説明

給紙装置

【課題】前当部におけるシートの跳ね返りを抑制してシートの位置決めを適正に行い得る給紙装置を提供すること。
【解決手段】この給紙装置2は、シートSを搬送するフィーダ22と、シートSを位置決めする前当部23とを備えている。また、給紙装置2は、フィーダ22により搬送されたシートSを前当部23に当ててシートSを位置決めする。また、給紙装置2は、シートSの搬送方向に対して前当部23よりも上流側かつシートSの鉛直方向下面に接触する位置に配置されると共に、前当部23にて跳ね返ったシートSに対して接触抵抗を有する接触抵抗部25を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、給紙装置に関し、さらに詳しくは、前当部におけるシートの跳ね返りを抑制してシートの位置決めを適正に行い得る給紙装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の給紙装置は、シートを載せて搬送するフィーダと、シートを位置決めする前当部とを備えており、フィーダにより搬送されたシートを前当部に当ててシートの位置決めを行っている。かかる構成を採用する従来の給紙装置として、特許文献1に記載される技術が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−206057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の給紙装置では、フィーダにより搬送されたシートが前当部に当たって跳ね返り、シートの位置決めが適正に行われない場合がある。すると、印刷部へのシートの給紙タイミングがずれて、印刷不良や給紙不良が発生するおそれがある。
【0005】
そこで、この発明は、上記に鑑みてされたものであって、前当部におけるシートの跳ね返りを抑制してシートの位置決めを適正に行い得る給紙装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、この発明にかかる給紙装置は、シートを搬送するフィーダと、シートを位置決めする前当部とを備え、且つ、前記フィーダにより搬送されたシートを前記前当部に当ててシートを位置決めする給紙装置であって、シートの搬送方向に対して前記前当部よりも上流側かつシートの鉛直方向下面に接触する位置に配置されると共に前記前当部にて跳ね返ったシートに対して接触抵抗を有する接触抵抗部を有することを特徴とする。
【0007】
この給紙装置は、フィーダから搬送されたシートが前当部に当たって位置決めされるときに、接触抵抗部がシートに接触する。すると、接触抵抗部との接触抵抗により、前当部からのシートの跳ね返りが抑制される。これにより、前当部によるシートの位置決めが適正に行われるので、印刷不良や給紙不良が抑制される利点がある。また、かかる構成では、接触抵抗部がシートの鉛直方向下面に接触するので、シートの自重によりシートと接触抵抗部との接触が適正に確保される。したがって、接触抵抗部がシートの鉛直方向上面から接触する構成と比較して、接触抵抗部をシートに接触させるための押圧力が不要となる。これにより、装置構成が簡素化されると共にシートの進行に対する接触抵抗部の影響が低減される利点がある。
【0008】
また、この発明にかかる給紙装置は、前記接触抵抗部が繊維方向を前記前当部側に傾斜させた絨毯状部材により構成される。
【0009】
この給紙装置では、接触抵抗部の抵抗が前当部側に向かって作用するので、シートが前当部に当たった後は接触抵抗部の抵抗によってシートの跳ね返りが抑制され、逆に、シートがフィーダから前当部に向かうときはシートの進行が接触抵抗部によって阻害されない。したがって、シートの搬送を妨げることなく、前当部におけるシートの跳ね返りが効果的に抑制される利点がある。
【0010】
また、この発明にかかる給紙装置は、前記接触抵抗部がシートの搬送経路上であって前記フィーダと前記前当部との間に配置される。
【0011】
この給紙装置では、接触抵抗部が前当部の近傍に配置されるので、前当部におけるシートの跳ね返りが効果的に抑制される利点がある。
【0012】
また、この発明にかかる給紙装置は、前記接触抵抗部が前記フィーダ上に配置される。
【0013】
この給紙装置では、接触抵抗部がフィーダ上に配置されるので、前当部におけるシートの跳ね返りが効果的に抑制される利点がある。
【0014】
また、この発明にかかる給紙装置は、シートの浮き上がりを防止する浮上防止部が前記前当部の近傍に配置される。
【0015】
この給紙装置では、前当部の近傍におけるシートの浮き上がりが防止されるので、シートと接触抵抗部との接触が適正に確保される。これにより、前当部におけるシートの跳ね返りが効果的に抑制される利点がある。
【発明の効果】
【0016】
この発明にかかる給紙装置は、フィーダから搬送されたシートが前当部に当たって位置決めされるときに、接触抵抗部がシートに接触する。すると、接触抵抗部との接触抵抗により、前当部からのシートの跳ね返りが抑制される。これにより、前当部によるシートの位置決めが適正に行われるので、印刷不良や給紙不良が抑制される利点がある。また、かかる構成では、接触抵抗部がシートの鉛直方向下面に接触するので、シートの自重によりシートと接触抵抗部との接触が適正に確保される。したがって、接触抵抗部がシートの鉛直方向上面から接触する構成と比較して、接触抵抗部をシートに接触させるための押圧力が不要となる。これにより、装置構成が簡素化されると共にシートの進行に対する接触抵抗部の影響が低減される利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施例の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施例に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
【実施例】
【0018】
図1は、この発明の実施例にかかる給紙装置を示す構成図である。図2および図3は、図1に記載した給紙装置の接触抵抗部を示す説明図である。図4〜図6は、図1に記載した給紙装置の変形例を示す説明図である。図7は、一般的な印刷機を示す構成図である。
【0019】
[印刷機]
この給紙装置2は、例えば、枚葉印刷機に適用される(図7参照)。この印刷機1は、給紙装置2と、印刷装置3と、排紙装置4とを有する。この印刷機1では、まず、シートSが給紙装置2から印刷装置3に供給する。次に、このシートSに対して印刷装置3の各印刷ユニット31〜34により多色印刷が施される。次に、このシートSが排紙装置4に送られて搬出される。これにより、シートSへの印刷が行われる。
【0020】
[給紙装置]
給紙装置2は、セパレータ21と、フィーダ22と、前当部23とを有する(図1参照)。セパレータ21は、給紙パイル24内のシートSをフィーダ22に供給する。フィーダ22は、シートSを吸着できる搬送ベルト221を有し、この搬送ベルト221上にシートSを載せて搬送する(図2参照)。また、搬送ベルト221は、セパレータ21側から前当部23側に向かって下り方向に傾斜している。前当部23は、シートSを位置決めする部材(ストッパー)であり、シートSの搬送方向に対してフィーダ22の下流側に配置される。
【0021】
この給紙装置2では、まず、給紙パイル24内のシートSがセパレータ21により取り出されて1枚ずつフィーダ22に供給される。次に、これらのシートSがフィーダ22の搬送ベルト221上に載せられて搬送され、前当部23に当たって位置決めされる。そして、シートSが印刷ユニット31の給紙胴311の爪(図示省略)にくわえられて印刷ユニット31内に取り込まれる。
【0022】
[給紙装置の接触抵抗部]
また、この給紙装置2は、接触抵抗部25を有する(図1〜図3参照)。接触抵抗部25は、前当部23にて跳ね返ったシートSに対して接触抵抗を有する部材であり、シートSの搬送方向に対して前当部23よりも上流側に配置される。また、接触抵抗部25は、シートSが前当部23に当接した状態にてシートSの鉛直方向下面に接触するように配置される。
【0023】
かかる構成では、フィーダ22から搬送されたシートSが前当部23に当たって位置決めされるときに、接触抵抗部25がシートSに接触する(図1および図3参照)。すると、接触抵抗部25との接触抵抗により、前当部23からのシートSの跳ね返りが抑制される。これにより、前当部23によるシートSの位置決めが適正に行われるので、印刷不良や給紙不良が抑制される利点がある。また、かかる構成では、接触抵抗部25がシートSの鉛直方向下面に接触するので、シートSの自重によりシートSと接触抵抗部25との接触が適正に確保される。したがって、接触抵抗部がシートSの鉛直方向上面から接触する構成と比較して、接触抵抗部をシートSに接触させるための押圧力が不要となる。これにより、装置構成が簡素化されると共にシートSの進行に対する接触抵抗部の影響が低減される利点がある。
【0024】
例えば、この実施例では、接触抵抗部25が繊維方向を前当部23側に傾斜させた絨毯状部材により構成されている(図3参照)。具体的には、接触抵抗部25が植毛シートを貼り付けた板状部材から成り、その植毛シート側の面をシートSの鉛直方向下面側に向けて配置されている。また、その植毛シートが繊維方向を前当部23側(シートSの搬送方向に対して逆側)に傾斜させている。また、植毛シートは、例えば、レーヨン繊維、ナイロン繊維などの繊維材により構成されている。かかる構成では、接触抵抗部25の抵抗が前当部23側に向かって作用するので、シートSが前当部23に当たった後は接触抵抗部25の抵抗によってシートSの跳ね返りが抑制され、逆に、シートSがフィーダ22から前当部23に向かうときはシートSの進行が接触抵抗部25によって阻害されない。したがって、シートSの搬送を妨げることなく、前当部23におけるシートSの跳ね返りが効果的に抑制される利点がある。
【0025】
なお、上記に限らず、シートSの搬送方向かつ鉛直方向の断面視にて、接触抵抗部25が複数の突起部を配列して成る形状を有し、その突起部の頂点を前当部23側に向けて配置されても良い(図4参照)。例えば、図4に示す例では、接触抵抗部25が先端を丸めた鋸型の断面形状を有している。
【0026】
また、この実施例では、接触抵抗部25がシートSの搬送経路上であってフィーダ22と前当部23との間に配置されている(図2参照)。具体的には、フィーダ22と前当部23との間に板状部材が配置され、この板状部材の上面(シートSの搬送経路側面)に接触抵抗部25である植毛シートが貼り付けられている。かかる構成では、接触抵抗部25が前当部23の近傍に配置されるので、前当部23におけるシートSの跳ね返りが効果的に抑制される利点がある。
【0027】
しかし、これに限らず、接触抵抗部25がフィーダ22上に配置されても良い(図5参照)。例えば、図5に示す例では、接触抵抗部25がフィーダ22上であって搬送ベルト221を除く領域に配置されている。さらに、接触抵抗部25がフィーダ22と前当部23との間ならびにフィーダ22上の双方に配置されても良い(図6参照)。これらの構成としても、前当部23におけるシートSの跳ね返りが効果的に抑制される利点がある。
【0028】
また、この給紙装置2では、シートSの浮き上がりを防止する浮上防止部26が前当部23の近傍に配置されることが好ましい(図1参照)。かかる構成では、前当部23の近傍におけるシートSの浮き上がりが防止されるので、シートSと接触抵抗部25との接触が適正に確保される。これにより、前当部23におけるシートSの跳ね返りが効果的に抑制される利点がある。
【0029】
例えば、この実施例では、接触抵抗部25がフィーダ22と前当部23との間であってシートSの搬送経路に対して鉛直下方に配置されており、浮上防止部26がこの接触抵抗部25に対抗するようにシートSの搬送経路に対して鉛直上方に配置されている(図1参照)。また、浮上防止部26がヘラ状部材により構成されている。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上のように、この発明にかかる給紙装置は、前当部におけるシートの跳ね返りを抑制してシートの位置決めを適正に行い得る点で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の実施例にかかる給紙装置を示す構成図である。
【図2】図1に記載した給紙装置の接触抵抗部を示す説明図である。
【図3】図1に記載した給紙装置の接触抵抗部を示す説明図である。
【図4】図1に記載した給紙装置の変形例を示す説明図である。
【図5】図1に記載した給紙装置の変形例を示す説明図である。
【図6】図1に記載した給紙装置の変形例を示す説明図である。
【図7】一般的な印刷機を示す構成図である。
【符号の説明】
【0032】
1 印刷機
2 給紙装置
3 印刷装置
31〜34 印刷ユニット
311 給紙胴
4 排紙装置
21 セパレータ
22 フィーダ
221 搬送ベルト
23 前当部
24 給紙パイル
25 接触抵抗部
26 浮上防止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送するフィーダと、シートを位置決めする前当部とを備え、且つ、前記フィーダにより搬送されたシートを前記前当部に当ててシートを位置決めする給紙装置であって、
シートの搬送方向に対して前記前当部よりも上流側かつシートの鉛直方向下面に接触する位置に配置されると共に前記前当部にて跳ね返ったシートに対して接触抵抗を有する接触抵抗部を有することを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
前記接触抵抗部が繊維方向を前記前当部側に傾斜させた絨毯状部材により構成される請求項1に記載の給紙装置。
【請求項3】
前記接触抵抗部がシートの搬送経路上であって前記フィーダと前記前当部との間に配置される請求項1または2に記載の給紙装置。
【請求項4】
前記接触抵抗部が前記フィーダ上に配置される請求項1〜3のいずれか一つに記載の給紙装置。
【請求項5】
シートの浮き上がりを防止する浮上防止部が前記前当部の近傍に配置される請求項1〜4のいずれか一つに記載の給紙装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−100402(P2010−100402A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−273468(P2008−273468)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】