説明

経過時間表示装置

【課題】2つの物体を最初に相対的に動かした時点からの経過時間を表示するように構成された、経過時間表示装置を提供する。
【解決手段】経過時間表示装置(2)は、流体リザーバ(20)と、所定の流量の流体(21)を自身に沿って提供する導管(22)とを有する起動装置(25)を備える。さらに、経過時間表示装置(2)は、流体(21)に晒されると外見を変化させる視覚的表示装置(18)を備える。導管(22)は、流体リザーバ(20)と視覚的表示装置(18)とを連結する。起動装置(25)は、流体(21)の流れを開始する起動イベントに対応して流体リザーバ(20)から流体(21)を放出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの物体を最初に相対的に動かした時点からの経過時間を表示するように構成された、経過時間表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの製品、特に食品および医薬品は、その製品寿命を超えた場合、品質の劣化、腐敗、消滅したりすることになる。こうした製品が劣化する速度は、環境条件によって左右される。このため、このような製品は、多くの場合、管理された環境条件下で容器に入れられ、容器を密閉して、容器の外部環境と製品とを隔絶し、製品をより長く新鮮に保つようになっている。こうした容器を一度開けると、内部に収容されていた製品は、外部環境に晒されることとなり、密閉容器内にある場合と比較して、通常、その品質劣化速度は速まる。したがって、容器を開ける前の密閉容器内にある場合の保存可能期間と、容器を開けた後の消費期限との双方を明記することが慣例となっている。
【0003】
この場合に、製品を容器内に貯蔵する上での問題は、容器を最初に開けた日時を記録しておかないと、容器内の製品が、どの程度劣化したか、特に、容器を最初に開けた後の消費期限が経過したかどうかの判断が困難だという点である。食品や医薬品の場合、消費期限を経過した製品を使用することは、健康上のリスクとなる可能性がある。こうした問題に対しては、様々な解決策が存在するが、これまでに周知のものは、製造コストが高い、不正確な場合がある、信頼性に欠けるといった問題がある。
【0004】
たとえば、特に石油およびガス産業においては、装置に耐用寿命を設けたり、所定間隔で装置に保守サービスを設定したりすることが行われている。このような装置は、地中の掘削穴への挿入や海中環境での使用を前提としている。この場合、このような装置の使用開始後の経過時間をモニターする手段は、高価で、不正確、かつ、信頼性に欠ける場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、第1の態様として、
最初に関連容器を開けた時点からの経過時間を視覚的に表示する視覚的表示装置と、
最初に関連容器を開けた時点で、前記視覚的表示装置を起動させる起動装置と、を備えた容器用の経過時間表示装置を提供する。
【0006】
前記経過時間表示装置は、最初に関連容器を開けた時点から、内容物の消費期限までの残り時間を表示するように構成される。たとえば、前記視覚的表示装置が、最初に関連容器を開けた時点から、内容物の消費期限までの残り時間を表示するように構成される。
【0007】
前記経過時間表示装置は、最初に関連容器を開けた時点から、経過した単位時間数を表示するように構成される。たとえば、前記経過時間表示装置は、最初に関連容器を開けた時点から経過した分、時間、日、週、月、年などの単位時間数を表示するように構成される。
【0008】
前記経過時間表示装置は、食品、医薬品、化粧品、化学薬品、塗料、シーリング剤などの多様な製品を収容する容器とともに使用可能である。
【0009】
前記経過時間表示装置は、食品内のバクテリアや細菌のレベルを表示することも可能である。たとえば、前記容器が食品を含む場合には、前記経過時間表示を備えることにより、食品内のバクテリアや細菌のレベルを表示することができる。
【0010】
前記容器として、ジャー、紙パック、ボトル、チューブ、小箱、包装容器などをあげることができる。
【0011】
これらの容器は、ガラス、ボール紙、プラスチック、金属などのうちの少なくとも1つにより形成することができる。
【0012】
前記経過時間表示装置は、容器を最初に開ける際に、引裂、切断、断裂、および/または剪断されるように構成される。たとえば、容器を最初に開ける際に、前記起動装置が、引裂、切断、断裂、および/または剪断されるように構成される。
【0013】
前記経過時間表示装置は、紙、ポリマーまたはプラスチック製の基板、あるいは、その他の適切な材料製の基板を備える。たとえば、経過時間表示装置は、ポリメチル・メタクリレート(PMMA)の基板を備える。
【0014】
前記起動装置は、容器の蓋および本体の双方に付着するように構成される。たとえば、前記起動装置は、容器の蓋に付着するように構成された蓋部と、容器の本体に付着するように構成された本体部とを備える。
【0015】
前記起動装置は、容器の蓋と本体の間に取り付けられるように構成された引張部材を備え、該引張部材は、容器を開けて、蓋を本体から外す際、蓋または本体に残って、経過時間表示装置の蓋部および本体部に引張力を与える。
【0016】
前記起動装置は、容器を最初に開けるため蓋を最初に取り外す際、引裂、分断、断裂、および/または剪断されるように構成される。
【0017】
前記視覚的表示装置は、最初に容器を開けた時点から、外見が変化するように構成される。
【0018】
前記視覚的表示装置は、最初に容器を開けた時点からの経過時間に応じて、1つ以上の光学的特性が変化するように構成される。
【0019】
前記視覚的表示装置は、最初に容器を開けた時点からの経過時間に応じて、色が変化するように構成される。
【0020】
前記視覚的表示装置は、最初に容器を開けた時点からの経過時間に応じて、光透過、光吸収および/または光反射が変化するように構成される。
【0021】
前記視覚的表示装置は、着色されたバックグラウンドを備え、光透過、光吸収および/または光反射の変化により、前記着色バックグラウンドが明瞭になったり、不明瞭になったりするように構成される。
【0022】
前記視覚的表示装置は、最初に容器を開けた時点から、経過した単位時間数を表示するように構成される。たとえば、前記時間表示装置が、最初に容器を開けた時点から経過した分、時間、日、週、月、年などの単位時間数を表示するように構成される。
【0023】
前記視覚的表示装置は、最初に容器を開けた時点からの経過時間を表示する複数の領域を備える。
【0024】
前記視覚的表示装置は、それぞれ個別に設定された最初に容器を開けた時点からの期間が経過後、それぞれの外見が変化するように構成された多数の領域を備える。
【0025】
前記視覚的表示装置は、文章、数字および/またはシンボル形式の表示を備える。
【0026】
前記視覚的表示装置は、最初に容器を開けた時点からの経過時間に応じて、それぞれの外見が同じ変化をするように構成された多数の領域を備える。
【0027】
前記視覚的表示装置は、最初に容器を開けた時点からの経過時間に応じて、それぞれの色が同じ変化をするように構成された多数の領域を備える。
【0028】
前記視覚的表示装置は、最初に容器を開けた時点からの経過時間に応じて、それぞれの外見がそれぞれ異なった変化をするように構成された多数の領域を備える。
【0029】
前記視覚的表示装置は、最初に容器を開けた時点からの経過時間に応じて、少なくとも1つの領域が、その他の領域とは異なった色の変化をするように構成された、多数の領域を備える。
【0030】
前記経過時間表示装置は、最初に容器を開けた時点で前記視覚的表示装置に刺激を与え、前記視覚的表示装置が反応を開始するように構成される。たとえば、前記起動装置が、最初に容器を開けた時点で前記視覚的表示装置に刺激を与え、前記視覚的表示装置が反応を開始するよう構成される。前記反応は、たとえば、最初に容器を開けた後の内容物の消費期限に合わせた時間スケールにわたって進行する。
【0031】
前記経過時間表示装置は、最初に容器を開けた時点で、前記視覚的表示装置の反応をサポートする反応剤を提供するように構成される。たとえば、前記経過時間表示装置は、最初に容器を開けた後の内容物の消費期限に合わせた時間スケールにわたって、前記視覚的表示装置の反応をサポートする反応剤を提供するように構成される。具体的には、前記起動装置が、最初に容器を開けた後の内容物の消費期限に合わせた時間スケールにわたって、前記視覚的表示装置の反応をサポートする反応剤を提供するように構成される。
【0032】
前記視覚的表示装置は、最初に容器を開けた時点からの経過時間を、化学的、生物学的、生化学的、電気的、電気化学的、エレクトロクロミック、ケモクロミック(chemochromic)、ハロクロミック(halochromic)な反応のうちの少なく1つ、あるいはその他の反応に従って表示するように構成される。
【0033】
前記経過時間表示装置は、流体のpHレベルに従って、外見を変化させることが可能な物質または流体を備える。
【0034】
前記経過時間表示装置は、pH指示薬を備える。
【0035】
前記経過時間表示装置は、発色剤、たとえばクリスタルバイオレットラクトン(CVL)を備える。
【0036】
前記経過時間表示装置は、1つ以上のフルオランをベースとした発色剤を備える。こうした発色剤は、微量の酸により、無色から有色へと外見が変化するため有益である。
【0037】
前記経過時間表示装置は、パーガスクリプトグリーンを備える。
【0038】
前記経過時間表示装置は、パーガスクリプトレッドを備える。
【0039】
前記経過時間表示装置は、アントシアニンを備える。多くのアントシアニンは自然発生的であるため、毒性学的に許容される。
【0040】
前記経過時間表示装置は、pH指示薬を備える。たとえば、ゲンチアナバイオレット(メチルバイオレット)、ロイコマラカイトグリーン(第一変色)、ロイコマラカイトグリーン(第二変色)、チモールブルー(第一変色)、チモールブルー(第二変色)、メチルイエロー、ブロモフェノールブルー、コンゴレッド、メチルオレンジ、ブロモクレゾールグリーン、メチルレッド、メチルレッド/ブロモクレゾールグリーン、アゾリトミン、ブロモクレゾールパープル、ブロモチモールブルー、フェノールレッド、ニュートラルレッド、ナフトールフタレイン、クレゾールレッド、フェノールフタレイン、チモールフタレイン、アリザリンイエローR、リトマスなどの少なくとも1つを備える。
【0041】
特に、前記視覚的表示装置は、ナフトールフタレインを含む1つ以上の領域と、フェノールフタレインを含む1つの領域からなるpH指示薬を備える。ナフトールフタレインは、高pHで無色から淡い赤色または青緑色に変化し、フェノールフタレインは、高pHで無色から赤色に変化するため有益である。
【0042】
前記経過時間表示装置は、金属、たとえば金属カチオンのような金属イオンを備える。金属カチオンは、アニオンと反応して有色の塩を形成したり、あるいはリガンドと反応して有色の金属錯イオンを形成したりと、有色の化合物を作ることができるため有益である。
【0043】
前記経過時間表示装置は、遷移金属を備える。
【0044】
前記経過時間表示装置は、鉄、たとえば鉄化合物を備える。
【0045】
前記経過時間表示装置は、流体リザーバを備える。たとえば、前記起動装置が、流体リザーバを備える。
【0046】
前記流体リザーバは、流体を含む。
【0047】
前記流体リザーバは、経過時間表示装置の外部環境から流体を隔絶する。
【0048】
前記流体リザーバは、気密性である。
【0049】
前記流体は、たとえば、前記視覚的表示装置における反応の開始に適しているか、前記視覚的表示装置における反応のサポートに適している。たとえば、前記視覚的表示装置は、さらに、前記流体と接触することにより反応する反応剤を備える。
【0050】
前記流体は、たとえば、溶液や懸濁液である。
【0051】
前記流体は、マイクロ粒子やナノ粒子などの粒子を含む。
【0052】
前記流体は、気体を含む。
【0053】
前記流体は、帯電可能であり、具体的には、イオンや分子などの帯電粒子を含む。
【0054】
前記流体は、酸、酸性分子、水素イオンなどを含む。
【0055】
前記流体は、酢酸、クエン酸などの自然発生的酸を含む。こうした酸は、人間や動物が摂取しても安全であり、食品包装への使用を禁じられておらず、食品安全基準にも抵触しない。
【0056】
前記流体は、磁性を有することができ、具体的には、磁性粒子などを含む。
【0057】
前記流体は、化学物質などの物質を含む。
【0058】
前記流体は、バクテリア、細菌、生物因子などを含む。
【0059】
前記流体は、有色である。たとえば、前記流体は、染料などを含む。
【0060】
前記流体は、無色である。たとえば、前記流体は、無色ではあるが、前記視覚的表示装置が該流体に晒された場合に、該視覚的表示装置の外見が変化するように刺激する。
【0061】
前記流体が酸を含む場合、前記視覚的表示装置は、pH指示染料または発色剤を含む。
【0062】
前記流体がpH指示染料または発色剤を含む場合、前記視覚的表示装置は、酸を含む。
【0063】
前記経過時間表示装置は、壊れやすいバリア、破れやすい膜などの破壊容易なエレメントを備える。たとえば、前記起動装置が、壊れやすいバリア、破れやすい膜などの破壊容易なエレメントを備えるように構成される。
【0064】
前記破壊容易なエレメントは、前記容器を最初に開けた際、前記流体リザーバが流体を放出するように構成される。たとえば、前記破壊容易なエレメントは、前記容器を最初に開けた際、破壊または切断される。
【0065】
前記経過時間表示装置は、起動エレメント、および相補的な凹部を備えることができ、該起動エレメントは、該相補的凹部内に収容され、流体が前記流体リザーバから前記視覚的表示装置へと流れるのを阻止するとともに、該相補的凹部内を移動して、流体を前記流体リザーバから導管へと向かわせる。
【0066】
前記起動エレメントは、容器の蓋と本体との間に取り付けられるように構成された引張部材に、取り付けられる。該引張部材は、容器を最初に開けて蓋を本体から外す際、蓋または本体に残り、前記起動エレメントに引張力を付与して前記凹部内を移動させ、流体を前記流体リザーバから前記導管へと向かわせる。
【0067】
前記起動装置は、弾性の膜、たとえばシリコン膜を備える。前記起動装置は、前記起動エレメントが前記凹部内に入り込むと、該弾性膜が弾性的に変形して、該膜と前記経過時間表示装置の基板との間にシールを形成して、前記流体を前記流体リザーバ内に密封するように構成される。
【0068】
前記起動装置は、前記起動エレメントが前記凹部内を移動することにより、前記弾性膜が前記基板の表面から離れ、流体が前記流体リザーバから前記導管へと向かうように構成される。
【0069】
前記起動装置は、流れ防止エレメントを備える。該流れ防止エレメントは、前記起動エレメントにより、前記弾性膜と係合して保持され、前記弾性膜を弾性的に変形させて、該弾性膜と前記基板との間をシールして、流体を前記流体リザーバ内に密封する。
【0070】
前記起動装置は、前記起動エレメントが前記凹部内を移動することにより、変形した前記弾性膜の弾性により生じる復元力が、前記流れ防止エレメントを移動させ、前記弾性膜を前記基板から引き離して、流体が前記流体リザーバから前記導管へと向かうように構成される。
【0071】
前記経過時間表示装置は、前記流体リザーバを前記視覚的表示装置に連結する導管を備える。前記経過時間表示装置は、前記流体リザーバから放出された流体が、該導管を通って前記視覚的表示装置へと進むように構成される。
【0072】
前記経過時間表示装置は、前記流体リザーバを前記視覚的表示装置に連結し、前記視覚的表示装置へと向かう流体の流量を制御するように構成された導管を備える。たとえば、前記経過時間表示装置を取り付ける容器の内容物に応じて、前記視覚的表示装置へと向かう流体の流量を制御するように、前記導管が構成される。
【0073】
前記導管のサイズおよび/または形状は、前記視覚的表示装置へと向かう流体の流量を制御可能なように選択される。特に、前記導管の長さおよび/または断面は、前記視覚的表示装置へと向かう流体の流量を制御可能なように選択される。
【0074】
少なくとも1つの実施形態において、前記導管は、長さ方向に沿って変化する断面を有する。たとえば、断面がより大きな複数の第1部分と、断面がより小さな複数の第2部分とを備え、隣り合う第1部分同士が、それぞれの第2部分によって連結されるように、前記導管が構成される。このような導管は、前記導管沿いに前記流体リザーバと前記視覚的表示装置との間を進む流体の流れを、遅らせることが可能である。特に、このような導管を用いて流体の流れを遅らせることにより、数日または数週間という期間で経過時間を表示する経過時間表示装置を製造することが可能となる。
【0075】
たとえば、前記導管は、厚さが均一で、複数の幅広部分と、複数の幅狭部分とを備え、隣り合う幅広部分同士が、それぞれの幅狭部分によって連結されるように構成される。前記幅狭部分は直線状および/または曲線状である。
【0076】
前記導管を構成する材料は、前記視覚的表示装置へと向かう流体の流量を制御可能なように選択される。
【0077】
前記流体は、前記視覚的表示装置へと向かう流体の流量を制御可能なように選択される。たとえば、前記視覚的表示装置へと向かう流体の流量を低減させる場合には、より粘性の高い流体を選択し、前記視覚的表示装置へと向かう流体の流量を増加させる場合には、より粘性の低い流体を選択する。
【0078】
前記導管として、毛細管を使用可能であり、この場合、放出された流体は、毛細管現象により導管を通って進行する。
【0079】
前記導管として、マイクロ流体チャネルが使用される。
【0080】
前記導管として、浸透性の紙やポリマーなどの浸透性材料が使用される。たとえば、前記導管として、紙フィルタが使用される。
【0081】
前記導管として、浸透性ストリップが使用される。
【0082】
前記導管として、1つ以上のマイクロファイバーが使用される。
【0083】
前記導管の厚さは、100nm〜100mm、1μm〜10mm、あるいは10μm〜1mmの範囲である。前記導管の厚さは、100μm程度であることが好ましい。この厚さの導管であれば、流体は毛細管現象により該導管に沿って確実に進行することができる。
【0084】
前記導管として、厚さが均一で、複数の幅広部分と、複数の幅狭部分とを備え、隣り合う幅広部分同士が、それぞれの幅狭部分によって連結された浸透性ストリップが使用される。前記幅狭部分は、直線状および/または曲線状である。
【0085】
少なくとも1つの実施形態において、前記導管として、ポリマー層の間にシールされた浸透性ストリップが使用される。たとえば、前記導管として、ポリメチル・メタクリレート(PMMA)層の間にシールされた浸透性ストリップが使用される。
【0086】
前記導管は、外部環境から隔絶またはシールされる。たとえば、前記導管は、気密性である。
【0087】
前記導管と前記流体リザーバの双方が気密性の場合には、前記起動エレメントが前記経過時間表示装置の基板内に形成された凹部内を移動することにより、前記流体リザーバと前記導管との間に局所的な圧力の低下を生じて、前記流体リザーバ内の流体が、前記導管に向けて、あるいは、前記導管と連通するまで、前記導管に引き寄せられるように、前記起動装置は構成される。
【0088】
前記経過時間表示装置は、前記流体リザーバを、複数の領域を備えた視覚的表示装置に接続させる、導管ネットワークを備える。
【0089】
前記経過時間表示装置は、前記容器が未開封である場合、大気圧よりも低い圧力に維持される視覚的表示装置を備える。
【0090】
前記経過時間表示装置は、前記容器を最初に開けた際、前記流体リザーバを低圧の視覚的表示装置に接続する導管へと、流体を放出する破壊容易エレメントを備える。たとえば、前記起動装置が、前記容器を最初に開けた際、前記流体リザーバを低圧の視覚的表示装置に接続する導管へと、流体を放出する破壊容易エレメントを備えるように構成される。このような構成により、前記容器を最初に開けた際の圧力差による作用で、放出された流体は前記視覚的表示装置へと向かい、前記視覚的表示装置の反応を開始または提供できる。
【0091】
前記経過時間表示装置は、流体を引き込むための装置を備える。たとえば、前記起動装置が、前記流体を前記視覚的表示装置に引き込むための装置を備えるように構成される。
【0092】
たとえば、前記経過時間表示装置に磁石を設け、前記流体に磁性を備えさせることができる。たとえば、前記流体は、磁性物質、磁性流体、磁性粒子などを含ませることができる。
【0093】
前記経過時間表示装置にバッテリを設け、前記流体を帯電させることもできる。たとえば、前記起動装置にバッテリを設け、前記流体に、イオン、分子などの帯電粒子を含ませることができる。
【0094】
前記経過時間表示装置は、前記流体を引き込むための装置を前記流体リザーバに接続する導管を備える。
【0095】
前記経過時間表示装置は、前記流体を引き込むための装置と、前記視覚的表示装置とを、前記流体リザーバに接続する導管ネットワークを備える。たとえば、この導管ネットワークは、前記流体を引き寄せるための装置を前記流体リザーバに接続する導管と、該導管を前記視覚的表示装置に接続する別の導管とを備える。また、この導管ネットワークは、前記流体を引き込むための装置を前記流体リザーバに接続する導管と、該導管を前記視覚的表示装置のそれぞれの領域に接続する複数の別の導管とを備える。
【0096】
前記経過時間表示装置にバクテリアを内蔵させ、該バクテリアが前記視覚的表示装置に存在する場合に外見が変化するように、前記視覚的表示装置が構成される。
【0097】
前記バクテリアとして、ブドウ球菌、あるいはエシュリキア(E.coli)などの大腸菌を用いることができる。
【0098】
前記視覚的表示装置は、該装置内のバクテリアの存在に応じて色変化するように構成される。前記視覚的表示装置は、バクテリアの増殖培地を備える。
【0099】
前記視覚的表示装置は、化学的、生物学的、生化学的、ケモクロミック、ハロクロミックな試薬、あるいはその他の種類の試薬を備える。
【0100】
前記視覚的表示装置は、肉ペプトン、野菜ペプトン、カゼイン加水分解物、トリプトース、トリプトンおよび酵母エキスのグループから選択されたアミノ酸源を備える。
【0101】
前記視覚的表示装置は、バクテリアにより代謝可能な単糖または少糖から選択された糖質源を備える。
【0102】
前記経過時間表示装置は、導管によって、バクテリアの存在に反応する視覚的表示装置に接続されたバクテリアリザーバを備える。たとえば、バクテリアの存在に反応する視覚的表示装置と導管によって接続されたバクテリアリザーバを、前記起動装置に設ける。
【0103】
前記経過時間表示装置は、前記容器を最初に開けた際、前記バクテリアリザーバからバクテリアを導管へと放出する破壊容易エレメントを備える。たとえば、前記起動装置に、前記容器を最初に開けた際、バクテリアリザーバからバクテリアを導管へと放出する破壊容易エレメントを設ける。
【0104】
前記バクテリアは、たとえば流体に含有される。
【0105】
前記経過時間表示装置は、バクテリアの増殖培地を備える。
【0106】
前記増殖培地は、前記視覚的表示装置に設けることができ、前記視覚的表示装置とバクテリアリザーバとを接続する導管沿いに設けることもできる。
【0107】
前記起動装置に増殖培地リザーバを設け、前記視覚的表示装置がバクテリアを含むことも可能である。前記経過時間表示装置は、増殖培地リザーバを前記視覚的表示装置に接続する導管を備える。前記起動装置は、前記容器を最初に開けた際、前記増殖培地リザーバから該導管へと増殖培地を放出する破壊容易エレメントを備える。前記増殖培地は、たとえば流体に含有される。
【0108】
前記経過時間表示装置は、圧電素子を備える。たとえば、前記起動装置に圧電素子を設ける。該圧電素子は、ベルリナイト(AIPO4)、蔗糖、水晶、ロッシェル塩(酒石酸カリウム−ナトリウム)、トパーズ、トルマリングループ鉱物、オルト燐酸ガリウム(GaPO4)、ランガサイト(La3Ga5SiO14)、ペロフスカイトまたはタングステン−青銅構造を持つセラミックス、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸鉛(PbTiO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(一般的にはPZTとして知られる)、ニオブ酸カリウム(KNbO3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、タングステン酸ナトリウム(Na2WO3)、Ba2NaNb55、Pb2KNb515、ニオブ酸ナトリウムカリウム(NaKNb)、ビスマスフェライト(BiFeO3)、ニオブ酸ナトリウム(NaNbO3)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの1つ以上を含む。
【0109】
前記経過時間表示装置は、関連容器を最初に開けた際、前記圧電素子に何らかの力が作用するように構成される。たとえば、前記起動装置が、関連容器を最初に開けた際、前記圧電素子に何らかの力を及ぼすように構成される。
【0110】
前記経過時間表示装置は、関連容器を最初に開けた際、前記圧電素子に引張力が作用するように構成される。たとえば、前記経過時間表示装置は、前記圧電素子の第1面に取り付ける第1の引張部材部と、前記圧電素子の第1面と反対側の第2面に取り付ける第2の引張部材部とを備える。該第1の引張部材部を、前記容器の蓋に取り付け、該第2の引張部材部を、前記容器の本体に取り付けるように構成できる。
【0111】
前記視覚的表示装置は、ポリアニリン、エチルビオロゲンなどのビオロゲン、ポリオキソタングステン酸塩、酸化タングステン(WO3)などのエレクトロクロミック材料または液晶材料を備える。
【0112】
前記視覚的表示装置は、電気分解用に構成される。前記視覚的表示装置は、電場が与えられると気体を発生し、この気体に反応して外見を変化させるように構成される。
【0113】
前記視覚的表示装置は、スペーサ部材によって隔てられた1対の電極を備える。これらの電極およびスペーサ部材は、たとえば平坦形状である。
【0114】
前記視覚的表示装置は、電解液を備える。たとえば、前記スペーサ部材に、電解液を含有させる。前記スペーサ部材は、浸透性であり、電解液を染みこませたり、注入させたりすることが可能である。代替的に、前記スペーサ部材は、一対の電極間の領域に、電解液を含有する。
【0115】
前記視覚的表示装置は、電解液内の電気化学的反応に対応して外見を変えるように構成される。たとえば、前記電解液は、水に溶解する塩化ナトリウムのような塩を含有することができ、前記視覚的表示装置は、水素の存在により外見を変えるように構成される。前記視覚的表示装置は、パラジウム、PdOまたはNi−Mgを含有する。
【0116】
前記視覚的表示装置は、それぞれが異なる電解液を含有する複数の領域を備える。たとえば、前記視覚的表示装置のそれぞれの領域が、異なる濃度の塩化ナトリウム水溶液を含有する。
【0117】
前記視覚的表示装置は、正面電極と背面電極を備える。該正面電極は、電解液の反応に対応して外見を変えるように構成される。
【0118】
前記経過時間表示装置は、前記圧電素子のそれぞれの面と、前記視覚的表示装置の一対の電極のいずれか一方との間に、電気的接続を提供する少なくとも一対の絶縁導体を備える。
【0119】
たとえば、前記経過時間表示装置は、一対の導電性トラックや導電性ワイヤなどを備える。これらの一対の導体は、柔軟な絶縁基板、たとえば、紙、ボール紙、柔軟な絶縁プラスチック材料、柔軟な絶縁ポリマー基板などの上に固定される。
【0120】
前記経過時間表示装置は、前記少なくとも一対の導体が、容器を最初に開けた際、分裂、切断および/または剪断されるように構成される。
【0121】
本発明は、第2の態様として、第1の態様における経過時間表示装置を備えたラベルを提供する。
【0122】
なお、本発明の第1の態様に関する任意のあらゆる特徴は、単独でも、組み合わせても、第2の態様に適用可能である。
【0123】
前記ラベルは、容器に取り付け可能に構成される。たとえば、前記ラベルは、ジャー、紙パック、ボトル、チューブ、小箱、包装容器などに取り付けられる。
【0124】
前記ラベルは、ガラス、ボール紙、プラスチック、金属などのうちの少なくとも1つにより形成された容器に取り付け可能に構成される。
【0125】
前記ラベルは、容器に取り付けるための接着剤を備える。
【0126】
本発明は、第3の態様として、前記第1の態様における経過時間表示装置を備えた容器を提供する。
【0127】
なお、本発明の第1の態様に関する任意のあらゆる特徴は、単独でも、組み合わせても、第3の態様に適用可能である。
【0128】
前記容器は、ジャー、紙パック、ボトル、チューブ、小箱、包装容器などである。
【0129】
前記容器は、ガラス、ボール紙、プラスチック、金属などのうちの少なくとも1つにより形成される。
【0130】
前記容器は、食品、医薬品、化粧品、化学薬品、塗料、シーリング剤などの多様な製品を収容可能である。
【0131】
本発明は、第4の態様として、容器の製造方法を提供する。この方法は、容器を準備し、該容器に、本発明の第1の態様における経過時間表示装置または第2の態様におけるラベルを、取り付ける工程を備える。
【0132】
なお、本発明の第1の態様に関する任意のあらゆる特徴は、単独でも、組み合わせても、第4の態様に適用可能である。
【0133】
前記容器は、ジャー、紙パック、ボトル、チューブ、小箱、包装容器などである。
【0134】
前記容器は、ガラス、ボール紙、プラスチック、金属などのうちの少なくとも1つにより形成される。
【0135】
前記容器は、食品、医薬品、化粧品、化学薬品、塗料、シーリング剤などの多様な製品を収容可能である。
【0136】
本発明は、第5の態様として、経過時間表示装置を提供する。この経過時間表示装置は、
流体リザーバおよび所定の流量の流体を自身に沿って提供する導管を有する起動装置と、
前記流体に晒されると外見を変化させる視覚的表示装置と、
を備え、
前記導管は、前記流体リザーバを前記視覚的表示装置に接続しており、前記起動装置は、流体の流れるようにする起動イベントに応答して、前記流体リザーバから流体を放出するように構成される。
【0137】
前記起動装置は、2つの物体を最初に相対的に動かした場合に、前記起動イベントが起こるように構成される。
【0138】
前記経過時間表示装置は、前記2つの物体の双方に取り付け可能に構成される。
【0139】
前記経過時間表示装置は、容器の蓋および本体に取り付け可能に構成される。
【0140】
前記経過時間表示装置は、前記容器を最初に開けた時点から、内容物の消費期限までの残り時間を表示するように構成される。
【0141】
前記2つの物体は、何らかの装置の構成部品である。たとえば、前記2つの物体は、地中の掘削穴に挿入させられ、あるいは、海中環境などで使用される、アセンブリ、工具、チュービングストリングなどの装置の構成部品である。たとえば、前記装置が、アセンブリ、工具、チュービングストリングなどを備えることもできる。
【0142】
前記経過時間表示装置は、何らかの装置の2つの構成部品に取り付け可能に構成される。
【0143】
前記経過時間表示装置は、前記装置の耐用寿命または次の保守サービスまでの残り時間を表示するように構成される。前記経過時間表示装置は、前記起動イベントから経過した単位時間数を表示するように構成される。たとえば、前記経過時間表示装置は、前記起動イベントから経過した分、時間、日、週、月、年などの単位時間数を表示するように構成される。
【0144】
前記経過時間表示装置は、食品、医薬品、化粧品、化学薬品、塗料、シーリング剤などの多様な製品を収容する容器とともに使用可能に構成される。
【0145】
前記経過時間表示装置は、食品内のバクテリアや細菌のレベルを表示可能に構成される。たとえば、前記容器が食品を含む場合には、前記経過時間表示によって、特に、食品内のバクテリアや細菌のレベルを表示することが可能となる。
【0146】
前記容器は、ジャー、紙パック、ボトル、チューブ、小箱、包装容器などである。
【0147】
前記容器は、ガラス、ボール紙、プラスチック、金属などのうちの少なくとも1つにより形成される。
【0148】
前記経過時間表示装置は、前記起動イベントに応答して、引裂、切断、断裂、および/または剪断するように構成される。たとえば、前記起動装置が、前記起動イベントに応答して、引裂、切断、断裂、および/または剪断されるように構成される。
【0149】
前記経過時間表示装置は、紙、ポリマーまたはプラスチック製の基板、あるいは、その他の適切な材料製の基板を備える。たとえば、経過時間表示装置は、ポリメチル・メタクリレート(PMMA)の基板を備える。
【0150】
前記起動装置は、第1の物体に取り付けられる第1の部分と、第2の物体に取り付けられる第2の部分を備える。たとえば、前記起動装置は、容器の蓋および本体の双方に取り付け可能に構成される。前記起動装置は、容器の蓋に取り付け可能に構成された蓋部と、容器の本体に取り付け可能に構成された本体部とを備える。
【0151】
前記起動装置は、2つの物体の間に取り付けられる引張部材を備え、該引張部材は、前記起動イベントの際、前記2つの物体の一方に残って、前記経過時間表示装置の第1の部分および第2の部分の間に引張力を与える。
【0152】
前記起動装置は、前記2つの物体を最初に相対的に動かした際、引裂、切断、断裂、および/または剪断されるように構成される。
【0153】
前記視覚的表示装置は、前記起動イベントからの経過時間に応じて、外見を変えるように構成される。
【0154】
前記視覚的表示装置は、前記起動イベントからの経過時間に応じて、1つ以上の光学的特性を変化させるように構成される。
【0155】
前記視覚的表示装置は、前記起動イベントからの経過時間に応じて、色を変えるように構成される。
【0156】
前記視覚的表示装置は、前記起動イベントからの経過時間に応じて、光透過、光吸収および/または光反射を変化させるように構成される。
【0157】
前記視覚的表示装置は、着色されたバックグラウンドを備え、光透過、光吸収および/または光反射の変化により、前記着色バックグラウンドが明瞭になったり、不明瞭になったりするように構成される。
【0158】
前記視覚的表示装置は、流体に晒されると外見を変えるように構成される。
【0159】
前記視覚的表示装置は、前記起動イベントから経過した単位時間数を表示するように構成される。たとえば、前記起動イベントから経過した分、時間、日、週、月、年などの単位時間数を表示可能に、前記視覚的表示装置は構成される。
【0160】
前記視覚的表示装置は、前記起動イベントから経過した時間を表示する複数の領域を備える。
【0161】
前記視覚的表示装置は、前記起動イベントから経過した異なる期間の経過後に、それぞれが外見を変えるように構成された複数の領域を備える。
【0162】
前記視覚的表示装置は、文章、数字および/またはシンボル形式の表示を備える。
【0163】
前記視覚的表示装置は、前記起動イベントからの経過時間に応じて、それぞれが同じ外見変化をするように構成された複数の領域を備える。
【0164】
前記視覚的表示装置は、前記起動イベントからの経過時間に応じて、それぞれが同じ色に変化するように構成された複数の領域を備える。
【0165】
前記視覚的表示装置は、前記起動イベントからの経過時間に応じて、それぞれが他の領域とは異なる外見変化をするように構成された複数の領域を備える。
【0166】
前記視覚的表示装置は、前記起動イベントからの経過時間に応じて、それぞれが他の領域とは異なる色変化をするように構成された複数の領域を備える。
【0167】
前記経過時間表示装置は、前記起動イベントに対応して反応を開始させる刺激物を前記視覚的表示装置に提供するように構成される。たとえば、前記起動装置が、前記起動イベントに対応して反応を開始させる刺激物を前記視覚的表示装置に提供するように構成される。この反応は、たとえば、最初に容器を開けた時点からの内容物の消費期限に合わせた時間スケールにわたって進行する。前記反応は、たとえば、装置の耐用寿命または保守サービスの間隔に合わせた時間スケールにわたって進行する。
【0168】
前記経過時間表示装置は、視覚的表示装置の反応をサポートする反応剤を提供可能に構成される。たとえば、前記経過時間表示装置は、最初に容器を開けた後の内容物の消費期限に合わせた時間スケールにわたって、あるいは、装置の耐用寿命または保守サービスの間隔に合わせた時間スケールにわたって、前記視覚的表示装置の反応をサポートする反応剤を提供するように構成される。たとえば、前記起動装置が、最初に容器を開けた後の内容物の消費期限に合わせた時間スケールにわたって、あるいは、装置の耐用寿命または保守サービスの間隔に合わせた時間スケールにわたって、前記視覚的表示装置の反応をサポートする反応剤を提供するように構成される。
【0169】
前記視覚的表示装置は、前記起動イベントからの経過時間を、化学的、生物学的、生化学的、電気的、電気化学的、エレクトロクロミック、ケモクロミック、ハロクロミックな反応のうちの少なく1つ、あるいはその他の反応に従って表示するように構成される。
【0170】
前記経過時間表示装置は、流体のpHレベルに応じて、外見を変化させることが可能な物質を備える。
【0171】
前記経過時間表示装置は、pH指示薬を備える。
【0172】
前記経過時間表示装置は、発色剤、たとえばクリスタルバイオレットラクトン(CVL)を備える。
【0173】
前記経過時間表示装置は、1つ以上のフルオランをベースとした発色剤を備える。こうした発色剤は、微量の酸により、無色から有色へと外見が変化するため有益である。
【0174】
前記経過時間表示装置は、パーガスクリプトグリーンを備える。
【0175】
前記経過時間表示装置は、パーガスクリプトレッドを備える。
【0176】
前記経過時間表示装置は、アントシアニンを備える。多くのアントシアニンは自然発生的であるため、毒性学的に許容される。
【0177】
前記経過時間表示装置は、pH指示薬を備える。たとえば、ゲンチアナバイオレット(メチルバイオレット)、ロイコマラカイトグリーン(第一変色)、ロイコマラカイトグリーン(第二変色)、チモールブルー(第一変色)、チモールブルー(第二変色)、メチルイエロー、ブロモフェノールブルー、コンゴレッド、メチルオレンジ、ブロモクレゾールグリーン、メチルレッド、メチルレッド/ブロモクレゾールグリーン、アゾリトミン、ブロモクレゾールパープル、ブロモチモールブルー、フェノールレッド、ニュートラルレッド、ナフトールフタレイン、クレゾールレッド、フェノールフタレイン、チモールフタレイン、アリザリンイエローR、リトマスなどの少なくとも1つを備える。
【0178】
特に、前記視覚的表示装置は、ナフトールフタレインを含む1つ以上の領域と、フェノールフタレインを含む1つの領域からなるpH指示薬を備える。ナフトールフタレインは、高pHで無色から淡い赤色または青緑色に変化し、フェノールフタレインは、高pHで無色から赤色に変化するため有益である。
【0179】
前記経過時間表示装置は、金属、たとえば金属カチオンのような金属イオンを備える。金属カチオンは、アニオンと反応して有色の塩を形成したり、あるいはリガンドと反応して有色の金属錯イオンを形成したりと、有色の化合物を作ることができるため有益である。
【0180】
前記経過時間表示装置は、遷移金属を備える。前記経過時間表示装置は、鉄、たとえば鉄化合物を備える。
【0181】
前記経過時間表示装置は、流体リザーバを備える。たとえば、前記起動装置が、該流体リザーバを備える。
【0182】
前記流体リザーバは、流体を含む。
【0183】
前記流体リザーバは、経過時間表示装置の外部環境から流体を隔絶する。
【0184】
前記流体リザーバは、気密性である。
【0185】
前記流体は、たとえば、前記視覚的表示装置における反応の開始に適しているか、前記視覚的表示装置における反応のサポートに適している。たとえば、前記視覚的表示装置は、さらに、前記流体と接触することにより反応する反応剤を備える。
【0186】
前記流体は、たとえば、溶液や懸濁液である。
【0187】
前記流体は、マイクロ粒子やナノ粒子などの粒子を含む。
【0188】
前記流体は、気体を含む。
【0189】
前記流体は、帯電可能であり、具体的には、イオンや分子などの帯電粒子を含む。
【0190】
前記流体は、酸、酸性分子、水素イオンなどを含む。前記流体は、酢酸、クエン酸などの自然発生的酸を含む。こうした酸は、人間や動物が摂取しても安全であり、食品包装への使用を禁じられておらず、食品安全基準にも抵触しない。
【0191】
前記流体は、磁性を有することができ、具体的には、磁性粒子などを含む。
【0192】
前記流体は、化学物質などの物質を含む。
【0193】
前記流体は、バクテリア、細菌、生物因子などを含む。
【0194】
前記流体は、有色である。たとえば、前記流体は、染料などを含む。
【0195】
前記流体は、無色である。たとえば、前記流体は、無色ではあるが、前記視覚的表示装置が前記流体に晒された場合に、該視覚的表示装置の外見が変化するように刺激する。
【0196】
前記流体は、酸を含み、この場合、前記視覚的表示装置は、pH指示染料または発色剤を含む。
【0197】
前記流体は、pH指示染料または発色剤を含み、この場合、前記視覚的表示装置は、酸を含む。
【0198】
前記経過時間表示装置は、壊れやすいバリア、破れやすい膜などの破壊容易なエレメントを備える。たとえば、起動装置が、壊れやすいバリア、破れやすい膜などの破壊容易なエレメントを備えるように構成される。
【0199】
前記破壊容易エレメントは、前記起動イベントに応答して、前記流体リザーバが流体を放出することを可能とするように構成される。たとえば、前記破壊容易エレメントは、2つ物体を最初に相対的に動かした際、破壊または切断される。
【0200】
前記経過時間表示装置は、起動エレメント、および相補的凹部を備える。前記流体リザーバは、前記視覚的表示装置に、前記導管によって接続されており、該起動エレメントは、流体が前記流体リザーバから前記視覚的表示装置へと移動することを阻止するため、該相補的凹部内に収容可能であり、また、前記流体リザーバから前記導管へと流体を向かわせるため、該相補的凹部内を移動可能である。
【0201】
前記起動エレメントは、2つの物体の間に取り付けられるように構成された引張部材に取り付けられる。この引張部材は、前記2つの物体を最初に相対的に動かした際、前記2つの物体の一方に残り、前記起動エレメントに引張力を付与して前記凹部内を移動させ、流体を前記流体リザーバから導管へと向かわせる。
【0202】
前記起動装置は、弾性の膜、たとえばシリコン膜を備える。前記起動エレメントが前記凹部内に入り込むと、この弾性膜が弾性的に変形して、該膜と前記経過時間表示装置の基板との間にシールを形成して、前記流体を前記流体リザーバ内に密封するように、前記軌道装置が構成される。
【0203】
前記起動エレメントが前記凹部内を移動することにより、前記弾性膜は前記基板の表面から離れ、流体が前記流体リザーバから前記導管へと向かうように、前記起動装置が構成される。
【0204】
前記起動装置は、流れ防止エレメントを備える。この流れ防止エレメントは、前記起動エレメントにより、前記弾性膜と係合して保持され、前記弾性膜を弾性的に変形させて、該弾性膜と前記基板との間をシールして、前記流体を前記流体リザーバ内に密封する。
【0205】
前記起動エレメントが前記凹部内を移動することにより、変形した前記弾性膜の弾性により生じる復元力が、前記流れ防止エレメントを移動させ、前記弾性膜を前記基板から引き離して、流体が前記流体リザーバから前記導管へと向かうように、前記起動装置が構成される。
【0206】
前記導管は、前記経過時間表示装置を取り付けた容器の内容物、または前記経過時間表示装置を取り付けた装置の特性に応じて、前記視覚的表示装置へと向かう流体の流量を制御可能に構成される。
【0207】
前記導管のサイズおよび/または形状は、前記視覚的表示装置へと向かう流体の流量を制御可能なよう選択される。特に、前記導管の長さおよび/または断面は、前記視覚的表示装置へと向かう流体の流量を制御可能なように選択される。
【0208】
少なくとも1つの実施形態において、前記導管は、長さ方向に沿って変化する断面を有する。
【0209】
前記断面の変化により、少なくとも部分的に所定の流量が規定されるように構成される。
【0210】
前記導管は、断面がより大きな複数の第1部分と、断面がより小さな複数の第2部分とを備え、隣り合う第1部分同士が、それぞれの第2部分によって連結されるように構成される。このような導管により、該導管に沿って前記流体リザーバと前記視覚的表示装置との間を進む流体の流れを、遅らせることができる。特に、このような導管を用いて流体の流れを遅らせることにより、数日または数週間という期間で経過時間を表示する経過時間表示装置を製造することが可能となる。
【0211】
たとえば、前記導管は、厚さが均一で、複数の幅広部分と、複数の幅狭部分とを備え、隣り合う幅広部分同士が、それぞれの幅狭部分によって連結されるように構成される。これらの幅狭部分は直線状および/または曲線状である。
【0212】
前記導管を構成する材料は、前記視覚的表示装置へと向かう流体の流量を制御可能なように選択される。
【0213】
前記流体は、前記視覚的表示装置へと向かう流体の流量を制御可能なように選択される。たとえば、前記視覚的表示装置へと向かう流体の流量を低減させる場合には、より粘性の高い流体を選択し、前記視覚的表示装置へと向かう流体の流量を増加させる場合には、より粘性の低い流体を選択する。
【0214】
前記導管として、毛細管を使用可能であり、この場合、放出された流体は、毛細管現象により該導管を通って進行する。
【0215】
前記導管として、マイクロ流体チャネルを使用できる。
【0216】
前記導管として、浸透性の紙やポリマーなどの浸透性材料を使用できる。たとえば、前記導管として、紙フィルタを使用できる。
【0217】
前記導管として、浸透性ストリップを使用できる。
【0218】
前記導管として、1つ以上のマイクロファイバーを使用できる。
【0219】
前記導管の厚さは、100nm〜100mm、好ましくは1μm〜10mm、さらに好ましくは10μm〜1mmの範囲である。前記導管の厚さは、実質的に100μm程度であることが好ましい。この厚さの導管であれば、流体は毛細管現象により該導管に沿って確実に進行できる。
【0220】
前記導管は、厚さが均一で、複数の幅広部分と、複数の幅狭部分とを備え、隣り合う幅広部分同士が、それぞれの幅狭部分によって連結された浸透性ストリップを備える。これらの幅狭部分は直線状および/または曲線状である。
【0221】
少なくとも1つの実施形態において、前記導管は、ポリマー層の間にシールされた浸透性ストリップを備える。たとえば、前記導管は、ポリメチル・メタクリレート(PMMA)層の間にシールされた浸透性ストリップを備える。
【0222】
前記導管は、外部環境から隔絶またはシールされる。たとえば、前記導管は、気密性である。
【0223】
前記導管と前記流体リザーバの双方が気密性の場合には、前記起動エレメントが前記経過時間表示装置の基板内に形成された凹部内を移動することにより、前記流体リザーバと前記導管との間に局所的な圧力の低下が生じて、前記流体リザーバ内の流体が、前記導管に向けて、あるいは、前記導管と連通するまで、前記導管に引き寄せられるよう、前記起動装置は構成される。
【0224】
前記経過時間表示装置は、複数の領域を備えた視覚的表示装置に前記流体リザーバを接続させる導管ネットワークを備える。
【0225】
前記経過時間表示装置は、前記容器が未開封である場合、大気圧よりも低い圧力に維持される視覚的表示装置を備える。
【0226】
前記経過時間表示装置は、前記起動イベントに応答して、前記流体リザーバを低圧の視覚的表示装置に接続する導管へと、流体を放出する破壊容易エレメントを備える。たとえば、2つの物体を最初に相対的に動かした際、前記流体リザーバを低圧の視覚的表示装置に接続する導管へと、流体を放出する破壊容易エレメントを備えるように、前記起動装置が構成される。このような構成により、2つの物体を最初に相対的に動かした際の圧力差による作用で、放出された流体は前記視覚的表示装置へと向かい、前記視覚的表示装置の反応を開始または提供できる。
【0227】
前記経過時間表示装置は、流体を引き込むための装置を備える。たとえば、前記起動装置が、流体を視覚的表示装置に引き込むための装置を備えるように構成される。
【0228】
たとえば、前記経過時間表示装置に磁石を設け、前記流体に磁性を備えさせることができる。たとえば、前記流体は、磁性物質、磁性流体、磁性粒子などを含む。
【0229】
前記経過時間表示装置にバッテリを設け、前記流体を帯電させることもできる。たとえば、前記起動装置にバッテリを設け、前記流体に、イオン、分子などの帯電粒子を含ませる。
【0230】
前記経過時間表示装置は、前記流体を引き込むための装置を前記流体リザーバに接続する導管を備える。
【0231】
前記経過時間表示装置は、前記流体を引き寄せるための装置と、前記視覚的表示装置とを、前記流体リザーバに連結する導管ネットワークを備え得る。この導管ネットワークは、たとえば、前記流体を引き寄せるための装置を前記流体リザーバに連結する導管と、該導管を視覚的表示装置に連結するもう1つの別の導管とを備え得る。また、この導管ネットワークは、前記流体を引き寄せるための装置を前記流体リザーバに連結する導管と、該導管を視覚的表示装置の各領域に連結する多数の別の導管とを備え得る。
【0232】
前記経過時間表示装置にバクテリアを内蔵させ、該バクテリアが前記視覚的表示装置に存在する場合に外見が変化するように、前記視覚的表示装置は構成される。
【0233】
前記バクテリアは、ブドウ球菌、またはエシュリキア(E.coli)のような大腸菌である。
【0234】
前記視覚的表示装置は、該装置内のバクテリアの存在に応じて色変化するように構成される。前記視覚的表示装置は、バクテリアの増殖培地を備える。
【0235】
前記視覚的表示装置は、化学的、生物学的、生化学的、ケモクロミック、ハロクロミックな試薬、あるいはその他の種類の試薬を備える。
【0236】
前記視覚的表示装置は、肉ペプトン、野菜ペプトン、カゼイン加水分解物、トリプトース、トリプトンおよび酵母エキスのグループから選択されたアミノ酸源を備える。
【0237】
前記視覚的表示装置は、バクテリアにより代謝可能な単糖または少糖から選択された糖質源を備える。
【0238】
前記経過時間表示装置は、導管によって、バクテリアの存在に反応する視覚的表示装置に接続されたバクテリアリザーバを備える。たとえば、バクテリアの存在に反応する視覚的表示装置と導管によって接続されたバクテリアリザーバを、前記起動装置に設ける。
【0239】
前記経過時間表示装置は、前記起動イベントに応答して、前記バクテリアリザーバからバクテリアを前記導管へと放出する破壊容易エレメントを備える。たとえば、2つの物体を最初に相対的に動かした際、前記バクテリアリザーバからバクテリアを前記導管へと放出する破壊容易エレメントを、前記起動装置に設ける。
【0240】
前記バクテリアは、たとえば流体に含有される。
【0241】
前記経過時間表示装置は、バクテリアの増殖培地を備える。
【0242】
前記増殖培地は、前記視覚的表示装置に設けることができ、前記視覚的表示装置とバクテリア容器とを接続する導管沿いに設けることもできる。
【0243】
前記起動装置に増殖培地リザーバを設け、前記視覚的表示装置にバクテリアを含ませることも可能である。前記経過時間表示装置は、該増殖培地リザーバを前記視覚的表示装置に接続する導管を備える。前記起動装置は、前記起動イベントに応答して、前記増殖培地リザーバから前記導管へと増殖培地を放出する破壊容易エレメントを備える。前記増殖培地は、たとえば流体に含有される。
【0244】
本発明は第6の態様として、
流体リザーバ、導管、起動エレメント、および、相補的凹部を有する起動装置と、
前記流体に晒されると外見を変化させる視覚的表示装置と、
を備えた経過時間表示装置を提供する。
【0245】
前記導管は、前記流体リザーバと前記視覚的表示装置とを接続しており、前記起動エレメントは、流体が前記流体リザーバから前記視覚的表示装置へと動くのを阻止するため、前記相補的凹部内に収容可能であり、また、前記流体リザーバから前記導管へと流体を向かわせるため、前記相補的凹部内を移動可能である。
【0246】
なお、本発明の第5の態様に関する任意のあらゆる特徴は、単独でも、組み合わせても、第6の態様に適用可能である。
【0247】
本発明は、第7の態様として、
流体リザーバおよび導管を有する起動装置と、
前記流体に晒されると外見を変化させる視覚的表示装置と、
で構成され、
前記導管は、前記流体リザーバと前記視覚的表示装置とを接続しており、前記起動装置は、流体の流れを開始する起動イベントに応答して前記流体リザーバから流体を放出するようになっており、前記流体または視覚的表示装置は、発色剤を含む、経過時間表示装置を提供する。
【0248】
前記経過時間表示装置は、クリスタルバイオレットラクトン(CVL)を備える。
【0249】
前記経過時間表示装置は、1つ以上のフルオランをベースとした発色剤を備える。
【0250】
前記経過時間表示装置は、パーガスクリプトグリーンを備える。
【0251】
前記経過時間表示装置は、パーガスクリプトレッドを備える。
【0252】
なお、本発明の第5の態様に関する任意のあらゆる特徴は、単独でも、組み合わせても、第7の態様に適用可能である。
【0253】
本発明は第8の態様として、第5、第6または第7の態様による経過時間表示装置を備えたラベルを提供する。
【0254】
なお、本発明の第5、第6または第7の態様に関する任意のあらゆる特徴は、単独でも、組み合わせても、第8の態様に適用可能である。
【0255】
前記ラベルは、容器に取り付け可能に構成される。たとえば、前記ラベルは、ジャー、紙パック、ボトル、チューブ、小箱、包装容器などに取り付け可能である。
【0256】
前記ラベルは、ガラス、ボール紙、プラスチック、金属などのうちの少なくとも1つにより形成された容器に取り付け可能に構成される。
【0257】
前記ラベルは、容器に取り付けるための接着剤を備える。
【0258】
本発明は、第9の態様として、第5、第6または第7の態様における経過時間表示装置を備えた容器を提供する。
【0259】
なお、本発明の第5、第6または第7の態様に関する任意のあらゆる特徴は、単独でも、組み合わせても、第9の態様に適用可能である。
【0260】
前記容器は、ジャー、紙パック、ボトル、チューブ、小箱、包装容器などである。
【0261】
前記容器は、ガラス、ボール紙、プラスチック、金属などのうちの少なくとも1つにより形成される。
【0262】
前記容器は、食品、医薬品、化粧品、化学薬品、塗料、シーリング剤などの多様な製品を収容可能である。
【0263】
本発明は、第10の態様として、
容器を準備し、本発明の第5、第6または第7の態様における経過時間表示装置、または第8の態様におけるラベルを、前記容器に取り付けるステップを含む、容器を製造する方法を提供する。
【0264】
なお、本発明の第5、第6または第7の態様に関する任意のあらゆる特徴は、単独でも、組み合わせても、第10の態様に適用可能である。
【0265】
前記容器は、ジャー、紙パック、ボトル、チューブ、小箱、包装容器などである。
【0266】
前記容器は、ガラス、ボール紙、プラスチック、金属などのうちの少なくとも1つにより形成される。
【0267】
前記容器は、食品、医薬品、化粧品、化学薬品、塗料、シーリング剤などの多様な製品を収容可能である。
【図面の簡単な説明】
【0268】
【図1】図1は、本発明の実施の形態の第1例のラベルを備えた密閉ジャーの概略斜視図である。
【図2】図2は、図1に示すラベルの詳細正面図である。
【図3a】図3aは、図2に示す起動装置部分の詳細正面図である。
【図3b】図3bは、図3aに示す起動装置部分の、AA線に沿った断面図である。
【図4】図4は、図1に示すジャーの蓋を外して開けた後の概略斜視図である。
【図5a】図5aは、ジャーを開ける際における、図3aに示す起動装置部分の詳細正面図である。
【図5b】図5bは、図5aに示す起動装置部分の、AA線に沿った断面図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態の第2例のラベルの詳細正面図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態の第3例のラベルを備えたジャーの蓋を外して開けた後の概略斜視図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態の第4例のラベルを備えたジャーの蓋を外して開けた後の概略斜視図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態の第5例のラベルを備えたジャーを開けた後の概略部分図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態の第6例のラベルを備えたジャーの蓋を外して開けた後の概略斜視図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態の第7例のラベルを備えた密閉されたジャーの概略斜視図である。
【図12】図12は、図11に示すジャーの蓋を外して開けた後の概略斜視図である。
【図13a】図13aは、図11に示すジャーを開ける前のラベルの概略部分図である。
【図13b】図13bは、図13aのAA線に沿った断面図である。
【図14】図14は、本発明の実施の形態の第8例のラベルを備えた紙パックの概略斜視図である。
【図15】図15は、本発明の実施の形態の第9例のラベルを備えたボトルの概略斜視図である。
【図16a】図16aは、隣り合って並んだ異なる構成の第1、第2および第3の紙ストリップの端部を、着色流体に晒す前の画像である。
【図16b】図16bは、隣り合って並んだ図16aの第1、第2、第3の紙ストリップの端部を、着色流体に晒してから数時間後の画像である。
【図17a】図17aは、蛇行する紙ストリップを着色流体に晒す前の画像である。
【図17b】図17bは、図17aに示すストリップに沿った流体前線の色強度が10%、50%、100%となる位置を、時間との関数で示したグラフである。
【図18a】図18aは、隣り合って並んだ異なる構成の第1、第2、第3、第4の紙ストリップの端部を、着色流体に晒す前の画像である。
【図18b】図18bは、図18aに示すそれぞれのストリップに沿った流体前線の色強度が10%となる位置を、時間との関数で示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0269】
[実施の形態の第1例]
図1〜図5は、本発明の経過時間表示装置の実施の形態の第1例を示す。最初に、図1について説明する。図1には、一般的な密閉ジャー4に貼り付けられた一般的なラベル形状の経過時間表示装置2が示されている。この実施例において、密閉ジャー4は、ガラス製の本体6と蓋8を備える。蓋8は、周知のねじ連結により、本体6に固定される。ラベル2は、ジャー本体6に接着される本体部10と、このラベル本体部10から伸長するタグ部12とを備える。タグ部12は、ジャー4の本体6と蓋8の間を伸長する。図1に示すように、使用時において、ラベルタグ部12は、接着ステッカー16により、蓋8の上面14に取り付けられる。
【0270】
ラベル本体部10は、さらに、pH指示薬18の形式の視覚的表示装置と、この装置に毛細管のネットワーク22によって接続された酢酸21の流体リザーバ20を備える。タグ部12は、破壊容易バリア24の一端に連結された引張部材23を備える。破壊容易バリア24は、流体リザーバ20をシールし、流体リザーバ20内の酢酸21を毛細管ネットワーク22から隔絶している。流体リザーバ20、毛細管ネットワーク22、引張部材23、およびバリア24が組み合わさって、起動装置25を構成している。
【0271】
流体リザーバ20、毛細管ネットワーク22、およびpH指示薬18は、ジャー4を最初に容器を開けた時点からの経過時間を、pH指示薬18が視覚的に表示するように構成されている。たとえば、流体リザーバ20内の酢酸21の濃度またはpH、毛細管ネットワーク22のサイズおよび形状、およびpH指示薬18の感度は、最初にジャー4を開けた後、その内容物の消費期限に関連した時間スケール全般にわたって、pH指示薬18が適切に色の変化を示すように構成される。
【0272】
pH指示薬18は、5つの異なる領域26、28、30、32、34で構成される。連続するそれぞれの領域26、28、30、32、34は、順番に、流体リザーバ20からより遠くなるよう配置される。したがって、領域26は、領域28などよりも早く色の変化を起こし、連続する領域26、28、30、32、34は、順番に、容器を最初に開けた時点からより長い時間が経過したことを表示する。領域26、28、30、32には、それぞれ順番に「1」、「2」、「3」、「4」の連続番号が付され、容器を最初に開けた時点からの1、2、3、または4の単位時間の期間が経過したことを示す。最後の領域34は、最初に容器を開けた時点からの内容物の消費期限がすでに経過してしまっており、内容物を摂取したり使用したりするべきではないということを示す。この点を強調するため、領域34は、pH指示薬のその他の領域26、28、30、32とは異なる色の変化を示すようになっている。領域26、28、30、32は、容器を最初に開けた時点からの1、2、3、または4の単位時間の期間が経過すると、緑色に変化するようになっているが、領域34は、最初に容器を開けた時点から4つの単位時間の期間が経過した後、赤色に変化する。特に、図1〜図5に示す実施例において、領域26、28、30、32はパーガスクリプトグリーンを備え、領域34はパーガスクリプトレッドを備える。さらに、毛細管ネットワーク22は、ジャー4を最初に開けた後、pH指示薬の領域26、28、30、32、34に、所定の流量で酢酸21を提供するように調整されている。毛細管ネットワーク22は、比較的遅い流れで酸を提供するが、pH指示薬の領域26、28、30、32、34は、酸21に晒されると、比較的迅速に色変化を示すようになっている。特に、図1〜図5に示す実施例において、毛細管ネットワーク22は、数日またはそれ以上の時間スケールで酸21の流れを提供し、pH指示薬の領域26、28、30、32、34は、酸21が領域26、28、30、32、または34のそれぞれの端部に到達した時点から、数時間または数分以内の時間スケールで色変化を起こすようになっている。
【0273】
図2により詳細に示すように、毛細管ネットワーク22は、破壊容易バリア24に隣接する位置から、pH指示薬の領域26、28、30、32、34へと伸長する厚さ100μmの浸透性紙ストリップを備える。紙ストリップ22は、流体リザーバからの流体20の動きが、毛細管現象により実質的に矢印80の方向に進むように構成されている。紙ストリップ22は、一連のパッド部81と一連の線形チャネル部82とを備え、隣接するパッド部81が線形チャネル部82により相互に連結されるようになっている。紙ストリップ22のパッド部81は、流体の動く方向80に長さLP、流体の動き80の横手方向に幅WPを有する。紙ストリップ22のチャネル部82は、流体の動き80の横手方向に幅WCを有する。パッド部の幅WPは、チャネル部の幅WCよりも大きい。図2に示す例において、隣接するパッド部81は、2.5mm離れており、LPが3mm、WPが3mm、WCが300μmである。後述する実験データが示すとおり、パッド部81の幅がチャネル部82の幅よりも大きいパッド部81とチャネル部82とを、交互に配した浸透性紙ストリップ22は、同じ材料かつ同じ厚さの紙ストリップ22であっても、幅がパッド部81またはチャネル部の幅と均一の紙ストリップよりも、かなり長い時間スケールで酸21の流れを制御できる。
【0274】
図3aおよび図3bが示すように、流体リザーバ20および破壊容易バリア24は、ポリメチル・メタクリレート(PMMA)の基板83の上に多層構造で形成される。この基板83の上に、PMMAの毛細管層84が形成される。毛細管層84には、凹部85が設けられている。凹部85は、流体リザーバ20の一部を形成するとともに、毛細管層84の上面に形成された厚さ100μmの弾性シリコン起動膜層87と基板83との間に紙ストリップ22を収容する密閉気密空間を形成する。起動膜層87には、凹部88が設けられ、流体リザーバ20の一部を形成している。PMMAの起動層89が、起動膜層87の上に形成される。起動層89には、リザーバ用凹部90が設けられ、流体リザーバ20の一部を形成している。また、起動層89には、横方向に伸長する起動部材用凹部91が形成されている。PMMAのキャップ層92が、起動層89の上に形成される。キャップ層92には、リザーバ用凹部93が設けられ、流体リザーバ20の一部を形成している。また、キャップ層92には、起動部材用凹部94が形成されている。流体リザーバ20は酸21で満たされ、シーリング膜95でシールされる。
【0275】
さらに、破壊容易バリア24は、流れ防止エレメント96と、引張ストリップ23の端部に連結された起動エレメント97とを備える。流れ防止エレメント96は、上方からキャップ層92の凹部94を通して、起動膜層87と係合するまで挿入される。続いて、流れ防止エレメント96に下方への圧力をかけ、毛細管層84の凹部85の中へと、流れ防止エレメント96を下方に移動させ、これにより、起動膜層87の一部が、凹部85の内部下方に変形して、この起動膜層87が基板83と係合する。流れ防止エレメント96に下方への圧力かけたまま、起動層89の凹部91の中に、起動エレメント97を横方向から挿入して、流れ防止エレメント96の上部を横断するように伸長させて、図3(b)に示すように、流れ防止エレメント96を毛細管層84の凹部85内に変位させた状態で閉じ込める。このような変位位置に流れ防止エレメント96を保持することにより、流れ防止エレメント96と基板83の間を、起動膜層87がシールし、酸21が流体リザーバ20から紙ストリップ22へと流れ出ることを防止している。
【0276】
図4に示すように、ジャー4を開けると、引張部材23はラベル本体部10と分離され、これにより破壊容易バリア24を破壊して、図5(a)および図5(b)に示されるように、流体リザーバ20内の酢酸を毛細管ネットワーク22へと放出する。引張部材23がラベル本体部10から引離される際、起動エレメント97は、引張部材23の端部に連結したまま残り、図5(a)の矢印98が示すように、起動部材用凹部91の外へと横手方向に引っ張られ、その下に位置する流れ防止エレメント96が解放される。この結果、起動膜87により、流れ防止エレメント96は、図5(b)の矢印99が示すように上方に移動し、起動膜87は基板83から離れ、そこに形成されていたシールが解除される。リザーバ20はシールされており、紙ストリップ22は密閉気密空間内に保持されているため、起動膜87の上方への動きは、局所的な圧力の低下を引き起こし、流れ防止エレメント96の下に位置する起動膜87の下の部分を通って、リザーバ20内の酸21が、矢印80が示すように紙ストリップ22と連通するまで、リザーバ20から酸21を引き出す。その後、酢酸21は、毛細管現象により、紙ストリップ22に沿ってpH指示薬18の方へと向かう。
【0277】
[実施の形態の第2例]
図6は、本発明の実施の形態の第2例であるラベル802を示している。このラベル802は、図2に示すラベル2とは、主要部のレイアウトが異なるだけである。ラベル802は、ラベル2と同じ特徴部分を数多く共有しており、こうした共通部分には、同様の参照番号を付している。ラベル2は、ジャーのような容器に水平方向に取り付け可能になっているが、ラベル802は、容器に垂直方向に取り付けられる。
【0278】
[実施の形態の第3例]
図7は、本発明の実施の形態の第3例を示しているが、図1〜図5に示す実施の形態の第1例と同じ特徴部分を数多く有しており、こうした共通部分には、同様の参照番号を付している。図7のラベル102は、ジャー104に取り付けられており、図1〜図5に示すラベル2と唯一異なる点は、最初にジャー104を開ける前までは、図7の毛細管ネットワーク122の圧力が、容器120内の酢酸121の圧力よりも低く維持されているということにある。ジャー104を最初に開けると、ラベル102のタグ部112は引きちぎられ、引張部材123が、流体リザーバ120の破壊容易バリア124に張力をかけ、バリア124を壊す。その結果、圧力差による作用で、酢酸121は毛細管ネットワーク122へと引き込まれ、pH指示薬118へと向かう。流体リザーバ120、毛細管ネットワーク122、引張部材123、および破壊容易バリア124が組み合わさって、起動装置125を構成する。
【0279】
[実施の形態の第4例]
図8は、本発明の実施の形態の第4例を示しているが、図1〜図5に示す実施の形態の第1例と同じ特徴部分を数多く有しており、こうした共通部分には、同様の参照番号を付している。図8のラベル202は、ジャー204に取り付けられており、図1〜図5に示すラベル2と異なる点は、図8におけるラベル202の本体部210は、pH指示薬218の末端領域234に隣接して位置する磁石236を備えており、流体リザーバ内に貯えられる流体が、酢酸と磁気イオン粒子を含んでいるということである。ジャー204を最初に開けると、ラベル202のタグ部212は引きちぎられ、引張部材223が、流体リザーバ220の破壊容易バリア224に張力をかけ、バリア224を壊す。本例では、磁気イオン粒子の作用により、流体221は、毛細管ネットワーク222に沿って磁石236へと引き寄せられ、結果的にpH指示薬218へと向かう。流体リザーバ220、毛細管ネットワーク222、引張部材223、破壊容易バリア224、および磁石236が組み合わさって、起動装置225を構成する。
【0280】
[実施の形態の第5例]
図9は、本発明の実施の形態の第5例を示しているが、図1〜図5に示す実施の形態の第1例と同じ特徴部分を数多く有しており、こうした共通部分には、同様の参照番号を付している。図9のラベル302は、ジャー(図示せず)に取り付けられるが、図1〜図5に示すラベル2と異なる点は、ラベル302の本体部310は、導電体342を介して負極338、導電体344を介して正極340に接続したバッテリ336を備えるということである。ジャー(図示せず)を最初に開けると、ラベル302のタグ部(図示せず)は引きちぎられ、引張部材(図示せず)が、流体リザーバ320の破壊容易バリア(図示せず)に張力をかけ、バリア(図示せず)を壊す。本例では、バッテリ336および電極338、340の配置により生じる電場が、毛細管ネットワーク322を通して酢酸321のH+イオンを負極338の方へ引き付け、結果的に酢酸321をpH指示薬318へと向かわせる。流体リザーバ320、毛細管ネットワーク322、引張部材(図示せず)、破壊容易バリア(図示せず)、バッテリ336、および電極338、340が組み合わさって、起動装置325を構成する。
【0281】
[実施の形態の第6例]
図10は、本発明の実施の形態の第6例を示しているが、図1〜図5に示す実施の形態の第1例と同じ特徴部分を数多く有しており、こうした共通部分には、同様の参照番号を付している。図10のラベル402は、ジャー404に取り付けられており、図1〜図5に示すラベル2と異なる点は、流体リザーバ420に貯えられた流体421が、ブドウ球菌を含んでおり、視覚的表示装置418は、該装置におけるブドウ球菌の存在に応じて色変化するようになっているということである。視覚的表示装置418は、肉ペプトン、野菜ペプトン、カゼイン加水分解物、トリプトース、トリプトン、および酵母エキスのグループから選択されたアミノ酸源や、バクテリアにより代謝可能な単糖(モノマー)または少糖(オリゴマー)から選択された糖質源という形で、ブドウ球菌の増殖培地を備える。視覚的表示装置418は、さらに、該装置におけるバクテリアの濃度に応じて色変化するハロクロミック試薬を含む。ジャー404を最初に開けると、ラベル402のタグ部412は引きちぎられ、引張部材423が、流体リザーバ420の破壊容易バリア424に張力をかけ、バリア424を壊し、ブドウ球菌を含んだ流体421を毛細管ネットワーク422内に解放する。流体リザーバ420、毛細管ネットワーク422、引張部材423、破壊容易バリア424、および磁石236が組み合わさって、起動装置425を構成する。
【0282】
[実施の形態の第7例]
図11〜図13は、本発明の実施の形態の第7例を示しているが、図1〜図5に示す実施の形態の第1例と同じ特徴部分を数多く有しており、こうした共通部分には、同様の参照番号を付している。図11〜図13に示す実施例が、図1〜図5に示す実施の形態の第1例と異なる点は、図11〜図13におけるラベル502は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の部材550を備えるということである。図13(a)も明示するように、PZT部材550の上面552は、引張部材523の上部554に取り付けられる。同様に、PZT部材550の下面556は、引張部材523の下部558に取り付けられる。
【0283】
図13(b)が示すように、視覚的表示装置518のそれぞれの領域526、528、530、532、534は、ラベル本体部510の平面に配置された正面平坦電極560、背面平坦電極562、およびスペーサ部材564を備える。電極560、562は、スペーサ部材564により分離されており、スペーサ部材564は、水に溶解した塩化ナトリウム(NaCl)の電解液を含有している。さらに、スペーサ部材564は浸透性であるため、電解液は平坦電極560と562との間を動くことができる。スペーサ部材564は、それぞれの領域526、528、530、532、534において、異なる濃度でNaClを含有している。より具体的には、領域526、528、530、532、534に存在するNaClの濃度は、領域526における第1の所定のNaCl濃度から、領域534における第2の所定のNaCl濃度に至るまで、逐次的に薄くなるようになっている。なお、第1および第2の所定のNaCl濃度は、最初にジャー504を開けた時点からの、内容物の消費期限に応じて定められる。さらに、それぞれの領域526、528、530、532、534における正面電極560は、パラジウムを含んでおり、正面電極560で発生する水素ガスの濃度に応じて、外見が変化するようになっている。
【0284】
ラベル502は、さらに、第1および第2の絶縁導線570、572を備える。第1の導線570は、PZT部材550の上面552のポイント574と視覚的表示装置518のそれぞれの領域526、528、530、532、534の各電極との間に電気的接続を形成している。同様に、第2の導線572は、PZT部材550の下面556のポイント576と視覚的表示装置518のそれぞれの領域526、528、530、532、534の各電極との間に電気的接続を形成している。
【0285】
蓋508を取り外す際の、まだ蓋508が容器本体506と分離していない状態において、引張部材523の上部554が、引張部材523の下部558から引き離されるに従い、PZT部材550には引張力がかかり、これにより、PZT部材550の上面552および下面556の間に電位が発生する。こうして発生した電位は、それぞれの領域526、528、530、532、534の電極を横断するように供給される。これにより領域526、528、530、532、534のそれぞれの正面電極560では、電解が起こり、水素ガスが発生する。水素ガスの発生は、図12および図13(a)に示すように、蓋508が容器本体506から十分に離れ、導線570および572が、引張部材523の端部578と整列する位置で切断されるまで続く。導線570および572が切断された後は、蓋508がジャー504の本体506に戻されても、もはや水素ガスは発生しない。引張部材523、PZT部材550、および導線570、572が組み合わさって、起動装置525を構成する。
【0286】
ここに示す実施例は、単なる例示であり、本発明の範囲を逸脱することなく、様々な変更が可能である。たとえば、ここに示す実施例において、各視覚的表示装置18、118、218、318、418、518は5つの領域を有しているが、視覚的表示装置の領域の数は、よく少なくてもよく、より多くしてもよい。また、視覚的表示装置の各領域は、文章、数字および/またはシンボル形式のラベルを備えてもよいし、代替的に、こうしたラベルを一切備えないことも可能である。
【0287】
第7の実施例の変更例として、それぞれの領域526、528、530、532、534における電解を利用する代わりに、それぞれの領域526、528、530、532、534が、ポリアニリンを備えるようにしてもよい。なお、領域526、528、530、532、534に存在するポリアニリンの量は、最初にジャー504を開けた時点からの、内容物の消費期限に応じて定められる。領域526、528、530、532、534におけるポリアニリンは、電位が付与された後、徐々に色変化するようになっている。ジャー504を最初に開けた時点で、PZT部材550が電位を発生させ、この電位は、それぞれの領域526、528、530、532、534のポリアニリンに付与され、領域ごとに異なる色変化を起こさせる。
【0288】
その他の実施例において、容器は、紙パック、ボトル、チューブ、小箱、包装容器などでもよい。たとえば、図14に示す例では、ラベル形状の経過時間表示装置602が、紙パック604に取り付けられている。この実施例において、紙パック604は、本体606と蓋608で構成される。蓋608は、周知のねじ連結で、本体606に固定される。ラベル602は、紙パック本体606に接着される本体部610と、この本体部610から伸長するタグ部612とを備える。タグ部612は、紙パック604の本体606と蓋608の間を伸長するようになっている。使用時、ラベルのタグ部612は、蓋618の上面614に取り付けられ、本体606から蓋608が取り外された後は、蓋608に付いたまま残る。
【0289】
同様に、図15は、ボトル704に取り付けたラベル形状の経過時間表示装置702を示している。この実施例において、ボトル704は本体706と蓋708で構成される。蓋708は、周知のねじ連結で、本体706に固定される。ラベル702は、ボトル本体706に接着される本体部710と、この本体部710から伸長するタグ部712とを備える。タグ部712は、ボトル704の本体706と蓋708の間を伸長するようになっている。使用時、ラベルのタグ部712は、蓋718の上面714に取り付けられ、本体706から蓋708が取り外された後は、蓋708に付いたまま残る。
【実施例】
【0290】
本出願人は、導管に沿った毛細管現象による流体の動きを制御することが可能であるとの知見を得た。
【0291】
[実験例1]
図16(a)および図16(b)の実験結果が示すように、本出願人は、パッド部の幅がチャネル部の幅よりも大きいパッド部とチャネル部とを、交互に配した浸透性紙ストリップは、同じ材料かつ同じ厚さの紙ストリップであっても、幅がパッド部またはチャネル部で均一の紙ストリップよりも、かなり長い時間スケールで流体の流れを制御できるとの知見を得た。
【0292】
図16(a)は、3つの浸透性紙ストリップを示している。第1の浸透性紙ストリップ902は、厚さが100μmで、幅は5mmで均一である。第2の浸透性紙ストリップ904は、厚さが100μmで、5mm平方の一連のパッド部906の間に、長さ300μm、幅200μmの線形チャネル部が配置されている。第3の浸透性紙ストリップ910は、厚さが100μmで、幅は200μmで均一である。図16(a)に示す画像の下部に隣り合って並んだ第1、第2および第3の浸透性紙ストリップ902、904、910の各端部を、同時に着色流体に晒した。着色流体は、毛細管現象により、第1、第2および第3の浸透性紙ストリップ902、904、910に沿って引き上げられ、数時間後、図16(b)に示す画像を撮影した。この画像から明らかなように、パッド部906とチャネル部908とを、交互に配した浸透性紙ストリップ904は、幅がパッド部906と均一のストリップ902、または幅がチャネル部908と均一のストリップ910よりも、着色流体の動きが遅いことが理解される。図16(b)において、着色流体は、第3の浸透性紙ストリップ910の全長にわたって進んでしまっており、明確性の観点から、図16(b)では、第3の浸透性紙ストリップ910のアウトラインをマークしている。
【0293】
図16(b)の実験結果は、パッド部とチャネル部を交互に配した浸透性紙ストリップを使用すると、浸透性紙ストリップを伝う毛細管現象による流体の動きを遅延/減少できるということを示している。
【0294】
[実験例2]
図17(a)および図17(b)の実験結果が示すように、本出願人は、パッド部の幅がチャネル部の幅よりも大きいパッド部とチャネル部とを、交互に配した浸透性紙ストリップによる毛細管現象は、数日に及ぶ時間スケールで流体の流れを提供できるとの知見を得た。
【0295】
図17(a)は、厚さが100μmで、直径3mmの一連の円形パッド部1004の間に、長さ2.5mm、幅が約700μmの線形チャネル部を配置した浸透性紙ストリップ1002を示している。
【0296】
浸透性紙ストリップ1002の一端1008を、着色流体に晒した。着色流体は、毛細管現象により、浸透性紙ストリップ1002沿って引き上げられた。浸透性紙ストリップ1002の端部1008を最初に着色流体に晒した日から36日間にわたって、その画像を周期的に撮影した。
【0297】
これら浸透性紙ストリップ1002の画像から抽出したデータを図17(b)に示す。画像処理技術により、各画像から、浸透性紙ストリップ1002の端部1008を最初に着色流体に晒した時点における隣接するリザーバ内の色強度と比較して、浸透性紙ストリップ1002に沿った色強度が10%、50%、100%となる位置を抽出した。浸透性紙ストリップ1002に沿った流体の進行方向における色変化を、色強度値10%、50%、100%で図17(b)の場合についてグラフ化した。いずれの場合においても、浸透性紙ストリップ1102沿った流体の進行方向において、色強度10%の流体前線が進行した距離を、パッドの序数で示し、日数に対してグラフ化した。図17(b)の結果が示すように、色強度10%の流体前線は、3日〜4日で15番目のパッドの遠位側に達するのに対し、ほぼ同じ日数で、色強度50%の流体前線は、10番目のパッドの遠位側に達し、色強度100%の流体前線は、4番目のパッドの遠位側に達することが分かった。
【0298】
図17(b)の結果が示すように、パッド部の幅がチャネル部の幅よりも大きいパッド部とチャネル部とを、交互に配した浸透性紙ストリップは、毛細管現象により、数日に及ぶ時間スケールで流体の流れを提供できることが理解される。
【0299】
[実験例3]
図18(a)および図18(b)の実験結果が示すように、本出願人は、パッド部の幅がチャネル部の幅よりも大きいパッド部とチャネル部とを、交互に配した浸透性紙ストリップによる毛細管現象は、数日に及ぶ時間スケールで流体の流れを提供できることを発見した。
【0300】
図18(a)は、第1〜第4の浸透性紙ストリップ1102、1104、1106、1108を示している。それぞれの浸透性紙ストリップは、厚さ100μmで、直径3mmの連続するバッド部が、長さ2.5mmのチャネル部を隔てて配置されている。浸透性紙ストリップ1102、1104、1106、1108のチャネル部の幅は、それぞれ順番に、300、500、700、900μmである。図18(a)に示す画像の下部に隣り合って並んだ浸透性紙ストリップ1102、1104、1106、1108の各端部を、同時に着色流体に晒した。着色流体は、毛細管現象により、浸透性紙ストリップ1102、1104、1106、1108に沿って引き上げられた。浸透性紙ストリップ1102、1104、1106、1108の各端部を最初に着色流体に晒した日から14日間にわたって、その画像を周期的に撮影した。これら浸透性紙ストリップ1102、1104、1106、1108の画像から抽出したデータを図17(b)に示す。画像処理技術により、各画像から、浸透性紙ストリップ1102、1104、1106、1108の各端部を最初に着色流体に晒した時点における隣接するリザーバ内の色強度と比較して、それぞれの浸透性紙ストリップ1102、1104、1106、1108に沿った色強度が10%となる位置を抽出した。そして、それぞれの浸透性紙ストリップ1102、1104、1106、1108に沿った流体の進行方向における色変化を、最前線の色強度値が10%になった場合についてグラフ化した。それぞれの浸透性紙ストリップ沿った流体の進行方向において、色強度10%の流体最前線が進行した距離を、パッドの序数で示し、日数に対してグラフ化した。図18(b)の結果が示すように、色強度10%の流体前線がそれぞれの浸透性紙ストリップ1102、1104、1106、1108に沿っ進行する速度は、チャネル部の幅が300μmから900μmの範囲で増加するに従い、増加することが明らかとなった。
【0301】
図18(b)の結果が示すように、パッド部の幅がチャネル部の幅よりも大きいパッド部とチャネル部とを、交互に配した浸透性紙ストリップで構成される毛細管ネットワークは、毛細管現象により浸透性紙ストリップを伝う流体の流れを、数日に及ぶ時間スケールで制御するよう変更可能であることが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体リザーバおよび所定流量の流体を自身に沿って提供する導管を有する起動装置と、
流体に晒されると外見を変化させる視覚的表示装置と、
を備え、
前記導管は、前記流体リザーバを前記視覚的表示装置に接続しており、前記起動装置は、前記流体の流れを開始する起動イベントに応答して、前記流体リザーバから前記流体を放出させるようになっている、
経過時間表示装置。
【請求項2】
前記起動イベントは、2つの物体を最初に相対的に動かした場合に起こるように構成されている、請求項1に記載の経過時間表示装置。
【請求項3】
前記2つの物体の双方に取り付けられるように構成されている、請求項2に記載の経過時間表示装置。
【請求項4】
容器の蓋および本体に取り付けられるように構成されている、請求項1〜3のいずれかに記載の経過時間表示装置。
【請求項5】
前記容器を最初に開けた時点から、内容物の消費期限までの残り時間を表示するように構成されている、請求項4に記載の経過時間表示装置。
【請求項6】
装置の2つ構成部品に取り付けられるように構成されている、請求項1〜5のいずれかに記載の経過時間表示装置。
【請求項7】
前記装置の耐用寿命までの残り時間または保守サービス間隔を表示するように構成されている、請求項1〜6のいずれかに記載の経過時間表示装置。
【請求項8】
前記導管は、長さ方向に沿って変化する断面を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の経過時間表示装置。
【請求項9】
前記断面の変化により、少なくとも部分的に所定の流量が規定されるように構成されている、請求項8に記載の経過時間表示装置。
【請求項10】
前記導管は、断面がより大きな複数の第1部分と、断面がより小さな複数の第2部分とを備え、隣り合う第1部分同士は、それぞれの第2部分によって連結されている、請求項1〜9のいずれかに記載の経過時間表示装置。
【請求項11】
前記導管は、厚さが均一で、複数の幅広部分と、複数の幅狭部分とを備え、隣り合う幅広部分同士は、それぞれの幅狭部分によって連結されている、請求項10に記載の経過時間表示装置。
【請求項12】
前記幅狭部分は、直線状および/または曲線状である、請求項11に記載の経過時間表示装置。
【請求項13】
前記導管は、浸透性の材料からなる、請求項1〜12のいずれかに記載の経過時間表示装置。
【請求項14】
前記導管は、浸透性の紙またはポリマーからなる、請求項13に記載の経過時間表示装置。
【請求項15】
前記導管は、1つ以上のマイクロファイバーを備える、請求項1〜14のいずれかに記載の経過時間表示装置。
【請求項16】
前記導管の厚さは、10μm〜1mmの範囲である、請求項1〜15のいずれかに記載の経過時間表示装置。
【請求項17】
前記導管の厚さは、100μmである、請求項1〜16のいずれかに記載の経過時間表示装置。
【請求項18】
前記導管は、複数の幅広パッド部と複数の幅狭チャネル部とを備えた、均一な厚さの浸透性ストリップからなり、隣り合うパッド部同士は、それぞれのチャネル部によって連結されている、請求項1〜18のいずれかに記載の経過時間表示装置。
【請求項19】
前記導管は、ポリマー層の間にシールされている浸透性紙ストリップを備える、請求項1〜18のいずれかに記載の経過時間表示装置。
【請求項20】
起動エレメントと相補的凹部とを備え、該起動エレメントは、前記流体が前記流体リザーバから前記視覚的表示装置へと流れることを阻止するように、前記相補的凹部内に収容されることが可能であり、かつ、前記流体リザーバから前記導管へと前記流体を向かわせるため、前記相補的凹部内を移動可能である、請求項1〜19のいずれかに記載の経過時間表示装置。
【請求項21】
前記2つの物体の間に取り付けられ、これら2つ物体を最初に相対的に動かした際、一方の物体に相対的に固定されたまま維持されて、引張力を前記起動エレメントに付与し、これにより前記起動エレメントを前記凹部から引き離して、前記流体リザーバから前記導管へと前記流体を向かわせる引張部材を備える、請求項20に記載の経過時間表示装置。
【請求項22】
基板と弾性膜とを備え、前記起動エレメントが前記凹部内に挿入された際、前記弾性膜は弾性的に変形して、該弾性膜と前記基板の間をシールするようになっており、これにより前記流体が前記流体リザーバ内に密封されるように構成されている、請求項20または21に記載の経過時間表示装置。
【請求項23】
前記凹部内を前記起動エレメントが移動することにより、前記弾性膜は前記基板から離れ、前記流体リザーバから前記導管へと前記流体が向かうように構成されている、請求項22に記載の経過時間表示装置。
【請求項24】
発色剤を含む、請求項1〜23のいずれかに記載の経過時間表示装置。
【請求項25】
前記流体は酸を含み、前記視覚的表示装置は発色剤を含む、請求項1〜24のいずれかに記載の経過時間表示装置。
【請求項26】
前記流体は発色剤を含み、前記視覚的表示装置は酸を含む、請求項1〜24のいずれかに記載の経過時間表示装置。
【請求項27】
前記発色剤はパーガスクリプトレッドを含む、請求項24〜26のいずれかに記載の経過時間表示装置。
【請求項28】
前記発色剤はパーガスクリプトグリーンを含む、請求項24〜27のいずれかに記載の経過時間表示装置。
【請求項29】
前記酸は自然発生的酸を含む、請求項25または26に記載の経過時間表示装置。
【請求項30】
前記酸は酢酸またはクエン酸を含む、請求項29に記載の経過時間表示装置。
【請求項31】
流体リザーバ、導管、起動エレメント、および相補的凹部を有する起動装置と、
流体に晒されると外見を変化させる視覚的表示装置と、
を備え、
前記導管は、前記流体リザーバを前記視覚的表示装置に接続しており、前記起動エレメントは、前記流体が前記流体リザーバから前記視覚的表示装置へと流れることを阻止するように、前記相補的凹部内に収容されることが可能であり、かつ、前記流体リザーバから前記導管へと前記流体を向かわせるため、前記相補的凹部内を移動可能である、
経過時間表示装置。
【請求項32】
流体リザーバおよび導管を有する起動装置と、
流体に晒されると外見を変化させる視覚的表示装置と、
を備え、
前記導管は、前記流体リザーバを前記視覚的表示装置に接続しており、前記起動装置は、前記流体の流れを開始させる起動イベントに応答して、前記流体リザーバから前記流体を放出するようになっており、前記流体または前記視覚的表示装置は、発色剤を含む、
経過時間表示装置。
【請求項33】
請求項1〜32のいずれかに記載の経過時間表示装置を備えたラベル。
【請求項34】
請求項1〜29のいずれかに記載の経過時間表示装置を備えた容器。
【請求項35】
容器を準備し、該容器に、請求項1〜29のいずれかに記載の経過時間表示装置、または請求項33に記載のラベルを、取り付けるステップを有する、容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3(a)】
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【図3(b)】
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【図4】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13(a)】
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【図13(b)】
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【図14】
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【図15】
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【図16(a)】
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【図16(b)】
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【図17(a)】
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【図17(b)】
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【図18(a)】
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【図18(b)】
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【公表番号】特表2013−518245(P2013−518245A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549414(P2012−549414)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【国際出願番号】PCT/GB2011/000097
【国際公開番号】WO2011/092461
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(512192266)ユーダブリュアイ テクノロジー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】