説明

組織を切断するための方法および装置

1つ以上の隆起(26B)要素を有する切断要素(4B)を含むカテーテルが提供される。切断要素は、隆起要素を除いて平滑および連続的であってもよいカップ形状表面を遠位端に有する。隆起要素は、切断要素の回転軸、カテーテル軸、または粒子収集チャンバのうちの1つ以上に向かって切断粒子を方向付ける流体渦が生成されるように曲面が回転させられたときに、物質の切断粒子を方向転換するように適合される曲面(30B)を有する。本発明のさらなる側面において、切断要素は、切断組織の回転軸と実質的に平行な方向に振動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国仮特許出願第61/265,863号(名称「Methods and Devices for Cutting Tissue」、2009年12月2日出願)の利益を主張し、この出願の内容は、参照することによって本明細書に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、アテレクトミーカテーテル用の切断要素、および回転切断要素を使用して血流管腔から物質を切断するための方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
カテーテルは、身体から不要な組織を除去するために使用される。アテレクトミーカテーテルは、血管から物質を除去し、血管を広げて血管を通る血流を向上させるために使用される。
【0004】
血管から物質を除去するときに発生する1つの問題は、物質が軟質または硬質のいずれかである場合があり、そして切断過程中に変化する場合があることである。そのようなものとして、切断要素は、硬組織と軟組織との両方を切断することが可能となるべきである。回転カッターを使用するときに発生する別の問題は、物質の粒子が、カテーテルから離れるように、およびカテーテルベースの粒子収集構造から離れるように、カッターに対する接線方向に変位させられる傾向があることである。したがって、カテーテルに向かって、特にカテーテルベースの粒子収集構造に向かって、切断粒子を方向付けることが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、開口部を有する本体と、本体に連結される回転可能シャフトと、本体に連結され、切断要素より遠位に配置される組織収集チャンバと、切断要素を回転軸の回りで回転させるために回転可能シャフトに連結される切断要素であって、切断要素は、カップ形状表面および切断縁を有し、カップ形状表面は、カップ形状表面が遠位方向に移動するときに、切断縁によって切断された組織を遠位方向に方向転換するように構成される切断要素と、切断要素のカップ形状表面から外向きに延在する隆起要素であって、切断要素の回転軸、カテーテル長手軸、または組織収集チャンバのうちの1つ以上に向かって物質の切断粒子を方向付けるように構成される隆起要素とを備える、アテレクトミーカテーテルを提供する。
【0006】
本発明は、開口部を有する本体と、本体に連結される回転可能シャフトと、本体に連結され、切断要素より遠位に配置される組織収集チャンバと、切断要素を回転軸の回りで回転させるために回転可能シャフトに連結される切断要素であって、切断縁を有し、切断要素の回転軸と実質的に平行な方向に振動するように構成される切断要素とを備える、アテレクトミーカテーテルを提供する。
【0007】
本発明は、身体管腔から物質を除去する方法を提供し、方法は、アテレクトミーカテーテルを提供するステップであって、アテレクトミーカテーテルは、開口部を有する本体と、本体に連結される回転可能シャフトと、本体に連結され、切断要素より遠位に配置される組織収集チャンバと、切断要素を回転軸の回りで回転させるために回転可能シャフトに連結される切断要素であって、切断要素は、カップ形状表面および切断縁を有し、カップ形状表面は、カップ形状表面が遠位方向に移動するときに、切断縁によって切断された組織を遠位方向に方向転換するように構成される、切断要素と、切断要素のカップ形状表面から外向きに延在する隆起要素であって、切断要素の回転軸、カテーテル長手軸、または組織収集チャンバのうちの1つ以上に向かって物質の切断粒子を方向付けるように構成される隆起要素とを備える、ステップと、身体管腔の中にカテーテルを設置するステップと、切断要素を身体管腔の中の物質と接触させるために身体管腔の中でカテーテルを移動させるステップとを含む。
【0008】
本発明は、身体管腔から物質を除去する方法を提供し、方法は、アテレクトミーカテーテルを提供するステップであって、アテレクトミーカテーテルは、開口部を有する本体と、本体に連結される回転可能シャフトと、本体に連結され、切断要素より遠位に配置される組織収集チャンバと、切断要素を回転軸の回りで回転させるために回転可能シャフトに連結される切断要素であって、切断縁を有し、切断要素の回転軸と実質的に平行な方向に振動するように構成される、切断要素とを備える、ステップと、身体管腔の中にカテーテルを設置するステップと、切断要素を身体管腔の中の物質と接触させるために身体管腔の中でカテーテルを移動させるステップとを含む。一実施例では、カテーテルは、切断縁を身体管腔の中の物質と接触させるように遠位方向に移動させられる。
【0009】
本発明のこれらおよび他の側面は、以下の好ましい実施形態、図、および特許請求の範囲の説明から明白となるであろう。本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、以下の添付図面および明細書に記載されている。本発明の他の特徴、目的、および利点は、明細書および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、アテレクトミーカテーテルの遠位端の等角図を示す。
【図2】図2は、格納位置に切断要素を伴う、図1のアテレクトミーカテーテルの一部分の等角断面図である。
【図3】図3は、作業位置に切断要素を伴う、図1のアテレクトミーカテーテルの一部分の等角断面図である。
【図4】図4は、切断要素の実施形態の等角図を示す。
【図5】図5は、切断要素の実施形態の端面図を示す。
【図6】図6は、切断要素の実施形態の等角断面図である。
【図7】図7は、図1に示されたアテレクトミーカテーテルとともに使用されてもよい、切断要素の別の実施形態の端面図を示す。
【図8】図8は、図7に図示された切断要素の実施形態の等角図を示す。
【図8A】図8Aは、図8の切断要素の実施形態の隆起要素のうちの1つの等角図を示す。
【図9】図9は、図1に示されたアテレクトミーカテーテルとともに使用されてもよい、切断要素の別の実施形態の端面図を示す。
【図10】図10は、図9に図示された切断要素の実施形態の等角図を示す。
【図10A】図10Aは、図10の切断要素の実施形態の隆起要素のうちの1つの等角図を示す。
【図11】図11は、図8に図示された切断要素の実施形態の修正版の等角図を示す。
【図11A】図11Aは、図11の切断要素の実施形態の隆起要素のうちの1つの等角図を示す。
【図12】図12は、概して、切断要素の軸に沿った方向に振動する、切断要素を有するアテレクトミーカテーテルの一部分の等角断面図を図示する。
【図13】図13は、図12に示されたカテーテルの構成要素の等角図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、開口部を有する本体と、本体に連結される回転可能シャフトと、本体に連結され、切断要素より遠位に配置される組織収集チャンバと、切断要素を回転軸の回りで回転させるために回転可能シャフトに連結される切断要素であって、切断要素は、カップ形状表面および切断縁を有し、カップ形状表面は、カップ形状表面が遠位方向に移動するときに、切断縁によって切断された組織を遠位方向に方向転換するように構成される、切断要素と、切断要素のカップ形状表面から外向きに延在する隆起要素であって、切断要素の回転軸、カテーテル長手軸、または組織収集チャンバのうちの1つ以上に向かって物質の切断粒子を方向付けるように構成される、隆起要素とを備える、アテレクトミーカテーテルを提供する。実施形態において、隆起要素は、切断要素の回転軸に向かって物質の切断粒子を方向付けるように構成される。一実施形態において、切断縁は、切断要素の半径方向外側縁である。実施形態において、隆起要素は、湾曲した隆起要素切断縁を備える。実施形態において、隆起要素は、湾曲した隆起要素切断縁からカップ形状表面まで延在する第1の壁を備え、第1の壁は、切断要素の回転軸に向かって物質の切断粒子を方向付ける。
【0012】
実施形態において、第1の壁は、切断要素の半径方向外側縁における切断縁の比較的接線方向の角度から、切断要素の回転軸により近接した比較的半径方向の角度まで湾曲している。一実施形態において、隆起要素は、第1の湾曲した隆起要素切断縁から第2の縁まで延在する遠位壁を備え、遠位壁は、切断要素の回転軸に対して90度よりも小さい角度を形成する。実施形態において、第1の湾曲した隆起要素切断縁は、第2の縁よりも遠位にある。一実施形態において、第1の湾曲した隆起要素切断縁と切断要素の切断縁との間の最小の半径方向距離は、第2の縁と切断要素の切断縁との間の最小の半径方向距離よりも小さい。一実施形態において、第1の壁と遠位壁との間の刃先角度は、鈍角である。
【0013】
一実施形態において、隆起要素は、長手方向距離で切断縁から近位に後退している。例えば、隆起要素は、0.0010〜0.0050インチ(0.0025〜0.0127cm)の長手方向距離で切断縁から近位に後退していてもよい。実施形態において、隆起要素は、0.0010〜0.0050インチ(0.0025〜0.0127cm)の半径方向距離で切断縁から近位に後退している。
【0014】
一実施形態において、隆起要素は、隆起要素切断縁からカップ形状表面まで延在する第1の壁を備え、第1の壁は、切断要素の回転軸に向かって物質の切断粒子を方向付け、第1の壁は、アンダーカットを形成するようにカップ形状表面と鋭角を形成する。実施形態において、隆起要素は、第1の隆起要素切断縁から第2の縁まで延在する遠位壁を備え、遠位壁は、切断要素の回転軸に対して90度よりも小さい角度を形成する。一実施形態において、第1の隆起要素切断縁は、第2の縁よりも遠位にある。実施形態において、第1の隆起要素切断縁と切断要素の切断縁との間の最小の半径方向距離は、第2の縁と切断要素の切断縁との間の最小の半径方向距離よりも小さい。実施形態において、すくい角を有する壁は、第1の壁と遠位壁との交差部の間に点在している。一実施形態において、すくい角は負である。
【0015】
実施形態において、切断要素のカップ形状表面は、切断要素の回転軸に沿って見られると、少なくとも300度にわたって平滑で途切れていない。一実施形態において、切断要素のカップ形状表面は、切断要素の回転軸に沿って見られると、切断要素の表面積の少なくとも90%について平滑で途切れていない。実施形態において、切断要素のカップ形状表面は、切断要素の回転軸に沿って見られると、外半径を有し、カップ形状表面は、回転軸から外半径までの距離の少なくとも半分まで連続的で途切れていない。一実施形態において、アテレクトミーカテーテルは、複数の隆起要素をさらに備え、複数の隆起要素は、切断要素の回転軸に沿って見られると、60度よりも小さい領域および表面積の5%未満を全体として占有し、カップ形状表面は、表面積の少なくとも90%について平滑で途切れていない。一実施形態において、アテレクトミーカテーテルは、カップ形状表面から外向きに延在する複数の隆起要素を備え、複数の隆起要素は、1個、2個、3個、4個、6個、または8個の隆起要素である。
【0016】
一実施形態において、切断要素は、開口部に対する格納位置と切断位置との間で移動可能である。実施形態において、切断要素は、カム表面に対して切断要素を摺動させることによって、格納位置と切断位置との間で移動させられる。実施形態において、近位部分に対するカテーテルの遠位部分は、カム表面に対して切断要素を摺動させることによって偏向される。実施形態において、切断要素は、切断要素の回転軸と実質的に平行な方向に振動するように構成される。
【0017】
本発明は、開口部を有する本体と、本体に連結される回転可能シャフトと、本体に連結され、切断要素より遠位に配置される組織収集チャンバと、切断要素を回転軸の回りで回転させるために回転可能シャフトに連結される切断要素であって、切断縁を有し、切断要素の回転軸と実質的に平行な方向に振動するように構成される、切断要素とを備える、アテレクトミーカテーテルを提供する。一実施形態において、アテレクトミーカテーテルは、1つ以上の陥凹を有する斜面を備え、切断要素は、切断要素のカム表面上に1つ以上の隆起部分を備え、1つ以上の隆起部分は、隆起部分と陥凹とが整列させられたときに、1つ以上の陥凹内に嵌合し、隆起部分は、切断要素が回転させられるとき、陥凹に出入りし、それにより、切断要素を振動させる。一実施形態において、アテレクトミーカテーテルは、1つ以上の隆起部分を有する斜面を備え、切断要素は、切断要素のカム表面上に1つ以上の陥凹を備え、1つ以上の隆起部分は、隆起部分と陥凹とが整列させられるときに、1つ以上の陥凹内に嵌合し、隆起部分は、切断要素が回転させられるとき、陥凹に出入りし、それにより、切断要素を振動させる。一実施形態において、アテレクトミーカテーテルは、1つ以上の隆起部分を有する斜面を備え、切断要素は、切断要素のカム表面上に1つ以上の隆起部分を備え、隆起部分は、切断要素が回転させられるとき、切断要素を振動させる。
【0018】
一実施形態において、切断要素は、カップ形状表面を有し、カップ形状表面は、カップ形状表面が遠位方向に移動するときに、切断縁によって切断された組織を遠位方向に方向転換するように構成される。実施形態において、切断縁は、切断要素の半径方向外側縁である。実施形態において、カテーテルは、切断要素のカップ形状表面から外向きに延在する隆起要素を備える。実施形態において、切断縁は、切断要素の半径方向外側縁であり、隆起要素は、切断要素の回転軸に沿って見られると、切断縁から近位に後退している。一実施形態において、切断要素は、開口部に対する格納位置と切断位置との間で移動可能である。一実施形態において、切断要素は、カム表面に対して切断要素を摺動させることによって、格納位置と切断位置との間で移動させられる。一実施形態において、近位部分に対するカテーテルの遠位部分は、カム表面に対して切断要素を摺動させることによって偏向される。
【0019】
本発明は、身体管腔から物質を除去する方法を提供し、方法は、アテレクトミーカテーテルを提供するステップであって、アテレクトミーカテーテルは、開口部を有する本体と、本体に連結される回転可能シャフトと、本体に連結され、切断要素より遠位に配置される組織収集チャンバと、切断要素を回転軸の回りで回転させるために回転可能シャフトに連結される切断要素であって、切断要素は、カップ形状表面および切断縁を有し、カップ形状表面は、カップ形状表面が遠位方向に移動するときに、切断縁によって切断された組織を遠位方向に方向転換するように構成される切断要素と、切断要素のカップ形状表面から外向きに延在する隆起要素であって、切断要素の回転軸、カテーテル長手軸、または組織収集チャンバのうちの1つ以上に向かって物質の切断粒子を方向付けるように構成される、隆起要素とを備える、ステップと、身体管腔の中にカテーテルを設置するステップと、切断要素を身体管腔の中の物質と接触させるために身体管腔の中でカテーテルを移動させるステップとを含む。一実施形態において、カテーテルは、切断縁を身体管腔の中の物質と接触させるために遠位方向に移動させられる。一実施形態において、カテーテルは、格納位置にある切断要素とともに身体管腔の中に設置され、カテーテルは、物質を切断位置にある切断要素と接触させるように移動させられる。一実施形態において、身体管腔は、血管である。
【0020】
本発明は、身体管腔から物質を除去する方法を提供し、アテレクトミーカテーテルを提供するステップであって、アテレクトミーカテーテルは、開口部を有する本体と、本体に連結される回転可能シャフトと、本体に連結され、切断要素より遠位に配置される組織収集チャンバと、切断要素を回転軸の回りで回転させるために回転可能シャフトに連結される切断要素であって、切断縁を有し、切断要素の回転軸と実質的に平行な方向に振動するように構成される、切断要素とを備える、ステップと、身体管腔の中にカテーテルを設置するステップと、切断要素を身体管腔の中の物質と接触させるように、身体管腔の中でカテーテルを移動させるステップとを含む。一実施形態において、カテーテルは、切断縁を身体管腔の中の物質と接触させるように遠位方向に移動させられる。実施形態において、カテーテルは、格納位置にある切断要素とともに身体管腔の中に設置され、カテーテルは、物質を切断位置にある切断要素と接触させるように移動させられる。実施形態において、身体管腔は血管である。
【0021】
本発明は、軟組織および硬組織の両方を切断することができる切断要素を有するアテレクトミーカテーテルを提供する。切断要素は、カップ形状表面を包囲する鋭い切断縁を有する。カップ形状表面は、切断された物質を組織チャンバの中へ方向付ける。円周方向切断縁およびカップ形状表面はともに、比較的軟質の組織を切断し、除去するのに適している。
【0022】
本発明の一側面では、カップ形状表面から延在する1つ以上の隆起要素を有するアテレクトミーカテーテルが提供される。隆起要素は、0.0010〜0.0020インチ(0.0025〜0.0051cm)等の制御された距離で外側切断縁から長手方向および半径方向に後退していてもよいが、他の実施形態において、用途に応じて、外側切断縁からより近いか、または遠くてもよい。隆起要素は、石灰化プラーク等の硬組織を粉砕することに役立つ。隆起要素は、軟組織を切断するために切断縁が露出されたままであるように、遠位端からいくぶん後退していてもよい。切断要素が、硬すぎて切断縁によって十分に切断することができない組織に遭遇すると、隆起要素は、より鈍い力の引加を用いて、より硬質の組織を粉砕することに役立つ。
【0023】
本発明の別の側面において、隆起要素は、カップ形状表面の比較的大部分が平滑で途切れていないように、いくぶん小さい。このようにして、カップ形状表面を有する組織チャンバの中へ組織を方向付ける切断要素の能力は、隆起要素によっては過度に阻止されない。例えば、隆起要素は、長手軸に沿って見られると、60度よりも小さい領域を占有してもよい。別の言い方をすれば、切断要素のカップ形状表面は、長手軸に沿って見られると、少なくとも300度にわたって平滑で途切れていない。さらに別の言い方をすれば、カップ形状表面は、長手軸に沿って見られると、切断要素の表面積の少なくとも95%について平滑で途切れていなくあり得る。
【0024】
本発明のさらに別の側面では、隆起要素は、カッターの回転軸、カテーテル軸、または粒子収集チャンバのうちの1つ以上に向かって物質の切断粒子を方向付ける傾向がある表面を有する。
【0025】
本発明のさらなる側面において、カッターは、遠位方向に、収集チャンバに向かって、または両方の方向に、物質の切断粒子を方向付ける力をそれらに付与するために、カッターの軸とほぼ平行な方向に振動する。
【0026】
図1〜4を参照すると、血流管腔から物質を切断するために使用される切断要素4を有するアテレクトミーカテーテル2が図示されている。切断要素4は、開口部6に対する格納位置(図2)とカテーテル2の本体8の切断位置(図3)との間で移動可能である。切断要素8は、要素4の一部分が開口部6を通って本体8から外向きに延在するように、開口部6に対して外向きに移動する。切断要素4は、組織を切断するために切断要素4の90度未満が露出されるように、本体8および開口部6に対して配置され得る。当然ながら、本発明の多数の側面から逸脱することなく、切断要素4のうちのより多くが露出されてもよい。
【0027】
カテーテル2は、3、4、5、6、7、8、9、10、または12フレンチ(1、1.3、1.7、2、2.3、2.7、3、3.3、または4mm)の最大サイズを有してもよく、カテーテルの使用が検討される解剖学的場所の要件に応じて、20、30、40、60、80、100、120、150、180、または210cmの作業長さの範囲を有してもよい。カッター4は、好ましくは、カテーテル2の最大サイズよりわずかに小さい直径、典型的には、0.010インチ(0.025cm)、0.015インチ(0.038cm)、0.020インチ(0.051cm)、0.025インチ(0.064cm)、または0.030インチ(0.076cm)以下を有する。しかしながら、これらの相対直径は、限定的となるように意図されていない。
【0028】
カテーテル2は、以下でさらに詳細に説明されるように、作業または切断位置にある切断要素4とともに血管を通って遠位方向に移動させられる。カテーテル2が血管を通って移動するとき、組織は、切断要素4によって切断され、切断要素4より遠位に配置される組織チャンバ12の中へ方向付けられる。組織チャンバ12は、切断された組織を収容するようにいくぶん細長くてもよい。
【0029】
切断要素4は、切断要素4のカム表面14がカテーテル2の本体8上の斜面16に係合するように、格納位置から近位に移動させられる。カム表面14と斜面16との間の相互作用は、切断要素4を切断位置に移動させ、また、切断される組織に向かって切断要素4を移動させる傾向がある先端18を偏向させる。
【0030】
切断要素4は、カテーテル2の中の管腔21を通って延在するシャフト20に連結される。切断要素4は、シャフトが回転するときに長手軸LAの回りで回転させられる。切断要素4は、約1〜160,000rpmで回転させられるが、特定の用途に応じて、任意の他の好適な速度で回転させられてもよい。
【0031】
図2、4、および5を参照すると、切断要素4が示されている。本明細書で使用されるような「長手軸に沿った」という用語は、長手軸および/または回転軸の方向に見られるとき、切断要素4の遠位端を示す図5の図を意味するものとする。切断要素4は、連続的で途切れていない円形の縁であってもよい切断縁22を有するが、また、本発明の範囲から逸脱することなく、隆起、歯、鋸歯、または他の特徴を含んでもよい。切断縁22は、切断要素4が切断位置にあるときに、切断要素4の半径方向外側縁23にあってもよい。
【0032】
切断要素4は、切断縁22によって切断される組織を組織チャンバ12の中へ方向付けるカップ形状表面24を有する。カップ形状表面24は、長手軸LAから切断縁22における外半径までの距離の少なくとも半分について、表面24の平滑な性質を阻害する貫通穴、歯、フィン、または他の特徴がない、平滑で連続的な表面であってもよい。カップ形状表面24はまた、長手軸LAに対して少なくとも300度の領域にわたってそのような特徴をなんら含まなくてもよい。
【0033】
カッター4は、鋼鉄、炭化タングステン、炭化タングステンコバルト、炭化タングステンモリブデン、窒化ケイ素、セラミック、非晶質金属、または他の材料で構成されてもよく、旋回、研削、焼結、放電加工(EDM)、レーザ切断、熱処理、析出硬化、鋳造、または他の方法を含む方法によって製造されてもよい。
【0034】
図4〜6を参照すると、1つ以上の隆起要素26がカップ形状表面24から外向きに延在し、図5は2つの隆起要素26を示している。隆起要素26は、カップ形状表面24から比較的急激に立ち上がっている小さい楔形の材料である。隆起要素26は、両方とも半径方向に延在し、その間に約20度の角度を形成する第1の壁30と第2の壁32とを有し、その結果、2つの隆起要素26が合わせて約40度の領域を占有し、全体で60度未満であってもよい。第3の壁34は、第1の壁30と第2の壁32との半径方向内側の部分の間に延在する。隆起要素26は、硬組織およびプラークを切断縁22によって切断することがしばしば効果的ではないので、そのような組織に比較的鈍い力を引加することによって、硬組織およびプラークを粉砕することに役立つ。
【0035】
隆起要素26は、全体として、カップ形状表面24の比較的小さい部分を占有する。隆起要素26は合わせて切断要素4の表面積の5%未満を占有してもよい。本明細書で使用されるような「切断要素の表面積」という用語は、外側または切断縁22から半径方向内向きであり、長手軸LAに沿って見られるときの露出されている表面積を意味するものとする。別の言い方をすれば、切断要素の表面積の少なくとも95%は、長手軸に沿って見られるとき、平滑なカップ形状表面である。このようにして隆起要素26をサイズ決定し、設置することによって、隆起要素26は、隆起要素26を用いて硬組織およびプラークを粉砕する能力を依然として提供しながら、組織を切断し、組織チャンバの中へ方向転換させる切断要素4の能力を妨害しない。
【0036】
隆起要素26は、長手方向および/または半径方向に切断縁22から後退していてもよい。隆起要素26は、切断縁から0.0010〜0.0020インチ(0.0025〜0.0051cm)長手方向に(軸LAに沿って)後退していてもよく、約0.0015インチ(0.0038cm)後退していてもよい。隆起要素26は、同じ量だけ切断縁22から半径方向に後退していてもよい。切断要素4の遠位壁38は、表面全体が切断縁から同じ距離で後退しているように、長手軸LAに垂直である平面40を形成する。遠位壁38は、曲線形状等の任意の他の形状を呈してもよく、または説明されているように、傾転、傾斜、または傾いていてもよい。
【0037】
図7、8、および8Aを参照すると、別の切断要素4Aが示されており、同一または同様の参照番号は、同一または同様の構造を指し、切断要素4と同一または同様の特徴に関する全ての論議は、他に記述がない限り、等しく適用可能である。切断要素4Aは、連続的で途切れていない円形の縁であってもよい切断縁22Aを有するが、本発明の範囲から逸脱することなく、隆起、歯、鋸歯、または他の特徴をまた含んでもよい。切断縁22Aは、切断要素4Aが切断位置にあるときに、切断要素4Aの半径方向外側縁23Aにあってもよい。切断要素4Aは、切断縁22Aによって切断される組織を組織チャンバ12(図2参照)の中へ方向付けるカップ形状表面24Aを有する。カップ形状表面24Aは、切断要素4に関して上記で説明されたように、実質的に平滑で連続的な表面であってもよい。
【0038】
1つ以上の隆起要素26Aは、カップ形状表面24Aから外向きに延在している。図8は、4つの隆起要素26Aを示すが、1個、2個、3個、4個、6個、または8個の隆起要素等の任意の数を含んでもよい。隆起要素26Aは、カップ形状表面24Aから比較的急激に立ち上がっている小さい楔形の材料である。隆起要素26Aは、一実施形態において、両方とも半径方向に延在し、その間に約1〜30度の角度を形成する第1の壁30Aおよび第2の壁32Aを有することにより、4つの隆起要素26Aが合わせて約4〜60度の領域を占有し、全体として60度未満であり得る。第3の壁34Aは、第1の壁30Aと第2の壁32Aとの半径方向内側の部分の間に延在する。いくつかの実施形態において、隆起要素26Aは、カップ形状表面24Aの比較的小さい部分を占有してもよく、切断要素4に関連して上記で説明された態様で、切断縁22Aから後退していてもよい。他の実施形態において、切断要素の表面積の少なくとも60%、70%、80%、または90%は、平滑なカップ形状表面である。
【0039】
切断要素4Aの遠位壁38Aは、長手軸LAに対して約30〜90度の角度を形成する表面40Aを有する。表面40A全体が、切断縁から少なくとも0.0010、0.0020、0.0030、0.0040、または0.0050インチ(0.0025、0.0051、0.0076、0.0101、または0.0127cm)であるように、表面40A全体は、依然として切断縁22Aにいくぶん近くてもよいが、そこから後退していてもよい。壁30Aと遠位壁38Aとの交差部に形成される縁50は、壁32Aと遠位壁38Aとの交差部に形成される縁52よりも切断縁22Aに近い。切断要素4Aは、隆起縁50が前または後縁であってもよいように、いずれか一方の方向に回転させられてもよい。いくつかの実施形態において、隆起縁は、切断縁から0.0010〜0.0020インチ(0.0025〜0.0051cm)であってもよい。隆起要素26Aは、全て同じように形成されてもよく、または相互に異なってもよい。例えば、要素26Aのうちのいくつかは、要素のうちの2つが前縁として隆起縁50を有し、要素26Aのうちの2つが後縁として隆起縁50を有するように、異なる方向に角度を成すことができる。隆起要素26Aはまた、本発明の種々の側面から逸脱することなく、異なる角度の範囲を定めてもよく、異なる高さであってもよく、または異なる半径方向長さを有してもよい。
【0040】
図9、10、および10Aを参照すると、別の切断要素4Bが示されており、同一または同様の参照番号は、同一または同様の構造を指し、切断要素4の同一または同様の特徴に関する全ての論議は、他に記述がない限り、等しく適用可能である。切断要素4Bは、連続的で途切れていない円形の縁であってもよい切断縁22Bを有するが、また、本発明の範囲から逸脱することなく、隆起、歯、鋸歯、または他の特徴を含んでもよい。切断縁22Bは、切断要素4Bが切断位置にあるときに、切断要素4Bの半径方向外側縁23Bにあってもよい。切断要素4Bは、切断縁22Bによって切断される組織を組織チャンバ12(図2参照)の中へ方向付けるカップ形状表面24Bを有する。一実施形態において、カップ形状表面24Bは、切断要素4に関して上記で説明されるように、実質的に平滑で連続的な表面であってもよい。
【0041】
1つ以上の隆起要素26Bは、カップ形状表面24Bから外向きに延在する。図9および10は、4つの隆起要素26Bを示すが、1個、2個、3個、4個、6個、または8個の隆起要素等の任意の数を含んでもよい。隆起要素26Bは、カップ形状表面24Bから比較的急激に立ち上がり、長手軸LAに対して約1〜30度の弧の範囲を定める小さい楔形の材料であり、4つの隆起要素26Bは、全体として約4〜60度の弧の範囲を定める。隆起要素26Bは、湾曲した切断縁50Bとカップ形状表面24Bとの間に延在する第1の壁30Bを有し、また、長手軸LAに対して半径方向に延在する第2の壁32Bも有する。第3の壁34Bは、第1壁30Bと第2の壁32Bとの半径方向内側の部分の間に延在する。いくつかの実施形態において、隆起要素26Bは、カップ形状表面24Bの比較的小さい部分を占有してもよく、切断要素4に関連して上記で説明される態様で切断縁22Bから後退していてもよい。他の実施形態において、切断要素の表面積の少なくとも60%、70%、80%、または90%は、平滑なカップ形状表面である。
【0042】
切断要素4Bの遠位壁38Bは、長手軸LAに対して90度よりも小さい角度を形成する表面40Bを有する。いくつかの実施形態において、表面40Bは、縁50Bが縁52Bよりも遠位にあるように角度を形成する。表面40B全体が、切断縁から0.0010、0.0020、0.0030、0.0040、または0.0050インチ(0.0025、0.0051、0.0076、0.0101、または0.0127cm)を含む、0.0010〜0.0050インチ(0.0025〜0.0127cm)であるように、表面40B全体は、依然として切断縁22Bにいくぶん近接していてもよいが、そこから後退していてもよい。壁30Bと遠位壁38Bとの交差部に形成される縁50Bは、壁32Bと遠位壁38Bとの交差部に形成される縁52Bよりも切断縁22Bに近接している。縁50B付近の壁30Bと表面40Bとの間の刃先角度は、90度よりも大きい。切断要素4Bは、いずれか一方の方向に回転させられることにより、隆起縁50Bは前縁または後縁であり得る。一実施形態において、カッター4Bは、縁50Bが前縁であるように、矢印Rの方向に回転させられる。隆起縁50B、52Bは、切断縁から0.0010〜0.0020インチ(0.0025〜0.0051cm)であってもよい。隆起要素26Bは、全て同じように形成されてもよく、または相互に異なっていてもよい。例えば、要素26Bのうちのいくつかは、要素のうちの2つが前縁としての隆起縁50Bを有し、要素26Aのうちの2つが後縁としての隆起縁50Bを有するように、異なる方向に角度を形成することができる。隆起要素26Bはまた、本発明の種々の側面から逸脱することなく、異なる角度の範囲を定めてもよく、異なる高さであってもよく、または異なる半径方向長さを有してもよい。
【0043】
一実施形態において、カッター4Bは、矢印Rの方向に回転させられ、カップ形状表面24Bおよび隆起要素26Bをアテロームまたはプラーク等の物質と接触させるように遠位に押される。隆起要素26Bは、カッター軸LAと表面40Bとの間の逃げ角に起因して、縁50Bに沿って切断力を集中させる傾向がある。カッター4Bは、縁50B付近の壁30Bと表面40Bとの間に含まれる鈍角により、アテロームまたはプラーク等の物質に切り込むよりもむしろ、この物質を削り取る傾向がある。隆起要素26Bによって接触される物質は、縁22B付近の比較的接線方向の角度から縁34B付近の比較的半径方向の角度まで湾曲している表面30Bによって、軸LAに向かって方向付けられる傾向がある。
【0044】
図11および11Aを参照すると、別の切断要素4Cが示されている。切断要素4Cは、切断要素4Aの修正版である。修正は、アンダーカット41Cを1つ以上の隆起要素26Aの前面に追加し、修正された隆起要素26Cをもたらすことから成る。カッター4Cが矢印Tの方向に回転させられると、アンダーカットは、物質の粒子を、カッターのカップ形状表面24Aによって画定される凹状空洞の中へ、およびカッターの軸LAに向かって方向付ける。随意で、アンダーカットは、それぞれ、切断要素4、4Bの1つ以上の隆起要素26、26Bの前面、ならびに切断要素4Aの1つ以上の隆起要素26Aに適用することができる。
【0045】
アンダーカット41Cは、カップ形状表面24Aと交差し、および壁34Aと交わる表面40Aに対して鋭角で配向されている壁30Cによって画定される。壁30Cの面はまた、カッター4Cが方向Tに回転しているときに、物質の粒子が切断縁22Aから離れる方向で、軸LAに向かう方向に壁30Cに沿って進行する傾向があるように、5、10、15、または20度未満で軸LAに交差する。いくつかの実施形態において、壁43Cは、壁30Cと壁40Aとの交差部の間に点在していてもよい。壁43Cは、隆起要素が切断される物質を掘り下げる傾向がある、例えば、負のすくい角等の任意の所望のすくい角で配向されてもよい。
【0046】
ここで、カテーテル2の使用が、切断要素4と関連して説明されるが、切断要素4A、切断要素4B、または切断要素4Cのいずれかを有するカテーテル2の使用に等しく適用可能である。カテーテル2は、ガイドワイヤ(図示せず)または同等物を使用して、従来の方式で患者に導入される。カテーテル2は、物質が除去される場所より近位にカテーテルが配置されるまで、図2の格納位置にある切断要素とともに前進させられる。次いで、切断要素4は、斜面16とカム表面14とが係合して、切断要素4を図3の切断位置まで移動させ、およびカテーテル2の先端を偏向させて、切断される組織に向かって切断要素4を移動させるように、近位に移動させられる。切断要素4は、長手軸LAの回りで回転させられ、次いで、カテーテル2は、切断要素4が組織を切断するように血管を通して遠位に移動させられる。切断された組織は、カップ形状表面24によって、1つ以上の隆起要素26によって、(切断要素4Bの)曲面30Bによって、またはカップ形状表面、隆起要素、あるいは曲面の組み合わせによって組織チャンバ12の中へ方向付けられる。
【0047】
より具体的には、切断要素4Bを使用し、矢印R(図9)の方向に切断要素を回転させると、切断縁22Bは、より軟質の物質を薄く切り、カップ形状表面は、切断された物質を組織チャンバ12の中へ方向付け、逃げ角は、カテーテルへの遠位に方向付けられた力が、表面40B上に分布するよりもむしろ隆起要素縁50Bに集中させられることを確実にし、隆起要素26Bは、縁50B付近の壁30Bと表面40Bとの間の鈍角の刃先角度によって、カルシウム等のより硬質の物質を削り取るか、または粉砕する傾向があり、曲面30Bは、カッター軸LAに向かって物質粒子を方向付け、回転しているときの曲面30Bは、カッター軸LAに向かって、および組織チャンバ12の中へ遠位に物質粒子を方向付ける傾向がある流体渦を生成する。
【0048】
より具体的には、切断要素4Cについて示されるようなアンダーカットを使用し、矢印T(図11)の方向に切断要素を回転させると、アンダーカット41Cは、切断縁22Aから離れるように、軸LAに向かってカップ形状表面に沿って、および切断要素の軸LAに向かって半径方向に、物質を方向付ける。
【0049】
別の実施形態において、図12および13は、概して、切断要素の軸LAに沿った方向に振動する切断要素104を有するアテレクトミーカテーテル102を示す。アテレクトミーカテーテル102は、アテレクトミーカテーテル2と同様であり、同一または同様の参照番号は、同一または同様の構造を指し、アテレクトミーカテーテル2の同一または同様の特徴に関する全ての論議は、他に記述がない限り等しく適用可能である。
【0050】
アテレクトミーカテーテル102は、斜面116およびカッター104から構成される。切断要素104は、切断要素104上のカム表面14がカテーテル102の本体8上の斜面116に係合するように、格納位置(図12)から近位に移動させられる。カム表面14と斜面116との間の相互作用は、切断要素104を切断位置(図3)に移動させ、また、先端18を偏向させ、そのことは、切断される組織に向かって切断要素104を移動させる傾向がある。
【0051】
カッター104は、カム表面14上の1つ以上の隆起部分14aから構成され、また、斜面116は、傾斜表面116bの中の1つ以上の陥凹116aから構成される。陥凹および隆起部分は、隆起部分14aが陥凹116a内に嵌合することができるように相対的に寸法決定される。陥凹116aはまた、少なくとも1つの縁116cから構成される。切断要素104のカム表面14は、斜面116に対して加圧接触するように事前に負荷を加えられる。一実施形態において、カテーテル102は、そのような事前負荷を提供するための当技術分野で公知の手段によって、張力を受けたシャフト20と圧縮状態にあるカテーテル本体8とによって組み立てられる。別の実施形態において、カテーテル102は、斜面表面116bに対して隆起部分14aを押し付けるバネ(図示せず)から構成される。カッター104は、カップ形状表面24および切断縁22から構成され、隆起要素26、26A、26B、または26Cの任意の混合および組み合わせにおいて、0個、1個、2個、3個、4個、6個、または8個の隆起要素から構成されてもよい。
【0052】
代替実施形態(図示せず)において、カッター104は、カム表面14における1つ以上の陥凹から構成され、斜面116は、傾斜表面116b上の1つ以上の隆起部分から構成される。さらに別の実施形態(図示せず)では、カッター104は、カム表面14上の1つ以上の隆起部分から構成され、斜面116は、傾斜表面116b上の1つ以上の隆起部分から構成される。
【0053】
使用中、カテーテル102は、ガイドワイヤ(図示せず)または同等物を使用して、従来の方式で患者の中に導入される。カテーテル2は、物質が除去される場所にカテーテルが配置されるまで、図12の格納位置にある切断要素とともに前進させられる。次いで、切断要素104は、斜面116とカム表面14とが係合して、切断要素104を切断位置まで移動させ、およびカテーテル2の先端を偏向させて、切断される組織に向かって切断要素104を移動させるために近位に移動させられる(図3)。切断要素104は、長手軸LAの回りで回転させられ、次いで、カテーテル102は、切断要素104が組織を切断するように血管を通して遠位に移動させられる。切断された組織は、カップ形状表面24によって、組織チャンバ12の中へ方向付けられる。切断要素104が長手軸LAの回りで(例えば、矢印Sの方向に)回転させられると、斜面116に対するカッター104の事前負荷が、隆起部分14aを斜面116の陥凹116aの中へ進入させるまで、隆起部分14aは、斜面116の表面116bに沿って摺動させる。切断要素104のさらなる回転は、隆起部分14aを陥凹縁116cに接触させ、および斜面116の陥凹116aから排出させ、それにより、除去される物質に対してカッター104のハンマーのような衝撃を生じさせる。除去される物質が砕けやすい特性を有する場合に、物質は、より小さい粒子に砕かれ、それにより、その除去を容易にする。カッター104の回転の反復は、除去される物質に対するカッター104のハンマーのような打撃の反復を生じさせる。切断要素の軸とほぼ平行な方向への振動は、遠位方向への、収集チャンバに向かう、または両方向への力を物質の切断粒子に付与する。
【0054】
上記の説明および図面は、本発明の実施形態を説明する目的で提供され、本発明の範囲を限定することを決して目的としていない。本発明の精神または範囲から逸脱することなく、種々の修正および変更を行えることが、当業者に明白となるであろう。したがって、本発明は、添付の請求項およびそれらの同等物の範囲内に入るならば、本発明の修正および変化例を対象とすることが意図される。さらに、材料および構成の選択が、ある実施形態に関して上記で説明されていてもよいが、当業者であれば、説明される材料および構成は、実施形態にわたって適用可能であることを理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アテレクトミーカテーテルであって、
開口部を有する本体と、
該本体に連結される回転可能シャフトと、
該本体に連結され、切断要素よりも遠位に配置される組織収集チャンバと、
切断要素であって、該切断要素は、該切断要素を回転軸の回りで回転させるために該回転可能シャフトに連結され、該切断要素は、カップ形状表面および切断縁を有し、該カップ形状表面は、該カップ形状表面が遠位方向に移動するときに、該切断縁によって切断される組織を該遠位方向に方向転換するように構成される、切断要素と、
該切断要素の該カップ形状表面から外向きに延在する隆起要素であって、該隆起要素は、該切断要素の該回転軸、カテーテル長手軸、または該組織収集チャンバのうちの1つ以上に向かって物質の切断粒子を方向付けるように構成される、隆起要素と
を備える、カテーテル。
【請求項2】
前記隆起要素は、前記切断要素の前記回転軸に向かって物質の切断粒子を方向付けるように構成される、請求項1に記載のアテレクトミーカテーテル。
【請求項3】
前記切断縁は、前記切断要素の半径方向外側縁にある、請求項2に記載のアテレクトミーカテーテル。
【請求項4】
前記隆起要素は、湾曲した隆起要素切断縁を備える、請求項3に記載のアテレクトミーカテーテル。
【請求項5】
前記隆起要素は、前記湾曲した隆起要素切断縁から前記カップ形状表面まで延在する第1の壁を備え、該第1の壁は、前記切断要素の前記回転軸に向かって前記物質の切断粒子を方向付ける、請求項4に記載のアテレクトミーカテーテル。
【請求項6】
前記第1の壁は、前記切断要素の前記半径方向外側縁における前記切断縁の比較的接線方向の角度から、該切断要素の前記回転軸により近接した比較的半径方向の角度まで湾曲している、請求項5に記載のアテレクトミーカテーテル。
【請求項7】
前記隆起要素は、第1の湾曲した隆起要素切断縁から第2の縁まで延在する遠位壁を備え、該遠位壁は、前記切断要素の前記回転軸に対して90度より小さい角度を形成する、請求項6に記載のアテレクトミーカテーテル。
【請求項8】
前記第1の湾曲した隆起要素切断縁は、前記第2の縁よりも遠位にある、請求項7に記載のアテレクトミーカテーテル。
【請求項9】
前記第1の湾曲した隆起要素切断縁と前記切断要素の前記切断縁との間の最小の半径方向距離は、前記第2の縁と該切断要素の該切断縁との間の最小の半径方向距離よりも小さい、請求項8に記載のアテレクトミーカテーテル。
【請求項10】
前記第1の壁と前記遠位壁との間の刃先角度は、鈍角である、請求項7に記載のアテレクトミーカテーテル。
【請求項11】
前記隆起要素は、長手方向距離で前記切断縁から近位に後退している、請求項3に記載のアテレクトミーカテーテル。
【請求項12】
前記隆起要素は、0.0010〜0.0050インチ(0.0025〜0.0127cm)の長手方向距離で前記切断縁から近位に後退している、請求項11に記載のアテレクトミーカテーテル。
【請求項13】
前記隆起要素は、0.0010〜0.0050インチ(0.0025〜0.0127cm)の半径方向距離で前記切断縁から近位に後退している、請求項3に記載のアテレクトミーカテーテル。
【請求項14】
前記隆起要素は、隆起要素切断縁から前記カップ形状表面まで延在する第1の壁を備え、該第1の壁は、前記切断要素の前記回転軸に向かって前記物質の切断粒子を方向付け、該第1の壁は、該カップ形状表面と鋭角を形成してアンダーカットを形成する、請求項2に記載のアテレクトミーカテーテル。
【請求項15】
前記隆起要素は、前記第1の隆起要素切断縁から第2の縁まで延在する遠位壁を備え、該遠位壁は、前記切断要素の前記回転軸に対して90度よりも小さい角度を形成する、請求項14に記載のアテレクトミーカテーテル。
【請求項16】
前記第1の隆起要素切断縁は、前記第2の縁よりも遠位にある、請求項15に記載のアテレクトミーカテーテル。
【請求項17】
前記第1の隆起要素切断縁と前記切断要素の前記切断縁との間の最小の半径方向距離は、前記第2の縁と該切断要素の該切断縁との間の最小の半径方向距離よりも小さい、請求項16に記載のアテレクトミーカテーテル。
【請求項18】
すくい角を有する壁は、前記第1の壁と前記遠位壁との交差部の間に点在している、請求項15に記載のアテレクトミーカテーテル。
【請求項19】
前記すくい角は、負である、請求項18に記載のアテレクトミーカテーテル。
【請求項20】
前記切断要素の前記カップ形状表面は、該切断要素の前記回転軸に沿って見られると、少なくとも300度にわたって平滑で途切れていない、請求項1に記載のアテレクトミーカテーテル。
【請求項21】
前記切断要素の前記カップ形状表面は、該切断要素の前記回転軸に沿って見られると、該切断要素の表面積の少なくとも90%について平滑で途切れていない、請求項1に記載のアテレクトミーカテーテル。
【請求項22】
前記切断要素の前記カップ形状表面は、該切断要素の前記回転軸に沿って見られると、外半径を有し、該カップ形状表面は、該回転軸から該外半径までの距離の少なくとも半分まで連続的で途切れていない、請求項1に記載のアテレクトミーカテーテル。
【請求項23】
複数の隆起要素をさらに備え、該複数の隆起要素は、前記切断要素の前記回転軸に沿って見られると、60度よりも小さい領域および表面積の5%未満を占有し、前記カップ形状表面は、該表面積の少なくとも90%について平滑で途切れていない、請求項1に記載のアテレクトミーカテーテル。
【請求項24】
複数の隆起要素は、前記カップ形状表面から外向きに延在し、該複数の隆起要素は、1個、2個、3個、4個、6個、または8個の隆起要素である、請求項1に記載のアテレクトミーカテーテル。
【請求項25】
前記切断要素は、前記開口部に対する格納位置と切断位置との間で移動可能である、請求項1に記載のアテレクトミーカテーテル。
【請求項26】
前記切断要素は、カム表面に対して該切断要素を摺動させることによって、前記格納位置と前記切断位置との間を移動させられる、請求項25に記載のアテレクトミーカテーテル。
【請求項27】
近位部分に対する前記カテーテルの遠位部分は、前記カム表面に対して前記切断要素を摺動させることによって、偏向させられる、請求項26に記載のアテレクトミーカテーテル。
【請求項28】
前記切断要素は、該切断要素の前記回転軸と実質的に平行な方向に振動するように構成される、請求項1に記載のアテレクトミーカテーテル。
【請求項29】
アテレクトミーカテーテルであって、
開口部を有する本体と、
該本体に連結される回転可能シャフトと、
該本体に連結され、切断要素よりも遠位に配置される組織収集チャンバと、
切断要素であって、該切断要素は、切断要素を回転軸の回りで回転させるために該回転可能シャフトに連結され、該切断要素は、切断縁を有し、および該切断要素の該回転軸と実質的に平行な方向に振動するように構成される、切断要素と
を備える、カテーテル。
【請求項30】
前記アテレクトミーカテーテルは、1つ以上の陥凹を有する斜面を備え、前記切断要素は、該切断要素のカム表面上に1つ以上の隆起部分を備え、該1つ以上の隆起部分は、該隆起部分と該陥凹とが整列させられると、該1つ以上の陥凹内に嵌合し、該隆起部分は、該切断要素が回転させられるときに、該陥凹に出入りし、それにより、該切断要素を振動させる、請求項29に記載のアテレクトミーカテーテル。
【請求項31】
前記アテレクトミーカテーテルは、1つ以上の隆起部分を有する斜面を備え、前記切断要素は、該切断要素のカム表面上に1つ以上の陥凹を備え、該1つ以上の隆起部分は、該隆起部分と該陥凹とが整列させられたときに、該1つ以上の陥凹内に嵌合し、該隆起部分は、該切断要素が回転させられるときに、該陥凹に出入りし、それにより、該切断要素を振動させる、請求項29に記載のアテレクトミーカテーテル。
【請求項32】
前記アテレクトミーカテーテルは、1つ以上の隆起部分を有する斜面を備え、前記切断要素は、該切断要素のカム表面上に1つ以上の隆起部分を備え、該隆起部分は、該切断要素が回転させられるときに、該切断要素を振動させる、請求項29に記載のアテレクトミーカテーテル。
【請求項33】
前記切断要素は、カップ形状表面を有し、該カップ形状表面は、該カップ形状表面が遠位方向に移動するときに、前記切断縁によって切断された組織を該遠位方向に方向転換するように構成される、請求項29に記載のアテレクトミーカテーテル。
【請求項34】
前記切断縁は、前記切断要素の半径方向外側縁である、請求項29に記載のアテレクトミーカテーテル。
【請求項35】
前記カテーテルは、前記切断要素の前記カップ形状表面から外向きに延在する隆起要素を備える、請求項29に記載のアテレクトミーカテーテル。
【請求項36】
前記切断縁は、前記切断要素の半径方向外側縁であり、前記隆起要素は、該切断要素の前記回転軸に沿って見られると、該切断縁から近位に後退している、請求項35に記載のアテレクトミーカテーテル。
【請求項37】
前記切断要素は、前記開口部に対する格納位置と切断位置との間で移動可能である、請求項29に記載のアテレクトミーカテーテル。
【請求項38】
前記切断要素は、カム表面に対して該切断要素を摺動させることによって、前記格納位置と前記切断位置との間で移動させられる、請求項37に記載のアテレクトミーカテーテル。
【請求項39】
近位部分に対する前記カテーテルの遠位部分は、前記カム表面に対して前記切断要素を摺動させることによって、偏向させられる、請求項38に記載のアテレクトミーカテーテル。
【請求項40】
身体管腔から物質を除去する方法であって、該方法は、
アテレクトミーカテーテルを提供することであって、該アテレクトミーカテーテルは、
開口部を有する本体と、
該本体に連結される回転可能シャフトと、
該本体に連結され、切断要素より遠位に配置される組織収集チャンバと、
切断要素であって、該切断要素は、該切断要素を回転軸の回りで回転させるために該回転可能シャフトに連結され、該切断要素は、カップ形状表面および切断縁を有し、該カップ形状表面は、該カップ形状表面が遠位方向に移動するときに、該切断縁によって切断された組織を該遠位方向に方向転換するように構成される、切断要素と、
該切断要素の該カップ形状表面から外向きに延在する隆起要素であって、該隆起要素は、該切断要素の該回転軸、カテーテル長手軸、または該組織収集チャンバのうちの1つ以上に向かって物質の切断粒子を方向付けるように構成される、隆起要素と
を備える、ことと、
該身体管腔の中に該カテーテルを設置することと、
該切断要素を該身体管腔の中の該物質と接触させるように、該身体管腔の中で該カテーテルを移動させることと
を含む、方法。
【請求項41】
前記カテーテルは、前記切断縁を前記身体管腔の中の前記物質と接触させるように、遠位方向に移動させられる、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記カテーテルは、前記格納位置にある前記切断要素とともに前記身体管腔の中に設置され、該カテーテルは、切断位置にある前記切断要素によって前記物質と接触するように移動させられる、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記身体管腔は、血管である、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
身体管腔から物質を除去する方法であって、該方法は、
アテレクトミーカテーテルを提供することであって、該アテレクトミーカテーテルは、
開口部を有する本体と、
該本体に連結される回転可能シャフトと、
該本体に連結され、切断要素よりも遠位に配置される組織収集チャンバと、
切断要素であって、該切断要素は、該切断要素を回転軸の回りで回転させるために該回転可能シャフトに連結され、該切断要素は、切断縁を有し、および該切断要素の該回転軸と実質的に平行な方向に振動するように構成される、切断要素と
を備える、ことと、
該身体管腔の中に該カテーテルを設置することと、
該切断要素を該身体管腔の中の該物質と接触させるように、該身体管腔の中で該カテーテルを移動させることと
を含む、方法。
【請求項45】
前記カテーテルは、前記切断縁を前記身体管腔の中の前記物質と接触させるように、遠位方向に移動させられる、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記カテーテルは、前記格納位置にある前記切断要素とともに前記身体管腔の中に設置され、該カテーテルは、前記物質を切断位置にある該切断要素と接触させるように移動させられる、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記身体管腔は、血管である、請求項44に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図8A】
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【図9】
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【図10】
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【図10A】
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【図11】
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【図11A】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2013−512736(P2013−512736A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542175(P2012−542175)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/058654
【国際公開番号】WO2011/068932
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】