拘束ロッドRa・Raと、一対の下側標準拘束ロッドRb・Rbと、一対のエンドプレートE・Eとによって一体的に拘束されている。
【0019】
上側標準拘束ロッドRa及び下側標準拘束ロッドRbは、複数の電池モジュールM・M・・・の配列方向に沿って延出する棒材である。上側標準拘束ロッドRa及び下側標準拘束ロッドRbは、標準組電池Sを構成する複数の電池モジュールM・M・・・をそれぞれ上方向及び下方向から拘束する標準拘束部材として機能する。
【0020】
エンドプレートEは、電池モジュールMと略同様の形状を有する板材である。
エンドプレートEの上端部には、一対の上側標準拘束ロッドRa・Raを固定するための一対の上側固定部Ea・Eaが形成され、エンドプレートEの下端部には、一対の下側標準拘束ロッドRb・Rbを固定するための一対の下側固定部Eb・Ebが形成されている。
上側固定部Eaは、エンドプレートEの上端面から上方に突出するように形成されており、2つの上側固定部Ea・Eaが互いに離間した状態で配置されている。
下側固定部Ebは、エンドプレートEの下端面から下方に突出するように形成されており、2つの下側固定部Eb・Ebが互いに離間した状態で配置されている。
【0021】
標準組電池Sにおいては、一対の上側標準拘束ロッドRa・Raの外周面、及び一対の下側標準拘束ロッドRb・Rbの外周面がそれぞれ複数の電池モジュールM・M・・・の上下面に接触され、かつ、直列に配列された複数の電池モジュールM・M・・・の配列方向における両端面に一対のエンドプレートE・Eの幅広面が接触される。そして、この状態で、一対の上側標準拘束ロッドRa・Raの一端部と、一方のエンドプレートEにおける一対の上側固定部Ea・EaとをボルトB・Bによって固定し、一対の上側標準拘束ロッドRa・Raの他端部と、他方のエンドプレートEにおける一対の上側固定部Ea・EaとをボルトB・Bによって固定すると共に、一対の下側標準拘束ロッドRb・Rbの一端部と、一方のエンドプレートEにおける一対の下側固定部Eb・EbとをボルトB・Bによって固定し、一対の下側標準拘束ロッドRb・Rbの他端部と、他方のエンドプレートEにおける一対の下側固定部Eb・EbとをボルトB・Bによって固定することで、複数の電池モジュールM・M・・・が一体的に拘束される。
【0022】
組電池A1・A2は、標準組電池Sを構成する複数の電池モジュールM・M・・・を用いて組み立てられる組電池である。
組電池A1は、複数かつ標準組電池Sが有する電池モジュールMよりも少ない数(本実施形態においては、18個)の電池モジュールM・M・・・を具備する組電池である。組電池A1は、一対の上側標準拘束ロッドRa・Raの代わりに一対の上側拘束ロッドRc・Rcが設けられ、一対の下側標準拘束ロッドRb・Rbの代わりに一対の下側拘束ロッドRd・Rdが設けられる点で、標準組電池Sと異なる。
組電池A2は、複数かつ標準組電池Sが有する電池モジュールMよりも少ない数(本実施形態においては、16個)の電池モジュールM・M・・・を具備する組電池である。組電池A2は、一対の上側標準拘束ロッドRa・Raの代わりに一対の上側拘束ロッドRe・Reが設けられ、一対の下側標準拘束ロッドRb・Rbの代わりに一対の下側拘束ロッドRf・Rfが設けられる点で、標準組電池Sと異なる。
上側拘束ロッドRc及び上側拘束ロッドReは、前後寸法が異なる点以外は、上側標準拘束ロッドRaと略同様に構成された部材である。
下側拘束ロッドRd及び下側拘束ロッドRfは、前後寸法が異なる点以外は、下側標準拘束ロッドRbと略同様に構成された部材である。
【0023】
次に、組立装置1の構成について説明する。
図2に示すように、組立装置1は、互いに隣接して配置される分解台10、及び組立台20から構成されている。
なお、説明の便宜上、図2における左右方向を組立装置1の左右方向と規定する。また、図2における上方を組立装置1の後方、同じく下方を組立装置1の前方と規定する。更に、図2における紙面手前側を組立装置1の上方、同じく紙面奥側を組立装置1の下方と規定する。
【0024】
分解台10は、標準組電池Sが載置され、標準組電池Sにおける一対の上側標準拘束ロッドRa・Ra、及び一対の下側標準拘束ロッドRb・Rbの拘束を解除するための台である。詳細には、分解台10上にて、一対の上側標準拘束ロッドRa・Ra、一対の下側標準拘束ロッドRb・Rb、及び一対のエンドプレートE・Eが標準組電池Sから取り外され、複数の電池モジュールM・M・・・のみが残される。分解台10上に残った複数の電池モジュールM・M・・・は、分解台10に隣接して配置される組立台20に所定の数ごとに搬送される。
【0025】
分解台10は、軸心が互いに平行になるように配置される複数のローラ11・11・・・と、複数のローラ11・11・・・を支持する枠体の一部を成す固定板12と、固定板12と共に前記枠体を構成する前枠板13F、左枠板13L、及び右枠板13Rと、ローラ11の軸方向に沿って延出するガイドレール14と、ガイドレール14上を摺動する可動板15及び支持板16と、固定板12に設けられる押圧部材17と、複数のローラ11・11・・・の下方に設けられる回収箱18(図3参照)とを具備する。
【0026】
ローラ11は、前後方向に延出するローラであり、固定板12が構成する枠体に回転可能に支持されている。ローラ11は、軸心が前後方向に一致するように、左右方向に沿って、互いに所定の距離を空けて水平に複数個(本実施形態においては、6個)配置されている。
複数のローラ11・11・・・上には、ローラ11の軸方向と電池モジュールMの配列方向とが一致した状態で、標準組電池Sが載置される。
こうして、複数のローラ11・11・・・は、複数のローラ11・11・・・上に載置される複数の電池モジュールM・M・・・を作業者が左右方向に沿って容易に移動させることを可能としている。
【0027】
また、複数のローラ11・11・・・は、当該複数のローラ11・11・・・上に載置された状態の標準組電池Sにおける一対の下側標準拘束ロッドRb・Rbの位置に合わせて、当該一対の下側標準拘束ロッドRb・Rbが通過できる程度の幅(左右寸法)を有する間隙11a・11aが形成されるように配置される。
詳細には、互いに微小な距離を空けて配置された三つのローラ11・11・11に対して、それらの左方及び右方にそれぞれ下側標準拘束ロッドRbの外径よりも大きい距離を空けて、一つのローラ11、及び二つのローラ11・11が配置されている。
このように、複数のローラ11・11・・・は、間隙11a・11aが形成されるように配置されているため、分解台10上にて標準組電池Sにおける一対の下側標準拘束ロッドRb・Rbの拘束が解除された際に、一対の下側標準拘束ロッドRb・Rbが間隙11a・11aを通って下方に落下する。
【0028】
図2及び図3に示すように、固定板12は、矩形状の板材であり、板面を前後方向に向けて配置されている。固定板12は、複数のローラ11・11・・・の後端部に取り付けられ、複数のローラ11・11・・・における複数の電池モジュールM・M・・・との接触部分よりも高い位置(上方の位置)まで突出するように形成されている。つまり、固定板12の上端面は、複数のローラ11・11・・・に載置される複数の電池モジュールM・M・・・が固定板12を越えて後方へ移動しないような高さ(上下位置)に位置する。更に、固定板12の上端面は、分解台10に載置された状態の標準組電池Sにおける上側標準拘束ロッドRa・Raの後端部に取り付けられたボルトB・Bよりも低い位置(下方の位置)に配置される。
【0029】
固定板12には、二つの貫通孔12a・12aが設けられている。
貫通孔12aは、固定板12を前後方向に貫通するように形成されている。貫通孔12aは、分解台10に載置された状態の標準組電池Sにおける下側標準拘束ロッドRb・Rbの後端部に取り付けられたボルトB・Bの位置に合わせて配置される。
こうして、貫通孔12a・12aを通して、下側標準拘束ロッドRb・Rbの後端部に取り付けられたボルトB・Bの締結をQLレンチ等により解除することが可能となっている。
【0030】
図2に示すように、前枠板13F、左枠板13L、及び右枠板13Rは、固定板12と共に矩形状の枠体を構成する。
前枠板13Fは、矩形状の板材であり、板面を前後方向に向けて配置されている。前枠板13Fは、複数のローラ11・11・・・の前端部に取り付けられている。
左枠板13Lは、矩形状の板材であり、板面を左右方向に向けて配置されている。左枠板13Lの前端部は、前枠板13Fの左端部に固定され、左枠板13Lの後端部は、固定板12の左端部に固定されている。
右枠板13Rは、矩形状の板材であり、板面を左右方向に向けて配置されている。右枠板13Rの前端部は、前枠板13Fの右端部に固定され、右枠板13Rの後端部は、固定板12の右端部に固定されている。右枠板13Rの上端面は、複数のローラ11・11・・・における複数の電池モジュールM・M・・・との接触部分よりも低い位置(下方の位置)に配置される。つまり、右枠板13Rは、複数のローラ11・11・・・に載置される複数の電池モジュールM・M・・・が右枠板13Rを越えて右方へ移動できる程度の高さ(上下位置)に位置する。
【0031】
ガイドレール14は、可動板15及び支持板16の摺動経路であり、可動板15及び支持板16と共に摺動機構を構成する。なお、このような摺動機構は、既存のリニアガイド等によって実現可能である。
ガイドレール14は、固定板12と前枠板13Fとの間において、ローラ11の軸方向に沿って延出し、左枠板13Lの右端面近傍に配置されている。
【0032】
可動板15は、板面を前後方向に向けて配置された板材であり、分解台10の左右方向における全域に亘って延出している。可動板15は、固定板12に対して近接及び離間するように、ガイドレール14上を摺動し、所定の位置で固定可能に構成されている。可動板15は、標準組電池Sの前端面(前側のエンドプレートE)に当接可能な位置に配置される。詳細には、可動板15は、複数のローラ11・11・・・における複数の電池モジュールM・M・・・との接触部分よりも高い位置(上方の位置)、かつ、上側標準拘束ロッドRa・Raの前端部に取り付けられたボルトB・Bよりも低い位置(下方の位置)に配置される。
このように、可動板15は、複数のローラ11・11・・・に載置される複数の電池モジュールM・M・・・が可動板15を越えて前方へ移動できないように構成されている。
【0033】
また、可動板15には、二つの貫通孔15a・15aが設けられている。
貫通孔15aは、固定板12に形成された貫通孔12aと略同様に構成され、可動板15を前後方向に貫通するように形成されている。貫通孔15aは、分解台10に載置された状態の標準組電池Sにおける下側標準拘束ロッドRb・Rbの前端部に取り付けられたボルトB・Bの位置に合わせて配置される。
こうして、貫通孔15a・15aを通して、下側標準拘束ロッドRb・Rbの前端部に取り付けられたボルトB・Bの締結をQLレンチ等により解除することが可能となっている。
【0034】
支持板16は、ガイドレール14上に設けられた板材である。支持板16は、固定板12と可動板15との間において、ガイドレール14上を摺動し、所定の位置で固定可能に構成されている。
更に、支持板16は、ガイドレール14から上方に起立した状態と、ガイドレール14から右方に向けて突出した状態(図2における二点鎖線参照)とを切り替え可能に構成されている。支持板16は、ガイドレール14から上方に起立した状態においては、複数のローラ11・11・・・に載置される複数の電池モジュールM・M・・・の後端面に接触せず、ガイドレール14から右方に向けて突出した状態においては、複数のローラ11・11・・・に載置される複数の電池モジュールM・M・・・の後端面に接触することとなる。
【0035】
押圧部材17は、複数のローラ11・11・・・に載置される標準組電池Sを可動板15に向けて押圧する部材である。押圧部材17は、可動板15と共に分解用挟持部材として機能する。押圧部材17は、固定板12に設けられ、固定板12から取り外し可能に構成されている。
押圧部材17としては、例えば、トグルクランプを採用可能である。
【0036】
図2及び図3に示すように、押圧部材17は、固定部17aと、押圧部17bとを具備する。
固定部17aは、固定板12の上端面の左右方向における中央部に形成された穴に挿入され、固定板12の上端面から上方に向けて延出する。
押圧部17bは、固定部17aの上端部に取り付けられている。押圧部17bは、可動板15に対して近接及び離間し、可動板15に最も近接した状態(最も前方に突出した状態)で固定可能に構成される。
【0037】
このように、押圧部材17は、固定部17aが固定板12の上端面の左右方向における中央部に形成された穴に挿入されることによって、固定板12に取り付けられる。更に、押圧部材17は、押圧部17bが可動板15に最も近接した状態で固定されることで、複数のローラ11・11・・・に載置される標準組電池Sを可動板15に向けて押圧し、拘束する。
ここで、標準組電池Sにおける複数の電池モジュールM・M・・・には、内圧によって互いに離間しようとする力が生じており、この状態で標準組電池SからボルトB・B・・・を取り外すことができない。そのため、ボルトB・B・・・を標準組電池Sから取り外し可能な状態、換言すれば、一対の上側標準拘束ロッドRa・Raと、一対の下側標準拘束ロッドRb・Rbとを標準組電池Sから取り外し可能な状態となるように、押圧部材17によって標準組電池Sを可動板15に向けて押圧するのである。
【0038】
図3に示すように、回収箱18は、上方が開放した箱状の部材であり、複数のローラ11・11・・・の下方に配置されている。回収箱18は、分解台10上にて標準組電池Sにおける一対の下側標準拘束ロッドRb・Rbの拘束が解除された際に、間隙11a・11aを通って下方に落下する一対の下側標準拘束ロッドRb・Rbを回収するように、位置及び寸法が適宜設定されている。
【0039】
図2に示すように、組立台20は、分解台10から搬送された所定数の電池モジュールM・M・・・を用いて、組電池A1・A2を組み立てるための台である。組立台20は、分解台10に対して電池モジュールMの配列方向と水平に直交する方向(左右方向)に沿って隣接している。詳細には、組立台20は、分解台10の右側に隣接し、分解台10に対して互いの後端位置を合わせて配置されている。
【0040】
組立台20は、軸心が互いに平行になるように配置される複数のローラ21・21・・・と、複数のローラ21・21・・・の間に設けられる一対の支持部材22・22と、複数のローラ21・21・・・を支持する枠体の一部を成す固定板23と、固定板23と共に前記枠体を構成する前枠板24F、及び右枠板24Rと、ローラ21の軸方向に沿って延出するガイドレール25と、ガイドレール25上を摺動する可動押圧部材26と、複数の電池モジュールM・M・・・を整列させるための整列板27とを具備する。
【0041】
ローラ21は、前後方向に延出するローラであり、固定板23が構成する枠体に回転可能に支持されている。ローラ21は、軸心が前後方向に一致するように、左右方向に沿って、互いに所定の距離を空けて水平に複数個(本実施形態においては、4個)配置されている。ローラ21は、分解台10のローラ11と高さ(上下方向の位置)を合わせて配置されている。
複数のローラ21・21・・・上には、分解台10から搬送された複数の電池モジュールM・M・・・がローラ21の軸方向と電池モジュールMの配列方向とが一致した状態で載置される。
こうして、複数のローラ21・21・・・は、分解台10から搬送され、複数のローラ21・21・・・上に載置される複数の電池モジュールM・M・・・を作業者が左右方向に沿って容易に移動させることを可能としている。
つまり、分解台10の複数のローラ11・11・・・、及び組立台20の複数のローラ21・21・・・は、電池モジュールMの配列方向と水平に直交する方向(左右方向)に沿って、複数の電池モジュールM・M・・・を分解台10から組立台20に移動可能に構成されているのである。
【0042】
また、複数のローラ21・21・・・は、組電池A1における一対の下側拘束ロッドRd・Rdの位置、及び組電池A2における一対の下側拘束ロッドRf・Rfの位置に合わせて、当該一対の下側拘束ロッドRd・Rd及び一対の下側拘束ロッドRf・Rfが通過できる程度の幅(左右寸法)を有する二つの間隙が形成されるように配置される。
詳細には、左端のローラ21は、左端から二番目のローラ21に対して、下側拘束ロッドRd及び下側拘束ロッドRfの外径よりも大きい距離を空けて配置されると共に、右端のローラ21は、右端から二番目のローラ21に対して、下側拘束ロッドRd及び下側拘束ロッドRfの外径よりも大きい距離を空けて配置されている。
所定のローラ21・21間に形成された間隙には、支持部材22が設けられている。つまり、複数のローラ21・21・・・の間には、一対の支持部材22・22が設けられている。
【0043】
支持部材22は、組電池A1・A2を組み立てる際に、下側拘束ロッドRd、及び下側拘束ロッドRfを支持する部材である。支持部材22は、前後方向に沿って延出する円筒を軸心に沿って二等分した形状を有しており、開放部分を上方に向けた状態(切断面を上方に向けた状態)で、固定板12が構成する枠体に固定されている。
支持部材22の内径は、下側拘束ロッドRd及び下側拘束ロッドRfの外径と略一致するように設定されており、支持部材22の内面に上方から下側拘束ロッドRd、又は下側拘束ロッドRfが載置されることで、下側拘束ロッドRd、又は下側拘束ロッドRfが支持部材22に下方から支持されることとなる。
前述のように、複数のローラ21・21・・・の間に形成された間隙は、組電池A1における一対の下側拘束ロッドRd・Rdの位置、及び組電池A2における一対の下側拘束ロッドRf・Rfの位置に合わせて配置されている。そのため、当該二つの間隙に設けられた一対の支持部材22・22は、組電池A1における一対の下側拘束ロッドRd・Rdの位置、及び組電池A2における一対の下側拘束ロッドRf・Rfの位置に一致している。つまり、一対の支持部材22・22は、組電池A1が組み立てられる際には、一対の下側拘束ロッドRd・Rdが組電池A1を構成する電池モジュールM・M・・・を拘束する位置で、一対の下側拘束ロッドRd・Rdを支持し、組電池A2が組み立てられる際には、一対の下側拘束ロッドRf・Rfが組電池A2を構成する電池モジュールM・M・・・を拘束する位置で、一対の下側拘束ロッドRf・Rfを支持するのである。
【0044】
固定板23は、矩形状の板材であり、板面を前後方向に向けて配置されている。固定板23は、複数のローラ21・21・・・の後端部に取り付けられ、複数のローラ21・21・・・における複数の電池モジュールM・M・・・との接触部分よりも高い位置(上方の位置)まで突出するように形成されている。つまり、固定板23の上端面は、複数のローラ21・21・・・に載置される複数の電池モジュールM・M・・・が固定板23を越えて後方へ移動しないような高さ(上下位置)に位置する。更に、固定板23の上端面は、組立台20上にて組電池A1・A2を組み立てる際において、上側拘束ロッドRc・Rcの後端部におけるボルトB・Bの取り付け位置、及び上側拘束ロッドRe・Reの後端部におけるボルトB・Bの取り付け位置よりも低い位置(下方の位置)に配置される。
【0045】
固定板23には、二つの貫通孔23a・23aが設けられている。
貫通孔23aは、固定板12に形成された貫通孔12aと略同様に構成され、固定板23を前後方向に貫通するように形成されている。貫通孔23aは、組立台20上にて組電池A1・A2を組み立てる際において、上側拘束ロッドRc・Rcの後端部におけるボルトB・Bの取り付け位置、及び上側拘束ロッドRe・Reの後端部におけるボルトB・Bの取り付け位置に合わせて配置される。
こうして、組立台20上にて組電池A1・A2を組み立てる際に、貫通孔23a・23aを通して、下側拘束ロッドRd・Rdの後端部、及び下側拘束ロッドRf・Rfの後端部にそれぞれボルトB・BをQLレンチ等により締結することが可能となっている。
【0046】
前枠板24F、及び右枠板24Rは、固定板23と共に枠体を構成する。
前枠板24Fは、矩形状の板材であり、板面を前後方向に向けて配置されている。前枠板24Fは、複数のローラ21・21・・・の前端部に取り付けられている。
右枠板24Rは、矩形状の板材であり、板面を左右方向に向けて配置されている。右枠板24Rの前端部は、前枠板24Fの右端部に固定され、右枠板24Rの後端部は、固定板23の右端部に固定されている。
前枠板24F、右枠板24R、及び固定板23は、分解台10の枠体に固定されることで、分解台10の枠体の一部と共に矩形状の枠体を構成している。詳細には、固定板23の左端部が分解台10の固定板12の右端部に固定され、前枠板24Fの左端部が分解台10の右枠板13Rの前後方向における中途部に固定されている。
【0047】
ガイドレール25は、可動押圧部材26の摺動経路であり、可動押圧部材26と共に摺動機構を構成する。なお、このような摺動機構は、既存のリニアガイド等によって実現可能である。
ガイドレール25は、固定板23と前枠板24Fとの間において、ローラ21の軸方向に沿って延出し、中央の二つのローラ21・21間に配置されている。
【0048】
可動押圧部材26は、複数のローラ21・21・・・に載置される複数の電池モジュールM・M・・・を固定板23に向けて押圧する部材である。可動押圧部材26は、固定板23と共に組立用挟持部材として機能する。可動押圧部材26は、固定板23に対して近接及び離間するように、ガイドレール25上を摺動し、所定の位置で固定可能に構成されている。
可動押圧部材26としては、例えば、トグルクランプを採用可能である。
【0049】
可動押圧部材26は、摺動部26aと、固定部26bと、押圧部26cとを具備する。
摺動部26aは、ガイドレール25上を摺動可能、かつ所定の位置で固定可能に構成されている。
固定部26bは、摺動部26a上に固定され、摺動部26aから上方に向けて延出する。
押圧部26cは、固定部26bの上端部に取り付けられている。押圧部26cは、固定板23に対して近接及び離間し、固定板23に最も近接した状態(最も後方に突出した状態)で固定可能に構成される。
【0050】
このように、可動押圧部材26は、摺動部26aがガイドレール25上を摺動し、所定の位置で固定されることにより、複数のローラ21・21・・・に載置される電池モジュールMの数に合わせた位置に固定可能となっている。更に、可動押圧部材26は、押圧部26cが固定板23に最も近接した状態で固定されることで、複数のローラ21・21・・・に載置される複数の電池モジュールM・M・・・を固定板23に向けて押圧し、拘束する。
ここで、電池モジュールMは、内圧によって膨張しているため、この状態で上側拘束ロッドRc等の拘束部材にボルトB・B・・・を取り付けて、組電池A1・A2を組み立てることができない。そのため、ボルトB・B・・・を上側拘束ロッドRc等の拘束部材に取り付け可能な状態、換言すれば、複数の電池モジュールM・M・・・に上側拘束ロッドRc等の拘束部材を取り付け可能な状態となるように、可動押圧部材26によって複数の電池モジュールM・M・・・を固定板23に向けて押圧するのである。
【0051】
整列板27は、複数のローラ21・21・・・に載置される複数の電池モジュールM・M・・・を整列させるための矩形状の板材である。整列板27は、板面を左右方向に向けた状態で、右枠板13Rの右端面近傍に配置され、固定板23の前面近傍から前枠板24Fの後面近傍にかけて延出している。整列板27は、上端面が複数のローラ21・21・・・における複数の電池モジュールM・M・・・との接触部分よりも低い位置(下方の位置)にある状態と、上端面が複数のローラ21・21・・・における複数の電池モジュールM・M・・・との接触部分よりも高い位置(上方の位置)にある状態とを切り替え可能に構成されている。
【0052】
最後に、作業者が組立装置1を用いて、標準組電池Sを分解し、組電池A1・A2を組み立てる作業について説明する。
【0053】
まず、図4に示すように、作業者は、可動板15を、標準組電池Sに対応する位置に移動させ、当該位置で固定する。そして、作業者は、ローラ11の軸方向と電池モジュールMの配列方向とが一致した状態で、可動板15と押圧部材17との間に標準組電池Sが位置するように、分解台10の複数のローラ11・11・・・上に標準組電池Sを載置する。
このように、可動板15は、標準組電池の種類、つまり標準組電池を構成する電池モジュールMの数に応じて、押圧部材17との距離を変更可能に構成されている。そのため、標準組電池の種類に応じて複数の分解台を用意する必要がなく、一つの分解台10上にて、複数種類の標準組電池に対応することができる。したがって、組立装置の小型化を図ると共に、組立装置の製造コストを削減することができる。
【0054】
続いて、作業者は、押圧部材17によって標準組電池Sを可動板15に向けて押圧することで、標準組電池Sを押圧部材17と可動板15とによって挟持するように拘束する。
上記の如く標準組電池Sが拘束された状態で、作業者は、標準組電池Sから全てのボルトB・B・・・を取り外す。
【0055】
続いて、図5に示すように、作業者は、押圧部材17による標準組電池Sの拘束を解除すると共に、押圧部材17を固定板12から取り外す。そして、作業者は、標準組電池Sから一対のエンドプレートE・E、一対の上側標準拘束ロッドRa・Ra、及び一対の下側標準拘束ロッドRb・Rbを取り外す。
この時、前述のように、複数のローラ11・11・・・は、間隙11a・11aが形成されるように配置されているため、標準組電池Sにおける各下側標準拘束ロッドRbに取り付けられていたボルトB・Bが取り外された際に、各下側標準拘束ロッドRbが間隙11aを通って下方に落下し、回収箱18に回収される。
したがって、作業者が一対の下側標準拘束ロッドRb・Rbを手で標準組電池Sから取り外す必要がなく、標準組電池Sの分解に要する時間を短縮することができる。
【0056】
続いて、作業者は、可動押圧部材26を、組電池A1を組み立てる際の位置に移動させ、当該位置で固定する。そして、作業者は、組電池A1を構成するエンドプレートEと、一対の下側拘束ロッドRd・Rdの前端部とをボルトB・Bによって締結し、これらの部材を、固定板23と可動押圧部材26との間において、エンドプレートEが可動押圧部材26側に配置され、一対の下側拘束ロッドRd・Rdが組立台20の一対の支持部材22・22に下方から支持されるように、組立台20上に載置する。
【0057】
続いて、図6に示すように、作業者は、分解台10の複数のローラ11・11・・・に載置されている34個の電池モジュールM・M・・・のうちの後端から18個の電池モジュールM・M・・・を同時に右方へ押し、18個の電池モジュールM・M・・・がエンドプレートEよりも後方に位置するように、18個の電池モジュールM・M・・・を組立台20の複数のローラ21・21・・・上へと搬送する。
このように、組立装置1によれば、複数の電池モジュールM・M・・・を同時に分解台10から組立台20に移動させることができるため、組電池A1・A2の組み立てに要する時間を短縮することができる。
また、作業者は、18個の電池モジュールM・M・・・を分解台10から組立台20に移動させる前に、整列板27を下方へ移動させておき、18個の電池モジュールM・M・・・を組立台20に移動させた後に、整列板27を上方へ移動させた状態で固定する。そして、作業者は、組立台20の複数のローラ21・21・・・上の18個の電池モジュールM・M・・・を整列板27の右端面に当接させることで、整列させる。
このように、整列板27を用いることによって、容易に複数の電池モジュールM・M・・・を整列させることができ、組電池A1・A2の組み立てに要する時間を短縮することができる。
【0058】
続いて、作業者は、分解台10の複数のローラ11・11・・・上に残された16個の電池モジュールM・M・・・よりも後方に、支持板16を移動させると共に、右方に向けて突出した状態へと切り替え、支持板16の前端面と、16個の電池モジュールM・M・・・の後端面とが当接する位置で支持板16を固定する。
これにより、分解台10の複数のローラ11・11・・・上に残された16個の電池モジュールM・M・・・を支持板16が支持することとなり、電池モジュールMの転倒を防止することができる。
【0059】
続いて、図7に示すように、作業者は、18個の電池モジュールM・M・・・と、固定板23との間にエンドプレートEを配置し、18個の電池モジュールM・M・・・上に一対の上側拘束ロッドRc・Rcを配置する。そして、作業者は、可動押圧部材26によって18個の電池モジュールM・M・・・、及び一対のエンドプレートE・Eを固定板23に向けて押圧することで、18個の電池モジュールM・M・・・、及び一対のエンドプレートE・Eを可動押圧部材26と固定板23とによって挟持するように拘束する。
上記の如く18個の電池モジュールM・M・・・、及び一対のエンドプレートE・Eが拘束された状態で、作業者は、組電池A1を構成する全てのボルトB・B・・・によって、一対のエンドプレートE・Eと、一対の上側拘束ロッドRc・Rcと、一対の下側拘束ロッドRd・Rdとを締結することで、組電池A1を完成させる。
この時、一対の下側拘束ロッドRd・Rdは、18個の電池モジュールM・M・・・の下方に位置し、ボルトB・Bによる各下側拘束ロッドRdと、一対のエンドプレートE・Eとの締結は一般的に困難であるが、一対の支持部材22・22によって一対の下側拘束ロッドRd・Rdが支持されているため、ボルトB・Bによる各下側拘束ロッドRdと、一対のエンドプレートE・Eとの締結を容易に行うことができる。
【0060】
組電池A1が完成した後、作業者は、可動押圧部材26による組電池A1の拘束を解除し、組電池A1を組立台20から所定の場所に移動させる。
【0061】
続いて、図8に示すように、作業者は、可動押圧部材26を、組電池A2を組み立てる際の位置に移動させ、当該位置で固定する。
このように、可動押圧部材26は、組み立てる組電池の種類、つまり組み立てる組電池を構成する電池モジュールMの数に応じて、固定板23との距離を変更可能に構成されている。そのため、組み立てる組電池の種類に応じて複数の組立台を用意する必要がなく、一つの組立台20上にて、複数種類の組電池を組み立てることができる。したがって、組立装置の小型化を図ると共に、複数種類の組電池の組み立てに要するコストを削減することができる。
【0062】
続いて、作業者は、組電池A2を構成するエンドプレートEと、一対の下側拘束ロッドRf・Rfの前端部とをボルトB・Bによって締結し、これらの部材を、固定板23と可動押圧部材26との間において、エンドプレートEが可動押圧部材26側に配置され、一対の下側拘束ロッドRf・Rfが組立台20の一対の支持部材22・22に下方から支持されるように、組立台20上に載置する。
【0063】
続いて、図9に示すように、作業者は、支持板16を上方に起立した状態へと切り替えた上で、分解台10の複数のローラ11・11・・・上に残された16個の電池モジュールM・M・・・を同時に後方へ押した後、右方へ押し、16個の電池モジュールM・M・・・がエンドプレートEよりも後方に位置するように、16個の電池モジュールM・M・・・を組立台20の複数のローラ21・21・・・上へと搬送する。
分解台10の複数のローラ11・11・・・上にて、16個の電池モジュールM・M・・・を後方へ移動させる際においては、ローラ11が円柱形状であり、各ローラ11と16個の電池モジュールM・M・・・とが線接触となるため、比較的小さい摩擦で16個の電池モジュールM・M・・・を移動させることができる。
また、作業者は、16個の電池モジュールM・M・・・を分解台10から組立台20に移動させる前に、整列板27を下方へ移動させておき、16個の電池モジュールM・M・・・を組立台20に移動させた後に、整列板27を上方へ移動させた状態で固定する。そして、作業者は、組立台20の複数のローラ21・21・・・上の16個の電池モジュールM・M・・・を整列板27の右端面に当接させることで、整列させる。
【0064】
続いて、図10に示すように、作業者は、16個の電池モジュールM・M・・・と、固定板23との間にエンドプレートEを配置し、16個の電池モジュールM・M・・・上に一対の上側拘束ロッドRe・Reを配置する。そして、作業者は、可動押圧部材26によって16個の電池モジュールM・M・・・、及び一対のエンドプレートE・Eを固定板23に向けて押圧することで、16個の電池モジュールM・M・・・、及び一対のエンドプレートE・Eを可動押圧部材26と固定板23とによって挟持するように拘束する。
上記の如く16個の電池モジュールM・M・・・、及び一対のエンドプレートE・Eが拘束された状態で、作業者は、組電池A2を構成する全てのボルトB・B・・・によって、一対のエンドプレートE・Eと、一対の上側拘束ロッドRe・Reと、一対の下側拘束ロッドRf・Rfとを締結することで、組電池A2を完成させる。
この時、一対の下側拘束ロッドRf・Rfは、16個の電池モジュールM・M・・・の下方に位置し、ボルトB・Bによる各下側拘束ロッドRfと、一対のエンドプレートE・Eとの締結は一般的に困難であるが、一対の支持部材22・22によって一対の下側拘束ロッドRf・Rfが支持されているため、ボルトB・Bによる各下側拘束ロッドRfと、一対のエンドプレートE・Eとの締結を容易に行うことができる。
【0065】
組電池A2が完成した後、作業者は、可動押圧部材26による組電池A2の拘束を解除し、組電池A2を組立台20から所定の場所に移動させる。
【0066】
以上のように、標準組電池Sを分解して、組電池A1・A2を組み立てる際には、組立装置1を用いることで、短時間で組電池A1・A2を組み立てることができる。
【0067】
なお、本実施形態においては、標準組電池Sを構成する電池モジュールMの数を34個とし、組電池A1・A2を構成する電池モジュールMの数をそれぞれ18個及び16個としたが、本発明における標準組電池を構成する電池モジュールの数、及び組み立てられる組電池を構成する電池モジュールの数は、限定するものではない。
また、本実施形態においては、標準組電池Sから二つの組電池A1・A2を組み立てたが、本発明において組み立てられる組電池の数は、限定するものではない。
【0068】
また、本実施形態においては、分解台10上にて標準組電池Sを挟持するための一対の分解用挟持部材を可動板15及び押圧部材17から構成したが、一対の上側標準拘束ロッドRa・Raと、一対の下側標準拘束ロッドRb・Rbとを標準組電池Sから取り外し可能な状態とすることができれば本構成に限定しない。例えば、一対の分解用挟持部材の双方を可動板15の如く可動するように構成することも可能である。
また、本実施形態においては、組立台20にて組電池A1・A2を構成する複数の電池モジュールM・M・・・を挟持するための一対の組立用挟持部材を固定板23及び可動押圧部材26から構成したが、組電池A1・A2を構成する複数の電池モジュールM・M・・・に上側拘束ロッドRc等の拘束部材を取り付け可能な状態とすることができれば本構成に限定しない。例えば、一対の組立用挟持部材の双方を可動押圧部材26の如く可動するように構成することも可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 組立装置
10 分解台
11 ローラ
11a 間隙
12 固定板
14 ガイドレール
15 可動板(分解用挟持部材)
16 支持板
17 押圧部材(分解用挟持部材)
20 組立台
21 ローラ
22 支持部材
23 固定板(組立用挟持部材)
25 ガイドレール
26 可動押圧部材(組立用挟持部材)
27 整列板
M 電池モジュール
S 標準組電池
Ra 上側標準拘束ロッド(標準拘束ロッド)
Rb 下側標準拘束ロッド(標準拘束ロッド)
A1 組電池
Rc 上側拘束ロッド(拘束ロッド)
Rd 下側拘束ロッド(拘束ロッド)
A2 組電池
Re 上側拘束ロッド(拘束ロッド)
Rf 下側拘束ロッド(拘束ロッド)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に配列される複数の電池モジュールと、当該複数の電池モジュールを拘束する標準拘束部材と、を具備する標準組電池を分解し、
前記標準組電池を構成する電池モジュールを用いて、複数かつ前記標準組電池が有する前記電池モジュールよりも少ない数の前記電池モジュールと、これらの電池モジュールを拘束する拘束部材と、を具備する組電池を組み立てるための組立装置であって、
前記標準組電池を載置して、当該標準組電池における標準拘束部材の拘束を解除するための分解台と、当該分解台に隣接し、前記組電池を組み立てるための組立台と、を具備し、
前記分解台及び前記組立台は、前記電池モジュールを載置可能、かつ、前記電池モジュールを前記分解台から前記組立台に移動可能に構成される複数のローラを有し、
前記組立台は、当該組立台上に移動された複数の電池モジュールを配列方向に沿って挟むように配置される一対の組立用挟持部材を有し、
前記一対の組立用挟持部材の少なくとも一方は、前記組立台上の電池モジュールの配列方向に沿って移動可能、かつ、所定の位置に固定可能に構成され、
前記一対の組立用挟持部材は、前記組立台上の複数の電池モジュールに前記拘束部材が取り付け可能な状態となるように、当該複数の電池モジュールを配列方向に沿って押圧する、
ことを特徴とする組立装置。
【請求項2】
前記一対の組立用挟持部材は、固定板、及び可動押圧部材であり、
前記固定板は、前記組立台のローラにおける前記電池モジュールとの接触部分よりも高い位置まで突出するように形成され、
前記可動押圧部材は、前記組立台上に移動された複数の電池モジュールの配列方向に沿って移動可能、かつ、所定の位置に固定可能に構成され、当該複数の電池モジュールに前記拘束部材が取り付け可能な状態となるように、当該複数の電池モジュールを前記固定板に向けて押圧する、
ことを特徴とする請求項1に記載の組立装置。
【請求項3】
前記分解台は、前記標準組電池を構成する複数の電池モジュールの配列方向に沿って、当該標準組電池を挟むように配置される一対の分解用挟持部材を有し、
前記一対の分解用挟持部材の少なくとも一方は、前記分解台上における複数の電池モジュールの配列方向に沿って移動可能、かつ、所定の位置に固定可能に構成され、
前記一対の分解用挟持部材は、前記標準組電池から前記標準拘束部材を取り外し可能な状態となるように、当該標準組電池を構成する複数の電池モジュールの配列方向に沿って、当該標準組電池を押圧する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の組立装置。
【請求項4】
前記一対の分解用挟持部材は、押圧部材、及び可動板であり、
前記押圧部材は、前記標準組電池から前記標準拘束部材を取り外し可能な状態となるように、前記標準組電池を前記可動板に向けて押圧するように構成され、
前記可動板は、前記分解台上における複数の電池モジュールの配列方向に沿って移動可能、かつ、所定の位置に固定可能に構成され、当該電池モジュールの配列方向における前記標準組電池の一端面に当接可能な位置に配置される、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の組立装置。
【請求項5】
前記組立台は、前記分解台に対して、当該分解台上における前記電池モジュールの配列方向と水平に直交する方向に位置する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の組立装置。
【請求項6】
前記標準拘束部材は、前記電池モジュールの配列方向に沿って延出する複数の標準拘束ロッドから構成され、
前記複数の標準拘束ロッドは、前記標準組電池を構成する複数の電池モジュールにおける前記分解台のローラとの接触面と、当該接触面とは反対側の面とを挟持するように配置され、
前記分解台における複数のローラは、前記接触面側に配置される標準拘束ロッドの位置に合わせて、当該標準拘束ロッドが通過できる程度の幅を有する間隙が形成されるように配置される、
ことを特徴とする請求項1又は請求項5に記載の組立装置。
【請求項7】
前記拘束部材は、前記電池モジュールの配列方向に沿って延出する複数の拘束ロッドから構成され、
前記複数の拘束ロッドは、前記組電池を構成する複数の電池モジュールにおける前記組立台のローラとの接触面と、当該接触面とは反対側の面とを挟持するように配置され、
前記組立台における複数のローラは、前記接触面側に配置される拘束ロッドの位置に合わせて、当該拘束ロッドが通過できる程度の幅を有する間隙が形成されるように配置され、
前記組立台に形成される間隙には、前記接触面側に配置される拘束ロッドが前記組立台上の複数の電池モジュールを拘束する位置にて、当該拘束ロッドを支持する支持部材が設けられる、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の組立装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−93243(P2013−93243A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235406(P2011−235406)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(399107063)プライムアースEVエナジー株式会社 (193)
【Fターム(参考)】