説明

結合デバイス

車輌ルーフの幅方向に延在するロードキャリアバー(3)を、車輌の長さ方向(L)に延在するルーフレール(2)に結合するための結合デバイス(4)。結合デバイス(4)は、結合デバイスが前記ルーフレールに結合されているとき、ロードキャリアバーに強固に固定されるベース部(6)であって、ルーフレール上に載置される接触面(8)を備えるベース部(6)と、ベース部に結合され、締付けストラップ(27)及び締付け手段(23)を含む締付け構成(17、23、26、27)であって、締付けストラップはルーフレールを囲み、締付け手段によって締め付けられ、それにより接触面(8)上の接触領域(30)がルーフレールに圧接され、結合デバイスをルーフレールに強固に結合させる締付け構成(17、23、26、27)と、を含み、接触面(8)がルーフレールに圧接されるとき、ベース部(6)は接触領域(30)の車輌の長さ方向における前方の領域において凸状のアーチ形状(31)をとり、アーチ形状の、ルーフレール(2)に対向する側は延性材料で形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輌ルーフの幅方向に延長するロードキャリアバーを、車輌の長さ方向に延長するルーフレールに結合するための結合デバイスに関する。該結合デバイスは、結合デバイスが前記ルーフレールに結合されているとき、ロードキャリアバーに強固に固定されるベース部であって、ルーフレールに載置される接触面を備えるベース部と、ベース部に結合され、締付けストラップ及び締付け手段を含む締付け構成とを含み、締付けストラップはルーフレールを囲み、締付け手段によって締め付けられ、接触面上の接触領域をルーフレールに圧接し、結合デバイスをルーフレールに強固に結合させる。
【背景技術】
【0002】
上述したタイプの結合デバイスは既に知られており、その例がドイツ実用新案第G8229446.1号、第G8404525.6号、欧州特許第0606852号、第1022192号に記載されている。しかし、このような従来のデバイスを使用した車輌が急減速したり、最悪の場合、衝突したりした場合に、結合デバイスがルーフレールに沿って相当な距離を摺動し、最悪の場合、ルーフレールと車輌ルーフとの接続点を結合デバイスが衝打し、ロードキャリアバーに装着された積荷に強い力が作用して積荷の損傷を招くおそれがあるという欠点がある。また、ロードキャリアバーがルーフレールから外れ、ロードキャリアやルーフレール、そして積荷に損傷を与え、最悪の場合、ロードキャリアが衝打したものに損傷を与えるおそれがある。状況によってはベース部が車輌進行方向に前傾し、接触面の後端が持ち上がり、接触面とルーフレールとの間で激しい点接触が発生し、ルーフレールを損傷させたりベース部がレール周りに捩れたりして損害が大きくなる場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、急減速時においてもルーフレールに沿って相当な距離を摺動したりレール周りに捩れたりすることのないようにした、上述のタイプの結合デバイスが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、接触面がルーフレールに圧接されるとき、ベース部はルーフレールとの接触面の接触領域の車輌の長さ方向における前方の領域において凸状のアーチ形状をとり、アーチ形状の、ルーフレールに対向する側は延性材料で形成されていることを特徴とする、上述したタイプの結合デバイスにより上記欠点を克服する結合デバイスを提供する。
【0005】
また、本発明は、延性材料がベース部と一体的に形成された層からなることを特徴とする。
【0006】
更に、本発明は、延性材料がベース部に取り付けられる別体の層からなることを特徴とする。
【0007】
更に、本発明は、延性材料が接触面に沿って延出することを特徴とする。
【0008】
更に、本発明は、延性材料が弾性材料からなることを特徴とする。
【0009】
更に、本発明は、ベース部が、接触面の後方の領域において、接触面の前方の領域における特徴と同様の特徴を有することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
添付の図面を参照しながら、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。
【0011】
図1は、車輌の長さ方向Lに沿って、長さ方向Lに対し実質上平行に延出するルーフレール2を備える車輌1の概略図である。ルーフレールの間にロードキャリアバー3が配置され、本発明の取付けデバイス4によってルーフレールに結合されている。ロードキャリアバーには輸送される積荷5が積載される。図面の積荷はルーフボックスの形状としているが、ロードキャリア上で輸送するのに適したものであれば他の積載物も可能である。
【0012】
図2、図3はルーフレール2に取り付けられた本発明の取付けデバイス4を示す。図2では取付けデバイス4の構成を車輌側方から示している。車輌の長さ方向を矢印Lで示す。図の左側が車輌の前方である。図3では取付けデバイス4の構成を車輌前方から示している。
【0013】
図4及び図5を参照しながら取付けデバイス4の設計を詳細に説明する。図では取付けデバイスの一方の半分のみを示したが、省略した他方の半分は図示された半分の鏡像であり、以下の説明は他方の半分にも同様に当てはまることは当業者には自明である。取付けデバイスは、ルーフレール2上に載置されるベース部6を含む。ベース部6の下部7には、ルーフレール上に載置される接触面8が一体的に設けられている。接触面8には層9が設けられている。層9は延性を有し、ベース部と一体的に形成されていてもよいし、あるいは、図5に示すように、当業者に公知の任意の方法にてベース部6に取り付けられるスペーサで構成されていてもよい。また、後述するように、本発明の装置の良好な機能のためには、層9は接触面8の全面に亘って延出していなくてもよい。ベース部の上部10にはロードキャリアバー3を支持する支持面11が設けられている。ベース部には、ロードキャリアバー3を囲むように設けられるブラケット14の1つのシャンク13が係合されるチャネル12が設けられている。シャンク13の前端は、回転プーリ16が取付けられるスピンドル15に接続されている。シャンク13の後端では、シャンク13の間にプレート17が延出する。プレート17には、シャンク13に形成されたノッチ19と係合するタブ18と、シャンク13の端部21に当接するエッジ20とが設けられている。プレート17には、締付けねじの形態の自走式締付け手段23が嵌合される穴22が形成されている。締付け手段の頭部24にはプレート17に当接するショルダ25が設けられている。締付け手段は、締付けストラップ27が公知の方法で取付けられるねじ付きのランナ26を公知の方法で運ぶ。締付けストラップはプーリ16とルーフレール2とに巻き掛けられ、プレート17に形成されたフックに接続される。頭部24には締付けねじの回転を可能とする回転装置29が設けられている。締付け手段23、ランナ26、締付けストラップ27、プレート17によって力の流れが確立され、この力がスピンドル15とプレート17とを通じてブラケット14上の複数の点に作用し、また締付けストラップとレールとが接触していることからルーフレール2にも作用する。締付けねじが締付け方向に回転されると、ランナ26が図4に矢印Rで示す方向に移動し、力の大きさを増大させ、その増大した力によりブラケット14とルーフレール2とを相互に圧接させる。これによりブラケットがロードキャリアバーをベース部に対して押圧し、ベース部6の接触面8はルーフレール2に圧接される。この結果、ロードキャリアバーがベース部6に強固に結合され、ベース部はルーフレール2に強固に結合される。
【0014】
図6は図3の断面線B−Bに沿った断面図であり、車輌の前端を左側として示した図である。図6に示すように、ベース部6の接触面8はルーフレールに当接する接触領域30を有する。接触領域30の前方において、ベース部6と接触面8はアーチ形状31をとる。図6にも層9を図示しているが、層9は軟質プラスチック等の延性材料や、ゴムや他の適切な重合材料等の弾性材料で製造できる。層9はベース部と一体的に形成してもよいし、別体として形成し、当業者に公知の方法にてベースに取り付けてもよい。
【0015】
図7は、図6に対応する図である。図7は、車輌の急制動時あるいは衝突時に一般的な停止方法にて停止したときに発生する力が結合デバイスに作用したところを表している。これらの力は矢印Kで示す方向から結合デバイスに作用し、またその作用点はベース部の上部に位置することから、ベース部は矢印Mで示すように反時計回りに回転する傾向がある。図面より明らかであるように、ベース部のこの回転により層9はアーチ形状31の部分において変形する。このとき力の流れの大きさが増大し、ベース部6からルーフレールに作用する接触力が強まる。この結果、ルーフレールに沿った結合デバイス4のずれの量は、急制動が起こった際のずれの量に比べて小さくなる。
【0016】
図面においては層9は接触領域30の全長に亘って延出しているが、本発明の良好な機能のためには、層は凸状のアーチ形状31の上に延出していればよい。
【0017】
図6及び図7にも示すように、ベース部には、接触領域30の後方にも凸状のアーチ形状32が設けられている。アーチ形状32は接触領域30の前方のアーチ形状30と同形状となっている。このように対称に形成されているため、結合デバイス4を左右のルーフレールのいずれに取付けても本発明に従って取付けデバイスを機能させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ルーフレールとそれに取り付けられたロードキャリアとを有する、車輌の全体図である。
【図2】ルーフレールに結合された結合デバイスを、車輌側方から見た図である。
【図3】ルーフレールに結合された結合デバイスを、ルーフレールの長手方向から見た図である。
【図4】見る側に対向する側を切り欠いた、図2の断面線A−Aに沿った等角図である。
【図5】図4に対応する分解図である。
【図6】図3の断面線B−Bに沿った断面図である。
【図7】急減速時にルーフレール上で前傾した結合デバイスを示す、図6に対応する図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輌ルーフの幅方向に延在するロードキャリアバー(3)を、車輌の長さ方向(L)に延在するルーフレール(2)に結合するための結合デバイス(4)であって、前記結合デバイス(4)は、
前記結合デバイスが前記ルーフレールに結合されているとき、前記ロードキャリアバーに強固に固定されるベース部(6)であって、ルーフレール上に載置される接触面(8)を備えるベース部(6)と、
前記ベース部に結合され、締付けストラップ(27)及び締付け手段(23)を含む締付け構成(17、23、26、27)であって、前記締付けストラップはルーフレールを囲み、前記締付け手段によって締め付けられ、それにより接触面(8)上の接触領域(30)がルーフレールに圧接され、結合デバイスをルーフレールに強固に結合させる締付け構成(17、23、26、27)と、
を含み、
前記接触面(8)が前記ルーフレールに圧接されるとき、前記ベース部(6)は前記接触領域(30)の車輌の長さ方向における前方の領域において凸状のアーチ形状(31)をとり、前記アーチ形状の、ルーフレール(2)に対向する側は延性材料で形成されていることを特徴とする、
結合デバイス(4)。
【請求項2】
前記延性材料が前記ベース部と一体的に形成された層からなることを特徴とする、請求項1に記載の結合デバイス(4)。
【請求項3】
前記延性材料が前記ベース部(6)に取り付けられる別体の層(9)からなることを特徴とする、請求項1に記載の結合デバイス(4)。
【請求項4】
前記延性材料が更に前記接触領域(30)の長さ方向に沿って延出することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の結合デバイス(4)。
【請求項5】
前記延性材料が弾性材料からなることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の結合デバイス(4)。
【請求項6】
前記接触面(8)が前記ルーフレールに圧接されるとき、前記ベース部(6)は前記ルーフレールとの接触領域(30)の車輌の長さ方向における後方の領域において凸状のアーチ形状(32)をとり、前記アーチ形状(32)の、ルーフレール(2)に対向する側は延性材料で形成されていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の結合デバイス(4)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−519128(P2006−519128A)
【公表日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502809(P2006−502809)
【出願日】平成16年2月23日(2004.2.23)
【国際出願番号】PCT/SE2004/000235
【国際公開番号】WO2004/076237
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(502308561)スーリー スウェーデン アーベー (4)
【Fターム(参考)】