給紙装置及び画像形成装置
【課題】手差し給紙部23の存在に拘らずシートSの収納量を増やしつつ、この手差し給紙部23を使用できる構造を実現する。
【解決手段】スモールデッキ31を手差し給紙部23と対向し、且つ、開放状態の手差しトレイ24と干渉しない位置に配置する。また、スモールデッキ31から画像形成装置本体11にシートSを搬送するシート搬送路32を、開放状態の手差しトレイ24と干渉しない位置に配置する。これにより、画像形成装置本体11にサイドペーパーデッキ12を装着した状態でも、手差しトレイ24の開閉が可能となり、シートSの収納量を増やしつつ、手差し給紙部23を使用可能である。
【解決手段】スモールデッキ31を手差し給紙部23と対向し、且つ、開放状態の手差しトレイ24と干渉しない位置に配置する。また、スモールデッキ31から画像形成装置本体11にシートSを搬送するシート搬送路32を、開放状態の手差しトレイ24と干渉しない位置に配置する。これにより、画像形成装置本体11にサイドペーパーデッキ12を装着した状態でも、手差しトレイ24の開閉が可能となり、シートSの収納量を増やしつつ、手差し給紙部23を使用可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ又はファックス等の画像形成装置本体にシートを供給可能な給紙装置、及び、このような給紙装置を画像形成装置本体に装着した画像形成装置に関する。より具体的には、画像形成装置本体に対してオプション設定可能な大容量シート収納装置としての給紙装置、及び、このような給紙装置を画像形成装置本体に装着した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機、プリンタ又はファックス等の画像形成装置本体においては、設置スペースの削減を図る為に、装置の小型化が望まれている。一方、装置の画像形成の高速化に伴い、大容量の画像を短時間の内に出力可能になった昨今、シートの補給の煩わしさを除く為にシート収納装置等の給紙装置の大容量化を望まれている。このような多様化するユーザーニーズを満足させる為には、小型化された画像形成装置本体に対して、大容量の給紙装置をオプション設置可能な商品構成にしておくことが好ましい。
【0003】
このように、市場でオプション設置される大容量シート収納装置としては、画像形成装置本体の横に設置されるサイドペーパーデッキが従来から知られている。図9ないし11は、画像形成装置本体1の横に給紙装置としての大容量シート収納装置であるサイドペーパーデッキ2を装着した画像形成装置3の、従来構造の第1例を示している。このような画像形成装置3は、画像形成装置本体1とは別に、サイドペーパーデッキ2に収納されたシートを画像形成装置本体1内に給紙可能である。これにより、シートの補給の煩わしさを軽減できる。
【0004】
但し、このようなサイドペーパーデッキ2は、上面2aの高さを画像形成装置本体1が備える手差し給紙ユニット4よりも低い位置とする必要がある。即ち、手差し給紙ユニット4は、シートを手差しで画像形成装置本体1に供給する手差し給紙部4aと、この手差し給紙部4aを覆う状態と、手差し給紙部4aを開放してシートを積載する開放状態との間を回動可能に支持された手差しトレイ4bとを有する。したがって、サイドペーパーデッキ2の上面2aの位置が高すぎると手差しトレイ4bを開放することができず、手差しでのシート供給を行えなくなる。このため、サイドペーパーデッキ2の上面2aの高さは、給紙ユニット4よりも低い位置とする必要がある。このように、手差し給紙ユニット4を考慮した場合、サイドペーパーデッキ2は、その高さが制限されるため、この高さ制限により最大用紙収納枚数が決められてしまう。
【0005】
一方、画像形成装置本体及びサイドペーパーデッキの占有寸法を変更せずに、サイドペーパーデッキに収納するシートの枚数を増やすべく、図12に示すように、サイドペーパーデッキ2Aを多段化する構造が知られている(特許文献1参照)。図12に示す従来構造の第2例のサイドペーパーデッキ2Aは、ベースデッキ5の上方にデッキ6a、6bを重ねて配置することにより多段化し、シートの収納枚数を増やしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3080249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図12に示したサイドペーパーデッキ2Aのように、ベースデッキ5の上方にデッキ6a、6bを配置して多段デッキ化した場合、次のような問題点がある。即ち、サイドペーパーデッキ2Aを画像形成装置本体1Aに装着すると、前述の図9ないし図11に示したような手差し給紙ユニットの手差しトレイの開閉ができなくなる。このため、この構造の場合、画像形成装置本体1Aに手差し給紙ユニットを設けることができない。このため、図12に示した構造の場合、手差し給紙ユニット7をサイドペーパーデッキ2Aの最上段に設けている。
【0008】
しかし、このように手差し給紙ユニット7をサイドペーパーデッキ2Aに設けた場合、オプションでサイドペーパーデッキ2Aを選択しないと、画像形成装置本体1Aには手差し給紙ユニットが存在しないため、手差し給紙を行えなくなってしまう。したがって、この構造の場合、予め手差し給紙ユニットをオプション設定で用意して、サイドペーパーデッキ2Aを装着しないユーザーには、別途手差し供給ユニットをオプションで選択してもらう必要が生じる。
【0009】
なお、図9ないし図11に示した画像形成装置3の場合、手差しトレイ4bにラージサイズのシートSを積載する際に、手差しトレイ4b内に収納されているサブトレイ4cを引き出して使用する。しかし、サブトレイ4cは、手差しトレイ4b内に収納されるため、手差しトレイに4bより幅が小さくなることが避けれらない。このため、図11に示すように、ラージサイズのシートSを手差しトレイ4b及びサブトレイ4c上に積載した場合、シートSの一部(シートSの搬送方向後端部S1)がサブトレイ4cからはみ出してしまう。そして、シートSを積載したまま放置すると、シートSの一部が下方に垂れ下がり癖が付いてしまう場合がある。このようにシートSに癖が付いてしまうと、シートの供給搬送性が安定しない。
【0010】
そこで、本発明は、上述のような事情に鑑み、手差し給紙部などの給紙部の存在に拘らずシートの収納量を増やしつつ、この給紙部を使用できる給紙構造を実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、シートを供給する給紙部を覆う状態と、該給紙部を開放してシートを積載する開放状態との間を回動可能に支持されたトレイを有する画像形成装置本体に着脱可能で、該画像形成装置本体にシートを供給可能な給紙装置において、前記画像形成装置本体に装着した状態で、前記給紙部と対向し、且つ、開放状態の前記トレイと干渉しない位置に配置されてシートを収納可能なシート収納部と、開放状態の前記トレイと干渉しない位置に配置され、前記シート収納部から前記画像形成装置本体にシートを搬送するシート搬送路と、を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、シート収納部を給紙部と対向して配置しているため、この給紙部の存在に拘らず、シートの収納量を増やすことができる。また、シート収納部及びシート搬送路を、開放状態のトレイと干渉しない位置に配置しているため、このトレイの開閉を可能として給紙部を使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成断面図。
【図2】同じく画像形成装置の斜視図。
【図3】図1の右上方部を拡大して示す図。
【図4】手差しトレイの開放状態を、一部を省略して示す図2と同様の図。
【図5】手差しトレイの開放状態を示す、図3と同様の図。
【図6】手差しトレイにシートを積載した状態を示す、図4と同様の図。
【図7】シート搬送路の蓋を開いた状態を示す、給紙装置の上部断面図。
【図8】制御手段のブロック図。
【図9】従来の画像形成装置の第1例を、手差しトレイの開放状態で示す正面図。
【図10】同じく斜視図。
【図11】同じく、手差しトレイにラージサイズのシートを設置した状態を示す斜視図。
【図12】従来の画像形成装置の第2例を示す概略構成断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態の1例について、図1ないし図8を用いて説明する。まず、図1ないし図3により、本実施形態の画像形成装置本体11に給紙装置であるサイドペーパーデッキ12を装着した画像形成装置13の概略を説明する。複写機などの画像形成装置本体11は、画像形成するための作像部14、この作像部14に供給するシートを収納するための複数のシートカセット15やシート給送路16などを有するシート給送部17などを備える。また、シート給送部17は、シートSの斜行を補正し、作像部14の作像動作とタイミングを合わせてシートSを送り出すためのレジストローラ対18を有する。また、レジストローラ対18のシート搬送方向上流には、後述するように、サイドペーパーデッキ12から供給されるシートSを、レジストローラ対18に搬送するレジ前ローラ対19が配置されている。このような各ローラ対18、19は、それぞれモータ(レジストモータ18a、レジ前モータ19a、図8参照)により駆動される。これら各モータは、例えば、ステップ数により回転数が制御できるステッピングモータである。
【0015】
また、画像形成装置本体11は、上述のようなシート給送部17とは別に、手差し給紙ユニット20を備える。手差し給紙ユニット20は、シートを手差しで供給するための開口部21及び給紙ローラ対22を有する手差し給紙部23と、この手差し給紙部23に隣接して設けられた手差しトレイ24とを備える。この手差しトレイ24は、画像形成装置本体11のハウジング11aの側面に、開口部21の下方に設けられた支軸21aを中心として回動可能に支持されている。そして、手差し給紙部21を覆う状態と、手差し給紙部23を開放して手差しのシートを積載する開放状態(図4ないし図6参照)との間を回動可能としている。
【0016】
手差しトレイ24により手差し給紙部23を覆う状態とする場合には、例えば、手差しトレイ24の不図示の係合部と、ハウジング11a側の不図示の被係合部とを係合させる。これにより、ハウジング11aの側面に設けた凹部11b内に手差しトレイ24を収納する。一方、手差し給紙部23を開放状態とする場合には、これら係合部と被係合部との係合を解除して、手差しトレイ24を支軸21aを中心に回動させる。手差しトレイ24のハウジング11aの側面に対する傾斜角度は、不図示のストッパにより所定の角度に保持される。
【0017】
手差し給紙ユニット20から手差しでシートを供給する場合には、手差しトレイ24を開放状態とし、シートを手差しトレイ24に積載しつつ、シートの先端を開口部21から挿入し、給紙ローラ対22に突き当てる。この状態で画像形成を開始すると、モータ22a(図8参照)により給紙ローラ対22が駆動され、シートを引き込み、レジストローラ対18まで搬送する。そして、上述した場合と同様に、レジストローラ対18により斜行が補正され、シートに画像が形成される。
【0018】
また、画像形成装置本体11の手差し給紙ユニット20が存在する側の側部には、画像形成装置本体11内の作像部14に、シートSを供給するためのサイドペーパーデッキ12が着脱可能に設けられている。本実施形態は、画像形成装置本体11のシート給送部15に加えて、サイドペーパーデッキ12を設けることにより、大量のシートを供給可能とした構造である。
【0019】
本実施形態のサイドペーパーデッキ12は、下段側にスモールサイズやラージサイズのシートを収納可能なラージデッキ30を、上段側にスモールサイズのシートを収納可能なスモールデッキ31を、それぞれ配置している。本実施形態では、ラージデッキ30がラージサイズシート収納部に、スモールデッキ31がシート収納部にそれぞれ対応する。なお、スモールサイズのシートとは、例えば、図1の左右方向の幅がA4R(A4Rの幅の長さは210mm。)以下となるようのサイズを言い、ラージサイズのシートとは、同じく幅がA4Rよりも大きいようなサイズ、例えばB4やA3などのサイズを言う。但し、このようなサイズの違いは、適宜変更可能で、例えば、スモールデッキ31にB4サイズのシートを収納するようにしても良い。要は、ラージデッキ30は、スモールデッキ31に収納可能なシートよりも大きなシートを収納可能としたものである。
【0020】
このようなラージデッキ30及びスモールデッキ31は、それぞれ、デッキ部30a、31aと、給紙部30b、31bと、給紙搬送ローラ対30c、31cとを備えている。このうちのデッキ部30a、31aは、シートを収納して昇降可能に構成されている。また、給紙部30b、31bは、デッキ部30a、31aに収納されているシートSを一枚ずつ分離して送り出すものである。また、給紙搬送ローラ対30c、31cは、給紙部30b、31bから送り出されたシートSを画像形成装置本体11に搬送するものである。なお、給紙部30b、31bは、通常のピックアップローラPと、フィードローラFと、逆転するリタードローラRとからなるリタードローラ分離方式の構成となっている。また、後述するように、スモールデッキ31から給紙搬送ローラ対31cにより搬送されるシートSは、シート搬送路32を通じて、このシート搬送路32を構成する搬送ローラ対32a、32bにより画像形成装置本体11に搬送される。
【0021】
また、ラージデッキ30の給紙部30bの各ローラ、及び、給紙搬送ローラ対30cは、ラージデッキ用給紙モータ(給紙DCモータ40、図8参照)により駆動される。一方、スモールデッキ31の給紙部31bの各ローラ、及び、給紙搬送ローラ対31c、搬送ローラ対32a、32bは、スモールデッキ用給紙モータ(給紙DCモータ40、図8参照)により駆動される。なお、ラージデッキ用給紙モータとスモールデッキ用給紙モータとは、それぞれ別の給紙DCモータ40により駆動している。但し、例えば複数のギアなどにより構成される動力伝達機構を介して、単一の給紙DCモータ40によりそれぞれ駆動可能としても良い。
【0022】
また、給紙部30b、31bは、このような給紙DCモータ40による駆動をそれぞれ給紙クラッチ41(図8参照)によりON/OFF制御される。また、給紙部30b、31bのピックアップローラPは、それぞれ給紙ソレノイド42(図8参照)により昇降されて、デッキ部30a、31aに収納されているシートSの上面に当接又は離間する。
【0023】
また、給紙搬送ローラ対30c、31c、搬送ローラ対32a、32bは、給紙DCモータ40による駆動をそれぞれ搬送クラッチ43(図8参照)によりON/OFF制御される。また、給紙搬送ローラ対30cの下流は、画像形成装置本体11側の給紙口51に接続され、ラージデッキ30から搬送されるシートを給紙口51を通じて画像形成装置本体11内に搬送する。一方、搬送ローラ対32bの下流は、給紙口51に接続され、スモールデッキ31から搬送されるシートを給紙口51を通じて画像形成装置本体11内に搬送される。本実施形態の場合、ラージデッキ30からのシートを搬送する搬送路33の下流端と、スモールデッキ31からのシートを搬送するシート搬送路32の下流端とを、同一の給紙口51内に配置している。そして、何れのデッキからのシートも、この給紙口51を通じて画像形成装置本体11内に搬送するようにしている。但し、各デッキからのシートが給紙される給紙口は別々に設けても良い。
【0024】
このようなサイドペーパーデッキ12の基本的な動作を簡単に説明する。まず、画像形成装置本体11からラージデッキ30による給紙スタートの命令を受けると、ラージデッキ用給紙モータがスタートする。この際、給紙センサ44(図8参照)でシートSの位置を認識し、シート位置に合わせて給紙クラッチ41、搬送クラッチ43、給紙ソレノイド42をONする。この動作により給紙部30b及び給紙搬送ローラ対30cが作動し、給紙動作を開始され、シートSが給紙口51から画像形成装置本体11内に搬送される。給紙搬送ローラ対30cに給送されたシートSが引抜きセンサ30dをONすると、シートSを一定距離搬送した後、シート間距離を調整するためにシートSの搬送を一旦停止させる。そして、所定紙間距離を調整する時間停止させた後、再度搬送を開始し、シートを画像形成装置本体11内のレジ前ローラ対19に搬送する。
【0025】
一方、画像形成装置本体11からスモールデッキ31により給紙スタートの命令を受けると、スモールデッキ用給紙モータがスタートする。この際、不図示の給紙センサでシートSの位置を認識し、シート位置に合わせて給紙クラッチ、搬送クラッチ、給紙ソレノイドをONする。この動作により給紙部31b、給紙搬送ローラ対31c、搬送ローラ対32a、32bが作動し、給紙動作を開始される。給紙搬送ローラ対31cに給送されたシートSが引抜きセンサ31dをONすると、シートSを一定距離搬送した後、シート間距離を調整するためにシートSの搬送を一旦停止させる。そして、所定紙間距離を調整する時間停止させた後、再度搬送を開始し、搬送ローラ対32a、32bを駆動して、シートSをシート搬送路32及び給紙口51を通じて画像形成装置本体11内のレジ前ローラ対19に搬送する。
【0026】
上述のように、ラージデッキ30又はスモールデッキ31から画像形成装置本体11内に搬送されたシートSが、シート給送路16との合流部に設けられた合流センサ45(図8参照)を通過すると、レジ前ローラ対19が駆動する。そして、レジ前ローラ対19によって更に搬送され、シートSがレジセンサ46(図8参照)をONした後、レジストローラ対18にシート先端を押し当て、シートSをループ形状にして搬送を停止する。この状態で所定時間停止した後、レジストローラ対18を駆動して作像部14へ向かってシートSを搬送する。複数枚を連続搬送する場合は、この動作を任意のタイミングで繰り返し行う。
【0027】
なお、上述のような各センサ30d、31d、44〜46による検知や、各モータ18a、19a、40、各クラッチ41、43、ソレノイド42の駆動制御は、制御手段であるCPUにより行われる。即ち、図8に示すように、各センサ及び各モータ、各クラッチ、ソレノイドは、それぞれCPUに接続されており、CPUによって各センサからの検知信号等に基づいて各モータ、各クラッチ、ソレノイドがそれぞれ制御される。
【0028】
次に、サイドペーパーデッキ12について、詳しく説明する。まず、図1ないし図3に示す様に、サイドペーパーデッキ12は、下段にラージデッキ30、その上段にスモールデッキ31を配置して多段デッキ化している。
【0029】
このうちのスモールデッキ31は、サイドペーパーデッキ12を画像形成装置本体11に装着した状態で、手差し給紙部23と対向し、且つ、開放状態の手差しトレイ24と干渉しない位置に配置される。言い換えれば、スモールデッキ31は、手差し給紙部23とこの手差し給紙部23への給紙方向に関して重畳し、且つ、所定の空間50を介した位置に配置される。ここで、シートSの手差し給紙部23への給紙方向とは、給紙ローラ対22によるシート搬送方向であり、図1、3、5、7の左右方向である。したがって、スモールデッキ31は、手差し給紙部23と図1、3、5、7の左右方向に関して対向し、画像形成装置本体11に対しこの左右方向に離隔した位置に配置される。
【0030】
また、手差しトレイ24は、開放状態では図4、5に示すような位置まで傾斜した状態となる。スモールデッキ31は、上述のように手差し給紙部23と対向した位置に配置されるため、手差しトレイ24の開放状態を考慮しなければ、配置位置によっては、この手差しトレイ24の開放時に干渉し、この手差しトレイ24を開放状態にできない可能性がある。これに対して本実施形態では、上述のように、スモールデッキ31を開放状態の手差しトレイ24と干渉しないように、手差し給紙部23から離して配置している。したがって、スモールデッキ31と手差し給紙部23との間には、シートが収納されない上述の空間50が存在し、この空間50内に手差しトレイ24が開放時に進入可能としている。
【0031】
一方、ラージデッキ30は、手差し給紙部23及びスモールデッキ31よりも、図1、3、5、7の下方に配置される。また、ラージデッキ30は、スモールデッキ31よりも画像形成装置本体側に突出するように配置されている。即ち、ラージデッキ30は、手差し給紙部23よりも下方に配置されるため、画像形成装置本体11に近接した位置に配置されても、手差しトレイ24の開放時にこの手差しトレイ24と干渉することはない。したがって、ラージデッキ30は、スモールデッキ31よりも画像形成装置本体11側に近接させて配置できる。このため、本実施形態では、ラージデッキ30を画像形成装置本体11の左右方向に近接した位置に配置し、このラージデッキ30の上方に、手差し給紙部23との間に空間50を介してスモールデッキ31を配置している。
【0032】
また、本実施形態の場合、スモールデッキ31と手差し給紙部23との間の空間50を通過するように、スモールデッキ31の給紙部31bと画像形成装置本体11側の給紙口51との間を接続する、シート搬送路32を配置している。このシート搬送路32は、1対のガイド板32c、32dを備え、これら両ガイド板32c、32dの間でシートを搬送可能である。即ち、上述したように、スモールデッキ31から給紙部31bによりピックアップされたシートは、両ガイド板32c、32dとの間に送られる。そして、このシートは、両ガイド板32c、32dの搬送方向途中に配置された搬送ローラ対32a、32bにより、両ガイド板32c、32dの間を搬送される。
【0033】
また、このシート搬送路32は、開放状態の手差しトレイ24と干渉しない位置に配置される。即ち、図4、5に示すように、手差しトレイ24が開放され、所定の角度で保持された開放状態で、手差しトレイ24がシート搬送路32のガイド板32c、32dや搬送ローラ対32a、32bと干渉しないように、シート搬送路32を設置している。本実施形態の場合、シート搬送路32は、手差しトレイ24との干渉を防止しつつ、給紙部31bと給紙口51との間の最短距離を通るように配置されている。これにより、シート搬送路32による搬送経路を短くでき、搬送ローラの数を少なくできるため、低コスト化を図れる。また、シート搬送路32と給紙部31b若しくは給紙口51との間の湾曲部の曲率を小さくできるため、シートのジャムが発生しにくくなる。
【0034】
但し、本実施形態では、シート搬送路32の途中でシートのジャムが発生した場合に供えて、両ガイド板32c、32dのうち、手差し給紙部側のガイド板32cの一部に、開閉可能な蓋52a、52bを設けている。即ち、ガイド板32cの一部を蓋52a、52bにより開閉可能としている。このために、ガイド板32cの搬送ローラ対32aの上流と下流とにそれぞれ開口55a、55bを設け、これら各開口55a、55bを各蓋52a、52bによりそれぞれ開閉可能としている。
【0035】
また、これら各蓋52a、52bは、ガイド板32cの開口55a、55bのそれぞれ上流に固定された軸53a、53bに基端部を回転可能に支持している。そして、これら各軸53a、53bを中心として、図7に示すように、各蓋52a、52bを空間50方向に開放可能としている。また、先端部に突起54a、54bを設け、これら各突起54a、54bをガイド板32cの開口55a、55bの下流に係止可能とし、各突起54a、54bを係止させた状態で、開口55a、55bを蓋52a、52bにより塞ぐようにしている。また、各突起54a、54bは、指などで摘んだり指などを引っ掛けたりして、各蓋52a、52bを開放し易くするものでもある。
【0036】
また、本実施形態の場合、後述するように、空間50の上方はカバー60により覆われるが、この空間50の手差し給紙部23側は開口したままとしている。即ち、カバーなどを設けていない。したがって、空間50の手差し給紙部23側は、サイドペーパーデッキ12を画像形成装置本体11に装着すると、画像形成装置本体11により覆われるが、離脱させると、開口した状態となる。但し、カバー60の回動と干渉しないように、空間50の手差し給紙部23側を開閉自在なカバーを設けることもできる。
【0037】
この様に構成したことで、上段のスモールデッキ31から搬送されたシートが、シート搬送路32の途中でジャムした(紙詰まりを起こした)場合に、蓋52a、52bの少なくとも一方を開放することにより、このシートを容易に除去できる。このような除去作業を行う場合には、まず、サイドペーパーデッキ12を画像形成装置本体11から離間させる。その後、画像形成装置本体11に装着する側からサイドペーパーデッキ12の内部の空間50にアクセスして、図7に示すように、シート搬送路32の蓋52a、52bを空間50方向に開放する。これにより、シート搬送路32内に詰まったシートを容易に除去することが可能となる。
【0038】
また、上述のように、本実施形態の場合、空間50の上方をカバー60により覆っている。このカバー60は、スモールデッキ31と手差し給紙部23との間に配置され、サイドペーパーデッキ12のフレーム12a、12bに対して、支軸61を中心に回動可能に軸支されている。この支軸61がシート収納部側の支点となる。このようなカバー60は、手差しトレイ24が手差し給紙部23を覆う状態で、先端部が手差しトレイ24と近接対向し、空間50内にゴミなどの異物が侵入することを防止する。一方、手差しトレイ24が支軸21aを中心として開放状態に向かう方向に回動する際には、手差しトレイ24とカバー60の先端部との係合により、図5、6に示すように、カバー60が支軸61を中心に空間50内に向けて回動する。これにより、手差しトレイ24が開放状態となることを許容する。なお、カバー60は、手差しトレイ24が開放状態となった場合に空間50内に進入するが、この状態でも、シート搬送路32とカバー60とが接触しないように、各部材の位置を規制している。また、カバー60の先端部を先端に向かう程空間50内に向かう方向に湾曲した湾曲部60aとしている。これにより、上述のように、手差しトレイ24との係合により回動を円滑に行える。
【0039】
また、カバー60の基端部とフレーム12bとの間には、付勢手段である引張ばね62を設けている。即ち、引張ばね62の一端をカバー60の支軸61よりも基端側に設けたフック63aに、他端をフレーム12bに設けたフック63bにそれぞれ取り付けている。これにより、カバー60を支軸61を中心に図1、3、5、7の時計方向(図3の矢印A方向)に付勢している。即ち、カバー60の先端部が手差しトレイ23に対向する位置に向かう方向に付勢している。なお、付勢手段を支軸61よりもカバー60の先端側に配置する場合には、この付勢手段をカバー60を押圧するばねとする。
【0040】
また、本実施形態の場合、引張ばね62の付勢力によりカバー60に作用するモーメントが次のような大きさとなるように、引張ばね62の材料(弾性係数)及び設置位置を規制している。即ち、引張ばね62の付勢力によるモーメントは、カバー60が自重により支軸61を中心に回動する第1のモーメントよりも大きくする。且つ、手差しトレイ24が自重により開放状態に向かう方向に回動し、カバー60の先端部との係合によりこのカバー60を支軸61を中心に回動させる第2のモーメントよりも小さくする。したがって、力の関係は、
第1のモーメント < 引張ばね62の付勢力によるモーメント < 第2のモーメント
となる。
【0041】
このように力関係を設定することで、手差しトレイ24を使用しない(ハウジング11aの凹部11b内に収納している)場合には、カバー60が引張ばね62の付勢力で、図3の矢印A方向に付勢されている。そして、上述のように、カバー60の先端部を手差しトレイ24に近接対向させて、空間50をカバー60により覆っている。一方、手差しトレイ24を使用すべくこの手差しトレイ24を図3の矢印B方向に回動させると、カバー60が、手差しトレイ24との係合に基づき、引張ばね62の付勢力に抗して、図3の矢印C方向に回動し、手差しトレイ24が開放状態となることを許容する。更に、この状態から手差しトレイ24を手差し給紙部23を覆う方向に回動させると、この手差しトレイ24の回動に追従して、カバー60が回動する。このような力関係を満たすように、引張ばね62の材料及び設置位置を規制することにより、手差しトレイ24の開閉動作に連動して、カバー60を回動させることができると共に、手差しトレイ24を確実に開放状態とすることができる。
【0042】
また、本実施形態の場合、カバー60は、支軸61よりも基端側に突出する突出部64を有する。この突出部64は、手差しトレイ24の回動に伴い支軸61を中心に回動して、手差しトレイ24が開放状態となった場合に、手差しトレイ24と共にシートを積載可能な補助トレイとして機能する。即ち、上述したように、画像形成装置本体11にサイドペーパーデッキ12を装着した状態で、手差しトレイ24を使用すべくこの手差しトレイ24を回動させると、サイドペーパーデッキ12の空間50内にカバー60及び手差しトレイ24が入り込む。これにより、手差しトレイ24上にシートをセットする事が可能となる。この際、カバー60の基端部に設けた突出部64は、支軸61を中心に回動してサイドペーパーデッキ12の外装上面から外部方向に突出する。このため、図6に示す様に、手差しトレイ24にセットされるシートSの搬送方向後端部S1を、カバー60の突出部64で保持する事が可能である。これにより、前述の図11に示したように、シートSの一部が下方に垂れ下がり癖が付いてしまうことを防止でき、シートサイズが大きくてもシートSの搬送性が安定させられる。
【0043】
また、本実施形態の場合、カバー60は、段差65を有し、この段差65よりも先端側の第1の面66を基端側の第2の面67よりも手差しトレイ24が開放状態となる方向に位置させている。また、これら第一の面66と第2の面67とをほぼ平行としている。また、第2の面67は上述の突出部64上に形成されている。そして、図5に示すように、手差しトレイ24は、開放状態で第1の面上に位置させ、手差しトレイ24及び第2の面67によりシートを積載可能としている。
【0044】
即ち、段差65は手差しトレイ24の開放状態でこの手差しトレイ24の先端よりもカバー60の基端側に形成されている。また、第1の面66の第2の面67に対する段差量(即ち段差65の高さ)は、手差しトレイ24の厚さとほぼ同じとしている。これにより、手差しトレイ24が開放状態となった場合に、この手差しトレイ24が第1の面66上に位置し、この手差しトレイ24の上面と第2の面67とがほぼ同一面上に位置する状態となる。そして、図6に示す様に、手差しトレイ24にセットされるシートSの姿勢をより安定させられ、この状態でシートSを放置してしまっても、シートの変形を最小限にできる。この結果、手差しトレイ24からのシートSの搬送性を向上させる事が可能となる。
【0045】
本実施形態によれば、スモールデッキ31を手差し給紙部23と対向して配置しているため、この手差し給紙部23の存在に拘らず、シートの収納量を増やすことができる。また、スモールデッキ31及びシート搬送路32を、手差しトレイ24の開放状態でこの手差しトレイ24と干渉しない位置に配置しているため、この手差しトレイ24の開閉を可能として手差し給紙部23を使用できる。
【0046】
即ち、上述のように、ラージデッキ30の上方で手差し給紙部23と対向する位置にスモールデッキ31を配置しているため、サイドペーパーデッキ12の占有寸法を変えずにサイドペーパーデッキ12内部に収納するシートの収納枚数を増やすことができる。また、手差しトレイ24を開放状態とした場合に、この手差しトレイ24及びカバー60が、スモールデッキ31と手差し給紙部23との間に存在する空間50内に進入し、この手差しトレイ24がスモールデッキ31と干渉することを防止できる。このため、サイドペーパーデッキ12を多段デッキ化しても、画像形成装置本体11に存在する手差しトレイ24をそのまま使用することができ、手差し給紙部23から手差し給紙が可能となる。
【0047】
この結果、手差し給紙を行うために、サイドペーパーデッキ12の最上段に手差し給紙トレイを新たに構成する必要が無く、安価にサイドペーパーデッキ12を提供する事が可能となる。また、サイドペーパーデッキ12をオプションで選択しなくても、手差し給紙用のユニットを設置する必要もない。また、このためにサービスマンによる装置の設置作業が容易で、また、より安価な構成のサイドペーパーデッキ12を提供する事が可能となる。
【0048】
また、サイドペーパーデッキ12内部に設けた空間50の上面を覆うカバー60を回動可能に構成する事で、手差しトレイ24を使用する際に、手差しトレイ24の開動作と連動してカバー60が下方に回動する。そして、このカバー60を手差しトレイ24の補助トレイとして使用する事が可能であるため、手差しトレイ24にセットされたシートを広範囲にサポートする事ができる。この結果、手差しトレイ24にラージサイズのシートをセットした状態で放置してしまった場合でもあっても、シート端部の変形が最小限に抑えられ、手差し給紙部23からのシートの搬送性を向上させる事が可能である。
【0049】
更に、スモールデッキ31のシート搬送路32の一部に、空間50方向に開放可能な蓋52a、52bを設けている。このため、スモールデッキ31から搬送されたシートがシート搬送路32内で紙詰まりを起こした場合でも、サイドペーパーデッキ12を画像形成装置本体11から離間させ、空間50内でシート搬送路32に詰まったシートの除去作業を容易に行える。
【0050】
なお、上述の実施形態では、ラージデッキ30の上方にスモールデッキ31を配置した構造について説明したが、下方のラージデッキ30と上方のスモールデッキ31とを別体としても良い。この場合に、図9ないし図11に示したような既存のペーパーデッキの上方に、本発明のような、シート収納部及びシート搬送路を開放状態の手差しトレイとの干渉を防止した位置に配置した給紙装置を配置するようにしても良い。また、このような給紙装置の下方に配置されるのは、上述のようなラージデッキに限らず、単なる台のようなものや、未開封のシートを保存収納しておく収納庫のようなものでも良い。何れにしても、このような給紙装置のシート収納部が手差し給紙部と対向する位置に配置されれば良い。
【符号の説明】
【0051】
11 画像形成装置本体
12 サイドペーパーデッキ(給紙装置)
13 画像形成装置
20 手差し給紙ユニット
21 開口部
22 給紙ローラ対
23 手差し給紙部
24 手差しトレイ
30 ラージデッキ(ラージサイズシート収納部)
31 スモールデッキ(シート収納部)
32 シート搬送路
32c、32d ガイド板
50 空間
52a、52b 蓋
60 カバー
61 支軸(支点)
62 引張ばね(付勢手段)
64 突出部
65 段差
66 第1の面
67 第2の面
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ又はファックス等の画像形成装置本体にシートを供給可能な給紙装置、及び、このような給紙装置を画像形成装置本体に装着した画像形成装置に関する。より具体的には、画像形成装置本体に対してオプション設定可能な大容量シート収納装置としての給紙装置、及び、このような給紙装置を画像形成装置本体に装着した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機、プリンタ又はファックス等の画像形成装置本体においては、設置スペースの削減を図る為に、装置の小型化が望まれている。一方、装置の画像形成の高速化に伴い、大容量の画像を短時間の内に出力可能になった昨今、シートの補給の煩わしさを除く為にシート収納装置等の給紙装置の大容量化を望まれている。このような多様化するユーザーニーズを満足させる為には、小型化された画像形成装置本体に対して、大容量の給紙装置をオプション設置可能な商品構成にしておくことが好ましい。
【0003】
このように、市場でオプション設置される大容量シート収納装置としては、画像形成装置本体の横に設置されるサイドペーパーデッキが従来から知られている。図9ないし11は、画像形成装置本体1の横に給紙装置としての大容量シート収納装置であるサイドペーパーデッキ2を装着した画像形成装置3の、従来構造の第1例を示している。このような画像形成装置3は、画像形成装置本体1とは別に、サイドペーパーデッキ2に収納されたシートを画像形成装置本体1内に給紙可能である。これにより、シートの補給の煩わしさを軽減できる。
【0004】
但し、このようなサイドペーパーデッキ2は、上面2aの高さを画像形成装置本体1が備える手差し給紙ユニット4よりも低い位置とする必要がある。即ち、手差し給紙ユニット4は、シートを手差しで画像形成装置本体1に供給する手差し給紙部4aと、この手差し給紙部4aを覆う状態と、手差し給紙部4aを開放してシートを積載する開放状態との間を回動可能に支持された手差しトレイ4bとを有する。したがって、サイドペーパーデッキ2の上面2aの位置が高すぎると手差しトレイ4bを開放することができず、手差しでのシート供給を行えなくなる。このため、サイドペーパーデッキ2の上面2aの高さは、給紙ユニット4よりも低い位置とする必要がある。このように、手差し給紙ユニット4を考慮した場合、サイドペーパーデッキ2は、その高さが制限されるため、この高さ制限により最大用紙収納枚数が決められてしまう。
【0005】
一方、画像形成装置本体及びサイドペーパーデッキの占有寸法を変更せずに、サイドペーパーデッキに収納するシートの枚数を増やすべく、図12に示すように、サイドペーパーデッキ2Aを多段化する構造が知られている(特許文献1参照)。図12に示す従来構造の第2例のサイドペーパーデッキ2Aは、ベースデッキ5の上方にデッキ6a、6bを重ねて配置することにより多段化し、シートの収納枚数を増やしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3080249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図12に示したサイドペーパーデッキ2Aのように、ベースデッキ5の上方にデッキ6a、6bを配置して多段デッキ化した場合、次のような問題点がある。即ち、サイドペーパーデッキ2Aを画像形成装置本体1Aに装着すると、前述の図9ないし図11に示したような手差し給紙ユニットの手差しトレイの開閉ができなくなる。このため、この構造の場合、画像形成装置本体1Aに手差し給紙ユニットを設けることができない。このため、図12に示した構造の場合、手差し給紙ユニット7をサイドペーパーデッキ2Aの最上段に設けている。
【0008】
しかし、このように手差し給紙ユニット7をサイドペーパーデッキ2Aに設けた場合、オプションでサイドペーパーデッキ2Aを選択しないと、画像形成装置本体1Aには手差し給紙ユニットが存在しないため、手差し給紙を行えなくなってしまう。したがって、この構造の場合、予め手差し給紙ユニットをオプション設定で用意して、サイドペーパーデッキ2Aを装着しないユーザーには、別途手差し供給ユニットをオプションで選択してもらう必要が生じる。
【0009】
なお、図9ないし図11に示した画像形成装置3の場合、手差しトレイ4bにラージサイズのシートSを積載する際に、手差しトレイ4b内に収納されているサブトレイ4cを引き出して使用する。しかし、サブトレイ4cは、手差しトレイ4b内に収納されるため、手差しトレイに4bより幅が小さくなることが避けれらない。このため、図11に示すように、ラージサイズのシートSを手差しトレイ4b及びサブトレイ4c上に積載した場合、シートSの一部(シートSの搬送方向後端部S1)がサブトレイ4cからはみ出してしまう。そして、シートSを積載したまま放置すると、シートSの一部が下方に垂れ下がり癖が付いてしまう場合がある。このようにシートSに癖が付いてしまうと、シートの供給搬送性が安定しない。
【0010】
そこで、本発明は、上述のような事情に鑑み、手差し給紙部などの給紙部の存在に拘らずシートの収納量を増やしつつ、この給紙部を使用できる給紙構造を実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、シートを供給する給紙部を覆う状態と、該給紙部を開放してシートを積載する開放状態との間を回動可能に支持されたトレイを有する画像形成装置本体に着脱可能で、該画像形成装置本体にシートを供給可能な給紙装置において、前記画像形成装置本体に装着した状態で、前記給紙部と対向し、且つ、開放状態の前記トレイと干渉しない位置に配置されてシートを収納可能なシート収納部と、開放状態の前記トレイと干渉しない位置に配置され、前記シート収納部から前記画像形成装置本体にシートを搬送するシート搬送路と、を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、シート収納部を給紙部と対向して配置しているため、この給紙部の存在に拘らず、シートの収納量を増やすことができる。また、シート収納部及びシート搬送路を、開放状態のトレイと干渉しない位置に配置しているため、このトレイの開閉を可能として給紙部を使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成断面図。
【図2】同じく画像形成装置の斜視図。
【図3】図1の右上方部を拡大して示す図。
【図4】手差しトレイの開放状態を、一部を省略して示す図2と同様の図。
【図5】手差しトレイの開放状態を示す、図3と同様の図。
【図6】手差しトレイにシートを積載した状態を示す、図4と同様の図。
【図7】シート搬送路の蓋を開いた状態を示す、給紙装置の上部断面図。
【図8】制御手段のブロック図。
【図9】従来の画像形成装置の第1例を、手差しトレイの開放状態で示す正面図。
【図10】同じく斜視図。
【図11】同じく、手差しトレイにラージサイズのシートを設置した状態を示す斜視図。
【図12】従来の画像形成装置の第2例を示す概略構成断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態の1例について、図1ないし図8を用いて説明する。まず、図1ないし図3により、本実施形態の画像形成装置本体11に給紙装置であるサイドペーパーデッキ12を装着した画像形成装置13の概略を説明する。複写機などの画像形成装置本体11は、画像形成するための作像部14、この作像部14に供給するシートを収納するための複数のシートカセット15やシート給送路16などを有するシート給送部17などを備える。また、シート給送部17は、シートSの斜行を補正し、作像部14の作像動作とタイミングを合わせてシートSを送り出すためのレジストローラ対18を有する。また、レジストローラ対18のシート搬送方向上流には、後述するように、サイドペーパーデッキ12から供給されるシートSを、レジストローラ対18に搬送するレジ前ローラ対19が配置されている。このような各ローラ対18、19は、それぞれモータ(レジストモータ18a、レジ前モータ19a、図8参照)により駆動される。これら各モータは、例えば、ステップ数により回転数が制御できるステッピングモータである。
【0015】
また、画像形成装置本体11は、上述のようなシート給送部17とは別に、手差し給紙ユニット20を備える。手差し給紙ユニット20は、シートを手差しで供給するための開口部21及び給紙ローラ対22を有する手差し給紙部23と、この手差し給紙部23に隣接して設けられた手差しトレイ24とを備える。この手差しトレイ24は、画像形成装置本体11のハウジング11aの側面に、開口部21の下方に設けられた支軸21aを中心として回動可能に支持されている。そして、手差し給紙部21を覆う状態と、手差し給紙部23を開放して手差しのシートを積載する開放状態(図4ないし図6参照)との間を回動可能としている。
【0016】
手差しトレイ24により手差し給紙部23を覆う状態とする場合には、例えば、手差しトレイ24の不図示の係合部と、ハウジング11a側の不図示の被係合部とを係合させる。これにより、ハウジング11aの側面に設けた凹部11b内に手差しトレイ24を収納する。一方、手差し給紙部23を開放状態とする場合には、これら係合部と被係合部との係合を解除して、手差しトレイ24を支軸21aを中心に回動させる。手差しトレイ24のハウジング11aの側面に対する傾斜角度は、不図示のストッパにより所定の角度に保持される。
【0017】
手差し給紙ユニット20から手差しでシートを供給する場合には、手差しトレイ24を開放状態とし、シートを手差しトレイ24に積載しつつ、シートの先端を開口部21から挿入し、給紙ローラ対22に突き当てる。この状態で画像形成を開始すると、モータ22a(図8参照)により給紙ローラ対22が駆動され、シートを引き込み、レジストローラ対18まで搬送する。そして、上述した場合と同様に、レジストローラ対18により斜行が補正され、シートに画像が形成される。
【0018】
また、画像形成装置本体11の手差し給紙ユニット20が存在する側の側部には、画像形成装置本体11内の作像部14に、シートSを供給するためのサイドペーパーデッキ12が着脱可能に設けられている。本実施形態は、画像形成装置本体11のシート給送部15に加えて、サイドペーパーデッキ12を設けることにより、大量のシートを供給可能とした構造である。
【0019】
本実施形態のサイドペーパーデッキ12は、下段側にスモールサイズやラージサイズのシートを収納可能なラージデッキ30を、上段側にスモールサイズのシートを収納可能なスモールデッキ31を、それぞれ配置している。本実施形態では、ラージデッキ30がラージサイズシート収納部に、スモールデッキ31がシート収納部にそれぞれ対応する。なお、スモールサイズのシートとは、例えば、図1の左右方向の幅がA4R(A4Rの幅の長さは210mm。)以下となるようのサイズを言い、ラージサイズのシートとは、同じく幅がA4Rよりも大きいようなサイズ、例えばB4やA3などのサイズを言う。但し、このようなサイズの違いは、適宜変更可能で、例えば、スモールデッキ31にB4サイズのシートを収納するようにしても良い。要は、ラージデッキ30は、スモールデッキ31に収納可能なシートよりも大きなシートを収納可能としたものである。
【0020】
このようなラージデッキ30及びスモールデッキ31は、それぞれ、デッキ部30a、31aと、給紙部30b、31bと、給紙搬送ローラ対30c、31cとを備えている。このうちのデッキ部30a、31aは、シートを収納して昇降可能に構成されている。また、給紙部30b、31bは、デッキ部30a、31aに収納されているシートSを一枚ずつ分離して送り出すものである。また、給紙搬送ローラ対30c、31cは、給紙部30b、31bから送り出されたシートSを画像形成装置本体11に搬送するものである。なお、給紙部30b、31bは、通常のピックアップローラPと、フィードローラFと、逆転するリタードローラRとからなるリタードローラ分離方式の構成となっている。また、後述するように、スモールデッキ31から給紙搬送ローラ対31cにより搬送されるシートSは、シート搬送路32を通じて、このシート搬送路32を構成する搬送ローラ対32a、32bにより画像形成装置本体11に搬送される。
【0021】
また、ラージデッキ30の給紙部30bの各ローラ、及び、給紙搬送ローラ対30cは、ラージデッキ用給紙モータ(給紙DCモータ40、図8参照)により駆動される。一方、スモールデッキ31の給紙部31bの各ローラ、及び、給紙搬送ローラ対31c、搬送ローラ対32a、32bは、スモールデッキ用給紙モータ(給紙DCモータ40、図8参照)により駆動される。なお、ラージデッキ用給紙モータとスモールデッキ用給紙モータとは、それぞれ別の給紙DCモータ40により駆動している。但し、例えば複数のギアなどにより構成される動力伝達機構を介して、単一の給紙DCモータ40によりそれぞれ駆動可能としても良い。
【0022】
また、給紙部30b、31bは、このような給紙DCモータ40による駆動をそれぞれ給紙クラッチ41(図8参照)によりON/OFF制御される。また、給紙部30b、31bのピックアップローラPは、それぞれ給紙ソレノイド42(図8参照)により昇降されて、デッキ部30a、31aに収納されているシートSの上面に当接又は離間する。
【0023】
また、給紙搬送ローラ対30c、31c、搬送ローラ対32a、32bは、給紙DCモータ40による駆動をそれぞれ搬送クラッチ43(図8参照)によりON/OFF制御される。また、給紙搬送ローラ対30cの下流は、画像形成装置本体11側の給紙口51に接続され、ラージデッキ30から搬送されるシートを給紙口51を通じて画像形成装置本体11内に搬送する。一方、搬送ローラ対32bの下流は、給紙口51に接続され、スモールデッキ31から搬送されるシートを給紙口51を通じて画像形成装置本体11内に搬送される。本実施形態の場合、ラージデッキ30からのシートを搬送する搬送路33の下流端と、スモールデッキ31からのシートを搬送するシート搬送路32の下流端とを、同一の給紙口51内に配置している。そして、何れのデッキからのシートも、この給紙口51を通じて画像形成装置本体11内に搬送するようにしている。但し、各デッキからのシートが給紙される給紙口は別々に設けても良い。
【0024】
このようなサイドペーパーデッキ12の基本的な動作を簡単に説明する。まず、画像形成装置本体11からラージデッキ30による給紙スタートの命令を受けると、ラージデッキ用給紙モータがスタートする。この際、給紙センサ44(図8参照)でシートSの位置を認識し、シート位置に合わせて給紙クラッチ41、搬送クラッチ43、給紙ソレノイド42をONする。この動作により給紙部30b及び給紙搬送ローラ対30cが作動し、給紙動作を開始され、シートSが給紙口51から画像形成装置本体11内に搬送される。給紙搬送ローラ対30cに給送されたシートSが引抜きセンサ30dをONすると、シートSを一定距離搬送した後、シート間距離を調整するためにシートSの搬送を一旦停止させる。そして、所定紙間距離を調整する時間停止させた後、再度搬送を開始し、シートを画像形成装置本体11内のレジ前ローラ対19に搬送する。
【0025】
一方、画像形成装置本体11からスモールデッキ31により給紙スタートの命令を受けると、スモールデッキ用給紙モータがスタートする。この際、不図示の給紙センサでシートSの位置を認識し、シート位置に合わせて給紙クラッチ、搬送クラッチ、給紙ソレノイドをONする。この動作により給紙部31b、給紙搬送ローラ対31c、搬送ローラ対32a、32bが作動し、給紙動作を開始される。給紙搬送ローラ対31cに給送されたシートSが引抜きセンサ31dをONすると、シートSを一定距離搬送した後、シート間距離を調整するためにシートSの搬送を一旦停止させる。そして、所定紙間距離を調整する時間停止させた後、再度搬送を開始し、搬送ローラ対32a、32bを駆動して、シートSをシート搬送路32及び給紙口51を通じて画像形成装置本体11内のレジ前ローラ対19に搬送する。
【0026】
上述のように、ラージデッキ30又はスモールデッキ31から画像形成装置本体11内に搬送されたシートSが、シート給送路16との合流部に設けられた合流センサ45(図8参照)を通過すると、レジ前ローラ対19が駆動する。そして、レジ前ローラ対19によって更に搬送され、シートSがレジセンサ46(図8参照)をONした後、レジストローラ対18にシート先端を押し当て、シートSをループ形状にして搬送を停止する。この状態で所定時間停止した後、レジストローラ対18を駆動して作像部14へ向かってシートSを搬送する。複数枚を連続搬送する場合は、この動作を任意のタイミングで繰り返し行う。
【0027】
なお、上述のような各センサ30d、31d、44〜46による検知や、各モータ18a、19a、40、各クラッチ41、43、ソレノイド42の駆動制御は、制御手段であるCPUにより行われる。即ち、図8に示すように、各センサ及び各モータ、各クラッチ、ソレノイドは、それぞれCPUに接続されており、CPUによって各センサからの検知信号等に基づいて各モータ、各クラッチ、ソレノイドがそれぞれ制御される。
【0028】
次に、サイドペーパーデッキ12について、詳しく説明する。まず、図1ないし図3に示す様に、サイドペーパーデッキ12は、下段にラージデッキ30、その上段にスモールデッキ31を配置して多段デッキ化している。
【0029】
このうちのスモールデッキ31は、サイドペーパーデッキ12を画像形成装置本体11に装着した状態で、手差し給紙部23と対向し、且つ、開放状態の手差しトレイ24と干渉しない位置に配置される。言い換えれば、スモールデッキ31は、手差し給紙部23とこの手差し給紙部23への給紙方向に関して重畳し、且つ、所定の空間50を介した位置に配置される。ここで、シートSの手差し給紙部23への給紙方向とは、給紙ローラ対22によるシート搬送方向であり、図1、3、5、7の左右方向である。したがって、スモールデッキ31は、手差し給紙部23と図1、3、5、7の左右方向に関して対向し、画像形成装置本体11に対しこの左右方向に離隔した位置に配置される。
【0030】
また、手差しトレイ24は、開放状態では図4、5に示すような位置まで傾斜した状態となる。スモールデッキ31は、上述のように手差し給紙部23と対向した位置に配置されるため、手差しトレイ24の開放状態を考慮しなければ、配置位置によっては、この手差しトレイ24の開放時に干渉し、この手差しトレイ24を開放状態にできない可能性がある。これに対して本実施形態では、上述のように、スモールデッキ31を開放状態の手差しトレイ24と干渉しないように、手差し給紙部23から離して配置している。したがって、スモールデッキ31と手差し給紙部23との間には、シートが収納されない上述の空間50が存在し、この空間50内に手差しトレイ24が開放時に進入可能としている。
【0031】
一方、ラージデッキ30は、手差し給紙部23及びスモールデッキ31よりも、図1、3、5、7の下方に配置される。また、ラージデッキ30は、スモールデッキ31よりも画像形成装置本体側に突出するように配置されている。即ち、ラージデッキ30は、手差し給紙部23よりも下方に配置されるため、画像形成装置本体11に近接した位置に配置されても、手差しトレイ24の開放時にこの手差しトレイ24と干渉することはない。したがって、ラージデッキ30は、スモールデッキ31よりも画像形成装置本体11側に近接させて配置できる。このため、本実施形態では、ラージデッキ30を画像形成装置本体11の左右方向に近接した位置に配置し、このラージデッキ30の上方に、手差し給紙部23との間に空間50を介してスモールデッキ31を配置している。
【0032】
また、本実施形態の場合、スモールデッキ31と手差し給紙部23との間の空間50を通過するように、スモールデッキ31の給紙部31bと画像形成装置本体11側の給紙口51との間を接続する、シート搬送路32を配置している。このシート搬送路32は、1対のガイド板32c、32dを備え、これら両ガイド板32c、32dの間でシートを搬送可能である。即ち、上述したように、スモールデッキ31から給紙部31bによりピックアップされたシートは、両ガイド板32c、32dとの間に送られる。そして、このシートは、両ガイド板32c、32dの搬送方向途中に配置された搬送ローラ対32a、32bにより、両ガイド板32c、32dの間を搬送される。
【0033】
また、このシート搬送路32は、開放状態の手差しトレイ24と干渉しない位置に配置される。即ち、図4、5に示すように、手差しトレイ24が開放され、所定の角度で保持された開放状態で、手差しトレイ24がシート搬送路32のガイド板32c、32dや搬送ローラ対32a、32bと干渉しないように、シート搬送路32を設置している。本実施形態の場合、シート搬送路32は、手差しトレイ24との干渉を防止しつつ、給紙部31bと給紙口51との間の最短距離を通るように配置されている。これにより、シート搬送路32による搬送経路を短くでき、搬送ローラの数を少なくできるため、低コスト化を図れる。また、シート搬送路32と給紙部31b若しくは給紙口51との間の湾曲部の曲率を小さくできるため、シートのジャムが発生しにくくなる。
【0034】
但し、本実施形態では、シート搬送路32の途中でシートのジャムが発生した場合に供えて、両ガイド板32c、32dのうち、手差し給紙部側のガイド板32cの一部に、開閉可能な蓋52a、52bを設けている。即ち、ガイド板32cの一部を蓋52a、52bにより開閉可能としている。このために、ガイド板32cの搬送ローラ対32aの上流と下流とにそれぞれ開口55a、55bを設け、これら各開口55a、55bを各蓋52a、52bによりそれぞれ開閉可能としている。
【0035】
また、これら各蓋52a、52bは、ガイド板32cの開口55a、55bのそれぞれ上流に固定された軸53a、53bに基端部を回転可能に支持している。そして、これら各軸53a、53bを中心として、図7に示すように、各蓋52a、52bを空間50方向に開放可能としている。また、先端部に突起54a、54bを設け、これら各突起54a、54bをガイド板32cの開口55a、55bの下流に係止可能とし、各突起54a、54bを係止させた状態で、開口55a、55bを蓋52a、52bにより塞ぐようにしている。また、各突起54a、54bは、指などで摘んだり指などを引っ掛けたりして、各蓋52a、52bを開放し易くするものでもある。
【0036】
また、本実施形態の場合、後述するように、空間50の上方はカバー60により覆われるが、この空間50の手差し給紙部23側は開口したままとしている。即ち、カバーなどを設けていない。したがって、空間50の手差し給紙部23側は、サイドペーパーデッキ12を画像形成装置本体11に装着すると、画像形成装置本体11により覆われるが、離脱させると、開口した状態となる。但し、カバー60の回動と干渉しないように、空間50の手差し給紙部23側を開閉自在なカバーを設けることもできる。
【0037】
この様に構成したことで、上段のスモールデッキ31から搬送されたシートが、シート搬送路32の途中でジャムした(紙詰まりを起こした)場合に、蓋52a、52bの少なくとも一方を開放することにより、このシートを容易に除去できる。このような除去作業を行う場合には、まず、サイドペーパーデッキ12を画像形成装置本体11から離間させる。その後、画像形成装置本体11に装着する側からサイドペーパーデッキ12の内部の空間50にアクセスして、図7に示すように、シート搬送路32の蓋52a、52bを空間50方向に開放する。これにより、シート搬送路32内に詰まったシートを容易に除去することが可能となる。
【0038】
また、上述のように、本実施形態の場合、空間50の上方をカバー60により覆っている。このカバー60は、スモールデッキ31と手差し給紙部23との間に配置され、サイドペーパーデッキ12のフレーム12a、12bに対して、支軸61を中心に回動可能に軸支されている。この支軸61がシート収納部側の支点となる。このようなカバー60は、手差しトレイ24が手差し給紙部23を覆う状態で、先端部が手差しトレイ24と近接対向し、空間50内にゴミなどの異物が侵入することを防止する。一方、手差しトレイ24が支軸21aを中心として開放状態に向かう方向に回動する際には、手差しトレイ24とカバー60の先端部との係合により、図5、6に示すように、カバー60が支軸61を中心に空間50内に向けて回動する。これにより、手差しトレイ24が開放状態となることを許容する。なお、カバー60は、手差しトレイ24が開放状態となった場合に空間50内に進入するが、この状態でも、シート搬送路32とカバー60とが接触しないように、各部材の位置を規制している。また、カバー60の先端部を先端に向かう程空間50内に向かう方向に湾曲した湾曲部60aとしている。これにより、上述のように、手差しトレイ24との係合により回動を円滑に行える。
【0039】
また、カバー60の基端部とフレーム12bとの間には、付勢手段である引張ばね62を設けている。即ち、引張ばね62の一端をカバー60の支軸61よりも基端側に設けたフック63aに、他端をフレーム12bに設けたフック63bにそれぞれ取り付けている。これにより、カバー60を支軸61を中心に図1、3、5、7の時計方向(図3の矢印A方向)に付勢している。即ち、カバー60の先端部が手差しトレイ23に対向する位置に向かう方向に付勢している。なお、付勢手段を支軸61よりもカバー60の先端側に配置する場合には、この付勢手段をカバー60を押圧するばねとする。
【0040】
また、本実施形態の場合、引張ばね62の付勢力によりカバー60に作用するモーメントが次のような大きさとなるように、引張ばね62の材料(弾性係数)及び設置位置を規制している。即ち、引張ばね62の付勢力によるモーメントは、カバー60が自重により支軸61を中心に回動する第1のモーメントよりも大きくする。且つ、手差しトレイ24が自重により開放状態に向かう方向に回動し、カバー60の先端部との係合によりこのカバー60を支軸61を中心に回動させる第2のモーメントよりも小さくする。したがって、力の関係は、
第1のモーメント < 引張ばね62の付勢力によるモーメント < 第2のモーメント
となる。
【0041】
このように力関係を設定することで、手差しトレイ24を使用しない(ハウジング11aの凹部11b内に収納している)場合には、カバー60が引張ばね62の付勢力で、図3の矢印A方向に付勢されている。そして、上述のように、カバー60の先端部を手差しトレイ24に近接対向させて、空間50をカバー60により覆っている。一方、手差しトレイ24を使用すべくこの手差しトレイ24を図3の矢印B方向に回動させると、カバー60が、手差しトレイ24との係合に基づき、引張ばね62の付勢力に抗して、図3の矢印C方向に回動し、手差しトレイ24が開放状態となることを許容する。更に、この状態から手差しトレイ24を手差し給紙部23を覆う方向に回動させると、この手差しトレイ24の回動に追従して、カバー60が回動する。このような力関係を満たすように、引張ばね62の材料及び設置位置を規制することにより、手差しトレイ24の開閉動作に連動して、カバー60を回動させることができると共に、手差しトレイ24を確実に開放状態とすることができる。
【0042】
また、本実施形態の場合、カバー60は、支軸61よりも基端側に突出する突出部64を有する。この突出部64は、手差しトレイ24の回動に伴い支軸61を中心に回動して、手差しトレイ24が開放状態となった場合に、手差しトレイ24と共にシートを積載可能な補助トレイとして機能する。即ち、上述したように、画像形成装置本体11にサイドペーパーデッキ12を装着した状態で、手差しトレイ24を使用すべくこの手差しトレイ24を回動させると、サイドペーパーデッキ12の空間50内にカバー60及び手差しトレイ24が入り込む。これにより、手差しトレイ24上にシートをセットする事が可能となる。この際、カバー60の基端部に設けた突出部64は、支軸61を中心に回動してサイドペーパーデッキ12の外装上面から外部方向に突出する。このため、図6に示す様に、手差しトレイ24にセットされるシートSの搬送方向後端部S1を、カバー60の突出部64で保持する事が可能である。これにより、前述の図11に示したように、シートSの一部が下方に垂れ下がり癖が付いてしまうことを防止でき、シートサイズが大きくてもシートSの搬送性が安定させられる。
【0043】
また、本実施形態の場合、カバー60は、段差65を有し、この段差65よりも先端側の第1の面66を基端側の第2の面67よりも手差しトレイ24が開放状態となる方向に位置させている。また、これら第一の面66と第2の面67とをほぼ平行としている。また、第2の面67は上述の突出部64上に形成されている。そして、図5に示すように、手差しトレイ24は、開放状態で第1の面上に位置させ、手差しトレイ24及び第2の面67によりシートを積載可能としている。
【0044】
即ち、段差65は手差しトレイ24の開放状態でこの手差しトレイ24の先端よりもカバー60の基端側に形成されている。また、第1の面66の第2の面67に対する段差量(即ち段差65の高さ)は、手差しトレイ24の厚さとほぼ同じとしている。これにより、手差しトレイ24が開放状態となった場合に、この手差しトレイ24が第1の面66上に位置し、この手差しトレイ24の上面と第2の面67とがほぼ同一面上に位置する状態となる。そして、図6に示す様に、手差しトレイ24にセットされるシートSの姿勢をより安定させられ、この状態でシートSを放置してしまっても、シートの変形を最小限にできる。この結果、手差しトレイ24からのシートSの搬送性を向上させる事が可能となる。
【0045】
本実施形態によれば、スモールデッキ31を手差し給紙部23と対向して配置しているため、この手差し給紙部23の存在に拘らず、シートの収納量を増やすことができる。また、スモールデッキ31及びシート搬送路32を、手差しトレイ24の開放状態でこの手差しトレイ24と干渉しない位置に配置しているため、この手差しトレイ24の開閉を可能として手差し給紙部23を使用できる。
【0046】
即ち、上述のように、ラージデッキ30の上方で手差し給紙部23と対向する位置にスモールデッキ31を配置しているため、サイドペーパーデッキ12の占有寸法を変えずにサイドペーパーデッキ12内部に収納するシートの収納枚数を増やすことができる。また、手差しトレイ24を開放状態とした場合に、この手差しトレイ24及びカバー60が、スモールデッキ31と手差し給紙部23との間に存在する空間50内に進入し、この手差しトレイ24がスモールデッキ31と干渉することを防止できる。このため、サイドペーパーデッキ12を多段デッキ化しても、画像形成装置本体11に存在する手差しトレイ24をそのまま使用することができ、手差し給紙部23から手差し給紙が可能となる。
【0047】
この結果、手差し給紙を行うために、サイドペーパーデッキ12の最上段に手差し給紙トレイを新たに構成する必要が無く、安価にサイドペーパーデッキ12を提供する事が可能となる。また、サイドペーパーデッキ12をオプションで選択しなくても、手差し給紙用のユニットを設置する必要もない。また、このためにサービスマンによる装置の設置作業が容易で、また、より安価な構成のサイドペーパーデッキ12を提供する事が可能となる。
【0048】
また、サイドペーパーデッキ12内部に設けた空間50の上面を覆うカバー60を回動可能に構成する事で、手差しトレイ24を使用する際に、手差しトレイ24の開動作と連動してカバー60が下方に回動する。そして、このカバー60を手差しトレイ24の補助トレイとして使用する事が可能であるため、手差しトレイ24にセットされたシートを広範囲にサポートする事ができる。この結果、手差しトレイ24にラージサイズのシートをセットした状態で放置してしまった場合でもあっても、シート端部の変形が最小限に抑えられ、手差し給紙部23からのシートの搬送性を向上させる事が可能である。
【0049】
更に、スモールデッキ31のシート搬送路32の一部に、空間50方向に開放可能な蓋52a、52bを設けている。このため、スモールデッキ31から搬送されたシートがシート搬送路32内で紙詰まりを起こした場合でも、サイドペーパーデッキ12を画像形成装置本体11から離間させ、空間50内でシート搬送路32に詰まったシートの除去作業を容易に行える。
【0050】
なお、上述の実施形態では、ラージデッキ30の上方にスモールデッキ31を配置した構造について説明したが、下方のラージデッキ30と上方のスモールデッキ31とを別体としても良い。この場合に、図9ないし図11に示したような既存のペーパーデッキの上方に、本発明のような、シート収納部及びシート搬送路を開放状態の手差しトレイとの干渉を防止した位置に配置した給紙装置を配置するようにしても良い。また、このような給紙装置の下方に配置されるのは、上述のようなラージデッキに限らず、単なる台のようなものや、未開封のシートを保存収納しておく収納庫のようなものでも良い。何れにしても、このような給紙装置のシート収納部が手差し給紙部と対向する位置に配置されれば良い。
【符号の説明】
【0051】
11 画像形成装置本体
12 サイドペーパーデッキ(給紙装置)
13 画像形成装置
20 手差し給紙ユニット
21 開口部
22 給紙ローラ対
23 手差し給紙部
24 手差しトレイ
30 ラージデッキ(ラージサイズシート収納部)
31 スモールデッキ(シート収納部)
32 シート搬送路
32c、32d ガイド板
50 空間
52a、52b 蓋
60 カバー
61 支軸(支点)
62 引張ばね(付勢手段)
64 突出部
65 段差
66 第1の面
67 第2の面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを供給する給紙部を覆う状態と、該給紙部を開放してシートを積載する開放状態との間を回動可能に支持されたトレイを有する画像形成装置本体に着脱可能で、該画像形成装置本体にシートを供給可能な給紙装置において、
前記画像形成装置本体に装着した状態で、前記給紙部と対向し、且つ、開放状態の前記トレイと干渉しない位置に配置されてシートを収納可能なシート収納部と、
前記開放状態の前記トレイと干渉しない位置に配置され、前記シート収納部から前記画像形成装置本体にシートを搬送するシート搬送路と、
を備えたことを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
前記シート収納部に収納可能なシートよりも大きなシートを収納可能なラージサイズシート収納部を備え、
前記画像形成装置本体に装着した状態で、前記ラージサイズシート収納部は、前記給紙部及び前記シート収納部よりも下方で、該シート収納部よりも前記画像形成装置本体側に突出するように配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の給紙装置。
【請求項3】
前記シート搬送路は、1対のガイド板を備え、該両ガイド板の間でシートを搬送可能で、
前記両ガイド板は、前記シート収納部と前記給紙部との間を通過するように配置され、
前記給紙部側のガイド板は、一部に開閉可能な蓋を備え、
該蓋を開くことにより前記両ガイド板の間でジャムしたシートを取り出し可能としたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の給紙装置。
【請求項4】
前記シート収納部と前記給紙部との間に配置され、該シート収納部側の支点を中心として回動可能なカバーを備え、
該カバーは、前記トレイが前記給紙部を覆う状態で、先端部が該トレイと対向し、該トレイが開放状態に向かう方向に回動する際に、該トレイと前記先端部との係合により前記支点を中心に回動することを特徴とする、請求項1ないし3のうちの何れか1項に記載の給紙装置。
【請求項5】
前記カバーを、先端部が前記トレイに対向する位置に向かう方向に付勢する付勢手段を備え、該付勢手段の付勢力により前記カバーに作用するモーメントは、該カバーが自重により前記支点を中心に回動する第1のモーメントよりも大きく、且つ、前記トレイが自重により開放状態に向かう方向に回動し、前記カバーの先端部との係合により該カバーを前記支点を中心に回動させる第2のモーメントよりも小さいことを特徴とする、請求項4に記載の給紙装置。
【請求項6】
前記カバーは、前記支点よりも基端側に突出する突出部を有し、
該突出部は、前記トレイの回動に伴い前記支点を中心に回動して、該トレイが開放状態となった場合に、該トレイと共にシートを積載可能であることを特徴とする、請求項4又は5に記載の給紙装置。
【請求項7】
前記カバーは、段差を有し、該段差よりも先端側の第1の面を基端側の第2の面よりも前記トレイが開放状態となる方向に位置させ、
該トレイは、開放状態で前記第1の面上に位置し、該トレイ及び前記第2の面によりシートを積載可能であることを特徴とする、請求項4ないし6のうちの何れか1項に記載の給紙装置。
【請求項8】
シートを供給する給紙部と、該給紙部を覆う状態と該給紙部を開放してシートを積載する開放状態との間を回動可能に支持されたトレイとを有する画像形成装置本体と、該画像形成装置本体に着脱可能で、該画像形成装置本体にシートを供給可能な給紙装置とを備えた画像形成装置において、
前記給紙装置が、請求項1ないし7のうちの何れか1項に記載の給紙装置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
シートを供給する給紙部を覆う状態と、該給紙部を開放してシートを積載する開放状態との間を回動可能に支持されたトレイを有する画像形成装置本体に着脱可能で、該画像形成装置本体にシートを供給可能な給紙装置において、
前記画像形成装置本体に装着した状態で、前記給紙部と対向し、且つ、開放状態の前記トレイと干渉しない位置に配置されてシートを収納可能なシート収納部と、
前記開放状態の前記トレイと干渉しない位置に配置され、前記シート収納部から前記画像形成装置本体にシートを搬送するシート搬送路と、
を備えたことを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
前記シート収納部に収納可能なシートよりも大きなシートを収納可能なラージサイズシート収納部を備え、
前記画像形成装置本体に装着した状態で、前記ラージサイズシート収納部は、前記給紙部及び前記シート収納部よりも下方で、該シート収納部よりも前記画像形成装置本体側に突出するように配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の給紙装置。
【請求項3】
前記シート搬送路は、1対のガイド板を備え、該両ガイド板の間でシートを搬送可能で、
前記両ガイド板は、前記シート収納部と前記給紙部との間を通過するように配置され、
前記給紙部側のガイド板は、一部に開閉可能な蓋を備え、
該蓋を開くことにより前記両ガイド板の間でジャムしたシートを取り出し可能としたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の給紙装置。
【請求項4】
前記シート収納部と前記給紙部との間に配置され、該シート収納部側の支点を中心として回動可能なカバーを備え、
該カバーは、前記トレイが前記給紙部を覆う状態で、先端部が該トレイと対向し、該トレイが開放状態に向かう方向に回動する際に、該トレイと前記先端部との係合により前記支点を中心に回動することを特徴とする、請求項1ないし3のうちの何れか1項に記載の給紙装置。
【請求項5】
前記カバーを、先端部が前記トレイに対向する位置に向かう方向に付勢する付勢手段を備え、該付勢手段の付勢力により前記カバーに作用するモーメントは、該カバーが自重により前記支点を中心に回動する第1のモーメントよりも大きく、且つ、前記トレイが自重により開放状態に向かう方向に回動し、前記カバーの先端部との係合により該カバーを前記支点を中心に回動させる第2のモーメントよりも小さいことを特徴とする、請求項4に記載の給紙装置。
【請求項6】
前記カバーは、前記支点よりも基端側に突出する突出部を有し、
該突出部は、前記トレイの回動に伴い前記支点を中心に回動して、該トレイが開放状態となった場合に、該トレイと共にシートを積載可能であることを特徴とする、請求項4又は5に記載の給紙装置。
【請求項7】
前記カバーは、段差を有し、該段差よりも先端側の第1の面を基端側の第2の面よりも前記トレイが開放状態となる方向に位置させ、
該トレイは、開放状態で前記第1の面上に位置し、該トレイ及び前記第2の面によりシートを積載可能であることを特徴とする、請求項4ないし6のうちの何れか1項に記載の給紙装置。
【請求項8】
シートを供給する給紙部と、該給紙部を覆う状態と該給紙部を開放してシートを積載する開放状態との間を回動可能に支持されたトレイとを有する画像形成装置本体と、該画像形成装置本体に着脱可能で、該画像形成装置本体にシートを供給可能な給紙装置とを備えた画像形成装置において、
前記給紙装置が、請求項1ないし7のうちの何れか1項に記載の給紙装置であることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−133663(P2011−133663A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−293085(P2009−293085)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】
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