説明

給紙装置、及びそれを備えた画像形成装置

【課題】用紙の重送をより効果的に防止することが可能な給紙装置を提供する。
【解決手段】空気を用紙搬送ベルト81の各通気孔81a及び吸気ダクト85の各空気吸引口111、112、113を通じて吸い込むと、各用紙搬送ベルト81の表面に記録用紙Pa1が吸着されて、記録用紙Pa1が各用紙搬送ベルト81の表面に沿って湾曲する(波打つ)。このため、各用紙搬送ベルト81の表面に直接吸着されて湾曲した最上層の記録用紙Pa1と次の記録用紙Pa2との間に空間が形成され、各記録用紙Pa1、Pa2の重送が防止される。また、各用紙搬送ベルト81及び記録用紙Pa1が各湾曲面106〜108と同様に湾曲するため、各用紙搬送ベルト81と記録用紙Pa1との間に隙間が形成され難く、記録用紙Pa1の先端付近からそのような隙間へと空気が吸引されることもなく、記録用紙Pa1の先端付近での空気の吸引を原因とする重送が発生することはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙積載台に積載された用紙束から用紙を引出して送り出す給紙装置及びそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の給紙装置としては、例えば特許文献1に記載のものがある。ここでは、複数の吸着搬送ベルトを並設し、各吸着搬送ベルトの吸引孔を通じて空気を吸引して、各吸着搬送ベルトに用紙を吸着し、各吸着搬送ベルトを周回移動させて、用紙を搬送している。また、各吸着搬送ベルトの内周面に摺接するガイド面に、各吸着搬送ベルトの隙間を通じて下方に突出する複数のリブを設け、各吸着搬送ベルトに吸着された用紙を各リブに当接させて、用紙を湾曲させ(波打たせ)、吸着された用紙とその次の用紙との間に空間を形成し、各用紙の重送を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−358637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように用紙を各吸着搬送ベルトの間から下方に突出する各リブに当接させて、用紙を湾曲させる場合は、湾曲した用紙と湾曲していない各吸着搬送ベルトとの間に隙間が生じる。このため、用紙の先端付近からその隙間へと空気が吸引され、この空気の吸引によりその次の用紙が吸引され、つまり用紙の先端付近で次の用紙が吸引され、これが各用紙の重送の原因となった。
【0005】
そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、用紙の重送をより効果的に防止することが可能な給紙装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の給紙装置は、用紙束を用紙積載台に積載し、空気を用紙搬送部材の通気孔を通じて吸引して、前記用紙束の用紙を前記用紙搬送部材の表面に吸着して搬送する給紙装置であって、前記用紙搬送部材をガイドするガイド部を備え、前記ガイド部は、前記用紙の搬送方向と直交する方向で滑らかに湾曲して、前記用紙搬送部材の表面とは反対の裏面に摺接する湾曲部を有している。
【0007】
このような本発明では、用紙の搬送方向と直交する方向で滑らかに湾曲する湾曲部に用紙搬送部材の裏面が摺接するので、用紙搬送部材の表面が湾曲部と同様に湾曲し、用紙搬送部材の表面に吸着された用紙も湾曲部と同様に湾曲する。このため、用紙搬送部材の表面に吸着されて湾曲した用紙と湾曲しない次の用紙との間に空間が形成され、各用紙が離れて、各用紙の重送が防止される。また、用紙搬送部材及び用紙が湾曲部と同様に湾曲するため、用紙搬送部材と用紙との間に隙間が形成され難く、用紙の先端付近からそのような隙間へと空気が吸引されることもなく、用紙の先端付近での空気の吸引を原因とする重送が発生することはない。
【0008】
また、本発明の給紙装置においては、複数の前記用紙搬送部材を前記用紙の搬送方向と直交する方向に並設し、複数の前記湾曲部を前記用紙の搬送方向と直交する方向に並べて形成している。
【0009】
このように複数の用紙搬送部材及び複数の湾曲部を設けることにより、各用紙搬送部材の表面が複数箇所で湾曲して、用紙も複数箇所で湾曲し、用紙と次の用紙との間の複数箇所に空間が形成され、各用紙の重送が確実に防止される。また、用紙のサイズが小さくても、用紙が確実に湾曲し、用紙と次の用紙との間の空間が確実に形成され、各用紙の重送が防止される。
【0010】
更に、本発明の給紙装置においては、前記各湾曲部の配置間隔を前記各用紙搬送部材の配置間隔よりも広くしている。
【0011】
このような条件により、各湾曲部の数が抑えられて、1つの湾曲部に対して1乃至複数の用紙搬送部材が摺接し、各用紙搬送部材の表面が湾曲部に沿って良好に湾曲する。この結果、各用紙搬送部材の表面に用紙が良好に吸着される。
【0012】
また、本発明の給紙装置においては、前記各湾曲部の前記用紙の搬送方向と直交する方向の幅は、前記用紙の中央付近の前記湾曲部の方が前記用紙の両側付近の前記湾曲部よりも長い。
【0013】
これにより、用紙搬送部材の表面に吸着された用紙の中央付近に幅広の湾曲部が形成され、この用紙の中央付近と次の用紙との間に幅広の大きな空間が形成され、各用紙がより離れ易くなり、各用紙の重送がより効果的に防止される。
【0014】
更に、本発明の給紙装置においては、前記幅が長い方の前記湾曲部には、複数の前記用紙搬送部材が摺接している。
【0015】
これにより、湾曲部の幅が長くても、湾曲部に沿って滑らかに湾曲した各用紙搬送部材の表面を形成することができる。
【0016】
また、本発明の給紙装置においては、前記各湾曲部の谷部から頂部までの高さは、前記用紙の中央付近の前記湾曲部よりも前記用紙の両側付近の前記湾曲部の方が低い。
【0017】
これにより、用紙搬送部材の表面に吸着された用紙の中央付近の湾曲部の高さが高くなり、この用紙の中央付近と次の用紙との間に大きな空間が形成され、各用紙がより離れ易くなり、各用紙の重送がより効果的に防止される。
【0018】
更に、本発明の給紙装置においては、前記ガイド部は、前記各用紙搬送部材の間に位置し、前記各用紙搬送部材の隙間から突出して、前記各用紙搬送部材の表面に対して面一となるリブを有している。
【0019】
このようなリブを設けることにより、各用紙搬送部材の表面とリブの端面とが滑らかに連なった用紙の吸着面となり、用紙がより良好に吸着される。
【0020】
また、本発明の給紙装置においては、前記湾曲部に、前記用紙搬送部材の複数の通気孔に重なって通じる空気吸引口を設けている。
【0021】
これにより、用紙搬送部材の通気孔から湾曲部の空気吸引口へと空気が吸引される。
【0022】
更に、本発明の給紙装置においては、前記空気吸引口を通じて空気を吸引する空気吸引経路を、前記用紙の搬送方向と直交する方向に設けている。
【0023】
これにより、空気吸引経路を直線状に設けることができ、空気吸引経路の構造を簡単化することができる。
【0024】
また、本発明の給紙装置においては、空気を前記用紙束の先端面に吹付ける空気吹付け部を備えている。
【0025】
このように空気を用紙束の先端面に吹付けると、用紙搬送部材の表面に吸着されて湾曲した用紙と湾曲しない次の用紙との間に形成された空間に空気が速やかに侵入して、各用紙がより離れ易くなり、各用紙の重送がより効果的に防止される。
【0026】
一方、本発明の画像形成装置は、上記本発明の給紙装置を備えている。
【0027】
このような本発明の画像形成装置においても、上記本発明の給紙装置と同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0028】
このような本発明では、用紙の搬送方向と直交する方向で滑らかに湾曲する湾曲部に用紙搬送部材の裏面が摺接するので、用紙搬送部材の表面が湾曲部と同様に湾曲し、用紙搬送部材の表面に吸着された用紙も湾曲部と同様に湾曲する。このため、用紙搬送部材の表面に吸着されて湾曲した用紙と湾曲しない次の用紙との間に空間が形成され、各用紙が離れて、各用紙の重送が防止される。また、用紙搬送部材及び用紙が湾曲部と同様に湾曲するため、用紙搬送部材と用紙との間に隙間が形成され難く、用紙の先端付近からそのような隙間へと空気が吸引されることもなく、用紙の先端付近での空気の吸引を原因とする重送が発生することはない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の給紙装置の一実施形態を適用した画像形成装置を示す断面図である。
【図2】本実施形態の給紙装置を示す平面図である。
【図3】給紙装置を示す正面図である。
【図4】用紙引出し部を取外した状態の給紙装置を斜め後方から見て示す斜視図である。
【図5】給紙装置の用紙引出し部を斜め上前方から見て示す斜視図である。
【図6】用紙引出し部を斜め上後方から見て示す斜視図である。
【図7】用紙引出し部を斜め下後方から見て示す斜視図である。
【図8】給紙装置を概略的に示す断面図である。
【図9】給紙装置の吸気ダクト及び各用紙搬送ベルトを記録用紙の引出し方向と直交する方向に破断して、前方から見て示す斜視図である。
【図10】吸気ダクトのガイド底板及び各用紙搬送ベルトを記録用紙の引出し方向と直交する方向に破断して、前方から見て示す断面図である。
【図11】図10のリブ及び用紙搬送ベルトを拡大して示す断面図である。
【図12】図10の吸気ダクトのガイド底板、各用紙搬送ベルト、及び記録用紙を概略的に示す断面図である。
【図13】変形例の吸気ダクトのガイド底板及び各用紙搬送ベルトを記録用紙の引出し方向と直交する方向に破断して、前方から見て示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0031】
図1は、本発明の給紙装置の一実施形態を適用した画像形成装置を示す断面図である。この画像形成装置1は、その構成を大別すると、原稿読取り装置2、印刷部11、用紙搬送部12、用紙供給部13、及び大容量給紙カセット(LCC)14からなる。
【0032】
印刷部11においては、クリーニング装置26により感光体ドラム21表面の残留トナーを除去及び回収した後、帯電装置22により感光体ドラム21の表面を所定の電位に均一に帯電させ、レーザ露光装置23により感光体ドラム21表面を露光して、その表面に静電潜像を形成し、現像装置24により感光体ドラム21表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム21表面にトナー像を形成する。
【0033】
転写ローラ25は、感光体ドラム21に圧接されて、感光体ドラム21との間にニップ域を形成しており、用紙搬送経路33を通じて搬送されて来た記録用紙をそのニップ域に挟み込んで搬送しつつ、感光体ドラム21表面のトナー像を記録用紙上に転写する。そして、定着装置27の加熱ローラ28と加圧ローラ29間に記録用紙を挟み込んで加熱及び加圧し、記録用紙上のカラーのトナー像を定着させる。
【0034】
一方、用紙供給部13は、複数の給紙カセット38を備えている。各給紙カセット38は、記録用紙を一枚ずつ引出して送り出すためのそれぞれのピックアップローラ39等を備えており、引出した記録用紙を用紙搬送部12の用紙搬送経路33へと送り出す。
【0035】
また、大容量給紙カセット(LCC)14は、記録用紙を多量に収納可能であり、記録用紙を一枚ずつ引出して用紙搬送部12の用紙搬送経路33に送り出す。
【0036】
この記録用紙は、用紙搬送経路33を通じて搬送され、転写ローラ25や定着装置27を経由し、用紙排紙ローラ36を介して用紙排紙トレイ37に排出される。この用紙搬送経路33には、記録用紙を一旦停止させて、記録用紙の先端を揃えた後、感光体ドラム21と転写ローラ25間のニップ域でのトナー像の転写タイミングに合わせて記録用紙の搬送を開始するレジストローラ32、記録用紙の搬送を促す搬送ローラ31、用紙排紙ローラ36等が配置されている。
【0037】
また、記録用紙の表面だけではなく、裏面の印字を行う場合は、分岐爪35の位置を切換えて、記録用紙を用紙排紙ローラ36から反転経路34へと逆方向に搬送し、記録用紙の表裏を反転させて、記録用紙をレジストローラ32へと再度導き、記録用紙の表面と同様に、記録用紙の裏面に画像を記録して定着し、記録用紙を用紙排紙トレイ37に排出する。
【0038】
次に、画像形成装置1の本体上部に搭載された原稿読取り装置2を説明する。この原稿読取り装置2において、原稿搬送部42は、その奥一辺をヒンジ(図示せず)により第1読取り部41の奥一辺に枢支されており、その手前部分を上下させることにより原稿搬送部42を開いて、第1読取り部41のプラテンガラス44上に原稿用紙を載置することができる。
【0039】
第1読取り部41において、第1走査ユニット45は、副走査方向に移動しながら、プラテンガラス44上の原稿用紙表面を光源51によって照明し、その反射光を第1反射ミラー52により反射して第2走査ユニット46へと導く。第2走査ユニット46は、第1走査ユニット45に追従して移動しつつ、原稿用紙からの反射光を第2及び第3反射ミラー53、54により反射する。この反射光は、結像レンズ47によりCCD48(Charge Coupled Device)に集光されて、CCD48により原稿用紙の画像が読取られる。
【0040】
また、原稿搬送部42により搬送されている原稿用紙表面の画像を読取る場合は、図1に示すように第1走査ユニット45を原稿読取りガラス55下方の読取り位置に移動し、第1走査ユニット45の位置に応じて第2走査ユニット46を位置決めする。この状態で、ピックアップローラ56により原稿トレイ57上の原稿用紙を引出して、原稿用紙を原稿搬送経路58を通じて搬送し、第1走査ユニット45の光源51により原稿用紙表面を原稿読取りガラス55を介して照明し、原稿用紙からの反射光を第1及び第2走査ユニット45、46の各反射ミラーにより結像レンズ47へと導き、CCD48により原稿用紙の画像を読取り、原稿用紙を原稿排紙ローラ61から原稿排紙トレイ62へと排出する。
【0041】
また、原稿搬送部42に内蔵の第2読取り部43(密着印刷画像センサ(Contact Image Sensor(CIS))は、第2読取り部(CIS)43の下を通過して原稿排紙トレイ62へと排出される原稿用紙裏面を照明し、原稿用紙裏面からの反射光を受光して、原稿用紙裏面の画像を読取る。
【0042】
このようにCCD48及びCIS43により読取られた原稿用紙の画像は、画像形成装置1のレーザ露光装置23に入力され、画像形成装置1において画像が記録用紙に記録され、この記録用紙が複写原稿として出力される。
【0043】
次に、大容量給紙カセット14に内蔵されている本実施形態の給紙装置71の構成を詳しく説明する。この給紙装置71は、多量の記録用紙を積載収容し、記録用紙を一枚ずつ引出して搬送経路33(図1に示す)に送り出すものである。
【0044】
図2、図3は、本実施形態の給紙装置71を示す平面図及び正面図である。図2、図3に示すように給紙装置71は、外側枠体72、底板73、外側枠体72の内側に配置された用紙積載台74、及び外側枠体72の一端上側に配置された用紙引出し部75等を備えている。
【0045】
用紙積載台74は、多量の記録用紙(用紙束)が積載されるものであって、外側枠体72の内側に昇降可能に設けられている。用紙積載台74には、記録用紙の引出し方向(用紙搬送方向)Eに長い開口部74aが形成されている。用紙後端ガイド76は、底板73上で記録用紙の引出し方向Eに沿って往復移動可能に支持され、用紙積載台74の開口部74aを通じて上方に突出している。尚、記録用紙の引出し方向(用紙搬送方向)Eを前方、引出し方向Eとは逆方向を後方とする。
【0046】
この用紙積載台74の両側には、それぞれの凹所74bが形成されており、各凹所74bにそれぞれのアシストダクト77、78が配置されている。各アシストダクト77、78は、外側枠体72の両側で引出し方向Eと直交する方向に往復移動可能に支持されており、互に接近するように移動されるか又は互に離間するように連動して移動される。
【0047】
用紙引出し部75は、4本の無端状の用紙搬送ベルト81、各用紙搬送ベルト81を架け渡す1組のローラ82、83、吸排気ファン84、吸気ダクト85、及び排気ダクト86等を備えている。各用紙搬送ベルト81には、多数の通気孔81aが形成されており、空気が各用紙搬送ベルト81の各通気孔81aから吸気ダクト85を通じて吸排気ファン84へと吸引される。また、吸排気ファン84から排気された空気は、排気ダクト86を通じて導かれ、排気ダクト86から外側枠体72の内側へと引出し方向Eとは逆方向(後方)に吹き出される。
【0048】
図4は、用紙引出し部75を取外した状態で、外側枠体72、底板73、及び用紙積載台74等を斜め後方から見て示す斜視図である。図4に示すように各アシストダクト77、78の外側には、それぞれのアシストファン79、80が設けられている。各アシストダクト77、78は、中空体であって、その内部に通気経路を有しており、各アシストファン79、80により吸引された空気がそれぞれのアシストダクト77、78の通気経路に送り込まれ、この空気が各アシストダクト77、78の排気口77a、78aから外側枠体72の内側に吹き出される。
【0049】
また、図2及び図4に示すように用紙後端ガイド76は、記録用紙の引出し方向Eに沿って往復移動可能であり、引出し方向Eにおける任意の位置で位置決めされる。更に、図2及び図4に示すように各アシストダクト77、78は、引出し方向Eと直交する方向に往復移動可能であり、引出し方向Eと直交する方向における任意の位置で位置決めされる。
【0050】
ここで、用紙束を用紙積載台74に搭載するときには、用紙後端ガイド76を後方に移動させて、用紙後端ガイド76と外側枠体72の当接板72bとの間を広く開け、また各アシストダクト77、78を相互に離間する方向に移動させて、各アシストダクト77、78の間を広く開けておく。この状態で、用紙束を用紙積載台74に載せ、この後に用紙後端ガイド76を引出し方向Eに移動させ、用紙後端ガイド76の柱部76aにより用紙束の後端を引出し方向Eに押して、用紙束を用紙積載台74上で滑らして移動させ、用紙束の先端を外側枠体72の当接板72bに当接させて、用紙束の先端及び後端を用紙後端ガイド76の柱部76aと外側枠体72の当接板72bとの間に挟み込んで位置決めする。また、各アシストダクト77、78を相互に接近する方向に移動させて、用紙束の両端を各アシストダクト77、78の間に挟み込んで位置決めする。
【0051】
また、図4に示すように用紙積載台74の両側には、突出片74cが2つずつ形成されており、各突出片74cが外側枠体72の両側の開口部72aから突出している。外側枠体72の片側では、2本のワイヤー87が用紙積載台74の片側の各突出片74cに接続され、各ワイヤー87が複数の従動プーリ88に掛けられて引き回され巻取りプーリ89に接続されている。また、外側枠体72の他の片側でも、他の2本のワイヤー87が用紙積載台74の他の片側の各突出片74cに接続され、他の各ワイヤー87が他の複数の従動プーリ88に掛けられて引き回され他の巻取りプーリ89に接続されている。各巻取りプーリ89は、回転自在に支持された共通の軸91の両端に固定されており、パルスモータ92により軸91が回転駆動されて、各巻取りプーリ89が回転し、各ワイヤー87が各巻取りプーリ89に巻取られたり各巻取りプーリ89から繰り出されたりする。
【0052】
パルスモータ92により軸91が回転駆動されて、各巻取りプーリ89が時計回り方向に回転されると、各ワイヤー87が各巻取りプーリ89に巻取られて、用紙積載台74が上昇し、また各巻取りプーリ89が反時計回り方向に回転されると、各ワイヤー87が各巻取りプーリ89から繰り出されて、用紙積載台74が下降する。また、パルスモータ92により回転駆動される巻取りプーリ89の回転角度と用紙積載台74の高さが対応関係にある。従って、パルスモータ92の回転方向及び回転角度を制御することにより、用紙積載台74の高さを調節設定することができる。
【0053】
次に、用紙引出し部75の構成を詳しく説明する。図5は、用紙引出し部75を斜め上前方から見て示す斜視図である。また、図6は用紙引出し部75を斜め上後方から見て示す斜視図であり、図7は用紙引出し部75を斜め下後方から見て示す斜視図である。
【0054】
図5、図6、図7に示すように用紙引出し部75は、4本の無端状の用紙搬送ベルト81、各用紙搬送ベルト81を架け渡す1組のローラ82、83、吸排気ファン84、吸気ダクト85、及び排気ダクト86等を備えている。
【0055】
吸気ダクト85は、中空体であって、その内部に引出し方向(用紙搬送方向)Eと直交する方向に長い空気吸引経路を有しており、その一側端部85aが吸排気ファン84に接続され、矢印Fに示すように吸気ダクト85の空気吸引経路から一側端部85aを通じて吸排気ファン84の吸気口(図示せず)へと空気が吸引される。
【0056】
また、吸気ダクト85の前端部85c及び後端部85dには、それぞれの凹所85hが形成されており、これらの凹所85hにそれぞれのローラ82、83が配置されて回転可能に軸支され、前方のローラ82の軸に搬送モータ93の出力軸が接続されている。各用紙搬送ベルト81は、各ローラ82、83間に架け渡されて、吸気ダクト85の上面85bからは僅かに離間し、吸気ダクト85の下面85gには接する。
【0057】
更に、吸気ダクト85の下面85gには、用紙搬送ベルト81毎に、用紙搬送ベルト81の複数の通気孔81aに重なる空気吸引口(図9及び図10に示す)を設けている。
【0058】
ここで、搬送モータ93により前方のローラ82が矢印方向Dに回転駆動され、後方のローラ83が従動回転し、各用紙搬送ベルト81が矢印方向Dに周回移動する。また、吸排気ファン84により吸気ダクト85内の空気が吸引され、空気が吸気ダクト85の下面85gの空気吸引口及び用紙搬送ベルト81の各通気孔81aへと流入し、記録用紙が各用紙搬送ベルト81の表面に吸着され、各用紙搬送ベルト81により記録用紙が搬送される。
【0059】
一方、排気ダクト86も、中空体であって、引出し方向Eとは直交する方向に長い通気経路を有しており、その一側端部86aが吸排気ファン84に接続され、矢印Kで示すように吸排気ファン84の排気口(図示せず)から排気ダクト86の一側端部86aを通じて排気ダクト86の通気経路へと空気が送り込まれる。
【0060】
また、排気ダクト86の内壁面86dには、排気ダクト86の通気経路に通じる各排気口86bが形成されている。この排気ダクト86の内壁面86dが外側枠体72の当接板72b(図4に示す)の外側面に重ねて設けられ、排気ダクト86の各排気口86bが外側枠体72の当接板72bの切欠部72cを介して外側枠体72の内側を臨んでいる。吸排気ファン84から排気ダクト86へと空気が送り込まれると、この空気が各排気口86bから外側枠体72の内側後方へと吹き出される。
【0061】
更に、吸気ダクト85の一側端部85a及び排気ダクト86の一側端部86aが吸排気ファン84に共に接続され、また吸気ダクト85の他の側端部85f及び排気ダクト86の他の側端部86cが互いに接続され、これにより吸排気ファン84、吸気ダクト85、及び排気ダクト86が一体化されている。
【0062】
このような構成の給紙装置71において、図8の概略的な断面図に示すように用紙束を用紙積載台74に載せて、用紙束を用紙後端ガイド76の柱部76aと外側枠体72の当接板72bとの間に挟み込んで位置決めし、また用紙束を各アシストダクト77、78の間に挟み込んで位置決めする。そして、パルスモータ92により各巻取りプーリ89を時計回り方向に回転させて、用紙積載台74を上昇させ、用紙束の最上層の記録用紙を所定高さに位置決めする。また、各アシストファン79、80から各アシストダクト77、78へと空気を送り込み、空気を各アシストダクト77、78の排気口77a、78aから用紙積載台74上の用紙束の先端寄り両側端面の上層に吹き付けて、空気を各記録用紙間に侵入させ、各記録用紙をばらつかせる。更に、吸排気ファン84から排気ダクト86へと空気を送り込み、空気を排気ダクト86の各排気孔86bから用紙束の先端面の上層に吹き付けて、空気を各記録用紙間に侵入させ、各記録用紙をばらつかせる。これにより、用紙束の上層の各記録用紙の密着力が低下し、用紙束からの記録用紙の引出しが容易になり、記録用紙を1枚ずつ引出すことが容易になる。
【0063】
この状態で、空気を吸気ダクト85から吸排気ファン84へと吸引して、空気を用紙搬送ベルト81の各通気孔81a及び吸気ダクト85の下面85gの空気吸引口111、112を通じて吸い込みつつ、各ローラ82、83を間欠的に回転させて、各用紙搬送ベルト81を間欠的に周回移動させると、各用紙搬送ベルト81の表面に記録用紙が吸着されて、各用紙搬送ベルト81により記録用紙が引出し方向Eに引出されて画像形成装置1の搬送ローラ対31へと搬送され、記録用紙が搬送経路33を通じて搬送され、引き続いて各用紙搬送ベルト81の表面に次の記録用紙が吸着されて、各用紙搬送ベルト81により記録用紙が引出し方向Eに引出されて搬送ローラ対31へと搬送され、以降同様に各用紙搬送ベルト81の表面に記録用紙が吸着されて、各用紙搬送ベルト81により記録用紙が引出し方向Eに引出されて搬送されて行く。
【0064】
ところで、給紙装置71においては、各アシストダクト77、78の排気口77a、78a及び排気ダクト86の各排気孔86bから用紙束の両側端面及び先端面へと空気を吹き付けて、各記録用紙をばらつかせているものの、それでも各用紙搬送ベルト81の表面に複数の記録用紙が重なったまま引出されることがあり、このような現象が放置されると記録用紙の重送が発生する。
【0065】
そこで、本実施形態では、各用紙搬送ベルト81の表面を記録用紙の引出し方向(用紙搬送方向)Eと直交する方向で湾曲させ(波打たせ)ている。このため、各用紙搬送ベルト81の表面に吸着された記録用紙も同様に湾曲し、各用紙搬送ベルト81の表面に吸着されて湾曲した記録用紙とその表面に直接吸着されず湾曲しない次の記録用紙との間に空間が形成され、各記録用紙が離れる。これにより、各記録用紙の重送が防止される。
【0066】
また、各用紙搬送ベルト81と各用紙搬送ベルト81の表面に吸着された記録用紙とが同様に湾曲するため、両者の間に隙間が形成されず、記録用紙の先端付近からそのような隙間へと空気が吸引されることがなく、記録用紙の先端付近での空気の吸引を原因とする重送が発生することもない。
【0067】
次に、各用紙搬送ベルト81の表面を記録用紙の引出し方向(用紙搬送方向)Eと直交する方向で湾曲させるための構成を詳しく説明する。
【0068】
図9は、吸気ダクト85及び各用紙搬送ベルト81を記録用紙の引出し方向Eと直交する方向に破断して、前方から見て示す斜視図である。また、図10は、吸気ダクト85のガイド底板102及び各用紙搬送ベルト81を図9と同じ方向に破断して、前方から見て示す断面図である。
【0069】
図9及び図10に示すように吸気ダクト85の天板101とガイド底板102の間に、引出し方向Eと直交する方向に延びる空気吸引経路103が形成され、空気吸引経路103の終端が隔壁104により閉塞されている。また、各用紙搬送ベルト81は、天板101の上面85bから僅かに離間し、ガイド底板102の下面85gに接している。
【0070】
ガイド底板102の下面85gには、引出し方向Eに延びる5本のリブ105a〜105eが形成されて下方に突出しており、各リブ105a〜105eの間隔が各用紙搬送ベルト81の幅に略一致し、各リブ105a〜105eの間に各用紙搬送ベルト81が配置されて挟まれている。
【0071】
片端側のリブ105aとリブ105b間では、ガイド底板102の下面85gが概ね下方に突出する滑らかな湾曲面106となっている。また、他の片端側のリブ105eとリブ105d間でも、ガイド底板102の下面85gが概ね下方に突出する滑らかな湾曲面107となっている。尚、各湾曲面106、107のいずれも、湾曲面両側付近で平坦面もしくは僅かに凹んだ面となっているが、各湾曲面106、107全体では、概ね下方に突出しているといえる。
【0072】
更に、中央寄りの3本のリブ105b、105c、105dの範囲では、ガイド底板102の下面85gが上方に凹む滑らかな湾曲面108となっている。
【0073】
各用紙搬送ベルト81は、弾性を有しており、各ローラ82、83間に張架された状態で、各用紙搬送ベルト81が吸気ダクト85の下面85g(各湾曲面106、107、108)に圧接している。このため、各用紙搬送ベルト81が各湾曲面106、107、108に沿って変形し、各用紙搬送ベルト81の表面が各湾曲面106、107、108に沿って湾曲する。
【0074】
また、両側の各湾曲面106、108には、複数の空気吸引口111がそれぞれ形成され、中央の湾曲面107にも、複数の空気吸引口112、113が形成されている。各空気吸引口111、112、113の形成領域の幅が各用紙搬送ベルト81の幅よりも狭くされており、各用紙搬送ベルト81により各空気吸引口111、112、113が覆われている。更に、各空気吸引口111、112、113のいずれも、用紙搬送ベルト81の複数の通気孔81aに重なる。このため、用紙搬送ベルト81が周回移動されている状態で、空気を用紙搬送ベルト81の各通気孔81a及び空気吸引口111、112、113を通じて吸気ダクト85の空気吸引経路103へと吸引することができる。
【0075】
尚、各湾曲面106〜108だけではなく、各リブ105b、105c、105dにも、小さな空気吸引孔114を補足している。
【0076】
また、図11に拡大して示すように各リブ105a〜105eの高さhrと各用紙搬送ベルト81の厚みhbとが略等しくされており、各リブ105a〜105eの下方に向く端面と各用紙搬送ベルト81の表面とが面一となって、各リブ105a〜105eの端面と各用紙搬送ベルト81の表面が連続する滑らかな湾曲面を形成する。
【0077】
また、図9に示すように両側の各湾曲面106、108の引出し方向Eと直交する方向の幅w2(=33mm)は、用紙搬送ベルト81の幅よりも僅かに狭く、これらの湾曲面106、108に1本の用紙搬送ベルト81がそれぞれ摺接している。更に、中央の湾曲面107の引出し方向Eと直交する方向の幅w1(=115mm)は、用紙搬送ベルト81の幅の2倍の長さよりも広く、この湾曲面107に2本の用紙搬送ベルト81が摺接している。換言すれば、各湾曲面106〜108の平均定な配置間隔(ピッチ)が各用紙搬送ベルト81の配置間隔(ピッチ)よりも広くなっており、これにより各湾曲面106〜108の数が抑えられ、1つの湾曲面に対して1乃至複数の用紙搬送ベルト81が摺接するようにされている。
【0078】
また、図10に示すように両側の各湾曲面106、108の谷部から頂部までの高さh2(=2mm)は、中央の湾曲面107の谷部から頂部までの高さh1(=3mm)よりも低くされている。これにより、両側の各湾曲面106、108の曲率が抑えられ、1本の用紙搬送ベルト81であっても、用紙搬送ベルト81が各湾曲面106、108に沿って良好に湾曲する。また、中央の湾曲面107には2本の用紙搬送ベルト81が摺接するため、中央の湾曲面107に沿って滑らかに湾曲した各用紙搬送ベルト81の表面を形成することができる。この結果、全ての用紙搬送ベルト81の表面が湾曲面に沿って良好に湾曲し、各用紙搬送ベルト81の表面への記録用紙の吸着が容易になる。
【0079】
このような構成において、図12の断面図に示すように空気が吸気ダクト85から吸排気ファン84へと吸引されて、空気が用紙搬送ベルト81の各通気孔81a及び吸気ダクト85の各空気吸引口111、112、113及びリブの空気吸引口114を通じて吸い込まれると、各用紙搬送ベルト81の表面に記録用紙Pa1が吸着されて、記録用紙Pa1が各用紙搬送ベルト81の表面に沿って湾曲する(波打つ)。このため、各用紙搬送ベルト81の表面に複数の記録用紙Pa1、Pa22が重なったまま引上げられたとしても、各用紙搬送ベルト81の表面に直接吸着されて湾曲した最上層の記録用紙Pa1とその表面に直接吸着されず湾曲しない次の記録用紙Pa2との間に空間が形成される。特に、中央の湾曲面107の幅が広く、その高さも高いので、湾曲面107に沿って湾曲した各用紙搬送ベルト81の表面に吸着された記録用紙の中央付近に幅広で高い湾曲面が形成され、この記録用紙の中央付近と次の記録用紙との間に幅広の大きな空間が形成される。
【0080】
この状態で、排気ダクト86の各排気孔86bから用紙束の先端面の上層に吹付けると、この空気が各記録用紙Pa1、Pa2の間に形成された空間に速やかに侵入して、記録用紙Pa2が記録用紙Pa1から速やかに離れる。特に、記録用紙Pa1の中央付近と次の記録用紙Pa2の間に形成された大きな空間には多量の空気が侵入して、各記録用紙Pa1、Pa2がそれらの中央から直ちに分離して行く。このため、各記録用紙Pa1、Pa2の重送が効果的に防止される。
【0081】
また、各用紙搬送ベルト81は、3つの湾曲面106〜108に応じて3箇所で湾曲し、最上層の記録用紙Pa1も3箇所で湾曲し、記録用紙Pa1と次の記録用紙Pa2との間に複数の空間が形成されるので、各記録用紙Pa1、Pa2の重送が確実に防止される。更に、記録用紙のサイズが小さくても、記録用紙が少なくとも1つの湾曲面107に沿って湾曲して、記録用紙と次の記録用紙との間の空間が確実に形成されるので、各記録用紙の重送が防止される。
【0082】
また、各用紙搬送ベルト81及び記録用紙Pa1が各湾曲面106〜108と同様に湾曲するため、各用紙搬送ベルト81と記録用紙Pa1との間に隙間が形成されず、記録用紙Pa1の先端付近からそのような隙間へと空気が吸引されることもなく、記録用紙Pa1の先端付近での空気の吸引を原因とする重送が発生することはない。
【0083】
また、各リブ105b〜105dを各用紙搬送ベルト81の間に配置して、各リブ105a〜105eの端面と各用紙搬送ベルト81の表面を連続する滑らかな湾曲面にしているので、記録用紙Pa1がより良好に吸着される。更に、各リブ105b〜105dの配置により記録用紙Pa1の先端付近から各用紙搬送ベルト81の間の隙間へと空気が吸引され難くなっており、これによっても記録用紙Pa1の先端付近での空気の吸引を原因とする重送の発生が防止される。
【0084】
図13は、変形例である吸気ダクト85のガイド底板102A及び各用紙搬送ベルト81を記録用紙の引出し方向Eと直交する方向に破断して、前方から見て示す断面図である。尚、図13において、図9及び図10と同様の作用を果たす部位には同じ符号を付す。
【0085】
この変形例の吸気ダクト85Aにおいて、ガイド底板102Aの下面85gには、引出し方向Eに延びる5本のリブ105a〜105eが形成され、各リブ105a〜105eの間に各用紙搬送ベルト81が配置されて挟まれている。
【0086】
また、各リブ105a〜105eの間では、ガイド底板102Aの下面85gが下方に突出する滑らかな湾曲面121となっており、各リブ105a〜105eの間の4つの湾曲面121が同一形状で同一サイズである。各用紙搬送ベルト81は、各湾曲面121に圧接して変形し、それらの表面が各湾曲面121に沿って湾曲する。
【0087】
また、各湾曲面121には、空気吸引口122がそれぞれ形成され、各用紙搬送ベルト81により各空気吸引口122が覆われている。各空気吸引口122は、各用紙搬送ベルト81の複数の通気孔81aに重なる。
【0088】
また、各リブ105a〜105eの高さと各用紙搬送ベルト81の厚みとが略等しくされており、各リブ105a〜105eの端面と各用紙搬送ベルト81の表面とが面一となって、各リブ105a〜105eの端面と各用紙搬送ベルト81の表面が連続する滑らかな湾曲面を形成する。
【0089】
このような構成においても、空気を用紙搬送ベルト81の各通気孔81a及び吸気ダクト85の各空気吸引口122を通じて吸い込むと、各用紙搬送ベルト81の表面に記録用紙Pa1が吸着されて、記録用紙Pa1が各用紙搬送ベルト81の表面に沿って湾曲する(波打つ)。このため、各用紙搬送ベルト81の表面に直接吸着されて湾曲した記録用紙Pa1とその表面に直接吸着されず湾曲しない次の記録用紙Pa2との間に空間が形成され、各記録用紙Pa1、Pa2が離れる。また、各アシストダクト77、78の排気口77a、78a及び排気ダクト86の各排気孔86bからの空気が各記録用紙の間へと速やかに吹き込まれて、記録用紙Pa2が記録用紙Pa1から離れる。これにより、各記録用紙Pa1、Pa2の重送が防止される。
【0090】
また、各用紙搬送ベルト81は、4つの湾曲面121に応じて4箇所で湾曲し、記録用紙Pa1も4箇所で湾曲し、記録用紙Pa1と次の記録用紙Pa2との間の4箇所に空間が形成され、各記録用紙Pa1、Pa2の重送が確実に防止される。また、記録用紙のサイズが小さくても、記録用紙が少なくとも1つの湾曲面121に沿って湾曲し、記録用紙と次の記録用紙との間の空間が確実に形成され、各記録用紙の重送が防止される。
【0091】
また、各用紙搬送ベルト81及び記録用紙Pa1が各湾曲面121と同様に湾曲するため、各用紙搬送ベルト81と記録用紙Pa1との間に隙間が形成されず、記録用紙Pa1の先端付近からそのような隙間へと空気が吸引されることもなく、記録用紙Pa1の先端付近での空気の吸引を原因とする重送が発生することはない。
【0092】
また、各リブ105b〜105dを各用紙搬送ベルト81の間に配置して、各リブ105a〜105eの端面と各用紙搬送ベルト81の表面を連続する滑らかな湾曲面にしているので、記録用紙Pa1がより良好に吸着される。更に、各リブ105a〜105eの配置により記録用紙Pa1の先端付近から各用紙搬送ベルト81の間の隙間へと空気が吸引されることもなく、これによっても記録用紙Pa1の先端付近での空気の吸引を原因とする重送の発生が防止される。
【0093】
また、各湾曲面121の中央部分が下方(外方向)に突出するため、各湾曲面121に摺接する各用紙搬送ベルト81が各湾曲面121の中央寄りに移動しようとして外れ難くなる。逆に、各湾曲面121の中央部分が内方向に凹む場合は、各湾曲面121に摺接する各用紙搬送ベルト81が各湾曲面121の端部へと移動しようとして外れ易くなる。
【0094】
尚、上記実施形態では、各リブ105b〜105dを各用紙搬送ベルト81の間に配置しているが、各リブ105b〜105dを省略して、各用紙搬送ベルト81の間の隙間を狭くしても構わない。
【0095】
また、用紙積載台74を昇降させているが、この代わりに、各用紙搬送ベルト81を昇降させたり、用紙積載台74及び各用紙搬送ベルト81を昇降させたりしてもよい。
【0096】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと解される。
【符号の説明】
【0097】
1 画像形成装置
2 原稿読取り装置
11 印刷部
12 用紙搬送部
13 用紙供給部
14 大容量給紙カセット(LCC)
71 給紙装置
72 外側枠体
73 底板
74 用紙積載台
75 用紙引出し部
76 用紙後端ガイド
77、78 アシストダクト
79、80 アシストファン
81 用紙搬送ベルト(用紙搬送部材)
82、83 ローラ
84 吸排気ファン
85、85A 吸気ダクト
86 排気ダクト
92 パルスモータ
101 天板
102、102A ガイド底板(ガイド部)
103 空気吸引経路
104 隔壁
105a〜105e リブ
106、107、108、121 湾曲面(湾曲部)
111、112、122 空気吸引口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙束を用紙積載台に積載し、空気を用紙搬送部材の通気孔を通じて吸引して、前記用紙束の用紙を前記用紙搬送部材の表面に吸着して搬送する給紙装置であって、
前記用紙搬送部材をガイドするガイド部を備え、
前記ガイド部は、前記用紙の搬送方向と直交する方向で滑らかに湾曲して、前記用紙搬送部材の表面とは反対の裏面に摺接する湾曲部を有することを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
請求項1に記載の給紙装置であって、
複数の前記用紙搬送部材を前記用紙の搬送方向と直交する方向に並設し、
複数の前記湾曲部を前記用紙の搬送方向と直交する方向に並べて形成したことを特徴とする給紙装置。
【請求項3】
請求項2に記載の給紙装置であって、
前記各湾曲部の配置間隔を前記各用紙搬送部材の配置間隔よりも広くしたことを特徴とする給紙装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の給紙装置であって、
前記各湾曲部の前記用紙の搬送方向と直交する方向の幅は、前記用紙の中央付近の前記湾曲部の方が前記用紙の両側付近の前記湾曲部よりも長いことを特徴とする給紙装置。
【請求項5】
請求項4に記載の給紙装置であって、
前記幅が長い方の前記湾曲部には、複数の前記用紙搬送部材が摺接することを特徴とする給紙装置。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか1つに記載の給紙装置であって、
前記各湾曲部の谷部から頂部までの高さは、前記用紙の中央付近の前記湾曲部よりも前記用紙の両側付近の前記湾曲部の方が低いことを特徴とする給紙装置。
【請求項7】
請求項2〜6のいずれか1つに記載の給紙装置であって、
前記ガイド部は、前記各用紙搬送部材の間に位置し、前記各用紙搬送部材の隙間から突出して、前記各用紙搬送部材の表面に対して面一となるリブを有することを特徴とする給紙装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の給紙装置であって、
前記湾曲部に、前記用紙搬送部材の複数の通気孔に重なって通じる空気吸引口を設けたことを特徴とする給紙装置。
【請求項9】
請求項8に記載の給紙装置であって、
前記空気吸引口を通じて空気を吸引する空気吸引経路を、前記用紙の搬送方向と直交する方向に設けたことを特徴とする給紙装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1つに記載の給紙装置であって、
空気を前記用紙束の先端面に吹付ける空気吹付け部を備えたことを特徴とする給紙装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1つに記載の給紙装置を備えた画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2013−91549(P2013−91549A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234916(P2011−234916)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】