説明

統合的な皮内送達、診断、及び、情報伝達システム

1つの実施形態では、IDDCシステムは、1つの小室、実際には、治療薬及び/又は診断薬を含む「小室」アレイと、ハードウェアおよびソフトウェア双方の要素を有する複数のセンサを用いて生体物質を採取及び分析するよう設計された統合的なバイオセンシングシステムとを有する、優れた治療薬送達システムを用いる。ソフトウェア要素は複雑な液体混合物を分析するための生物医学信号を含み、マイクロプロセッサは、送達される治療薬の量を制御するとともに治療の進展及びコンプライアンスに関して所望の当事者に有用な形状で情報を与えるという目的で、バイオセンサ、治療薬送達要素、及び、情報伝達システムとのインターフェースとして機能する。前述の要素を組み合わせる相乗効果により、所定の治療に対する患者のコンプライアンス、及び、医師によって提供される医療の質及び適時性が劇的に改善されると同時に、IDDCシステム使用者に効果的な医療を提供する費用が減少し、これによってこのシステムを利用する管理医療組織及び製薬会社の収益性が改善することが予想される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は米国特許出願第61/014,184号、及び、第61/023,972号の優先権を主張するものであり、両出願とも全体を引用されることによって本発明に組み込まれるものとする。
【0002】
本発明は皮内送達システム、診断システム、及び、患者のインターフェースシステムに関連し、特に、角質層の下の送達に適切なミクロ/ナノの特徴を有する経皮送達システム、経皮送達システムとともに使用可能な統合的なバイオセンシングシステム、統合的なマイクロコントローラ、及び、統合的な情報伝達システムに関連する。
【背景技術】
【0003】
米国の医療産業は毎年およそ2兆ドルという健康に関連する支出を後押ししている。様々な商品やサービスが、薬品、医療機器、及びその他の必需品の製造元から提供されるとともに(その収益は合わせて3000億ドル)、医師、病院、診療所、介護施設等の医療提供者によっても提供されている(その収益は合わせて毎年1.5兆ドル)。医療費の大半は、民間の医療保険会社及び、メディケア(Medicare)並びにメディケイド(Medicaid)などの政府の医療保険制度で賄われており、民間の医療保険会社では毎年7000億ドル、政府の医療保険制度では毎年合わせて1兆ドルもの支払いを行っている。1.5兆ドルの医療提供市場のうち、管理医療(the Managed Healthcare)の部門がおよそ3500億ドルを占める。
【0004】
この医療産業部門は、医療関連の支出費用を抑える方法を考慮した様々な種類の医療保険制度を提供する。主要な製品は、保険維持機構(HMO’s)、優先医療給付機構(PPO’s)、POS制度(point of services plans)、及び、保護給付制度を含む。
【0005】
医療産業は医療を提供する従来の手法では経済的に無駄があるという前提でここ10年にわたって拡大してきた。管理医療会社は以下の4つの方法で費用を抑えようとしている。その4つの方法とは、すなわち、用いられる医療費を最小化するために提供者又は使用者に対して金銭的報奨を提供すること、割引価格で労務契約をするか、費用の正当性を決定するために支出を検討すること、及び、提供者が従うものと予想される低費用の治療プロトコルを確立することである。これらの方法は医療提供者及び使用者の間において実質的な管理上の橋渡し役となっている。
【0006】
不必要な医療を制限するために金銭的報奨を用いることに加え、管理医療会社は医療を検討して標準化するために「利用管理(utilization management)」を用いる。医師及び管理者による委員会がネットワークで利用される実際のサービスを検討することによって、サービスが適切に利用されているかどうかを決定し、医師及び病院が従うと予想される標準的治療を推奨するものである。委員会はさらに、特定の症状を治療するためにどの薬剤が用いられるべきかを特定する薬剤の処方についても決定する。利用管理のために収集された統計学的な情報は、リスクマネージメント及び引き受け業務、すなわち、提供者への支払額及び消費者に課される保険料を決定する工程にも用いられる。コンピュータ化された情報及び情報伝達システムは、処理を行うとともに記録を管理するために管理医療会社にとっては必要不可欠であり、統計学的収集及び分析にとっても必要不可欠である。
【0007】
未発達な状況だと思われるのが予防治療及び治癒過程の管理である。プライスウォーターハウスクーパース(PricewaterhouseCoopers)によれば、予防治療及び疾病管理プログラムは、健康状況を向上させて費用を減少させる可能性(すなわち、管理医療及び消費者にとって満足のいくもの)を開拓してはいない。
【0008】
医療を提供することは、様々なサービス及び製品など多くの専門分野を持つ提供者の間の複雑な相互関係を孕むものである。無駄になる機会が氾濫している。HealthCast 2020調査の回答者は、持続可能性は、医療を統合するとともに慢性的疾病を一緒に管理するために、医師、病院、製薬会社、及び、支払者を奨励するか否かにかかっていると述べた。本出願人はこの複雑な関係には別の決定的な要素があると考えている。それは、患者である。健康体であること、予防、及び治療計画のコンプライアンスは、究極的には患者とともに始まり、患者とともに終わる。患者が自分の治療計画のコンプライアンスを維持するのでは効果がないことは知られている。送達、診断、及び、情報伝達を、患者に優しい単一のシステムに効果的に統合することは、患者の治療結果を劇的に改善させるとともに、同時に費用を減少させ、医療提供者の収益性を改善させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
機能性及び科学技術の前述の統合を達成するために用いられるもっとも優れた薬の剤形は、パッチ又は経皮システムである。現在使用可能なパッチ又は経皮技術は上記のような能力を有しておらず、したがって、このような欠点に対処するとともに欠点を克服する改善製品が必要とされている。
【0010】
経皮薬物送達システムは、局所的又は全身へのいずれかへの分配のために、皮膚を通して薬剤を送達するシステムである。この送達によって、往々にして身体の特定の損傷領域の治癒が促される。経口、局所などの他の薬物送達システムに勝る経皮薬物送達システムの効果的な点は、患者に薬剤を制御放出することである。非常に多様な医薬品が経皮薬物送達システムを介して送達可能である。
【0011】
共通してみられる1つの経皮薬物送達システムは経皮パッチである。典型的な経皮パッチは以下の要素を含む。この要素とは、(1)貯蔵中にパッチを保護し、使用前に除去されるライナー、(2)放出ライナーと直接接触する薬液、(3)パッチを皮膚に接着するのと同様に、パッチの諸要素を一緒に接着するのに役立つ接着剤、(4)容器及び複数層のパッチから薬物を放出制御する膜、及び、(5)外部環境からパッチを保護するバッキングである。
【0012】
経皮パッチには少なくとも4つの異なる型がある。1つの型は、本システムの接着層が薬物を包含する単一層の薬物含有接着剤である。この接着層は一次的なライナー及びバッキングによって囲まれている。第2の型は、両方の接着層がともに薬物の放出に関与する、複数層の薬物含有接着剤である。しかしながら、本システムにおいては、薬物含有接着剤の別の層が加えられる。このパッチは一次的なライナー層及び永久的なバッキングも有する。パッチの第3の型は容器型で、この容器型は接着層によって分離した薬液又は懸濁液を包含する液体又は半液体コンパートメントである別の薬物層を有する。パッチの第4の型は、薬液又は懸濁液を包含する半固体マトリックスの薬物層を有するマトリックスシステムである。接着層が薬物層を部分的に覆いながら薬物層を包囲する。
【0013】
このような受動的なシステムの限界は、これらのシステムが(i)低分子量(<500Da)化合物、(ii)親油性化合物、及び、(iii)低用量(20−25mg)を必要とする強力な化合物を送達する場合にのみ効果的であるということである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の1つの実施形態によれば、皮内送達、診断及び情報伝達(IDDC)システムは、合理的な治療薬送達システムを利用するものであり、この治療薬送達システムは治療薬及び/又は診断用薬を含む、少なくとも1つの「小室(cell)」であるが、実際には1つの「小室」アレイの方を備える。IDDCシステムは、多くのパラメータを測定又は決定するために生体物質を採取・分析するよう設計された統合的なバイオセンシングシステムも同様に備える。このパラメータは、i)臨床的又は治療的指標、あるいはその代用品(例えば、血圧、血糖値又は間質グルコース値、ヒスタミン値、コレステロール値、トリグリセリド値など)、ii)ハードウェア及びソフトウェア要素を備える複数のセンサを用いる治療薬の循環濃度(このとき、ソフトウェア要素は、複雑な液体混合物を分析するための生体信号処理及び/又はパターン認識を備える)を含むが、これらに限定されるわけではない。IDDCシステムはさらに、治療の進展及びそのコンプライアンスについて所望の当事者(患者、医者、管理医療組織)に有用な形状の情報を送達及び提供するために治療薬の量を制御するということを目的として、バイオセンサ、治療送達要素、及び、情報伝達システムとのインターフェースとして機能するための少なくとも1つのマイクロコントローラを備える。
【0015】
情報伝達システムは、上記システムから受信機システムへの情報の収集、保存、及び、伝達を管理するために与えられる。この受信機システムは、携帯電話、PDAなどのユビキタス通信装置、及び、Wifi、Wimax、携帯電話の基地局などのインフラサービスを備え、治療薬送達計画(単位時間当たりの最大投与量)の初期構成又は継続修正という情報伝達システムの別の役割を有する。エネルギー貯蔵及び送達サブシステムは、バッテリー、コンデンサーに貯蔵され通信回線を介して送信される電力をこの装置の他のサブシステムに提供するという目的で、IDDCシステムの一部として含まれる。この通信回線は無線回線、RF(ラジオ周波)回線又はその組み合わせを含むが、これらに限定されるわけではない。前述の要素を組み合わせることの相乗効果により、所定の治療に対する患者のコンプライアンス、及び、医師によって提供される医療の質及び適時性の可能性が劇的に改善されると同時に、IDDCシステム使用者に効果的な医療を提供する費用が減少し、これによってこのシステムを利用する管理医療組織及び製薬会社の収益性が改善する。
【0016】
1つの実施形態において、経皮送達、診断、及び、情報伝達(IDDC)システムは、マイクロ/ナノの大きさの小室を備え、この小室は膜内に貯蔵された少なくとも1つの薬物(治療薬など)を有する薬物を含む。この小室は関連する磁気要素をさらに有する。本システムはマイクロ/ナノのランセット形状の薬物送達装置をさらに有し、このランセットは尖った遠位端部で定義される入口及び出口によって定義される薬物送達管を有する。ランセットは関連する磁気要素又は圧電要素などのアクチュエータをさらに有する。磁気要素又は圧電要素の少なくとも1つは電圧を加えられる要素である。電磁気要素又は圧電要素に電圧を加えることによって、ランセットは薬物含有小室に向かって/薬物含有小室を通って動く。これによって、小室膜内の薬物又は治療薬が注入口に流れ出て、ランセットを介して出口に流れ出るようになり、そこで薬物又は治療薬は角質層下の患者の身体に流される。薬物又は薬剤の送達に成功した後に、磁気要素又は圧電要素の電圧を断つと、ランセットは除去可能である。あるいは、電磁気要素又は圧電要素は、ランセットを牽引する近極性によっても電圧を加えることが可能である。
【0017】
別の実施形態において、マイクロ/ナノのインプラント装置は、固定棒(a holding post)、及び、磁気又は圧電要素を有する本体を備える。内部に薬物又は薬剤を組み込んだマイクロ/ナノのかかり付きインプラント(barbed implant)を固定棒の一方の端部で(磁気要素の反対側で)固定する。磁気薄膜が患者の皮膚に沿って配され、磁気又は圧電要素に電圧を加えると、このインプラント及び固定棒が角質層を貫通して、インプラントは皮膚の下の所望の深さに配される。磁気又は圧電要素の電圧を断つと、この装置を角質層から引き抜くことが可能である。しかしながら、インプラントのかかりが皮膚層と係合し、これによって患者の皮膚の下の所望の位置及び深さにインプラントを適切に固定する。
【0018】
さらに別の実施形態では、マイクロ/ナノのインプラント装置は、基板の第1側部によって支持された固定棒を有する本体を備える。内部に薬物又は薬剤を組み込んだマイクロ/ナノのかかり付きインプラントは、固定棒の一方の端部(基板の反対側)に固定される。このかかりは窪んでいるか、さもなければ周囲の柔軟材料に含まれている。基板は使用者の皮膚上に配され、かかりと柔軟材料が皮膚に面するようにする。基板の反対側の第2の側部に加えられる圧力によって、柔軟材料が圧縮するとともに、かかりが皮膚の下の所望の深さ(基板からのかかりの高さに基本的に等しい)に角質層を通って埋め込まれることが可能となる。基板が除去された後は、かかりは皮膚内部に留まる。かかりは時間とともに生体吸収される。柔軟材料は局所麻酔薬を含む皮膚の接触層を組み込むこともある。この局所麻酔薬は、ベンゾカイン、ブタムベン、ジブカイン、リドカイン、オキシブプロカイン、プラモキシン、プロパラカイン(アルカイン)(Alcaine)、プロキシメタカイン、及び、テトラカイン(AKAアメトカイン)を含むが、これらに限定されるわけではない。この麻酔薬は、架橋重合体又は他の物質、好ましくはシリカなどの不活性物質からなるゲル層に組み込まれる。ゲル層は皮膚の接触に適切な表面を確保するとともに必要に応じて痛みなく取り除くことを可能にする接着特性を有することもある。
【0019】
さらに別の実施形態において、チャネルを有する極微針が周期的に振動する移動可能な基盤状に取り付けられる。装置の表面と皮膚との接触は固定されたケーシングによって管理される一方で制限される。極微針は約0kHzから約3MHz(好ましくは約5kHzから2MHz)の間の周波数、約0から1000ミクロン(好ましくは約5から約250ミクロン)の間の振幅で振動する。振動の振幅は、角質層(SC)/表皮/真皮中のチャネルに孔部を開ける/を開くため、及び/又は、薬物/血液/間質液を汲み上げる/吸引するために様々である。周期的に振動する極微針(固定された装置の鋳造に関して)は、角質層中に特定の特性を有する孔部を形成する。極微針の設計は、特定の要件及び特別な適用次第で変化する。背圧及び/又はSC装置の界面圧によって、薬物は皮内空間で目的水準に達する。負の背圧(差)を利用して皮内領域から適切な容器へと血液又は間質液を抽出してセンサと接触させる。圧力振動及び動作制御を用いることによって、容器へ/から流体を移動させるとともに、センサと接触させる/させなくする。圧力をかけられた容器は同期方式を利用する。周波数及びデューティーサイクルは同期と同様に最高の性能のために最適化される。生体サンプルは任意の数の様々な技術を駆使して獲得可能である。この技術とは、圧力差が装置内部で形成される際に内部のサンプルを抽出するために装置を操作することを含む。
【0020】
生体物質のバイオセンシングは電気的/電気化学的検出を利用して達成される。そのシステムは、i)直流電圧の応用、及び、直流応答の測定(電流測定)、ii)直流電流の応答、及び、直流電圧応答の測定(電位差測定)、又は、iii)交流電圧の応用、及び、交流電流応答の測定(キャパシタンス又はインピーダンス)の1以上を利用可能である。あらゆる場合において、3つの電極が皮内送達、診断、及び、情報伝達装置に組み込まれ、この3つの電極は、作用電極、参照電極、及び、対電極である。これらの電極は互いに可能な限り密接して配され、作用電極では検体の検出が行われる。理想的には、電流が対電極を介して検出される一方で、電圧が作用電極と参照電極の間で印加されるように、これらの電極が設計される。
【0021】
さらなる実施形態は、背景から信号を差分する、又は、所望の検体種から干渉種を差分するために、電極アレイ(往々にして「電子舌」と呼ばれる)の利用を含む。この電子舌は、血液又は間質液中の検体を経皮又は皮内で正確に検出することが可能なハードウェア及びソフトウェアを備える。電子舌のハードウェアはセンサ電極アレイであり、この電極で特徴ある電気的/電気化学的な信号が獲得される。個々の電極は、異なる材料で建設され、異なる膜で覆われ、又は、その表面上又は近傍に異なる生体分子を固定させる。各々の個別のセンサ電極は、上記の如く、電流測定、電位差測定、キャパシタンス又はインピーダンスによる検出を用いる。電子舌に関して、参照電極は複数の作用電極によりしばしば共有されることもある。本システムのこのタイプのソフトウェアは電極アレイを利用することによって、所望の検体に関連するパターンを認識する。電極アレイを用いることによって、任意の1つの個別の電極に係る選択性の問題に左右されない、「パターン」を検出可能である。
【0022】
免疫反応を誘発する大きな分子については、抗体電極を利用することによって免疫センサを建設することが可能であるが、このセンサも同様に所望の検体以上に他の種からの干渉に悩まされることがある。米国特許第7,241,628号、第7,241,418号、第6,815,217号、及び、第5,356,785号を含む多くの米国特許が、抗体、DNA、及び、核酸センサ中の干渉種の効果を引くために参照チャネルを利用するための方法について記載している。しかしながら、このような方法はすべて非特異的な相互作用及び交差反応から生じる干渉に悩まされており、したがって、限界及び欠点を有している。
【0023】
このような特許は、干渉種の信号を差分するために参照抗体、核酸、及び、DNAを利用することを議論しているが、視覚的な非電気的/電気化学的方法について議論したものであり、いずれの特許も皮内又は経皮的な応用例に関しては述べていない。ULSIセンサ装置を用いることによって、電気化学的センサアレイから構築された電子舌を含む、背景差分法がより複雑化することが可能である。
【0024】
電子舌のハードウェアはマイクロコントローラと個別のセンサとの間のインターフェースを可能にするインターフェース電気回路をさらに含む。インターフェース電気回路によって、アレイ中のセンサの各々から信号を個別に解読すること、マイクロコントローラで信号レベルを解釈可能なレベルへと移行させるために信号を調節すること、及び、ソフトウェア要素によってさらなる処理のためのセンサ信号をデジタル処理することが可能となる。
【0025】
電子舌のソフトウェア要素は、信号処理及びパターン認識アルゴリズムによってセンサ電極アレイからの信号収集の分析を含む。パターン認識方法は非常に多くの血液及び/又は間質液サンプルに対するセンサアレイによって獲得された信号に応用される。この膨大なデータはオフラインで解析されることによってパターン認識アルゴリズムを開発する。このパターン認識アルゴリズムは、組み込まれたプロセッサを介して又は無線で外部の統合プロセッサに転送されることで、各センサ電極で背景又は干渉種からの信号の差分を可能にするパターンを発見するよう認識し、これによって各電極が検出するよう設計された種のみを検出可能となる。抗体又は酸化還元酵素は特定のセンサ電極で/付近で固定化され、その電極は特定の対応する検体を検出するために設計される。一般的に、電子舌は、パターン認識アルゴリズムの使用を介した背景差分のためにのみ存在する空白のセンサ電極を備えることもある。
【0026】
加えて、パターン認識は、組み込まれたプロセッサを介して、又は、無線で外部の統合プロセッサに転送されることで達成可能である。サポートベクターマシン、ロジスティック回帰、ニューラル・ネットワークなどの管理型パターン認識アルゴリズムが用いられることもあり、事前処理、特徴抽出、及び、分類トレーニングの工程を備える。膨大なデータ一式は、複雑なパターンを認識するためにアルゴリズムの訓練に用いられる。データの識別は搭載されている電子コントローラによって進められる。処理されたデータ及び指令は、ワイヤレスの情報伝達を介して、患者、医師、及び/又は医療提供者に/から伝送される。
【0027】
ソフトウェア要素は、情報伝達サブシステムを介して内部に保存又は報告された所望の量(バイオマーカー濃度)を測定するか、あるいは、情報伝達サブシステムを介して検出した事象の報告又は治療薬の送達を開始する所望の事象(特定のバイオマーカーの上記通常の濃度など)の存在を証明する。組み込まれたプロセッサ(マイクロコントローラ)上での局所的な処理及び送達の場合、そのプロセッサはソフトウェア要素のアルゴリズムを実行し、所望の事象の存在を証明し、必要とあらば治療薬を送達する。バイオセンサデータのソフトウェア要素による遠隔処理の場合、マイクロコントローラは無線インターフェースを介して結果を受け取り、その後送達の決定を行う。あるいは、所望の事象を検出するという事実が使用者に伝えられ、使用者は無線インターフェースを介してマイクロコントローラに伝えられた治療薬の送達に関する決定を下す。マイクロコントローラは送達サブシステムを活性化することによって薬物送達を開始する。
【0028】
当然のことながら、チャネルを備える極微針、マイクロチャネル、制御機器を備えるポンプユニット、バルブ、圧力/動作アクチュエータ(音、電気等)、容器、投棄場所(容器)、センサ(バイオマーカーのための等)、超音波(高低周波)、超音波導入(sonophoresis)、振動(屈曲波)、熱(熱泳動、熱源、燃焼、熱振動、熱のある皮膚/熱貫通)、イオン泳動(電場、極性分子の移動)、電気パルス(電磁場)、電気穿孔法、磁気泳動(磁場)、及び、化学的透過促進剤を利用することも可能である。
【0029】
針が繰り返し振動することで、容器の圧力及び/又は慣性効果/動的効果のいずれかによって、薬物送達に関して角質層の孔部に高圧力場が形成される際に、機能性が達成される。血液/間質液を抽出するために、背圧を減少させる。容器の圧力は振動し、針の振動を同期することによってポンプ作用を増大させる。
【0030】
当然のことながら、本明細書に記載の本発明のシステム及び装置は、任意の数の様々な(クラス)薬物を送達するために利用可能である。例えば、以下の薬物クラス及び薬物は例示的なもので、本明細書に開示された1以上の装置及び/又は方法に組み込むことも可能であり、本発明に合致可能なものである。心血管作動薬及び変力薬(例えば、強心配糖体);抗不整脈薬(例えば、キニジン);カルシウムチャネル遮断薬;血管拡張薬(例えば、硝酸塩及び末梢血管拡張薬);抗アドレナリン薬/交感神経遮断薬(例えば、βアドレナリン遮断薬、α/βアドレナリン遮断薬、抗アドレナリン作用薬−中枢作用性抗アドレナリン作用薬−末梢作用性抗アドレナリン作用薬−周辺作用性/α−1アドレナリン遮断薬);レニン・アンジオテンシン系阻害薬(アンジオテンシン−変換酵素阻害剤、アンジオテンシンII受容体拮抗薬);降圧剤の組み合わせ;褐色細胞腫に対する薬剤;高血圧性緊急症に対する薬剤;脂質異常症治療薬(例えば、胆汁酸捕捉剤、HGM−CoA還元酵素阻害薬、フィブリン酸誘導体);ショック時に用いられる昇圧剤;樹脂を除去するカリウム;貧歯類の動物の二ナトリウム;心筋保護液;動脈管開存症に対する薬剤;硬化剤;内分泌/代謝;性ホルモン(例えば、エストロゲン、選択的エストロゲン受容体モジュレーター、プロゲスチン、避妊ホルモン、排卵刺激剤、ゴナドトロピン放出ホルモン、ゴナドトロピン放出ホルモン拮抗薬を含むゴナドトロピン、アンドロゲン、アンドロゲンホルモン阻害薬(androgen hormone inhibitor)、タンパク質同化ステロイド);子宮を活性化する薬剤(妊娠中絶薬、子宮頚部熟化のための薬剤);ビスホスホネート;抗糖尿病薬(例えば、インスリン、高力価のインスリン、スルホニル尿素、αグルコシダーゼ阻害薬、ビグアナイド、メグリチニド、チアゾリジンジオン、抗糖尿病薬を組み合わせた製品);血糖値を上昇させる薬剤(glucose elevating agent);副腎皮質ステロイド(例えば、副腎ステロイド阻害剤(adrenal steroid inhibitors)、コルチコトロピン、グルココルチコイド、糖質コルチコステロイド/副腎皮質ステロイドの停留かん腸、糖質コルチコステロイド/副腎皮質ステロイドの直腸内気泡(intrarectal foam)、鉱質コルチコイド);甲状腺剤(例えば、甲状腺ホルモン、抗甲状腺剤);成長ホルモン(例えば、下垂体後葉ホルモン、酢酸オクトレオチド);イミグルセラーゼ;カルシトニン−サーモン;イミグルセラーゼ;フェニル酪酸ナトリウム;無水ベタイン;重酒石酸システアミン(cysteamine bitartrate);安息香酸ナトリウム/フェニル酢酸ナトリウム;メシル酸ブロモクリプチン;カベルゴリン;痛風治療剤(例えば、尿酸排泄薬);解毒剤(例えば、麻薬拮抗剤);呼吸器薬;気管支拡張剤(例えば、交感神経作動薬及び希釈剤、キサンチン誘導体、抗コリン作用薬);ロイコトリエン受容体拮抗薬;ロイコトリエン生成阻害剤;呼吸吸入製品(respiratory inhalant product);副腎皮質ステロイド;鼻腔ステロイド;粘液溶解薬;肥満細胞安定薬;呼吸ガス;鼻充血除去薬(例えば、アリールアルキルアミン及びイミダゾリン);呼吸酵素;肺表面活性剤;抗ヒスタミン剤;アルキルアミン、非選択的:エタノールアミン、非選択的;フェノチアジン、非選択的;ピペラジン、非選択的;ピペリジン、非選択的;フタラジノン、末梢選択的;ピペラジン、末梢選択的;ピペリジン、末梢選択的;抗喘息薬の組み合わせ、上気道の組み合わせ;咳止め薬、腎臓及び尿生殖器用薬(renal and genitourinary agents)、間質性膀胱炎治療薬である。
【0031】
上記クラスに含まれる適切な薬物の中には、ロシグリタゾン、インターフェロンα−2b、オマリズマブ(ゾレア)、セチリジン、エリスロポエチン(EPO)、及び、酒石酸メトプロロールを含むものもある。一般的に、任意の数の異なるタンパク質薬物が本発明のシステムで送達可能である。加えて、本発明のシステム及び装置は、所望の薬物次第で任意の数の異なるバイオマーカーを利用可能である。例えば、所望のバイオマーカーのなかには、グルコースアラニン、C型肝炎ウイルス、免疫グロブリンE、ヒスタミン、フェリチン、トランスフェリン、及び、C反応性タンパク質を含むものもあるが、これらに限定されるわけではない。したがって、当然のことながら、バイオマーカーは、送達のために選択される薬物、又は、モニタリングのために選択される疾病という観点で選択される。
【0032】
さらに、本発明は従来のシステムに勝る重要な改善点を提供するものであり、この改善点は電子舌の利用を含み、信号処理アルゴリズムが背景又は干渉信号を差分するために電極アレイに適用される。特に、従来のシステムは電極に固定された抗体を利用しない。また、従来のシステムは、直流信号よりもむしろ交流信号を伴うキャパシタンス又はインピーダンスの検出を利用するものではない。
【0033】
先に記載の電子舌と同様の概念である「電子鼻」の利用も周知のことである。しかしながら、電子鼻は気相において種を検出するために設計される。使用者が周囲の環境からの信号に基づいて先に記載の装置の1つを用いて生体反応及び/又は薬物送達を管理したいという場合には、本発明に従って、気相又は少なくとも1つの浮遊微小粒子の検出を本システムに組み込むことが可能である。この場合、信号は液体媒質ではなく、気体媒質又は大気媒質に由来するものである(例えば、大気中の花粉から生じる周囲の信号)。この状況下で用いられる電極及び電気的/電気化学的方法は、周囲の信号の発生位置に基づいて(例えば、気体媒質又は大気媒質)選択及び特別に用意される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本発明の前述及び他の特徴は、以下に示す本発明の実施形態の詳細な記載及び図面からさらに明らかになる。
【0035】
【図1】図1は1つの実施形態による経皮送達システムに従った、マイクロ/ナノの薬物含有膜/小室の垂直断面図である。
【図2】図2は図1の小室を用いるための、マイクロ/ナノ薬物送達装置の垂直断面図である。
【図3】図3は薬物送達前の小室にもっとも近い薬物送達装置の垂直断面図である。
【図4】図4は薬物を患者に送達するために小室を接合させた後に、患者の皮膚に挿入された薬物送達装置の垂直断面図である。
【図5】図5は別の実施形態による経皮送達システムに従った、マイクロ/ナノインプラントの垂直断面図である。
【図6】図6は別の実施形態に従った、マイクロ/ナノインプラントの垂直断面図である。
【図7】図7は別の実施形態に従った、マイクロ/ナノインプラントの垂直断面図である。
【図8】図8はさらに別の実施形態に従った、マイクロ/ナノインプラントの垂直断面図である。
【図9】図9は経皮送達システムの一部であるマイクロ/ナノ薬物送達装置アレイの上面図である。
【図10】図10はマイクロ/ナノのかかり付きインプラントアレイの垂直断面図である。
【図11】図11はバイオフィードバックシステムの概略図である。
【図12】図12は保護用ゲルコーティングを施したマイクロ/ナノのかかり付き組み立て体の垂直断面図である。
【図13】図13は図12の1つを含む、マイクロ/ナノ薬物送達装置を利用するためのアプリケーターの垂直断面図である。
【図14】図14は図1の小室を利用するための代替的なマイクロ/ナノ薬物送達装置の断面図である。
【図15】図15は別の実施形態に従った、代替的なマイクロ/ナノ薬物送達装置の断面図である。
【図16】図16は別の実施形態に従った、代替的なマイクロ/ナノの針の断面図である。
【図17】図17は別の実施形態に従った、代替的なマイクロ/ナノ薬物の断面図である。
【図18】図18は別の実施形態に従って振動運動及び関連する圧力差を描いた、代替的なマイクロ/ナノ薬物送達装置の断面図である。
【図19】図19はバイオセンサ、制御システムハードウェア、及び、情報伝達ユニットと適合する薬物送達装置の概略図である。
【図20】図20は圧力及び動作アクチュエータを描いた、代替的なマイクロ/ナノ薬物送達装置の断面図である。
【図21】図21は圧電構成部品を描いた、代替的なマイクロ/ナノ薬物送達装置の断面図である。
【図22】図22は薬物送達サブユニット及び制御システムとのバイオセンサインターフェースを描いた、代替的なマイクロ/ナノ薬物送達装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
幾人かの出願人にとって最適な経皮送達システムは、患者や介護者にとって便利で見えにくい位置で用いやすい局所パッチ、ゲル、クリーム、又は同様の塗布システムである。このシステムは予測可能かつプログラム化可能な速度及び吸収動態で、標的となる薬剤(小分子又は生物調剤のいずれか)を送達する。1つの形状のシステムは、局所又は局部的な効果のために薬物を送達するよう設計可能である。別の実施形態では、このシステムは、痛みなく、取り付けポートの不自由さもなく、点滴の予測可能性を達成するように設計可能である。このシステムは設計によってデポー効果(depot effect)をもたらすのみである。加えて、薬物放出の動態学は通常の使用によって遮られるべきではなく、故意に破壊するのが困難であるべきものである。送達の期間及び程度は、放出部位、放出速度、及び、表面領域の組み合わせによって制御される。その目的は、1日の塗布から大部分の構成物質の処方計画に対応する10日間の治療まで/含む制御送達を行うことである。しかしながら、当然のことながら、本明細書に記載の送達システムの使用にかかる時間は、治療される疾病次第であることを理解されたい。例えば、本装置は長期治療の一部として意図されたものであり、したがって、制御送達は状況と塗布次第で1日目から寿命まで実行可能である。このように、上記に挙げた治療期間及び長さは単なる一例にすぎず、なんら限定するものではない。
【0037】
本発明の1つの実施形態に応じて、上記目的は図1乃至4に記載の皮内送達、診断、情報伝達システム(100)によって達成可能である。システム(100)は、1以上の薬物容器又は持効性製剤を備えるとともに、患者に薬物を送達する手段を備える。システム(100)は、送達される薬物を貯蔵する少なくとも1つの薬物含有部材(110)を備える。この部材(110)は磁気薄膜であることが可能なアクチュエータ(112)を備え、この磁気薄膜は磁性物質及び薬物含有小室(a drug containing cell)(120)の形状である(他のアクチュエータ、例えば、圧電型アクチュエータなども使用可能であり、したがって、磁気薄膜(112)に関する上記議論は1つの実施形態を対象にするものであり、アクチュエータ(112)は別の型のアクチュエータであるので本発明を限定するものではない)。薬物含有小室(120)は、可撓性を有するとともに、薬液又は懸濁液の形状であることが可能な薬物を含有する小室を提供するために必要な安定性を与える。薬物含有小室(120)は、したがって、送達される薬物を含有及び貯蔵する内部ポケット又はコンパートメントを定義する。一方、「薬物」という用語が本明細書で用いられているが、薬物に加えて他の物質も小室内に貯蔵可能であることを理解されたい。例えば、小室は治療薬やビタミンなどを含むことも可能であり、適用される政府のガイドラインによって「薬物」として分類される物質に限定されるわけではない。
【0038】
図1に示されるように、磁気薄膜(112)は小室(120)上に配される。送達される薬物タイプ及び時間をかけて送達されるその量を含む所定の適用に従って、小室(110)の形状及び大きさを調製することが可能である。
【0039】
薬物送達システム(100)は薬物送達装置(130)をさらに備え、この装置は、小室(120)内に含まれる薬物の制御送達のために、薬物含有部材(110)に相補的であるとともに合致するよう設計される。例えば、薬物送達装置(130)は、担体の入り口及び小室を密閉する装置として機能する機械的に頑丈なマイクロ又はナノのランセットなどの形状であってもよい。ランセット(130)は第1端部(132)及び反対側の第2端部(134)を備える。第1端部(132)には、ランセット(130)は磁気接触部(140)を有する。磁気接触部(140)は1以上のパッド又は他の型の構造体の形状であってもかまわない。示された実施形態において、ランセット(130)は磁気接触部(140)を支持する支持構造体(134)(平面)を有する。
【0040】
ランセット(130)は細長い中空体(150)をさらに有し、この中空体を通って薬物が以下に記載の如く送達される。中空体(150)は細長いチューブ状の構造体(円筒形状チューブ)であっても構わない。この構造体は、第1及び第2端部の間に形成される注入口(160)(薬物投入口又は開口部)を有するとともに、中空体(150)の一方の側部に沿って配される。すなわち、中空体(150)は主要空洞部(152)を備え、注入口(160)は主要空洞部(152)に対して垂直になるように形成される。第2端部(134)は中空体(150)の開口端部を表し、したがって、主要空洞部(152)の遠位開口部(135)を表す。端部(134)の遠位開口部(135)は、薬物を送達する開口部又は出口として機能する。当然のことながら、ランセット(130)の第2端部(134)は尖った端部であり、これによってランセットが患者の皮膚などの物体を貫通することが可能となる。第2端部(134)はしたがって斜角の鋭い縁部であってもよい。
【0041】
ランセット(130)は中空体(150)と支持構造体(134)との間に配されたバイアス部材(170)をさらに備える。バイアス部材(170)は、小室(120)内から薬物を送達した後に、薬物含有部材(110)に対してランセット(130)を移動させるのに役立つ。示された実施形態において、バイアス部材(170)は板バネなどのバネ形状である。このバネ形状は、支持構造体(134)の底面に取り付けられるとともに、注入口(160)にもっとも近接する位置で、中空体(150)に向かって及び中空体(150)に接触するように外側へしなることによって、バイアス部材(170)が注入口(160)への薬物の流れを遮らないようにする。
【0042】
この構造体が図4及び以下に図示されるように圧縮されると、バイアス部材(170)はエネルギーを蓄える。バイアス要素の代わりに、配された電磁石が引き付け合うよう電圧を加えることによって間のスペースを圧縮し、その後、必要に応じて、配された電磁石が反発するように電圧を加えることによって、間のスペースの大きさを回復させる。
【0043】
1つの実施形態によれば、及び、図3に記載されているように、距離Xは、表皮の最も外側の層(皮膚の最も外側の層)である角質層とほぼ等しい。角質層の大部分は核を欠いた死細胞からなる。角質層の厚みは体の領域が必要とする保護及び/又は把持力の程度によって異なる。例えば、手は物体を把持するために用いられ、掌は厚い角質層で覆われることを必要とする。同様に、足の裏は怪我をしやすいため、厚い角質層で保護されている。一般的に、角質層は15乃至20層もの死細胞を含んでいる。
【0044】
本発明の1つの方法に応じて患者に1以上の薬物を投与するためのシステム(100)を連続的な使用については、以下のとおりである。まず、患者の必要性を鑑みて適切な薬物含有部材(100)を選択し、その後配列することによって、薬物が投与される患者の皮膚の標的位置に薬物含有小室(120)が面するとともに接するようになる。したがって、当然のことながら、磁気薄膜(112)が患者の皮膚から離れる。薬物送達装置(130)はその後、第2端部(134)が磁気薄膜(112)に面するように配される。言い換えれば、ランセット(130)の孔部の開いた鋭い端部は図3に記載の薬物含有部材(110)に面する。図3は患者に薬物を投与する直前の本システムの図である。
【0045】
次に、磁気要素、すなわち、磁気薄膜(112)及び磁気接触部(140)は従来の技術を用いて電圧を加えることが可能である。例えば、マイクロプロセッサは磁気薄膜に電圧を加えるために用いられる回路を備え、又は、他の電気要素(例えば、コンデンサー)は2つの磁気要素に電圧を加えるために使用可能である。電圧を加えられた磁気要素(112)(140)は互いの間の間隙を塞ぎ、この結果、ランセット(130)の鋭利な第2端部(134)が磁気薄膜(112)をまず貫通し、その後、小室又は膜(120)の上面及び底面双方を貫通するようになる。磁気要素(112)(140)は図4に示すごとく互いに接触しており、ランセット(130)の第2端部(134)は小室(120)の底面のはるかに下に位置している。
【0046】
磁気要素の少なくとも一方は電磁石であり、他方は永久磁石又は永久磁石層である。加圧信号によって駆動される2つの電磁石がある場合、又は、永久磁石に近接する加圧信号によって駆動される1つの電磁石がある場合に、磁石システムは電圧を加えられる。
【0047】
ランセット(130)が構築されることによって、小室(120)内部の薬物がランセットを通って患者に送達可能となる。さらに具体的にいえば、磁気要素(112)(140)が互いに接触した際に(図4)、薬物注入口(160)が小室(120)そのものの内部に配され、これによって内部に含まれる薬物が注入口(160)を通って主要空洞部(152)に流れるように、ランセット(130)及び小室(120)の大きさは選択される。薬物は図4に記載の矢印に沿って流れ、注入口(160)から主要空洞部(152)に、第2端部(134)の排出口に向かって/から患者へと流れる。上記の如く、ランセット(130)の長さは、第2端部(134)が所望の貫通深さにくるように選択される。
【0048】
これに応じて、薬物含有部材(110)上のランセット(130)からの圧力によって、小室(120)の薬物は主要空洞部(152)及び標的組織内に流れるようになる。
【0049】
また、ランセット(130)が薬物含有部材(110)を貫くと、バイアス部材(170)は(提供されているのであれば)エネルギーを圧縮するとともに貯蔵する。
【0050】
磁気要素(112)(140)の少なくとも一方は電圧を断つことが可能であり、これによって、ランセット(130)は自由になるとともに薬物含有部材(110)に対して移動することが可能になり、さらに、バイアス部材(170)がエネルギーを放出して弛緩状態に戻ることが可能となる。この作用によって、結果的にランセット(130)が角質層から引き抜かれる。
【0051】
当然のことながら、磁気要素(110)(140)に複数回(例えば、連続して)電圧を加えることが可能であり、この結果、ポンプ作用によって小室(120)中の最適量の薬物が患者の皮膚に確実に送達されることとなる。
【0052】
全システム(100)はマクロ及びミクロの大きさの要素双方を備える。例えば、体内に配される本システムの要素は、目に見えない手法で患者に薬物を送達するように、マイクロ/ナノの大きさで建設される。しかしながら、実施形態のなかには、マイクロの大きさの要素が組み込まれた構造体(経路など)がマクロの寸法であることもある。システム(100)が経皮パッチなどに組み込まれると、システムを皮膚に接着させる手段は異常に低いアレルゲン性であるとともに、衛生管理、運動への参加、睡眠等の通常の日常的な機能に耐えうるほどに十分に頑強でなければならない。
【0053】
図5は別の実施形態による皮内薬物送達システム(200)を示す。本システム(200)は、患者に送達されるマイクロ/ナノのインプラントを形成するために類似するランセット設計を利用しているという点でシステム(100)に類似する。この実施形態において、システム(200)は支持構造体を備えるインプラント装置(210)を有する。この支持構造体は第1端部(214)に基盤(212)と、この基盤(212)の底面から外側に延出する細長い固定棒(216)を有する。基盤(212)は平面形状で、固定棒(216)がそれに対して垂直に方向づけられている。インプラント装置(210)は概して患者に埋め込み可能な任意のタイプの装置であってかまわない(例えば、皮内挿入が可能な部材)。
【0054】
本システム(200)は、基盤(212)に結合可能な磁気ストライプ形状が可能な磁気要素(220)をさらに備える。例えば、この磁気要素は、基盤(212)の上部表面に配される又は結合される磁性物質の薄い平面層であってもよい。磁気要素(220)はこのようにインプラント装置(210)の一方の端部を表す。
【0055】
システム(100)と同様に、インプラント装置(210)はバイアス部材(170)を備えることが可能である。示された実施形態において、バイアス部材(170)は板バネなどのバネ形状であって、バネは基盤(212)の底面に取り付けられるとともに、固定棒(216)に向かって及び固定棒(216)に接触するように外側へしなる。あるいは、磁石システム配列を上記の如く使用して、インプラントが皮膚内に配される前後にシステム(200)の寸法を圧縮及び回復させることが可能である。
【0056】
システム(200)は薬物運搬要素(230)をさらに備え、この場合、薬物運搬要素(230)はかかりのついた構造体(232)を備えるマイクロ/ナノインプラント本体の形状である。図5で示すように、インプラント本体(230)は固定棒(216)の第2端部(215)と結合する。インプラント本体(230)は、1以上のかかり(232)を有し、患者の皮膚に貫通するよう意図された鋭利な端部(234)で終端する。
【0057】
本システム(200)は患者の皮膚に配されるよう意図された磁気薄膜(240)をさらに備える。この磁気薄膜(240)はしたがって、薬物が投与される標的位置で患者の皮膚にある平らな磁気層(細長い片)であってもよい。患者の皮膚の適切な場所で磁気薄膜(240)を固定するために、磁気薄膜(240)は、皮膚に磁気薄膜(240)を一次的に取り付けるのに役立つ接着縁(adhesive border)などの接着剤を備えることも可能である。
【0058】
当然のことながら、この設計において、インプラント(230)は患者の体内に投与される薬物を運搬する部材である。かかり(232)を含むインプラント(230)は、生分解性特性を有するポリマーマトリックスを含む多くの様々な物質から形成可能である。加えて、インプラント(230)は適所に配される際には感知できないものでなければならず、さらに低アレルゲン性でなければならない。薬物がインプラント材料に組み込まれるため、崩壊速度が薬物放出速度を制御するようインプラント(230)は崩壊が予測されなければならない。あるいは、インプラント(230)は再吸収可能なポリマーマトリックスで形成可能である。ポリマーマトリックスにおいては、放出速度が再吸収速度とは無関係で、薬物含量の送達後に再吸収が起こる。
【0059】
システム(200)は患者に薬物を送達するために以下の手法で操作される。まず、磁気薄膜(240)が患者の皮膚上に配され、図5に記載の如く、インプラント装置(210)は磁気薄膜(240)に面するインプラント(230)と共に位置付けされる。磁気要素(220)及び磁気薄膜(240)が電圧を加えられることによって、磁気要素(220)(240)がその間の間隙を塞ぎ、これによって固定棒(216)及びインプラント本体(230)を含む装置(210)が角質層を痛みなく貫通する。バイアス部材(170)は圧縮してエネルギーを貯蔵する。
【0060】
磁気要素(220)(240)が互いに近接している際、インプラント(230)は所望の貫通深さまで送達された。磁気要素(220)(240)が電圧を断たれることでインプラント装置(210)が放出され、バイアス部材(170)が蓄えていたエネルギーを放出するとともに弛緩した位置へと戻ることが可能となり、これによって角質層から基盤(212)及び固定棒(216)が引き抜かれる。この引き抜き作用と同時に、インプラント本体(230)のかかり(232)が皮膚層に係合し、固定棒(216)だけが患者から引き抜かれることになる。これによってインプラント本体(230)が所望の位置及び所望の深さに残される。インプラント本体(230)の寸法、及び、かかり(232)の寸法及び位置は上記を達成するために選択され、その結果、内部のインプラント本体(230)及び薬物が患者の体内の適切な位置に残される。
【0061】
図6はかかり付きインプラント本体のさらに別の実施形態を示すものであり、より詳細には、インプラント本体(300)のシステム(200)との併用が示されている。インプラント本体(300)はかかり(302)を備えるという点でインプラント本体(230)と類似する。しかしながら、この実施形態において、インプラント本体(300)はその内部に形成された薬物含有容器(310)を備える。この容器(310)は、インプラント本体(300)の第1(上部)端部(304)でのみ開口する、内部に形成された単なる空洞部であっても構わない。
【0062】
インプラント本体(300)及びかかり(302)は、液体、半液体、又は固体の薬物含有物質を含む容器(310)を備えるよう形成された生体再吸収可能材料から作られる。この容器(310)は、適所で薬物を密閉するために本体(300)の開口端部(304)を超えて延出する密閉膜(320)で密閉される。密閉膜(320)は貫通又は溶解する物質から形成可能である。
【0063】
薬物の放出速度は、膜の破壊/崩壊後だけでなく、負荷量(低分子又は高分子)の溶解速度及び開口容器の表面積によって制御される。
【0064】
図7は固体又は多孔性マトリックスからなるとともに固定棒(216)を収容するための固定棒用腔部(空洞部)(332)を備える(図5)。放出速度は間質液中のマトリックスの崩壊/溶解によって制御される。
【0065】
上記実施形態のいずれにおいても、かかりの形状は、貫通を感知せずにすむとともに、かかりが皮膚から戻るのを避けるために十分な後部表面を有することが可能な任意のものでよい。
【0066】
図8は、インプラント本体(340)が内部に形成された薬物含有容器(350)を有する別の実施形態を示す。容器(350)は、インプラント本体(340)の第1(上部)端部(352)及びインプラント本体(340)の第2端部(354)で/近傍の両方で開口している、内部に形成された単なる空洞部であっても構わない。容器(350)は、容器(350)内部に適切に配される薬物を密閉するために、本体(300)の開口している第1端部(352)を超えて延出する第1密閉膜(360)、及び、開口している第2端部(354)を超えて延出する第2密閉膜(362)によって密閉される。密閉膜(360)(362)は貫通又は溶解する物質から形成可能である。
【0067】
図9は、所定の時間又は応答信号に基づいて発射/始動可能な複数の薬物送達装置(410)アレイ形状の薬物送達システム(400)を示す。例えば、システム(400)は
時間系列の発射機構を備えるエネルギー源(420)に接続可能である。言い換えれば、個別の薬物送達装置(410)の各々がエネルギー源(420)に接続され、設定された時間間隔及び一定期間に薬物を送達するために、コントローラ(マイクロプロセッサ)は、一定期間にわたって所定の数の薬物送達装置(410)を実質的に発射させるという患者の必要性に応じてプログラム化可能である。さらに、当然のことながら、その薬物送達装置(410)のいくつかが1つの薬物を含み、一方でその他の装置が別の薬物を含むことができるため、このアレイは1以上の薬物を備えることが可能である。各々の薬物伝達装置(410)をエネルギー源に接続することによって、異なる薬物を異なる回数、互いに関連した適切な順序で送達可能である。
【0068】
当然のことながら、薬物送達装置(410)は本明細書で先に記載したシステムの1つであっても構わない。例えば、薬物送達装置(410)はランセット構造体(図1乃至4)又はかかり付きインプラント構造体(図5乃至7)であっても構わない。図10はランセット構造体で形成されるアレイを示す。
【0069】
図11で示すさらに別の実施形態において、アレイ(400)を含む前述した実施形態のいずれも、アレイ(400)中の薬物の送達を制御するためにマイクロプロセッサ、プログラム可能な入力部を備えるバイオフィードバックシステム(500)に接続可能である。バイオフィードシステム(500)は少なくとも1つのセンサ(510)を備え、このセンサはバイオフィードバックシステム(500)と通信する。バイオフィードバックの間、特別なセンサ(510)が身体上又は体内に配され、ランセット構造体(130)又は固定棒(216)に組み込まれることがある。このようなセンサ(510)は、患者の問題のある兆候(心拍、血圧、筋肉の張り(EMG又は筋電図フィードバック)、脳波(EEC又は脳波フィードバック)、呼吸、及び、体温(熱フィードバック))の原因となる身体の機能又はその代用物に対する管理を検出、診断、モニター、又は実証するために用いられる臨床的に意義のある物質を測定する。センサ(510)はさらに情報をバイオフィードバックシステム(500)に伝送し、情報はこのシステムにおいて変換され、その後、視覚及び/又は聴覚による呼び出しとして表示可能である。任意で、バイオフィードバックセンサは前述の皮内薬物送達システム(100)(200)(300)(400)の一部であってもよく、あるいは、これより後に記載の送達システムであっても構わない。
【0070】
バイオフィードバックシステム(500)はコントローラ(520)と通信している。このコントローラはアレイ(400)の薬物送達装置(410)の各々と接続しており、特定の時点で薬物送達装置(410)の各々を作動させる(電圧を加える)か、又は、標的値に対する検体の条件に応じて、バイオフィードバック情報を用いて、薬物送達装置(410)の全てではなくむしろ一部のみを作動させるよう構成されている。上記の如く、このことによって患者に薬物を制御放出することが可能となり、さらに、これがバイオフィードバックシステムの一部であることから、センサ(510)によって検出される情報を用いて、いつ、どのように薬物の放出を開始するかを決定する。例えば、センサ(510)は患者の血液の特性を測定して、測定値が許容範囲外のものである場合、センサ(510)はバイオフィードバックシステム(500)に信号を送り、このバイオフィードバックシステム(500)が順に制御システム(520)に信号を送って、検出された状態を改善及び治療するために処方される特定の薬物を含む1以上の装置(410)を作動させる。バイオフィードバックシステム(500)からの情報は制御システム(520)にも送信され、このシステムにおいて情報はメモリ(531)に蓄積され、及び/又は、(530)に表示され、又は、即座に又は適切な時間及び手法で、患者及び/又はその他の人々(医師及び/又は管理医療組織)にディスプレイとして伝送されることによって、治療の有効性及び/又は進展を実証する。メモリ(531)はマスタコントローラ(520)と関連する内部メモリ、又は、真皮内送達装置から離れて配される外部メモリであってもよく、以下に記載の通信網を利用してアクセスされる。
【0071】
情報伝達サブシステム(537)は、コントローラ(520)から外部装置(例えば、ネットワークを通して情報伝達サブシステム(537)に接続される携帯用装置又はコンピュータ)などの別の装置に情報を伝達するために提供される。情報を伝送する手段は無線周波送信機又は他の適切な機構の利用も含む。
【0072】
外部装置(539)(ユビキタス装置)がサブシステム(537)と通信していることによって、情報及び制御信号が皮内装置(例えば、そのサブシステム(537))と外部装置(539)との間を流れることが可能である。外部装置(539)は携帯用装置などの独立型装置に組み込み可能な又は組み込まれてもよい受信機を備える。携帯用装置とは、例えば、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、メディアプレイヤー(例えば、Ipod)、又は、独自のエネルギー源、CPU、及びインターフェースソフトウェアを含む同様の電子機器などである。すなわち、情報を伝送する手段は受信機を有する携帯用装置として提供され、この装置は上記の機能を遂行するために設けられた装置として提供されるか、又は、携帯電話などの別の装置の一部または特徴として供給されるかのいずれかである。あるいは、受信機(539)はWiFi、WiMax、携帯通信塔(cellular communication tower)などの共通の通信インフラサービスの一部であることもある。インターフェースが、上記の患者及び医師だけでなく、保健維持機構、保険会社、及び/又は管理医療会社にとっても適切な信号伝送を含むことを理解されたい。この手法では、外部の情報伝達装置を用いることによって、皮内送達装置から離れた位置にいる人に情報がすぐに伝送可能である。医師たちは外部装置(539)を介して皮内送達装置で測定された測定結果(生体特性)をモニターする。この外部装置(539)は皮内送達装置と通信しているため、医師は薬物などを即座に放出させるべく制御信号をコントローラ(520)に送信することが可能である。
【0073】
ここでもう一度、本装置がマクロ及びマイクロ/ナノサイズの特性を有し、特に、皮内空間に移動する特徴(上記の極微針、かかりなど)はマイクロ/ナノサイズである一方、これらを支持する構造体(例えば、上記のパッチ又はケーシング)は使用者の皮膚上に配されるためマクロの寸法であることを理解されたい。
【0074】
バッテリーなどの電源又はエネルギーシステム(541)は、マイクロコントローラ(520)及び電力供給が必要な任意の他の電子要素に電源を供給するために提供される。電源(541)を充電するか、さもなければエネルギーサブシステム(541)に電力を供給するためのエネルギー送達(543)用の充電器又は他の手段が提供される。
【0075】
当然のことながら、薬物送達装置(410)アレイはカートリッジを基盤とした送達システムの一部であってもよく、このシステムではアプリケーターが用いられる。アプリケーターはコンパートメントを備え、このコンパートメントはカートリッジアレイを取り外し可能なように収容するとともにアプリケーターの電子機器に対して薬物送達装置(410)を適切に配する。コントローラ、通信サブシステム、及びエネルギーシステムを含む電子機器は、(スロットを通してカートリッジを挿入することによって)カートリッジを収容するコンパートメントに近接する永久的なインターフェース機器の一部であってもかまわない。使用者はカートリッジをアプリケーターに挿入するだけで、発射機構が適切に一列に配列し、これによってインプラントが選択的かつ制御可能なように患者に送達される。これは、設定された時間間隔及び一定期間、薬物を送達するために、所定の数の薬物送達装置(410)を一定期間、連続的に発射する患者の必要性次第では、アプリケーターのコントローラ(マイクロプロセッサ)がプログラム化可能であるためである。患者は未使用のアレイカートリッジを一日/一週/一月などに一度挿入するだけでよい。
【0076】
図12はさらに別の実施形態による経皮送達システム(600)を示す。システム(600)はマイクロ/ナノの取り外し可能なかかり付き組み立て体(610)及び保護ゲル層(620)を備える。特に、組み立て体(610)は、フレキシブル基板(614)から延出するとともに鋭い尖端部(616)を含む複数のかかり(612)を備える。かかり(612)は基板(614)から突き出て、基板に対して垂直に方向づけることが可能である。保護ゲル層(620)はかかり(612)の尖端部(616)に沿って位置しているので、基板(614)の反対側に配される。
【0077】
送達される薬物がかかり(インプラント)構造体には組み込まれているので、かかり形状物は上記のかかり形状物と同じように動作する。しかしながら、この実施形態において、インプラントを埋め込む力は、フレキシブル基板(614)の上面に手動で圧力をかけること、又は、アプリケーターによってかけられた圧力を介して生じるものである。保護ゲル層(620)は、マイクロ/ナノ構造体にとって安定した保護的な環境、心地よい皮膚接触面、及び、かかりを挿入する間に効果を与える局所麻酔薬/抗菌薬を組み込むための潜在的な能力を提供するものである。
【0078】
フレキシブル基板(614)の上面に力がかけられると、マイクロ/ナノサイズのかかり構造体(612)は保護ゲル層(620)を貫通して、所望の深さまで皮膚を貫通/皮膚に入る。かかり(612)の寸法は、かかりが患者の皮膚の表面下の所望の位置に送達されるように選択される。基板(614)にかけられていた力が取り除かれると、かかり(612)は固堤棒(216)から遊離し、所定の治療用の応用設計ごとに溶解/崩壊/再吸収のための所望の位置に留まる。
【0079】
フレキシブル基板(614)は任意の数の異なる物質から形成可能であり、任意の数の異なる構造物を備えることも可能である。例えば、フレキシブル基板(614)は、化学的に不活性なかかり付き保護層、麻酔層、及び、接着層を含む複数の機能的な層からなる柔軟材料で形成可能である。これらの場合、層は互いに異なる別のものであるか、又は、層は組み合わせて形成される。皮膚接触層は全身麻酔薬を含む。全身麻酔薬はベンゾカイン、ブタムベン、ジブカイン、リドカイン、オキシブプロカイン、プラモキシン、プロパラカイン(アルカイン)、プロキシメタカイン、及び、テトラカイン(AKAアメトカイン)を含むが、これらに限定されるわけではない。麻酔薬はゲル層に組み込まれ、このゲル層は架橋重合体又は他の物質を有し、好ましくはシリカなどの不活性物質を有する。ゲル層は接着特性を有し、これによって皮膚接触に適切な表面を確保するとともに必要なときに痛みなく除去することが可能となる。
【0080】
システム(600)のこの型は薬物又は化粧品の応用例に使用可能である。
【0081】
図13はシステム(600)と通信して使用可能なアプリケーター(700)を示す。アプリケーター(700)は内部コンパートメント(720)を含む本体部(710)を有し、内部コンパートメント(720)は第1供給部(722)及び第2供給部(724)を備える。内部コンパートメント(720)は送達される薬物を含む薬物送達装置の原料を蓄える。例えば、マイクロ/ミクロの取り外し可能なかかり付き組み立て体(610)及び保護ゲル層(620)は、かかり/ゲル組み立て体を解くことが可能なスピンドル又はギア(726)の周囲に配置可能である。本体部(710)は1以上のガイド部材(730)を備えることが可能であり、ガイド部材(730)は巻かれていないときには内部コンパートメント(720)を通ってかかり/ゲル組み立て体を送るのに役立つ。
【0082】
本体部(710)の1つの表面に沿って、アプリケーターの窓部(730)は、薬物含有構造体(かかり/ゲル)を患者に送達するために形成される。筒状に丸めたかかり/ゲルは窓部(730)の近接を通るように送られ、その結果、ゲル層(620)が窓部に面するとともに、かかりの尖端部が窓部(730)に面することによって尖端部が患者に埋め込まれることが可能になる。かかり(612)を患者に埋め込むために、アプリケーターを作動させることによって基板(614)に力をかけ、上記の如く、かかり(612)を窓部(730)及び患者の皮膚内部に進ませることが可能である。
【0083】
所定の数のかかり(612)(例えば、その1つは窓部(730)を介して見える)を埋め込んだ後、アプリケーター(700)を操作することによって筒状物を進ませ、使用されたマイクロ/ナノのかかり(612)はスピンドル又はギア(740)上に引き上げられる。例えば、アプリケーター(700)はノブを備えることも可能であり、このノブは回転する際にかかりの原料を前進させるものである。他の機構も同様に使用可能である。かかり(612)及びゲル層(620)を本体部(710)に送ることが可能であり、これによって、かかり(612)及びゲル層(620)が表面(712)を超えて突き出させるような手法で本体部(720)は窓部(730)に与えられる。したがって、アプリケーター(700)が皮膚に対して押しつけられることによって、皮膚と接触するように表面(712)を位置づけると、かかり(612)が埋め込まれる。あるいは、アプリケーターは幾つかの発射機構を有することが可能であり、この機構は基板(614)に力をかけることによってかかり(612)を埋め込ませる。
【0084】
当然のことながら、マイクロ/ナノの取り外し可能なかかり付き組み立て体(610)及び保護ゲル層(620)の筒状物はカートリッジの一部であり、したがって、アプリケーター(700)はカートリッジが基盤のシステムであってもよい。アプリケーター(700)のコントローラなどを含む電子機器はより永久的なインターフェース機器上に配される。患者は未使用のアレイカートリッジを一日/一週/一月などに一度挿入するだけでよい。
【0085】
(例)
薬物送達装置の1つの応用例は人間の耳である。より詳細には、図5乃至7のかかり付きインプラント設計は、中耳炎における予防的使用のための抗感染インプラント製剤として、又は、硬化剤として構成可能である。かかり付きインプラントは局所薬剤と結合可能であり(例えば、スワブ(Qtip)又は被膜と類似する)、かかりを基盤とする製剤を鼓膜の外部表面に塗布することによって、マイクロ/ナノのかかりが膜を貫通して、中耳領域に到達することが可能となる。この中耳領域で抗感染薬(構成物質)を備えるかかりが、事前処理のために、又は、すでに感染した中耳空間を治療するために配される。アプリケーターはゲル、又は多層被膜の形状をとってもかまわない。この多層被膜は、神経が感作した領域への塗布を容易にするための局所麻酔薬を含むこともある。
【0086】
(例)
図5乃至7のかかり付きインプラント設計の別の実施例は、鼻の感染症又は鼻炎における予防的使用のための抗感染又は抗アレルギーインプラント製剤として、又は、硬化剤として構成可能である。かかり付きインプラントは局所麻酔薬(例えば、スワブ(Qtip)又は被膜、又はスプレーと類似する)と結合し、かかり付き製剤が鼻粘膜に塗布されることによって、マイクロ/ナノのかかりが膜を貫通して、中耳領域に到達することが可能となる。この中耳領域で抗感染薬(抗生物質)、抗アレルギー薬(抗ヒスタミン剤など)を備えるかかりが、事前処理のために、又は、すでに感染した鼻空間を治療するために配される。アプリケーターはゲル、スプレー、又は多層被膜の形状をとってもかまわない。この多層被膜は、神経が感作した領域へとの塗布を容易にするための局所麻酔薬を含むこともある。
【0087】
(例)
別の応用例は徐放薬を直接点滴するために構成された腫瘍/器官用外皮(wrap)である。外皮は「かかり」が開いた入口を駆動させるとともに標的組織への薬剤の能動輸送を可能にする、「繊維性」又は収縮性重合体製の皮膚である。外皮はスプレー又は回転塗布によって腹腔鏡下で塗布可能である。
【0088】
さらに別の実施形態において、上記のように開示された経皮送達システムは、システムを用いる人に、薬物の塗布が成功/失敗したという視覚的な指標を与えるシステムの一部であってもかまわない。例えば、患者の皮膚へとかかり(のインプラント)が放出されると色の変化が起こり、これによって送達が成功に終わったという視覚的な指標又は確認が提供されるように、アプリケーター及びかかりが構築可能である。言い換えれば、かかりは固定棒又は他の支持構造体から取り除かれると、色が変化することになる。これは、周囲にかかり付きインプラントが放出されるとともに大気に晒されるとすぐに色が変化する物質からなる固定棒の遠位端部を有することによって起こる。あるいは、固定棒の端部は、かかり付きインプラントによって当初は覆われていた色を有し、患者にかかり付きインプラントが埋め込まれるとすぐ、この色は剥き出しになる。
【0089】
このようなシステムの使用者は、どれだけ多くのかかり付きインプラントが患者へと首尾よく送達されたかを迅速に測定することが可能である。例えば、かかり付きインプラントがスワブの端部に配される場合、スワブが患者の皮膚に押圧された後に、スワブ表面をただ見るだけで、スワブのどの領域がかかり付きインプラントを首尾よく送達したかがすぐに明らかとなる。色のない(又は第1色)領域はインプラントがまだ手つかずであり、別の色の領域は埋め込みが成功したということが使用者には分かるだろう。
【0090】
さらに別の送達システムの応用例は、上記の如く、物質が局所的及び角質層下で送達されるとともに表面下から角質層に圧力をかけるように埋め込まれた後に膨張する組成物を含むシステムを備える。このような局所適用の1つの応用例は、しわを目立たなくすること、又は、皮膚の表面を引き締めることである。
【0091】
例えば、本明細書で開示されたかかり付きインプラントは、化粧品用のしわ取りシステムの一部であっても構わない。このシステムによって、適切な量の膨らんだかかりを付けたインプラントを角質層と基底層の間に容易に痛みなく埋め込むことで、一般的に老化に関連する顔面のしわを減少させる又は一次的に除去したいと誰もが願うことができる。この基底層では、間質液がかかりを拡散させて角質層に適切な圧力をかけることによってしわを生み出す谷間を埋める。かかり付きのインプラントは、身体の内部から生じるとともに膨らんだハイドロゲルタイプのマトリックスを形成するために複合化可能な物質から形成される。他の実施形態と同様に、かかり付きのインプラントは蓄積される見込みもなく吸収及び除去される。
【0092】
ここで他の実施形態が示されている図14乃至22を参照する。図14において、装置(800)はマイクロ/ナノの皮内送達システムの一部であり、少なくとも1つ、好ましくはチャネルが内部に形成された複数の極微針(810)を備える。この極微針は周期的に振動する移動可能な基盤(830)上に取り付けられる。装置(800)はその底部(804)に沿って開口している固定ケーシング(802)を備える。示されている実施形態において、固定ケーシング(802)は固定ケーシング(802)を閉鎖する上部(804)を有する。移動可能な基盤(830)は、上部(804)の最も近くに配され、ケーシング(802)の側壁(805)に広がっている。
【0093】
装置の1つの面(例えば、底表面807)と皮膚との接触面は、固定ケーシング(802)に管理されると同時に制限される。極微針(810)は、基盤(830)が移動する結果、約0kHz乃至約3MHzの間の特定の周波(5kHz乃至2MHz)、及び、約0乃至約1000ミクロンの間の振幅で(好ましくは約5乃至約250ミクロンの間)で振動する。振動の振幅は、角質層/表皮/真皮中のチャネルに孔部を開ける/を開くため、及び/又は、薬物/血液/間質液を汲み上げる/吸引するために様々である。周期的に振動する極微針(810)は(固定された装置のケーシング802に関して)、角質層中に特定の特性を有する孔部を形成する。極微針(810)の設計は特定の要件及び特別な適用次第で変化する。角質層と装置(800)との間で背圧及び/又は界面圧が形成されることによって、薬物が皮内空間の標的レベルに押しやられる。
【0094】
図14は薬物の送達及び流体(血液及び/又は間質液)の抽出の両方に使用される基本的な装置(800)を示す。図14は、極微針(810)が面外の送達又は抽出位置までは広がっていない、通常の静止位置にある装置(800)を示す。図15は活性位置にある装置(800)を示す。この活性位置では、基盤(830)は図14の位置に対して振動し、この結果、極微針(810)の遠位端部(812)が装置(800)(ケーシング)(802)の低表面(807)の下に広がるように極微針(810)がその面から移動することになる。図14及び15はその内部に形成された2つのチャネル(820)を示す。チャネル(820)は、図示されるように、同じ構造物を有したり、異なる構造物を備えたりしてもよい。図15は、遠位端部(812)が図示されたように皮膚に対し所望の深さ進む場合の面外の振動を示す。
【0095】
図15において、チャネル(820)の各々は、流れ制御装置(850)、(852)(一方通行バルブ/ポンプ)を備え、この装置は、制御されるチャネル(820)内部の流れを制御するためにそれぞれのチャネル(820)に含まれる。流れ制御要素(850)(852)が装置(800)のマスターコントローラ/プロセッサと連通していることで、極微針(810)の正確な適用及び状態次第で流れを制御可能である。
【0096】
追加的な流れ制御装置は、装置内部の流体の流れを制御するために、実際のチャネルから離れた位置にある装置において提供可能である。
【0097】
図16は多くの様々なタイプの極微針構造物、とりわけ、チャネル構造物を含む装置(900)を示す。図示された装置(900)が1つのタイプの極微針構造物を含むこと、又は、異なるタイプの極微針構造物の組み合わせを含むことを理解されたい。例えば、図16Aは受動型の自由流れチャネル構造物を有する極微針(810)を示す。特に、極微針(810)は単一のチャネル(820)を備え、このチャネル(820)は、極微針(810)の上部及び底部で開口している主要部分(822)を有するとともに、遠位端部(812)の前に極微針(810)の側面に沿って開口している側部又は第2部分(824)を備える。流体はチャネル内部の両方の方向へ自由に流れる。図16Bは、流れ制御を有する単一のチャネル(820)がある異なる建造物の極微針(810)を示す。特に、単一チャネル(820)はチャネル(820)の図16Aに示されるチャネル(820)と類似しており、図16Aのチャネルは極微針(810)の上部及び底部で開口している主要部分(822)を有するとともに、遠位端部(812)の前に極微針(810)の側面に沿って開口している側部又は第2部分(824)を有する。主要部分(822)の上端部又はその近傍には、制御されるチャネル(820)内部の流れを制御するために、一方通行バルブ/ポンプ(850)が含まれている。流れ制御要素(850)が装置(800)のマスターコントローラ/プロセッサと連通していることによって、極微針(810)の正確な適用及び状態次第で流れを制御可能である。
【0098】
図16Cは図16A及びBの極微針と類似な極微針(810)を示す。しかしながら、この実施形態において、極微針(810)は多重チャネル建造物を有する。より詳細には、極微針(810)は第1チャネル(820)及び第2チャネル(821)を備える。第1チャネル(820)は上部及び遠位端部で開口している。第2チャネル(821)は上部端部及び極微針(810)の側面に沿って開口している。第1部分(820)及び第2チャネル(821)の双方の上端部で又はその近辺で、一方通行バルブ/ポンプ(850)(852)は、制御されるチャネル(820)(821)の内部の流れを制御するために、夫々のチャネルに含まれる。流れ制御要素(850)が装置(800)のマスターコントローラ/プロセッサと連通していることによって、極微針(810)の正確な適用又は状態次第で、流れを制御可能である。
【0099】
図16Dは背圧チャネルを備える極微針(810)を示す。より詳細には、極微針(810)は主要チャネル(815)を備え、この主要チャネル(815)は上端部、及び極微針(810)の遠位端部で開口している下端部を有する。側部チャネル(831)の一方の端部が極微針(810)の側面に沿って開口し、もう一方の端部が主要チャネル(815)と連通するように、側部又は背部チャネル(831)が極微針(810)に提供される。側部チャネル(831)と主要チャネル(815)との間の連結点の上の位置で、一方通行バルブ/ポンプ(850)が制御されるチャネル内部の流れを制御するために、夫々のチャネルに含まれる。流れ制御要素(850)が装置(800)のマスターコントローラ/プロセッサと連通していることによって、極微針(810)の正確な適用又は状態次第で、流れを制御可能である。図16Dに示す矢印は流体の流れを反映している。
【0100】
図17は、マイクロ/ナノの皮内送達システムを用いるために、装置に設置された図16Dの背圧極微針の実施形態を示す。図18には、2つの流れ制御要素(850)があり、この要素は流体が装置内部を流れる際、例えば、送達される薬物が極微針(810)に流れ込む際などに、流体を制御可能である。図17において、極微針(810)は通常の静止位置にあり、このとき、極微針(810)の遠位端部は装置(ケーシング)の低部を超えて延出しない。図18は活性化状態(面外で振動する)の極微針(810)を示し、このとき、極微針(810)がケーシングを超えて延出することによって、極微針(810)の遠位端部が皮膚に向かうことになる。
【0101】
図19は本発明に応じて建設されたサブユニット(1000)を示す。このユニット(1000)は、一組の基板又は層(1022)の間に含まれる薬物含有容器(1020)を有する本体部(1010)を備える。層(1022)は、1以上の極微針(810)を選択的に発射するよう構成されたアクチュエータ形状であっても構わない。例えば、層(1022)は圧電ストリップ形状も可能であり、圧電ストリップは、周知の如く、少量の電気によって作動すると形状を変化させる。層(1022)は、圧力アクチュエータ及び/又は動作アクチュエータなどの別のタイプのアクチュエータであってもよく、これらのアクチュエータは、選択された条件下において以下に記載の手法でユニット(1000)を変形させることによって、容器(1020)に含まれる薬物の徐放をもたらす。
【0102】
ユニット(1000)は容器(1020)と選択的に連通する少なくとも1つの、好ましくは複数の極微針(810)を備える。正確な構造、及び容器(1020)と極微針(810)との間のインターフェースは、特定の適用及び他の検討事項によって変化する。例えば、容器(1020)からの薬物の流れを制御するために、バルブ/ポンプ(1040)が主要チャネル(1030)の端部内部又は端部に提供されるので、容器と選択的に連通する主要チャネル(1030)が存在可能である。主要チャネル(1030)は、容器から多くのチャネルへと流体を送達する内部のチャネルネットワークとも連通している。この多くのチャネルは極微針(810)を送るとともに、薬物が極微針(810)の遠位端部を通って放出可能とする。
【0103】
ユニット(1000)はコントローラ(520)と連通しているバイオフィードバックシステム(500)をさらに備える。コントローラは、アレイの薬物送達装置(この場合、極微針(810))の各々と接続されるとともに、特定の時点で極微針(810)の各々を作動させるか(電圧を加えるか)、又は、標的値に対する検体の条件に応じて、バイオフィードバック情報を用いて、極微針(810)の全てではなくむしろ一部のみを作動させるよう構成されている。上記の如く、これによって患者への薬物の徐放が可能となり、このことはバイオフィードバックシステムの一部であるので、センサ(510)によって検出される情報は薬物の放出をいつどのように開始するのか決定するために用いられる。例えば、センサ(510)が患者の血液の特性を測定して、測定値が許容範囲外のものである場合、センサ(510)はバイオフィードバックシステム(500)に信号を送り、このバイオフィードバックシステム(500)が順に制御システム(520)に信号を送って、検出された状態を改善及び治療するために処方される特定の薬物を含む1以上の極微針(810)を作動させる。
【0104】
バイオフィードバックシステム(500)からの情報は同様に制御システムに送信され、このシステムにおいて情報が蓄積され、及び/又は表示され(530)、又は、即座に又は適切な時間及び手法で、患者及び/又はその他の人々に表示するために伝送されることによって、治療の有効性及び/又は進展を実証する。情報を送信する手段は、無線周波送信機又は他の適切な機構(一般的には図19に記載の情報伝達サブシステム(505)として記載される)の使用を含む。
【0105】
前述のように、受信機は独立型装置に組み込まれるか、又は独立型装置であってもよい。独立型装置とは、例えば、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、メディアプレイヤー(例えば、Ipod)、又は、独自のエネルギー源、CPU、及びインターフェースソフトウェアを含む同様の電子機器などの携帯用装置である。すなわち、情報を送信する手段は受信機を有する携帯用ユニットで提供されることも可能であり、又は、上記の機能を遂行するために設けられたユニットで提供されるか、あるいは、携帯電話などの別の装置の一部及び特徴として供給されるかのいずれかである。あるいは、受信機は、WiFi、WiMax、携帯通信塔(cellular communication tower)などの共通の通信インフラサービスの一部であることもある。インターフェースが、上記の患者及び医師だけでなく、保健維持機構、保険会社、及び/又は管理医療会社にとっても適切な信号の伝送を含むことを理解されたい。
【0106】
当然のことながら、本明細書で開示されたフィードバックシステム(500)は大きな薬物送達装置の一部として又はその組み合わせとして使用されることに限定されるものではない。それよりもむしろ、本明細書で開示されたすべての薬物送達装置は、薬物送達要素(例えば容器)を含まないように修正可能であり、又は、薬物送達要素が存在する際には、フィードバックシステム(400)から制御システムへの通信を診断目的のみとし、薬物放出に関連する信号及び指令には関連させないことも可能である。言い換えれば、バイオフィードバックシステムは、薬物送達に関係なく、受信した情報を貯蔵及び/又は表示可能な制御システムと通信可能である。
【0107】
別のサブユニット(1100)が図示された図20をここで参照する。サブユニット(1100)は、薬物含有容器(110)、極微針(810)、及び、他の要素を収容する固定ケーシング(802)を備える。図示された実施形態において、容器(110)は少なくとも1つのアクチュエータと連通している。例えば、1以上の圧力アクチュエータ(1110)が選択された力をユニットの局所領域に加えるために提供可能である。図示された実施形態において、圧力アクチュエータ(1110)は容器(110)の上部に沿って配される。加えて、1以上の動作アクチュエータ(1120)が提供可能であり、図示された実施形態において、複数の動作アクチュエータ(1120)が容器(110)の底部に沿って配されるとともに互いに離れて配置される。動作アクチュエータ(1120)は極微針(810)における容器(110)から主要チャネル(821)の上部への薬物の流れを阻害しないように配される。このようなアクチュエータを組み合わせることによって、極微針(810)を患者の皮膚内部に進ませる(放出する)ともに、極微針が通常の奥寄りの静止位置を回復するために、選択した極微針(810)を作動させる手段が提供される。
【0108】
別の実施形態と同様に、1以上のバルブ/ポンプ(1130)は装置内部の流体の流れを制御するために提供可能である。例えば、1つのバルブ/ポンプ(1130)は容器(110)とセンサ(510)との間で連通する線で提供可能である。他の実施形態のように、極微針(810)はケーシングを超えて皮膚内部に延出する。
【0109】
図21は別のサブユニット(1200)を示す。この実施形態は他の実施形態と類似している。しかしながら、この実施形態には、容器(110)の上部及び底部に沿って配された圧電ストリップ(1210)が存在する。ストリップ(1210)は容器(110)の内部を形成する。圧電ストリップ(1210)を作動させることによって、特定の極微針(810)を選択的に発射(変形)させることになる。
【0110】
図22は、薬物送達サブユニット及び制御システムを備えるバイオセンサインターフェースを描いた、代替的なマイクロ/ナノ薬物送達装置(1300)を開示している。装置(1300)は図21に記載のサブユニット(1200)を備えるとともにコントローラ(520)に連通するバイオフィードバックシステム(500)をさらに備える。このコントローラは、アレイの薬物送達装置(この場合、極微針(810))の各々と接続されるとともに、特定の時点で極微針(810)の各々を作動させる(電圧を加える)か、又は、標的値に対する検体の条件に応じて、バイオフィードバック情報を用いて、極微針(810)の全てではなくむしろ一部のみを作動させるよう構成されている。上記の如く、これによって患者への薬物の徐放が可能となり、このことはバイオフィードバックシステムの一部であるので、センサ(510)によって検出される情報は薬物の放出をいつどのように開始するのか決定するために用いられる。例えば、センサ(510)が患者の血液の特性を測定して、測定値が許容範囲外のものである場合、センサ(510)はバイオフィードバックシステム(500)に信号を送り、このバイオフィードバックシステム(500)が順に制御システム(520)に信号を送って、検出された状態を改善及び治療するために処方される特定の薬物を含む1以上の極微針(810)を作動させる。
【0111】
図示された実施形態において、センサ(510)は、管又は経路(111)を通って容器(110)と選択的に連通する容器(511)にもっとも近接して(隣接して)配される。ポンプ/バルブ(850)が管(111)に沿って配されることによって、容器(511)と(110)の間に流れることが可能となる。他のポンプ/バルブ(850)が極微針のチャネルと連通して配されることによって、容器(110)と極微針(810)との間を流体が選択的に流れることが可能となる。圧力アクチュエータ(1310)が提供されるとともに、センサ(510)に隣接する容器(511)内に配される。
【0112】
図22に記載の如く、電子コントローラ(520)は、ポンプ/バルブ(850)、センサ(510)、圧力アクチュエータ(1310)などを含む装置の作動要素と連通している。
【0113】
バイオフィードバックシステム(500)からの情報も制御システムに送信され、このシステムにおいて情報が蓄積され、及び/又は表示され、又は、即座に又は適切な時間及び手法で、患者及び/又はその他の人々(医師を含む)に表示用として伝送されることによって、治療の有効性及び/又は進展を実証する。情報を送信する手段は、無線周波送信機又は他の適切な機構の使用を含む。前述のように、受信機は携帯用装置などの独立型装置に組み込まれるか、又は独立型装置であってもよい。
【0114】
図14乃至22の装置は任意の数の異なる動作を実行するように構成されている。例えば、1つの実施形態では、負の背圧(差)を利用して皮内領域から適切な容器(例えば、図22の511)へと血液及び/又は間質液を抽出してセンサ(510)と接触させる。圧力振動及び動作制御(例えば、開示されたアクチュエータ、圧電ストリップなどを用いて)を用いることによって、容器(511)へ/から流体を移動させるとともに、センサ(511)と接触させる/させなくする。圧力をかけられた容器は同期方式を利用する。周波数及びデューティーサイクルは同期と同様に最大限の性能のために最適化される。生体サンプルは先に記載した任意の数の様々な技術を駆使して獲得可能である。
【0115】
生体物質のバイオセンシングは電気的/電気化学的/質量検出を利用して達成可能である。そのシステムは、i)直流電圧の応用、及び、直流応答の測定(電流測定)、ii)直流電流の応答、及び、直流電圧応答の測定(電位差測定)、又は、iii)交流電圧の応用、及び、交流電流応答の測定(キャパシタンス又はインピーダンス)の1以上を利用可能である。あらゆる場合において、3つの電極が皮内送達、診断、及び、情報伝達装置に組み込まれ、この3つの電極とは、作用電極、参照電極、及び、対電極である。これらの電極は互いに可能な限り密接して配され、作用電極では検体が検出される。理想的には、電圧が作用電極と参照電極の間で印加され、その一方で、電流が対電極を介して検出されるようにこれらの電極は設計される。機能化した表面上での質量堆積は、質量変化による片持ち梁の共振周波数シフトなどの慣性に基づいた方法によって検出可能である。
【0116】
(例)
以下に記載するのは、図14乃至22の装置の1つが薬物送達適用例としてどのように使用可能かどうかに関する一般的な記載である。第1段階では、背圧が増加するか、又は、背圧が極微針の動作と位相がずれて振動する。この結果、デューティーサイクル(周波数、振幅、及び継続期間によって定義される)の間、角質層は穿たれ、角質層に複数の孔が形成される。大きな薬物分子が(周期的に振動する)背圧動作によって角質層を通って押し出される。次の工程においては、「穿つ動作」が停止し、角質層の孔が閉じる/癒えるまで(静的な)背圧が維持される。
【0117】
1つの実施形態に応じて、動作診断モードは背圧を減少させる(又は針の動きとは位相がずれた背圧を振動させる)段階を含む。デューティーサイクル(周波数、振幅、及び継続期間)の間、角質層が穿たれる。これによって、角質層に複数の孔を形成する。このことによって、薬物を含むセンサ容器への(周期的に振動する)負の背圧に起因して、上記孔からの血液/流体が角質層を通ることになる。
【0118】
穿孔動作が停止すると、角質層の孔が閉じる/癒えるまで、背圧は体内圧まで増加する。本発明の装置及び方法を用いて実現可能な多くの効果がある。この効果は以下のものを含むがこれらに限定されるわけではない。すなわち、角質層の上部との接触に必要な時間がとても短いということ(操作の時間スケールが短い(kHz−MHz)ため、マイクロ秒)、接触が確立するとこの装置が動作可能となるため、角質層の上部と長時間接触する必要がないこと、角質層とほんの少しの間接触すればいいということ(すなわち、マイクロ秒)、大きな分子は角質層の「大きな孔」を通って送達可能であること(極微針の大きさゆえに)、容器/センサの標準寸法設計及び迅速な操作によって、複数の薬物送達が可能であること、マイクロ秒の操作及び数時間の使用(外)回数によって角質層が癒える時間を提供すること、侵襲が少ないこと、血液/流体を迅速に抽出することによって試験/モニターを増やすこと、多くの制御パラメータ(振幅、周波数、持続時間など)が装置の設計、操作、及び使用法に関して柔軟性を提供するものであること、操作時間が短いため、急な際の(必要に応じた)非常に迅速な使用法の修正が可能であること、継続的な、パターン化された、要求に応じた、又は、フィードバック制御された薬物送達/モニタリングに関してプログラム化可能であること、新規な極微針設計は一体化可能であり、それゆえに送達設計及び利用計画に柔軟性を与えるものであること、多くの制御パラメータがあるため、活性化工程を制御することが可能であること、操作時間が短いためエネルギーの消費が最小で済むこと、標準寸法設計によって化学的透過促進剤の拡散が可能になるともに、熱/超音波/電気促進要素の一体化が可能になる。
【0119】
図14乃至22に記載のセンサ及び薬物送達装置を含む要素が、一般的には図11に記載のシステムで使用するのにふさわしいことを理解されたい。
【0120】
本発明は特定の実施形態に関連して記載されてきたが、本発明は他の形状で実施されることも可能であり、他の物質や構造体を用いることも可能である。したがって、本発明は本明細書に添付の請求項の記述、及び、その同等物によって定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮内送達システムであって
角質層下に薬物を皮内送達するための少なくとも1つのマイクロ/ナノサイズの薬物送達装置を備え、
前記薬物は前記装置内部の空間に貯蔵され、
前記装置は前記角質層下に前記薬物を送達するために前記装置の少なくとも一部の運動を選択的に引き起こすアクチュエータを有し、
前記システムはさらに、
前記アクチュエータの作動を制御するための少なくとも1つの装置と連通するプログラム化可能なコントローラと、
前記プログラム化可能なコントローラと連通するとともに少なくとも1つの患者の生体特性を測定する少なくとも1つのバイオセンサを有するバイオフィードバック装置を備え、
前記コントローラは、規定の時間に前記薬物を送達する患者の必要性に基づいて、又は、前記バイオフィードバック装置から受信した信号に基づいてプログラム化されることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの薬物送達装置が、
患者に処方するために内部に貯蔵された少なくとも1つの物質を有する少なくとも1つの貯蔵小室を備え、
各小室は該小室に関連する第1作動要素を有し、
前記装置はさらに、
送達管を有するランセットを備え、
前記送達管は前記ランセットの尖った遠位端部で定義される入口及び出口によって定義され、
前記装置は該装置に関連する第2作動要素を有し、
前記第1及び第2作動要素の少なくとも1つが電源によって電圧を加えられることで前記第1及び第2作動要素が共に移動し、前記ランセットが前記小室に向かって及び前記小室を通るよう動かされ、その結果、前記小室中に貯蔵された前記物質が前記入口に流れ、前記ランセットを通って前記出口に流れ、該出口で前記物質は前記角質層下の前記患者の体内に放出されることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記第1及び第2作動要素が、第1及び第2の磁性部材、及び、第1及び第2の圧電要素の1つを備えることを特徴とする請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの薬物送達装置が、
患者の皮膚の標的位置に沿って配置するための第1作動要素と、
棒、第2作動要素、及び、患者に埋め込むためのインプラント本体を有する基盤部分を備えるインプラント装置を備え、
前記インプラント本体が前記棒と取り外し可能なように接続され、かかりを備え、前記患者に皮内送達される物質を含有し、
前記装置はさらに、
前記インプラント装置を前記患者の体内へ動かすことによって所望の位置及び深さで前記インプラント本体を埋め込むために、前記第1及び第2作動要素の少なくとも1つに電圧を加えるための手段を備え、
前記かかりは、前記作動要素の電圧が断たれた後に前記基盤部分及び棒が引き込まれる際に、前記インプラント本体が取り除かれるのを防ぐことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記第1及び第2作動要素が、第1及び第2の磁性部材、及び、第1及び第2の圧電要素の1つを備えることを特徴とする請求項4記載のシステム
【請求項6】
前記少なくとも1つの薬物送達装置が、
基板と、前記基板から延出する複数の棒と、前記棒に取り外し可能なように接続するとともに前記患者に埋め込まれるよう設計された複数のインプラント本体を有するインプラント装置を備え、
各々のインプラント本体がかかりを備えるとともに前記患者に皮内送達される物質を含有し、
前記装置はさらに、
ゲル材料の保護層を備え、
前記保護層は、十分な力が前記ゲル層の方向に前記物質に対してかけられると、前記インプラント本体によって貫通可能となることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの薬物送達装置が、
前記患者の皮膚に対して配することが可能な中空内部及び底縁部を有する本体と、
前記内部に配されるとともに前記薬物を含有する容器と、
前記内部に配されるとともに前記容器の少なくとも一部を定義する移動可能な基盤と、
少なくとも1つの極微針を備え、
前記極微針は前記容器と選択的に連通するとともに前記移動可能な基盤と接続することによって、前記基盤の移動が前記極微針の移動に変換され、
前記アクチュエータが動作可能なように移動可能な基盤と接続されることによってその移動が制御され、これによって薬物送達の先端が前記低縁部に進むとともに前記角質層下の前記皮膚に入るように、前記極微針が変換させられることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記アクチュエータが前記移動可能な基盤を振動させることによって、0kHz以上乃至約3MHzの周波数、及び、0ミクロン以上乃至約250ミクロンの振幅で前記極微針が振動するようになることを特徴とする請求項7記載のシステム。
【請求項9】
前記極微針が少なくとも1つのチャネルを備え、該チャネルが前記薬物容器と選択的に連通することによって、前記薬物が前記チャネルを通って開口している遠位端部に流れることを特徴とする請求項7記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのチャネルが、前記チャネルを通る前記薬物の流れを制御する流れ制御部材と連通することを特徴とする請求項9記載のシステム。
【請求項11】
前記極微針に形成された少なくとも2つのチャネルが存在し、各々のチャネルが夫々の流れ制御部材を有することを特徴とする請求項8記載のシステム。
【請求項12】
前記チャネルの1つが背圧チャネルであることを特徴とする請求項9記載のシステム。
【請求項13】
前記流れ制御部材が一方通行バルブ/ポンプを備えることを特徴とする請求項10記載のシステム。
【請求項14】
各々が互いに独立して作動及び移動可能な複数の極微針が存在することを特徴とする請求項7記載のシステム。
【請求項15】
前記アクチュエータが第1及び第2の圧電ストリップを備え、該圧電ストリップは前記容器がその間に位置するように配され、前記ストリップはエネルギー源と動作可能なように接続されることを特徴とする請求項7記載のシステム。
【請求項16】
前記アクチュエータは、圧力アクチュエータ及び動作アクチュエータからなる群から選択された少なくとも1つのアクチュエータであることを特徴とする請求項7記載のシステム。
【請求項17】
前記バイオセンサはチャネルを介して前記容器と選択的に連通し、該チャネルは前記センサと前記容器との間の流れを制限するために前記チャネルに沿って配された流れ制御装置を有することを特徴とする請求項7記載のシステム。
【請求項18】
前記センサが前記少なくとも1つの薬物送達装置の前記本体と統合されることを特徴とする請求項7記載のシステム。
【請求項19】
前記バイオフィードバック装置が前記プログラム化可能なコントローラと無線通信することを特徴とする請求項7記載のシステム。
【請求項20】
前記バイオフィードバック装置及び前記センサの少なくとも1つが、生体特性を測定し、前記測定された生体特性に関する情報を含む信号を前記プログラム化可能なコントローラに送ることを特徴とする請求項7記載のシステム。
【請求項21】
前記プログラム化可能なコントローラが少なくとも1つのディスプレイを含む外部装置と通信し、該ディスプレイは、前記測定された生体特性に関する前記情報、及び、前記情報を蓄積可能なメモリを表示可能であることを特徴とする請求項20記載のシステム
【請求項22】
前記外部装置は携帯用装置であり、前記通信は前記携帯用装置と前記コントローラとの間の無線通信を備えることを特徴とする請求項21記載のシステム。
【請求項23】
前記アクチュエータが前記極微針内に背圧を形成することによって、流体が前記極微針、前記容器に引き込まれ、さらに前記センサと接触することを特徴とする請求項7記載のシステム。
【請求項24】
前記流体が血液又は間質液のひとつであることを特徴とする請求項23記載のシステム。
【請求項25】
前記貯蔵小室は、前記物質を保持する可撓性を有する安定した膜を備え、前記第1作動要素は前記可撓性を有する膜の1つの表面に沿って配された磁気薄膜であることを特徴とする請求項2記載のシステム。
【請求項26】
前記ランセットが基盤部分を有し、該基盤部分上に前記第2作動要素が配されるとともに前記尖った第2端部の反対側に位置することによって、前記入口が前記基盤部分と前記第2端部との間に配されることを特徴とする請求項2記載のシステム。
【請求項27】
前記送達装置は、前記基盤部分の底面と接続するとともに前記入口上方の前記ランセットと接触するバイアス部材を備え、前記バイアス部材は、前記作動要素に電圧を加えることによって前記送達装置が作動モードの際にエネルギーを貯蔵するよう構成され、及び、前記作動要素の電圧が断たれると、前記バイアス部材は貯蔵したエネルギーを放出して前記ランセットを前記小室から引っ込ませるよう構成されることを特徴とする請求項26記載のシステム。
【請求項28】
前記インプラント本体は生体再吸収可能な特性を有するポリマーマトリクスからなることを特徴とする請求項4記載のシステム。
【請求項29】
前記インプラント装置は、前記基盤部分の底面と接続するとともに前記棒と接触するバイアス部材を備え、前記バイアス部材は、前記作動要素に電圧を加えることによって前記インプラント装置が作動モードの際にエネルギーを貯蔵するよう構成され、及び、前記作動要素の電圧が断たれると、前記バイアス部材は貯蔵したエネルギーを放出して前記基盤部分及び棒を患者から引っ込ませるよう構成されることを特徴とする請求項4記載のシステム。
【請求項30】
前記薬物送達装置は、
基板と、前記基板から延出する複数の棒と、前記棒に取り外し可能なように接続するとともに前記患者に埋め込まれるよう設計された複数のインプラント本体を有するインプラント装置を備え、
各々のインプラント本体はかかりを備えるとともに前記患者に経皮送達される物質を含有し、
前記装置はさらに、
ゲル材料の保護層を備え、
前記保護層は、十分な力が前記ゲル層の方向に前記物質に対してかけられると、前記インプラント本体によって貫通可能となることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項31】
皮内システムであって、
角質層下に薬物を皮内送達するとともにその試験用に体液を抜き取るために構成された少なくとも1つのマイクロ/ナノサイズの装置を備え、
前記装置は、前記装置の少なくとも一部の選択的な移動により前記角質層下に前記薬物を送達させるか又は前記体液を抜き取らせるアクチュエータを有し、
前記システムはさらに、
前記アクチュエータの作動を制御するために少なくとも1つの装置と通信するプログラム化可能なコントローラと、
前記プログラム化可能なコントローラと通信するとともに、前記患者の少なくとも1つの生体特性を測定する少なくとも1つのバイオセンサを備えるバイオフィードバック装置とを備え、
前記バイオフィードバック装置は薬物送達とは無関係に診断情報を前記コントローラに送信するよう構成され、
前記コントローラは、規定の時間に前記薬物を送達する患者の必要性に基づいて、又は、前記バイオフィードバック装置から受信した信号に基づいてプログラム化されることを特徴とするシステム。
【請求項32】
皮内送達システムであって、
マイクロ/ナノサイズの貯蔵小室及び送達装置の組み合わせアレイを備え、
各々の貯蔵小室は薬物を含有し、
前記システムはさらに、
エネルギー源を備えるプログラム化可能なコントローラを備え、
前記マイクロ/ナノサイズの貯蔵小室/送達装置の各々の組み合わせは前記エネルギー源と個別に結合し、
前記コントローラは、設定された時間間隔及び一定期間に薬物を送達するために、一定期間、前記送達装置を規定の回数、連続的に発射するという患者の必要性次第でプログラム化されるよう構成され、
前記システムはさらに、
前記プログラム化可能なコントローラと通信するとともに少なくとも1つのバイオセンサを有するバイオフィードバック装置を備え、
前記バイオセンサは前記患者の少なくとも1つの生体特性を測定するとともに、測定された生体特性が許容範囲外のものである場合に信号を送信し、これによって前記バイオフィードバック装置が前記マイクロ/ナノサイズの貯蔵小室/送達装置の1以上の組み合わせと関連する前記エネルギー源を作動させるよう、前記プログラム化可能なコントローラに指令を出すことを特徴とするシステム。
【請求項33】
カートリッジを備える皮内送達システムであって、
前記カートリッジは、
基板と、前記基板から延出する複数の支持構造体と、前記支持構造体に取り外し可能なように接続するとともに前記患者に埋め込まれるよう設計された複数のインプラント本体を含む可撓性を有するインプラント装置を備え、
各々のインプラント本体はかかりを備えるとともに前記患者に皮内送達される物質を有し、
前記カートリッジはさらに、
ゲル材料の保護層を備え、
前記保護層は、十分な力が前記ゲル層の方向に前記物質に対してかけられると、前記インプラント本体によって貫通可能であり、
前記システムはさらに、
前記カートリッジを収容するコンパートメントを有するアプリケーターを備え、
前記アプリケーターは、永久的なインターフェース機器上に形成された、コントローラを含む電子機器を有し、前記コントローラは、選択された数のインプラントを前記患者に送達するために前記カートリッジを選択的に作動させるとともに、前記インプラント装置を前進させ、その結果、多くの未使用のインプラント装置の送達の準備が整っていることを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2011−506046(P2011−506046A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539751(P2010−539751)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/087242
【国際公開番号】WO2009/079589
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(510168542)ニューワールド ファーマシューティカルズ,エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】