経皮的椎弓根スクリューアッセンブリ
【解決手段】 1つ又は複数の整形外科用ファスナー(110)に経皮的に連結させるための代表的な接続部材(100、200)は、チューリップアッセンブリ(160)と、ロッド(180、280)を含んでおり、ロッド(180、280)は、チューリップアッセンブリ(160)に永久的に連結される。別の実施形態によれば、1つ又は複数の整形外科用ファスナー(110)に経皮的に連結させるための接続部材(100、200)は、台座部材(225)で終結している壁部材(140、240)によって画定される軸を有するファスナー頭部固定開口(220)を含んでいるファスナー頭部固定部材(140、240)と、壁部材(140、240)の表面(300)に連結される調整可能な圧縮部材(150、250)と、壁部材(140、240)に連結されるロッド(180、280)と、壁部材(140、240)内に形成されているファスナー頭部受け入れ開口(210)とを含んでおり、ファスナー頭部受け入れ開口(210)は、スクリュー頭部固定開口の軸に対し横断方向に形成され、これと交差している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年3月23日出願の米国仮特許出願第60/665,032号「経皮的椎弓根スクリューシステム」及び2005年12月2日出願の米国仮特許出願第60/741,653号「開放端経皮的スクリューアッセンブリ」の35U.S.C§119(e)に基づく恩典を請求する。両仮出願の全体を、参考文献としてここに援用する。
【0002】
この代表的なシステムと方法は、医療装置に関する。更に具体的には、この代表的なシステムと方法は、経皮的整形外科用ロッド設置装置に関する。
【背景技術】
【0003】
骨を整列させ又は位置決めするために骨安定化/固定装置を使用することは、十分に確立されている。更に、特定の椎骨又は或る範囲の脊椎を整列させ又は位置決めするために脊椎骨安定化/固定装置を使用することも、十分に確立されている。通常、その様な脊椎のための装置は、隣接する椎骨の間の連結器として用いられるプレート、ボード、又はロッドの様な比較的堅い部材で構成されている脊椎固定要素を利用している。その様な脊椎固定要素は、椎弓根骨固定スクリューを使って椎骨の椎弓根部分に取り付けられると、隣接する椎骨の剛接的位置決めに効果を発揮することができる。連結された椎骨が所定の位置に空間的に固定されると、処置が機能し、癒合が進み、脊椎融合が起こる。
【0004】
脊椎固定要素は、脊椎の様々な椎骨を安定化させるために導入される。このための幾つかの装置は、直接脊椎に取り付けられるように設計されているが、これらの装置を植え込むのに用いられる標準的な傍脊椎侵入法(paraspinal approach)の侵襲的性質は、一般的に障害をもたらすことがある。例えば、筋肉壊裂と失血は、標準的な傍脊椎移植法(paraspinal implantation approaches)から生じることもある。
【0005】
従来型の椎弓根スクリューシステム、及び最近設計された椎弓根スクリューシステムでも、幾つかの欠点を有している。これらの椎弓根スクリューシステムには、かなり大きくて嵩張るものもあり、手術中に椎弓根スクリューシステムを装着する際に、手術部位及びその周りのより多くの組織に損傷を与えることになるかも知れない。先行技術の椎弓根スクリューシステムは、手術前に椎弓根スクリューに連結又は取り付けられるロッド受け入れ装置を有している。更に、先行技術の椎弓根スクリューシステムには、全て慎重に組み立てなければならない数多くの構成要素を含んでいるものもある。更に、従来型の椎弓根スクリューシステムは、手術前に組み立てられ、そのため、MIS技法を使用する脊椎手術では、これらのシステムの装着及び取り扱いが更に難しくなる。
【特許文献1】米国仮特許出願第60/665,032号
【特許文献2】米国仮特許出願第60/741,653号
【特許文献3】米国特許出願第11/327、132号
【特許文献4】代理人整理番号40359−0070
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
多くの考え得る実施形態の1つでは、この代表的なシステムは、1つ又は複数の椎弓根スクリューを連結させるための接続部材を提供しており、この接続部材は、壁部材によって画定され、台座部材で終結しているスクリュー頭部固定穴を有するチューリップ部材と、壁部材の表面に連結されるセットスクリュー部材と、壁部材に連結されるロッドと、壁部材に形成されている椎弓根スクリュー頭部受け入れ穴とを含んでおり、椎弓根スクリュー頭部受け入れ穴は、スクリュー頭部固定穴に対し横断方向に形成され、これと交差している。
【0007】
別の代表的な実施形態は、椎弓根スクリュー、チューリップアッセンブリ、及びコネクタロッドを含む椎弓根スクリューシステムを提供している。この代表的な実施形態によれば、チューリップアッセンブリは、外側チューリップ、外側チューリップ内に配置されている割りリングとサドル、及びセットスクリューを含んでいる。更に、コネクタロッドは、ロッドと、コネクタロッドの一端に配置されている取り外し可能なボールエンドを含んでいる。この代表的な実施形態によれば、チューリップアッセンブリとロッドは、患者の中に経皮的に挿入することができる。更に、ロッドは、複数の椎弓根スクリューアッセンブリと整列させるために皮下で回すことができる。
【0008】
この代表的なシステムと別な方法の実施形態は、接続部材を椎弓根スクリューに連結させるための方法を提供しており、この方法は、椎弓根スクリューの頭部を、接続部材の第1穴を通して運動の第1線に沿って挿入する段階と、接続部材を椎弓根スクリューに対して、スクリューシャフトが運動の第1線に垂直に向くように向ける段階と、スクリュー頭部を接続部材の中に着座させる段階と、椎弓根スクリューの位置を接続部材内に固定する段階と、を含んでいる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
添付図面は、本システムと方法の様々な実施形態を示しており、明細書の一部を成している。図示の実施形態は、本システムと方法の例に過ぎず、その範囲を制限するものではない。
【0010】
各図面で、同じ参照番号は、同様の要素又は作用を示している。各図中の要素の寸法及び相対位置は、必ずしも縮尺が合ってはいない。例えば、様々な要素の形状と角度は、縮尺が合っておらず、これらの要素の幾つかは、図面を読み取りやすくするために、随意的に拡大し、配置している。更に、図示の要素の具体的な形状は、特定の要素の実際の形状に関する何らかの情報を伝える意図はなく、図面内で理解し易くするために選択しているに過ぎない。各図を通して、同じ参照番号は、同様の要素を示しているが、必ずしも同一の要素ではない。
【0011】
本明細書は、どの様な整形外科用ロッド配置システムにでも用いることのできる数多くの代表的な接続部材と方法を提供している。この代表的なシステムと方法により、経皮的なスクリューの設置が容易になる。具体的には、この代表的なシステムと方法は、椎弓根スクリューを経皮的に設置し、その後、ロッドと1つ又は複数のチューリップを、同時に経皮管を通して容易に設置できるようにする。後で更に詳しく述べるが、この代表的な接続部材は、経皮的にロッドを先に、又はチューリップを先にして挿入される。更に、1つの代表的なシステム構成では、ロッドとチューリップの間の固定された接続によって、この代表的なシステムの輪郭と大きさが、従来型のシステムと比べて小さくなっている。
【0012】
例えば、椎弓根スクリューシステムは、最小侵襲手技(MIS)法による後方固定術処理で脊椎に固定される。システムは、脊椎の椎弓根に挿入され、脊椎の少なくとも一部を操作する(例えば、湾曲を矯正し、圧縮又は拡張し、及び/又は構造的に補強する)ため、ロッドと相互接続される。脊椎固定及び/又は矯正手術にMIS法を使用することは、患者の回復時間を短縮し、補完手術の危険性を減らす。
【0013】
従来型の経皮的固定技法は、実際は、名前が経皮的であるに過ぎない。つまり、それらは、2つ又はそれ以上のチューリップの間にコネクタロッドを固定的に接続するため、脊椎近傍(paraspinous)の組織をなお相当に損傷する必要がある。これは、一部には、外科医の入手できるインプラントのためである。本発明の代表的なシステムと方法は、外科医が、真の経皮的侵入法で、皮膚の下の多裂筋側方の筋膜面でロッドを軸回転させることによって、脊椎スクリューとロッドを設置できるようにしている。
【0014】
MIS技法を使って脊椎固定及び/又は矯正手術を効率的に実行する能力は、この代表的なシステムと方法によって提供される椎弓根スクリューシステムを使用することによって強化され、このシステムと方法は、従来型のシステムに勝る数多くの利点を提供する。例えば、この代表的なシステムと方法の1つの実施形態による椎弓根スクリューシステムは、椎弓根スクリューを、手術前にロッド連結アッセンブリ(以後、チューリップアッセンブリと呼ぶ)と連結させること無く骨に挿入できるという利点を提供する。これは、外科医が、椎弓根スクリューを挿入した後で、但し大きくて嵩張るチューリップアッセンブリを取り付ける前に、しばしば他の体内作業を行う必要があるため好都合である。この様な好都合な椎弓根スクリューシステムは、外科医が作業を行わねばならない体内空間境界が極めて限られているので、MIS技法を使用する場合には非常に重要である。
【0015】
「伸延」という用語は、本明細書及び医療的意味で用いられる場合は、一般に接合面に関しており、接合面が互いに垂直に動くことを示唆している。しかしながら「牽引」及び/又は「伸延」が、例えば脊椎区画で実行される場合、脊柱区画は、互いに対して、伸延と滑動の組み合わせで、及び/又は他の自由度で動くことができる。
【0016】
以下の説明では、この経皮的な椎弓根スクリューシステムの様々な実施形態を完全に理解頂くため、或る具体的な詳細について記述している。しかしながら、当業者には理解頂けるように、この代表的なシステムと方法は、これらの具体的な詳細の1つ又はそれ以上が無くても、或いは他の方法、構成要素、材料などによっても実施することができる。他の例における椎弓根スクリューに関わる周知の構造については、本システムと方法の実施形態に関する説明を不必要に曖昧にしないために、詳細に図示又は説明をしていない。
【0017】
文脈的にそうでない場合以外は、本明細書と特許請求の範囲を通して、「備える」という用語と、「備えている」の様なその派生語は、制約の無い包括的な意味、即ち、「含むが、それに限定されない」と解すべきである。
【0018】
明細書における「1つの実施形態」又は「或る実施形態」への言及は、その実施形態と関連して説明される具体的な特徴、構造、又は特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。明細書の様々な場所に「1つの実施形態では」という語句が出てくるが、必ずしも全て同じ実施形態に言及しているのではない。更に、具体的な特徴、構造、又は特性は、1つ又は複数の実施形態において、どの様に適したやり方で組み合わせられてもよい。
【0019】
(代表的な構造)
図1は、1つの代表的な実施形態による、経皮的椎弓根スクリューシステム(100)の構成要素を示す分解斜視図である。図1に示す様に、この代表的な経皮的椎弓根スクリューシステム(100)は、頭部(115)を有する椎弓根スクリュー(110)を含んでいる。図1に示す代表的な実施形態によれば、椎弓根スクリュー(110)は、細長いねじ部(117)と頭部(115)を含んでいる。椎弓根スクリュー(110)は、当該技術では広く知られているが、頭部(115)は、どの様な型式のチューリップアッセンブリが椎弓根スクリュー(110)に連結されるかによって、さまざまな構造になり得る。この代表的な椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)は、駆動機構(112)と最大直径部を含んでいる。この代表的な椎弓根スクリュー(110)の駆動機構(112)は、椎弓根骨及び/又は他の骨にスクリューを挿入できるようにしている。1つの代表的な実施形態によれば、椎弓根骨は、椎弓板を椎体と接続する椎骨の一部である。更に、この代表的な実施形態によれば、駆動機構(112)は、チューリップアッセンブリが椎弓根スクリュー(110)に連結される前又は後で、椎弓根スクリュー(110)を調整するのに用いられる。図示の実施形態では、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)は、ねじ部(117)に連結されており、切頭された又は平坦な上面を有する概ね球形の面を含んでいる。
【0020】
1つの代表的な実施形態では、椎弓根スクリュー(110)には、カニューレが挿入され、つまり、椎弓根スクリュー(12)を通って軸方向に伸張するチャネル(図示せず)が、椎弓根スクリュー(110)の全長に亘って伸張していることを意味している。チャネル(図示せず)は、椎弓根スクリュー(110)が、一般にKワイヤと呼ばれるキルシュナー鋼線を受け取り、操作できるようにする。Kワイヤは、通常、画像化技法、例えば蛍光透視法画像化を使って事前に配置され、椎弓根スクリュー(110)を正確に設置するのに用いられる。図1に示す椎弓根スクリュー(110)は多数の構成要素を含んでいるが、限定するわけではないが、駆動機構(112)の型式を変更し、頭部の形状を変更し、材料を変更し、大きさを変更するなどして、多数の変更例を作ることもできる。
【0021】
代表的な椎弓根スクリュー(110)に加えて、代表的な経皮的椎弓根スクリューシステム(100)は、患者の皮膚の下のコネクタロッド(180)の向きを考慮しながら、椎弓根スクリューが所望の椎弓根に経皮的に挿入された後で、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)に連結できるチューリップアッセンブリ(160)を含んでいる。図1に示す様に、チューリップアッセンブリ(160)は、主要なチューリップハウジング(140)を含んでおり、その下側部分には、割りリング(120)とサドル(130)要素が入っている。更に、ボールエンド(170)とセットスクリュー(150)を、チューリップハウジング(140)の上部に選択的に組み付けることができる。更に、図示の様に、ロッド用の切抜(145)を形成するため、チューリップハウジング(140)の側壁から材料が取り除かれている。更に、コネクタロッド(180)が、チューリップアッセンブリ(160)の中に選択的に挿入される。代表的なチューリップアッセンブリ(160)の更なる詳細を以下に提供する。
【0022】
図示の様に、チューリップハウジング(140)は、円筒形のチューリップハウジングの軸に沿って同心に伸張している内径部(142)を含んでいる。図示の様に、割りリング(120)とサドル(130)は、チューリップハウジング(140)の下側部分に配置されている。1つの代表的な実施形態によれば、内径部(142)の輪郭と結び付けて、チューリップハウジング(140)の下側部分に割りリング(120)とサドル(130)を配置することによって、椎弓根スクリューを骨に固定した後で、チューリップアッセンブリ(160)を、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)にスナップ嵌めできるようになり、この間のことは、2006年1月6日出願の米国特許出願第11/327,132号「骨固定システムとそれを使用するための方法」に詳細に記載されており、その出願全体を参考文献としてここに援用する。1つの代表的な実施形態によれば、チューリップハウジング(140)は、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)の受け入れ及び固定の際に、割りリングファスナー(120)と相互作用するように作られた内径部(142)内に形成されているリング拡張チャネルと先細保持内径部を含んでいる。1つの代表的な実施形態によれば、リング拡張チャネル(図示せず)は、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)を受け入れるときに、割りリングファスナー(120)を受け入れ、割りリングファスナーの拡張に適応できるだけの最大直径を有している。更に、サドル(130)は、頭部(115)の上部と相互作用し、椎弓根スクリュー(110)の頭部を両者の間に位置固定する。更に、先細保持内径部を、拡張チャネル内に形成することができる。援用した出願に詳細に説明されている様に、先細保持内径部は、割りリングファスナー(120)の台座傾斜部と相互作用するように作られている。1つの代表的な実施形態によれば、チューリップアッセンブリ(160)は、少なくとも部分的には、割りリングファスナー(120)を先細保持内径部(図示せず)に沿って押すことによって、椎弓根スクリュー(110)に対して位置的に固定される。1つの代表的な実施形態によれば、先細保持内径部と台座傾斜部の間の相互作用によって、チューリップアッセンブリ(160)を、椎弓根スクリューに対して位置的に固定しながら、割りリングファスナーは、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)回りに締め付けられる。
【0023】
次にチューリップハウジング(140)の構造であるが、チューリップハウジングは、内径部(142)と、チューリップハウジングの側面に形成されているロッド用切抜(145)を画定している。1つの代表的な実施形態によれば、内径部(142)には、数多くの造形と多様な作動表面が中に形成されている。例えば、先に述べた様に、内径部(142)の下側部分は、割りリング(120)とサドル(130)部材を収納し、それらが作動的に並進運動し、拡張できるようにする数多くの変化する直径を含んでいる。更に、図1に示す代表的な実施形態によれば、チューリップハウジング(140)の内径部(142)は、セットスクリュー(150)を係合的に受け入れるように作られたねじ部を含んでいる。更に、内径部(142)は、ボールエンド(170)を受け入れるように作られたチャンバを含んでいる。更に、図示の様に、ロッド用切抜(145)は、チューリップハウジング(140)の側壁内に形成されている。1つの代表的な実施形態によれば、ロッド用切抜(145)は、コネクタロッド(180)が、内径部(140)の同心軸の位置から、同心軸に垂直な位置へ回転できる大きさになっている。その結果、1つの代表的な実施形態によれば、ロッド用切抜(145)は、コネクタロッド(180)の最大直径とほぼ同じ幅である。
【0024】
上に述べた通り、ボールエンド(170)は、チューリップハウジング(140)の内径部(142)の中に配置される。1つの代表的な実施形態によれば、ボールエンド(170)は、中心内径部(172)と、側壁に形成された拡張割れ目(174)を含んでいる。1つの代表的な実施形態によれば、中心内径部(172)は、コネクタロッド(180)の外径と実質的に等しいか、又はそれより僅かに小さい直径を有している。この代表的な実施形態によれば、ロッドがボールエンド(170)の中心内径部(172)の中に挿入されると、拡張割れ目(174)のためにボールエンドが拡張し、コネクタロッド(180)を圧縮して連結する。更に、並置されている傾斜部、1つ又は複数の半径方向溝、ねじ切り、又は他の何らかの造形の様な、コネクタロッド(180)の端部と割れたボールエンド(170)上の対応する造形は、コネクタロッドとボールエンドを係合状態に維持するのに用いられる。1つの代表的な実施形態によれば、ボールエンド(170)は、先に述べた様に、コネクタロッド(180)に連結されるように作られ、チューリップハウジング(140)の内径部(142)内でコネクタロッドが容易に回転できるようにしている。
【0025】
更に、セットスクリュー(150)は、内径部(142)に形成されている雌ねじと嵌合的に係合し、ボールエンド(170)とコネクタロッド(180)が所望の位置にきたとき、それらを圧縮するように作られている。これは、コネクタロッドをチューリップアッセンブリ(160)に対して位置的に固定することになる。加えて、以下に更に詳しく説明する様に、セットスクリュー(150)を内径部(142)内で前進させると、ボールエンド(170)を通してサドル(130)に圧縮力を付与することになる。その結果、サドル(130)は、割りリングを先細内径部内に接触させて直接押し込むか、又は、椎弓根スクリューの頭部を下向きに押すことにより割りリングを先細内径部内に間接的に押し込むことによって、割りリング(120)を先細保持内径部内に更にしっかりと着座させ、チューリップアッセンブリ(160)を、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)に更にしっかりと連結させることになる。
【0026】
図2は、1つの代替実施形態による、代わりの経皮的椎弓根スクリュー構造(200)を示している。図2に示す様に、この代わりの経皮的椎弓根スクリュー構造(200)は、ロッド連結機構(270)によって、ロッド(280)に永久的に連結されているチューリップハウジング(240)を含んでいる。更に、チューリップハウジングは、1つの代表的な実施形態による、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)の受け入れ、回転、及び連結を容易にする数多くの造形を含んでいる。図2に示す様に、代表的なチューリップハウジングは、チューリップハウジング(240)の側壁に形成されている頭部受け入れ開口(210)を含んでいる。更に、出口孔(220)が、円筒形チューリップハウジング(240)の軸と同心に形成されている。図示の様に、台座傾斜部(225)が、出口孔(220)の内側表面上に形成されている。更に、セットスクリュー(250)が、チューリップハウジング(240)に軸方向に連結されている。この代わりの経皮的椎弓根スクリュー構造の更なる詳細を、図2から図3Dを参照しながら以下に提供する。
【0027】
上に述べた通り、代わりの経皮的椎弓根スクリュー構造(200)は、ロッド連結機構(270)によってチューリップハウジング(240)の側壁に堅く連結されたロッド(280)を含んでいる。1つの代表的な実施形態によれば、代わりの経皮的椎弓根スクリューシステム(200)では、以下に詳細に説明する様に、側部の頭部受け入れ開口(210)が、チューリップハウジング(240)から独立してロッド(280)を回転させる必要を無くすように活用されるので、ロッド(280)は、チューリップハウジング(240)に堅く連結されている。1つの代表的な実施形態によれば、ロッド(280)は、限定するわけではないが、溶接、蝋付け、又は接着剤の使用を含め、当技術で既知の何らかの接合方法を使って、チューリップハウジング(240)の側壁に連結されている。代わりに、ロッド連結機構(270)は、限定するわけではないが、ねじ係合機構又は締まり圧入嵌め機構を含め、何らかの機械的接合機構を含んでいてもよい。
【0028】
図3Aで良く分かる様に、1つの代表的な実施形態によれば、頭部受け入れ開口(210)は、チューリップハウジング(240)の側壁に形成されている。頭部受け入れ開口(210)は、寸法形状が、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)と一致している。従って、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)は、頭部受け入れ開口(210)に、任意の進入角度に沿って受け入れられる。具体的には、代表的なチューリップハウジング(240)は、手術の状況又は外科医の嗜好によって命じられる通り、椎弓根スクリューの軸に平行な方向、椎弓根スクリューの軸に垂直な方向、又は椎弓根スクリューの軸に対する他のあらゆる方向から、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)に近付けることができる。従って、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)のどんな輪郭でも受け入れることのできる大きさに作られている。
【0029】
引き続き図2から図3Dを参照してゆくが、チューリップハウジング(240)は、図3Bで分かる様に、ハウジングの軸と同心にチューリップハウジング全体を貫通する貫通穴(310)を含んでいる。貫通穴の上側部分には、セットスクリュー(250)と堅く嵌合させるための何条かの雌ねじ又は他の嵌合機構が設けられている。貫通穴(310)は、底部開口(220)で終結している。1つの代表的な実施形態によれば、底部開口(220)の最大直径は、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)の最大直径より小さいが、ねじ部(117)の外径より大きい。従って、頭部(115)が頭部受け入れ開口(210)を経由して貫通穴(310)に入ると、底部開口(220)から抜け出ることはない。しかしながら、底部開口(220)は、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)の下面を着座させる台座傾斜部(225)を含んでいる。
【0030】
1つの代表的な実施形態によれば、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)が頭部受け入れ開口(210)を経由して受け入れられ、経皮的椎弓根スクリューシステム(200)が適切に位置決めされると、セットスクリュー(250)が、貫通穴に沿って進められ、代表的な経皮的椎弓根スクリューシステムを位置的に固定する。具体的には、セットスクリュー(250)は、貫通穴(310)に沿って進められると、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)を押し付け、底部開口(220)の台座傾斜部(225)に着座させる。この代表的な実施形態によれば、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)を台座傾斜部(225)に押し付けると、チューリップハウジング(240)とロッド(280)を、椎弓根スクリューに対して位置的に固定することになる。更に、セットスクリュー(250)を貫通穴(310)に沿って十分に前進させることによって、頭部受け入れ開口(210)は小さくなり、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)がチューリップハウジング(240)から抜け出るのが防止される。1つの代表的な実施形態によれば、セットスクリュー(250)は、その下側に、係合したときに椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)を嵌合的に受け入れるように作られた凹面を含んでいる。
【0031】
図示の経皮的椎弓根スクリューシステム(100、200)は、共に、整形外科用ロッド設置システムにおいて、多軸運動を維持できるすっきりした解法を提供できるように作られている。更に、両方の代表的なシステムは、以下に詳細に述べる様に、MIS挿入法による真に経皮的なロッド設置を実行するのに用いられる。
【0032】
(代表的な方法と作動)
上に述べた代表的な経皮的椎弓根スクリューシステム(100、200)は、従来型の整形外科的用途に用いることもできるが、現在の代表的な方法と作動について、説明を容易にするために、MIS技法を使った経皮的ロッド設置法の文脈で説明する。しかしながら、この代表的なシステムと方法の精神と範囲から逸脱することなく、様々な修正を施せるものと理解されたい。
【0033】
図4は、1つの代表的な実施形態による、図1の経皮的椎弓根スクリューシステム(100)を使って実行される代表的な経皮的ロッド設置法を示している。図4に示す様に、代表的な方法は、先ず患者に切開を施し、Kワイヤを所望の椎弓根に設置する(ステップ400)ことによって始まる。次に、椎弓根スクリューが、Kワイヤをガイドとして使用し、所望の椎弓根に配置される(ステップ405)。椎弓根スクリューが所定の位置にある状態で、経皮管が、椎弓根スクリューに外挿され、所望の椎弓根のレベルに設置される(ステップ410)。次に、所望の全ての椎弓根に椎弓根スクリューがしっかりと設置され、経皮管がそこまでのアクセスを提供するようになるまで、ステップ400から410が、第2の所望の椎弓根で繰り返される(ステップ415)。次に、経皮的椎弓根スクリューチューリップとコネクタロッドが経皮管の中を下ろされ、チューリップが、第1の椎弓根スクリュー頭部にスナップ嵌めされる(ステップ420)。次に、コネクタロッドが、経皮管のスロットを通して、多裂筋側方の筋膜面に沿って、隣接するチューリップの頭部上をその上へと揺動される。ロッドが隣接するチューリップに固定されると、経皮管を取り外して(ステップ425)、傷を治療することができる。上に述べた方法について、図4から図5Lを参照しながら以下に詳細に述べる。
【0034】
上に述べた様に、この代表的な方法は、先ず患者に切開を施し、Kワイヤを所望の椎弓根に配置する(ステップ400)ことによって始まる。図5Aは、特定された椎骨(500)の椎弓根(515)へのKワイヤ(510)の設置を示している。1つの代表的な実施形態によれば、Kワイヤの設置は、多裂筋側方の面で鈍的切開を実行し、椎弓根(515)に近付くことによって実現される。腰椎(500)は、椎骨の上部を走る数多くの筋肉グループを有している。多裂筋は、棘状突起に隣接する位置にあり、最長筋グループが多裂筋の側方に位置している。この代表的な方法に対して、従来型のMIS法は、Kワイヤ、椎弓根スクリュー、及びその付帯するハードウェアを、多裂筋グループを横断する進入路を通して挿入する。この技法は、軟組織を必要以上に損傷させ、患者に痛みを与え、リハビリを長期化させることになる。鈍的切開とKワイヤの挿入は、X線透視ガイダンスによってやり易くなる。多裂筋側方の面で鈍的切開を実行し、椎弓根(515)に近付くことによる挿入技法の更なる詳細は、David T. Hawkes 他による2006年3月17日出願の弁理士整理番号40359−0070号の米国特許出願「低侵襲性アクセスポート」に記載されており、この出願全体を参考文献としてここに援用する。
【0035】
Kワイヤが所定の位置にある状態で、椎弓根スクリューは、Kワイヤをガイドとして使って所望の椎弓根に設置される(ステップ405、図4)。図5Bと図5Cは、Kワイヤをガイドとして使用して、椎弓根スクリューを所望の椎弓根に挿入する代表的な工具と方法を示している(ステップ405、図4)。1つの代表的な実施形態によれば、Kワイヤは、所望の椎弓根(515)に穿孔し、タップを立てるガイドとして用いられる。準備が整えば、スクリュードライバ(522)を使って、椎弓根スクリュー(110、図1)を所望の椎弓根(515)にねじ込む。
【0036】
図5Bに示す様に、固定駆動アーム(529)と軸回転可能駆動アーム(524)を含む代表的なスクリュードライバ(522)を使って、椎弓根スクリューが設置される。1つの代表的な実施形態によれば、スクリューの頭部(115)には、従来型の駆動機構(520)と、軸回転可能駆動アーム(524)の先端の駆動突起(527)が嵌合する、側部を貫通する駆動受け入れ孔(525)とが設けられている。図5Bに示す代表的なスクリュードライバ(522)を使って、先ず、チューリップロッドアッセンブリが椎弓根スクリューに組み付けられ、セットスクリュー(150、図1)が、椎弓根スクリュー(110、図1)をチューリップ(160、図1)内に捕捉するため、堅くロックせず、部分的に締め付けられる。次に、カニューレが挿入されたロッドをドライバの軸に滑り込ませ、ハンドルを閉じ、ピンを椎弓根スクリューの頭部に係合させ、それを固定する。スクリューアッセンブリは、これで15.5mmの経皮管を通して駆動され、解放される。
【0037】
図4の代表的な方法に戻るが、椎弓根スクリューが所定の位置に設置されると、経皮管が、椎弓根スクリューに外挿して所望の椎弓根のレベルに設置される(ステップ410)。図5Dに示す様に、ドライバ(522)のハンドルが取り外されると、経皮管(530)を、駆動アーム(529)に外挿して椎弓根(515)のレベルに直接下ろして設置することができる。図5Eに示す様に、経皮管(530)が適切に設置されると、駆動アーム(529)とKワイヤ(510)が取り外され、椎弓根スクリュー(110)と経皮管(530)が適所に残される。第1の位置が整えられると、全ての所望の椎弓根に椎弓根スクリューが堅く設置され、経皮管がそこへのアクセスを提供するまで、第2の所望の椎弓根で、ステップ400から410が繰り返される(ステップ315)。図5Fは、1つの代表的な実施形態による、第2の所望の椎弓根におけるステップ400から410の実行を示している。
【0038】
1つ又は複数の経皮管(530)が所定の位置にある状態で、経皮的椎弓根スクリューチューリップとコネクタロッドは、経皮管を通して下ろされ、チューリップは、第1椎弓根スクリューの頭部にスナップ嵌合される(ステップ420)。図5Gに示す代表的な実施形態によれば、経皮的スクリューチューリップは、コネクタロッドに組み付けられ、組み立てられた経皮的椎弓根スクリューシステム(100)を形成し、経皮管(530)を通してチューリップを先にして送られる。しかしながら、図5Hと図5Iに示す様に、先ず、チューリップアッセンブリ(160)が椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)に連結され、その後、ロッド(170)がチューリップアッセンブリ(160)に連結されるようにしてもよい。図5Hと図5Iに示す様に、ロッド(180)は、経皮管(530)を通して下に案内され、そこでチューリップハウジング(140)の内径部(142)と係合する。1つの代表的な実施形態によれば、チューリップアッセンブリ(160)には、事前に組み立てられた割りボールエンド(170)が供給される。内径部(142)に導入されると、力(F)が、ロッド(180)を、ロッドを保持する割りボールエンド(170)に導入する。
【0039】
コネクタロッド(180)がチューリップアッセンブリ(160)に挿入され椎弓根スクリュー(110)に連結されると、コネクタロッドは、経皮管のスロットを通して、多裂筋側方の筋膜面に沿って、隣接するチューリップの頭部上をその上へと揺動される(ステップ325)。図5Jから図5Fは、コネクタロッド(180)が隣接するチューリップアッセンブリ(160)の頭部上をその上へと揺動される様子を示している。先に述べた様に、チューリップハウジング(140)は、その側壁にロッド用切抜(145)を含んでいる。更に、経皮管は、ロッド(180)が回転できるように、その壁にスリット(510)を含んでいる。1つの代表的な実施形態によれば、ロッド(180)は、隣接するチューリップアッセンブリ(160)と係合するまで、揺動され、患者の皮膚の下で、多裂筋側方の筋膜面に沿って送られる。第2のチューリップアッセンブリ(160)が係合されると、両方のチューリップアッセンブリは、セットスクリュー(150)を内径部(142)内に固定して割りボールエンド(170)をサドル(130)内に着座させることによって、所定の位置にロックされる。代わりに、隣接するチューリップ(160)は、コネクタロッドを所定の位置に堅く固定するため、何らかの他のロック機構を含んでいてもよい。
【0040】
ロッドが隣接するチューリップ内に固定されると、経皮管は取り外され(ステップ425)傷が治療される。図5Lは、経皮管(530)が取り外され、完全に組み立てられた構造を示している。この代表的な実施形態によれば、治療されることになる表面の傷だけが、経皮管を挿入するために形成された傷である。ロッドの設置は皮膚の下で行われるので、多大な脊椎近傍(paraspinous)の組織の損傷が無くなる。
【0041】
図4に示している方法は、図2に示す、別の経皮的椎弓根スクリューシステム(200)を挿入するのにも用いられる。図6からから図7Dに示す通りである。図示の様に、経皮管が所定の位置にある状態で(530、図5E)、接続部材が、経皮管を通して、図7Aに示す様に、チューリップを先にして設置される(ステップ600)。椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)に達すると、椎弓根スクリューの頭部に、図7Bに示す様に、チューリップの側面開口(210)を通過させる(ステップ610)。
【0042】
ロッド(180)を回転させるだけの第1の経皮的椎弓根スクリューシステム(100、図1)とは対照的に、第2の代表的な経皮的椎弓根スクリューシステム(200)は、経皮的椎弓根スクリューシステム全体を回転させ、椎弓根スクリューの頭部上で軸回転させて、ロッドを、1つ又は複数の先に設置されているチューリップへと位置決めする(ステップ620)。図7Cに示す様に、システムを回転させると、椎弓根スクリュー(110)のねじ部が、チューリップハウジング(240)の底部開口(220)を出ている状態になる。第1の代表的な経皮的椎弓根スクリューシステム(100、図1)と同様に、ロッド部(280)に、経皮管(530、図5K)の壁のスリット(510、図5K)を通過させ、ロッド(280)が回転できるようにする。1つの代表的な実施形態によれば、ロッド(280)は、隣接するチューリップアッセンブリと係合するまで、揺動され、患者の皮膚の下で、多裂筋側方の筋膜面に沿って送られる。
【0043】
第2チューリップアッセンブリが係合されると、セットスクリュー(250)が締め付けられ、アッセンブリが固定される(ステップ630)。先に述べ、図7Cと図7Dに示す様に、セットスクリュー(250)を締め付けると、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)が、貫通穴(310)の台座傾斜部(225、図2)に着座する。加えて、セットスクリュー(250)を締め付けると、頭部受け入れ開口(210)が塞がれ、椎弓根スクリューの頭部がしっかりと保持されることになる。
【0044】
図8Aから図10Cは、1つの代表的な実施形態による、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)の着座を示している。図8A−図8Cに示す様に、セットスクリュー(250)の係合前に、球状のスクリュー頭部(115)が、チューリップの後面の頭部受け入れ開口(210)を通してチューリップの中心に送られ、椎弓根スクリュー(110)のねじ部がチューリップハウジング(240)の底部開口(220)から出ている状態になるように位置決めされる。正しく位置決めされると、図9A−図9Cに示す様に、スクリュー頭部(115)は、球状の台座傾斜部(225)に、セットスクリュー(250)の軸と一列に着座する。
【0045】
次に、セットスクリュー(250)は、貫通穴(310、図3B)を下向きに進められ、スクリュー頭部(115)と係合し、それを台座傾斜部(225)にロックする。図10A−10Cに示す様に、セットスクリュー(250)は、スクリュー頭部(115)の上面と嵌り合って、この構造を側面内で拘束するように作られた凹状の頭部受け入れ面(1000)を有している。加えて、セットスクリュー(250)を椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)に押し付けるよう前進させると、代表的な経皮的椎弓根スクリューシステム(200)が、椎弓根スクリューに対して位置的にロックされる。
【0046】
上に述べた挿入方法を使えば、1レベル連結の短いロッド要件のため、スクリューアッセンブリを皮下で挿入し固定することができる。具体的には、2つの椎骨だけを連結する場合、使用されるロッドは、チューリップを先にしてアッセンブリを挿入し、その後ロッドを皮下でロックすることができるほど十分に短い。しかしながら、3つ以上の椎骨を連結する2又は3レベルの処置では、もっと長いロッドを使用する。従って、図11から図12Cは、2又は3レベルの処置に用いられる、代表的な、ロッドを先にして挿入する方法を示している。
【0047】
図11に示している様に、この代表的な方法は、経皮管(530、図5D)と椎弓根スクリュー(110)を挿入した後、先に述べた様に、経皮的椎弓根スクリューシステムを、ロッドを先にして経皮管に挿入し(ステップ1100)、その後、経皮的椎弓根スクリューシステムを実質的に水平な位置まで回転させる(ステップ1110)ことによって始まる。図12Aは、その様な挿入を示している。図示の様に、経皮的椎弓根スクリューシステム(200)は、ロッド(280)を先導端にして挿入される。システム(200)が椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)近くに送られると、経皮的椎弓根スクリューシステムが、多裂筋側方の筋膜面に沿って実質的に水平な位置まで回転される。すると、図12Aに示す様に、チューリップハウジング(240)の頭部受け入れ開口(210)は、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)に実質的に隣接することになる。
【0048】
システムが実質的に水平な位置に配置されているとき、又はその後で、ロッド(280)を、1つ又は複数の先に設置されたチューリップアッセンブリに挿入することができる(ステップ1120)。チューリップアッセンブリは、次に、経皮的椎弓根スクリューシステム(200)を、スクリューの頭部に向かって引き戻し、スクリューの頭部にチューリップの側部開口を通過させることによって、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)に連結される(ステップ1130)。図12Bは、チューリップアッセンブリへの頭部の挿入を示している。第1の経皮的椎弓根スクリューシステム(100、図1)を用いると、システムを引き戻すときに、チューリップアッセンブリを、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)の上方に持ち上げることになる。経皮的椎弓根スクリューシステムが適切に位置決めされている状態で、図12Cに示す様に、セットスクリューが締めつけられ、アッセンブリが固定される(ステップ1140)。
【0049】
結論を言えば、この代表的な経皮的椎弓根スクリューシステム及び方法は、経皮的スクリュー設置に使用することのできる数多くの代表的な接続部材と方法を提供する。具体的には、この代表的なシステムと方法は、椎弓根スクリューを経皮的に設置し、その後、経皮管を介して、ロッドと1つ又は複数のチューリップを同時に容易に設置することを提供している。具体的には、この代表的なシステムと方法は、外科医が、ロッドを皮膚の下の多裂筋側方の筋膜面内で軸回転させることによって、真の経皮的侵入法により、脊椎スクリューとロッドを設置できるようにしている。脊柱固定及び/又は矯正手術に、開示されているMIS法を使用することは、患者の回復時間を効果的に短縮し、補完手術の危険性を減らすことになる。
【0050】
この代表的なシステムと方法の精神及び範囲から逸脱すること無く、様々な修正を施すことができるものと理解されたい。例えば、代表的な実施例について、骨構造に固定させるスクリューを使用して説明し図示してきたが、この代表的なシステムと方法の範囲は、それに限定されない。カム、スクリュー、ホッチキス、釘、ピン、又はフックの様な、どの様な固定手段を使用してよい。
【0051】
以上の説明は、本発明の実施形態を示し説明するためだけに呈示したものである。本発明を、網羅し、或いは開示した形態そのものに限定する意図はない。上記教示に照らし、多くの修正及び変更が可能である。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって定義されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】1つの代表的な実施形態による、経皮的接続部材の分解斜視図である。
【図2】1つの代表的な実施形態による、経皮的接続部材の斜視図である。
【図3A】図3Aは、数多くの代表的な実施形態による、図2の経皮的接続部材の、正面図である。
【図3B】図3Bは、数多くの代表的な実施形態による、図2の経皮的接続部材の、平面図である。
【図3C】図3Cは、数多くの代表的な実施形態による、図2の経皮的接続部材の、側面断面図である。
【図3D】3Dは、数多くの代表的な実施形態による、図2の経皮的接続部材の、底面図である。
【図4】1つの代表的な実施形態による、経皮的設置方法を示す流れ図である。
【図5A】図5Aは、1つの代表的な実施形態による、チューリップの第1の経皮的設置法を示している。
【図5B】図5Bは、1つの代表的な実施形態による、チューリップの第1の経皮的設置法を示している。
【図5C】図5Cは、1つの代表的な実施形態による、チューリップの第1の経皮的設置法を示している。
【図5D】図5Dは、1つの代表的な実施形態による、チューリップの第1の経皮的設置法を示している。
【図5E】図5Eは、1つの代表的な実施形態による、チューリップの第1の経皮的設置法を示している。
【図5F】図5Fは、1つの代表的な実施形態による、チューリップの第1の経皮的設置法を示している。
【図5G】図5Gは、1つの代表的な実施形態による、チューリップの第1の経皮的設置法を示している。
【図5H】図5Hは、1つの代表的な実施形態による、チューリップの第1の経皮的設置法を示している。
【図5I】図5Iは、1つの代表的な実施形態による、チューリップの第1の経皮的設置法を示している。
【図5J】図5Jは、1つの代表的な実施形態による、チューリップの第1の経皮的設置法を示している。
【図5K】図5Kは、1つの代表的な実施形態による、チューリップの第1の経皮的設置法を示している。
【図5L】図5Lは、1つの代表的な実施形態による、チューリップの第1の経皮的設置法を示している。
【図6】図6は、1つの代表的な実施形態による、チューリップの第1の設置法の各段階を示している。
【図7A】図7Aは、別の代表的な実施形態による、チューリップの第1の設置法を示している。
【図7B】図7Bは、別の代表的な実施形態による、チューリップの第1の設置法を示している。
【図7C】図7Cは、別の代表的な実施形態による、チューリップの第1の設置法を示している。
【図7D】図7Dは、別の代表的な実施形態による、チューリップの第1の設置法を示している。
【図8A】図8Aは、1つの代表的な実施形態による、図2に示している代表的な経皮的接続部材を椎弓根スクリューの頭部に係合させる仕組みを示している。
【図8B】図8Bは、1つの代表的な実施形態による、図2に示している代表的な経皮的接続部材を椎弓根スクリューの頭部に係合させる仕組みを示している。
【図8C】図8Cは、1つの代表的な実施形態による、図2に示している代表的な経皮的接続部材を椎弓根スクリューの頭部に係合させる仕組みを示している。
【図9A】図9Aは、1つの代表的な実施形態による、図2に示している代表的な経皮的接続部材を椎弓根スクリューの頭部に係合させる仕組みを示している。
【図9B】図9Bは、1つの代表的な実施形態による、図2に示している代表的な経皮的接続部材を椎弓根スクリューの頭部に係合させる仕組みを示している。
【図9C】図9Cは、1つの代表的な実施形態による、図2に示している代表的な経皮的接続部材を椎弓根スクリューの頭部に係合させる仕組みを示している。
【図10A】図10Aは、1つの代表的な実施形態による、図2に示している代表的な経皮的接続部材を椎弓根スクリューの頭部に係合させる仕組みを示している。
【図10B】図10Bは、1つの代表的な実施形態による、図2に示している代表的な経皮的接続部材を椎弓根スクリューの頭部に係合させる仕組みを示している。
【図10C】図10Cは、1つの代表的な実施形態による、図2に示している代表的な経皮的接続部材を椎弓根スクリューの頭部に係合させる仕組みを示している。
【図11】図11は、1つの代表的な実施形態による、ロッドの第1の設置法の各段階を示している。
【図12A】図12Aは、1つの代表的な実施形態による、ロッドの第1の設置法を示している。
【図12B】図12Bは、1つの代表的な実施形態による、ロッドの第1の設置法を示している。
【図12C】図12Cは、1つの代表的な実施形態による、ロッドの第1の設置法を示している。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年3月23日出願の米国仮特許出願第60/665,032号「経皮的椎弓根スクリューシステム」及び2005年12月2日出願の米国仮特許出願第60/741,653号「開放端経皮的スクリューアッセンブリ」の35U.S.C§119(e)に基づく恩典を請求する。両仮出願の全体を、参考文献としてここに援用する。
【0002】
この代表的なシステムと方法は、医療装置に関する。更に具体的には、この代表的なシステムと方法は、経皮的整形外科用ロッド設置装置に関する。
【背景技術】
【0003】
骨を整列させ又は位置決めするために骨安定化/固定装置を使用することは、十分に確立されている。更に、特定の椎骨又は或る範囲の脊椎を整列させ又は位置決めするために脊椎骨安定化/固定装置を使用することも、十分に確立されている。通常、その様な脊椎のための装置は、隣接する椎骨の間の連結器として用いられるプレート、ボード、又はロッドの様な比較的堅い部材で構成されている脊椎固定要素を利用している。その様な脊椎固定要素は、椎弓根骨固定スクリューを使って椎骨の椎弓根部分に取り付けられると、隣接する椎骨の剛接的位置決めに効果を発揮することができる。連結された椎骨が所定の位置に空間的に固定されると、処置が機能し、癒合が進み、脊椎融合が起こる。
【0004】
脊椎固定要素は、脊椎の様々な椎骨を安定化させるために導入される。このための幾つかの装置は、直接脊椎に取り付けられるように設計されているが、これらの装置を植え込むのに用いられる標準的な傍脊椎侵入法(paraspinal approach)の侵襲的性質は、一般的に障害をもたらすことがある。例えば、筋肉壊裂と失血は、標準的な傍脊椎移植法(paraspinal implantation approaches)から生じることもある。
【0005】
従来型の椎弓根スクリューシステム、及び最近設計された椎弓根スクリューシステムでも、幾つかの欠点を有している。これらの椎弓根スクリューシステムには、かなり大きくて嵩張るものもあり、手術中に椎弓根スクリューシステムを装着する際に、手術部位及びその周りのより多くの組織に損傷を与えることになるかも知れない。先行技術の椎弓根スクリューシステムは、手術前に椎弓根スクリューに連結又は取り付けられるロッド受け入れ装置を有している。更に、先行技術の椎弓根スクリューシステムには、全て慎重に組み立てなければならない数多くの構成要素を含んでいるものもある。更に、従来型の椎弓根スクリューシステムは、手術前に組み立てられ、そのため、MIS技法を使用する脊椎手術では、これらのシステムの装着及び取り扱いが更に難しくなる。
【特許文献1】米国仮特許出願第60/665,032号
【特許文献2】米国仮特許出願第60/741,653号
【特許文献3】米国特許出願第11/327、132号
【特許文献4】代理人整理番号40359−0070
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
多くの考え得る実施形態の1つでは、この代表的なシステムは、1つ又は複数の椎弓根スクリューを連結させるための接続部材を提供しており、この接続部材は、壁部材によって画定され、台座部材で終結しているスクリュー頭部固定穴を有するチューリップ部材と、壁部材の表面に連結されるセットスクリュー部材と、壁部材に連結されるロッドと、壁部材に形成されている椎弓根スクリュー頭部受け入れ穴とを含んでおり、椎弓根スクリュー頭部受け入れ穴は、スクリュー頭部固定穴に対し横断方向に形成され、これと交差している。
【0007】
別の代表的な実施形態は、椎弓根スクリュー、チューリップアッセンブリ、及びコネクタロッドを含む椎弓根スクリューシステムを提供している。この代表的な実施形態によれば、チューリップアッセンブリは、外側チューリップ、外側チューリップ内に配置されている割りリングとサドル、及びセットスクリューを含んでいる。更に、コネクタロッドは、ロッドと、コネクタロッドの一端に配置されている取り外し可能なボールエンドを含んでいる。この代表的な実施形態によれば、チューリップアッセンブリとロッドは、患者の中に経皮的に挿入することができる。更に、ロッドは、複数の椎弓根スクリューアッセンブリと整列させるために皮下で回すことができる。
【0008】
この代表的なシステムと別な方法の実施形態は、接続部材を椎弓根スクリューに連結させるための方法を提供しており、この方法は、椎弓根スクリューの頭部を、接続部材の第1穴を通して運動の第1線に沿って挿入する段階と、接続部材を椎弓根スクリューに対して、スクリューシャフトが運動の第1線に垂直に向くように向ける段階と、スクリュー頭部を接続部材の中に着座させる段階と、椎弓根スクリューの位置を接続部材内に固定する段階と、を含んでいる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
添付図面は、本システムと方法の様々な実施形態を示しており、明細書の一部を成している。図示の実施形態は、本システムと方法の例に過ぎず、その範囲を制限するものではない。
【0010】
各図面で、同じ参照番号は、同様の要素又は作用を示している。各図中の要素の寸法及び相対位置は、必ずしも縮尺が合ってはいない。例えば、様々な要素の形状と角度は、縮尺が合っておらず、これらの要素の幾つかは、図面を読み取りやすくするために、随意的に拡大し、配置している。更に、図示の要素の具体的な形状は、特定の要素の実際の形状に関する何らかの情報を伝える意図はなく、図面内で理解し易くするために選択しているに過ぎない。各図を通して、同じ参照番号は、同様の要素を示しているが、必ずしも同一の要素ではない。
【0011】
本明細書は、どの様な整形外科用ロッド配置システムにでも用いることのできる数多くの代表的な接続部材と方法を提供している。この代表的なシステムと方法により、経皮的なスクリューの設置が容易になる。具体的には、この代表的なシステムと方法は、椎弓根スクリューを経皮的に設置し、その後、ロッドと1つ又は複数のチューリップを、同時に経皮管を通して容易に設置できるようにする。後で更に詳しく述べるが、この代表的な接続部材は、経皮的にロッドを先に、又はチューリップを先にして挿入される。更に、1つの代表的なシステム構成では、ロッドとチューリップの間の固定された接続によって、この代表的なシステムの輪郭と大きさが、従来型のシステムと比べて小さくなっている。
【0012】
例えば、椎弓根スクリューシステムは、最小侵襲手技(MIS)法による後方固定術処理で脊椎に固定される。システムは、脊椎の椎弓根に挿入され、脊椎の少なくとも一部を操作する(例えば、湾曲を矯正し、圧縮又は拡張し、及び/又は構造的に補強する)ため、ロッドと相互接続される。脊椎固定及び/又は矯正手術にMIS法を使用することは、患者の回復時間を短縮し、補完手術の危険性を減らす。
【0013】
従来型の経皮的固定技法は、実際は、名前が経皮的であるに過ぎない。つまり、それらは、2つ又はそれ以上のチューリップの間にコネクタロッドを固定的に接続するため、脊椎近傍(paraspinous)の組織をなお相当に損傷する必要がある。これは、一部には、外科医の入手できるインプラントのためである。本発明の代表的なシステムと方法は、外科医が、真の経皮的侵入法で、皮膚の下の多裂筋側方の筋膜面でロッドを軸回転させることによって、脊椎スクリューとロッドを設置できるようにしている。
【0014】
MIS技法を使って脊椎固定及び/又は矯正手術を効率的に実行する能力は、この代表的なシステムと方法によって提供される椎弓根スクリューシステムを使用することによって強化され、このシステムと方法は、従来型のシステムに勝る数多くの利点を提供する。例えば、この代表的なシステムと方法の1つの実施形態による椎弓根スクリューシステムは、椎弓根スクリューを、手術前にロッド連結アッセンブリ(以後、チューリップアッセンブリと呼ぶ)と連結させること無く骨に挿入できるという利点を提供する。これは、外科医が、椎弓根スクリューを挿入した後で、但し大きくて嵩張るチューリップアッセンブリを取り付ける前に、しばしば他の体内作業を行う必要があるため好都合である。この様な好都合な椎弓根スクリューシステムは、外科医が作業を行わねばならない体内空間境界が極めて限られているので、MIS技法を使用する場合には非常に重要である。
【0015】
「伸延」という用語は、本明細書及び医療的意味で用いられる場合は、一般に接合面に関しており、接合面が互いに垂直に動くことを示唆している。しかしながら「牽引」及び/又は「伸延」が、例えば脊椎区画で実行される場合、脊柱区画は、互いに対して、伸延と滑動の組み合わせで、及び/又は他の自由度で動くことができる。
【0016】
以下の説明では、この経皮的な椎弓根スクリューシステムの様々な実施形態を完全に理解頂くため、或る具体的な詳細について記述している。しかしながら、当業者には理解頂けるように、この代表的なシステムと方法は、これらの具体的な詳細の1つ又はそれ以上が無くても、或いは他の方法、構成要素、材料などによっても実施することができる。他の例における椎弓根スクリューに関わる周知の構造については、本システムと方法の実施形態に関する説明を不必要に曖昧にしないために、詳細に図示又は説明をしていない。
【0017】
文脈的にそうでない場合以外は、本明細書と特許請求の範囲を通して、「備える」という用語と、「備えている」の様なその派生語は、制約の無い包括的な意味、即ち、「含むが、それに限定されない」と解すべきである。
【0018】
明細書における「1つの実施形態」又は「或る実施形態」への言及は、その実施形態と関連して説明される具体的な特徴、構造、又は特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。明細書の様々な場所に「1つの実施形態では」という語句が出てくるが、必ずしも全て同じ実施形態に言及しているのではない。更に、具体的な特徴、構造、又は特性は、1つ又は複数の実施形態において、どの様に適したやり方で組み合わせられてもよい。
【0019】
(代表的な構造)
図1は、1つの代表的な実施形態による、経皮的椎弓根スクリューシステム(100)の構成要素を示す分解斜視図である。図1に示す様に、この代表的な経皮的椎弓根スクリューシステム(100)は、頭部(115)を有する椎弓根スクリュー(110)を含んでいる。図1に示す代表的な実施形態によれば、椎弓根スクリュー(110)は、細長いねじ部(117)と頭部(115)を含んでいる。椎弓根スクリュー(110)は、当該技術では広く知られているが、頭部(115)は、どの様な型式のチューリップアッセンブリが椎弓根スクリュー(110)に連結されるかによって、さまざまな構造になり得る。この代表的な椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)は、駆動機構(112)と最大直径部を含んでいる。この代表的な椎弓根スクリュー(110)の駆動機構(112)は、椎弓根骨及び/又は他の骨にスクリューを挿入できるようにしている。1つの代表的な実施形態によれば、椎弓根骨は、椎弓板を椎体と接続する椎骨の一部である。更に、この代表的な実施形態によれば、駆動機構(112)は、チューリップアッセンブリが椎弓根スクリュー(110)に連結される前又は後で、椎弓根スクリュー(110)を調整するのに用いられる。図示の実施形態では、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)は、ねじ部(117)に連結されており、切頭された又は平坦な上面を有する概ね球形の面を含んでいる。
【0020】
1つの代表的な実施形態では、椎弓根スクリュー(110)には、カニューレが挿入され、つまり、椎弓根スクリュー(12)を通って軸方向に伸張するチャネル(図示せず)が、椎弓根スクリュー(110)の全長に亘って伸張していることを意味している。チャネル(図示せず)は、椎弓根スクリュー(110)が、一般にKワイヤと呼ばれるキルシュナー鋼線を受け取り、操作できるようにする。Kワイヤは、通常、画像化技法、例えば蛍光透視法画像化を使って事前に配置され、椎弓根スクリュー(110)を正確に設置するのに用いられる。図1に示す椎弓根スクリュー(110)は多数の構成要素を含んでいるが、限定するわけではないが、駆動機構(112)の型式を変更し、頭部の形状を変更し、材料を変更し、大きさを変更するなどして、多数の変更例を作ることもできる。
【0021】
代表的な椎弓根スクリュー(110)に加えて、代表的な経皮的椎弓根スクリューシステム(100)は、患者の皮膚の下のコネクタロッド(180)の向きを考慮しながら、椎弓根スクリューが所望の椎弓根に経皮的に挿入された後で、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)に連結できるチューリップアッセンブリ(160)を含んでいる。図1に示す様に、チューリップアッセンブリ(160)は、主要なチューリップハウジング(140)を含んでおり、その下側部分には、割りリング(120)とサドル(130)要素が入っている。更に、ボールエンド(170)とセットスクリュー(150)を、チューリップハウジング(140)の上部に選択的に組み付けることができる。更に、図示の様に、ロッド用の切抜(145)を形成するため、チューリップハウジング(140)の側壁から材料が取り除かれている。更に、コネクタロッド(180)が、チューリップアッセンブリ(160)の中に選択的に挿入される。代表的なチューリップアッセンブリ(160)の更なる詳細を以下に提供する。
【0022】
図示の様に、チューリップハウジング(140)は、円筒形のチューリップハウジングの軸に沿って同心に伸張している内径部(142)を含んでいる。図示の様に、割りリング(120)とサドル(130)は、チューリップハウジング(140)の下側部分に配置されている。1つの代表的な実施形態によれば、内径部(142)の輪郭と結び付けて、チューリップハウジング(140)の下側部分に割りリング(120)とサドル(130)を配置することによって、椎弓根スクリューを骨に固定した後で、チューリップアッセンブリ(160)を、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)にスナップ嵌めできるようになり、この間のことは、2006年1月6日出願の米国特許出願第11/327,132号「骨固定システムとそれを使用するための方法」に詳細に記載されており、その出願全体を参考文献としてここに援用する。1つの代表的な実施形態によれば、チューリップハウジング(140)は、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)の受け入れ及び固定の際に、割りリングファスナー(120)と相互作用するように作られた内径部(142)内に形成されているリング拡張チャネルと先細保持内径部を含んでいる。1つの代表的な実施形態によれば、リング拡張チャネル(図示せず)は、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)を受け入れるときに、割りリングファスナー(120)を受け入れ、割りリングファスナーの拡張に適応できるだけの最大直径を有している。更に、サドル(130)は、頭部(115)の上部と相互作用し、椎弓根スクリュー(110)の頭部を両者の間に位置固定する。更に、先細保持内径部を、拡張チャネル内に形成することができる。援用した出願に詳細に説明されている様に、先細保持内径部は、割りリングファスナー(120)の台座傾斜部と相互作用するように作られている。1つの代表的な実施形態によれば、チューリップアッセンブリ(160)は、少なくとも部分的には、割りリングファスナー(120)を先細保持内径部(図示せず)に沿って押すことによって、椎弓根スクリュー(110)に対して位置的に固定される。1つの代表的な実施形態によれば、先細保持内径部と台座傾斜部の間の相互作用によって、チューリップアッセンブリ(160)を、椎弓根スクリューに対して位置的に固定しながら、割りリングファスナーは、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)回りに締め付けられる。
【0023】
次にチューリップハウジング(140)の構造であるが、チューリップハウジングは、内径部(142)と、チューリップハウジングの側面に形成されているロッド用切抜(145)を画定している。1つの代表的な実施形態によれば、内径部(142)には、数多くの造形と多様な作動表面が中に形成されている。例えば、先に述べた様に、内径部(142)の下側部分は、割りリング(120)とサドル(130)部材を収納し、それらが作動的に並進運動し、拡張できるようにする数多くの変化する直径を含んでいる。更に、図1に示す代表的な実施形態によれば、チューリップハウジング(140)の内径部(142)は、セットスクリュー(150)を係合的に受け入れるように作られたねじ部を含んでいる。更に、内径部(142)は、ボールエンド(170)を受け入れるように作られたチャンバを含んでいる。更に、図示の様に、ロッド用切抜(145)は、チューリップハウジング(140)の側壁内に形成されている。1つの代表的な実施形態によれば、ロッド用切抜(145)は、コネクタロッド(180)が、内径部(140)の同心軸の位置から、同心軸に垂直な位置へ回転できる大きさになっている。その結果、1つの代表的な実施形態によれば、ロッド用切抜(145)は、コネクタロッド(180)の最大直径とほぼ同じ幅である。
【0024】
上に述べた通り、ボールエンド(170)は、チューリップハウジング(140)の内径部(142)の中に配置される。1つの代表的な実施形態によれば、ボールエンド(170)は、中心内径部(172)と、側壁に形成された拡張割れ目(174)を含んでいる。1つの代表的な実施形態によれば、中心内径部(172)は、コネクタロッド(180)の外径と実質的に等しいか、又はそれより僅かに小さい直径を有している。この代表的な実施形態によれば、ロッドがボールエンド(170)の中心内径部(172)の中に挿入されると、拡張割れ目(174)のためにボールエンドが拡張し、コネクタロッド(180)を圧縮して連結する。更に、並置されている傾斜部、1つ又は複数の半径方向溝、ねじ切り、又は他の何らかの造形の様な、コネクタロッド(180)の端部と割れたボールエンド(170)上の対応する造形は、コネクタロッドとボールエンドを係合状態に維持するのに用いられる。1つの代表的な実施形態によれば、ボールエンド(170)は、先に述べた様に、コネクタロッド(180)に連結されるように作られ、チューリップハウジング(140)の内径部(142)内でコネクタロッドが容易に回転できるようにしている。
【0025】
更に、セットスクリュー(150)は、内径部(142)に形成されている雌ねじと嵌合的に係合し、ボールエンド(170)とコネクタロッド(180)が所望の位置にきたとき、それらを圧縮するように作られている。これは、コネクタロッドをチューリップアッセンブリ(160)に対して位置的に固定することになる。加えて、以下に更に詳しく説明する様に、セットスクリュー(150)を内径部(142)内で前進させると、ボールエンド(170)を通してサドル(130)に圧縮力を付与することになる。その結果、サドル(130)は、割りリングを先細内径部内に接触させて直接押し込むか、又は、椎弓根スクリューの頭部を下向きに押すことにより割りリングを先細内径部内に間接的に押し込むことによって、割りリング(120)を先細保持内径部内に更にしっかりと着座させ、チューリップアッセンブリ(160)を、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)に更にしっかりと連結させることになる。
【0026】
図2は、1つの代替実施形態による、代わりの経皮的椎弓根スクリュー構造(200)を示している。図2に示す様に、この代わりの経皮的椎弓根スクリュー構造(200)は、ロッド連結機構(270)によって、ロッド(280)に永久的に連結されているチューリップハウジング(240)を含んでいる。更に、チューリップハウジングは、1つの代表的な実施形態による、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)の受け入れ、回転、及び連結を容易にする数多くの造形を含んでいる。図2に示す様に、代表的なチューリップハウジングは、チューリップハウジング(240)の側壁に形成されている頭部受け入れ開口(210)を含んでいる。更に、出口孔(220)が、円筒形チューリップハウジング(240)の軸と同心に形成されている。図示の様に、台座傾斜部(225)が、出口孔(220)の内側表面上に形成されている。更に、セットスクリュー(250)が、チューリップハウジング(240)に軸方向に連結されている。この代わりの経皮的椎弓根スクリュー構造の更なる詳細を、図2から図3Dを参照しながら以下に提供する。
【0027】
上に述べた通り、代わりの経皮的椎弓根スクリュー構造(200)は、ロッド連結機構(270)によってチューリップハウジング(240)の側壁に堅く連結されたロッド(280)を含んでいる。1つの代表的な実施形態によれば、代わりの経皮的椎弓根スクリューシステム(200)では、以下に詳細に説明する様に、側部の頭部受け入れ開口(210)が、チューリップハウジング(240)から独立してロッド(280)を回転させる必要を無くすように活用されるので、ロッド(280)は、チューリップハウジング(240)に堅く連結されている。1つの代表的な実施形態によれば、ロッド(280)は、限定するわけではないが、溶接、蝋付け、又は接着剤の使用を含め、当技術で既知の何らかの接合方法を使って、チューリップハウジング(240)の側壁に連結されている。代わりに、ロッド連結機構(270)は、限定するわけではないが、ねじ係合機構又は締まり圧入嵌め機構を含め、何らかの機械的接合機構を含んでいてもよい。
【0028】
図3Aで良く分かる様に、1つの代表的な実施形態によれば、頭部受け入れ開口(210)は、チューリップハウジング(240)の側壁に形成されている。頭部受け入れ開口(210)は、寸法形状が、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)と一致している。従って、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)は、頭部受け入れ開口(210)に、任意の進入角度に沿って受け入れられる。具体的には、代表的なチューリップハウジング(240)は、手術の状況又は外科医の嗜好によって命じられる通り、椎弓根スクリューの軸に平行な方向、椎弓根スクリューの軸に垂直な方向、又は椎弓根スクリューの軸に対する他のあらゆる方向から、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)に近付けることができる。従って、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)のどんな輪郭でも受け入れることのできる大きさに作られている。
【0029】
引き続き図2から図3Dを参照してゆくが、チューリップハウジング(240)は、図3Bで分かる様に、ハウジングの軸と同心にチューリップハウジング全体を貫通する貫通穴(310)を含んでいる。貫通穴の上側部分には、セットスクリュー(250)と堅く嵌合させるための何条かの雌ねじ又は他の嵌合機構が設けられている。貫通穴(310)は、底部開口(220)で終結している。1つの代表的な実施形態によれば、底部開口(220)の最大直径は、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)の最大直径より小さいが、ねじ部(117)の外径より大きい。従って、頭部(115)が頭部受け入れ開口(210)を経由して貫通穴(310)に入ると、底部開口(220)から抜け出ることはない。しかしながら、底部開口(220)は、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)の下面を着座させる台座傾斜部(225)を含んでいる。
【0030】
1つの代表的な実施形態によれば、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)が頭部受け入れ開口(210)を経由して受け入れられ、経皮的椎弓根スクリューシステム(200)が適切に位置決めされると、セットスクリュー(250)が、貫通穴に沿って進められ、代表的な経皮的椎弓根スクリューシステムを位置的に固定する。具体的には、セットスクリュー(250)は、貫通穴(310)に沿って進められると、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)を押し付け、底部開口(220)の台座傾斜部(225)に着座させる。この代表的な実施形態によれば、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)を台座傾斜部(225)に押し付けると、チューリップハウジング(240)とロッド(280)を、椎弓根スクリューに対して位置的に固定することになる。更に、セットスクリュー(250)を貫通穴(310)に沿って十分に前進させることによって、頭部受け入れ開口(210)は小さくなり、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)がチューリップハウジング(240)から抜け出るのが防止される。1つの代表的な実施形態によれば、セットスクリュー(250)は、その下側に、係合したときに椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)を嵌合的に受け入れるように作られた凹面を含んでいる。
【0031】
図示の経皮的椎弓根スクリューシステム(100、200)は、共に、整形外科用ロッド設置システムにおいて、多軸運動を維持できるすっきりした解法を提供できるように作られている。更に、両方の代表的なシステムは、以下に詳細に述べる様に、MIS挿入法による真に経皮的なロッド設置を実行するのに用いられる。
【0032】
(代表的な方法と作動)
上に述べた代表的な経皮的椎弓根スクリューシステム(100、200)は、従来型の整形外科的用途に用いることもできるが、現在の代表的な方法と作動について、説明を容易にするために、MIS技法を使った経皮的ロッド設置法の文脈で説明する。しかしながら、この代表的なシステムと方法の精神と範囲から逸脱することなく、様々な修正を施せるものと理解されたい。
【0033】
図4は、1つの代表的な実施形態による、図1の経皮的椎弓根スクリューシステム(100)を使って実行される代表的な経皮的ロッド設置法を示している。図4に示す様に、代表的な方法は、先ず患者に切開を施し、Kワイヤを所望の椎弓根に設置する(ステップ400)ことによって始まる。次に、椎弓根スクリューが、Kワイヤをガイドとして使用し、所望の椎弓根に配置される(ステップ405)。椎弓根スクリューが所定の位置にある状態で、経皮管が、椎弓根スクリューに外挿され、所望の椎弓根のレベルに設置される(ステップ410)。次に、所望の全ての椎弓根に椎弓根スクリューがしっかりと設置され、経皮管がそこまでのアクセスを提供するようになるまで、ステップ400から410が、第2の所望の椎弓根で繰り返される(ステップ415)。次に、経皮的椎弓根スクリューチューリップとコネクタロッドが経皮管の中を下ろされ、チューリップが、第1の椎弓根スクリュー頭部にスナップ嵌めされる(ステップ420)。次に、コネクタロッドが、経皮管のスロットを通して、多裂筋側方の筋膜面に沿って、隣接するチューリップの頭部上をその上へと揺動される。ロッドが隣接するチューリップに固定されると、経皮管を取り外して(ステップ425)、傷を治療することができる。上に述べた方法について、図4から図5Lを参照しながら以下に詳細に述べる。
【0034】
上に述べた様に、この代表的な方法は、先ず患者に切開を施し、Kワイヤを所望の椎弓根に配置する(ステップ400)ことによって始まる。図5Aは、特定された椎骨(500)の椎弓根(515)へのKワイヤ(510)の設置を示している。1つの代表的な実施形態によれば、Kワイヤの設置は、多裂筋側方の面で鈍的切開を実行し、椎弓根(515)に近付くことによって実現される。腰椎(500)は、椎骨の上部を走る数多くの筋肉グループを有している。多裂筋は、棘状突起に隣接する位置にあり、最長筋グループが多裂筋の側方に位置している。この代表的な方法に対して、従来型のMIS法は、Kワイヤ、椎弓根スクリュー、及びその付帯するハードウェアを、多裂筋グループを横断する進入路を通して挿入する。この技法は、軟組織を必要以上に損傷させ、患者に痛みを与え、リハビリを長期化させることになる。鈍的切開とKワイヤの挿入は、X線透視ガイダンスによってやり易くなる。多裂筋側方の面で鈍的切開を実行し、椎弓根(515)に近付くことによる挿入技法の更なる詳細は、David T. Hawkes 他による2006年3月17日出願の弁理士整理番号40359−0070号の米国特許出願「低侵襲性アクセスポート」に記載されており、この出願全体を参考文献としてここに援用する。
【0035】
Kワイヤが所定の位置にある状態で、椎弓根スクリューは、Kワイヤをガイドとして使って所望の椎弓根に設置される(ステップ405、図4)。図5Bと図5Cは、Kワイヤをガイドとして使用して、椎弓根スクリューを所望の椎弓根に挿入する代表的な工具と方法を示している(ステップ405、図4)。1つの代表的な実施形態によれば、Kワイヤは、所望の椎弓根(515)に穿孔し、タップを立てるガイドとして用いられる。準備が整えば、スクリュードライバ(522)を使って、椎弓根スクリュー(110、図1)を所望の椎弓根(515)にねじ込む。
【0036】
図5Bに示す様に、固定駆動アーム(529)と軸回転可能駆動アーム(524)を含む代表的なスクリュードライバ(522)を使って、椎弓根スクリューが設置される。1つの代表的な実施形態によれば、スクリューの頭部(115)には、従来型の駆動機構(520)と、軸回転可能駆動アーム(524)の先端の駆動突起(527)が嵌合する、側部を貫通する駆動受け入れ孔(525)とが設けられている。図5Bに示す代表的なスクリュードライバ(522)を使って、先ず、チューリップロッドアッセンブリが椎弓根スクリューに組み付けられ、セットスクリュー(150、図1)が、椎弓根スクリュー(110、図1)をチューリップ(160、図1)内に捕捉するため、堅くロックせず、部分的に締め付けられる。次に、カニューレが挿入されたロッドをドライバの軸に滑り込ませ、ハンドルを閉じ、ピンを椎弓根スクリューの頭部に係合させ、それを固定する。スクリューアッセンブリは、これで15.5mmの経皮管を通して駆動され、解放される。
【0037】
図4の代表的な方法に戻るが、椎弓根スクリューが所定の位置に設置されると、経皮管が、椎弓根スクリューに外挿して所望の椎弓根のレベルに設置される(ステップ410)。図5Dに示す様に、ドライバ(522)のハンドルが取り外されると、経皮管(530)を、駆動アーム(529)に外挿して椎弓根(515)のレベルに直接下ろして設置することができる。図5Eに示す様に、経皮管(530)が適切に設置されると、駆動アーム(529)とKワイヤ(510)が取り外され、椎弓根スクリュー(110)と経皮管(530)が適所に残される。第1の位置が整えられると、全ての所望の椎弓根に椎弓根スクリューが堅く設置され、経皮管がそこへのアクセスを提供するまで、第2の所望の椎弓根で、ステップ400から410が繰り返される(ステップ315)。図5Fは、1つの代表的な実施形態による、第2の所望の椎弓根におけるステップ400から410の実行を示している。
【0038】
1つ又は複数の経皮管(530)が所定の位置にある状態で、経皮的椎弓根スクリューチューリップとコネクタロッドは、経皮管を通して下ろされ、チューリップは、第1椎弓根スクリューの頭部にスナップ嵌合される(ステップ420)。図5Gに示す代表的な実施形態によれば、経皮的スクリューチューリップは、コネクタロッドに組み付けられ、組み立てられた経皮的椎弓根スクリューシステム(100)を形成し、経皮管(530)を通してチューリップを先にして送られる。しかしながら、図5Hと図5Iに示す様に、先ず、チューリップアッセンブリ(160)が椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)に連結され、その後、ロッド(170)がチューリップアッセンブリ(160)に連結されるようにしてもよい。図5Hと図5Iに示す様に、ロッド(180)は、経皮管(530)を通して下に案内され、そこでチューリップハウジング(140)の内径部(142)と係合する。1つの代表的な実施形態によれば、チューリップアッセンブリ(160)には、事前に組み立てられた割りボールエンド(170)が供給される。内径部(142)に導入されると、力(F)が、ロッド(180)を、ロッドを保持する割りボールエンド(170)に導入する。
【0039】
コネクタロッド(180)がチューリップアッセンブリ(160)に挿入され椎弓根スクリュー(110)に連結されると、コネクタロッドは、経皮管のスロットを通して、多裂筋側方の筋膜面に沿って、隣接するチューリップの頭部上をその上へと揺動される(ステップ325)。図5Jから図5Fは、コネクタロッド(180)が隣接するチューリップアッセンブリ(160)の頭部上をその上へと揺動される様子を示している。先に述べた様に、チューリップハウジング(140)は、その側壁にロッド用切抜(145)を含んでいる。更に、経皮管は、ロッド(180)が回転できるように、その壁にスリット(510)を含んでいる。1つの代表的な実施形態によれば、ロッド(180)は、隣接するチューリップアッセンブリ(160)と係合するまで、揺動され、患者の皮膚の下で、多裂筋側方の筋膜面に沿って送られる。第2のチューリップアッセンブリ(160)が係合されると、両方のチューリップアッセンブリは、セットスクリュー(150)を内径部(142)内に固定して割りボールエンド(170)をサドル(130)内に着座させることによって、所定の位置にロックされる。代わりに、隣接するチューリップ(160)は、コネクタロッドを所定の位置に堅く固定するため、何らかの他のロック機構を含んでいてもよい。
【0040】
ロッドが隣接するチューリップ内に固定されると、経皮管は取り外され(ステップ425)傷が治療される。図5Lは、経皮管(530)が取り外され、完全に組み立てられた構造を示している。この代表的な実施形態によれば、治療されることになる表面の傷だけが、経皮管を挿入するために形成された傷である。ロッドの設置は皮膚の下で行われるので、多大な脊椎近傍(paraspinous)の組織の損傷が無くなる。
【0041】
図4に示している方法は、図2に示す、別の経皮的椎弓根スクリューシステム(200)を挿入するのにも用いられる。図6からから図7Dに示す通りである。図示の様に、経皮管が所定の位置にある状態で(530、図5E)、接続部材が、経皮管を通して、図7Aに示す様に、チューリップを先にして設置される(ステップ600)。椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)に達すると、椎弓根スクリューの頭部に、図7Bに示す様に、チューリップの側面開口(210)を通過させる(ステップ610)。
【0042】
ロッド(180)を回転させるだけの第1の経皮的椎弓根スクリューシステム(100、図1)とは対照的に、第2の代表的な経皮的椎弓根スクリューシステム(200)は、経皮的椎弓根スクリューシステム全体を回転させ、椎弓根スクリューの頭部上で軸回転させて、ロッドを、1つ又は複数の先に設置されているチューリップへと位置決めする(ステップ620)。図7Cに示す様に、システムを回転させると、椎弓根スクリュー(110)のねじ部が、チューリップハウジング(240)の底部開口(220)を出ている状態になる。第1の代表的な経皮的椎弓根スクリューシステム(100、図1)と同様に、ロッド部(280)に、経皮管(530、図5K)の壁のスリット(510、図5K)を通過させ、ロッド(280)が回転できるようにする。1つの代表的な実施形態によれば、ロッド(280)は、隣接するチューリップアッセンブリと係合するまで、揺動され、患者の皮膚の下で、多裂筋側方の筋膜面に沿って送られる。
【0043】
第2チューリップアッセンブリが係合されると、セットスクリュー(250)が締め付けられ、アッセンブリが固定される(ステップ630)。先に述べ、図7Cと図7Dに示す様に、セットスクリュー(250)を締め付けると、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)が、貫通穴(310)の台座傾斜部(225、図2)に着座する。加えて、セットスクリュー(250)を締め付けると、頭部受け入れ開口(210)が塞がれ、椎弓根スクリューの頭部がしっかりと保持されることになる。
【0044】
図8Aから図10Cは、1つの代表的な実施形態による、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)の着座を示している。図8A−図8Cに示す様に、セットスクリュー(250)の係合前に、球状のスクリュー頭部(115)が、チューリップの後面の頭部受け入れ開口(210)を通してチューリップの中心に送られ、椎弓根スクリュー(110)のねじ部がチューリップハウジング(240)の底部開口(220)から出ている状態になるように位置決めされる。正しく位置決めされると、図9A−図9Cに示す様に、スクリュー頭部(115)は、球状の台座傾斜部(225)に、セットスクリュー(250)の軸と一列に着座する。
【0045】
次に、セットスクリュー(250)は、貫通穴(310、図3B)を下向きに進められ、スクリュー頭部(115)と係合し、それを台座傾斜部(225)にロックする。図10A−10Cに示す様に、セットスクリュー(250)は、スクリュー頭部(115)の上面と嵌り合って、この構造を側面内で拘束するように作られた凹状の頭部受け入れ面(1000)を有している。加えて、セットスクリュー(250)を椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)に押し付けるよう前進させると、代表的な経皮的椎弓根スクリューシステム(200)が、椎弓根スクリューに対して位置的にロックされる。
【0046】
上に述べた挿入方法を使えば、1レベル連結の短いロッド要件のため、スクリューアッセンブリを皮下で挿入し固定することができる。具体的には、2つの椎骨だけを連結する場合、使用されるロッドは、チューリップを先にしてアッセンブリを挿入し、その後ロッドを皮下でロックすることができるほど十分に短い。しかしながら、3つ以上の椎骨を連結する2又は3レベルの処置では、もっと長いロッドを使用する。従って、図11から図12Cは、2又は3レベルの処置に用いられる、代表的な、ロッドを先にして挿入する方法を示している。
【0047】
図11に示している様に、この代表的な方法は、経皮管(530、図5D)と椎弓根スクリュー(110)を挿入した後、先に述べた様に、経皮的椎弓根スクリューシステムを、ロッドを先にして経皮管に挿入し(ステップ1100)、その後、経皮的椎弓根スクリューシステムを実質的に水平な位置まで回転させる(ステップ1110)ことによって始まる。図12Aは、その様な挿入を示している。図示の様に、経皮的椎弓根スクリューシステム(200)は、ロッド(280)を先導端にして挿入される。システム(200)が椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)近くに送られると、経皮的椎弓根スクリューシステムが、多裂筋側方の筋膜面に沿って実質的に水平な位置まで回転される。すると、図12Aに示す様に、チューリップハウジング(240)の頭部受け入れ開口(210)は、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)に実質的に隣接することになる。
【0048】
システムが実質的に水平な位置に配置されているとき、又はその後で、ロッド(280)を、1つ又は複数の先に設置されたチューリップアッセンブリに挿入することができる(ステップ1120)。チューリップアッセンブリは、次に、経皮的椎弓根スクリューシステム(200)を、スクリューの頭部に向かって引き戻し、スクリューの頭部にチューリップの側部開口を通過させることによって、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)に連結される(ステップ1130)。図12Bは、チューリップアッセンブリへの頭部の挿入を示している。第1の経皮的椎弓根スクリューシステム(100、図1)を用いると、システムを引き戻すときに、チューリップアッセンブリを、椎弓根スクリュー(110)の頭部(115)の上方に持ち上げることになる。経皮的椎弓根スクリューシステムが適切に位置決めされている状態で、図12Cに示す様に、セットスクリューが締めつけられ、アッセンブリが固定される(ステップ1140)。
【0049】
結論を言えば、この代表的な経皮的椎弓根スクリューシステム及び方法は、経皮的スクリュー設置に使用することのできる数多くの代表的な接続部材と方法を提供する。具体的には、この代表的なシステムと方法は、椎弓根スクリューを経皮的に設置し、その後、経皮管を介して、ロッドと1つ又は複数のチューリップを同時に容易に設置することを提供している。具体的には、この代表的なシステムと方法は、外科医が、ロッドを皮膚の下の多裂筋側方の筋膜面内で軸回転させることによって、真の経皮的侵入法により、脊椎スクリューとロッドを設置できるようにしている。脊柱固定及び/又は矯正手術に、開示されているMIS法を使用することは、患者の回復時間を効果的に短縮し、補完手術の危険性を減らすことになる。
【0050】
この代表的なシステムと方法の精神及び範囲から逸脱すること無く、様々な修正を施すことができるものと理解されたい。例えば、代表的な実施例について、骨構造に固定させるスクリューを使用して説明し図示してきたが、この代表的なシステムと方法の範囲は、それに限定されない。カム、スクリュー、ホッチキス、釘、ピン、又はフックの様な、どの様な固定手段を使用してよい。
【0051】
以上の説明は、本発明の実施形態を示し説明するためだけに呈示したものである。本発明を、網羅し、或いは開示した形態そのものに限定する意図はない。上記教示に照らし、多くの修正及び変更が可能である。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって定義されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】1つの代表的な実施形態による、経皮的接続部材の分解斜視図である。
【図2】1つの代表的な実施形態による、経皮的接続部材の斜視図である。
【図3A】図3Aは、数多くの代表的な実施形態による、図2の経皮的接続部材の、正面図である。
【図3B】図3Bは、数多くの代表的な実施形態による、図2の経皮的接続部材の、平面図である。
【図3C】図3Cは、数多くの代表的な実施形態による、図2の経皮的接続部材の、側面断面図である。
【図3D】3Dは、数多くの代表的な実施形態による、図2の経皮的接続部材の、底面図である。
【図4】1つの代表的な実施形態による、経皮的設置方法を示す流れ図である。
【図5A】図5Aは、1つの代表的な実施形態による、チューリップの第1の経皮的設置法を示している。
【図5B】図5Bは、1つの代表的な実施形態による、チューリップの第1の経皮的設置法を示している。
【図5C】図5Cは、1つの代表的な実施形態による、チューリップの第1の経皮的設置法を示している。
【図5D】図5Dは、1つの代表的な実施形態による、チューリップの第1の経皮的設置法を示している。
【図5E】図5Eは、1つの代表的な実施形態による、チューリップの第1の経皮的設置法を示している。
【図5F】図5Fは、1つの代表的な実施形態による、チューリップの第1の経皮的設置法を示している。
【図5G】図5Gは、1つの代表的な実施形態による、チューリップの第1の経皮的設置法を示している。
【図5H】図5Hは、1つの代表的な実施形態による、チューリップの第1の経皮的設置法を示している。
【図5I】図5Iは、1つの代表的な実施形態による、チューリップの第1の経皮的設置法を示している。
【図5J】図5Jは、1つの代表的な実施形態による、チューリップの第1の経皮的設置法を示している。
【図5K】図5Kは、1つの代表的な実施形態による、チューリップの第1の経皮的設置法を示している。
【図5L】図5Lは、1つの代表的な実施形態による、チューリップの第1の経皮的設置法を示している。
【図6】図6は、1つの代表的な実施形態による、チューリップの第1の設置法の各段階を示している。
【図7A】図7Aは、別の代表的な実施形態による、チューリップの第1の設置法を示している。
【図7B】図7Bは、別の代表的な実施形態による、チューリップの第1の設置法を示している。
【図7C】図7Cは、別の代表的な実施形態による、チューリップの第1の設置法を示している。
【図7D】図7Dは、別の代表的な実施形態による、チューリップの第1の設置法を示している。
【図8A】図8Aは、1つの代表的な実施形態による、図2に示している代表的な経皮的接続部材を椎弓根スクリューの頭部に係合させる仕組みを示している。
【図8B】図8Bは、1つの代表的な実施形態による、図2に示している代表的な経皮的接続部材を椎弓根スクリューの頭部に係合させる仕組みを示している。
【図8C】図8Cは、1つの代表的な実施形態による、図2に示している代表的な経皮的接続部材を椎弓根スクリューの頭部に係合させる仕組みを示している。
【図9A】図9Aは、1つの代表的な実施形態による、図2に示している代表的な経皮的接続部材を椎弓根スクリューの頭部に係合させる仕組みを示している。
【図9B】図9Bは、1つの代表的な実施形態による、図2に示している代表的な経皮的接続部材を椎弓根スクリューの頭部に係合させる仕組みを示している。
【図9C】図9Cは、1つの代表的な実施形態による、図2に示している代表的な経皮的接続部材を椎弓根スクリューの頭部に係合させる仕組みを示している。
【図10A】図10Aは、1つの代表的な実施形態による、図2に示している代表的な経皮的接続部材を椎弓根スクリューの頭部に係合させる仕組みを示している。
【図10B】図10Bは、1つの代表的な実施形態による、図2に示している代表的な経皮的接続部材を椎弓根スクリューの頭部に係合させる仕組みを示している。
【図10C】図10Cは、1つの代表的な実施形態による、図2に示している代表的な経皮的接続部材を椎弓根スクリューの頭部に係合させる仕組みを示している。
【図11】図11は、1つの代表的な実施形態による、ロッドの第1の設置法の各段階を示している。
【図12A】図12Aは、1つの代表的な実施形態による、ロッドの第1の設置法を示している。
【図12B】図12Bは、1つの代表的な実施形態による、ロッドの第1の設置法を示している。
【図12C】図12Cは、1つの代表的な実施形態による、ロッドの第1の設置法を示している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数の整形外科用ファスナー(110)に経皮的に連結させるための接続部材(100、200)において、
チューリップアッセンブリ(160)と、
ロッド(180、280)と、を備えており、前記ロッド(180、280)は、前記チューリップアッセンブリ(160)に永久的に連結される、接続部材。
【請求項2】
前記チューリップアッセンブリ(160)と前記ロッド(180、280)は、単一の連続する部材である、請求項1に記載の接続部材(100、200)。
【請求項3】
前記ロッド(180、280)は、取付要素(270)によって前記チューリップアッセンブリ(160)に永久的に連結される、請求項1に記載の接続部材(100、200)。
【請求項4】
前記取付要素(270)は、ねじ式接合部分、溶接、又は接着剤の内の1つを備えている、請求項3に記載の接続部材(100、200)。
【請求項5】
1つ又は複数の整形外科用ファスナー(110)に経皮的に連結させるための接続部材(100、200)において、
壁部材(240)によって画定される軸を有するファスナー頭部固定開口(310)を含んでいるファスナー頭部(115)固定部材であって、前記壁部材(240)は、前記頭部固定開口(310)の一端に頭部保持開口(220)を画定している、ファスナー頭部(115)固定部材と、
前記壁部材(240)の表面(300)に連結される調整可能な圧縮部材(150、250)と、
前記壁部材(240)に連結されるロッド(180、280)と、
前記壁部材(240)に形成されているファスナー頭部受け入れ開口(210)であって、前記ファスナー頭部固定開口(310)の軸を横断して形成され、これと交差するファスナー頭部受け入れ開口(210)と、を備えている接続部材(100、200)。
【請求項6】
前記壁部材(240)上に前記頭部保持開口(220)に近接して形成されている台座傾斜部(225)を更に備えている、請求項5に記載の接続部材(100、200)。
【請求項7】
前記ロッド(180、280)は、溶接、接着剤、又はねじ式システムの内の1つによって前記壁部材(240)に連結されている、請求項5に記載の接続部材(100、200)。
【請求項8】
前記調整可能な圧縮部材(150、250)は、セットスクリュー(150、250)を備えている、請求項5に記載の接続部材(100、200)。
【請求項9】
前記頭部保持開口(220)は、前記ファスナー頭部(115)の外径より小さい外径を有しており、
前記ファスナー受け入れ開口(210)は、前記ファスナー頭部(115)の外径より大きい直径を有している、請求項5に記載の接続部材(100、200)。
【請求項10】
骨固定装置(100、200)において、
ねじ部(117)、球状頭部(115)、及び駆動境界面(112)を含んでいるスクリュー(110)と、
前記スクリュー(110)の前記球状頭部(115)に連結させるように作られているチューリップアッセンブリ(160)であって、前記チューリップアッセンブリ(160)は、貫通穴(142、310)を画定している外側ハウジング(140、240)と、前記貫通穴(142、310)の中に配置されている割りボール(170)、サドル(130)、及び割りリング(120)と、前記貫通穴(142、310)の上部表面に形成されている複数の溝(300)と、前記貫通穴(142、310)の上面から、前記外側ハウジング(140、240)の側面に沿って選択された距離まで伸張している切抜(145)と、を含んでいる、チューリップアッセンブリと、
外側表面と畝付外周表面を有するセットスクリュー(150、250)であって、前記畝付外周の前記畝は、前記貫通穴(142、310)の上部表面に形成されている前記複数の溝(300)と噛み合い接続する、セットスクリューと、を備えている骨固定装置。
【請求項11】
前記貫通穴(142、310)の上部表面に形成されている前記複数の溝(300)と、前記セットスクリュー(150、250)の前記畝付外周上の前記畝は、ねじ(300)を備えている、請求項10に記載の骨固定装置(100、200)。
【請求項12】
前記チューリップアッセンブリ(160)に連結されるように作られているロッド(180、280)を更に備えており、前記切抜(145)は、前記ロッド(180、280)の最大外径を受け入れることができるように作られている、請求項10に記載の骨固定装置(100、200)。
【請求項13】
前記割りボール(170)は、前記ロッド(180、280)の一端に連結されるように作られている、請求項10に記載の骨固定装置(100、200)。
【請求項14】
前記割りボール(170)の内側表面と前記ロッド(180、280)の外側表面に、対応する機構を更に備えており、前記対応する機構は、前記割りボール(170)を前記ロッド外側表面に連結させるように作られている、請求項12に記載の骨固定装置(100、200)。
【請求項15】
前記対応する機構は、並置されている傾斜部、1つ又は複数の半径方向溝、又はねじの内の1つを備えている、請求項14に記載の骨固定装置(100、200)。
【請求項16】
前記貫通穴(142、310)の中に画定されている割りリング受け入れ穴を更に備えており、
前記割りリング受け入れ穴は、前記割りリング(120)が前記球状頭部(115)の回りに拡張したときの、前記割りリングの外径に関係付けられた外径を有しており、
前記チューリップアッセンブリ(160)は、前記スクリュー(110)の前記球状頭部(115)にスナップ嵌めするように作られている、請求項10に記載の骨固定装置(100、200)。
【請求項17】
前記サドル(130)は、前記貫通穴(142、310)の内側で前記割りリング(120)に隣接して配置されており、
前記割りボール(170)は、前記サドル(130)上に配置されており、
前記割りボール(170)に加えられる下向きの力は、前記サドル(130)に伝達される、請求項10に記載の骨固定装置(100、200)。
【請求項18】
チューリップ(140、240)を含んでいる接続部材(100、200)を、締結軸(117)を有する少なくとも1つの整形外科用ファスナー(110)に連結させるための方法において、
前記整形外科用ファスナー(110)の頭部(115)に、第1の運動線に沿って、前記接続部材(100、200)の第1開口(210)を通過させる段階と、
前記接続部材(100、200)を、前記整形外科用ファスナー(110)に対して、前記締結軸(117)が前記第1の運動線に垂直に向くように、向ける段階と、
前記整形外科用ファスナーの頭部(115)を、前記接続部材(100、200)内に着座させる段階と、
前記整形外科用ファスナー(115)を、前記接続部材(100、200)内に位置的に固定する段階と、から成る方法。
【請求項19】
前記接続部材(100、200)の、前記少なくとも1つの整形外科用ファスナー(110)への前記連結は、経皮的に行われる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記整形外科用ファスナー(110)の頭部(115)に第1開口(210)を通過させる前記段階は、
前記整形外科用ファスナー(110)を骨部材(515)に固定する段階と、
前記接続部材(100、200)を、経皮管(530)に、チューリップ(140、240)を先にして通過させる段階と、を含んでいる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記整形外科用ファスナー(110)の頭部(115)に第1開口(210)を通過させる前記段階は、
前記整形外科用ファスナー(110)を骨部材(515)に固定する段階と、
前記接続部材(100、200)を、経皮管(530)に、ロッド(180、280)を先にして通過させる段階と、を含んでいる、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
経皮的チューリップアッセンブリ(160)を取り付けるための方法において、
Kワイヤ(510)を所望の椎弓根(515)の中に取り付ける段階であって、前記Kワイヤ(510)は、多裂筋近傍の筋膜面に沿って取り付けられる、Kワイヤ(510)を取り付ける段階と、
前記Kワイヤ(510)をガイドとして使用して、椎弓根スクリュー(110)を前記所望の椎弓根(515)にねじ込む段階と、
経皮管(530)を前記Kワイヤ(510)に沿って挿入する段階と、
前記経皮管(530)を介して、前記経皮的チューリップアッセンブリ(160)を前記椎弓根スクリュー(515)に外挿する段階と、から成る方法。
【請求項23】
前記チューリップ(140、240)を挿入する前に、ロッド(180、280)を前記経皮的チューリップ(140、240)に連結させる段階と、
前記ロッド(180、280)とチューリップ(140、240)の組み合わせ(160)を、前記経皮管(530)内に、前記ロッド(180、280)が前記管(530)内で上向きに突き出るように、配置する段階と、を更に含んでいる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ロッド(180、280)とチューリップ(140、240)の組み合わせ(160)を回転させて、前記ロッド(180、280)を第2のチューリップアッセンブリ(160)と係合させる段階を更に含んでいる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ロッド(180、280)を、前記経皮管(530)のスリット(145)を通して回転させる段階を更に含んでいる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ロッド(180、280)を回転させて、前記第2のチューリップアッセンブリ(160)と係号させるときに、前記ロッド(180、280)を、前記多裂筋近傍の前記筋膜面に通過させる段階を更に含んでいる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
経皮管(530)において、
近位端と遠位端を含んでおり、内側経路を画定している前記経皮管(530)と、
前記経皮管(530)の壁の前記遠位端に形成されている、ロッド(180、280)が通過できるように作られている前記分離部(145)と、を備えている、経皮管(530)。
【請求項28】
スクリュードライバー装置(522)において、
ハンドルと、
前記ハンドルに固定的に連結されている第1駆動部材(529)と、
前記第1駆動部材(529)に軸回転可能に連結されている第2駆動部材(524)と、
前記第2駆動アーム(524)の一端に配置されているスクリュー係合機構(527)と、を備えているスクリュードライバー装置(522)。
【請求項29】
前記第1駆動部材(529)は、内側空間を画定する中空の軸を備えており、前記内側空間は、前記スクリュードライバー装置(522)がスクリュー(110)に駆動可能に連結されるとき、チューリップ(140、240)とロッド(180、280)を収納するように作られている、請求項28に記載のスクリュードライバー装置(522)。
【請求項30】
前記スクリュー(110)は、ねじ部(117)と頭部(115)を備えており、前記頭部(115)は円筒形の孔(525)を備えており、
前記スクリュー係合機構(527)は、前記円筒形の孔(525)と嵌め合い係合するように作られている円筒形突起(527)を含んでいる、請求項29に記載のスクリュードライバー装置(522)。
【請求項1】
1つ又は複数の整形外科用ファスナー(110)に経皮的に連結させるための接続部材(100、200)において、
チューリップアッセンブリ(160)と、
ロッド(180、280)と、を備えており、前記ロッド(180、280)は、前記チューリップアッセンブリ(160)に永久的に連結される、接続部材。
【請求項2】
前記チューリップアッセンブリ(160)と前記ロッド(180、280)は、単一の連続する部材である、請求項1に記載の接続部材(100、200)。
【請求項3】
前記ロッド(180、280)は、取付要素(270)によって前記チューリップアッセンブリ(160)に永久的に連結される、請求項1に記載の接続部材(100、200)。
【請求項4】
前記取付要素(270)は、ねじ式接合部分、溶接、又は接着剤の内の1つを備えている、請求項3に記載の接続部材(100、200)。
【請求項5】
1つ又は複数の整形外科用ファスナー(110)に経皮的に連結させるための接続部材(100、200)において、
壁部材(240)によって画定される軸を有するファスナー頭部固定開口(310)を含んでいるファスナー頭部(115)固定部材であって、前記壁部材(240)は、前記頭部固定開口(310)の一端に頭部保持開口(220)を画定している、ファスナー頭部(115)固定部材と、
前記壁部材(240)の表面(300)に連結される調整可能な圧縮部材(150、250)と、
前記壁部材(240)に連結されるロッド(180、280)と、
前記壁部材(240)に形成されているファスナー頭部受け入れ開口(210)であって、前記ファスナー頭部固定開口(310)の軸を横断して形成され、これと交差するファスナー頭部受け入れ開口(210)と、を備えている接続部材(100、200)。
【請求項6】
前記壁部材(240)上に前記頭部保持開口(220)に近接して形成されている台座傾斜部(225)を更に備えている、請求項5に記載の接続部材(100、200)。
【請求項7】
前記ロッド(180、280)は、溶接、接着剤、又はねじ式システムの内の1つによって前記壁部材(240)に連結されている、請求項5に記載の接続部材(100、200)。
【請求項8】
前記調整可能な圧縮部材(150、250)は、セットスクリュー(150、250)を備えている、請求項5に記載の接続部材(100、200)。
【請求項9】
前記頭部保持開口(220)は、前記ファスナー頭部(115)の外径より小さい外径を有しており、
前記ファスナー受け入れ開口(210)は、前記ファスナー頭部(115)の外径より大きい直径を有している、請求項5に記載の接続部材(100、200)。
【請求項10】
骨固定装置(100、200)において、
ねじ部(117)、球状頭部(115)、及び駆動境界面(112)を含んでいるスクリュー(110)と、
前記スクリュー(110)の前記球状頭部(115)に連結させるように作られているチューリップアッセンブリ(160)であって、前記チューリップアッセンブリ(160)は、貫通穴(142、310)を画定している外側ハウジング(140、240)と、前記貫通穴(142、310)の中に配置されている割りボール(170)、サドル(130)、及び割りリング(120)と、前記貫通穴(142、310)の上部表面に形成されている複数の溝(300)と、前記貫通穴(142、310)の上面から、前記外側ハウジング(140、240)の側面に沿って選択された距離まで伸張している切抜(145)と、を含んでいる、チューリップアッセンブリと、
外側表面と畝付外周表面を有するセットスクリュー(150、250)であって、前記畝付外周の前記畝は、前記貫通穴(142、310)の上部表面に形成されている前記複数の溝(300)と噛み合い接続する、セットスクリューと、を備えている骨固定装置。
【請求項11】
前記貫通穴(142、310)の上部表面に形成されている前記複数の溝(300)と、前記セットスクリュー(150、250)の前記畝付外周上の前記畝は、ねじ(300)を備えている、請求項10に記載の骨固定装置(100、200)。
【請求項12】
前記チューリップアッセンブリ(160)に連結されるように作られているロッド(180、280)を更に備えており、前記切抜(145)は、前記ロッド(180、280)の最大外径を受け入れることができるように作られている、請求項10に記載の骨固定装置(100、200)。
【請求項13】
前記割りボール(170)は、前記ロッド(180、280)の一端に連結されるように作られている、請求項10に記載の骨固定装置(100、200)。
【請求項14】
前記割りボール(170)の内側表面と前記ロッド(180、280)の外側表面に、対応する機構を更に備えており、前記対応する機構は、前記割りボール(170)を前記ロッド外側表面に連結させるように作られている、請求項12に記載の骨固定装置(100、200)。
【請求項15】
前記対応する機構は、並置されている傾斜部、1つ又は複数の半径方向溝、又はねじの内の1つを備えている、請求項14に記載の骨固定装置(100、200)。
【請求項16】
前記貫通穴(142、310)の中に画定されている割りリング受け入れ穴を更に備えており、
前記割りリング受け入れ穴は、前記割りリング(120)が前記球状頭部(115)の回りに拡張したときの、前記割りリングの外径に関係付けられた外径を有しており、
前記チューリップアッセンブリ(160)は、前記スクリュー(110)の前記球状頭部(115)にスナップ嵌めするように作られている、請求項10に記載の骨固定装置(100、200)。
【請求項17】
前記サドル(130)は、前記貫通穴(142、310)の内側で前記割りリング(120)に隣接して配置されており、
前記割りボール(170)は、前記サドル(130)上に配置されており、
前記割りボール(170)に加えられる下向きの力は、前記サドル(130)に伝達される、請求項10に記載の骨固定装置(100、200)。
【請求項18】
チューリップ(140、240)を含んでいる接続部材(100、200)を、締結軸(117)を有する少なくとも1つの整形外科用ファスナー(110)に連結させるための方法において、
前記整形外科用ファスナー(110)の頭部(115)に、第1の運動線に沿って、前記接続部材(100、200)の第1開口(210)を通過させる段階と、
前記接続部材(100、200)を、前記整形外科用ファスナー(110)に対して、前記締結軸(117)が前記第1の運動線に垂直に向くように、向ける段階と、
前記整形外科用ファスナーの頭部(115)を、前記接続部材(100、200)内に着座させる段階と、
前記整形外科用ファスナー(115)を、前記接続部材(100、200)内に位置的に固定する段階と、から成る方法。
【請求項19】
前記接続部材(100、200)の、前記少なくとも1つの整形外科用ファスナー(110)への前記連結は、経皮的に行われる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記整形外科用ファスナー(110)の頭部(115)に第1開口(210)を通過させる前記段階は、
前記整形外科用ファスナー(110)を骨部材(515)に固定する段階と、
前記接続部材(100、200)を、経皮管(530)に、チューリップ(140、240)を先にして通過させる段階と、を含んでいる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記整形外科用ファスナー(110)の頭部(115)に第1開口(210)を通過させる前記段階は、
前記整形外科用ファスナー(110)を骨部材(515)に固定する段階と、
前記接続部材(100、200)を、経皮管(530)に、ロッド(180、280)を先にして通過させる段階と、を含んでいる、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
経皮的チューリップアッセンブリ(160)を取り付けるための方法において、
Kワイヤ(510)を所望の椎弓根(515)の中に取り付ける段階であって、前記Kワイヤ(510)は、多裂筋近傍の筋膜面に沿って取り付けられる、Kワイヤ(510)を取り付ける段階と、
前記Kワイヤ(510)をガイドとして使用して、椎弓根スクリュー(110)を前記所望の椎弓根(515)にねじ込む段階と、
経皮管(530)を前記Kワイヤ(510)に沿って挿入する段階と、
前記経皮管(530)を介して、前記経皮的チューリップアッセンブリ(160)を前記椎弓根スクリュー(515)に外挿する段階と、から成る方法。
【請求項23】
前記チューリップ(140、240)を挿入する前に、ロッド(180、280)を前記経皮的チューリップ(140、240)に連結させる段階と、
前記ロッド(180、280)とチューリップ(140、240)の組み合わせ(160)を、前記経皮管(530)内に、前記ロッド(180、280)が前記管(530)内で上向きに突き出るように、配置する段階と、を更に含んでいる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ロッド(180、280)とチューリップ(140、240)の組み合わせ(160)を回転させて、前記ロッド(180、280)を第2のチューリップアッセンブリ(160)と係合させる段階を更に含んでいる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ロッド(180、280)を、前記経皮管(530)のスリット(145)を通して回転させる段階を更に含んでいる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ロッド(180、280)を回転させて、前記第2のチューリップアッセンブリ(160)と係号させるときに、前記ロッド(180、280)を、前記多裂筋近傍の前記筋膜面に通過させる段階を更に含んでいる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
経皮管(530)において、
近位端と遠位端を含んでおり、内側経路を画定している前記経皮管(530)と、
前記経皮管(530)の壁の前記遠位端に形成されている、ロッド(180、280)が通過できるように作られている前記分離部(145)と、を備えている、経皮管(530)。
【請求項28】
スクリュードライバー装置(522)において、
ハンドルと、
前記ハンドルに固定的に連結されている第1駆動部材(529)と、
前記第1駆動部材(529)に軸回転可能に連結されている第2駆動部材(524)と、
前記第2駆動アーム(524)の一端に配置されているスクリュー係合機構(527)と、を備えているスクリュードライバー装置(522)。
【請求項29】
前記第1駆動部材(529)は、内側空間を画定する中空の軸を備えており、前記内側空間は、前記スクリュードライバー装置(522)がスクリュー(110)に駆動可能に連結されるとき、チューリップ(140、240)とロッド(180、280)を収納するように作られている、請求項28に記載のスクリュードライバー装置(522)。
【請求項30】
前記スクリュー(110)は、ねじ部(117)と頭部(115)を備えており、前記頭部(115)は円筒形の孔(525)を備えており、
前記スクリュー係合機構(527)は、前記円筒形の孔(525)と嵌め合い係合するように作られている円筒形突起(527)を含んでいる、請求項29に記載のスクリュードライバー装置(522)。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図5G】
【図5H】
【図5I】
【図5J】
【図5K】
【図5L】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図5G】
【図5H】
【図5I】
【図5J】
【図5K】
【図5L】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【公表番号】特表2008−534080(P2008−534080A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−503243(P2008−503243)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際出願番号】PCT/US2006/010865
【国際公開番号】WO2006/102605
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(507137209)アルファスパイン インコーポレイテッド (8)
【氏名又は名称原語表記】ALPHASPINE,INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際出願番号】PCT/US2006/010865
【国際公開番号】WO2006/102605
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(507137209)アルファスパイン インコーポレイテッド (8)
【氏名又は名称原語表記】ALPHASPINE,INC.
【Fターム(参考)】
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