説明

結束具及び結束方法

【課題】 新聞やダンボールなどを縛るときに使用する事ができる結束具を、使いやすく、リサイクルしやすく、安価に実現する。
【解決手段】 紙製の基板に基準孔、結束孔、第一の挿通孔、第二の挿通孔が配されており、結束紐の一端は基準孔及び結束孔に挿通されて基板に固定され、結束紐で被結束物を周回せしめた後、結束紐の他の一端を基板の裏面より表面へ第二の挿通孔に挿通し、更に前記基板の表面より裏面へ前記第一の挿通孔に挿通した後、基板上の挿通孔及び第一の挿通孔に通した結束紐を束ね絞る様に前記基板の裏面に沿って巻きつける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
新聞やダンボールなど被結束物を縛るときに使用する結束具とそれを使用した結束方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、新聞紙、雑誌やダンボールを整理処分する場合、ポリプロピレンの結束紐を周回させ、結束紐の端部を結び合わせ結束していた。
また板状小片の内部に孔を設け、周囲に鋭角で切り込みを設けた樹脂製の結束具を用いて、結束紐の一端を孔に挿通した後、その切り込みに挟み込み継止して用いる結束具もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭52−64102
【特許文献2】実開昭53−68480
【特許文献3】実開昭59−153858
【特許文献4】特開2005−280752
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ポリプロピレンの結束紐を周回させ、結束紐の端部を結び合わせていた従来の結束方法では、結束紐を引っ張りながら結ぶという2つの作業を同時に行うので、弾力性の少ない新聞紙、雑誌やダンボールを結束するときにどうしても緩んでしまうという問題がある。
【0005】
また結束後に結束を解除したい場合は結び目を解く事はできず、はさみで切るなどしか方法が無いため、結束紐の再利用ができないという問題もある。
「特許文献1」には結束紐としてゴムを使用する「紐止め具」が開示されている。
これは基板として「合成樹脂版」を使用し、ゴム紐を使用する事が前提で、この構造ではゴムより摩擦力が少ない紙紐やポリプロピレン紐では紐の端部が十分な力で継止できないという問題がある。
【0006】
「特許文献2」に結束紐の一端を巻きつける事により継止する方法が開示されているが、この方法では基板が立体構造になり、樹脂で成形するか別部品を鋲で留めるなどをしなければならず、造る手間が掛かりコスト高になるとともに、嵩張るため販売時においても流通経費がより多く掛かるという問題がある。
【0007】
「特許文献3」においても結束紐の端部を巻きつけて継止する方法が開示されているが、これでは単に結束紐の端部を固定するだけの働きしかなく、結束紐の引っ張り力は直接基板に掛かり、そのため引っ張られると割けやすい紙は基板に使うことができない。
【0008】
また結束紐のみを使用して新聞紙などを結束しても、結束後持ち上げて運ぶときに結束紐に手を掛ける事になり、結束紐の太さの部分に力が集中し、手が痛くなることが多い。よく行われる例として、新聞紙1か月分まとめて回収する事があるが、約30乃至40cmの束を束ねると結束紐で持つ事は難しくなり、どうしても抱えて運ばなければならない事が多かった。
【0009】
また「特許文献1」、「特許文献2」または「特許文献3」にあげた結束具は樹脂製であり、新聞紙、雑誌、ダンボールなどを回収し溶解して再利用する場合に用いると、紙を溶解する前に取り外すか、溶解後に不純物として回収するなど余分な作業を必要としていた。
更に、これらをあえて紙で作っても結束具を分離する方向に力が加わり、容易に結束具が断裁されてしまう。
また、結束紐にポリプロピレン製の紐を使うときも同様に再生、再利用に問題が生じる。
【0010】
「特許文献4」には結束具と結束紐に紙を使用する例が開示されているが、この構造では結束紐の端部を固定するのに紙に切込まれた溝に挟む方法をとる事になる。結束時に紙の切込み部に集中して力が加わり、十分な継止強度が得られないばかりか結束紐の張力が結束具に裁断する方向にかかるため、被結束物の重量や弾性に逆らえず断裁される場合が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
略板状の基板と結束紐で結束具を構成し、前記基板には基準孔及び、孔または切欠きで形成される結束孔及び、同様に孔または切欠きで形成される第一の挿通孔を配し、前記結束紐の一端を前記基準孔と前記結束孔に挿通して前記基板に固定し、前記結束紐を被結束物に周回させた後、前記結束紐の他の一端を、前記基板の裏面より表面へ前記基準孔または必要に応じて基板上に構成された第二の挿通孔に挿通し、更に前記基板の表面より裏面へ前記第一挿通孔に挿通し、た後に紐を引き締め、更にその後前記結束孔及び前記基準孔または前記第二の挿通孔に通した前記結束紐を束ね絞る様に、前記基板の裏面に沿って巻きつける事を可能にする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施により、結束紐を引っ張る動作と継止する動作を分離してできる。所定の力で結束した後止める事ができるので、操作がしやすく、また後で緩む事が無い。更に一度結束した後にはずす必要が生じた時でも結束紐の一端を締めたときと逆向きに回わすことにより容易に解くことができる。このため何度でも再利用が可能である。
【0013】
また結束後持ち上げて運ぶときに基板の下に手を入れ持ち上げる事ができるので、結束紐に手を掛ける場合に比べはるかに広い面で重さを受ける事ができて、手が痛くなる事がない。
【0014】
また本発明に用いる結束紐および基板はともに紙で造る事ができるため、新聞紙、雑誌、ダンボールなどを回収し溶解して再利用する場合に用いても、溶解前に取り外す事や、溶解後に不純物として回収するなど余分な作業を必要としない。
更に結束紐および基板を再生紙で製造すればよりよいリサイクルが実現する。
【0015】
更に本発明の結束方法においては、結束紐を基板上の基準孔または第二の挿通孔に通し、更に第一の挿通孔に通した結束紐を引き締め、その後前記結束紐を束ね絞る様に前記基板の裏面に沿って巻きつけるので、巻きつけた結束紐が基板に結束された結束紐の一端と挿通部を通る結束紐を束ねる方向で巻きつけるため、結束により結束紐に引っ張り力が生じても巻きつけた結束紐に力が分散して従来例のように基板に直接裁断する方向の力が加わる事が無い。従って安定な結束状態を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】 本発明品の実施例
【図2】 基板の例
【図3】 本発明の使用例
【図4】 結束紐の通し方の例
【図5】 本発明の他の実施例(第二の挿通孔と基準孔を共有化したもの)
【図6】 本発明の他の実施例(複数の紙を折りたたんで基板を構成した例)
【発明を実施するための形態】
【0017】
約2mm厚の厚紙を20mmX50mmの長方形に切り出したものを基板2とする。長手方向に10mm間隔で仮想縦補助線を4本想定し、更に短手方向を2分割する仮想横補助線を想定する。両補助線を想定した面を表面とし、その逆を裏面と決める。
【0018】
仮想縦補助線と仮想横補助線との交点に径5mmの円形の孔を4つ開ける。基板2の表面を上にして横長に配置したとき、左から2番目の孔を基準孔4とし、その左側の孔を結束孔3とする。結束孔3はその左側に基板の縁まで伸ばして切り欠きとしても良い。更に基準孔4の右側の孔を第二の挿通孔5とし、第二の挿通孔5の右側の孔を第一の挿通孔6とする。
【0019】
結束紐7として紙紐を2mに切断したものを用意し、その一端を基板2の裏側から結束孔3を通し、次に基板2の表側から基準孔4を通し基板の裏側に導く。更に基板2の裏側から再度結束孔3を通し基板2の表側で結束紐7に結びつけて結束具1とする。
【0020】
この状態で被結束物8例えば重ねた新聞紙の上に、基板2の表面を上にして、結束紐7が基板2の左側から出る様に結束具1をおき、結束紐7を左から被結束物8に2回まわして、基板2の右側から第二の結束孔5に通し、基板2の表面へ引き出し、更に第一の結束孔6に通して基板2の裏面へ導く。この状態で結束紐7を引き被結束物8を締め上げる。
【0021】
この状態で、結束紐7の摩擦力で紐は緩む事はないが、更に確実にするため基板2の裏面に沿って結束孔3と第二の挿通孔5の外側を廻すように各孔を貫通した結束紐7を巻きつけ、結束紐7の束を締め上げる。これによって、結束後紐の張力は巻きつけた結束紐7に掛かり基板に直接2かかる力が大幅に軽減される。
【実施例】
【0022】
結束紐の通し方を使用者に説明するため、前記基板の表面に図解して印刷をすると、使用するときに孔の通す手順を間違える事はない。
また、結束孔、基準孔、第一挿通孔、必要に応じて設けられた第二の挿通孔を略直線状に配すると、結束する前と結束した後に基板の向きが変化せず、結束操作が分かりやすくなるという利点も生じる。
基板2は厚紙で構成しても良いが、複数の紙を重ねて構成しても良い。また図6(A)または(B)に示すように、重ねるときは連なった紙を折り曲げて構成しても良い。
また、結束紐7および基板2は環境面から紙製を使用するのが好ましいが、用途によってはいずれも、または片方は樹脂で構成しても良い。
また基板2は通常略板状のものを用いるのが、製造過程でも、流通過程でも、更に使用するうえでも好ましい。しかし用途によっては多少立体的なものでも本発明と均等である。
【産業上の利用可能性】
【0023】
前述のように本発明は新聞紙や雑誌、ダンボールなどを束ねるにあたり、安価に提供でき、容易に締め付けられ、締め付けた後も緩まず、しかしはずす場合も容易に行えるため再利用しやすく、また結束した後基板部分に手をいれて持ち運べば手が痛くなる事も無く、紙類で造っても結束紐の引っ張り力により基板が裁断されることもなく、結束された紙類と同時に融解して材料のリサイクルが可能なため、自治体の資源回収や民間の産業廃棄物の再利用に大いに使用されることが期待できる。
【符号の説明】
【0024】
1 結束具
2 基板
3 結束孔
4 基準孔
5 第二の挿通孔
6 第一の挿通孔
7 結束紐
8 被結束物
9 折りたたみ式の基板
10 谷折線
11 山折線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
新聞やダンボールなど被結束物を結束するときに使用する、略板状の基板と結束紐で構成された結束具であって、前記基板には基準孔及び、孔または切欠きで形成される結束孔及び、同様に孔または切欠きで形成される第一の挿通孔を配し、前記結束紐の一端を前記基準孔と前記結束孔に挿通して前記基板に固定し、前記結束紐を被結束物に周回させた後、前記結束紐の他の一端を前記基板の裏面より表面へ、前記基準孔または必要に応じて基板上に構成された第二の挿通孔に挿通し、更に前記基板の表面より裏面へ前記第一の挿通孔に挿通した後に前記結束紐を引き締め、その後前記結束孔及び前記基準孔または前記第二の挿通孔に通した前記結束紐を束ね絞る様に前記基板の裏面に沿って巻きつける事を可能にした結束具。
【請求項2】
前記基板を紙で構成する請求項1の結束具。
【請求項3】
前記結束紐として紙紐を用いる請求項1乃至請求項2の結束具。
【請求項4】
新聞やダンボールなど被結束物を結束するときに使用する、略板状の基板と結束紐で構成された結束具で、基準孔及び、孔または切欠きで形成される結束孔及び、同様に孔または切欠きで形成される第一の挿通孔が配されている前記基板を用い、前記結束紐の一端を前記基準孔及び前記結束孔に挿通して前記基板に固定し、前記結束紐を被結束物に周回させた後、前記結束紐の他の一端を前記基板の裏面より表面へ前記基準孔または必要に応じて基板上に構成された第二の挿通孔に挿通し、更に前記基板の表面より裏面へ前記第一の挿通孔に挿通した後に前記結束紐を引き締め、その後前記結束孔及び前記基準孔または前記第二の挿通孔に通した前記結束紐を束ね絞る様に前記基板の裏面に沿って巻きつけて行う結束方法

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−202281(P2010−202281A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−80381(P2009−80381)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(599106433)有限会社工房いるか (4)
【Fターム(参考)】