説明

給電切替装置、給電切替装置制御方法、及び給電制御プログラム

【課題】 コンピュータ装置からそのコンピュータ装置に接続されたUSBデバイスに電力を供給する状態と、遮断する状態を、USBデバイスがコンピュータ装置に接続された状態を保ったまま切り替える、給電切替装置を提供する。
【解決手段】 本発明の給電切替装置は、電力を供給するUSBパワーバス及びUSBコネクタに接続され、前記USBパワーバスから前記USBコネクタへの給電を行う通電状態と、前記USBパワーバスから前記USBコネクタへの給電を遮断する遮断状態を切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電力を供給する状態と遮断する状態を切り替える給電切替装置に関し、特に、USB(Universal Serial Bus)コネクタの電源ピンに供給する電力を供給する状態と遮断する状態を切り替える給電切替装置に関する。
【背景技術】
【0002】
まず、通常のコンピュータシステムの構成について図面を参照して説明する。
【0003】
図7は通常のコンピュータシステムの構成を表すブロック図である。
【0004】
図7を参照すると、図7のコンピュータシステムは、コンピュータ装置90と、USBデバイス3を含む。
【0005】
コンピュータ装置90は、制御部11と、USBコネクタ12を含む。コンピュータ装置90は、さらに、入力部2を含んでいてもよい。
【0006】
USBデバイス3とUSBコネクタ12は、USBケーブルを介して接続されていてもよく、USBデバイス3が備える、USBコネクタ12と嵌合する図示しないコネクタを介して接続されていてもよい。また、コンピュータ装置90は、USBデバイス3に対して、USBコネクタ12を介して電力を供給する。一般に、USBデバイスには、USBコネクタ12を介して供給される電力のみで動作する装置と、他の電源装置等から供給される電力を使用して動作する装置がある。
【0007】
制御部11及びUSBコネクタ12は、USBデータバス101及びUSBパワーバス100により接続されている。なお、USBデータバスは、USBのうち、データの送受信を行う部分である。また、USBパワーバスは、USBのうち、電力を供給する部分である。制御部11は、USBパワーバス100を介して、USBコネクタ12に接続されているUSBデバイス3に電力を供給する。また、制御部11は、USBデータバス101を介して、USBコネクタ12に接続されているUSBデバイス3に対して命令を送信し、USBデバイス3との間でデータ等を送受信する。
【0008】
特許文献1には、共通起動制御部と複数のUSBデバイスを含むUSB装置が記載されている。USB装置は、USBケーブルによってホストコンピュータに接続される。各USBデバイスは、単独でホストコンピュータと接続しても動作するハードディスクやフラッシュメモリなどである。共通起動制御部と各USBデバイスには、USBケーブルを経て電源が供給される。
【0009】
各USBデバイスは、USBコントローラと、CPU(Central Processing Unit)を含む。
【0010】
各USBデバイスは、電源の入力部とUSBコントローラの間に、USBコントローラと第2の電源スイッチに電源を供給する第1の電源スイッチを備える。共通起動制御部が各USBデバイスの第1の電源スイッチのオンオフ制御を行う。また、各USBデバイスは、USBコントローラとCPUの間に、CPUと第3の電源スイッチに電源を供給する第2の電源スイッチを備える。各USBデバイスのUSBコントローラが第2の電源スイッチのオンオフ制御を行う。
【0011】
共通起動制御部は、制御部電源スイッチと、起動制御テーブルと、電源制御部を含む。制御部電源スイッチは、USBケーブルを経て供給される電源を起動制御テーブル及び電源制御部に供給する。制御部電源スイッチは、各USBデバイスのCPUによりオンオフ制御される。起動制御テーブルには、各USBデバイスの起動優先順位と起動状態(オン又はオフ)と、マスターとなるUSBデバイスの情報が記憶される。
【0012】
初期状態では、所定の一つのUSBデバイスの第1のスイッチがオン状態である。起動制御テーブルに従って各USBデバイスが起動した後は、複数のUSBデバイスがホストコンピュータと接続されて動作する。
【0013】
ホストコンピュータから全てのUSBデバイスを省電力状態に移行させる指示があった場合、マスターUSBデバイスのUSBコントローラに電源を供給する第1の電源スイッチ以外の全ての電源スイッチがオフになる。ホストコンピュータから省電力状態から復帰させる指示があった場合、前述の接続時と同様の処理が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2007−310647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
図7に示すコンピュータ装置90にUSBデバイス3が接続されている場合、コンピュータ装置90の電源がオンである間、制御部11は、USBパワーバス100及びUSBコネクタ12を介して、USBデバイス3に対して常に電力が供給する。
【0016】
しかし、図7に示すコンピュータ装置90は、USBコネクタ12に接続されたUSBデバイス3に対して電力を供給する状態と、遮断する状態を、USBデバイス3がUSBコネクタ12に接続された状態を保ったまま、切り替えることはできない。
【0017】
特許文献1に記載のホストコンピュータは、そのホストコンピュータにUSBケーブルにより接続されたUSB装置が含む少なくともいずれか一つのUSBデバイスに、常に電力を供給する。
【0018】
特許文献1に記載の技術は、USBケーブルを介してホストコンピュータに接続されたUSB装置に対して電力を供給する状態と、遮断する状態を、USB装置がホストコンピュータに接続された状態を保ったまま、切り替えることはできない。
【0019】
本発明の目的は、コンピュータ装置からそのコンピュータ装置に接続されたUSBデバイスに電力を供給する状態と、遮断する状態を、USBデバイスがコンピュータ装置に接続された状態を保ったまま切り替える、給電切替装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の給電切替装置は、電力を供給するUSB(Universal Serial Bus)パワーバス及びUSBコネクタに接続され、前記USBパワーバスから前記USBコネクタへの給電を行う通電状態と、前記USBパワーバスから前記USBコネクタへの給電を遮断する遮断状態を切り替える。
【発明の効果】
【0021】
本発明には、コンピュータ装置からそのコンピュータ装置に接続されたUSBデバイスに対するアクセスのうち、USBにより供給される電力のみで動作するUSBデバイスに対するアクセスを、選択的に遮断することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1の実施形態の構成を表すブロック図である。
【図2】第1の実施形態の給電切替装置10の構成を表すブロック図である。
【図3】第1の実施形態の、給電状態への切り替え時の動作を表すフローチャートである。
【図4】第1の実施形態の、遮断状態への切り替え時の動作を表すフローチャートである。
【図5】第2の実施形態の構成を表すブロック図である。
【図6】第2の実施形態の動作を表すフローチャートである。
【図7】通常のコンピュータの構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
図1は本実施形態に係るコンピュータシステムの構成の例を表すブロック図である。図1に示すコンピュータシステムは、コンピュータ装置1と、入力部2と、USBデバイス3を含む。
【0025】
コンピュータ装置1は、給電切替装置10と、制御部11と、USBコネクタ12を含む。
【0026】
給電切替装置10は、USBコネクタ12に接続される装置に電力の供給を行うためのUSBパワーバス100と、USBコネクタ12に接続されている。給電切替装置10は、USBパワーバス100からUSBコネクタ12への給電を行う給電状態と、USBパワーバス100からUSBコネクタ12への給電を遮断する遮断状態とを切り替える。
【0027】
また、給電切替装置10は、例えばGPIO102(General Puropose Input/Output)により、制御部11と接続されている。給電切替装置10は、例えばGPIO102を介して、制御部11から遮断状態にする指示(遮断状態指示)及び給電状態に切り替える指示(給電状態移行指示)を受信する。GPIO102は、CPU等からアクセスすることが可能な汎用入出力インタフェースである。給電切り替え装置10は、GPIO102ではなく、遮断状態にする指示及び給電状態に切り替える指示の送信専用の通信路により、制御部11に接続されていてもよい。給電切替装置10は、制御部11から遮断状態にする指示を受信すると、遮断状態になる。また、給電切替装置10は、制御部11から給電状態に切り替える指示を受信すると、給電状態になる。なお、コンピュータ装置1の電源投入直後や再起動直後のを含む初期状態では、給電切替装置10は遮断状態となる構成にすることができる。この場合、制御部11が給電切替装置10にいずれの指示も送信しなければ、給電切替装置10は遮断状態を継続する。
【0028】
図2は、給電切替装置10を表すブロック図である。
【0029】
図2を参照すると、給電切替装置10は、USBパワーバス100とUSBコネクタ12の電源ピン122に接続された、パワースイッチ110を含む。給電切替装置10が給電状態である場合、パワースイッチ110は結線される。また、給電切替装置10が遮断状態の場合、パワースイッチ110は開放される。
【0030】
図1及び図2では、USBパワーバス100は制御部11に接続され、制御部11がUSBパワーバス100を介して電力の供給を行う構成になっている。しかし、USBパワーバス100は、制御部11ではなく、図示しない電源装置のような、電力の供給を行うことができる構成要素に接続されていてもよい。
【0031】
制御部11は、初期状態では、例えば前述のようにGPIO102を介して、遮断状態にする指示を給電切替装置10に送信し、給電切替装置10を遮断状態にしておけばよい。前述のように、初期状態は、コンピュータ装置1の電源をオンにした直後及びコンピュータ装置1の再起動を行った直後を含む。制御部11は、後述の入力部2がUSBデバイス3に対して給電の指示(給電装置10を給電状態にするための指示)を入力した場合、例えばGPIO102を介して、給電切替装置10に対し、給電状態に切り替える指示を送信すればよい。
【0032】
なお、GPIO102は、例えばEnable及びDisableの状態を取りうる構成にすることができる。そして、給電切替装置10は、GPIO102がEnableの場合、給電状態になり、GPIO102がDisableの場合、遮断状態になる構成にすることができる。この場合、制御部11は、GPIO102をEnableにすることで、給電切替装置10に給電状態に切り替える指示を送る。また、制御部11は、GPIO102をDisableにすることで、給電切替装置10に遮断状態になる指示を送る。制御部11は、初期状態ではGPIO102をDisableの状態になる構成にすることで、初期状態で給電装置10を遮断状態にすることができる。
【0033】
また、制御部11は、USBコネクタ12に接続された、USBデバイス3とデータの送受信を行うためのUSBデータバス101に接続され、USBデバイス3との間でデータの送受信を行う構成になっていてもよい。この場合、図2に示すように、USBデータバス101は、制御部11と、USBコネクタ12のデータピン121に接続されていればよい。なお、USBデータバス101及びデータピン121は、データの送受信に必要な数だけ存在していればよい。
【0034】
入力部2は、例えばキーボードなどの入力装置である。入力部2は、コンピュータ装置1に含まれていてもよい。
【0035】
USBデバイス3は、USBによりコンピュータ装置1に接続可能な、例えば、フラッシュメモリなどの記憶装置である。USBデバイス3は、USBコネクタ12を介して供給される電力によって動作する。USBデバイス3は、例えば、コンピュータ装置1の筐体の内部にあるUSBコネクタ12に接続され、コンピュータ装置1の筐体の内部に含まれているUSBメモリなどの記憶装置である。また、USBデバイス3は、例えばコンピュータ装置1の筐体の外側に向けて取り付けられたUSBコネクタ12に接続されていてもよい。
【0036】
次に、本実施形態の動作について図面を参照して詳細に説明する。
【0037】
図3は、本実施形態の、遮断状態から給電状態への切り替え時の動作を表すフローチャートである。
【0038】
前述のように、初期状態では、制御部11は給電切替装置10を遮断状態にしている。
【0039】
図3を参照すると、まず、制御部11は、入力部2から、遮断の指示(給電切替装置10を遮断状態にする指示)あるいは給電の指示を受信する(ステップS11)。遮断の指示や給電の指示は、ユーザやオペレータ等が入力部2を介して入力した指示である。制御部11は、コンピュータ装置1が表示を行う表示装置に、遮断の指示又は給電の指示の入力を促す表示を行ってもよい。ユーザやオペレータ等は、例えば、キーボード等の入力部2を操作することで、遮断の指示又は給電の指示の入力を行えばよい。ユーザやオペレータ等は、遮断の指示及び給電の指示のそれぞれに予め割り当てられた特定のキーのいずれかを押下することで、遮断の指示又は給電の指示を行うこともできる。また、制御部11は、給電の指示が行われなかった場合、遮断の指示が行われたとみなすこともできる。例えば、ユーザやオペレータ等は、所定の時間何も入力しないことにより、例えば遮断の指示を行うことにしてもよい。この場合、ステップS11において、制御部11は、例えば指示の入力を促す表示を行ってから所定の時間内に、いずれの指示も入力されなかった場合、遮断の指示を受信したとみなせばよい。また、制御部11は、遮断の指示や給電の指示でない入力が行われた場合、遮断の指示を受信したとみなしてもよい。
【0040】
制御部11が受信した指示が給電の指示でない場合(ステップS12、N)、制御部11は処理を終了する。
【0041】
制御部11が受信した指示が給電の指示である場合(ステップS12、Y)、制御部11は、例えばGPIO102を介して、給電状態に切り替える指示を給電切替装置10に送信して、給電切替装置10を給電状態に切り替える(ステップS13)。
【0042】
給電切替装置10は、給電状態に切り替える指示を受信すると、例えばパワースイッチ110を結線して、USBコネクタ12に対して電力を供給する(ステップS14)。USBコネクタ12に対して電力を供給されると、USBコネクタ12に接続されたUSBデバイス3は、USBコネクタ12を介して電力を供給されて動作を開始する。
【0043】
また、ユーザやオペレータなどは、USBデバイス3が必要なくなった場合、入力部2を介して指示を行うことで、給電切替装置10を遮断状態にすればよい。
【0044】
図4は、給電状態から遮断状態に切り替わる場合の本実施形態の動作を表すフローチャートである。この場合、処理の開始時において給電切替装置10は給電状態である。
【0045】
図4を参照すると、まずオペレータ等が、入力部2に対して遮断の指示を入力する(ステップS15)。
【0046】
制御部11が入力部2から受信した指示が遮断の指示である場合(ステップS16、Y)、制御部11は、給電切替装置10に対して遮断状態にする指示を送信する(ステップS17)。制御部11が入力部2から受信した指示が遮断の指示でない場合(ステップS16、N)、処理は終了する。
【0047】
給電切替装置10は、遮断状態にする指示を受信すると、例えばパワースイッチ110を開放して、USBコネクタ12に対する給電を停止する(ステップS18)。USBコネクタ12を介した給電が停止すると、USBデバイス3は動作を停止する。なお、USBデバイス3に対する給電の停止前に、コンピュータ装置1とUSBデバイス3の通信を終了する処理が必要な場合、オペレータ等は、遮断の指示を入力する前に、コンピュータ装置1とUSBデバイス3の通信を終了させる処理を行っておけばよい。
【0048】
以上で説明した本実施形態には、コンピュータ装置1からコンピュータ装置1に接続されたUSBデバイスに対するアクセスのうち、コンピュータ装置1からUSBにより供給される電力のみで動作するUSBデバイスに対するアクセスを、選択的に遮断することができるという第1の効果がある。
【0049】
その理由は、給電切替装置10が、USBコネクタ12を介してUSBデバイス3に電力を供給する状態と、遮断する状態を切り替えるからである。コンピュータ装置1が、USBコネクタ12を介したUSBデバイス3への電力の供給を遮断すると、USBにより供給される電力のみで動作するUSBデバイスは動作を停止する。この場合、コンピュータ装置1からUSBにより供給される電力のみで動作するUSBデバイスへのアクセスは遮断される。一方、コンピュータ装置1からUSBにより供給される電力の有無に関わらず、他の電源装置から電力の供給を受けて動作するUSBデバイスは、コンピュータ装置1がUSBコネクタ12を介した電力の供給を遮断しても、動作を継続する。この場合、コンピュータ装置1から、他の電源装置から電力の供給を受けて動作するUSBデバイスへのアクセスは遮断されない。
【0050】
また、本実施形態のコンピュータ装置1には、コンピュータ装置1に接続された、コンピュータ装置1からUSBにより供給される電力のみで動作するUSBデバイス3に対する、意図しない操作や悪意ある操作によるアクセスを遮断することができるという第2の効果がある。
【0051】
さらに、本実施形態には、消費電力を削減できるという第3の効果がある。
【0052】
その理由は、オペレータ等が入力部2を介した指示に応じて、制御部11が給電切替装置10に対し給電状態に切り替える指示又は遮断状態にする指示を送信するからである。給電切替装置10は、制御部11から受信した指示に応じて、USBコネクタ12を介してUSBデバイス3に電力を供給する状態又は遮断する状態になる。
【0053】
オペレータ等は、USBデバイス3にアクセスする必要がない場合、給電切替装置10を遮断状態にしておくことで、コンピュータ装置1からUSBデバイス3へのアクセスを遮断することができる。また、オペレータ等は、USBデバイス3にアクセスする必要ない場合、給電切替装置10を遮断状態にしておくことで、USBデバイス3に電力を消費させないことができる。
【0054】
次に、本発明の第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0055】
図5は、本実施形態に係るコンピュータシステムの構成の例を表すブロック図である。
【0056】
本実施形態の構成は、図1に示す第1の実施形態の構成と比較すると、コンピュータ装置1及びUSBデバイス3がそれぞれコンピュータ装置50及びUSBデバイス30に置き換わる点が異なる。また、コンピュータ装置50が制御部11に接続されたフラグ記憶部13を含む点と、コンピュータ装置50がBMC14(Baseboad Management Controller)を含んでいてよい点が異なる。以下では、本実施形態と第1の実施形態の相違点を中心に説明を行う。
【0057】
フラグ記憶部13は、例えばUSBメモリであるUSBデバイス30が、コンピュータ装置50に接続されているか否かを表す情報であるフラグを記憶する。
【0058】
前述のように、例えばサーバなどのコンピュータ装置の筐体内部にあるUSBコネクタに接続されたUSBメモリには、例えばメンテナンス用ソフトウェアを格納しているものが存在する。
【0059】
フラグ記憶部13は、例えばメンテナンス用ソフトウェアを格納するUSBメモリ等のUSBデバイス30が、USBによりコンピュータ装置50に接続されているか否かを表すフラグを、予め記憶している。例えば、コンピュータ装置50にこのようなUSBデバイス30を接続したオペレータ等が、予めフラグ記憶部13にフラグを記憶させておけばよい。フラグ記憶部13は、不揮発性メモリによって実現することができる。
【0060】
本実施形態のフラグは、2個以上の値を取ることができればよい。本実施形態に記載する例では、フラグは、「有効」及び「無効」を表す値を取ることができる。以下の説明では、「フラグが有効」が、コンピュータ装置50にUSBデバイス30が接続されていることを表す。また、「フラグが有効でない」が、コンピュータ装置50にUSBデバイス30が接続されていないことを表す。ただし、フラグの「有効」及び「無効」と、コンピュータ装置50にUSBデバイス30が接続接続されているか否かとの対応付けは、逆であってもよい。
【0061】
フラグ記憶部13は、BMC14を介して、制御部11に接続されていてもよい。BMC14は、標準規格であるIPMI(Intelligent Platform Management Interface)使用に基づいて動作する管理コントローラである。この場合、制御部11とBMC14は、例えばバスにより接続されていればよい。また、BMC14とフラグ記憶部13は、例えばSPI(Serial Periferal Interfece)により接続することができる。SPIはコンピュータ内部で一般的に使われるバスである。
【0062】
本実施形態の制御部11は、フラグ記憶部13から読み出したフラグが有効である場合、入力部2から給電の指示又は遮断の指示を受信し、フラグ記憶部13から読み出したフラグが有効でない場合、入力部2から給電の指示又は遮断の指示を受信しない。本実施形態の制御部11は、入力部2から給電の指示又は遮断の指示を受信しない場合、給電切替装置10に対する指示は行わない。その他の点では、本実施形態の制御部11と第1の実施形態の制御部11は同じである。
【0063】
本実施形態では、初期状態において、給電切替装置10は遮断状態になっている。初期状態は、コンピュータ装置50の電源をオンにした直後及びコンピュータ装置50の再起動を行った直後を含む。
【0064】
本実施形態の他の構成要素は、同一の番号が付けられた第1の実施形態の構成要素と同じであるので、説明を省略する。
【0065】
次に、本実施形態の動作について図面を参照して詳細に説明する。
【0066】
図6は本実施形態の動作を表すフローチャートである。図6に示す動作は、コンピュータ装置50の起動時における動作の例である。
【0067】
まず、オペレータ等の操作により、コンピュータ装置50の電源がオンになる(ステップS20)。本実施形態では、コンピュータ装置50の電源がオンになった直後の初期状態で、制御部11は給電切替装置10を遮断状態にしている。上述のように、例えば、GPIO102がDisableの場合、給電切替装置10は遮断状態になるのであれば、初期状態で制御部11がGPIO102をDisableにすればよい。コンピュータ装置50は、電源がオンになると、POST(Power On Self Test)処理を実行する。POST処理は、コンピュータや周辺機器などのオペレーティングシステムを起動して動作する装置が、オペレーティングシステムを起動する前に行う処理である。
【0068】
次に、制御部11が、POST処理の一部として、フラグ記憶部13からフラグを読み出す(ステップS21)。BMC14が存在する場合、制御部11はBMC14を介して、フラグを読み出す。
【0069】
制御部11が読み出したフラグが有効でない場合(ステップS22、N)、コンピュータ装置50は、他のPOST処理が残っていれば実行し、POST処理の終了後、例えば図示しないハードディスク装置に格納されているオペレーティングシステムをロードするといった、通常の処理に従って起動する(ステップS30)。
【0070】
制御部11が読み出したフラグが有効である場合(ステップS22、Y)、制御部11は、第1の実施例の動作におけるステップS11と同様に、入力部2から給電の指示又は遮断の指示を受信する(ステップS23)。例えば、図示しない表示装置に表示されているPOST画面に、制御部11がオペレータ等に指示の入力を促すメッセージを表示し、入力部2はオペレータ等からの指示を入力すればよい。POST画面は、POST処理の実行中に、コンピュータ装置50が図示しない表示装置に表示する画面である。
【0071】
なお、本実施形態のコンピュータシステムは、フラグが有効でない場合、ステップS30の処理を行い、フラグが有効である場合、ステップS23の処理を行うが、フラグと処理の関係は逆でも構わない。
【0072】
入力部2が入力した指示が給電の指示であった場合(ステップS24、Y)、制御部11は、給電切替装置10に給電状態に切り替える指示を送信して、給電切替装置10を給電状態に切り替える(ステップS25)。例えば、GPIO102がEnableである場合、給電切替装置10が給電状態になるのであれば、制御部11はGPIO102をEnableにすることで、給電切替装置10を給電状態に切り替えることができる。
【0073】
入力部2が入力した指示が給電の指示(給電状態にする指示)でない場合(ステップS24、N)、コンピュータ装置50は通常の処理に従って起動する(ステップS30)。
【0074】
給電切替装置10が給電状態に切り替わると、USBコネクタ12に電力が供給される(ステップS26)。USBコネクタ12に電力が供給されることで、USBコネクタ12に接続されているUSBデバイス30に電力が供給される。USBデバイス30がUSBから供給される電力のみで動作するのであれば、USBデバイス30は、USBコネクタ12に電力が供給された時点で動作を開始する。
【0075】
USBデバイス30が動作を開始すると、制御部11はUSBデバイス30を認識する(ステップS27)。USBデバイス30にオペレーティングシステムを格納しておき、ステップS27の後、制御部11は、USBデバイス30からオペレーティングシステムをロードしてもよい。
【0076】
前述のように、USBデバイス30に例えばメンテナンス用のプログラムが格納されているのであれば、コンピュータ装置50のオペレータはUSBデバイス30に格納されているプログラムを実行するなどして、コンピュータ装置50のメンテナンスを行えばよい(ステップS28)。
【0077】
メンテナンスが終了し、USBデバイス30に対するアクセスが必要なくなると、オペレータ等はコンピュータ装置50を再起動する(ステップS29)。再起動したコンピュータ装置50は、電源がオンになった直後と同じ状態になり、ステップS21に進む。
【0078】
以上で説明した本実施形態には、第1の実施形態と同じ効果に加え、起動時におけるUSBメモリとハードディスク装置の誤認識を防ぐと共に、通常起動時において、アクセスする必要のないUSBデバイス30へのアクセスを遮断する効果がある。
【0079】
その理由は、制御部11が、POST処理の一部として、入力部2を介した指示に基づき、給電切替装置10の給電状態への切替を行うからである。
【0080】
前述のように、サーバなどのコンピュータ装置には、例えばコンピュータ装置の筐体内部にあるUSBコネクタに接続されたUSBメモリであるUSBデバイスに、例えばメンテナンス用ソフトウェアを格納しているものが存在する。コンピュータ装置に、例えばUSBによりハードディスク装置であるUSBデバイス30がさらに接続されている場合、特にUSBメモリが大容量であれば、コンピュータ装置50がUSBメモリとハードディスク装置を判別することは難しい。
【0081】
コンピュータ装置50に、例えば上述のUSBメモリであるUSBデバイス30が接続されており、USBデバイス30に電力が供給されていれば、USBデバイス30へのアクセスが可能である。そのため、誤操作や悪意に基づく操作により、例えばメンテナンス用ソフトウェアを格納している上述のUSBメモリであるUSBデバイス30内のファイルの書き換えや消去が発生する可能性がある。また、コンピュータ装置50の起動時にUSBデバイス30に電力が供給されていれば、コンピュータ装置50がUSBメモリとハードディスク装置を誤認識することがある。例えば、コンピュータ装置50は、本来他のハードディスク装置からオペレーティングシステムロードすべきである場合でも、誤ってUSBメモリからロードしようとすることがある。
【0082】
しかし、制御部11が給電状態への切り替えをPOST処理時に行う場合、USBコネクタ12への給電の有無はPOST処理時に設定され、以後変化しない。例えば、USBコネクタ12に給電が無い設定が行われると、少なくともコンピュータ装置50の次のPOST処理まで、USBメモリであるUSBデバイス30に給電されることはない。この場合、USBコネクタから供給される電力のみで動作するUSBメモリはUSBデバイス30は、動作しない。一方、USBデバイス30が他の電源装置から電力の供給を受けるハードディスク装置である場合、USBデバイス30はUSBコネクタからの給電が無くても動作する。従って、コンピュータ装置50は、USBメモリとハードディスク装置を混同することはない。また、コンピュータ装置50は、動作していないUSBメモリにアクセスすることはできない。
【0083】
本発明の各実施形態の制御部11は、回路等のハードウェア、プログラムによって制御されるコンピュータ、あるいはこれらの組み合わせによって実現できる。例えば、制御部11は、CPU(Central Processing Unit)及びCPUを制御するためのプログラム、USBコントローラ、及びI/O(Input/Output)全般を制御する回路の、全部又は一部の組み合わせによって実現できる。
【0084】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0085】
1、50、90 コンピュータ装置
2 入力部
3、30 USBデバイス
10 給電切替装置
11 制御部
12 USBコネクタ
13 フラグ記憶部
14 BMC
100 USBパワーバス
101 USBデータバス
102 GPIO

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を供給するUSB(Universal Serial Bus)パワーバス及びUSBコネクタに接続され、前記USBパワーバスから前記USBコネクタへの給電を行う通電状態と、前記USBパワーバスから前記USBコネクタへの給電を遮断する遮断状態を切り替える給電切替装置。
【請求項2】
前記USBパワーバス、及び、前記USBコネクタの電源ピンに接続され、前記通電状態では、前記パワーバスと前記電源ピンとの間を導通させ、前記遮断状態では、前記パワーバスと前記電源ピンとの間を開放させるパワースイッチ
を含む請求項1に記載の給電切替装置。
【請求項3】
前記通電状態に切り替える通電状態移行指示を受信した場合、前記通電状態に切り替わる、請求項1又は2に記載の給電切替装置と、
指示を入力する入力手段と、
前記給電切替装置に接続され、前記指示が前記USBコネクタへの給電を行う給電の指示である場合、前記給電切替装置に対して前記通電状態移行指示を出力する制御手段と
を含むコンピュータ装置。
【請求項4】
2個以上の値を取りうるフラグを記憶するフラグ記憶手段を含み、
前記制御手段は、前記フラグ記憶手段から前記フラグの値を読み出し、読み出した前記値が所定の値である場合、前記入力手段に前記指示を入力させ、前記値が前記所定の値でない場合、前記入力手段に前記指示を入力させない、
請求項3に記載のコンピュータ装置。
【請求項5】
前記給電切替装置は、初期状態では前記遮断状態であり、
前記制御手段は、自コンピュータ装置のPOST(Power On Self Test)処理の一部として、前記通電状態移行指示を出力する
請求項3又は4に記載のコンピュータ装置。
【請求項6】
請求項3乃至5のいずれかに記載のコンピュータ装置と、
前記USBコネクタを介して前記コンピュータ装置に接続され、前記USBコネクタを介してのみ給電を受けるUSBデバイスと
を含むコンピュータシステム。
【請求項7】
指示を入力し、前記指示が前記USBコネクタへの給電を行う給電の指示である場合、
前記通電状態に切り替える通電状態移行指示を受信した場合、前記通電状態に切り替わる、請求項1又は2に記載の給電切替装置
に対して、前記通電状態移行指示を出力する、
給電切替装置制御方法。
【請求項8】
2個以上の値を取りうるフラグをフラグ記憶手段に記憶させ、
前記フラグ記憶手段から前記フラグの値を読み出し、読み出した前記値が所定の値である場合、前記指示を入力させ、前記値が前記所定の値でない場合、前記指示を入力させない、
請求項7に記載の給電切替装置制御方法。
【請求項9】
前記通電状態に切り替える通電状態移行指示を受信した場合、前記通電状態に切り替わる、請求項1又は2に記載の給電切替装置
に接続されたコンピュータを、
指示を入力する入力手段と、
前記給電切替装置に接続され、前記指示が前記USBコネクタへの給電を行う給電の指示である場合、前記給電切替装置に対して前記通電状態移行指示を出力する制御手段と
して動作させる給電制御プログラム。
【請求項10】
前記コンピュータを、
2個以上の値を取りうるフラグを記憶するフラグ記憶手段と、
前記フラグ記憶手段から前記フラグの値を読み出し、読み出した前記値が所定の値である場合、前記入力手段に前記指示を入力させ、前記値が前記所定の値でない場合、前記入力手段に前記指示を入力させない前記制御手段と
して動作させる請求項9に記載の給電制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−123673(P2012−123673A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274813(P2010−274813)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】