給紙装置および画像形成装置
【課題】押し上げ板の速やかな下降と衝撃防止とを,簡単な構成で達成した給紙装置およびそれを用いた画像形成装置を提供すること。
【解決手段】本発明の画像形成装置は,用紙を送出する送出ローラーと,送出する用紙を送出ローラーによる送出高さまで押し上げる押し上げ板とを有する給紙装置を有している。そしてその給紙装置は,押し上げ板を引き上げるワイヤーと,押し上げ板を引き上げるためにワイヤーを巻き取る巻き取り形状部が形成された巻き取り部材とを有している。この巻き取り部材の巻き取り形状部には,押し上げ板がその押し上げ高さにおける高位側にある間にワイヤーを巻き取る高位巻き取り部B3と,押し上げ板がその押し上げ高さにおける低位側にある間にワイヤーを巻き取る低位巻き取り部B1とが設けられている。そして,高位巻き取り部B1における巻き取り半径は,低位巻き取り部B3における巻き取り半径より大きい。
【解決手段】本発明の画像形成装置は,用紙を送出する送出ローラーと,送出する用紙を送出ローラーによる送出高さまで押し上げる押し上げ板とを有する給紙装置を有している。そしてその給紙装置は,押し上げ板を引き上げるワイヤーと,押し上げ板を引き上げるためにワイヤーを巻き取る巻き取り形状部が形成された巻き取り部材とを有している。この巻き取り部材の巻き取り形状部には,押し上げ板がその押し上げ高さにおける高位側にある間にワイヤーを巻き取る高位巻き取り部B3と,押し上げ板がその押し上げ高さにおける低位側にある間にワイヤーを巻き取る低位巻き取り部B1とが設けられている。そして,高位巻き取り部B1における巻き取り半径は,低位巻き取り部B3における巻き取り半径より大きい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,画像形成に供する用紙を画像形成部に供給する給紙装置およびそれを用いた画像形成装置に関する。さらに詳細には,収納している用紙を画像形成部へ向けて送出する送出ローラーと,送出する用紙を前記送出ローラーによる送出高さまで押し上げる押し上げ板とを有し,押し上げ板の押し上げ動作をワイヤーによる引き上げにより行う給紙装置,およびそれを用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の給紙装置では,収納している用紙のうち最上のものを,送出ローラーにより送出するようにしている。そして,用紙を押し上げ板に積載して,押し上げ板で用紙を押し上げるようにしている。これにより,収納される用紙の枚数にかかわらず,用紙のうち最上のものが送出ローラーに接するようになっている。この,押し上げ板の押し上げ動作を,ワイヤーによる引き上げにより行うものがある。押し上げ板に取り付けられたワイヤーを巻き取る上げることで押し上げ板を引き上げ,これにより用紙を押し上げるのである。
【0003】
ところで給紙装置は,用紙の補給のために画像形成装置から引き出されることがある。給紙装置が画像形成装置から引き出されたときには,押し上げ板を速やかに下降させる必要がある。ユーザーによる用紙補給動作をやりやすくするためである。また,給紙装置における押し上げ板の下には,何らかの電気部品が装備されている場合がある。その場合に押し上げ板が上昇したままの状態であると,ユーザーがその電気部品に触るおそれがある。そのような事態を防止するためにも,押し上げ板を速やかに下降させる必要がある。
【0004】
この押し上げ板の下降動作は基本的に,押し上げ板自体およびそこに積載されている用紙の自重による。このため,用紙の積載量が多い場合には下降速度が速く,下限位置への着地時の衝撃が大きくなりがちである。このため下降に対する制動部材を設けて,用紙の積載量が多くても下降速度が速くなりすぎないようにしている。ところが単にこれだけでは,逆に用紙の積載量がゼロに近い場合に,下降速度が遅くなりすぎてしまう。制動が効き過ぎるからである。このため特許文献1の技術では,制動部材を複数個設けるとともに欠け歯ギヤを用いて,制動部材の接続数を状況に応じて変更するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−127434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献1の技術では,構造が複雑でコストも高かった。制動装置を複数設ける必要があるからである。また,欠け歯ギヤという特殊な部品も必要である。
【0007】
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,押し上げ板の速やかな下降と衝撃防止とを,簡単な構成で達成した給紙装置およびそれを用いた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題の解決を目的としてなされた本発明の給紙装置は,用紙を送出する送出ローラーと,送出する用紙を送出ローラーによる送出高さまで押し上げる押し上げ板とを有する装置であって,押し上げ板を引き上げるワイヤーと,押し上げ板を引き上げるためにワイヤーを巻き取る巻き取り形状部が形成された巻き取り部材とを有し,巻き取り形状部には,押し上げ板がその押し上げ高さにおける高位側にある間にワイヤーを巻き取る高位巻き取り部と,押し上げ板がその押し上げ高さにおける低位側にある間にワイヤーを巻き取る低位巻き取り部とが設けられており,高位巻き取り部における巻き取り半径が,低位巻き取り部における巻き取り半径より大きいものである。
【0009】
この給紙装置では,押し上げ板が高い位置から下降する際に,押し上げ板の自重によりワイヤーが引っ張られ,巻き取り部材がワイヤーを巻き出す方向に回転する。この際の巻き取り部材の回転抵抗が,押し上げ板の下降に対する制動力となる。ここで,下降の初期にはワイヤーは,巻き取り部材における大径の高位巻き取り部から巻き出される。したがって,押し上げ板の重力により巻き取り部材を回転させようとするトルクが大きい。つまり,押し上げ板の下降に対する制動力が相対的に小さい。しかし,下降の終期には,ワイヤーが小径の低位巻き取り部から巻き出される。したがって,押し上げ板の重力により巻き取り部材を回転させようとするトルクが小さい。つまり,押し上げ板の下降に対する制動力が相対的に大きい。これにより,押し上げ板の速やかな下降と着地時の衝撃緩和とが両立されている。
【0010】
この給紙装置では,巻き取り形状部に,高位巻き取り部と低位巻き取り部との間に,押し上げ板がその押し上げ高さにおける高位側と低位側との中間の領域にある間にワイヤーを巻き取る中位巻き取り部が設けられており,中位巻き取り部の巻き取り半径は,高位巻き取り部側から低位巻き取り部側へ向かって小さくなっていることが望ましい。このようにすると,押し上げ板の下降に対する制動力の立ち上がりが急峻ではなく,徐々に起こる。このため,制動力の立ち上がり自体が衝撃の原因となることはない。
【0011】
この給紙装置ではさらに,巻き取り形状部およびワイヤーとして,押し上げ板の第1の箇所を引き上げる第1巻き取り形状部および第1ワイヤーと,押し上げ板の第2の箇所を引き上げる第2巻き取り形状部および第2ワイヤーとの2組を有し,第1巻き取り形状部と第2巻き取り形状部とは一体的に回転するものであり,第1ワイヤーおよび第2ワイヤーの長さは,押し上げ板がその押し上げ高さにおける最低位置にあるときにおける第1ワイヤーの弛みが第2ワイヤーの弛みより多くなるように設定されており,第1巻き取り形状部および第2巻き取り形状部には,押し上げ板がその押し上げ高さにおける最低位置と最高位置との間の中間位置に相当する巻き取り位置より低位置側の領域の少なくとも一部に,対応する巻き取り位置同士で第1巻き取り形状部の方が第2巻き取り形状部より大径となっている差径区間が設けられており,第1巻き取り形状部および第2巻き取り形状部は,差径区間以外の区間では,対応する巻き取り位置同士で互いに同径であり,差径区間は,押し上げ板がその押し上げ高さにおける最低位置から中間位置まで上昇する間に,押し上げ板における前記第1ワイヤーの取り付け箇所側の端部と第2ワイヤーの取り付け箇所側の端部とを同じ高さにするものであることが好ましい。
【0012】
このようになっていると,押し上げ板の下限位置への着地時には,押し上げ板が傾いていることになる。このため着地時の衝撃が時間的に分散されることにより,さらに軽減される。なお,押し上げ板がある程度上昇していれば,押し上げ板は水平である。このため用紙の送出には支障はない。ここで,「第1ワイヤーの弛みが第2ワイヤーの弛みより多」いということには,第1ワイヤーにのみ弛みがあり第2ワイヤーには弛みがない態様も含まれる。
【0013】
さらにこの給紙装置では,前記中間位置が,押し上げ板に最大許容積載量の用紙が載置されている状態での送出高さ以下の位置であることが望ましい。フル積載時でも用紙の送出を正常に行うためである。
【0014】
この給紙装置ではさらに,押し上げ板の落下時における巻き取り部材の動きを制動する制動装置を有することが望ましい。本発明はさらに,上記のいずれかの給紙装置と,その給紙装置から供給された用紙に画像を形成する画像形成部とを有する画像形成装置をも対象とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば,押し上げ板の速やかな下降と衝撃防止とを,簡単な構成で達成した給紙装置およびそれを用いた画像形成装置が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態に係る画像形成装置の全体構成図である。
【図2】用紙トレイを装置本体から引き出していない状態を示す部分斜視図である。
【図3】用紙トレイを装置本体から引き出した状態を示す部分斜視図である。
【図4】押し上げ板の吊り上げ機構を下降状態にて示す斜視図である。
【図5】押し上げ板の吊り上げ機構を上昇状態にて示す図である。
【図6】巻き取りプーリーの駆動機構を,用紙トレイの押し込み状態にて示す斜視図である。
【図7】巻き取りプーリーの駆動機構を,用紙トレイの引き出し状態にて示す斜視図である。
【図8】巻き取りプーリーの正面図である。
【図9】巻き取りプーリーにおける巻き取りスレッドの深さを説明する透視図である。
【図10】巻き取りプーリーにおける巻き取り半径と押し上げ板の高さとの関係を示すグラフである。
【図11】押し上げ板の下降時に掛かる力を説明する模式図である。
【図12】押し上げ板に掛かる制動力と押し上げ板の高さとの関係を示すグラフである。
【図13】押し上げ板の下限位置への着地時の衝撃の程度を,本発明と従来例とで比較して示すグラフである。
【図14】第2の形態に係る画像形成装置の,第1の形態との相違点を示す模式図である。
【図15】第2の形態における巻き取りプーリーにおける巻き取り半径と押し上げ板の高さとの関係の一例を示すグラフである。
【図16】第2の形態における,押し上げ板の昇降時の姿勢を説明する模式図(その1)である。
【図17】第2の形態における,押し上げ板の昇降時の姿勢を説明する模式図(その2)である。
【図18】第2の形態における,押し上げ板の昇降時の姿勢を説明する模式図(その3)である。
【図19】第2の形態における,押し上げ板の昇降時の姿勢を説明する模式図(その4)である。
【図20】第2の形態における,押し上げ板の昇降時の姿勢を説明する模式図(その5)である。
【図21】第2の形態における巻き取りプーリーにおける巻き取り半径と押し上げ板の高さとの関係の別の例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1の形態]
以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,図1に示す画像形成装置100の給紙部112に,本発明を適用したものである。図1に示す第1の形態の画像形成装置100は,画像形成部102と,給紙部112とを有している。画像形成部102は,中間転写ベルト101と,4つのトナー像形成部1Y,1M,1C,1Kとによりフルカラー画像を形成するものである。各トナー像形成部1Y,1M,1C,1Kはそれぞれ,感光体ドラム21と,帯電器20と,露光部30と,現像器10と,1次転写ローラー111とを有している。画像形成部102にはさらに,2次転写ローラー115や定着器130が設けられている。画像形成部102の上には排紙トレイ117が設けられている。
【0018】
給紙部112は,画像形成部102へ用紙を供給する部分である。給紙部112には,用紙Pを収納する用紙トレイ12が設けられている。給紙部112にはさらに,ピックアップローラー3,給紙ローラー4,分離ローラー5が設けられている。画像形成装置100にはまた,給紙部112から画像形成部102へ用紙を搬送する用紙搬送部113が設けられている。用紙トレイ12は,画像形成装置100から引き出し可能である。ユーザーによる用紙の補給のためである。
【0019】
用紙トレイ12を画像形成装置100から引き出していない状態と,引き出した状態とを図2,図3に示す。図2および図3では,画像形成装置100のうち画像形成部102等を省略して給紙部112の部分のみを示している。図1に示したピックアップローラー3,給紙ローラー4,分離ローラー5は,図2および図3では,矢印Aで示す辺りに位置する。すなわちこれらは,用紙トレイ12とともに引き出されるものではない。用紙トレイ12の底部には,用紙Pを積載するための押し上げ板15が設けられている。押し上げ板15は,積載している用紙Pを上方へ向けて押し上げて,最上の用紙Pをピックアップローラー3に接触させるためのものである。
【0020】
本形態に係る給紙部112では,押し上げ板15の押し上げ動作をワイヤー巻き取り方式で行うようにしている。そのための機構を図4により説明する。図4に示すように,本形態の給紙部112では,押し上げ板15を4本のワイヤー31〜34で吊している。ワイヤー31,32が押し上げ板15における手前側の2箇所のフック151,152を吊り,ワイヤー33,34が奥側の2箇所のフック153,154を吊っている。
【0021】
押し上げ板15の手前側には,巻き取りプーリー40が設けられている。巻き取りプーリー40は,ワイヤー31,32を巻き取るものである。押し上げ板15の手前側における上方の位置には,従動プーリー41,42が設けられている。従動プーリー42は,巻き取りプーリー40のほぼ真上に配置されている。従動プーリー41は,従動プーリー42とほぼ同じ高さであって,それよりも用紙Pの搬送方向に上流側の位置に配置されている。ワイヤー31は,従動プーリー41および42に巻き架けられて押し上げ板15のフック151を吊っている。ワイヤー32は,従動プーリー42のみに巻き架けられて押し上げ板15のフック152を吊っている。
【0022】
押し上げ板15の奥側には,巻き取りプーリー45が設けられている。巻き取りプーリー45は,ワイヤー33,34を巻き取るものである。押し上げ板15の奥側にはさらに,従動プーリー43,44が設けられている。巻き取りプーリー45および従動プーリー43,44の位置関係は,巻き取りプーリー40および従動プーリー41,42の位置関係と同じである。ワイヤー33,34の配置も,ワイヤー31,32の配置と同じである。
【0023】
図4に示したのは,押し上げ板15が下限まで下降している状態である。押し上げ板15を上限まで上昇させた状態を図5に示す。図5に見るように,2つの巻き取りプーリー40,45は,共通の回転軸46に取り付けられている。巻き取りプーリー40,45と回転軸46とは,全体で一体的に回転するものである。これにより,4箇所のフック151〜154にてワイヤー31〜34で吊られている押し上げ板15は,ほぼ水平を保ったまま昇降するものである。
【0024】
なお,巻き取りプーリー40,45,回転軸46,および従動プーリー41〜44は,用紙トレイ12に設置されている。よって,用紙トレイ12の引き出し動作あるいはその後の押し込み動作がなされると,これら全体が引き出し・押し込み方向に移動することになる。すなわち,図4あるいは図5に示されたもののうち,ピックアップローラー3,給紙ローラー4,分離ローラー5を除いた全体が,引き出し・押し込み動作により移動するのである。
【0025】
ここで,前面側の巻き取りプーリー40,従動プーリー41,42,およびワイヤー31,32は,図2および図3に示される前面パネル121内に内蔵されている。また,奥側の巻き取りプーリー45,従動プーリー43,44,およびワイヤー33,34は,図2および図3では,後面板122の背後に隠れている。回転軸46は,押し上げ板15の下に位置している。したがってこれらは通常,ユーザーの目に触れることはあまりない。
【0026】
次に,巻き取りプーリー40,45の駆動機構を,図6により説明する。図6に示されるように,回転軸46における巻き取りプーリー45よりさらに奥側には,アイドルギヤ47,継ぎ手49,モーター50が設けられている。アイドルギヤ47には,ダンパー48が付設されている。継ぎ手49は,モーター50側の駆動部材491と,用紙トレイ12側の被駆動部材492とからなり,それぞれの凹凸形状の噛み合いにより駆動力を伝達するものである。
【0027】
モーター50は,回転軸46を回転させる回転駆動力を発生するものである。モーター50の回転は,巻き取りプーリー40,45にワイヤー31〜34を巻き取らせる向き,すなわち押し上げ板15を引き上げる向きの回転である。継ぎ手49は,モーター50と回転軸46との結合を断続するためのものである。図6に示されている継ぎ手49は当然,結合状態である。アイドルギヤ47およびダンパー48は,回転軸46の回転に対する制動力を発生するものである。このための制動装置であるダンパー48としては,公知のオイルダンパー等が使用可能である。
【0028】
なお,アイドルギヤ47およびダンパー48は,一方向にのみ制動作用を発揮するワンウェイタイプのものであることが望ましい。すなわち,巻き取りプーリー40,45の巻き出し方向(押し上げ板15を下降させる向き)の回転にのみ制動力を作用させ,巻き取り方向(押し上げ板15を引き上げる向き)の回転には制動力を及ぼさないものであることが望ましい。このことは,ダンパー48自体の種類の選択によっても達成できるし,アイドルギヤ47にラチェット等の公知のワンウェイ機構を組み込むことによっても達成できる。もしくは,用紙トレイ12が引き出されているとき(押し上げ板15が下降する)にのみアイドルギヤ47とダンパー48とが噛み合い,用紙トレイ12が完全に押し込まれているとき(押し上げ板15が引き上げられる)にはダンパー48がアイドルギヤ47から外れるようにすることでも達成できる。以下の説明では,アイドルギヤ47およびダンパー48による制動力は,上記のいずれかの手段によりワンウェイであることとする。
【0029】
図6に示されているもののうち,モーター50と駆動部材491とは,装置本体側に設置されているものである。したがってこれらは,用紙トレイ12を引き出しても移動しない。これに対し,アイドルギヤ47,ダンパー48,および被駆動部材492は,用紙トレイ12に設けられているものである。したがってこれらは,用紙トレイ12の引き出し動作・押し込み動作がなされると,巻き取りプーリー45等とともに,引き出し動作・押し込み動作に従って移動する。図6に示されているのは用紙トレイ12を押し込んだ状態である。用紙トレイ12を引き出した状態では図7に示すように,継ぎ手49が分離状態となる。
【0030】
続いて,本形態における巻き取りプーリー40,45について説明する。本形態における巻き取りプーリー40,45は同じものである。本形態における巻き取りプーリー40,45は図8に示すように,その周面に溝状の2本の巻き取りスレッド51,52が形成されているものである。2本の巻き取りスレッド51,52は当然,巻き取りプーリー40,45の回転とともに一体的に回転する。さらに,巻き取りプーリー40と巻き取りプーリー45も前述のように一体的に回転するので,結局,計4本の巻き取りスレッド51,52が一体的に回転することになる。
【0031】
巻き取りスレッド51について説明する。巻き取りスレッド51は,環状のリング部511と,そこから螺旋状に分岐した螺旋部512とからなっている。螺旋部512の端部付近に糸出し孔513が形成されている。糸出し孔513は,ワイヤー31〜34のいずれか1本の一端を,抜け落ちることなく取り付けるための孔である。なお,ワイヤー31〜34のもう一方の一端は,押し上げ板15のフック151〜154に取り付けられる。
【0032】
これにより,糸出し孔513に一端が取り付けられているワイヤーは,巻き取りプーリー40,45が巻き取り方向に回転すると,まず巻き取りスレッド51のうち螺旋部512に巻き取られるようになっている。そして,巻き取りプーリー40,45がさらに回転すると,ワイヤーの残りの部分が巻き取りスレッド51のうちリング部511に巻き取られるようになっている。ワイヤーを巻き取っている状態の巻き取りプーリー40,45が巻き出し方向に回転した場合には,まずワイヤーのうちリング部511に巻き取られている部分が巻き出され,次いで螺旋部512に巻き取られている部分が巻き出されることになる。
【0033】
巻き取りプーリー40,45におけるもう一本の巻き取りスレッド52も同様に,リング部521と螺旋部522とからなっている。そして螺旋部522には糸出し孔523が形成されている。これにより,4本のワイヤー31〜34が一本ずつ,巻き取りプーリー40,45の計4本の巻き取りスレッド51,52に巻き取られるようになっている。具体的には,各ワイヤーが次の各スレッドに巻き取られる。
ワイヤー31 → 巻き取りプーリー40の巻き取りスレッド51
ワイヤー32 → 巻き取りプーリー40の巻き取りスレッド52
ワイヤー33 → 巻き取りプーリー45の巻き取りスレッド51
ワイヤー34 → 巻き取りプーリー45の巻き取りスレッド52
【0034】
図4に示した押し上げ板15の下降状態が,ワイヤー31〜34がほとんど巻き出されている状態である。一方,図5に示した上昇状態が,ワイヤー31〜34がほとんど巻き取られている状態である。
【0035】
巻き取りスレッド51,52についてさらに説明する。巻き取りスレッド51の深さは一様ではなく,場所によって違っている。図9に,巻き取りプーリー40,45を軸方向に見た透視図を示す。図9に示されるように,巻き取りスレッド51のうち,螺旋部512での深さD1は,リング部511での深さD2より深い。そして巻き取りスレッド51には,深さD1の深い区間515(螺旋部512の一部)と深さD2の浅い区間(リング部511)との間に,深さが緩やかに変化している傾斜区間514(これも螺旋部512の一部)がある。図9では,深さD1の区間を破線で,傾斜区間514を一点鎖線で,深さD2の区間を二点鎖線で,それぞれ示している。巻き取りスレッド52も同じ深さ分布を有している。ただし,図9は単なる説明のための図であり,各部の寸法については,実物に正確に比例して描いたものではない。
【0036】
ここで,巻き取りプーリー40,45においては,深さの深いところでは巻き取り半径が小さく,浅いところでは巻き取り半径が大きい,という関係がある。巻き取りプーリー40,45における,巻き取り半径と押し上げ板15の引き上げ高さとの関係を図10のグラフに示す。図10のグラフでは,横軸が押し上げ板15の引き上げ高さを示し,縦軸が巻き取りプーリー40,45の巻き取り半径を示している。なお図10においては,巻き取りプーリー40,45の外形の半径は12mmであることとしている。
【0037】
図10によれば,押し上げ板15の高さが0mm(つまり下限位置)から約20mmまでの区間B1では,巻き取りの有効半径は5mmである。これは,巻き取りスレッド51,52の螺旋部512,522の区間515,525(深さD1)によりワイヤー31〜34が巻き取られ,または巻き出されている区間である。すなわち,深さD1は7mmである。
【0038】
次に,高さが約20mmから約30mmまでの区間B2では,巻き取り半径が,5mmから10mmまで,右上がりに連続的に変化している。これは,巻き取りスレッド51,52の螺旋部512,522の傾斜区間514によりワイヤー31〜34が巻き取られ,または巻き出されている区間である。そして,高さが約30mmから約150mm(上限位置)までの区間B3では,巻き取りの有効半径は10mmである。これは,巻き取りスレッド51,52のリング部511,521(深さD2)によりワイヤー31〜34が巻き取られ,または巻き出されている区間である。すなわち,深さD2は2mmである。
【0039】
続いて,本形態の画像形成装置100の動作を説明する。画像形成装置100で画像形成を実行する場合には,用紙トレイ12の押し上げ板15の上に用紙Pを積載し,用紙トレイ12を図2に示した押し込み状態にする。押し込み状態では,前述の継ぎ手49が図6に示した結合状態である。なお,用紙トレイ12を押し込む際に直ちに駆動部材491と被駆動部材492との凹凸が噛み合って継ぎ手49が結合状態になるとは限らない。しかしながら,駆動部材491と被駆動部材492との少なくとも一方が軸方向に少し待避可能にされており,後述するモーター50の回転が始まると凹凸が噛み合って結合状態となる。
【0040】
そこで画像形成装置100では,モーター50により巻き取りプーリー40,45を駆動し,ワイヤー31〜34を巻き取る。つまり押し上げ板15を引き上げる。これにより押し上げ板15は図5の上昇状態となる。この引き上げの際には,ダンパー48の存在が回転駆動に対する抵抗となることはない。前述のようにダンパー48の制動力はワンウェイであるからである。押し上げ板15の引き上げは,積載している用紙Pのうち最上のものがピックアップローラー3に接触するまで行う。その状態で画像形成が行われる。画像形成により押し上げ板15上の用紙Pが減少すると,その都度少しずつワイヤー31〜34が巻き取られ,最上の用紙Pがピックアップローラー3に接触する状態が維持される。
【0041】
用紙トレイ12への用紙Pの補充を行うときには,ユーザーにより,用紙トレイ12が引き出されて図3の状態となる。これにより,継ぎ手49が図7に示す分離状態となる。このため,押し上げ板15を引き上げ状態に維持することができなくなる。巻き取りプーリー40,45がモーター50から切り離されるからである。したがって押し上げ板15は,図11に示されるように自重Gにより下降しようとする。このためにワイヤー31〜34が引っ張られて巻き取りプーリー40,45が巻き出し方向(図11中の矢印H)に回転する。これにより,巻き取られているワイヤー31〜34が巻き出される。こうして押し上げ板15は下降し,図4の下降状態となる。
【0042】
ここにおいて,巻き取りプーリー40,45の巻き出し方向Hの回転に対しては,前述のダンパー48による制動力(図11中の矢印J)が作用する。この制動力Jは,ワイヤー31〜34を介して,押し上げ板15に対して上向きの力Uとして作用する。このため押し上げ板15は,自重Gにより下降するとはいっても自由落下するわけではない。ダンパー48に起因する制動力Uが効いている状態で下降するのである。このため,下限位置への着地時の騒音や衝撃は緩和されている。
【0043】
さらに,ダンパー48による制動力Uは,下降の開始から終了まで一様に作用するわけではない。本形態では前述の特殊な巻き取りプーリー40,45を用いているからである。このため,下降開始からしばらくの,押し上げ板15がまだ比較的高い位置にある間は制動力Uはさほど強くは働かない。その後,押し上げ板15の位置が下がって下限位置への着地が迫ると,着地に先だって制動力Uが上昇するのである。
【0044】
すなわち,下降開始からしばらくの間は,ワイヤー31〜34は巻き取りスレッド51,52のリング部511,521から巻き出される。図10中に区間B3として示した区間である。この時点では,ワイヤー31〜34から見た巻き取りプーリー40,45の有効半径は,図10で説明したとおり10mmであり比較的大きい。このため,押し上げ板15の重力Gにより巻き取りプーリー40,45に対して作用するトルクも比較的大きい。つまり,押し上げ板15から見て,ダンパー48による制動力Uは相対的に弱い。
【0045】
やがて,押し上げ板15が下降して図10中の区間B2に至ると,ワイヤー31〜34は巻き取りスレッド51,52の螺旋部512,522の傾斜区間514から巻き出されることになる。このため巻き取りプーリー40,45の有効半径が減少し,押し上げ板15の重力Gの巻き取りプーリー40,45に対するトルクも減少する。逆に,押し上げ板15に掛かるダンパー48による制動力Uは上昇する。
【0046】
そして,押し上げ板15がさらに下降して図10中の区間B1に至ると,ワイヤー31〜34は螺旋部512,522の区間515から巻き出されることになる。この段階では,巻き取りプーリー40,45の有効半径は図10で説明したとおり5mmであり,かなり小さい。このため,押し上げ板15の重力Gの巻き取りプーリー40,45に対するトルクはかなり弱い。逆に,押し上げ板15に掛かるダンパー48による制動力Uはかなり強い。
【0047】
以上のような制動力Uの変遷パターンを図12のグラフに示す。図12のグラフの横軸は,図10のグラフの横軸と同じである。図12のグラフの縦軸は,押し上げ板15に掛かる制動力U(単位は[N])を示している。図12によれば,区間B3では,制動力Uは約1.9Nである。区間B1では,制動力Uは約3.9Nである。それらの間の区間B2では,押し上げ板15の下降とともに,制動力Uが1.9Nから3.9Nまで連続的に上昇している。なお,制動力Uの源泉であるダンパー48は,あくまでも巻き取りプーリー40,45の回転に従動しての回転に対する抵抗として制動力を発生するものである。したがって,押し上げ板の下降が制動力Uにより途中で停止してしまうことはない。
【0048】
このことにより,次のような効果がある。押し上げ板15の下降開始からしばらくの間は,ダンパー48の制動力Uがあまり働かない。このことは,押し上げ板15の下降に要する時間が短くて済むことを示している。その一方で,押し上げ板15の下限位置への着地の前には,ダンパー48の制動力Uが立ち上がっている。このため,着地時の騒音や衝撃は確実に緩和される。つまり,押し上げ板15の速やかな下降とソフトな着地とが両立されているのである。押し上げ板15の下降が素早いので,仮に押し上げ板の下に何らかの電気・機械部品が備えられていたとしても,ユーザーがそれに触れるおそれが少ない。その一方で,必要な制動部材はダンパー48一個だけであり,構造的には簡素である。また,下降動作自体は押し上げ板15の自重のみを駆動力として行われるので,そのためのエネルギー源や制御システムを要しない。
【0049】
なお,ダンパー48自体は,実は必須ではない。例えば,回転軸46が保持される軸受け箇所の摺動抵抗も,事実上,巻き取りプーリー40,45の回転に対する制動力として作用する。よって,この摺動抵抗がある程度大きければ,ダンパー48が不要なことがある。
【0050】
さらに,巻き取りプーリー40,45では,巻き取りスレッド51,52の大径区間(リング部511,521)と小径区間(螺旋部512,522のうち区間515,525)との間に傾斜区間514,524が設けられている。このため,制動力Uが弱い状態から強い状態へと不連続に制動力Uが立ち上がるのではなく,制動力Uの立ち上がりが連続的である。このため,制動力Uの上昇それ自体が衝撃の原因となることがない。
【0051】
本形態による着地時の衝撃緩和の効果を,図13のグラフに示す。図13のグラフは,押し上げ板15の着地時の衝撃力を,本発明の例と従来例とで比較して示すグラフである。図13のグラフの横軸は,押し上げ板15への用紙Pの積載枚数を示している。縦軸は,衝撃力の程度を示している。なお図13のグラフの試験では,本発明の例として,上述の区間B3における有効半径が20mmであり,区間B1における有効半径が10mmである巻き取りプーリー40,45を使用した。従来例としては,有効半径が20mmで固定である巻き取りプーリーを使用した。それ以外のすべての条件は,本発明の例と従来例とで共通とした。
【0052】
図13から,従来例では,積載枚数が750枚程度のときに衝撃力が最も強いことが分かる。これに対し本発明の例では,積載枚数が500枚以上では衝撃力がほぼ一定であることが分かる。そしてその衝撃力は,従来例の場合の最大の衝撃力に対して約半分程度でしかない。このように本発明では,衝撃力が確実に軽減されているのである。なお,余談であるが,図13の従来例では,積載枚数が750枚を超えると,むしろ衝撃力が弱くなる傾向があることが分かる。これは,積載枚数が750枚を超えるほど多いと,下降開始時の押し上げ板15の高さが低いためであると解される。
【0053】
[第2の形態]
続いて,本発明の第2の形態を説明する。第2の形態の,前述の第1の形態に対する相違点は2点ある。第1の相違点は,図14に示すように,ワイヤー32,34に替えて,弛みVを有するワイヤー132,134が用いられている点である。第2の相違点は,巻き取りプーリーとして,第1の形態の巻き取りプーリー40,45とは少し異なる巻き取りプーリー70,75が用いられている点である。それ以外は基本的に,第1の形態と共通である。このため,巻き取りプーリー70,75およびその部分を除き,第1の形態と共通の部品番号を用いることとする。
【0054】
まず,第1の相違点について説明する。図14は,第2の形態における,押し上げ板15の下降状態を示す模式図である。図14には,第1の形態との相違点を説明するために必要な部分のみを示している(図16〜図20において同じ)。本形態のワイヤー132,134に弛みVが与えられているということは,ワイヤー132,134は第1の形態におけるワイヤー32,34より少し長い,ということである。なお,ワイヤー31,33に関しては,本形態でも第1の形態におけるものと同じ長さのものが用いられている。すなわち,本形態でもワイヤー31,33には弛みがない。
【0055】
次に,第2の相違点,つまり本形態の巻き取りプーリー70,75について説明する。本形態の巻き取りプーリー70,75の,第1の形態の巻き取りプーリー40,45との違いはごくわずかであり,外観的には図8に示す巻き取りプーリー40,45とほとんど同じである。すなわち,巻き取りプーリー70,75も巻き取りプーリー40,45と同様に,2本の巻き取りスレッドを有している。それぞれの巻き取りスレッドがリング部と螺旋部512とからなっている点も同じである。以下,巻き取りプーリー70,75の巻き取りスレッドおよびその部分についても,巻き取りプーリー40,45の巻き取りスレッド51,52およびその部分と同様の番号で言及する。
【0056】
巻き取りプーリー40,45と巻き取りプーリー70,75との違いは,巻き取りスレッドの巻き取り半径にある。第1の形態の巻き取りプーリー40,45では,2本の巻き取りスレッド51,52がともに,図10に示す同じ半径分布を有していた。しかし本形態の巻き取りプーリー70,75では,2本の巻き取りスレッド51,52の半径分布は同じではない。すなわち巻き取りプーリー70,75では,巻き取りスレッド51,52間で半径が異なる差径区間がある。
【0057】
巻き取りプーリー70,75における巻き取りスレッド51,52の半径分布を図15のグラフにより説明する。図15においても図10と同様に,巻き取りプーリー70,75の外形の半径は12mmであることとしている。図15では,巻き取りスレッド51,52間に巻き取り半径の差がある差径区間は区間B1である。すなわち,巻き取りスレッド51,52の螺旋部512,522のうち,傾斜区間B2ではない平坦な区間515,525である。これは,押し上げ板15の高さが0mmから20mmまでの区間である。この区間においては,ワイヤー132,134を巻き取る巻き取りスレッド52の方が,ワイヤー31,33を巻き取る巻き取りスレッド51よりも大径なのである。一方,螺旋部512,522のうち傾斜区間514(B2)や,リング部511,521(B3)においては,巻き取りスレッド51,52間に巻き取り半径の違いはない。
【0058】
以上が第2の形態の第1の形態に対する相違点である。かかる第2の形態では,押し上げ板15の昇降時の姿勢に,第1の形態の場合とは異なる特徴がある。まず,下限位置から上昇していくときの姿勢を説明する。押し上げ板15の上昇は前述のように,用紙トレイ12を図2の押し込み状態にしたときに,モーター50の駆動力によって行われる。押し上げ板15が下限位置にあるときには図14に示したように,ワイヤー132,134に弛みVがあるが,押し上げ板15自体は水平である。なお,図14は押し上げ板15に用紙Pがフル積載されている状況を示しているものとする。
【0059】
巻き取りプーリー70,75によるワイヤー132,134,31,33の巻き取りが開始されると,押し上げ板15の上昇も開始する。しかしワイヤー132,134の弛みVがなくなるまでは,押し上げ板15のうちフック152,154側の端部は上昇しない。しかしフック151,153側の端部は,その間も上昇していく。弛みVが丁度なくなった時点での状況を図16に示す。この状況では,フック152,154側の端部は用紙トレイ12に未だ接しているが,フック151,153側の端部は用紙トレイ12から離れている。このため押し上げ板15は傾斜している。以後,この傾斜状態のままで押し上げ板15は上昇していく。
【0060】
しかしながら,この時点で巻き取りプーリー70,75の巻き取りスレッド51,52においてワイヤー132,134,31,33の巻き取りを行っているのは,図15に示した区間B1(515,525),すなわち差径区間である。このため,巻き取りスレッド51,52間で巻き取りの有効半径に差がある。ワイヤー132,134を巻き取る巻き取りスレッド52の方がより大径である。したがって,ワイヤー132,134の巻き取り速度の方がワイヤー31,33の巻き取り速度より速い。このことは,押し上げ板15において,フック152,154の上昇速度が,フック151,153の上昇速度より速いことを意味する。このため,図16の状態以後,押し上げ板15の上昇とともにその傾斜は解消していく。
【0061】
押し上げ板15が丁度水平になった時点での状況を図17に示す。この状況ではむろん,押し上げ板15におけるフック152,154の側の端部とフック151,153の側の端部との高さが同じである。この状況での押し上げ板15の高さは,図15で言えば区間B1と区間B2との境目に相当する。つまり,巻き取りスレッド51,52間で巻き取り半径に差がある差径区間による巻き取りが終了したところで,押し上げ板15が丁度水平になるようにされているのである。したがって図17の状態以後,押し上げ板15は水平を維持したまま上昇していく。
【0062】
最上の用紙Pがピックアップローラー3に接触するまで上昇した時点での状況を図18に示す。むろん図18での押し上げ板15は,図17中における位置より高い位置にある。この状態にて用紙Pの供給が可能である。そしてこの状態では,押し上げ板15が水平になっているので,ピックアップローラー3等による用紙Pの送り出しは通常通りに行われる。なお,用紙Pの積載量がフル積載より少ない場合には,図18に示した状態よりさらに上方まで押し上げ板15が水平のまま上昇する。なお,フル積載時での用紙Pの送出高さと,押し上げ板15が丁度水平になる高さとが同じである設定であってもよい。そのような設定の場合の図17および図18の状態に相当する図を図19に示す。
【0063】
続いて押し上げ板15が下限位置へ向かって下降していくときの姿勢を説明する。押し上げ板15の下降は前述のように,用紙トレイ12を図3に示した引き出し状態とすると,押し上げ板15およびその上の用紙Pの自重によって起こる。下降開始から前述の図17に示した高さまでの間では,押し上げ板15は水平のままである。
【0064】
押し上げ板15がここからさらに下降すると,前述の差径区間B1(図15,515,525)からワイヤー132,134,31,33が巻き出される。したがって,ワイヤー132,134の巻き出し速度の方がワイヤー31,33の巻き出し速度より速い。このことは,押し上げ板15において,フック152,154側の端部の下降速度が,フック151,153側の端部の下降速度より速いことを意味する。このため,押し上げ板15が傾斜する。むろん,フック152,154側の端部の方がフック151,153側の端部より低い。このように押し上げ板15に傾斜が付いた状態で押し上げ板15の着地に至る。
【0065】
まず図20に示すように,フック152,154側の端部の方が先に用紙トレイ12に着地する。図20の状態は,前出の図16の状態と同じである。その後にフック151,153側の端部も着地して図14に示した状態と同じ状態になる。すなわち,押し上げ板15の全体が同時に着地するのではない。このため,衝撃力が緩和されている。着地時の衝撃が時間的に分散されるからである。このことと,第1の形態で述べたダンパー48の制動力Uの立ち上がりの効果とにより,着地時の衝撃が大幅に緩和されている。
【0066】
なお上記において図15では,差径区間が,押し上げ板15の高さにおける下限側に寄せて配置されていた。しかしこのことは必須ではない。例えば図21に示すようにしてもよい。図21の例では,区間B1における巻き取り半径には巻き取りスレッド51,52間で差がない。その替わりに,傾斜区間B2の位置に違いがある。巻き取りスレッド52の傾斜区間B2(524)は,巻き取りスレッド51の傾斜区間B2(514)より少し,押し上げ板15の高さにして低い位置にある。
【0067】
このため,押し上げ板15の上昇時で考えると,ワイヤー132,134を巻き取る巻き取りスレッド52の方が,ワイヤー31,33を巻き取る巻き取りスレッド51より先に,傾斜区間B2を迎える。下降時には逆に,巻き取りスレッド51の方が巻き取りスレッド52より先に傾斜区間B2を迎える。したがって,ワイヤー132,134,31,33の巻き取り,巻き出しが傾斜区間B2によって行われているときには,巻き取りスレッド52の巻き取り半径の方が巻き取りスレッド51の巻き取り半径より大きい。
【0068】
図21の例では,傾斜区間B2(514)の上限側の位置が図17に示した位置,すなわち押し上げ板15が上昇時に丁度水平になる位置になる。よって,図18に示した位置,すなわちフル積載時の用紙送出高さは,図21中では傾斜区間B2(514)の上限と同じ位置かまたはそれよりさらに上方にあることが望ましい。
【0069】
むろん,図21に示した半径分布もまた一例である。要は,上昇時にフル積載時の用紙送出高さに達するまでに押し上げ板15が水平になればよい。例えば,図10中の区間B1と区間B2との全体が差径区間になっているような半径分布であってもよい。
【0070】
また,4本のワイヤーのうち弛みVのあるものとないものの配置についても変更可能である。すなわち,図14は,図4中のワイヤー31〜34のうちワイヤー32,34を弛みVのあるものとしてワイヤー31,33を弛みVのないものとしたものであるが,これに限らない。逆にワイヤー31,33に弛みVがありワイヤー32,34には弛みがない構成であってもよい。あるいは,ワイヤー33,34に弛みVがありワイヤー31,32に弛みがない構成や,ワイヤー31,32に弛みVがありワイヤー33,34に弛みがない構成であってもよい。いずれの場合でもむろん上昇時には,弛みVのあるワイヤーが弛みのないワイヤーより速く巻き取られる。
【0071】
さらには,図14の状態で4本のワイヤーすべてに弛みがある構成であってもよい。ただしその場合には,4本のワイヤーのうち2本のワイヤーは弛み量が多く,残り2本は弛み量が少ないものでなければならない。その場合,弛み量が同じのワイヤーが押し上げ板15に対して対角線状に配置されていてはいけない。
【0072】
また,ここまでで説明したものでは,4本のワイヤーにより押し上げ板15の全体を吊り上げる構成になっている。しかしこのことも必須ではない。まず,押し上げ板15の全体を吊り上げる構成であるためには,ワイヤーの最少本数は3本である。ワイヤーの本数の上限は特にない。押し上げ板15の全体を吊り上げること自体も必須ではない。押し上げ板15を揺動させるようにして,その一辺のみを2本のワイヤーで吊り上げる構成でもよい。
【0073】
以上詳細に説明したように本実施の形態では,巻き取りプーリーの巻き取りスレッドに,巻き取り半径の分布を設けている。これにより,押し上げ板15の下降移動に対する制動力が,下限着地の少し前に立ち上がるようにしている。これにより着地時の衝撃を緩和している。また第2の形態では,着地時に押し上げ板15が傾斜するようにして,着地時の衝撃を時間的に分散させることで衝撃をさらに緩和している。こうして,押し上げ板15の速やかな下降と衝撃防止とを,簡単な構成で達成した給紙装置およびそれを用いた画像形成装置が実現されている。
【0074】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば画像形成部102は,図示したようなタンデム形フルカラータイプのものに限らない。4サイクル式でもよいしモノクロでもよい。画像形成自体の方式も,トナーを用いるものに限らず他の方式(例えば液状の色材を用いる方式)でもよい。画像形成装置100自体としても,コピー機でもプリンターでもよい。公衆回線との送受信機能を備えたものでもよい。
【符号の説明】
【0075】
3 ピックアップローラー(送出ローラー)
15 押し上げ板
112 給紙部
31,33 ワイヤー(第2ワイヤー)
32,34 ワイヤー
40,45 巻き取りプーリー
48 ダンパー
51 巻き取りスレッド(第2巻き取り形状部)
52 巻き取りスレッド(第1巻き取り形状部)
70,75 巻き取りプーリー
102 画像形成部
132,134 ワイヤー(第1ワイヤー)
B1 低位巻き取り部(差径区間)
B2 中位巻き取り部(差径区間)
B3 高位巻き取り部
【技術分野】
【0001】
本発明は,画像形成に供する用紙を画像形成部に供給する給紙装置およびそれを用いた画像形成装置に関する。さらに詳細には,収納している用紙を画像形成部へ向けて送出する送出ローラーと,送出する用紙を前記送出ローラーによる送出高さまで押し上げる押し上げ板とを有し,押し上げ板の押し上げ動作をワイヤーによる引き上げにより行う給紙装置,およびそれを用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の給紙装置では,収納している用紙のうち最上のものを,送出ローラーにより送出するようにしている。そして,用紙を押し上げ板に積載して,押し上げ板で用紙を押し上げるようにしている。これにより,収納される用紙の枚数にかかわらず,用紙のうち最上のものが送出ローラーに接するようになっている。この,押し上げ板の押し上げ動作を,ワイヤーによる引き上げにより行うものがある。押し上げ板に取り付けられたワイヤーを巻き取る上げることで押し上げ板を引き上げ,これにより用紙を押し上げるのである。
【0003】
ところで給紙装置は,用紙の補給のために画像形成装置から引き出されることがある。給紙装置が画像形成装置から引き出されたときには,押し上げ板を速やかに下降させる必要がある。ユーザーによる用紙補給動作をやりやすくするためである。また,給紙装置における押し上げ板の下には,何らかの電気部品が装備されている場合がある。その場合に押し上げ板が上昇したままの状態であると,ユーザーがその電気部品に触るおそれがある。そのような事態を防止するためにも,押し上げ板を速やかに下降させる必要がある。
【0004】
この押し上げ板の下降動作は基本的に,押し上げ板自体およびそこに積載されている用紙の自重による。このため,用紙の積載量が多い場合には下降速度が速く,下限位置への着地時の衝撃が大きくなりがちである。このため下降に対する制動部材を設けて,用紙の積載量が多くても下降速度が速くなりすぎないようにしている。ところが単にこれだけでは,逆に用紙の積載量がゼロに近い場合に,下降速度が遅くなりすぎてしまう。制動が効き過ぎるからである。このため特許文献1の技術では,制動部材を複数個設けるとともに欠け歯ギヤを用いて,制動部材の接続数を状況に応じて変更するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−127434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献1の技術では,構造が複雑でコストも高かった。制動装置を複数設ける必要があるからである。また,欠け歯ギヤという特殊な部品も必要である。
【0007】
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,押し上げ板の速やかな下降と衝撃防止とを,簡単な構成で達成した給紙装置およびそれを用いた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題の解決を目的としてなされた本発明の給紙装置は,用紙を送出する送出ローラーと,送出する用紙を送出ローラーによる送出高さまで押し上げる押し上げ板とを有する装置であって,押し上げ板を引き上げるワイヤーと,押し上げ板を引き上げるためにワイヤーを巻き取る巻き取り形状部が形成された巻き取り部材とを有し,巻き取り形状部には,押し上げ板がその押し上げ高さにおける高位側にある間にワイヤーを巻き取る高位巻き取り部と,押し上げ板がその押し上げ高さにおける低位側にある間にワイヤーを巻き取る低位巻き取り部とが設けられており,高位巻き取り部における巻き取り半径が,低位巻き取り部における巻き取り半径より大きいものである。
【0009】
この給紙装置では,押し上げ板が高い位置から下降する際に,押し上げ板の自重によりワイヤーが引っ張られ,巻き取り部材がワイヤーを巻き出す方向に回転する。この際の巻き取り部材の回転抵抗が,押し上げ板の下降に対する制動力となる。ここで,下降の初期にはワイヤーは,巻き取り部材における大径の高位巻き取り部から巻き出される。したがって,押し上げ板の重力により巻き取り部材を回転させようとするトルクが大きい。つまり,押し上げ板の下降に対する制動力が相対的に小さい。しかし,下降の終期には,ワイヤーが小径の低位巻き取り部から巻き出される。したがって,押し上げ板の重力により巻き取り部材を回転させようとするトルクが小さい。つまり,押し上げ板の下降に対する制動力が相対的に大きい。これにより,押し上げ板の速やかな下降と着地時の衝撃緩和とが両立されている。
【0010】
この給紙装置では,巻き取り形状部に,高位巻き取り部と低位巻き取り部との間に,押し上げ板がその押し上げ高さにおける高位側と低位側との中間の領域にある間にワイヤーを巻き取る中位巻き取り部が設けられており,中位巻き取り部の巻き取り半径は,高位巻き取り部側から低位巻き取り部側へ向かって小さくなっていることが望ましい。このようにすると,押し上げ板の下降に対する制動力の立ち上がりが急峻ではなく,徐々に起こる。このため,制動力の立ち上がり自体が衝撃の原因となることはない。
【0011】
この給紙装置ではさらに,巻き取り形状部およびワイヤーとして,押し上げ板の第1の箇所を引き上げる第1巻き取り形状部および第1ワイヤーと,押し上げ板の第2の箇所を引き上げる第2巻き取り形状部および第2ワイヤーとの2組を有し,第1巻き取り形状部と第2巻き取り形状部とは一体的に回転するものであり,第1ワイヤーおよび第2ワイヤーの長さは,押し上げ板がその押し上げ高さにおける最低位置にあるときにおける第1ワイヤーの弛みが第2ワイヤーの弛みより多くなるように設定されており,第1巻き取り形状部および第2巻き取り形状部には,押し上げ板がその押し上げ高さにおける最低位置と最高位置との間の中間位置に相当する巻き取り位置より低位置側の領域の少なくとも一部に,対応する巻き取り位置同士で第1巻き取り形状部の方が第2巻き取り形状部より大径となっている差径区間が設けられており,第1巻き取り形状部および第2巻き取り形状部は,差径区間以外の区間では,対応する巻き取り位置同士で互いに同径であり,差径区間は,押し上げ板がその押し上げ高さにおける最低位置から中間位置まで上昇する間に,押し上げ板における前記第1ワイヤーの取り付け箇所側の端部と第2ワイヤーの取り付け箇所側の端部とを同じ高さにするものであることが好ましい。
【0012】
このようになっていると,押し上げ板の下限位置への着地時には,押し上げ板が傾いていることになる。このため着地時の衝撃が時間的に分散されることにより,さらに軽減される。なお,押し上げ板がある程度上昇していれば,押し上げ板は水平である。このため用紙の送出には支障はない。ここで,「第1ワイヤーの弛みが第2ワイヤーの弛みより多」いということには,第1ワイヤーにのみ弛みがあり第2ワイヤーには弛みがない態様も含まれる。
【0013】
さらにこの給紙装置では,前記中間位置が,押し上げ板に最大許容積載量の用紙が載置されている状態での送出高さ以下の位置であることが望ましい。フル積載時でも用紙の送出を正常に行うためである。
【0014】
この給紙装置ではさらに,押し上げ板の落下時における巻き取り部材の動きを制動する制動装置を有することが望ましい。本発明はさらに,上記のいずれかの給紙装置と,その給紙装置から供給された用紙に画像を形成する画像形成部とを有する画像形成装置をも対象とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば,押し上げ板の速やかな下降と衝撃防止とを,簡単な構成で達成した給紙装置およびそれを用いた画像形成装置が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態に係る画像形成装置の全体構成図である。
【図2】用紙トレイを装置本体から引き出していない状態を示す部分斜視図である。
【図3】用紙トレイを装置本体から引き出した状態を示す部分斜視図である。
【図4】押し上げ板の吊り上げ機構を下降状態にて示す斜視図である。
【図5】押し上げ板の吊り上げ機構を上昇状態にて示す図である。
【図6】巻き取りプーリーの駆動機構を,用紙トレイの押し込み状態にて示す斜視図である。
【図7】巻き取りプーリーの駆動機構を,用紙トレイの引き出し状態にて示す斜視図である。
【図8】巻き取りプーリーの正面図である。
【図9】巻き取りプーリーにおける巻き取りスレッドの深さを説明する透視図である。
【図10】巻き取りプーリーにおける巻き取り半径と押し上げ板の高さとの関係を示すグラフである。
【図11】押し上げ板の下降時に掛かる力を説明する模式図である。
【図12】押し上げ板に掛かる制動力と押し上げ板の高さとの関係を示すグラフである。
【図13】押し上げ板の下限位置への着地時の衝撃の程度を,本発明と従来例とで比較して示すグラフである。
【図14】第2の形態に係る画像形成装置の,第1の形態との相違点を示す模式図である。
【図15】第2の形態における巻き取りプーリーにおける巻き取り半径と押し上げ板の高さとの関係の一例を示すグラフである。
【図16】第2の形態における,押し上げ板の昇降時の姿勢を説明する模式図(その1)である。
【図17】第2の形態における,押し上げ板の昇降時の姿勢を説明する模式図(その2)である。
【図18】第2の形態における,押し上げ板の昇降時の姿勢を説明する模式図(その3)である。
【図19】第2の形態における,押し上げ板の昇降時の姿勢を説明する模式図(その4)である。
【図20】第2の形態における,押し上げ板の昇降時の姿勢を説明する模式図(その5)である。
【図21】第2の形態における巻き取りプーリーにおける巻き取り半径と押し上げ板の高さとの関係の別の例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1の形態]
以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,図1に示す画像形成装置100の給紙部112に,本発明を適用したものである。図1に示す第1の形態の画像形成装置100は,画像形成部102と,給紙部112とを有している。画像形成部102は,中間転写ベルト101と,4つのトナー像形成部1Y,1M,1C,1Kとによりフルカラー画像を形成するものである。各トナー像形成部1Y,1M,1C,1Kはそれぞれ,感光体ドラム21と,帯電器20と,露光部30と,現像器10と,1次転写ローラー111とを有している。画像形成部102にはさらに,2次転写ローラー115や定着器130が設けられている。画像形成部102の上には排紙トレイ117が設けられている。
【0018】
給紙部112は,画像形成部102へ用紙を供給する部分である。給紙部112には,用紙Pを収納する用紙トレイ12が設けられている。給紙部112にはさらに,ピックアップローラー3,給紙ローラー4,分離ローラー5が設けられている。画像形成装置100にはまた,給紙部112から画像形成部102へ用紙を搬送する用紙搬送部113が設けられている。用紙トレイ12は,画像形成装置100から引き出し可能である。ユーザーによる用紙の補給のためである。
【0019】
用紙トレイ12を画像形成装置100から引き出していない状態と,引き出した状態とを図2,図3に示す。図2および図3では,画像形成装置100のうち画像形成部102等を省略して給紙部112の部分のみを示している。図1に示したピックアップローラー3,給紙ローラー4,分離ローラー5は,図2および図3では,矢印Aで示す辺りに位置する。すなわちこれらは,用紙トレイ12とともに引き出されるものではない。用紙トレイ12の底部には,用紙Pを積載するための押し上げ板15が設けられている。押し上げ板15は,積載している用紙Pを上方へ向けて押し上げて,最上の用紙Pをピックアップローラー3に接触させるためのものである。
【0020】
本形態に係る給紙部112では,押し上げ板15の押し上げ動作をワイヤー巻き取り方式で行うようにしている。そのための機構を図4により説明する。図4に示すように,本形態の給紙部112では,押し上げ板15を4本のワイヤー31〜34で吊している。ワイヤー31,32が押し上げ板15における手前側の2箇所のフック151,152を吊り,ワイヤー33,34が奥側の2箇所のフック153,154を吊っている。
【0021】
押し上げ板15の手前側には,巻き取りプーリー40が設けられている。巻き取りプーリー40は,ワイヤー31,32を巻き取るものである。押し上げ板15の手前側における上方の位置には,従動プーリー41,42が設けられている。従動プーリー42は,巻き取りプーリー40のほぼ真上に配置されている。従動プーリー41は,従動プーリー42とほぼ同じ高さであって,それよりも用紙Pの搬送方向に上流側の位置に配置されている。ワイヤー31は,従動プーリー41および42に巻き架けられて押し上げ板15のフック151を吊っている。ワイヤー32は,従動プーリー42のみに巻き架けられて押し上げ板15のフック152を吊っている。
【0022】
押し上げ板15の奥側には,巻き取りプーリー45が設けられている。巻き取りプーリー45は,ワイヤー33,34を巻き取るものである。押し上げ板15の奥側にはさらに,従動プーリー43,44が設けられている。巻き取りプーリー45および従動プーリー43,44の位置関係は,巻き取りプーリー40および従動プーリー41,42の位置関係と同じである。ワイヤー33,34の配置も,ワイヤー31,32の配置と同じである。
【0023】
図4に示したのは,押し上げ板15が下限まで下降している状態である。押し上げ板15を上限まで上昇させた状態を図5に示す。図5に見るように,2つの巻き取りプーリー40,45は,共通の回転軸46に取り付けられている。巻き取りプーリー40,45と回転軸46とは,全体で一体的に回転するものである。これにより,4箇所のフック151〜154にてワイヤー31〜34で吊られている押し上げ板15は,ほぼ水平を保ったまま昇降するものである。
【0024】
なお,巻き取りプーリー40,45,回転軸46,および従動プーリー41〜44は,用紙トレイ12に設置されている。よって,用紙トレイ12の引き出し動作あるいはその後の押し込み動作がなされると,これら全体が引き出し・押し込み方向に移動することになる。すなわち,図4あるいは図5に示されたもののうち,ピックアップローラー3,給紙ローラー4,分離ローラー5を除いた全体が,引き出し・押し込み動作により移動するのである。
【0025】
ここで,前面側の巻き取りプーリー40,従動プーリー41,42,およびワイヤー31,32は,図2および図3に示される前面パネル121内に内蔵されている。また,奥側の巻き取りプーリー45,従動プーリー43,44,およびワイヤー33,34は,図2および図3では,後面板122の背後に隠れている。回転軸46は,押し上げ板15の下に位置している。したがってこれらは通常,ユーザーの目に触れることはあまりない。
【0026】
次に,巻き取りプーリー40,45の駆動機構を,図6により説明する。図6に示されるように,回転軸46における巻き取りプーリー45よりさらに奥側には,アイドルギヤ47,継ぎ手49,モーター50が設けられている。アイドルギヤ47には,ダンパー48が付設されている。継ぎ手49は,モーター50側の駆動部材491と,用紙トレイ12側の被駆動部材492とからなり,それぞれの凹凸形状の噛み合いにより駆動力を伝達するものである。
【0027】
モーター50は,回転軸46を回転させる回転駆動力を発生するものである。モーター50の回転は,巻き取りプーリー40,45にワイヤー31〜34を巻き取らせる向き,すなわち押し上げ板15を引き上げる向きの回転である。継ぎ手49は,モーター50と回転軸46との結合を断続するためのものである。図6に示されている継ぎ手49は当然,結合状態である。アイドルギヤ47およびダンパー48は,回転軸46の回転に対する制動力を発生するものである。このための制動装置であるダンパー48としては,公知のオイルダンパー等が使用可能である。
【0028】
なお,アイドルギヤ47およびダンパー48は,一方向にのみ制動作用を発揮するワンウェイタイプのものであることが望ましい。すなわち,巻き取りプーリー40,45の巻き出し方向(押し上げ板15を下降させる向き)の回転にのみ制動力を作用させ,巻き取り方向(押し上げ板15を引き上げる向き)の回転には制動力を及ぼさないものであることが望ましい。このことは,ダンパー48自体の種類の選択によっても達成できるし,アイドルギヤ47にラチェット等の公知のワンウェイ機構を組み込むことによっても達成できる。もしくは,用紙トレイ12が引き出されているとき(押し上げ板15が下降する)にのみアイドルギヤ47とダンパー48とが噛み合い,用紙トレイ12が完全に押し込まれているとき(押し上げ板15が引き上げられる)にはダンパー48がアイドルギヤ47から外れるようにすることでも達成できる。以下の説明では,アイドルギヤ47およびダンパー48による制動力は,上記のいずれかの手段によりワンウェイであることとする。
【0029】
図6に示されているもののうち,モーター50と駆動部材491とは,装置本体側に設置されているものである。したがってこれらは,用紙トレイ12を引き出しても移動しない。これに対し,アイドルギヤ47,ダンパー48,および被駆動部材492は,用紙トレイ12に設けられているものである。したがってこれらは,用紙トレイ12の引き出し動作・押し込み動作がなされると,巻き取りプーリー45等とともに,引き出し動作・押し込み動作に従って移動する。図6に示されているのは用紙トレイ12を押し込んだ状態である。用紙トレイ12を引き出した状態では図7に示すように,継ぎ手49が分離状態となる。
【0030】
続いて,本形態における巻き取りプーリー40,45について説明する。本形態における巻き取りプーリー40,45は同じものである。本形態における巻き取りプーリー40,45は図8に示すように,その周面に溝状の2本の巻き取りスレッド51,52が形成されているものである。2本の巻き取りスレッド51,52は当然,巻き取りプーリー40,45の回転とともに一体的に回転する。さらに,巻き取りプーリー40と巻き取りプーリー45も前述のように一体的に回転するので,結局,計4本の巻き取りスレッド51,52が一体的に回転することになる。
【0031】
巻き取りスレッド51について説明する。巻き取りスレッド51は,環状のリング部511と,そこから螺旋状に分岐した螺旋部512とからなっている。螺旋部512の端部付近に糸出し孔513が形成されている。糸出し孔513は,ワイヤー31〜34のいずれか1本の一端を,抜け落ちることなく取り付けるための孔である。なお,ワイヤー31〜34のもう一方の一端は,押し上げ板15のフック151〜154に取り付けられる。
【0032】
これにより,糸出し孔513に一端が取り付けられているワイヤーは,巻き取りプーリー40,45が巻き取り方向に回転すると,まず巻き取りスレッド51のうち螺旋部512に巻き取られるようになっている。そして,巻き取りプーリー40,45がさらに回転すると,ワイヤーの残りの部分が巻き取りスレッド51のうちリング部511に巻き取られるようになっている。ワイヤーを巻き取っている状態の巻き取りプーリー40,45が巻き出し方向に回転した場合には,まずワイヤーのうちリング部511に巻き取られている部分が巻き出され,次いで螺旋部512に巻き取られている部分が巻き出されることになる。
【0033】
巻き取りプーリー40,45におけるもう一本の巻き取りスレッド52も同様に,リング部521と螺旋部522とからなっている。そして螺旋部522には糸出し孔523が形成されている。これにより,4本のワイヤー31〜34が一本ずつ,巻き取りプーリー40,45の計4本の巻き取りスレッド51,52に巻き取られるようになっている。具体的には,各ワイヤーが次の各スレッドに巻き取られる。
ワイヤー31 → 巻き取りプーリー40の巻き取りスレッド51
ワイヤー32 → 巻き取りプーリー40の巻き取りスレッド52
ワイヤー33 → 巻き取りプーリー45の巻き取りスレッド51
ワイヤー34 → 巻き取りプーリー45の巻き取りスレッド52
【0034】
図4に示した押し上げ板15の下降状態が,ワイヤー31〜34がほとんど巻き出されている状態である。一方,図5に示した上昇状態が,ワイヤー31〜34がほとんど巻き取られている状態である。
【0035】
巻き取りスレッド51,52についてさらに説明する。巻き取りスレッド51の深さは一様ではなく,場所によって違っている。図9に,巻き取りプーリー40,45を軸方向に見た透視図を示す。図9に示されるように,巻き取りスレッド51のうち,螺旋部512での深さD1は,リング部511での深さD2より深い。そして巻き取りスレッド51には,深さD1の深い区間515(螺旋部512の一部)と深さD2の浅い区間(リング部511)との間に,深さが緩やかに変化している傾斜区間514(これも螺旋部512の一部)がある。図9では,深さD1の区間を破線で,傾斜区間514を一点鎖線で,深さD2の区間を二点鎖線で,それぞれ示している。巻き取りスレッド52も同じ深さ分布を有している。ただし,図9は単なる説明のための図であり,各部の寸法については,実物に正確に比例して描いたものではない。
【0036】
ここで,巻き取りプーリー40,45においては,深さの深いところでは巻き取り半径が小さく,浅いところでは巻き取り半径が大きい,という関係がある。巻き取りプーリー40,45における,巻き取り半径と押し上げ板15の引き上げ高さとの関係を図10のグラフに示す。図10のグラフでは,横軸が押し上げ板15の引き上げ高さを示し,縦軸が巻き取りプーリー40,45の巻き取り半径を示している。なお図10においては,巻き取りプーリー40,45の外形の半径は12mmであることとしている。
【0037】
図10によれば,押し上げ板15の高さが0mm(つまり下限位置)から約20mmまでの区間B1では,巻き取りの有効半径は5mmである。これは,巻き取りスレッド51,52の螺旋部512,522の区間515,525(深さD1)によりワイヤー31〜34が巻き取られ,または巻き出されている区間である。すなわち,深さD1は7mmである。
【0038】
次に,高さが約20mmから約30mmまでの区間B2では,巻き取り半径が,5mmから10mmまで,右上がりに連続的に変化している。これは,巻き取りスレッド51,52の螺旋部512,522の傾斜区間514によりワイヤー31〜34が巻き取られ,または巻き出されている区間である。そして,高さが約30mmから約150mm(上限位置)までの区間B3では,巻き取りの有効半径は10mmである。これは,巻き取りスレッド51,52のリング部511,521(深さD2)によりワイヤー31〜34が巻き取られ,または巻き出されている区間である。すなわち,深さD2は2mmである。
【0039】
続いて,本形態の画像形成装置100の動作を説明する。画像形成装置100で画像形成を実行する場合には,用紙トレイ12の押し上げ板15の上に用紙Pを積載し,用紙トレイ12を図2に示した押し込み状態にする。押し込み状態では,前述の継ぎ手49が図6に示した結合状態である。なお,用紙トレイ12を押し込む際に直ちに駆動部材491と被駆動部材492との凹凸が噛み合って継ぎ手49が結合状態になるとは限らない。しかしながら,駆動部材491と被駆動部材492との少なくとも一方が軸方向に少し待避可能にされており,後述するモーター50の回転が始まると凹凸が噛み合って結合状態となる。
【0040】
そこで画像形成装置100では,モーター50により巻き取りプーリー40,45を駆動し,ワイヤー31〜34を巻き取る。つまり押し上げ板15を引き上げる。これにより押し上げ板15は図5の上昇状態となる。この引き上げの際には,ダンパー48の存在が回転駆動に対する抵抗となることはない。前述のようにダンパー48の制動力はワンウェイであるからである。押し上げ板15の引き上げは,積載している用紙Pのうち最上のものがピックアップローラー3に接触するまで行う。その状態で画像形成が行われる。画像形成により押し上げ板15上の用紙Pが減少すると,その都度少しずつワイヤー31〜34が巻き取られ,最上の用紙Pがピックアップローラー3に接触する状態が維持される。
【0041】
用紙トレイ12への用紙Pの補充を行うときには,ユーザーにより,用紙トレイ12が引き出されて図3の状態となる。これにより,継ぎ手49が図7に示す分離状態となる。このため,押し上げ板15を引き上げ状態に維持することができなくなる。巻き取りプーリー40,45がモーター50から切り離されるからである。したがって押し上げ板15は,図11に示されるように自重Gにより下降しようとする。このためにワイヤー31〜34が引っ張られて巻き取りプーリー40,45が巻き出し方向(図11中の矢印H)に回転する。これにより,巻き取られているワイヤー31〜34が巻き出される。こうして押し上げ板15は下降し,図4の下降状態となる。
【0042】
ここにおいて,巻き取りプーリー40,45の巻き出し方向Hの回転に対しては,前述のダンパー48による制動力(図11中の矢印J)が作用する。この制動力Jは,ワイヤー31〜34を介して,押し上げ板15に対して上向きの力Uとして作用する。このため押し上げ板15は,自重Gにより下降するとはいっても自由落下するわけではない。ダンパー48に起因する制動力Uが効いている状態で下降するのである。このため,下限位置への着地時の騒音や衝撃は緩和されている。
【0043】
さらに,ダンパー48による制動力Uは,下降の開始から終了まで一様に作用するわけではない。本形態では前述の特殊な巻き取りプーリー40,45を用いているからである。このため,下降開始からしばらくの,押し上げ板15がまだ比較的高い位置にある間は制動力Uはさほど強くは働かない。その後,押し上げ板15の位置が下がって下限位置への着地が迫ると,着地に先だって制動力Uが上昇するのである。
【0044】
すなわち,下降開始からしばらくの間は,ワイヤー31〜34は巻き取りスレッド51,52のリング部511,521から巻き出される。図10中に区間B3として示した区間である。この時点では,ワイヤー31〜34から見た巻き取りプーリー40,45の有効半径は,図10で説明したとおり10mmであり比較的大きい。このため,押し上げ板15の重力Gにより巻き取りプーリー40,45に対して作用するトルクも比較的大きい。つまり,押し上げ板15から見て,ダンパー48による制動力Uは相対的に弱い。
【0045】
やがて,押し上げ板15が下降して図10中の区間B2に至ると,ワイヤー31〜34は巻き取りスレッド51,52の螺旋部512,522の傾斜区間514から巻き出されることになる。このため巻き取りプーリー40,45の有効半径が減少し,押し上げ板15の重力Gの巻き取りプーリー40,45に対するトルクも減少する。逆に,押し上げ板15に掛かるダンパー48による制動力Uは上昇する。
【0046】
そして,押し上げ板15がさらに下降して図10中の区間B1に至ると,ワイヤー31〜34は螺旋部512,522の区間515から巻き出されることになる。この段階では,巻き取りプーリー40,45の有効半径は図10で説明したとおり5mmであり,かなり小さい。このため,押し上げ板15の重力Gの巻き取りプーリー40,45に対するトルクはかなり弱い。逆に,押し上げ板15に掛かるダンパー48による制動力Uはかなり強い。
【0047】
以上のような制動力Uの変遷パターンを図12のグラフに示す。図12のグラフの横軸は,図10のグラフの横軸と同じである。図12のグラフの縦軸は,押し上げ板15に掛かる制動力U(単位は[N])を示している。図12によれば,区間B3では,制動力Uは約1.9Nである。区間B1では,制動力Uは約3.9Nである。それらの間の区間B2では,押し上げ板15の下降とともに,制動力Uが1.9Nから3.9Nまで連続的に上昇している。なお,制動力Uの源泉であるダンパー48は,あくまでも巻き取りプーリー40,45の回転に従動しての回転に対する抵抗として制動力を発生するものである。したがって,押し上げ板の下降が制動力Uにより途中で停止してしまうことはない。
【0048】
このことにより,次のような効果がある。押し上げ板15の下降開始からしばらくの間は,ダンパー48の制動力Uがあまり働かない。このことは,押し上げ板15の下降に要する時間が短くて済むことを示している。その一方で,押し上げ板15の下限位置への着地の前には,ダンパー48の制動力Uが立ち上がっている。このため,着地時の騒音や衝撃は確実に緩和される。つまり,押し上げ板15の速やかな下降とソフトな着地とが両立されているのである。押し上げ板15の下降が素早いので,仮に押し上げ板の下に何らかの電気・機械部品が備えられていたとしても,ユーザーがそれに触れるおそれが少ない。その一方で,必要な制動部材はダンパー48一個だけであり,構造的には簡素である。また,下降動作自体は押し上げ板15の自重のみを駆動力として行われるので,そのためのエネルギー源や制御システムを要しない。
【0049】
なお,ダンパー48自体は,実は必須ではない。例えば,回転軸46が保持される軸受け箇所の摺動抵抗も,事実上,巻き取りプーリー40,45の回転に対する制動力として作用する。よって,この摺動抵抗がある程度大きければ,ダンパー48が不要なことがある。
【0050】
さらに,巻き取りプーリー40,45では,巻き取りスレッド51,52の大径区間(リング部511,521)と小径区間(螺旋部512,522のうち区間515,525)との間に傾斜区間514,524が設けられている。このため,制動力Uが弱い状態から強い状態へと不連続に制動力Uが立ち上がるのではなく,制動力Uの立ち上がりが連続的である。このため,制動力Uの上昇それ自体が衝撃の原因となることがない。
【0051】
本形態による着地時の衝撃緩和の効果を,図13のグラフに示す。図13のグラフは,押し上げ板15の着地時の衝撃力を,本発明の例と従来例とで比較して示すグラフである。図13のグラフの横軸は,押し上げ板15への用紙Pの積載枚数を示している。縦軸は,衝撃力の程度を示している。なお図13のグラフの試験では,本発明の例として,上述の区間B3における有効半径が20mmであり,区間B1における有効半径が10mmである巻き取りプーリー40,45を使用した。従来例としては,有効半径が20mmで固定である巻き取りプーリーを使用した。それ以外のすべての条件は,本発明の例と従来例とで共通とした。
【0052】
図13から,従来例では,積載枚数が750枚程度のときに衝撃力が最も強いことが分かる。これに対し本発明の例では,積載枚数が500枚以上では衝撃力がほぼ一定であることが分かる。そしてその衝撃力は,従来例の場合の最大の衝撃力に対して約半分程度でしかない。このように本発明では,衝撃力が確実に軽減されているのである。なお,余談であるが,図13の従来例では,積載枚数が750枚を超えると,むしろ衝撃力が弱くなる傾向があることが分かる。これは,積載枚数が750枚を超えるほど多いと,下降開始時の押し上げ板15の高さが低いためであると解される。
【0053】
[第2の形態]
続いて,本発明の第2の形態を説明する。第2の形態の,前述の第1の形態に対する相違点は2点ある。第1の相違点は,図14に示すように,ワイヤー32,34に替えて,弛みVを有するワイヤー132,134が用いられている点である。第2の相違点は,巻き取りプーリーとして,第1の形態の巻き取りプーリー40,45とは少し異なる巻き取りプーリー70,75が用いられている点である。それ以外は基本的に,第1の形態と共通である。このため,巻き取りプーリー70,75およびその部分を除き,第1の形態と共通の部品番号を用いることとする。
【0054】
まず,第1の相違点について説明する。図14は,第2の形態における,押し上げ板15の下降状態を示す模式図である。図14には,第1の形態との相違点を説明するために必要な部分のみを示している(図16〜図20において同じ)。本形態のワイヤー132,134に弛みVが与えられているということは,ワイヤー132,134は第1の形態におけるワイヤー32,34より少し長い,ということである。なお,ワイヤー31,33に関しては,本形態でも第1の形態におけるものと同じ長さのものが用いられている。すなわち,本形態でもワイヤー31,33には弛みがない。
【0055】
次に,第2の相違点,つまり本形態の巻き取りプーリー70,75について説明する。本形態の巻き取りプーリー70,75の,第1の形態の巻き取りプーリー40,45との違いはごくわずかであり,外観的には図8に示す巻き取りプーリー40,45とほとんど同じである。すなわち,巻き取りプーリー70,75も巻き取りプーリー40,45と同様に,2本の巻き取りスレッドを有している。それぞれの巻き取りスレッドがリング部と螺旋部512とからなっている点も同じである。以下,巻き取りプーリー70,75の巻き取りスレッドおよびその部分についても,巻き取りプーリー40,45の巻き取りスレッド51,52およびその部分と同様の番号で言及する。
【0056】
巻き取りプーリー40,45と巻き取りプーリー70,75との違いは,巻き取りスレッドの巻き取り半径にある。第1の形態の巻き取りプーリー40,45では,2本の巻き取りスレッド51,52がともに,図10に示す同じ半径分布を有していた。しかし本形態の巻き取りプーリー70,75では,2本の巻き取りスレッド51,52の半径分布は同じではない。すなわち巻き取りプーリー70,75では,巻き取りスレッド51,52間で半径が異なる差径区間がある。
【0057】
巻き取りプーリー70,75における巻き取りスレッド51,52の半径分布を図15のグラフにより説明する。図15においても図10と同様に,巻き取りプーリー70,75の外形の半径は12mmであることとしている。図15では,巻き取りスレッド51,52間に巻き取り半径の差がある差径区間は区間B1である。すなわち,巻き取りスレッド51,52の螺旋部512,522のうち,傾斜区間B2ではない平坦な区間515,525である。これは,押し上げ板15の高さが0mmから20mmまでの区間である。この区間においては,ワイヤー132,134を巻き取る巻き取りスレッド52の方が,ワイヤー31,33を巻き取る巻き取りスレッド51よりも大径なのである。一方,螺旋部512,522のうち傾斜区間514(B2)や,リング部511,521(B3)においては,巻き取りスレッド51,52間に巻き取り半径の違いはない。
【0058】
以上が第2の形態の第1の形態に対する相違点である。かかる第2の形態では,押し上げ板15の昇降時の姿勢に,第1の形態の場合とは異なる特徴がある。まず,下限位置から上昇していくときの姿勢を説明する。押し上げ板15の上昇は前述のように,用紙トレイ12を図2の押し込み状態にしたときに,モーター50の駆動力によって行われる。押し上げ板15が下限位置にあるときには図14に示したように,ワイヤー132,134に弛みVがあるが,押し上げ板15自体は水平である。なお,図14は押し上げ板15に用紙Pがフル積載されている状況を示しているものとする。
【0059】
巻き取りプーリー70,75によるワイヤー132,134,31,33の巻き取りが開始されると,押し上げ板15の上昇も開始する。しかしワイヤー132,134の弛みVがなくなるまでは,押し上げ板15のうちフック152,154側の端部は上昇しない。しかしフック151,153側の端部は,その間も上昇していく。弛みVが丁度なくなった時点での状況を図16に示す。この状況では,フック152,154側の端部は用紙トレイ12に未だ接しているが,フック151,153側の端部は用紙トレイ12から離れている。このため押し上げ板15は傾斜している。以後,この傾斜状態のままで押し上げ板15は上昇していく。
【0060】
しかしながら,この時点で巻き取りプーリー70,75の巻き取りスレッド51,52においてワイヤー132,134,31,33の巻き取りを行っているのは,図15に示した区間B1(515,525),すなわち差径区間である。このため,巻き取りスレッド51,52間で巻き取りの有効半径に差がある。ワイヤー132,134を巻き取る巻き取りスレッド52の方がより大径である。したがって,ワイヤー132,134の巻き取り速度の方がワイヤー31,33の巻き取り速度より速い。このことは,押し上げ板15において,フック152,154の上昇速度が,フック151,153の上昇速度より速いことを意味する。このため,図16の状態以後,押し上げ板15の上昇とともにその傾斜は解消していく。
【0061】
押し上げ板15が丁度水平になった時点での状況を図17に示す。この状況ではむろん,押し上げ板15におけるフック152,154の側の端部とフック151,153の側の端部との高さが同じである。この状況での押し上げ板15の高さは,図15で言えば区間B1と区間B2との境目に相当する。つまり,巻き取りスレッド51,52間で巻き取り半径に差がある差径区間による巻き取りが終了したところで,押し上げ板15が丁度水平になるようにされているのである。したがって図17の状態以後,押し上げ板15は水平を維持したまま上昇していく。
【0062】
最上の用紙Pがピックアップローラー3に接触するまで上昇した時点での状況を図18に示す。むろん図18での押し上げ板15は,図17中における位置より高い位置にある。この状態にて用紙Pの供給が可能である。そしてこの状態では,押し上げ板15が水平になっているので,ピックアップローラー3等による用紙Pの送り出しは通常通りに行われる。なお,用紙Pの積載量がフル積載より少ない場合には,図18に示した状態よりさらに上方まで押し上げ板15が水平のまま上昇する。なお,フル積載時での用紙Pの送出高さと,押し上げ板15が丁度水平になる高さとが同じである設定であってもよい。そのような設定の場合の図17および図18の状態に相当する図を図19に示す。
【0063】
続いて押し上げ板15が下限位置へ向かって下降していくときの姿勢を説明する。押し上げ板15の下降は前述のように,用紙トレイ12を図3に示した引き出し状態とすると,押し上げ板15およびその上の用紙Pの自重によって起こる。下降開始から前述の図17に示した高さまでの間では,押し上げ板15は水平のままである。
【0064】
押し上げ板15がここからさらに下降すると,前述の差径区間B1(図15,515,525)からワイヤー132,134,31,33が巻き出される。したがって,ワイヤー132,134の巻き出し速度の方がワイヤー31,33の巻き出し速度より速い。このことは,押し上げ板15において,フック152,154側の端部の下降速度が,フック151,153側の端部の下降速度より速いことを意味する。このため,押し上げ板15が傾斜する。むろん,フック152,154側の端部の方がフック151,153側の端部より低い。このように押し上げ板15に傾斜が付いた状態で押し上げ板15の着地に至る。
【0065】
まず図20に示すように,フック152,154側の端部の方が先に用紙トレイ12に着地する。図20の状態は,前出の図16の状態と同じである。その後にフック151,153側の端部も着地して図14に示した状態と同じ状態になる。すなわち,押し上げ板15の全体が同時に着地するのではない。このため,衝撃力が緩和されている。着地時の衝撃が時間的に分散されるからである。このことと,第1の形態で述べたダンパー48の制動力Uの立ち上がりの効果とにより,着地時の衝撃が大幅に緩和されている。
【0066】
なお上記において図15では,差径区間が,押し上げ板15の高さにおける下限側に寄せて配置されていた。しかしこのことは必須ではない。例えば図21に示すようにしてもよい。図21の例では,区間B1における巻き取り半径には巻き取りスレッド51,52間で差がない。その替わりに,傾斜区間B2の位置に違いがある。巻き取りスレッド52の傾斜区間B2(524)は,巻き取りスレッド51の傾斜区間B2(514)より少し,押し上げ板15の高さにして低い位置にある。
【0067】
このため,押し上げ板15の上昇時で考えると,ワイヤー132,134を巻き取る巻き取りスレッド52の方が,ワイヤー31,33を巻き取る巻き取りスレッド51より先に,傾斜区間B2を迎える。下降時には逆に,巻き取りスレッド51の方が巻き取りスレッド52より先に傾斜区間B2を迎える。したがって,ワイヤー132,134,31,33の巻き取り,巻き出しが傾斜区間B2によって行われているときには,巻き取りスレッド52の巻き取り半径の方が巻き取りスレッド51の巻き取り半径より大きい。
【0068】
図21の例では,傾斜区間B2(514)の上限側の位置が図17に示した位置,すなわち押し上げ板15が上昇時に丁度水平になる位置になる。よって,図18に示した位置,すなわちフル積載時の用紙送出高さは,図21中では傾斜区間B2(514)の上限と同じ位置かまたはそれよりさらに上方にあることが望ましい。
【0069】
むろん,図21に示した半径分布もまた一例である。要は,上昇時にフル積載時の用紙送出高さに達するまでに押し上げ板15が水平になればよい。例えば,図10中の区間B1と区間B2との全体が差径区間になっているような半径分布であってもよい。
【0070】
また,4本のワイヤーのうち弛みVのあるものとないものの配置についても変更可能である。すなわち,図14は,図4中のワイヤー31〜34のうちワイヤー32,34を弛みVのあるものとしてワイヤー31,33を弛みVのないものとしたものであるが,これに限らない。逆にワイヤー31,33に弛みVがありワイヤー32,34には弛みがない構成であってもよい。あるいは,ワイヤー33,34に弛みVがありワイヤー31,32に弛みがない構成や,ワイヤー31,32に弛みVがありワイヤー33,34に弛みがない構成であってもよい。いずれの場合でもむろん上昇時には,弛みVのあるワイヤーが弛みのないワイヤーより速く巻き取られる。
【0071】
さらには,図14の状態で4本のワイヤーすべてに弛みがある構成であってもよい。ただしその場合には,4本のワイヤーのうち2本のワイヤーは弛み量が多く,残り2本は弛み量が少ないものでなければならない。その場合,弛み量が同じのワイヤーが押し上げ板15に対して対角線状に配置されていてはいけない。
【0072】
また,ここまでで説明したものでは,4本のワイヤーにより押し上げ板15の全体を吊り上げる構成になっている。しかしこのことも必須ではない。まず,押し上げ板15の全体を吊り上げる構成であるためには,ワイヤーの最少本数は3本である。ワイヤーの本数の上限は特にない。押し上げ板15の全体を吊り上げること自体も必須ではない。押し上げ板15を揺動させるようにして,その一辺のみを2本のワイヤーで吊り上げる構成でもよい。
【0073】
以上詳細に説明したように本実施の形態では,巻き取りプーリーの巻き取りスレッドに,巻き取り半径の分布を設けている。これにより,押し上げ板15の下降移動に対する制動力が,下限着地の少し前に立ち上がるようにしている。これにより着地時の衝撃を緩和している。また第2の形態では,着地時に押し上げ板15が傾斜するようにして,着地時の衝撃を時間的に分散させることで衝撃をさらに緩和している。こうして,押し上げ板15の速やかな下降と衝撃防止とを,簡単な構成で達成した給紙装置およびそれを用いた画像形成装置が実現されている。
【0074】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば画像形成部102は,図示したようなタンデム形フルカラータイプのものに限らない。4サイクル式でもよいしモノクロでもよい。画像形成自体の方式も,トナーを用いるものに限らず他の方式(例えば液状の色材を用いる方式)でもよい。画像形成装置100自体としても,コピー機でもプリンターでもよい。公衆回線との送受信機能を備えたものでもよい。
【符号の説明】
【0075】
3 ピックアップローラー(送出ローラー)
15 押し上げ板
112 給紙部
31,33 ワイヤー(第2ワイヤー)
32,34 ワイヤー
40,45 巻き取りプーリー
48 ダンパー
51 巻き取りスレッド(第2巻き取り形状部)
52 巻き取りスレッド(第1巻き取り形状部)
70,75 巻き取りプーリー
102 画像形成部
132,134 ワイヤー(第1ワイヤー)
B1 低位巻き取り部(差径区間)
B2 中位巻き取り部(差径区間)
B3 高位巻き取り部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を送出する送出ローラーと,送出する用紙を前記送出ローラーによる送出高さまで押し上げる押し上げ板とを有する給紙装置において,
前記押し上げ板を引き上げるワイヤーと,
前記押し上げ板を引き上げるために前記ワイヤーを巻き取る巻き取り形状部が形成された巻き取り部材とを有し,
前記巻き取り形状部には,
前記押し上げ板がその押し上げ高さにおける高位側にある間に前記ワイヤーを巻き取る高位巻き取り部と,
前記押し上げ板がその押し上げ高さにおける低位側にある間に前記ワイヤーを巻き取る低位巻き取り部とが設けられており,
前記高位巻き取り部における巻き取り半径が,前記低位巻き取り部における巻き取り半径より大きいことを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
請求項1に記載の給紙装置において,
前記巻き取り形状部には,前記高位巻き取り部と前記低位巻き取り部との間に,前記押し上げ板がその押し上げ高さにおける高位側と低位側との中間の領域にある間に前記ワイヤーを巻き取る中位巻き取り部が設けられており,
前記中位巻き取り部の巻き取り半径は,前記高位巻き取り部側から前記低位巻き取り部側へ向かって小さくなっていることを特徴とする給紙装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の給紙装置において,
前記巻き取り形状部および前記ワイヤーとして,
前記押し上げ板の第1の箇所を引き上げる第1巻き取り形状部および第1ワイヤーと,
前記押し上げ板の第2の箇所を引き上げる第2巻き取り形状部および第2ワイヤーとの2組を有し,
前記第1巻き取り形状部と第2巻き取り形状部とは一体的に回転するものであり,
前記第1ワイヤーおよび前記第2ワイヤーの長さは,前記押し上げ板がその押し上げ高さにおける最低位置にあるときにおける前記第1ワイヤーの弛みが前記第2ワイヤーの弛みより多くなるように設定されており,
前記第1巻き取り形状部および第2巻き取り形状部には,前記押し上げ板がその押し上げ高さにおける最低位置と最高位置との間の中間位置に相当する巻き取り位置より低位置側の領域の少なくとも一部に,対応する巻き取り位置同士で前記第1巻き取り形状部の方が前記第2巻き取り形状部より大径となっている差径区間が設けられており,
前記第1巻き取り形状部および第2巻き取り形状部は,前記差径区間以外の区間では,対応する巻き取り位置同士で互いに同径であり,
前記差径区間は,前記押し上げ板がその押し上げ高さにおける前記最低位置から前記中間位置まで上昇する間に,前記押し上げ板における前記第1ワイヤーの取り付け箇所側の端部と前記第2ワイヤーの取り付け箇所側の端部とを同じ高さにするものであることを特徴とする給紙装置。
【請求項4】
請求項3に記載の給紙装置において,
前記中間位置は,前記押し上げ板に最大許容積載量の用紙が載置されている状態での送出高さ以下の位置であることを特徴とする給紙装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1つに記載の給紙装置において,
前記押し上げ板の落下時における前記巻き取り部材の動きを制動する制動装置を有することを特徴とする給紙装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1つに記載の給紙装置と,
前記給紙装置から供給された用紙に画像を形成する画像形成部とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
用紙を送出する送出ローラーと,送出する用紙を前記送出ローラーによる送出高さまで押し上げる押し上げ板とを有する給紙装置において,
前記押し上げ板を引き上げるワイヤーと,
前記押し上げ板を引き上げるために前記ワイヤーを巻き取る巻き取り形状部が形成された巻き取り部材とを有し,
前記巻き取り形状部には,
前記押し上げ板がその押し上げ高さにおける高位側にある間に前記ワイヤーを巻き取る高位巻き取り部と,
前記押し上げ板がその押し上げ高さにおける低位側にある間に前記ワイヤーを巻き取る低位巻き取り部とが設けられており,
前記高位巻き取り部における巻き取り半径が,前記低位巻き取り部における巻き取り半径より大きいことを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
請求項1に記載の給紙装置において,
前記巻き取り形状部には,前記高位巻き取り部と前記低位巻き取り部との間に,前記押し上げ板がその押し上げ高さにおける高位側と低位側との中間の領域にある間に前記ワイヤーを巻き取る中位巻き取り部が設けられており,
前記中位巻き取り部の巻き取り半径は,前記高位巻き取り部側から前記低位巻き取り部側へ向かって小さくなっていることを特徴とする給紙装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の給紙装置において,
前記巻き取り形状部および前記ワイヤーとして,
前記押し上げ板の第1の箇所を引き上げる第1巻き取り形状部および第1ワイヤーと,
前記押し上げ板の第2の箇所を引き上げる第2巻き取り形状部および第2ワイヤーとの2組を有し,
前記第1巻き取り形状部と第2巻き取り形状部とは一体的に回転するものであり,
前記第1ワイヤーおよび前記第2ワイヤーの長さは,前記押し上げ板がその押し上げ高さにおける最低位置にあるときにおける前記第1ワイヤーの弛みが前記第2ワイヤーの弛みより多くなるように設定されており,
前記第1巻き取り形状部および第2巻き取り形状部には,前記押し上げ板がその押し上げ高さにおける最低位置と最高位置との間の中間位置に相当する巻き取り位置より低位置側の領域の少なくとも一部に,対応する巻き取り位置同士で前記第1巻き取り形状部の方が前記第2巻き取り形状部より大径となっている差径区間が設けられており,
前記第1巻き取り形状部および第2巻き取り形状部は,前記差径区間以外の区間では,対応する巻き取り位置同士で互いに同径であり,
前記差径区間は,前記押し上げ板がその押し上げ高さにおける前記最低位置から前記中間位置まで上昇する間に,前記押し上げ板における前記第1ワイヤーの取り付け箇所側の端部と前記第2ワイヤーの取り付け箇所側の端部とを同じ高さにするものであることを特徴とする給紙装置。
【請求項4】
請求項3に記載の給紙装置において,
前記中間位置は,前記押し上げ板に最大許容積載量の用紙が載置されている状態での送出高さ以下の位置であることを特徴とする給紙装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1つに記載の給紙装置において,
前記押し上げ板の落下時における前記巻き取り部材の動きを制動する制動装置を有することを特徴とする給紙装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1つに記載の給紙装置と,
前記給紙装置から供給された用紙に画像を形成する画像形成部とを有することを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−63806(P2013−63806A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201733(P2011−201733)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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