説明

結合および結合解除可能な校正用錘を備えた力伝達装置

【課題】重量測定用の力伝達装置で、校正用錘の測定変換器への作用力のジオメトリのずれの影響を抑える。
【解決手段】重量測定器の力伝達装置は、固定部および荷重受け部を有し、荷重受け部は直接的にまたは少なくとも1つの結合要素および少なくとも1つのレバーを介して、固定部上に配置された測定変換器に力伝達式に繋げられる。力伝達装置はさらに校正レバーを含み、校正レバーは、固定部に基礎を置く支点を有し、校正用錘に堅固に連結された第1の校正レバーアームを有し、また、単向性の結合要素を介して荷重受け部または少なくとも1つの結合要素または少なくとも1つのレバーのレバーアームに連結される第2の校正レバーアームを有する。単向性の結合要素は、第1の結合要素部と第2の結合要素部に分割され、それにより、この分割された設計によって、単向性の結合要素を通って伝達され得る力が、張力に限定する、または圧縮力に限定するものになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷重受け部および固定部を有する、重量測定器用の力伝達装置に関する。荷重受け部に連結された秤量パンは、秤量される対象の荷重を受け入れる。荷重が秤量パンに及ぼす力は、直接的に、または力低減レバー機構を用いることによって測定変換器に伝達される。秤量パンおよび荷重受け部を垂直な移動で誘導するように働く平行四辺形タイプの誘導装置と共に、力伝達装置および測定変換器は、重量測定器の秤量セルを実質的に構成する。
【背景技術】
【0002】
知られている現況技術は、たとえば歪みゲージを備えた秤量セル、ストリング発振器を備えた秤量セルまたは電磁力補償(EMFC)秤量セルなどのさまざまな異なる作動原理に基づいた秤量セルを含む。ストリング発振器秤量セルまたは電磁力補償秤量セルを備えた重量測定器は、極めて高い分解能で測定結果をもたらす。
【0003】
EMFC秤量セルでは、荷重の重さは、直接的に、または1つまたは複数の力伝達レバーを通じて、秤量荷重に対応する電気信号を生成する測定変換器に伝達される。秤量指向電子モジュールを用いることによって、電気信号はさらに処理され、インジケータ上に表示される。
【0004】
ストリング発振器を備えた秤量セルの機械的設計配置は、EMFC秤量セルにほとんど類似しているが、電磁測定変換器の代わりに発振ストリング変換器が使用されることが異なる。荷重は、ある量の発振ストリングの張力に変わる。結果として得られたストリングの発振の周波数の変化が、秤量パン上に置かれた荷重に対する測定量を表す。測定値が捉えられている同じとき、EMFC秤量セルの機械システムは、釣り合い錘を備えた機械的竿秤と類似する均衡状態にある。それに対して、ストリング発振器秤量セルの荷重受け部は、固定部に対して小さく垂直に変位するが、これは、ストリングが荷重によって張力下に据えられ、それによってその長さがわずかに増大するためである。したがって、ストリング発振器秤量セルはまた、小変位の力測定セルとも称される。
【0005】
両方のタイプの秤量セルは、たとえばミリグラム範囲の精密天秤および化学天秤またはマイクログラム範囲の微量天秤で使用され、これらによってもたらされた測定値が、製造者の仕様および法的要求事項に準じた規定された許容差範囲内にあることを確実にするために、定期的に再校正される必要がある。これらの定期的な校正は、たとえば周囲温度または大気圧の変化などの秤量セルに影響を及ぼす影響要因を補償するように働く。
【0006】
校正は、定期的に、知られている錘の荷重を荷重受け部上に据えることによって行われる。秤量セルの引き渡し前の最終検査で確立された錘値と現在測定された値の相違に基づいて、補正値が算出可能であり、これを用いることによって秤量セルのその後に続く測定結果が補正可能である。できるだけ正確な校正値を得るために、校正用錘は、秤量セルの最大容量荷重と釣り合わなければならない。これは、極めて大きい校正用錘が必要になることを意味し得る。
【0007】
従来技術の中でも、内蔵式の校正用錘を含むさまざまな異なる重量測定器が知られている。
【0008】
電磁力補償の原理に基づき、内蔵式の棒形状の校正用錘を有するこの種類の重量測定器が、EP 0 955 530 Blに開示される。棒形状の校正用錘は、荷重受け部に結合され、比率レバーとして働く校正用錘担持アーム上に据えられる。このレバーの利点により、校正用錘の質量、したがってその寸法は、小さく保たれ得る。校正用錘アームは、常に荷重受け部に結合されているため、校正プロセス中、校正用錘を受け入れ、レバー操作するためだけに働くが、校正用錘自体の一部ではない。結果として、校正用錘担持アームは、力伝達装置の一部であり、より詳細には、力が測定変換器に到達するまでにこれを伝達し、低減するためのレバー機構の一部であり、天秤が通常の秤量モードで作動する間も荷重受け部に永久的に連結されたままである。
【0009】
CH 661 121 A5に開示されるように、力伝達装置はまた、多段レバー機構を含むこともでき、この場合個々のレバーは、荷重受け部と測定変換器の間で力低減が達成されるように、結合要素を用いることによって互いに適切に連結される。結合要素の1つには、校正用錘をその上に据える適切に設計された受け入れ要素が形成される。
【0010】
JP 3761792 B2では、比率レバーを備えた校正用錘を有する、歪みゲージが装備された秤量セルが開示される。比率レバーと荷重受け部の間には、結合要素が配置される。校正用錘および結合要素を上昇させることにより、結合要素上に形成された軸受ブロックが、荷重受け部上に配置されたナイフエッジ(knife edge)ピボットから分離され、それによって比率レバーは、荷重受け部から結合解除される。
【0011】
前述の現況技術の解決策のすべてには、秤量機器分野では専門家によく知られている校正用錘装填装置が装備される。
【0012】
補正値の精密な決定は、測定変換器の分解能の能力だけでなく、かなりの程度、ジオメトリ関係が維持される精度のレベルによって決まる。EP 0 955 530 Blで説明された校正用錘担持アーム上又はCH 661 121 A5で説明された結合部材上の校正用錘の特有の位置から校正用錘の着座位置における偏差が最小であっても、あるいは、JP 3761792 B2におけるナイフエッジピボットに対する軸受ブロックの位置におけるずれが最小であっても、有効レバーアームの延長または短縮を引き起こし、したがって補正値において誤差を生じさせる。その結果、校正用錘と校正用錘担持アームの間の、またはナイフエッジピボットと軸受ブロックの間の接触点は、最高の精度で相応の高いコストを伴って仕上げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】EP 0 955 530 Bl
【特許文献2】CH 661 121 A5
【特許文献3】JP 3761792 B2
【特許文献4】US20080218303 Al
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、測定変換器を備えた重量測定器用の力伝達装置を創出することであり、この場合、校正用錘は、測定変換器上に作用する校正用重量力が、ジオメトリのずれによって影響される程度を最小限に抑えるやり方で、力伝達装置に作動接触させられ得る。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この課題は、本発明による校正用錘レバーを備えた力伝達装置によって、また、本発明による力伝達装置を含む重量測定器によって解決される。
【0016】
重量測定器の力伝達装置は、固定部および荷重受け部を有する。荷重受け部は、直接的に、または少なくとも1つの結合要素および少なくとも1つのレバーを介して、固定部上に配置された測定変換器に力伝達式に繋げられる。本発明による力伝達装置は、さらに、固定部に基礎が置かれた支点を有する校正レバーを含む。校正レバーは、第1および第2の校正レバーアームを含み、この場合、第1の校正レバーアームは、校正用錘に堅固に連結され、一方で第2の校正レバーアームは、単向性の結合要素を介して荷重受け部または少なくとも1つの結合要素または少なくとも1つのレバーのレバーアームに連結される。単向性の結合要素は、2つに、すなわち第1の結合要素部および第2の結合要素部に分けられる。第1の結合要素部は、第1のたわみピボットを通って荷重受け部または結合要素またはレバーアーム上の固定場所に連結され、一方で第2の結合要素部は、第2のたわみピボットを通って第2の校正アーム上の固定場所に連結される。両方の結合要素部のたわみピボットは、枢動運動によって生じる屈曲モーメントを最小限に抑えるために、最大限の可撓性を有するが、張力または圧縮力をその中央の長手方向軸の方向に伝達する汎用機能を実行することを依然として可能にするように設計される。さらに、たわみピボットの不安定な屈曲傾向は、結合要素部が、力伝達装置の作動中、重力によってまたは慣性力および加速力によって偏向され得るほど強くなることが許されてはならない。
【0017】
結合要素部は、単向性の結合要素が2つの部分に分割されることにより、第2のたわみピボットから第1のたわみピボットに伝達され得る力が、張力に限定するまたは圧縮力に限定するものになるように互いに整列される。この概念は、堅固に連結された校正用錘を備えた校正レバーを、力伝達装置の荷重受け部、結合要素、またはレバーアームに力伝達式に繋げる、あるいは校正用錘の力を完全に切り離すことを可能にする。繋げるステップまたは切り離すステップは、校正用錘を上昇または下降させることによって先に述べられた校正用錘装填装置を用いることによって実施され得る。故に、本発明の意味における「単向性の結合要素」の特徴は、その特別な設計により、その繋がるステップが、圧縮力のみまたは張力のみをその中央の長手方向軸に沿って規定された方向に伝達することを可能にすることを意味している。反対方向の荷重の下で、結合要素部は、それ自体を互いから分離し、それにより、それらの間に力の伝達が起こらないようにすることができる。結合要素部の実際の形状構成に応じて、この分離はまた、第1の結合要素部の第2の結合要素部に対する変位の特有の範囲にのみ効果があり得、その場合、変位のこの特有の範囲だけが、本発明の意味における分離として考慮されるものである。
【0018】
現況技術の解決策とは異なり、力の伝達は、校正用錘の着座接触によるものではなく、単向性の結合要素、より詳細にはそのたわみピボットによって方向付けられる。その結果、ジオメトリ関係は常に変わらないが、これは、第1と第2の結合要素部の間の所定位置の微小なずれが、たわみピボットの不変の場所によって画定される、力が導入される実際の地点においてならされ、生じていないためである。電磁力補償を備えた秤量セルにおける測定結果の収集は、システムの平衡状態で起こるために、力伝達装置のピボットの屈曲モーメントは、ほぼゼロに等しい。校正レバー、より詳細にはその支点のピボットは、好ましくは、それに応じて、レバー支点が、校正プロセス中、屈曲モーメントを有さないように設計される。良好に近似させて、前述のコメントはまたストリング発振器の秤量セルにも適用されるが、その理由は、荷重受け部上に置かれた荷重は、ストリングのほんの少量の伸張しか引き起こさず、したがって、力伝達装置のたわみピボットに結果として起こる屈曲モーメントは非常に小さいためである。
【0019】
第1および第2のたわみピボットのそれぞれの中央の長手方向軸は、好ましくは互いに同一空間を占め、それにより、単向性の結合要素内にはかく乱モーメントは起こらない。しかし、第1の結合要素部と第2の結合要素部の間の少なくとも1つの接触領域の設計が、2つの結合要素部が横向きに偏向しないようにするための固有の安定性をもたらす場合に、2本の中央の長手方向軸の小さく平行な偏位が可能にされ得る。この安定性は、本質的に張力の伝達に存在するが、圧縮力の場合、特定の設計の形状構成のみが、単向性の結合要素に固有の安定性を与える。
【0020】
第1の実施形態では、第2の結合要素部は、圧縮力の伝達のための手段として、第1の結合要素部に向かって面する表面であって、その表面から突き出て、第2のたわみピボットの中央の長手方向軸に対して鏡対称で配置された2つの突出部を備えた表面を有する。さらに、第1の結合要素部は、第2の結合要素部に向かって面する少なくとも1つの受け入れ表面を有し、この受け入れ表面に対して2つの突出部がそれら自体を着座させることができる。この形状構成では、2つのたわみピボットの中央の長手方向軸に対して直角に延びる平面に配置された2つの接触点が、単向性の結合要素に固有の安定性を与えており、それによって単向性の結合要素が圧縮力を伝達することが可能になる。
【0021】
校正プロセス中、第1の結合要素部および第2の結合要素部を互いに対して心出しし、それらが、たわみピボットの中央の長手方向軸に対して直角であるそれらの相互位置からずれることを防止するための手段として、浅い角度で互いに対して傾けられた突出部のための2つの受け入れ表面が存在し得る。しかし、受け入れ表面の傾斜角度には、単向性の結合要素の固有の安定性のための要件により、特定の限界が課せられる。
【0022】
受け入れ表面の傾斜角度の限界は、単向性の結合要素のジオメトリ比例によって決まり、この場合、受け入れ表面とたわみピボットの中央の長手方向軸の間の角度αは、次の条件を満たす必要がある:
90°≧α≧逆余弦(b/s)、
式中、bは、たわみピボットの中央の長手方向軸からの接触点の垂直距離を表し、sは、たわみピボットの屈曲軸からの接触点の距離を表す。前述の角度αの定義によれば、固有の安定性は、接触点において伝達された力の作用線が、結合要素部の領域範囲内で交差していない場合に得られる。
【0023】
張力の伝達に適している形状構成では、第1の結合要素部は、突出部を備えた第1のけん引要素を有することができ、第2の結合要素部は、V字形の支持部を備えた第2のけん引要素を有することができ、この場合、第1の結合要素部および第2の結合要素部は、互いに引っ掛けられ、突出部はV支持部と整列され、張力が伝達されているとき、突出部は、V支持部と力伝達接触状態にある。
【0024】
別の可能性として、第1の結合要素部および第2の結合要素部は、可撓性のヒンジを用いることによって互いに連結され得る。この実施形態では、2つの結合要素部が物理的に互いに連結されているが、それにもかかわらず、結合要素は、本発明と一致するように、2つの部分に分けられる。可撓性のヒンジの開放方向は、第1および第2のたわみピボットの中央の長手方向軸に合致させて配置されている。張力または圧縮力の伝達のために、突出部が、第1の結合要素上に形成され、突出部と共働するように配向された接触表面が、第2の結合要素部上に形成される。
【0025】
力伝達装置はまた、平行誘導装置を含むことができ、それにより、装置の作動モード時、荷重受け部は、少なくとも1つの上側平行ガイドおよび少なくとも1つの下側平行ガイドを用いて固定部に繋げられることによって垂直移動で誘導される。
【0026】
力伝達装置は、連結要素を用いることによって一緒に接合されてユニットを形成するさまざまな個々の構成要素から構成され得る。これらの要素の2つまたはそれ以上はまた、実質的に一体連結することによって接合され得る。好ましいものは、少なくとも荷重受け部、固定部、校正レバーおよび単向性の結合要素が、互いに一体式に連結される設計の形状構成である。
【0027】
上記で述べられたように、本発明による力伝達装置は、測定変換器および校正用錘と組み合わせて秤量セルとして重量測定器内で使用され得る。重量測定器は、通常、校正用錘によって生成された重量力が、荷重受け部上に作用する力と同じ方向に荷重伝達装置を介して測定変換器に伝達されるようにして校正される。その結果、通常の荷重が装置の通常の作動モードに導入されるのと同じ方法で、校正力から生じる荷重が、測定変換器内に導入される。ストリング発振器秤量セルでは、測定力はたいてい、荷重の方向にかけられ得るだけである。したがって、前述の実施形態は、ストリング発振器タイプならびにEMFCタイプの秤量セルに適している。
【0028】
別の可能性として、校正用錘の重量力はまた、力伝達装置によって、荷重受け部上に作用する力と比べて反対方向に測定変換器にかけられ得る。この概念は、特に、US20080218303 Alに詳細に記載されたプッシュ/プル動作を備えた測定変換器を有するEMFC秤量セルに適している。測定変換器のこの設計により、校正用錘は、秤量セルの荷重範囲を拡張するために補償錘として使用され得る。校正用錘の結合解除状態では、このタイプの秤量セルは、たとえば0から100グラムの範囲内の荷重を秤量することができ、校正用錘に係合することによって、拡大された荷重範囲に切り替え、100から200グラムの荷重を秤量することができるが、これは、校正用錘の重量力が、荷重受け部上の荷重の力に対抗して作用するためである。
【0029】
校正用錘は通常、ρ=8.0kg/dmの一様密度を有する耐食材料から作製される。しかし、校正用錘はまた、部分的に力伝達装置と同じ材料で作製され、より高密度の補助質量と組み合わせられ得る。校正値の正確度を改良するために、重量測定器の周囲の大気圧を測定するように働く圧力センサが存在し得る。圧力センサによって生成された測定値は、校正用錘の浮力補正を算出するために使用され得るが、これは、校正用錘によって変位させた空気の浮力は、校正用錘の重量力に拮抗するためである。
【0030】
本発明による力伝達装置を組み込むさまざまな設計のバリエーションならびに重量測定器におけるこれらの適用が、これ以後、図の助けを借りてより詳細に説明され、この場合、図を通じて同じである要素は、同じ参照記号によって識別される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】レバー機構が、荷重受け部上に作用する力を低減するために荷重受け部と測定変換器の間に配置された、力伝達装置の第1の実施形態を備えた秤量セルの側面図の概略図であり、この場合、圧縮力のみを伝達することができる単向性の結合要素が、レバー機構と校正レバーの間に配置されている。
【図2】レバー機構が、荷重受け部上に作用する力を低減するために荷重受け部と測定変換器の間に配置された、力伝達装置の第2の実施形態を備えた秤量セルの側面図の概略図であり、この場合、張力のみを伝達することができる単向性の結合要素が、レバー機構と校正レバーの間に配置されている。
【図3】レバー機構が、荷重受け部上に作用する力を低減するために荷重受け部と測定変換器の間に配置された、力伝達装置の第3の実施形態を備えた秤量セルの側面図の概略図であり、この場合、張力のみを伝達することができる単向性の結合要素が、荷重受け部と校正レバーの間に配置されている。
【図4】2つのレバーのレバー機構が、荷重受け部上に作用する力を低減するために荷重受け部と測定変換器の間に配置された、力伝達装置の第4の実施形態を備えた秤量セルの側面図の概略図であり、この場合、圧縮力のみを伝達することができる単向性の結合要素が、2つのレバーの第2の結合要素と校正レバーの間に配置されている。
【図5】3つのレバーのレバー機構が、荷重受け部上に作用する力を低減するために荷重受け部と測定変換器の間に配置された、力伝達装置の第5の実施形態を備えた秤量セルの側面図の概略図であり、この場合、張力のみを伝達することができる単向性の結合要素が、レバー機構と校正レバーの間に配置されている。
【図6】一体的に設計された力伝達装置の側面図であり、この場合、レバー機構、コイルレバー、校正レバー、レバーに連結する結合要素、ならびに平行誘導リンケージが、狭い線形の切断を用いることによって形成され、この場合、レバー機構と校正レバーの間に配置された単向性の結合要素は、可撓性のヒンジを通して互いに連結された2つの結合要素を有する。
【図7】張力のみを伝達することができる単向性の結合要素の可能な設計を示す図である。
【図8】圧縮力のみを伝達することができる単向性の結合要素の可能な設計を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、力伝達装置110の第1の実施形態を備えた秤量セル100の概略図を横面図で示している。力伝達装置110は、固定部111および荷重受け部112を有する。荷重受け部112は、第1の平行ガイド114および第2の平行ガイド115を通して固定部111に繋げられることによって平行移動で誘導される。力伝達装置110の枢動連結113はすべて、図では黒円で示され、従来技術から知られているどのような設計でも実現され得る。これらの枢動連結113は、通常、図5から7に示される種類のたわみピボットとして設計される。
【0033】
荷重受け部112に連結されるのは、秤量パンの形態の荷重受け140である。さらに、力依存秤量信号を生成することができる測定変換器130が、固定部111上に堅く装着される。図に示される測定変換器130は、コイル131および磁石132ならびに位置センサ133を有する。磁石132は、固定部111に堅固に連結される。測定される対象の力は、コイル131上に作用し、コイル131は、磁石132のどの部分にも接触しないようにして磁石132の内側に配置されている。コイル131上に作用する力は、コイル131が磁石132に対してその位置をずらすようにさせ、位置上のこの変化が、位置センサ133によって検出される。位置センサ133によって生成された信号は、天秤の(本明細書では示されない)電子システムに送信され、この電子システムは、続いて、力の作用に対抗して磁石132に対するコイル131の元の位置を復元するように、コイル131を流れる電流を調節する。コイル131を流れる電流が測定され、測定の原信号が、電子システム内で処理されて測定値になり、この測定値は、次に、測定値が視覚形式で提示される(これも同様に図では示されない)表示ユニットに送られる。当然ながら、本明細書で示される測定変換器130の代わりに、たとえばストリング発振器、誘導性または容量性の変換器、歪みゲージ変換器などの他の種類の変換器を使用することもできる。
【0034】
図に示される測定変換器130は、荷重受け部140上に作用する力の補償に対して限定された大きさの補償力しか生成することができないため、1つまたは複数のレバーを備えたレバー機構が、測定される対象の力の低減にしばしば使用される。このレバー機構は、荷重受け部112と測定変換器130の間に力伝達導管として配置される。図に示されるレバー機構は、固定部111上で枢動的に支持されるレバー116を有し、その短いレバーアーム117は、第1の結合要素119を介して荷重受け部112に連結される。レバー116の長いレバーアーム118は、コイル131に連結される。
【0035】
力伝達装置110は、さらに、固定部111上に同様に枢動的に支持される校正レバー120を含み、その第1の校正レバーアーム121は、校正用錘123に堅く連結される。校正用錘123の重量力を伝達する機能は、単向性の結合要素124によって実施され、その第1の結合要素部125は、第1のたわみピボット127を介して長いレバーアーム118に連結され、その第2の結合要素部126は、第2のたわみピボット128を介して第2の校正レバーアーム122に連結される。第1および第2のたわみピボット127、128は、ある特定量の固有の剛性を有する、あるいはその枢動角度が限定される枢動連結のあらゆる可能な種類を抽象的に表すものである。枢動連結、詳細にはたわみピボット127、128のこれらの特性は、少なくとも直立するピボット、この場合たわみピボット128に対して絶対的に必要であり、それにより、2つの結合要素部125、126は、それらが結合解除された状態で互いに整列されたままであり、重力の下で横向きに偏向することはない。
【0036】
図1に示されるように、校正用錘装填装置150が固定部上に装着される。カムディスク151の位置に応じて、校正用錘装填装置150は、校正用錘123を固定部111上で支持された状態に保つ、あるいは校正用錘123をその支持から自由にする。校正用錘123の支持された状態では、2つの結合要素部125、126は、互いに分離されるが、解放された状態では、2つの結合要素部125、126は、互いに力伝達接触状態になり、それによって校正用錘123の重量力がレバー118、したがって測定変換器130のコイル131に伝達される。概略図が明確にはっきりさせているように、本明細書で例示される単向性の結合要素124は、圧縮力だけを伝達することを可能にするが、その理由は、校正用錘123の解放された状態において、第2の結合要素部126は、第1の結合要素部125に押さえ付けられて、測定変換器130によって発生した反応力に対抗して作用するためである。
【0037】
図2は、力伝達装置210の第2の実施形態を備えた秤量セル200の概略図を横面図で示している。校正レバー220および単向性の結合要素224を除いて、図2に示された要素のすべては、図1のものと類似しており、したがって以下で再度説明されることはない。
【0038】
図2に示される校正レバー220は、同様に、第1の校正レバーアーム221および第2の校正レバーアーム222を有し、この場合、第1の校正レバーアーム221は、レバー支点113から校正用錘123に延び、第2の校正レバーアーム222は、レバー支点113と単向性の結合要素224の第2のたわみピボット228の間に延びる。
【0039】
単向性の結合要素224は、第1の結合要素部225および第2の結合要素部226を有し、これらの結合要素部は、その結合解除された状態において、物理的接触せずに緩く互いを受け入れている。校正用錘123がその支持から自由にされ、またその結果、張力を、第2のたわみピボット228から第1のたわみピボット227、したがってレバー116の長いレバーアーム118に伝達されることが必要になるとすぐに、第2の結合要素部226は、たわみピボット227、228によって画定された変位通路に沿って2つの部分が比較的短く変位した後、第1の結合要素部225と力伝達係合になるように移動する。
【0040】
校正用錘123によって発生し、長いレバーアーム118に伝達される張力は、荷重受け140上に置かれた荷重によって発生する、測定される対象の力に反して作用することにも留意されたい。その結果、校正用錘123はまた、秤量セル200の秤量範囲を拡張するためにも使用され得る。秤量範囲は、校正用錘123によって測定変換器130上に働く有効力が、変換器130が測定することができる力の最大量に相当する場合、2倍ほどになり得る。次に、これはユーザには見えないが、秤量範囲は、校正用錘123からの力が測定変換器130上に作用していない範囲の第1の部分と、校正用錘123がレバー機構に結合された範囲の第2の部分との2つの部分に細かく分けられる。校正用錘123のスイッチ入れ、詳細にはそれによって活動させる校正レバー220のピボット113の付加影響が、測定値にわずかに影響し得る可能性がある。この問題に対処するために、荷重範囲のより高い部分に対してより粗い分解能を選択する、あるいはより低い正確度のクラスを指定することができる。先ほど説明された作動のすべては、秤量荷重の量に自動的に応答する天秤の電子部分によって制御され得、それにより、ユーザは、どの秤量範囲の部分を選択すべきかを決定することについて懸念する必要はない。
【0041】
力伝達装置310の第3の実施形態における秤量セル300を横面図で示す図3に示されるように、校正用錘123が、荷重受け部112上により直接的に作用する配置も当然ながら可能である。校正レバー320および単向性の結合要素324を除いて、この図に示される要素のすべては、図1と類似しており、したがって以下で再度説明されることはない。レバー機構は、荷重受け部112と測定変換器130の間に配置されたレバー316を有する。校正用錘123を備えた校正レバー320は、固定部311に枢動的に連結され、秤量セル300の作動位置に関連付けて、荷重受け部112の下方に配置される。校正レバー320から荷重受け部112の力の伝達は、張力を伝達するように設計された単向性の結合要素324を介して起こる。第1のレバーアーム321に関連付けて選択されたレバー320の第2のレバーアーム322が短いほど、単向性の結合要素324によって荷重受け部112に伝達される校正力が大きくなる。
【0042】
図4は、荷重受け部112上に作用する力を低減するために荷重受け部112と測定変換器130の間に配置された2本のレバー416、417を備えたレバー機構を有する力伝達装置410の第4の実施形態を備えた秤量セル400の概略図を横面図で示している。図4も同様に、先行の図における構成要素の一部と同一である構成要素を含み、したがってその構成要素は、同じ参照記号を有し、あるいは再度説明されない。第1のレバー416は、結合要素418を通して第2のレバー417に力伝達式に繋げられる。結合要素418と、固定部411上に枢動的に装着された校正レバー420との間に配置されるのは、圧縮力のみを伝達する能力を備えた単向性の結合要素424である。図示される配置では、結合要素および横方向に連結された単向性の結合要素の力の作用のそれぞれの線は、互いに偏位し、その結果、レバー416、417の支点ピボット460、461上に荷重を生み出すトルクが生成される。したがって、好ましくは、2本の作用線が同一空間を占める解決策が目指されるべきである。
【0043】
測定変換器130の交換を容易にするために、固定部411は、第2のレバー417が通り抜けて外に出る開口部412を有し、それにより、測定変換器130が、固定部411の、平行ガイド113、115から外を向く側に配置され得る。
【0044】
図5は、力伝達装置510の第5の実施形態を備えた秤量セル500の横面図の概略図を示している。力伝達装置510は、荷重受け部112上に作用する力を低減するために荷重受け部112と測定変換器130の間に配置された3つのレバー516、517、518を備えたレバー機構を有する。図4にすでに示され、上記で説明されたように、第1のレバー516は、第2の結合要素519を通して第2のレバー517に力伝達式に繋げられ、第2のレバー517は、次いで、第3の結合要素529を通して第3のレバー518に力伝達式に繋げられる。張力のみを伝達することができる単向性の結合要素524が、レバー機構と校正レバー520の間に配置される。力の導入は、第1のレバー516と第2のレバー517を連結する第2の結合要素519において起こる。図4とは反対に、単向性の結合要素524は、第2の結合要素519からの平行な偏位を有して配置されず、第2の結合要素とインラインである。このインライン配置は、図4に示される第2の結合要素419で起こり得る問題である、校正プロセス中に第2の結合要素519内にトルクを導入する可能性を回避する。
【0045】
図6では、一体的に形成された力伝達装置610が、横面図で示されている。そのプロファイル輪郭によって囲まれた材料ブロック699は、第1のレバー616、第2のレバー617、校正レバー620、第1の平行ガイド614、第2の平行ガイド615、固定部611、荷重受け部612ならびに第1の結合要素および第2の結合要素を形成するために、図の平面に対して直角に材料ブロック699を通り抜ける狭小の線形の切断によって横切られる。線形の切断を用いることによって形成されたこれらの部分のすべては、同様に線形の切断によって生成されたたわみピボットによって互いに適切に連結され、それにより、力伝達装置610は、誘導移動されるように固定部611に繋げられた荷重受け部612、レバー機構616、617、ならびに校正レバー620を本質的に有するようになる。第2のレバーは、(図には示されない)レバーアームの延長部を用いることによって(同様に図示されない)測定変換器に連結される。第2のレバー内の2つの穴641は、レバーアーム延長部を取り付けるように働く。校正レバーもまた、校正用錘が締め付けられ得る2つの穴を有する。第1のレバー616と校正レバー620の間に配置されるのは、可撓性のヒンジ648によって互いに連結された2つの結合要素部625、626を有する単向性の結合要素624である。2の結合要素部625、626は、互いに物理的に連結されるが、それにも関わらず、単向性の結合要素624は、本発明による2つの部分に分けられると考えられる。可撓性のヒンジ648の開口方向は、第1および第2のたわみピボット627、628の中央の長手方向軸に対応するように配向される。圧縮力を伝達するために、突出部643が、第1の結合要素部625上に形成され、突出部と共働するように配向された接触表面が、第2の結合要素部626上に形成される。
【0046】
図7は、張力だけを伝達することができる、作動位置にある単向性の結合要素724の可能な設計を示している。第1の結合要素部725は、第1のたわみピボット727を用いることによって荷重受け部または(断片的に示される)力伝達装置のレバー機構に連結される。第1の結合要素部725の懸架位置により、第1のたわみピボット727は、非常に細長い形状を有することができる。第1の結合要素部725はさらに、第1のけん引要素741を含む。
【0047】
第2の結合要素部726は、第2のたわみピボット728を通して(断片的に示される)校正レバー720に連結される。直立配向のままである第2のたわみピボット728は、より堅固なばね定数を有する必要がある。したがって、第2のたわみピボット728には、第1のたわみピボット727よりも頑丈な設計が与えられる必要がある。その設計が力伝達装置の作動条件に十分良好に合致されている場合、第2の結合要素部726は、重力、または慣性および加速によって引き起こされる力によって横向きに偏向されることはない。
【0048】
第2の結合要素部726は、第2のけん引要素742を含む。第2のたわみピボット728から第1のたわみピボット727に力を伝達する必要があるとすぐに、第1のけん引要素741は、2つのけん引要素の互いに対する短い変位の後、第2のけん引要素742と力伝達係合するように移動する。張力をさらにより確実に伝達するために、第1のけん引要素741は、突出部743を有することができ、第2のけん引要素742は、V字形の支持部744を有することができる。第1のけん引要素741および第2のけん引要素742が互いに係合されるとすぐに、突出部743およびV支持部744は、その形状の結果として、互いに自動心出しする整列状態になり、突出部743は、V支持部744内に着座する。
【0049】
図8は、圧縮力のみを伝達することができる、作動位置にある単向性の結合要素824の可能な設計を示している。第1の結合要素部825は、第1のたわみピボット827を用いることによって荷重受け部または(断片的に示される)力伝達装置のレバー機構に連結される。
【0050】
第2の結合要素部826は、第2のたわみピボット828を通して(断片的に示される)校正レバー820に連結される。校正プロセス中に伝達される力は圧縮力であり、2つの結合要素825、826は、荷重の下、横向きに座屈および離脱することが絶対的に防止されなければならないため、単向性の結合要素824は、固有の安定性を有する必要がある。第2の結合要素部826は、第1の結合要素部825に向かって面する表面841を有し、第2のたわみピボット828の中央の長手方向軸Xに対して鏡対称的に配置された2つの突出部843が、表面841から突き出ている。さらに、第1の結合要素部825は、2つの突出部843の一方がそれ自体を受け入れ表面842上の各々に着座させることができるように、結合要素部826に向かって面する受け入れ表面842を有する。この形状構成では、2つのたわみピボット827、828の中央の長手方向軸Xに対して直角に延びる平面内に配置された2つの接触点は、単向性の結合要素824に固有の安定性を与えて、単向性の結合要素824が圧縮力を伝達することを可能にする。
【0051】
図8に示されるように、この配置は、第1の結合要素部825および第2の結合要素部826を、校正プロセスにおいて互いに整列させることを可能にする。その結果、たわみピボット827、828の中央の長手方向軸Xに対する垂直な変位が防止される。この整列機能を実行するために、第1の結合要素部825上の2つの受け入れ表面842が、互いに対して浅い角度で傾けられる。しかし、受け入れ表面842の傾斜角度には、単向性の結合要素824の固有の安定性のための要件により、特定の限界が課せられる。
【0052】
これらの限界は、単向性の結合要素824のジオメトリ比例によって決まり、この場合、考えられる因数は、受け入れ表面842とたわみピボット827の中央の長手方向軸Xの間の角度αである。次の関係では、bは接触点、より詳細にはたわみピボットの中央の長手方向軸からの突出部843の垂直距離を表し、sは接触点、より詳細には第1のたわみピボット827の屈曲軸Yからの受け入れ表面842の距離を表す。
x=逆正弦(b/s)
α=(90°−χ)=逆余弦(b/s)
この角度αは、次の条件を満たす必要がある:
90°≧α≧逆余弦(b/s)
角度αの前述の定義によれば、固有の安定性は、接触点における伝達された力の作用線Wが、第1の結合要素部825内で交差していない場合に得られる。α=逆余弦(b/s)である境界線の場合が、図8に示される。
【0053】
本発明は、実施形態の特有の例の提示によって説明されてきたが、数多くのさらなるさまざまな解決策が、本発明から得られた知識に基づいて、たとえば個々の実施形態の特徴を互いに組み合わせることによって、および/または例示的な実施形態の個々の機能ユニットを交換することによって創出され得ることが明確である。他の可能性の中でもとりわけ、複数の校正用錘が、同じ場所または異なる場所で、本発明によって提案された単向性の結合要素を用いることによって互いから独立してレバー機構に結合され得る本発明の実施形態を考えることができる。これは、たとえば天秤の秤量範囲をほとんどのあらゆる所望の程度に拡張することを可能にする。当然ながら、可能な代替策はまた、2つまたはそれ以上のセグメントに垂直に分割される単向性の結合要素、互いに独立して作動可能である校正レバーおよび校正用錘も含む。可能性の範囲はまた、校正レバーおよび校正用錘が互いに一体的に組み合わせられる設計も含む。
【0054】
本発明による装置のさらなる利点は、校正用錘が校正レバーアーム上でさまざまな支点距離で選択的に装着され得る場合、校正レバーアームの長さを変更することによって、同じ物理的構成要素でさまざまな荷重範囲を網羅することができるという事実によるものである。また、校正用錘と校正レバーの支点の間の距離を精密に設定するように働く調整ねじを校正用錘と校正レバーの間に配置することも可能である。これは、錘の位置を精密にずらすことによって校正力を調整することを可能にし、それにより、製造許容差および異質の材料によって引き起こされる変動にもかかわらず、校正力は、校正装置を通じて同じであるようになる。
【符号の説明】
【0055】
500、400、300、200、100 秤量セル
610、510、410、310、210、110 力伝達装置110
611、411、311、111 固定部
612、112 荷重受け部
113 ピボット、枢動連結、支点
614、114 第1の平行ガイド
615、115 第2の平行ガイド
616、316、116 レバー
117 短いレバーアーム
118 長いレバーアーム
119 第1の結合要素
820、720、620、520、420、320、220、120 校正レバー
321、221、121 第1の校正レバーアーム
322、222、122 第2の校正レバーアーム
123 校正用錘
824、724、624、524、424、324、224、124 単向性の結合要素
825、725、625、225、125 第1の結合要素部
826、726、626、226、126 第2の結合要素部
827、727、627、227、127 第1のたわみピボット
828、728、628、228、128 第2のたわみピボット
150 校正用錘装填装置
151 カムディスク
412 開口部
516、416 第1のレバー
617、517、417 第2のレバー
519、419 第2の結合要素
461、460 支点
518 第3のレバー
529 第3の結合要素
641 穴
642 穴
648 可撓性のヒンジ
843、743、643 突出部
699 材料ブロック
741 第1のけん引要素
742 第2のけん引要素
744 V支持部
841 表面
842 受け入れ表面
s 突出部とYの間の距離
b 突出部とXの間の距離
W 作用線
X 中央の長手方向軸
Y 屈曲軸
α 受け入れ表面とXの間の角度
χ WとXの間の角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部(111、311、411、611)および荷重受け部(112、612)を備えた、重量測定器の力伝達装置(110、210、310、410、510、610)であって、前記荷重受け部(112、612)が、直接的にまたは少なくとも1つの結合要素(119、419、519、529)および少なくとも1つのレバー(116、316、416、516、518、616)を介して、前記固定部(111、311、411、611)上に配置された測定変換器(130)に力伝達式に繋げられている、力伝達装置(110、210、310、410、510、610)において、前記力伝達装置(110、210、310、410、510、610)が、校正レバー((120、220、320、420、520、620、720、820)を含み、その支点(113)は、前記固定部(111、311、411、611)に基礎を置き、その第1の校正レバーアーム(121、221、321)は、校正用錘(123)に堅固に連結され、その第2の校正レバーアーム(122、222、322)は、単向性の結合要素(124、224、324、424、524、624、724、824)を介して、前記荷重受け部(112、612)または前記少なくとも1つの結合要素(119、419、519、529)または前記少なくとも1つのレバー(116、316、416、516、518、616)のレバーアーム(117、118)に連結されており、前記単向性の結合要素(124、224、324、424、524、624、724、824)が、第1の結合要素部(125、225、625、725、825)と第2の結合要素部(126、226、626、726、826)とに分割され、さらに、前記第1の結合要素部(125、225、625、725、825)が、第1のたわみピボット(127、227、627、727、827)を通して前記荷重受け部(112、612)上、または前記結合要素(119、419、519、529)上、または前記レバーアーム上の固定された場所に連結され、一方で、前記第2の結合要素部(126、226、626、726、826)が、第2のたわみピボット(128、228、628、728、828)を通して前記第2の校正アーム(122、222、322)上の固定された場所に連結され、前記結合要素部(125、126、225、226、625、626、725、726、825、826)は、前記単向性の結合要素(124、224、324、424、524、624、724、824)が2つの部分に分割されることにより、前記第2のたわみピボット(128、228、628、728、828)から前記第1のたわみピボット(127、227、627、727、827)に伝達され得る力が、張力に限定する、または圧縮力に限定するものになるように互いに整列されていることを特徴とする、力伝達装置(110、210、310、410、510、610)。
【請求項2】
前記第2の結合要素部(126、226、626、726、826)が、圧縮力の伝達のための手段として、前記第1の結合要素部(125、225、625、725、825)に向かって面する表面(841)であって、前記表面(841)から突き出て、前記第2のたわみピボット(128、228、628、728、828)の中央の長手方向軸Xに対して鏡対称に配置される2つの突出部(843)を備えた表面(841)を有することを特徴とし、さらに、前記第1の結合要素部(125、225、625、725、825)が、前記第2の結合要素部(126、226、626、726、826)に向かって面する2つの受け入れ表面(842)であって、前記第1のたわみピボット(127、227、627、727、827)の中央の長手方向軸Xに対して鏡対称に配置された受け入れ表面(842)を有することをさらに特徴とする、請求項1に記載の力伝達装置(110、210、310、410、510、610)。
【請求項3】
前記受け入れ表面(842)の各々と前記中央の長手方向軸Xの間に囲まれた角度αが、次の条件:90°≧α≧逆余弦(b/s)を満たすことを特徴とする、請求項2に記載の力伝達装置(110、210、310、410、510、610)。
【請求項4】
前記第1の結合要素部(125、225、625、725、825)が、突出部(743)を備えた第1のけん引要素(741)を有し、前記第2の結合要素部(126、226、626、726、826)が、V字形の支持部(744)を備えた第2のけん引要素(742)を有し、前記第1の結合要素部(741)および前記第2の結合要素部(742)が、互いに引っ掛かり、前記突出部(743)が、前記V字形の支持部(744)と整列され、張力が伝達されているとき、前記突出部(743)が、前記V字形の支持部(744)と力伝達接触状態になることを特徴とする、請求項1に記載の力伝達装置(110、210、310、410、510、610)。
【請求項5】
前記第1の結合要素部(125、225、625、725、825)および前記第2の結合要素部(126、226、626、726、826)が、可撓性のヒンジ(648)を用いることによって互いに連結され、前記可撓性のヒンジの開口方向が、前記第1および第2のたわみピボット(127、128、227、228、627、628、727、728、827、828)の前記中央の長手方向軸Xに従って配置され、張力または圧縮力を伝達するために、突出部(643)が、前記第1の結合要素部(125、225、625、725、825)上に形成され、前記突出部(643)と共働するように配向された接触表面が、前記第2の結合要素部(126、226、626、726、826)上に形成されることを特徴とする、請求項1に記載の力伝達装置(110、210、310、410、510、610)。
【請求項6】
前記力伝達装置(110、210、310、410、510、610)が作動位置に設定された状態で、前記荷重受け部(112、612)が、前記荷重受け部(112、612)を前記固定部(111、311、411、611)に繋げる、少なくとも1つの上側平行ガイド(114、614)および少なくとも1つの下側平行ガイド(115、615)によって垂直移動で誘導されることを特徴とする、請求項1から5の一項に記載の力伝達装置(110、210、310、410、510、610)。
【請求項7】
少なくとも前記荷重受け部(112、612)、前記固定部(111、311、411、611)、前記校正レバー(120、220、320、420、520、620、720、820)および前記単向性の結合要素(124、224、324、424、524、624、724、824)が、一体式のユニットを一緒に形成するように設計されていることを特徴とする、請求項1から6の一項に記載の力伝達装置(110、210、310、410、510、610)。
【請求項8】
請求項1から7の一項に記載の測定変換器(130)、校正用錘(123)、および力伝達装置(110、210、310、410、510、610)を備える重量測定器。
【請求項9】
前記力伝達装置(110、210、310、410、510、610)が、前記校正用錘(123)の重量力が、前記荷重受け部(112、612)上に作用する力と同じ方向に前記測定変換器(130)に伝達されるように設計されていることを特徴とする、請求項8に記載の重量測定器。
【請求項10】
前記力伝達装置(110、210、310、410、510、610)が、前記校正用錘(123)の重量力が、前記荷重受け部(112、612)上に作用する力と比べて反対方向に前記測定変換器(130)に伝達されるように設計されていることを特徴とする、請求項8に記載の重量測定器。
【請求項11】
前記校正用錘(123)が、ρ=8.0kg/dmの密度を有する耐食材料から作製されることを特徴とする、請求項8から10の一項に記載の重量測定器。
【請求項12】
前記校正用錘(123)が、前記力伝達装置(110、210、310、410、510、610)と同じ材料から作製され、密度の影響を補償するために、補助質量が、前記校正用錘(123)に連結される、および/または圧力センサが、前記重量測定器の周囲圧力の測定のために設けられることを特徴とする、請求項8から10の一項に記載の重量測定器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−128155(P2011−128155A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−280180(P2010−280180)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(599082218)メトラー−トレド アクチェンゲゼルシャフト (130)
【住所又は居所原語表記】Im Langacher, 8606 Greifensee, Switzerland