説明

絶縁ケーブル及びその製造方法

【課題】ソーラーケーブルとしてのTUV規格で要求される項目に優れた絶縁ケーブル及びその製造方法を提供する
【解決手段】内側絶縁樹脂層と、その外周に設けられた外側絶縁樹脂層とを備えた二層構造の絶縁樹脂層で導体が被覆された絶縁ケーブルであって、前記内側絶縁樹脂層と前記外側絶縁樹脂層が同一組成の絶縁樹脂で形成され、前記絶縁樹脂が、金属水酸化物(A)とベース樹脂(B)とを(A)/(B)=1.4〜2.5の質量比で含有するとともに酸化防止剤(C)を前記ベース樹脂(B)に対して0.03〜0.2の質量比で含有し、前記ベース樹脂(B)が、融点が60℃以下の超低密度ポリエチレン(D)と融点が70℃以上の超低密度ポリエチレン(E)とを(D)/(E)=50/50〜85/15の質量比で含有し、前記二層構造の絶縁樹脂層が架橋されている絶縁ケーブルとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は絶縁ケーブル及びその製造方法に係り、より詳細には、ソーラーケーブルとして好適に使用できる二層構造の絶縁層で被覆された絶縁ケーブル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギー資源の枯渇や大気中のCO2増加のような環境問題及びエネルギー問題への関心の高まりから、クリーンなエネルギーの開発が望まれており、なかでも太陽電池を用いた太陽光発電システムは新しいエネルギー源として実用化が進められている。
このような太陽光発電システムに用いられるソーラーケーブル(太陽光発電集電ケーブル)は屋外環境での使用が前提となるため、ヨーロッパでの販売時に求められる安全規格であるTUV規格においては、二重絶縁電線であることが求められる。二重絶縁電線としては、例えば特許文献1に記載の電気ケーブルを挙げることができる。当該電気ケーブルは、自動車、鉄道、航空、宇宙飛行などの各工業分野での利用を意図して開発されたものであるため、屋外での使用に適している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−155554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ソーラーケーブルとして使用される電線は、屋外での使用に適した二重絶縁電線であることのほかに、導体に関する要求項目だけではなく、外被についての要求項目、すなわち、物理特性(伸び、抗張力、老化後の伸び残率と抗張力残率)、難燃性、熱耐久性、低温耐衝撃性について規定する項目も含まれており、これらの項目を全て満足させる必要がある。
したがって、特許文献1に記載の二重絶縁電線などの既存の電線は、直ちにソーラーケーブルとして転用できるというものではない。
【0005】
本発明は、ソーラーケーブルにかかる上記背景に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、TUV規格で要求されるソーラーケーブルとしての使用が認められる絶縁ケーブル及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、二層構造の絶縁樹脂層で導体が被覆された絶縁ケーブルにおいて、内側絶縁層の樹脂と外側絶縁層の樹脂を同一の組成とし、且つ、この樹脂の組成を特定のものとし、さらに絶縁樹脂層を架橋することで、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明の絶縁ケーブルは、内側絶縁樹脂層と、その外周に設けられた外側絶縁樹脂層とを備えた二層構造の絶縁樹脂層で導体が被覆された絶縁ケーブルであって、前記内側絶縁樹脂層と前記外側絶縁樹脂層が同一組成の絶縁樹脂で形成され、前記絶縁樹脂が、金属水酸化物(A)とベース樹脂(B)とを(A)/(B)=1.4〜2.5の質量比で含有するとともに酸化防止剤(C)を前記ベース樹脂(B)に対して0.03〜0.2の質量比で含有し、前記ベース樹脂(B)が、融点が60℃以下の超低密度ポリエチレン(D)と融点が70℃以上の超低密度ポリエチレン(E)とを(D)/(E)=50/50〜85/15の質量比で含有し、前記二層構造の絶縁樹脂層が架橋されていることを特徴とする(請求項1)。
【0008】
また、本発明の絶縁ケーブルの好適形態は、前記内側絶縁樹脂層の外周面に離型剤が塗布されていることを特徴とする(請求項2)。
【0009】
本発明の絶縁ケーブルの製造方法は、導体の周りに絶縁樹脂を押出被覆して内側絶縁樹脂層を形成する第一工程;前記内側絶縁樹脂層の周りに絶縁樹脂を押出被覆して外側絶縁樹脂層を形成する第二工程;並びに、形成された内側絶縁樹脂層及び外側絶縁樹脂層を架橋する第三工程を含む製造方法であり、前記内側絶縁樹脂層と前記外側絶縁樹脂層を同一組成の絶縁樹脂で形成し、前記絶縁樹脂が、金属水酸化物(A)とベース樹脂(B)とを(A)/(B)=1.4〜2.5の質量比で含有するとともに酸化防止剤(C)を前記ベース樹脂(B)に対して0.03〜0.2の質量比で含有し、前記ベース樹脂(B)が、融点が60℃以下の超低密度ポリエチレン(D)と融点が70℃以上の超低密度ポリエチレン(E)とを(D)/(E)=50/50〜85/15の質量比で含有することを特徴とする(請求項3)。
【0010】
また、本発明の絶縁ケーブルの製造方法の好適形態は、前記第一工程において、形成された内側絶縁樹脂層の外周面に離型剤を塗布することを特徴とする(請求項4)。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、内側絶縁樹脂層と外側絶縁樹脂層が同一組成の絶縁樹脂で形成された二層構造の絶縁樹脂層を有する絶縁ケーブルにおいて、該絶縁樹脂が、金属水酸化物(A)とベース樹脂(B)とを(A)/(B)=1.4〜2.5の質量比で含有するとともに酸化防止剤(C)を前記ベース樹脂(B)に対して0.03〜0.2の質量比で含有し、前記ベース樹脂(B)が、融点が60℃以下の超低密度ポリエチレン(D)と融点が70℃以上の超低密度ポリエチレン(E)とを(D)/(E)=50/50〜85/15の質量比で含有し、さらに二層構造の絶縁樹脂層が架橋されることで、TUV規格でソーラーケーブルの外被に要求される項目(物理特性、難燃性、熱耐久性、低温耐衝撃性)に優れた絶縁ケーブル及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の絶縁ケーブルの一例を示す概略断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.絶縁ケーブル
以下、本発明の絶縁ケーブルについて、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の絶縁ケーブルの一例を示す概略断面斜視図である。
絶縁ケーブル1は、内側絶縁樹脂層20と、その外周に積層された外側絶縁樹脂層30とを備えた二重構造の絶縁樹脂層によって、導体10が被覆された形状を有する。内側絶縁樹脂層20の表面には、離型剤が塗布されていることが好ましい。離型剤が介在することによって、コネクタ付け等の場面において、内側層を残すことが必要な場合に外側層のみを除去することが容易となる。また該二重構造の絶縁樹脂層は全部が架橋されている。絶縁樹脂層が架橋されることにより難燃性や熱耐久性が高まる。
なお、太陽光発電システムにおいては、通常、1.5m程度の長さの絶縁ケーブルが、二本一組で用いられる。
【0014】
導体10を構成する1本の導体のサイズは、断面積が2.0〜10.0mmであることが好ましく、導体外径は2.0mm〜4.5mmとすることができる。導体の材質は例えば軟銅とすることができる。
【0015】
TUV規格値を考慮すると、内側絶縁樹脂層20の厚さは、0.5〜1.5mmであることが好ましく、外側絶縁樹脂層30の厚さもまた、0.5〜1.5mmであることが好ましい。厚さを0.5mm以上とすることで、十分な機械特性を得ることができ、厚さを1.5mm以下とすることで、絶縁材料の無駄な使用を抑制しやすくなる。絶縁ケーブル1の仕上り外径は、3.0〜10.5mmであることが好ましい。
【0016】
内側絶縁樹脂層20と外側絶縁樹脂層30を形成する絶縁樹脂は同一の組成を有する。この絶縁樹脂は、金属水酸化物(A)とベース樹脂(B)とを(A)/(B)=1.4〜2.5の質量比で含有する。金属水酸化物は難燃剤として配合されており、例えば水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムが好適に使用される。金属水酸化物とベース樹脂の配合比を上記値とすることで、成形時の押出性や絶縁樹脂の引っ張り伸びに悪影響を与えることなく、所望の難燃性を得ることができる。金属水酸化物は表面処理されていることが好ましい。表面処理方法には脂肪酸処理、ビニルシラン処理、アミノシラン処理などが上げられる。また、未処理の金属水酸化物にメタクリルシラン、ビニルシランなどのシランカップリング材を樹脂との混練時にインテグラルブレンドする方法があげられる。この中でもビニルシラン処理された金属水酸化物を使用する方法と、ビニルシラン、メタクリルシランをインテグラルブレンドする方法が特に好ましい。
【0017】
ベース樹脂(B)は、融点が60℃以下の超低密度ポリエチレン(D)と融点が70℃以上の超低密度ポリエチレン(E)とを(D)/(E)=50/50〜85/15の質量比で含有する。融点が70℃以上の超低密度ポリエチレンの含有質量比が15未満では被覆材の抗張力が不十分となり50を超えると被覆材の伸びおよび低温耐衝撃性が不十分となる。ここで、超低密度ポリエチレンとは、密度が0.85〜0.91のポリエチレンをいう。超低密度ポリエチレンを使用することにより、高密度ポリエチレンや低密度ポリエチレンを使用した場合とは異なり、物理特性、特に伸び性能が良好となる。
【0018】
また、本発明の絶縁ケーブルの絶縁樹脂には、酸化防止剤(C)をベース樹脂(B)に対して質量比で0.03以上添加する。これにより熱耐久性および老化後の機械特性が向上し、TUV規格で要求されるケーブルの被覆材の老化後の機械特性および耐熱性を満足するケーブルが得られる。
酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系酸化防止剤を使用できる。この場合、チオエステル系酸化防止剤を併用すると絶縁樹脂の熱耐久性を一層向上させるので好ましい。他には硫黄系酸化防止剤を使用できる。この場合、ほぼ同質量の亜鉛化合物を使用すると絶縁樹脂の熱耐久性を一層向上させるので好ましい。この亜鉛化合物は酸化防止剤ではない。亜鉛化合物には酸化亜鉛、硼酸亜鉛などが挙げられる
上記の三種類の酸化防止剤および亜鉛化合物を組み合わせて使用することもできる。それぞれ熱耐久性を向上させる機構が異なるので組み合わせて使用することで相乗効果が得られる。酸化防止剤をあまり多く添加しても熱耐久性向上効果が飽和し、酸化防止剤が絶縁樹脂の表面にブリードするので、各酸化防止剤を合わせてベース樹脂に対して質量比で0.2まで添加するのが好ましい。
【0019】
本発明の絶縁ケーブルの絶縁樹脂に酸変性された樹脂を添加することもできる。酸変性された樹脂は、無水マレイン酸、アクリル酸によって変性された、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、超低密度ポリエチレン、EPゴム、EPDM、SEBS、などが上げられる。これらの添加により抗張力や低温耐衝撃性に一層優れた絶縁ケーブルとすることができる。
【0020】
本発明の絶縁ケーブルの絶縁樹脂は、さらに滑剤、カーボン、架橋助剤を含有することが好ましく、また必要に応じて、可塑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、老化防止剤、充填剤、加工性改良剤シランカップリング剤、その他の改質剤などを単独で又は2種以上を組み合わせて含有することもできる。
【0021】
内側絶縁樹脂層20の表面に塗布される離型剤としては、例えばタルク等の無機粉末や、複水酸物を分散した水分散液、層状珪酸塩を分散したエタノール等を挙げることができるが、なかでもタルクが好ましい。
【0022】
2.絶縁ケーブルの製造方法
本発明の絶縁ケーブルの製造方法は、導体の周りに絶縁樹脂を押出被覆して内側絶縁樹脂層を形成する第一工程、離型剤塗布後の内側絶縁樹脂層の周りに絶縁樹脂を押出被覆して外側絶縁樹脂層を形成する第二工程、形成された内側絶縁樹脂層及び外側絶縁樹脂層を架橋する第三工程を含む。また、前記第一工程において、形成された内側絶縁樹脂層の外周面に離型剤を塗布することが好ましい。上で説明した本発明の絶縁ケーブルは、任意の方法で製造することができるが、当該製造方法で製造されることが好ましい。
【0023】
第一工程又は第二工程における押出被覆は、絶縁樹脂をロール、バンバリー、押出機などで混練し、得られたペレットコンパウンドと、導体又は内側絶縁樹脂層被覆後導体とをクロスヘッドダイを付設した従来公知の電線用押出機で電線被覆押出成形することなどにより行うことができる。
【0024】
第三工程における架橋は、採用される架橋手段によってその方法は異なるが、電子線、γ線などの電離放射線の放射により架橋されることが好ましい。電離放射線を放射する場合は絶縁電線のパスラインの一部を照射器に入れて走行する絶縁電線に電離放射線を照射する。絶縁樹脂に含まれる金属水酸化物をビニルシラン処理すると架橋後の絶縁樹脂の機械強度および熱耐久性を一層向上させることができて好ましい。
【実施例】
【0025】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0026】
(1)絶縁ケーブルの作製
表1に示す組成による二層構造の絶縁樹脂層を備えた実施例1〜3及び比較例1〜3の各絶縁ケーブルについて、表1に示す配合(質量部)のもの(導体断面積4mm導体径:2.8mm、内側絶縁層厚み:1.15mm、外側絶縁層厚み:0.95mm)をそれぞれ作製し、以下に詳述する評価に供した。各例の絶縁ケーブルの評価を表1に示す。
【0027】
【表1】



【0028】
(2)絶縁ケーブルの評価
上記各例の絶縁ケーブルについての各種特性の評価は、下記の要領で行った。
【0029】
[伸び](規格:EN60811−1−1,項目:9.2項)
ケーブルから内側絶縁樹脂層及び外側絶縁樹脂層を100mm取出し、引っ張り速さ25mm/min.で引っ張った。当初の標線間の長さを20mmとし、以下の式により伸びを算出し、125%を超えたものを合格とした。試験は23℃で行い、n=5で判定した。
(式)ε=((l−20)/20)×100
上記式中、εは伸び(%)、lは切断時の標線間の長さ(mm)である。
【0030】
[抗張力](規格:EN60811−1−1,項目:9.2項)
ケーブルから内側絶縁樹脂層及び外側絶縁樹脂層を取出し、引っ張り速さ25mm/min.で引張り、最大引張荷重を測定し、以下の式により抗張力を算出し、内側絶縁樹脂層(内被)については6.5MPaを超えたもの、外側絶縁樹脂層(外被)については8.0MPaを超えたものを合格とした。試験は23℃で行い、n=5で判定した。
(式)δ=F/A
上記式中、δは抗張力(MPa)、Fは最大引張荷重(N)、Aは試験片の断面積(mm)である。
【0031】
[老化後伸び残率及び抗張力残率](規格:EN60811−1−2,項目:8.1項)
ケーブルから取出した内側絶縁樹脂層及び外側絶縁樹脂層について、老化(150℃×7日)後、伸び及び抗張力を測定、算出した。
伸びについては、老化前の伸びと比して残率が70%を超えたものを合格とした。
抗張力については、老化前の抗張力と比して残率が70%を超えたものを合格とした。
なお残率は以下の式により算出し、n=5で行い判定した。
(式)X=(C/C)×100
上記式中、Xは残率(%)、Cは老化後の値、Cは老化前の平均値である。
【0032】
[難燃試験](規格:EN60332−1−2)
垂直難燃試験。ケーブルに60秒間炎を当て、着火したら直ぐに炎を取り去り、60秒以内に消え、接炎部の上部475mmをA点とし、燃えカスがA点より540〜50mmの範囲に入っているものを合格とした。
参考のために、UL規格のVW−1(ケーブルに15秒間炎を当て、着火したら直ぐに炎を取り去る。60秒以内に炎が消えた場合、同じケーブルに再度15秒間炎を当て着火したら直ぐに炎を取り去る。これを繰り返し、5回着火していずれの場合も60秒以内に炎が消えれば合格と判定する。)についても評価を行った。金属水酸化物をベース樹脂に対して質量比で1.6以上添加するとUL規格のVW−1難燃試験も合格した。
【0033】
[熱耐久性](規格:EN60216−2)
伸び残率50%で2万時間後の温度をアレニウスの式から推定し、120℃以上を合格とした。
【0034】
[低温耐衝撃性](規格:EN60811−1−4,項目:8.5項)
−40℃で200gの重りを100mmの高さからケーブルに落下させ、外被に亀裂が生じないものを合格とした。
【0035】
実施例においては、TUV規格で絶縁層に求められる、物理特性(伸び、抗張力、老化後の伸び残率と抗張力残率)、難燃性、熱耐久性、低温耐衝撃性のいずれについても良好な結果が得られた。
一方、比較例1においては、ベース樹脂(B)に含まれる融点が70℃以上の超低密度ポリエチレン(E)の割合が少なすぎるため、所望の抗張力が得られない結果となった。
比較例2においては、ベース樹脂(B)に含まれる融点が60℃以下の超低密度ポリエチレン(D)の割合が少なすぎるため、所望の伸びが得られず、また低温衝撃性に劣る結果となった。
比較例3においては、金属水酸化物(A)の配合量が少なく、難燃性に劣る結果となった。
【符号の説明】
【0036】
1…絶縁ケーブル、10…導体、20…内側絶縁樹脂層、30…外側絶縁樹脂層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側絶縁樹脂層と、その外周に設けられた外側絶縁樹脂層とを備えた二層構造の絶縁樹脂層で導体が被覆された絶縁ケーブルであって、
前記内側絶縁樹脂層と前記外側絶縁樹脂層が同一組成の絶縁樹脂で形成され、
前記絶縁樹脂が、金属水酸化物(A)とベース樹脂(B)とを(A)/(B)=1.4〜2.5の質量比で含有するとともに酸化防止剤(C)を前記ベース樹脂(B)に対して0.03〜0.2の質量比で含有し、
前記ベース樹脂(B)が、融点が60℃以下の超低密度ポリエチレン(D)と融点が70℃以上の超低密度ポリエチレン(E)とを(D)/(E)=50/50〜85/15の質量比で含有し、
前記二層構造の絶縁樹脂層が架橋されていることを特徴とする絶縁ケーブル。
【請求項2】
前記内側絶縁樹脂層の外周面に離型剤が塗布されていることを特徴とする請求項1記載の絶縁ケーブル。
【請求項3】
請求項1記載の絶縁ケーブルの製造方法であって、
導体の周りに絶縁樹脂を押出被覆して内側絶縁樹脂層を形成する第一工程;
前記内側絶縁樹脂層の周りに絶縁樹脂を押出被覆して外側絶縁樹脂層を形成する第二工程;並びに、
形成された内側絶縁樹脂層及び外側絶縁樹脂層を架橋する第三工程を含む製造方法であり、
前記内側絶縁樹脂層と前記外側絶縁樹脂層を同一組成の絶縁樹脂で形成し、
前記絶縁樹脂が、金属水酸化物(A)とベース樹脂(B)とを(A)/(B)=1.4〜2.5の質量比で含有するとともに酸化防止剤(C)を前記ベース樹脂(B)に対して0.03〜0.2の質量比で含有し、
前記ベース樹脂(B)が、融点が60℃以下の超低密度ポリエチレン(D)と融点が70℃以上の超低密度ポリエチレン(E)とを(D)/(E)=50/50〜85/15の質量比で含有することを特徴とする絶縁ケーブルの製造方法。
【請求項4】
前記第一工程において、形成された内側絶縁樹脂層の外周面に離型剤を塗布することを特徴とする請求項3記載の絶縁ケーブルの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−146645(P2012−146645A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−277950(P2011−277950)
【出願日】平成23年12月20日(2011.12.20)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】