説明

結束金具

【課題】結束作業が簡単であり作業効率を向上させ、パイプ材と溝部材との結束後も邪魔となることが無い結束金具を提供することである。
【解決手段】パイプ材Pと溝8を備えた溝部材Fとを結束する結束金具において、溝部材Fの溝8に引掛けられてパイプ材Pを抑える係止片2と、溝部材Fの溝8に引掛けられるとともに係止片2に引掛り係止片2を溝部材F側へ引き付ける引付片3とを備えてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプ材と溝を備えた溝部材とを結束する結束金具の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に植物を育成するパイプハウスにあっては、たとえば、アーチ状パイプ材に透明または半透明な合成樹脂シートを屋根面、側面または妻面に展張する必要がある。
【0003】
そして、上記シートのパイプハウスへの固定に際しては、開口部が巾狭とされて溝が形成される溝フレームを用い、この溝フレーム内にシートを挿入し、シートを弾性な波形の係止線条で溝フレームの側部内周側に押圧するとしている。
【0004】
すなわち、パイプハウスにシートを展張するには、溝フレームをパイプ材に結束して固定する必要があるが、このようなパイプ材と溝フレームとの結束に当たっては、従来から結束金具が使用されている。
【0005】
この結束金具としては、たとえば、溝フレームの背面に形成した溝に係合する一対の係合片でパイプ材を抱持し、各係合片の先端に設けたフックを入子式に組み合わせて当該フックに楔を打ち込んで係合片同士をパイプ材側へ引き付けるようにしてパイプ材と溝フレームとを結束するもの(たとえば、特許文献1中図1、図4および図5参照)や、溝フレームの背面に形成した溝に係合する一対の係合片でパイプ材を抱持し、各係合片の先端に設けたボルト取付部同士をボルトとナットとで締結し係合片同士をパイプ材側へ引き付けるようにしてパイプ材と溝フレームとを結束するもの(たとえば、特許文献1中図6参照)、さらには、溝フレームの背面に形成した溝に引掛かる側面略コ字状の係合片でパイプ材を抱持し、パイプ材と係合片との間に楔を打ち込んでパイプ材を溝フレーム側へ押圧してパイプ材と溝フレームとを結束するものが知られている(たとえば、特許文献1中図7参照)。
【特許文献1】特開2002−305988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の結束金具は、パイプ材と溝フレームとを結束することができる点で有用ではあるが、以下の弊害があると指摘される可能性がある。
【0007】
すなわち、特許文献1における図1や図6に示された結束金具では、各係合片を溝フレームに係合する際には、溝に係合する係合部を溝に沿わせて溝内に挿入し、それから係合部を90度回転させる必要があり、これら係合片でパイプ材を抱持した状態に維持しつつ、楔を打ち込んだりボルトおよびナットで係合片同士を締結したりする必要があるため、結束作業が煩雑であり、作業効率が良くない。
【0008】
また、特許文献1における図7に示された結束金具では、係合片を溝フレームに引掛ける際には、両端に設けたフック同士の間隔を溝の幅より狭くなるようにに押圧して上記各フックを溝内に挿入する必要があり、係合片でパイプ材を抱持した状態に維持しつつ、楔を打ち込む必要があるため、結束作業が煩雑であり、作業効率が良くない。
【0009】
さらに、上記した従来の結束金具では、パイプ材と溝フレームとを結束後に、係合片のほかに楔またはボルトとナットといった係合片先端から外方へ突出して邪魔となる。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上記不具合を改善するために創案されたものであって、結束作業が簡単であり作業効率を向上させ、パイプ材と溝部材との結束後も邪魔となることが無い結束金具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第一の課題解決手段は、パイプ材と溝を備えた溝部材とを結束する結束金具において、溝部材の溝に引掛けられてパイプ材を抑える係止片と、溝部材の溝に引掛けられるとともに係止片に引掛り係止片を溝部材側へ引き付ける引付片とを備えてなることを特徴とする。
【0012】
本発明の第二の課題解決手段は、第一の課題解決手段において、係止片は、一端側に設けた溝部材の溝に引掛かるフック部と、他端側に設けたパイプ材を噛みこんで溝部材側へ向けて押圧する歯部と、引付片に引掛かる爪部とを備えてなる。
【0013】
本発明の第三の課題解決手段は、第二の課題解決手段において、係止片の一端側がパイプ材の挿通を許容する切欠によって二股状とされるとともに、係止片の他端中央部がフック部に対向する方向に彎曲されて歯部が形成され、当該他端の両端が歯部とは逆方向に彎曲されて爪部が形成されることを特徴とする。
【0014】
本発明の第四の課題解決手段は、第二の課題解決手段において、係止片の一端側がパイプ材の挿通を許容する切欠によって二股状とされるとともに、係止片の他端が一端側へ向けて彎曲されるとともに他端中央部に歯部が形成され、当該他端の一部を外方へ切り起して爪部が形成されることを特徴とする。
【0015】
本発明の第五の課題解決手段は、第一から第四の課題解決手段において、引付片は、一端側に設けた溝部材の溝に引掛かるフック部と、係止片に引掛かる係合部と、中央部に設けられパイプ材の側方からの挿通を許容する切欠とを備えてなることを特徴とする。
【0016】
本発明の第六の課題解決手段は、第五の課題解決手段において、引付片の他端がフック部に対向する方向に彎曲されて係合部が形成され、当該係合部の先端は、切欠側へ向かうほど先細りとなるように傾斜されてなることを特徴とする。
【0017】
本発明の第七の課題解決手段は、第六の課題解決手段において、引付片のフック部の先端は、切欠側へ向かうほど先細りとなるように傾斜されてなることを特徴とする。
【0018】
本発明の第八の課題解決手段は、第七の課題解決手段において、引付片の形状が切欠の中央を中心にして線対称となる形状に設定されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
各請求項の発明によれば、係止片と引付片の二つの部材でパイプ材と溝部材とを結束するようになっており、係止片を溝部材に引掛けたのち引付片を係止片と溝部材とに引掛けることでパイプ材と溝部材とを結束することができるので、結束作業が非常に容易となり、結束に当たって楔またはボルトとナットといった結束金具から外方へ突出して邪魔となる部品が無い。
【0020】
請求項2の発明によれば、係止片の他端に歯部を設けているので、当該歯部でパイプ材を噛みこんで溝部材側へ向けて押圧することができ、パイプ材に対する接触面圧を高めて溝部材に対してパイプ材がずれてしまうような事態を確実に防止することが可能となる。
【0021】
さらに、請求項3の発明によれば、係止片の一端側に切欠が設けられ、係止片でパイプ材を抱持する格好となるので、パイプ材と溝部材の結束がより強固となる。
【0022】
また、請求項4の発明によれば、係止片の一端側がパイプ材の挿通を許容する切欠によって二股状とされるとともに、係止片の他端が一端側へ向けて彎曲されるとともに他端中央部に歯部が形成され、当該他端の一部を外方へ切り起して爪部が形成されるので、爪部を係止片へ設ける加工が容易となるとともに加工コストも低減されるという優れた効果を奏することが出来る。
【0023】
そして、請求項5の発明によれば、引付片が溝部材の溝に引掛かるフック部と、係止片に引掛かる係合部と、パイプ材の側方からの挿入を許容する切欠とを備えており、引付片を溝部材の溝に引掛けてから係止片の側方から溝部材上をスライドさせることで係合部を係止片に引掛けて、係止片を溝部材側へ引き付けることができるので、結束作業がより一層簡単となり作業時間も短縮される。
【0024】
また、請求項6の発明によれば、引付片における係合部の先端が切欠側へ向かうほど先細りとなるように傾斜されていることから、これが楔効果をもたらして、係止片側へ係合部が侵入すればするほど、係止片を溝部材側へ引き付けるように作用するので、係合部の係止片へ引掛けることが容易で、係止片の溝部材側への引付力をより高めることができ、パイプ材と溝部材との結束を確実かつより強固にすることができる。
【0025】
さらに、請求項7の発明によれば、引付片における係合部に加えてフック部の先端も切欠側へ向かうほど先細りとなるように傾斜されていることから、フック部と上記係合部とが機能的に互換性を備えることになり、引付片をパイプ材の両側のどちら側からでも取り付けることができるようになって、結束作業が非常に簡単となる。
【0026】
そして、請求項8の発明によれば、引付片の形状が切欠の中央を中心にして形状が線対称となるようになっているので、フック部と上記係合部とに機能上の互換性を持たせる場合にあっても、切欠の幅をパイプ材の挿入が可能となる限りにおいて短く設定することができるので引付片の強度面で有利となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を図1から図5に示した実施の形態に基づいて説明する。図1は、パイプ材と溝部材とを結束した状態における一実施の形態の結束金具の斜視図である。図2は、一実施の形態の結束金具における係止片の斜視図である。図3は、溝部材の斜視図である。図4は、一実施の形態の結束金具における引付片の斜視図である。図5は、パイプ材と他の溝部材とを結束した状態における結束金具の斜視図である。図6は、パイプ材と別の溝部材とを結束した状態における結束金具の斜視図である。図7は、一実施の形態の一変形例の結束金具における係止片の斜視図である。図8は、一実施の形態の一変形例の結束金具における引付片の斜視図である。
【0028】
本発明の実施の形態における結束金具1は、図1に示すように、溝部材Fの溝8に引掛けられてパイプ材Pを抑える係止片2と、溝部材Fの溝8に引掛けられるとともに係止片2に引掛り係止片2を溝部材F側へ引き付ける引付片3とを備えて構成されている。
【0029】
つまり、この結束金具1は、この場合、溝部材Fの溝8がある方を正面として溝部材Fの背面側をパイプ材Pへ対面させ、係止片2と引付片3の二つの部材でパイプ材Pと溝部材Fとを結束するようになっている。そして、係止片2を溝部材Fに引掛けたのち引付片3を係止片2と溝部材Fとに引掛けることでパイプ材Pと溝部材Fとを結束することができるので、結束作業が非常に容易となり、結束に当たって楔またはボルトとナットといった結束金具1から外方へ突出して邪魔となる部品が無い。
【0030】
そして、特に、パイプハウスのパイプ材Pとシート定着用の溝部材とを結束する場合には、楔またはボルトとナットといった結束金具1から外方へ突出して邪魔となる部品が無いので、狭いパイプハウス内で結束金具1が邪魔とならず、パイプハウス内に栽培スペースを大きく確保することができ、栽培作業を円滑なものとすることができる。
【0031】
以下、詳細に説明すると、係止片2は、図1および図2に示すように、一端側に設けた溝部材Fの溝8に引掛かるフック部21と、他端側に設けたパイプ材Pパイプ材を噛みこんで溝部材F側へ向けて押圧する歯部22と、引付片3に引掛かる爪部23とを備えて構成されている。
【0032】
また、係止片2には、一端側から中間部へかけて形成されてパイプ材Pの挿通を許容する切欠24が設けられて、その一端側が二股状とされるとともに、この二股となった一端側を溝部材Fの溝8へ引掛けることができるようにそれぞれ彎曲させてフック部21,21が形成されている。
【0033】
さらに、係止片2の他端側の全体が一端側へ向けてフック部21,21に対向するように彎曲されるとともに、その中央部は両端より長手方向に突出しており、この中央部の先端をパイプ材Pの噛み込みが可能なように凹状として設けて歯部22が形成されている。さらには、係止片2の他端における両端のぞれぞれは、彎曲された方向とは逆方向となる外方へ向けて彎曲しており、これによって両端のそれぞれに爪部23,23が形成されている。
【0034】
転じて、溝部材Fは、図1および図3にしめすように、断面箱型の本体5と、本体5の一端の両側に長手方向に沿って設けられる側壁部6,7とを備え、側壁部6,7によって溝8が形成されている。なお、溝8は、断面が略鳩尾状の蟻溝とされており、この溝8内にパイプハウス用のシートSを挿入するとともに、シートSの上から波形の係止線条9をその弾性に抗して強制的に変形せしめて嵌合させることで、溝部材FにシートSを定着させることができるようになっている。
【0035】
なお、パイプ材Pは、この実施の形態の場合、パイプハウスの骨組みとして使用されており、結束金具1でパイプ材Pと溝部材Fとを結束するとともに、溝部材FにシートSを定着させることで、パイプハウスにシートSを展帳することができる。そして、この実施の形態の場合には、溝部材Fは、箱型の本体5を備えており、アーチ状とされて複数並べて配置されるパイプ材Pに略直交して結束されることで、パイプハウスの骨組み、つまり構造材としても機能し、パイプハウスの強度を向上させることができる。
【0036】
つづいて、引付片3は、図1および図4に示すように、一端側に設けた溝部材Fの溝8に引掛かるフック部31と、他端側に設けた係止片2の爪部23,23に引掛かる係合部32とを備えて構成されている。
【0037】
詳しくは、引付片3の一端側を溝部材Fの溝8へ引掛けることができるようにそれぞれ彎曲させてフック部31が形成されるとともに、他端側をフック部31に対向する方向に彎曲させて係合部32が形成されている。
【0038】
そして、また、引付片3は、中央部にパイプ材Pの側方からの挿通を許容する切欠33を備えており、上記係合部32の先端は、切欠33側へ向かうほど先細りとなるように傾斜されている。
【0039】
以上のように構成される結束金具1でパイプ材Pと溝部材Fとを結束するには、まず、溝部材Fの背面側をパイプ材Pへ対面させて溝部材Fとパイプ材Pとを略直交させた状態として、係止片2の切欠24内にパイプ材Pを挿入するようにして、溝部材Fの溝8へ係止片2のフック部21,21を引掛ける。この場合、具体的には、係止片2のフック部21,21を溝部材Fの溝8を形作る側壁部6の先端に引掛けることで、係止片2を溝部材Fへ引掛けることになる。
【0040】
今度は、係止片2を避ける位置において引付片3のフック部31を溝部材Fの溝8へ引掛けて、引付片3を溝部材Fへ引掛ける。この場合、具体的には、引付片3のフック部31を溝部材Fの溝8を形作る側壁部7の先端に引掛けることで、引付片3を溝部材Fへ引掛けることになる。
【0041】
そして、その状態から、引付片3を溝部材Fの長手方向方向へスライドさせてパイプ材P側へ移動させパイプ材Pを切欠33内に挿入しつつ、引付片3の係合部32の先端を係止片2の爪部23,23内に導入する。
【0042】
この引付片3のパイプ材Pおよび係止片2側へのスライドに伴って、引付片3の係合部32の先端が係止片2の爪部23,23内に入り込み、これによって、係止片2が溝部材F側へ引き付けられ、歯部22がパイプ材Pを噛みこむと同時にパイプ材Pを抑えて溝部材F側へ押圧し、パイプ材Pと溝部材Fとが結束される。
【0043】
そして、この実施の形態の場合、係止片2の一端側に切欠24が設けられ、係止片2でパイプ材Pを抱持する格好となるので、パイプ材Pと溝部材Fの結束がより強固となる。さらに、係止片2の他端に歯部22を設けているので、当該歯部22でパイプ材Pの背面部を噛みこむことができ、パイプ材Pに対する接触面圧を高めて溝部材Fに対してパイプ材Pが溝部材Fの直交方向にずれてしまうような事態を確実に防止することが可能となる。
【0044】
また、引付片3は、溝部材Fの溝8に引掛かるフック部31と、係止片2に引掛かる係合部32とパイプ材Pの側方からの挿入を許容する切欠33とを備えており、引付片3を溝部材Fの溝8に引掛けてから係止片2の側方から溝部材F上をスライドさせることで係合部32を係止片2に引掛けて、係止片2を溝部材F側へ引き付けることができるので、結束作業がより一層簡単となり作業時間も短縮される。
【0045】
さらに、引付片3における係合部32の先端が切欠33側へ向かうほど先細りとなるように傾斜されていることから、これが楔効果をもたらして、爪部23,23内へ係合部32が侵入すればするほど、係止片2を溝部材F側へ引き付けるように作用するので、係合部32の係止片2への引掛けが容易、つまり、係合部32の爪部23,23への導入が容易で、係止片2の溝部材F側への引付力をより高めることができ、パイプ材Pと溝部材Fとの結束を確実かつより強固にすることができる。
【0046】
また、上述したところから理解できるように、この結束金具1にあっては、係止片2および引付片3が溝部材FのシートSの定着用の溝8に直接引掛かるようになっているので、従来の結束金具とは異なり、溝部材Fの裏面に結束金具のみに必要となる溝を設ける必要が無いため、汎用性が向上し、たとえば、図5にしめすようなパイプハウスの構造部材としては機能しないシート定着用の蟻溝フレームとパイプ材Pとを結束することも可能である。
【0047】
なお、本実施の形態においては、結束金具1は、パイプハウスのパイプ材PとシートSの展帳用の溝部材Fとの結束するために使用されているが、他所に適用されるパイプ材と溝部材とを結束することができることは当然であり、パイプハウス用途に限定されない。したがって、溝部材をC型チャンネルといった溝を備えたチャンネル材としてもよい。また、上述したところでは、溝部材Fは、箱型の本体5の正面側に溝8を備えているが、これに限らず、図6に示すように、溝部材Fが本体5の両側面にそれぞれ係止片2および引付片3が引掛かる溝8a,8bを備えて構成されていてもよい。
【0048】
つづいて、一実施の形態の一変形例における結束金具について説明する。この一変形例における結束金具も、一実施の形態の結束金具1と同様に、係止片40と、引付片41とを備えて構成されている。
【0049】
係止片40は、図7に示すように、一端側から中間部へかけて形成されてパイプ材Pの挿通を許容する切欠40aと、当該切欠40aによって二股状とされた一端側に設けた溝部材Fの溝8に引掛かるフック部40b,40bと、他端側に設けたパイプ材Pパイプ材を噛みこんで溝部材F側へ向けて押圧する歯部40cと、引付片3に引掛かる爪部40dとを備えて構成されており、一実施の形態の係止片2と異なるのは、爪部40dは、係止片40の他端の一部となる図7中上端彎曲部位の略中央を外方へ切り起して形成されていることである。
【0050】
具体的には、爪部40dは、係止片40の他端の一部となる図7中上端彎曲部位の略中央にコ字状に切欠き、切り残した部位を図7中上方へ起立させることで形成されている。
【0051】
このように爪部40dを形成する事によって、爪部40dを係止片40へ設ける加工が容易となるとともに加工コストも低減されるという優れた効果を奏することが出来る。
【0052】
他方、引付片41は、図8に示すように、一端側に設けた溝部材Fの溝8に引掛かるフック部41aと、他端側に設けた係止片40の爪部40dに引掛かる係合部41bと、中央部に設けられてパイプ材Pの側方からの挿通を許容する切欠41cとを備えて構成され、上記係合部41bの先端が切欠41c側へ向かうほど先細りとなるように傾斜されるとともに、この一実施の形態の一変形例の結束金具における引付片41にあっては、フック部41aの先端も係合部41bと同様に、切欠41c側へ向かうほど先細りとなるように傾斜されている。
【0053】
さらに、この図8に示した引付片41にあっては、切欠41cの中央部を通る仮想線hを中心にして形状が線対称となるようになっている。
【0054】
このように、引付片41を構成する事によって、一変形例の結束金具でパイプ材Pと溝部材Fとを結束する際に、フック部41aと上記係合部41bとが機能的に互換性を備えることになるため、フック部41aと上記係合部41bのいずれか一方を溝部材Fの溝8へ引掛けて、フック部41aと上記係合部41bのいずれか他方を係止片40の爪部40dに引掛けるようにすることが可能となる。
【0055】
すなわち、引付片41をパイプ材Pの両側のどちら側からでも取り付けることができるようになって、結束作業が非常に簡単となる。詳しくは、溝部材Fの背面側をパイプ材Pへ対面させて溝部材Fとパイプ材Pとを略直交させた状態として、係止片40の切欠40a内にパイプ材Pを挿入するようにして、溝部材Fの溝8へ係止片40のフック部40b,40bを引掛けておき、その状態から、作業者が作業しやすい方向から引付片41を溝部材Fの長手方向方向へスライドさせてパイプ材P側へ移動させパイプ材Pを切欠41c内に挿入しつつ、引付片3のフック部41aと上記係合部41bの先端を係止片40の爪部40d内に導入することで、結束作業を行う事ができる。
【0056】
なお、一実施の形態の一変形例における結束金具にあっても、一実施の形態と同様にパイプ材Pを溝部材Fとを係止片40と引付片41の二つの部材で結束するようになっており、係止片40を溝部材Fに引掛けたのち引付片41を係止片40と溝部材Fとに引掛けることでパイプ材Pと溝部材Fとを結束することができるので、一実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0057】
さらに、引付片41の形状が切欠41cの中央部を通る仮想線hを中心にして形状が線対称となるようになっているので、フック部41aと上記係合部41bとに機能上の互換性を持たせる場合にあっても、切欠41cの図8中上下方向幅をパイプ材Pの挿入が可能となる限りにおいて短く設定することができるので引付片41の強度面で有利となる。
【0058】
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】パイプ材と溝部材とを結束した状態における一実施の形態の結束金具の斜視図である。
【図2】一実施の形態の結束金具における係止片の斜視図である。
【図3】溝部材の斜視図である。
【図4】一実施の形態の結束金具における引付片の斜視図である。
【図5】パイプ材と他の溝部材とを結束した状態における結束金具の斜視図である。
【図6】パイプ材と別の溝部材とを結束した状態における結束金具の斜視図である。
【図7】一実施の形態の一変形例の結束金具における係止片の斜視図である。
【図8】一実施の形態の一変形例の結束金具における引付片の斜視図である。
【符号の説明】
【0060】
1 結束金具
2,40 係止片
21,40b 係止片におけるフック部
22,40c 係止片における歯部
23,40d 係止片における爪部
24,40a 係止片における切欠
3,41 引付片
31,41a 引付片におけるフック部
32,41b 引付片における係合部
33,41c 引付片における切欠
5 溝部材における本体
6,7 溝部材における側壁部
8,8a,8b 溝部材における溝
9 係止線条
F 溝部材
P パイプ材
S シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプ材と溝を備えた溝部材とを結束する結束金具において、溝部材の溝に引掛けられてパイプ材を抑える係止片と、溝部材の溝に引掛けられるとともに係止片に引掛り係止片を溝部材側へ引き付ける引付片とを備えてなることを特徴とする結束金具。
【請求項2】
係止片は、一端側に設けた溝部材の溝に引掛かるフック部と、他端側に設けたパイプ材を噛みこんで溝部材側へ向けて押圧する歯部と、引付片に引掛かる爪部とを備えてなる請求項1に記載の結束金具。
【請求項3】
係止片の一端側がパイプ材の挿通を許容する切欠によって二股状とされるとともに、係止片の他端が一端側へ向けて彎曲されるとともに他端中央部に歯部が形成され、当該他端における両端が外方へ向けて彎曲されて爪部が形成されることを特徴とする請求項2に記載の結束金具。
【請求項4】
係止片の一端側がパイプ材の挿通を許容する切欠によって二股状とされるとともに、係止片の他端が一端側へ向けて彎曲されるとともに他端中央部に歯部が形成され、当該他端の一部を外方へ切り起して爪部が形成されることを特徴とする請求項2に記載の結束金具。
【請求項5】
引付片は、一端側に設けた溝部材の溝に引掛かるフック部と、係止片に引掛かる係合部と、中央部に設けられてパイプ材の側方からの挿通を許容する切欠とを備えてなることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の結束金具。
【請求項6】
引付片の他端がフック部に対向する方向に彎曲されて係合部が形成され、当該係合部の先端は、切欠側へ向かうほど先細りとなるように傾斜されてなることを特徴とする請求項5に記載の結束金具。
【請求項7】
引付片のフック部の先端は、切欠側へ向かうほど先細りとなるように傾斜されてなることを特徴とする請求項6に記載の結束金具。
【請求項8】
引付片の形状が切欠の中央を中心にして線対称となる形状に設定されてなることを特徴とする請求項7に記載の結束金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−154558(P2008−154558A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−349895(P2006−349895)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000221568)東都興業株式会社 (57)
【Fターム(参考)】