組織増大に用いるための植え込み組成物
【課題】適合性のある組織増大を可能にするインプラント材料を調製するためのシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】インプラントは、組織インプラント部位での特有の適合性および安定性、および、組織への組み入れ、最少の免疫組織的組織応答、ならびに機械的外見および外観の向上を実現するための制御された、適切な組織の内方成長を有するゲルを含む。多糖ゲル組成物は、特定の選択された用途のために選択されたレオロジー特性で調製される。該方法は、緩衝液中でポリマー多糖を調製して、ポリマー溶液またはゲル中にゲル懸濁特性を生成するステップと、所望の組織領域に対するレオロジープロファイルを選択するステップを含む。
【解決手段】インプラントは、組織インプラント部位での特有の適合性および安定性、および、組織への組み入れ、最少の免疫組織的組織応答、ならびに機械的外見および外観の向上を実現するための制御された、適切な組織の内方成長を有するゲルを含む。多糖ゲル組成物は、特定の選択された用途のために選択されたレオロジー特性で調製される。該方法は、緩衝液中でポリマー多糖を調製して、ポリマー溶液またはゲル中にゲル懸濁特性を生成するステップと、所望の組織領域に対するレオロジープロファイルを選択するステップを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2006年2月6日に出願された米国特許出願第11/348,028号および2007年1月8日に出願された米国特許出願第11/650,696号の一部継続出願であり、参照することによりそれら全体が本願明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本発明は、概して、組織増大に関し、より具体的には、組織の美容的増大のための、特定の応用での軟組織を矯正および増大させるための、吸収性かつ生体適合性ゲルおよび固体複合体の注入に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]永久的矯正もしくは軟組織欠損の増大または美容目的での増大のために使用される非吸収性かつ粒子ベースの組成物は数多くある。各組成物は、ある種の利点および不都合を伴なう。シリコンゲルは、1970年代および1980年代において皺、襞、およびにきび瘢痕等の皮膚の欠損を治療するためによく使用されていたが、その後これらの用途における使用が禁止されている。シリコンは、慢性炎症、肉芽腫形成、およびアレルギー反応をしばしば伴う。テフロン(TEFLON(登録商標))ペーストは、グリセリンにおけるポリテトラフルオロエチレン粒子の懸濁液である。この組成物は、声帯増大に主に使用され、肉芽腫形成と関係がある。バイオプラスチックは、ポリビニルピロリドンに分散している重合シリコン粒子で構成された。この組成物は、頻繁に生じる慢性炎症および組織拒絶反応のために、商業的適用が中止されている。20〜40μmの直径を有し、ウシコラーゲン分散物中に懸濁されるポリメチルメタクリル酸(Polymethylmethacrylate:PMMA)ミクロスフェアが、Lemperle(米国特許第5,344,452号)によって説明されている。組成物は、ウシ源からのコラーゲンを含有するため、皮膚試験が必要とされる。加えて、組成物は、滅菌についての課題が伴ない、ウシコラーゲン分散物は、加熱およびγ線照射を含む標準的な最終滅菌技術によって損傷を受ける。また、PMMAは、加熱滅菌条件に対しても不安定である。
【0004】
[0004]カルボキシメチルセルロースおよび他の多糖は、種々の医学的および非医学的用途のためにゲルまたは溶液の形態で使用される材料の例である。カルボキシルメチルセルロースナトリウム(sodium carboxymethyl cellulose:「CMC」)は、アルカリおよびクロロ酢酸と反応させたセルロースである。これは、水溶性かつ生分解性であり、多くの医学的および食品用途において使用されている。また、織物、洗剤、殺虫剤、石油採掘、紙、革、ペンキ、鋳物類、セラミック、鉛筆、爆発物、化粧品および接着剤においても一般的に使用されている。これは、増粘剤、結合剤、安定剤、水保持剤、吸収体、および接着剤として機能する。
【0005】
[0005]従来の技術のゲル材料の教示は、ゲルを、ゲルの実際の増大機能に付随的な担体としてのみ扱い、インプラント部位とレオロジー的および化学的に真に適合するインプラントを、どのように最良に調製するかを理解することに対して向けて努力は行なわれていない。さらに、従来の方法および製品は、現在のゲルに関する幾つかの問題に対処することができない。より具体的には、従来の技術の注入可能な材料は、体の広範な部位にわたったインプラントの適用における特定の問題に対応することができず、その結果として、適切な種類のインプラントを提供することができない。例えば、現在のインプラントは、微細ゲージ針を使用する場合に、植え込み処置中に閉塞または不整な植え込みに直面し得る。ある種の用途においては、微細ゲージ針は必要ない場合があるが、幾つかの用途での成功のためには不可欠である。加えて、より小さなゲージ針は、より小さな穿刺点
を残すので、これは患者にとって望ましいことが多い。さらに、閉塞の性質は、不均等で随伴性かつ非連続的な植え込みをもたらすことが多く、これは非常に望ましくない結果を生じさせる。
【0006】
[0006]従来の方法および製品の別の態様において、現行のインプラントは、シリンジにおけるインプラントの粘弾性特性に対応できていないため、現行のインプラントは、針からインプラントを押し出すために相当量の力、およびさらには不規則なレベルの力を必要し、針ゲージが小さくなると、更に大きな力を必要とする。これにより、恐らく1日に多くの注入を行うであろう医療専門家に対して疲労に関する課題が生じる。また、これは、注入時に針を安定に維持しながら、大きなの力または不規則な力をシリンジに及ぼすことが不可欠なため、いかなる注入を行うことも、より困難にさせ、また、適切な注入量および分配を行うことも困難にさせる。
【0007】
[0007]また、従来の方法および現在のインプラント材料は、インプラントが設置される種々の組織における広範な特質に対応することもできない。インプラントは、望ましくない凝集、化学反応、位相分離、および植え込まれた塊の非連続的な様々な形状へ早期分解を被る可能性があり、これらの全てがその結果として、組織領域に対して、望ましくない機械的特性およびインプラントの性能を生じ得る。
【0008】
[0008]材料組成物およびその関連する機械的、化学的、さらに電気的および他の物理的特性は、組織インプラント部位での適合性および安定性、および、組織への組み入れ、免疫組織的組織応答、ならびに機械的外見および外観を実現するための、制御された、適切な組織の内方成長に関連して重要である。患者のための増大性能は、ゲルおよび粒子インプラントの複合体の物理的成分および化学的組成物の機能から生ずる適切な美的結果を包含する。特に、ゲルを利用する従来の技術のインプラントは、担体としてのゲルに依存しているが、固形粒子と協働して、それが注入される組織を機械的および化学的に模倣し、組織に埋め込まれる時に、共生制御された方法で挙動するように設計されたゲルを用いるインプラントを提供する問題を認識かつ解決することができていない。
【0009】
[0009]従来の技術のゲルを使用するインプラントは、小結節を形成するか、または所望の植え込み位置から移動するか、あるいは位相分離もしくは体の望ましくない形状および美容的外観の形成等の、不要かつ望ましくない化学的および/または機械的分解を被る傾向を呈する。これらのうちのいずれも、患者に許容できる結果ではない。小結節形成は、M.Graivier and D.Jansen,”Evaluation of a Calcium Hydoxylapatite−Based Implant(Radiesse)for Facial Soft−Tissue Augmentation,”Plastic and Reconstructive Surgery Journal,Vol.118,No.3s,pg.22s(2006)により、既知の組成物に関して以前に報告されている。
【発明の概要】
【0010】
[0010]本発明は、適合性のある組織増大を可能にするインプラント材料を調製するためのシステムおよび方法に関する。特に、該システムおよび方法は、複数の化学変数を操作し、設計された最終製品を、明確なレオロジー特性を持って、得るように、正確なプロトコルを使用して入念に調製されたインプラントマトリックス材料に基づいて行われる増大インプラントに関する。一実施形態においては、該インプラントは、組織インプラント部位での特有の適合性および安定性、および、組織への組み入れ、最少の免疫組織的組織応答、ならびに機械的外見および外観の向上を実現するための制御された、適切な組織の内方成長を有するゲルを含む。一実施形態においては、該インプラントは、組織インプラント部位での特有の適合性および安定性、および、組織への組み入れ、最少の免疫組
織的組織応答、ならびに機械的外見および外観の向上を実現するための制御された、適切な組織の内方成長を有する様に、その中に懸濁される粒子有するゲルを含む。該インプラントは、植え込み時に所望のレオロジーおよび化学的挙動を達成するように選択された物理的および化学的特性を有する。例えば、処置された組織と同様および/または適合性のある、および/または、制御された様態で、成長組織に適応するように設計された、レオロジー的、化学的、生物学的、および機械的特性を含む、生理的特性を呈する材料で組織構造を置換または増大させるのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】[0011]図1は、2つの異なる体内組織液に対するG’およびG”の挙動を示す図である。
【図2】[0012]図2は、3つの異なる年齢体内組織液に対するG’およびG”を示す図である。
【図3】[0013]図3は、インプラント製品の製造の模式的方法を示す図である。
【図4】[0014]図4は、唇組織の位相角度対周波数挙動を示す図である。
【図5】[0015]図5は、代表的なインプラント製品に対するFo挙動対粘度を示す図である。
【図6】[0016]図6は、化学変数を分析して、標的組織レオロジーにマッピングする統計分析方法のフローチャートを示す図である。
【図7A】[0017]図7Aは、第1の範囲のレオロジー変数に対する化学変数および表形式キーを示す図である。
【図7B】図7B(i)は、Fo対パーセントCMCおよび粘度を示す図である。図7B(ii)は、0.7Hzでの同じ化学変数対G’を示す図である。図7B(iii)は、4HzでG’以外は同じである。図7B(iv)は、0.7Hzで周波数応答以外同じである。図7B(v)は、0.7Hzでのtanδ以外は同じである。図7B(vi)は、0.7HzでG”以外は同じである。図7B(vii)は、4HzでG”以外は同じである。図7B(viii)は、4Hzで周波数応答以外は同じである。
【図7C】レオロジーメリットのある領域(白)対パラメータに適わない領域(暗)の2Dプロットを示す図である。
【図8】[0018]図8は、予測プロファイルを生成するステップのフローチャートを示す図である。
【図9A(i)】[0019]図9(i)は、CMCパーセント対PBS(mM)対tanδの3D輪郭である。
【図9A(ii)】図示した図9Bに対する平面横断面と、0.7HzでのCMC対PBS対粘度である。
【図9A(iii)】0.7HzでのCMC対PBS対G’である。
【図9A(iv)】0.7HzでのCMC対PBS対G”である。
【図9A(v)】4HzでのCMC対PBS対tanδである。
【図9A(vi)】4HzでのCMC対PBS対G’である。
【図9A(vii)】4HzでのCMC対PBS対G”である。
【図9A(viii)】0.7HzでのCMC対PBS対周波数応答である。
【図9A(ix)】4HzでのCMC対PBS対周波数応答である。
【図9B(i)】予測プロファイルセットであり、それぞれ図9A(i)〜9A(ix)の輪郭からの横断面から取った種々の化学変数に対するレオロジー挙動の表を示す図である。
【図9B(ii)】予測プロファイルセットであり、それぞれ図9A(i)〜9A(ix)の輪郭からの横断面から取った種々の化学変数に対するレオロジー挙動の表を示す図である。
【図10】[0020]図10は、実施例1の組成物の、周波数の関数としての、弾性粘度係数および複素粘度のプロットを示す図である。
【図11】[0021]図11は、実施例2の組成物の、周波数の関数としての、弾性および粘度係数ならびに複素粘度のプロットを示す図である。
【図12】[0022]図12は、実施例3の組成物の、周波数の関数としての、弾性および粘度係数ならびに複素粘度のプロットを示す図である。
【図13】[0023]図13は、実施例4の組成物の、周波数の関数としての、弾性および粘度係数ならびに複素粘度のプロットを示す図である。
【図14】[0024]図14は、実施例5の組成物の、周波数の関数としての、弾性および粘度係数ならびに複素粘度のプロットを示す図である。
【図15】[0025]図15は、実施例6の組成物の、周波数の関数としての、弾性および粘度係数ならびに複素粘度のプロットを示す図である。
【図16】[0026]図16は、実施例7の組成物の、周波数の関数としての、弾性および粘度係数ならびに複素粘度のプロットを示す図である。
【図17】[0027]図17は、実施例8の組成物の、周波数の関数としての、弾性および粘度係数ならびに複素粘度のプロットを示す図である。
【図18】[0028]図18は、実施例9の組成物の、周波数の関数としての、弾性および粘度係数ならびに複素粘度のプロットを示す図である。
【図19】[0029]図19は、実施例10の組成物の、周波数の関数としての、弾性および粘度係数ならびに複素粘度のプロットを示す図である。
【図20】[0030]図20は、実施例11の組成物の、周波数の関数としての、弾性および粘度係数ならびに複素粘度のプロットを示す図である。
【図21】[0031]図21は、実施例12の組成物の、周波数の関数としての、弾性および粘度係数ならびに複素粘度のプロットを示す図である。
【図22】[0032]図22は、実施例13の組成物の、周波数の関数としての、弾性および粘度係数ならびに複素粘度のプロットを示す図である。
【図23】[0033]図23は、実施例14の組成物の、周波数の関数としての、弾性および粘度係数ならびに複素粘度のプロットを示す図である。
【図24】[0034]図24は、剪断速度が変化するにつれての各材料の粘度を示す図である。
【図25】[0035]図25は、剪断速度が変化するにつれての各材料の損失係数を示す図である。
【図26】[0036]図26は、剪断速度が変化するにつれての各材料の粘度係数を示す図である。
【図27】[0037]図27は、剪断速度が変化するにつれての各材料のtanδを示す図である。
【図28】[0038]図28は、粒子の様々な濃度(2.6CMC:1.5%グリセリン担体中30%&40%固形対3.25%CMC:15%グリセリン担体中30%固形)を有する様々なゲル組成物に対する弾性の時間依存性を示す図である。
【図29】[0039]図29は、実施例16の組成物に対する損失係数G’、弾性係数G”およびtanδ(GVG”)を示す図である。
【図30】[0040]図30は、実施例16の組成物に対する粘度およびtanδ特性を示す図である。
【図31A】[0041]図31Aは、FoおよびPBSを一定にした際の、望ましいCMC対グリセリンの3Dプロットを示す図である。
【図31B】CMCおよびグリセリンを一定にて、Fo対PBSを示す図である。
【図31C】グリセリンおよびFoを一定にして、PBS対CMCを示す図である。
【図31D】PBSおよびFoを一定にして、グリセリン対CMCを示す図である。
【図31E】PBSおよびグリセリンを一定にして、Fo対CMCを示す図である。
【図31F】CMCおよびFoを一定にして、グリセリン対PBSを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0042]本発明は、組織増大インプラントに関し、概して、プログラム可能なレオロジー多糖ゲルに関する。より具体的には、本発明は、関心対象となる体内組織インプラント領域の特徴と一致するように特に設計されるレオロジー特徴を呈するように処方されたカルボキシメチルセルロースまたは他の多糖ポリマーを含有する多糖組成物に関する。例えば、本発明は、臨床および回復用途ならびに鼻唇溝、マリオネット線、唇増大ならびに皺および襞のような美容的用途等を含む種々の使用のために、例えば、尿路、声帯、唇組織、頬、他の皮膚組織等の体全体に組織インプラント製品を提供するように適用することができる。組織増大インプラントを考慮するに当たって、体内組織の物理的特性は、組織機能に密接に関連しており、ならびに一態様において、それらの微小環境のレオロジー特徴(例えば、弾性)に対する組織細胞応答が適切に考慮されなければならないことを理解することが重要である。組織の物理的構造および機能の理解は、根本的かつ治療に関しての関心事である。したがって、処置する組織のものと同様の、レオロジーを含む物理的特性、ならびに化学的および生物学的特性も呈する材料を用いて組織構造を置換または増大させることが最も好適である。これは、インプラント材料の組織適合性の向上をもたらし、正常細胞応答性を促進させる。加えて、インプラントおよび周囲組織の同様の挙動は、増大した領域へより自然な外見をもたらし、また、制御された組織の内方成長をより容易にさせることもできる。インプラントレオロジーの「類似性」が決定される特定の方法、および製品製造の制御は、本発明の重要な態様である。インプラント製品に対する化学的および熱処理変数の選択ならびに適切なレオロジー値へのそれらのマッピングに関する詳細は、以下に詳述する。異なる組織は、組織機能と関連する特有の生体力学的および化学的特徴を呈し、組織特性の効果は、これらの組織を増大または置換する時に考慮されるべきである。その結果として、インプラント製品は、組織適合性を達成し、ならびに望ましくない化学反応および位相分離を回避するために、所望のレオロジー特性を達成するように形成される。
【0013】
[0043]カルボキシメチルセルロース(Carboxymethylcellulose:「CMC」)および他の多糖は、種々の医学的および非医学的用途のために使用される、ゲルまたは溶液中で使用される材料の例である。カルボキシルメチルセルロースナトリウム(Sodium carboxymethylcellulose:「NaCMC」)は、アルカリおよびクロロ酢酸と反応させたセルロースである。これは利用可能な最も大量のセルロースポリマーのうちの1つである。これは、水溶性かつ生分解性であり、多くの医学的および食品用途において使用されている。また、織物、洗剤、殺虫剤、石油採掘、紙、革、ペンキ、鋳物類、セラミック、鉛筆、爆発物、化粧品および接着剤においても一般的に使用されている。これは、増粘剤、結合剤、安定剤、水保持剤、吸収体、および接着剤として機能する。
【0014】
[0044]多くの参考文献は、カルボキシメチルセルロースおよび他のイオン性多糖を粘弾性および偽塑性であるものとして説明している。例えば、(Andrews GP, Gorman SP,Jones DS.,Rheological Characterization of Primary and Binary Interactive Bioadhesive Gels Composed of Cellulose Derivatives Designed as Ophthalmic Viscosurgical Devices,Biomaterials.2005 Feb、26(5):571−80、Adeyeye MC,Jain AC, Ghorab MK,Reilly WJ Jr.,Viscoelastic Evaluation of Topical Creams Containing Microcrystalline Cellulose/sodium Carboxymethyl
Cellulose as Stabilizer,AAPS PharmSciTech.2002、3(2):E8、Lin SY,Amidon GL,Weiner
ND,Goldberg AH.,Viscoelasticity of Anionic Polymers and Their Mucociliary Transport on the Frog Palate, Pharm.Res.1993,Mar:10(3):411−417、Vais,AE, Koray,TP,Sandeep,KP,Daubert,CR.Rheological Characterization of Carboxymethylcellulose Solution
Under Aseptic Processing Conditions,J.Food Science,2002. Process Engineering 25:41−62)を参照されたい。
【0015】
[0045]Hercules,IncからのAqualon Product Information公報は、CMCナトリウムのレオロジーに対する種々のパラメータの効果に関して説明している。粘度は、濃度の増加とともに増加し、CMC溶液は、偽塑性および粘弾性である。熱への曝露は、粘度の減少に繋がり、効果は、通常の条件下で可逆的である。長時間後、CMCは、上昇した温度で分解し、恒久的粘度が減少する。例えば、48時間180oFで加熱した中等度の分子量(Aqualon7L)のCMCは、粘
度の64%を失う。CMCは、pHの変化に対して比較的安定であり、粘度へのpHの効果は、生理的に関連する範囲のpH6−9内でわずかである。pHが10を超えると、粘度の幾らかの損失、およびpHが4を下回ると、幾らかの増加がある。また、塩は、CMCのレオロジーに影響を及ぼし得、1価カチオンは、相互作用して可溶性塩を形成する。CMCを水中に溶解し、次いで塩を添加する場合、粘度への効果は、ほとんどない。乾燥したCMCを塩類溶液に添加する場合、粘度は、イオン反発を通じて減少し得る。多価カチオンは、概して、架橋ゲルを形成しない。粘度は、2価塩をCMC溶液に添加し、3価塩がCMCを沈殿させる時に減少する。
【0016】
[0046]従来の技術を考慮して結論付けることができるように、インプラントのレオロジーおよび化学的特性には、多くの複雑な要因が関与する。したがって、特定の制御された生体内特性を持つインプラントを設計するために、インプラントのそれらの各成分を変化させることができる。そのような自由度は、実際、適切なインプラントの設計が厄介な課題となるほど広くかつ複雑である。
【0017】
[0047]これらの複雑な課題を解決するため、選択した体内組織成分のレオロジーを考慮することが有益である。図1は、同じ塩基性ヒアルロン酸(ヒアルロン酸(hyluronic acid)と称されることもある)成分で構成されるが、同じ生理的負荷条件下で有意に異なる貯蔵および損失係数を示す2つの異なる体内組織液を示す。両方の溶液は、0.1から180ラジアン/秒(0.159Hzから28.6Hz)の比較的小さい生理的剪断応力をで、剪断菲薄化、および粘着性物質(G”プレドミナントまたはTanδ>1)から弾性材料(G’ドミナント)への材料転換を示す。
【0018】
[0048]例えば、生理液は、様々な方法でそれらに課される応力に従うことが実証されている。材料の主要な特徴は、外部の力が課されると、粘性潤滑材料が、弾性繋留性状に変化し得る。図2は、同じ塩基性ヒアルロン酸(ヒアルロン酸成分で構成されるが、個人の年齢に基づいて、同じ生理的負荷条件下で有意に異なる貯蔵および損失係数を示す3つの異なる体内組織液を示す。「若年」および「老年」と標識した材料は、0.1から180ラジアン/秒の比較的小さい生理的剪断応力で、剪断菲薄化および、粘着性物質(G”プレドミナントまたはtanδ>1)から弾性材料(G’ドミナント)への物資転換を示す。材料クロスオーバー(G”=G’)および相対振幅は、年齢に依存する。「変形性関節症」と標識した材料は、同じ剪断条件下でクロスオーバーせず、貯蔵G’および損失係数G”振幅は、他の2つの材料よりも有意に少なかった。したがって、セルロースベースのインプラントの処方および物理的操作を介して、必要な特定の用途に合わせること
ができる生物学的に関連する生体力学的ゲル特性を製造できることが、本明細書において実証される。したがって、材料の生物学的許容性に対するこのタイプの転移点を認識することが重要である。緩衝液強度(PBS等)、多糖選択および濃度(NaCMC等)、潤滑剤含有量(グリセリン等)を含む、インプラント製品パラメータ等の種々の制御パラメータは操作することができ、また、オートクレーブ時間は、粘度および弾性の機械的出力が、従来の技術において明白な全ての問題を生じさせることなく、所望の結果に適合し得るように操作することもできる。
【0019】
[0049]例えば、本発明の好適な一実施形態においては、製造方法および製品は、唇の組織増大のためのインプラントに関する。上記のように、体内組織の物理的特性が密接に関連している。組織修復時の細胞伝播、細胞浸潤および細胞機能は、それらの微小環境のレオロジー特徴(例えば、弾性)に依存することが幾つかの細胞モデルから示されている。上に説明されるように、組織の物理的構造および機能の理解は、組織増大および修復時の根本的な治療上の関心事である。したがって、レオロジーを含む物理的特性、ならびに処置した組織のものと同様の化学的および生物学的、および機械的特性を呈する材料を有する組織構造を置換または増大させることが好適である。したがって、インプラントは、インプラントの特性を、インプラントが設置される予定の組織のものと一致させる機会を提供する。これは、インプラント材料の組織適合性の向上をもたらし、制御された成長組織を提供するように設計された正常細胞応答性を促進させる。加えて、インプラントおよび周囲組織の同様の挙動は、増大した領域へより自然な外見をもたらす。
【0020】
[0050]最も好適な一実施形態においては、インプラントは、7.4pHでの25mMリン酸緩衝液(PBS)中1.5%グリセリンを有する2.6%CMCのゲルを含む。位相角度は、0.1Hzから10Hzの周波数範囲にわたって、48度から140度の範囲に及んだ。これは、自発的刺激下で上および下の口輪筋に対して実験的に測定した位相角度の公開測定と一致しており、位相角度は、0.1Hzから10Hzの周波数範囲にわたって、0度付近から150度の範囲に及んだ。
【0021】
[0051]材料が、f<0.05でより多くの粘性性状を示すほど、インプラントに対する初期の位相角度の大きさは大きい。しかしながら、材料G’=G”クロスオーバーは、0.2であり、弾性性状が、当技術分野において実験的に測定された弾性挙動をシミュレートするように支配し始める。実験的に測定されたインプラントおよび提案されたインプラントの両方に対して、位相角度は、同じ生物学的に関連する範囲にわたって観察された同様の位相シフトでの0.1Hzから1Hzの周波数範囲にわたって、僅かな変化しか示さない。
【0022】
[0052]一実施形態においては、インプラントは、30%v/v25umから45umカルシウムヒドロキシルアパタイト粒子を有する7.4pHでの25mMリン酸緩衝液中1.5%グリセリンを有する2.6%CMCのゲルを含む。材料レオロジーは、特に、位相角度が線形である低周波で、組織部位と同様である。材料は、その周波数範囲にわたって、弾性材料という試験結果となる。しかしながら、tanδは、0.9(およそG’=G”)で開始し、材料剪断が、0.1Hzから10Hzの生理的に関連する範囲にわたって菲薄化するにつれて減少する。
【0023】
[0053]また、物質の変形およびフローの研究である「レオロジー」を含む、本明細書で使用される特定の専門用語を理解することも有用である。「ニュートン流体」(典型的に、低分子量物質のみを含有する水および溶液)、この粘度は、剪断歪み速度および剪断歪み速度のプロットと無関係である。非ニュートン流体は、印加した剪断力とともに粘度が変化する流体である。材料を説明するレオロジー出力は、典型的に、η、G’、G”、tanδ、インプラント部位での組織の活性の直線力(剪断)または振動力(Hz)
に対する偏向角度である。パラメータηは粘度であり、これは、剪断応力下で変形する材料の尺度である、材料の指標である。流体にとって、これは、「濃さ」、または注入に対する抵抗性として一般的に認識される。G’は貯蔵係数であり、これは、弾性挙動の指標であり、回復可能な弾性変形と関連する弾性エネルギーを貯蔵するポリマー系の能力を明らかにする。G”は損失係数であり、これは、回復不可能な粘性損失と関連するエネルギーの散逸に関する動的粘性挙動の尺度である。損失正接(tanδ)は、貯蔵係数に対する損失係数の比率(G”/G’)として定義され、無次元である。これは、変形のサイクルにおいて貯蔵されたエネルギーに対するエネルギー損失の比率の尺度であり、システムへの弾性および粘性寄与の両方を組み合わせる比較パラメータを提供する。1より大きいtanδは、流体がより液体であることを意味する。1未満のtanδは、流体がより固形であることを意味する。偏向角度は、力を材料に印加した後の定常状態からの角度として定義される。剪断力および振動力の生理的に関連する範囲は、その組織に対する典型的なヒトの機能への体内組織活性範囲である。これらの範囲は、標的インプラントが、軟皮膚組織、高濃度コラーゲン組織、筋肉または骨に向けられた場合に、特に明白である。
【0024】
[0054]したがって、生体材料の生体力学的挙動は、それらのレオロジー特性を測定することによって特徴付けることができる。レオロジーは、粘弾性および粘弾性剪断特性に関連している。粘弾性剪断特性は、弾性剪断係数および粘性剪断係数を含む、複素剪断係数によって数量化される。複素剪断係数の大きさは、全体的な剪断弾性、堅さ、および強剛性を示すために使用されている。材料が純粋に弾性である場合、tanδ=0である。材料が純粋に粘着性である場合、tanδ=無限大である。全ての組織は、これらの2つの極値間でのtanδを示す。
【0025】
[0055]異なる組織は、組織機能と関連する特有の生体力学的特徴を呈し、組織特性の効果は、これらの組織を増大または置換する時に考慮すべきである。本発明は、組成物が注入されるか、または植え込まれる組織の生体力学的特性をシミュレートし、望まれない化学反応および位相分離を回避するように処方される組成物に関して説明する。多くの異なる変数は、共に、インプラントの全体的な機械的、化学的および生物学的特性をともに提供する。したがって、特定の制御された生体内特性を持つインプラントを設計するために、インプラントのそれらの各成分を変化させることができる。滅菌性は、必要な設計要件である。したがって、滅菌モードおよび滅菌工程と関連するパラメータは、材料の使用目的が組織増大または置換のためであるため、材料設計のためには不可欠である。
【0026】
[0056]インプラントは、軟組織に注入可能な複合体である。複合体材料は、粒子を含む、または含まない、生体適合性ゲルを含む。注入の前およびその間、ゲルは、存在し得る粒子のための担体として部分的に機能する。生体内で、ゲルは、インプラントの不可欠な部分を形成し、所望の製品を達成するために、インプラントに関して先述した、必要な事前に選択した機械的および化学的微小環境を提供する。
【0027】
[0057]上で述べられるように、好ましくは、担体は、多糖ゲルを含み、本発明において利用され得る該多糖は、例えば、あらゆる以下の多糖類の分類内において、好適な多糖類およびそれらの組み合わせを含む。セルロース/澱粉、キチンおよびキトサン、ヒアルロン酸、疎水性物質修飾系、アルギン酸、カラゲナン、寒天、アガロース、分子内複合体、オリゴ糖ならびに大環状系。4つの塩基性カテゴリに分けられる多糖の例は、1.セルロース誘導体、澱粉、グアー、キチン、アガロースおよびデキストロンを含む非イオン性多糖、2.セルロース誘導体澱粉誘導体、カラゲナン、アルギン酸、カルボキシメチルキチン/キトサン、ヒアルロン酸およびキサンタンを含むイオン性多糖、3.セルロース誘導体、澱粉誘導体、グアー誘導体、キトサンおよびキトサン誘導体(キトサン乳酸を含む)を含むカチオン性多糖、ならびに4.セルロース誘導体およびαエマルサンを含む疎水性物質修飾多糖を含む。一実施形態において、多糖ポリマーは、カルボキシメチルセ
ルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシルメチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルメチルセルロース、およびそれらの修飾誘導体から成る群から選択される。本発明で用いる好適な多糖は、例えば、寒天メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、微結晶性セルロース、酸化セルロース、キチン、キトサン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、およびキサンタンゴムを含む。ある実施形態においては、1つより多い材料が、ゲルを形成するために利用され得、例えば、上記の多糖の2つ以上が、ゲルを形成するために組み合わせられ得る。ある実施形態においては、1つより多い材料が、架橋ゲルを形成するために利用され得、例えば、上記の多糖の2つ以上が、ゲルを形成するために組み合わせられ得る。
【0028】
[0058]加えて、ゲルは、架橋され得る。適切なゲル架橋剤は、例えば、熱、pH、ならびに1価、2価、および3価カチオン性相互作用を介した架橋を含む。ポリマーを架橋するために使用される架橋イオンは、ポリマーがアニオンまたはカチオン架橋可能であるかどうかに応じて、アニオンまたはカチオンであり得る。適切な架橋イオンは、カルシウム、マグネシウム、バリウム、ストロンチウム、ホウ素、ベリリウム、アルミニウム、鉄、銅、コバルト、および銀イオンから成る群から選択されるカチオンを含むが、これらに限定されない。アニオンは、リン酸、クエン酸、ホウ酸、炭酸、マレイン酸、アジピン酸およびシュウ酸イオンを含むがこれらに限定されない群から選択され得る。より広い範囲では、アニオンは、多塩基性有機または無機酸に由来する。好適な架橋カチオンは、カルシウム鉄およびバリウムイオンである。最も好適な架橋カチオンは、カルシウムおよび鉄である。好適な架橋アニオンは、リン酸、クエン酸および炭酸である。架橋は、ポリマーを、溶解イオンを含有する水溶液と接触させることによって行ってもよい。さらに、架橋は、多官能エポキシ化合物が、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(EGDGE)、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、およびソルビトールポリグリシジルエーテルから成る群から選択されることを含む、有機化学修飾を介して達成され得る。さらに、架橋は、多糖骨格反応のカルボニルまたは水酸基を介し、有機化学修飾を通して達成され得る。1つより多い種類のポリマーを利用する実施形態においては、異なるポリマーは、さらなる架橋を形成するために、互いに架橋することができる。
【0029】
[0059]実施例19、図9Bに関する考察および以下に提供するデータによって示すように、一実施形態において、インプラントはゲルを含み、そのtanδ(粘度係数G”の損失係数G’に対する比率)は、その後加熱滅菌されるNaCMC製剤中の塩(この場合、リン酸カリウムまたはPBS)の濃度を調整することによって操作することができる。水中で調製された組成物において、tanδは、熱処理の前後で<1であり、弾性流体を示す。組成物が希薄塩溶液中で調製される場合、tanδは、熱処理前に<1であり、熱処理後に>1である。tanδ>1は、概して、粘性流体を示す。希薄塩(この場合、1価)および熱処理の両方が、tanδ<1からtanδ>1に組成物を転換させるために必要がある。塩濃度が増加するにつれて、組成物の粘度は、内部架橋する多糖の能力を減少させることによって減少する。
【0030】
[0060]組織増大のために選択した組成物において、粘度は、組織レオロジー挙動
を充足させることに加えて、ある程度のバルキング能力を提供することが好ましい。したがって、塩濃度は、好ましくは、通常100mM未満の比較的低いレベルで慎重に制御される。
【0031】
[0061]グリセリンの塩類溶液への添加はtanδを減少させ、つまり、グリセリンのレオロジー特性が多糖ゲルとのバルキングレオロジー相互作用を提供するので、組成物は、熱処理後でも弾性のままである。tanδは、好ましくはおよび通常<1である。しかしながら、この組成物のtanδは、塩を含まない水中で調製された組成物のtanδとは異なる。NaCMCのレオロジー特徴は、塩、グリセリン、および熱処理によって操作することができる。
【0032】
[0062]インプラント組織部位のレオロジー性状に適応させる要望に加えて、本発明のゲルは、突出、分解速度(化学的および物理的)、成形性および多孔性を制御して、組織応答を調節するように調整することができる。また、ゲル特性は、宿主組織がより遅い再吸収セラミック粒子の周囲に形成する際、様々な再吸収速度も制御する。
【0033】
[0063]一実施形態において、本発明は、微細ゲージ針を介した注入のために固形粒子を支持することを可能にし、注入され次第、インプラント(および周囲の生物環境)の不可欠で適合性のある部分を形成することが可能なゲルを提供する。インプラントは、ゲルに懸濁させた粒子を含む。ある実施形態においては、粒子は、セラミックベースの複合体である。粒子性セラミック材料は、カルシウムヒドロキシアパタイト、およびカルシウムリン酸ベースの材料等を含むが、これらに限定されない、他の適切な材料を含むが、これらに限定されない。その例には、リン酸テトラカルシウム、ピロリン酸塩カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸オクタカルシウム、カルシウムフッ素リン灰石、カルシウム炭酸アパタイト、アルミナベースの材料、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。セラミック粒子は、実質的に球状の滑らかな円形であってもよく、セラミック材料の粒子は、連続的かつ架橋された、または後述のような脱水構造にある生体適合性ゲル材料に埋め込まれる。この実施手形態においては、粒子は、20ミクロンから200ミクロン、好ましくは、約20ミクロンから120ミクロン、および最も好ましくは、約20ミクロンから45ミクロンのサイズ範囲であり得る。セラミック粒子の濃度は、5容量%から65容量%、好ましくは、10容量%から50容量%、および最も好ましくは、30容量%から45容量%の範囲である。
【0034】
[0064]ゲルに添加することができる粒子は、生体適合性であるが、微生物で分解できない材料で作ることができる。適切な材料は、ガラス、e−PTFE、PTFE、ポリプロピレン、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、シリコン、ポリメチルメタクリル酸、ダクロン、カーボン粒子、テフロン(TEFLON(登録商標))、鉄の金属、ニチノール、銀、金、プラチナ,またはステンレススチールを含むそれらの銅ニッケルチタン合金を含む。粒子は、有機ポリマーおよびタンパク質を含む材料の複数の層で構成することができる。さらに、粒子は、例えば、アクリルポリマー、ビニルアルコールポリマー、アクリレートポリマー、多糖、ポリアクリルアミドおよびそれらの誘導体等のアクリルファミリー、ポリアクリレートおよびそれらの誘導体ならびにポリアリルおよびポリビニル化合物等のエラストマーの有機バイオポリマーから選択することができる。これらのポリマーの全ては、安定かつ非吸収性となるように架橋され、それらの構造内で、特定の特性を示す他の化学薬品またはその混合物を含有することができる。粒子は、好ましくは、以下の多糖類の分類内において、多糖粒子、例えばあらゆる適切な多糖およびそれらの組み合わせを含み得る。セルロース/澱粉、キチンおよびキトサン、ヒアルロン酸、疎水性物質修飾系、アルギン酸,カラゲナン、寒天、アガロース、分子内複合体、オリゴ糖ならびに大環状系。多糖の実施例は、4つの塩基性カテゴリに分けることができ、1.セルロース誘導体、澱粉、グアー、キチン、アガロースおよびデキストロンを含む非イオン性多糖、
2.セルロース誘導体、澱粉誘導体、カラゲナン、アルギン酸、カルボキシメチルキチン/キトサン、ヒアルロン酸およびキサンタンを含むイオン性多糖、3.セルロース誘導体、澱粉誘導体、グアー誘導体、キトサンおよびキトサン誘導体(キトサン乳酸を含む)を含むカチオン性多糖、ならびに4.セルロース誘導体およびαエマルサンを含む疎水性物質修飾多糖を含む。好適な一実施形態においては、多糖ポリマーカルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシルメチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルメチルセルロース、およびそれらの修飾誘導体の群から選択される。本発明で用いる好適な多糖は、例えば、寒天メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、微結晶性セルロース、酸化セルロース、キチン、キトサン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、およびキサンタンゴムを含む。ある実施形態においては、1つより多い材料を利用して、粒子を形成し得、例えば、上記の多糖の2つ以上を組み合わせ、粒子を形成し得る。ある実施形態においては、2つ以上等の1つより多い多糖材料を、本明細書において先に記載したそれらの架橋剤と併用し、架橋粒子を形成することができる。さらに、ゲルに懸濁され得る粒子、ビーズ、マイクロビーズ、ナノ粒子およびリポソームは、多孔性、テクスチャード加工、被覆および固体表面であってもよく、円形または他の構成であることができる。
【0035】
[0065]ゲルのこれらの材料組成物は、機械的補助装置を使用することなく、および従来の技術においては以前に達成されていないジャミングまたは閉塞の少ない頻度で、27から30ゲージという小さい針ゲージを介した良好な押し出し特性を可能にする。その中に懸濁される粒子を有するゲルは、粒子がなかった場合よりも異なる押し出し特性を明らかに有し、ゲルに懸濁された粒子を有する本発明のインプラントは、従来の技術のものよりも向上した押し出しを示す。粒子サイズが針のサイズに近づくにつれて、押し出しはますます困難となる。しかしながら、75ミクロン未満の粒子サイズは、微細ゲージ針(27から30ゲージ等)を通して本発明のインプラントを注入することを可能にする。ゲルは、担体として粒子を懸濁することができ、少ない力でインプラントを突出させることを可能にし、閉塞の可能性が、より低くなる。0.5から3.5および最も好ましくは0.5から2.0の範囲内にあるより高いtanδを有する材料組成物は、27から30ゲージという小さい針ゲージを介した押し出しのために、最良の性能特性を示す。より高いtanδを有する材料が、移動度が重要なパラメータである場合に、より好ましい。tanδを減少させることにより、より頑丈かつ成形可能なインプラント材料が生成される。CaHA充填ゲルに対する押し出し力の一部の実施例を下記の表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
[0066]好適な実施形態は、従来のシステムほど力を要しないことを示す。
【0038】
[0067]一実施形態においては、本発明は、微細ゲージ針を介した注入のために固形粒子を支持することを可能にし、注入され次第、インプラント(および周囲の生物環境)の不可欠で適合性のある部分を形成することが可能なゲルを提供する。インプラントは、ゲルに懸濁させた粒子を含む。ある実施形態においては、粒子は、過剰に架橋された多糖ベースの複合体である。粒子性材料は、これらに限定されない、CMC、寒天、およびアルギン酸、ヒアルロン酸、キトサンを含む、他の適切な材料、および組成上の組み合わせ等を含むが、これらに限定されない。ヒアルロン酸/CMC、アルギン酸/CMCおよびキトサン/CMC、イオン的および化学的に架橋されたそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。粒子は、実質的に球状の滑らかな円形であり得、粒子は、連続的かつ架橋された、または後述のような脱水構造にある生体適合性ゲル材料に埋め込まれる。この実施形態においては、粒子は、20ミクロンから200ミクロン、好ましくは、約20ミクロンから120ミクロン、および最も好ましくは、約20ミクロンから45ミクロンのサイズ範囲であり得る。粒子の濃度は、5容量%から90容量%、好ましくは、10容量%から80容量%、および最も好ましくは、60容量%から70容量%の範囲である。
【0039】
[0068]さらに、ゲル担体の僅かな組成上の変化は、同種の粒子懸濁液を依然として許容しながら、先に記述した生体適合性パラメータの選択を可能にする。組織に特異的なタンパク質を、促進(細胞外マトリックスまたはコラーゲンの浸潤)または疫組織学的応答を減少させることによって、組織応答を促進させるように添加することができる。これらの生体適合性特徴のそのような慎重な選択は、用途に応じて、インプラントまたは組織の内方成長の安定性を達成するために、事前に選択した形、美容的外見、化学的安定性および生物環境の達成を可能にする。生体適合性および生体力学的能力の増加は、特定の分解プロファイルに従って、インプラントを、体に自生の化合物に分解させることを可能にする。
【0040】
[0069]一実施形態においては、グリセリン含有量の減少は、従来の技術において以前に報告されていない向上した生体適合性を有する正常組織生理的条件と、生理的により同様なオスモル濃度範囲の向上をもたらした。本発明のインプラントの好適な形態は、従来の技術のゲルが行っているような、粒子を懸濁するための多量のグリセリンに依存しない。これにもかかわらず、本発明のゲルは、グリセリン含有量に大きく依存している従来技術のゲルにおいてでさえ以前に教示されたものよりも、高濃度の粒子を懸濁することができる。グリセリン含有量の減少により、好適な実施形態は、280から303mOsの血液の生理的オスモル濃度に近く、概して、細胞適合性の範囲として許容される、255mOsから600mOs、好ましくは、255mOsから370mOs、のオスモル濃度範囲を有することができる。このパラメータの制御は、生体適合性インプラントの上記の選択を達成することにおける一自由度である。この好適な実施形態を、表2に表形式で説明する。
【0041】
【表2】
【0042】
[0070]この好適な実施形態は、あらゆる従来の製品よりも、通常の生理的条件に実質的により類似する。
【0043】
[0071]加えて、グリセリンおよびCMCの減少は、これらの生理的条件または他の細胞外マトリックスおよび体液の生理的条件に近づく好適なインプラント製品の材料レオロジーを可能にする。より低い粘度係数G”および損失係数G’は、人体の標的組織に典型的な応力/歪み振幅でのより良好な組織シミュレーションを可能にする。
【0044】
[0072]また、グリセリン含有量の減少により、好適な実施形態は、胎生期の皮膚における70%からより成熟した皮膚における60%の生理的皮膚の水含有量により近い、57.9%から70.3%の水含有量を有することができる。標的組織の生理的水含有量により近い組織植え込みを対象とする材料は、インプラントに直近の組織および細胞に対する浸透応力がより少ない。
【0045】
[0073]本明細書において上で詳述したように、インプラントが生体適合性となるように構築することにおける別の制御可能な自由度は、CMC濃度の制御である。CMC濃度の減少により、ある天然組織をより厳密に模倣する注入時および注入後のより多くの粒子移動を可能にする菲薄化支持ゲルマトリックスを有することができる。ゲル内の処方調整は、生物学的に関連するレオロジー特徴を依然として維持しながら、バルキング材料組成物を増加させることを可能にすることが実証されている。これは、対象とする用途に一致する用途基準を維持しながら、基準線補正の向上および軟組織基準線補正における耐久性の向上を促進させる。これによって生じる局所組織応力および歪みはより少なく、つまり、紅斑および浮腫の形で免疫組織学的応答を制限するため、それによって、回復時間が短縮する。
【0046】
[0074]上述のように、本明細書に記述したインプラントは、組織増大のために体の多くの部分で使用することができる。例えば、インプラントによって増大され得る軟組織は、皮膚組織(襞および皺)、唇、声帯、粘膜組織、鼻溝、眉間の皺、顔面正中組織、顎の線、頤、頬、および乳房組織を含むが、これらに限定されない。これらの領域のそれぞれは、特有の機械的および生物学的特性を呈することが理解されるであろう。例えば、上および下唇は、筋肉相互作用および弾性への必要性の減少のために、連続的な移動度を呈し、同様の移動度を提供するインプラントが必要である。したがって、そのような特徴を呈するインプラントは、より高度な生体適合性、機械的適合性、および優れた視覚効果を提供する。したがって、インプラントは、特定の徴候に対応するために、体の特定の部分に植え込むように特異的に設計できるように処方され得る。表3は、若年および高齢者における声帯および皮膚に対するtanδを例証する。
【0047】
[0075]顔外側の典型的な真皮適用のために、特性記述に対するレオロジー応答は、G’、G”またはtanδによって良好に定義することができる。これを下記の表3に要約し、これらの特定のレオロジーパラメータは、好ましくは、以降に記載する望ましさプロットにおいてメリットのある領域または体積を定義するために使用される。
【0048】
【表3】
【0049】
[0076]選択した材料組成物に対する好適なパラメータの実施例を下記の表4に記載する。
【0050】
【表4】
【0051】
[0077]より高いtanδを有する材料は、移動度が重要なパラメータである場合により好ましい。tanδを減少させることにより、より頑丈かつ成形可能なインプラント材料が生成される。好適な実施形態は、従来の製品材料よりも近い生理的応答を示す。
【0052】
[0078]例えば、唇等の、組織がより低い粘度を呈する徴候に対応するために、0.5から1のtanδを有する、0.5Hzでの100,000センチポアズから300,000センチポアズの粘度を有するインプラントが使用され得る。同様に、顔面正中領域またはインプラントが好ましくは構造的支持をもたらす他の領域等の、より高い粘度のインプラントが所望される徴候に対応するために、0.5から1のtanδを有する、300,000センチポアズから600,000センチポアズの粘度を有するインプラントが使用され得る。これを下記の表5に要約する。
【0053】
【表5】
【0054】
[0079]ヒト声帯組織のtanδは、0.1〜0.5の範囲であり、弾性物質であることを示す(Chan,RW and Titze,IR,Viscoelastic
shear properties of human vocal fold mucosa:Measurement methodology and empirical results”.1999,J.Acoust.Soc.Am.106:2008−2021)。ヒト皮膚のtanδは、0.36(高齢の皮膚)から0.61(若年の皮膚)の範囲である(Calculated from stress−strain data−Silver,FH,Seehra,GP,Freeman,JW,and DeVore,DP.2002.J.Applied Polymer Science,86:1978−1985)。骨格筋に対するtanδは、1.0を超え、粘着性物質であることを示す。ヒアルロン酸に対するtanδは、材料が、1および8ラド/秒(0.17から1.3Hz)の間での1に等しいtanδを介した剪断肥厚および移行を示すため、1.3から0.3の範囲である(Fung YC,1993”Biomechanics:Mechanical properties of living tissue”,Second edition,Springer− Verlag,New York,NY)。これは、ヒト唇(筋肉)を増大させるように組成物を設計する時に重要である。上および下唇間ならび男性および女性間においてさえも堅さ(Chan and Titze, et. alによればより弾性)に差異がある。下唇は、上唇よりも堅く、男性の唇は女性の唇よりも堅い(Ho,TP,Azar,K,Weinstein,and Wallace,WB.”Physical Properties of Human Lips:Experimental Theoretical Analysis”,1982.J.Biomechanics.15:859−866)。本発明は、生体材料が設置される組織をより厳密にシミュレートするレオロジー(tanδを含む)に処方することができる組成物に関して記述する。
【0055】
[0080]ヒト唇は、重層角化扁平上皮(皮膚の角質層と同様)によって被覆される疎性結合組織によって囲まれる骨格筋で主に構成される。下および上唇の堅さには差がある。多くの参考文献は、堅さと弾性を同等のものと見なす。唇組織が骨格筋と同様であれば、唇組織は有意な弾性を呈する。しかしながら、より高いtanδを有する組成物は、従来の技術インプラントの一般的な問題である、より少ない唇小結節に繋がる。任意のインプラントに対する組織応答は、インプラント材料の化学的組成物、物理的構成および生体力学的特徴を含む幾つかの要因に依存し、および宿主組織のミクロ環境の生体力学的力に依存する。増加した機械的応力下で組織に注入される従来の技術のCaHA/CMC組成物は、より少ない機械的応力下で組織に植え込まれる時よりも、より多くのコラーゲン組織(これは、特定の用途において望ましくない成長組織に繋がり得る)を生成する。この応答の一部は、インプラントの粘弾性に関連している。連続的な機械的応力下でのインプラントは、インプラントの粘弾性特性に依存して、異なって反応するであろう。より高粘弾性のインプラント(低tanδ)は、より低い粘度への剪断菲薄化を連続的に起こし
、初期のより高い粘度へ「反跳」するであろう。インプラント力学のこの連続的な変化は、より多くの粘着性レオロジー(より高いtanδ)を呈するインプラントよりも、より活性となり、かつ多くのコラーゲンを生成するように宿主細胞を「スイッチオンさせる」またはそれに信号を送り得る。より粘性のインプラントは、より粘弾性のインプラントと比較して、同じレベルの機械的流動を起こさないであろう。
【0056】
[0081]従来の技術の組成物に対して、濃いコラーゲン材料は、個々の粒子を被包することが観察されている。インプラントは、筋束(筋束が、離れて押圧されたように見える)間で連続塊を形成し、粒子は、粒子間を統合する菲薄化コラーゲンユニットを持つ厚い線維輪によって囲まれる。対照的に、コラーゲン統合が、粒子間の連続織のように見え、個々の粒子の周りの厚いカプセルのようではないことが、真皮および粘膜領域で観察されている。個々の粒子の周りのこの厚いコラーゲン材料は、唇小結節生検で観察されたものと同様である。この被包は、唇筋肉における連続的な生体力学的力、材料の弾性および粘着性、ならびに筋束間の蓄積に関連している可能性がある。
【0057】
[0082]したがって、本発明の範囲を限定するものではないが、より高いtanδを有する組成物は、CaHA粒子周囲の過剰な線維組織から生じる、早期の小結節(明らかに、CMCを貪食および除去することに対する初期の炎症反応および異物反応と関係があるもの)および後期の小結節の発生率を減少させ得る。弾性がより低く、より低粘度の組成物は、宿主細胞に信号を送る生体力学的運動を減少させながら、より円滑な流動およびより押し込み可能なインプラントを提供することができるため、それによって、小結節がより少ない結果となる。
【0058】
[0083]基礎のインプラント製品および選択的にCaHAのようなセラミック等の充填材料の使用に加えて、患者の病状の治療に医学的に有用なあらゆる物質を、混合工程におけるあらゆるステップでインプラント組成物に添加することができる。そのような物質は、アミノ酸、ペプチド、ビタミン、タンパク質合成のための補助因子、ホルモン、内分泌組織または組織断片、シンセサイザー、血管新生薬およびそのような薬を含有するポリマー担体、コラーゲン格子、生体適合性界面活性剤、抗原、細胞骨格剤、軟骨断片、軟骨細胞等の生細胞、骨髄細胞、間葉系幹細胞、天然抽出物、形質転換増殖因子(TGF−beta)、インスリン様成長因子(IGF−1)、ソマトトロピン等の成長ホルモン、フィブロネクチン、細胞誘引剤ならびに付着剤を含む。加えて、ゲルへのリドカインおよび他の麻酔薬の添加は、0.1重量%から5重量%、好ましくは、0.3重量%〜2.0重量%、および最も好ましくは0.2重量%〜0.5重量%の範囲内にある。
【0059】
好適な実施形態の製造
[0084]インプラント材料の適切な設計および製造を行うため、レオロジーパラメータを選択的に確立して、特定の組織部位を標的とするインプラント製品を得る。この工程を詳細に記述するために、図3を参照して、段階的に方法を説明する。第1のステップ100において、植え込みのための特定の組織部位を選択する。例えば、組織部位は、唇組織、真皮および筋肉組織等のより硬い組織を含むことができる。組織部位は、ある範囲にわたる応力に対するそれらのレオロジー応答によって特性化することができる。図4に示すような唇組織には、活性の3つの領域がある。初期の小さい応力(0.1Hz)に対する領域1において、位相角度は、材料が弾性または筋肉様(0から5の範囲)であり、性状において線形であることを示す。より大きな初期の位相角度ほど、筋肉/組織相互作用の性状を支配しないか、または組織(真皮等)をより軟化させる。領域2において、応力の一般的増加は、制限された位相角度変更をもたらす。筋肉収縮は、筋肉の弾性性状を支配せず、筋肉組織弾性限界を超過しない。領域3において、応力の全般的増加は、位相角度変化をもたらす。応力は、筋肉組織限界の弾性性状を支配し始める。応力に対する生理的に関連する範囲は、0.1Hzから10Hzである。唇における皮膚の充填用途を至
適化するには、筋肉および球根状の軟組織の移動を考慮する必要がある。唇形態は、軟組織との筋肉相互作用によって主に方向付けられる。唇収縮は、小さい筋肉群、つまり多平面および次元における組織結節によって制御される。したがって、Hpに対する皮膚の充填材は、最も好ましくは粘弾性であるべきである。材料は、小応力下で粘性であり、徐々に弾性となるべきである。弾性性状は、材料を植え込まれた場所に留めるために必須である。G’&G”に対する振幅は、同様のECM多糖の生理的範囲内にあるべきであり(Fung YC,1993”Biomechanics:Mechanical Properties of Living Tissue”,Second Edition,Springer−Verlog,New York,NYを参照)、10cpsから300cpsの範囲であり得る。これを下記の表6に要約する。
【0060】
【表6】
【0061】
[0085]G’およびG”値の範囲を維持するか、またはより近い近似値を求める材料が好適であろう。好適な実施形態は、あらゆる従来の製品よりも、正常の生理的応答に大幅に類似する応答を実証する。
【0062】
[0086]第2のステップ110において、選択した組織部位のレオロジー特性を決定し、これらのレオロジー特性の適切な限界を確立すべきである。その結果として、データは、その使用時に組織レオロジーおよび挙動の範囲を画定するように累積されなければならない(直接的な実験により、または既報のデータの参照により)。
【0063】
[0087]次のステップ120において、インプラント材料システムを特定し、概して、所望のレオロジーを達成して、化学的分解または位相分離を回避するために、幾つかの要件を充足させることが重要である。最初に、体内に良好な化学的安定性を確立することができる多糖ベースのゲルを選択することが望ましい。加えて、ゲルは、緩衝液および潤滑剤と組み合わせ、体内組織使用のパラメータ全体への許容可能なレオロジー挙動でインプラントの生成を可能とするように、適切に滅菌することができる。そのような好適なシステムの例は、NaCMC多糖ゲル、PBS等の緩衝液、およびグリセリン等の潤滑剤を含む。複合体材料は、滅菌時に約22以上からおよび最も好ましくは約24から33のFo値を達成し、これは、約10−6滅菌性の値を提供する。インプラント粘度対Foを図5に示す。
【0064】
[0088]また、他のインプラント成分も有用であり、最も好ましくは、セルロース/澱粉、キチンおよびキトサン、ヒアルロン酸、疎水性物質修飾系、アルギン酸、カラゲナン、寒天、アガロース、分子内複合体、オリゴ糖ならびに大環状系等の上述した他の多糖を含む。加えて、限定されないがグリシン、クエン酸、および炭酸等の任意の生理的に許容可能な緩衝液を用いることができる。また、例えば、限定されないがミネラルオイルおよび複合体脂肪酸等の潤滑剤も用いることができる。これらの全ての成分は、特定の組織部位の使用範囲にわたって処方されたレオロジーパラメータの達成を可能にする、以降に記載する厳密な製造基準を適用することによって調整しなければならない。
【0065】
[0089]次のステップ130において、選択したインプラント材料の化学的パラメ
ータを、比較的広範囲のレオロジー挙動を達成させるように変化させる。これらの化学的パラメータは、下流解析工程が、多数の可能性の中から全ての有用な化学的組成物を確実に特定することができるように、そのような適度に広い範囲を網羅するように選択する。以降に記述および図示されるように、この広い一連の化学的値は、化学的特徴が、選択したレシピエント組織部位に適合されたレオロジー挙動を有するインプラント材料にマッピングする、メリットのある位相ゾーンまたは領域の分析的単離を可能にする。
【0066】
[0090]上述のように、従来の技術のインプラント製品には、重大な欠陥がある。例えば、唇組織のためのある種類の多糖ゲルベースのインプラントにおいて、インプラントは、化学反応を起こす傾向があるか、または位相分離が発生し、唇組織に不規則な凹凸の外見を生じさせる小結節の蓄積を引き起こす。以下に示すようなこれらの既知の製品および他の既知の製品は、メリットのある適切なレオロジー位相ゾーンまたは領域外である。既知のインプラントは、生理的に関連する範囲(応力に対して約0.1〜10Hz)にわたって粘性挙動を示さないため、G”=G’またはtanδ>1をクロスオーバーしない。従来の技術のインプラントは、より濃く(つまり、より粘着性)、体が、材料を異質なヒアルロン酸としてますます認識するにつれてさらなる炎症反応を生じさせる。従来の技術製品のさらに別の実施形態においては、材料は、欠陥インプラントに繋がるクロスオーバーしないG’およびG”プロットを有する高度に架橋されたヒアルロン酸またはヒアルロン酸粒子に基づいている。
【0067】
[0091]化学的パラメータの特定および広範な化学的インプラント値の選択を含むステップ130の後、ステップ140において、試験製品検体を、広い範囲にわたって調製し、それらのレオロジー性状を決定する。レオロジー値のマトリックスは、関心対象となる体内組織可変範囲にわたる、周波数の関数としての周波数応答(位相角度として登録)、弾性係数G’、粘度係数G”、tanδ(G’/G”)および粘度を含む。次いで、材料組成物間の比較分析を、以降に記載する方法によって、メリットのある位相領域を単離するために行うことができる。
【0068】
[0092]上述のように、化学変数の十分なマトリックスに対して実験データを取得しし、最終レオロジーパラメータが決定された。種々の実験データならびに所望のレオロジーを満たすための境界線のレオロジー輪郭および数学的記述を、以下の実施例19に記載する。データは、CMC濃度、グリセリン濃度、リン酸緩衝液濃度およびFo値の4つの基本入力を使用して処理した。幾つかの代表的なインプラント製品に対するFoの変動を図5に示す。後述し、幾つかの図に示されたこれらの複雑な計算を行う際に、121℃滅菌サイクルを使用して、Foを約22および33のエンドポイントで設定したが、他の温度および時間は、同じFo値を達成するために使用することができ、他の全ての化学変数の効果を決定して、適切な標的レオロジー特性または所与の組織インプラント部位に対する特性に、化学変数をマッピングさせることができる。概して、材料の滅菌は、製品への10−6滅菌性要求を確実にするように、特定のFoを到達させる必要があることが理解される。滅菌時間および温度の異なる組み合わせの使用を、滅菌工程を至適化するために、Getinge Ab,Swedenオートクレーブにおいて試験した。材料を、3分、6分、12分、および30分間の運転サイクルで、121℃でオートクレーブした。滅菌プログラムは、それぞれ22、25、28および33に等しい滅菌有効性(Fo)を有し、10−6滅菌性が達成された。材料を、4分、7.5分、および11分間の運転サイクルで、124℃でオートクレーブした。滅菌プログラムは、それぞれ26、36、46に等しい滅菌有効性(Fo)を有した。材料を、0.5分、1.5分、および3分間の運転サイクルで、127℃でオートクレーブした。滅菌プログラムは、それぞれ42、49、57に等しい滅菌有効性(Fo)を有した。
【0069】
[0093]また、製造方法において使用されるレオロジーパラメータの変動は、所望
のインプラントレオロジーを達成するために使用される分析方法に組み入れることもできる。例えば、tanδ=G”/G’およびそのような相互関係は、レオロジーパラメータの第3の変数の影響を決定するための、3つのパラメータのうちの2つについての与えられた知識等の、分析の単純化を可能にすることができる。上で言及したように、選択した組織インプラント部位に対する特定の関心対象となるレオロジーパラメータのサブセットがあり得、したがって、上記の全てのレオロジーパラメータ値を得る必要がない場合がある。加えて、1つ以上のレオロジーパラメータは、1つ以上の製造変数(例えば、多糖ゲルの含有量、緩衝液濃度、オートクレーブFo値および潤滑剤含有量)の変動に実質的に影響を受け得ない。これは、次いで、組織に対する特定の1つ以上のレオロジー特性への製品マッピングの調製を可能にするであろう。
【0070】
[0094]図6の次のステップ150において、分析方法が、所望のレオロジー位相ゾーンにマッピングさせることが必要とされる正確な化学変数を特定するために使用され、特定の組織部位に対するレオロジー的に一致したインプラント製品を達成する。上述したように、好適な実施形態においては、滅菌は、商業的に許容可能な10−6滅菌性状態を達成するために、特定の範囲のFoで行なわれた。さらに、Fo値を、冷却段階の開始まで全ての処置で直線的に増加させた。累積Fo曲線への異なる滅菌温度の主な効果は、滅菌温度の増加とともに、曲線の傾斜において増加した(図5参照)。また、薬局方において通常提案されるものよりも高い滅菌温度を使用して、したがって、工程時間を短縮させることも可能である。この滅菌工程は、好ましくは、約22から少なくとも約33のFo値範囲に相当し、また、これらの値は、ポリマー鎖分解度の変化、ならびに所望の滅菌性を達成することにも関連する。しかしながら、ポリマー鎖のこの分解は、レオロジーパラメータへの影響に繋がり、最も好適な実施形態においては、24〜33の範囲が、インプラント製品が、組織インプラント部位で良好に行うために必要なレオロジー値を有する、メリットのある適切なレオロジー位相ゾーンまたは領域を確立するように、全ての残りの調製変数に関して特性付けられた。また、この手法は、より高いFo値の効果を決定するために容易に拡張することもできる。
【0071】
[0095]このステップ150において、適切なインプラント化学特性を特定するデータ分析のための好適な一手法が、厳密なモデル化手順を行うための、各データ点と関連する一連の化学値を使用して行なわれる。さらなる詳細は、実施例20に記載する。また、この実施形態は、CMC濃度、グリセリン濃度、リン酸緩衝液濃度およびFo値の4つの入力を使用することによる、スクリーニングモデルとしても説明することができる。例えば、CMCは、0.1%単位で2.3重量%から2.9重量%の間で変化し、グリセリン含有量は、1.5重量%に設定し、緩衝液は、0.M、25mMおよび100mM濃度に設定した。次いで、モデルは、実施例19で説明するような2つの別々のTaguchiアレイスクリーニングモデルを使用して遂行した。
【0072】
JMP7.0プルダウンメニューを使用し、以下のパスをSAS JMPバージョン2.0ソフトウェアにおいて使用した。
【0073】
Open Data set/Analyze/fit model/
【0074】
Fo、CMC濃度(%CMC)、グリセリン濃度(%Gly)、PBS濃度(XmM)をハイライトしてモデル入力を選択。
【0075】
マクロを使用し、入力に対する全ての相互作用を得るためにスクリーニングを選択および/または実行させる
モデル回帰にふさわしい線形最小二乗法を使用
レポートフォーマットのため、スクリーニング実行を使用
モデルの実行:線形最小二乗法下で(出力のグラフ化オプション)
予測プロファイラーをハイライトして、入力相互作用を図式化。
【0076】
仕様限界を設定するプルダウンメニューを使用−任意
最適化は、使用する仕様限界に基づく。
【0077】
望ましさは、条件が、入力条件の仕様をどれだけうまく満たすかの望ましさに基づいた単位なしのパラメータである。望ましさは、データセットの各条件に対して計算され得る。望ましさのグラフ化は、仕様を満たす全ての条件のグラフ表示を可能にする。
【0078】
輪郭プロファイラーをハイライトして、2D入力を図式化/相互作用に応答。
【0079】
表面プロファイラーをハイライトして、3D入力を図式化/相互作用に応答。
【0080】
2つの変数に基づいた2Dグラフ化の逐次反復は、自己制御式出力関数の反復検査を可能にする。これは、包括的なエクササイズであり、限定条件プロットのみを表す。この評価の下、滅菌時間は、12から25分(Fo22から33)の限定であることが分かった。
【0081】
[0096]次いで、Foの限界値を、各出力に対するスクリーニングモデル輪郭からの予測式を使用して、予測モデルの展開に取り込んだ。スクリーニングモデルは、CMC濃度(CMC%)、グリセリン濃度(グリセリン%)、リン酸緩衝液濃度(mM)およびオートクレーブ時間の4つの入力に基づいて展開した。CMC濃度(CMC%)は、0.1%w/v単位で、2.3%w/vから2.9%w/vの間で変化させた。グリセリン濃度(グリセリン%)は、0%w/v、1.0%w/vおよび1.5%w/vを保持した。緩衝液濃度(mM)は、0、25mM、50mMおよび100mM濃度と変化させた。これにより、420の相互作用条件を有する完全な要因設計が生成される。予測式を完全な要因設計に入力した。レオロジー出力は、スクリーニングモデル予測式に基づいて計算した。添付IIを参照。再び、データは、予測プロファイル、3次元(「3D」)表面輪郭プロットを生成するために、図6のステップに従って、SAS JMPバージョン7.0統計ソフトウェアを使用することによって分析した(例えば、図7B(i)〜7B(viii)を参照されたい。この予測モデルは、より多くのデータポイントをモデル記述に組み入れて、本モデルに対する統計的強度を提供する。さらなる詳細は、実施例19に記載する。
【0082】
[0097]再び、前述したように、SAS JMPバージョン7.0統計的ソフトウェアを使用することによる分析は、有用な次元(「3D」)輪郭プロットを提供する(例えば、図7B(i)〜7B(viii)、図7Cおよび図9A(i)〜9A(ix)も参照されたい)。また、他の適切な従来の統計的分析ソフトウェアも、この一種類の手法において使用して、試験製品試料からの基本の化学的パラメータデータを分析することもできる。この手法により、インプラント/組織制約に基づいて、3D表面の形成を可能にするデータ適合およびメリットのある位相領域を特定するための線適合を生成して、レオロジー挙動の3次元プロットならびに事前設定の所望のレオロジー条件および特性を満たすように、それらのレオロジーパラメータの最小および最大範囲の選択を判定することができる。また、下記の実施例19は、境界線および輪郭を画定する方程式の詳細も提供する。
【0083】
[0098]インプラント製品に対するレオロジー変数の判断基準に関して、実施例19は、唇組織におけるインプラント用途のためのものであり、(1)G’およびG”挙動は、唇組織の間質細胞外マトリックスが、レオロジー範囲を特定することができるヒアル
ロン酸多糖を含むため、所望の特性にマッピングするように好ましくは、約0から300pasの範囲内にあるべきであり、それらのプロットは、唇組織機能性と一致する約0.5から4Hzの生理的に関連する周波数でクロスオーバーすべきであり、ならびに(2)粘度は、同じ生理的に関連する応力範囲のために、約0から300,000cpsであるべきである。tanδは、低応力条件に対して1より大きくあるべきであり、材料に固有な粘性性質を示し、応力が増加するにつれてtanδは、減少し、唇の弾性挙動、組織結節性特性を示す。位相または偏向角度は、0.1Hzから4Hzの応力範囲にわたって約5から110であるべきである。SAS分析方は、以下のレオロジー評価パラメータを満たすレオロジー変数プロットのファミリーを生成した。これは表7に要約することができる。
【0084】
【表7】
【0085】
[0099]次のステップ160において、数学的挙動を有する線は、条件が満たされたレオロジー変数の1つ1つに対する一連の特定された座位の一部である。これらは、隣接した暗いゾーンから許容可能な白いゾーンを分離させる線として図7に示す。上に記載されるように、実施例19は、分析および数学的記述のさらなる詳細を提供する。また、
ステップ170において、メリットのある位相ゾーンを特定することができ、これは、多数のレオロジーパラメータ限界が全て満たされた図7Cにおける白いゾーンである。これにより、メリットのある位相ゾーンの標的インプラント製品が確立される。一部の場合において、上述のように、インプラント組織要件を満たす化学的特徴を特定するために、「メリットのある領域」を定義するにはレオロジーパラメータのうちの1つのみを使用することが必要である。適切な性能またはメリットのこれらのレオロジー座位およびメリットのある標的レオロジー位相ゾーンも描写する多数の実施例を、以下に記載する。実施例は、特に、唇組織植え込みに関するが、他の組織レオロジーの知識を考慮して、既知のレオロジーパラメータを有するあらゆる組織部位に、本明細書に記述した手法を使用することができる。統計的方法は、例えばモンテカルロ計算を含む、先述のSAS既製ソフトウェア形式によって遂行され、これは、分析の一部であり、図3の統計的分析フローチャートに示す。
【0086】
[0100]別の実施形態においては、ステップ160および170に基づいた強化は、化学変数に関連してレオロジー変数の適応性および機能性を確立するように実施することができる。これは、至適な化学変数対レオロジー出力のプロットを形成するために、スクリーニングモデル最小二乗回帰でレオロジーパラメータの1つ以上の入力を使用して、予測的プロファイラー数学的モデルを生成するステップ180により達成することができる。図8は、2つの化学変数に応じてレオロジーパラメータのうちの1つを選択するステップ150のスクリーニングモデルを実施するステップ181における予測的プロファイラーのステップを示す。この分析から、SASソフトウェアは、ステップ182において、レオロジーパラメータ対2つの化学変数(例えば、図9A(i))〜9A(ix)参照)の3D輪郭を生成することができる。次のステップ183において、平面横断面が、化学変数(図9A(ii)参照)のうちの1つの設定値で取られる。次のステップ184において、レオロジー関数の輪郭を有する平面交差は、選択した変数に対するこれらの種々の線のマトリックスを確立する(所与のパラメータに対するレオロジー輪郭中のこれらの種々の線のマトリックスについては、図9Bを参照)。ステップ185において、化学変数に対するレオロジーパラメータの感受性の知識は、化学特性(図9Bの種々のプロットを参照)の制御を可能にする。次いで、これらの予測プロファイルは、どのように、ある化学変数入力の変化が、他の変数が一定に保たれる際、特定のレオロジー変数に極めて少ない影響しか与えず、一方で、他の化学変数が、その他の変数一定に保たれる際、レオロジー応答に対し非常に劇的な影響を与えるかを示す。例えば、図9Bに示すように、PBS化学変数は、選択したレオロジー出力において相当劇的な変化を生じさせる。それらの可変性(または、それが無いこと)は、所望の最終製品の製造を単純化させるか、または選択した組織インプラント部位に適したレオロジー位相ゾーンもしくは領域内の位置の知識との併用で、所与のレオロジー変数の最終値をさらに達成するために使用することができる。上に記載されるように、輪郭および線を説明するために、SASソフトウェアによって作成された数学的方程式のさらなる詳細は、実施例19にて特徴付けられ、ソフトウェアのグラフ化スクリプトによって実行される。
【0087】
[0101]ステップ190の別の手順において、「望ましさ」尺度または領域は、必要な出力範囲を満たすそれらの条件のみにモデルを制限することにより、入力データおよびレオロジーパラメータを分析することによって決定することができる。望ましさは、試験条件が仕様を満たすかどうか、およびどの程度までかを評価する指標である。0未満のそれらの値は、許容可能な材料に対する判断基準のうちの1つまたは全てを満たすことができない。したがって、それらは、3Dプロットに含まれない。プラスの望ましさを有する変数の全ての他の組み合わせは、ある相対的に異なる程度で仕様目標を満たす。望ましさの閾値条件は、この場合に取得可能な予測的至適として(一条件も全ての出力を至適化しないため)0.5に制限した。モデル強度は、実験データの量を増加させることによってさらに増強することができる。これは、全ての可能な条件の、より多くの反復実行とい
う、総当たりの方法を通じて行うことができ、またはこの場合においては、統計的SAS
JMPバージョン7.0は、許容可能な材料の程度を無限に制限するためにモンテカルロシミュレーションを含み、したがって、許容可能な領域の表面を画定した。望ましさに対する閾値限界は、通常の変動をモンテカルロシミュレーションに含めたため、モデルシミュレーションにおいて信頼度を許容するように0.15で確立した。
【0088】
[0102]上に記載した方法および製品は、複数の特定のタイプの患者のうちのいずれか1人の組織に対するレオロジーデータのデータベースを確立する供給者によって実施することができ、供給者は、次いで、どの製品が、特定の組織に対する適合性要件を満たすのかを決定するために、インプラント製品およびそれらの関連するレオロジー特性を策定することができる。したがって、メリットのある上述の領域およびまた望ましさプロットは、適切な製品を定義することに役立ち得る。
【0089】
[0103]そのような「望ましさ」分析の実施例は、以下の図31A〜31Fに提供する。
【0090】
[0104]以下の制限されない実施例は、本発明の種々の態様を例証する。
【実施例1】
【0091】
滅菌水中の2.3%CMCナトリウムゲルの調製
[0105]カルボキシルメチルセルロースナトリウムを、注入のための滅菌水中で調製し、水酸化カリウムを使用して、約7.1から約8.0のpHに調整した。分散物を、26mmHg以上で真空を保持しながら、1725RPMの軌道Rossミキサー中で5分間混合し、次いで、1725RPMの軌道Rossミキサー中で40分間混合した。次いで、組成物を121℃で3分から30分の時間の間蒸気消毒した。加えて、一試料を、121℃で3分から30分の時間間隔の間滅菌した。結果を図10に示し、G’は弾性係数を表し、G”は粘度係数を表し、およびηは複素粘度を表す。プロファイルは、G’およびG”が0.495Hz(3.2ラド/秒)で交差することを示す。この周波数を超えると、組成物は、非ニュートン溶液特徴を呈する(tanδ<1.0)。
【実施例2】
【0092】
滅菌水中の2.4%CMCナトリウムゲルの調製
[0106]カルボキシルメチルセルロースナトリウムを、注入のための滅菌水中で調製し、水酸化カリウムを使用して、約7.1から約8.0のpHに調整した。分散物は、26mmHg以上で真空を保持しながら、1725RPMの軌道Rossミキサー中で5分間混合し、次いで、1725RPMの軌道Rossミキサー中で40分間混合した。次いで、組成物を121℃で3分から30分の時間の間蒸気消毒した。加えて、一試料を、121℃で3分から30分の時間間隔の間滅菌させた。結果を図11に示し、G’は弾性係数を表し、G”は粘度係数を表し、およびηは複素粘度を表す。プロファイルは、G’およびG”が、0299Hz(1.8ラド/秒)(図1に示すものより低い周波数)で交差することを示す。この周波数を超えると、組成物は、非ニュートン溶液特徴を呈する(tanδ<1.0)。
【実施例3】
【0093】
滅菌水中の2.5%CMCナトリウムゲルの調製
[0107]カルボキシルメチルセルロースナトリウムを、注入のための滅菌水中で調製し、水酸化カリウムを使用して、約7.1から約8.0のpHに調整した。分散物は、26mmHg以上で真空を保持しながら、1725RPMの軌道Rossミキサー中で5分間混合し、次いで、1725RPMの軌道Rossミキサー中で40分間混合した。次いで、組成物を121℃で12分から30分の時間の間蒸気消毒した。加えて、一試料を
、121℃で3分から12分の時間間隔の間滅菌させた。結果を図12に示し、G’は弾性係数を表し、G”は粘度係数を表し、およびηは複素粘度を表す。プロファイルは、G’およびG”が、図10および11に示すものと比べて、0.157Hz(1ラド/秒)周波数で交差することを示す。この周波数を超えると、組成物は、非ニュートン溶液特徴を呈する(tanδ<1.0)。
【実施例4】
【0094】
滅菌水中の2.6%CMCナトリウムゲルの調製
[0108]カルボキシルメチルセルロースナトリウムを、注入のための滅菌水中で調製し、水酸化カリウムを使用して、約7.1から約8.0のpHに調整した。分散物は、26mmHg以上で真空を保持しながら、1725RPMの軌道Rossミキサー中で5分間混合し、次いで、1725RPMの軌道Rossミキサー中で40分間混合した。次いで、組成物を121℃で12分から30分の時間の間蒸気消毒した。加えて、一試料を、121℃で3分から12分の時間間隔の間滅菌させた。結果を図13に示し、G’は弾性係数を表し、G”は粘度係数を表し、およびηは複素粘度を表す。プロファイルは、G’およびG”が、0.164Hz(1.03ラド/秒)で交差することを示す。この周波数を超えると、組成物は、非ニュートン溶液特徴を呈する(tanδ<1.0)。
【実施例5】
【0095】
リン酸カリウム緩衝液中の2.3%CMCナトリウムゲルの調製
[0109]カルボキシルメチルセルロースナトリウムを、滅菌25mMから100mMリン酸カリウム緩衝液pH中で調製し、水酸化カリウムを使用して、約7.2から約8.0のpHに調整した。分散物は、26mmHg以上で真空を保持しながら、1725RPMの軌道Rossミキサー中で5分間混合し、次いで、1725RPMの軌道Rossミキサー中で40分間混合した。次いで、組成物を121℃で3分から12分の時間の間蒸気消毒した。加えて、一試料を、121℃で3分から12分の時間間隔の間滅菌させた。結果を図14に示し、G’は弾性係数を表し、G”は粘度係数を表し、およびηは複素粘度を表す。プロファイルは、G’およびG”が、2.401Hz(15ラド/秒)(図13に示すものと同様)で交差することを示す。この周波数を超えると、組成物は、非ニュートン溶液特徴を呈する(tanδ<1.0)。
【実施例6】
【0096】
リン酸カリウム緩衝液中の2.4%CMCナトリウムゲルの調製
[0110]カルボキシルメチルセルロースナトリウムを、滅菌25mMから100mMリン酸カリウム緩衝液pH中で調製し、水酸化カリウムを使用して、約7.2から約8.0のpHに調整した。分散物は、26mmHg以上で真空を保持しながら、1725RPMの軌道Rossミキサー中で5分間混合し、次いで、1725RPMの軌道Rossミキサー中で40分間混合した。次いで、組成物を121℃で3分から12分の時間の間蒸気消毒した。加えて、一試料を、121℃で3分から12分の時間間隔の間滅菌させた。結果を図15に示し、G’は弾性係数を表し、G”は粘度係数を表し、およびηは複素粘度を表す。プロファイルは、G’およびG”が、1.56Hz.(9.8ラド/秒)で交差することを示す。この周波数を超えると、組成物は、非ニュートン溶液特徴を呈する(tanδ<1.0)。
【実施例7】
【0097】
リン酸カリウム緩衝液中の2.5%CMCナトリウムゲルの調製
[0111]カルボキシルメチルセルロースナトリウムは、滅菌25mMから100mMリン酸カリウム緩衝液pH中で調製し、水酸化カリウムを使用して、約7.2から約8.0のpHに調整した。分散物は、26mmHg以上で真空を保持しながら、1725RPMの軌道Rossミキサー中で5分間混合し、次いで、1725RPMの軌道Ross
ミキサー中で40分間混合した。次いで、組成物を121℃で3分から12分の時間の間蒸気消毒した。加えて、一試料を、121℃で3分から12分の時間間隔の間滅菌させた。結果を図16に示し、G’は弾性係数を表し、G”は粘度係数を表し、およびηは複素粘度を表す。プロファイルは、G’およびG”が、4.54Hz(28.5ラド/秒)で交差することを示す。この周波数を超えると、組成物は、非ニュートン溶液特徴を呈する(tanδ<1.0)。
【実施例8】
【0098】
リン酸カリウム緩衝液中の2.6%CMCナトリウムゲルの調製
[0112]カルボキシルメチルセルロースナトリウムは、滅菌25mMから100mMリン酸カリウム緩衝液pH中で調製し、水酸化カリウムを使用して、約7.2から約8.0のpHに調整した。分散物は、26mmHg以上で真空を保持しながら、1725RPMの軌道Rossミキサー中で5分間混合し、次いで、1725RPMの軌道Rossミキサー中で40分間混合した。次いで、組成物を121℃で3分から12分の時間の間蒸気消毒した。加えて、一試料を、121℃で3分から12分の時間間隔の間滅菌させた。結果を図17に示し、G’は弾性係数を表し、G”は粘度係数を表し、およびηは複素粘度を表す。プロファイルは、G’およびG”が、3.61(22.7ラド/秒)Hzで交差することを示す。この周波数を超えると、組成物は、非ニュートン溶液特徴を呈する(tanδ<1.0)。
【実施例9】
【0099】
リン酸カリウム緩衝液中の2.7%CMCナトリウムゲルの調製
[0113]カルボキシルメチルセルロースナトリウムを、滅菌25mMから100mMリン酸カリウム緩衝液pH中で調製し、水酸化カリウムを使用して、約7.2から約8.0のpHに調整した。分散物は、26mmHg以上で真空を保持しながら、1725RPMの軌道Rossミキサー中で5分間混合し、次いで、1725RPMの軌道Rossミキサー中で40分間混合した。次いで、組成物を121℃で3分から12分の時間の間蒸気消毒した。加えて、一試料を、121℃で3分から12分の時間間隔の間滅菌させた。結果を図18に示し、G’は弾性係数を表し、G”は粘度係数を表し、およびηは複素粘度を表す。プロファイルは、G’およびG”が、3.49Hz(21.9ラド/秒)で交差することを示す。この周波数を超えると、組成物は、非ニュートン溶液特徴を呈する(tanδ<1.0)。このCMCナトリウム濃度(2.7%)で、交差は、図16(2.5%CMC)に示すものよりも低い周波数に移行する、組成物は、依然としてニュートン流体特徴を呈する。
【実施例10】
【0100】
リン酸カリウム緩衝液中の2.8%CMCナトリウムゲルの調製
[0114]カルボキシルメチルセルロースナトリウムを、滅菌25mMから100mMリン酸カリウム緩衝液pH中で調製し、水酸化カリウムを使用して、約7.2から約8.0のpHに調整した。分散物は、26mmHg以上で真空を保持しながら、1725RPMの軌道Rossミキサー中で5分間混合し、次いで、1725RPMの軌道Rossミキサー中で40分間混合した。次いで、組成物を121℃で3分から12分の時間の間蒸気消毒した。加えて、一試料を、121℃で3分から12分の時間間隔の間滅菌させた。結果を図19に示し、G’は弾性係数を表し、G”は粘度係数を表し、およびηは複素粘度を表す。プロファイルは、G’およびG”が、4.88Hz(30.7ラド/秒)で交差することを示す。この周波数を超えると、組成物は、非ニュートン溶液特徴を呈する(tanδ<1.0)。交差は最上位周波数で発生するため、この組成物は、ほぼ全ての周波数でニュートン特徴を呈する。
【実施例11】
【0101】
リン酸カリウム緩衝液およびグリセリン中の2.6%CMCナトリウムゲルの調製
[0115]カルボキシルメチルセルロースナトリウムを、滅菌25mMから100mMリン酸カリウム緩衝液pH中で調製し、水酸化カリウムを使用し、および最大1%グリセリンを含有させて、約7.2から約8.0のpHに調整した。分散物は、26mmHg以上で真空を保持しながら、1725RPMの軌道Rossミキサー中で5分間混合し、次いで、1725RPMの軌道Rossミキサー中で40分間混合した。次いで、組成物を121℃で3分から12分の時間の間蒸気消毒した。加えて、一試料を、121℃で3分から12分の時間間隔の間滅菌させた。結果を図20に示し、G’は弾性係数を表し、G”は粘度係数を表し、およびηは複素粘度を表す。プロファイルは、G’およびG”が、1.254Hz(7.8ラド/秒)で交差することを示す。この周波数を超えると、組成物は、非ニュートン溶液特徴を呈する(tanδ<1.0)。リン酸カリウム中CMCナトリウムゲルへのグリセリンの添加は、組成物のレオロジーに有意な影響を及ぼし、約1.0より高い周波数で、それを、ニュートン流体から非ニュートン流体にそれを本質的に変化させる。
【実施例12】
【0102】
リン酸カリウム緩衝液およびグリセリン中の2.7%CMCナトリウムゲルの調製
[0116]カルボキシルメチルセルロースナトリウムを、滅菌25mMから100mMリン酸カリウム緩衝液pH中で調製し、水酸化カリウムを使用し、および最大1%グリセリンを含有させて、約7.2から約8.0のpHに調整した。分散物は、26mmHg以上で真空を保持しながら、1725RPMの軌道Rossミキサー中で5分間混合し、次いで、1725RPMの軌道Rossミキサー中で40分間混合した。次いで、組成物を121℃で3分から12分の時間の間蒸気消毒した。加えて、一試料を、121℃で3分から12分の時間間隔の間滅菌させた。結果を図21に示し、G’は弾性係数を表し、G”は粘度係数を表し、およびηは複素粘度を表す。プロファイルは、G’およびG”が、1.158Hz(7.2ラド/秒)で交差することを示す。この周波数を超えると、組成物は、非ニュートン溶液特徴を呈する(tanδ<1.0)。リン酸カリウム中CMCナトリウムゲルへのグリセリンの添加は、組成物のレオロジーに有意な影響を及ぼし,約1.0より高い周波数で、それを、ニュートン流体から非ニュートン流体に本質的に変化させる。
【実施例13】
【0103】
リン酸カリウム緩衝液およびグリセリン中の2.8%CMCナトリウムゲルの調製
[0117]カルボキシルメチルセルロースナトリウムを、滅菌25mMから100mMリン酸カリウム緩衝液pH中で調製し、水酸化カリウムを使用し、および最大1%グリセリンを含有させて、約7.2から約8.0のpHに調整した。分散物は、26mmHg以上で真空を保持しながら、1725RPMの軌道Rossミキサー中で5分間混合し、次いで、1725RPMの軌道Rossミキサー中で40分間混合した。次いで、組成物を121℃で3分から12分の時間の間蒸気消毒した。加えて、一試料を、121℃で3分から12分の時間間隔の間滅菌させた。結果を図22に示し、G’は弾性係数を表し、G”は粘度係数を表し、およびηは複素粘度を表す。プロファイルは、G’およびG”が、0.914Hz(5.7ラド/秒)で交差することを示す。この周波数を超えると、組成物は、非ニュートン溶液特徴を呈する(tanδ<1.0)。リン酸カリウム中CMCナトリウムゲルへのグリセリンの添加は、組成物のレオロジーに有意な影響を及ぼし、約1.0より高い周波数で、それを、ニュートン流体から非ニュートン流体に本質的に変化させる。
【実施例14】
【0104】
リン酸カリウム緩衝液およびグリセリン中の2.9%CMCナトリウムゲルの調製
[0118]カルボキシルメチルセルロースナトリウムを、滅菌25mMから100m
Mリン酸カリウム緩衝液pH中で調製し、水酸化カリウムを使用し、および最大1%グリセリンを含有させて、約7.2から約8.0のpHに調整した。分散物は、26mmHg以上で真空を保持しながら、1725RPMの軌道Rossミキサー中で5分間混合し、次いで、1725RPMの軌道Rossミキサー中で40分間混合した。次いで、組成物を121℃で3分から12分の時間の間蒸気消毒した。加えて、一試料を、121℃で3分から12分の時間間隔の間滅菌させた。結果を図23に示し、G’は弾性係数を表し、G”は粘度係数を表し、およびηは複素粘度を表す。プロファイルは、G’およびG”が、1.065Hz(6.7ラド/秒)で交差することを示す。この周波数を超えると、組成物は、非ニュートン溶液特徴を呈する(tanδ<1.0)。リン酸カリウム中CMCナトリウムゲルへのグリセリンの添加は、組成物のレオロジーに有意な影響を及ぼし、約1.0より高い周波数で、それを、ニュートン流体から非ニュートン流体に本質的に変化させる。
【実施例15】
【0105】
1150C 焼結材料は、以下の材料および工程条件を含む。
【0106】
[0119]この実施例の材料は、30%から45%培地、2.6%から3.25%CMC、0から15%グリセリン、0mMから100mM PBSを有するインプラントを含んだ。
【0107】
[0120]CMC、緩衝液、グリセリンおよび培地を一緒に添加し、連続的および持続的真空下で、20分間から3時間遊星ミキサーで混合した。材料を、1ccシリンジに充填し、アルミ箔内に入れ、最後に、121Cで15分から30分間蒸気滅菌した。
【0108】
[0121]レオロジー評価を、30%から40%培地、2.6%CMCから3.25%CMC、1.5%から15%グリセリン、0から25mMで行った。その結果を図24〜28に示す。試験した材料およびそれらの特性の一部を下記の表Aにリストする。最初の列のインプラントは、従来の技術で教示される通りのものである。2番目の列のインプラントは、高移動度組織で用いる本発明の原理に従っている。3番目の列のインプラントも本発明の原理に従っているが、輪郭成形および充填が主な関心事である、より高いバルキングが必要な組織での利用のためのものである。
【0109】
【表8】
【0110】
[0122]図24は、剪断速度の変化に伴う材料ごとの粘度を示す。図25は、剪断速度の変化に伴う材料ごとの損失係数を示す。図26は、剪断速度の変化に伴う材料ごとの粘度係数を示す。図27は、剪断速度の変化に伴う材料ごとのtanδを例証する。
【0111】
[0123]材料は、剪断菲薄化である。ゲル担体内のゲル組成物濃度を変化させることは、より高い%粒子培地で他のレオロジー変数を模倣する可能性を与える。粒子の分解速度は、ゲルレオロジーの処方を介して操作することができる。粘度および弾性の記述的特徴は、ゲル組成物濃度を介して変化させる、または維持することができる。粘度係数G”および損失係数G’が低いほど、生理的組織研究と大きさが同様であり、さらに、従来の技術において以前に報告されていない生体適合性の向上が断言される。
【0112】
[0124]粒子の様々な濃度を有する様々なゲル組成物に対する弾性の時間依存性を図28に示す。2.6CMC:1.5%グリセリン担体中30%&40%固形対3.25%CMC:15%グリセリン担体中30%固形。材料は、組成物に起因する材料分解への時間依存性を示す。有する粒子がより少ない材料およびより低い粘度のゲルは、材料応力に抵抗する傾向がより低い。
【実施例16】
【0113】
グリセリンを有するアルギン酸/CMC担体は、1150℃で焼結させたCaHa粒子と組み合わせ、以下の構成物を含む(表B)。種々のアルギン酸型を試験し、アルギン酸の要約を以下の表Bに記載する。
【0114】
【表9】
【0115】
[0125]M087052は、30%培地、40mg/mlから100mg/mlアルギン酸、7.5mg/mlから12.5mg/ml、25mM PBS、および1.5%グリセリンで構成される。
【0116】
[0126]以下のアルギン酸/CMCゲル処方物(mg/mL)は、以下に詳述する工程を使用して調製した。
【0117】
[0127]アルギン酸/CMC、緩衝液、グリセリンを一緒に添加し、20分から3時間混合した。次いで、粒子を、容量で30%添加し、20分から3時間混合した。材料を、1ccシリンジに充填し、アルミ箔内に入れ、最後に、121℃で15分から30分間蒸気滅菌した。
【0118】
[0128]これらの材料に対するレオロジー評価を図29および30に示す。図29は、損失係数G’、弾性係数G”およびtanδ(GVG”)を例証する。図30は、粘度およびtanδ特性を示す。
【実施例17】
【0119】
[0129]アルギン酸(MVM、M=GまたはLVM−種々のアルギン酸/CMCゲルを調製し、以下の構成物および工程を含む。
【0120】
[0130]G094035:5mg/mlから100mg/mlアルギン酸(MVM、M=GまたはLVM(表B参照))、2.5mg/mlから50mg/ml CMC、25mM PBS、1.5%グリセリン。以下のアルギン酸/CMCゲル処方(mg/mL)は、以下の工程を使用して調製した。
【0121】
[0131]アルギン酸/CMC、緩衝液、グリセリンを一緒に添加し、軌道回転ミキサーまたは直接的なプロペラミキサーで20分から3時間混合した。材料を、1ccシリンジに充填し、アルミ箔内に入れ、最後に、121℃で15分から30分間蒸気滅菌した。
【実施例18】
【0122】
[0132]一実施形態において、インプラントは、喉頭組織における用途向けに設計し得る。表Cは、そのようなインプラントのためのパラメータを一覧にする。
【0123】
【表10】
【実施例19】
【0124】
[0133]予測モデルを、SAS JMPバージョン7.0統計的ソフトウェアを使用して展開した。予測モデルデータは、モデルの表面輪郭の数学的方程式であるスクリーニングモデルのグラフ化スクリプトを使用した。これらは、モデル出力をハイライトし、データスプレッドシートにモデル出力を保存することによって取得することができる。値により、試験したスクリーニングモデル入力に対するモデル出力を有するスクリーニングモデルが投入された。次いで、予測モデル式を、別々のスプレッドシートにエクスポートし、そこで、完全な要因モデル設計が展開された。一例において、例えば、スクリーニングモデルに基づいて、それぞれ滅菌(121℃)F0 22、25、28、および33の至適化されたパラメータを使用した。CMC濃度(CMC%)は、0.1%w/v単位で、2.3%w/vから2.9%w/v間で変化させた。グリセリン濃度(グリセリン%)は、0%w/v、1.0%w/vおよび1.5%w/vを保持した。緩衝液濃度(mM)は、0.25mM、50mMおよび100mM濃度と様々であった。モデルは、625の個々の実行を表すスクリーニングモデル予測式出力とともに投入された。次いで、これは、以前に行ったスクリーニングモデルへの同じ入力に基づいて、至適化された滅菌入力を使用する予測モデル全体を表す。次いで、モデルは、10000回の実行でのシミュレータ機能を使用して同じ出力パラメータにわたって再評価した。
【0125】
[0134]シミュレーションは、要因およびモデルノイズのランダムな変動の関数として、モデル出力の分布を決定することを可能にする。プロファイラーにおけるシミュレーション機能は、ランダムな入力を設定する方法およびシミュレーションを実行する方法を提供し、シミュレーションされた値のの出力表が生成される。この用途において、境界条件は、要因の変動に左右されないかどうかを決定するために、特定のレオロジーパラメータに適合された工程の欠陥率によって推定される。仕様が応答中に設定されたのであれば、それらは、シミュレーション出力に持ち越され、新しい要因設定を使用した刺激モデル変数の予測境界分析を可能にする。プロファイラー機能において、シミュレータ機能は、グラフィカルレイアウトに統合される。要因仕様は、各要因のプロファイルの下に整列される。シミュレーションヒストグラムは、応答ごとに図9Bの右側に示される。
【0126】
[0135]要因(入力)および応答(出力)は、プロファイラー内にあることによって既に役割を与えられる。シミュレータへの付加的な仕様は、乱数値を要因に割り当てること、およびランダムノイズを応答に加えることを含む。
【0127】
[0136]要因ごとの値の割り当ては重要である。ランダムプログラムは、指定の分布および分布パラメータで、要因に乱数値を割り当てる。
【0128】
[0137]正規切頂は、下限および上限によって制限された正規分布である。これらの制限を超過する任意のランダムな実現は破棄され、制限内の次の変量が選択される。これは、仕様限界を充足しない入力が破棄される、または送り返される検査システムをシミュレートするために使用される。
【0129】
[0138]Add Random Noise機能は、基準内の正規乱数を評価モデルに加えることによって応答を取得する。
【0130】
[0139]Defect Profiler機能は、各要因の孤立した関数としての欠陥率を示す。このコマンドは、後述のように、仕様限界が利用可能な時に有効である。
【0131】
[0140]Profiler機能は、プロファイルトレースを表示する。プロファイルトレースは、その他の変数が現在値で定数を保ちながらある変数が変化する予測応答である。プロファイラーは、プロファイルを再計算し、X変数の値が変化するにつれて、予測応答(リアルタイムで)を提供する。各X変数に対する垂直点線は、その現在値または現行設定を示す。
【0132】
[0141]各X変数に対して、要因名の上の値はその現在値である。
【0133】
[0142]水平の点線は、X変数の現在値に対する各Y変数の現行予測値を示す。
【0134】
[0143]図9Bのプロット内の黒線は、個々のX変数の現在値が変化した時に、予測値がどのように変化するかを示す。適合プラットフォームにおいて、予測値に対する95%信頼間隔は、予測トレース(連続的変数に対する)またはエラーバー(分類別変数に対する)の文脈の周囲の点で描いた青い曲線によって示す。
【0135】
[0144]次いで、プロファイラーは、1度に1つの変数を変更する方法および予測応答への効果を考察する方法である。
【0136】
[0145]予測プロファイルを解釈する時に留意する重要な点が幾つかある。
【0137】
[0146]1.因子の重要性は、予測トレースの傾きによってある程度評価することができる。モデルが曲率項(平方項等)を有するのであれば、トレースは曲線であり得る。
【0138】
[0147]2.因子の値を変更した場合、その予測トレースは影響を受けないが、全てのその他の因子の予測トレースが変更され得る。Y応答線は、それらの現在値線を有する予測トレースの交差点を交わらなければならない。
【0139】
[0148]3.注記:モデル内に相互作用効果またはクロス積効果があるのであれば、予測トレースは、他の項の現在値を変更するにつれて、それらの傾斜および曲率を変え得る。これが相互作用の意味である。相互作用効果がないのであれば、トレースは、傾斜または形ではなく高さのみを変更する。
【0140】
[0149]予測プロファイルは、多重応答モデルにおいて特に有用であり、どの因子の値が、一連の複雑な基準を最適化することができるかを判断するのに役立つ。
【0141】
[0150]プロファイラーは、高さおよび方向が、その現在値でプロファイル関数の導関数の値に相当する、三角形で表示した感受性指標とともに、連続的要因の予測トレース上の信頼バーを示す。これは、大きなプロファイルにおいて、感受性細胞を早急に発見
することができるのに有用である。
【0142】
[0151]ランダム要因表を作る第一の理由は、グラフィカルクエリーを使用して、多変量の方法で因子空間を検査することである。この技術は、フィルタードモンテカルロと称される。これは、所望の応答設定に対して所与の範囲を生成する、全ての因子設定の座位を可視化することができる。ふさわしくない点を選択および非表示することによって(グラフィカルブラッシングまたはデータフィルターを使用して)、残りの機会空間が所望される結果をもたらす。
【0143】
[0152]シミュレータは、モデルに対する因子および予測に加えられたランダムノイズを使用した、モンテカルロシミュレーションの生成を可能にする。応答が仕様限界外にある率を決定するために、固定因子を、ある範囲の設定にわたって設定し、乱数値に1標準偏差のモデルノイズを許容した。
【0144】
[0153]多くの場合、実験条件のセットごとに測定される多数の応答が存在し、結果の望ましさは、これらの応答の幾つかまたは全てに関連する。例えば、ある応答を最大化し、一方で、別の応答を最小化することができ、第3の応答をある目標値に近づけ続けることができる。望ましさプロファイリングにおいて、望ましさ関数は、応答ごとに指定する。全体的な望ましさは、応答ごとの望ましさの幾何平均として定義することができる。
【0145】
[0154]Desirabiltiy Profiler機能の構成要素および望ましさ関数設定の実施例を次に説明する。望ましさ関数は、制御点を適合するように作成された滑らかな区分的関数である。
【0146】
[0155]最小化および最大化関数は、指数尾部および立方中央部を有する3部から成る区分的に滑らかな関数である。
【0147】
[0156]標的関数は、標的(両側に異なる曲線を有する)の両側の正規密度のスケール倍数である、区分的関数であり、これはまた区分的に滑らかでもあり、制御点に適合する。
【0148】
[0157]これらの選択は、望ましさ値が、最大化値、目標値、および最小化値を切り替えるにつれて、関数に良好な挙動を与える。
【0149】
[0158]制御点は、尾部制御点でゼロまたは1までに到達することが許可されていない。
【0150】
[0159]最大化関数
[0160]デフォルトの望ましさ関数設定は最大化(「高いほど良い」)である。トップ関数ハンドルは、最大Y値で位置付けられ、1に近い高い望ましさで整列される。ボトム関数ハンドルは、最小Y値で位置付けられ、0に近い低い望ましさで整列される。
【0151】
[0161]目標関数
[0162]目標値は、「最も良い」として指定することができる。この実施例において、中央関数ハンドルは、Y=55で位置付けられ、最大望ましさの1と一致する。Yは、その値が70または42のいずれかに近づくにつれて、あまり望ましくなくなる。Y=70およびY=42でのトップおよびボトム関数ハンドルは、0に近い最大望ましさで位置付けられる。
【0152】
[0163]最小化関数
[0164]最小化(「小さいほど良い」)望ましさ関数は、高い応答値を低い望ましさと関連付け、低い応答値を高い望ましさと関連付ける。曲線は、プロットの中心で水平線の周りを反転する最大化曲線である。
【0153】
[0165]望ましさプロファイル
[0166]図9Bのプロットの最後の横列は、応答ごとの望ましさトレースを示す。縦軸上の単語「望ましさ」の横の数値は、望ましさ尺度の幾何平均である。プロットのこの横列は、現行の望ましさおよび1回に1要因を変更することに起因する望ましさのトレースの両方を示す。
【0154】
[0167]多重応答に対する望ましさプロファイリング
[0168]望ましさ指数は、多重応答が存在する時に特に有用となる。
【0155】
[0169]欠陥率関数
[0170]欠陥率は、各要因の関数として、仕様外出力欠陥の可能性を示し、一方で、その他の要因はランダムに変化する。これは、どの要因の分布変化が、境界関数の記述を向上させるために、工程に最も感受性を示すかを可視化するのに役立つように使用される。
【0156】
[0171]仕様限界は、何が欠陥であるかを定義し、ランダム要因は、シミュレーションにおいて欠陥をもたらす変動を提供する。両方ともDefect Profileが有意義であるために存在する必要がある。
【0157】
[0172]下限の許容可能な望ましさの制定は、分析が有限データサンプリングに基づいているために適しており、下限は、0.15より大きい値に制定した。
それらの制限に基づいて、シミュレーションモデル全体は、以下の通りの制限パラメータを有する。
・FO=24から35
・PBS=22mMから140mM
・%CMC=2.3%w/vから3.3%w/v
・%グリセリン=0.3%w/vから2.5w/v
[0173]しかしながら、個々の実験は、滅菌製品を維持しながら、仕様範囲内で出力を生成するのに最も有利な制限パラメータを特定した。それらの条件は以下の通りである。
・FO=22から30
・PBS=25mMから100mM
・%CMC=2.3%w/vから2.9%w/v
・%グリセリン=0%w/vから1.5%w/v
[0174]その結果となる2Dおよび3Dプロットの実施例を図31A〜31Fに示す。これらの図は、%CMC、Fo、%グリセリンおよびPBSの設計入力に応じて表される望ましさ関数の評価を示す。パーセントCMC対Foに対する境界制限条件は、2.3から2.7の0.7Hz tanδ輪郭トレースによって定義される。2Dプロットは、レオロジーパラメータが満たされ、図9B示した望ましさ関数と一致する白い領域を示す。
【0158】
[0175]モデル全体に対するモデルトレース式は、以下の出力に対して以下の通りである。
【0159】
【表11】
【0160】
【表12】
【0161】
【表13】
【0162】
【表14】
【0163】
【表15】
【0164】
【表16】
【0165】
【表17】
【0166】
【表18】
【0167】
【表19】
【実施例20】
【0168】
[0185]この実施例は、登録したレオロジー出力を有する条件のスクリーニングモデルの59回の独立実行から成り、以下のデータ表DおよびEを参照されたい。
【0169】
【表20】
【0170】
【表21】
【0171】
【表22】
【0172】
[0186]本発明は、好適な実施形態を参照して説明したが、当業者は、その本質的特徴を容易に確認することができ、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明を種々の使用法および条件に適合させるように、本発明の種々の変更および修正を行うことができる。当業者は、本明細書に記載された本発明の特定の実施形態の種々の合理的な均等物を、単に慣用の実験を使用して認識する、または確認することができるであろう。そのような均等物は、本発明の範囲に包含される。例えば、本発明の実施例において利用した可塑剤は、主にグリセリンである。しかしながら、当業者は、他の可塑剤が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく使用され得ることを理解するであろう。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2006年2月6日に出願された米国特許出願第11/348,028号および2007年1月8日に出願された米国特許出願第11/650,696号の一部継続出願であり、参照することによりそれら全体が本願明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本発明は、概して、組織増大に関し、より具体的には、組織の美容的増大のための、特定の応用での軟組織を矯正および増大させるための、吸収性かつ生体適合性ゲルおよび固体複合体の注入に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]永久的矯正もしくは軟組織欠損の増大または美容目的での増大のために使用される非吸収性かつ粒子ベースの組成物は数多くある。各組成物は、ある種の利点および不都合を伴なう。シリコンゲルは、1970年代および1980年代において皺、襞、およびにきび瘢痕等の皮膚の欠損を治療するためによく使用されていたが、その後これらの用途における使用が禁止されている。シリコンは、慢性炎症、肉芽腫形成、およびアレルギー反応をしばしば伴う。テフロン(TEFLON(登録商標))ペーストは、グリセリンにおけるポリテトラフルオロエチレン粒子の懸濁液である。この組成物は、声帯増大に主に使用され、肉芽腫形成と関係がある。バイオプラスチックは、ポリビニルピロリドンに分散している重合シリコン粒子で構成された。この組成物は、頻繁に生じる慢性炎症および組織拒絶反応のために、商業的適用が中止されている。20〜40μmの直径を有し、ウシコラーゲン分散物中に懸濁されるポリメチルメタクリル酸(Polymethylmethacrylate:PMMA)ミクロスフェアが、Lemperle(米国特許第5,344,452号)によって説明されている。組成物は、ウシ源からのコラーゲンを含有するため、皮膚試験が必要とされる。加えて、組成物は、滅菌についての課題が伴ない、ウシコラーゲン分散物は、加熱およびγ線照射を含む標準的な最終滅菌技術によって損傷を受ける。また、PMMAは、加熱滅菌条件に対しても不安定である。
【0004】
[0004]カルボキシメチルセルロースおよび他の多糖は、種々の医学的および非医学的用途のためにゲルまたは溶液の形態で使用される材料の例である。カルボキシルメチルセルロースナトリウム(sodium carboxymethyl cellulose:「CMC」)は、アルカリおよびクロロ酢酸と反応させたセルロースである。これは、水溶性かつ生分解性であり、多くの医学的および食品用途において使用されている。また、織物、洗剤、殺虫剤、石油採掘、紙、革、ペンキ、鋳物類、セラミック、鉛筆、爆発物、化粧品および接着剤においても一般的に使用されている。これは、増粘剤、結合剤、安定剤、水保持剤、吸収体、および接着剤として機能する。
【0005】
[0005]従来の技術のゲル材料の教示は、ゲルを、ゲルの実際の増大機能に付随的な担体としてのみ扱い、インプラント部位とレオロジー的および化学的に真に適合するインプラントを、どのように最良に調製するかを理解することに対して向けて努力は行なわれていない。さらに、従来の方法および製品は、現在のゲルに関する幾つかの問題に対処することができない。より具体的には、従来の技術の注入可能な材料は、体の広範な部位にわたったインプラントの適用における特定の問題に対応することができず、その結果として、適切な種類のインプラントを提供することができない。例えば、現在のインプラントは、微細ゲージ針を使用する場合に、植え込み処置中に閉塞または不整な植え込みに直面し得る。ある種の用途においては、微細ゲージ針は必要ない場合があるが、幾つかの用途での成功のためには不可欠である。加えて、より小さなゲージ針は、より小さな穿刺点
を残すので、これは患者にとって望ましいことが多い。さらに、閉塞の性質は、不均等で随伴性かつ非連続的な植え込みをもたらすことが多く、これは非常に望ましくない結果を生じさせる。
【0006】
[0006]従来の方法および製品の別の態様において、現行のインプラントは、シリンジにおけるインプラントの粘弾性特性に対応できていないため、現行のインプラントは、針からインプラントを押し出すために相当量の力、およびさらには不規則なレベルの力を必要し、針ゲージが小さくなると、更に大きな力を必要とする。これにより、恐らく1日に多くの注入を行うであろう医療専門家に対して疲労に関する課題が生じる。また、これは、注入時に針を安定に維持しながら、大きなの力または不規則な力をシリンジに及ぼすことが不可欠なため、いかなる注入を行うことも、より困難にさせ、また、適切な注入量および分配を行うことも困難にさせる。
【0007】
[0007]また、従来の方法および現在のインプラント材料は、インプラントが設置される種々の組織における広範な特質に対応することもできない。インプラントは、望ましくない凝集、化学反応、位相分離、および植え込まれた塊の非連続的な様々な形状へ早期分解を被る可能性があり、これらの全てがその結果として、組織領域に対して、望ましくない機械的特性およびインプラントの性能を生じ得る。
【0008】
[0008]材料組成物およびその関連する機械的、化学的、さらに電気的および他の物理的特性は、組織インプラント部位での適合性および安定性、および、組織への組み入れ、免疫組織的組織応答、ならびに機械的外見および外観を実現するための、制御された、適切な組織の内方成長に関連して重要である。患者のための増大性能は、ゲルおよび粒子インプラントの複合体の物理的成分および化学的組成物の機能から生ずる適切な美的結果を包含する。特に、ゲルを利用する従来の技術のインプラントは、担体としてのゲルに依存しているが、固形粒子と協働して、それが注入される組織を機械的および化学的に模倣し、組織に埋め込まれる時に、共生制御された方法で挙動するように設計されたゲルを用いるインプラントを提供する問題を認識かつ解決することができていない。
【0009】
[0009]従来の技術のゲルを使用するインプラントは、小結節を形成するか、または所望の植え込み位置から移動するか、あるいは位相分離もしくは体の望ましくない形状および美容的外観の形成等の、不要かつ望ましくない化学的および/または機械的分解を被る傾向を呈する。これらのうちのいずれも、患者に許容できる結果ではない。小結節形成は、M.Graivier and D.Jansen,”Evaluation of a Calcium Hydoxylapatite−Based Implant(Radiesse)for Facial Soft−Tissue Augmentation,”Plastic and Reconstructive Surgery Journal,Vol.118,No.3s,pg.22s(2006)により、既知の組成物に関して以前に報告されている。
【発明の概要】
【0010】
[0010]本発明は、適合性のある組織増大を可能にするインプラント材料を調製するためのシステムおよび方法に関する。特に、該システムおよび方法は、複数の化学変数を操作し、設計された最終製品を、明確なレオロジー特性を持って、得るように、正確なプロトコルを使用して入念に調製されたインプラントマトリックス材料に基づいて行われる増大インプラントに関する。一実施形態においては、該インプラントは、組織インプラント部位での特有の適合性および安定性、および、組織への組み入れ、最少の免疫組織的組織応答、ならびに機械的外見および外観の向上を実現するための制御された、適切な組織の内方成長を有するゲルを含む。一実施形態においては、該インプラントは、組織インプラント部位での特有の適合性および安定性、および、組織への組み入れ、最少の免疫組
織的組織応答、ならびに機械的外見および外観の向上を実現するための制御された、適切な組織の内方成長を有する様に、その中に懸濁される粒子有するゲルを含む。該インプラントは、植え込み時に所望のレオロジーおよび化学的挙動を達成するように選択された物理的および化学的特性を有する。例えば、処置された組織と同様および/または適合性のある、および/または、制御された様態で、成長組織に適応するように設計された、レオロジー的、化学的、生物学的、および機械的特性を含む、生理的特性を呈する材料で組織構造を置換または増大させるのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】[0011]図1は、2つの異なる体内組織液に対するG’およびG”の挙動を示す図である。
【図2】[0012]図2は、3つの異なる年齢体内組織液に対するG’およびG”を示す図である。
【図3】[0013]図3は、インプラント製品の製造の模式的方法を示す図である。
【図4】[0014]図4は、唇組織の位相角度対周波数挙動を示す図である。
【図5】[0015]図5は、代表的なインプラント製品に対するFo挙動対粘度を示す図である。
【図6】[0016]図6は、化学変数を分析して、標的組織レオロジーにマッピングする統計分析方法のフローチャートを示す図である。
【図7A】[0017]図7Aは、第1の範囲のレオロジー変数に対する化学変数および表形式キーを示す図である。
【図7B】図7B(i)は、Fo対パーセントCMCおよび粘度を示す図である。図7B(ii)は、0.7Hzでの同じ化学変数対G’を示す図である。図7B(iii)は、4HzでG’以外は同じである。図7B(iv)は、0.7Hzで周波数応答以外同じである。図7B(v)は、0.7Hzでのtanδ以外は同じである。図7B(vi)は、0.7HzでG”以外は同じである。図7B(vii)は、4HzでG”以外は同じである。図7B(viii)は、4Hzで周波数応答以外は同じである。
【図7C】レオロジーメリットのある領域(白)対パラメータに適わない領域(暗)の2Dプロットを示す図である。
【図8】[0018]図8は、予測プロファイルを生成するステップのフローチャートを示す図である。
【図9A(i)】[0019]図9(i)は、CMCパーセント対PBS(mM)対tanδの3D輪郭である。
【図9A(ii)】図示した図9Bに対する平面横断面と、0.7HzでのCMC対PBS対粘度である。
【図9A(iii)】0.7HzでのCMC対PBS対G’である。
【図9A(iv)】0.7HzでのCMC対PBS対G”である。
【図9A(v)】4HzでのCMC対PBS対tanδである。
【図9A(vi)】4HzでのCMC対PBS対G’である。
【図9A(vii)】4HzでのCMC対PBS対G”である。
【図9A(viii)】0.7HzでのCMC対PBS対周波数応答である。
【図9A(ix)】4HzでのCMC対PBS対周波数応答である。
【図9B(i)】予測プロファイルセットであり、それぞれ図9A(i)〜9A(ix)の輪郭からの横断面から取った種々の化学変数に対するレオロジー挙動の表を示す図である。
【図9B(ii)】予測プロファイルセットであり、それぞれ図9A(i)〜9A(ix)の輪郭からの横断面から取った種々の化学変数に対するレオロジー挙動の表を示す図である。
【図10】[0020]図10は、実施例1の組成物の、周波数の関数としての、弾性粘度係数および複素粘度のプロットを示す図である。
【図11】[0021]図11は、実施例2の組成物の、周波数の関数としての、弾性および粘度係数ならびに複素粘度のプロットを示す図である。
【図12】[0022]図12は、実施例3の組成物の、周波数の関数としての、弾性および粘度係数ならびに複素粘度のプロットを示す図である。
【図13】[0023]図13は、実施例4の組成物の、周波数の関数としての、弾性および粘度係数ならびに複素粘度のプロットを示す図である。
【図14】[0024]図14は、実施例5の組成物の、周波数の関数としての、弾性および粘度係数ならびに複素粘度のプロットを示す図である。
【図15】[0025]図15は、実施例6の組成物の、周波数の関数としての、弾性および粘度係数ならびに複素粘度のプロットを示す図である。
【図16】[0026]図16は、実施例7の組成物の、周波数の関数としての、弾性および粘度係数ならびに複素粘度のプロットを示す図である。
【図17】[0027]図17は、実施例8の組成物の、周波数の関数としての、弾性および粘度係数ならびに複素粘度のプロットを示す図である。
【図18】[0028]図18は、実施例9の組成物の、周波数の関数としての、弾性および粘度係数ならびに複素粘度のプロットを示す図である。
【図19】[0029]図19は、実施例10の組成物の、周波数の関数としての、弾性および粘度係数ならびに複素粘度のプロットを示す図である。
【図20】[0030]図20は、実施例11の組成物の、周波数の関数としての、弾性および粘度係数ならびに複素粘度のプロットを示す図である。
【図21】[0031]図21は、実施例12の組成物の、周波数の関数としての、弾性および粘度係数ならびに複素粘度のプロットを示す図である。
【図22】[0032]図22は、実施例13の組成物の、周波数の関数としての、弾性および粘度係数ならびに複素粘度のプロットを示す図である。
【図23】[0033]図23は、実施例14の組成物の、周波数の関数としての、弾性および粘度係数ならびに複素粘度のプロットを示す図である。
【図24】[0034]図24は、剪断速度が変化するにつれての各材料の粘度を示す図である。
【図25】[0035]図25は、剪断速度が変化するにつれての各材料の損失係数を示す図である。
【図26】[0036]図26は、剪断速度が変化するにつれての各材料の粘度係数を示す図である。
【図27】[0037]図27は、剪断速度が変化するにつれての各材料のtanδを示す図である。
【図28】[0038]図28は、粒子の様々な濃度(2.6CMC:1.5%グリセリン担体中30%&40%固形対3.25%CMC:15%グリセリン担体中30%固形)を有する様々なゲル組成物に対する弾性の時間依存性を示す図である。
【図29】[0039]図29は、実施例16の組成物に対する損失係数G’、弾性係数G”およびtanδ(GVG”)を示す図である。
【図30】[0040]図30は、実施例16の組成物に対する粘度およびtanδ特性を示す図である。
【図31A】[0041]図31Aは、FoおよびPBSを一定にした際の、望ましいCMC対グリセリンの3Dプロットを示す図である。
【図31B】CMCおよびグリセリンを一定にて、Fo対PBSを示す図である。
【図31C】グリセリンおよびFoを一定にして、PBS対CMCを示す図である。
【図31D】PBSおよびFoを一定にして、グリセリン対CMCを示す図である。
【図31E】PBSおよびグリセリンを一定にして、Fo対CMCを示す図である。
【図31F】CMCおよびFoを一定にして、グリセリン対PBSを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0042]本発明は、組織増大インプラントに関し、概して、プログラム可能なレオロジー多糖ゲルに関する。より具体的には、本発明は、関心対象となる体内組織インプラント領域の特徴と一致するように特に設計されるレオロジー特徴を呈するように処方されたカルボキシメチルセルロースまたは他の多糖ポリマーを含有する多糖組成物に関する。例えば、本発明は、臨床および回復用途ならびに鼻唇溝、マリオネット線、唇増大ならびに皺および襞のような美容的用途等を含む種々の使用のために、例えば、尿路、声帯、唇組織、頬、他の皮膚組織等の体全体に組織インプラント製品を提供するように適用することができる。組織増大インプラントを考慮するに当たって、体内組織の物理的特性は、組織機能に密接に関連しており、ならびに一態様において、それらの微小環境のレオロジー特徴(例えば、弾性)に対する組織細胞応答が適切に考慮されなければならないことを理解することが重要である。組織の物理的構造および機能の理解は、根本的かつ治療に関しての関心事である。したがって、処置する組織のものと同様の、レオロジーを含む物理的特性、ならびに化学的および生物学的特性も呈する材料を用いて組織構造を置換または増大させることが最も好適である。これは、インプラント材料の組織適合性の向上をもたらし、正常細胞応答性を促進させる。加えて、インプラントおよび周囲組織の同様の挙動は、増大した領域へより自然な外見をもたらし、また、制御された組織の内方成長をより容易にさせることもできる。インプラントレオロジーの「類似性」が決定される特定の方法、および製品製造の制御は、本発明の重要な態様である。インプラント製品に対する化学的および熱処理変数の選択ならびに適切なレオロジー値へのそれらのマッピングに関する詳細は、以下に詳述する。異なる組織は、組織機能と関連する特有の生体力学的および化学的特徴を呈し、組織特性の効果は、これらの組織を増大または置換する時に考慮されるべきである。その結果として、インプラント製品は、組織適合性を達成し、ならびに望ましくない化学反応および位相分離を回避するために、所望のレオロジー特性を達成するように形成される。
【0013】
[0043]カルボキシメチルセルロース(Carboxymethylcellulose:「CMC」)および他の多糖は、種々の医学的および非医学的用途のために使用される、ゲルまたは溶液中で使用される材料の例である。カルボキシルメチルセルロースナトリウム(Sodium carboxymethylcellulose:「NaCMC」)は、アルカリおよびクロロ酢酸と反応させたセルロースである。これは利用可能な最も大量のセルロースポリマーのうちの1つである。これは、水溶性かつ生分解性であり、多くの医学的および食品用途において使用されている。また、織物、洗剤、殺虫剤、石油採掘、紙、革、ペンキ、鋳物類、セラミック、鉛筆、爆発物、化粧品および接着剤においても一般的に使用されている。これは、増粘剤、結合剤、安定剤、水保持剤、吸収体、および接着剤として機能する。
【0014】
[0044]多くの参考文献は、カルボキシメチルセルロースおよび他のイオン性多糖を粘弾性および偽塑性であるものとして説明している。例えば、(Andrews GP, Gorman SP,Jones DS.,Rheological Characterization of Primary and Binary Interactive Bioadhesive Gels Composed of Cellulose Derivatives Designed as Ophthalmic Viscosurgical Devices,Biomaterials.2005 Feb、26(5):571−80、Adeyeye MC,Jain AC, Ghorab MK,Reilly WJ Jr.,Viscoelastic Evaluation of Topical Creams Containing Microcrystalline Cellulose/sodium Carboxymethyl
Cellulose as Stabilizer,AAPS PharmSciTech.2002、3(2):E8、Lin SY,Amidon GL,Weiner
ND,Goldberg AH.,Viscoelasticity of Anionic Polymers and Their Mucociliary Transport on the Frog Palate, Pharm.Res.1993,Mar:10(3):411−417、Vais,AE, Koray,TP,Sandeep,KP,Daubert,CR.Rheological Characterization of Carboxymethylcellulose Solution
Under Aseptic Processing Conditions,J.Food Science,2002. Process Engineering 25:41−62)を参照されたい。
【0015】
[0045]Hercules,IncからのAqualon Product Information公報は、CMCナトリウムのレオロジーに対する種々のパラメータの効果に関して説明している。粘度は、濃度の増加とともに増加し、CMC溶液は、偽塑性および粘弾性である。熱への曝露は、粘度の減少に繋がり、効果は、通常の条件下で可逆的である。長時間後、CMCは、上昇した温度で分解し、恒久的粘度が減少する。例えば、48時間180oFで加熱した中等度の分子量(Aqualon7L)のCMCは、粘
度の64%を失う。CMCは、pHの変化に対して比較的安定であり、粘度へのpHの効果は、生理的に関連する範囲のpH6−9内でわずかである。pHが10を超えると、粘度の幾らかの損失、およびpHが4を下回ると、幾らかの増加がある。また、塩は、CMCのレオロジーに影響を及ぼし得、1価カチオンは、相互作用して可溶性塩を形成する。CMCを水中に溶解し、次いで塩を添加する場合、粘度への効果は、ほとんどない。乾燥したCMCを塩類溶液に添加する場合、粘度は、イオン反発を通じて減少し得る。多価カチオンは、概して、架橋ゲルを形成しない。粘度は、2価塩をCMC溶液に添加し、3価塩がCMCを沈殿させる時に減少する。
【0016】
[0046]従来の技術を考慮して結論付けることができるように、インプラントのレオロジーおよび化学的特性には、多くの複雑な要因が関与する。したがって、特定の制御された生体内特性を持つインプラントを設計するために、インプラントのそれらの各成分を変化させることができる。そのような自由度は、実際、適切なインプラントの設計が厄介な課題となるほど広くかつ複雑である。
【0017】
[0047]これらの複雑な課題を解決するため、選択した体内組織成分のレオロジーを考慮することが有益である。図1は、同じ塩基性ヒアルロン酸(ヒアルロン酸(hyluronic acid)と称されることもある)成分で構成されるが、同じ生理的負荷条件下で有意に異なる貯蔵および損失係数を示す2つの異なる体内組織液を示す。両方の溶液は、0.1から180ラジアン/秒(0.159Hzから28.6Hz)の比較的小さい生理的剪断応力をで、剪断菲薄化、および粘着性物質(G”プレドミナントまたはTanδ>1)から弾性材料(G’ドミナント)への材料転換を示す。
【0018】
[0048]例えば、生理液は、様々な方法でそれらに課される応力に従うことが実証されている。材料の主要な特徴は、外部の力が課されると、粘性潤滑材料が、弾性繋留性状に変化し得る。図2は、同じ塩基性ヒアルロン酸(ヒアルロン酸成分で構成されるが、個人の年齢に基づいて、同じ生理的負荷条件下で有意に異なる貯蔵および損失係数を示す3つの異なる体内組織液を示す。「若年」および「老年」と標識した材料は、0.1から180ラジアン/秒の比較的小さい生理的剪断応力で、剪断菲薄化および、粘着性物質(G”プレドミナントまたはtanδ>1)から弾性材料(G’ドミナント)への物資転換を示す。材料クロスオーバー(G”=G’)および相対振幅は、年齢に依存する。「変形性関節症」と標識した材料は、同じ剪断条件下でクロスオーバーせず、貯蔵G’および損失係数G”振幅は、他の2つの材料よりも有意に少なかった。したがって、セルロースベースのインプラントの処方および物理的操作を介して、必要な特定の用途に合わせること
ができる生物学的に関連する生体力学的ゲル特性を製造できることが、本明細書において実証される。したがって、材料の生物学的許容性に対するこのタイプの転移点を認識することが重要である。緩衝液強度(PBS等)、多糖選択および濃度(NaCMC等)、潤滑剤含有量(グリセリン等)を含む、インプラント製品パラメータ等の種々の制御パラメータは操作することができ、また、オートクレーブ時間は、粘度および弾性の機械的出力が、従来の技術において明白な全ての問題を生じさせることなく、所望の結果に適合し得るように操作することもできる。
【0019】
[0049]例えば、本発明の好適な一実施形態においては、製造方法および製品は、唇の組織増大のためのインプラントに関する。上記のように、体内組織の物理的特性が密接に関連している。組織修復時の細胞伝播、細胞浸潤および細胞機能は、それらの微小環境のレオロジー特徴(例えば、弾性)に依存することが幾つかの細胞モデルから示されている。上に説明されるように、組織の物理的構造および機能の理解は、組織増大および修復時の根本的な治療上の関心事である。したがって、レオロジーを含む物理的特性、ならびに処置した組織のものと同様の化学的および生物学的、および機械的特性を呈する材料を有する組織構造を置換または増大させることが好適である。したがって、インプラントは、インプラントの特性を、インプラントが設置される予定の組織のものと一致させる機会を提供する。これは、インプラント材料の組織適合性の向上をもたらし、制御された成長組織を提供するように設計された正常細胞応答性を促進させる。加えて、インプラントおよび周囲組織の同様の挙動は、増大した領域へより自然な外見をもたらす。
【0020】
[0050]最も好適な一実施形態においては、インプラントは、7.4pHでの25mMリン酸緩衝液(PBS)中1.5%グリセリンを有する2.6%CMCのゲルを含む。位相角度は、0.1Hzから10Hzの周波数範囲にわたって、48度から140度の範囲に及んだ。これは、自発的刺激下で上および下の口輪筋に対して実験的に測定した位相角度の公開測定と一致しており、位相角度は、0.1Hzから10Hzの周波数範囲にわたって、0度付近から150度の範囲に及んだ。
【0021】
[0051]材料が、f<0.05でより多くの粘性性状を示すほど、インプラントに対する初期の位相角度の大きさは大きい。しかしながら、材料G’=G”クロスオーバーは、0.2であり、弾性性状が、当技術分野において実験的に測定された弾性挙動をシミュレートするように支配し始める。実験的に測定されたインプラントおよび提案されたインプラントの両方に対して、位相角度は、同じ生物学的に関連する範囲にわたって観察された同様の位相シフトでの0.1Hzから1Hzの周波数範囲にわたって、僅かな変化しか示さない。
【0022】
[0052]一実施形態においては、インプラントは、30%v/v25umから45umカルシウムヒドロキシルアパタイト粒子を有する7.4pHでの25mMリン酸緩衝液中1.5%グリセリンを有する2.6%CMCのゲルを含む。材料レオロジーは、特に、位相角度が線形である低周波で、組織部位と同様である。材料は、その周波数範囲にわたって、弾性材料という試験結果となる。しかしながら、tanδは、0.9(およそG’=G”)で開始し、材料剪断が、0.1Hzから10Hzの生理的に関連する範囲にわたって菲薄化するにつれて減少する。
【0023】
[0053]また、物質の変形およびフローの研究である「レオロジー」を含む、本明細書で使用される特定の専門用語を理解することも有用である。「ニュートン流体」(典型的に、低分子量物質のみを含有する水および溶液)、この粘度は、剪断歪み速度および剪断歪み速度のプロットと無関係である。非ニュートン流体は、印加した剪断力とともに粘度が変化する流体である。材料を説明するレオロジー出力は、典型的に、η、G’、G”、tanδ、インプラント部位での組織の活性の直線力(剪断)または振動力(Hz)
に対する偏向角度である。パラメータηは粘度であり、これは、剪断応力下で変形する材料の尺度である、材料の指標である。流体にとって、これは、「濃さ」、または注入に対する抵抗性として一般的に認識される。G’は貯蔵係数であり、これは、弾性挙動の指標であり、回復可能な弾性変形と関連する弾性エネルギーを貯蔵するポリマー系の能力を明らかにする。G”は損失係数であり、これは、回復不可能な粘性損失と関連するエネルギーの散逸に関する動的粘性挙動の尺度である。損失正接(tanδ)は、貯蔵係数に対する損失係数の比率(G”/G’)として定義され、無次元である。これは、変形のサイクルにおいて貯蔵されたエネルギーに対するエネルギー損失の比率の尺度であり、システムへの弾性および粘性寄与の両方を組み合わせる比較パラメータを提供する。1より大きいtanδは、流体がより液体であることを意味する。1未満のtanδは、流体がより固形であることを意味する。偏向角度は、力を材料に印加した後の定常状態からの角度として定義される。剪断力および振動力の生理的に関連する範囲は、その組織に対する典型的なヒトの機能への体内組織活性範囲である。これらの範囲は、標的インプラントが、軟皮膚組織、高濃度コラーゲン組織、筋肉または骨に向けられた場合に、特に明白である。
【0024】
[0054]したがって、生体材料の生体力学的挙動は、それらのレオロジー特性を測定することによって特徴付けることができる。レオロジーは、粘弾性および粘弾性剪断特性に関連している。粘弾性剪断特性は、弾性剪断係数および粘性剪断係数を含む、複素剪断係数によって数量化される。複素剪断係数の大きさは、全体的な剪断弾性、堅さ、および強剛性を示すために使用されている。材料が純粋に弾性である場合、tanδ=0である。材料が純粋に粘着性である場合、tanδ=無限大である。全ての組織は、これらの2つの極値間でのtanδを示す。
【0025】
[0055]異なる組織は、組織機能と関連する特有の生体力学的特徴を呈し、組織特性の効果は、これらの組織を増大または置換する時に考慮すべきである。本発明は、組成物が注入されるか、または植え込まれる組織の生体力学的特性をシミュレートし、望まれない化学反応および位相分離を回避するように処方される組成物に関して説明する。多くの異なる変数は、共に、インプラントの全体的な機械的、化学的および生物学的特性をともに提供する。したがって、特定の制御された生体内特性を持つインプラントを設計するために、インプラントのそれらの各成分を変化させることができる。滅菌性は、必要な設計要件である。したがって、滅菌モードおよび滅菌工程と関連するパラメータは、材料の使用目的が組織増大または置換のためであるため、材料設計のためには不可欠である。
【0026】
[0056]インプラントは、軟組織に注入可能な複合体である。複合体材料は、粒子を含む、または含まない、生体適合性ゲルを含む。注入の前およびその間、ゲルは、存在し得る粒子のための担体として部分的に機能する。生体内で、ゲルは、インプラントの不可欠な部分を形成し、所望の製品を達成するために、インプラントに関して先述した、必要な事前に選択した機械的および化学的微小環境を提供する。
【0027】
[0057]上で述べられるように、好ましくは、担体は、多糖ゲルを含み、本発明において利用され得る該多糖は、例えば、あらゆる以下の多糖類の分類内において、好適な多糖類およびそれらの組み合わせを含む。セルロース/澱粉、キチンおよびキトサン、ヒアルロン酸、疎水性物質修飾系、アルギン酸、カラゲナン、寒天、アガロース、分子内複合体、オリゴ糖ならびに大環状系。4つの塩基性カテゴリに分けられる多糖の例は、1.セルロース誘導体、澱粉、グアー、キチン、アガロースおよびデキストロンを含む非イオン性多糖、2.セルロース誘導体澱粉誘導体、カラゲナン、アルギン酸、カルボキシメチルキチン/キトサン、ヒアルロン酸およびキサンタンを含むイオン性多糖、3.セルロース誘導体、澱粉誘導体、グアー誘導体、キトサンおよびキトサン誘導体(キトサン乳酸を含む)を含むカチオン性多糖、ならびに4.セルロース誘導体およびαエマルサンを含む疎水性物質修飾多糖を含む。一実施形態において、多糖ポリマーは、カルボキシメチルセ
ルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシルメチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルメチルセルロース、およびそれらの修飾誘導体から成る群から選択される。本発明で用いる好適な多糖は、例えば、寒天メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、微結晶性セルロース、酸化セルロース、キチン、キトサン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、およびキサンタンゴムを含む。ある実施形態においては、1つより多い材料が、ゲルを形成するために利用され得、例えば、上記の多糖の2つ以上が、ゲルを形成するために組み合わせられ得る。ある実施形態においては、1つより多い材料が、架橋ゲルを形成するために利用され得、例えば、上記の多糖の2つ以上が、ゲルを形成するために組み合わせられ得る。
【0028】
[0058]加えて、ゲルは、架橋され得る。適切なゲル架橋剤は、例えば、熱、pH、ならびに1価、2価、および3価カチオン性相互作用を介した架橋を含む。ポリマーを架橋するために使用される架橋イオンは、ポリマーがアニオンまたはカチオン架橋可能であるかどうかに応じて、アニオンまたはカチオンであり得る。適切な架橋イオンは、カルシウム、マグネシウム、バリウム、ストロンチウム、ホウ素、ベリリウム、アルミニウム、鉄、銅、コバルト、および銀イオンから成る群から選択されるカチオンを含むが、これらに限定されない。アニオンは、リン酸、クエン酸、ホウ酸、炭酸、マレイン酸、アジピン酸およびシュウ酸イオンを含むがこれらに限定されない群から選択され得る。より広い範囲では、アニオンは、多塩基性有機または無機酸に由来する。好適な架橋カチオンは、カルシウム鉄およびバリウムイオンである。最も好適な架橋カチオンは、カルシウムおよび鉄である。好適な架橋アニオンは、リン酸、クエン酸および炭酸である。架橋は、ポリマーを、溶解イオンを含有する水溶液と接触させることによって行ってもよい。さらに、架橋は、多官能エポキシ化合物が、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(EGDGE)、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、およびソルビトールポリグリシジルエーテルから成る群から選択されることを含む、有機化学修飾を介して達成され得る。さらに、架橋は、多糖骨格反応のカルボニルまたは水酸基を介し、有機化学修飾を通して達成され得る。1つより多い種類のポリマーを利用する実施形態においては、異なるポリマーは、さらなる架橋を形成するために、互いに架橋することができる。
【0029】
[0059]実施例19、図9Bに関する考察および以下に提供するデータによって示すように、一実施形態において、インプラントはゲルを含み、そのtanδ(粘度係数G”の損失係数G’に対する比率)は、その後加熱滅菌されるNaCMC製剤中の塩(この場合、リン酸カリウムまたはPBS)の濃度を調整することによって操作することができる。水中で調製された組成物において、tanδは、熱処理の前後で<1であり、弾性流体を示す。組成物が希薄塩溶液中で調製される場合、tanδは、熱処理前に<1であり、熱処理後に>1である。tanδ>1は、概して、粘性流体を示す。希薄塩(この場合、1価)および熱処理の両方が、tanδ<1からtanδ>1に組成物を転換させるために必要がある。塩濃度が増加するにつれて、組成物の粘度は、内部架橋する多糖の能力を減少させることによって減少する。
【0030】
[0060]組織増大のために選択した組成物において、粘度は、組織レオロジー挙動
を充足させることに加えて、ある程度のバルキング能力を提供することが好ましい。したがって、塩濃度は、好ましくは、通常100mM未満の比較的低いレベルで慎重に制御される。
【0031】
[0061]グリセリンの塩類溶液への添加はtanδを減少させ、つまり、グリセリンのレオロジー特性が多糖ゲルとのバルキングレオロジー相互作用を提供するので、組成物は、熱処理後でも弾性のままである。tanδは、好ましくはおよび通常<1である。しかしながら、この組成物のtanδは、塩を含まない水中で調製された組成物のtanδとは異なる。NaCMCのレオロジー特徴は、塩、グリセリン、および熱処理によって操作することができる。
【0032】
[0062]インプラント組織部位のレオロジー性状に適応させる要望に加えて、本発明のゲルは、突出、分解速度(化学的および物理的)、成形性および多孔性を制御して、組織応答を調節するように調整することができる。また、ゲル特性は、宿主組織がより遅い再吸収セラミック粒子の周囲に形成する際、様々な再吸収速度も制御する。
【0033】
[0063]一実施形態において、本発明は、微細ゲージ針を介した注入のために固形粒子を支持することを可能にし、注入され次第、インプラント(および周囲の生物環境)の不可欠で適合性のある部分を形成することが可能なゲルを提供する。インプラントは、ゲルに懸濁させた粒子を含む。ある実施形態においては、粒子は、セラミックベースの複合体である。粒子性セラミック材料は、カルシウムヒドロキシアパタイト、およびカルシウムリン酸ベースの材料等を含むが、これらに限定されない、他の適切な材料を含むが、これらに限定されない。その例には、リン酸テトラカルシウム、ピロリン酸塩カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸オクタカルシウム、カルシウムフッ素リン灰石、カルシウム炭酸アパタイト、アルミナベースの材料、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。セラミック粒子は、実質的に球状の滑らかな円形であってもよく、セラミック材料の粒子は、連続的かつ架橋された、または後述のような脱水構造にある生体適合性ゲル材料に埋め込まれる。この実施手形態においては、粒子は、20ミクロンから200ミクロン、好ましくは、約20ミクロンから120ミクロン、および最も好ましくは、約20ミクロンから45ミクロンのサイズ範囲であり得る。セラミック粒子の濃度は、5容量%から65容量%、好ましくは、10容量%から50容量%、および最も好ましくは、30容量%から45容量%の範囲である。
【0034】
[0064]ゲルに添加することができる粒子は、生体適合性であるが、微生物で分解できない材料で作ることができる。適切な材料は、ガラス、e−PTFE、PTFE、ポリプロピレン、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、シリコン、ポリメチルメタクリル酸、ダクロン、カーボン粒子、テフロン(TEFLON(登録商標))、鉄の金属、ニチノール、銀、金、プラチナ,またはステンレススチールを含むそれらの銅ニッケルチタン合金を含む。粒子は、有機ポリマーおよびタンパク質を含む材料の複数の層で構成することができる。さらに、粒子は、例えば、アクリルポリマー、ビニルアルコールポリマー、アクリレートポリマー、多糖、ポリアクリルアミドおよびそれらの誘導体等のアクリルファミリー、ポリアクリレートおよびそれらの誘導体ならびにポリアリルおよびポリビニル化合物等のエラストマーの有機バイオポリマーから選択することができる。これらのポリマーの全ては、安定かつ非吸収性となるように架橋され、それらの構造内で、特定の特性を示す他の化学薬品またはその混合物を含有することができる。粒子は、好ましくは、以下の多糖類の分類内において、多糖粒子、例えばあらゆる適切な多糖およびそれらの組み合わせを含み得る。セルロース/澱粉、キチンおよびキトサン、ヒアルロン酸、疎水性物質修飾系、アルギン酸,カラゲナン、寒天、アガロース、分子内複合体、オリゴ糖ならびに大環状系。多糖の実施例は、4つの塩基性カテゴリに分けることができ、1.セルロース誘導体、澱粉、グアー、キチン、アガロースおよびデキストロンを含む非イオン性多糖、
2.セルロース誘導体、澱粉誘導体、カラゲナン、アルギン酸、カルボキシメチルキチン/キトサン、ヒアルロン酸およびキサンタンを含むイオン性多糖、3.セルロース誘導体、澱粉誘導体、グアー誘導体、キトサンおよびキトサン誘導体(キトサン乳酸を含む)を含むカチオン性多糖、ならびに4.セルロース誘導体およびαエマルサンを含む疎水性物質修飾多糖を含む。好適な一実施形態においては、多糖ポリマーカルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシルメチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルメチルセルロース、およびそれらの修飾誘導体の群から選択される。本発明で用いる好適な多糖は、例えば、寒天メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、微結晶性セルロース、酸化セルロース、キチン、キトサン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、およびキサンタンゴムを含む。ある実施形態においては、1つより多い材料を利用して、粒子を形成し得、例えば、上記の多糖の2つ以上を組み合わせ、粒子を形成し得る。ある実施形態においては、2つ以上等の1つより多い多糖材料を、本明細書において先に記載したそれらの架橋剤と併用し、架橋粒子を形成することができる。さらに、ゲルに懸濁され得る粒子、ビーズ、マイクロビーズ、ナノ粒子およびリポソームは、多孔性、テクスチャード加工、被覆および固体表面であってもよく、円形または他の構成であることができる。
【0035】
[0065]ゲルのこれらの材料組成物は、機械的補助装置を使用することなく、および従来の技術においては以前に達成されていないジャミングまたは閉塞の少ない頻度で、27から30ゲージという小さい針ゲージを介した良好な押し出し特性を可能にする。その中に懸濁される粒子を有するゲルは、粒子がなかった場合よりも異なる押し出し特性を明らかに有し、ゲルに懸濁された粒子を有する本発明のインプラントは、従来の技術のものよりも向上した押し出しを示す。粒子サイズが針のサイズに近づくにつれて、押し出しはますます困難となる。しかしながら、75ミクロン未満の粒子サイズは、微細ゲージ針(27から30ゲージ等)を通して本発明のインプラントを注入することを可能にする。ゲルは、担体として粒子を懸濁することができ、少ない力でインプラントを突出させることを可能にし、閉塞の可能性が、より低くなる。0.5から3.5および最も好ましくは0.5から2.0の範囲内にあるより高いtanδを有する材料組成物は、27から30ゲージという小さい針ゲージを介した押し出しのために、最良の性能特性を示す。より高いtanδを有する材料が、移動度が重要なパラメータである場合に、より好ましい。tanδを減少させることにより、より頑丈かつ成形可能なインプラント材料が生成される。CaHA充填ゲルに対する押し出し力の一部の実施例を下記の表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
[0066]好適な実施形態は、従来のシステムほど力を要しないことを示す。
【0038】
[0067]一実施形態においては、本発明は、微細ゲージ針を介した注入のために固形粒子を支持することを可能にし、注入され次第、インプラント(および周囲の生物環境)の不可欠で適合性のある部分を形成することが可能なゲルを提供する。インプラントは、ゲルに懸濁させた粒子を含む。ある実施形態においては、粒子は、過剰に架橋された多糖ベースの複合体である。粒子性材料は、これらに限定されない、CMC、寒天、およびアルギン酸、ヒアルロン酸、キトサンを含む、他の適切な材料、および組成上の組み合わせ等を含むが、これらに限定されない。ヒアルロン酸/CMC、アルギン酸/CMCおよびキトサン/CMC、イオン的および化学的に架橋されたそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。粒子は、実質的に球状の滑らかな円形であり得、粒子は、連続的かつ架橋された、または後述のような脱水構造にある生体適合性ゲル材料に埋め込まれる。この実施形態においては、粒子は、20ミクロンから200ミクロン、好ましくは、約20ミクロンから120ミクロン、および最も好ましくは、約20ミクロンから45ミクロンのサイズ範囲であり得る。粒子の濃度は、5容量%から90容量%、好ましくは、10容量%から80容量%、および最も好ましくは、60容量%から70容量%の範囲である。
【0039】
[0068]さらに、ゲル担体の僅かな組成上の変化は、同種の粒子懸濁液を依然として許容しながら、先に記述した生体適合性パラメータの選択を可能にする。組織に特異的なタンパク質を、促進(細胞外マトリックスまたはコラーゲンの浸潤)または疫組織学的応答を減少させることによって、組織応答を促進させるように添加することができる。これらの生体適合性特徴のそのような慎重な選択は、用途に応じて、インプラントまたは組織の内方成長の安定性を達成するために、事前に選択した形、美容的外見、化学的安定性および生物環境の達成を可能にする。生体適合性および生体力学的能力の増加は、特定の分解プロファイルに従って、インプラントを、体に自生の化合物に分解させることを可能にする。
【0040】
[0069]一実施形態においては、グリセリン含有量の減少は、従来の技術において以前に報告されていない向上した生体適合性を有する正常組織生理的条件と、生理的により同様なオスモル濃度範囲の向上をもたらした。本発明のインプラントの好適な形態は、従来の技術のゲルが行っているような、粒子を懸濁するための多量のグリセリンに依存しない。これにもかかわらず、本発明のゲルは、グリセリン含有量に大きく依存している従来技術のゲルにおいてでさえ以前に教示されたものよりも、高濃度の粒子を懸濁することができる。グリセリン含有量の減少により、好適な実施形態は、280から303mOsの血液の生理的オスモル濃度に近く、概して、細胞適合性の範囲として許容される、255mOsから600mOs、好ましくは、255mOsから370mOs、のオスモル濃度範囲を有することができる。このパラメータの制御は、生体適合性インプラントの上記の選択を達成することにおける一自由度である。この好適な実施形態を、表2に表形式で説明する。
【0041】
【表2】
【0042】
[0070]この好適な実施形態は、あらゆる従来の製品よりも、通常の生理的条件に実質的により類似する。
【0043】
[0071]加えて、グリセリンおよびCMCの減少は、これらの生理的条件または他の細胞外マトリックスおよび体液の生理的条件に近づく好適なインプラント製品の材料レオロジーを可能にする。より低い粘度係数G”および損失係数G’は、人体の標的組織に典型的な応力/歪み振幅でのより良好な組織シミュレーションを可能にする。
【0044】
[0072]また、グリセリン含有量の減少により、好適な実施形態は、胎生期の皮膚における70%からより成熟した皮膚における60%の生理的皮膚の水含有量により近い、57.9%から70.3%の水含有量を有することができる。標的組織の生理的水含有量により近い組織植え込みを対象とする材料は、インプラントに直近の組織および細胞に対する浸透応力がより少ない。
【0045】
[0073]本明細書において上で詳述したように、インプラントが生体適合性となるように構築することにおける別の制御可能な自由度は、CMC濃度の制御である。CMC濃度の減少により、ある天然組織をより厳密に模倣する注入時および注入後のより多くの粒子移動を可能にする菲薄化支持ゲルマトリックスを有することができる。ゲル内の処方調整は、生物学的に関連するレオロジー特徴を依然として維持しながら、バルキング材料組成物を増加させることを可能にすることが実証されている。これは、対象とする用途に一致する用途基準を維持しながら、基準線補正の向上および軟組織基準線補正における耐久性の向上を促進させる。これによって生じる局所組織応力および歪みはより少なく、つまり、紅斑および浮腫の形で免疫組織学的応答を制限するため、それによって、回復時間が短縮する。
【0046】
[0074]上述のように、本明細書に記述したインプラントは、組織増大のために体の多くの部分で使用することができる。例えば、インプラントによって増大され得る軟組織は、皮膚組織(襞および皺)、唇、声帯、粘膜組織、鼻溝、眉間の皺、顔面正中組織、顎の線、頤、頬、および乳房組織を含むが、これらに限定されない。これらの領域のそれぞれは、特有の機械的および生物学的特性を呈することが理解されるであろう。例えば、上および下唇は、筋肉相互作用および弾性への必要性の減少のために、連続的な移動度を呈し、同様の移動度を提供するインプラントが必要である。したがって、そのような特徴を呈するインプラントは、より高度な生体適合性、機械的適合性、および優れた視覚効果を提供する。したがって、インプラントは、特定の徴候に対応するために、体の特定の部分に植え込むように特異的に設計できるように処方され得る。表3は、若年および高齢者における声帯および皮膚に対するtanδを例証する。
【0047】
[0075]顔外側の典型的な真皮適用のために、特性記述に対するレオロジー応答は、G’、G”またはtanδによって良好に定義することができる。これを下記の表3に要約し、これらの特定のレオロジーパラメータは、好ましくは、以降に記載する望ましさプロットにおいてメリットのある領域または体積を定義するために使用される。
【0048】
【表3】
【0049】
[0076]選択した材料組成物に対する好適なパラメータの実施例を下記の表4に記載する。
【0050】
【表4】
【0051】
[0077]より高いtanδを有する材料は、移動度が重要なパラメータである場合により好ましい。tanδを減少させることにより、より頑丈かつ成形可能なインプラント材料が生成される。好適な実施形態は、従来の製品材料よりも近い生理的応答を示す。
【0052】
[0078]例えば、唇等の、組織がより低い粘度を呈する徴候に対応するために、0.5から1のtanδを有する、0.5Hzでの100,000センチポアズから300,000センチポアズの粘度を有するインプラントが使用され得る。同様に、顔面正中領域またはインプラントが好ましくは構造的支持をもたらす他の領域等の、より高い粘度のインプラントが所望される徴候に対応するために、0.5から1のtanδを有する、300,000センチポアズから600,000センチポアズの粘度を有するインプラントが使用され得る。これを下記の表5に要約する。
【0053】
【表5】
【0054】
[0079]ヒト声帯組織のtanδは、0.1〜0.5の範囲であり、弾性物質であることを示す(Chan,RW and Titze,IR,Viscoelastic
shear properties of human vocal fold mucosa:Measurement methodology and empirical results”.1999,J.Acoust.Soc.Am.106:2008−2021)。ヒト皮膚のtanδは、0.36(高齢の皮膚)から0.61(若年の皮膚)の範囲である(Calculated from stress−strain data−Silver,FH,Seehra,GP,Freeman,JW,and DeVore,DP.2002.J.Applied Polymer Science,86:1978−1985)。骨格筋に対するtanδは、1.0を超え、粘着性物質であることを示す。ヒアルロン酸に対するtanδは、材料が、1および8ラド/秒(0.17から1.3Hz)の間での1に等しいtanδを介した剪断肥厚および移行を示すため、1.3から0.3の範囲である(Fung YC,1993”Biomechanics:Mechanical properties of living tissue”,Second edition,Springer− Verlag,New York,NY)。これは、ヒト唇(筋肉)を増大させるように組成物を設計する時に重要である。上および下唇間ならび男性および女性間においてさえも堅さ(Chan and Titze, et. alによればより弾性)に差異がある。下唇は、上唇よりも堅く、男性の唇は女性の唇よりも堅い(Ho,TP,Azar,K,Weinstein,and Wallace,WB.”Physical Properties of Human Lips:Experimental Theoretical Analysis”,1982.J.Biomechanics.15:859−866)。本発明は、生体材料が設置される組織をより厳密にシミュレートするレオロジー(tanδを含む)に処方することができる組成物に関して記述する。
【0055】
[0080]ヒト唇は、重層角化扁平上皮(皮膚の角質層と同様)によって被覆される疎性結合組織によって囲まれる骨格筋で主に構成される。下および上唇の堅さには差がある。多くの参考文献は、堅さと弾性を同等のものと見なす。唇組織が骨格筋と同様であれば、唇組織は有意な弾性を呈する。しかしながら、より高いtanδを有する組成物は、従来の技術インプラントの一般的な問題である、より少ない唇小結節に繋がる。任意のインプラントに対する組織応答は、インプラント材料の化学的組成物、物理的構成および生体力学的特徴を含む幾つかの要因に依存し、および宿主組織のミクロ環境の生体力学的力に依存する。増加した機械的応力下で組織に注入される従来の技術のCaHA/CMC組成物は、より少ない機械的応力下で組織に植え込まれる時よりも、より多くのコラーゲン組織(これは、特定の用途において望ましくない成長組織に繋がり得る)を生成する。この応答の一部は、インプラントの粘弾性に関連している。連続的な機械的応力下でのインプラントは、インプラントの粘弾性特性に依存して、異なって反応するであろう。より高粘弾性のインプラント(低tanδ)は、より低い粘度への剪断菲薄化を連続的に起こし
、初期のより高い粘度へ「反跳」するであろう。インプラント力学のこの連続的な変化は、より多くの粘着性レオロジー(より高いtanδ)を呈するインプラントよりも、より活性となり、かつ多くのコラーゲンを生成するように宿主細胞を「スイッチオンさせる」またはそれに信号を送り得る。より粘性のインプラントは、より粘弾性のインプラントと比較して、同じレベルの機械的流動を起こさないであろう。
【0056】
[0081]従来の技術の組成物に対して、濃いコラーゲン材料は、個々の粒子を被包することが観察されている。インプラントは、筋束(筋束が、離れて押圧されたように見える)間で連続塊を形成し、粒子は、粒子間を統合する菲薄化コラーゲンユニットを持つ厚い線維輪によって囲まれる。対照的に、コラーゲン統合が、粒子間の連続織のように見え、個々の粒子の周りの厚いカプセルのようではないことが、真皮および粘膜領域で観察されている。個々の粒子の周りのこの厚いコラーゲン材料は、唇小結節生検で観察されたものと同様である。この被包は、唇筋肉における連続的な生体力学的力、材料の弾性および粘着性、ならびに筋束間の蓄積に関連している可能性がある。
【0057】
[0082]したがって、本発明の範囲を限定するものではないが、より高いtanδを有する組成物は、CaHA粒子周囲の過剰な線維組織から生じる、早期の小結節(明らかに、CMCを貪食および除去することに対する初期の炎症反応および異物反応と関係があるもの)および後期の小結節の発生率を減少させ得る。弾性がより低く、より低粘度の組成物は、宿主細胞に信号を送る生体力学的運動を減少させながら、より円滑な流動およびより押し込み可能なインプラントを提供することができるため、それによって、小結節がより少ない結果となる。
【0058】
[0083]基礎のインプラント製品および選択的にCaHAのようなセラミック等の充填材料の使用に加えて、患者の病状の治療に医学的に有用なあらゆる物質を、混合工程におけるあらゆるステップでインプラント組成物に添加することができる。そのような物質は、アミノ酸、ペプチド、ビタミン、タンパク質合成のための補助因子、ホルモン、内分泌組織または組織断片、シンセサイザー、血管新生薬およびそのような薬を含有するポリマー担体、コラーゲン格子、生体適合性界面活性剤、抗原、細胞骨格剤、軟骨断片、軟骨細胞等の生細胞、骨髄細胞、間葉系幹細胞、天然抽出物、形質転換増殖因子(TGF−beta)、インスリン様成長因子(IGF−1)、ソマトトロピン等の成長ホルモン、フィブロネクチン、細胞誘引剤ならびに付着剤を含む。加えて、ゲルへのリドカインおよび他の麻酔薬の添加は、0.1重量%から5重量%、好ましくは、0.3重量%〜2.0重量%、および最も好ましくは0.2重量%〜0.5重量%の範囲内にある。
【0059】
好適な実施形態の製造
[0084]インプラント材料の適切な設計および製造を行うため、レオロジーパラメータを選択的に確立して、特定の組織部位を標的とするインプラント製品を得る。この工程を詳細に記述するために、図3を参照して、段階的に方法を説明する。第1のステップ100において、植え込みのための特定の組織部位を選択する。例えば、組織部位は、唇組織、真皮および筋肉組織等のより硬い組織を含むことができる。組織部位は、ある範囲にわたる応力に対するそれらのレオロジー応答によって特性化することができる。図4に示すような唇組織には、活性の3つの領域がある。初期の小さい応力(0.1Hz)に対する領域1において、位相角度は、材料が弾性または筋肉様(0から5の範囲)であり、性状において線形であることを示す。より大きな初期の位相角度ほど、筋肉/組織相互作用の性状を支配しないか、または組織(真皮等)をより軟化させる。領域2において、応力の一般的増加は、制限された位相角度変更をもたらす。筋肉収縮は、筋肉の弾性性状を支配せず、筋肉組織弾性限界を超過しない。領域3において、応力の全般的増加は、位相角度変化をもたらす。応力は、筋肉組織限界の弾性性状を支配し始める。応力に対する生理的に関連する範囲は、0.1Hzから10Hzである。唇における皮膚の充填用途を至
適化するには、筋肉および球根状の軟組織の移動を考慮する必要がある。唇形態は、軟組織との筋肉相互作用によって主に方向付けられる。唇収縮は、小さい筋肉群、つまり多平面および次元における組織結節によって制御される。したがって、Hpに対する皮膚の充填材は、最も好ましくは粘弾性であるべきである。材料は、小応力下で粘性であり、徐々に弾性となるべきである。弾性性状は、材料を植え込まれた場所に留めるために必須である。G’&G”に対する振幅は、同様のECM多糖の生理的範囲内にあるべきであり(Fung YC,1993”Biomechanics:Mechanical Properties of Living Tissue”,Second Edition,Springer−Verlog,New York,NYを参照)、10cpsから300cpsの範囲であり得る。これを下記の表6に要約する。
【0060】
【表6】
【0061】
[0085]G’およびG”値の範囲を維持するか、またはより近い近似値を求める材料が好適であろう。好適な実施形態は、あらゆる従来の製品よりも、正常の生理的応答に大幅に類似する応答を実証する。
【0062】
[0086]第2のステップ110において、選択した組織部位のレオロジー特性を決定し、これらのレオロジー特性の適切な限界を確立すべきである。その結果として、データは、その使用時に組織レオロジーおよび挙動の範囲を画定するように累積されなければならない(直接的な実験により、または既報のデータの参照により)。
【0063】
[0087]次のステップ120において、インプラント材料システムを特定し、概して、所望のレオロジーを達成して、化学的分解または位相分離を回避するために、幾つかの要件を充足させることが重要である。最初に、体内に良好な化学的安定性を確立することができる多糖ベースのゲルを選択することが望ましい。加えて、ゲルは、緩衝液および潤滑剤と組み合わせ、体内組織使用のパラメータ全体への許容可能なレオロジー挙動でインプラントの生成を可能とするように、適切に滅菌することができる。そのような好適なシステムの例は、NaCMC多糖ゲル、PBS等の緩衝液、およびグリセリン等の潤滑剤を含む。複合体材料は、滅菌時に約22以上からおよび最も好ましくは約24から33のFo値を達成し、これは、約10−6滅菌性の値を提供する。インプラント粘度対Foを図5に示す。
【0064】
[0088]また、他のインプラント成分も有用であり、最も好ましくは、セルロース/澱粉、キチンおよびキトサン、ヒアルロン酸、疎水性物質修飾系、アルギン酸、カラゲナン、寒天、アガロース、分子内複合体、オリゴ糖ならびに大環状系等の上述した他の多糖を含む。加えて、限定されないがグリシン、クエン酸、および炭酸等の任意の生理的に許容可能な緩衝液を用いることができる。また、例えば、限定されないがミネラルオイルおよび複合体脂肪酸等の潤滑剤も用いることができる。これらの全ての成分は、特定の組織部位の使用範囲にわたって処方されたレオロジーパラメータの達成を可能にする、以降に記載する厳密な製造基準を適用することによって調整しなければならない。
【0065】
[0089]次のステップ130において、選択したインプラント材料の化学的パラメ
ータを、比較的広範囲のレオロジー挙動を達成させるように変化させる。これらの化学的パラメータは、下流解析工程が、多数の可能性の中から全ての有用な化学的組成物を確実に特定することができるように、そのような適度に広い範囲を網羅するように選択する。以降に記述および図示されるように、この広い一連の化学的値は、化学的特徴が、選択したレシピエント組織部位に適合されたレオロジー挙動を有するインプラント材料にマッピングする、メリットのある位相ゾーンまたは領域の分析的単離を可能にする。
【0066】
[0090]上述のように、従来の技術のインプラント製品には、重大な欠陥がある。例えば、唇組織のためのある種類の多糖ゲルベースのインプラントにおいて、インプラントは、化学反応を起こす傾向があるか、または位相分離が発生し、唇組織に不規則な凹凸の外見を生じさせる小結節の蓄積を引き起こす。以下に示すようなこれらの既知の製品および他の既知の製品は、メリットのある適切なレオロジー位相ゾーンまたは領域外である。既知のインプラントは、生理的に関連する範囲(応力に対して約0.1〜10Hz)にわたって粘性挙動を示さないため、G”=G’またはtanδ>1をクロスオーバーしない。従来の技術のインプラントは、より濃く(つまり、より粘着性)、体が、材料を異質なヒアルロン酸としてますます認識するにつれてさらなる炎症反応を生じさせる。従来の技術製品のさらに別の実施形態においては、材料は、欠陥インプラントに繋がるクロスオーバーしないG’およびG”プロットを有する高度に架橋されたヒアルロン酸またはヒアルロン酸粒子に基づいている。
【0067】
[0091]化学的パラメータの特定および広範な化学的インプラント値の選択を含むステップ130の後、ステップ140において、試験製品検体を、広い範囲にわたって調製し、それらのレオロジー性状を決定する。レオロジー値のマトリックスは、関心対象となる体内組織可変範囲にわたる、周波数の関数としての周波数応答(位相角度として登録)、弾性係数G’、粘度係数G”、tanδ(G’/G”)および粘度を含む。次いで、材料組成物間の比較分析を、以降に記載する方法によって、メリットのある位相領域を単離するために行うことができる。
【0068】
[0092]上述のように、化学変数の十分なマトリックスに対して実験データを取得しし、最終レオロジーパラメータが決定された。種々の実験データならびに所望のレオロジーを満たすための境界線のレオロジー輪郭および数学的記述を、以下の実施例19に記載する。データは、CMC濃度、グリセリン濃度、リン酸緩衝液濃度およびFo値の4つの基本入力を使用して処理した。幾つかの代表的なインプラント製品に対するFoの変動を図5に示す。後述し、幾つかの図に示されたこれらの複雑な計算を行う際に、121℃滅菌サイクルを使用して、Foを約22および33のエンドポイントで設定したが、他の温度および時間は、同じFo値を達成するために使用することができ、他の全ての化学変数の効果を決定して、適切な標的レオロジー特性または所与の組織インプラント部位に対する特性に、化学変数をマッピングさせることができる。概して、材料の滅菌は、製品への10−6滅菌性要求を確実にするように、特定のFoを到達させる必要があることが理解される。滅菌時間および温度の異なる組み合わせの使用を、滅菌工程を至適化するために、Getinge Ab,Swedenオートクレーブにおいて試験した。材料を、3分、6分、12分、および30分間の運転サイクルで、121℃でオートクレーブした。滅菌プログラムは、それぞれ22、25、28および33に等しい滅菌有効性(Fo)を有し、10−6滅菌性が達成された。材料を、4分、7.5分、および11分間の運転サイクルで、124℃でオートクレーブした。滅菌プログラムは、それぞれ26、36、46に等しい滅菌有効性(Fo)を有した。材料を、0.5分、1.5分、および3分間の運転サイクルで、127℃でオートクレーブした。滅菌プログラムは、それぞれ42、49、57に等しい滅菌有効性(Fo)を有した。
【0069】
[0093]また、製造方法において使用されるレオロジーパラメータの変動は、所望
のインプラントレオロジーを達成するために使用される分析方法に組み入れることもできる。例えば、tanδ=G”/G’およびそのような相互関係は、レオロジーパラメータの第3の変数の影響を決定するための、3つのパラメータのうちの2つについての与えられた知識等の、分析の単純化を可能にすることができる。上で言及したように、選択した組織インプラント部位に対する特定の関心対象となるレオロジーパラメータのサブセットがあり得、したがって、上記の全てのレオロジーパラメータ値を得る必要がない場合がある。加えて、1つ以上のレオロジーパラメータは、1つ以上の製造変数(例えば、多糖ゲルの含有量、緩衝液濃度、オートクレーブFo値および潤滑剤含有量)の変動に実質的に影響を受け得ない。これは、次いで、組織に対する特定の1つ以上のレオロジー特性への製品マッピングの調製を可能にするであろう。
【0070】
[0094]図6の次のステップ150において、分析方法が、所望のレオロジー位相ゾーンにマッピングさせることが必要とされる正確な化学変数を特定するために使用され、特定の組織部位に対するレオロジー的に一致したインプラント製品を達成する。上述したように、好適な実施形態においては、滅菌は、商業的に許容可能な10−6滅菌性状態を達成するために、特定の範囲のFoで行なわれた。さらに、Fo値を、冷却段階の開始まで全ての処置で直線的に増加させた。累積Fo曲線への異なる滅菌温度の主な効果は、滅菌温度の増加とともに、曲線の傾斜において増加した(図5参照)。また、薬局方において通常提案されるものよりも高い滅菌温度を使用して、したがって、工程時間を短縮させることも可能である。この滅菌工程は、好ましくは、約22から少なくとも約33のFo値範囲に相当し、また、これらの値は、ポリマー鎖分解度の変化、ならびに所望の滅菌性を達成することにも関連する。しかしながら、ポリマー鎖のこの分解は、レオロジーパラメータへの影響に繋がり、最も好適な実施形態においては、24〜33の範囲が、インプラント製品が、組織インプラント部位で良好に行うために必要なレオロジー値を有する、メリットのある適切なレオロジー位相ゾーンまたは領域を確立するように、全ての残りの調製変数に関して特性付けられた。また、この手法は、より高いFo値の効果を決定するために容易に拡張することもできる。
【0071】
[0095]このステップ150において、適切なインプラント化学特性を特定するデータ分析のための好適な一手法が、厳密なモデル化手順を行うための、各データ点と関連する一連の化学値を使用して行なわれる。さらなる詳細は、実施例20に記載する。また、この実施形態は、CMC濃度、グリセリン濃度、リン酸緩衝液濃度およびFo値の4つの入力を使用することによる、スクリーニングモデルとしても説明することができる。例えば、CMCは、0.1%単位で2.3重量%から2.9重量%の間で変化し、グリセリン含有量は、1.5重量%に設定し、緩衝液は、0.M、25mMおよび100mM濃度に設定した。次いで、モデルは、実施例19で説明するような2つの別々のTaguchiアレイスクリーニングモデルを使用して遂行した。
【0072】
JMP7.0プルダウンメニューを使用し、以下のパスをSAS JMPバージョン2.0ソフトウェアにおいて使用した。
【0073】
Open Data set/Analyze/fit model/
【0074】
Fo、CMC濃度(%CMC)、グリセリン濃度(%Gly)、PBS濃度(XmM)をハイライトしてモデル入力を選択。
【0075】
マクロを使用し、入力に対する全ての相互作用を得るためにスクリーニングを選択および/または実行させる
モデル回帰にふさわしい線形最小二乗法を使用
レポートフォーマットのため、スクリーニング実行を使用
モデルの実行:線形最小二乗法下で(出力のグラフ化オプション)
予測プロファイラーをハイライトして、入力相互作用を図式化。
【0076】
仕様限界を設定するプルダウンメニューを使用−任意
最適化は、使用する仕様限界に基づく。
【0077】
望ましさは、条件が、入力条件の仕様をどれだけうまく満たすかの望ましさに基づいた単位なしのパラメータである。望ましさは、データセットの各条件に対して計算され得る。望ましさのグラフ化は、仕様を満たす全ての条件のグラフ表示を可能にする。
【0078】
輪郭プロファイラーをハイライトして、2D入力を図式化/相互作用に応答。
【0079】
表面プロファイラーをハイライトして、3D入力を図式化/相互作用に応答。
【0080】
2つの変数に基づいた2Dグラフ化の逐次反復は、自己制御式出力関数の反復検査を可能にする。これは、包括的なエクササイズであり、限定条件プロットのみを表す。この評価の下、滅菌時間は、12から25分(Fo22から33)の限定であることが分かった。
【0081】
[0096]次いで、Foの限界値を、各出力に対するスクリーニングモデル輪郭からの予測式を使用して、予測モデルの展開に取り込んだ。スクリーニングモデルは、CMC濃度(CMC%)、グリセリン濃度(グリセリン%)、リン酸緩衝液濃度(mM)およびオートクレーブ時間の4つの入力に基づいて展開した。CMC濃度(CMC%)は、0.1%w/v単位で、2.3%w/vから2.9%w/vの間で変化させた。グリセリン濃度(グリセリン%)は、0%w/v、1.0%w/vおよび1.5%w/vを保持した。緩衝液濃度(mM)は、0、25mM、50mMおよび100mM濃度と変化させた。これにより、420の相互作用条件を有する完全な要因設計が生成される。予測式を完全な要因設計に入力した。レオロジー出力は、スクリーニングモデル予測式に基づいて計算した。添付IIを参照。再び、データは、予測プロファイル、3次元(「3D」)表面輪郭プロットを生成するために、図6のステップに従って、SAS JMPバージョン7.0統計ソフトウェアを使用することによって分析した(例えば、図7B(i)〜7B(viii)を参照されたい。この予測モデルは、より多くのデータポイントをモデル記述に組み入れて、本モデルに対する統計的強度を提供する。さらなる詳細は、実施例19に記載する。
【0082】
[0097]再び、前述したように、SAS JMPバージョン7.0統計的ソフトウェアを使用することによる分析は、有用な次元(「3D」)輪郭プロットを提供する(例えば、図7B(i)〜7B(viii)、図7Cおよび図9A(i)〜9A(ix)も参照されたい)。また、他の適切な従来の統計的分析ソフトウェアも、この一種類の手法において使用して、試験製品試料からの基本の化学的パラメータデータを分析することもできる。この手法により、インプラント/組織制約に基づいて、3D表面の形成を可能にするデータ適合およびメリットのある位相領域を特定するための線適合を生成して、レオロジー挙動の3次元プロットならびに事前設定の所望のレオロジー条件および特性を満たすように、それらのレオロジーパラメータの最小および最大範囲の選択を判定することができる。また、下記の実施例19は、境界線および輪郭を画定する方程式の詳細も提供する。
【0083】
[0098]インプラント製品に対するレオロジー変数の判断基準に関して、実施例19は、唇組織におけるインプラント用途のためのものであり、(1)G’およびG”挙動は、唇組織の間質細胞外マトリックスが、レオロジー範囲を特定することができるヒアル
ロン酸多糖を含むため、所望の特性にマッピングするように好ましくは、約0から300pasの範囲内にあるべきであり、それらのプロットは、唇組織機能性と一致する約0.5から4Hzの生理的に関連する周波数でクロスオーバーすべきであり、ならびに(2)粘度は、同じ生理的に関連する応力範囲のために、約0から300,000cpsであるべきである。tanδは、低応力条件に対して1より大きくあるべきであり、材料に固有な粘性性質を示し、応力が増加するにつれてtanδは、減少し、唇の弾性挙動、組織結節性特性を示す。位相または偏向角度は、0.1Hzから4Hzの応力範囲にわたって約5から110であるべきである。SAS分析方は、以下のレオロジー評価パラメータを満たすレオロジー変数プロットのファミリーを生成した。これは表7に要約することができる。
【0084】
【表7】
【0085】
[0099]次のステップ160において、数学的挙動を有する線は、条件が満たされたレオロジー変数の1つ1つに対する一連の特定された座位の一部である。これらは、隣接した暗いゾーンから許容可能な白いゾーンを分離させる線として図7に示す。上に記載されるように、実施例19は、分析および数学的記述のさらなる詳細を提供する。また、
ステップ170において、メリットのある位相ゾーンを特定することができ、これは、多数のレオロジーパラメータ限界が全て満たされた図7Cにおける白いゾーンである。これにより、メリットのある位相ゾーンの標的インプラント製品が確立される。一部の場合において、上述のように、インプラント組織要件を満たす化学的特徴を特定するために、「メリットのある領域」を定義するにはレオロジーパラメータのうちの1つのみを使用することが必要である。適切な性能またはメリットのこれらのレオロジー座位およびメリットのある標的レオロジー位相ゾーンも描写する多数の実施例を、以下に記載する。実施例は、特に、唇組織植え込みに関するが、他の組織レオロジーの知識を考慮して、既知のレオロジーパラメータを有するあらゆる組織部位に、本明細書に記述した手法を使用することができる。統計的方法は、例えばモンテカルロ計算を含む、先述のSAS既製ソフトウェア形式によって遂行され、これは、分析の一部であり、図3の統計的分析フローチャートに示す。
【0086】
[0100]別の実施形態においては、ステップ160および170に基づいた強化は、化学変数に関連してレオロジー変数の適応性および機能性を確立するように実施することができる。これは、至適な化学変数対レオロジー出力のプロットを形成するために、スクリーニングモデル最小二乗回帰でレオロジーパラメータの1つ以上の入力を使用して、予測的プロファイラー数学的モデルを生成するステップ180により達成することができる。図8は、2つの化学変数に応じてレオロジーパラメータのうちの1つを選択するステップ150のスクリーニングモデルを実施するステップ181における予測的プロファイラーのステップを示す。この分析から、SASソフトウェアは、ステップ182において、レオロジーパラメータ対2つの化学変数(例えば、図9A(i))〜9A(ix)参照)の3D輪郭を生成することができる。次のステップ183において、平面横断面が、化学変数(図9A(ii)参照)のうちの1つの設定値で取られる。次のステップ184において、レオロジー関数の輪郭を有する平面交差は、選択した変数に対するこれらの種々の線のマトリックスを確立する(所与のパラメータに対するレオロジー輪郭中のこれらの種々の線のマトリックスについては、図9Bを参照)。ステップ185において、化学変数に対するレオロジーパラメータの感受性の知識は、化学特性(図9Bの種々のプロットを参照)の制御を可能にする。次いで、これらの予測プロファイルは、どのように、ある化学変数入力の変化が、他の変数が一定に保たれる際、特定のレオロジー変数に極めて少ない影響しか与えず、一方で、他の化学変数が、その他の変数一定に保たれる際、レオロジー応答に対し非常に劇的な影響を与えるかを示す。例えば、図9Bに示すように、PBS化学変数は、選択したレオロジー出力において相当劇的な変化を生じさせる。それらの可変性(または、それが無いこと)は、所望の最終製品の製造を単純化させるか、または選択した組織インプラント部位に適したレオロジー位相ゾーンもしくは領域内の位置の知識との併用で、所与のレオロジー変数の最終値をさらに達成するために使用することができる。上に記載されるように、輪郭および線を説明するために、SASソフトウェアによって作成された数学的方程式のさらなる詳細は、実施例19にて特徴付けられ、ソフトウェアのグラフ化スクリプトによって実行される。
【0087】
[0101]ステップ190の別の手順において、「望ましさ」尺度または領域は、必要な出力範囲を満たすそれらの条件のみにモデルを制限することにより、入力データおよびレオロジーパラメータを分析することによって決定することができる。望ましさは、試験条件が仕様を満たすかどうか、およびどの程度までかを評価する指標である。0未満のそれらの値は、許容可能な材料に対する判断基準のうちの1つまたは全てを満たすことができない。したがって、それらは、3Dプロットに含まれない。プラスの望ましさを有する変数の全ての他の組み合わせは、ある相対的に異なる程度で仕様目標を満たす。望ましさの閾値条件は、この場合に取得可能な予測的至適として(一条件も全ての出力を至適化しないため)0.5に制限した。モデル強度は、実験データの量を増加させることによってさらに増強することができる。これは、全ての可能な条件の、より多くの反復実行とい
う、総当たりの方法を通じて行うことができ、またはこの場合においては、統計的SAS
JMPバージョン7.0は、許容可能な材料の程度を無限に制限するためにモンテカルロシミュレーションを含み、したがって、許容可能な領域の表面を画定した。望ましさに対する閾値限界は、通常の変動をモンテカルロシミュレーションに含めたため、モデルシミュレーションにおいて信頼度を許容するように0.15で確立した。
【0088】
[0102]上に記載した方法および製品は、複数の特定のタイプの患者のうちのいずれか1人の組織に対するレオロジーデータのデータベースを確立する供給者によって実施することができ、供給者は、次いで、どの製品が、特定の組織に対する適合性要件を満たすのかを決定するために、インプラント製品およびそれらの関連するレオロジー特性を策定することができる。したがって、メリットのある上述の領域およびまた望ましさプロットは、適切な製品を定義することに役立ち得る。
【0089】
[0103]そのような「望ましさ」分析の実施例は、以下の図31A〜31Fに提供する。
【0090】
[0104]以下の制限されない実施例は、本発明の種々の態様を例証する。
【実施例1】
【0091】
滅菌水中の2.3%CMCナトリウムゲルの調製
[0105]カルボキシルメチルセルロースナトリウムを、注入のための滅菌水中で調製し、水酸化カリウムを使用して、約7.1から約8.0のpHに調整した。分散物を、26mmHg以上で真空を保持しながら、1725RPMの軌道Rossミキサー中で5分間混合し、次いで、1725RPMの軌道Rossミキサー中で40分間混合した。次いで、組成物を121℃で3分から30分の時間の間蒸気消毒した。加えて、一試料を、121℃で3分から30分の時間間隔の間滅菌した。結果を図10に示し、G’は弾性係数を表し、G”は粘度係数を表し、およびηは複素粘度を表す。プロファイルは、G’およびG”が0.495Hz(3.2ラド/秒)で交差することを示す。この周波数を超えると、組成物は、非ニュートン溶液特徴を呈する(tanδ<1.0)。
【実施例2】
【0092】
滅菌水中の2.4%CMCナトリウムゲルの調製
[0106]カルボキシルメチルセルロースナトリウムを、注入のための滅菌水中で調製し、水酸化カリウムを使用して、約7.1から約8.0のpHに調整した。分散物は、26mmHg以上で真空を保持しながら、1725RPMの軌道Rossミキサー中で5分間混合し、次いで、1725RPMの軌道Rossミキサー中で40分間混合した。次いで、組成物を121℃で3分から30分の時間の間蒸気消毒した。加えて、一試料を、121℃で3分から30分の時間間隔の間滅菌させた。結果を図11に示し、G’は弾性係数を表し、G”は粘度係数を表し、およびηは複素粘度を表す。プロファイルは、G’およびG”が、0299Hz(1.8ラド/秒)(図1に示すものより低い周波数)で交差することを示す。この周波数を超えると、組成物は、非ニュートン溶液特徴を呈する(tanδ<1.0)。
【実施例3】
【0093】
滅菌水中の2.5%CMCナトリウムゲルの調製
[0107]カルボキシルメチルセルロースナトリウムを、注入のための滅菌水中で調製し、水酸化カリウムを使用して、約7.1から約8.0のpHに調整した。分散物は、26mmHg以上で真空を保持しながら、1725RPMの軌道Rossミキサー中で5分間混合し、次いで、1725RPMの軌道Rossミキサー中で40分間混合した。次いで、組成物を121℃で12分から30分の時間の間蒸気消毒した。加えて、一試料を
、121℃で3分から12分の時間間隔の間滅菌させた。結果を図12に示し、G’は弾性係数を表し、G”は粘度係数を表し、およびηは複素粘度を表す。プロファイルは、G’およびG”が、図10および11に示すものと比べて、0.157Hz(1ラド/秒)周波数で交差することを示す。この周波数を超えると、組成物は、非ニュートン溶液特徴を呈する(tanδ<1.0)。
【実施例4】
【0094】
滅菌水中の2.6%CMCナトリウムゲルの調製
[0108]カルボキシルメチルセルロースナトリウムを、注入のための滅菌水中で調製し、水酸化カリウムを使用して、約7.1から約8.0のpHに調整した。分散物は、26mmHg以上で真空を保持しながら、1725RPMの軌道Rossミキサー中で5分間混合し、次いで、1725RPMの軌道Rossミキサー中で40分間混合した。次いで、組成物を121℃で12分から30分の時間の間蒸気消毒した。加えて、一試料を、121℃で3分から12分の時間間隔の間滅菌させた。結果を図13に示し、G’は弾性係数を表し、G”は粘度係数を表し、およびηは複素粘度を表す。プロファイルは、G’およびG”が、0.164Hz(1.03ラド/秒)で交差することを示す。この周波数を超えると、組成物は、非ニュートン溶液特徴を呈する(tanδ<1.0)。
【実施例5】
【0095】
リン酸カリウム緩衝液中の2.3%CMCナトリウムゲルの調製
[0109]カルボキシルメチルセルロースナトリウムを、滅菌25mMから100mMリン酸カリウム緩衝液pH中で調製し、水酸化カリウムを使用して、約7.2から約8.0のpHに調整した。分散物は、26mmHg以上で真空を保持しながら、1725RPMの軌道Rossミキサー中で5分間混合し、次いで、1725RPMの軌道Rossミキサー中で40分間混合した。次いで、組成物を121℃で3分から12分の時間の間蒸気消毒した。加えて、一試料を、121℃で3分から12分の時間間隔の間滅菌させた。結果を図14に示し、G’は弾性係数を表し、G”は粘度係数を表し、およびηは複素粘度を表す。プロファイルは、G’およびG”が、2.401Hz(15ラド/秒)(図13に示すものと同様)で交差することを示す。この周波数を超えると、組成物は、非ニュートン溶液特徴を呈する(tanδ<1.0)。
【実施例6】
【0096】
リン酸カリウム緩衝液中の2.4%CMCナトリウムゲルの調製
[0110]カルボキシルメチルセルロースナトリウムを、滅菌25mMから100mMリン酸カリウム緩衝液pH中で調製し、水酸化カリウムを使用して、約7.2から約8.0のpHに調整した。分散物は、26mmHg以上で真空を保持しながら、1725RPMの軌道Rossミキサー中で5分間混合し、次いで、1725RPMの軌道Rossミキサー中で40分間混合した。次いで、組成物を121℃で3分から12分の時間の間蒸気消毒した。加えて、一試料を、121℃で3分から12分の時間間隔の間滅菌させた。結果を図15に示し、G’は弾性係数を表し、G”は粘度係数を表し、およびηは複素粘度を表す。プロファイルは、G’およびG”が、1.56Hz.(9.8ラド/秒)で交差することを示す。この周波数を超えると、組成物は、非ニュートン溶液特徴を呈する(tanδ<1.0)。
【実施例7】
【0097】
リン酸カリウム緩衝液中の2.5%CMCナトリウムゲルの調製
[0111]カルボキシルメチルセルロースナトリウムは、滅菌25mMから100mMリン酸カリウム緩衝液pH中で調製し、水酸化カリウムを使用して、約7.2から約8.0のpHに調整した。分散物は、26mmHg以上で真空を保持しながら、1725RPMの軌道Rossミキサー中で5分間混合し、次いで、1725RPMの軌道Ross
ミキサー中で40分間混合した。次いで、組成物を121℃で3分から12分の時間の間蒸気消毒した。加えて、一試料を、121℃で3分から12分の時間間隔の間滅菌させた。結果を図16に示し、G’は弾性係数を表し、G”は粘度係数を表し、およびηは複素粘度を表す。プロファイルは、G’およびG”が、4.54Hz(28.5ラド/秒)で交差することを示す。この周波数を超えると、組成物は、非ニュートン溶液特徴を呈する(tanδ<1.0)。
【実施例8】
【0098】
リン酸カリウム緩衝液中の2.6%CMCナトリウムゲルの調製
[0112]カルボキシルメチルセルロースナトリウムは、滅菌25mMから100mMリン酸カリウム緩衝液pH中で調製し、水酸化カリウムを使用して、約7.2から約8.0のpHに調整した。分散物は、26mmHg以上で真空を保持しながら、1725RPMの軌道Rossミキサー中で5分間混合し、次いで、1725RPMの軌道Rossミキサー中で40分間混合した。次いで、組成物を121℃で3分から12分の時間の間蒸気消毒した。加えて、一試料を、121℃で3分から12分の時間間隔の間滅菌させた。結果を図17に示し、G’は弾性係数を表し、G”は粘度係数を表し、およびηは複素粘度を表す。プロファイルは、G’およびG”が、3.61(22.7ラド/秒)Hzで交差することを示す。この周波数を超えると、組成物は、非ニュートン溶液特徴を呈する(tanδ<1.0)。
【実施例9】
【0099】
リン酸カリウム緩衝液中の2.7%CMCナトリウムゲルの調製
[0113]カルボキシルメチルセルロースナトリウムを、滅菌25mMから100mMリン酸カリウム緩衝液pH中で調製し、水酸化カリウムを使用して、約7.2から約8.0のpHに調整した。分散物は、26mmHg以上で真空を保持しながら、1725RPMの軌道Rossミキサー中で5分間混合し、次いで、1725RPMの軌道Rossミキサー中で40分間混合した。次いで、組成物を121℃で3分から12分の時間の間蒸気消毒した。加えて、一試料を、121℃で3分から12分の時間間隔の間滅菌させた。結果を図18に示し、G’は弾性係数を表し、G”は粘度係数を表し、およびηは複素粘度を表す。プロファイルは、G’およびG”が、3.49Hz(21.9ラド/秒)で交差することを示す。この周波数を超えると、組成物は、非ニュートン溶液特徴を呈する(tanδ<1.0)。このCMCナトリウム濃度(2.7%)で、交差は、図16(2.5%CMC)に示すものよりも低い周波数に移行する、組成物は、依然としてニュートン流体特徴を呈する。
【実施例10】
【0100】
リン酸カリウム緩衝液中の2.8%CMCナトリウムゲルの調製
[0114]カルボキシルメチルセルロースナトリウムを、滅菌25mMから100mMリン酸カリウム緩衝液pH中で調製し、水酸化カリウムを使用して、約7.2から約8.0のpHに調整した。分散物は、26mmHg以上で真空を保持しながら、1725RPMの軌道Rossミキサー中で5分間混合し、次いで、1725RPMの軌道Rossミキサー中で40分間混合した。次いで、組成物を121℃で3分から12分の時間の間蒸気消毒した。加えて、一試料を、121℃で3分から12分の時間間隔の間滅菌させた。結果を図19に示し、G’は弾性係数を表し、G”は粘度係数を表し、およびηは複素粘度を表す。プロファイルは、G’およびG”が、4.88Hz(30.7ラド/秒)で交差することを示す。この周波数を超えると、組成物は、非ニュートン溶液特徴を呈する(tanδ<1.0)。交差は最上位周波数で発生するため、この組成物は、ほぼ全ての周波数でニュートン特徴を呈する。
【実施例11】
【0101】
リン酸カリウム緩衝液およびグリセリン中の2.6%CMCナトリウムゲルの調製
[0115]カルボキシルメチルセルロースナトリウムを、滅菌25mMから100mMリン酸カリウム緩衝液pH中で調製し、水酸化カリウムを使用し、および最大1%グリセリンを含有させて、約7.2から約8.0のpHに調整した。分散物は、26mmHg以上で真空を保持しながら、1725RPMの軌道Rossミキサー中で5分間混合し、次いで、1725RPMの軌道Rossミキサー中で40分間混合した。次いで、組成物を121℃で3分から12分の時間の間蒸気消毒した。加えて、一試料を、121℃で3分から12分の時間間隔の間滅菌させた。結果を図20に示し、G’は弾性係数を表し、G”は粘度係数を表し、およびηは複素粘度を表す。プロファイルは、G’およびG”が、1.254Hz(7.8ラド/秒)で交差することを示す。この周波数を超えると、組成物は、非ニュートン溶液特徴を呈する(tanδ<1.0)。リン酸カリウム中CMCナトリウムゲルへのグリセリンの添加は、組成物のレオロジーに有意な影響を及ぼし、約1.0より高い周波数で、それを、ニュートン流体から非ニュートン流体にそれを本質的に変化させる。
【実施例12】
【0102】
リン酸カリウム緩衝液およびグリセリン中の2.7%CMCナトリウムゲルの調製
[0116]カルボキシルメチルセルロースナトリウムを、滅菌25mMから100mMリン酸カリウム緩衝液pH中で調製し、水酸化カリウムを使用し、および最大1%グリセリンを含有させて、約7.2から約8.0のpHに調整した。分散物は、26mmHg以上で真空を保持しながら、1725RPMの軌道Rossミキサー中で5分間混合し、次いで、1725RPMの軌道Rossミキサー中で40分間混合した。次いで、組成物を121℃で3分から12分の時間の間蒸気消毒した。加えて、一試料を、121℃で3分から12分の時間間隔の間滅菌させた。結果を図21に示し、G’は弾性係数を表し、G”は粘度係数を表し、およびηは複素粘度を表す。プロファイルは、G’およびG”が、1.158Hz(7.2ラド/秒)で交差することを示す。この周波数を超えると、組成物は、非ニュートン溶液特徴を呈する(tanδ<1.0)。リン酸カリウム中CMCナトリウムゲルへのグリセリンの添加は、組成物のレオロジーに有意な影響を及ぼし,約1.0より高い周波数で、それを、ニュートン流体から非ニュートン流体に本質的に変化させる。
【実施例13】
【0103】
リン酸カリウム緩衝液およびグリセリン中の2.8%CMCナトリウムゲルの調製
[0117]カルボキシルメチルセルロースナトリウムを、滅菌25mMから100mMリン酸カリウム緩衝液pH中で調製し、水酸化カリウムを使用し、および最大1%グリセリンを含有させて、約7.2から約8.0のpHに調整した。分散物は、26mmHg以上で真空を保持しながら、1725RPMの軌道Rossミキサー中で5分間混合し、次いで、1725RPMの軌道Rossミキサー中で40分間混合した。次いで、組成物を121℃で3分から12分の時間の間蒸気消毒した。加えて、一試料を、121℃で3分から12分の時間間隔の間滅菌させた。結果を図22に示し、G’は弾性係数を表し、G”は粘度係数を表し、およびηは複素粘度を表す。プロファイルは、G’およびG”が、0.914Hz(5.7ラド/秒)で交差することを示す。この周波数を超えると、組成物は、非ニュートン溶液特徴を呈する(tanδ<1.0)。リン酸カリウム中CMCナトリウムゲルへのグリセリンの添加は、組成物のレオロジーに有意な影響を及ぼし、約1.0より高い周波数で、それを、ニュートン流体から非ニュートン流体に本質的に変化させる。
【実施例14】
【0104】
リン酸カリウム緩衝液およびグリセリン中の2.9%CMCナトリウムゲルの調製
[0118]カルボキシルメチルセルロースナトリウムを、滅菌25mMから100m
Mリン酸カリウム緩衝液pH中で調製し、水酸化カリウムを使用し、および最大1%グリセリンを含有させて、約7.2から約8.0のpHに調整した。分散物は、26mmHg以上で真空を保持しながら、1725RPMの軌道Rossミキサー中で5分間混合し、次いで、1725RPMの軌道Rossミキサー中で40分間混合した。次いで、組成物を121℃で3分から12分の時間の間蒸気消毒した。加えて、一試料を、121℃で3分から12分の時間間隔の間滅菌させた。結果を図23に示し、G’は弾性係数を表し、G”は粘度係数を表し、およびηは複素粘度を表す。プロファイルは、G’およびG”が、1.065Hz(6.7ラド/秒)で交差することを示す。この周波数を超えると、組成物は、非ニュートン溶液特徴を呈する(tanδ<1.0)。リン酸カリウム中CMCナトリウムゲルへのグリセリンの添加は、組成物のレオロジーに有意な影響を及ぼし、約1.0より高い周波数で、それを、ニュートン流体から非ニュートン流体に本質的に変化させる。
【実施例15】
【0105】
1150C 焼結材料は、以下の材料および工程条件を含む。
【0106】
[0119]この実施例の材料は、30%から45%培地、2.6%から3.25%CMC、0から15%グリセリン、0mMから100mM PBSを有するインプラントを含んだ。
【0107】
[0120]CMC、緩衝液、グリセリンおよび培地を一緒に添加し、連続的および持続的真空下で、20分間から3時間遊星ミキサーで混合した。材料を、1ccシリンジに充填し、アルミ箔内に入れ、最後に、121Cで15分から30分間蒸気滅菌した。
【0108】
[0121]レオロジー評価を、30%から40%培地、2.6%CMCから3.25%CMC、1.5%から15%グリセリン、0から25mMで行った。その結果を図24〜28に示す。試験した材料およびそれらの特性の一部を下記の表Aにリストする。最初の列のインプラントは、従来の技術で教示される通りのものである。2番目の列のインプラントは、高移動度組織で用いる本発明の原理に従っている。3番目の列のインプラントも本発明の原理に従っているが、輪郭成形および充填が主な関心事である、より高いバルキングが必要な組織での利用のためのものである。
【0109】
【表8】
【0110】
[0122]図24は、剪断速度の変化に伴う材料ごとの粘度を示す。図25は、剪断速度の変化に伴う材料ごとの損失係数を示す。図26は、剪断速度の変化に伴う材料ごとの粘度係数を示す。図27は、剪断速度の変化に伴う材料ごとのtanδを例証する。
【0111】
[0123]材料は、剪断菲薄化である。ゲル担体内のゲル組成物濃度を変化させることは、より高い%粒子培地で他のレオロジー変数を模倣する可能性を与える。粒子の分解速度は、ゲルレオロジーの処方を介して操作することができる。粘度および弾性の記述的特徴は、ゲル組成物濃度を介して変化させる、または維持することができる。粘度係数G”および損失係数G’が低いほど、生理的組織研究と大きさが同様であり、さらに、従来の技術において以前に報告されていない生体適合性の向上が断言される。
【0112】
[0124]粒子の様々な濃度を有する様々なゲル組成物に対する弾性の時間依存性を図28に示す。2.6CMC:1.5%グリセリン担体中30%&40%固形対3.25%CMC:15%グリセリン担体中30%固形。材料は、組成物に起因する材料分解への時間依存性を示す。有する粒子がより少ない材料およびより低い粘度のゲルは、材料応力に抵抗する傾向がより低い。
【実施例16】
【0113】
グリセリンを有するアルギン酸/CMC担体は、1150℃で焼結させたCaHa粒子と組み合わせ、以下の構成物を含む(表B)。種々のアルギン酸型を試験し、アルギン酸の要約を以下の表Bに記載する。
【0114】
【表9】
【0115】
[0125]M087052は、30%培地、40mg/mlから100mg/mlアルギン酸、7.5mg/mlから12.5mg/ml、25mM PBS、および1.5%グリセリンで構成される。
【0116】
[0126]以下のアルギン酸/CMCゲル処方物(mg/mL)は、以下に詳述する工程を使用して調製した。
【0117】
[0127]アルギン酸/CMC、緩衝液、グリセリンを一緒に添加し、20分から3時間混合した。次いで、粒子を、容量で30%添加し、20分から3時間混合した。材料を、1ccシリンジに充填し、アルミ箔内に入れ、最後に、121℃で15分から30分間蒸気滅菌した。
【0118】
[0128]これらの材料に対するレオロジー評価を図29および30に示す。図29は、損失係数G’、弾性係数G”およびtanδ(GVG”)を例証する。図30は、粘度およびtanδ特性を示す。
【実施例17】
【0119】
[0129]アルギン酸(MVM、M=GまたはLVM−種々のアルギン酸/CMCゲルを調製し、以下の構成物および工程を含む。
【0120】
[0130]G094035:5mg/mlから100mg/mlアルギン酸(MVM、M=GまたはLVM(表B参照))、2.5mg/mlから50mg/ml CMC、25mM PBS、1.5%グリセリン。以下のアルギン酸/CMCゲル処方(mg/mL)は、以下の工程を使用して調製した。
【0121】
[0131]アルギン酸/CMC、緩衝液、グリセリンを一緒に添加し、軌道回転ミキサーまたは直接的なプロペラミキサーで20分から3時間混合した。材料を、1ccシリンジに充填し、アルミ箔内に入れ、最後に、121℃で15分から30分間蒸気滅菌した。
【実施例18】
【0122】
[0132]一実施形態において、インプラントは、喉頭組織における用途向けに設計し得る。表Cは、そのようなインプラントのためのパラメータを一覧にする。
【0123】
【表10】
【実施例19】
【0124】
[0133]予測モデルを、SAS JMPバージョン7.0統計的ソフトウェアを使用して展開した。予測モデルデータは、モデルの表面輪郭の数学的方程式であるスクリーニングモデルのグラフ化スクリプトを使用した。これらは、モデル出力をハイライトし、データスプレッドシートにモデル出力を保存することによって取得することができる。値により、試験したスクリーニングモデル入力に対するモデル出力を有するスクリーニングモデルが投入された。次いで、予測モデル式を、別々のスプレッドシートにエクスポートし、そこで、完全な要因モデル設計が展開された。一例において、例えば、スクリーニングモデルに基づいて、それぞれ滅菌(121℃)F0 22、25、28、および33の至適化されたパラメータを使用した。CMC濃度(CMC%)は、0.1%w/v単位で、2.3%w/vから2.9%w/v間で変化させた。グリセリン濃度(グリセリン%)は、0%w/v、1.0%w/vおよび1.5%w/vを保持した。緩衝液濃度(mM)は、0.25mM、50mMおよび100mM濃度と様々であった。モデルは、625の個々の実行を表すスクリーニングモデル予測式出力とともに投入された。次いで、これは、以前に行ったスクリーニングモデルへの同じ入力に基づいて、至適化された滅菌入力を使用する予測モデル全体を表す。次いで、モデルは、10000回の実行でのシミュレータ機能を使用して同じ出力パラメータにわたって再評価した。
【0125】
[0134]シミュレーションは、要因およびモデルノイズのランダムな変動の関数として、モデル出力の分布を決定することを可能にする。プロファイラーにおけるシミュレーション機能は、ランダムな入力を設定する方法およびシミュレーションを実行する方法を提供し、シミュレーションされた値のの出力表が生成される。この用途において、境界条件は、要因の変動に左右されないかどうかを決定するために、特定のレオロジーパラメータに適合された工程の欠陥率によって推定される。仕様が応答中に設定されたのであれば、それらは、シミュレーション出力に持ち越され、新しい要因設定を使用した刺激モデル変数の予測境界分析を可能にする。プロファイラー機能において、シミュレータ機能は、グラフィカルレイアウトに統合される。要因仕様は、各要因のプロファイルの下に整列される。シミュレーションヒストグラムは、応答ごとに図9Bの右側に示される。
【0126】
[0135]要因(入力)および応答(出力)は、プロファイラー内にあることによって既に役割を与えられる。シミュレータへの付加的な仕様は、乱数値を要因に割り当てること、およびランダムノイズを応答に加えることを含む。
【0127】
[0136]要因ごとの値の割り当ては重要である。ランダムプログラムは、指定の分布および分布パラメータで、要因に乱数値を割り当てる。
【0128】
[0137]正規切頂は、下限および上限によって制限された正規分布である。これらの制限を超過する任意のランダムな実現は破棄され、制限内の次の変量が選択される。これは、仕様限界を充足しない入力が破棄される、または送り返される検査システムをシミュレートするために使用される。
【0129】
[0138]Add Random Noise機能は、基準内の正規乱数を評価モデルに加えることによって応答を取得する。
【0130】
[0139]Defect Profiler機能は、各要因の孤立した関数としての欠陥率を示す。このコマンドは、後述のように、仕様限界が利用可能な時に有効である。
【0131】
[0140]Profiler機能は、プロファイルトレースを表示する。プロファイルトレースは、その他の変数が現在値で定数を保ちながらある変数が変化する予測応答である。プロファイラーは、プロファイルを再計算し、X変数の値が変化するにつれて、予測応答(リアルタイムで)を提供する。各X変数に対する垂直点線は、その現在値または現行設定を示す。
【0132】
[0141]各X変数に対して、要因名の上の値はその現在値である。
【0133】
[0142]水平の点線は、X変数の現在値に対する各Y変数の現行予測値を示す。
【0134】
[0143]図9Bのプロット内の黒線は、個々のX変数の現在値が変化した時に、予測値がどのように変化するかを示す。適合プラットフォームにおいて、予測値に対する95%信頼間隔は、予測トレース(連続的変数に対する)またはエラーバー(分類別変数に対する)の文脈の周囲の点で描いた青い曲線によって示す。
【0135】
[0144]次いで、プロファイラーは、1度に1つの変数を変更する方法および予測応答への効果を考察する方法である。
【0136】
[0145]予測プロファイルを解釈する時に留意する重要な点が幾つかある。
【0137】
[0146]1.因子の重要性は、予測トレースの傾きによってある程度評価することができる。モデルが曲率項(平方項等)を有するのであれば、トレースは曲線であり得る。
【0138】
[0147]2.因子の値を変更した場合、その予測トレースは影響を受けないが、全てのその他の因子の予測トレースが変更され得る。Y応答線は、それらの現在値線を有する予測トレースの交差点を交わらなければならない。
【0139】
[0148]3.注記:モデル内に相互作用効果またはクロス積効果があるのであれば、予測トレースは、他の項の現在値を変更するにつれて、それらの傾斜および曲率を変え得る。これが相互作用の意味である。相互作用効果がないのであれば、トレースは、傾斜または形ではなく高さのみを変更する。
【0140】
[0149]予測プロファイルは、多重応答モデルにおいて特に有用であり、どの因子の値が、一連の複雑な基準を最適化することができるかを判断するのに役立つ。
【0141】
[0150]プロファイラーは、高さおよび方向が、その現在値でプロファイル関数の導関数の値に相当する、三角形で表示した感受性指標とともに、連続的要因の予測トレース上の信頼バーを示す。これは、大きなプロファイルにおいて、感受性細胞を早急に発見
することができるのに有用である。
【0142】
[0151]ランダム要因表を作る第一の理由は、グラフィカルクエリーを使用して、多変量の方法で因子空間を検査することである。この技術は、フィルタードモンテカルロと称される。これは、所望の応答設定に対して所与の範囲を生成する、全ての因子設定の座位を可視化することができる。ふさわしくない点を選択および非表示することによって(グラフィカルブラッシングまたはデータフィルターを使用して)、残りの機会空間が所望される結果をもたらす。
【0143】
[0152]シミュレータは、モデルに対する因子および予測に加えられたランダムノイズを使用した、モンテカルロシミュレーションの生成を可能にする。応答が仕様限界外にある率を決定するために、固定因子を、ある範囲の設定にわたって設定し、乱数値に1標準偏差のモデルノイズを許容した。
【0144】
[0153]多くの場合、実験条件のセットごとに測定される多数の応答が存在し、結果の望ましさは、これらの応答の幾つかまたは全てに関連する。例えば、ある応答を最大化し、一方で、別の応答を最小化することができ、第3の応答をある目標値に近づけ続けることができる。望ましさプロファイリングにおいて、望ましさ関数は、応答ごとに指定する。全体的な望ましさは、応答ごとの望ましさの幾何平均として定義することができる。
【0145】
[0154]Desirabiltiy Profiler機能の構成要素および望ましさ関数設定の実施例を次に説明する。望ましさ関数は、制御点を適合するように作成された滑らかな区分的関数である。
【0146】
[0155]最小化および最大化関数は、指数尾部および立方中央部を有する3部から成る区分的に滑らかな関数である。
【0147】
[0156]標的関数は、標的(両側に異なる曲線を有する)の両側の正規密度のスケール倍数である、区分的関数であり、これはまた区分的に滑らかでもあり、制御点に適合する。
【0148】
[0157]これらの選択は、望ましさ値が、最大化値、目標値、および最小化値を切り替えるにつれて、関数に良好な挙動を与える。
【0149】
[0158]制御点は、尾部制御点でゼロまたは1までに到達することが許可されていない。
【0150】
[0159]最大化関数
[0160]デフォルトの望ましさ関数設定は最大化(「高いほど良い」)である。トップ関数ハンドルは、最大Y値で位置付けられ、1に近い高い望ましさで整列される。ボトム関数ハンドルは、最小Y値で位置付けられ、0に近い低い望ましさで整列される。
【0151】
[0161]目標関数
[0162]目標値は、「最も良い」として指定することができる。この実施例において、中央関数ハンドルは、Y=55で位置付けられ、最大望ましさの1と一致する。Yは、その値が70または42のいずれかに近づくにつれて、あまり望ましくなくなる。Y=70およびY=42でのトップおよびボトム関数ハンドルは、0に近い最大望ましさで位置付けられる。
【0152】
[0163]最小化関数
[0164]最小化(「小さいほど良い」)望ましさ関数は、高い応答値を低い望ましさと関連付け、低い応答値を高い望ましさと関連付ける。曲線は、プロットの中心で水平線の周りを反転する最大化曲線である。
【0153】
[0165]望ましさプロファイル
[0166]図9Bのプロットの最後の横列は、応答ごとの望ましさトレースを示す。縦軸上の単語「望ましさ」の横の数値は、望ましさ尺度の幾何平均である。プロットのこの横列は、現行の望ましさおよび1回に1要因を変更することに起因する望ましさのトレースの両方を示す。
【0154】
[0167]多重応答に対する望ましさプロファイリング
[0168]望ましさ指数は、多重応答が存在する時に特に有用となる。
【0155】
[0169]欠陥率関数
[0170]欠陥率は、各要因の関数として、仕様外出力欠陥の可能性を示し、一方で、その他の要因はランダムに変化する。これは、どの要因の分布変化が、境界関数の記述を向上させるために、工程に最も感受性を示すかを可視化するのに役立つように使用される。
【0156】
[0171]仕様限界は、何が欠陥であるかを定義し、ランダム要因は、シミュレーションにおいて欠陥をもたらす変動を提供する。両方ともDefect Profileが有意義であるために存在する必要がある。
【0157】
[0172]下限の許容可能な望ましさの制定は、分析が有限データサンプリングに基づいているために適しており、下限は、0.15より大きい値に制定した。
それらの制限に基づいて、シミュレーションモデル全体は、以下の通りの制限パラメータを有する。
・FO=24から35
・PBS=22mMから140mM
・%CMC=2.3%w/vから3.3%w/v
・%グリセリン=0.3%w/vから2.5w/v
[0173]しかしながら、個々の実験は、滅菌製品を維持しながら、仕様範囲内で出力を生成するのに最も有利な制限パラメータを特定した。それらの条件は以下の通りである。
・FO=22から30
・PBS=25mMから100mM
・%CMC=2.3%w/vから2.9%w/v
・%グリセリン=0%w/vから1.5%w/v
[0174]その結果となる2Dおよび3Dプロットの実施例を図31A〜31Fに示す。これらの図は、%CMC、Fo、%グリセリンおよびPBSの設計入力に応じて表される望ましさ関数の評価を示す。パーセントCMC対Foに対する境界制限条件は、2.3から2.7の0.7Hz tanδ輪郭トレースによって定義される。2Dプロットは、レオロジーパラメータが満たされ、図9B示した望ましさ関数と一致する白い領域を示す。
【0158】
[0175]モデル全体に対するモデルトレース式は、以下の出力に対して以下の通りである。
【0159】
【表11】
【0160】
【表12】
【0161】
【表13】
【0162】
【表14】
【0163】
【表15】
【0164】
【表16】
【0165】
【表17】
【0166】
【表18】
【0167】
【表19】
【実施例20】
【0168】
[0185]この実施例は、登録したレオロジー出力を有する条件のスクリーニングモデルの59回の独立実行から成り、以下のデータ表DおよびEを参照されたい。
【0169】
【表20】
【0170】
【表21】
【0171】
【表22】
【0172】
[0186]本発明は、好適な実施形態を参照して説明したが、当業者は、その本質的特徴を容易に確認することができ、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明を種々の使用法および条件に適合させるように、本発明の種々の変更および修正を行うことができる。当業者は、本明細書に記載された本発明の特定の実施形態の種々の合理的な均等物を、単に慣用の実験を使用して認識する、または確認することができるであろう。そのような均等物は、本発明の範囲に包含される。例えば、本発明の実施例において利用した可塑剤は、主にグリセリンである。しかしながら、当業者は、他の可塑剤が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく使用され得ることを理解するであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織植え込み部位で、少なくとも1つの組織レオロジー特徴および少なくとも1つの許容可能な組織レオロジー範囲と適合するように選択された所望のレオロジー特性を持つインプラントを調製する方法であって、
前記組織植え込み部位で、前記組織の特徴を示す特定のレオロジー特徴および許容可能なレオロジー範囲のうちの少なくとも1つを確立するステップと、
前記少なくとも1つの特定のレオロジー特徴および前記許容可能な範囲のうちの少なくとも1つを有するインプラントを特定するステップと、
前記所望のレオロジー特性を有する前記インプラントを調製するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの特定のレオロジー特徴および許容可能なレオロジー範囲を持つインプラントを特定するステップは、
複数の試験インプラントのためのデータを収集するステップであって、前記データは、前記複数の試験インプラントのそれぞれに対する化学変数およびレオロジー変数の特徴を示す、ステップと、
前記データをマッピングし、前記レオロジー特性に対する前記少なくとも1つの特定のレオロジー特徴および許容可能なレオロジー範囲に適う、特徴的な位相線および特徴的な閉位相領域のうちの少なくとも1つを画定するステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記データをマッピングするステップは、複数の前記化学変数が、前記植え込み部位で前記組織と適合する複数の関連レオロジー特性を有する前記インプラントを提供する、前記特徴的な閉位相領域を確立するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記インプラントを特定するステップは、化学変数の変化の関数としての、前記インプラントの前記レオロジー特性の変化の感受性を確立するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記特徴的な位相線および前記特徴的な閉位相領域のうちの少なくとも1つに対する統計的境界を確立するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記特定のレオロジー特徴は、G’およびG”の機能性のクロスオーバーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記レオロジー特性は、前記インプラントおよび前記組織に対する位相角度対周波数の適合性を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記インプラントは、多糖ポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記インプラントは、少なくとも約22のFo値を有する多糖ポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記多糖ポリマーは、アルギン酸多糖、セルロース多糖およびヘミセルロース多糖から成る群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記セルロースベースの多糖ポリマーは、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルヒドロキシエ
チルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシルメチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルメチルセルロース、およびそれらの修飾された誘導体から成る群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記インプラントを調製するステップは、緩衝液の添加を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記緩衝液は、リン酸カリウムを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記インプラントを調製するステップは、潤滑剤を添加するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記潤滑剤は、グリセリンを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記インプラントを調製するステップは、粒子を添加するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記粒子は、セラミックを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記セラミック粒子は、約20から200ミクロンのサイズ範囲を有し、約5から65パーセントの体積パーセントを有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
組織部位のための組織インプラント製品であって、
約22から34のFo値および緩衝液成分を有する多糖ポリマーを含み、前記インプラント製品のレオロジーパラメータは、G’およびG”のクロスオーバーを含み、前記インプラント製品の位相周波数機能性は、前記組織部位と同じカテゴリの組織機能性の3つの領域における挙動を示す、組織インプラント製品。
【請求項20】
前記インプラント製品の位相周波数機能性は、前記組織部位と同じカテゴリの組織機能性の3つの領域における挙動を示す、特徴をさらに含む、請求項19に記載の組織インプラント製品。
【請求項21】
前記組織部位の特徴を示す複数のレオロジーパラメータに適う位相領域内の前記インプラント製品に対するレオロジー特徴要件をさらに含む、請求項19に記載の組織インプラント製品。
【請求項22】
インプラント部位で組織と適合するように選択されたレオロジー特性を有するインプラントであって、
前記インプラント部位で前記組織に対する少なくとも1つの必要なレオロジー特徴を確立するステップと、
前記必要なレオロジー特徴を有するインプラントを特定するステップと、
前記インプラント部位で前記組織と適合できるように、前記必要なレオロジー特徴を有する前記インプラントを調製するステップと、
を含む方法に従って調製される、インプラント。
【請求項23】
インプラントを特定するステップは、前記必要なレオロジー特徴と関連する少なくとも1つの化学変数を確立するステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記必要なレオロジー特徴を有するインプラントを特定するステップは、前記少なくとも1つの必要なレオロジー特徴対複数の化学変数をマッピングし、前記少なくとも1つの必要なレオロジー特徴に適うことを可能にする前記化学変数の組み合わせを特定するステッ
プを含む、請求項22に記載のインプラント。
【請求項25】
前記少なくとも1つの必要なレオロジー特徴は、約0.1-10Hzの組織応答間で互い
に交差するG’およびG”機能的挙動を含む、請求項24に記載のインプラント。
【請求項26】
G”は、交差まではG’より大きい、請求項25に記載のインプラント。
【請求項27】
前記少なくとも1つの必要なレオロジー特徴をマッピングするステップは、前記少なくとも必要なレオロジー特徴と適合するインプラントレオロジー特徴と関連する一連かつ一定量の望ましさのうちの少なくとも1つを確立するために、化学変数を変更する統計的分析を含む、請求項24に記載のインプラント。
【請求項28】
特定のタイプの患者の選択された組織インプラント部位のためのインプラントを特定するための方法であって、
予定される組織インプラント部位で、特定のタイプの患者の組織のためのレオロジーデータを臨床医に提供する供給者と、
複数の潜在的に有用なインプラント製品の前記供給者からのデータを検証する臨床医であって、前記供給者からの前記データは、(a)前記複数のインプラント製品のそれぞれの前記レオロジー特性に関する情報を提供し、(b)前記レオロジー特性が、前記インプラント部位で前記特定のタイプの患者組織に対する適合性要件に適うかどうかをさらに示す、臨床医と、
を含む、方法。
【請求項29】
前記供給者からの前記データは、前記インプラントの化学変数の変化の関数として、前記インプラントに対するレオロジーパラメータの変化に関する情報を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
患者に組織増大製品を植え込む方法であって、
特定のタイプの患者において組織を特徴付けるステップと、
前記特定のタイプの患者の前記組織と適合するレオロジー特性を有する組織増大製品を特定するステップを含む、供給者からのデータを検証するステップと、
前記供給者からの前記データに従って、前記患者に前記組織増大製品を植え込むステップと、
を含む、方法。
【請求項31】
患者組織部位と適合する組織増大製品の植え込みのための治療プロトコルを確立する方法であって、
特定のタイプの患者の組織と関連する特定のレオロジー特性を特定するステップと、
複数の組織増大製品に対するインプラントレオロジーデータを提供するステップと、
前記特定のタイプの患者の前記組織と適合することを示す、インプラントレオロジーデータを有する選択された組織増大製品を特定するステップと、
を含む、方法。
【請求項32】
前記特定タイプの患者の前記組織は、
声帯、鼻唇溝、マリオネット線、頬増大、唇、尿路、ならびに皺および襞から成る群から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項1】
組織植え込み部位で、少なくとも1つの組織レオロジー特徴および少なくとも1つの許容可能な組織レオロジー範囲と適合するように選択された所望のレオロジー特性を持つインプラントを調製する方法であって、
前記組織植え込み部位で、前記組織の特徴を示す特定のレオロジー特徴および許容可能なレオロジー範囲のうちの少なくとも1つを確立するステップと、
前記少なくとも1つの特定のレオロジー特徴および前記許容可能な範囲のうちの少なくとも1つを有するインプラントを特定するステップと、
前記所望のレオロジー特性を有する前記インプラントを調製するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの特定のレオロジー特徴および許容可能なレオロジー範囲を持つインプラントを特定するステップは、
複数の試験インプラントのためのデータを収集するステップであって、前記データは、前記複数の試験インプラントのそれぞれに対する化学変数およびレオロジー変数の特徴を示す、ステップと、
前記データをマッピングし、前記レオロジー特性に対する前記少なくとも1つの特定のレオロジー特徴および許容可能なレオロジー範囲に適う、特徴的な位相線および特徴的な閉位相領域のうちの少なくとも1つを画定するステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記データをマッピングするステップは、複数の前記化学変数が、前記植え込み部位で前記組織と適合する複数の関連レオロジー特性を有する前記インプラントを提供する、前記特徴的な閉位相領域を確立するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記インプラントを特定するステップは、化学変数の変化の関数としての、前記インプラントの前記レオロジー特性の変化の感受性を確立するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記特徴的な位相線および前記特徴的な閉位相領域のうちの少なくとも1つに対する統計的境界を確立するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記特定のレオロジー特徴は、G’およびG”の機能性のクロスオーバーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記レオロジー特性は、前記インプラントおよび前記組織に対する位相角度対周波数の適合性を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記インプラントは、多糖ポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記インプラントは、少なくとも約22のFo値を有する多糖ポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記多糖ポリマーは、アルギン酸多糖、セルロース多糖およびヘミセルロース多糖から成る群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記セルロースベースの多糖ポリマーは、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルヒドロキシエ
チルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシルメチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルメチルセルロース、およびそれらの修飾された誘導体から成る群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記インプラントを調製するステップは、緩衝液の添加を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記緩衝液は、リン酸カリウムを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記インプラントを調製するステップは、潤滑剤を添加するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記潤滑剤は、グリセリンを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記インプラントを調製するステップは、粒子を添加するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記粒子は、セラミックを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記セラミック粒子は、約20から200ミクロンのサイズ範囲を有し、約5から65パーセントの体積パーセントを有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
組織部位のための組織インプラント製品であって、
約22から34のFo値および緩衝液成分を有する多糖ポリマーを含み、前記インプラント製品のレオロジーパラメータは、G’およびG”のクロスオーバーを含み、前記インプラント製品の位相周波数機能性は、前記組織部位と同じカテゴリの組織機能性の3つの領域における挙動を示す、組織インプラント製品。
【請求項20】
前記インプラント製品の位相周波数機能性は、前記組織部位と同じカテゴリの組織機能性の3つの領域における挙動を示す、特徴をさらに含む、請求項19に記載の組織インプラント製品。
【請求項21】
前記組織部位の特徴を示す複数のレオロジーパラメータに適う位相領域内の前記インプラント製品に対するレオロジー特徴要件をさらに含む、請求項19に記載の組織インプラント製品。
【請求項22】
インプラント部位で組織と適合するように選択されたレオロジー特性を有するインプラントであって、
前記インプラント部位で前記組織に対する少なくとも1つの必要なレオロジー特徴を確立するステップと、
前記必要なレオロジー特徴を有するインプラントを特定するステップと、
前記インプラント部位で前記組織と適合できるように、前記必要なレオロジー特徴を有する前記インプラントを調製するステップと、
を含む方法に従って調製される、インプラント。
【請求項23】
インプラントを特定するステップは、前記必要なレオロジー特徴と関連する少なくとも1つの化学変数を確立するステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記必要なレオロジー特徴を有するインプラントを特定するステップは、前記少なくとも1つの必要なレオロジー特徴対複数の化学変数をマッピングし、前記少なくとも1つの必要なレオロジー特徴に適うことを可能にする前記化学変数の組み合わせを特定するステッ
プを含む、請求項22に記載のインプラント。
【請求項25】
前記少なくとも1つの必要なレオロジー特徴は、約0.1-10Hzの組織応答間で互い
に交差するG’およびG”機能的挙動を含む、請求項24に記載のインプラント。
【請求項26】
G”は、交差まではG’より大きい、請求項25に記載のインプラント。
【請求項27】
前記少なくとも1つの必要なレオロジー特徴をマッピングするステップは、前記少なくとも必要なレオロジー特徴と適合するインプラントレオロジー特徴と関連する一連かつ一定量の望ましさのうちの少なくとも1つを確立するために、化学変数を変更する統計的分析を含む、請求項24に記載のインプラント。
【請求項28】
特定のタイプの患者の選択された組織インプラント部位のためのインプラントを特定するための方法であって、
予定される組織インプラント部位で、特定のタイプの患者の組織のためのレオロジーデータを臨床医に提供する供給者と、
複数の潜在的に有用なインプラント製品の前記供給者からのデータを検証する臨床医であって、前記供給者からの前記データは、(a)前記複数のインプラント製品のそれぞれの前記レオロジー特性に関する情報を提供し、(b)前記レオロジー特性が、前記インプラント部位で前記特定のタイプの患者組織に対する適合性要件に適うかどうかをさらに示す、臨床医と、
を含む、方法。
【請求項29】
前記供給者からの前記データは、前記インプラントの化学変数の変化の関数として、前記インプラントに対するレオロジーパラメータの変化に関する情報を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
患者に組織増大製品を植え込む方法であって、
特定のタイプの患者において組織を特徴付けるステップと、
前記特定のタイプの患者の前記組織と適合するレオロジー特性を有する組織増大製品を特定するステップを含む、供給者からのデータを検証するステップと、
前記供給者からの前記データに従って、前記患者に前記組織増大製品を植え込むステップと、
を含む、方法。
【請求項31】
患者組織部位と適合する組織増大製品の植え込みのための治療プロトコルを確立する方法であって、
特定のタイプの患者の組織と関連する特定のレオロジー特性を特定するステップと、
複数の組織増大製品に対するインプラントレオロジーデータを提供するステップと、
前記特定のタイプの患者の前記組織と適合することを示す、インプラントレオロジーデータを有する選択された組織増大製品を特定するステップと、
を含む、方法。
【請求項32】
前記特定タイプの患者の前記組織は、
声帯、鼻唇溝、マリオネット線、頬増大、唇、尿路、ならびに皺および襞から成る群から選択される、請求項31に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9A(i)】
【図9A(ii)】
【図9A(iii)】
【図9A(iv)】
【図9A(v)】
【図9A(vi)】
【図9A(vii)】
【図9A(viii)】
【図9A(ix)】
【図9B(i)】
【図9B(ii)】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31A】
【図31B】
【図31C】
【図31D】
【図31E】
【図31F】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9A(i)】
【図9A(ii)】
【図9A(iii)】
【図9A(iv)】
【図9A(v)】
【図9A(vi)】
【図9A(vii)】
【図9A(viii)】
【図9A(ix)】
【図9B(i)】
【図9B(ii)】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31A】
【図31B】
【図31C】
【図31D】
【図31E】
【図31F】
【公開番号】特開2013−9979(P2013−9979A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−193422(P2012−193422)
【出願日】平成24年9月3日(2012.9.3)
【分割の表示】特願2009−545535(P2009−545535)の分割
【原出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(509192754)メルツ・エスセティクス・インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年9月3日(2012.9.3)
【分割の表示】特願2009−545535(P2009−545535)の分割
【原出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(509192754)メルツ・エスセティクス・インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】
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