給紙装置
【課題】溝内に配設されバネで押し上げられるピンチローラを有する給紙装置の異音の発生を防止すること。
【解決手段】搬送ローラ(10)に紙を押し付けるピンチローラ(60)が、ピンチローラケーシング(20)に形成された上流側壁(31)、下流側壁(32)、底部壁(33)とを有し、搬送ローラ側が開口され、搬送ローラの軸線に平行に延伸する溝(30)内に受容され、溝の底壁に形成されたバネ受容穴(40)に配設されたバネ(50)により搬送ローラに向かって押圧されている給紙装置において、ピンチローラケーシングの上面に良好な滑り性を有するフィルムが貼着され、ピンチローラケーシングの上面のピンチローラよりも上流側にはピンチローラへ近づくにつれて搬送ローラに接近する傾斜板(90)が配設される。
【解決手段】搬送ローラ(10)に紙を押し付けるピンチローラ(60)が、ピンチローラケーシング(20)に形成された上流側壁(31)、下流側壁(32)、底部壁(33)とを有し、搬送ローラ側が開口され、搬送ローラの軸線に平行に延伸する溝(30)内に受容され、溝の底壁に形成されたバネ受容穴(40)に配設されたバネ(50)により搬送ローラに向かって押圧されている給紙装置において、ピンチローラケーシングの上面に良好な滑り性を有するフィルムが貼着され、ピンチローラケーシングの上面のピンチローラよりも上流側にはピンチローラへ近づくにつれて搬送ローラに接近する傾斜板(90)が配設される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は給紙装置に関し、特に搬送ローラに紙を押し付けるピンチローラに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ等の給紙装置においては、印刷紙を送り出すために、例えばゴム製の、搬送ローラに紙を押し付けるためにピンチローラ(あるいはプレッシャローラともいう)が使用されることが多い。事務用のプリンタにおいては、スペース的に比較的余裕があること、また、印刷紙が大きいことから、例えば、特許文献1(実開平5−46455号公報)に記載のように、ピンチローラは端部に軸を有して形成され、バネによってこの軸を押圧するようにしたものが多い。
【0003】
ところで、近年、電気やガスの検針、あるいは、車内販売における領収証の発行、車内検札時の発券等のために携帯式の小型プリンタが数多く使用されるようになってきている。上記のように、このような小型のプリンタは移動しながら使用されることが多い。
【0004】
特に、紙ジャムの発生は、機器の使用が中断されるので、その解決が強く望まれている。
【0005】
【特許文献1】実開平5−46455号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記説明した問題のうち、印刷紙が搬送ローラ10とピンチローラ60の間をスムーズに通過せずピンチローラ60の上流または下流で紙ジャムを発生するという問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明によれば、搬送ローラと、該搬送ローラに紙を押し付けるピンチローラを有し、ピンチローラが、ピンチローラケーシングに形成された紙の移動方向の上流側にある上流側壁と、紙の移動方向の下流側にある下流側壁と、底部壁とを有し、搬送ローラ側が開口され、搬送ローラの軸線に平行に延伸する溝内に受容され、溝の底壁に形成されたバネ受容穴に配設されたバネにより搬送ローラに向かって押圧されている給紙装置であって、
ピンチローラケーシングの搬送ローラと対向する面の、ピンチローラの上流側、または、上流側および下流側に良好な滑り性を有するフィルムを貼着したことを特徴とする給紙装置が提供される。
【0008】
このような給紙装置では、印刷紙はピンチローラケーシングの搬送ローラと対向する面の、ピンチローラの上流側、または、上流側および下流側に貼着された良好な滑り性を有するフィルムにガイドされ搬送ローラとピンチローラの間をスムーズに通過する。
【0009】
請求項2の発明によれば、さらに、ピンチローラケーシングの上面のピンチローラよりも上流側にピンチローラへ近づくにつれて搬送ローラに接近する傾斜板を配設した給紙装置が提供される。
【0010】
請求項3の発明によれば、搬送ローラと、該搬送ローラに紙を押し付けるピンチローラを有し、ピンチローラが、ピンチローラケーシングに形成された紙の移動方向の上流側にある上流側壁と、紙の移動方向の下流側にある下流側壁と、底部壁とを有し、搬送ローラ側が開口され、搬送ローラの軸線に平行に延伸する溝内に受容され、溝の底壁に形成されたバネ受容穴に配設されたバネにより搬送ローラに向かって押圧されている給紙装置であって、
ピンチローラケーシングの上面のピンチローラよりも上流側にピンチローラへ近づくにつれて搬送ローラに接近する傾斜板を配設したことを特徴とする給紙装置が提供される。
【0011】
請求項2,3のような給紙装置では、印刷紙はピンチローラケーシングの上面のピンチローラよりも上流側に配設したピンチローラへ近づくにつれて搬送ローラに接近する傾斜板にガイドされて搬送ローラとピンチローラの間に導かれる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のようにすることにより、紙ジャムを発生することが防止される。
【0013】
各請求項に記載の発明は構造が簡単でコストがかからず、また、従来品へも容易に適用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
初めに、参考例について説明する。図1が第1の参考例の構造を示す図であって、搬送ローラ10は図示されない駆動手段、例えばモータ、によって矢印の方向に回転せしめられる。搬送ローラ10に対向して、ピンチローラケーシング20が配設されていて、ピンチローラケーシング20には溝30が形成されていて、溝30は、紙の動きの上流側の上流側壁31と、上流側壁に対向し紙の動きの下流側にある下流側壁32と、底部壁33を有する。底部壁33の中心線は搬送ローラ10の軸線の真下にあるようにされている。
【0015】
溝30の底部壁33の長手方向の中央付近に円形断面のコイルバネ受容穴40が形成されていて、コイルバネ受容穴40内にコイルバネ50が受容されている。コイルバネ50の上にピンチローラ60が配設され、ピンチローラ60はコイルバネ50により搬送ローラ10に向かって付勢され印刷紙100を搬送ローラ10に押し付ける。印刷紙100はこの実施の形態の場合は感熱紙であって、ピンチローラ60で搬送ローラ10に押し付けられた部分を通過して約半周後にサーマルヘッド70により印字される。
【0016】
ピンチローラ60に接するコイルバネ50の上端は図示のように、上流側が高く、下流側が低い、傾斜上端構造とされている。したがって、ピンチローラ60は常に下流側壁32に押圧され、上流側壁31との間を移動して異音を発生することがない。
【0017】
さらに、図2に示すように、上から見ると、”の”の字形状にされていて、”の”の字の中心線が長手方向に直角にされていて、コイルバネ50は、その中心でピンチローラ60を押圧し、押圧作用が安定すると、伴に、ピンチローラ60との接触面積が減少する。
【0018】
コイルバネ50は使用中に組立て時の設置方向からずれることは殆どないが、念のために、図3に示すように、コイルバネ受容穴40の底面41に内側が平行な2本の三日月状の突起42を形成し、その間に、コイルバネ50の下端部に形成した”の”の字の中心線部を配置すれば、万全である。なお、図3は、わかりやすくするために、コイルバネ受容穴40を軸に平行な平面で半分に切断し、かつ、溝30の構造がわかるように、右側は軸に直角な平面で切断して示してある。
【0019】
次に、第2の参考例について説明する。図4が第2の参考例の構成を示す図であって、この第2の参考例は、第1の参考例に加えて、溝30を下流側にオフセットさせたものである。このようにすることにより、ピンチローラ60が下流側から上流側に移動しようとしても、その際に、コイルバネ50を圧縮することが必要であり、その反力が抵抗となるので、さらに確実にピンチローラ60を下流側壁32に押し付けることができる。
【0020】
なお、第2の参考例は単独で使用することもできるが、コイルバネ50の上端が、第1の参考例とは逆向き、すなわち、下流側が高いようにされていると、作用が不安定になるので、少なくとも、水平に保つことが好ましい。
【0021】
また、従来からおこなわれているように、ピンチローラ60のコイルバネ50が当接する中央部分を縮径し、実際に印刷紙100を搬送ローラ10に押し付ける部分を太くすれば、コイルバネ50が当接する部分に印刷紙100のゴミ等がコイルバネ50に付着する可能性が低くなり誤作動が発生しにくい。
【0022】
次に、紙ジャムの発生を防止した本発明の実施の形態について説明する。図5が本発明の実施の形態の構造を図1と同様な見方で示す図であって、ピンチローラケーシング20の上流側上面21から下流側上面22に滑り性の良好な材料から成るガイドフィルム80Aを貼着したものである。このようにすることにより、例えば、印刷紙100が第1,2の参考例とは異なり、図示されるように、上方から進入するようにされていても、スムーズに搬送ローラ10とピンチローラ60の対向部に導かれ、その手前で紙ジャムを発生することが防止される。
【0023】
図6は図5の矢印VIの方向から見た図であり、図7は図5の矢印VIIの方向から見た図である。両図に示されるように、ピンチローラ60は中央部分が外側部分より縮径されており、ガイドフィルム80はこの縮径された部分に対応するように配設されており、ピンチローラ60と接触することはない。
【0024】
次に第2の実施の形態について説明する。図8が第2の実施の形態の特徴を説明する図であって、ピンチローラ60の軸方向の両方の端部まで拡大したガイドフィルム81を使用している点が異なる。なお、拡大された部分は下流側壁32に沿って溝30の内部に延伸している。図9は図8の矢印IXの方向から見た図であり、図10は図8の矢印Xの方向から見た図である。第2の実施の形態はこのように構成され第3の実施の形態よりも広範囲に印刷紙100がガイドされ、より確実に紙ジャムが防止される。
【0025】
次に第3の実施の形態について説明する。図11が第3の実施の形態の特徴を説明する図であって、ピンチローラケーシング20の溝30よりも上流側の上面に上流側が薄く、下流側が厚い、傾斜板90を設けたものである。傾斜板90はピンチローラケーシング20と一体に形成してもよいし、あるいは、適切な部材で別途成形したものを貼着、あるいは、接着してもよい。図12は図11の矢印XIIの方向から見た図であり、図12に示されるように、傾斜板90は溝30の軸方向の幅に亘って形成されている。第3の実施の形態はこのように構成され、印刷紙100は傾斜板90により搬送ローラ10とピンチローラ60の間に導入され紙ジャムの発生が防止できる。
【0026】
次に第4の実施の形態について説明する。図13が第3の実施の形態の特徴を説明する図であって、第3の実施の形態に加えて、ピンチローラ60の下流側に滑り性の良い材料から成るフィルム82を貼着したものである。フィルム82は溝30の全幅に亘って設けられ、下側は溝30内に延伸している。図14は図13の矢印XIVの方向から見た図であり、図12に示されるように、ガイド部材90は溝30の軸方向の幅に亘って形成されている。第3の実施の形態はこのように構成され、印刷紙100はガイド部材90により搬送ローラ10とピンチローラ60の間に導入され紙ジャムの発生が防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1の参考例の特徴を示す図である。
【図2】第1の参考例を搬送ローラを除去して上から見た図である。
【図3】第1の参考例の変形例におけるコイルバネの方向の固定の仕方を示す図である。
【図4】第2の参考例の特徴を示す図である。
【図5】第1の実施の形態の特徴を示す図である。
【図6】図5のVIの方向から見た図である。
【図7】図5のVIIの方向から見た図である。
【図8】第2の実施の形態の特徴を示す図である。
【図9】図8のIXの方向から見た図である。
【図10】図8のXの方向から見た図である。
【図11】第3の実施の形態の特徴を示す図である。
【図12】図11のXIIの方向から見た図である。
【図13】第4の実施の形態の特徴を示す図である。
【図14】図13のXIVの方向から見た図である。
【符号の説明】
【0028】
10 搬送ローラ
20 ピンチローラケーシング
30 溝
31 上流側壁
32 下流側壁
33 底部壁
40 コイルバネ受容穴
50 コイルバネ
60 ピンチローラ
70 サーマルプリンタ
80、81、82 フィルム
90 傾斜板
100 印刷紙
【技術分野】
【0001】
本発明は給紙装置に関し、特に搬送ローラに紙を押し付けるピンチローラに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ等の給紙装置においては、印刷紙を送り出すために、例えばゴム製の、搬送ローラに紙を押し付けるためにピンチローラ(あるいはプレッシャローラともいう)が使用されることが多い。事務用のプリンタにおいては、スペース的に比較的余裕があること、また、印刷紙が大きいことから、例えば、特許文献1(実開平5−46455号公報)に記載のように、ピンチローラは端部に軸を有して形成され、バネによってこの軸を押圧するようにしたものが多い。
【0003】
ところで、近年、電気やガスの検針、あるいは、車内販売における領収証の発行、車内検札時の発券等のために携帯式の小型プリンタが数多く使用されるようになってきている。上記のように、このような小型のプリンタは移動しながら使用されることが多い。
【0004】
特に、紙ジャムの発生は、機器の使用が中断されるので、その解決が強く望まれている。
【0005】
【特許文献1】実開平5−46455号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記説明した問題のうち、印刷紙が搬送ローラ10とピンチローラ60の間をスムーズに通過せずピンチローラ60の上流または下流で紙ジャムを発生するという問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明によれば、搬送ローラと、該搬送ローラに紙を押し付けるピンチローラを有し、ピンチローラが、ピンチローラケーシングに形成された紙の移動方向の上流側にある上流側壁と、紙の移動方向の下流側にある下流側壁と、底部壁とを有し、搬送ローラ側が開口され、搬送ローラの軸線に平行に延伸する溝内に受容され、溝の底壁に形成されたバネ受容穴に配設されたバネにより搬送ローラに向かって押圧されている給紙装置であって、
ピンチローラケーシングの搬送ローラと対向する面の、ピンチローラの上流側、または、上流側および下流側に良好な滑り性を有するフィルムを貼着したことを特徴とする給紙装置が提供される。
【0008】
このような給紙装置では、印刷紙はピンチローラケーシングの搬送ローラと対向する面の、ピンチローラの上流側、または、上流側および下流側に貼着された良好な滑り性を有するフィルムにガイドされ搬送ローラとピンチローラの間をスムーズに通過する。
【0009】
請求項2の発明によれば、さらに、ピンチローラケーシングの上面のピンチローラよりも上流側にピンチローラへ近づくにつれて搬送ローラに接近する傾斜板を配設した給紙装置が提供される。
【0010】
請求項3の発明によれば、搬送ローラと、該搬送ローラに紙を押し付けるピンチローラを有し、ピンチローラが、ピンチローラケーシングに形成された紙の移動方向の上流側にある上流側壁と、紙の移動方向の下流側にある下流側壁と、底部壁とを有し、搬送ローラ側が開口され、搬送ローラの軸線に平行に延伸する溝内に受容され、溝の底壁に形成されたバネ受容穴に配設されたバネにより搬送ローラに向かって押圧されている給紙装置であって、
ピンチローラケーシングの上面のピンチローラよりも上流側にピンチローラへ近づくにつれて搬送ローラに接近する傾斜板を配設したことを特徴とする給紙装置が提供される。
【0011】
請求項2,3のような給紙装置では、印刷紙はピンチローラケーシングの上面のピンチローラよりも上流側に配設したピンチローラへ近づくにつれて搬送ローラに接近する傾斜板にガイドされて搬送ローラとピンチローラの間に導かれる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のようにすることにより、紙ジャムを発生することが防止される。
【0013】
各請求項に記載の発明は構造が簡単でコストがかからず、また、従来品へも容易に適用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
初めに、参考例について説明する。図1が第1の参考例の構造を示す図であって、搬送ローラ10は図示されない駆動手段、例えばモータ、によって矢印の方向に回転せしめられる。搬送ローラ10に対向して、ピンチローラケーシング20が配設されていて、ピンチローラケーシング20には溝30が形成されていて、溝30は、紙の動きの上流側の上流側壁31と、上流側壁に対向し紙の動きの下流側にある下流側壁32と、底部壁33を有する。底部壁33の中心線は搬送ローラ10の軸線の真下にあるようにされている。
【0015】
溝30の底部壁33の長手方向の中央付近に円形断面のコイルバネ受容穴40が形成されていて、コイルバネ受容穴40内にコイルバネ50が受容されている。コイルバネ50の上にピンチローラ60が配設され、ピンチローラ60はコイルバネ50により搬送ローラ10に向かって付勢され印刷紙100を搬送ローラ10に押し付ける。印刷紙100はこの実施の形態の場合は感熱紙であって、ピンチローラ60で搬送ローラ10に押し付けられた部分を通過して約半周後にサーマルヘッド70により印字される。
【0016】
ピンチローラ60に接するコイルバネ50の上端は図示のように、上流側が高く、下流側が低い、傾斜上端構造とされている。したがって、ピンチローラ60は常に下流側壁32に押圧され、上流側壁31との間を移動して異音を発生することがない。
【0017】
さらに、図2に示すように、上から見ると、”の”の字形状にされていて、”の”の字の中心線が長手方向に直角にされていて、コイルバネ50は、その中心でピンチローラ60を押圧し、押圧作用が安定すると、伴に、ピンチローラ60との接触面積が減少する。
【0018】
コイルバネ50は使用中に組立て時の設置方向からずれることは殆どないが、念のために、図3に示すように、コイルバネ受容穴40の底面41に内側が平行な2本の三日月状の突起42を形成し、その間に、コイルバネ50の下端部に形成した”の”の字の中心線部を配置すれば、万全である。なお、図3は、わかりやすくするために、コイルバネ受容穴40を軸に平行な平面で半分に切断し、かつ、溝30の構造がわかるように、右側は軸に直角な平面で切断して示してある。
【0019】
次に、第2の参考例について説明する。図4が第2の参考例の構成を示す図であって、この第2の参考例は、第1の参考例に加えて、溝30を下流側にオフセットさせたものである。このようにすることにより、ピンチローラ60が下流側から上流側に移動しようとしても、その際に、コイルバネ50を圧縮することが必要であり、その反力が抵抗となるので、さらに確実にピンチローラ60を下流側壁32に押し付けることができる。
【0020】
なお、第2の参考例は単独で使用することもできるが、コイルバネ50の上端が、第1の参考例とは逆向き、すなわち、下流側が高いようにされていると、作用が不安定になるので、少なくとも、水平に保つことが好ましい。
【0021】
また、従来からおこなわれているように、ピンチローラ60のコイルバネ50が当接する中央部分を縮径し、実際に印刷紙100を搬送ローラ10に押し付ける部分を太くすれば、コイルバネ50が当接する部分に印刷紙100のゴミ等がコイルバネ50に付着する可能性が低くなり誤作動が発生しにくい。
【0022】
次に、紙ジャムの発生を防止した本発明の実施の形態について説明する。図5が本発明の実施の形態の構造を図1と同様な見方で示す図であって、ピンチローラケーシング20の上流側上面21から下流側上面22に滑り性の良好な材料から成るガイドフィルム80Aを貼着したものである。このようにすることにより、例えば、印刷紙100が第1,2の参考例とは異なり、図示されるように、上方から進入するようにされていても、スムーズに搬送ローラ10とピンチローラ60の対向部に導かれ、その手前で紙ジャムを発生することが防止される。
【0023】
図6は図5の矢印VIの方向から見た図であり、図7は図5の矢印VIIの方向から見た図である。両図に示されるように、ピンチローラ60は中央部分が外側部分より縮径されており、ガイドフィルム80はこの縮径された部分に対応するように配設されており、ピンチローラ60と接触することはない。
【0024】
次に第2の実施の形態について説明する。図8が第2の実施の形態の特徴を説明する図であって、ピンチローラ60の軸方向の両方の端部まで拡大したガイドフィルム81を使用している点が異なる。なお、拡大された部分は下流側壁32に沿って溝30の内部に延伸している。図9は図8の矢印IXの方向から見た図であり、図10は図8の矢印Xの方向から見た図である。第2の実施の形態はこのように構成され第3の実施の形態よりも広範囲に印刷紙100がガイドされ、より確実に紙ジャムが防止される。
【0025】
次に第3の実施の形態について説明する。図11が第3の実施の形態の特徴を説明する図であって、ピンチローラケーシング20の溝30よりも上流側の上面に上流側が薄く、下流側が厚い、傾斜板90を設けたものである。傾斜板90はピンチローラケーシング20と一体に形成してもよいし、あるいは、適切な部材で別途成形したものを貼着、あるいは、接着してもよい。図12は図11の矢印XIIの方向から見た図であり、図12に示されるように、傾斜板90は溝30の軸方向の幅に亘って形成されている。第3の実施の形態はこのように構成され、印刷紙100は傾斜板90により搬送ローラ10とピンチローラ60の間に導入され紙ジャムの発生が防止できる。
【0026】
次に第4の実施の形態について説明する。図13が第3の実施の形態の特徴を説明する図であって、第3の実施の形態に加えて、ピンチローラ60の下流側に滑り性の良い材料から成るフィルム82を貼着したものである。フィルム82は溝30の全幅に亘って設けられ、下側は溝30内に延伸している。図14は図13の矢印XIVの方向から見た図であり、図12に示されるように、ガイド部材90は溝30の軸方向の幅に亘って形成されている。第3の実施の形態はこのように構成され、印刷紙100はガイド部材90により搬送ローラ10とピンチローラ60の間に導入され紙ジャムの発生が防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1の参考例の特徴を示す図である。
【図2】第1の参考例を搬送ローラを除去して上から見た図である。
【図3】第1の参考例の変形例におけるコイルバネの方向の固定の仕方を示す図である。
【図4】第2の参考例の特徴を示す図である。
【図5】第1の実施の形態の特徴を示す図である。
【図6】図5のVIの方向から見た図である。
【図7】図5のVIIの方向から見た図である。
【図8】第2の実施の形態の特徴を示す図である。
【図9】図8のIXの方向から見た図である。
【図10】図8のXの方向から見た図である。
【図11】第3の実施の形態の特徴を示す図である。
【図12】図11のXIIの方向から見た図である。
【図13】第4の実施の形態の特徴を示す図である。
【図14】図13のXIVの方向から見た図である。
【符号の説明】
【0028】
10 搬送ローラ
20 ピンチローラケーシング
30 溝
31 上流側壁
32 下流側壁
33 底部壁
40 コイルバネ受容穴
50 コイルバネ
60 ピンチローラ
70 サーマルプリンタ
80、81、82 フィルム
90 傾斜板
100 印刷紙
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ローラと、該搬送ローラに紙を押し付けるピンチローラを有し、ピンチローラが、ピンチローラケーシングに形成された紙の移動方向の上流側にある上流側壁と、紙の移動方向の下流側にある下流側壁と、底部壁とを有し、搬送ローラ側が開口され、搬送ローラの軸線に平行に延伸する溝内に受容され、溝の底壁に形成されたバネ受容穴に配設されたバネにより搬送ローラに向かって押圧されている給紙装置であって、
ピンチローラケーシングの搬送ローラと対向する面の、ピンチローラの上流側、または、上流側および下流側に良好な滑り性を有するフィルムを貼着したことを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
さらに、ピンチローラケーシングの上面のピンチローラよりも上流側にピンチローラへ近づくにつれて搬送ローラに接近する傾斜板を配設した、ことを特徴とする請求項1の給紙装置。
【請求項3】
搬送ローラと、該搬送ローラに紙を押し付けるピンチローラを有し、ピンチローラが、ピンチローラケーシングに形成された紙の移動方向の上流側にある上流側壁と、紙の移動方向の下流側にある下流側壁と、底部壁とを有し、搬送ローラ側が開口され、搬送ローラの軸線に平行に延伸する溝内に受容され、溝の底壁に形成されたバネ受容穴に配設されたバネにより搬送ローラに向かって押圧されている給紙装置であって、
ピンチローラケーシングの上面のピンチローラよりも上流側にピンチローラへ近づくにつれて搬送ローラに接近する傾斜板を配設したことを特徴とする給紙装置。
【請求項1】
搬送ローラと、該搬送ローラに紙を押し付けるピンチローラを有し、ピンチローラが、ピンチローラケーシングに形成された紙の移動方向の上流側にある上流側壁と、紙の移動方向の下流側にある下流側壁と、底部壁とを有し、搬送ローラ側が開口され、搬送ローラの軸線に平行に延伸する溝内に受容され、溝の底壁に形成されたバネ受容穴に配設されたバネにより搬送ローラに向かって押圧されている給紙装置であって、
ピンチローラケーシングの搬送ローラと対向する面の、ピンチローラの上流側、または、上流側および下流側に良好な滑り性を有するフィルムを貼着したことを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
さらに、ピンチローラケーシングの上面のピンチローラよりも上流側にピンチローラへ近づくにつれて搬送ローラに接近する傾斜板を配設した、ことを特徴とする請求項1の給紙装置。
【請求項3】
搬送ローラと、該搬送ローラに紙を押し付けるピンチローラを有し、ピンチローラが、ピンチローラケーシングに形成された紙の移動方向の上流側にある上流側壁と、紙の移動方向の下流側にある下流側壁と、底部壁とを有し、搬送ローラ側が開口され、搬送ローラの軸線に平行に延伸する溝内に受容され、溝の底壁に形成されたバネ受容穴に配設されたバネにより搬送ローラに向かって押圧されている給紙装置であって、
ピンチローラケーシングの上面のピンチローラよりも上流側にピンチローラへ近づくにつれて搬送ローラに接近する傾斜板を配設したことを特徴とする給紙装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−179486(P2008−179486A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−111744(P2008−111744)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【分割の表示】特願2002−312845(P2002−312845)の分割
【原出願日】平成14年10月28日(2002.10.28)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【分割の表示】特願2002−312845(P2002−312845)の分割
【原出願日】平成14年10月28日(2002.10.28)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】
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