説明

統合されたプラスチック部及びファスナー

自動車のプラスチック製トリムパネル36のような再利用可能な統合されたプラスチック部20及び鋼製フレームのような支持部材24に取り付けるファスナー22。ファスナー22は、パネル36から横方向に一体的に延長するマンドレル26を含む。マンドレル26に結合された可撓性要素30は、支持部材24に係合するために、マンドレル26の対向側上に配置された一対のリベット32を含む。可撓性要素30はリベット32によって支持部材24に係合するときにヒンジポイント62で屈曲するアーム56も含む。可撓性要素30は、マンドレル26と支持部材24との間に楔係合状態でリベット32を維持するために、設置されている中間幅Wiに拡大する中間部34を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持部材にプラスチック部を取り付けるためのファスナーに関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本願は、「統合されたプラスチック部品及びファスナー」と題され、2010年1月14日付けで出願された米国仮出願第61/294,957号への優先権を主張する。その出願の全開示は本願の一部とみなされ、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
支持部材にプラスチック部を取り付けるためのファスナーは、一般的に自動車産業で使用されている。ファスナーは、乗客席、ドア、または車体の別の区域の鋼製フレームのような支持部材に、トリムパネルのようなプラスチック部を取り付ける。トリムパネルは、車体に沿って配置されている機械部品及び車体の一部を覆う場合がある。一例では、トリムパネルは、乗客席の鋼製フレームに取り付けられ、シートリクライニングを駆動する電気モーターを覆う。多くの場合、トリムパネル及びファスナーは、トリムパネルで覆われている鋼製フレームまたは部品の保守のために取り外される。例えば、トリムパネル及びファスナーは、トリムパネルで覆われている電気モーターを保守するために乗客席の鋼製フレームから取り外される。
【0004】
ファスナーは、様々な異なるデザインを含む場合がある。多くのファスナーは、ピンとグロメットのような2ピースデザイン、または「A-clip」ばね鋼を有するプラスチックピンを含む。他のファスナーは、プラスチック部と一体に形成されている。既存の一体型ファスナーの一例は、トリムパネルから横方向に延長する剛性カンチレバーアーム、及びカンチレバーアームから延長するキャッチを含む。カンチレバーアームは鋼製の支持部材の開口に挿入され、支持部材はキャッチとトリムパネルとの間のカンチレバーアームに沿って固定されている。一体型ファスナーは2ピースのファスナーに比べて材料面でコスト削減ができる。
【0005】
残念ながら、既存の一体型ファスナーは、高度の設置努力を必要とし、また保守の時、すなわち、ファスナーを取り外して開口に再挿入する時に、頻繁に破損される。鋼製支持部材は、一般的に開口周りに鋭利なエッジを有し、鋼製支持部材を開口に挿入、取り外し、及び再挿入する時にプラスチック製のファスナーと係合して磨耗させる。たとえば、既存の一体型ファスナーのカンチレバーアームは、水平方向の永久的な屈曲や亀裂のような、不可逆的な損傷を起こす場合もある。したがって、トリムパネルと一体型ファスナーは、一体型ファスナーが支持部材から取り外されるたびに、ほぼ毎回、交換しなければならない。
【発明の概要】
【0006】
支持部材に取り付けるための再利用可能な統合されたプラスチック部及びファスナーは、プラスチック材料で形成されたプラスチック部と、プラスチック部から一体的に横方向に延長するマンドレルと、マンドレルの外側に一体的に配置されている可撓性要素を含む。可撓性要素は、プラスチック部に対して横方向に延長する長さを有する複数のアームを含む。また、可撓性要素は、複数のアームの間にマンドレルの外側に延長して、プラスチック部に対して平行に延長する幅を有する中間部を有する。可撓性要素のアームは長さ方向に収縮可能であり、中間部は幅方向に拡張可能である。
【0007】
支持部材の開口に統合されたファスナーを挿入する間に、可撓性要素の中間部が鋼製支持部材に沿って引きずることなく、開口に挿入されるので、挿入時に、統合されたファスナーへの損傷と磨耗が軽減される。したがって、統合されたプラスチック部とファスナーは、他のファスナーに比べて、何度も再利用することができるので、コストを大幅に削減し得る。統合されたファスナーは、大幅な摩耗やファスナーの物理的特性上の他の負の影響が発生する前に約5回挿入、取り外し、及び再設置(すなわちサービス)することができる。挿入時に、統合されたプラスチック部とファスナーがしっかりと支持部材の開口に配置されたままになるように、支持部材は、可撓性要素の中間部とアームとの間に挟まれている。開口から統合されたファスナーを取り外すために、最小保持力より大きい力が印加される。
【0008】
添付の図面と共に検討されると、以下の詳細な説明を参照することによりさらに本発明は理解されるので、本発明の他の利点が容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】設置されていない位置にある、統合されたプラスチック部及びファスナーの正面図である。
【図2】設置されていない位置にある、統合されたプラスチック部及びファスナーの裏面図である。
【図3】設置されていない位置にある、統合されたプラスチック部及びファスナーの第一斜視図である。
【図4】設置されていない位置にある、統合されたプラスチック部及びファスナーの第二斜視図である。
【図5】設置されていない位置にある、統合されたプラスチック部及びファスナーの側面図である。
【図6】設置されている位置にある、統合されたプラスチック部及びファスナーの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、自動車のトリムパネルなどのプラスチック部20に統合された再利用可能なファスナー22を提供する。再利用可能な統合されたプラスチック部20及びファスナー22は、自動車の鋼製フレームのような支持部材24に取り付けられる。再利用可能な統合されたプラスチック部20及びファスナー22は、低い挿入力と高い保持力を提供する。したがって、統合されたプラスチック部20及びファスナー22は、鋼製フレームに自動車の内装トリムパネルを固定するなどの「スナップオン(snap on)」用途での使用に適している。統合されたプラスチック部20及びファスナー22は別途購入して設置しなければならない他のファスナー及びプラスチック部の代わりに使用され得る。さらに、プラスチック部20及びファスナー22は、何回でも開口28から取りはずして再使用することができる。そのため、より少ない使用後に交換しなければならない他のファスナーに比べて大幅にコストが削減される。
【0011】
統合されたプラスチック部20及びファスナー22は、プラスチック部20から横方向に一体的に延長するマンドレル26を含む。ファスナー22は、マンドレル26の外側に配置された可撓性要素30を含む。可撓性要素30は、長さ方向に収縮可能な一対のアーム56と幅方向に拡張可能な中間部34を含む。支持部材24の開口28に統合されたプラスチック部20及びファスナー22を挿入するために、ファスナー22が支持部材24に係合している間にファスナー22に挿入力が加えられると、中間部34は幅方向に拡張し、且つアーム56は長さ方向に収縮する。可撓性要素30は、挿入された後、マンドレル26と支持部材24との間に楔係合されて配置され、それによって、統合されたプラスチック部20及びファスナー22が所定位置に固定される。
【0012】
図1〜図6に示すように、プラスチック部20は、平面の断面を表す外面38と対向する内面40を有するパネル36を含む。上述のように、パネル36は、車両の客室に向かって外側に面する外面38を有する、自動車のドアパネルまたは乗客席のサイドパネルのような、トリムパネルであり得る。外面38は、様々な色やパターンを含んでもよい。図1、2、5、及び6に示すように、外面38は、一般的に、滑面を含む。トリムパネル36の内面40は支持部材24に向かっている。図1〜図6に示すように、内面40も、一般的に滑面を含む。図示しないが、内面40及び外面38は、粗面を含む、または非平面の断面を表してもよい。さらに、プラスチック部20は一般的に自動車の内装トリムパネルを鋼製フレームのような支持部材24に取り付けるために適用されるが、プラスチック部20は、自動車及び非自動車を含む他の適用例を有し得る。プラスチック部20は、平面と非平面のデザインを含む他の様々なデザインを含み得る。
【0013】
上記並びに図1〜4及び6に示されるように、ファスナー22は、プラスチック部20の内面40から一体的に横方向に延長するマンドレル26を含む。好ましくは、マンドレル26は、プラスチック部20の内面40に対して垂直に延長する。マンドレル26は、プラスチック部20から横方向に延長する基部42を含む。基部42は、プラスチック部20のパネル36に沿って平行に延長する基部幅wを有する。また、マンドレル26は、基部42から横方向に延長する少なくとも1つのシャフト44を含む。シャフト44は、基部幅wに対して平行に延長し且つ基部幅wより小さい結合幅wcを有する。好ましくは、マンドレル26は、それぞれが、基部42から横方向に且つプラスチック部20からシャフトの頭部46に延長する、互いに離間されている一対のシャフト44を含む。図1〜4及び6に示すように、シャフト44と基部42はそれらの間に鍵穴スロット48を画定し、シャフトの頭部46で開く。鍵穴スロット48及び一対のシャフト44の結合幅wCは基部幅wより小さい。それにより、結合幅wより大きい開口幅waを有する支持部材24の開口28にシャフト44を挿入することが可能になる。シャフト44が開口28に挿入された後、基部42が開口28の周囲で支持部材24上に配置されたままにするために、基部幅wは開口幅waより大きい。
【0014】
一つの例示の実施例では、支持部材24の開口幅waは約22mmであり、開口28は、開口幅waに対して横方向に支持部材24の中に延長する約6mmの長さを有する。基部幅wbは22mmの開口幅waよりも大きい。 また、シャフト44の結合幅wCは22mmの開口幅waより小さい。
【0015】
上述したように、各々のシャフト44は基部42からシャフトの頭部46に横方向に延長する。各々のシャフトの頭部46は、プラスチック部20の反対を向く凹面50を提供する。アーム56が長さ方向に収縮し、また中間部34が幅方向に拡大すると、シャフトの頭部46は可撓性要素30に係合する。それぞれのシャフトの頭部46は、プラスチック部20の内面40に対して平行に延長し且つ面している突起52も提供する。マンドレル26は、突起52と基部42との間のシャフト44に沿ってチャネル54を画定する。チャネル54は、鍵穴スロット48から離れて外側を向く。図示されていないが、マンドレル26は、他のデザインを含むことができる。たとえば、マンドレル26は、鍵穴スロット48がなく、シャフト44の対向側にチャネル54を画定する、単一のシャフト44を含むことができる。
【0016】
図1〜4及び6に示すように、ファスナー22は、マンドレル26から外側に延長し且つ一体的に結合する可撓性要素30を含む。可撓性要素30は、好ましくは、互いに対向して配置されている一対のアーム56を含む。各アーム56の端部は、シャフト44とパネル36との間でマンドレル26の基部42に取り付けられている。可撓性要素30の各アーム56は、プラスチック部20と基部幅wbに対して横方向に、好ましくは垂直に延長する長さを有する。アーム56の長さは、基部42から、シャフト44に沿って延長する。支持部材24の開口28にファスナー22を挿入するためにプラスチック部20に下向きの挿入力が印加され、可撓性要素30が支持部材24に係合している間、アーム56は長さ方向に収縮可能である。アーム56は、ファスナー22が開口28に挿入される前の、図1に示すような、設置されていない状態のアーム長さLuから、ファスナー22が開口28に挿入された後の、図6に示すような、設置されている状態のアーム長さLiに収縮する。設置されているアーム長さLiは設置されていないアーム長さLu未満である。ファスナー22が開口28に挿入されるとき、アーム56はプラスチック部20に向かって収縮する。好ましくは、ファスナー22は一対のアーム56を含むが、一つ以上のアーム56を含むこともできる。
【0017】
可撓性要素30のアーム56は、好ましくは、図6に示すように、複数のヒンジポイント62、すなわちリビングヒンジを含み、それにより支持部材24に係合するときに可撓性要素30のアーム56が曲がることができる。図1〜6に示す実施形態では、アーム56は、三つのヒンジポイント62を含む。好ましくは、ヒンジポイント62はアーム56の残りの部分の厚さよりも小さい厚さを有し、アーム56がヒンジポイント62で曲がってプラスチック部20に向かって長さ方向に収縮することができる。プラスチック部20に向かってヒンジポイント62で収縮することにより、ファスナー22が開口28に挿入されるとき、支持部材24は可撓性要素30によって維持される。したがって、ファスナー22が開口28に挿入されるとき、支持部材24の鋭いエッジがファスナー22に影響を与えたり、傷つけたりしない。
【0018】
上記及び図1〜6に示されているように、可撓性要素30は、マンドレル26の対向側上の中間部34とアーム56のうちの1つとの間にそれぞれ配置された一対のリベット32を含む。各リベット32は、シャフト44の凹面50から外側に配置されている。各リベット32は、マンドレル26に向かっている摺動面64を含む。アーム56が長さ方向に収縮して中間部34が幅方向に拡張すると、リベット32はマンドレル26の隣接したシャフト44のチャネル54の中へと凹面50に沿って係合し、スライドする。設置されている位置では、図6に示すように、各リベット32は、隣接したシャフト44のチャネル54内に配置されている。
【0019】
各リベット32は、ファスナー22が開口28に挿入されるとき、支持部材24に係合する摺動面64の反対側に面した溝66を画定する。溝66はマンドレル26から離れて外側に面する。図1〜5に示すように、設置されていない位置では、リベット32の溝66は溝幅wgによって互いに離間されていて、リベット32が支持部材24の開口28周りの鋭い側縁に略整列されるために溝幅wgは開口幅wa及び基部幅wbよりもわずかに小さい。例示の実施形態では、溝幅wgは約18〜20mm程度である。上記及び図6に示されているように、設置されている位置では、溝幅wgはファスナー22が開口28に挿入されると増加する。支持部材24は、リベット32の溝66内に保持され、リベット32はシャフト44のチャネル54内に配置されている。アーム56は、リベット32の厚さ未満の厚さを持っている。リベット32の大きい厚さは、マンドレル26に追加の強度を提供し、支持部材24による損傷を防ぐ。
【0020】
可撓性要素30は、アーム56からリベット32に、その後、中間部34に延長する。中間部34は、底点58まで、シャフト44に沿ってその周りで延長する。可撓性要素30の中間部34、アーム56、リベット32は、シャフト44から離間していて、それらの間に空間60を画定する。底点58はシャフトの頭部46及び鍵穴スロット48の下方に離間されて配置されている。
【0021】
図1〜4及び6に示すように、中間部34は、対向しているリベット32及びアーム56を相互に連結してそれらの間に配置されている。中間部34は、シャフトの頭部46の外側に配置され、シャフトの頭部46が中間部34とプラスチック部20との間に配置されている。中間部34は、プラスチック部20のパネル36の内面40に対して平行に延長する幅を有する。
【0022】
可撓性要素30のリベット32が支持部材24に係合している間に、下向きの挿入力がパネル36に印加されると、可撓性要素30の中間部34は、幅方向に拡張可能である。挿入力がプラスチック部20に印加されている間であって、可撓性要素30が支持部材24に係合しているとき、アーム56は長さ方向に収縮し、同時に中間部34は幅方向に拡大する。中間部34は、リベット32の厚さよりも小さい厚さを有し、それにより中間部34の屈曲及び幅方向の拡大が可能になる。
【0023】
図1〜5に示すように、設置されていない位置では、中間部34の幅は設置されていない状態の中間幅wuと称され、基部幅wbよりも小さく、開口幅waよりも小さく、溝幅wgよりも小さくて、中間部34は支持部材24に係合しないで開口28に挿入することができる。中間部34の幅は、図6に示すように、設置されている状態の中間幅wiに拡大する。設置されている状態の中間幅wiは設置されていない状態の中間幅wuより大きい。
【0024】
また、設置されている位置では、中間部34は支持部材24の下方に配置され、設置されている中間幅wiは開口幅waよりもわずかに大きくて、図6に示すように、支持部材24を維持し、またリベット32をシャフト44のチャネル54と支持部材24との間に楔係合で維持する。支持部材24はアーム56と可撓性要素30の中間部34との間に挟まれている。
【0025】
図1〜4及び6に示すように、トラス部材68は、中間部34とマンドレル26を相互に連結し、中間部34が幅方向に拡大するとき、中間部34を支持する。トラス部材68は、一つのシャフト44のシャフトの頭部46から中間部34の底点58に延長している。
【0026】
プラスチック部20及びファスナー22は、好ましくは、射出成形プロセスによって同一のプラスチック材料で形成される。マンドレル26及び可撓性要素30を含むファスナー22並びにプラスチック部20は、一体的で均質である。プラスチック材料は、好ましくは、ポリプロピレン、ナイロン、ポリカーボネート−アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(PC-ABS)などの柔軟な非強化プラスチックを含む。しかし、統合されたファスナー22とプラスチック部20のプラスチック材料は、柔軟な非強化プラスチックに限定されるものではない。あるいは、プラスチック部20及びファスナー22は複数のプラスチック材料を含み、射出成形プロセスによって形成することができる。統合されたプラスチック部20及びファスナー22は、好ましくは、23℃で約0.9g/cm3〜約1.2g/cm3の密度を有する。
【0027】
上述のように、統合されたプラスチック部20とファスナー22は、一般的に鋼で形成されている支持部材24の開口28に挿入される。最初に、中間部34は、支持部材24に係合させることなく、開口28を通過する。次に、ファスナー22が開口28を通過するときに、リベット32の溝66は開口28に沿って支持部材24の端に係合する。好ましくは、リベット32は、支持部材24に係合する統合されたファスナー22の唯一の部分である。統合されたファスナー22は、鋼製支持部材24に沿って引きずらない。その結果、他のファスナーに比べて挿入と取り外しの間に統合されたファスナー22への損傷と磨耗が減る。リベット32の摺動面64は、プラスチック部20に向かってシャフトの頭部の凹面50に沿ってスライドする。リベット32が支持部材24に係合してプラスチック部20に向かってスライドすると、中間部34は、設置されていない中間幅wuから設置されている中間幅wiへと幅方向に拡大し始める。中間部34が膨張する間に、可撓性要素30のアーム56はプラスチック部20に向かって、その長さが同時に収縮し、設置されていないアームの長さLuから設置されているアームの長さLiになる。ファスナー22が開口28の中にさらに移動するとき、中間部34はさらに拡大し、アーム56はさらに収縮して、リベット32はプラスチック部20に向かってシャフト44のチャネル54の中へとさらにスライドする。中間部34は、最後に開口幅waより若干大きい、設置されている中間幅wiに達し、図6に示すように、シャフト44のチャネル54と支持部材24との間に楔係合状態でリベット32を維持する。統合されたプラスチック部20及びファスナー22は、高い保持力を有する。統合されたプラスチック部20及びファスナー22は、統合されたプラスチック部20とファスナー22に最小保持力を印加することにより、開口28から取り外される。最小保持力より大きな力がファスナー22に適用されない限り、ファスナー22は、支持部材24の開口28に固定されている。例示の実施形態では、最小保持力は約10ポンドである。
【0028】
上述したように、統合されたプラスチック部20とプラスチックのファスナー22の挿入及び取り外しの間に、統合されたファスナー22は、鋼製支持部材24に沿って引きずらないので、統合されたファスナー22への損傷と磨耗を軽減する。統合されたファスナー22は、既存のファスナー22に比べ、大幅な摩耗やファスナー22の物理的特性上の他の負の影響が発生する前に、約5回挿入、取り外し、及び再設置(すなわちサービス)することができ、大幅にコストが削減される。
【0029】
本発明は、上述の例示の実施形態と共に説明されてきたが、様々な変形、修正、変化、改良、及び/又は実質的な均等物が、周知であるか又は現在予想され得るかにかかわらず、少なくとも当業者には明らかとなり得る。従って、上記の説明のように、本発明の例示の実施形態は、限定するものではなく、例示目的であることが意図されている。本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更が行われてもよい。従って、本発明は、全ての周知の又は先発の変形、修正、変化、改良、及び/又は実質的な均等物を包含することが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材に取り付けるための再利用可能な統合されたプラスチック部及びファスナーであって、
プラスチック材料で形成されたプラスチック部と、
前記プラスチック部から一体的に横方向に延長するマンドレルと、
前記マンドレルの外側に一体的に配置されている可撓性要素と
を備え、
前記可撓性要素は、前記プラスチック部に対して横方向に延長する長さを有する複数のアームを含み、前記複数のアームは、前記長さの方向に収縮可能であり、且つ
前記可撓性要素は、前記複数のアームの間で前記マンドレルの外側に延長して、前記プラスチック部に対して平行に延長する幅を有する中間部を含み、前記中間部は、前記幅の方向に拡張可能であることを特徴とする、統合されたプラスチック部及びファスナー。
【請求項2】
挿入力が前記プラスチック部に印加され、前記可撓性要素が前記支持部材に係合すると、前記複数のアームは前記長さの方向に収縮し、同時に前記中間部は前記幅の方向に拡大することを特徴とする、請求項1に記載の統合されたプラスチック部及びファスナー。
【請求項3】
前記マンドレルは、前記プラスチック部から横方向に延長する基部を含み、
前記基部は、前記プラスチック部に対して平行に延長する基部幅を有し、且つ
前記中間部の前記幅は、前記基部幅よりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載の統合されたプラスチック部及びファスナー。
【請求項4】
前記マンドレルは、前記基部から横方向に延長する少なくとも1つのシャフトを含み、
前記シャフトは、前記基部幅に対して平行に延長する結合幅を有し、且つ
前記結合幅は、前記基部幅よりも小さいことを特徴とする、請求項3に記載の統合されたプラスチック部及びファスナー。
【請求項5】
前記シャフトは、前記複数のアームが前記長さの方向に収縮し且つ前記中間部が前記幅の方向に拡大するとき、前記可撓性要素に係合するための凹面を提供することを特徴とする、請求項4に記載の統合されたプラスチック部及びファスナー。
【請求項6】
前記シャフトは、前記プラスチック部に面している突起を提供し、それにより、前記マンドレルは、前記複数のアームが前記長さの方向に収縮し且つ前記中間部が前記幅の方向に拡大するとき、前記可撓性要素を受け入れるために、前記突起と前記基部との間にチャネルを画定することを特徴とする、請求項4に記載の統合されたプラスチック部及びファスナー。
【請求項7】
前記マンドレルは、一対のシャフトを含み、前記一対のシャフトは、互いに離間され、それぞれが前記基部からシャフトの頭部に延長し、それらの間に鍵穴スロットを画定し、且つ前記シャフトの頭部で開くことを特徴とする、請求項4に記載の統合されたプラスチック部及びファスナー。
【請求項8】
前記可撓性要素の前記アームは、それぞれ前記アームの残りの部分の厚さよりも小さい厚さを有する複数のヒンジポイントを含み、それにより前記アームが前記ヒンジポイントで屈曲し及び前記長さの方向に収縮することができることを特徴とする、請求項1に記載の統合されたプラスチック部及びファスナー。
【請求項9】
前記可撓性要素は、リベットを含み、前記リベットは、前記マンドレルから外側に面する溝を画定し、前記複数のアームが前記長さの方向に収縮し且つ前記中間部が前記幅の方向に拡張するとき、前記マンドレルに係合するために前記複数のアームのそれぞれと前記中間部との間に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の統合されたプラスチック部及びファスナー。
【請求項10】
前記複数のアーム、前記中間部、及び前記リベットはそれぞれ厚さを有し、前記複数のアーム及び前記中間部の前記厚さは前記リベットの前記厚さよりも小さいことを特徴とする、請求項9に記載の統合されたプラスチック部及びファスナー。
【請求項11】
前記マンドレルは前記プラスチック部から横方向に延長する基部を含み、
前記基部は前記プラスチック部に対して平行に延長する基部幅を有し、
前記中間部の前記幅は前記基部幅よりも小さく、
前記リベットの前記溝は溝幅によって互いに離間され、且つ
前記溝幅は前記基部幅より小さいことを特徴とする、請求項9に記載の統合されたプラスチック部及びファスナー。
【請求項12】
前記アームが設置されていない状態のアーム長さから設置されている状態のアーム長さに収縮すると、前記中間部は設置されていない状態の中間幅から設置されている状態の中間幅に拡大し、
前記設置されている状態の中間幅は前記設置されていない状態の中間幅よりも大きく、且つ
前記設置されている状態のアーム長さは前記設置されていない状態のアーム長さよりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載の統合されたプラスチック部及びファスナー。
【請求項13】
前記中間部が前記幅の方向に拡大するとき、前記中間部を支持するために、前記マンドレルと前記中間部を相互に連結するトラス部材を含むことを特徴とする、請求項1に記載の統合されたプラスチック部及びファスナー。
【請求項14】
前記プラスチック部、前記マンドレル、及び前記可撓性要素は均質であり、それぞれが前記プラスチック材料で形成されることを特徴とする、請求項1に記載の統合されたプラスチック部及びファスナー。
【請求項15】
前記プラスチック材料は、ポリプロピレン、ナイロン、及びポリカーボネート−アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(PC-ABS)からなる群から選択されることを特徴とする、請求項14に記載の統合されたプラスチック部及びファスナー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−517430(P2013−517430A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548985(P2012−548985)
【出願日】平成23年1月9日(2011.1.9)
【国際出願番号】PCT/US2011/020617
【国際公開番号】WO2011/087968
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(598147400)ジョンソン コントロールズ テクノロジー カンパニー (224)
【氏名又は名称原語表記】Johnson Controls Technology Company
【Fターム(参考)】