説明

結露センサ及びそれを用いた結露検出装置

【課題】結露センサにおいて、結露検出の被検出箇所が配管内壁面のときでも、確実に結露を検出することができるようにすることを目的とする。
【解決手段】ガスが流れる内部流路を有する配管形状に形状設定されると共に、
内部流路及び外壁面に露出する複数の導電領域10a,10b,10c,10dと、前記導電領域同士を絶縁する絶縁領域11a,11b,11c,11dとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結露センサ及びその結露センサを用いた結露検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、結露センサとしては、ACM(Atmospheric Corrosion Monitor)センサと呼ばれるものが知られている(特許文献1参照)。
このACMセンサは、鋼製の基板の表面に絶縁ペーストと導電ペーストを積層して構成されたセンサ素子を被検出箇所に貼着し、その貼着された基板及び導電ペーストからそれぞれ導線が引き出され、電流計等の計測機に接続されるように構成されている。
【0003】
より詳細には、ACMセンサは、基板表面の露出部がセンサのアノード(陽極)に形成され、導電ペーストがカソード(陰極)に形成されている。
したがって、センサの置かれた環境が乾燥状態で表面になにも堆積していない初期時には、絶縁ペーストによりアノード(基板)とカソード(導電ペースト)が絶縁されているので、その間に電流は流れない。
他方、センサの表面が電解質溶液で濡れると、アノード、カソード間が導電性液で満たされるので、その間に電流が流れる。したがって、その電流を計測することによって濡れ状態を計測することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−201451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のACMセンサにおいては、センサ素子を被検出箇所に貼着して濡れ状態等を検出するように構成されているので、ガスの流れる配管内に生成される結露を検出するには不向きであった。
例えば、自動車用等のエンジンの排気ガスの一部を取り出し、これを吸気側へ導き再度吸気させ、排出ガス中の窒素酸化物 (NOx) 低減や燃費向上を目的として行われる排気ガス再循環(Exhaust Gas Recirculation)システム(以下、「EGRシステム」という。)の設計に当っては、排気ガスを取り込んだ吸気側の配管内壁面に腐食性液体が結露するおそれがあるので、結露を生じさせない設計条件等の決定を行なうために、還流量等を種種変えた入念なテストを行なう必要がある。
このテストでは、配管内壁面の結露検出を行うことが好ましいが、大きさの関係でACMセンサを配管内壁面に貼着することが難しく、配管内壁面にACMセンサのセンサ素子を貼着できても導線の取り出しができない。
すなわち、従来のACMセンサでは、実際の配管内に生じる結露の検出が難しいという欠点があった。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、結露検出の被検出箇所が配管内壁面のときでも、確実に結露を検出することのできる結露センサ及びその結露センサを用いた結露検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0008】
第1の発明は、流体が流れる内部流路を有する配管形状に形状設定されると共に、前記内部流路及び外壁面に露出する複数の導電領域と、前記導電領域同士を絶縁する絶縁領域とを有するという構成を採用する。
【0009】
第2の発明は、上記第1の発明において、前記導電領域が前記内部流路の周方向に複数配列されているという構成を採用する。
【0010】
第3の発明は、上記第2の発明において、各々の前記導電領域及び各々の前記絶縁領域が前記内部流路の進行方向における一方の端部から他方の端部まで延在して設けられているという構成を採用する。
【0011】
第4の発明は、上記第1の発明において、前記導電領域が前記内部流路の進行方向に複数配列されているという構成を採用する。
【0012】
第5の発明は、結露センサと、前記結露センサからの信号に基づいて結露の有無を測定する測定部とを備える結露検出装置であって、前記結露センサとして、上記第1〜4いずれかの結露センサを備えるという構成を採用する。
【0013】
第6の発明は、上記第5の発明において、前記測定部は、予め前記結露センサからの信号が示す電流値と結露による濡れ面積との関係を記憶し、前記前記結露センサからの信号が示す電流値から結露による濡れ面積を求めるという構成を採用する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、結露センサは、ガス流体の流れる内部流路の形状が配管形状を呈していると共に、その配管が内部流路及び外壁面に露出する複数の導電領域と、隣接する導電領域同士を絶縁する絶縁領域とからなるので、その配管内に生成された結露が絶縁領域を越えて隣接する導電領域同士が電気的に導通されると、配管の外壁面の導電領域からその導通状態を検出することができるから、被検出箇所が配管内壁面であっても、実際の配管で生じる結露を確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態における結露センサを適用したテスト装置に組み込んだときの概略構成図である。
【図2】本発明の一実施形態における結露センサの外観図である。
【図3】本発明の他の実施形態における結露センサの外観図である。
【図4】(a)〜(d)は、本発明の一実施形態における結露センサの製造例を示す説明図である。
【図5】(a)〜(b)は、本発明の一実施形態における結露センサを用いたとき実験データを示すグラフである。(a)のグラフの縦軸は電流値(Current、単位はI/nA)、横軸は時間(Time、単位はt/sec)である。(b)のグラフの縦軸は電流値(Current、単位はI/nA)、横軸は液滴滴下量(Area with water drop、液滴の大きさ、濡れ面積、単位はS/mm)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明に係る結露センサについて説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0017】
先ず、本発明の理解を容易にするために、図1を用いて、本発明に係る結露センサS1を組み込んだテスト装置Tについて説明する。
テスト装置Tは、EGRシステムを含むエンジンシステムであり、エンジン1と、ターボチャージャ2と、測定部3とを備えている。
【0018】
エンジン1は、ガソリンエンジン又はジーゼルエンジンの内燃機関であり、ターボチャージャ2は、回転軸の一方側にコンプレッサ2aを備えると共に、その回転軸の他方側にタービン2bを備えて構成されている。
【0019】
測定部3は、図示しないが、結露センサS1に対して所定の電圧を供給する電源供給回路、その結露センサから出力された電流信号に基づいて結露の有無を検出する演算処理回路(CPU)等を含んで構成されている。
【0020】
上記ターボチャージャ2のコンプレッサ2aは、エンジン1の吸気側に接続されている吸気管4と接続され、タービン2bは、エンジン1の排気側に接続されている排気管5と接続されている。これら吸気管4及び排気管5には、ターボチャージャ2を迂回する形で再循環管6が接続されている。また、吸気管4の再循環管6が接続している箇所及びコンプレッサ2aの設備されている箇所の間には、本実施形態の結露センサS1が接続されている。この結露センサS1については、後に詳述する。
また、実際のテスト装置Tには、図1に示される部材以外に、エアークリーナやインタークーラ等の部材が設けられていると共に、風量計や温度計等の計測機器が設けられているが、ここでは図面を簡略化するために省略されている。
【0021】
なお、図1に示す結露センサS1の設置位置は一例であり、他の配管の一部として結露センサS1を設置しても良い。また、図1に示すテスト装置Tの構成も一例であり、他の装置構成を採用していても良い。
【0022】
上記構成からなるテスト装置Tを用いてエンジン1の結露検出の実験を行なうには、エンジン1を駆動し、吸気管4中に設けられているスロットルバルブV1、排気管5中のタービン2bを迂回する形で設けられているバイパス路中のバルブ(ウエイストゲート)V2、及び、再循環管6中に設けられているバルブV3の開度が調整される。
【0023】
上記各バルブV1〜V3の開度調整や外気温度等の条件を変化させてエンジン1が駆動されると、吸気管4の管内壁面には、排出ガス中の含まれているNOxやSOx等の成分を含む腐食性液体が結露することがある。結露が生成されたことが結露センサS1を介して検出されると、そのときのエンジン1の還流量等の状態が結露を生成させる条件と判定される。したがって、この実験に基づいて、結露を生じさせないエンジンシステムを開発することができる。
【0024】
なお、図1に示すテスト装置Tにおいては、結露センサS1と測定部3とによって、本発明の結露検出装置が構成されている。
【0025】
(第1の実施形態)
次に、第1の実施形態に係る結露センサS1について、図2を用いて説明する。図2の(a)は結露センサS1の正面図であり、(b)はその右側面図である。この結露センサS1は、本発明の導電領域に相当する導体部10a,10b,10c,10dと、本発明の絶縁領域に相当する絶縁部11a,11b,11c,11dとから構成されている。
【0026】
各導体部10a,10b,10c,10dは、外形形状が細長いSUS等の導電性の板材からなり、その板材の短辺側が円弧状に構成されている。そして、これら各導体部10a,10b,10c,10dの円弧は、各導体部10a,10b,10c,10dの短辺側を円弧に沿って並べたときに、予め定められた直径を有する円を呈するように決められている(図2(a)参照)。したがって、各導体部10a,10b,10c,10dの短辺側を円弧に沿って並べたときには、長さが板材の長辺の長さに等しい円筒が形成される(図2(b)参照)。
【0027】
各絶縁部11a,11b,11c,11dは、外形形状が細長い合成樹脂製等の電気絶縁性の板材からなる。その長さは、各導体部10a,10b,10c,10dの長さに等しく、その短辺側の幅は、各導体部10a,10b,10c,10dの円弧状の短辺の長さより十分に小さく、その高さ(厚さ)は、各導体部10a,10b,10c,10dの厚さに等しく形成されている。各絶縁部11a,11b,11c,11dの短辺側の幅は、検出される結露の大きさによって決められ、その幅が小さくなるほど、小さい結露も検出することができる。
【0028】
導体部10a,10b,10c,10d及び絶縁部11a,11b,11c,11dの配置関係は、導体部と絶縁部とが交互になるように接着材等を用いて気密状態で組み合わされる。
すなわち、絶縁部11aは、その長手方向の両側面に導体部10a,10bの長手方向の側面がそれぞれ当接し、かつ、絶縁部11aの短辺側の両端面が導体部10a,10bの短辺の両端面にそれぞれ一致するように設けられる。
同様にして、絶縁部11bは、導体部10b,10c間に配設され、絶縁部11cは、導体部10c,10dに配設され、そして、絶縁部11dは、導体部10d,10aに配設される。
このような導体部10a,10b,10c,10d及び絶縁部11a,11b,11c,11dの配置により、その内部には、ガス流体の流れる内部流路を有する配管形状が形成される。
なお、本発明で「導電領域同士を絶縁する絶縁領域」というときは、互いに隣接する導体部を電気的に絶縁する領域ということを意味している。
【0029】
上記導体部10a,10b,10c,10d及び絶縁部11a,11b,11c,11dからなる円筒状の結露センサS1は、少なくとも、その円筒状の内径形状が図1における吸気管4の結露検出箇所の内径形状に合致するように決められている。図1において、結露検出箇所は、吸気管4の直線部分に設定されているので、結露センサS1の内径形状も吸気管4の直線部分に合わせて形成されている。したがって、結露検出箇所がエルボ等の湾曲状のときは、その湾曲に合わせて形成される。
【0030】
上記構成からなる結露センサS1の結露検出原理を図2(a)を用いて説明する。導体部10a,10b間、導体部10b,10c間、導体部10c,10d間及び導体部10d,10a間の外側には、電流計A1,A2,A3,A4がそれぞれ接続されている。そして、これらの電流計A1,A2,A3,A4は、測定部3と電気的に接続されている。また、図示しないが、導体部10a,10b間、導体部10b,10c間、導体部10c,10d間及び導体部10d,10a間には、図示しない電源回路から予め設定された電圧が順次印加される。
【0031】
結露センサS1の内側は、結露検出に先立って結露液Lの生成されていない状態に保たれる。この状態は、結露成分を含まない乾燥ガスを結露センサS1の内側に通過させることにより得られる。
次いで、結露センサS1の内側に結露液Lの成分を含むガス(本発明の「流体」に相当している。)が流れると、結露センサS1の内壁面には、その内壁面にガスが接触したときに生じる温度低下等の一定の条件の下に結露が生じ、結露液Lが生成される。
【0032】
そして、生成された結露液Lが絶縁部11a上に存在すると、導体部10a,10b間の電気絶縁が破壊され、電流計A1には、所定の電流値が表示される。したがって、電流計A1が所定の電流値を検出したときは、導体部10a,10b間に結露液Lが生成されたことが分かる。また、この検出される電流値は、後述する実験結果に示されるように、生成される結露液Lの大きさ、すなわち、濡れ面積に比例することが分かっているので、電流値によって結露液Lの大きさも推定することができる。
【0033】
同様にして、絶縁部11b上に生成される結露液Lが電流計A2によって検出され、絶縁部11c上に生成される結露液Lが電流計A3によって検出され、そして、絶縁部11d上に生成される結露液Lが電流計A4によって検出される。
【0034】
なお、各導体部に印加する電源は、直流又は交流のいずれも選択することができるが、交流電源の場合は、測定されたインピーダンスにより結露液Lの溶液抵抗を推定できる可能性を有している。
また、この例では、各導体部間に、電源回路から所定の電圧がそれぞれ印加されるようにしたが、導体部を異種金属で構成してガルバニック対を形成し、電圧の供給を省略するようにしてもよい。例えば、導体部10a,10cの金属と、導体部10b,10aの金属とを異なるようにしてもよい。
【0035】
なお、上記結露センサS1は、4個の導体部10a,10b,10c,10d及び4個の絶縁部11a,11b,11c,11dから構成されているが、4個以上の導体部及び絶縁部で構成することができる。これらの個数が増えるほど、きめ細やかな結露検出が可能となる。
【0036】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る結露センサS2について、図3を用いて説明する。図3(a)は結露センサS2の外観図であり、(b)はその右側面図である。この結露センサS2も上記結露センサS1と同様に、導電性の導体部と電気絶縁性の絶縁部とから構成されている。
【0037】
導体部20は、リング状に形成され、また、絶縁部21は、導体部20の厚さより小さい厚さで、かつ導体部20の大きさと同じリング状に形成され、これら導体部20及び絶縁部21は、それぞれ複数個用意される。図示の例では、導体部20は9個、絶縁部21は8個用意される。そして、この導体部20と絶縁部21とを交互に気密状に積層して結露センサS2が形成されている。
すなわち、結露センサS2は、導体部20、絶縁部21、導体部20、絶縁部21…のように交互に配置されて上記図3と同様の円筒状が形成される(図3(b)参照)。また、この結露センサS2は、少なくとも、その円筒状の内径形状が図1における吸気管4に示されるような結露検出箇所の内径形状に合致するように決められている。このような導体部20及び絶縁部21の配置により、その内部には、ガス流体の流れる内部流路を有する配管形状が形成される。
【0038】
上記構成からなる結露センサS2においても、上記結露センサS1と同様に、絶縁部21を中間にした導体部20,20間に流れる電流値を導体部20,20の外側において計測することにより結露センサS2内に生成した結露を検出することができる。
【0039】
(結露センサS1の製造例)
図4(a)〜(d)は、結露センサS1の製造例を示している。同図(a)は、SUS等からなる所定の肉厚で、所定の内径を有し、かつ所定の長さを有するパイプ100を示している。このパイプで100は、例えば、図1の結露検出箇所の吸気管4の形状に合わせて選択される。
同図(b)は、パイプ100の一端側(同図(b)では左端側)から他端側近くまで軸方向に伸び、かつ、そのパイプの円周を等間隔に区分するように切削して、複数(図示の例では、4個)のスリット101が形成されていることを示している。
同図(c)は、スリット101の形成されたパイプ100を接着性及び電気絶縁性を有する合成樹脂溶液102中に浸漬し、スリット101中に合成樹脂を充填している状態を示している。なお、合成樹脂の余分部分は切削等により容易に除去することができる。
同図(d)は、スリット101中に合成樹脂溶液102が充填され、その充填された合成樹脂が固化した後、パイプ100の他端側(スリット101の設けられていない部分)が切除され、結露センサS1が製造されたことが示されている。
【0040】
上記構成からなる結露センサS1の製造方法は、パイプ100にスリット101を形成し、そのスリット101内に接着性及び電気絶縁性を有する合成樹脂を充填するだけで簡単に製造することができる。
なお、上述の製造例では、スリット101は、パイプ100の軸心に沿った直線状を呈しているが、スリット101を放電加工等により形成して、スリット101を螺旋状等の任意の形状に作ることもできる。
【0041】
(実験例1)
図5(a)は、図2に示される結露センサS1の絶縁部11a上に液滴を滴下したときの電流計A1の電流値の変化状態を示している。図5の下向きの矢印は、液滴を滴下したタイミングを示している。この図から明らかなように、液滴を滴下したときに電流値が急激に高まり、その後は電流値が低下することを示している。
したがって、電流計A1の電流値が所定以上の値を示したときは、絶縁部11a上に結露液Lが生成されたと判定することができる。
なお、電流値の低下が液滴の乾燥以前に生じるため、テスト装置Tを用いてテストを行う際には、結露センサS1を十分に乾燥させた状態で行うことが好ましい。
【0042】
(実験例2)
図5(b)は、図2に示される結露センサS1の絶縁部11a上に液滴を滴下したときに電流計A1の電流値が高まることを示すと共に、その液滴滴下量により電流計A1の電流値が高まることを示している。すなわち、この図5(b)は、生成される液滴の大きさ、いわゆる濡れ面積に比例することを示している。
したがって、この結露センサS1は、電流計A1の電流値によって、結露センサS1内に生成される液滴大きさを推定することができる。このため、図1の測定部3に予め電流値と濡れ面積との関係を記憶しておくことにより、検出された電流値によって液滴の大きさを推定することができる。
【0043】
上記実施形態の結露センサS1,S2は、流体が流れる内部流路を有する配管形状に形状設定されている。このため、テスト装置Tの配管の一部に結露センサS1,S2を組み込んでテストを行うことができ、実際の運転状態における結露の有無を正確に検出することが可能となる。
また、結露センサS1,S2が備える導体部10a,10b,10c,10d,20は、結露センサS1,S2の外壁面に露出している。このため、結露センサS1,S2の外側から配線を接続することができ、流体の流れを阻害することなく配線の引き廻しを行うことが可能となる。
【0044】
また、上記実施形態の結露センサS1,S2は、さらには結露センサS1,S2の外側から配線を接続することができるため、内部流路の径は、閉塞しない範囲で極限まで小さくすることが可能である。つまり、上記実施形態の結露センサS1,S2は、小型化に向いており、従来結露の検出ができなかった小径の配管において結露の検出を可能とする。
【0045】
また、上記第1実施形態の結露センサS1においては、導体部10a,10b,10c,10dが内部流路の周方向に複数配列されている。このため、周方向の結露液分布を取得することが可能となる。
また、上記第1実施形態の結露センサS1においては、各々の導体部10a,10b,10c,10d及び各々の絶縁部11a,11b,11c,11dが内部流路の進行方向における一方の端部から他方の端部まで延在して設けられている。このため、導体部10a,10b,10c,10dの表面積を広く確保することができ、流れる電流量を増大させることができる。
【0046】
また、上記第2実施形態の結露センサS2においては、導体部10a,10b,10c,10dが内部流路の進行方向に複数配列されている。このため、内部流路の進行方向の結露液分布を取得することが可能となる。
【0047】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0048】
T……テスト装置、1……エンジン、2……ターボチャージャ、3……測定部(結露検出装置)、4……吸気管、5……排気管、6……再循環管、S1,S2……結露センサ(結露検出装置)、10a,10b,10c,10d……導体部(導電領域)、11a,11b,11c,11d……絶縁部(絶縁領域)、20……導体部(導電領域)、21……絶縁部(絶縁領域)、100……パイプ、101……スリット、102……合成樹脂溶液、A1,A2,A3,A4……電流計、L……結露液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流れる内部流路を有する配管形状に形状設定されると共に、
前記内部流路及び外壁面に露出する複数の導電領域と、前記導電領域同士を絶縁する絶縁領域とを有する
ことを特徴とする結露センサ。
【請求項2】
前記導電領域が前記内部流路の周方向に複数配列されていることを特徴とする請求項1記載の結露センサ。
【請求項3】
各々の前記導電領域及び各々の前記絶縁領域が前記内部流路の進行方向における一方の端部から他方の端部まで延在して設けられていることを特徴とする請求項2記載の結露センサ。
【請求項4】
前記導電領域が前記内部流路の進行方向に複数配列されていることを特徴とする請求項1記載の結露センサ。
【請求項5】
結露センサと、前記結露センサからの信号に基づいて結露の有無を測定する測定部とを備える結露検出装置であって、
前記結露センサとして、請求項1〜4いずれかに記載の結露センサを備えることを特徴とする結露検出装置。
【請求項6】
前記測定部は、予め前記結露センサからの信号が示す電流値と結露による濡れ面積との関係を記憶し、前記前記結露センサからの信号が示す電流値から結露による濡れ面積を求めることを特徴とする請求項5記載の結露検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−2581(P2012−2581A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136149(P2010−136149)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】