説明

結合ミネラルウールの製造方法及びそのための結合剤

ヒドロキシルアミン若しくは一般式(I)のアミノアルコールを含む結合剤を使用して、フェノールホルムアルデヒド結合剤が、溶融鉱物の繊維化後の未だ熱い繊維に適用される、結合ミネラルウールの製造のための結合剤に関し、ここで、R1及びR2は、互いに同一であるか異なり、そして独立して水素、1〜12個の炭素原子を有する直鎖或いは分岐の飽和或いは不飽和の脂肪族炭化水素、又は5〜8個の炭素原子を有する飽和或いは不飽和の脂環式或いは複素環式炭化水素、又は5〜12個の環原子を有する炭素環式或いは複素環式芳香族炭化水素、又は1〜50個のアルコキシ単位を有する鎖様或いは分岐アルキルエーテル、又は1〜50個のアルキルアミン単位を有する鎖様或いは分岐アルキルアミンであり、そして、R3は、1〜12個の炭素原子を有する直鎖或いは分岐の飽和或いは不飽和の脂肪族炭化水素、又は5〜8個の炭素原子を有する飽和或いは不飽和の脂環式或いは複素環式炭化水素、又は5〜12個の環原子を有する炭素環式或いは複素環式芳香族炭化水素、又は1〜50個のアルコキシ単位を有する鎖様或いは分岐アルキルエーテル、又は1〜50個のアルキルアミン単位を有する鎖様或いは分岐アルキルアミンである。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に従う結合ミネラルウールの製造方法、請求項11に従う結合ミネラルウール製品、並びに、請求項12に従う結合ミネラルウール製造のための結合剤に関する。
【0002】
溶融ガラス若しくは溶融ミネラルから結合ミネラルウール製品製造の際の繊維化後に、未だ熱い繊維にフェノールホルムアルデヒド樹脂系結合剤を適用することが好適なことが以前より判明していた。
【0003】
このような結合剤は、先行技術においてよく知られている。1966年1月25日付のUS 3,231,349は、例えば、フェノール樹脂、マレイン酸、その無水物若しくはその均等物をベースとする結合剤の水性分散液で結合され、グルコース及び糖型化合物を添加して水酸化アンモニウムで結合されたガラス及びミネラル繊維製品を開示している。
【0004】
US 4,339,361からは、一方で、フェノ−ルとホルムアルデヒドのモル比が1:2.3〜1:5であり、他方で、糖型化合物、尿素及びアンモニアを場合によっては含む熱硬化性フェノールホルムアルデヒド樹脂処方が、ミネラルウール製品の結合剤として知られている。
【0005】
欧州特許明細書EP 0 810 981 B1は、以下のステップを含むミネラルウール系製品の製造方法を開示している。
【0006】
モル比1:2.8〜1:6のフェノ−ルとホルムアルデヒド、アンモニア及び糖処方を有するフェノールホルムアルデヒド樹脂の水性処方の調製。ミネラルウールへの(全)処方の適用。及び製品形成中のミネラルウールの硬化処理。
【0007】
更にEP 0 810 981 B1は、8〜9.25のアルカリ性レベルへの、NHによる結合剤分散液のpH調整を開示している。
【0008】
EP 0 810 981 B1の先行技術によれば、糖処方は、糖類のグルコース、フルクトース、スクロース(ショ糖)、マルトースと同様に糖シラップ、糖蜜及び/又はデキストリンを含んでもよい。
【0009】
EP 0 810 981 B1における水性溶液の糖処方濃度は、1〜80重量%に達する。
【0010】
EP 0 810 981 B1の教示によれば、ミネラル繊維を製造し、アンモニアを含むフェノールホルムアルデヒド樹脂でそれらの繊維を結合するときには、アンモニア放出は、結合剤樹脂に糖処方を添加することにより減少するということである。
【0011】
EP 0 810 981 B1の先行技術から出発すると、本発明の目的は、作業場所の安全性に関してより有利で、より環境的にやさしいだけでなく、より収益性の高いNH代替物を見出すことである。
【0012】
この目的は、方法技術に関しては、請求項1で特徴付けられた特色により達成され、製品技術に関しては、請求項11で特徴付けられた特色により達成され、結合剤技術に関しては、この目的は、請求項12で特徴付けられた特色により達成される。
【0013】
本発明は、特に、ヒドロキシルアミン若しくは下記一般式のアミノアルコールを含む結合剤を使用して、フェノールホルムアルデヒド結合剤が、溶融ミネラルの繊維化後の未だ熱い繊維に適用される、結合ミネラルウールの製造方法に関する。
【化3】

【0014】
ここで、R1及びR2は、互いに同一であるか異なり、そして独立して水素、1〜12個の炭素原子を有する直鎖或いは分岐の飽和或いは不飽和の脂肪族炭化水素、又は5〜8個の炭素原子を有する飽和或いは不飽和の脂環式或いは複素環式炭化水素、又は5〜12個の環原子を有する炭素環式或いは複素環式芳香族炭化水素、又は1〜50個のアルコキシ単位を有する鎖様或いは分岐アルキルエーテル、又は1〜50個のアルキルアミン単位を有する鎖様或いは分岐アルキルアミンであり、そして、R3は、1〜12個の炭素原子を有する直鎖或いは分岐の飽和或いは不飽和の脂肪族炭化水素、又は5〜8個の炭素原子を有する飽和或いは不飽和の脂環式或いは複素環式炭化水素、又は5〜12個の環原子を有する炭素環式或いは複素環式芳香族炭化水素、又は1〜50個のアルコキシ単位を有する鎖様或いは分岐アルキルエーテル、又は1〜50個のアルキルアミン単位を有する鎖様或いは分岐アルキルアミンである。
【0015】
驚くべきことに、本発明の結合剤で製造されたミネラルウール製品は、結合剤に水中への溶解度を促進する追加的官能基を導入しているにもかかわらず、増加した強度と、一般的に、改善された耐水性若しく加水分解抵抗性を夫々示すことが見出された。
【0016】
本発明によれば、エタノールアミンが、アミノアルコールの最も基本的な代表であることから、エタノールアミンを使用することが好ましい。エタノールアミンは、NHよりアルカリ性であり、妥当な価格で商業的に入手可能である。エタノールアミンは、未反応ホルムアルデヒドと完全に反応し、結合剤が混合される時に通常1.0重量%という必要な低濃度で使用されるならば、、NH臭は実際上なく、そして最後に、別に必要とされる僅かな量のNHだけが、必要とされる。添加する必要のあるアミノアルコールの絶対量は、先行技術で添加する必要のあるNHの量よりもはるかに少ないことから、アミノアルコール特にエタノールアミンは、実質的に追加的費用を必要とせず、NHの使用より一層安価である。
【0017】
アミンからNHへの分解反応平衡は、主にアミン優位であることから、NH濃度は、この作業場所で、製造ラインで使用するための混合時に既に、劇的に減少し、その結果、NH吸入により引き起こされる労働者の健康への潜在的危険性が除去される。
【0018】
同じことは、未だ熱い繊維に繊維化後結合剤を適用するときにもいえる。NH供給の減少の結果として、また繊維を冷却する間の保持時間及び温度からの特定の条件に基づいて、この製造ステップ中のNH放出が実質的に零に減少することは、本発明の重要な利点である。したがって、作業場所でのNH放出値も、健康に対して無視できかつ完全に危険でない値に減少する。
【0019】
本発明の好ましい具体例は、糖含有処方、特に糖蜜が、好ましくはビートの根から作られた糖蜜を、更に結合材に添加することである。
【0020】
一方で、これは、繊維冷却時に添加されたアミンから場合によっては生み出されたNHの結合を導くが、他方で、驚くべきことに、より少ないアミノアルコ−ルが必要とされることが分かった。こうして、導入される結合剤(即ち放出の潜在的起源である)の量を効果的に減少することができる。
【0021】
この製造ステップ後に、硬化工程が実行され、液体結合剤が重合し、固体結合を得る。この硬化工程の間に、糖含有処方は、生み出されたかもしれない分解生成物に、生み出されたポリマーに直接結合し、或いはこれら分解生成物の生成をそれぞれ抑制する。これらを足し合わせると、分解生成物の潜在的放出の有利な減少は、環境汚染の減少をもたらすといってよい。
【0022】
本発明の1つの結合剤は、約0.05〜4重量%、好ましくは約0.05〜1.5重量%、より好ましくは約0.1〜1.0重量%、最も好ましくは約0.5重量%というレベルのアミノアルコール、特にエタノールアミンを含む。
【0023】
更に、アンモニウム塩、特に硫酸アンモニウムを、例えば約0.1〜3.0重量%、特に好ましくは約1.0重量%の濃度で、結合剤に追加的に添加することが好ましい。
【0024】
好ましい結合剤は、約0.5重量%濃度のエタノールアミン及び約1.0重量%濃度の硫酸アンモニウムを含む。
【0025】
本発明は、更に、本発明の方法により得ることができる結合ミネラルウール製品に関する。
【0026】
本発明のもう1つの目的は、ヒドロキシルアミン若しくは下記一般式のアミノアルコールを含むことを特徴とする、フェノールホルムアルデヒド樹脂系結合ミネラルウールの製造のための結合剤である。
【化4】

【0027】
ここで、R1及びR2は、互いに同一であるか異なり、そして独立して水素、1〜12個の炭素原子を有する直鎖或いは分岐の飽和或いは不飽和の脂肪族炭化水素、又は5〜8個の炭素原子を有する飽和或いは不飽和の脂環式或いは複素環式炭化水素、又は5〜12個の環原子を有する炭素環式或いは複素環式芳香族炭化水素、又は1〜50個のアルコキシ単位を有する鎖様或いは分岐アルキルエーテル、又は1〜50個のアルキルアミン単位を有する鎖様或いは分岐アルキルアミンであり、そして、
R3は、1〜12個の炭素原子を有する直鎖或いは分岐の飽和或いは不飽和の脂肪族炭化水素、又は5〜8個の炭素原子を有する飽和或いは不飽和の脂環式或いは複素環式炭化水素、又は5〜12個の環原子を有する炭素環式或いは複素環式芳香族炭化水素、又は1〜50個のアルコキシ単位を有する鎖様或いは分岐アルキルエーテル、又は1〜50個のアルキルアミン単位を有する鎖様或いは分岐アルキルアミンである。
【0028】
エタノールアミンが、好ましいアミノアルコールとして使用されるが、前記式の他のアミノアルコールも同様に本発明の目的のために使用することができる。アミノアルコ−ルの範囲内のアルカノール残基として適するものは、ヒドロキシエチル残基、オキシアルカノール残基、ヒドロキシプロピル残基、同様にヒドロキシブチル残基及び対応する分岐イソヒドロキシアルキル残基であり、それらは、技術的に容易に入手しうる。
【0029】
本発明によれば、結合剤は、糖含有処方を0.5〜25重量%の濃度で含むことが好ましい。
【0030】
例えば糖蜜の形で、特に砂糖ビートからの糖含有処方を添加する効果は、とりわけ、ガラスウールについては、結合剤に関して約15%までの糖蜜が、ミネラルウール/ロックウールについては、結合剤に関して約15%までの糖蜜が、節約できることである。
【0031】
本発明の更なる利点及び特色は、好ましい具体例の記載と同様に、図面から明らかであろう。
【0032】
本発明の目的のために、特に好ましい具体例のために、幾つかの用語、パラメター及び略称を以下に定義する。
【0033】
P=フェノール
F=ホルムアルデヒド
%=重量%
部=重量部

幾つかの試験が、NHがアミノアルコールにより置き代えられた結合剤についてなされ、製造されたミネラルウール製品が、安定性、耐水性及び光学的外観のような品質特性を用いて、品質を評価することを目的として種々の試験を受けた。
【0034】
これらの試験の結果は、表1乃至4に示される。
【0035】
例の結合剤は、アミノアルコールとしてエタノールアミンを含んだ。
【0036】
しかしながら、同様の結果が、短鎖アミノアルコールでも得られた。
【0037】
標準的な手順として、試験に使用された結合剤は、フード中で未だ熱い繊維上に噴射された。
【0038】
それらは、量に関して以下の組成を示した。
【0039】
樹脂1:ナトリウム触媒で製造された部分的に中和されたフェノールホルムアルデヒド樹脂(P:F=1:3.2)が、樹脂70%/尿素30%の組成のプレミックスを得るために、尿素と混合された。
【0040】
樹脂2:ナトリウム触媒で製造された部分的に中和されたフェノールホルムアルデヒド樹脂(P:F=1:3.2)が、樹脂60%/尿素40%の組成のプレミックスを得るために、尿素と混合された。
【0041】
樹脂3:ナトリウム触媒で製造された部分的に中和されたフェノールホルムアルデヒド樹脂(P:F=1:3.3)が、樹脂65%/尿素35%の組成のプレミックスを得るために、尿素と混合された。
【0042】
対応する樹脂が、結合剤1乃至3を得るために、追加的充填剤と混合された。
【0043】
データは、樹脂100部を基準とする。
【0044】
結合剤1:樹脂1、3部の硫酸アンモニウム、2.4部のアンモニア、0.4部の3-アミノトリエトキシシラン
結合剤2:樹脂2、3部の硫酸アンモニウム、2.4部のアンモニア、0.4部の3-アミノトリエトキシシラン
結合剤3:樹脂3、1.2部の硫酸アンモニウム、0.9部のアンモニア、0.2部の3-アミノトリエトキシシラン
見かけ密度145kg/mを呈するロックウールから成る表面絶縁板及び見かけ密度20kg/mを呈するガラスウールから成る固定フェルトが、ミネラルウール製品として製造された。
【0045】
樹脂1及び2をベースとするミネラルウール製品の製造は問題がなかった。例えば、熱の作用、色変化、沈殿物若しくは強い悪臭に関する著しい変化は、なんら観察されなかった。予備調製した結合剤、いわゆるサイジング剤が、出願人によりなされた試験で使用された。試験前に、試料が参照のために抜き出された。試験開始約20分後、試料が抜き出され、フード中のサイジング剤の挙動が評価された。本発明による結合剤の使用により不愉快な臭いの増加が起こることは見出せず、最終製品は、標準製品と光学的に区別できなかった。前硬化も観察されなかった。抜き出された試料は製品特性について調べられた。
【0046】
追加的に、エタノールアミンと糖蜜を有するサイジング剤の加工性が、添加された糖蜜の作用と同様に、製品特性の変化に関して試験された。使用された結合剤は、量に関して以下の組成を示した。:
対応する樹脂と追加的充填剤が、結合剤4乃至6に混合された。
【0047】
データは、樹脂100部を基準とする。
【0048】
結合剤4:樹脂1、1部の硫酸アンモニウム、0.5部のエタノールアミン、0.4部の3-アミノトリエトキシシラン、10部の砂糖ビート糖蜜
結合剤5:樹脂2、1部の硫酸アンモニウム、0.5部のエタノールアミン、0.4部の3-アミノトリエトキシシラン、10部の砂糖ビート糖蜜
結合剤6:樹脂3、1部の硫酸アンモニウム、0.2部のエタノールアミン、0.2部の3-アミノトリエトキシシラン、10部の砂糖ビート糖蜜
見かけ密度145kg/mを呈するロックウールから成る表面絶縁板及び見かけ密度20kg/mを呈するガラスウールから成る固定フェルトがミネラルウール製品として製造された。試験片は、製品から作られ、対応する試験方法により試験された。最初に、表面絶縁板の試験結果が表1及び表2に示される。
【表1】

【0049】
表面絶縁材料に対しては、非常に遅い水分吸収と同様に良好な機械的強度を示すことが重要である。したがって、追加的に導入された親水性成分にもかかわらず、驚異的に上昇する水分吸収を試験することに加えて、引裂試験が、特別な製品の強度を試験するために実行される。試験を行うために、標準試験片が2つの輪を有する金属板の間に貼り付けられ、その後適当な測定具で小片に裂かれる。表面絶縁材料はまた漆喰を塗られなければならいことから、商業的モルタルで塗られた未処理絶縁材料のみならず処理絶縁材料が試験された。漆喰が塗られ、及び塗られない絶縁材料の測定が同様になされる。理想的な場合には、両者の条件の間に見出される強度の相違は存在しない。表2で示されるデータは、やや低いグロス密度にもかかわらず、機械的強度は、通常標準よりも優れている。グロス密度が、同一のグロス密度を呈するならば、理想的には、その相違が一層より明らかであるはずである。
【0050】
表2:表面絶縁材料の機械的強度の測定
【表2】

【0051】
固定フェルトは室内で使用されるだけであるから、第2の例の固定フェルトに対する材料の機械的特性に関しては、異なる要求がある。この製品は非常に軽く、この絶縁材料の機械的安定性もそれ自体低いだけであるから、引裂抵抗を測定する上記方法の使用は不可能となる。フープ引裂強度と呼ばれる測定値を測定する目的で、環形状試験片が、固定フェルトから打ち抜かれ、適当な測定器具により引き裂かれる。製品の縦方向の引裂強度と横縦方向の引裂強度は、互いに異なることから、それらは、別々に測定される。結果を表3に示す。
【0052】
表3:固定フェルトのフープ引裂強度
【表3】

【0053】
この製品の機械的特性も同様に、エタノールアミン/糖蜜が結合剤に使用されると、改善されている。もちろん、標準と比べるとその変化は、その本来の低い強度により、この製品については非常に印象的ではない。製品で示された特性の改善は、研究室での単純な標準試験方法によっても示すことができる。水中での加熱中の結合剤の質量損失を示す加水分解抵抗性により、充填剤が硬化中に生起する高分子化を妨害するかどうかを見出すことができる。加水分解安定性を測定するために、適当な量の結合剤が硬化され、粉砕され、質量が一定になるまで乾燥され、4gの夫々の結合剤粉末が1.2lの水で5時間煮沸され、その後ろ過され、再度質量が一定になるまで乾燥される。質量損失は、手順の前後に重量測定された結合剤の相違から生じる。フェノールホルムアルデヒド樹脂は、異なる官能価を含むことから、この測定は、pH4.0、7.0及び10.0でなされる。
【0054】
NH含有結合剤と比較した結果が図1に示されるが、質量損失パーセントが、異なるpH値で示される。
【0055】
驚くべきことに、これらの研究は、アミノアルコール含有結合剤樹脂(結合剤4−6)が、NH標準(結合剤1−3)よりも水での溶解に対して高い抵抗性を一般的に示していることを明らかにした。
【0056】
NHを実質的に含まない新規なアミノアルコール含有結合剤の一般的な加工性について更に品質を制御することを目的として、個々の繊維ループの間の交差点の生成に重要であるゲル化時間が、エタノールアミンで例示された本発明による3つの結合剤1−3について、先行技術によるNH含有結合剤1−3と比較して、130℃で調べられた。結果は図2に示される。縦軸は、いわゆるB時間即ち重合化開始が始まる速度を示す。B時間は、既に良好な最終製品が得られている標準結合剤によって予め測定された、ある制限時間内になければならない。B時間があまりに短いと、重合化があまりにも早く進み、結合してはいるが未だ硬化していない結合剤の成形はもはや不可能である。しかしながら、B時間があまりに長いと、十分な結合剤が繊維に適用されず、機械的特性に関する製品品質にかなりの減少を生じる。
【0057】
結合剤4及び5に対するゲル化時間は、NH含有結合剤のゲル化時間より一層短いのに対して、結合剤6におけるその他のホルムアルデヒド樹脂に対するゲル化時間は、先行技術よりもやや高い。しかしながら、それらは、このタイプのゲルには未だ許容範囲内である。
【0058】
エタノールアミン/糖蜜の使用により生じる如何なる機械的特性の劣化も観察されなかった。
【0059】
操業試験では、エタノールアミン及び糖蜜をもつサイジング剤の調製の間に如何なる特別な困難も見込まれないことが示された。更に、手動混合の際の重量測定に関して、アンモニアを含む結合剤と比較して、生じる問題はより少ないことが好都合に判明した。
【0060】
所与の技術的条件で、本発明による結合剤の技術的適用について生じる問題はない。如何なる沈殿物も目詰りも観察されなかった。
【0061】
サイジング剤は、如何なる事件もなく使用することができた。如何なる悪臭の増加も、前硬化も乾燥遅延も観察されなかった。
【0062】
製品特性は、エタノールアミン/糖蜜の使用により不利に作用されることはない。試料は、標準製品から視覚的には区別することはできなかった。如何なる機械的特性及び水吸収特性の劣化も観察されなかった。研究室の試験により得られたデータが、このように確認された。
【0063】
図1及び2に示された測定値は、プロパノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン及びN-メチルエタノールアミンを含む結合剤の測定値と同様である。
【0064】
目下、エタノールアミンは、合理的な価格で工業的な量の現在での入手優位性、またそれの完全な(殆ど存在しない)発火及び点火性能により、好ましいアミノアルコールであるが、なされた試験は、原則として本発明の特許請求の範囲記載の如何なる化合物でも実行できることを明らかに示した。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】種々のpH値での、NHを含む先行技術と比較した本発明による2つの結合剤樹脂の加水分解安定性。
【図2】NHを含む先行技術と比較した、130℃での本発明による2つの結合剤樹脂のゲル化時間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノールホルムアルデヒド結合剤が、溶融ミネラルの繊維化後の未だ熱い繊維に適用される、結合ミネラルウールの製造方法であって、ヒドロキシルアミン若しくは下記一般式のアミノアルコールを含む結合剤が使用されることを特徴とする方法。
【化1】

ここで、R1及びR2は、互いに同一であるか異なり、そして独立して水素、1〜12個の炭素原子を有する直鎖或いは分岐の飽和或いは不飽和の脂肪族炭化水素、又は5〜8個の炭素原子を有する飽和或いは不飽和の脂環式或いは複素環式炭化水素、又は5〜12個の環原子を有する炭素環式或いは複素環式芳香族炭化水素、又は1〜50個のアルコキシ単位を有する鎖様或いは分岐アルキルエーテル、又は1〜50個のアルキルアミン単位を有する鎖様或いは分岐アルキルアミンであり、そして、
R3は、1〜12個の炭素原子を有する直鎖或いは分岐の飽和或いは不飽和の脂肪族炭化水素、又は5〜8個の炭素原子を有する飽和或いは不飽和の脂環式或いは複素環式炭化水素、又は5〜12個の環原子を有する炭素環式或いは複素環式芳香族炭化水素、又は1〜50個のアルコキシ単位を有する鎖様或いは分岐アルキルエーテル、又は1〜50個のアルキルアミン単位を有する鎖様或いは分岐アルキルアミンである。
【請求項2】
エタノールアミンが、アミノアルコールとして使用されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
糖含有処方、特に糖蜜が、好ましくはビートから作られた糖蜜が、添加されることを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
糖含有処方が、0.5〜25重量%の濃度で添加されることを特徴とする、請求項3記載の方法。
【請求項5】
酸性塩、特に硫酸アンモニウムが追加的に結合剤に添加されることを特徴とする、請求項1乃至4何れか1項記載の方法。
【請求項6】
約0.05〜4重量%の、好ましくは約0.05〜1.5重量%の、より好ましくは約0.1〜1.0重量%の、最も好ましくは約0.5重量%の含有量のアミノアルコール、特にエタノールアミンを有する結合剤が使用されることを特徴とする、請求項1乃至5何れか1項記載の方法。
【請求項7】
追加的に約0.1〜3.0重量%の酸性塩、特に硫酸アンモニウムを有する結合剤が使用されることを特徴とする、請求項1乃至6何れか1項記載の方法。
【請求項8】
約1.0重量%の硫酸アンモニウム濃度を有する結合剤が使用されることを特徴とする、請求項7記載の方法。
【請求項9】
約0.5重量%のエタノールアミン濃度及び約1.0重量%の硫酸アンモニウム濃度を有する結合剤が使用されることを特徴とする、請求項1乃至8何れか1項記載の方法。
【請求項10】
請求項1乃至9何れか1項記載の方法により、得ることができる結合ミネラルウール製品。
【請求項11】
ヒドロキシルアミン若しくは下記一般式のアミノアルコールを含むことを特徴とする、フェノールホルムアルデヒド樹脂系結合ミネラルウールの調製のための結合剤。
【化2】

ここで、R1及びR2は、互いに同一であるか異なり、そして独立して水素、1〜12個の炭素原子を有する直鎖或いは分岐の飽和或いは不飽和の脂肪族炭化水素、又は5〜8個の炭素原子を有する飽和或いは不飽和の脂環式或いは複素環式炭化水素、又は5〜12個の環原子を有する炭素環式或いは複素環式芳香族炭化水素、又は1〜50個のアルコキシ単位を有する鎖様或いは分岐アルキルエーテル、又は1〜50個のアルキルアミン単位を有する鎖様或いは分岐アルキルアミンであり、そして、
R3は、1〜12個の炭素原子を有する直鎖或いは分岐の飽和或いは不飽和の脂肪族炭化水素、又は5〜8個の炭素原子を有する飽和或いは不飽和の脂環式或いは複素環式炭化水素、又は5〜12個の環原子を有する炭素環式或いは複素環式芳香族炭化水素、又は1〜50個のアルコキシ単位を有する鎖様或いは分岐アルキルエーテル、又は1〜50個のアルキルアミン単位を有する鎖様或いは分岐アルキルアミンである。
【請求項12】
エタノールアミンを含むことを特徴とする、請求項11記載の結合剤。
【請求項13】
アンモニウム塩、特に硫酸アンモニウムを追加的に含むことを特徴とする、請求項11又は12記載の結合剤。
【請求項14】
約0.05〜2.5重量%の、好ましくは約0.05〜1.5重量%の、より好ましくは約0.1〜1.0重量%の、最も好ましくは約0.5重量%の含有量で、アミノアルコール、特にエタノールアミンを含むことを特徴とする、請求項11乃至13何れか1項記載の結合剤。
【請求項15】
アンモニウム塩、特に硫酸アンモニウムを約0.1〜3.0重量%の濃度で含むことを特徴とする、請求項11乃至14何れか1項記載の結合剤。
【請求項16】
硫酸アンモニウム濃度が約1.0重量%を示すことを特徴とする、請求項15記載の結合剤。
【請求項17】
アミノアルコール、特にエタノールアミンの濃度が約0.5重量%に達し、硫酸アンモニウム濃度が約1.0重量%に達することを特徴とする、請求項11乃至16何れか1項記載の結合剤。
【請求項18】
糖含有処方、特に糖蜜が、好ましくはビートから作られたものを追加的に含むことを特徴とする、請求項11乃至17何れか1項記載の結合剤。
【請求項19】
糖含有処方が、結合剤中に0.5〜25重量%の濃度で存在することを特徴とする請求項18記載の結合剤。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−546920(P2008−546920A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517517(P2008−517517)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【国際出願番号】PCT/EP2006/063565
【国際公開番号】WO2006/136614
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(501085706)サン−ゴバン・イソベール (46)
【Fターム(参考)】