説明

組織中の高変異可能な核酸配列の検出

【課題】 種々の臨床的サンプル中の細胞増殖性疾患を検出するための、迅速で信頼性のある、感度の高いスクリーニング方法を提供すること。
【解決手段】 高変異可能な核酸配列に関連する哺乳類細胞増殖性疾患の検出のためのアッセイが提供される。ミクロサテライト座のような特定の高変異可能な配列の同定は特定の癌と関係し、それによって、患者内の原発性腫瘍および転移部位の両方の検出が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、一般的には標的核酸配列の検出に関し、具体的にはサンプル中の高変異可能な核酸配列に関連する細胞増殖性疾患の検出に係わる。
【背景技術】
【0002】
2. 関連技術の説明
哺乳動物のゲノムは適度にまたは高度に反復したDNA配列が間隔をおいて配置されたユニークなDNA配列から成る。従来より減数分裂結合分析による遺伝子マッピングはユニークなDNA配列の中の変化、例えば制限断片長多型を遺伝子マーカーとして使用して行われてきた(Botsteinら、Am. J. Hum. Genet., 32:314-331, 1980)。最近、ミニサテライトあるいは可変数タンデムリピート(VNTR)配列(Jeffreysら、Nature, 314:67-73, 1985; Nakamuraら、Science, 235:1616-1622, 1987)、及びミクロサテライトまたは可変単純配列モチーフ(VSSM)(Litt and Luty, Am. J. Hum. Genet., 44:397-401, 1989; Weber and May, Am. J. Hum. Genet., 44:388-396, 1989)が結合の分析に有用であることが見出された。ユニーク配列の変化ではなく、反復配列の変化を使用することの一つの利点は、制限断片長の多型(RFLP)と比較した場合、正常な集団において明らかにより多い数の対立遺伝子が存在することである。第2の利点は、ポリメラーゼ連鎖反応を使用して配列長変化を容易に検出し、多数のDNAサンプルの迅速で安価な分析を簡単に行うことができる能力である。
【0003】
ミクロサテライトエレメントは対立遺伝子が1以上の反復ユニットで異なっている単純なモノ、ジあるいはトリヌクレオチド配列、からなる(Lutyら、Am. J. Hum. Genet., 46:776-783, 1990; Tautzら、Nature, 322:652-656, 1986; Weber and May, Am. J. Hum. Genet., 44:388-396, 1989)。ミニサテライト、またはVNTR配列は、典型的には20〜数百ヌクレオチドの反復単位を有し、対立遺伝子は少なくとも1つの反復単位において異なる。単純な配列のうち、(TG)nまたは(CAn)反復エレメントが、(1)これらがゲノム中で豊富であること、(2)多数の異なる対立遺伝子を示すこと、及び(3)ポリメラーゼ連鎖反応を使用して迅速にアッセイできることから、減数分裂マッピングに非常に有用であることが判った(Litt and Luty, Am. J. Hum. Genet., 44:397-401, 1989; Weber and May, Am. J. Hum. Genet., 44:388-396, 1989)。
【0004】
他の多くの短鎖配列モチーフが、哺乳動物ゲノム(Hellmanら、Gene, 68:93-100, 1988; Knottら、Nuc. Acids Res., 14:9215-9216, 1986; Litt and Luty, Am. J. Hum. Genet., 44:397-401, 1989; Milsteinら、Nuc. Acids Res., 12:6523-6535, 1984; Stoker ら、Nuc. Acids Res., 13:4613-4621, 1985; Vassartら、Sc ience, 233:683-684, 1987; 及びVergnaud, Nuc. Acids Res., 17:7623-7630, 1989)及び鳥類ゲノム(Gyllenstenら、Nuc. Acids Res., 17:2203-2214, 1989; Longmireら、Genomics, 2:14-24, 1988)に見出されており、複製の間のDNAスリップにより蓄積されるものであるか(Tautzら、Nature, 322:652-656, 1986)、または不均一な組換え事象であると考えられている(Woffら、Genomics, 5:382-384, 1989)。これらの反復エレメントの多くは高度な遺伝子変化を示し、従ってやはり減数分裂及び有糸分裂マッピングに有用である。
【0005】
Jeffreys (上出)により単離されたVNTR配列は、不変コア配列GGGCAGGAXGを含み、これはファージλのchi配列にいくらかの類似性を有しており(Wolffら、Genomics, 5:382-384, 1989)、バクテリオファージM13 の制限断片により検出される(Vassartら、Science, 233:683-684, 1987) 。同様な反復エレメントがNakamuraらにより検出されており(Science, 235:1616-1622, 1987)、同様なものであるが異なる共通のコアユニットGGGGTGGGG を含んでいる。この種のエレメントはβグロビン遺伝子座を含むいくつかの公知の遺伝子配列中に見られる。同様なVNTRエレメントが、アポリポタンパク質B 内のもの(Boerwinkleら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86:212-216, 1989; Knott ら、Nuc. Acids Res., 14:9215-9216, 1986)、コラーゲンII型遺伝子内のもの(Stokerら、Nuc. Acids Res., 13:4613-4621, 1985)として記載されており、特有のAT-リッチモチーフを含む。この種の反復エレメントの生理学的機能は確定されていないが、染色体組換えについての強力なホットスポットであるか(DeBustrosら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA,85:5693-5697, 1988)、遺伝子発現のコントロールに重要なエレメントであることが示唆されている(Hellmanら、Gene, 68:93-100, 1988; Milstein ら、Nuc. Acids Res., 12:6523-6535, 1984)。
【0006】
ミクロサテライトは、ヒトゲノム中の非常に普遍的で高度に多型クラスの遺伝子エレメントを代表するものである。これまでに記載されているように、反復配列を含むミクロサテライトマーカーは一次遺伝子マッピング及び結合分析に使用されている(Weberら、Am. J. Human Genet., 44:388, 1989)。これらの反復をPCR 増幅することにより、異型接合性(LOH) の消失の迅速な調査が可能となり、腫瘍抑制遺伝子のマッピングのための手順を極めて単純なものとすることができる(Ruppertら、Cancer Res. 53:5093, 1993; van der Riet ら、Cancer Res., 54:1156, 1994)。より最近になって、ミクロサテライトはある種の遺伝病における特定の変異を同定するのに使用されており、そのような疾患としては、ハンチントン病(HD)、脆弱X染色体(FX)、緊張性筋ジストロフィー(MD)、脊髄小脳失調I型(SCA1)、脊髄延髄筋ジストロフィー(SBMA)及び遺伝性歯状赤核小脳萎縮症(dentatorubralpallidoluysion atrophy, DRPLA)がある(The Huntington's Disease Collaborative Research Group., Cell, 72:971, 1993; E. J. Kremer ら、Science, 252:1711, 1991; G. Imbertら、Nature Genet., 4: 72, 1993); H.T. Orrら、Nature Genet., 4:221, 1993); V. Biancalanaら、Hum. Mol. Genet., 1:255, 1992, M-Y., Chungら、Nature Genet., 5:254, 1993, R. Koideら、Nature Genet., 6:9, 1994) 。
【0007】
ミクロサテライト不安定性は、最近ヒトの癌について記載されている。例えば、ミクロサテライト不安定性は、遺伝性非ポリープ性結直腸癌(HNPCC) 患者の腫瘍の重要な特徴であると報告されている(Peltomakiら、Science, 260:810, 1993; Aaltonenら、Science, 260:812, 1993; Thibodeau ら、Science, 260:816, 1993) 。さらに、反復エレメントの拡張あるいは欠失により示されるミクロサテライト不安定性は結直腸、子宮内膜、乳房、胃、膵臓、膀胱腫瘍性組織において報告されており(J.I. Risingerら、Cancer Res., 53:5100, 1993; H-J. Hanら、Cancer Res., 53:5087, 1993; P. Peltomakiら、Cancer Res. 53:5853, 1993; M.Gonzalez-Zuluetaら、Cancer Res., 53:5620, 1993)、最近SCLCにおいて報告されている。HNPCC 患者においては、この遺伝的不安定は、重要なミスマッチ修復遺伝子(hMSH-2)の遺伝性の体細胞突然変異によるものである。hMLH-1及びその他の重要なミスマッチ修復遺伝子の変異も、HNPCC 患者中で検出される不安定に関わる。
【0008】
癌はいまだに世界的に主要な死亡原因であり、診断及び治療の進歩にもかかわらず、この20年間全体的な生存率は際立って改善されていない。初期診断のためのより感度の高い手段に対するニーズは未だに満足されていない。臨床的標本中の稀な浸潤腫瘍細胞を検出するための典型的なアッセイの典型的は増幅法を利用するものであり、これはそれぞれの腫瘍タイプについての広範な種類の発癌性変異を検出するためのさらなるクローニング段階と多数のオリゴマー特異的プローブの合成を必要とする(Sidranskyら、Science, 25 2:706, 1991; Sidransky ら、Science, 256:102, 1992)。本発明は、高変異可能なミクロサテライトマーカーを使用した種々の癌を検出する感度の高いアッセイと、さらなるクローニング段階の必要を排除した増幅方法を提供するものである。
【発明の開示】
【0009】
発明の概要
本発明は、種々の臨床的サンプル中の細胞増殖性疾患を検出するための、迅速で信頼性のある、感度の高いスクリーニング方法を提供する。本発明は、臨床的サンプル中の細胞のクローン集団を検出するためにミクロサテライト核酸 (小反復配列) を増幅及び検出を利用する。
【0010】
本発明は、ミクロサテライト変化が、細胞学的臨床サンプルのDNA中にある細胞のクローン集団細胞として検出可能であるという予測されなかった知見に基づくものである。そのようなサンプルとしては、癌患者から採取した尿、痰、及び病理組織学的縁がある。
【0011】
本発明は、標本中の高変異可能な哺乳動物標的核酸に関連する哺乳動物細胞増殖性疾患 (即ち新生物) を検出するための方法を提供するものであり、該方法は、標本中に存在する核酸を単離し、典型的にはその後核酸を増幅した後に、高変異可能な標的核酸の存在または不存在 (例えば異型接合性の消失(LOH))を検出することを含む。
【0012】
一つの態様においては、本発明の方法における増殖段階は多重反応として行われる。従って、多数の増幅反応を行ってそれぞれのクローン変化を同定する代わりに、一つの簡単な増幅反応において異なる複数のマーカーのプライマーを組み合わせて使用し、細胞増殖性疾患の大部分の同定を可能とするものである。
発明の詳細な説明
本発明は、高変異可能なヌクレオチド配列を有する標的核酸に関連する細胞増殖性疾患の検出方法に関する。好ましくは、本発明の高変異可能なヌクレオチド配列はミクロサテライトDNA配列である。例えば、種々の癌病巣におけるミクロサテライト変化は、公知のミクロサテライト反復マーカーを使用して検出できる。反復マーカーの組み合わせを本発明の方法に使用して細胞増殖性疾患あるいは新生物の大部分を同定することができる。新生細胞が少量の臨床的サンプルのみからなる場合でも可能である。
【0013】
本明細書で使用する用語「高変異可能な」は、不安定になりやすい核酸配列で、その結果核酸が変化するものをいう。そのような変化は、ヌクレオチドの欠失及び付加を含む。本発明の高変異可能な配列は好ましくはミクロサテライトDNA配列であり、これは小さいタンデム反復DNA配列と定義される。ミクロサテライトDNAマーカーを使用して高変異可能な配列並びに異型接合性の消失(LOH) 及びゲノムの不安定性を検出する。
【0014】
高変異可能な核酸は新生物性核酸配列であってもよい。用語「新生物性」核酸は、新生物形成に直接あるいは間接に関連し、あるいはその原因となる核酸配列をいうものである。本発明の方法は、良性及び悪性の腫瘍に関連する高変異可能なヌクレオチド配列の検出に応用できる。該方法を使用すれば、標本中に高変異可能なヌクレオチド配列が検出可能なように存在している限り、その起源にかかわらずいかなるそのような配列も検出できる。標本は、血液、尿、痰、胆汁、便、子宮頸部スミア、唾液、涙、脳脊髄液、局所リンパ節及び組織病理学的縁、及び体腔あるいは器官から排出された任意の体液とすることができる。例えば、原発性乳癌に関連する局所リンパ節の新生物形成を本発明の方法を利用して検出できる。用語「局所リンパ節」は、原発性腫瘍に近接した、リンパ様器官または節を形成するリンパ様組織をいうものである。例えば、頭部及び頸部癌の場合における局所リンパ節には、頸部リンパ節、喉頭前リンパ節、肺食道傍リンパ節及び顎下リンパ節が含まれる。乳房組織癌の所属リンパ節には、腋窩リンパ節及び肋間リンパ節が含まれる。用語「原発性新生物の外部」は、標本を原発性新生物そのものから直接採取したのではなくそれ以外の部位から採取したことを意味する。そのような標本は、原発性腫瘍の転移が起こっているかどうかを評価するのに有用であり得る。
【0015】
前記方法は、腫瘍縁周囲をアッセイすることにより、原発性腫瘍に関連する高変異可能な核酸配列を検出するのにも使用できる。本明細書で使用する「腫瘍縁」の用語は識別可能な腫瘍を取り囲む組織をいうものである。充実性腫瘍を手術により取り除く場合、腫瘍縁は識別可能な腫瘍とともに切除される通常肉眼では正常に見える組織である。より特定的には、本明細書でいう「縁」は腫瘍の端部、境界をいうものである。この縁は一般的には原発性腫瘍から0.2cmから3cm伸びているが、原発性の充実性腫瘍の大きさにより、それよりも大きい場合もある。
【0016】
最も広い意味において、本発明は診断及び治療に関連する任意の高変異可能な標的核酸配列の検出を可能とするものであり、該標的核酸配列は組織サンプル中に存在するものである。標的ヌクレオチド配列は、例えば制限断片長多型(RFLP)、ヌクレオチド欠失、ヌクレオチド付加、あるいはそのような組織標本中の任意のその他の対象となる哺乳動物核酸配列であってよい。好ましくは、ミクロサテライト、本発明の高変異可能な核酸は核酸欠失あるいは付加を含むものである。
【0017】
本発明の方法において最も好ましい高変異可能なミクロサテライトは、配列(X)n (式中、X は反復配列中のヌクレオチドの数であり、1以上、好ましくは2以上、最も好ましくは3以上であり、n は反復の数であり、2以上、好ましくは4〜6である。X が2の場合、ヌクレオチド配列はTCであることが好ましい。X が3の場合はヌクレオチド配列はAGC 、TCC 、CAG 、CAA 及びCTG から選択されることが好ましい。X が4である場合は、ヌクレオチド配列はAAAG、AGAT及びTCTTから選択されることが好ましい。
【0018】
高変異可能な核酸配列は、好ましくは公知の遺伝子座に関連しているものである。例えば、ARA(染色体X)、D14S50(染色体14)、AR(染色体X)、MD(染色体19) 、SAT(染色体6)、DRPLA(染色体12) 、ACTBP2(染色体6)、FGA(染色体4)、D4S243(染色体4)及びUT762(染色体21) から選択されたマーカーを使用して高変異可能なミクロサテライト変化を検出することができる。タンデム反復配列が、ハンチントン病(HD)、脆弱X染色体症候群(FX)、緊張性筋ジストロフィー(MD)、脊髄小脳失調I 型(SCA1)、脊髄延髄筋ジストロフィー(SBMA)及び遺伝性歯状赤核小脳萎縮症(DRPLA)に関連するものとして同定されている。ヌクレオチド配列X がより大きい場合は、ミクロサテライト遺伝子座がより変化を有しやすくなり、例えばトリヌクレオチド反復はジヌクレオチド反復よりも欠失あるいは付加を含み易くなる。即ち本発明においては、調べた100 の腫瘍標本につき、25のトリヌクレオチドあるいはテトラヌクレオチドマーカーの8%がミクロサテライト変化を示したのに対し、83のジヌクレオチドミクロサテライトマーカーの0.7%のみが変化を有していた。さらに、規則的な反復、例えばAAT AAT AAT は、反復配列中に中断を含む配列、例えばAAT GAC AAT AAT よりも高変異可能なでありやすいことが見出された。従って当業者は、候補の配列の大きさと、その配列が中断されていないかどうかを考慮することによって、過度の実験を強いられることなくその他の高変異可能な標的核酸配列を容易に同定することができる。その他のミクロサテライトマーカーは、本明細書に記載した基準により知ることができ、当業者が入手することができる。ジヌクレオチド及びモノヌクレオチド反復等のより小さいミクロサテライトマーカーは高変異可能なであり得、本分析に有用であり得る。
【0019】
本発明は、高変異可能な標的配列、好ましくはミクロサテライト遺伝子座であって、特定の細胞増殖性疾患、原発性腫瘍、あるいは原発性腫瘍に由来する転移部位に特有のものを同定する。腫瘍細胞においては、高変異可能なヌクレオチド配列は正常細胞と比較した場合の核酸欠失や反復配列の拡張により示される。従って配列が一旦同定された後は、特異的な配列のための適当な診断法を設計し、治療方法を設計することが可能である。
【0020】
用語「細胞増殖性疾患」は、形態学的に周囲の組織とは異なっているように見えることが多い良性及び悪性の細胞集団を示すものである。例えば、本発明の方法は種々の器官系で悪性腫瘍を検出するのに有用で、例えば、肺、乳房、リンパ様、胃腸及び泌尿生殖器系並びに上皮癌の検出に有用であり、これらには殆どの結腸癌、腎細胞癌、前立腺癌、肺の非小細胞癌、小腸の癌、頭部及び頸部の癌、胃癌、膀胱癌、腎臓癌、子宮頸癌、食道癌等の悪性腫瘍及びその他の分析に供することができる液体または組織を排出するあらゆる種類の器官が含まれる。本発明の方法は、非悪性の細胞増殖性疾患、例えば結腸腺癌、過形成、異形成及びその他の「前悪性」病巣を検出するのにも有用である。本質的には、高変異可能なミクロサテライト遺伝子座に病因論的に関連するあらゆる疾患が検出可能であると考えられる。
【0021】
検出の前に標的ヌクレオチド配列、例えば高変異可能なヌクレオチド配列を増幅することが望まれる場合は、増幅のためのプライマーであるオリゴヌクレオチドを使用して行うことができる。オリゴヌクレオチドプライマーは、高変異可能なヌクレオチド配列に近接した隣接領域の核酸配列の同定に基づいて設計される。例えば、高変異可能なミクロサテライト核酸配列の場合、プライマーは変異の遺伝子座に隣接するヌクレオチド配列とハイブリダイズできる配列を含み、例えば以下のようなヌクレオチド配列である。
a. 5'-CTT GTG TCC CGG CGT CTG-3' (配列番号1);
b. 5'-C AGC CCA GCA GGA CCA GTA-3' (配列番号2);
c. 5'-TGG TAA CAG TGG AAT ACT GAC-3' (配列番号3);
d. 5'-ACT GAT GCA AAA ATC CTC AAC-3' (配列番号4);
e. 5'-GA TGG GCA AAC TGC AGG CCT GGG AAG-3' (配列番号5);
f. 5'-GCT ACA AGG ACC CTT CGA GCC CCG TTC-3' (配列番号6);
g. 5'-GAT GGT GAT GTG TTG AGA CTG GTG-3' (配列番号7);
h. 5'-GAG CAT TTC CCC ACC CAC TGG AGG-3' (配列番号8);
i. 5'-GTT CTG GAT CAC TTC GCG GA-3' (配列番号9);
j. 5'-TGA GGA TGG TTC TCC CCA AG-3' (配列番号10);
k. 5'-AGT GGT GAA TTA GGG GTG TT-3' (配列番号11);
l. 5'-CTG CCA TCT TGT GGA ATC AT-3' (配列番号12);
m. 5'-CTG TGA GTT CAA AAC CTA TGG-3' (配列番号13);
n. 5'-GTG TCA GAG GAT CTG AGA AG-3' (配列番号14);
o. 5'-GCA CGC TCT GGA ACA GAT TCT GGA-3' (配列番号15);
p. 5'-ATG AGG AAC AGC AAC CTT CAC AGC-3' (配列番号16);
q. 5'-TCA CTC TTG TCG CCC AGA TT-3' (配列番号17);
r. 5'-TAT AGC GGT AGG GGA GAT GT-3' (配列番号18);
s. 5'-TGC AAG GAG AAA GAG AGA CTG A-3' (配列番号19);
t. 5'-AAC AGG ACC ACA GGC TCC TA-3' (配列番号20);
および
u.配列a〜tに相補的な配列
これらの隣接配列にハイブリダイズするプライマーは、例えば以下のものである。
a. 5'-CAG ACG CCG GGA CAC AAG-3' (配列番号21);
b. 5'-TAC TGG TCC TGC TGG GCT G-3' (配列番号22);
c. 5'-GTC AGT ATT ACC CTG TTA CCA-3' (配列番号23);
d. 5'-GTT GAG GAT TTT TGC ATC AGT-3' (配列番号24);
e. 5'-CTT CCC AGG CCT GCA GTT TGC CCA TC-3' (配列番号25);
f. 5'-GAA CGG GGC TCG AAG GGT CCT TGT AGC-3' (配列番号26);
g. 5'-CAC CAG TCT CAA CAC ATC ACC ATC-3' (配列番号27);
h. 5'-CCT CCA GTG GGT GGG GAA ATG CTC-3' (配列番号28);
i. 5'-TCC GCG AAG TGA TCC AGA AC-3' (配列番号29);
j. 5'-CTT GGG GAG AAC CAT CCT CA-3' (配列番号30);
k. 5'-AAC ACC CCT AAT TCA CCA CT-3' (配列番号31);
l. 5'-ATG ATT CCA CAA GAT GGC AG-3'(配列番号32);
m. 5'-CCA TAG GTT TTG AAC TCA CAG-3' (配列番号33);
n. 5'-CTT CTC AGA TCC TCT GAC AC-3' (配列番号34);
o. 5'-TCC AGA ATC TGT TCC AGA GCG TGC-3' (配列番号35);
p. 5'-GCT GTG AAG GTT GCT GTT CCT CAT-3' (配列番号36);
q. 5'-AAT CTG GGC GAC AAG AGT GA-3' (配列番号37);
r. 5'-ACA TCT CCC CTA CCG CTA TA-3' (配列番号38);
s. 5'-TCA GTC TCT CTT TCT CCT TGC A-3' (配列番号39);
t. 5'-TAG GAG CCT GTG GTC CTG TT-3' (配列番号40);
および
u.配列a〜tに相補的な配列
当業者であれば、当分野で知られた日常的な技術及び本発明における教示を使用して、公知のミクロサテライト配列の隣接遺伝子座のような、別の核酸の標的配列を増幅するのに適したプライマーを製造することができるであろう。
【0022】
一般的には、本発明の方法により使用するプライマーは、十分な長さと適当な配列を有し、プライマーを利用した反応のためのストリンジェンシーの条件下で、標的核酸を含む核酸分子の有意な数の重合を特異的に開始させるものを包含する。このように、対象の核酸を含む特異的標的核酸配列を選択的に増幅することが可能である。具体的には、本明細書で使用する用語「プライマー」は、2以上、好ましくは少なくとも8のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドを含む配列で、標的核酸鎖に実質的に相補的なプライマー延長産物の合成を開始することができる配列をいう。このオリゴヌクレオチドプライマーは典型的には15〜22あるいはそれ以上のヌクレオチドを含むが、プライマーが実質的に特異的に所望される標的ヌクレオチド配列の増幅のみを起こすのに十分な特異性 (即ちプライマーが実質的に相補的である) を有する限り、より少ないヌクレオチドを含むものであってもよい。
【0023】
合成を助ける実験条件としては、ヌクレシドトリホスフェート及び重合のための試薬、例えばDNAポリメラーゼの存在、及び適当な温度とpHがある。増幅の最大の効率のためにはプライマーは単鎖であることが好ましいが、二本鎖であってもよい。二本鎖である場合は、延長産物を製造するためにプライマーを使用する前にまず処理してその鎖を分離する。好ましくはプライマーはオリゴデオキシリボヌクレオチドである。プライマーは、重合の誘発剤の存在下で延長産物の合成を開始するのに十分な長さでなければならない。プライマーの正確な長さは、温度、バッファー、ヌクレオチド組成等の多くのファクターに依存する。
【0024】
本発明の方法に従って使用されるプライマーは、増幅される変異体ヌクレオチド配列の各鎖に「実質的に」相補的なものとなるように設計される。実質的に相補的とは、重合のための試薬が機能できる条件下でそれぞれの鎖にハイブリダイズするのに十分に相補的でなければならないことを意味する。いいかえると、プライマーはハイブリダイズする隣接配列に対して十分な相補性を有し、そのヌクレオチド配列の増幅を可能とするものでなければならない。好ましくは、延長されるプライマーの3'末端は相補的隣接鎖と完全に相補的な塩基対を形成するものである。
【0025】
本発明に従って使用されるオリゴヌクレオチドプライマーは、標的核酸の増加量を生成する任意の増幅方法に使用される。典型的には、一方のプライマーが変異体ヌクレオチド配列の負鎖(-) に相補的であり、他方が正鎖(+ )に相補的である。変性核酸に対するプライマーをアニールし、DNAポリメラーゼIの大断片(Klenow)あるいはTaq DNAポリメラーゼのような酵素、及びヌクレオチドまたはリガーゼにより延長し、標的核酸を含む新たに合成された(+)及び(-)鎖を生成する。これらの新たに合成された核酸はテンプレートでもあるので、変性、プライマーアニーリング及び延長のサイクルの繰り返しはそのプライマーにより規定される領域 (即ち標的高変異可能なヌクレオチド配列)の指数的な生産を生じる。増幅反応の生成物は、使用した特異的なプライマーの末端に対応する末端を有する独立した核酸デュプレックスである。当業者であれば、標的核酸のコピー数を増加させるのに同様に使用できる増幅方法を理解するであろう。
【0026】
本発明で使用するためのオリゴヌクレオチドプライマーは任意の好適な方法、例えば従来のホスホトリエステル法およびホスホジエステル法または自動化されたそれらの方法を用いて製造できる。かかる自動化された方法の一つにおいては、ジエチルホスホロアミダイトが出発物質として使用されそしてBeaucage, et al.(Tetrahedron Let ters, 22:1859-1862, 1981) により記載されるようにして合成されうる。修飾された固相支持体上でオリゴヌクレオチドを合成する一方法は米国特許第4,458,066 号に記載されている。本発明により使用できる増幅法の一つは、米国特許第4,683,202 号および同第4,683,195 号に記載されるポリメラーゼチェインリアクション(PCR)である。
【0027】
任意の試料からの、精製形または非精製形の核酸は、それが標的核酸を含有する特異的な核酸配列を含有するかまたは含有することが疑われるならば、出発核酸または核酸類として利用できる。従って、この方法は、例えば、DNAまたはメッセンジャーRNA(mRNA)を含むRNAを用いることができ、ここでDNAまたはRNAは一本鎖または二本鎖であることができる。RNAを鋳型として使用すべき場合は、酵素および/またはその鋳型をDNAに逆転写するのに最適な条件が用いられよう。さらに、それぞれの一本鎖を含有するDNA−RNAハイブリッドも用いられうる。核酸の混合物も使用できるし、または同じかまたは異なるプライマーを用いて本明細書に記載の先行する増幅反応で生成された核酸をそのように使用できる。増幅すべき突然変異体ヌクレオチド配列は比較的大きい分子のフラクションであることができるし、または特定の配列が全核酸を構成するようなばらばらの分子として当初に存在することもできる。増幅すべき配列が当初に純粋な形態で存在する必要はなく、ヒトDNA全体中に含有されるような複合混合物の小さなフラクションであることができる。
【0028】
サンプルの標的新生物ヌクレオチド配列が2本鎖を含有する場合は、核酸の鎖を鋳型として使用できるに先立ちそれを分離することが必要である。鎖の分離はプライマー伸長産物の合成とは別の工程でまたはそれと同時に行うことができる。この鎖の分離は物理的、化学的、または酵素的手段を含む種々の好適な変性条件を用いて達成できる。「変性」なる用語はすべてのかかる意味を包含する。核酸鎖を分離する物理的方法の一つは、核酸をそれが変性されるまで加熱することを包含する。代表的な熱変性には、約80℃から105℃までの範囲の温度での約1から10分の時間とが包含されうる。鎖の分離はまたヘリカーゼとして知られる種類の酵素群の酵素によるかまたはヘリカーゼ活性を有する酵素RecAにより、DNAを変性することが知られたリボATPの存在下において誘導することもできる。ヘリカーゼによる核酸の鎖の分離に好適な反応条件はKuhn Hoffmann-Berling (CHS-Quantitative Biology, 43:63, 1978) により記載されており、RecAを使用するための技術はC. Radding (Ann. Rev. Genetics, 16:405-437, 1982) に概説されている。
【0029】
増幅すべき標的核酸を含有する核酸が一本鎖である場合は、1種または2種のオリゴヌクレオチドプライマーを加えることによりその相補鎖が合成される。もし一つのプライマーが利用される場合は、プライマー、重合剤、および下記の4種のヌクレオシドトリホスフェートの存在下、プライマー伸長生成物が合成される。この生成物は一本鎖核酸と相補的であり、そして一本鎖核酸とハイブリダイズして不均等な鎖長の二重鎖を形成し、次に一本鎖に分離して2つのシングルの別々の相補鎖を生成することができる。あるいはまた、2種のプライマーを一本鎖核酸に加えて、反応を記載のようにして実施することもできる。
【0030】
核酸または核酸類の相補鎖を分離する場合、核酸がもともとは二本鎖であるかまたは一本鎖であるかにかかわらず、その分離された鎖はさらなる核酸鎖合成のための鋳型としてすぐ使用できる。この合成は鋳型にプライマーをハイブリダイゼーションせしめる条件下に実施される。一般的には合成は緩衝水溶液中、好ましくはpH7−9、最も好ましくは約8で行う。好ましくは、モル過剰の2種のオリゴヌクレオチドプライマー(ゲノム核酸に対して。通常、プライマー:鋳型は約10 :1)を分離された鋳型鎖を含有する緩衝液に加える。しかしながら、もし本発明の方法を診断への応用に使用する場合は相補鎖の量が知られていない可能性があるので、相補鎖の量に対するプライマーの量を確実には決定できないことは理解される。しかしながら、実際上のことがらとして、添加されたプライマーの量は、増幅すべき配列が複雑な長鎖核酸鎖の混合物中に含有される場合は一般に相補鎖(鋳型)に対してモル過剰であろう。この方法の効率を改善するためには大きくモル過剰とすることが好ましい。
【0031】
幾つかの増幅の態様においては、基質、例えばデオキシリボヌクレオチドトリホスフェート類であるdATP、dCTP、dGTPおよびdTTPを十分な量でプライマーと一緒にかまたは別々に合成混合物に加え、生成する溶液を約90℃から100℃に約1から10分間、好ましくは1から4分間加熱する。この加熱時間ののち、溶液をプライマーハイブリダイゼーションに好ましい室温まで放冷させる。この冷却された混合物にプライマー伸長反応を行うための適当な薬剤(ここでは「重合剤」と呼ばれる)を加え、そして反応を当業者に知られた条件下で行う。重合剤はまたそれが熱安定性である場合は、他の薬剤と一緒に加えることもできる。この合成(または増幅)反応は室温からそれ以上では重合剤がもはや機能しなくなる温度までで行うことができる。従って、例えば、もしDNAポリメラーゼが重合剤として使用される場合は、温度は一般に約40℃よりくない。
【0032】
重合剤は、酵素を含むプライマー伸長生成物の合成を達成する機能を果たすであろう任意の化合物または系であることができる。この目的にとって好適な酵素には、例えば、E. coli DNAポリメラーゼI、Taqポリメラーゼ、E. coliDNAポリメラーゼIのクレノウフラグメント、T4DNAポリメラーゼ、他の利用可能なDNAポリメラーゼ、ポリメラーゼムテイン(mutein)、逆転写酵素、リガーゼ、および熱安定な酵素(すなわち、変性を引き起こすために十分に高められた温度にされたのちにプライマー伸長を行う酵素)を含む他の酵素が包含される。好適な酵素はそれぞれの突然変異体ヌクレオチド鎖に対して相補的なプライマー伸長生成物を形成するのに適正な方法でヌクレオチドの組み換え変異を促進するであろう。一般に、この合成はそれぞれのプライマーの3’末端で開始され、そして異なる長さの分子を生産しながら合成が終止するまで鋳型鎖に沿って5’方向に進行するであろう。しかしながら、5’末端で合成を開始し、そして前記と同じ方法を用いて他端の方向へ進行する重合剤も存在しうる。とにかく、本発明の方法はここに記載される増幅の態様に限定されるべきでない。
【0033】
新たに合成された突然変異ヌクレオチド鎖およびその相補的核酸鎖は前記したハイブリッド形成条件下に二本鎖分子を形成し、そしてこのハイブリッドがこの方法の後続の工程に使用される。次の工程で、この新たに合成された二本鎖分子を前記した操作の任意のものを用いる変性条件に供し、一本鎖分子を得る。
【0034】
前記方法を一本鎖分子に対して反復する。もし必要な場合は、前記に規定された条件下に反応を進行させるために付加的な重合剤、ヌクレオチド、およびプライマーを添加することができる。ここでもまた、合成は各ヌクレオチドプライマーの一方の末端で開始され、そして一本鎖の鋳型に沿って進行してさらなる核酸を生成しよう。この工程ののち、エクステンション産物の半分は二種のプライマーによって結合された特定の核酸配列からなるであろう。
【0035】
変性およびエクステンション産物合成工程は、検出に必要な程度まで標的の、高変異可能なヌクレオチド配列を増幅させるのに必要なだけ何回でも反復できる。生産された高変異可能なヌクレオチド配列の量は指数関数的に蓄積するであろう。
【0036】
本発明の一態様においては、高変異可能なマイクロサテライト(microsatellite)マーカーが単一の増幅反応で増幅される。マーカーは、例えば一つ以上の遺伝子座のプライマーを組み合わせることにより、単一の増幅反応で「多重化( multiplexed)」される。例えば、尿サンプルからのDNAは、FGA、ACTBP2およびARのような3種の異なる無作為に標識されたプライマーセットを用い、同じ増幅反応で増幅される。生成物は変性アクリルアミドゲル上で最終的に分離され、次に可視化および分析のためフィルムに接触される。
【0037】
増幅された産物は放射性プローブを用いることなく、サザンブロット分析により検出できる。かかる方法においては、例えば、非常に低レベルのマイクロサテライトの高変異可能なヌクレオチド配列を含有するDNAの小量のサンプルが増幅され、そしてサザンブロッティング技術により分析される。非放射性プローブまたは標識の使用は高レベルの増幅シグナルにより促進される。本発明の好ましい態様においては、1つのヌクレオシドトリホスフェートが放射性標識され、それによりオートラジオグラフィーによる増幅産物の直接の可視化が可能になる。別の態様においては、増幅プライマーが蛍光標識され、そして電気泳動系を通して移動される。増幅産物の可視化は、レーザー検出に続く画像を表示するコンピューターによりアシストされた図形的呈示による。
【0038】
本発明の方法で検出された高変異可能なマイクロサテライト配列を有する核酸はさらに、溶液中でまたは固相支持体への結合後に、特異的なDNA配列の検出に通常適用される任意の方法例えばPCR、オリゴマー制限分解(Saiki, et al., Bio/Technology, 3:1008-1012, 1985)、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)プローブ分析(Conner, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 80:278, 1983)、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ(OLA)(Landegren, et al., Science, 241:1077, 1988)、等により評価、検出、クローン化、配列決定、等をなされうる。DNA分析のための分子技術は概説されている(Landegren, et al., Science, 242:229-237, 1988 )。
【0039】
本発明のもう一つの態様においては、マイクロサテライトの遺伝子座からの10−50塩基のオリゴヌクレオチド配列を含有する精製核酸フラグメントを放射性標識する。標識された調製物はサザンハイブリダイゼーション技術により核酸をプローブするのに使用される。試料からのヌクレオチドフラグメントは、増幅の前または後に、ゲル電気泳動により異なる分子量のフラグメントに分離され、そして核酸を結合するフィルターに移される。標的核酸配列を含有するヌクレオチドフラグメントとハイブリダイズするであろう標識プローブとを接触させたのち、標的核酸フラグメントへの放射性プローブの結合をオートラジオグラフィーにより同定する(Genetic Engineering, 1, ed. Robert Williamson, Academic Press, (1981), 72-81を参照されたい)。
【0040】
本発明のマイクロサテライト遺伝子座のためのプローブは、検出される特定のフラグメントの分布を調べるため、ならびに特異的な強く結合する(ハイブリダイズする)配列の出現を判定するためのプローブの定量的(相対的)結合度を調べるために使用でき、このようにして特定の遺伝子座における広範な変化の存在を指摘できる。
【0041】
大部分については、プローブ(または増幅プライマー)は原子または無機基を用いて標識され、最も普通には放射性核種、のみならず恐らくは重金属を用いても標識されよう。好都合には、放射性標識が用いられうる。放射性標識には32P、125I、H、14C、35Sなどが包含される。十分なシグナルを提供しそして十分な半減期を有する任意の放射性標識を使用することができる。他の標識には、標識されたリガンドのための特異的な結合対メンバーとして役立ちうるリガンド、等が包含される。本発明のアッセイに容易に使用できる多種類の標識がイムノアッセイに使用されてきている。標識の選択は、ハイブリダイゼーションおよび突然変異ヌクレオチド配列へのプローブの結合速度に及ぼす標識の速度により支配されよう。標識がハイブリダイゼーションに利用可能な突然変異ヌクレオチド配列の量を検出するのに十分な感度を提供することが必要であろう。その他の考慮すべき事項は、プローブ合成の容易さ、容易に入手可能な器具、自動化能、便利さ、等であろう。
【0042】
標識がプローブに結合される様式はその標識の性質の如何に応じて変動しよう。放射性標識に関しては、多種類の技術を用いることができる。普通に用いられるのは、α−32P−dNTPを用いるニックトランスレーションまたはアルカリホスファターゼを用いる末端ホスフェート加水分解に続くγ−32P−ATPおよびT4ポリヌクレオチドキナーゼを用いる放射性32Pでの標識化である。あるいはまた、存在する元素の1つまたはそれ以上が放射性同位元素で置換されたヌクレオチド、例えば水素をトリチウムで置換したヌクレオチドを合成することもできる。所望の場合は、ハイブリダイズした標識の濃度を高めるために相補的な標識鎖をプローブとして用いることもできる。
【0043】
他の放射性核種標識が包含される場合は、種々の連結基を用いることができる。末端ヒドロキシルは無機酸、例えば32Pホスフェート、または14C有機酸を用いてエステル化するかまたはさもなければ標識への連結基を得るためにエステル化することができる。あるいはまた、中間体塩基を活性化可能な連結基と置換し、このものをつぎに標識に連結させることもできる。
【0044】
レポーター基として興味ある酵素は、主にアルカリホスファターゼ、ヒドロラーゼ、特にエステラーゼおよびグリコシダーゼ、またはオキシドレダクターゼ、特にペルオキシダーゼであろう。蛍光性化合物にはフルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、等々が包含される。化学ルミネッサーには、例えば、ルシフェリンおよび2,3−ジヒドロフタラジンジオン(例えばルミノール)が包含される。
【0045】
水不溶性多孔質支持体に固定されたヌクレオチド配列へのハイブリダイズにはオリゴマープローブを使用できる。核酸の起源の如何によって、支持体に核酸を固定させる方法は変動しうる。当業者は本発明の方法に使用できる種々の支持体を知っているかまたは容易に確認できる。
【0046】
試料からの核酸をフィルターにスポットするかまたは塗布して複数の個々の部分を得る。フィルターは不活性の多孔質固相支持体、例えばニトロセルロースまたはナイロンメンブランである。試料中に存在するすべての哺乳動物細胞を処理してそれらの核酸を遊離させる。核酸の溶解および変性、ならびに続く洗浄は、細胞を溶解させ核酸を変性させるに十分な時間と適当な溶液とを用いて行うことができる。他の変性剤には、高められた温度、有機試薬(例えば、アルコール、アミド、アミン、尿素、フェノール、およびスルホキシド)、またはある種の無機イオン(例えば、チオシアネートおよびパークロレート)が包含される。あるいはまた、核酸は後にメンブランに適用されるDNAを用いて標準的操作で血液から単離することもできる。
【0047】
変性後、フィルターをトリスのような水性緩衝溶液中、一般的にはpH約6から8、通常7で洗浄する。好都合には、溶解および変性に使用されたと同じ操作を用いる1回または2回の洗浄が包含されうる。溶解、変性および洗浄を行ったのち、核酸がスポットされたフィルターを、高められた温度、一般的には約50℃から70℃で乾燥するかまたはUVクロスリンク(ナイロンメンブランに関して)する。この操作の下、核酸が位置に固定され、そして好都合な時にプローブでアッセイできる。
【0048】
フィルターをゆっくりと温度を上げて、プローブを含まないハイブリダイゼーション溶液とフイルターとを完全に湿潤させるに十分な時間インキュベートすることにより、プレハイブリダイゼーションを行うことができる。約20から60容量%、好ましくは30容量%の不活性極性有機溶媒または水性ハイブリダイゼーション溶液からなる種々のハイブリダイゼーション溶液を使用できる。
【0049】
特別なハイブリダイゼーション技術は本発明にとって必須用件ではない。他のハイブリダイゼーション技術は当業者に良く知られているか、または容易に確認される。ハイブリダイゼーション技術は改善されているので、それらは容易に本発明の方法に適用できる。
【0050】
ハイブリダイゼーション溶液中に存在する標識プローブの量は、その標識の性質、フィルターに妥当に結合しうる標識プローブの量、およびハイブリダイゼーションのストリンジェンシー(stringency)の如何に応じて広く変動しよう。一般的に、プローブの化学量論的濃度を越えるかなりの過剰量が、固定された標識核酸へのプローブの結合速度を高めるために用いられよう。
【0051】
種々のハイブリダイゼーションストリンジェンシーが用いられうる。条件がストリンジェントであればある程、プローブと一本鎖標的核酸配列との間でハイブリダイゼーションして二本鎖形成するのに必要な相補性がより大きくなる。ストリンジェンシーは温度、プローブ濃度、プローブ長さ、イオン強度、時間、等により制御されうる。好都合には、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーはホルムアミドの濃度を20から50%の範囲に操作することにより反応体溶液の極性度を変えることによって変動される。用いられる温度は通常約20℃から80℃、好ましくは30℃から75℃の範囲内であろう(一般的には、Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel, ed., Wiley & Sons, 1989を参照されたい)。あるいはまた、ストリンジェンシーは非アニール化プローブが洗い去られる場合は制御できる。
【0052】
ハイブリダイゼーションを起こさせるに十分な時間フィルターをハイブリダイゼーション溶液と中程度の温度で接触させた後、次にフィルターを塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウムおよびドデシル硫酸ナトリウムを含有する第2の溶液中に導入する。第2の溶液中にフィルターを維持する時間は、5分から3時間またはそれ以上まで変動しうる。この第2の溶液および温度(一般的には融解温度より5℃下)がストリンジェンシー、二重鎖の消失、および短い相補的配列を決定する。短いオリゴヌクレオチドプローブについては、洗浄溶液中にテトラメチルアンモニウムクロライドを包含させることにより、配列よりむしろプローブの長さに従って融解温度を標準化できる(DiLella and Woo, Meth. Enzymol., 152:447, 1987)。今やここでフィルターを標識の性質に従って二重鎖の存在についてアッセイできる。標識が放射能である場合は、フィルターを乾燥しX線フィルムと接触させる。
【0053】
本発明のアッセイに使用するための物質は、キットの調製に理想的に適合する。このようなキットは、バイアル、チューブ、等のような1つまたはそれ以上の容器手段をひとまとめにして納めるために区画化された担持手段を包含でき、この容器手段のそれぞれは、本方法で使用すべき別々の要素の一つを包含する。
【0054】
例えば、容器手段の一つはマイクロサテライト遺伝子座のための増幅プライマーまたはハイブリダイゼーションプローブを包含でき、それらのすべては検出可能に標識できる。もし存在する場合は、第2の容器は溶解緩衝液を包含できる。このキットはまた、標識されてもされていなくてもよい標的核酸配列を増幅するためのヌクレオチド(類)を含有する容器、および/または酵素標識、蛍光標識、または放射性核種標識のようなレポーター分子に結合された、アビジンまたはストレプトアビジンのようなビオチン結合性タンパク質のようなレポーター手段を包含する容器をも有することができる。
【0055】
上記開示により本発明を一般的に記載する。より完全な理解は下記実施例を参照することにより得られうる。これらの実施例は説明のためにのみ掲げられるものであって本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
実施例
SCC、非小細胞肺癌(NSCLC)、膀胱の移行性細胞癌(TCC)、および偏平上皮および基底細胞皮膚癌を含む300以上の腫瘍における43種のジヌクレオチドマーカーを用いる一次マッピング研究中、腫瘍DNAのおよそ0.7%に単一の体細胞変化が観察された。ジヌクレオチドマーカーにおける「バックグラウンド」変化のこの低い率は、非HNPCC関連腫瘍(S. N. Thibodeau, et al., Science, 260 :816, 1993; J. I. Risinger, et al., Cancer Res., 53:5100, 1993; H-J. Han, et al., Cancer Res., 53:5087, 1993; P. Peltomaki et al., Cancer Res., 53:5853, 1993; M. Gonzalez-Zulueta, et al., Cancer Res., 53:5620, 1993; R. Wooster, et al., Nature Gent., 6:152, 1994)および生殖細胞系統(germline)DNA(J. L. Weber, et al., Am. J. Human Genet.,44:388, 1989; J. Weissenback et al., Nature, 359:794, 1992; A. J. Jeffreys, et al., Nature Genet., 6:136, 1994)におけるわずかな変化を示す他の研究と一致する。35のSCC、20のNSCLC、10のSCLC、および32のTCCの正常と癌のDNA対をトリおよびテトラヌクレオチド反復マーカーを使用して試験した(表1)。これらのうち、トリおよびテトラヌクレオチド反復マーカーを用いるとそれぞれ腫瘍DNAの約8%および20%が体細胞変化していた。9種のマーカーのうち、4種(MD、DRPLA、AR(SBMA)、およびSAT(SCA1))が神経的疾病と関連しておりそしてこれらに冒された患者でそれらの反復配列に生殖細胞系統の膨張が示された。これら生殖細胞系統の変化ゆえに、これらマーカーはジヌクレオチド反復配列に比較して腫瘍DNAの膨張または欠失により感受性であるかも知れないことが考えられた。ほかのマーカーはUT762(ヒト第21染色体上にある、このものはヒト第21染色体上に過剰の生殖細胞系統変化を有することが以前に報告されている;C. C. Talbot, Jr., et al., 43rd American Society of Human Genetics Meeting, Abstract, 1993)を除き、商業的に入手できるトリまたはテトラヌクレオチド反復マーカーの中から選択された。
(実施例1)試料DNAの増幅に使用されたプライマー
パラフィン包埋されたSCLCを除くすべての腫瘍を新鮮凍結した。非−新生物性組織を正常DNAとして使用すべく微小切片とした。あるいは代わりに、新鮮血を得てリンパ球を分離した。腫瘍および正常組織を1%SDS−プロテイナーゼKで消化し、次にエタノール沈殿を行ってDNAを抽出した。50ngのDNAをPCR増幅にかけた。生成物を前記したようにして変性性アクリルアミドゲル上で移動させた(P. van der Riet, et al., Cancer Res., 54:1156, 1994; H. Nawroz, P., Cancer Res., 54:1152, 1994; P. Clairns, et al., Cancer Res., 54:1422, 1994)。
【0056】
それぞれの遺伝子座を増幅させるのに使用されたプライマーは下記遺伝子座のものを除きResearch Genetics, Inc. から得た。
a. 5'-CAG ACG CCG GGA CAC AAG-3' (配列番号21);
b. 5'-TAC TGG TCC TGC TGG GCT G-3' (配列番号22);
c. 5'-GTC AGT ATT ACC CTG TTA CCA-3' (配列番号23);
d. 5'-GTT GAG GAT TTT TGC ATC AGT-3' (配列番号24);
e. 5'-CTT CCC AGG CCT GCA GTT TGC CCA TC-3' (配列番号25);
f. 5'-GAA CGG GGC TCG AAG GGT CCT TGT AGC-3' (配列番号26);
g. 5'-CAC CAG TCT CAA CAC ATC ACC ATC-3' (配列番号27);
h. 5'-CCT CCA GTG GGT GGG GAA ATG CTC-3' (配列番号28);
i. 5'-TCC GCG AAG TGA TCC AGA AC-3' (配列番号29);
j. 5'-CTT GGG GAG AAC CAT CCT CA-3' (配列番号30);
k. 5'-AAC ACC CCT AAT TCA CCA CT-3' (配列番号31);
l. 5'-ATG ATT CCA CAA GAT GGC AG-3'(配列番号32);
m. 5'-CCA TAG GTT TTG AAC TCA CAG-3' (配列番号33);
n. 5'-CTT CTC AGA TCC TCT GAC AC-3' (配列番号34);
o. 5'-TCC AGA ATC TGT TCC AGA GCG TGC-3' (配列番号35);
p. 5'-GCT GTG AAG GTT GCT GTT CCT CAT-3' (配列番号36);
q. 5'-AAT CTG GGC GAC AAG AGT GA-3' (配列番号37);
r. 5'-ACA TCT CCC CTA CCG CTA TA-3' (配列番号38);
s. 5'-TCA GTC TCT CTT TCT CCT TGC A-3' (配列番号39);
t. 5'-TAG GAG CCT GTG GTC CTG TT-3' (配列番号40);
および
u.配列a〜tに相補的な配列
P. Modrich, Annu. Rev. Genet., 25:229, (1991) 。細胞試料を3000ラgで5分間遠心し、そしてPBSで2回洗浄した。細胞ペレットを1%SDS−プロテイナーゼKで消化し、次にDNAを前記したようにして抽出した(D. Sidransky, et al., Science, 252:706, 1991; Science, 256:102, 1992)。組織病理学的に陰性であったスライドから外科的に摘出された組織周縁(外科的周縁)のDNAを得た。組織をかきとってキシレン中に入れて過剰のパラフィンを除去した。4分の一容量の70%エタノールを用いて遠心分離したのち、前記したようにペレットを消化しそしてDNAを抽出した(D. Sidransky, 上記、R. H. Hruban, 上記、L. Mao, 上記)。
(実施例2)マイクロサテライト遺伝子座における変化の検出
それぞれのマイクロサテライト遺伝子座を対にした正常/腫瘍DNA中でPCRにより増幅させ、そして次に標識した生成物を変性性アクリルアミドゲル上で移動させ、フィルムに接触させた。頭部および頸部癌の29%、NSCLCの5%、SCLCの50%、および膀胱腫瘍の28%が少なくとも1つの感受性マーカーにおけるマイクロサテライト変化を示した(表1)。これら遺伝子変化は腫瘍DNAレーンで新規バンド(または複数のバンド)として同定され、対にした正常DNAレーン中には存在しなかった(図1)。図1は腫瘍DNAにおけるマイクロサテライトの変化を示す。正常および腫瘍DNAをPCRにより増幅させ、そして前記したようにして変性アクリルアミドゲル上で移動させた(P. van der Riet,上出)。タンデム反復配列の欠失または膨張を表す新規バンドは、矢印により示されるように全4種の腫瘍レーンで見られた。レーン1)第4染色体上のマーカーFGAを有するB17(TCC);レーン2)染色体X上のマーカーARを有するL21(SCLC);レーン3)第21染色体上のマーカーUT762を有するB30(TCC);およびレーン4)第14染色体上のマーカーD14S50を有するL5(SCLC)(N:正常DNA、T:腫瘍DNA)。
【0057】
それぞれの場合について、くり返し増幅させて変化を再現させた。変化の頻度はこれらトリおよびテトラヌクレオチド反復マーカー中で有意に高く、そしてまた腫瘍タイプ特異的であることが明らかとなった(表1)。例えば、TCCにおいては、AR反復は腫瘍の3%で変化し、一方SCCの18%がこの遺伝子座で変化を示した。疾病および非疾病関連トリおよびテトラヌクレオチド反復配列の間の変化の頻度における有意差は観察されず、このことはこれらの変化に関して反復領域における固有の配列の相違よりむしろ、より一般化された細胞のメカニズムが存在する可能性があることを示唆している。
【0058】
SCLCはHNPCC関連腫瘍で見られると同様の一般化されたマイクロサテライトの不安定性を示し、そしてジヌクレオチドを含む全てのマーカーを高いパーセンテージで変化させた(A. Merlo, et al., 上記)。
【0059】
広範なマイクロサテライトの不安定性がHNPCCで最もしばしば見出されているが、他の非HNPCC腫瘍が時折変化を含有する。これら変化は通常、HNPCC患者で典型的に見られる多重遺伝子座より、むしろただ一つの遺伝子座に関わる(A. Merlo, et al., 上記、R. Wooster, et al., 上記)。SCLCで見られる広範な不安定性は例外であり、この遺伝的基礎はなお不明である。この研究においては、我々が試験した腫瘍のどれもHNPCC関連ではなかった。これら97例の腫瘍のジヌクレオチド反復(試験した4171中29)をトリまたはテトラヌクレオチド反復変化(試験した874中44)に対して比較すると、より大きい対立遺伝子における遺伝子の不安定性に対する有意な感受性が示される(χ分析によればp=0.08ラ10−9)。ここで見出されるマイクロサテライト変化の高頻度は、ある種の遺伝子座が他のものより遺伝的に不安定でありうることを示唆している。これらの腫瘍で変化した対立遺伝子を形成するメカニズムはHNPCCで記載されたそれ(F. Leach, et al., Cell, 75:1215, 1993; R. Fishel, et al., Cell, 75:1027, 1 993 )とは異なるかもしれないし、または同様のまたは関連する修復経路におけるより微妙な欠陥を反映し得るはずである(P. Modrich, Annu. Rev. Genet., 25:229, 1991 )。これらのデータから、時折のマイクロサテライト変化は腫瘍タイプ特異的な様式で変化した幾つかの遺伝子座を有する多くのヒト癌で比較的一般的な現象である可能性があると思われる。
【0060】
【表1】

(実施例3)腫瘍由来細胞のクローン集団の検出
これらクローン性マイクロサテライト変化は、それらが細胞学的試料において腫瘍特異的マーカーとして検出されうるかどうか知るために調べた。この臨床応用の可能性を示すために、光顕微鏡によれば癌の存在が陰性であると考えられる幾種かの対応する細胞学的試料を分析した。膀胱腫瘍B27からのDNAをテトラヌクレオチドマーカーFGAでスクリーニングすると、正常DNAに比較して、腫瘍レーン中に新規なバンドが同定された(図2A)。図2は臨床試料におけるクローン性マイクロサテライト変化の検出を示す。PCR条件およびゲル分析は記載されている(P. van der Riet, e t al., 上出)。新規バンドは矢印で示される。パネル(A)では、B27(TCC)の対応する細胞学的尿試料をマーカーFGAを用いて分析し、そして正常および腫瘍DNAと比較した。新規なまたは「シフト」したバンドが正常レーンに対する腫瘍レーン中に見出され、および弱いけれども有意な強度を有するバンドが尿レーン中に見られる。パネル(B)、リンパ球DNAは患者からは入手できなかったが、しかし軽いバンドがL31(NSCLC)の「陰性」組織学的辺縁中で明らかに同定され、このものはマーカーARでスクリーニングした場合の腫瘍レーン中におけるより強い新規バンドに相当する。パネル(C)では、マーカーCHRNBの増幅;L25(SCLC)の対応する喀痰試料は腫瘍レーン中における新規バンドと一致する2つの明るいバンドを示した。これらのバンドは正常DNA中には存在しない。(N:正常DNA、U:尿DNA、T:腫瘍DNA、M:周縁DNA、S:喀痰DNA)。
【0061】
外科手術前の患者の尿試料から得られたDNAを同じマーカーでスクリーニングすると、尿DNA中により低い強度で同じ新規バンドが示された(D. Sidransky et al .,上記)。シフトしたバンドの強度は腫瘍DNA中の対応するバンドの強度の約5%であって、このことは尿試料中の細胞の小さな集団のみが腫瘍由来であることを示している。SCLCを有する一患者は、正常なDNAと比較した場合に、腫瘍DNA中に新規CHRNB対立遺伝子を有することが見出された。相当する、予測的に収集された喀痰試料からのDNAをマーカーCHRNBでスクリーニングした場合、患者の原発性SCLC中に当初見出されたと同一の遺伝子変化が喀痰DNA中に見られた(図2C)。また、喀痰中の新規バンドの強度が比較的低いことは、試料中に小さな画分の癌細胞しか存在しないことを示唆していた。いくつかの組織病理学的に陰性の外科的に摘出された周縁を検査した(D. Sidransky, et al., 上記)。L29の腫瘍DNAはマイクロサテライトマーカーIFNで新規な、比較的小さなバンドを示すが、一方組織学的に陰性の外科的周縁の対になったDNAは比較的低い強度で、同じシフトをしたバンドを示した(図2B)。これは、未検出の浸潤腫瘍細胞が「完全な」外科手術による切除の後でも、感度のよい分子技術を用いて外科手術辺縁で同定されうるという以前の観察と一致する。
【0062】
これらの実施例は、細胞学的試料および組織病理学的組織における腫瘍由来細胞のクローン集団を検出する能力を示す。このアッセイは他の変化したマーカーを使用して容易に再現でき、これらの場合の相当する試料および他の患者からの対にした試料を検査することができた。原発性腫瘍で検出されるマイクロサテライト変化を有しない患者からの臨床試料は一貫して陰性であった。
(実施例4)希釈による感度測定
臨床試料のスクリーニングにおける明白な問題は、正常細胞の大きいバックグラウンドの中、特に尿および喀痰のような体液中で、極度に少数の癌細胞を検出する必要があることである。本発明の感度を証明するために、比較的大きい新規対立遺伝子を有する膀胱腫瘍B17、および比較的小さい新規対立遺伝子を有するB27のDNAを用いた。これら2種の試料は、比較的小さい対立遺伝子は比較的大きい対立遺伝子よりも良好にPCRによって増幅する傾向があるという我々の観察に基づき選択された。腫瘍DNAを同じ患者の正常な、リンパ球DNAで希釈し、そしてそれぞれの希釈物からのDNA50ngをPCRにより増幅させた。
【0063】
図3は簡単な希釈による感度測定を示す。変化を含有する腫瘍(T)からのDNAを、対応する患者のリンパ球DNA(N)を用いて1:5(20%)から1:1000(0.1%)まで希釈した。次に試料をマーカーFGAを用いてPCRにより増幅させ、前記したようにして変性ゲル電気泳動により分離し、そしてオートラジオグラフィーにより可視化した(P. van der Riet, et al.,上記)。新規バンドは矢印によって示される。パネル(A)は腫瘍レーンB17(TCC)中に見られる新規バンドが、その正常な対応するDNAを用いて0.1%まで希釈した場合でもなお見えることを示す。同様にパネル(B)においては、B27(TCC)の腫瘍DNA中の新規バンドが0.5%まで希釈した場合でも明確に認められる。
【0064】
「シフト」したバンドはB17中のわずか0.1%の腫瘍DNAおよびB27中の0.5%の腫瘍DNAを含有する希釈混合物において見られた。これらの結果は、この方法が200から1000個の正常細胞の中から1個の癌細胞を検出でき、従って臨床的なスクリーニングアッセイとして有用でありうることを示唆している。
(実施例5)高変異可能な核酸を検出するための多重PCRアッセイ
HNPCCおよびSCLCにおけるマイクロサテライト変化は、これらの腫瘍がすべての試験した対立遺伝子を高いパーセンテージで変化させるので、ほんの少数のマイクロサテライト反復マーカーを用いることにより検出できよう。非HNPCC腫瘍に関しては、単一の十分に選択されたトリまたはテトラヌクレオチド反復マーカーは、特定の癌のタイプについては、15%を超える腫瘍を同定できるはずである。SCCおよびTCCにおいては、7種の選択されたマーカーが28%以上の腫瘍を検出した(表1)。これら時折の変化の土台となっている遺伝的メカニズムはなお知られていないので、どれだけ多くのマーカーを試験するかに関わりなく、いくつかの癌は何らの変化も示さないであろうことはありうる。それにもかかわらず、ヒトゲノムは100,000を越える反復領域を含有し、そして他の候補マーカーがこの分析に関して同定され得るはずであるということは非常にありそうである。反復マーカーの組み合わせは、高いパーセンテージで癌患者を同定するために有用なはずである。単一のPCR反応でいくつかのマーカーを試験できる能力があることは、究極的なスクリーニング方法を簡単化できよう。
【0065】
B27(TCC)および対応する尿試料からのDNAを3種の異なるプライマーセット(第4染色体上のFGA、第6染色体上のACTBP2、およびX染色体上のAR)を用いて同じPCR反応で増幅させ、変性アクリルアミドゲル上で分離し、そしてフィルムに接触させた。それぞれのプライマーの濃度は最終PCR反応で100ng/μgとなるように希釈した。腫瘍レーンの新規バンドは、尿DNAレーン中の、対応する、より強度の弱いバンドと同一である(N:正常DNA、T:腫瘍DNA、U:尿DNA)。
【0066】
この方法の実行可能性を図4に示す。図4では3種のマーカーが単一のPCR反応で多重使用されている。その結果は、対応する原発性TCC腫瘍中における変化した対立遺伝子と同一の新規バンドが尿DNA中にあることを明確に示す。
【0067】
このアッセイは、以前のPCRをベースとするアッセイが続いてクローニングおよびオリゴマー特異的ハイブリダイゼーションを行って腫瘍遺伝子突然変異を検出するのに比べて、はるかに単純に実施できる(D. Sidransky, et al., 上記)。このアッセイの感度はわずかに低下し、癌細胞検出が、従来の方法を用いる場合のバックグラウンド10,000の正常細胞に比較して約500の正常細胞に限定されるが、これまでの研究から得られた証拠では、これは喀痰を含む大部分の臨床試料で癌細胞を検出するのに十分であることが示唆される(図3)。その上、恐らく炎症または過形成に付属するもの稀なオリゴクローン事象は、これら変化のない正常細胞の過剰なバックグラウンドの中の希釈ゆえに検出されないはずである。明確な増殖の利点を備えた新生物細胞を生ずる癌遺伝子突然変異は特異的には検出されないが、モノクローナル性はすべての新生物の根本的特徴であって細胞学的試料中のクローン細胞集団の検出は不吉な兆候のままである(P. J. Fialkow, Biochem. Biophys. Acta., 458:283, 1976; P. C. Nowell, Science, 94:23, 1976 )。後続の娘細胞における遺伝的事象の蓄積は十分に認識され、そして検出可能なクローンが存続し、および恐らくは腫瘍化の進行経路にそって継続するはずであるということが予想されよう(E. R. Fearon, et al., Cell, 61:709, 1990; D. Sidransky, et al., Nature, 355:846, 1992; D. Sidransky, et al., N. Engl. J. Med., 326:737, 1992)。
【0068】
結腸直腸癌進行において多くの遺伝的事象が知られているが(E. R. Fearon,et al., 上記)、大部分の他の腫瘍タイプでは十分に特性決定された事象はほとんどなく、所定の腫瘍ですべてが起こるわけではない。原発性腫瘍における特定の遺伝子突然変異を正確に知ることなく、患者の初期クローン細胞集団を検出できることがこのアッセイの主要な長所である。事実、化学予防手段の理想的な候補であることができおよび/または注意深い術後管理を伴う外科手術による切除に従うことのできる患者がまさに存在する。その上、組織病理学的周縁における稀な浸潤性癌細胞の検出は現代の外科手術に大きな衝撃を与えうる。これらの場合には原発性腫瘍はすでに切除されているので、腫瘍DNAの速やかなスクリーニングにより、これら浸潤性腫瘍細胞を検出するための単一マーカーを提供できる。
【0069】
本発明は、マイクロサテライト変化がヒト癌の共通した特徴であると思われること、および比較的大きい反復物は恐らくこのタイプの遺伝子不安定性により強く傾きがちであることを指摘する。幾つかのマーカーで観察された高頻度の変化は、腫瘍タイプ特異的であると思われる。所定の腫瘍タイプに関して比較的高い割合の不安定性を有する適当なマーカーの選択により、多重PCR試験を用いて患者の新生物を高いパーセンテージで同定することができるようになる。体液および外科的周縁におけるこれら変化の同定は、新生物細胞の検出におけるクローンマーカーとしてのそれらの使用可能性を立証している。種々の癌および病理学的試料に適用できる単純で強力なスクリーニング検査が本発明により示される。癌は人口集団の中でとても多いので、この分子的手段は癌の検出に重要な意味を有する。
(実施例6)原発性膀胱ガンにおけるミクロサテライト変異およびLOH
膀胱ガン検出のため前の実施例で用いられた研究方法を検討するために、60のトリヌクレオチドおよびテトラヌクレオチドマーカーを、Johns Hopkins 大学医学部の腫瘍バンクから入手した50の患者名不詳の原発性膀胱ガンについてスクリーニングした。多くのマーカーは変異を示さなかったが、符合する正常DNAと比較すると、80%(40/50)の新生物が腫瘍中に少なくとも1の新規変異を含有した。さらに、もっとも感受性の高い10のマーカーからなる選択された一群は、理論上、すべての膀胱ガンのうち52%を検出することができた(表2)。
【0070】
10の選択された上記の一群のマーカーは、細胞検査で膀胱ガンの疑いのある病変を有する25人の患者群、および病理診断に関する事前情報のない5人の対照群の尿沈殿物を用いて検討された。細胞検査の前に尿試料を集め、盲検法でミクロサテライト分析を行った。各患者に由来する尿および正常DNAの対を増幅し、上記の10のミクロサテライト遺伝子座で多形性対立遺伝子を比較した。膀胱ガンを有する20患者のうち7において(45%)、尿沈殿物は新規ミクロサテライト変異(反復ユニットの伸長または欠失)を含有し、これは、原発性腫瘍の分析に基づいて予想される頻度とぴったり一致した(表1)(図5)。しかしながら、予想外なことに、ほかの試料は尿沈殿物において明白な異型接合性の欠損(LOH)を示し、このことは対立遺伝子の欠損と矛盾しない。染色体9の欠損は、膀胱ガンでは高頻度で生じるため、染色体9p21上の欠損の境界領域での分析を発展させるために、3のジヌクレオチドマーカーを検討した。これらのマーカーは、マーカーD9S747で染色体9の欠失を示す腫瘍において、欠失の存在を確認した。以上より、全部で13のマーカーを用いたミクロサテライト分析は、リピートの変異またはLOHのいずれかを検出することによって、病理学的に確認されたガンを有する20のうち19の患者において新生物細胞の存在を示した。新生物クローンが尿中に確認されなかった一例において、その患者はテストしたいずれの遺伝子座にも変異を含有しない小さな腫瘍を有していた。重要なのは、5人の対照患者がいずれも、ミクロサテライト変異も染色体欠失もまったく示さなかったことである。
【0071】
図5は、すでに病理学的にガンの診断が確定した25人の患者の研究結果を示している。20のうち19(95%)は、尿試料において同一のクローン変異を有し、少なくとも9(45%)は、細胞学的にはガンまたは異型性について陰性であった。
【0072】
このような欠失が見せかけではなくて新生物の進行に密接に関連していることをさらに確認するために、本研究で分析された20人のガン患者のうち18人について初期の生検によって原発性腫瘍を得た(2例では、生検材料がそれ以上の分析には不十分であった)。いずれの場合においても(表2)、尿沈殿物中に存在するのと同一のミクロサテライト変異が原発性腫瘍の中に確認された。さらに、はじめに尿沈殿物中に確認されたのと事実上同一のLOHがそれぞれの原発性腫瘍において確認された。しかしながら、2人の患者においては、原発の生検で同定されなかったさらに別の欠失が尿中で同定された。いずれの場合にも、少なくとも一つの遺伝子座におけるLOH(および同一対立遺伝子の欠損)は尿沈殿物と原発性腫瘍に共通であり、したがって、このことは、おそらく同一の始原細胞に由来する病勢のより進行した遺伝的クローンの尿中での検出を示唆する。5例については、生検で炎症の病理診断が確定されたが、このうち2例については、異型細胞(新生物が疑われるが、新生物と診断はされない)が同定された。上記2例については、いずれも、尿沈殿物において遺伝的な変化が検出された[一例においては、細胞学的分析によって尿沈殿物中に大量の異型細胞が同定された](以下参照)。
【0073】
次に、尿沈殿物由来の細胞を、独立した形態分析(光学顕微鏡)によって検討した。膀胱ガンを有する20人の患者のうち18人、及び明白な炎症を有する5人の患者のうち3人について細胞学的分析を行った。分子分析が陽性であった9人の患者、及び分子分析で新生物を同定できなかった1人について新生物細胞が同定された。さらに別の4例において、ガンと診断はされないが明らかにクローン性である異型細胞が分子分析によってやはり確認された。重要なのは、異型または新生物と考えられる細胞の多くが試料のいたるところで優勢であって、上皮細胞の大部分を構成し、そのことは分子分析によって示された明らかなLOHと矛盾しない。こうした観察と符合して、一部の患者では、小さな生検組織はわずかな割合の新生物細胞しか含有しないが、尿沈殿物は明白なLOHを示し、同一の遺伝的変異を共有する新生物細胞をほぼ完全に含んでなることが明らかであった。また、このことは、膀胱ガンを有する一部の患者の尿沈殿物中の大部分の細胞における欠失に関する最近の報告と矛盾しない。
【0074】
分子分析によって検出された例の中で、3例はいわゆる駁G平狽bIS(上皮内ガン)病変であり、5例は初期のTIガンであった。このような病変は、臨床的に進行する可能性がもっとも高く、早期の検出によって最大の利益を受けることが予想される病変である。クローン性の遺伝的変異を原発性の腫瘍にも対応する尿にも含有しなかったのはわずかに1例だけ(小さなTI病変)であった。興味深いことには、もっと多くの遺伝子座をテストすればさらに分子分析することによって変異または欠失したマーカーが同定されたかどうかは明らかではないが、この患者は細胞学的には陽性であった。
【0075】
上記の実施例は、ミクロサテライト分析が原発性膀胱ガンの検出において強力な手段となりうることを示した。変異に対して特に感受性の高い一群のマーカーが選択され、尿沈殿物において観察される変異の数は、多くの原発性腫瘍において少なくとも一つの変異を示す本特許出願における分析と一致する(図5参照)。
【0076】
LOHを容易に判定することができるという予想外の観察によって本発明の検出方法は相当に向上した。さらに、テストしたすべての遺伝子座でLOHがなく変異の同定によって三人の患者が検出されたように、変異およびLOHの両者を同定することは相補的であると考えられる。膀胱ガンの進行に際して染色体9の欠損が初期に高頻度で起こることが、はじめに報告された。さらに、多発腫瘍を有する患者の分子的な分析によって、このような多発腫瘍は、膀胱粘膜に生じ、そこに存在する単一の始原細胞から発生するらしいことが示され、それがこのような患者において再発の危険性が高いことの原因であると考えられる。この発見はたとえ小さな新生物を有する患者においても、面積の広い悪性化した膀胱粘膜が存在するという仮説と矛盾しない。さらに、いくつかの要因が尿中の腫瘍細胞数の増加に寄与すると考えられる:1)正常な上皮は腫瘍上皮よりもゆっくりと落ちるため、尿沈殿物中の腫瘍細胞数が増加するかもしれない;2)正常細胞はアポトーシス(細胞死の過程)を受けるが、腫瘍細胞は通常の保存中は生存することができるため、腫瘍細胞数が増加するのかもしれない;3)腫瘍の外側の部分は通常活発な増殖を示すため、腫瘍のサブクローンから細胞数が増大し、尿中に大量に脱落し、腫瘍細胞数が増加すると考えられる。
【0077】
二つの興味深い症例は、病理学的には原発性腫瘍であるはっきりした証拠はないが、多数の遺伝子座にミクロサテライト変異またはLOHを有していた。しかしながら、臨床での印象ではガンの疑いがあり、いずれの場合も、激しい炎症にも関わらず異型細胞が同定された。このような2症例ではガンが発生する危険性が高いと考えられ、おそらく生検で見逃した腫瘍病変または重大な形態的な変化を欠いた前ガン性病変を有する。一部のガンの症例において、相当する尿中にさらに別のクローン性の変化が存在するのはさらに興味深い。このような観察は、より進行性となりうる、遺伝的に変異したクローン由来の細胞が、尿の中へ脱落することを示唆する。p53変異細胞は、原発性腫瘍において圧倒的に優勢であるにもかかわらず、尿にはその細胞のごく一部しか含まれない。このような観察は、臨床的に明白な原発性病変が必ずしも尿沈殿物中に検出される新生物細胞の多数に寄与しないことを示唆する。
【0078】
上記盲検において原発性腫瘍の95%が検出されたが、その結果はおそらくこの方法の利用について評価が足りないと思われる。第一に、非常に数多くの感受性の高いマーカーを原発性のミクロサテライト変異を検出するために利用することができる。わずか60のミクロサテライトマーカーを本文において検討したが、より大きな反復を包含する新生物における変異に対して、もっと感受性の高いほかの多数のマーカーが同定される可能性がある。第2に、LOH検出の容易さは、分子的な進行モデルの利用に見通しをつけた。原発性膀胱ガンには通常の欠失を有する12をかなり越える染色体が存在する。高頻度で欠失する9p21領域を構成する別のマーカーを検討したが、原発性膀胱ガンで欠失した他の一般領域に由来する別のマーカーも検討することができる。例えば、14qの末端部分の欠損は膀胱の乳頭腫瘍ではまれであるが、臨床的に進行性のCIS病変にはいたるところに存在する。実際、あるCIS患者は、尿沈殿物における唯一の異常として、染色体14q上にLOHを有する。原発性腫瘍の遺伝的変化に関する臨床的な相関現象から予想される情報と、尿沈殿物中の新生物細胞の完全な買Aレロタイプ狽ニを、統合することができる。染色体の欠失または組み換え体を表す原発性腫瘍DNAと正常DNAを比較することによって検出される。以前のアレロタイプの研究において、ゲノム全体にわたる一群のミクロサテライトマーカーを利用することによって、膀胱の移行上皮ガンの95%以上が少なくとも一つの遺伝子座でLOHを示した。本発明は、新たに、多くの遺伝子座でLOHを示す研究の直接的な利用、および臨床的な検出のための分子的進行モデルの開発を明らかにする。本研究のほとんどの症例において、形態学的および細胞学的分析は診断的ではない。ミクロサテライト分析はクローン性腫瘍細胞を尿沈殿物中で検出するための単純で高感度の検査法であり、低コストで自動化された方法をきわめて受け入れやすいと思われる。
【0079】
【表2】

本発明は十分に説明されたので、本発明の精神または範囲を逸脱することなしに、様々な変更や改変を行うことができることは、当業者にとって明白であろう。
配列表
(2)配列番号:1:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:18塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
CTTGTGTCCC GGCGTCTG

(2)配列番号:2:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:19塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
CAGCCCAGCA GGACCAGTA

(2)配列番号:3:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:21塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
TGGTAACAGT GGAATACTGA C

(2)配列番号:4:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:21塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
ACTGATGCAA AAATCCTCAA C

(2)配列番号:5:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:26塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
GATGGGCAAA CTGCAGGCCT GGGAAG

(2)配列番号:6:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:27塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
GCTACAAGGA CCCTTCGAGC CCCGTTC

(2)配列番号:7:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:24塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
GATGGTGATG TGTTGAGACT GGTG

(2)配列番号:8:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:24塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
GAGCATTTCC CCACCCACTG GAGG

(2)配列番号:9:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:20塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
GTTCTGGATC ACTTCGCGGA

(2)配列番号:10:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:20塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
TGAGGATGGT TCTCCCCAAG

(2)配列番号:11:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:20塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
( ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
AGTGGTGAAT TAGGGGTGTT

(2)配列番号:12:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:20塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
CTGCCATCTT GTGGAATCAT

(2)配列番号:13:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:21塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
CTGTGAGTTC AAAACCTATG G

(2)配列番号:14:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:20塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
GTGTCAGAGG ATCTGAGAAG

(2)配列番号:15:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:24塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
GCACGCTCTG GAACAGATTC TGGA

(2)配列番号:16:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:24塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
ATGAGGAACA GCAACCTTCA CAGC

(2)配列番号:17:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:20塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
TCACTCTTGT CGCCCAGATT

(2)配列番号:18:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:20塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
TATAGCGGTA GGGGAGATGT

(2)配列番号:19:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:22塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
TGCAAGGAGA AAGAGAGACT GA

(2)配列番号:20:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:20塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
AACAGGACCA CAGGCTCCTA

(2)配列番号:21:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:18塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
CAGACGCCGG GACACAAG

(2)配列番号:22:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:19塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
TACTGGTCCT GCTGGGCTG

(2)配列番号:23:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:21塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
GTCAGTATTA CCCTGTTACC A

(2)配列番号:24:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:21塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
GTTGAGGATT TTTGCATCAG T

(2)配列番号:25:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:26塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
CTTCCCAGGC CTGCAGTTTG CCCATC

(2)配列番号:26:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:27塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
GAACGGGGCT CGAAGGGTCC TTGTAGC

(2)配列番号:27:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:24塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
CACCAGTCTC AACACATCAC CATC

(2)配列番号:28:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:24塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
CCTCCAGTGG GTGGGGAAAT GCTC

(2)配列番号:29:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:20塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
TCCGCGAAGT GATCCAGAAC

(2)配列番号:30:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:20塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
CTTGGGGAGA ACCATCCTCA

(2)配列番号:31:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:20塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
AACACCCCTA ATTCACCACT

(2)配列番号:32:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:20塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
ATGATTCCAC AAGATGGCAG

(2)配列番号:33:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:21塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
CCATAGGTTT TGAACTCACA G

(2)配列番号:34:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:20塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
CTTCTCAGAT CCTCTGACAC

(2)配列番号:35:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:24塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
TCCAGAATCT GTTCCAGAGC GTGC

(2)配列番号:36:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:24塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
GCTGTGAAGG TTGCTGTTCC TCAT

(2)配列番号:37:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:20塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
AATCTGGGCG ACAAGAGTGA

(2)配列番号:38:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:20塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
ACATCTCCCC TACCGCTATA

(2)配列番号:39:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:22塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
TCAGTCTCTC TTTCTCCTTG CA

(2)配列番号:40:
(i)配列の特色
(A)配列の長さ:20塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:cDNA
(iii)仮想配列:No
(iv) アンチセンス:No
(v) 配列の型:
(vi) 直接の起源:
(xi)配列:
TAGGAGCCTG TGGTCCTGTT
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は、レーン1:B17(TCC)(マーカーFGA)、レーン2:L21(SCLC)(マーカーAR)、レーン3:B30(TCC)(マーカーUT762)、及びレーン4:L5(SCLG)(マーカーD14S50) からの正常(N) 及び腫瘍(T) DNAの変性アクリルアミドゲルを示す。
【図2】図2は、パネルA)マーカーFGAで分析し、正常(N) 及び腫瘍(T) 組織DNAと比較したB27(TCC)の尿(U)サンプル、パネルB)ARでスクリーニングし腫瘍組織と比較したL31(NSCLC)の組織学的縁(M)、及びパネルC)CHRNB により分析し、正常及び腫瘍組織DNAと比較したL25(SCLC)の痰(S)サンプルの変性アクリルアミドゲルを示す。
【図3】図3は、1対5(20%) から1対1000(0.1%)の腫瘍DNAの種々の希釈度においてマーカーFGA により増幅された患者のリンパ球(N)からのDNAを示す。新規なバンドを矢印で示す。パネルA、B17(TCC)からの腫瘍DNA;パネルB、B27(TCC)の腫瘍DNA。
【図4】図4は、B27(TCC)からのDNAと、同じPCR 反応物中で3 種の異なるプライマーセット(FGA、ACTBP2、AR) で増幅した対応する尿サンプルを利用した多重PCRアッセイを示す(N: 正常DNA、T:腫瘍DNA、U:尿素DNA)。
【図5A】図5Aは、病理学的診断により癌と確認された25人の患者についての調査の結果を示す。血液(B)、腫瘍(T) 及び尿(U)標本をミクロサテライト変化の検出について比較した(患者の総数は25人である。25人中20人は病理学的診断により癌であることが確認されている。20人中19人(95%) はその尿試料中において同一のクローン変化を有しており、そのうち少なくとも9 人(45%)は癌または異形性について細胞学的には陰性である。B=血液、N=正常、T=腫瘍、U=尿、L=LOH 、P=腫瘍に陽性、N=腫瘍に陰性、A=異形性、ND= 不実施)。
【図5B】図5Bは、病理学的診断により癌と確認された25人の患者についての調査の結果を示す。血液(B)、腫瘍(T) 及び尿(U)標本をミクロサテライト変化の検出について比較した(患者の総数は25人である。25人中20人は病理学的診断により癌であることが確認されている。20人中19人(95%) はその尿試料中において同一のクローン変化を有しており、そのうち少なくとも9 人(45%) は癌または異形性について細胞学的には陰性である。B=血液、N=正常、T=腫瘍、U=尿、L=LOH 、P=腫瘍に陽性、N=腫瘍に陰性、A=異形性、ND= 不実施)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高変異可能な標的核酸に関連する哺乳類細胞増殖性疾患を検出する方法であって、哺乳動物の標本に存在する核酸を単離し、高変異可能な標的核酸の存在または不存在を検出することを含む前記の方法。
【請求項2】
高変異可能な標的核酸を検出の前に増幅する請求項1記載の方法。
【請求項3】
高変異可能な標的核酸のフランキング領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドによって増幅が行われる請求項2記載の方法。
【請求項4】
標的核酸が、核酸欠失および核酸付加から成る群より選択される請求項1記載の方法。
【請求項5】
細胞増殖性疾患が修復遺伝子欠損によるものでない請求項1記載の方法。
【請求項6】
細胞増殖性疾患が新生物である請求項1記載の方法。
【請求項7】
新生物が、頭、首、肺、食道、胃、小腸、結腸、膀胱、腎臓および頸の新生物から成る群より選択される請求項5記載の方法。
【請求項8】
新生物が良性である請求項6記載の方法。
【請求項9】
新生物が悪性である請求項6記載の方法。
【請求項10】
標本が、痰、尿、胆汁、便、子宮頸部スミア、唾液、涙、脳脊髄液、局所リンパ節および組織病理学的縁から成る群より選択される請求項1記載の方法。
【請求項11】
標的核酸が配列(X)n(式中、Xは1ヌクレオチド以上であり、nは2以上である。)を含む請求項1記載の方法。
【請求項12】
標的核酸が配列(X)n(式中、Xは2ヌクレオチド以上であり、n は2以上である。)を含む請求項1記載の方法。
【請求項13】
配列Xが、TC、AGC 、TCC 、CAG 、CAA 、CTG 、AAAG、AGATおよびTCTTから成る群より選択される請求項12記載の方法。
【請求項14】
オリゴヌクレオチドがハイブリダイズするフランキング領域のヌクレオチド配列が、
a. 5'-CTT GTG TCC CGG CGT CTG-3' (配列番号1);
b. 5'-C AGC CCA GCA GGA CCA GTA-3' (配列番号2);
c. 5'-TGG TAA CAG TGG AAT ACT GAC-3' (配列番号3);
d. 5'-ACT GAT GCA AAA ATC CTC AAC-3' (配列番号4);
e. 5'-GA TGG GCA AAC TGC AGG CCT GGG AAG-3' (配列番号5);
f. 5'-GCT ACA AGG ACC CTT CGA GCC CCG TTC-3' (配列番号6);
g. 5'-GAT GGT GAT GTG TTG AGA CTG GTG-3' (配列番号7);
h. 5'-GAG CAT TTC CCC ACC CAC TGG AGG-3' (配列番号8);
i. 5'-GTT CTG GAT CAC TTC GCG GA-3' (配列番号9);
j. 5'-TGA GGA TGG TTC TCC CCA AG-3' (配列番号10);
k. 5'-AGT GGT GAA TTA GGG GTG TT-3' (配列番号11);
l. 5'-CTG CCA TCT TGT GGA ATC AT-3' (配列番号12);
m. 5'-CTG TGA GTT CAA AAC CTA TGG-3' (配列番号13);
n. 5'-GTG TCA GAG GAT CTG AGA AG-3' (配列番号14);
o. 5'-GCA CGC TCT GGA ACA GAT TCT GGA-3' (配列番号15);
p. 5'-ATG AGG AAC AGC AAC CTT CAC AGC-3' (配列番号16);
q. 5'-TCA CTC TTG TCG CCC AGA TT-3' (配列番号17);
r. 5'-TAT AGC GGT AGG GGA GAT GT-3' (配列番号18);
s. 5'-TGC AAG GAG AAA GAG AGA CTG A-3' (配列番号19);
t. 5'-AAC AGG ACC ACA GGC TCC TA-3' (配列番号20);
および
u.配列a〜tに相補的な配列
から成る配列の群より選択される請求項3記載の方法。
【請求項15】
オリゴヌクレオチドが、
a. 5'-CAG ACG CCG GGA CAC AAG-3' (配列番号21);
b. 5'-TAC TGG TCC TGC TGG GCT G-3' (配列番号22);
c. 5'-GTC AGT ATT ACC CTG TTA CCA-3' (配列番号23);
d. 5'-GTT GAG GAT TTT TGC ATC AGT-3' (配列番号24);
e. 5'-CTT CCC AGG CCT GCA GTT TGC CCA TC-3' (配列番号25);
f. 5'-GAA CGG GGC TCG AAG GGT CCT TGT AGC-3' (配列番号26);
g. 5'-CAC CAG TCT CAA CAC ATC ACC ATC-3' (配列番号27);
h. 5'-CCT CCA GTG GGT GGG GAA ATG CTC-3' (配列番号28);
i. 5'-TCC GCG AAG TGA TCC AGA AC-3' (配列番号29);
j. 5'-CTT GGG GAG AAC CAT CCT CA-3' (配列番号30);
k. 5'-AAC ACC CCT AAT TCA CCA CT-3' (配列番号31);
l. 5'-ATG ATT CCA CAA GAT GGC AG-3'(配列番号32);
m. 5'-CCA TAG GTT TTG AAC TCA CAG-3' (配列番号33);
n. 5'-CTT CTC AGA TCC TCT GAC AC-3' (配列番号34);
o. 5'-TCC AGA ATC TGT TCC AGA GCG TGC-3' (配列番号35);
p. 5'-GCT GTG AAG GTT GCT GTT CCT CAT-3' (配列番号36);
q. 5'-AAT CTG GGC GAC AAG AGT GA-3' (配列番号37);
r. 5'-ACA TCT CCC CTA CCG CTA TA-3' (配列番号38);
s. 5'-TCA GTC TCT CTT TCT CCT TGC A-3' (配列番号39);
t. 5'-TAG GAG CCT GTG GTC CTG TT-3' (配列番号40);
および
u.配列a〜tに相補的な配列
から成る群より選択される請求項14記載の方法。
【請求項16】
高変異可能な標的核酸が、ARA、D14S50、AR、MD、SAT、DRPLA 、ACTBP2、FGA、D4S43 およびUT762 から成るミクロサテライト座の群より選択される請求項1記載の方法。
【請求項17】
組織標本からの高変異可能な標的核酸に関連する哺乳類細胞増殖性疾患の検出に役立つキットであって、高変異可能な標的核酸のフランキング核酸配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプライマーを含む1つ以上の容器をその中に接近して閉じ込めて受け取るための区分されたキャリヤー手段を含む前記のキット。
【請求項18】
標本が、痰、尿、胆汁、便、子宮頸部スミア、唾液、涙、脳脊髄液、局所リンパ節および組織病理学的縁から成る群より選択される請求項17記載のキット。
【請求項19】
さらに検出可能なように標識されたデオキシヌクレオチドを含む請求項17記載のキット。
【請求項20】
標的核酸がミクロサテライトDNA座である請求項17記載のキット。
【請求項21】
ミクロサテライト座が、ARA 、D14S50、AR、MD、SAT 、DRPLA 、ACTBP2、FGA 、およびUT762 から成る座の群より選択される請求項20記載のキット。
【請求項22】
座が重複している請求項21記載のキット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate


【公開番号】特開2006−136334(P2006−136334A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−376519(P2005−376519)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【分割の表示】特願平8−508992の分割
【原出願日】平成7年8月31日(1995.8.31)
【出願人】(500148950)ザ ジョンズ ホプキンス ユニバーシティー スクール オブ メディシン (3)
【Fターム(参考)】