説明

結束具、被結束体の結束方法及び結束装置

【課題】作業者が被結束体の集束体を両手に持って、屈曲した所定の通路に交差させながら移動させる間に、被結束体を結束できる結束具、結束方法及び結束装置を提供する。
【解決手段】平面がほぼC字形をなすブリスタ・ケース型の合成樹脂製結束具10が連結されている結束連結体20を一対の板状部材52,53の間の第二切欠き通路59に用意して、被結束体70の集束部72を板状部材の上端面52a,53aから延びる第一切欠き通路28を降下させることにより、前記結束連結体の先端にある結束具の捕捉部に前記集束部を捕捉させ、次いで、その集束部を、第二切欠き通路59及びそれから方向を変えて延びる第三切欠き通路60の中を順次通過させる間に、結束具に結束された結束体80を取り出すとともに、次の結束に要する結束具を第二切欠き通路に準備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品又はその物品を包んだ又は包囲した包装体等、結束されようとする被結束体を結束する結束具、その結束具を使用する結束方法及び結束装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、前記種類の結束方法は、例えば、特許第3882105号明細書で公知である。この公知例には、図16に示すように、被結束体として物品1を容れた包装袋2が束ねられてできた集束部3を、図17に示すように、平面がほぼC字形をなす合成樹脂製の鱗片状結束具4の捕捉部5により、結束する技術が開示されている。この結束具4は、物品1を包装袋2で一旦結束すると、包装袋2の中に物品1を確実に保持できるという優れた効果を発揮する。
【先行技術文献】
【特許文献1】 特許第3882105号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、図18に示すように、物品1を入れた包装袋2に対して、作業者が手で集束部3をつくり、その集束部3を前記結束具4により結束しようしても、前記捕捉部5に連通するV字形導入部6が拡開しないため、集束部3を結束できない。なぜならば、この結束具4自体は比較的剛性が大きくかつ比較的厚みの大きい合成樹脂からできているだけでなく、元来、この結束具4は、最初から集束部3を前記導入部6に通して包装袋2を結束する意図を以って設計されていないからである。特別に設計された自動包装装置を使用して、図19に示すように、包装袋3の開口部7をシート状に畳んで薄くし、そのシート状開口部7を前記導入部6に挿入することを前提として形成されているのである。
【0004】
ところが物品の流通分野において、完全に自動包装できない物品があったり、花束の包装のように作業者が製品を区分けして束状にすると同時に包装する作業があったりするが、このような包装態様には前記公知技術の採用は困難であるのみならず、一旦結束具4による結束を解除しようとしても、結束具4の剛性が大きいので解除が困難である。また、公知技術に係る結束具は、厚みが大きいため、省資源的な結束具であるとは言えない。
【0005】
そこで、本発明者は、作業者が被結束体の集束部を両手にもってそれを結束できるとともに、一旦集束部を結束した結束を解除できる省資源的な結束体を提供すべく、鋭意、検討したところ、結束具として、肉厚の薄い合成樹脂シートから製造した結束具であって、肉厚が薄いために生ずる撓み性の低下をカバーできる構造の結束具、すなわち、ブリスタ・ケース型構造の結束具を使用すればよいという事実、及び前記結束具を特定の状態において被結束体と交差させながら被結束体を特定の方向に特定の距離だけ変位させる過程で前記結束具による被結束体の結束を実現すればよいという事実を見出し、本発明を完成した。
【0006】
従って、本発明の課題は、作業者が被結束体の集束部を両手で持って一つの動作により結束できる結束方法及びその方法の実現に最適な結束装置並びに一旦結束具により被結束体を結束しても、その結束の解除が容易でかつ省資源的な形状・構造の結束具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記の課題を解決するために、まず、結束具として、平面がほぼC字形をなすブリスタ・ケース型の合成樹脂製結束具を使用する。ここで、ブリスタ・ケース型とは、プラスチックシートを使用して物品を包装する一態様として、プラスチックシートに物品の外形に相当する膨らみ領域を形成し、その膨らみ領域に物品を落とし込むブリスタ包装があるが、この膨らみ領域のような形状状態を意味する。この形態においては、膨らみ領域の頂部又は反転させてみた場合は、底部が平らになっている。本発明に係る結束具は、物品の大きさによっても異なるが、0.3〜1.0mmと比較的厚みが小さいが、その中央をテーブルマウンテン状のリブが走る構造を有しているので、耐撓み性を発揮する。
【0008】
しかしながら、前記結束具単独で被結束体の集束部を結束するには、結束生産性が低下するので、本発明においては平面がほぼC字形をなすブリスタ・ケース型の合成樹脂製結束具が多数個同じ配向をもって連結している結束具連結体を使用する。ここで、結束具が「多数個同じ配向をもって連結している」とは、各結束具において被結束体の集束部を捕捉する捕捉部が中央に形成されているとともに、その捕捉部に対して外方から前記集束部を誘導する隘路部が形成されているが、この隘路部が結束連結体の同一側縁部に位置していることを意味する。以下においても同じである。
【0009】
そして、この結束具連結体を使用して、次のステップを経ることにより、被結束体の集束部が結束具により結束される。すなわち、平面がほぼC字形をなすブリスタ・ケース型の合成樹脂製結束具が多数個同じ配向をもって連結している結束具連結体を出発点から第一方向に向けて前進させて第一停止点に停止させるステップ(第一段ステップ)と、第一方向と異なる第二方向から結束具の捕捉部に被結束体の集束部を押し込んで、その集束部を第一方向に前進させるとともに、前記結束具を第二停止ポイントに停止させるステップ(第二段ステップ)と、前記集束部を第二方向と異なる第三方向に変位させるステップ(第三段ステップ)とからなる被結束体の結束方法を採用する。
【0010】
前記の結束方法は、結束具連結体の変位方向をベースにして組み立てられた技術思想に立脚するものであるが、被結束体の結束方法を次のような操作ステップを以って把握することもできる。すなわち、平面がほぼC字形をなすブリスタ・ケース型の合成樹脂製の結束具が多数個同じ配向をもって連結している結束具連結体を用意する第一ステップと、該結束連結体の先端に位置する結束具の捕捉部に被結束体の集束部を押し込んで前記集束部を前記捕捉部に捕捉させる第二ステップと、前記捕捉部に押し込まれた集束部を結束具の横幅に相当する長さだけ変位させることにより、前記捕捉部による前記集束部の結束を完遂させるとともに前記結束連結体を変位させる第三ステップと、変位した結束連結体から結束具を強制的に分離する第四ステップとからなる方法を採用する。この方法を採用することにより、作業者が被結束体の集束部を両手に把持したままそれを連続的に降下させるという一つの動作により、被結束体を結束できる。なお、前記第一ステップにおいて、結束具連結体はリールから繰り出されてそのまま又は捻られた状態で所定位置に用意される。
【0011】
さらに後述する装置の構成要素との関連において本発明に係る結束方法を述べれば、スペーサを介して平行に組み立てられた一対の板状部材の間に、平面がほぼC字形をなすブリスタ・ケース型の合成樹脂製結束具を多数個同じ配向をもって連結してなる結束連結体を、それらが有する前記捕捉部がほぼ上を向くように用意する第一ステップと、前記板状部材の上端面から下方に延びる第一切欠き通路において、被結束体被結束体の集束部を降下させることにより、前記結束連結体の先端に位置する結束具の捕捉部に前記集束部を捕捉させる第二ステップと、前記第一切欠き通路から延びる第二切欠き通路において、結束具に捕捉された集束部を結束具の横幅に相当する長さだけ変位させることにより、前記捕捉部による前記集束部の結束を完遂させるとともに前記結束連結体を変位させる第三ステップと、前記第二切欠き通路から延びる第三切欠き通路中において、結束具に結束された結束体を変位させることにより、前進した結束連結体から結束具を強制的に分離する第四ステップとにより被結束体を結束する。
【0012】
上記の方法は、次の要素からなる結束装置本体を使用すると、本発明の課題を効率的に解決できる。すなわち、スペーサを介して平行に配置された2枚の板状部材と、その板状部材がほぼ垂直になるように下部で支持する支持体と、前記板状部材間の上部一側端側から中央部に向けて、平面形状がほぼC字形をなすブリスタ・ケース型の合成樹脂製結束具が多数個同じ配向をもって連結された結束連結体を案内するガイド部材と、前記板状部材の上端面からほぼ下方に延びる第一切欠き通路と、該第一切欠き通路から方向を変えて延びる第二切欠き通路と、該第二切欠き通路から方向を変えて延びる第三切欠き通路と、該第三切欠き通路の終端部から前記板状部材のほぼ中央部に拡開して形成される拡開切欠き口とからなる被結束体の結束装置本体が使用される。なお、本発明において、下方とは、垂直方向の下方であってもよいし、幾分下方を向いて傾斜していてもよい。
【0013】
さらに上記装置本体による被結束体の結束をより確実にするために、前記通路に次のような改良策を施す。すなわち、前記第一切欠き通路のうち、前記板状部材の上端面に近い部位の通路幅を下方から前記上端面に向かってテーパー状に拡開させるとともに、前記第二切欠き通路のうち、前記第一切欠き通路に近い部位の通路幅を下流側から該第一切欠き通路側に向かってテーパー状に拡開することにより、第一切欠き通路に対する被結束体の集束部を導入し易くし、第二切欠き通路に前記集束部を導くとき、結束具に存在する捕捉部により集束部を完全に結束させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、作業者か両手で被結束体の集束部をもって一つの動作により結束できる結束方法及び装置並びにそれらに使用できる、解除が容易でかつ省資源的な結束具を提供できるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る結束具の斜視図である。
【図2】同平面図である。
【図3】本発明に係る結束具連結体の平面図である。
【図4】本発明に結束装置の全体を示す正面図である。
【図5】同上面図である。
【図6】本発明に係る結束方法により被結束体が結束されようとする状態又は結束された結束体を示す斜視図である。
【図7】本発明に係る一結束装置本体の正面を示す斜視図である。
【図8】同裏面を示す斜視図である。
【図9】本発明に係る結束方法における一ステップを示す部分破断正面図である。
【図10】本発明の装置に対して被結束体の集束部が最初に案内される状態を示す部分拡大図である。
【図11】本発明の装置に対して被結束体の集束部が案内された途中の段階を示す部分拡大図である。
【図12】同様にさらに途中の段階まで集束部が案内された状態を示す部分拡大図である。
【図13】結束具により被結束体の集束部が結束された状態を示す部分拡大断面図である。
【図14】本発明に係る結束装置の他の態様を示す正面図である。
【図15】同様にさらに他の態様を示す正面図である。
【図16】従来技術に係る被結束体の結束方法を示す斜視図である。
【図17】従来技術に係る結束具の斜視図である。
【図18】前記結束具により本発明の被結束体を結束しようとする場合の結束態様を示す要部斜視図である。
【図19】従来の被結束体を結束しようとする結束態様を示す前記同様の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、図面を参照しながら、本発明に係る結束具及び結束装置並びに結束方法について順次説明する。
(結束具)図1及び図2に示すように、本発明に係る結束具10は、合成樹脂製シートを一対の上型と下型からなる金型により絞り成形、スタンプ成形、エンボス成形等の成形法により得られ、平面がほぼC字形をなすブリスタ・ケース型をなしている。結束具10は、その主要部である結束本体11と、被結束体の製造又は生産履歴を表示する表示体(後述)を係止するために、結束本体11と一体的に成形された表示体係止部12とからなる。なお、ここで、ブリスタ・ケース型とは、ブリスタ包装に使用されるケース状形態を意味する。従って、結束具10の中央には頂部(結束具を反転させた状態で表現すると底部)が平らなテーブルマウンテン状のリブ(以下、「テーブルリブ」という。)13が走っている。
【0017】
そして、結束具10の中央部には後述する被結束体の集束部を捕捉するとともに結束を保持するための平面がC字形をなすとともに傾斜内面を有する捕捉部14が透設されている。捕捉部14にはその内方に幾分迫出している周端面14aが形成されており、前記集束部が樹脂製包装袋の一部分が被覆されている場合、捕捉効果と辷止め効果とを高めている。このような捕捉部14に対して前記集束部を外方から案内するために、結束具10の外周寄り部位でV字形に形成されている位置決め当接部15と、その当接部15に当接した集束部を前記捕捉部14に案内する掘割状の隘路部16とがそれぞれ形成されている。
【0018】
他方、前記テーブルリブ13のうち前記隘路部16の背面側には、テーブルリブ13の一部分を谷状に低くした逆リブ17aが形成され、隘路部16に集束部を案内するとき、テーブルリブ13の捻り応力を僅かに低下させて隘路部16に集束部を通し易くすると同時にある程度の復元力を発揮させる機能を保持させている。
【0019】
さらに、前記テーブルリブ13のうち前記捕捉部14を介して前記隘路部16の背面寄りの部位は広幅域になっており、その広幅域の一つに途中を谷状に低くした嵌合部17bが形成されている。本発明に係る結束方法を遂行するとき、この嵌合部17bが後述する結束装置と共働して結束連結体を所定位置に停止させる機能を分担する。
【0020】
前記表示体係止部12には、その中央域に切欠きフック18が切り起こされているとともに、その切欠きフック18の先端部寄りの中央域には、切欠きフック18に係止された表示体が外れないようにするためのストッパー19が設けられている。
【0021】
(結束連結体)本発明方法を実施する場合、図3に示すように、前記形状・構造の結束具10が多数個横並びに連結された結束具連結体20が使用される。結束具連結体20においては、前記形状・構造の結束具10、すなわち、平面がほぼC字形をなすブリスタ・ケース型の合成樹脂製結束具10が多数個同じ配向、すなわち、多数個の結束具10が備えている位置決め当接部15又は隘路部16が、得られる帯状の結束具連結体20の同一側縁部において同一の向きの配列をもって前記広幅域において連結されている。
【0022】
(結束装置)次に本発明に係る結束装置について説明する。図4及び図5に示すように、本発明に係る結束装置30は、長尺な結束具連結体20を渦巻き状に巻回する供給装置40と、その供給装置40から繰り出された結束具連結体20を構成している結束具10を使用して被結束体の集束部を結束する結束装置本体50とから構成され、両者は同一基台41の上に設置されている。
【0023】
供給装置40は、基台41の片側に立設された一対のスタンド42と、その先端面の中央に取り外し可能に架け渡される支持軸43と、支持軸34に支承されるリール44とからなる。
【0024】
図7、図8及び図9に示すように、本発明に係る結束装置本体50は、スペーサ51を介して平行に配置された表裏面板状部材52、53と、それらの板状部材52、53がほぼ垂直になるように下部で支持する支持体54を有している。ここで「板状部材52、53がほぼ垂直になる」とは、表裏面板状部材52、53が支持体54に対して、直角のみならず90〜70度の傾斜角をもって傾斜させることが許容されるという意味である。なお、前記支持体54は、前記表裏面板状部材52、53の下端部を屈曲させて一体的に形成することもできる。また、スペーサ51は、板状部材52、53の内方かつ周縁部に両部材52、53間の隙間を塞ぐパッキングで兼用することもできる。
【0025】
次に、本発明に係る結束装置本体50において、表裏面板状部材52、53間の上部空間には、その一側端側、すなわち、図9から明らかなように、表面板状部材52を前面にして結束装置本体50から見た場合、右側の一側端から中央部に向かって前記結束連結体20を案内する横桟木状の一対の上部ガイド部材55a、55bと、それらの下方において所定の間隔をおいて配置された下部ガイド部材56と、下部ガイド部材56の前方に向かって少し間隔をおいて縦桟木状に配置された垂直ストッパー57が裏面板状部材53に固定されている。なお、結束装置本体50において、これらのガイド部材55a、55b、56、57に前述したスペーサ51の機能を付与することもできる。
【0026】
さらに、結束装置本体50において表裏面板状部材52、53には、それの中央上端面から下方に向かって第一切欠き通路58が切欠き形成されている。そして、第一切欠き通路58に案内された集束部を横幅方向により集束させるために、図10、図11及び図12に示すように、第一切欠き通路58のうち、前記板状部材52、53の上端面52a、53aに近い部位には、通路幅d1が下方から前記上端面52a、53aに向かって拡開するテーパー部58aを形成されている。
【0027】
続いて、第一切欠き通路58の下端から方向を変えて直角方向に水平に第二切欠き通路59が切欠き形成されている。そして、第一切欠き通路58を降下してきた集束部を縦幅方向により集束させることにより、第二切欠き通路59を通過した集束部の集束度をより高めるために、第一切欠き通路58の下端に膨らみ部58bを設けるとともに、第二切欠き通路59のうち、第一切欠き通路58に近い部位には通路幅d2が下流側から第一切欠き通路側58に向かって拡開するテーパー部59aが形成されている。
【0028】
続いて、第二切欠き通路59の先端から再び方向を変えて垂直方向の下方に向って第三切欠き通路60が形成されている。そして、第三切欠き通路60の終端部から前記板状部材52、53のほぼ中央部寄り部位で下方に向かって拡開する拡開切欠き口61が形成されており、結束が終了した被結束体、すなわち、結束体の集束部をそこから結束装置本体50の外側に抜き取ることができる。
【0029】
さらに付記すると、図8に示すように、裏面の板状部材53には、上下部ガイド部材55a、55b、26により案内されてきた結束連結体20を所定位置に位置決めするために位置決め部材62が設けられている。位置決め部材62としては、結束連結体20を構成する結束具10に設けられている嵌合部17bに嵌合する突部63を有する片持ち板ばねが使用される。片持ち板ばねは絶えず結束具10に対して押圧力が付加されるので、結束装置本体50を停止して、その中に案内した結束連結体20を一時的に引き抜くとき位置決め部材32の機能を解除するために、その近くに解除部材64が設置されている。解除部材64としては、結束具10に対する片持ち板ばねの押圧力を解除する機能を有するスライド部材が使用される。
【0030】
前述したように、結束装置本体50に対して供給装置40から供給される結束具連結体20を結束に供するためには、その横幅(結束具10にあっては縦幅)方向を垂直にする必要がある。そこで、結束装置本体50において結束具連結体20の供給側の側部には、結束具連結体20を捻りながら案内するガイド部材65が設置されている。
【0031】
(結束方法)上記の形状・構造を有する本発明に係る装置を使用して、被結束体は次のようにして結束される。まず、スペーサを介して平行に組み立てられた一対の板状部材52、53の間に、平面がほぼC字形をなすブリスタ・ケース型の合成樹脂製結束具10が多数個同一配向をもって連結されている結束連結体20を、それらの捕捉部14及び隘路部16がほぼ上を向くよう用意する。そして、前記供給装置30並びに結束装置本体50のガイド部材65、上下部ガイド部材55a、55b、56及び結束具連結体20の先端にある結束具10が有する嵌合溝17bと結束装置本体50の位置決め部材62の突起63の機能により、結束具連結体20を所定位置に停止させる(図9参照。第一ステップ)。
【0032】
次に結束作業者が、例えば、図6に示すように、物品を容れた包装袋のような被結束体70の首部71を両手で所定距離離して横に持ち、結束装置本体50の第一切欠き通路58に交差させながら首部71を当接させる。すると、図10に示すように、前記板状部材52、53の上端面52a、53aから下方に延びる第一切欠き通路58には、テーパー面58aが存在するので、作業員が被結束体70の首部71を降下させると、首部71は徐々に集束されて集束部72となり、第一切欠き通路58を降下する。
【0033】
すると、その位置に既に結束連結体20の最先端にある結束具10の位置決め当接部15が存在するので、前記集束部72は、それに当接し、さらなる降下力により隘路部16を押し広げて捕捉部14に部分的に捕捉され、上下に幾分長い形態を有するに至る(図11参照。第二ステップ)。第一切欠き通路58を降下して第二切欠き部59に到達し、上下に幾分長い形態を有する集束部72は、第一切欠き部58の下端に存在する膨らみ部58bで吸収され、次いで幾分横に長い形態に変化する。
【0034】
結束作業員が続いて集束部72を水平方向に変位させると、最初、テーパー部59aにより集束部72は上下方向及び横方向に強制的に圧縮されて、その集束度が向上する。さらに集束部72を水平方向に変位させ続けると、結束具10の捕捉部14によって集束部72の結束が完遂するとともに、その結束具10が垂直ストッパー57に当接するまで変位させる。結束具10の変位に伴って結束連結体20もそれに追随して変位する。その結果、後続する結束具(図9参照)は、その隘路部16が第一切欠き通路58と上下方向に重なる位置まで進む(図12参照。第三ステップ)。
【0035】
集束部72が停止する位置では、第二切欠き通路29から下方に方向変換した第三切欠き通路60が連続して延びているので、集束部72を強制的に降下させると、結束具10は結束連結体20から分離する(第四ステップ)。従って、第三切欠き通路60の直ぐ下に拡開している拡開切欠き口61から、図6に示すように、集束部72が結束具10で結束された結束体80を抜き取り、次いで結束具10における表示部12の切欠きフック18に結束体80の物品の製造又は製造履歴を表示する表示体81を係止すれば、本発明に係る結束方法が完了する。
【0036】
このようにして得られた結束体80において結束具10は、図13に示すように、その捕捉部14の周端面14aが集束部72を確実に把持して滑り止め効果を発揮する。
【0037】
以上詳述した本発明の係る結束方法を要約すると、それは、平面がほぼC字形をなすブリスタ・ケース型の合成樹脂製結束具10が多数個同じ配向をもって連結されている結束具連結体20を結束装置本体50の上部側面(出発点)から上下部ガイド部材55a、55b、56の配列方向(第一方向)に向けて前進させてその方向と第一切欠き通路58との交差点(第一停止点)に停止させるステップ(第一段ステップ)と、第一方向と異なる第一切欠き通路58が降下する方向(第二方向)から結束具10の捕捉部14に被結束体70の集束部72を押し込んで、前記集束部を第一方向に前進させるとともに、前記結束具を第三切欠き通路60が第二切欠き通路59から分離する分離点(第二停止ポイント)に停止させるステップ(第二段ステップ)と、前記集束部を第二方向と異なる第三切欠き通路60が延びる方向(第三方向)に変位させるステップ(第三段ステップ)とからなる結束方法であるとも言える。
【0038】
従って、本発明は、前記結束具連結体が第一停止点に停止しているとき、結束具に集束部を捕捉させ、第二停止点に停止したとき後続の結束具を第一停止点に供給すると同時に結束具連結体から集束部を結束した結束具を分離するという作用を発揮する。その結果、結束作業者が被結束体を両手で持ってほとんど一気に一つの作業動作により被結束体を結束できるという効果が発揮される。得られた結束体から結束具を容易に解除できるだけでなく、再度、手動で容易に再結束をできる。
【0039】
本発明は、この技術思想を踏襲し発明の効果を著しく損なわない限度により、前記実施態様の一部分を変更して、例えば、次のように実施することは、当然、許容される。すなわち、図14に示すように、拡開切欠き開口61を円形にしたり、図15に示すように、第一切欠き通路58、第二切欠き通路59及び第三切欠き通路60を下方に向かって傾斜させたりすることができ、これらの実施態様も本発明の技術的範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、菓子やパン等の食品を詰めた包装袋の結束する分野や束ねられた草花の結束分野等、工業分野及び農業分野で広く利用できる。
【符号の説明】
【0041】
1:物品、2:包装袋、3:集束部、4:結束具、5:捕捉部、6:導入部、7:開口部、10:結束体、11:結束本体、12:表示体係止部、13:連結部、14:捕捉部、14a:周端面、15:位置決め当接部、16:隘路部、17a:リブ、17b:嵌合部、18:切欠きフック、19:ストッパー、20:結束具連結体、30:結束装置、40:供給装置、41:基台、42:スタンド、43:支持軸、44:リール、50:結束装置本体、51:スペーサ、52:表側板状部材、52a:上端面、53:裏側板状部材、53a:上端面、54:支持体、55a、55b:上部ガイド部材、56:下部ガイド部材、57:先端側ガイド部材、58:第一切欠き通路、58a:テーパー部、58b:膨らみ部、59:第二切欠き通路、59a:テーパー部、60:第二切欠き通路、61:拡開切欠き口、62:位置決め部材、63:突起、64:解除部材、65:ガイド部材、70:被結束体、71:首部、72:集束部、80:結束体、d1、d2:通路幅。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面がほぼC字形をなすブリスタ・ケース型の合成樹脂製結束具。
【請求項2】
平面がほぼC字形をなすブリスタ・ケース型の合成樹脂製結束具が多数個同じ配向をもって連結されている結束具連結体。
【請求項3】
平面がほぼC字形をなすブリスタ・ケース型の合成樹脂製結束具(10)が多数個同じ配向をもって連結されている結束具連結体(20)を出発点から第一方向に向けて前進させて第一停止点に停止させるステップ(第一段ステップ)と、第一方向と異なる第二方向から結束具の捕捉部(14)に被結束体(70)の集束部(71)を押し込んで、前記集束部を第一方向に前進させるとともに、前記結束具を第二停止ポイントに停止させるステップ(第二段ステップ)と、前記集束部を第二方向と異なる第三方向に変位させるステップ(第三段ステップ)とからなる被結束体の結束方法。
【請求項4】
平面がほぼC字形をなすブリスタ・ケース型の合成樹脂製結束具(10)が多数個同じ配向をもって連結されている結束具連結体(20)を所定位置に用意する第一ステップと、該結束連結体の先端に位置する結束具の捕捉部(14)に被結束体(70)の集束部(72)を押し込んで前記集束部を前記捕捉部に捕捉させる第二ステップと、前記捕捉部に押し込まれた集束体を結束具の横幅に相当する長さだけ変位させることにより、前記捕捉部による前記集束部の結束を完遂させるとともに前記結束連結体を変位させる第三ステップと、変位した結束連結体から結束具を強制的に分離する第四ステップとからなる被結束体の結束方法。
【請求項5】
前記第一ステップにおいて、結束具連結体(20)はリール(44)から繰り出されてそのまま又は捻られた状態で所定位置に用意される請求項4記載の被結束体の結束方法。
【請求項6】
スペーサ(51)を介して平行に組み立てられた一対の板状部材(52,53)の間に、平面がほぼC字形をなすブリスタ・ケース型の合成樹脂製結束具(10)が多数個同一配向をもって連結されいる結束連結体(20)を、それらの捕捉部(14)に通ずる隘路部(16)がほぼ上を向くように用意する第一ステップと、前記板状部材の上端面(52a,53a)から下方に延びる第一切欠き通路(28)において、被結束体(70)の集束部(72)を降下させることにより、前記結束連結体の先端に位置する結束具(10)の捕捉部に前記集束部を捕捉させる第二ステップと、前記第一切欠き通路から延びる第二切欠き通路(59)において、結束具に捕捉された集束体を結束具の横幅に相当する長さだけ変位させることにより、前記捕捉部による前記集束部の結束を完遂させるとともに前記結束連結体を変位させる第三ステップと、前記第二切欠き通路から延びる第三切欠き通路(60)中において、結束具(10)に結束された結束体(80)を変位させることにより、前進した結束連結体から結束具を強制的に分離する第四ステップとからなる被結束体を結束する方法。
【請求項7】
スペーサ(51)を介して平行に配置された2枚の板状部材(52,53)と、その板状部材がほぼ垂直になるように下部で支持する支持体(54)と、前記板状部材間の上部一側端側から中央部に向かって、平面形状がほぼC字形をなすブリスタ・ケース型の合成樹脂製結束具(10)が多数個同一配向をもって連結されている結束連結体(20)を案内するガイド部材(55a,55b,56,57)と、前記板状部材の上端面(52a,53a)からほぼ下方に延びる第一切欠き通路(58)と、該第一切欠き通路から方向を変えて延びる第二切欠き通路(59)と、該第二切欠き通路から方向を変えて延びる第三切欠き通路(60)と、該第三切欠き通路の終端部から前記板状部材のほぼ中央部に拡開して形成された拡開切欠き口(61)とからなる被結束体の結束装置。
【請求項8】
前記第一切欠き通路(58)のうち、前記板状部材の上端面(52a,53a)に近い部位の通路幅(d1)が下方から前記上端面に向かってテーパー状に拡開しているとともに、前記第二切欠き通路(59)のうち、前記第一切欠き通路に近い部位の通路幅(d2)が下流側から該第一切欠き通路側に向かってテーパー状に拡開している請求項7記載の結束装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図13】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−126598(P2011−126598A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−299462(P2009−299462)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(592256140)兼子電機株式会社 (15)
【Fターム(参考)】