説明

結合した溶融紡糸繊維中に分散したマイクロファイバーを含む繊維ウェブ

凝集性自立型形態に結合した連続溶融紡糸繊維のマトリックスと、この溶融紡糸繊維中に分散した別に調製されたマイクロファイバーとを含む不織布繊維ウェブ。マイクロファイバーは、1又は2マイクロメートル未満のメジアン径を有していてもよい。こうした不織布繊維ウェブを調製する方法が、長手方向軸を有する配向した連続溶融紡糸繊維のストリームを確立する工程と、この溶融紡糸繊維のストリームの近くの点にてメルトブローダイを出るメルトブローマイクロファイバーストリームを確立する工程であって、このメルトブローストリームが前記溶融紡糸ストリームと合流するように向かい、前記溶融紡糸ストリームの長手方向軸に対して0〜90°の角度を形成する長手方向軸を有しており、この溶融紡糸繊維のストリーム中にこのメルトブロー繊維を捕捉する、工程と、この溶融紡糸ストリーム及びメルトブローストリームの交点付近で間隔をあけたコレクタ上で合流されたストリームをウェブとして捕集する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配向した連続溶融紡糸繊維と、別に調製されたマイクロファイバーとの組み合わせを含む不織布繊維ウェブに関する。
【背景技術】
【0002】
濾材として使用される不織布繊維ウェブは2種以上の繊維を含むことが多く、それぞれが異なる平均直径を有するので、こうしたウェブにより広範囲の大きさの粒子を濾過できる。一般に、異なる種類の繊維はウェブの異なる層にある。ヘアリー(Healy)の米国特許出願公開番号US2004/0035095に教示されている1つの例は、スパンボンドウェブ上にメルトブローされた、直径が約0.8〜1.5マイクロメートルのマイクロファイバー層を含む濾過ウェブである(パラグラフ[0009]〜[0012]を参照)。こうしたウェブに関する問題は、ウェブ上部に露呈したこうした小さいマイクロファイバーが非常に脆く、通常の取り扱い又は特定対象物との接触によって容易に破砕されることである。また、非常に微細な直径の繊維に関して、個々の繊維が非常に低重量であるため、繊維を輸送し、効率良く繊維ストリームに保持するのが困難な場合がある。こうした非常に微細な繊維の一部は、コレクタまでストリームに含有されて移動するのではなくメルトブローダイから出るときに散乱する傾向がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
先行技術である多層の複数の直径を有する繊維ウェブの他の例は、スパンボンド繊維層、メルトブローンマイクロファイバー層、及びスパンボンド繊維の別の層を含むいわゆるSMSウェブである。こうしたウェブの多層特性により、それらの厚み及び重量が増大し、また製造時にある程度複雑性が増す。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、マイクロファイバーは溶融紡糸繊維の凝集性マトリックスを含む不織布繊維ウェブに組み込まれる。1又は2マイクロメートル以下のメジアン径を有する非常に微細なマイクロファイバーのみからなるストリームを含むマイクロファイバーストリームが、溶融紡糸繊維のストリームと合流でき、そこでこのマイクロファイバーが、溶融紡糸繊維のストリームに捕捉され、溶融紡糸繊維中に分散することを見出した。また、本発明によれば、捕集された溶融紡糸繊維が好ましくは自己熱結合工程によって結合し、マイクロファイバーが確実に保持及び保護されることによりマイクロファイバーの損失又は破砕が最小でウェブを取り扱い、使用することができる自立型の凝集性マトリックスを形成する。好ましくは、溶融紡糸繊維は半結晶性のポリマー材料を含む配向繊維であるので、ウェブの機械的又は物理的特性を増す。
【0005】
簡単に要約すると、本発明は、凝集性自立型形態に結合した連続溶融紡糸繊維のマトリックスと、この溶融紡糸繊維中に分散した別に調製されたマイクロファイバーとを含む不織布繊維ウェブを提供し、ほとんどの場合そのマイクロファイバーはウェブの繊維の少なくとも1重量%を占める量で含まれる。
【0006】
記載されるウェブは、多くの有益で独特の特性を有する。例えば、有用な最終仕上げ製品は、単一層のみからなり調製し得るが、広範囲の濾過能力及び大きな繊維表面積を持つマイクロファイバー及びより大きな繊維の混合物を含んでも調製し得る。こうした単一層製品は、重要な効率−積層プロセス及び設備を排除し、中間材料の数を減らすことによって生産複雑性及び生産浪費を低減する−を提供する。本発明のウェブを製造するダイレクト−ウェブ−形成特性を考慮すると、繊維形成ポリマー材料を1つの本質的に直接的な操作にてウェブに変換するので、本発明のウェブは極めて経済的となる。またウェブの全ての繊維が同じポリマー組成物を含む場合、ウェブは完全にリサイクル可能となり得る。
【0007】
単一層製品を含む本発明のウェブは種々の形態で使用できる−例えばウェブは成形又はプリーツ加工でき、並びにその捕集された形態で使用できる。本発明によって可能となった非常に小さい直径のマイクロファイバーを用いることにより、ウェブの繊維表面積がさらにより大きく増大すると共に、濾過及び断熱又は防音性能が改善するという有益な効果ももたらす。濾過及び絶縁性能のような性能は、異なる直径の繊維を用いることによって特定の用途に調整できる。またマイクロファイバーウェブの特徴であることが多い大きな圧力低下とは対照的に、より大きな溶融紡糸繊維がマイクロファイバーと物理的に分離し、間隔を置いているので本発明のウェブの圧力低下は低く保たれる。
【0008】
用語解説
本明細書の目的に関して、「マイクロファイバー」とは、10マイクロメートル以下のメジアン径を有する繊維であり、「ウルトラファインマイクロファイバー」は、2マイクロメートル以下のメジアン径を有するマイクロファイバーであり、「サブミクロンマイクロファイバー」は、1マイクロメートル以下のメジアン径を有するマイクロファイバーである。例えば「サブミクロンマイクロファイバーのアレイ」のように、特定の種類のマイクロファイバーのバッチ、グループ、アレイなどについて本明細書で言及する場合、サブミクロン寸法のアレイ又はバッチ部分だけでなく、アレイ状のマイクロファイバーの完全な集団、又はマイクロファイバーの単一バッチの完全な集団を意味する。
【0009】
本明細書の「配向された連続溶融紡糸繊維」とは、ダイから出て、処理ステーションを通り、そこで繊維が永久的に引き延ばされ、繊維内のポリマー分子の少なくとも一部が繊維の長手方向軸に対して整列するように永久的に配向される本質的に連続な繊維のことを指す(繊維に関して使用される「配向された」とは、繊維のポリマー分子の少なくとも一部が繊維の長手方向軸に沿って整列していることを意味する)。本明細書の「メルトブローン繊維」とは、溶融した繊維形成材料をダイのオリフィスに通して高速の気体状ストリームに押出すことによって調製された繊維を指し、そこで押出された材料はまず減衰され、次いで繊維塊として固結する。「別に調製されたマイクロファイバー」とは、マイクロファイバーストリームが最初はより大きい溶融紡糸繊維ストリームから空間的に分離している(例えば約25mm(1インチ)以上の距離をあけて)が、その溶融紡糸繊維ストリームに飛翔中に合流して分散するように位置決めされたマイクロファイバー形成装置(例えばダイ)から製造されるマイクロファイバーのストリームを意味する。
【0010】
「自己結合」は、点結合又はカレンダ加工におけるように固体接触圧力の適用なしにオーブン中又は空気通過結合機を用いて得られるような高温での繊維間結合として定義される。
【0011】
「分子的に同じ」ポリマーとは、本質的に同じ繰り返し分子単位を有するが、分子量、製造方法、市販形態などは異なっていてもよいポリマーを指す。
【0012】
ウェブを記述する際の「自己支持型」又は「自立型」とは、ウェブがそれ自体で保持され、取り扱われ、処理されることができることを意味する。
【0013】
他の先行技術
先行技術では、1種類の繊維ストリームを別の繊維ストリームと混合し、組み合わせウェブとして捕集するという教示がなされている。こうした例の1つは、ラドワンスキ(Radwanski)らの米国特許第4,931,355号であり、この文献では、「パルプ繊維、短繊維、メルトブロー繊維及び連続フィラメント」(要約)の二次ストリームをメルトブロー繊維の一次ストリームに導入し、次いで堆積した混合物を水流交絡することによって形成される複合ウェブを教示している。メルトブロー繊維を使用することにより、水流交絡を促進すると述べられており、他の結合技法を回避している(第4欄16〜20行)。二次ストリームは一次ストリームよりも低速であるのが好ましい(第7欄46〜50行)。ウェブの繊維は全て配向されずに、良好な等方性を与えることが述べられている(第13欄47〜49行)。溶融紡糸繊維中に分散したマイクロファイバーを有し、配向し熱結合した連続溶融紡糸繊維の凝集性マトリックスの教示はない。
【0014】
ボダギ(Bodaghi)らの米国特許第5,993,943号には、直径の小さい配向したメルトブロー繊維が教示され、その繊維には平均1マイクロメートル(ミクロン)未満の直径であることができる繊維を含み、その繊維に非配向メルトブロー繊維を添加してもよい。しかし、メルトブローマイクロファイバーが分散した結合溶融紡糸繊維の凝集性マトリックスに関する教示はない。
【0015】
スプリンゲット(Springett)のPCT国際公開特許WO 2004/011123には、熱結合した短繊維及び非熱結合帯電マイクロファイバーを含有する多孔質の成形ウェブを含むフィルターエレメントが教示されており、この多孔質成形ウェブは、繊維交点にて短繊維間を結合することによって、少なくとも部分的にその成形された形状を保持している。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に従う不織布繊維ウェブを形成するための本発明の装置の全体概略図。
【図2】本発明のウェブに有用な繊維を調製するための処理チャンバの拡大側面図。チャンバの取り付け手段は図示されない。
【図3】図2に示される処理チャンバの部分的に概略的な平面図。取り付け及び他の関連装置と共に示される。
【図4】図1に示される装置の一部分の拡大図。
【図5】図1に示される装置の熱処理部分の拡張及び拡大概略図。
【図6】図5の装置の斜視図。
【図7】実施例11のウェブにおける繊維の分布を示すヒストグラム。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜6は、ダイレクトウェブ製造方法及び装置の一部として本発明を実施するための例示的な装置を示す。図1は全体の側面概略図である;図2及び3は図1の装置の繊維形成部分の拡大図である。図4及び5は図1に示される装置の他の部分の拡大図である。及び図6は図1及び図5に示される装置の斜視図である。
【0018】
図1に一般に示されるように、配向された連続溶融紡糸繊維のストリーム1は、繊維形成装置2にて調製され、捕集装置3に向かう。繊維形成装置2と捕集装置3との間の過程において、ストリーム1は、メルトブロー装置101からの発出したメルトブロー繊維のストリーム100によってさえぎられる。以下により詳細に議論されるように、2つのストリームは合流し、配向された連続溶融紡糸繊維及びメルトブロー繊維のブレンドウェブとして捕集装置上に堆積することになる。所望により、第2のメルトブロー装置101aを使用して溶融紡糸ストリームの両側にメルトブロー繊維を導入してもよい。
【0019】
図1の繊維形成装置2は、本発明に使用するのに好ましい装置である。この装置を使用する際、繊維形成材料は、押出ヘッド10に供給される−この例示した装置では、ポリマー繊維形成材料をホッパー11に導入し、押出機12にて材料を溶融し、ポンプ13を通って押出ヘッド10に溶融材料をポンプ輸送することによって行われる。ペレット状又は他の粒子状形態の固体ポリマー材料を使用し、液体のポンプ輸送可能な状態に溶融するのが最も一般的であるが、他の繊維形成液体、例えばポリマー溶液も使用できる。
【0020】
押出ヘッド10は従来のスピナレット又はスピンパックでよく、一般に、規則的なパターン、例えば一直線の列に配置された多数のオリフィスを含む。繊維形成液体のフィラメント15は押出ヘッドから押出され、処理チャンバ又はアテニュエータ16へ運ばれる。押出されたフィラメント15がアテニュエータ16に到達する前に移動する距離17は、フィラメントが曝される条件に応じて変更できる。通常、押出されたフィラメント15の温度を低下させるために、押出されたフィラメントには空気又は他の気体の急冷ストリーム18が与えられる。あるいは、空気又はその他の気体のストリームは、繊維の引き延ばしを促進するために加熱されてもよい。空気又は他の流体の1つ又は複数のストリームが存在してもよく−例えば、フィラメントストリームを横切って吹く第1の空気ストリーム18aは、押出の間に放出される望ましくない気体材料又は煙霧を除去することができ、第2の急冷空気ストリーム18bは、所望される主要な温度低下を達成する。又はさらにもう1つの急冷ストリームを使用してもよい。例えば図1にて18bに示されるようなストリームは、それ自体、複数のストリームを含んで所望の急冷レベルを達成してもよい。使用中のプロセス又は所望される最終製品の形態によっては、急冷空気は、押出されたフィラメント15を、アテニュエータ16に到達する前に固結させるのに十分であり得る。他の場合では、押出されたフィラメントがアテニュエータに入るときに、なおも軟化又は溶融状態である。あるいは、押出ヘッド10とアテニュエータ16との間の周囲空気又は他の流体が、アテニュエータに入る前の押出フィラメントに何らかの変化を与える媒体であり得るような場合には、急冷ストリームは使用されない。
【0021】
フィラメント15はアテニュエータ16を通り、最終的に、以下でより詳細に議論されるように繊維塊20として捕集されるコレクタ19上に出る。コレクタ19は一般に多孔質であり、気体回収装置14は、コレクタの下方に位置決めされて、繊維がコレクタ上に堆積するのを促進することができる。アテニュエータ出口とコレクタとの距離21は様々な効果を得るために変更されてもよい。
【0022】
アテニュエータにおいて、フィラメントは長くなり、直径は小さくなり、フィラメント中のポリマー分子は配向する、すなわち繊維内のポリマー分子の少なくとも一部は繊維の長手方向軸に沿って整列する。半結晶性ポリマーの場合、配向は、一般に、ひずみ誘導された結晶性を示すのに十分であり、それにより得られる繊維が大いに強化される。図2は、本発明のウェブに特に有用な溶融紡糸繊維を調製するための代表的なアテニュエータ16の拡大側面図である。アテニュエータ16は、分離された2つの移動可能な半分部分又は側部16a及び16bの間に処理チャンバ24を画定するように、16a及び16bを含む。側部16a及び16bの対向する面はチャンバの壁を形成する。図3は、代表的なアテニュエータ16並びにその取り付け及び支持構造の一部を示す、異なるスケールでの平面図及び一部概略図である。図3の平面図からわかるように、処理又は減衰チャンバ24は、一般に、(アテニュエータを通るフィラメントの移動経路に対して横断方向の)横方向の長さ25を有する細長いスロットである。
【0023】
2つの半分部分又は側部として存在するが、アテニュエータは1つの単一装置としての役割を果たし、まずはその結合した形で議論され得る。(図2及び図3に示される構造は、単なる代表例であって、様々な異なる構成を使用することができる。)代表的なアテニュエータ16は、減衰チャンバ24の入口空間又は喉部24aを画定する傾斜した入口壁27を含む。入口壁27は、好ましくは入口エッジ又は表面27aで湾曲され、押出されたフィラメント15を運ぶ空気ストリームが円滑に入るようにする。壁27は本体部分28に取り付けられ、本体部分28と壁27との間に間隙30を構築するために、凹んだ領域29が設けられ得る。空気は導管31を通って間隙30内に導入され、アテニュエータを通って移動するフィラメントの速度を増大させると共にフィラメントに対する更なる急冷効果も有するエアナイフ(矢印32で示される)を作り出すことができる。アテニュエータ本体28は、好ましくは、28aで湾曲され、エアナイフ32から通路24への空気の通過を円滑にする。アテニュエータ本体の表面28bの角度(α)は、アテニュエータを通過するフィラメントストリームにエアナイフが衝突する所望の角度を決定するように選択することができる。チャンバの入口付近ではなく、エアナイフは、チャンバ内のより遠くに配設されてもよい。
【0024】
減衰チャンバ24は、アテニュエータを通るその長手方向の長さ(減衰チャンバを通る長手方向軸26に沿った寸法は軸方向長さと呼ばれる)にわたって均一な間隙幅(2つのアテニュエータ側部の間の、図2の頁の水平距離33は本明細書では間隙幅と呼ばれる)を有することができる。あるいは、図2に示されるように、間隙幅は、アテニュエータチャンバの長さに沿って変化してもよい。異なる実施形態において、減衰チャンバは、直線状又は平坦な壁によって画定され、こうした実施形態において、壁間の空間はそれらの長さにわたって一定であってもよく、あるいは壁は減衰チャンバの軸長さにわたってわずかに分岐又は収束してもよい(溶融紡糸繊維ストリームを広げる傾向があるので好ましい)。これらの全ての場合において、減衰チャンバを画定する壁は、厳密な平行からの偏差が比較的わずかであるため、本明細書では平行であるとみなされる。図2に示されるように、通路24の長手方向の長さの主要部分を画定する壁は、本体部分28とは別個の、本体部分28へ取り付けられたプレート36の形をとることができる。
【0025】
減衰チャンバ24の長さは、異なる効果を達成するように変化させることができる。本明細書中ではシュート長さ35と呼ばれることもあるエアナイフ32と出口開口34の間の部分では、変化は特に有用である。チャンバ壁と軸26との角度は、コレクタ上の繊維分布を変化させるために出口34付近で広がっていてもよく、又はデフレクタ面、コアンダ(Coanda)湾曲面及び不均一な壁長さのような構造を出口に使用して、繊維の所望の広がり又はその他の分布を達成してもよい。一般に、間隙幅、シュート長さ、減衰チャンバ形状などは、処理中の材料と、所望の効果を達成することが所望される処理モードと共に選択される。例えば、より長いシュート長さは、調製される繊維の結晶化度を増大させるのに有用であり得る。押出されたフィラメントを所望の繊維の形態に処理するために、条件を選択することができ、広範囲にわたって変化させることができる。
【0026】
図3に説明されるように、代表的なアテニュエータ16の2つの側部16a及び16bは、それぞれ、ロッド39上をスライドする直線ベアリング38に取り付けられた取り付けブロック37によって支持される。ベアリング38は、ロッドのまわりに放射状に配設された軸方向に延在するボールベアリング列などの手段によってロッド上を低摩擦で移動し、それによって、側部16a及び16bは互いに近づいたり離れたり、容易に移動することができる。取り付けブロック37は、アテニュエータ本体28及びハウジング40へ取り付けられ、ハウジング40を通って、供給パイプ41からの空気が、導管31及びエアナイフ32へ分配される。
【0027】
この例示される実施形態では、エアシリンダ43a及び43bは、接続ロッド44によって、それぞれアテニュエータ側部16a及び16bに接続され、アテニュエータ側部16a及び16bを互いに近づくように押圧するクランピング力を付与する。アテニュエータ16の特定の有用な操作モードは、ベリガン(Berrigan)らの米国特許第6,607,624号に記載されている。例えば、処理中のフィラメントが破断又は別のフィラメント若しくは繊維で交絡する場合のようにシステムの変動がある場合、アテニュエータ側部又はチャンバ壁を移動させてもよい。
【0028】
図2及び図3に示されるアテニュエータ16においてわかるように、チャンバの横断方向の長さの端部には側壁がない。その結果、チャンバを通過する繊維は、チャンバの出口に近づくにしたがって、チャンバの外側に向かって広がることができる。このような広がりは、コレクタ上に捕集される繊維塊を幅広にするために望ましい可能性がある。他の実施形態では、処理チャンバは側壁を含むが、チャンバの横断方向の一方の端部における単一の側壁は、チャンバ側部16a及び16bの両方には取り付けられない。何故なら、両方のチャンバ側部への取り付けは、上記で議論されたような側部の分離を妨げ得るからである。その代わりに、側壁は一方のチャンバ側部へ取り付けられ、もし通路内の圧力変化に応答して移動する場合には、その側部と共に移動する。他の実施形態では、側壁は分割され、一方の部分は一方のチャンバ側部に取り付けられ、他方の部分は他方のチャンバ側部に取り付けられ、処理チャンバ内に処理される繊維のストリームを閉じ込めることが所望される場合には、側壁部分は好ましくは重なり合う。
【0029】
可動壁を有する図1〜3に示される装置が上述したように有利であるけれども、こうしたアテニュエータの使用は本発明の実施に必ずしも必要ではない。本発明で有用な繊維は、アテニュエータの壁が固定され、可動不可能であるように、又は実際に移動しない装置で調製されてもよい。
【0030】
一般にいずれかの繊維形成ポリマー材料を溶融紡糸繊維を調製する際に使用してもよいが、普通、繊維形成材料は半結晶性であるのが好ましい。繊維形成に一般に使用されるポリマー、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン及びウレタンが特に有用である。本発明のウェブはまた非晶質ポリマー、例えばポリスチレンから調製されている。本明細書中に記載される特定のポリマーは単なる例であって、広範な種類の他のポリマー又は繊維形成材料が有用である。
【0031】
また繊維は、顔料や染料などの特定の添加剤がブレンドされた材料を含む、材料のブレンドから形成されてもよい。2成分メルトブローマイクロファイバーであってもよいが、2成分溶融紡糸繊維、例えばコア−シース又は並列2成分繊維が調製されてもよい(本明細書にて「2成分」とは、2以上の構成成分を有する繊維を含み、各構成成分が繊維の断面積の一部を占め、繊維の実質的な長さにわたって延びている)。しかし、本発明は、1成分繊維(こうした繊維において繊維は断面にわたって本質的に同じ組成を有するが、「1成分」は、均一な組成の連続相が断面にわたって及び繊維の長さに対して延びているブレンド又は添加剤含有材料を含む)に関して特に有用であり、有利である。他の利益のうち、単一構成成分繊維を使用可能であることが、製造複雑性を低減し、ウェブの使用における制限をほぼなくす。
【0032】
仕上げ剤又は他の材料のフィラメントへの噴霧、フィラメントへの静電荷の付与、ウォーターミストの付与など、繊維形成プロセスの付属として従来使用される種々のプロセスを、アテニュエータに入るとき又は出るときにフィラメントと関連して使用してもよい。さらに、結合剤、接着剤、仕上げ剤、及び他のウェブ又はフィルムを含む種々の材料を、捕集ウェブに添加してもよい。
【0033】
メルトブロー装置101は、既知の構造を有し、本発明で使用するためにメルトブローマイクロファイバーを製造する既知の方法で操作できる。基本的なメルトブロー方法及び装置の先行する説明は、ウエンテ・ヴァンA.(Wente, Van A.)の「スーパーファイン熱可塑性繊維」(インダストリアル・エンジニアリング・ケミストリ(Industrial Engineering Chemistry)、第48巻、1342頁以下参照(1956年))、又は1954年5月25日公開、文献名「スーパーファイン有機繊維の製造」、ウェンテ・V.A.(Wente, V. A.)、ボーンC.D.(Boone, C. D.)、及びフルハーティE.L.(Fluharty, E. L.)のナーバル・リサーチ・ラボラトリーズ(Naval Research Laboratories)の報告番号4364に見出される。典型的なメルトブロー装置は、押出機104からの液化繊維形成材料が進む押出チャンバ103を有するダイ102と;ダイの前方末端部を横切って一列に配置され、そこを通って繊維形成材料が押出されるダイオリフィス105と;気体、通常は加熱された空気が非常に高速で強制的に通過させられる協働気体オリフィス106とを含む。高速の気体状ストリームは、押出された繊維形成材料を引き延ばし、減衰させて、そこでこの繊維形成材料を(種々の固結度まで)固結し、溶融紡糸ストリーム1と合流する点まで移動する間にマイクロファイバーのストリーム100を形成する。
【0034】
サブミクロンサイズを含む非常に小さい直径のマイクロファイバーをメルトブローする方法は既知である。例えばボダヒ(Bodaghi)らの米国特許第5,993,943号、例えば第8欄11行〜第9欄25行を参照のこと。しかし、ボダヒ(Bodaghi)らによって記載されるような配向チャンバを通るフィラメントの通路は、本発明に使用するための小さい直径のマイクロファイバーを得るためには必ずしも必要ではない。
【0035】
ポリプロピレンは一般に、メルトブロー繊維を形成するために好ましい材料であるが、一般に溶融紡糸繊維を形成するために有用な材料のいずれかを含む多くの他の材料を使用することもできる。普通、帯電されるべきウェブの場合には、溶融紡糸繊維及びメルトブロー繊維の両方が帯電可能な材料から製造されるのが、好ましい。好ましい材料としては、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、及び環状オレフィンのコポリマーが挙げられ、他のものとしては、ポリエチレン及びポリ乳酸ポリマーである。
【0036】
メルトブローダイ102は、好ましくは、溶融紡糸繊維によるメルトブロー繊維の捕捉が最もよく達成されるために溶融紡糸繊維のストリーム1付近に位置決めされる。溶融紡糸ストリームに近いメルトブローダイの位置決めは、サブミクロンサイズの繊維を捕捉するのに特に重要である。例えば、図4においてダイ102の出口から溶融紡糸ストリーム1の中央線までの距離107は、好ましくは5〜25センチメートル(約2〜12インチ)であり、好ましくは非常に小さいマイクロファイバーに関しては約15又は20センチメートル(6又は8インチ)以下である。また、メルトブロー繊維のストリーム100は、好ましくは溶融紡糸繊維のストリーム1に対して鋭角θで配置され、結果としてメルトブローストリーム100のベクトルはストリーム1と一方向に配列される。好ましくは、θは約0〜45度であり、より好ましくは10〜30度である。メルトブロー及び溶融紡糸ストリームのおよその接合点からコレクタ19への距離108は、通常、過交絡を回避し、ウェブの均一性を保持するために、少なくとも10センチメートルであるが、40センチメートル未満である。距離109は、溶融紡糸ストリームの運動量が減り、それによってメルトブローストリームが溶融紡糸ストリームと良好に合流できるように、一般には少なくとも約15センチメートル(6インチ)で十分である。
【0037】
サブミクロン繊維を形成するために、例えば米国特許第5,227,107号、米国特許第6,743,273号、米国特許第6,800,226号(トロビン(Torobin))、米国特許第4,363,646号、及び米国特許第3,874,886号に教示されているような他の技術も使用できる。
【0038】
メルトブロー繊維は、通常、非常に長いが、一般には不連続とみなされている。それらの長い長さ−短繊維の有限な長さとは対照的に長さ対直径の比が無限に近づく−によって、溶融紡糸繊維のマトリックス内で良好に保持される。それらは、普通は有機物のポリマーであり、溶融紡糸繊維と分子的に同じポリマーであることが多い。メルトブロー繊維及び溶融紡糸繊維のストリームが合流するとき、メルトブロー繊維は溶融紡糸繊維中に分散する。特にx−y次元においてはかなり均一な混合物が得られるが、z次元の分布は距離107、角度θ並びに合流したストリームの質量及び速度の制御ような特定のプロセス工程によって制御される。合流されたストリームは、図1のコレクタ19まで続き、ウェブ様塊20として捕集される。
【0039】
本発明のウェブに含まれるマイクロファイバーの量は、ウェブの目的とする用途に応じて変更できる。有効量、すなわち所望の性能を達成するために有効な量は重量に関して大きい必要はない。普通、マイクロファイバーは、ウェブ繊維の少なくとも1重量%及び約50重量%未満を占める。マイクロファイバーの表面積が大きいので、少量で所望の性能を達成できる。非常に小さいマイクロファイバーを含む本発明のウェブの場合、マイクロファイバーは一般にウェブの繊維表面積の少なくとも5%を占め、より典型的には繊維表面積の10又は20%以上を占める。本発明の特定の利点は、濾過又は断熱若しくは防音といった必要なアプリケーションに小さい直径の繊維を与えることができることである。
【0040】
溶融紡糸繊維及びメルトブロー繊維の状態に応じて、捕集中に繊維間に特定の結合が生じてもよい。しかし、捕集されたウェブにおける溶融紡糸繊維間のさらなる結合は、普通は、所望の粘稠度のマトリックスを提供するために必要であり、ウェブをより取り扱い易くして、マトリックス内にメルトブロー繊維をより良好に保持できるようにする(「結合」繊維は、繊維同士を堅く付着させるので、それらは一般にウェブが通常の取り扱いに供される場合でも分離しないことを意味する)。
【0041】
点結合プロセスにおいて適用される熱及び圧力を用いる又は滑らかなカレンダロールによる従来の結合技法が使用できるが、こうしたプロセスは繊維の不必要な変形又はウェブの圧密を生じる場合がある。溶融紡糸繊維を結合するためにより好ましい技法は、2006年7月31日出願の米国特許出願整理番号11/461,201に教示されている。この技法を行うための装置は、図面の図1、5及び6に例示されている。簡単に要約すると、本発明に適用される場合、この好ましい技法は、溶融紡糸繊維及びメルトブロー繊維の捕集されたウェブを制御された加熱及び急冷操作に供することを含み、そうした操作は、a)溶融紡糸繊維を軟化するのに十分な温度に加熱された気体状ストリームをウェブ中に強制的に通し、溶融紡糸繊維を繊維交点(例えば凝集性又は結合したマトリックスを形成するのに十分な交点)にて十分共に結合させる、工程であって、この加熱されたストリームは繊維を完全に溶融するには短い個別時間にて適用される工程と、b)直ちに、加熱されたストリームより少なくとも50℃低い温度にて気体状ストリームをウェブに強制的に通して、前記繊維を急冷する、工程とを含む(上述の米国特許出願整理番号11/461,201に規定されるように、「強制的に」とは、通常の室内圧力に加えて力を気体状ストリームに適用し、ウェブを通るストリームを推進することを意味し、「直ちに」とは、同じ操作の一部としてであることを意味する、すなわち次の処理工程の前にウェブがロールに巻きつけられるときに生じるような保管期間を介在させない)。略記された用語として、この技法は急冷フロー加熱技法及び装置は急冷フローヒーターとして記述される。
【0042】
メルトブローマイクロファイバーは、結合操作中、実質的に溶融しておらず、それらの繊維構造も喪失しておらず、元々の繊維寸法を有する個別のマイクロファイバーとして保持されることを見出した。メルトブロー繊維は、溶融紡糸繊維よりも結晶性の小さい異なるモルホロジーを有することが知られており、本発明者らは、結合操作中にウェブに適用される制限された熱は、メルトブロー繊維の溶融が生じる前にメルトブロー繊維内での結晶成長を示すのに消耗されることを理論立てる。この理論が正しいかどうかに拘わらず、メルトブローマイクロファイバーの実質的な溶融又はひずみを生じずに溶融紡糸繊維の結合が生じ、それは最終的なウェブの特性に有益である。
【0043】
上述の米国特許出願整理番号11/461,201により詳細に教示されるように、上述の方法の変更は、溶融紡糸繊維内にある2種の異なる分子相の存在という利点を活用する−1種類目は相対的に多量の鎖伸長された、又はひずみ誘導された結晶性ドメインの存在のために結晶性を特徴とする分子相と呼ばれ、及び2種類目は、結晶性の秩序が低い(すなわち、鎖伸長されていない)ドメイン及び非晶質であるドメインが相対的に多量に存在するために非晶質を特徴とする相と呼ばれるが、後者は特定の秩序を有するか、又は結晶性に関して不十分な程度の配向を有していてもよい。明確な境界を必要とせず、互いに混合した状態で存在できるこれら異なる2種類の相は、異なる溶融及び/又は軟化特性を含む異なる種類の特性を有する。鎖伸長された結晶性ドメインがより多量に存在することを特徴とする第1の相は、第2相が溶融又は軟化する温度(例えば、秩序がより低い結晶性ドメインの融点によって変更されるような非晶性ドメインのガラス転移温度)より高い温度(例えば、鎖伸長された結晶性ドメインの融点)にて溶融する。
【0044】
記載された方法の記述される変更では、加熱は、結晶性を特徴とする相が溶融していないままで繊維の非晶質を特徴とする相が溶融又は軟化するのに十分な温度及び時間である。一般に、加熱された気体状のストリームは、繊維のポリマー材料の溶融開始温度より高い温度である。加熱後、ウェブは上述したように急速に急冷される。
【0045】
こうした温度での捕集されたウェブの処理は、溶融紡糸繊維をモルホロジーに関して精製していることが見出され、それは次のように理解される(本発明者らは、自身の「理解」に関する本明細書の記載に束縛されないが、一般にそれは特定の理論的考察を含んでいる)。非晶質を特徴とする相について、不必要な(切迫軟化)結晶成長を受け易い相の分子材料の量は、処理前のもの程多くない。非晶質を特徴とする相は、従来の未処理繊維では熱結合操作の間に結晶性が不必要に増大することになる分子構造のある種の洗浄又は低減を受けると理解される。本発明の処理された繊維は、ある種の「繰り返し可能な軟化」が可能である−繊維全体の溶融を生じる温度より低い温度領域内で温度上昇及び下降のサイクルに繊維が曝されるときに、繊維、特に非晶質を特徴とする繊維の相が軟化及び再固結の繰り返しサイクルをある程度受けることを意味する。
【0046】
実際の期間において、繰り返し可能な軟化は、処理されたウェブ(一般に加熱及び急冷処理の結果として有用な結合を既に示している)が加熱されてさらなる繊維の自己結合を生じ得る場合に示される。軟化及び再固結のサイクルは、無限には継続しなくてよいが、一般に、例えば本発明に従う熱処理の間に繊維が初めて熱に曝されることによって結合し、後で再び加熱されて再軟化し、さらに結合、又は所望によりカレンダ加工又は再成形のような他の操作を生じ得るのに十分である。例えば、本発明のウェブは、平滑な表面にカレンダ加工されてもよく、又は非平面形状を与えられてもよい、例えばフェイスマスクに成形され、繊維の改善された結合能力を利用してもよい(こうした場合に、結合は自己結合に制限されないけれども)。
【0047】
非晶性を特徴とする相又は結合相がウェブ結合、カレンダ加工、成形又はその他の同様の操作中に記述した軟化役割を有する場合、繊維の結晶性を特徴とする相も重要な役割、すなわち繊維の基本的な繊維構造を強化する役割を果たす。結晶性を特徴とする相は、一般に、その融点が非晶性を特徴とする相の溶融/軟化点よりも高いので、結合又はその他の操作中に未溶融のままであることができ、そのため繊維全体を通って延びる無変化のマトリックスとして留まり、繊維構造及び繊維寸法を支持する。故に、自己結合操作においてウェブを加熱することにより、繊維交点にてある程度の流動及び合体を受けることによって繊維が共に結合するが、基本的に別々の繊維構造は、交点間及び結合間の繊維長さにわたって実質的に保持される。好ましくは繊維の断面は交点間又は操作中に形成される結合間の繊維長さにわたって変化しないままである。同様に、本発明のウェブのカレンダ加工はカレンダ加工操作の圧力及び熱によって繊維を再構成し得る(それによって、カレンダ加工中に繊維に押圧された形状を繊維が永久的に保持し、ウェブの厚さがより均一になる)が、繊維は一般に別々の繊維として保持され、結果として所望のウェブ多孔性、濾過特性、及び絶縁特性を保持する。
【0048】
図1、5及び6に示されるように、本発明を行う好ましい方法において、捕集された溶融紡糸及びメルトブロー繊維の塊20は、コレクタ19の上方に取り付けられた制御された加熱デバイス200の下方を移動するコレクタ19によって運ばれる。例示的な加熱デバイス200は、上方プレナム202及び下方プレナム203に分割されるハウジング201を備える。上方及び下方プレナムは、通常大きさ及び間隔が均一な一連のホール205を有する穿孔プレート204によって分離されている。気体、通常空気は、導管207から開口206を通って上方プレナム202に供給され、プレート204は、フロー分配手段として機能し、空気を上方プレナムに供給して、プレートを通って下方プレナム203に進むときにさらに均一に分配する。他の有用なフロー分配手段としては、フィン、バッフル、マニフォールド、エアドラム、スクリーン、又は燒結プレート、すなわち空気の分配を均一にするデバイスが挙げられる。
【0049】
例示の加熱デバイス200において、下方プレナム203の底壁208は、細長いスロット209を備えるように形成され、そのスロットを通って下方プレナムからの加熱空気の細長い又はナイフ様のストリーム210が加熱デバイス200の下方にあるコレクタ19上を移動するに塊20上に吹き込まれる(塊20及びコレクタ19は図6にて部分的に切り欠いて示される)。空気排気デバイス14は、好ましくは、加熱デバイス200のスロット209の下方にあるように十分延びている(並びに、以下で議論されるように、加熱されたストリーム210を超えて標識された領域220を通る距離218まで下流方向に延びる)。故に、プレナムにて加熱された空気は、プレナム203内にて内圧下にあり、スロット209においては空気排気デバイス14の排気真空よりさらに低い。排出力をさらに制御するために、穿孔プレート211はコレクタ19の下方に位置決めされてもよく、加熱された空気のストリーム210が捕集された塊20の幅又は加熱領域にわたって所望の程度まで広がり、捕集された塊に生じ得る低い密度部分を通って流れるのを防止することを確実にするある種のバック圧力又はフロー制限手段を与えてもよい。他の有用なフロー制限手段としてはスクリーン又は燒結プレートが挙げられる。
【0050】
プレート211における開口の数、大きさ及び密度は、所望の制御を達成するために領域によって変更してもよい。多量の空気が繊維形成装置を通過し、コレクタの領域215に繊維が到達するときに分配されなければならない。十分な空気がウェブ及びコレクタの領域216を通過し、ウェブを処理空気の種々のストリームの下で適切な位置に保持する。また、処理空気がウェブを通過できると共に空気が均等に分配されることを確実にするために十分な抵抗が与えられるように、十分な開口が加熱領域217下のプレートに必要とされる。
【0051】
温度−時間条件は、塊の加熱領域全体にわたって制御されるべきである。本発明者らは、ウェブを通過する加熱された空気のストリーム210の温度が、処理中の塊の幅にわたって5℃の範囲、好ましくは2又はさらに1℃の範囲内にある場合に最良の結果を得た(加熱された空気の温度は、操作制御上都合がよいため、加熱された空気がハウジング201に入る点で測定されることが多いが、熱電対を用いて捕集されたウェブに隣接した点で測定することもできる)。さらに、加熱装置は、経時的にストリームの温度を一定に維持するように、例えば過加熱又は未加熱を防ぐためにヒーターのオン及びオフを素早く循環させることによって操作される。好ましくは、温度は、1秒間隔で測定される場合に、目的とする温度の1℃以内に保持される。
【0052】
加熱をさらに制御するために、塊は、加熱された空気のストリーム210の適用後に素早く急冷に供される。こうした急冷は、一般にその塊が制御された熱空気ストリーム210を離れた直後に周囲の空気を塊20にわたって全体に引き込むことによって達成できる。図5の数字220は、ウェブが熱空気ストリームを通過した後に空気排気デバイスによって周囲空気をウェブを通して引き込む領域を示す。実際、こうした空気は、ハウジング201の基部の下方にて、例えば図面の図5に標識された領域220aにおいて引き込むことができ、結果としてこうした空気は、ウェブが熱空気ストリーム210を離れたほぼ直後にウェブに到達する。また、空気排気デバイス14は、塊20全体の完全な冷却及び急冷を確実にするために、加熱デバイス100を超えて距離218でコレクタに沿って延びる。省略目的のために、加熱及び急冷を合わせた装置は急冷フローヒーターと名づける。
【0053】
急冷の1つの目的は、ウェブに含有されるマイクロファイバーに不必要な変化が生じる前に熱を取り除くためである。急冷の別の目的は、ウェブ及び繊維からの熱を迅速に除去するためであり、それによって後で繊維に生じる結晶化又は分子秩序化の程度及び特性を制限する。溶融/軟化状態から固結状態に迅速に急冷することによって、非晶性を特徴とする相は、繊維の軟化又は繰り返し可能な軟化を邪魔し得る分子材料が低減して、より精製された結晶性形態にまで凍結されると理解される。急冷はほとんどの目的のためには非常に好ましいが、一部の目的のためには必ずしも必要であるとは限らない。
【0054】
急冷を達成するために、塊を公称融点より少なくとも50℃低い温度の気体によって冷却するのが望ましい。また急冷気体は、少なくとも1秒の程度の時間適用されるのが望ましい(公称融点はポリマー供給元が記載していることが多い。それはまた、示差走査熱量測定を用いて同定でき、本明細書の目的のために、ポリマーに関する「公称融点」は、ポリマーの溶融領域において最大値が1つだけの場合には二次熱総熱流量DSCプロットの最大ピークとして定義され、複数の融点を示す複数の最大値が存在する場合(例えば、2つの別個の結晶相の存在のため)は、最も高い振幅の溶融ピークが生じる温度として定義される)。いずれにしても、急冷気体又はその他の流体は繊維を急速に固結するのに十分な熱容量を有する。
【0055】
本発明の利点は、本発明のウェブ内に保持されるメルトブローマイクロファイバーが、それらがマイクロファイバーのみの層として存在する場合よりも良好に圧密に対して保護される。溶融紡糸繊維は、メルトブローマイクロファイバーよりも一般により大きく、硬く、そして強く、またそれらはマイクロファイバーの材料とは異なる材料から製造できる。メルトブローマイクロファイバーと圧力を適用する対象物との間に溶融紡糸繊維が存在することは、マイクロファイバーに対して破砕力が適用されるのを制限する。極めて脆性であり得るサブミクロン繊維の場合特に、本発明によって提供される圧密又は破砕に対する抵抗力の増大が重要な利益を与える。本発明のウェブが、例えばジャンボ貯蔵ロールに巻き取られることによって圧力に供される又は二次処理に供される場合であっても、本発明のウェブは、そうでなければ圧力低下の増大及び繊維のフィルタとしての負荷性能の劣化を導き得るウェブの圧密に対して良好な抵抗力を提供する。圧密試験について記載し、その試験を本発明のウェブによって示される圧密抵抗性を示すために実施例の一部に使用する。溶融紡糸繊維の存在はまた、ウェブ強度、剛性及び取り扱い特性のような他の特性を増す。
【0056】
繊維の直径は、必要とされる濾過及びその他の特性を提供するために調整できる。例えば、溶融紡糸繊維が5〜40マイクロメートルのメジアン径を有し、メルトブロー繊維が0.5〜10マイクロメートルのメジアン径を有するのが望ましい場合がある。好ましくは、溶融紡糸繊維は、10〜30マイクロメートルのメジアン径を有する一方で、マイクロファイバーは5マイクロメートル以下のメジアン径を有するのが好ましい。前述したように、本発明は、メジアン径が2マイクロメートル以下のウルトラファインファイバー又はメジアン径が1マイクロメートル以下のサブミクロンファイバーを含む非常に小さいマイクロファイバーを組み込むのに特に有用である。また、ウェブを通して、例えばウェブの高さ又は厚さにわたってメルトブローの割合に勾配を形成することも可能であり、それは空気速度若しくはメルトブローストリームの塊割合、又は溶融紡糸ストリームからメルトブローダイの距離及びメルトブローストリームの角度を含む溶融紡糸及びメルトブローストリームの交点の形状のようなプロセス条件を変更することによって達成できる。ウェブの一端付近におけるメルトブロー繊維の濃度は、共通である。
【0057】
図1の点線に示されるように、メルトブロー繊維の第2のストリーム100aは任意に、配向された連続繊維のストリームに導入できる。さらなるストリームも含むことができる。
【0058】
本発明は、連続スクリーンタイプのコレクタ、例えば図1におけるベルトタイプのコレクタ19又はスクリーンで覆われたドラム上にウェブを捕集することによって実施されるのが最も一般的である。異なる捕集方法において、ウェブは、オルソン(Olson)らのPCT国際公開特許WO 2004/046443に示され、記載されるように、溶融紡糸及びメルトブロー繊維の合流されたストリームを、2つのコレクタ間の間隙に向かわせることによって捕集でき、そこでC型形状の繊維を有するウェブが得られる。
【0059】
ウェブがサブミクロンファイバー自体から調製できる場合、こうしたウェブは薄くて弱い。しかし、凝集性結合され配向された繊維マトリックスにサブミクロンファイバーを組み込むことによって、強く、そして自己支持型のウェブ又はシート材料を得ることができる。好ましくは、本発明のウェブは、特にプリーツ加工フィルタのようなデバイスに使用されるように意図される場合、少なくとも200mgのガーレー剛性を有する。
【0060】
濾過能を向上するために不織布繊維ウェブを帯電させる種々の手順が利用可能である。アンガジバンド(Angadjivand)、米国特許第5,496,507号を参照のこと。
【0061】
溶融紡糸繊維又はメルトブロー繊維を調製する際、繊維の混合物を含むウェブを調製するために、異なる繊維形成材料を、溶融紡糸押出ヘッド又はメルトブローダイの異なるオリフィスを通して押出してもよい。
【実施例】
【0062】
(実施例1〜4)
本発明の4つのサンプルウェブを図1に示されるような装置にて、ポリプロピレン溶融紡糸繊維及びポリプロピレンメルトブローマイクロファイバーから調製した。溶融紡糸繊維は、70のメルトフローインデックスを有するポリプロピレン(フィナ(Fina)3860)から調製し、そこに0.75重量%のヒンダードアミン光安定剤(CAS番号71878−19−8;チムアソーブ(Chimassorb)944、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)によって供給)を添加した。押出ヘッド10は16列のオリフィスを有しており、一列あたり32のオリフィスがあり、全部で512のオリフィスであった;オリフィスは、6.4mm(0.25インチ)間隔で正方形パターンに配置されていた(オリフィスが、横方向にも長手方向にも整列し、横方向及び長手方向の両方で等間隔であることを意味する)。ポリマーは、以下の表1に示されるように異なる割合で押出ヘッド10に供給され、そこで235℃の温度に加熱された。
【0063】
図1にて18bで示されるフローを有する2つの急冷ストリームを使用した(18aによって示される急冷ストリームは使用しなかった)。第1の上方急冷空気ストリームは、実施例1〜3ではおよその面速度0.42m/s(83fpm)、実施例4では0.47m/s(93fpm)にて高さ406mm(16インチ)の急冷ボックスから供給した。さらに、第1の急冷ストリームに続く第2の下方急冷空気ストリームは、実施例1〜3ではおよその面速度0.16m/s(31fpm)にて、実施例4では0.22m/s(43fpm)にて高さ197mm(7.75インチ)の急冷ボックスから供給した。上方急冷ボックスへの空気は7.2℃(45°F)の温度で供給したが、下方急冷ボックスへの空気は周囲の室温で供給した。
【0064】
エアナイフ間隙(図2では30)は0.76mm(0.030インチ)であり、空気は97kPa(14psig(0.97バー))ゲージの圧力にてエアナイフに供給した。アテニュエータの上部間隙(図2では33)は5.1mm(0.20インチ)であり、底部間隙は4.7mm(0.185インチ)であり、壁(図2では36)は152mm(6インチ)長さであった。押出ヘッド10からアテニュエータ16までの距離17は78.7センチメートル(31インチ)であり、アテニュエータから捕集ベルト19までの距離21は68.6センチメートル(27インチ)であった。
【0065】
実施例4の溶融紡糸繊維は、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて測定し、15マイクロメートルのメジアン径(測定された44本の繊維)を有していることがわかった。実施例1〜3の溶融紡糸繊維は、約11マイクロメートルの中間繊維直径(同様のサンプルに基づく)を有すると見積もられた。溶融紡糸繊維ストリームは、約36センチメートル(約14インチ)の幅にて捕集ベルト上に堆積した。
【0066】
溶融紡糸繊維に関して、メルトフローインデックスが350であり、0.75重量%のチムアソーブ(Chimassorb)944を含有するポリプロピレン(フィナ(Fina)3960)を、254mm幅(10インチ)のノースチップを有し、1インチあたり25個の0.38mm(0.015インチ)直径のオリフィス(1mmあたり1個のオリフィス)を有する穴あきオリフィスメルトブローダイ102に、1時間あたり4.54キログラム(1時間あたり10パウンド)の割合で供給した。ダイ温度は325℃であり、一次空気ストリームの温度は393℃(740°F)であった。一次空気ストリームにおける空気流量は1分あたり約7.1標準m測定基準(250scfm)と見積もられた。メルトブローダイとスパンボンド繊維ストリーム1との関係は次の通りであった。距離107は10センチメートル(約4インチ)であった。距離108は22センチメートル(約8.5インチ)であった。距離109は48センチメートル(約19インチ)であった。角度θは20度であった。
【0067】
メルトブロー繊維はSEMを用いて測定され、1.13マイクロメートルの中間繊維直径を有することがわかり、そのメルトブロー繊維ストリームは捕集ベルト19上の捕集されたウェブにて約30センチメートル(約12インチ)の幅で存在するような幅を有していた。本質的に100%のメルトブロー繊維が、溶融紡糸ストリームに捕捉された。1つの実施例(実施例4)のウェブは断面を見て、マイクロファイバーがウェブの完全な厚みにわたって分配されていることがわかった。表1に報告されているポリマーのフローレートにて、実施例1〜3のウェブは約64重量部の溶融紡糸繊維と36重量部のメルトブロー繊維との比を有していた。実施例4のウェブは、約82重量部の溶融紡糸繊維と18重量部のメルトブロー繊維との比を有していた。
【0068】
溶融紡糸及びメルトブロー繊維の合わせたストリームを、実施例1〜3では8.8メートル/分(約29fpm)及び実施例4では14.3メートル/分(約47fpm)の割合で移動する20メッシュのステンレススチール捕集ベルト(19)上に捕集した。捕集ベルトの下方での真空は、1500〜3000Pa(6〜12インチHO)の範囲と見積もられ、プレート211の領域215は、長さ35.6センチメートル(14インチ)であり、交互に間隔をあけた直径1.6mm(0.062インチ)の開口を有し、結果として23%の開口面積であった;ウェブの押さえ領域216は47センチメートル(18.5インチ)長さであり、交互に間隔をあけて1.6mm直径(0.062インチ)の開口を有し、結果として30%の開口面積であった。加熱/結合領域217及び急冷領域218は合計で33センチメートル(13インチ)長さであり、交互に間隔をあけた4.0mm直径(0.156インチ)の開口を有し、結果として63%の開口面積であった。
【0069】
空気は、導管207を通って、3.8×55.9センチメートル(1.5インチ×22インチ)のスロット209にて1分あたり14立方メートル(500立方フィート)の空気を与えるのに十分な割合で供給した。プレート208の底部は、コレクタ上の捕集ウェブ20から1.9〜2.54センチメートル(3/4〜1インチ)であった。急冷フローヒーターのスロット209を通過する空気の温度を、各実施例について表1に示す(ハウジング201に至る導管207の入口においてオープンジャンクションの熱電対によって測定される場合)。
【0070】
急冷領域220を離れるウェブは、通常のプロセス及び装置で取り扱うのに十分な一体性を持って結合していた、すなわちウェブは通常の巻き取りにて貯蔵ロールに巻くことができ、又は種々の操作、例えば成形、プリーツ加工、又はフィルタパネルようなユースデバイスへの組み立て加工に供することができる。微視的な試験にて、溶融紡糸繊維は、繊維交点において結合されていることがわかり、メルトブロー繊維は実質的に未溶融であり、溶融紡糸繊維との結合(溶融紡糸及びマイクロファイバーストリームの混合中に少なくとも部分的に現れ得る)が制限されていることがわかった。
【0071】
他のウェブ及び形成パラメータを表1に記載する(表中、QFHは急冷フローヒーターを意味し、BMFはメルトブローマイクロファイバーを意味する)。
【0072】
【表1】

【0073】
4つの捕集されたウェブを、アンガジバンド(Angadjivand)の米国特許第5,496,507号に教示される技術に従って脱イオン水を用いてハイドロチャージし、周囲条件と同じ高さに掛けることによって一晩乾燥させ、次いで加熱された水圧成形プレス機を用いて滑らかなカップ形状に成形されたレスピレータを形成した。成形温度、間隙、及び滞留温度を含む4つのサンプルについて成形条件を以下の表2に記載されるように変更した。仕上げ加工されたレスピレータはおよそ145cmの外部表面積を有していた。ウェブは、繊維の混合及び/又は捕集面が負荷挙動に影響するかどうかを試験するために、ウェブのコレクタ面(ウェブ捕集中のコレクタ表面に直接接触するウェブの面)に関して上方及び下方の両方にて成形された。
【0074】
次いでサンプルは、レスピレータとしてTSI 8130自動フィルタテスターにてNaCl(およそ0.075μmの直径粒子)を用いて負荷試験した。サンプルは、85lpmの流量にて最大透過率まで負荷され、次いで試験を停止した。チャレンジ物質ストリームは、19〜25mg/mの濃度にて2%NaCl溶液から得られた粒子を含んでいた。自動フィルタテスターは、ヒーターをオンにして、粒子中和機をオンにして行った。結果を表2に示す。最後の欄には、最大透過率に至る時間までの、チャレンジ物質ストリームからフィルタ上に捕集された総重量を示す。
【0075】
【表2】

【0076】
結果を示したように、サンプルの多くは圧力低下が98Pa(10mmHO)未満で始まり、最大透過率が<5%であったが、一部のサンプルは圧力低下が98Pa(10mmHO)未満で始まり、最大透過率が<1%であった。サンプルF、G、H、Iは、複製間のばらつきが穏やかであったことにも留意されたい。このばらつきは、レスピレータの形成プロセス中に成形間隙を設定する際のばらつきによるものであると考えられる。(多層構成の)標準の市販レスピレータに関する負荷試験の1つをコントロールとして示す。
【0077】
表2における最も好ましいサンプルはF、H及びSサンプルである。サンプルF及びHは、標準の多層型市販レスピレータと非常に似た透過率及び圧力低下負荷結果を示すので、最も好ましい。サンプルSも、顕著に高い総プロセス処理量で行われ、低い初期圧力低下を有し、5%未満の最大透過率を有するので最も好ましいサンプルである。表2における他の好ましいサンプルとしてはA、G、I及びTサンプルが挙げられるが、それは、それらが98Pa(10mmHO)未満の初期圧力低下、5%未満の最大透過率及び最大透過率における中程度のNaClチャレンジ物質を示す(それらは非常に速いので詰まらないことを意味する)ためである。
【0078】
(実施例5〜13)
表3に示される場合を除き、ウェブのサンプルは実施例4の様式で調製され、自己支持型プリーツ加工濾材としての使用について評価した(表3において、”x位置は図面の図4における距離107を意味する)。サンプルはまた、実施例1〜4に記載される様式にてハイドロチャージされた。フィルタウェブが自己支持型プリーツ加工フィルタとしての使用に好適であるかどうかを決定するのに重要なパラメータは、ウェブの剛性である。プリーツ加工された形状を最初に形成し、後にはその形状を維持するために適切な剛性が必要である。フィルタを「自己支持型」として記載する際、濾材の特性を説明しており、フィルタの特性ではない、すなわちフィルタ構成がフィルタ全体を強くするためにワイア、糊又はフレーム補強を有していてもよい場合であっても濾材自体はワイア、メッシュ又は剛化層によって強化されていない。
【0079】
200mgを超えるガーレー剛性は、通常、12〜25mm(0.5〜1.0インチ)のプリーツ高さ(住居用HVAC、室内空気清浄機、客室空気濾過などに共通)のために必要であり、600mgを超えるガーレー剛性は、通常50〜150mm(2〜6インチ)プリーツ高さ(商業用HVAC及び居住用「ディープ」炉フィルタに共通)のために必要である。(ガーレー剛性は、ガーレー剛軟度テスターモデル4171Eを用いて測定される。サンプルは、ウェブから3.8×5.0cm(1.5×2.0インチ)矩形を打抜くことによって調製される。サンプルは、ウェブの前後方向に走る側を長くして切断される。次いで、サンプルは、ウェブのその長い側をクランプに保持して試験機に装填される。ウェブは両方向に曲げられる、すなわち試験アームは第1面に対して押圧され、次いで第2面に対して押圧され、装置はミリグラム単位で2つの測定値の平均剛性を報告する。試験は破壊試験として処理される。)
本発明の代表的なウェブを、市販のHVACフィルタ、すなわち5mmのプリーツ間隔を有する50mm深さ(2インチ)プリーツ加工フィルタであって、その濾材が17gsmのポリプロピレンスパンボンドカバーウェブ、40gsmの静電メルトブロー濾材、及び90gsmのポリエステルスパンボンド剛化層を含む3層ラミネートであるフィルタの平坦なウェブ特性と比較した。市販のプリーツ加工フィルタを製造するために使用されるウェブを、プリーツ形態に折り畳む前の平坦な状態で試験した。
【0080】
本発明の代表的なウェブの主要な標的特性は、600mgを超えるガーレー剛性(市販のフィルタの記述される5cm(2インチ)プリーツ深さを達成するため)及び市販のフィルタと同様の透過率(効率)を含む。サンプルは、TSI 8130自動フィルタテスターにてフタル酸ジオクチル(DOP、約0.185μm直径)を用いて初期圧力低下及び透過率特性について試験した。粒子は、約100mg/mの濃度で得た。自動フィルタテスターは、ヒーターをオフにして、粒子中和機をオフにして作動させた。品質要因は、Q=−ln(%pen/100)/ΔPとして定義される。結果を表4に示す。
【0081】
【表3】

【0082】
【表4】

【0083】
3つのサンプル(5,8,12)は、必要な剛性を示し、市販のサンプルの透過率を網羅した。さらに、他のサンプルのいくつかは十分な透過率及び圧力低下を示したが、剛性はわずかに低かった。より高い剛性は、一般にウェブの重量を高めることで達成され、10gsmの差でさえも剛性にとって大きな改善になることに留意されたい。総サンプルは、最適化により市販のサンプルを容易に再現できることを明らかに示している。実施例5〜13は全て約100gsmであり、それは約150gsmの現在市販されている[多層製品]ラミネート溶液よりもかなり低い。
【0084】
TSI 8130の自動フィルタテスター上のNaCl(約0.075μm直径粒子)を用いて平坦なフィルタとして実施例5〜13を負荷試験することによってさらなる評価を行った。成形されたレスピレータと同様に、平坦な濾材は、繊維の混合及び/又は捕集面が負荷挙動に影響するかどうかを試験するために、ウェブのコレクタ面に関して上方及び下方の両方にて試験された。サンプルは、60lpm(10cm/s面速度)流量において最大透過率まで負荷され、次いで試験を停止した。粒子は、約16〜23mg/mの濃度にて2%NaCl溶液から得た。自動フィルタテスターは、ヒーターをオンにして、粒子中和機をオンにして行った。結果を表5に記す。
【0085】
サンプルは、NaCl透過率が6%程度に低い最大透過率を示していたことに留意した(フィルタウェブを試験したとき、透過率は最大値に到達するまで徐々に増大し、そこで透過率はフィルタ上の捕集されたチャレンジ物質の濾過効果のために減少した)。「下方」試験されたサンプル実施例9及び10のウェブは、比較物に最も近い初期圧力低下、低い初期透過率、高い初期品質要因、及び低い最大透過率を有しているので最も好ましく、いずれもチャレンジ物質の機能として同様の圧力低下の上昇があった。実施例12のウェブも、わずかに低い初期圧力低下、いくぶん高い最大透過率を有するが、良好な負荷フィルタとみなされる−ほぼ等しい圧力低下の上昇による最大透過率でのチャレンジ物質塊がほぼ3倍であったので、最も好ましいサンプルである。「上方」で試験されたハイドロチャージサンプル9及び11、並びに「下方」で試験された実施例5、8、11及び13も、中程度の圧力低下、低い初期透過率、中程度から高い初期品質要因、及びコントロール未満の最大透過率を有するので、好ましいサンプルである。
【0086】
【表5】

【0087】
表4及び表5の両方を比較した際、サンプル12は、平坦な濾材の物理的特性及び濾過性能のバランスのために全体として最も好ましいサンプルである。
【0088】
実施例11は走査型電子顕微鏡を用いる分析に供し、メルトブロー繊維は0.65マイクロメートルのメジアン径、0.88マイクロメートルの平均直径、及び0.67マイクロメートルの標準偏差を有することがわかった;最大直径は、4.86マイクロメートルであり、最小は0.20マイクロメートルであった。サンプルサイズは151メルトブロー繊維及び28溶融紡糸繊維であった。直径が10ミクロン未満の繊維は全てメルトブロー繊維であると想定された。サイズ分布のヒストグラムは図7に図示され、マイクロメートルでの繊維直径を横座標に沿ってプロットし、頻度を縦座標に沿ってプロットした。構成成分の質量百分率及びメルトブロー及び溶融紡糸繊維直径のSEM測定に基づいて、メルトブローマイクロファイバーの表面積は、総ウェブ表面積の約51%と測定され、サブミクロン繊維の表面積は総ウェブ表面積の約23%として測定された。実施例11のサブミクロン繊維は、ウェブ形成プロセス中、本質的に100%効率で捕捉され、得られた結合ウェブは通常の取り扱いに適切な強度及び一体性を有していた。
【0089】
これらの実験において具体的な構成を比較する場合、サンプル1〜13に含まれる情報の深い意味は、本発明が、低〜高MERV評価のHVACフィルタアプリケーション、室内空気清浄機フィルタ、客室空気フィルタ、自動車取り込みフィルタ、及び多くの一般的又は特定のプリーツ加工フィルタ用途に限定されないが、それらを含む多数のプリーツ加工フィルタアプリケーションのために調整され、使用できることを示している。
【0090】
サンプルはまた圧密に対する抵抗について試験した。長いロールに巻き取られ、二次処理にある場合ウェブは圧力に供されているので圧密は重要であり、ウェブの圧密は、圧力低下を増大させ、フィルタの負荷性能を劣化し得る。
【0091】
圧密試験を行うために、8個の13.3cm(5.25インチ)直径の円を各ウェブから切断した。この円は、初期厚さ、及び14cm/sの面速度での圧力低下について測定した。8個の円の各組を次いで積み重ね、おもりをサンプルの上部に置き、円の断面にて6.9kPa(1.0psi)圧力を与えた。8個の円の各組を独立に試験した。おもりは24及び48時間にて除去し、厚さ及び圧力低下を測定した。48時間試験の終了後、厚さ及び圧力低下における%変化を計算した。
【0092】
実施例4及び12のウェブを試験し、比較のためにメルトブローウェブ(実施例C1)も試験した。メルトブローウェブは有効繊維直径が5.5マイクロメートルのポリプロピレン繊維だけからなり、ウェブの坪量は106gsmであり、ウェブは5.4%の固結度を有していた。結果を表6に報告し、ここで「t」は時間単位の時間である。
【0093】
【表6】

【0094】
わかるように本発明のウェブは10%未満の圧密率を有していた。20%の圧密率でさえ、メルトブローウェブによって示される圧密率より顕著に良好であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布繊維ウェブであって、凝集性自立型形態に結合する連続溶融紡糸繊維のマトリックスと、前記溶融紡糸繊維中に前記ウェブの繊維の少なくとも1重量%を占める割合の量で分散され別に調製されるマイクロファイバーとを含む不織布繊維ウェブ。
【請求項2】
前記マイクロファイバーが2マイクロメートル以下のメジアン径を有する、請求項1に記載のウェブ。
【請求項3】
前記マイクロファイバーが1マイクロメートル以下のメジアン径を有する、請求項1に記載のウェブ。
【請求項4】
前記マイクロファイバーがメルトブローンマイクロファイバーを含む、請求項1に記載のウェブ。
【請求項5】
前記溶融紡糸繊維と前記マイクロファイバーが分子的に同じポリマーを含む、請求項1に記載のウェブ。
【請求項6】
前記溶融紡糸繊維又は前記マイクロファイバーの少なくともいずれかが濾過能力が向上した状態に帯電される、請求項1に記載のウェブ。
【請求項7】
前記溶融紡糸繊維及び前記マイクロファイバーの両方の濾過能力が向上した状態に帯電される、請求項1に記載のウェブ。
【請求項8】
前記溶融紡糸繊維が自己結合されている、請求項1に記載のウェブ。
【請求項9】
非平面形状に成形される、請求項1に記載のウェブ。
【請求項10】
前記ウェブが、前記ウェブ中の溶融紡糸繊維間の自己結合によって非平面形状に保持されている、請求項9に記載のウェブ。
【請求項11】
前記溶融紡糸繊維が半結晶性ポリマー材料を含む配向された繊維を含む、請求項1に記載のウェブ。
【請求項12】
不織布繊維ウェブであって、凝集性自立型形態に自己結合する配向された連続溶融紡糸繊維のマトリックスと、前記ウェブの繊維の少なくとも1重量%を占める割合の量で前記溶融紡糸繊維中に分散し、10マイクロメートル以下のメジアン径を持ち、別に調製されるメルトブローンマイクロファイバーとを含む不織布繊維ウェブ。
【請求項13】
非平面形状に成形される、請求項12に記載のウェブ。
【請求項14】
不織布繊維ウェブであって、凝集性の結合ウェブマトリックスを形成する配向された連続溶融紡糸繊維と、約2マイクロメートル以下のメジアン径を有し、前記ウェブの繊維表面積の少なくとも5%を供給するのに十分な量で前記マトリックス内に分散され、別に調製されるマイクロファイバーバッチとを含む不織布繊維ウェブ。
【請求項15】
前記マイクロファイバーが前記ウェブの繊維表面積の少なくとも20%を供給する、請求項14に記載のウェブ。
【請求項16】
前記マイクロファイバーバッチが1マイクロメートル以下のメジアン径を有する、請求項14に記載のウェブ。
【請求項17】
前記マイクロファイバーがメルトブローンファイバーを含む、請求項14に記載のウェブ。
【請求項18】
前記溶融紡糸繊維が自己結合されている、請求項14に記載のウェブ。
【請求項19】
少なくとも200mgのガーレー剛性を有する、請求項14に記載のウェブ。
【請求項20】
本明細書に記載される圧密試験において20%以下の圧密率を有する、請求項14に記載のウェブ。
【請求項21】
本明細書に記載される圧密試験において10%以下の圧密率を有する、請求項14に記載のウェブ。
【請求項22】
不織布繊維ウェブを調製する方法であって、長手方向軸を有する配向された連続溶融紡糸繊維ストリームを確立する工程と、前記溶融紡糸繊維ストリームの前記長手方向軸から25センチメートル未満の点にてメルトブローンダイを出るメルトブローンマイクロファイバーのストリームを確立する工程であって、前記メルトブローンストリームが、前記溶融紡糸ストリームと合流するように向けられ、前記溶融紡糸ストリームの長手方向軸に対して0〜90°の角度を形成する長手方向軸を有する、工程と、前記溶融紡糸繊維のストリーム中の前記メルトブローン繊維を捕捉する工程と、前記溶融紡糸ストリーム及びメルトブローストリームの交点から40センチメートル以下の間隔をあけたコレクタ上に前記合流したストリームをウェブとして捕集する工程と、を含む方法。
【請求項23】
前記捕集された繊維ウェブを制御された加熱及び急冷操作に供する工程を更に含む、請求項22に記載の方法であって、前記操作が、a)前記溶融紡糸繊維を軟化し、前記溶融紡糸繊維を共に結合させるのに十分な温度に加熱された気体状ストリームを前記ウェブ中に強制的に通す工程であって、前記加熱されたストリームは前記繊維を完全に溶融するには短い不連続の時間にて適用される、工程と、b)直ちに前記加熱されたストリームより少なくとも50℃低い温度にて気体状ストリームを前記ウェブ中に強制的に通し前記繊維を急冷する工程と、を含む方法。
【請求項24】
前記不織布ウェブが前記制御された加熱及び急冷操作を通るコンベヤ上に運ばれる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ウェブが15秒以下で完全な加熱及び急冷操作を経て移動する、請求項24に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−545681(P2009−545681A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522919(P2009−522919)
【出願日】平成19年7月16日(2007.7.16)
【国際出願番号】PCT/US2007/073562
【国際公開番号】WO2008/016771
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】