説明

統計情報提供システム、統計情報提供装置、統計情報提供方法及びコンピュータプログラム

【課題】統計情報の情報精度を向上させた統計情報提供システム、統計情報提供装置、統計情報提供方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】車両5から情報要求エリアにおける渋滞予測情報の要求が有った場合に、コンピュータネットワーク上に投稿された投稿文から、情報要求エリアで投稿された該当投稿文を抽出し、該当投稿文の内容に基づいて、情報要求エリアの統計情報を補正し、補正された統計情報に基づいて渋滞予測情報を生成し、生成された渋滞予測情報を提供するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時刻に対する状況の推移を予測した統計情報を提供する統計情報提供システム、統計情報提供装置、統計情報提供方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の走行案内を行い、運転者が所望の目的地に容易に到着できるようにしたナビゲーション装置が車両に搭載されていることが多い。ここで、ナビゲーション装置とは、GPS受信機などにより車両の現在位置を検出し、その現在位置に対応する地図情報をDVD−ROMやHDDなどの記録媒体、又はネットワークを通じて取得して液晶モニタに表示することが可能な装置である。そして、車両の現在位置を含む地図情報を記録媒体等から読み出し、地図情報に基づいて車両の現在位置の周囲における地図画像を描画して表示装置に表示するとともに、車両位置マークを地図画像に重ね合わせて表示し、車両の移動に応じて地図画像をスクロールしたり、地図画像を画面に固定し車両位置マークを移動させることによって、車両が現在どの地点を走行しているのかを一目でわかるようにしている。また、近年は携帯電話機、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ等においても上記ナビゲーション装置と同様の機能を有するものがある。
【0003】
更に、従来のナビゲーション装置等では地図画像や車両の現在位置を表示するのみでなく、利用者の利便性をより向上させる為に、過去の状況(例えば道路の渋滞状況)を統計することによって統計情報を生成し、生成された統計情報を用いた案内も行われていた(例えば特開2004−234649号公報参照)。ここで、統計情報としては、例えば渋滞予測情報や天候予測情報があり、統計情報を用いた案内としては、例えば車両周辺に位置する道路の今後の渋滞予測情報を案内したり、今後の天候の変化を案内したり、渋滞予測情報に基づいて目的地までの到着予想時間を算出して案内すること等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−234649号(第5頁、第6頁、図8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、今後の状況が統計情報で予測される状況の通りに変化するとは限らず、実際の状況が統計情報で予測される状況と異なる状況へと変化する場合も多かった。特に、事故や自然災害等の予測不可能な事態が発生した場合には、実際の状況が統計情報で予測される状況と大きく異なる状況へと変化する場合がある。その結果、例えば統計情報では2時間後に解消すると予測されていた渋滞が、1時間後に解消していたり、3時間経過しても解消されない場合等が生じていた。
【0006】
ここで、近年、端末を介してコンピュータネットワーク上にユーザが投稿文を投稿するとともに、他のユーザから投稿された投稿文を閲覧することが可能なシステムが提供されている。例えば、ブログ、SNS(Social Network Service)、Twitter(登録商標)、チャット等(以下、SNS等という)がある。また、これらの投稿文の中には、渋滞情報や通行止め情報等の交通情報や天候情報等を投稿した投稿文も多数含まれている。
【0007】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、コンピュータネットワーク上に投稿された投稿文の内容に基づいて統計情報を補正することによって、統計情報の情報精度を向上させた統計情報提供システム、統計情報提供装置、統計情報提供方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る統計情報提供システム(1)は、所定のエリアにおける時刻に対する状況の推移を予測した統計情報を取得する統計情報取得手段(13)と、コンピュータネットワーク上に投稿された投稿文の内から、前記所定のエリア内で投稿された投稿文である該当投稿文を抽出する検索手段(13)と、前記該当投稿文の内容に基づいて、前記統計情報を補正する統計情報補正手段(13)と、前記統計情報補正手段により補正された前記統計情報を提供する提供手段(13)と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に係る統計情報提供システム(1)は、請求項1に記載の統計情報提供システムであって、前記統計情報補正手段(13)は、前記該当投稿文に前記所定のエリアの状況の程度を示すワードが含まれている場合に、状況の変位量がより大きく又はより小さく変位するように前記統計情報を補正することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る統計情報提供システム(1)は、請求項1に記載の統計情報提供システムであって、前記統計情報補正手段(13)は、前記該当投稿文に前記所定のエリアの状況の変化を示すワードが含まれている場合に、状況の変位速度がより速く又はより遅くなるように前記統計情報を補正することを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に係る統計情報提供システム(1)は、請求項2又は請求項3に記載の統計情報提供システムであって、前記統計情報補正手段(13)は、前記該当投稿文が複数あって、前記複数の該当投稿文に前記所定のエリアの状況の程度又は変化が所定の第1状況にあることを示す第1ワードと、所定の第2状況にあることを示す第2ワードとがそれぞれ含まれている場合に、前記複数の該当投稿文中に含まれる前記第1ワードと前記第2ワードの数の比率を算出し、算出された比率に基づいて前記統計情報を補正することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に係る統計情報提供システム(1)は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の統計情報提供システムであって、前記統計情報は、時刻に対する道路の渋滞状況の推移を予測した情報であることを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に係る統計情報提供システム(1)は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の統計情報提供システムであって、移動体(5)の位置を取得する位置取得手段(13)を有し、前記統計情報取得手段(13)は、前記位置取得手段により取得した前記移動体の位置を含むエリアにおける前記統計情報を取得し、前記提供手段(13)は、前記移動体に対して前記統計情報を提供することを特徴とする。
尚、「移動体」としては、車両以外に、歩行者や二輪車も含む。
【0014】
また、請求項7に係る統計情報提供システム(1)は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の統計情報提供システムであって、移動体(5)の移動予定経路を取得する移動予定経路取得手段(13)を有し、前記統計情報取得手段(13)は、前記移動予定経路取得手段により取得した前記移動予定経路を含むエリアにおける前記統計情報を取得し、前記提供手段(13)は、前記移動体に対して前記統計情報を提供することを特徴とする。
【0015】
また、請求項8に係る統計情報提供装置(2)は、所定のエリアにおける時刻に対する状況の推移を予測した統計情報を取得する統計情報取得手段(13)と、コンピュータネットワーク上に投稿された投稿文の内から、前記所定のエリア内で投稿された投稿文である該当投稿文を抽出する検索手段(13)と、前記該当投稿文の内容に基づいて、前記統計情報を補正する統計情報補正手段(13)と、前記統計情報補正手段により補正された前記統計情報を提供する提供手段(13)と、を有することを特徴とする。
【0016】
また、請求項9に係る統計情報提供方法は、所定のエリアにおける時刻に対する状況の推移を予測した統計情報を取得する統計情報取得ステップと、コンピュータネットワーク上に投稿された投稿文の内から、前記所定のエリア内で投稿された投稿文である該当投稿文を抽出する検索ステップと、前記該当投稿文の内容に基づいて、前記統計情報を補正する統計情報補正ステップと、前記統計情報補正ステップにより補正された前記統計情報を提供する提供ステップと、を有することを特徴とする。
【0017】
更に、請求項10に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、所定のエリアにおける時刻に対する状況の推移を予測した統計情報を取得する統計情報取得機能と、コンピュータネットワーク上に投稿された投稿文の内から、前記所定のエリア内で投稿された投稿文である該当投稿文を抽出する検索機能と、前記該当投稿文の内容に基づいて、前記統計情報を補正する統計情報補正機能と、前記統計情報補正機能により補正された前記統計情報を提供する提供機能と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
前記構成を有する請求項1に係る統計情報提供システムでは、コンピュータネットワーク上に投稿された投稿文の内容に基づいて統計情報を補正するので、統計情報の情報精度を向上させることが可能となる。特に、コンピュータネットワーク上に投稿された投稿文からは、現在の状況をより速いタイミングで把握することができるので、現在の状況に応じて統計情報をより適切な情報へと迅速に補正することが可能となる。そして、補正後の統計情報を用いることによって、より正確な情報をユーザに提供することが可能となる。
【0019】
また、請求項2に係る統計情報提供システムでは、該当投稿文に所定のエリアの状況の程度を示すワードが含まれている場合に、状況の変位量がより大きく又はより小さく変位するように統計情報を補正するので、現在の状況に応じた適切な方向へと統計情報を補正することが可能となる。
【0020】
また、請求項3に係る統計情報提供システムでは、該当投稿文に所定のエリアの状況の変化を示すワードが含まれている場合に、状況の変位速度がより速く又はより遅く変位するように統計情報を補正するので、現在の状況に応じた適切な方向へと統計情報を補正することが可能となる。
【0021】
また、請求項4に係る統計情報提供システムでは、該当投稿文が複数あって、複数の該当投稿文に所定のエリアの状況の程度又は変化が所定の第1状況にあることを示す第1ワードと、所定の第2状況にあることを示す第2ワードとがそれぞれ含まれている場合に、含まれる第1ワードと第2ワードの数の比率に基づいて統計情報を補正するので、該当投稿文が多く、現在の状況の特定が難しい場合であっても、現在の状況に応じた適切な方向へと統計情報を補正することが可能となる。また、実際の状況とは明らかに異なるイレギュラーな内容の投稿文を含む場合であっても、イレギュラーな内容の投稿文に大きく影響されることなく、現在の状況に応じた適切な方向へと統計情報を補正することが可能となる。
【0022】
また、請求項5に係る統計情報提供システムでは、統計情報は、時刻に対する道路の渋滞状況の推移を予測した情報であるので、現在の渋滞状況に応じて渋滞状況の推移を予測した統計情報をより適切な情報へと迅速に補正することが可能となる。そして、補正後の統計情報を用いることによって、より正確な渋滞情報をユーザに提供することが可能となる。
【0023】
また、請求項6に係る統計情報提供システムでは、移動体の位置を含むエリアを対象として統計情報を補正するので、特に移動体との関連性の高いエリアにおける統計情報の情報精度を向上させることが可能となる。また、全てのエリアに対して処理を行う場合と比較して処理負担を軽減させることが可能となる。
【0024】
また、請求項7に係る統計情報提供システムでは、移動体の移動予定経路を含むエリアを対象として統計情報を補正するので、特に移動体との関連性の高いエリアにおける統計情報の情報精度を向上させることが可能となる。また、全てのエリアに対して処理を行う場合と比較して処理負担を軽減させることが可能となる。
【0025】
また、請求項8に係る統計情報提供装置では、コンピュータネットワーク上に投稿された投稿文の内容に基づいて統計情報を補正するので、統計情報の情報精度を向上させることが可能となる。特に、コンピュータネットワーク上に投稿された投稿文からは、現在の状況をより速いタイミングで把握することができるので、現在の状況に応じて統計情報をより適切な情報へと迅速に補正することが可能となる。そして、補正後の統計情報を用いることによって、より正確な情報をユーザに提供することが可能となる。
【0026】
また、請求項9に係る統計情報提供方法では、コンピュータネットワーク上に投稿された投稿文の内容に基づいて統計情報を補正するので、統計情報の情報精度を向上させることが可能となる。特に、コンピュータネットワーク上に投稿された投稿文からは、現在の状況をより速いタイミングで把握することができるので、現在の状況に応じて統計情報をより適切な情報へと迅速に補正することが可能となる。そして、補正後の統計情報を用いることによって、より正確な情報をユーザに提供することが可能となる。
【0027】
更に、請求項10に係るコンピュータプログラムでは、コンピュータネットワーク上に投稿された投稿文の内容に基づいて統計情報を補正させるので、統計情報の情報精度を向上させることが可能となる。特に、コンピュータネットワーク上に投稿された投稿文からは、現在の状況をより速いタイミングで把握することができるので、現在の状況に応じて統計情報をより適切な情報へと迅速に補正させることが可能となる。そして、補正後の統計情報を用いることによって、より正確な情報をユーザに提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施形態に係る統計情報提供システムを示した概略構成図である。
【図2】本実施形態に係る統計情報提供システムの構成を示したブロック図である。
【図3】投稿文情報管理センタの投稿文情報DBに記憶される投稿文情報の一例を示した図である。
【図4】統計情報の一例を示した図である。
【図5】本実施形態に係るナビゲーション装置の制御系を模式的に示すブロック図である。
【図6】本実施形態に係る統計情報提供処理プログラムのフローチャートである。
【図7】液晶ディスプレイに表示される走行案内画面を示した図である。
【図8】ステップ13の渋滞予測情報の生成処理について説明した図である。
【図9】本実施形態に係る統計情報補正処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図10】投稿文中に用いられるワードを分類した図である。
【図11】ステップ34の統計情報の補正処理(縦軸方向の補正)について説明した図である。
【図12】ステップ34の統計情報の補正処理(横軸方向の補正)について説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る統計情報提供システムについて具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係る統計情報提供システム1の概略構成について図1及び図2を用いて説明する。図1は本実施形態に係る統計情報提供システム1を示した概略構成図である。図2は本実施形態に係る統計情報提供システム1の構成を示したブロック図である。
【0030】
図1に示すように、本実施形態に係る統計情報提供システム1は、統計情報提供装置に相当する統計情報提供センタ2と、投稿文情報管理センタ3と、車両5に搭載された移動端末としてのナビゲーション装置6とから基本的に構成されている。尚、ナビゲーション装置6の代わりに、携帯電話機、PDA、スマートフォン等の通信端末を用いても良い。
【0031】
ここで、統計情報提供センタ2は、VICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等の交通情報センタやプローブ情報を介して渋滞情報(渋滞度、渋滞長、旅行時間等)を取得し、エリア毎(より詳細にはリンク毎)の時刻に対する渋滞状況の推移を予測した統計情報を生成するセンタである。また、統計情報提供センタ2は、投稿文情報管理センタ3に記憶された投稿文の内容に基づいて生成された統計情報を補正することも行う。更に、車両5が今後の渋滞予測情報を要求した場合に、該当する統計情報に基づいて渋滞予測情報を生成し、該車両5のナビゲーション装置6に配信する。尚、統計情報提供センタ2の詳細については後述する。
【0032】
また、投稿文情報管理センタ3は、ブログ、SNS(Social Network Service)、Twitter(登録商標)、チャット等(以下、SNS等という)を管理し、SNS等においてコンピュータネットワーク上に投稿された投稿文の保管及び提供を行うセンタである。尚、ユーザによる投稿文の投稿は、PC、携帯電話機、PDA、スマートフォン等の通信端末で行うことが可能である。そして、投稿文情報管理センタ3は、記憶媒体として投稿文情報DB8を有し、投稿された投稿文は投稿文情報DB8に順次格納される。また、投稿文情報DB8には、投稿文の文章とともに、該投稿文が投稿された投稿時刻、該投稿文が投稿された際の投稿者の位置(以下、投稿位置という)、投稿者のID等についても記憶される。ここで、図3は、投稿文情報管理センタ3において収集及び提供される投稿文の一例を示した図である。図3に示すように投稿文としては、投稿時刻、投稿位置、ユーザID、投稿文の文章等が含まれる。尚、投稿文情報管理センタ3には、全国のユーザから投稿された投稿文に関する情報が累積的に投稿文情報DB8に格納され、格納されたデータ量が所定量以上となると過去の投稿文に関する情報から順に削除される。
【0033】
また、統計情報提供センタ2と投稿文情報管理センタ3は、通信機器を介して通信ネットワーク網9に接続され、複数のセンタ間で双方向通信可能に構成されている。
【0034】
一方、ナビゲーション装置6は全国の各道路を走行する車両5に設置され、車両5の現在位置や進行方向を検出したり、格納する地図情報に基づいて車両位置周辺の地図を表示したり、設定された目的地までの経路の探索及び案内を行う車載機である。また、ナビゲーション装置6は、通信モジュール10を介して通信ネットワーク網9に接続され、統計情報提供センタ2と双方向通信可能に構成されている。そして、統計情報提供センタ2から統計情報に基づく渋滞予測情報を受信した場合には、後述のように受信した渋滞予測情報に基づいてナビゲーション装置6に表示された渋滞情報を更新したり、受信した渋滞予測情報に基づいて目的地への到着予定時刻を更新する(図7参照)。尚、ナビゲーション装置6の詳細については後述する。
【0035】
続いて、統計情報提供システム1を構成する統計情報提供センタ2の構成について図2を用いてより詳細に説明する。統計情報提供センタ2は、図2に示すようにサーバ11と、サーバ11に接続された情報記録手段としての地図情報DB12及び統計情報DB13と、センタ通信装置14とから基本的に構成されている。
【0036】
サーバ11は、図2に示すように統計情報提供センタ2における各種制御を行う電子制御ユニットである。そして、演算装置及び制御装置としてのCPU21、並びにCPU21が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM22、各種制御プログラムの他、後述の統計情報提供処理プログラム(図6、図9)等が記憶されたROM23等の内部記憶装置を備えている。尚、サーバ11は、処理アルゴリズムとしての各種手段を構成する。例えば、統計情報取得手段は、所定のエリアにおける時刻に対する状況の推移を予測した統計情報を取得する。検索手段は、コンピュータネットワーク上に投稿された投稿文の内から、所定のエリア内で投稿された投稿文である該当投稿文を抽出する。統計情報補正手段は、該当投稿文の内容に基づいて、統計情報を補正する。提供手段は、統計情報補正手段により補正された統計情報を提供する。位置取得手段は、車両5(移動体)の位置を取得する。移動予定経路取得手段は、車両5の移動予定経路を取得する。
【0037】
また、地図情報DB12は、地図情報が記憶される記憶手段である。ここで、地図情報DB12に格納されている地図情報は、道路網を始めとして経路探索及び地図表示に必要な各種情報が記録されており、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、施設に関する施設データ、各交差点に関する交差点データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ、地図を表示するための地図表示データ等から構成されている。尚、地図情報DB12は、定期的に新たな地図情報へと更新される。
【0038】
また、統計情報DB13は、VICSセンタ等の交通情報センタやプローブ情報を介して取得した渋滞情報に基づいて生成された統計情報を記憶する記憶手段である。ここで、統計情報DB13に記憶されている統計情報は、エリア毎(より詳細にはリンク毎)の時刻に対する渋滞状況の推移を予測した情報である。
【0039】
例えば、図4は統計情報DB13に記憶されている統計情報の一例として、所定のリンクAの統計情報を示す。図4に示すようにリンクAの統計情報には、時間経過に沿ってリンクAを通過するのに必要な所要時間(即ちリンクAの旅行時間)の推移が記録される。横軸が時刻、縦軸が所要時間となり、グラフが上方に位置する時間帯では道路が混雑し、グラフが下方に位置する時間帯では道路が空いていることを示す。また、統計情報は、曜日毎に異なる統計情報を記憶することが望ましい。また、統計情報は、VICSセンタ等の交通情報センタやプローブ情報を介して取得した渋滞情報に基づいて定期的に更新される。更に、統計情報は、後述のようにコンピュータネットワーク上に投稿された投稿文の内容に基づいて一時的に補正される。
そして、統計情報提供センタ2は、後述のように車両5が今後の渋滞予測情報を要求した場合に、統計情報DB13に記憶された統計情報の内、該当する統計情報に基づいて渋滞予測情報を生成し、該車両5のナビゲーション装置6に配信する。
【0040】
また、センタ通信装置14は、投稿文情報管理センタ3やナビゲーション装置6と通信ネットワーク網9を介して通信を行う為の通信装置である。本実施形態では、センタ通信装置14を介して渋滞予測情報や投稿文に関する情報を投稿文情報管理センタ3やナビゲーション装置6との間で送受信する。
【0041】
次に、車両5に搭載されたナビゲーション装置6の概略構成について図5を用いて説明する。図5は本実施形態に係るナビゲーション装置6の制御系を模式的に示すブロック図である。
【0042】
図5に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置6は、車両の現在位置を検出する現在位置検出部31と、各種のデータが記録されたデータ記録部32と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU33と、ユーザからの操作を受け付ける操作部34と、ユーザに対して地図画像や統計情報提供センタ2から送信された渋滞予測情報等の各種情報を表示する液晶ディスプレイ35と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ36と、記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ37と、統計情報提供センタ2やVICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール10とから構成されている。
【0043】
以下に、ナビゲーション装置6を構成する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部31は、GPS41、車速センサ42、ステアリングセンサ43、ジャイロセンサ44等からなり、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度、現在時刻等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ42は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU33に出力する。そして、ナビゲーションECU33は発生するパルスを計数することにより駆動輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記5種類のセンサをナビゲーション装置6が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置6が備える構成としても良い。
【0044】
また、データ記録部32は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB45や渋滞予測情報DB46や所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、データ記録部32をハードディスクの代わりにメモリーカードやCDやDVD等の光ディスクにより構成しても良い。
【0045】
ここで、地図情報DB45は、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、鉄道の路線に関する路線データ、施設に関する施設データ、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。
【0046】
また、渋滞予測情報DB46は、統計情報提供センタ2から受信した渋滞予測情報が記憶される記憶手段である。ここで、渋滞予測情報は、後述のようにエリア毎(より詳細にはリンク毎)の時刻に対する渋滞状況の推移を予測した情報である。そして、ナビゲーション装置6は、渋滞予測情報DB46に記憶された渋滞予測情報に基づいて、車両の周囲の道路の渋滞情報を案内したり、現在ナビゲーション装置6で設定されている目的地への到着予定時刻を算出する。
【0047】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)33は、ナビゲーション装置6の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU51、並びにCPU51が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM52、制御用のプログラムのほか、統計情報提供処理プログラム(図6)等が記録されたROM53、ROM53から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ54等の内部記憶装置を備えている。
【0048】
操作部34は、走行開始地点としての出発地及び走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)から構成される。そして、ナビゲーションECU33は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部34は液晶ディスプレイ35の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。また、マイクと音声認識装置によって構成することもできる。
【0049】
また、液晶ディスプレイ35には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、出発地から目的地までの走行予定経路、走行予定経路に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。特に本実施形態では、車両の周囲の道路の渋滞情報についても表示する。ここで、表示される渋滞情報としては、渋滞の度合いを示す渋滞度や渋滞区間等がある。また、渋滞度とは、渋滞の程度を示した情報であり、渋滞の程度の高い方から、『渋滞』、『混雑』、『空き』がある。
【0050】
また、スピーカ36は、ナビゲーションECU33からの指示に基づいて走行予定経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。
【0051】
また、DVDドライブ37は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて音楽や映像の再生、地図情報DB45の更新等が行われる。
【0052】
また、通信モジュール10は、交通情報センタ、例えば、VICSセンタやプローブセンタ等から送信された渋滞情報、規制情報、交通事故情報等の各情報から成る交通情報を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。また、統計情報提供センタ2との間で車両情報を送信したり、渋滞予測情報を受信するのにも用いられる。
【0053】
続いて、前記構成を有する統計情報提供システム1を構成するナビゲーション装置6及び統計情報提供センタ2において実行する統計情報提供処理プログラムについて図6に基づき説明する。図6は本実施形態に係る統計情報提供処理プログラムのフローチャートである。ここで、統計情報提供処理プログラムは車両のACCがONされた後に実行され、車両5が渋滞予測情報を要求した場合に、コンピュータネットワーク上に投稿された投稿文に基づいて統計情報を補正し、補正した統計情報に基づいて生成された渋滞予測情報を該車両5に提供するプログラムである。尚、以下の図6、図9にフローチャートで示されるプログラムは、統計情報提供センタ2やナビゲーション装置6が備えるRAMやROM等に記憶されており、CPU21やCPU51により実行される。
【0054】
先ず、ナビゲーション装置6において実行される統計情報提供処理プログラムについて説明する。
ステップ(以下、Sと略記する)1においてCPU51は、ナビゲーション装置6が設置された車両5に関する車両情報を取得する。ここで、前記S1で取得される車両情報としては、車両の走行予定経路、車両の移動方向、車両の現在位置等がある。ここで、車両の走行予定経路は、ナビゲーション装置6において案内経路が設定されている場合における該案内経路が相当する。また、車両の移動方向や現在位置は、現在位置検出部31の検出結果に基づいて取得される。
【0055】
次に、S2においてCPU51は、渋滞予測情報の要求が行われたか否か判定する。具体的には、ナビゲーション装置6において目的地が新たに設定された場合や、ACCがONされてから所定時間が経過した場合等に渋滞予測情報の要求が行われる。
【0056】
そして、渋滞予測情報の要求が行われたと判定された場合(S2:YES)には、S3へと移行する。それに対して、渋滞予測情報の要求が行われていないと判定された場合(S2:NO)には、当該統計情報提供処理プログラムを終了する。
【0057】
S3においてCPU51は、前記S1で取得した車両情報に基づいて、渋滞予測情報を要求する対象となるエリア(以下、情報要求エリア)を特定する。具体的には、前記S1で車両の走行予定経路が取得できた場合には、走行予定経路から所定距離以内(例えば200m以内)のエリアが情報要求エリアとなる。それに対して、前記S1で車両の走行予定経路が取得できなかった場合には、車両の現在位置から所定距離以内(例えば10km以内)のエリアが情報要求エリアとなる。
【0058】
続いて、S4においてCPU51は、前記S3で特定された情報要求エリアを統計情報提供センタ2へと送信する。尚、情報要求エリアを受信した統計情報提供センタ2は後述のように、コンピュータネットワーク上に投稿された投稿文の内容に基づいて統計情報を補正し、補正された統計情報に基づいて情報要求エリアの今後の渋滞状況を予測した渋滞予測情報を生成する(S12、S13)。
【0059】
次に、S5においてCPU51は、統計情報提供センタ2から送信された渋滞予測情報を受信する。尚、前記S5で受信する渋滞予測情報は、前記S4で送信した情報要求エリアにおける今後の時刻に対する渋滞状況の推移を、投稿文を参考に予測した情報である。
【0060】
その後、S6においてCPU51は、前記S5で受信した渋滞予測情報に基づく案内を行う。具体的には、渋滞予測情報に基づいて液晶ディスプレイ35に表示された渋滞情報を更新したり、受信した渋滞予測情報に基づいて目的地への到着予定時刻を更新する。
【0061】
ここで、図7は前記S5において渋滞予測情報を受信する前の液晶ディスプレイ35に表示される走行案内画面61と、前記S5において渋滞予測情報を受信した後の液晶ディスプレイ35に表示される走行案内画面61を示した図である。
走行案内画面61は、車両周辺の地図画像62と、目的地に到着する到着予定時刻を示す到着予定時刻表示部63とが含まれる。更に、地図画像62には、車両の現在位置を示す自車位置マーク、出発地に設定された地点を示す出発地マーク、目的地に設定された地点を示す目的地マーク、案内経路、渋滞情報を示す渋滞マーク64等が表示される。また、渋滞マーク64は、統計情報により予測される各道路区間の渋滞度を“渋滞”、“混雑”、“空き”のいずれかに特定するマークである。具体的には、渋滞マーク64の矢印の色は渋滞度を示し、矢印の長さは渋滞長を示す。例えば、渋滞度が“渋滞”であることを示す渋滞マーク64は赤色で表示され、渋滞度が“混雑”であることを示す渋滞マーク64は橙色で表示され、渋滞度が“空き”であることを示す渋滞マーク64は緑色で表示される。
【0062】
そして、図7の上図に示す走行案内画面61が液晶ディスプレイ35に表示されている状態で、統計情報提供センタ2から投稿文に基づいて予測された渋滞予測情報を新たに受信した場合であって、受信した渋滞予測情報がリンク65とリンク66について今後渋滞すると予測される情報であった場合には、リンク65とリンク66の渋滞度がそれぞれ“空き”から“渋滞”へと更新される。更に、車両の案内経路上に渋滞のリンクが増加したので、到着予定時刻が16:30から16:45へと更新される。その結果、渋滞予測情報に基づいて更新されたより正確な渋滞情報と目的地への到着予定時刻をユーザが取得することが可能となる。
尚、渋滞予測情報を受信した後の渋滞マーク64については、更新後の情報のみを表示しても良いし、更新前の情報と更新後の情報を所定間隔で交互に表示するように構成しても良い。また、更新前と更新後で渋滞マーク64の表示形態を変えて表示しても良い(例えば更新前は実線、更新後は破線)。
【0063】
次に、統計情報提供センタ2において実行される統計情報提供処理プログラムについて説明する。
先ず、S11においてCPU21は、渋滞予測情報を要求する車両5から送信された情報要求エリアを受信する。
【0064】
次に、S12においてCPU21は、後述の統計情報補正処理(図9)を実行する。ここで、統計情報補正処理は、投稿文情報管理センタ3に記憶された投稿文の内容に基づいて情報要求エリアの統計情報を、現在の渋滞状況に応じてより適切な情報へと補正する処理である。
【0065】
続いて、S13においてCPU21は、現在までの情報要求エリアの渋滞状況と前記S13で補正された統計情報を用いて、情報要求エリアの今後の渋滞状況を予測した渋滞予測情報を生成する。具体的には、現在の渋滞状況から統計情報と同じ推移形態で渋滞状況が推移すると予測して渋滞予測情報を生成する。
【0066】
以下に、図8を用いて上記S13の渋滞予測情報の生成処理についてより詳細に説明する。例えば、図8に示すように統計情報(実線部分)と現在までの渋滞状況の実測値(鎖線部分)が取得できた場合には、現在までの渋滞状況(鎖線部分)と連続して統計情報(実線部分)と同じ推移形態で今後の渋滞状況が推移すると予測する。その結果、図8に示す破線部分のグラフ形状が渋滞予測情報として生成される。尚、統計情報がリンク毎に生成されている場合であって情報要求エリア内に複数のリンクを含む場合には、該複数のリンク毎に上記渋滞予測情報が生成される。
【0067】
その後、S14においてCPU21は、前記S13で生成された渋滞予測情報を、渋滞予測情報を要求した車両5に対して送信する。その結果、渋滞予測情報を要求した車両5のナビゲーション装置6において、渋滞予測情報に基づく案内(車両周辺の道路の渋滞情報や目的地への到着予定時刻の案内)が行われる(S6)。
【0068】
次に、前記S12において実行される統計情報補正処理のサブ処理について図9に基づき説明する。図9は統計情報補正処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0069】
先ず、S21においてCPU21は、前記S11で受信した情報要求エリアに基づいて、コンピュータネットワーク上に投稿された投稿文の内から、情報要求エリア内で投稿された投稿文(該当投稿文)を抽出する。具体的には、投稿文情報管理センタ3の投稿文情報DB8に格納された投稿文情報(図3)の中から、投稿位置が情報要求エリア内にある該当投稿文に関する情報(投稿文の文章、投稿時刻、投稿位置、投稿者のID等)を抽出する。
【0070】
以降のS22〜S33の処理は前記S21で抽出された該当投稿文毎に実施される。具体的には、各該当投稿文について投稿日時が早い順にS22〜S33の処理が順次実行され、全ての該当投稿文に対してS22〜S33の処理が実行された後にS34へと移行する。
【0071】
S22においてCPU21は、処理対象となる該当投稿文の文章に対して形態素解析を行う。具体的には、処理対象となる該当投稿文の文章をワード(形態素)単位に分割し、それぞれの品詞を判別する。更に、各ワードについて、図10に示す“感情表現を示すワード”、“渋滞状況の程度を示すワード”、“渋滞状況の変化を示すワード”、“渋滞の要因を示すワード”のいずれかに該当するかについても判別する。
【0072】
次に、S23においてCPU21は、前記22で分割された各ワードの修飾関係を解析する。特に、“感情表現を示すワード”、“渋滞状況の程度を示すワード”、“渋滞状況の変化を示すワード”、“渋滞の要因を示すワード”に該当するワードの修飾関係について特定する。
【0073】
続いて、S24においてCPU21は、前記S22及びS23の解析結果に基づいて、処理対象となる該当投稿文が渋滞状況の程度を示す投稿文であるか否か判定する。具体的には、“渋滞状況の程度を示すワード”と“渋滞の要因を示すワード”と“感情表現を示すワード”がそれぞれ含まれており、且つ“感情表現を示すワード”が“渋滞状況の程度を示すワード”と“渋滞の要因を示すワード”の一方又は両方を修飾する関係にある場合に、処理対象となる該当投稿文が渋滞状況の程度を示す投稿文であると判定する。
【0074】
そして、処理対象となる該当投稿文が渋滞状況の程度を示す投稿文であると判定された場合(S24:YES)には、S25へと移行する。それに対して、処理対象となる該当投稿文が渋滞状況の程度を示す投稿文でないと判定された場合(S24:NO)には、S29へと移行する。
【0075】
S25においてCPU21は、処理対象となる該当投稿文がネガティブな内容(即ち、渋滞状況の程度が悪く、非常に混雑している内容)の投稿であるか否か判定する。具体的には、該当投稿文に含まれる“渋滞状況の程度を示すワード”と“感情表現を示すワード”の少なくとも一方が図10のネガディブに分類されるワード(ネガティブな状況(第1状況)にあることを示すワード(第1ワード))である場合に、処理対象となる該当投稿文がネガティブな内容の投稿であると判定する。尚、一方がネガティブに分類されるワードで他方がポジティブに分類されるワードである場合には、基本的には“渋滞状況の程度を示すワード”の分類を優先する。
【0076】
そして、処理対象となる該当投稿文がネガティブな内容の投稿であると判定された場合(S25:YES)には、S26へと移行する。それに対して、処理対象となる該当投稿文がネガティブな内容の投稿でないと判定された場合(S25:NO)には、S27へと移行する。
【0077】
S26においてCPU21は、渋滞状況の程度のネガティブ度を示すカウント値T1を+1加算する。尚、カウント値T1はRAM22等に格納される。
【0078】
一方、S27においてCPU21は、処理対象となる該当投稿文がポジティブな内容(即ち、渋滞状況の程度が良く、渋滞が緩和している内容)の投稿であるか否か判定する。具体的には、該当投稿文に含まれる“渋滞状況の程度を示すワード”と“感情表現を示すワード”の少なくとも一方が図10のポジディブに分類されるワード(ポジティブな状況(第2状況)にあることを示すワード(第2ワード))である場合に、処理対象となる該当投稿文がポジティブな内容の投稿であると判定する。尚、一方がネガティブに分類されるワードで他方がポジティブに分類されるワードである場合には、基本的には“渋滞状況の程度を示すワード”の分類を優先する。
【0079】
そして、処理対象となる該当投稿文がポジティブな内容の投稿であると判定された場合(S27:YES)には、S28へと移行する。それに対して、処理対象となる該当投稿文がポジティブな内容の投稿でないと判定された場合(S27:NO)には、処理対象となる該当投稿文を変更し、S22以降の処理を再度実行する。
【0080】
S28においてCPU21は、渋滞状況の程度のポジティブ度を示すカウント値T2を+1加算する。尚、カウント値T2はRAM22等に格納される。
【0081】
一方、S29においてCPU21は、前記S22及びS23の解析結果に基づいて、処理対象となる該当投稿文が渋滞状況の変化を示す投稿文であるか否か判定する。具体的には、“渋滞状況の変化を示すワード”と“渋滞の要因を示すワード”と“感情表現を示すワード”がそれぞれ含まれており、且つ“感情表現を示すワード”が“渋滞状況の変化を示すワード”と“渋滞の要因を示すワード”の一方又は両方を修飾する関係にある場合に、処理対象となる該当投稿文が渋滞状況の程度を示す投稿文であると判定する。
【0082】
そして、処理対象となる該当投稿文が渋滞状況の変化を示す投稿文であると判定された場合(S29:YES)には、S30へと移行する。それに対して、処理対象となる該当投稿文が渋滞状況の変化を示す投稿文でもないと判定された場合(S29:NO)には、処理対象となる該当投稿文を変更し、S22以降の処理を再度実行する。
【0083】
S30においてCPU21は、処理対象となる該当投稿文がネガティブな内容(即ち、渋滞状況が悪化又は現状維持している内容)の投稿であるか否か判定する。具体的には、該当投稿文に含まれる“渋滞状況の変化を示すワード”と“感情表現を示すワード”の少なくとも一方が図10のネガディブに分類されるワード(ネガティブな状況(第1状況)にあることを示すワード(第1ワード))である場合に、処理対象となる該当投稿文がネガティブな内容の投稿であると判定する。尚、一方がネガティブに分類されるワードで他方がポジティブに分類されるワードである場合には、基本的には“渋滞状況の変化を示すワード”の分類を優先する。
【0084】
そして、処理対象となる該当投稿文がネガティブな内容の投稿であると判定された場合(S30:YES)には、S31へと移行する。それに対して、処理対象となる該当投稿文がネガティブな内容の投稿でないと判定された場合(S30:NO)には、S32へと移行する。
【0085】
S31においてCPU21は、渋滞状況の変化のネガティブ度を示すカウント値T3を+1加算する。尚、カウント値T3はRAM22等に格納される。
【0086】
一方、S32においてCPU21は、処理対象となる該当投稿文がポジティブな内容(即ち、渋滞状況が徐々に改善する内容)の投稿であるか否か判定する。具体的には、該当投稿文に含まれる“渋滞状況の変化を示すワード”と“感情表現を示すワード”の少なくとも一方が図10のポジディブに分類されるワード(ポジティブな状況(第2状況)にあることを示すワード(第2ワード))である場合に、処理対象となる該当投稿文がポジティブな内容の投稿であると判定する。尚、一方がネガティブに分類されるワードで他方がポジティブに分類されるワードである場合には、基本的には“渋滞状況の変化を示すワード”の分類を優先する。
【0087】
そして、処理対象となる該当投稿文がポジティブな内容の投稿であると判定された場合(S32:YES)には、S33へと移行する。それに対して、処理対象となる該当投稿文がポジティブな内容の投稿でないと判定された場合(S32:NO)には、処理対象となる該当投稿文を変更し、S22以降の処理を再度実行する。
【0088】
S33においてCPU21は、渋滞状況の変化のポジティブ度を示すカウント値T4を+1加算する。尚、カウント値T4はRAM22等に格納される。
【0089】
そして、前記S21で抽出された全ての該当投稿文に対してS22〜S33の処理が実行された後は、S34へと移行する。
【0090】
S34においてCPU21は、情報要求エリアの統計情報を統計情報DB13から読み出し、渋滞状況の程度のネガティブ度T1とポジティブ度T2との割合(即ち第1ワードと前記第2ワードの数の比率)に基づいて、統計情報の縦軸方向(即ち、渋滞状況の変位量)を補正する。更に、渋滞状況の変化のネガティブ度T3とポジティブ度T4との割合(即ち第1ワードと前記第2ワードの数の比率)に基づいて、統計情報の横軸方向(即ち、渋滞状況の変位速度)を補正する。
【0091】
以下に、図11及び図12を用いて上記S34の統計情報の補正処理についてより詳細に説明する。尚、図11及び図12で補正対象とする統計情報の例は、現在渋滞状態にあって、今後しばらく渋滞した後に渋滞が徐々に解消すると予測されるリンクの統計情報である。
先ず、図11を用いて統計情報の縦軸方向(即ち、渋滞状況の変位量)の補正について説明すると、渋滞状況の程度のポジティブ度のカウント値T2に対してネガティブ度のカウント値T1の割合が高いほど、渋滞状況の変位量が今後、悪化する方向へより大きく変位するように統計情報を補正する。その結果、補正後の統計情報に基づいて生成される渋滞予測情報は、渋滞の程度が今後に大きく悪化すると予測した情報となる。一方、渋滞状況の程度のネガティブ度のカウント値T1に対してポジティブ度のカウント値T2の割合が高いほど、渋滞状況の変位量が今後、より小さく変位するように統計情報を補正する。その結果、補正後の統計情報に基づいて生成される渋滞予測情報は、渋滞の程度が今後にあまり大きく悪化しないと予測した情報となる。
次に、図12を用いて統計情報の横軸方向(即ち、渋滞状況の変位速度)の補正について説明すると、渋滞状況の変化のポジティブ度のカウント値T4に対してネガティブ度のカウント値T3の割合が高いほど、渋滞状況の変位速度が今後、より遅く変位するように統計情報を補正する。その結果、補正後の統計情報に基づいて生成される渋滞予測情報は、渋滞の程度が改善するまでの時間が長くなる(即ち、渋滞の状態が長く継続する)と予測した情報となる。一方、渋滞状況の変化のネガティブ度のカウント値T3に対してポジティブ度のカウント値T4の割合が高いほど、渋滞状況の変位速度が今後、良い状況へより速く変位するように統計情報を補正する。その結果、補正後の統計情報に基づいて生成される渋滞予測情報は、渋滞の程度が改善するまでの時間が短くなる(即ち、渋滞の状態は早く解消する)と予測した情報となる。
尚、統計情報がリンク毎に生成されている場合であって情報要求エリア内に複数のリンクを含む場合には、該複数のリンク毎に上記統計情報の補正が行われる。
【0092】
その後、CPU21はS13で補正後の統計情報に基づいて渋滞予測情報を生成する(S13)。その結果、現在の渋滞状況を考慮した、より正確な渋滞予測情報を生成することが可能となる。
【0093】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る統計情報提供システム1、統計情報提供システム1による統計情報提供方法及び統計情報提供システム1において実行されるコンピュータプログラムでは、車両5から情報要求エリアにおける渋滞予測情報の要求が有った場合に、コンピュータネットワーク上に投稿された投稿文から、情報要求エリアで投稿された該当投稿文を抽出し(S21)、該当投稿文の内容に基づいて、情報要求エリアの統計情報を補正し(S34)、補正された統計情報に基づいて渋滞予測情報を生成し(S13)、生成された渋滞予測情報を提供する(S14)ので、統計情報の情報精度を向上させることが可能となる。特に、コンピュータネットワーク上に投稿された投稿文からは、現在の渋滞状況をより速いタイミングで把握することができるので、現在の渋滞状況に応じて統計情報をより適切な情報へと迅速に補正することが可能となる。そして、補正後の統計情報を用いることによって、より正確な渋滞情報をユーザに提供することが可能となる。
また、該当投稿文に所定のエリアの渋滞状況の程度を示すワードが含まれている場合に、渋滞状況の変位量がより大きく又はより小さく変位するように統計情報を補正するので、現在の渋滞状況に応じた適切な方向へと統計情報を補正することが可能となる。
また、該当投稿文に所定のエリアの渋滞状況の変化を示すワードが含まれている場合に、渋滞状況の変位速度がより速く又はより遅く変位するように統計情報を補正するので、現在の渋滞状況に応じた適切な方向へと統計情報を補正することが可能となる。
また、該当投稿文が複数あって、複数の該当投稿文に所定のエリアの渋滞状況の程度又は変化が所定の第1状況(即ち、ネガティブな状況)にあることを示す第1ワードと、所定の第2状況(即ち、ポジティブな状況)にあることを示す第2ワードとがそれぞれ含まれている場合に、含まれる第1ワードと第2ワードの数の比率に基づいて統計情報を補正するので、該当投稿文が多く、現在の渋滞状況の特定が難しい場合であっても、現在の渋滞状況に応じた適切な方向へと統計情報を補正することが可能となる。また、実際の渋滞状況とは明らかに異なるイレギュラーな内容の投稿文を含む場合であっても、イレギュラーな内容の投稿文に大きく影響されることなく、現在の渋滞状況に応じた適切な方向へと統計情報を補正することが可能となる。
また、車両の現在位置や走行予定経路を含むエリアを対象として統計情報を補正するので、特に車両との関連性の高いエリアにおける統計情報の情報精度を向上させることが可能となる。また、全てのエリアに対して処理を行う場合と比較して処理負担を軽減させることが可能となる。
【0094】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では投稿文検索処理プログラム(図6)のS11〜S14の処理を統計情報提供センタ2が実行する構成としているが、投稿文情報管理センタ3やナビゲーション装置6が一部または全部の処理を実行する構成としても良い。例えば、投稿文情報管理センタ3がS11〜S14の処理を実行する構成とすれば統計情報提供センタ2は不要となる。また、ナビゲーション装置6の代わりに、携帯電話機、PDA、スマートフォン等の通信端末を用いても良い。
【0095】
また、本実施形態では統計情報提供センタ2が統計情報を生成する構成としているが、統計情報は他のセンタで生成し、統計情報提供センタ2が他のセンタから統計情報を取得する構成としても良い。
【0096】
また、本実施形態では統計情報提供センタ2が統計情報に基づいて渋滞予測情報を生成する構成としているが、ナビゲーション装置6が渋滞予測情報を生成する構成としても良い。その場合には、補正後の統計情報を統計情報提供センタ2から渋滞予測情報を要求した車両5のナビゲーション装置6へと送信するように構成する。
【0097】
また、本実施形態では、統計情報を時刻に対する道路の渋滞状況の推移を予測した情報とするが、時刻に対する他の状況(例えば天気)の推移を予測した情報としても良い。その場合には、ナビゲーション装置6において他の状況(例えば天気)の予測結果が案内されることとなる。
【0098】
また、本実施形態では、“渋滞状況の程度を示すワード”と“渋滞の要因を示すワード”と“感情表現を示すワード”がそれぞれ含まれており、且つ“感情表現を示すワード”が“渋滞状況の程度を示すワード”と“渋滞の要因を示すワード”の一方又は両方を修飾する関係にある場合に、処理対象となる該当投稿文が渋滞状況の程度を示す投稿文であると判定している(S24)が、“渋滞状況の程度を示すワード”と“渋滞の要因を示すワード”の一方又は両方を含む場合に、処理対象となる該当投稿文が渋滞状況の程度を示す投稿文であると判定しても良い。
【0099】
更に、本実施形態では、“渋滞状況の変化を示すワード”と“渋滞の要因を示すワード”と“感情表現を示すワード”がそれぞれ含まれており、且つ“感情表現を示すワード”が“渋滞状況の変化を示すワード”と“渋滞の要因を示すワード”の一方又は両方を修飾する関係にある場合に、処理対象となる該当投稿文が渋滞状況の変化を示す投稿文であると判定している(S29)が、“渋滞状況の変化を示すワード”と“渋滞の要因を示すワード”の一方又は両方を含む場合に、処理対象となる該当投稿文が渋滞状況の変化を示す投稿文であると判定しても良い。
【0100】
また、本実施形態では、投稿文情報管理センタ3において投稿文に関する情報として、投稿文の文章とともに、該投稿文が投稿された投稿時刻、投稿位置、投稿者のID等について記憶される構成としているが、投稿文の文章と投稿位置のみを記憶する構成としても良い。
【符号の説明】
【0101】
1 統計情報提供システム
2 統計情報提供センタ
3 投稿文情報管理センタ
5 車両
6 ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のエリアにおける時刻に対する状況の推移を予測した統計情報を取得する統計情報取得手段と、
コンピュータネットワーク上に投稿された投稿文の内から、前記所定のエリア内で投稿された投稿文である該当投稿文を抽出する検索手段と、
前記該当投稿文の内容に基づいて、前記統計情報を補正する統計情報補正手段と、
前記統計情報補正手段により補正された前記統計情報を提供する提供手段と、を有することを特徴とする統計情報提供システム。
【請求項2】
前記統計情報補正手段は、前記該当投稿文に前記所定のエリアの状況の程度を示すワードが含まれている場合に、状況の変位量がより大きく又はより小さく変位するように前記統計情報を補正することを特徴とする請求項1に記載の統計情報提供システム。
【請求項3】
前記統計情報補正手段は、前記該当投稿文に前記所定のエリアの状況の変化を示すワードが含まれている場合に、状況の変位速度がより速く又はより遅くなるように前記統計情報を補正することを特徴とする請求項1に記載の統計情報提供システム。
【請求項4】
前記統計情報補正手段は、
前記該当投稿文が複数あって、前記複数の該当投稿文に前記所定のエリアの状況の程度又は変化が所定の第1状況にあることを示す第1ワードと、所定の第2状況にあることを示す第2ワードとがそれぞれ含まれている場合に、前記複数の該当投稿文中に含まれる前記第1ワードと前記第2ワードの数の比率を算出し、
算出された比率に基づいて前記統計情報を補正することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の統計情報提供システム。
【請求項5】
前記統計情報は、時刻に対する道路の渋滞状況の推移を予測した情報であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の統計情報提供システム。
【請求項6】
移動体の位置を取得する位置取得手段を有し、
前記統計情報取得手段は、前記位置取得手段により取得した前記移動体の位置を含むエリアにおける前記統計情報を取得し、
前記提供手段は、前記移動体に対して前記統計情報を提供することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の統計情報提供システム。
【請求項7】
移動体の移動予定経路を取得する移動予定経路取得手段を有し、
前記統計情報取得手段は、前記移動予定経路取得手段により取得した前記移動予定経路を含むエリアにおける前記統計情報を取得し、
前記提供手段は、前記移動体に対して前記統計情報を提供することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の統計情報提供システム。
【請求項8】
所定のエリアにおける時刻に対する状況の推移を予測した統計情報を取得する統計情報取得手段と、
コンピュータネットワーク上に投稿された投稿文の内から、前記所定のエリア内で投稿された投稿文である該当投稿文を抽出する検索手段と、
前記該当投稿文の内容に基づいて、前記統計情報を補正する統計情報補正手段と、
前記統計情報補正手段により補正された前記統計情報を提供する提供手段と、を有することを特徴とする統計情報提供装置。
【請求項9】
所定のエリアにおける時刻に対する状況の推移を予測した統計情報を取得する統計情報取得ステップと、
コンピュータネットワーク上に投稿された投稿文の内から、前記所定のエリア内で投稿された投稿文である該当投稿文を抽出する検索ステップと、
前記該当投稿文の内容に基づいて、前記統計情報を補正する統計情報補正ステップと、
前記統計情報補正ステップにより補正された前記統計情報を提供する提供ステップと、を有することを特徴とする統計情報提供方法。
【請求項10】
コンピュータに、
所定のエリアにおける時刻に対する状況の推移を予測した統計情報を取得する統計情報取得機能と、
コンピュータネットワーク上に投稿された投稿文の内から、前記所定のエリア内で投稿された投稿文である該当投稿文を抽出する検索機能と、
前記該当投稿文の内容に基づいて、前記統計情報を補正する統計情報補正機能と、
前記統計情報補正機能により補正された前記統計情報を提供する提供機能と、
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−50918(P2013−50918A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189602(P2011−189602)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】