説明

結晶質ゼオライト系固体

【課題】結晶質ゼオライト系固体の製造方法。
【解決手段】少なくとも一つのゼオライト系材料を含有する結晶質固体の製造方法において、この固体が、少なくとも一つの前駆物質化合物から結晶化され、かつ、結晶化の反応流出物は直接的に乾燥工程に供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一つのゼオライト系材料を含有する結晶質固体の改善された製造方法に関し、この場合、この方法は、結晶化からの反応流出物が、任意の成分を除去することなく、直接的に連続乾燥に供給するものであり、この方法で製造される固体、およびその触媒、触媒のための担体、吸収剤、顔料またはプラスチックのための充填剤としての使用、特にオレフィンからのエポキシドの製造、さらに、プロペンから出発して、過酸化水素、特に、Hを使用して、プロピレンオキシドを製造するための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼオライトは、規則正しいチャンネルおよび気孔の大きさが0.9nmを下廻るミクロ孔の範囲でケージ構造(cage structure)を有する結晶質アルミノシリケートであることは公知である。このようなゼオライトの網目状構造は、SiO−およびAlO−四面体から成り、この場合、これは、通常の酸素架橋を介して結合される。公知の構造に関しては、たとえば、M.W.Meier、D.H.Olson、Ch.Baerlocher、"Atlas of Zeolite Structure Types"、第4版、Elsevier,London 1996年、第9頁〜第229頁に記載されている。
【0003】
交換可能なカチオンは、Al(III)をSi(IV)シリケート格子に組み込むことによって生じる負の電荷を補う目的で、ゼオライト中に存在し、特に、このカチオンは、製造方法に依存して、ナトリウム、カリウム、リチウムまたはセシウムのカチオンであってもよい。これらのカチオンが、たとえば、イオン交換器によってプロトンと交換される場合には、ゼオライト構造を有する相当する酸性の固体、すなわち、H−形(H−form)が得られる。
【0004】
アルミニウムを含まず、かつ、シリケート格子中で、いくつかのSi(IV)がTi(IV)としてのチタンによって置換されているゼオライトも公知である。これらのチタンゼオライト、特に、MFI型の結晶質構造を有するゼオライトおよびその製造の可能性は、たとえば、ヨーロッパ特許第0311983号明細書(EP−A)または同第405978号明細書(EP−A)中に記載されている。珪素およびチタン以外に、このような材料は、付加的な元素、たとえば、アルミニウム、ジルコニウム、錫、鉄、コバルト、ニッケル、ガリウム、ホウ素または少量のフッ素を含有していてもよい。新規方法中で使用されるゼオライト触媒において、いくつかまたはすべてのゼオライトのチタンは、バナジウム、ジルコニウム、クロムまたはニオブまたはこれらの2個またはそれ以上の混合物によって置換されていてもよい。チタンおよび/またはバナジウム、ジルコニウム、クロムまたはニオブと、珪素およびチタンおよび/またはバナジウムおよび/またはジルコニウムおよび/またはクロムおよび/またはニオブの合計とのモル比は、一般に、0.01:1〜0.1:1である。
【0005】
チタンゼオライトが、X線回析図での測定での特殊な図形から、さらには、約960cm−1での赤外域中での骨格振動バンドから同定することができることは公知であり、これによって、アルカリ金属チタネートまたは結晶質または非晶質TiO相と区別することができる。
【0006】
MFI構造を有するチタンゼオライトは、酸化反応のための触媒として適切であることが公知である。したがって、たとえば、ヨーロッパ特許第0100118号明細書(EP−A)およびヨーロッパ特許第0100119号明細書(EP−A)では、水相中で、過酸化水素を用いて、チタンゼオライト上で、プロペンをエポキシ化することによって、プロピレンオキシドを得る方法が開示されている。アンモニアおよび過酸化水素との反応によって、シクロヘキサノンからシクロヘキサノンオキシムを製造することは、ヨーロッパ特許第0208311号明細書(EP−A)中に記載されている。このような触媒で使用される他の反応、たとえば、芳香族の水素化および飽和C〜C18−炭化水素のHでの酸化は、それぞれ、英国特許第2116974号明細書(GB−A)およびヨーロッパ特許第0376453号明細書(EP−A)中に開示されている。
【0007】
典型的には、前記チタンゼオライトは、SiO源、チタンオキシドおよび窒素含有有機塩基、たとえば、テトラプロピルアンモニウム水酸化物を、アルカリ溶液の存在下または不含下で、圧力容器中で、高められた温度で、数時間かまたは数日間に亘って反応させることによって製造され、その際、結晶質生成物が得られる。これは、一般的に濾別され、洗浄され、乾燥され、かつ高められた温度で焼成され、窒素含有有機相を除去する。このようにして得られた粉末中で、少なくとも幾つかのチタンが、ゼオライト網目状構造の範囲内で、種々の割合で、4、5または6倍の配位(coordination)で存在する(Behren et al., J. Chem. Soc., Chem. Commun. (1991) 678-680)。触媒挙動を改善させる目的のために、これは、チタンゼオライト粉末が乾燥され、かつ再度焼成された後に、硫酸中で、過酸化水素の溶液で洗浄することによる繰り返しの処理によっておこなわれ、この場合、これは、ヨーロッパ特許第0276362号明細書(EP−A)中に記載されている。このようにして得られたチタンゼオライト粉末は、触媒として、取り扱い可能な形で、利用できるようにするために、最終的には、付形工程で、適したバインダを添加することによって処理されなければならない。この目的のための方法の一つは、ヨーロッパ特許第0200260号明細書(EP−A)中に記載されている。
【0008】
熱水反応による適した出発材料からのチタンゼオライトの前記の結晶化は、一般には、50〜250℃で、十分に長い時間に亘って実施され、その際、自生圧(autogenous pressure)が、温度の関数として確立されている。
【0009】
結晶化の後に、一般には、本質的に1μm未満の粒径を有する望ましい結晶質固体を、依然として有機性の鋳型を含有する強アルカリ母液から分離する問題がある。この目的のために、ヨーロッパ特許第0893158号明細書(EP−A)では、実施例において、通常の遠心分離およびその後の固体の洗浄による分離か、あるいは凝集剤の添加引き続いての遠心分離が記載されている。これによれば、その後の乾燥は、噴霧乾燥であるかまたは流動床噴霧造粒の方法による乾燥で実施される。結晶化中で得られる懸濁液からのゼオライトの分離、および凝集剤の添加の双方は、時間がかかり、かつ高価な付加的工程を構成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】ヨーロッパ特許第0311983号明細書
【特許文献2】ヨーロッパ第405978号明細書
【特許文献3】ヨーロッパ特許第0100118号明細書
【特許文献4】ヨーロッパ特許第0100119号明細書
【特許文献5】ヨーロッパ特許第0208311号明細書
【特許文献6】英国特許第2116974号明細書
【特許文献7】ヨーロッパ特許第0376453号明細書
【特許文献8】ヨーロッパ特許第0276362号明細書
【特許文献9】ヨーロッパ特許第0200260号明細書
【特許文献10】ヨーロッパ特許第0893158号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】M.W.Meier、D.H.Olson、Ch.Baerlocher、"Atlas of Zeolite Structure Types"、第4版、Elsevier,London 1996年、第9頁〜第229頁
【非特許文献2】Behren et al., J. Chem. Soc., Chem. Commun. (1991) 678-680
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、少なくとも一つのゼオライト系材料を含有する結晶質固体の製造方法を提供することであり、この場合、この方法は、前記欠点を有することなく、特に、結晶化と乾燥との間の付加的な中間工程なしに処理される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の目的が、少なくとも一つのゼオライト系材料を含有する結晶質固体の製造方法によって達成されることが見出され、この場合、固体は、少なくとも一つの前駆物質化合物から結晶化され、かつ、結晶化の反応流出物は、直接的に乾燥工程に供給される。ここで、"直接的に"の用語は、任意の成分の除去が、結晶化および乾燥の間で実施されないことを意味し、かつ、好ましくは、結晶化生成物は、乾燥工程に、さらに中間工程を必要とすることなく供給される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
新規の乾燥方法は、好ましくは、噴霧乾燥の方法によってかまたは流動床噴霧造粒の方法によって実施され、それぞれの場合において、連続的にかまたはバッチ毎に実施されてもよい。乾燥は、温度を100〜350℃、好ましくは100〜250℃に保ちながら、工程中に不可欠な安全な条件を維持しながら、易流動性の粉末が得られるまで乾燥させる。乾燥は、好ましくは、雰囲気中で実施され、この場合、これは、水素および少なくとも一つの不活性ガスを含有する。この雰囲気は、好ましくは、キャリアーガス流として循環される。通常の不活性ガス、たとえば、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、ヘリウムおよびアルゴンまたはこれらの2個またはそれ以上の混合物は、不活性ガスとして使用されてもよい。雰囲気の酸素含量は、好ましくは10体積%未満、より好ましくは5体積%未満である。さらに、爆発の問題のないことが確実であるCOx含量を有する煙道ガス混合物は、不活性ガスとして使用することができ、その際、煙道ガス製造のための天然ガスの燃焼によって、このような煙道ガスを得ることは可能であり、かつ、方法のエネルギー集中工程のためのエネルギーを同時に生み出すことが可能である。
【0015】
本発明による乾燥工程において、雰囲気を、特に酸素含量に関して調整することが必要不可欠であり、したがって、方法は、爆発限界の外で、安全に実施することができる。
【0016】
最初に記載された結晶化が、鋳型化合物の存在下で実施される場合には、乾燥材料として結晶質固体になおも付着していてもよいこの鋳型化合物は、下降流工程中で、好ましくは水性洗浄液を用いて除去することができ、かつ、結晶化工程に再循環することができる。しかしながら、鋳型の大部分は、反応流出物の乾燥の間に除去され、その際、キャリアーガス流中に存在する凝縮可能な鋳型化合物は、凝縮されている。
【0017】
したがって、本発明は、少なくとも一つのゼオライト系材料を含有する結晶質固体を製造するための一体化された方法に関し、この場合、この方法は、
(i)固体を、少なくとも一つの鋳型化合物の存在下で、少なくとも一つの前駆物質化合物から連続的に結晶化させ、
(ii)結晶化からの反応流出物を、連続的に噴霧乾燥させ、その際、結晶化の反応流出物の成分は、乾燥前に分離除去されることはなく、
(iii)乾燥を、酸素、好ましくは少なくとも10体積%の酸素、および少なくとも一つの不活性ガスを含有する雰囲気中で実施し、その際、雰囲気はキャリアーガス流として循環されており、
(iv)乾燥されるべき反応流出物を有するキャリアーガス流を接触させた後に、キャリアーガス流から凝縮可能な鋳型化合物を凝縮させ、かつ(i)に循環させ、
(v)(ii)からの噴霧乾燥された結晶質固体を、連続的な洗浄工程に提供し、その際、結晶質固体中に含まれる鋳型化合物は分離除去され、かつ、(i)に再循環させ、かつ、
(vi)(v)から得られる結晶質固体を焼成し、その際、鋳型化合物の残留量を燃焼させた結果として、放出されたエネルギーを(i)にフィードバックさせる。
【0018】
さらに、噴霧乾燥材料を結合するのに役立つ助剤、すなわち、前記材料に機械的安定性を付与するための助剤であるか、あるいは、接触的に活性の成分を有する噴霧乾燥された材料をドーピングするために役立つ助剤は、乾燥前に反応流出物に添加されてもよく、かつ、ドイツ特許出願公開第4425672号明細書(DE-A)によれば、酸化触媒として生じる固体を使用するための金属の塗布は、ここで挙げるべきである。
【0019】
結晶質固体に関してはまったく制限がなく、この場合、これは、新規方法によって乾燥または製造され、かつ、少なくとも一つのゼオライト系材料を含有する。以下のゼオライトは別個に挙げられてもよい。
【0020】
Ti、Ge、Te、Ta、V、Cr、NbおよびZrゼオライト、および特にはTiゼオライトが好ましくは使用される。
【0021】
これらは、特に、構造型

かまたはこれらの構造の2個またはそれ以上を含有する混合構造のTi、Ge、Te、Ta、V、Cr、NbまたはZrゼオライトか、あるいはこれらゼオライトの2個またはそれ以上の混合物を含み、この場合、順に、MFI構造、BEA構造、MEL構造、ITQ−4またはMFI/MEL混合構造を含むものが、特に好ましい。この型のゼオライトは、たとえば、前記刊行物中で、W.M.Meierらによる刊行物中に記載されている。
【0022】
特に好ましい触媒は、特には、Ti−含有ゼオライト触媒であり、この場合、これは、一般には、"TS−1""TS−2""TS−3""ZSM−48"および"ZSM−12"と呼称され、それぞれの場合において、Ti、TTM−1、Ti−RUT、Ti−MCM−35、型"UTD−1""CIT−5""CIT−1"および"SSZ−24"のチタン含有ゼオライトおよびβ−ゼオライトと同型の骨格構造を有するTiゼオライトを含有するものである。
【0023】
たとえば、米国特許第3329481号明細書中で開示されているようなチタンゼオライトが使用される。このようなチタンゼオライトの場合、本質的にシリケート格子中に存在するSi(IV)のいくつかが、Ti(IV)としてチタンによって置換されている。
【0024】
他のチタンゼオライト、特に、MFI型の結晶構造を有するゼオライトおよびこれらの製造の可能性は、特に、米国特許第4410501号明細書、ヨーロッパ特許第0311983号明細書(EP−A)、米国特許第4666692号明細書、ドイツ特許出願公開第3047798号明細書(DE−A)またはベルギー特許第1001038号明細書中に記載されており、この内容は、本明細書中で、参考のためにここで十分に組み込まれているものである。本発明中で簡単に使用されてもよく、かつ、MFI構造とは異なる構造を有する他のチタン含有ゼオライトは、たとえば、ヨーロッパ特許第0405978号明細書(EP−A)中で記載されている。珪素およびチタン以外に、このようなゼオライトはさらに付加的な元素、たとえば、アルミニウム(特に、ドイツ特許出願公開第3141283号明細書中で記載)、ガリウム(ヨーロッパ特許第0266825号明細書(EP−A))、ホウ素(米国特許第4666692号明細書)または少量のフッ素(ヨーロッパ特許第0292363号明細書(EP−A))を含有していてもよい。ここで記載されているゼオライトに関して、前記記載の文献の内容は、本明細書中において参考のためにのみ記載されている。
【0025】
本発明の方法中で使用されてもよい他のゼオライト触媒は、特に、米国特許第5430000号明細書(US−A)およびWO94/29408で記載されており、この内容は、本明細書中において参考のためにのみ記載されている。
【0026】
他のチタン含有ゼオライトの例は、フェリエライトまたはβ−ゼオライトの構造またはモルデン沸石の構造を有するものである。
【0027】
さらに、以下のゼオライト触媒は、新規方法で使用されてもよい:
ゼオライト構造を有する触媒は、たとえば、ドイツ特許出願公開第19623611.8号明細書(DE−A)で記載されており、この場合、これは、参考のために、ここで記載された触媒に関して、本明細書中に記載されている。
【0028】
酸化触媒は、ゼオライト構造を有するチタンシリケートまたはバナジウムシリケートに基づいており、この場合、これは、ゼオライト構造に関して前記で好ましいと記載した構造からなっている。これらの触媒は、前記文献中で詳細に記載されているように、強度を付与する付形工程によって形成されることを特徴とする。
【0029】
さらに、ゼオライト構造を有し、かつ、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、プラチナ、レニウム、金および銀から成る群からの一つまたはそれ以上の貴金属 0.01〜30質量%を含有する、チタンシリケートまたはバナジウムシリケートに基づく酸化触媒が使用されてもよく、この場合、これは、同様に、強度を付与する付形工程によって形成されていることを特徴とする。このような触媒は、ドイツ特許出願公開第19623609.6号明細書(DE−A)に記載されており、この場合、これは、ここで記載された触媒に関して、本明細書中に参考のためにのみ含まれる。
【0030】
強度を付与する付形工程に関して、バインダおよび助剤および酸化触媒の構造は、ドイツ特許出願公開第19623611.8号明細書を参考にした。
【0031】
ドイツ特許出願公開第19623609.6号明細書中に記載された酸化触媒は、それぞれの場合において、チタンまたはバナジウムゼオライトの量に対して、前記貴金属を0.01〜30質量%、殊に0.05〜15質量%、特に0.1〜8質量%含有する。ここで、パラジウムは特に好ましい。貴金属は、適した貴金属成分の形で、たとえば、水溶性の塩の形で、強度を付与する付形工程の前、付形工程中または付形工程後に、触媒に塗布されてもよい。
【0032】
さらに、以下の触媒は、本発明の方法によって使用されてもよい:
少なくとも一つの多孔質酸化材料を含有し、かつ以下の工程を含む方法によって得ることが可能な成形体:
(I)少なくとも一つのアルコールおよび水を含有する混合物を、多孔質酸化材料を含有する混合物または2個またはそれ以上のこれらの混合物に添加し、かつ、
(II)工程(I)によって添加された混合物を混練、成形、乾燥および焼成する。
【0033】
この触媒の詳細は、ドイツ特許出願公開第19723751.7号明細書中に記載されており、この場合、これは、参考のためにのみ本明細書中に組み込まれている。
【0034】
本発明によれば、さらに、シリカ含有固体を使用することが可能であり、この場合、これは、以下の工程(I)を含む方法によって製造することができる:
(I)少なくとも一つのシリカの前駆物質を、少なくとも一つの構造形成体(structure former)と、液体媒体中で接触させ、この場合、これは、構造形成体がポリエチレンイミンまたはこれらの2個またはそれ以上の混合物であることを特徴とする。
【0035】
この固体の詳細については、ドイツ特許出願公開第19732865.2号明細書中に記載されており、その内容は、本明細書中に参考のために十分に組み込まれている。
【0036】
他の簡単に使用可能な触媒は、ドイツ特許出願公開第19754924.1号明細書に記載されているように、不活性の支持体およびそれに塗布される、少なくとも一つのシリケート、好ましくは結晶質シリケートを含有し、少なくとも一つのシリケートおよび少なくとも一つの金属酸エステルかまたはこれらの加水分解物の混合物であるか、あるいは、金属酸エステルおよびこれらの加水分解物を、不活性支持体に塗布することによって得ることが可能な成形体であり、この場合、これは、本明細書中に参考のために組み込まれている、ドイツ特許出願公開第19754924.1号明細書中に同等に記載されている。
【0037】
本発明によれば、少なくとも一つのシリケートおよび少なくとも一つの金属酸化物を含有し、以下の工程(i)を含む方法によって、製造することが可能な成形体を使用することができ、この場合、これは、ドイツ特許出願公開第19815879.3号明細書に記載されている:
(i)少なくとも一つのシリケートと、少なくとも一つの金属酸化物ゾルとを混合し、この場合、これは、低含量のアルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンを有する。
【0038】
これ関する内容は、同様に、本明細書中に、参考のために組み込まれている。
【0039】
本発明によれば、さらに、RUT構造を有し、工程(i)および(ii)を含有する方法によって製造可能なチタンシリケートの使用を可能にする:
(i)少なくとも一つのSiO源および少なくとも一つのチタン源の混合物を製造し;
(ii)圧力容器中で、少なくとも一つの鋳型化合物の添加によって、(i)から混合物を結晶化し、その際、得られる懸濁液は、シリケート構造[445462]および[44566581]のケージを安定化させるのに適したアミン塩またはアンモニウム塩が鋳型化合物として使用されることを特徴とする。
【0040】
これらの触媒の詳細は、ドイツ特許出願公開第19839792.5号明細書中に記載されている。
【0041】
本発明によれば、さらに、メソ孔およびミクロ孔を有するドイツ特許出願公開第19847630.2号明細書中に記載されたシリカを使用することが可能であり、その際、シリカは好ましくは以下の特徴(i)〜(iii)の一つまたはそれ以上を有する。
(i)メソ孔およびミクロ孔の比表面積の合計が少なくとも200m/gである;
(ii)メソ孔およびミクロ孔の孔体積の合計が少なくとも0.2ml/gである;
(iii)メソ孔の最大直径分布が少なくとも3nmである。
【0042】
これらの触媒の他の詳細は、前記出願中に記載されており、これに関する内容は、本明細書中において参考のために十分に組み込まれている。
【0043】
前記のように、新規方法によって製造されたゼオライト含有結晶質固体は、触媒、触媒のための担体、吸収剤、顔料またはプラスチックのための充填剤として、通常の方法で使用されてもよく、その際、アルケンから出発し、過酸化水素を使用してのアルキレン酸化物の製造、特に、プロペンとHを反応させることによるプロペンオキシドの製造のための使用が特に挙げられる。
【0044】
本発明は、実施例を用いて例証される。
【0045】
実施例
テトラエトキシシラン 11.98g、テトラエチルオルトチタネート 240gおよび脱イオン水 10.54g中のテトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(水中40質量%)の混合物を、攪拌可能なスチール製圧力容器中で混合し、1時間に亘って室温でホモジナイズした。形成されたアルコールを留去し、残留物を水18.1kgに入れ、かつ、結晶化を24時間に亘って、175℃で、攪拌しながらおこなった。
【0046】
結晶化生成物を、他の分離工程または精製工程を用いることなく、パイプラインを介して、噴霧乾燥器(Niro社)に移し、かつ、3l/hの速度で、ノズルを介して噴霧した。入口温度は230℃であり、その際、出口温度は110〜120℃であった。使用されたキャリアーガスは、2体積%の酸素を有する窒素であった。乾燥用ガスの量は、70m(S.T.P.)/hであり、その際、乾燥用ガスは、流出ガスによって、110℃に予め加熱されている。
【0047】
結晶化および噴霧乾燥の一体化された工程における、チタンゼオライト中のSiOの収率は、使用されたSiOに対して94%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのゼオライト系材料を含有する結晶質固体の製造方法において、固体を、少なくとも一つの前駆物質化合物から結晶化させ、かつ、結晶化の反応流出物を、直接的に乾燥工程に供給することを特徴とする、結晶質固体の製造方法。
【請求項2】
乾燥が噴霧乾燥である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
乾燥を、酸素、好ましくは10体積%未満の酸素、および少なくとも一つの不活性ガスを含有する雰囲気中で実施する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
結晶化を、少なくとも一つの鋳型化合物の存在下で実施する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
乾燥させるべき反応流出物を有するキャリアーガス流の形での雰囲気と接触させた後に、流中に存在する凝縮可能な鋳型化合物を凝縮させることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
乾燥した結晶質固体中に含まれる鋳型化合物を、少なくとも一つの洗浄工程によって、固体から分離させることを特徴とする、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
ゼオライト系材料が、

の構造型かまたはこれら構造の2個またはそれ以上を含む混合構造のTi、Ge、Te、Ta、V、Cr、NbまたはZrゼオライトであるか、あるいはこれらゼオライトの2個またはそれ以上の混合物である、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法によって製造可能な結晶質固体。
【請求項8】
ゼオライト系材料が、アルミニウム、チタン、ホウ素、鉄、ガリウム、バナジウム、ジルコニウム、亜鉛、錫、テルル、ゲルマニウム、希土類金属から選択された少なくとも一つの元素およびこれらの2個またはそれ以上の混合物、および/またはナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、第Ib族、第IIb族および第VIIIa族の金属から成る群から選択された少なくとも一つの元素およびこれらの2個またはそれ以上の混合物を含有することを特徴とする、請求項7に記載の固体。
【請求項9】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法で製造可能な固体または請求項7または8に記載の固体の、触媒、触媒のための担体、吸収剤、顔料またはプラスチックのための充填剤としての使用。
【請求項10】
少なくとも一つのゼオライト系材料を含有する結晶質固体を製造するための一体化された方法において、
(i)固体を、少なくとも一つの鋳型化合物の存在下で、少なくとも一つの前駆物質化合物から連続的に結晶化させ、
(ii)結晶からの反応流出物を、連続的に噴霧乾燥し、その際、結晶化の反応流出物の成分は、乾燥前に分離されることはなく、
(iii)乾燥を、酸素、好ましくは10体積%の酸素、および少なくとも一つの不活性ガスを含有する雰囲気中で実施し、その際、この雰囲気はキャリアーガス流として循環されており、
(iv)乾燥させるべき反応流出物を有するキャリアーガス流との接触後に、キャリアーガスから凝縮可能な鋳型化合物を凝縮し、(i)に再循環させ、
(v)(ii)からの噴霧乾燥させた結晶質固体を、連続的に洗浄工程に提供し、その際、結晶質固体中に含まれる鋳型化合物は分離除去され、(i)に再循環され、かつ、
(vi)(v)から得られた結晶質固体を焼成し、鋳型化合物の残留量を燃焼させた結果として放出されるエネルギーを(i)にフィードバックすることを特徴とする、結晶質固体を製造するための一体化された方法。

【公開番号】特開2011−162441(P2011−162441A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113862(P2011−113862)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【分割の表示】特願2001−518353(P2001−518353)の分割
【原出願日】平成12年8月8日(2000.8.8)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】