説明

結束方法及び結束装置

【課題】スキンパック包装された被結束物においても、複数個を弛みなく結束できるようにした結束方法及び結束装置を提供すること。
【解決手段】並設される複数の無端チェーン15と、この無端チェーンの配列方向に配設される複数のバケット列17a,17b,17cとを有する搬送コンベヤ10を駆動させて、バケット列に保持された被結束物1を搬送し、搬送途中に設けられる結束手段60の手前で、複数個例えば3個単位のバケット列の両端のバケット列17a,17cを、立ち上げ機構20によって120度立ち上げて各バケット列に保持される3個の被結束物同士を接触させた状態にし、この状態で結束手段に搬送し、3個の被結束物を結束する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、結束方法及び結束装置に関するもので、更に詳細には、例えばスキンパック包装された被結束物の複数を搬送途中で結束し、搬出する結束方法及び結束装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、並設された無端チェーンにバケットをチェーン配列方向へ配設してバケット列を形成し、このバケット列を上記無端チェーンに搬送方向へ適宜間隔をおいて配設してなる搬送コンベヤを駆動させて、上記バケット列に保持された被結束物を搬送し、搬送途中に設けられる結束手段において、被結束物を結束し、結束された被結束物を搬出端から搬出する結束方法(装置)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−69310号公報(特許請求の範囲、図2,図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特開平7−69310号公報に記載の結束方法(装置)においては、例えば、変形しにくい台紙フィルムの上に円筒状製品(例えば、サラミソーセージ等)を載置し、台紙フィルムと円筒状製品の全面を薄肉のスキンパックフィルムで被覆するスキンパック包装された被結束物を3本結束する場合、一つのバケット列に3本ずつ被結束物を入れ、これを結束しても、スッキンパックの固い台紙フィルムが反発するので、3本を弛みなく綺麗に結束することは不可能であった。
【0004】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、スキンパック包装された被結束物においても、複数例えば3本を弛みなく結束できるようにした結束方法及び結束装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、並設される複数の無端チェーンと、この無端チェーンの配列方向に配設されるバケットにより形成される複数のバケット列とを有する搬送コンベヤを駆動させて、上記バケット列に保持された被結束物を搬送し、搬送途中に設けられる結束手段において、被結束物の複数個単位を結束粘着テープで巻回して結束し、結束された被結束物を搬出端から搬出する結束方法であって、 上記バケット列を複数個単位で1組とし、上記結束手段の手前で、複数個単位のバケット列の搬送方向両端のバケット列を立ち上げて各バケット列に保持される複数個の被結束物同士を接触させた状態にし、この状態で上記結束手段に搬送し、複数個の被結束物を結束する、ことを特徴とする。
【0006】
この発明において、上記複数個単位のバケット列を3個単位とし、この3個単位のバケット列の搬送方向両端のバケット列を120度立ち上げて、搬送方向に対する側方視が3個のバケットで略正三角形を形成して3個の被結束物同士を接触させる方が好ましい(請求項2)。
【0007】
また、上記結束手段の搬送方向手前における立ち上げ前の複数個のバケット列にそれぞれ保持された被結束物を、押し込み手段によってバケットの内方に押し込む方が好ましい(請求項3)。
【0008】
また、請求項4記載の発明は、請求項1記載の結束方法を具現化するもので、並設される複数の無端チェーンと、この無端チェーンの配列方向に配設されるバケットにより形成される複数のバケット列とを有する搬送コンベヤを駆動させて、上記バケット列に保持された被結束物を搬送し、搬送途中に設けられる結束手段において、被結束物の複数個単位を結束粘着テープで巻回して結束し、結束された被結束物を搬出端から搬出する結束装置であって、 上記搬送コンベヤは、上記無端チェーンに複数個単位のバケット列を1組以上設けると共に、複数個単位のバケット列の搬送方向両端のバケット列を中央側に向かって立ち上げる立ち上げ機構を設け、 上記立ち上げ機構は、上記結束手段の搬送手前に設けられたガイドに係合して作動可能に形成してなり、 上記結束手段の手前で、上記立ち上げ機構が上記ガイドに係合して、上記複数個単位のバケット列の搬送方向両端のバケット列を立ち上げて各バケット列に保持される複数個の被結束物同士を接触させた状態にし、この状態で上記結束手段に搬送し、複数個の被結束物を結束する、ことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の結束装置において、上記複数個単位のバケット列を3個単位とし、上記立ち上げ機構は、上記3個単位のバケット列の搬送方向両端のバケット列を120度立ち上げて、搬送方向に対する側方視が3個のバケットで略正三角形を形成して3個の被結束物同士を接触させる構造とする方が好ましい(請求項5)。
【0010】
また、請求項6記載の発明は、請求項4又は5記載の結束装置において、 上記立ち上げ機構は、複数個単位のバケット列の搬送方向両端のバケット列を支持する前部及び後部支持片と、この前部及び後部支持片をそれぞれ起倒可能に枢支する前部及び後部枢支部と、両端が上記前部及び後部支持片に固定された前部及び後部連結片にそれぞれ回動自在に枢着される可動部材と、この可動部材と上記後部連結片との枢着部に回転自在に枢着される係合ローラと、上記両端のバケット列を常時水平姿勢に弾性力を付勢するばね部材とを具備し、 上記ガイドは、搬送過程で上記係合ローラが当接係合したとき、上記ばね部材の弾性力に抗して複数個単位のバケット列の搬送方向両端のバケット列を立ち上げる段部と、この段部の上端から搬送方向に沿って延在し、段部を乗り越えた上記係合ローラを案内する平行ガイド面とを具備してなる、ことを特徴とする。
【0011】
また、請求項7記載の発明は、請求項6記載の結束装置において、上記ガイドは、上記平行ガイド面の搬送方向側端に、係合ローラとの係合を解除する解除用段部を更に具備してなる、ことを特徴とする。
【0012】
また、請求項8記載の発明は、請求項4又は5記載の結束装置において、上記結束手段の搬送方向手前における立ち上げ前の複数個のバケット列にそれぞれ保持された被結束物を、バケットの内方に押し込む押し込み手段を更に具備する、ことを特徴とする。この場合、上記押し込み手段は、被結束物をバケットの内方に押し込む押し込みヘッドと、上記バケットの配列方向両端に配設された側板の対向面に設けられた保持突起の下方へ被結束物の両端部を押し込む押し込みロッドと、を具備してなる方が好ましい(請求項9)。
【0013】
請求項1,2,4,5,6,7記載の発明によれば、搬送コンベヤを駆動させて、各バケット列に保持された被結束物を搬送し、搬送途中に設けられる結束手段の手前で、複数個単位のバケット列の搬送方向両端のバケット列を立ち上げて各バケット列に保持される複数個の被結束物同士を接触させた状態にし、この状態で結束手段に搬送し、結束手段において、複数個の被結束物に結束粘着テープを巻回し、かつ両巻回端部を重ね合わせて圧着切断して複数個の被結束物を結束し、結束された被結束物を搬出端から搬出することができる。
【0014】
請求項3,8,9記載の発明によれば、結束手段の搬送方向手前における立ち上げ前の複数個のバケット列にそれぞれ保持された被結束物を、押し込み手段によってバケットの内方に押し込むことで、被結束物を各バケット列に同じ状態に保持することができる。例えば、スッキンパック包装された被結束物にあっては、押し込み手段によって1個ずつスキンパックフィルムが撫で付けられた状態で搬送される。
【発明の効果】
【0015】
この発明の結束方法及び結束装置によれば、上記のように構成されているので、以下のような効果が得られる。
【0016】
(1)請求項1,2,4,5,6,7記載の発明によれば、複数個単位のバケット列の搬送方向両端のバケット列を立ち上げて各バケット列に保持される複数個の被結束物同士を接触させた状態にし、この状態で結束手段において複数個の被結束物を結束するので、弛みが生じることがなく、綺麗に結束することができる。
【0017】
(2)請求項3,8,9記載の発明によれば、各バケット列にそれぞれ保持された被結束物を、押し込み手段によってバケットの内方に押し込むことで、被結束物を各バケット列に同じ状態に保持することができ、例えば、スッキンパック包装された被結束物にあっては、押し込み手段によって1個ずつスキンパックフィルムが撫で付けられた状態に保持することができるので、上記(1)に加えて、更に弛みが生じることがなく、綺麗に結束することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、この発明の最良の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1は、この発明に係る結束装置の一例の全体を示す概略側面図、図2は、結束装置の概略正面図である。ここでは、後述するように、台紙フィルム2と円柱状製品1a(被結束物本体1a)の全面を薄肉のスキンパックフィルム3で被覆するスキンパック包装された被結束物1例えばサラミソーセージ等の3個(本)を結束する場合について説明する。
【0020】
上記結束装置は、図1に示すように、一端(図1における右側)に被結束物1の搬入部11を有し、他端(図1における左側)に搬出部12を有する搬送コンベヤ10と、搬送コンベヤ10における搬送途中に設けられる結束手段60と、この結束手段60の搬送手前側に設けられる押し込み手段である押し込み機構40と、搬送コンベヤ10の排出部側に設けられる搬出コンベヤ80とを具備している。
【0021】
上記搬送コンベヤ10は、機枠13に回動自在に装着される複数(図面では3個の場合を示す)のスプロケット14a,14b,14cに掛け渡される無端チェーン15を複数並設(図面では2条の無端チェーン15の2列の場合を示す)して搬送路を形成し、無端チェーン15には、チェーン配列方向に配設されるバケット16により形成される複数のバケット列17a,17b,17cが、搬送方向に沿って適宜間隔をおいて配設されている。各無端チェーン15のスプロケット14a,14b,14cはそれぞれ回転軸18a,18b,18cによって連結されている。また、スプロケット14a,14b,14cのうちの一つ14aは、間欠回転可能な駆動モータ50の駆動軸51に装着された駆動スプロケット52との間に伝達チェーン19が掛け渡されており、駆動モータ50の間欠駆動によって、被結束物1を間欠的に搬送するように形成されている。
【0022】
また、上記バケット列17a,17b,17cは、搬送方向に隣接する3個単位のバケット列17a,17b,17cが1組をなしており、後述する立ち上げ機構20とガイド30とが協働して、3個単位のバケット列17a,17b,17cの搬送方向における両端2個のバケット列17a,17cを中央のバケット列17b側に向かって立ち上がり、各バケット列17a,17b,17cに保持される3個の被結束物1同士が接触されるように構成されている。
【0023】
なお、バケット列17a,17b,17cを形成するバケット16は、図7ないし図11に示すように、被結束物1を保持する一対の側壁部16aを対峙して設ける略U字状に形成されており、側壁部16aの外側には、側壁部16aより若干高い起立壁16bの頂部から外方に折曲する載置片16cと、この載置片16cの先端から起立する起立片16dを有する一対の載置部材16eが配設されている。また、バケット列17a,17cを形成するバケット16は、バケット列17b側の側壁部16aの幅方向の側方に、後述する立ち上げ機構20の前部支持片21a又は後部支持片21bが連結されており、立ち上げ機構20の作動によって載置部材16eから上方へ立ち上がり可能に形成されている。
【0024】
なお、バケット列17a,17b,17cにおいて、バケット16の配列方向両端には、押し込み機構40を構成する側板44が配設されており、両側板45の対向面には断面略半円弧状の保持突起46が突設されている(図2参照)。
【0025】
上記立ち上げ機構20は、搬送コンベヤ10の両側に設けられており、図9ないし図11に示すように、3個単位のバケット列17a,17b,17cの両端2個のバケット列17a,17cを支持する前部支持片21a及び後部支持片21bと、この前部支持片21a及び後部支持片21bをそれぞれ起倒可能に枢支する前部枢支部22a及び後部枢支部22bと、両端が前部支持片21a及び後部支持片21bに固定された前部連結片23a及び後部連結片23bにそれぞれ回動自在に枢着される可動部材24と、この可動部材24と後部連結片23bとの枢着部に回転自在に枢着される係合ローラ25と、上記両端のバケット列17a,17cを常時水平姿勢、つまり無端チェーン15の平行部に対して水平姿勢に弾性力を付勢するばね部材26と、を具備している。すなわち、立ち上げ機構20は、無端チェーン15,前部及び後部枢支部22a,22bと、前部支持片21a及び前部連結片23aと、後部支持片21b及び後部連結片23bと、可動部材24とからなる4節回転連鎖機構と、両端のバケット列17a,17cを常時水平姿勢に弾性力を付勢するばね部材26とで構成されている。この場合、ばね部材26は、可動部材24の後部連結片23b側端部に突設される係止片24aと、バケット列17aの下部側のベース部材27の下面に垂下されるばね受け片27aとに張設される引張ばねにて形成されている。なお、ばね部材26は必ずしも引張ばねにて形成する必要はなく、バケット列17a,17cを常時水平姿勢に弾性力を付勢するものであれば、圧縮ばね等によって形成してもよい。
【0026】
一方、上記ガイド30は、図9ないし図11に示すように、搬送過程で立ち上げ機構20の係合ローラ25が当接係合する段部31と、この段部31の上端から搬送方向に沿って延在し、段部31を乗り越えた係合ローラ25を案内する平行ガイド面32とを具備している。また、ガイド30は、平行ガイド面32の搬送方向側端すなわち搬出部12側に、係合ローラ25との係合を解除する解除用段部33を更に具備している(図1及び図3参照)。
【0027】
上記のように立ち上げ機構20とガイド30を形成することにより、3個単位のバケット列17a,17b,17cが搬送方向に移動して、係合ローラ25がガイド30の段部31に係合当接し、更に移動すると、図10に示すように、ばね部材26の弾性力(引張力)に抗して係合ローラ25を枢着する後部連結片23bが後部枢支部22bを支点として反時計方向に回動すると共に、後部支持片21bも反時計方向に回動して後端側のバケット列17cを立ち上げる一方、可動部材24の後端側の反時計方向の移動に伴って前部連結片23aが前部枢支部22aを支点として時計方向に回動すると共に、前部支持片21aも時計方向に回動して前端側のバケット列17aを立ち上げる。その後、係合ローラ25が段部31を乗り越えた時点で、バケット列17a,17cを120度立ち上げて、搬送方向に対する側方視が3個のバケット列17a,17b,17cで略正三角形を形成して3個の被結束物1同士を接触させる。係合ローラ25が段部31を乗り越えた後は、係合ローラ25と段部31との係合が解かれ、ばね部材26の弾性力(引張力)によってバケット列17a,17b,17cの略正三角形の状態が維持される(図10参照)。
【0028】
上記押し込み機構40は、図2,図5,図6及び図8に示すように、機枠13の上部に立設された門形フレーム13aの上部桁部13bに垂下されるエアシリンダからなる昇降シリンダ41と、この昇降シリンダ41のピストンロッド42の先端に装着される押し込みヘッド43とを具備しており、昇降シリンダ41の駆動により押し込みヘッド43が下降して、押し込みヘッド43の先端押圧部43aが、バケット列17a,17b,17cのバケット16の載置部材16eに載置された被結束物1の上部を押し付けて、被結束物1をバケット16の内方に押し込む(図6参照)。これにより、図7(a),(b)に示すように、載置部材16eに載置されているスキンパッケージ包装された被結束物1は、押し込みヘッド43によって1個ずつスキンパックフィルム3が撫で付けられた状態で押し下げられて台紙フィルム2が変形してバケット16の内方に保持される。
【0029】
また、押し込み機構40は、被結束物1の搬送方向に対して直交する方向における押し込みヘッド43の両端側に取り付けられる押し込みロッド44を具備している。この押し込みロッド44は、図6及び図8に示すように、昇降シリンダ41の駆動により押し込みヘッド43と共に下降して、バケット16の配列方向の両端に配設された側板45の対向面に突設された保持突起46の下方へ被結束物1の両端部の台紙フィルム2を押し込む。これにより、反発力を有する台紙フィルム2が保持突起46によって保持されるので、被結束物1がバケット16内から浮き上がるのを確実に阻止することができる。
【0030】
一方、上記結束手段60は、図3及び図4に示すように、結束粘着テープ61の巻回リール62を支持する結束粘着テープ支持部63と、切断刃64を有するヘッド65と、結束粘着テープ61の切断端を挟持するテープ保持部66とを有し、ヘッド65とテープ保持部66とを相対的に上下動例えばテープ保持部66に対してヘッド65を上下動させて、被結束物1に結束粘着テープ61を巻回し、かつ、両巻回端部を互いに重ね合わせて圧着切断するように構成される結束機構60Aによって形成されている。
【0031】
この場合、結束粘着テープ支持部63は、機枠13の上部桁部13bに立設されている。この結束粘着テープ支持部63に着脱可能に支持される巻回リール62に装着された結束粘着テープ61の切断端部は、巻回リール62から引き出され、機枠13に装着される複数の案内ローラ67を介してテープ保持部66に導かれている。そして、テープ保持部66を構成する多角形状の保持体68の平坦保持面68aにて保持される。
【0032】
ヘッド65は、機枠13の横桁部13cに揺動可能に枢着される揺動アーム69の自由端部に設けられている。揺動アーム69は、この揺動アーム69の中間部が、機枠13の上部桁部13bに装着される下向きの操作シリンダ70のピストンロッド70aにピン71を介して回動可能に連結されており、操作シリンダ70の作動によってピストンロッド70aが伸縮動作することによって揺動アーム69の自由端部すなわちヘッド65がテープ保持部66に対して上下動するようになっている。また、ヘッド65には、テープ保持部66を構成する保持体68の平坦保持面68aに向かって結束粘着テープ61を圧接する押圧ローラ72が設けられると共に、圧接ばね73の弾性力を付勢して、保持体68の近傍位置に配設された圧着台74に圧接される圧着ロッド75が設けられている。
【0033】
上記のように構成される結束手段60において、結束前は、結束粘着テープ61の切断端部をテープ保持部66の保持体68で保持して結束粘着テープ61を張設した状態で待機する。そして、上述したように、互いに接触した3個の被結束物1が搬送され、結束粘着テープ61の張設部を横切ることにより3個の被結束物1に結束粘着テープ61が巻回される。その後、操作シリンダ70が駆動して揺動アーム69が図3及び図4において時計方向に回動することにより、押圧ローラ72が保持体68に押圧すると共に、圧着ロッド75が圧着台74に圧接して結束粘着テープ61の巻回端部を互いに重ね合わせて圧着し、その後、切断刃64によって切断する。
【0034】
なお、上記説明では、圧着ロッド75と切断刃64を有するヘッド65が揺動アーム69に設けられる場合について説明したが、ヘッド65とテープ保持部66とを相対的に上下動するものであれば、必ずしもこのような構造とする必要はない。例えば、揺動アーム69に代えて昇降シリンダによって圧着ロッド75と切断刃64を有するヘッド65を上下動させてもよい。
【0035】
上記結束手段60において結束された3個の被結束物1は、図12に示すように、搬出部12へ搬送され、搬出部12に設けられた緩衝機能付きシュート81によって急激な落下が防止された状態で搬出コンベヤ80の下方に案内されると共に、押し出しシリンダ82によって搬出コンベヤ80上に押し出された後、搬出コンベヤ80によって搬出される。
【0036】
次に、この発明に係る結束装置の動作態様について説明する。まず、結束手段60における結束粘着テープ61の切断端部をテープ保持部66の保持体68で保持して結束粘着テープ61を張設した状態で待機する。次に、搬入部11におけるバケット列17a,17b,17cのバケット16に被結束物1を投入し、間欠駆動する搬出コンベヤ80によって被結束物1が投入された3個のバケット列17a,17b,17cを押し込み機構40の直下まで移動して停止する。すると、押し込み機構40の昇降シリンダ41が作動して、昇降シリンダ41の駆動により押し込みヘッド43と押し込みロッド44が下降して、押し込みヘッド43の先端押圧部43aが、バケット列17a,17b,17cのバケット16の載置部材16eに載置された被結束物1の上部を押し付けると共に、押し込みロッド44が被結束物1の両端の台紙フィルム2を側板45に突設された保持突起46の下方へ押し込んで、押し込みヘッド43によって1個ずつスキンパックフィルム3が撫で付けられた状態にして被結束物1をバケット16の内方に押し込み、被結束物1を各バケット列17a,17b,17cのバケット16内に均一な状態に保持する(図6,図7(b),図8(c)参照)。押し込み作業を終えた押し込みヘッド43は上昇して次の押し込みに備える。
【0037】
押し込み機構40によって押し込み作業を行った後、搬出コンベヤ80は駆動して被結束物1を結束手段60側へ搬送する。この搬送過程において、3個単位のバケット列17a,17b,17cに設けられた立ち上げ機構20の係合ローラ25が、ガイド30の段部31に係合当接し、更に移動すると、図10に示すように、後端側のバケット列17cが立ち上がると共に、前端側のバケット列17aが立ち上がる。その後、係合ローラ25が段部31を乗り越えた時点で、バケット列17a,17cを120度立ち上げて、搬送方向に対する側方視が3個のバケット列17a,17b,17cで略正三角形を形成して3個の被結束物1同士を接触させる(図11参照)。
【0038】
次に、互いに接触した3個の被結束物1が搬送され、結束粘着テープ61の張設部を横切ることにより3個の被結束物1に結束粘着テープ61が巻回される。その後、操作シリンダ70が駆動して揺動アーム69が回動することにより、揺動アーム69の先端部のヘッド65に設けられた押圧ローラ72が保持体68に押圧すると共に、圧着ロッド75が圧着台74に圧接して結束粘着テープ61の巻回端部を互いに重ね合わせて圧着し、その後、切断刃64によって切断する。
【0039】
結束手段60において結束された3個の被結束物1は、搬出部12から搬出コンベヤ80を介して排出される。
【0040】
なお、立ち上げ機構20の係合ローラ25は結束手段60を通過した後、搬出部12に位置する解除用段部33との係合が解かれて、ばね部材26の弾性力により復帰し、3個のバケット列17a,17b,17cを、無端チェーン15の平行部に対して水平姿勢に戻す。水平姿勢に戻されたバケット列17a,17b,17cのバケット16に同様に被結束物1を投入して、上記と同様の動作を行うことにより、3個単位の被結束物1を連続して結束することができる。
【0041】
この発明に係る結束方法(装置)によれば、特に、スキンパック包装された例えばサラミソーセージ等の被結束物1の3本を弛みなく結束できる点で好適である。
【0042】
なお、上記実施形態では、3本(個)の被結束物1を結束する場合について説明したが、被結束物1の個数は必ずしも3個である必要はなく、例えば2個の被結束物1を同様に結束することも可能である。
【0043】
また、上記実施形態では、この発明に係る結束方法(装置)によって、スキンパック包装された例えばサラミソーセージ等の被結束物1を結束する場合について説明したが、スキンパック包装されていない被結束物においても複数個を弛みなく結束できることは勿論である。
【0044】
また、上記実施形態では、無端チェーン15が4本の場合について説明したが、1条の無端チェーン15を2本にしてもよく、あるいは、1条又は2条の無端チェーン15を3列以上並設して、バケット列における各バケット間を結束粘着テープにて結束するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】この発明に係る結束装置の一例の全体を示す概略側面図である。
【図2】上記結束装置の一部を断面で示す概略正面図である。
【図3】この発明における結束手段を示す側面図である。
【図4】上記結束手段におけるヘッドとテープ保持部との作動状態を示す要部拡大側面図である。
【図5】この発明における押し込み手段を示す側面図である。
【図6】上記押し込み手段の押し込み状態を示す側面図である。
【図7】この発明におけるバケットに被結束物を投入した状態を示す側面図(a)及びバケット内に被結束物を押し込んだ状態を示す側面図(b)である。
【図8】この発明における押し込み手段により被結束物の両端部をバケット内に押し込む状態を示す概略正面図である。
【図9】この発明における立ち上げ機構とガイドとの係合前の状態を示す概略側面図である。
【図10】上記立ち上げ機構によってバケットが立ち上がる途中の状態を示す概略側面図である。
【図11】上記立ち上げ機構によってバケットが立ち上がった状態(結束状態)を示す概略側面図である。
【図12】この発明における搬出部における被結束物の排出状態を示す概略側面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 被結束物
10 搬送コンベヤ
14a,14b,14c スプロケット
15 無端チェーン
16 バケット
17a,17b,17c バケット列
20 立ち上げ機構
21a 前部支持片
21b 後部支持片
22a 前部枢支部
22b 後部枢支部
23a 前部連結片
23b 後部連結片
24 可動部材
25 係合ローラ
27 ばね部材
30 ガイド
31 段部
32 平行ガイド面
33 解除用段部
40 押し込み機構(押し込み手段)
41 昇降シリンダ
43 押し込みヘッド
44 押し込みロッド
45 側板
46 保持突起
60 結束手段
60A 結束機構
61 結束粘着テープ
64 切断刃
65 ヘッド
66 テープ保持部
80 搬出コンベヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並設される複数の無端チェーンと、この無端チェーンの配列方向に配設されるバケットにより形成される複数のバケット列とを有する搬送コンベヤを駆動させて、上記バケット列に保持された被結束物を搬送し、搬送途中に設けられる結束手段において、被結束物の複数個単位を結束粘着テープで巻回して結束し、結束された被結束物を搬出端から搬出する結束方法であって、
上記バケット列を複数個単位で1組とし、上記結束部の手前で、複数個単位のバケット列の搬送方向両端のバケット列を立ち上げて各バケット列に保持される複数個の被結束物同士を接触させた状態にし、この状態で上記結束手段に搬送し、複数個の被結束物を結束する、ことを特徴とする結束方法。
【請求項2】
請求項1記載の結束方法において、
上記複数個単位のバケット列を3個単位とし、この3個単位のバケット列の搬送方向両端のバケット列を120度立ち上げて、搬送方向に対する側方視が3個のバケットで略正三角形を形成して3個の被結束物同士を接触させる、ことを特徴とする結束方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の結束方法において、
上記結束手段の搬送方向手前における立ち上げ前の複数個のバケット列にそれぞれ保持された被結束物を、押し込み手段によってバケットの内方に押し込む、ことを特徴とする結束方法。
【請求項4】
並設される複数の無端チェーンと、この無端チェーンの配列方向に配設されるバケットにより形成される複数のバケット列とを有する搬送コンベヤを駆動させて、上記バケット列に保持された被結束物を搬送し、搬送途中に設けられる結束手段において、被結束物の複数個単位を結束粘着テープで巻回して結束し、結束された被結束物を搬出端から搬出する結束装置であって、
上記搬送コンベヤは、上記無端チェーンに複数個単位のバケット列を1組以上設けると共に、複数個単位のバケット列の搬送方向両端のバケット列を中央側に向かって立ち上げる立ち上げ機構を設け、
上記立ち上げ機構は、上記結束手段の搬送手前に設けられたガイドに係合して作動可能に形成してなり、
上記結束手段の手前で、上記立ち上げ機構が上記ガイドに係合して、上記複数個単位のバケット列の搬送方向両端のバケット列を立ち上げて各バケット列に保持される複数個の被結束物同士を接触させた状態にし、この状態で上記結束手段に搬送し、複数個の被結束物を結束する、ことを特徴とする結束装置。
【請求項5】
請求項4記載の結束装置において、
上記複数個単位のバケット列を3個単位とし、
上記立ち上げ機構は、上記3個単位のバケット列の搬送方向両端のバケット列を120度立ち上げて、搬送方向に対する側方視が3個のバケットで略正三角形を形成して3個の被結束物同士を接触させる、ことを特徴とする結束装置。
【請求項6】
請求項4又は5記載の結束装置において、
上記立ち上げ機構は、複数個単位のバケット列の搬送方向両端のバケット列を支持する前部及び後部支持片と、この前部及び後部支持片をそれぞれ起倒可能に枢支する前部及び後部枢支部と、両端が上記前部及び後部支持片に固定された前部及び後部連結片にそれぞれ回動自在に枢着される可動部材と、この可動部材と上記後部連結片との枢着部に回転自在に枢着される係合ローラと、上記両端のバケット列を常時水平姿勢に弾性力を付勢するばね部材とを具備し、
上記ガイドは、搬送過程で上記係合ローラが当接係合したとき、上記ばね部材の弾性力に抗して複数個単位のバケット列の搬送方向両端のバケット列を立ち上げる段部と、この段部の上端から搬送方向に沿って延在し、段部を乗り越えた上記係合ローラを案内する平行ガイド面とを具備してなる、ことを特徴とする結束装置。
【請求項7】
請求項6記載の結束装置において、
上記ガイドは、上記平行ガイド面の搬送方向側端に、係合ローラとの係合を解除する解除用段部を更に具備してなる、ことを特徴とする結束装置。
【請求項8】
請求項4又は5記載の結束装置において、
上記結束手段の搬送方向手前における立ち上げ前の複数個のバケット列にそれぞれ保持された被結束物を、バケットの内方に押し込む押し込み手段を更に具備する、ことを特徴とする結束装置。
【請求項9】
請求項8記載の結束装置において、
上記押し込み手段は、被結束物をバケットの内方に押し込む押し込みヘッドと、上記バケットの配列方向両端に配設された側板の対向面に設けられた保持突起の下方へ被結束物の両端部を押し込む押し込みロッドと、を具備してなる、ことを特徴とする結束装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−230636(P2008−230636A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−69754(P2007−69754)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000004020)ニチバン株式会社 (80)
【Fターム(参考)】