給油口の誤給油防止装置
【課題】特定部位の押圧の有無だけで、軽油用給油ガンの挿入を許し、ガソリン用給油ガンの挿入を阻止できる誤給油防止装置を提供する。
【解決手段】燃料給油管の給油口に軽油用給油ガン4を挿入できても、ガソリン用給油ガン5を挿入できないようにする誤給油防止装置2であって、給油口の周方向均等位置から給油口の半径方向内向きに突出する2以上の規制ブロック23と、規制ブロック23を半径方向内向きかつ下向きに回転自在かつ給油口の半径方向外向きに移動自在に保持するハウジング24と、ハウジング24に支持され、規制ブロック23を上向きかつ給油口の半径方向内向きに付勢するコイルスプリング25とから構成される。
【解決手段】燃料給油管の給油口に軽油用給油ガン4を挿入できても、ガソリン用給油ガン5を挿入できないようにする誤給油防止装置2であって、給油口の周方向均等位置から給油口の半径方向内向きに突出する2以上の規制ブロック23と、規制ブロック23を半径方向内向きかつ下向きに回転自在かつ給油口の半径方向外向きに移動自在に保持するハウジング24と、ハウジング24に支持され、規制ブロック23を上向きかつ給油口の半径方向内向きに付勢するコイルスプリング25とから構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料給油管の給油口に大径の給油ガン(例えば欧米における軽油用給油ガン)を挿入できても、小径の給油ガン(例えば欧米におけるガソリン用給油ガン)を挿入できないようにする誤給油防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
欧米では、ガソリン用給油ガンの外径を軽油用給油ガンの外径に比べて相対的に小さくする(例えば軽油用給油ガンの外径=22mm、ガソリン用給油ガンの外径=20mm)と共に、軽油を燃料とする自動車において、燃料給油管の給油口に誤給油防止装置を設け、軽油用給油ガンを給油口に挿入できてもガソリン用給油ガンを挿入できないようにして、間違ってガソリンが給油できないようにしている(ガソリンを燃料とする自動車の場合、給油口が外径の小さなガソリン用給油ガンに合わせて作られているため、基本的に軽油用給油ガンが挿入できないので問題がない)。誤給油防止装置は様々な構成が提案されており、例えば特許文献1又は特許文献2記載の構成を例示できる。
【0003】
特許文献1は、給油口に設けられた一対のレバー(Hebel(40))から構成される誤給油防止装置を開示する。レバーは、給油口を塞ぐ遮断部位(Blockierelement(46))と、外径の大きな軽油用給油ガンに押される制御部位(Betatigungselement(48))とを備え、常態としてバネ部材(Federelement(60))により内向きに付勢されている。これにより、軽油用給油ガンは、制御部位を押し、バネ部材の付勢に抗して給油口外方にレバーを押し開き、給油口の奥深くまで挿入できるが、ガソリン用給油ガンは、制御部位を押さずに遮断部位に突き当たり、給油口の奥深くまで挿入できないようにしている(特許文献1・請求項1、図1及び図2)。
【0004】
特許文献2記載は、給油口に取り付けられるベース部材(foundation(101))の開口(aperture(102))に多数の保持部材(retention arms(103))を設けて構成される誤給油防止装置(nozzle inhibitor(10))を開示する。保持部材は、外径の大きな軽油用給油ガンに押されるカム傾斜面(inclined
cam ramp(104))を介して開口に支持され、先端にフック(hook(105))を設けている。これにより、軽油用給油ガンは、カム傾斜面を押して保持部材を押し開き、フックを外方に待避させて、給油口の奥深くまで挿入できるが、ガソリン用給油ガンは、カム斜面を押さずにフックに掛合し、給油口の奥深くまで挿入できないようにしている(特許文献2・[0027][0028]、図4〜図7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国実用新案出願公開第202005014387号明細書
【特許文献2】米国特許第7302977号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1が開示する誤給油防止装置は、制御部位が軽油用給油ガンに一定の押圧力で押されることによりバネ部材の付勢に抗してレバーを押し開く。また、特許文献2が開示する誤給油防止装置は、カム傾斜面が軽油用給油ガンに一定の押圧力で押されることにより弾性変形し、保持部材を押し開く。いずれも、レバー又は保持部材の特定部位に一定の押圧力が加わることにより、レバー又は保持部材を押し開く点で共通しており、前記押圧力が外径の大きな軽油用給油ガンでしか特定部に加えられないように工夫している。
【0007】
裏返せば、特許文献1及び特許文献2が開示する誤給油防止装置でも、ガソリン用給油ガンでレバー又は保持部材の特定部位に一定の押圧力を加えることができれば、レバー又は保持部材を押し開くことができる。このため、特許文献1が開示する誤給油防止装置は、遮断部位の先端に突起(Zapfen(49))を設け、また特許文献2が開示する誤給油防止装置は、上述のようにフックを設けて、仮に一方のレバー又は一部の保持部材が押し開かれても、他方のレバーの突起又は残りの保持部材のフックにガソリン用給油ガンの内側が掛合し、挿入を阻止できるようにしている。
【0008】
しかし、突起又はフックの形成は、レバーや保持部材の構造を複雑にするほか、一般にガソリン用給油ガンの内側には規制がないため、突起やフックがうまく掛合できない場合も出てくる。また、特定部位に一定の押圧力が加わればレバー又は保持部材を押し開き、そうでなければレバー又は保持部材を開かない誤給油防止装置は、押圧力に対向する付勢力又は弾性変形力が経年変化すると、うまく働かなくなる虞があり、誤給油を防止する働きの安定性に疑問が残る。そこで、特定部を押す押圧力の程度ではなく、特定部位の押圧の有無だけで、軽油用給油ガンの挿入を許し、ガソリン用給油ガンの挿入を阻止できる誤給油防止装置を開発するため、検討した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
検討の結果開発したものが、燃料給油管の給油口に軽油用給油ガン(大径の給油ガン)を挿入できても、ガソリン用給油ガン(小径の給油ガン)を挿入できないようにする誤給油防止装置であって、給油口の周方向均等位置から給油口の半径方向内向きに突出する2以上の規制ブロックと、規制ブロックを半径方向内向きかつ下向きに回転自在かつ給油口の半径方向外向きに移動自在に保持するハウジングと、ハウジングに支持され、規制ブロックを上向きかつ給油口の半径方向内向きに付勢する弾性部材とを備えた誤給油防止装置である。本発明の誤給油防止装置は、特許文献1又は特許文献2が開示するレバーや保持部材に対し、規制ブロックがハウジングに対して回転自在かつ移動自在である点で相違している。
【0010】
本発明の規制ブロックは、弾性部材により上向きに跳ね上げられた姿勢(以下、基準姿勢)で、給油口と軸線を揃えたガソリン用給油ガンに掛合する規制面と、同じく給油口と軸線を揃えた軽油用給油ガンに掛合する解除面とを上面に有し、側面から回転軸を突出させ、前記回転軸に直交して突出するストッパを設け、ハウジングは、給油口の半径方向外向きに延びて規制ブロックの回転軸を案内するスライド溝と、前記スライド溝と平行に延びてストッパを案内するストッパ溝とを設け、スライド溝の半径方向内側端に回転軸を寄せ、基準姿勢にある規制ブロックのストッパが掛合する切欠をストッパ溝の縁部に設けている。
【0011】
弾性部材は、規制ブロックの回転軸より半径方向内側に一端を掛合させ、ハウジングのスライド溝の半径方向外側端より半径方向外側に他端を掛合させて、規制ブロックの回転軸より下方で伸縮するコイルバネを例示できる。弾性部材は、規制ブロックを上向きかつ半径方向内向きに付勢して基準姿勢に復帰させる働きを有するため、弾性部材がコイルバネの場合、規制ブロックに掛合させた一端よりハウジングに掛合させた他端を低くし、規制ブロックの回転軸より下方で、半径方向内向きかつ斜め上向きに伸長させる。スライド溝は、回転軸を案内し、規制ブロックを半径方向外向きに移動させることができればよいため、例えば半径方向内向きかつ斜め上向きに伸長させるコイルバネの伸縮方向に延在方向を揃え、半径方向内向きに上向きに設けるとよい。また、スライド溝及びストッパ溝は、通常並んで設けられる。例えば、ストッパが回転軸の先端付近から突出する場合、規制ブロックの側面に近い側がスライド溝、遠い側にストッパ溝が設けられる。
【0012】
規制ブロックは、常態として回転軸をスライド溝の半径方向内側端に寄せて基準姿勢にあり、半径方向内向きに突出して給油口を塞いでいる。このとき、規制ブロックは、回転軸から突出するストッパをハウジングのストッパ溝の縁部に設けた切欠に掛合させ、半径方向内向きの突出状態を維持する。ここで、ストッパは、回転軸から下向きに突出させ、ストッパ溝の下縁に形成した切欠に対して給油口の半径方向外向きに掛合させるとよい。規制ブロックは、半径方向内向きかつ下向きに回転させてストッパを切欠から外すため、前述のようにストッパ及び切欠を構成すると、ストッパが完全に切欠から外れない限り規制ブロックを半径方向外向きに移動させることができなくなり、好ましい。軽油用給油ガンは、解除面を押して回転方向の運動を規制ブロックに与えることにより、規制ブロックを半径方向内向きかつ下向きに回転させてストッパを切欠から外した姿勢(以下、待避姿勢)に移行させ、そのまま解除面又は規制面を押して回転軸をスライド溝の半径方向外側端まで移動させ、待避姿勢の規制ブロックを給油口の半径方向外向きに待避させる。こうして、軽油用給油ガンは、そのまま給油口の奥まで挿入させることができる。
【0013】
これに対し、ガソリン用給油ガンは、規制面を押すために回転方向の運動を与えることができず、規制ブロックを待避姿勢に移行させることができないため、給油口の半径方向内向きに突出した基準姿勢の規制ブロックにより挿入が阻止される。規制ブロックは、給油口の周方向均等位置(設計仕様に応じて、均等位置から±10度程度ずれてもよい。)から半径方向内向きに突出しているので、例えば2個の規制ブロックは対向位置関係にある。これから、ガソリン用給油ガンをこじれば、一方の規制ブロックの解除面を押して待避姿勢にし、半径方向外向きに待避させても、残る他方の規制ブロックの解除面を押すことができなければ、前記残る他方の規制ブロックが基準姿勢を保ってガソリン用給油ガンの挿入を阻止できる。このため、給油口の内周面と基準姿勢を保つ規制ブロックの解除面の半径方向内側端との最短距離がガソリン用給油ガンの外径より小さくする。
【0014】
これから理解されるように、本発明の誤給油防止装置は、解除面が押されると回転して待避姿勢に移行し、規制面が押されると回転せずに基準姿勢を保つ規制ブロックに技術的特徴を備える。こうした規制ブロックは、基準姿勢で、給油口と軸線を揃えたガソリン用給油ガンの外径より半径方向外側で、同じく給油口と軸線を揃えた軽油用給油ガンの外径より半径方向内側の位置から半径方向外向きに45度より小さい上り勾配とした解除面を上面に有することにより、軽油用給油ガンに押される解除面に加わる力を主に半径方向内向きかつ下向きの回転成分に振り分け、規制ブロックを回転させる。
【0015】
解除面の上り勾配が45度より小さければ、軽油用給油ガンに押される解除面に加わる力を主に規制ブロックの半径方向内向きかつ下向きの回転成分に振り分けることができるが、半径方向内向きかつ下向きの回転成分を半径方向外向き成分より十分に大きくすることが望ましい。これから、解除面の好ましい上り勾配は、規制ブロックが基準姿勢で、−15度(要は、半径方向外向きに下り勾配)〜10度である。上り勾配が−15度をより小さくなると、規制ブロックの回転によっても軽油用給油ガンが押す部位が規制面に移行せず、かえって解除面及び規制面の境界が軽油用給油ガンに引っかかる虞が出る。また、上り勾配が10度より大きくなると、半径方向内向きかつ下向きの回転成分に対して半径方向外向き成分が大きくなり、規制ブロックの円滑な回転を阻害する。
【0016】
また、規制ブロックは、基準姿勢で、給油口と軸線を揃えたガソリン用給油ガンの外径より半径方向外側で、同じく給油口と軸線を揃えた軽油用給油ガンの外径より半径方向内側の位置から半径方向内向きに45度より大きい下り勾配とした規制面を上面に有することにより、ガソリン用給油ガンに押される規制面に加わる力を主に規制ブロックの半径方向外向き成分に振り分け、半径方向内向きかつ下向きの回転成分を小さくして、規制面が押されても回転しないようにできる。
【0017】
規制面の下り勾配が45度より大きければ、ガソリン用給油ガンに押される規制面に加わる力を主に規制ブロックの半径方向外向き成分に振り分けることができるが、半径方向外向き成分を半径方向内向きかつ下向きの回転成分より十分に大きくすることが望ましい。これから、規制面の好ましい下り勾配は、規制ブロックが基準姿勢で、60度〜90度(ただし、90度を含まず)である。下り勾配が60度より小さくなると、半径方向外向き成分に対して半径方向内向きかつ下向きの回転成分が大きくなり、規制ブロックが回転してしまう虞が出てくる。また、下り勾配が90度に達すると、そもそもガソリン用給油ガンに規制面が掛合しなくなり、挿入を阻止する本来的働きが損なわれる。
【0018】
ハウジングは、規制ブロックを保持し、給油口に対する規制ブロックの位置関係を特定する。このほか、ハウジングは、給油口と軸線を揃え、内周縁が規制ブロックそれぞれの有する解除面に等しく交差する調芯リングを支持させることにより、規制ブロックに向けて挿入する軽油用給油ガンがすべての規制ブロックの解除面を等しく押すようにできる。調芯リングは、給油口に設けた誤給油防止装置に対する軽油用給油ガン及びガソリン用給油ガンの挿入位置を規制して、誤給油防止装置を正しく働かせる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の誤給油防止装置は、給油口に対する軽油用給油ガンの挿入を許しながら、ガソリン用給油ガンの挿入を確実に阻止する。これは、規制ブロックを待避させるために、回転及び移動という2種類の動きを組み合わせ、基準姿勢から待避姿勢に移行する過程でストッパを解除しなければならないようにしたことによる効果である。より具体的には、ハウジングに対して回転自在かつ移動自在とした規制ブロックは、軽油用給油ガンのみが解除面を押すことができ、解除面が押された場合のみストッパを解除させて、基準姿勢から待避姿勢に移行して給油口の半径方向外向きに待避させることができるが、ガソリン用給油ガンでは規制面しか押すことができず、ストッパを解除できずに、給油口の半径方向内向きに突出する基準姿勢を保つようにしたことによる効果である。こうして、本発明の誤給油防止装置は、特許文献1又は特許文献2が開示する同等装置に比べ、特にガソリン用給油ガンの挿入を確実に阻止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に基づく誤給油防止装置を内蔵した給油口の垂直断面図である。
【図2】本例の給油口の平面図である。
【図3】誤給油防止装置における各部の組付関係を表す垂直断面図である。
【図4】誤給油防止装置における規制ブロック及びハウジングの組付関係を表す斜視図である。
【図5】誤給油防止装置における規制ブロックを背面方向から見た斜視図である。
【図6】基準姿勢にある規制ブロック及びハウジングの垂直断面図である。
【図7】基準姿勢にある規制ブロックの解除面に当接するまで軽油用ガンを挿入した段階を表す図1相当垂直断面図である。
【図8】基準姿勢にある規制ブロックの解除面に当接するまで軽油用ガンを挿入した段階における規制ブロックを表す部分拡大側面図(図面手前側の側板省略)である。
【図9】軽油用ガンに押されて回転し、規制ブロックが待避姿勢に移行した段階を表す図1相当垂直断面図である。
【図10】軽油用ガンに押されて回転し、規制ブロックが待避姿勢に移行した段階における規制ブロックを表す図8相当部分拡大側面図(図面手前側の側板省略)である。
【図11】軽油用ガンに押され、待避姿勢のまま半径方向外側に規制ブロックが移動した段階を表す図1相当垂直断面図である。
【図12】軽油用ガンに押され、待避姿勢のまま半径方向外側に規制ブロックが移動した段階における規制ブロックを表す図8相当部分拡大側面図(図面手前側の側板省略)である。
【図13】基準姿勢にある規制ブロックの規制面に当接するまでガソリン用給油ガンを挿入した段階を表す図1相当垂直断面図である。
【図14】給油口と軸線をずらしてガソリン用給油ガンを挿入した段階を表す図1相当垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。本発明の誤給油防止装置2は、例えば図1に見られるように、挿入された軽油用給油ガン4により下方に向けて押し開かれる開閉弁33を備えた給油口開閉装置3と併用して利用される。本例は、鋼管製の燃料給油管を多段に拡管して形成される給油管端部1に対し、前記段差に下部本体31の周面を掛合させて下段に給油口開閉装置3を嵌合させ、そして前記下部本体31に上部本体21を載せて上段に誤給油防止装置2を嵌合させている。給油口は、誤給油防止装置2を構成する上部本体21に設けられた開口(図2参照)であり、誤給油防止装置2の調芯リング22の内側、規制ブロック23を支持するハウジング24の間、そして給油口開閉装置3の上面開口32及び下面開口34に連通している。
【0022】
給油口開閉装置3は、上面開口32を設けた上部面板と下面開口34を設けた下部円筒とを組み付けて構成される樹脂製の下部本体31の前記上面開口32を弁座として開閉弁32を設けた構成である。開閉弁32は、弁体に弁用シールリング331を装着した構成で、上面開口32近くに軸支され、捻りコイルバネ(図示略)により上向きに付勢されている。これにより、規制ブロック23を超えて挿入された軽油用給油ガン4に押されて下方に回転して、上面開口32、すなわち給油口を開き(図11参照)、前記軽油用給油ガン4が引き出されると、前記付勢により上方に向けて回転し、上面開口32の周囲に弁用シールリング331を押し当てて、上面開口32、すなわち給油口を閉鎖する。下部本体31は、上縁外周に本体用シールリング311を装着しており、開閉弁33により上面開口32を塞いでいる場合、給油管端部1を気密性を実現している。
【0023】
誤給油防止装置2は、図1〜図3に見られるように、給油口となる開口周囲に半径方向に延びる補強リブ211を周方向等間隔で8枚設けた円筒状の樹脂ブロックである上部本体21に、給油口の周方向均等位置から給油口の半径方向内向きに突出する2つの規制ブロック23,23と、各規制ブロック23を半径方向内向きかつ下向きに回転自在かつ給油口の半径方向外向きに移動自在に保持するハウジング24と、各ハウジング24に支持され、規制ブロック23を上向きかつ給油口の半径方向内向きに付勢するコイルスプリング25とを備えて構成される。補強リブ211は、半径方向内側の一部が切り欠かれており、上部本体21に取り付けられるハウジング24の上面との間で環状空間を形成し、調芯リング22を嵌合させる。
【0024】
調芯リング22は、給油口と軸線を揃えたとき、内周縁が基準姿勢にある規制ブロック23の解除面232に等しく交差するゴム製リングである。本例の調芯リング22は、内周縁が大径の軽油用給油ガン4を抵抗なく挿入できる内径としつつ、平面視半月状で垂直断面が半径方向内向きに下り勾配の弾性片221,221を対向位置関係で一対張り出している。弾性片221は、リング本体と一体のゴム製であることから、例えば軽油用給油ガン4により上方から押すと弾性変形する部位で、対向位置にある弾性片221,221の最短距離を、小径のガソリン用給油ガン5が抵抗なく挿入できる長さとしている。これにより、軽油用給油ガン4は弾性片221を変形させながら挿入して軸線を給油口に揃え、ガソリン用給油ガン5は弾性片221を変形させないように挿入して軸線を給油口に揃えことができる。
【0025】
規制ブロック23は、直方体状のハウジング24に装着され、上部本体21の内周面に設けられた型枠に前記ハウジング24を宛てがうように挿入し、接着することにより、給油口の対向位置から給油口の半径方向内向きに突出する。本例の規制ブロック23は、図4及び図5に見られるように、側面視台形状で、内部が刳り貫かれた樹脂製ブロックで、上面の半径方向外側に解除面232、半径方向内側に規制面231を形成し、側面から円柱状の回転軸233を左右対称に突出させ、各回転軸233から平板状のストッパ234を回転軸233の突出方向に直交して突出させて、刳り貫かれた内部にコイルスプリング25の終端を嵌合させるブロック側突起235(図6参照)を設けている。
【0026】
ハウジング24は、規制ブロック23を装着するため、左右一対の側板244,244と、前記側板244,244に挟まれる中間板245とを組み付けて構成される。側板244は、側面視長方形の樹脂製板面で、規制ブロック23の回転軸233、ストッパ234に対応して、内面側にスライド溝241、外面側にストッパ溝242を設けている。スライド溝241は回転軸233を案内する長孔、ストッパ溝242は規制ブロック23が待避姿勢になった状態におけるストッパ234を案内する長孔で、それぞれコイルバネの伸縮方向に延在方向を揃えて、半径方向内向きに上向き(上り勾配の角度が30度)に設けられている。ストッパ溝242は、スライド溝241の半径方向内側端に回転軸233を寄せ、基準姿勢にある規制ブロック23のストッパ234が掛合する切欠243をストッパ溝242の下縁に設けている。本例のストッパ234は、回転軸233を横断する板材であるため、切欠243の対向位置である上縁にも同様の切欠を形成し、回転軸233の回転に伴うストッパ234の姿勢変化を阻害しないようにしている。
【0027】
中間板245は、垂直断面がL字状の樹脂製板面で、垂直面の内側にコイルスプリング25の始端を嵌合させるハウジング側突起246を設けている。これにより、コイルスプリング25は、図6に見られるように、規制ブロック23の回転軸233より半径方向内側にあるブロック側突起235に終端を掛合させ、ハウジング24のスライド溝241の半径方向外側端より半径方向外側にあるハウジング側突起246に始端を掛合させて、規制ブロック23の回転軸233より下方で伸縮して、規制ブロック23を上向きかつ半径方向内向きに付勢する。このほか、本例の中間板245は、上部水平面の前縁に規制ブロック23を当接させることにより、コイルスプリング25の付勢により上向きに回転する規制ブロック23の回転量を規制する。
【0028】
本例の解除面232は、規制ブロック23がコイルスプリング25の付勢により跳ね上げられた基準姿勢で、給油口と軸線を揃えたガソリン用給油ガン5の外径より半径方向外側で、同じく給油口と軸線を揃えた軽油用給油ガン4の外径より半径方向内側の位置から半径方向外向きに、勾配角度αがー10度の上り勾配(10度の下り勾配)になっている(図8参照)。また、本例の規制面231は、前述と同じ基準姿勢で、給油口と軸線を揃えたガソリン用給油ガン5の外径より半径方向外側で、同じく給油口と軸線を揃えた軽油用給油ガン4の外径より半径方向内側の位置から半径方向内向き、勾配角度βがに50度の下り勾配になっている(図8参照)。
【0029】
本例の誤給油防止装置2の働きについて説明する。本例の誤給油防止装置2は、常態として回転軸233をスライド溝241の半径方向内側端に寄せて基準姿勢にあり、半径方向内向きに突出して給油口を塞いでいる(図2参照)。このとき、規制ブロック23は、ストッパ234をストッパ溝242の切欠243に掛合させ、半径方向内向きの突出状態を維持している。軽油用給油ガン4は、図7及び図8に見られるように、調芯リング22の弾性片221を均等に弾性変形させて給油口と軸線を揃えながら挿入され、一対の規制ブロック23の解除面232,232それぞれに外縁を当接させる。軽油用給油ガン4の外径と調芯リング22の内径とはほぼ同一であるため、軽油用給油ガン4は弾性片221を片方だけ弾性変形させて給油口に挿入できず、一対の弾性片221を均等に弾性変形させた場合のみ給油口に挿入できるので、軽油ガン4は給油口と軸線を一致させることになる。
【0030】
一対の規制ブロック23の解除面232,232それぞれに外縁を当接させた軽油用給油ガン4をそのまま下降させ続けると、図9及び図10に見られるように、軽油用給油ガン4がコイルスプリング25の付勢に抗して規制ブロック23を半径方向内向きかつ下向きに回転させ、ストッパ234を切欠243から外した待避姿勢へと規制ブロック23を移行させる。このまま軽油用給油ガン4が下降し続けると、規制ブロック23には半径方向外側に移動させようとする力と更に回転させようとする力とが加えられるが、ストッパ234がストッパ溝242の上縁に当接して規制ブロック23の更なる回転が制限されるため、後は前記半径方向外側に移動させようとする力のみが働くことになる。
【0031】
これにより、図11及び図12に見られるように、軽油用給油ガン4は当接部位を解除面232から規制面231に移りながら、待避姿勢の規制ブロック23を給油口の半径方向外向きに待避させる。こうして、更に下降させることができるようになった軽油用給油ガン4は、そのまま下降させて給油口開閉装置3の開閉弁33を押し開き、給油口の奥まで挿入できる。規制ブロック23は、軽油用給油ガン4を引き抜くことにより、コイルスプリング25の付勢により基準姿勢に復帰する。同様に、給油口開閉装置3の開閉弁33も、軽油用給油ガン4を引き抜くことにより、捻りコイルバネ(図示略)の付勢にしたがって基準状態(弁座である上面開口32を閉鎖する状態)に復帰する。
【0032】
ガソリン用給油ガン5は、図13に見られるように、調芯リング22の弾性片221避けて給油口と軸線を揃えながら挿入され、一対の規制ブロック23の規制面231,231それぞれに外縁を当接させる。ガソリン用給油ガン5の外径と調芯リング22の対向位置にある弾性片221,221の最短距離とはほぼ同一であるため、ガソリン用給油ガン5は両方の弾性片221をいずれも変形させないように挿入すれば、給油口と軸線を一致させることができる。こうして一対の規制ブロック23の規制面231,231それぞれに外縁を当接させたガソリン用給油ガン5は、各規制ブロック23に十分な回転方向の力を与えられないため、ストッパ234を切欠243から外すことができず、仮に半径方向外側に移動させようとする力が働いていも、各規制ブロック23を待避姿勢に移行させることができない。このため、規制ブロック23が半径方向外側に待避することがなくなり、ガソリン用給油ガン5を給油口の奥まで挿入させることが阻止される。
【0033】
ここで、調芯リング22における一方の弾性片211のみを変形させ、ガソリン用給油ガン5をこじたり、給油口と軸線をずらして挿入させることが考えられる。この場合、図14に見られるように、ガソリン用給油ガン5は、一方の規制ブロック23(図14中右側の規制ブロック23)の解除面232を押して待避姿勢にし、半径方向外向きに待避させることができるが、残る他方の規制ブロック23(図14中左側の規制ブロック23)の解除面232を押すことができず、前記残る他方の規制ブロック23により挿入が阻止される。これから、各規制ブロック23が給油口の内周面(=調芯リング22の内周縁)から突出する長さは、基準姿勢を保つ規制ブロック23(例えば図14中左側の規制ブロック23)の解除面232の半径方向内側端と前記給油口の内周面との最短距離を、ガソリン用給油ガン5の外径より小さくなるように設定する。解除面232の半径方向内側端に制約はないので、前記設定は容易である。
【符号の説明】
【0034】
1 給油管端部
2 誤給油防止装置
21 上段本体
22 調芯リング
23 規制ブロック
24 ハウジング
25 コイルスプリング
3 給油口開閉装置
31 下段本体
32 上面開口
33 開閉弁
34 下面開口
4 軽油用給油ガン(大径の給油ガン)
5 ガソリン用給油ガン(小径の給油ガン)
α 解除面の上り勾配の角度
β 規制面の下り勾配の角度
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料給油管の給油口に大径の給油ガン(例えば欧米における軽油用給油ガン)を挿入できても、小径の給油ガン(例えば欧米におけるガソリン用給油ガン)を挿入できないようにする誤給油防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
欧米では、ガソリン用給油ガンの外径を軽油用給油ガンの外径に比べて相対的に小さくする(例えば軽油用給油ガンの外径=22mm、ガソリン用給油ガンの外径=20mm)と共に、軽油を燃料とする自動車において、燃料給油管の給油口に誤給油防止装置を設け、軽油用給油ガンを給油口に挿入できてもガソリン用給油ガンを挿入できないようにして、間違ってガソリンが給油できないようにしている(ガソリンを燃料とする自動車の場合、給油口が外径の小さなガソリン用給油ガンに合わせて作られているため、基本的に軽油用給油ガンが挿入できないので問題がない)。誤給油防止装置は様々な構成が提案されており、例えば特許文献1又は特許文献2記載の構成を例示できる。
【0003】
特許文献1は、給油口に設けられた一対のレバー(Hebel(40))から構成される誤給油防止装置を開示する。レバーは、給油口を塞ぐ遮断部位(Blockierelement(46))と、外径の大きな軽油用給油ガンに押される制御部位(Betatigungselement(48))とを備え、常態としてバネ部材(Federelement(60))により内向きに付勢されている。これにより、軽油用給油ガンは、制御部位を押し、バネ部材の付勢に抗して給油口外方にレバーを押し開き、給油口の奥深くまで挿入できるが、ガソリン用給油ガンは、制御部位を押さずに遮断部位に突き当たり、給油口の奥深くまで挿入できないようにしている(特許文献1・請求項1、図1及び図2)。
【0004】
特許文献2記載は、給油口に取り付けられるベース部材(foundation(101))の開口(aperture(102))に多数の保持部材(retention arms(103))を設けて構成される誤給油防止装置(nozzle inhibitor(10))を開示する。保持部材は、外径の大きな軽油用給油ガンに押されるカム傾斜面(inclined
cam ramp(104))を介して開口に支持され、先端にフック(hook(105))を設けている。これにより、軽油用給油ガンは、カム傾斜面を押して保持部材を押し開き、フックを外方に待避させて、給油口の奥深くまで挿入できるが、ガソリン用給油ガンは、カム斜面を押さずにフックに掛合し、給油口の奥深くまで挿入できないようにしている(特許文献2・[0027][0028]、図4〜図7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国実用新案出願公開第202005014387号明細書
【特許文献2】米国特許第7302977号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1が開示する誤給油防止装置は、制御部位が軽油用給油ガンに一定の押圧力で押されることによりバネ部材の付勢に抗してレバーを押し開く。また、特許文献2が開示する誤給油防止装置は、カム傾斜面が軽油用給油ガンに一定の押圧力で押されることにより弾性変形し、保持部材を押し開く。いずれも、レバー又は保持部材の特定部位に一定の押圧力が加わることにより、レバー又は保持部材を押し開く点で共通しており、前記押圧力が外径の大きな軽油用給油ガンでしか特定部に加えられないように工夫している。
【0007】
裏返せば、特許文献1及び特許文献2が開示する誤給油防止装置でも、ガソリン用給油ガンでレバー又は保持部材の特定部位に一定の押圧力を加えることができれば、レバー又は保持部材を押し開くことができる。このため、特許文献1が開示する誤給油防止装置は、遮断部位の先端に突起(Zapfen(49))を設け、また特許文献2が開示する誤給油防止装置は、上述のようにフックを設けて、仮に一方のレバー又は一部の保持部材が押し開かれても、他方のレバーの突起又は残りの保持部材のフックにガソリン用給油ガンの内側が掛合し、挿入を阻止できるようにしている。
【0008】
しかし、突起又はフックの形成は、レバーや保持部材の構造を複雑にするほか、一般にガソリン用給油ガンの内側には規制がないため、突起やフックがうまく掛合できない場合も出てくる。また、特定部位に一定の押圧力が加わればレバー又は保持部材を押し開き、そうでなければレバー又は保持部材を開かない誤給油防止装置は、押圧力に対向する付勢力又は弾性変形力が経年変化すると、うまく働かなくなる虞があり、誤給油を防止する働きの安定性に疑問が残る。そこで、特定部を押す押圧力の程度ではなく、特定部位の押圧の有無だけで、軽油用給油ガンの挿入を許し、ガソリン用給油ガンの挿入を阻止できる誤給油防止装置を開発するため、検討した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
検討の結果開発したものが、燃料給油管の給油口に軽油用給油ガン(大径の給油ガン)を挿入できても、ガソリン用給油ガン(小径の給油ガン)を挿入できないようにする誤給油防止装置であって、給油口の周方向均等位置から給油口の半径方向内向きに突出する2以上の規制ブロックと、規制ブロックを半径方向内向きかつ下向きに回転自在かつ給油口の半径方向外向きに移動自在に保持するハウジングと、ハウジングに支持され、規制ブロックを上向きかつ給油口の半径方向内向きに付勢する弾性部材とを備えた誤給油防止装置である。本発明の誤給油防止装置は、特許文献1又は特許文献2が開示するレバーや保持部材に対し、規制ブロックがハウジングに対して回転自在かつ移動自在である点で相違している。
【0010】
本発明の規制ブロックは、弾性部材により上向きに跳ね上げられた姿勢(以下、基準姿勢)で、給油口と軸線を揃えたガソリン用給油ガンに掛合する規制面と、同じく給油口と軸線を揃えた軽油用給油ガンに掛合する解除面とを上面に有し、側面から回転軸を突出させ、前記回転軸に直交して突出するストッパを設け、ハウジングは、給油口の半径方向外向きに延びて規制ブロックの回転軸を案内するスライド溝と、前記スライド溝と平行に延びてストッパを案内するストッパ溝とを設け、スライド溝の半径方向内側端に回転軸を寄せ、基準姿勢にある規制ブロックのストッパが掛合する切欠をストッパ溝の縁部に設けている。
【0011】
弾性部材は、規制ブロックの回転軸より半径方向内側に一端を掛合させ、ハウジングのスライド溝の半径方向外側端より半径方向外側に他端を掛合させて、規制ブロックの回転軸より下方で伸縮するコイルバネを例示できる。弾性部材は、規制ブロックを上向きかつ半径方向内向きに付勢して基準姿勢に復帰させる働きを有するため、弾性部材がコイルバネの場合、規制ブロックに掛合させた一端よりハウジングに掛合させた他端を低くし、規制ブロックの回転軸より下方で、半径方向内向きかつ斜め上向きに伸長させる。スライド溝は、回転軸を案内し、規制ブロックを半径方向外向きに移動させることができればよいため、例えば半径方向内向きかつ斜め上向きに伸長させるコイルバネの伸縮方向に延在方向を揃え、半径方向内向きに上向きに設けるとよい。また、スライド溝及びストッパ溝は、通常並んで設けられる。例えば、ストッパが回転軸の先端付近から突出する場合、規制ブロックの側面に近い側がスライド溝、遠い側にストッパ溝が設けられる。
【0012】
規制ブロックは、常態として回転軸をスライド溝の半径方向内側端に寄せて基準姿勢にあり、半径方向内向きに突出して給油口を塞いでいる。このとき、規制ブロックは、回転軸から突出するストッパをハウジングのストッパ溝の縁部に設けた切欠に掛合させ、半径方向内向きの突出状態を維持する。ここで、ストッパは、回転軸から下向きに突出させ、ストッパ溝の下縁に形成した切欠に対して給油口の半径方向外向きに掛合させるとよい。規制ブロックは、半径方向内向きかつ下向きに回転させてストッパを切欠から外すため、前述のようにストッパ及び切欠を構成すると、ストッパが完全に切欠から外れない限り規制ブロックを半径方向外向きに移動させることができなくなり、好ましい。軽油用給油ガンは、解除面を押して回転方向の運動を規制ブロックに与えることにより、規制ブロックを半径方向内向きかつ下向きに回転させてストッパを切欠から外した姿勢(以下、待避姿勢)に移行させ、そのまま解除面又は規制面を押して回転軸をスライド溝の半径方向外側端まで移動させ、待避姿勢の規制ブロックを給油口の半径方向外向きに待避させる。こうして、軽油用給油ガンは、そのまま給油口の奥まで挿入させることができる。
【0013】
これに対し、ガソリン用給油ガンは、規制面を押すために回転方向の運動を与えることができず、規制ブロックを待避姿勢に移行させることができないため、給油口の半径方向内向きに突出した基準姿勢の規制ブロックにより挿入が阻止される。規制ブロックは、給油口の周方向均等位置(設計仕様に応じて、均等位置から±10度程度ずれてもよい。)から半径方向内向きに突出しているので、例えば2個の規制ブロックは対向位置関係にある。これから、ガソリン用給油ガンをこじれば、一方の規制ブロックの解除面を押して待避姿勢にし、半径方向外向きに待避させても、残る他方の規制ブロックの解除面を押すことができなければ、前記残る他方の規制ブロックが基準姿勢を保ってガソリン用給油ガンの挿入を阻止できる。このため、給油口の内周面と基準姿勢を保つ規制ブロックの解除面の半径方向内側端との最短距離がガソリン用給油ガンの外径より小さくする。
【0014】
これから理解されるように、本発明の誤給油防止装置は、解除面が押されると回転して待避姿勢に移行し、規制面が押されると回転せずに基準姿勢を保つ規制ブロックに技術的特徴を備える。こうした規制ブロックは、基準姿勢で、給油口と軸線を揃えたガソリン用給油ガンの外径より半径方向外側で、同じく給油口と軸線を揃えた軽油用給油ガンの外径より半径方向内側の位置から半径方向外向きに45度より小さい上り勾配とした解除面を上面に有することにより、軽油用給油ガンに押される解除面に加わる力を主に半径方向内向きかつ下向きの回転成分に振り分け、規制ブロックを回転させる。
【0015】
解除面の上り勾配が45度より小さければ、軽油用給油ガンに押される解除面に加わる力を主に規制ブロックの半径方向内向きかつ下向きの回転成分に振り分けることができるが、半径方向内向きかつ下向きの回転成分を半径方向外向き成分より十分に大きくすることが望ましい。これから、解除面の好ましい上り勾配は、規制ブロックが基準姿勢で、−15度(要は、半径方向外向きに下り勾配)〜10度である。上り勾配が−15度をより小さくなると、規制ブロックの回転によっても軽油用給油ガンが押す部位が規制面に移行せず、かえって解除面及び規制面の境界が軽油用給油ガンに引っかかる虞が出る。また、上り勾配が10度より大きくなると、半径方向内向きかつ下向きの回転成分に対して半径方向外向き成分が大きくなり、規制ブロックの円滑な回転を阻害する。
【0016】
また、規制ブロックは、基準姿勢で、給油口と軸線を揃えたガソリン用給油ガンの外径より半径方向外側で、同じく給油口と軸線を揃えた軽油用給油ガンの外径より半径方向内側の位置から半径方向内向きに45度より大きい下り勾配とした規制面を上面に有することにより、ガソリン用給油ガンに押される規制面に加わる力を主に規制ブロックの半径方向外向き成分に振り分け、半径方向内向きかつ下向きの回転成分を小さくして、規制面が押されても回転しないようにできる。
【0017】
規制面の下り勾配が45度より大きければ、ガソリン用給油ガンに押される規制面に加わる力を主に規制ブロックの半径方向外向き成分に振り分けることができるが、半径方向外向き成分を半径方向内向きかつ下向きの回転成分より十分に大きくすることが望ましい。これから、規制面の好ましい下り勾配は、規制ブロックが基準姿勢で、60度〜90度(ただし、90度を含まず)である。下り勾配が60度より小さくなると、半径方向外向き成分に対して半径方向内向きかつ下向きの回転成分が大きくなり、規制ブロックが回転してしまう虞が出てくる。また、下り勾配が90度に達すると、そもそもガソリン用給油ガンに規制面が掛合しなくなり、挿入を阻止する本来的働きが損なわれる。
【0018】
ハウジングは、規制ブロックを保持し、給油口に対する規制ブロックの位置関係を特定する。このほか、ハウジングは、給油口と軸線を揃え、内周縁が規制ブロックそれぞれの有する解除面に等しく交差する調芯リングを支持させることにより、規制ブロックに向けて挿入する軽油用給油ガンがすべての規制ブロックの解除面を等しく押すようにできる。調芯リングは、給油口に設けた誤給油防止装置に対する軽油用給油ガン及びガソリン用給油ガンの挿入位置を規制して、誤給油防止装置を正しく働かせる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の誤給油防止装置は、給油口に対する軽油用給油ガンの挿入を許しながら、ガソリン用給油ガンの挿入を確実に阻止する。これは、規制ブロックを待避させるために、回転及び移動という2種類の動きを組み合わせ、基準姿勢から待避姿勢に移行する過程でストッパを解除しなければならないようにしたことによる効果である。より具体的には、ハウジングに対して回転自在かつ移動自在とした規制ブロックは、軽油用給油ガンのみが解除面を押すことができ、解除面が押された場合のみストッパを解除させて、基準姿勢から待避姿勢に移行して給油口の半径方向外向きに待避させることができるが、ガソリン用給油ガンでは規制面しか押すことができず、ストッパを解除できずに、給油口の半径方向内向きに突出する基準姿勢を保つようにしたことによる効果である。こうして、本発明の誤給油防止装置は、特許文献1又は特許文献2が開示する同等装置に比べ、特にガソリン用給油ガンの挿入を確実に阻止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に基づく誤給油防止装置を内蔵した給油口の垂直断面図である。
【図2】本例の給油口の平面図である。
【図3】誤給油防止装置における各部の組付関係を表す垂直断面図である。
【図4】誤給油防止装置における規制ブロック及びハウジングの組付関係を表す斜視図である。
【図5】誤給油防止装置における規制ブロックを背面方向から見た斜視図である。
【図6】基準姿勢にある規制ブロック及びハウジングの垂直断面図である。
【図7】基準姿勢にある規制ブロックの解除面に当接するまで軽油用ガンを挿入した段階を表す図1相当垂直断面図である。
【図8】基準姿勢にある規制ブロックの解除面に当接するまで軽油用ガンを挿入した段階における規制ブロックを表す部分拡大側面図(図面手前側の側板省略)である。
【図9】軽油用ガンに押されて回転し、規制ブロックが待避姿勢に移行した段階を表す図1相当垂直断面図である。
【図10】軽油用ガンに押されて回転し、規制ブロックが待避姿勢に移行した段階における規制ブロックを表す図8相当部分拡大側面図(図面手前側の側板省略)である。
【図11】軽油用ガンに押され、待避姿勢のまま半径方向外側に規制ブロックが移動した段階を表す図1相当垂直断面図である。
【図12】軽油用ガンに押され、待避姿勢のまま半径方向外側に規制ブロックが移動した段階における規制ブロックを表す図8相当部分拡大側面図(図面手前側の側板省略)である。
【図13】基準姿勢にある規制ブロックの規制面に当接するまでガソリン用給油ガンを挿入した段階を表す図1相当垂直断面図である。
【図14】給油口と軸線をずらしてガソリン用給油ガンを挿入した段階を表す図1相当垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。本発明の誤給油防止装置2は、例えば図1に見られるように、挿入された軽油用給油ガン4により下方に向けて押し開かれる開閉弁33を備えた給油口開閉装置3と併用して利用される。本例は、鋼管製の燃料給油管を多段に拡管して形成される給油管端部1に対し、前記段差に下部本体31の周面を掛合させて下段に給油口開閉装置3を嵌合させ、そして前記下部本体31に上部本体21を載せて上段に誤給油防止装置2を嵌合させている。給油口は、誤給油防止装置2を構成する上部本体21に設けられた開口(図2参照)であり、誤給油防止装置2の調芯リング22の内側、規制ブロック23を支持するハウジング24の間、そして給油口開閉装置3の上面開口32及び下面開口34に連通している。
【0022】
給油口開閉装置3は、上面開口32を設けた上部面板と下面開口34を設けた下部円筒とを組み付けて構成される樹脂製の下部本体31の前記上面開口32を弁座として開閉弁32を設けた構成である。開閉弁32は、弁体に弁用シールリング331を装着した構成で、上面開口32近くに軸支され、捻りコイルバネ(図示略)により上向きに付勢されている。これにより、規制ブロック23を超えて挿入された軽油用給油ガン4に押されて下方に回転して、上面開口32、すなわち給油口を開き(図11参照)、前記軽油用給油ガン4が引き出されると、前記付勢により上方に向けて回転し、上面開口32の周囲に弁用シールリング331を押し当てて、上面開口32、すなわち給油口を閉鎖する。下部本体31は、上縁外周に本体用シールリング311を装着しており、開閉弁33により上面開口32を塞いでいる場合、給油管端部1を気密性を実現している。
【0023】
誤給油防止装置2は、図1〜図3に見られるように、給油口となる開口周囲に半径方向に延びる補強リブ211を周方向等間隔で8枚設けた円筒状の樹脂ブロックである上部本体21に、給油口の周方向均等位置から給油口の半径方向内向きに突出する2つの規制ブロック23,23と、各規制ブロック23を半径方向内向きかつ下向きに回転自在かつ給油口の半径方向外向きに移動自在に保持するハウジング24と、各ハウジング24に支持され、規制ブロック23を上向きかつ給油口の半径方向内向きに付勢するコイルスプリング25とを備えて構成される。補強リブ211は、半径方向内側の一部が切り欠かれており、上部本体21に取り付けられるハウジング24の上面との間で環状空間を形成し、調芯リング22を嵌合させる。
【0024】
調芯リング22は、給油口と軸線を揃えたとき、内周縁が基準姿勢にある規制ブロック23の解除面232に等しく交差するゴム製リングである。本例の調芯リング22は、内周縁が大径の軽油用給油ガン4を抵抗なく挿入できる内径としつつ、平面視半月状で垂直断面が半径方向内向きに下り勾配の弾性片221,221を対向位置関係で一対張り出している。弾性片221は、リング本体と一体のゴム製であることから、例えば軽油用給油ガン4により上方から押すと弾性変形する部位で、対向位置にある弾性片221,221の最短距離を、小径のガソリン用給油ガン5が抵抗なく挿入できる長さとしている。これにより、軽油用給油ガン4は弾性片221を変形させながら挿入して軸線を給油口に揃え、ガソリン用給油ガン5は弾性片221を変形させないように挿入して軸線を給油口に揃えことができる。
【0025】
規制ブロック23は、直方体状のハウジング24に装着され、上部本体21の内周面に設けられた型枠に前記ハウジング24を宛てがうように挿入し、接着することにより、給油口の対向位置から給油口の半径方向内向きに突出する。本例の規制ブロック23は、図4及び図5に見られるように、側面視台形状で、内部が刳り貫かれた樹脂製ブロックで、上面の半径方向外側に解除面232、半径方向内側に規制面231を形成し、側面から円柱状の回転軸233を左右対称に突出させ、各回転軸233から平板状のストッパ234を回転軸233の突出方向に直交して突出させて、刳り貫かれた内部にコイルスプリング25の終端を嵌合させるブロック側突起235(図6参照)を設けている。
【0026】
ハウジング24は、規制ブロック23を装着するため、左右一対の側板244,244と、前記側板244,244に挟まれる中間板245とを組み付けて構成される。側板244は、側面視長方形の樹脂製板面で、規制ブロック23の回転軸233、ストッパ234に対応して、内面側にスライド溝241、外面側にストッパ溝242を設けている。スライド溝241は回転軸233を案内する長孔、ストッパ溝242は規制ブロック23が待避姿勢になった状態におけるストッパ234を案内する長孔で、それぞれコイルバネの伸縮方向に延在方向を揃えて、半径方向内向きに上向き(上り勾配の角度が30度)に設けられている。ストッパ溝242は、スライド溝241の半径方向内側端に回転軸233を寄せ、基準姿勢にある規制ブロック23のストッパ234が掛合する切欠243をストッパ溝242の下縁に設けている。本例のストッパ234は、回転軸233を横断する板材であるため、切欠243の対向位置である上縁にも同様の切欠を形成し、回転軸233の回転に伴うストッパ234の姿勢変化を阻害しないようにしている。
【0027】
中間板245は、垂直断面がL字状の樹脂製板面で、垂直面の内側にコイルスプリング25の始端を嵌合させるハウジング側突起246を設けている。これにより、コイルスプリング25は、図6に見られるように、規制ブロック23の回転軸233より半径方向内側にあるブロック側突起235に終端を掛合させ、ハウジング24のスライド溝241の半径方向外側端より半径方向外側にあるハウジング側突起246に始端を掛合させて、規制ブロック23の回転軸233より下方で伸縮して、規制ブロック23を上向きかつ半径方向内向きに付勢する。このほか、本例の中間板245は、上部水平面の前縁に規制ブロック23を当接させることにより、コイルスプリング25の付勢により上向きに回転する規制ブロック23の回転量を規制する。
【0028】
本例の解除面232は、規制ブロック23がコイルスプリング25の付勢により跳ね上げられた基準姿勢で、給油口と軸線を揃えたガソリン用給油ガン5の外径より半径方向外側で、同じく給油口と軸線を揃えた軽油用給油ガン4の外径より半径方向内側の位置から半径方向外向きに、勾配角度αがー10度の上り勾配(10度の下り勾配)になっている(図8参照)。また、本例の規制面231は、前述と同じ基準姿勢で、給油口と軸線を揃えたガソリン用給油ガン5の外径より半径方向外側で、同じく給油口と軸線を揃えた軽油用給油ガン4の外径より半径方向内側の位置から半径方向内向き、勾配角度βがに50度の下り勾配になっている(図8参照)。
【0029】
本例の誤給油防止装置2の働きについて説明する。本例の誤給油防止装置2は、常態として回転軸233をスライド溝241の半径方向内側端に寄せて基準姿勢にあり、半径方向内向きに突出して給油口を塞いでいる(図2参照)。このとき、規制ブロック23は、ストッパ234をストッパ溝242の切欠243に掛合させ、半径方向内向きの突出状態を維持している。軽油用給油ガン4は、図7及び図8に見られるように、調芯リング22の弾性片221を均等に弾性変形させて給油口と軸線を揃えながら挿入され、一対の規制ブロック23の解除面232,232それぞれに外縁を当接させる。軽油用給油ガン4の外径と調芯リング22の内径とはほぼ同一であるため、軽油用給油ガン4は弾性片221を片方だけ弾性変形させて給油口に挿入できず、一対の弾性片221を均等に弾性変形させた場合のみ給油口に挿入できるので、軽油ガン4は給油口と軸線を一致させることになる。
【0030】
一対の規制ブロック23の解除面232,232それぞれに外縁を当接させた軽油用給油ガン4をそのまま下降させ続けると、図9及び図10に見られるように、軽油用給油ガン4がコイルスプリング25の付勢に抗して規制ブロック23を半径方向内向きかつ下向きに回転させ、ストッパ234を切欠243から外した待避姿勢へと規制ブロック23を移行させる。このまま軽油用給油ガン4が下降し続けると、規制ブロック23には半径方向外側に移動させようとする力と更に回転させようとする力とが加えられるが、ストッパ234がストッパ溝242の上縁に当接して規制ブロック23の更なる回転が制限されるため、後は前記半径方向外側に移動させようとする力のみが働くことになる。
【0031】
これにより、図11及び図12に見られるように、軽油用給油ガン4は当接部位を解除面232から規制面231に移りながら、待避姿勢の規制ブロック23を給油口の半径方向外向きに待避させる。こうして、更に下降させることができるようになった軽油用給油ガン4は、そのまま下降させて給油口開閉装置3の開閉弁33を押し開き、給油口の奥まで挿入できる。規制ブロック23は、軽油用給油ガン4を引き抜くことにより、コイルスプリング25の付勢により基準姿勢に復帰する。同様に、給油口開閉装置3の開閉弁33も、軽油用給油ガン4を引き抜くことにより、捻りコイルバネ(図示略)の付勢にしたがって基準状態(弁座である上面開口32を閉鎖する状態)に復帰する。
【0032】
ガソリン用給油ガン5は、図13に見られるように、調芯リング22の弾性片221避けて給油口と軸線を揃えながら挿入され、一対の規制ブロック23の規制面231,231それぞれに外縁を当接させる。ガソリン用給油ガン5の外径と調芯リング22の対向位置にある弾性片221,221の最短距離とはほぼ同一であるため、ガソリン用給油ガン5は両方の弾性片221をいずれも変形させないように挿入すれば、給油口と軸線を一致させることができる。こうして一対の規制ブロック23の規制面231,231それぞれに外縁を当接させたガソリン用給油ガン5は、各規制ブロック23に十分な回転方向の力を与えられないため、ストッパ234を切欠243から外すことができず、仮に半径方向外側に移動させようとする力が働いていも、各規制ブロック23を待避姿勢に移行させることができない。このため、規制ブロック23が半径方向外側に待避することがなくなり、ガソリン用給油ガン5を給油口の奥まで挿入させることが阻止される。
【0033】
ここで、調芯リング22における一方の弾性片211のみを変形させ、ガソリン用給油ガン5をこじたり、給油口と軸線をずらして挿入させることが考えられる。この場合、図14に見られるように、ガソリン用給油ガン5は、一方の規制ブロック23(図14中右側の規制ブロック23)の解除面232を押して待避姿勢にし、半径方向外向きに待避させることができるが、残る他方の規制ブロック23(図14中左側の規制ブロック23)の解除面232を押すことができず、前記残る他方の規制ブロック23により挿入が阻止される。これから、各規制ブロック23が給油口の内周面(=調芯リング22の内周縁)から突出する長さは、基準姿勢を保つ規制ブロック23(例えば図14中左側の規制ブロック23)の解除面232の半径方向内側端と前記給油口の内周面との最短距離を、ガソリン用給油ガン5の外径より小さくなるように設定する。解除面232の半径方向内側端に制約はないので、前記設定は容易である。
【符号の説明】
【0034】
1 給油管端部
2 誤給油防止装置
21 上段本体
22 調芯リング
23 規制ブロック
24 ハウジング
25 コイルスプリング
3 給油口開閉装置
31 下段本体
32 上面開口
33 開閉弁
34 下面開口
4 軽油用給油ガン(大径の給油ガン)
5 ガソリン用給油ガン(小径の給油ガン)
α 解除面の上り勾配の角度
β 規制面の下り勾配の角度
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料給油管の給油口に大径の給油ガンを挿入できても、小径の給油ガンを挿入できないようにする誤給油防止装置であって、
給油口の周方向均等位置から給油口の半径方向内向きに突出する2以上の規制ブロックと、規制ブロックを半径方向内向きかつ下向きに回転自在かつ給油口の半径方向外向きに移動自在に保持するハウジングと、ハウジングに支持され、規制ブロックを上向きかつ給油口の半径方向内向きに付勢する弾性部材とを備え、
規制ブロックは、弾性部材により上向きに跳ね上げられた姿勢で、給油口と軸線を揃えた大径の給油ガンに掛合する解除面と、同じく給油口と軸線を揃えた小径の給油ガンに掛合する規制面とを上面に有し、側面から回転軸を突出させ、前記回転軸に直交して突出するストッパを設け、
ハウジングは、給油口の半径方向外向きに延びて規制ブロックの回転軸を案内するスライド溝と、前記スライド溝と平行に延びてストッパを案内するストッパ溝とを設け、スライド溝の半径方向内側端に回転軸を寄せ、弾性部材により上向きに跳ね上げられた姿勢にある規制ブロックのストッパが掛合する切欠をストッパ溝の縁部に設けた
ことを特徴とする誤給油防止装置。
【請求項2】
規制ブロックは、弾性部材により上向きに跳ね上げられた姿勢で、給油口と軸線を揃えた小径の給油ガンの外径より半径方向外側で、同じく給油口と軸線を揃えた大径の給油ガンの外径より半径方向内側の位置から半径方向外向きに45度より小さい上り勾配とした解除面を上面に有する請求項1記載の誤給油防止装置。
【請求項3】
規制ブロックは、弾性部材により上向きに跳ね上げられた姿勢で、給油口と軸線を揃えた小径の給油ガンの外径より半径方向外側で、同じく給油口と軸線を揃えた大径の給油ガンの外径より半径方向内側の位置から半径方向内向きに45度より大きい下り勾配とした規制面を上面に有する請求項1又は2いずれか記載の誤給油防止装置。
【請求項4】
ハウジングは、給油口と軸線を揃え、内周縁が規制ブロックそれぞれの有する解除面に等しく交差する調芯リングを支持させた請求項1〜3いずれか記載の誤給油防止装置。
【請求項1】
燃料給油管の給油口に大径の給油ガンを挿入できても、小径の給油ガンを挿入できないようにする誤給油防止装置であって、
給油口の周方向均等位置から給油口の半径方向内向きに突出する2以上の規制ブロックと、規制ブロックを半径方向内向きかつ下向きに回転自在かつ給油口の半径方向外向きに移動自在に保持するハウジングと、ハウジングに支持され、規制ブロックを上向きかつ給油口の半径方向内向きに付勢する弾性部材とを備え、
規制ブロックは、弾性部材により上向きに跳ね上げられた姿勢で、給油口と軸線を揃えた大径の給油ガンに掛合する解除面と、同じく給油口と軸線を揃えた小径の給油ガンに掛合する規制面とを上面に有し、側面から回転軸を突出させ、前記回転軸に直交して突出するストッパを設け、
ハウジングは、給油口の半径方向外向きに延びて規制ブロックの回転軸を案内するスライド溝と、前記スライド溝と平行に延びてストッパを案内するストッパ溝とを設け、スライド溝の半径方向内側端に回転軸を寄せ、弾性部材により上向きに跳ね上げられた姿勢にある規制ブロックのストッパが掛合する切欠をストッパ溝の縁部に設けた
ことを特徴とする誤給油防止装置。
【請求項2】
規制ブロックは、弾性部材により上向きに跳ね上げられた姿勢で、給油口と軸線を揃えた小径の給油ガンの外径より半径方向外側で、同じく給油口と軸線を揃えた大径の給油ガンの外径より半径方向内側の位置から半径方向外向きに45度より小さい上り勾配とした解除面を上面に有する請求項1記載の誤給油防止装置。
【請求項3】
規制ブロックは、弾性部材により上向きに跳ね上げられた姿勢で、給油口と軸線を揃えた小径の給油ガンの外径より半径方向外側で、同じく給油口と軸線を揃えた大径の給油ガンの外径より半径方向内側の位置から半径方向内向きに45度より大きい下り勾配とした規制面を上面に有する請求項1又は2いずれか記載の誤給油防止装置。
【請求項4】
ハウジングは、給油口と軸線を揃え、内周縁が規制ブロックそれぞれの有する解除面に等しく交差する調芯リングを支持させた請求項1〜3いずれか記載の誤給油防止装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−213233(P2011−213233A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−83154(P2010−83154)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(503399920)株式会社アステア (31)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(503399920)株式会社アステア (31)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]