説明

絶縁体の生成におけるフェロセン又はフェロセン誘導体の使用

本発明は、高電圧絶縁体として用いることができる硬化性ポリオルガノシロキサンゴム組成物の生成におけるフェロセン又はフェロセン誘導体の使用に関する。フェロセン又はフェロセン誘導体を含むエラストマは、向上した耐アーク性及び/又は耐トラッキング性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁体、特に高電圧絶縁体の生成におけるフェロセン又はフェロセン誘導体の使用に関する。フェロセン又はその誘導体は、それにより、特に絶縁体の耐アーク性及び/又は耐トラッキング性を高める。本発明は、フェロセン又はその誘導体を含む硬化性ポリオルガノシロキサンゴム組成物、この硬化性ポリオルガノシロキサンゴム組成物を硬化させることによって得られる硬化ポリオルガノシロキサンゴム組成物及びそれから生成されるエラストマ成形品に関する。より具体的には、高電圧絶縁体、陽極防食キャップ、ケーブル絶縁体、ケーブルおよびケーブル部材、スパークプラグコネクタ用の防食キャップなどの絶縁体に関する。
【背景技術】
【0002】
高電圧絶縁体はセラミック材料から生成することができるが、高強度(duromeric)、熱可塑性又は弾性材料からも生成することができる。EPDMのようなエラストマ材料の使用、特にシリコーンエラストマの使用に際しては、電気アーク又はトラッキング電流のような電気的フラッシュオーバーが、特に環境の影響によって導電性になった絶縁体表面を損傷しないよう安定化することが必要となる。弾性高電圧絶縁体の耐用年数は、特に、そのような作用に対するエラストマ材料の耐性によって制限される。特に、コロナ放電、トラッキング電流及び/又は電気アークによる腐食によって引き起こされる表面への損傷は、絶縁体の耐用年数にとって問題となる。文献では、絶縁シリコーンエラストマ表面を安定化するための多くの手段を教示している。技術的観点から最も重要な手段としては、比較的大量の酸化物充填剤を添加すること、例えば、SiO、ZnO、ホウ酸亜鉛、Al(OH)、TiO、CeO、Fe、Fe、ZrO、低融点セラミックガラス又はフリット組成物などを添加することが挙げられる。
【0003】
耐アーク性及び耐トラック性シリコーンエラストマを安定化するため、米国特許第3,965,065号(特許文献1)又は欧州特許出願公開第0928008号(特許文献2)は酸化アルミニウム水酸化物(「三水和アルミニウム」)を使用することを提案する。欧州特許出願公開第0218461号(特許文献3)は、白金及びTiOを加えることによってアーク放電の作用による損傷への耐性が向上しうる方法を開示している。最後に、国際公開第02/24813号(特許文献4)は、シリコーンの誘電特性を変化させる着色充填剤又は充填剤を用いずに十分に良好な耐アーク性を示す組成物を開示している。
【0004】
フェロセンはシリコーン油を熱安定化することが述べられている(欧州特許出願公開第0166279号、特許文献5)。更に、ポリオレフィン、特にポリエチレンの誘電強度を向上させるために、フェロセン及びキノリン化合物を組み合わせて使用することが開示されている。更に、ドイツ特許出願公開第1116396号(特許文献6)には、特に潤滑剤、油圧作動液及びダンピング液などの生成のために、1,1’−ビス−(トリオルガノ−シリル)−ジシクロペンタジエニル鉄をポリオルガノシロキサンの安定剤として使用することが記載される。同様に、ドイツ特許出願公開第2135984号(特許文献7)には、ポリジメチルシロキサン油の安定化のために、カルバモイル結合メタロセンオルガノシラン又は−シロキサン化合物を用いることが開示される。しかし、絶縁体用のフェロセン又はフェロセン誘導体を含む硬化性シリコーンエラストマ組成物は従来技術において公知ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第3965065号
【特許文献2】欧州特許出願公開第0928008号
【特許文献3】欧州特許出願公開第0218461号
【特許文献4】国際公開第02/24813号
【特許文献5】欧州特許出願公開第0166279号
【特許文献6】ドイツ特許出願公開第1116396号
【特許文献7】ドイツ特許出願公開第2135984号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
効果的な添加物の探求において、絶縁体のDIN 57 303/IEC 587 VDE 303のような高電圧耐トラッキング性を評価するための標準試験の一つにおいて、特に、白金化合物のような高価な添加物を少量に維持する必要がある場合、質量損失及び穴数の減少のような問題を解決することは、これまで十分に可能ではなかった。
【0007】
本発明者らは、微量のフェロセン又はフェロセン誘導体を加えることにより、低白金含有量であっても、ポリオルガノシロキサンエラストマ系絶縁体の表面を高電圧トラッキング電流による損傷に対して好適に安定化し、特にポリオルガノシロキサンモノマー系高電圧絶縁体の表面をコロナ放電による損傷から保護することが可能な方法を全く予想外に見出した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、本発明によれば、ポリオルガノシロキサンエラストマ組成物を基礎とする絶縁体、特に高電圧絶縁体の生成において、フェロセン又はフェロセン誘導体が使用される。
【0009】
本発明の範囲には、特に、約0.2kV超の電圧における電流を絶縁可能な絶縁体が含まれる。
【0010】
本発明の範囲には、ポリオルガノシロキサンエラストマ組成物を基礎とする絶縁体、特に高電圧絶縁体であって、実質的にポリオルガノシロキサンからなるポリマーマトリックスを有するものが含まれる。従って、絶縁体は硬化性ポリオルガノシロキサンゴム組成物を硬化させることによって得られることが好ましい。好ましい硬化性ポリオルガノシロキサンゴム組成物は以下の成分を含む:
a)反応基を有する1つ以上のポリオルガノシロキサン、
b)成分a)に対する1つ以上の架橋剤及び/又は鎖延長剤、
c)白金、ロジウム及びルテニウムから選択される1つ以上の遷移族金属或いはその化合物、
d)1つ以上のフェロセン化合物、
e)任意に1つ以上の充填剤。
【0011】
成分a)について
反応基を有する成分a)のポリオルガノシロキサンポリマーとしては、エラストマ成形物、押出成形物又は被覆物に硬化成形可能なように、その反応基がラジカルに反応しうるポリオルガノシロキサンポリマー、或いは反応基同士のヒドロシリル化反応又は架橋剤若しくは鎖延長剤とヒドロシリル化反応を通じてその反応基が反応しうるポリオルガノシロキサンポリマーが特に挙げられる。
【0012】
本発明おいて用いられるシリコーンゴム組成物においては、0.025〜100,000Pa.sの粘度範囲(25℃;剪断勾配D=1s−1)を有するアルケニル基含有ポリオルガノシロキサンa)を用いることが好ましい。ポリオルガノシロキサンa)は、同じポリマー又は異なるポリオルガノシロキサンa1)又はa1)とa2)及び/又はa3)の混合物からなりうる。
【0013】
一般的に、ポリオルガノシロキサンa)は、単位M=RSiO1/2、D=RRSiO2/2、T=RSiO3/2、Q=SiO4/2及び、任意に二価単位Rからなる群より選択されるシロキサン単位を含む(式中、R、R及びRは以下に定義される通りである)。
【0014】
ポリオルガノシロキサンa)は一般式(I)により示されうる:
[M (I)
当該式において、シロキシ単位M、D、T及びQは、ポリマー鎖においてブロック状にまたはランダムに分布してもよく、共に結合してもよい。ポリオルガノシロキサン鎖内において、各シロキサン単位は同じであってもよいし、異なっていてもよい。各添字は下記を示すことが好ましく、所望の粘度に従って有利に選択される:
m=1〜1000
a=1〜10
b=20〜10,000
c=0〜50
d=0〜1。
【0015】
上述のポリオルガノシロキサンa)又はポリオルガノシロキサンa1)及びa2)を含むその混合物は、ポリオルガノシロキサンa1)の一般式(Ia)で示される構造を有することが好ましい。つまり、実質的に直鎖状であり、且つ不飽和有機基の含有量がSi原子基準で0.22〜7.4mol%であることが好ましく、又は、ビニル含有ポリジメチルシロキサンに対応して0.03〜1.0mmol/gであることが好ましい。mmol/gを単位とする不飽和有機基の含有量は、ポリメチルビニルジメチルシロキサンに依拠することが好ましく、より高いモル重量を有するシロキシ基の特定の粘性限度内に適合することが好ましい。
【0016】
SiO(RRSiO)b1SiR (Ia)
好ましくは化学式(Ia’)
SiO(RSiO)b1SiR (Ia’)
これらの式中、R、R及びRは以下に定義される通りであり、b1=20〜10,000である。
【0017】
上記ラジカルにおいて、Rは、n−、イソ−、tert−若しくはC−C12−アルキル又はC−C30−アリル、C−C12−アルキル(C−C10)アリルなどの置換または無置換の炭化水素ラジカルから選択されることが好ましい有機基である。これらの炭化水素ラジカルは、任意に1つ以上のO又はF原子によって置換されてもよく、例えば、エーテルであってもよい。
【0018】
好適な一価炭化水素ラジカルRの例としては、アルキル基、好ましくはCH、CHCH、(CHCH、C17及びC1021基、シクロヘキシルエチルのような脂環式基、フェニルのようなアリル基、2−フェニルエチル基のようなアラルキル基が挙げられる。一価ハロゲン化炭化水素ラジカルRは、化学式C2n+1CHCH−を有することが好ましく、式中、nは1〜10の値を有する。具体的には、CFCHCH−、CCHCH−及びC13CHCH−が挙げられる。ラジカルは3,3,3−トリフルオロプロピル基であることが好ましい。
【0019】
特に好ましいラジカルRとしては、メチル、フェニル、3,3,3−トリフルオロプロピルが挙げられる。
【0020】
上記基において、Rは、n−、イソ−、tert−又は環状C−C12−アルケニル、ビニル、アリル、ヘキセニル、C−C30−シクロアルケニル、シクロアルケニルアルキル、ノルボルネニルエチル、リモネニル(limonenyl)、C−C30−アルケニルアリールのような置換または無置換のアルケニル含有炭化水素ラジカルから選択されることが好ましいアルケニル含有有機基である。これらのアルケニル含有炭化水素ラジカルは、1つ以上のO又はF原子によって置換されてもよく、例えば、エーテルであってもよい。
【0021】
ラジカルRは、ビニル、アリル、5−ヘキセニル、シクロヘキセニルエチル、リモネニル、ノルボルネニルエチル、エチリデンノルボルニル及びスチリルなどの基であることが好ましく、ビニルが特に好ましい。
【0022】
いずれの場合も任意のラジカルRは、2つのM、D又はT型シロキシ単位を架橋する。いずれの場合も二価単位Rは2つのシロキサン単位を架橋し、例えば、−D−R−D−となる。Rは、二価脂肪族若しくは二価芳香族n−、イソ−、tert−若しくは環状C−C14−アルキレン、C−C14−アリーレン又は−アルキレンアリール基から選択される。
【0023】
シロキシ単位を架橋することができる好適な二価炭化水素基Rとしては、いかなるアルキレン及びジアルキルアリーレンラジカルであってもよい。好ましくは、例えば、−CH−、−CHCH−、CH(CH)CH−、−(CH、−CHCH(CH)CH−、−(CH−、−(CH−及び−(CH18−シクロアルキレン基が挙げられる。具体的には、シクロヘキシレン、フェニレン、キシレンなどのアリーレン基が挙げられる。それらの含有量は全シロキシ単位の30mol%を超えない。α,ω−エチレン、α,ω−ヘキシレン又はα,ω−フェニレンのような基が好ましい。
【0024】
実質的に直鎖状とは、例えば、単位T=RSiO3/2及びQ=SiO4/2から選択されるシロキサン単位を0.1mol%以下で好適に含有するポリオルガノシロキサンa)などを意味する。
【0025】
ポリオルガノシロキサンa1)において、ラジカルRは、メチルラジカルであることが好ましく、その量としては、少なくとも90mol%(即ち、Si原子基準で90〜99mol%)、好ましくは少なくとも95mol%であることが好ましい。
【0026】
ポリオルガノシロキサンa1)は少なくとも2つの不飽和有機ラジカルを含有する。これらポリオルガノシロキサンa1)は、0.03〜1.0mmol/g、更に好ましくは0.05〜0.8mmol/gのアルケニル基を含むことが好ましい。不飽和有機基の含有量は、ポリメチルビニルシロキサンに依拠し、より高いモル重量を有するシロキシ基の特定の粘性限度内に適合する必要がある。
【0027】
アルケニル基はシロキサン分子の鎖末端又は、基としてシロキサン鎖におけるシリコーン原子に結合されうる。好ましくは、アルケニル基はシロキサン分子の鎖末端のみに存在する。アルケニル基がシロキサン鎖のシリコーン原子上に存在する場合、その含有量は好ましくは0.01mmol/g(Si原子基準で0.074mol%)未満である。
【0028】
架橋生成物の引裂強度のような機械的性質を向上させるため、異なるアルケニル含有量及び/又は異なる鎖長を有する異なるポリマー(即ち、少なくとも2つのポリマーa1)又は少なくともa1)とa2)又はa1)とa3)の混合物を用いることが好適であり、ポリマー混合物における不飽和基の総含有量が成分a)において1.0mmol/gを超えないことが好ましい。
【0029】
しかし、ポリマーa2)又はa3)におけるビニル含有量は、1Si原子当たり最大11mmol/g又は100mol%までとすることができる。好ましいシロキシ単位としては、例えば、ジメチルビニルシロキシ単位などのアルケニル単位、トリメチルシロキシ、ジメチルシロキシ及びメチルシロキシ単位などのアルキル単位、フェニルシロキシ単位などのアリル単位が挙げられる。フェニルシロキシ単位としては、例えば、ジメチルフェニルシロキシ、ジフェニルシロキシ、フェニルメチルビニルシロキシ、フェニルメチルシロキシ単位が挙げられる。
【0030】
ポリオルガノシロキサンa)は20〜10,000のシロキシ単位数を有することが好ましく、100〜6000のシロキシ単位数を有することが特に好ましい。平均重合度Pは、ポリメチルビニルシロキサンに依拠し、より高いモル重量を有するシロキシ基の特定の粘性限度内に適合する必要がある)。
【0031】
ここで、アルケニル含有量はH−NMRにより定量される。この点について、A.L.Smith(編)、Analytical Chemistry of Silicones、J.Wiley & Sons社 1991 第112巻 356頁以下 Chemical Analysis J.D.Winefordner(編)を参照のこと。
【0032】
アルケニル基含有量は連鎖停止シロキシ単位としてアルケニルジメチルシロキシ単位で表されることが好ましい。このように厳密な二官能性の場合、アルケニル含有量は粘度も規定する。従って、ポリマーa1)の好適実施形態では、アルケニル含有量は鎖長又は重合度と明確に関連し、従って粘度とも明確に関連する。
【0033】
ポリオルガノシロキサンa1)及びa1)とa2)との混合物は25℃で0.025〜100,000Pa.sの粘度、特に0.2〜30,000Pa.sの粘度を有することが最も好ましい。粘度は25℃で剪断勾配D=1s−1としてDIN 53019に従って測定される。
【0034】
a1)と共に成分a)を形成する好ましいポリマーa)の更なる例としては、シリコーン上にアルケニル含有側基を有する、実質的に直鎖状のポリオルガノシロキサンa2)及び付加分岐単位を有するポリオルガノシロキサンa3)が挙げられる。成分c)の強化用充填剤を一切用いない場合、又はこのような強化用充填剤を極少量でしか用いない場合、ポリマーa2)及びa3)は、例えば、引裂強度又は引張強度を高めるため、前記に定義されたような更なるポリオルガノシロキサンと組み合わされてもよい。例えば、米国特許第3,284,406号、米国特許第3,699,073号に開示されるポリオルガノシロキサンa3)は、不飽和ラジカルRの含有量が多くなっているが、それとは対照的に、分岐(branched or branching)シロキサン単位T=RSiO3/2又はQ=SiO4/2の含有量が多くなっている。これら分岐シロキサン単位の含有量は、存在するSi原子を基準とした時0.1mol%超である。しかし、液状の透明シリコーン組成物、低融点透明シリコーン組成物(m.p.<160℃)、又は他のポリマーa)と混和性の透明シリコーン組成物(400nmにて70%超の透過率及び層厚さ2mm)がこの成分から好適に生成されるべきである点を鑑みると、分岐単位の量は制限されるべきである。
【0035】
上述の高度に分岐したポリオルガノシロキサンは、前述のM、D、T及びQ単位を含むポリマーである。それらは一般実験式(II)、(IIa)〜(IIb)を有することが好ましい:
【0036】
[Ma2b2c2d2m1 (II)
{[RSiO3/2][R1/2n1m1 (IIa)
{[SiO4/2}][R1/2n1[RSiO1/20.01−10
[RSiO3/20−50[RSiO2/20−500m1 (IIb)
(式中、RはC−C22有機ラジカル、例えば、アルキル、アリル又はアリールアルキルである)。
【0037】
ラジカルR1/2は、好ましい添字n1を有するメトキシ、エトキシ又はヒドロキシであることが好ましい。
m1=1〜1000
n1=0.001〜4
a2=0.01〜10
b2=0〜1000
c2=0〜50
d2=1
【0038】
モル比M:Qは0.1〜4:1の値を取ることができ、又はM:Tは0.1〜3:1の値を取ることができる。 比D:Q又は比D:Tは0〜333:1の値を取ることができる。 単位M、D及びTがラジカルR又はRを含有してもよい。
【0039】
アルケニル基を豊富に含む分岐ポリオルガノシロキサンa3)は、特に、液状ポリオルガノシロキサン、有機溶媒に可溶である固体樹脂、又は液状樹脂を含む。それらはトリアルキルシロキシ(M単位)及びケイ酸塩単位(Q単位)からなることが好ましく、少なくとも0.2mmol/gのビニルジメチルシロキシ単位を含むことが好ましい。これらの樹脂はSi原子上に最大10mol%のアルコキシ又はOH基を更に含みうる。
【0040】
上述の分岐ポリオルガノシロキサンa3)において、ラジカルRはメチルラジカルであることが好ましく、その量としては少なくとも50mol%(即ち、Si原子基準で50〜95mol%)、好ましくは少なくとも80mol%である。アルケニル基を豊富に含有する、好ましくはビニル基を豊富に含有するポリオルガノシロキサンa3)は、0.35mmol/g超〜11mmol/gのアルケニル基含有量を有することが好ましい。これらのアルケニル基含有量は、ポリメチルビニルシロキサンに依拠するものであり、且つより高いモル重量を有するシロキシ基の特定の粘性限度内に適合する必要がある。
【0041】
ポリオルガノシロキサンa)は原則的に任意所望のa1):a2)又はa3)比にて互いに混合されうる。好ましくは、a1):a2)比は2.5超:1である。
【0042】
ポリオルガノシロキサンa)の好ましい混合物は、アルケニル含有量(好ましくはビニル含有量)の異なる、2つの実質的に直鎖状のアルケニル末端ポリオルガノシロキサンa1)を含む。その趣旨としては、シリコーン組成物の粘度を可能な限り低減させつつも、高強度を有する架橋構造を実現するためである。
【0043】
更に好ましい実施形態では、ポリオルガノシロキサンa)は、実質的に直鎖状のアルケニル末端ポリオルガノシロキサンa1)又はa2)を含む。a)の50重量%超が、0.2mol%超、より好ましくは0.4mol%超のアルケニル含有量を有するポリマーからなる。これらのポリマーは、アルケニルジメチル−又はアルケニルメチル−シロキシ単位から選択される。この反応基含有量を有するポリマーは、アーク又は高電圧トラッキング電流試験において、特に低い質量損失及び低穴数を示すことが確認されている。
【0044】
成分b)は該成分の反応基を架橋することができる分子から選択される。成分b)は、成分a)の反応基と反応して共有結合を形成し、又はラジカル活性化により、好ましくは分子間で成分a)の反応基同士を反応させることができる2つ以上の基を含むシロキサン又はシランから選択される。このため、SiH含有シロキサン又は過酸化物が用いられることが好ましい。
【0045】
ポリオルガノ水素シロキサンb)は、直鎖状、環状又は分岐状ポリオルガノシロキサンでることが好ましく、これらのポリオルガノシロキサンのシロキシ単位としては、M=RSiO1/2、M=RHSiO1/2、D=RSiO2/2、D=RHSiO2/2、T=RSiO3/2、T=HSiO3/2、Q=SiO4/2から有利に選択される。これらの単位は、MeHSiO若しくはMeHSiO0.5単位及び、任意に他のオルガノシロキシ単位から選択されることが好ましく、ジメチルシロキシ単位から選択されることが好ましい。ポリオルガノシロキサンb)は、例えば、一般式(III)により示され、式中、略して記号MはM及びMを表し、DはD及びDを表し、TはT及びTを表す:
[Ma4b4c4d4m2 (III)
m2=1〜1000
a4=1〜10
b4=0〜1000
c4=0〜50
d4=0〜1。
【0046】
シロキシ単位は、ブロック状にまたはランダムにポリマー鎖において互いに結合してもよい。ポリオルガノシロキサン鎖の各シロキサン単位の有するラジカルとしては、同種であってもよいし異種であってもよい。
【0047】
化学式(III)の添字は、GPCにより数平均Mとして測定される平均重合度Pを示し、それらはポリ水素メチルシロキサンに依拠して、より高いモル重量を有するシロキシ基の特定の粘性限度内に適合する必要がある。
【0048】
ポリオルガノ水素シロキサンb)には特に、上記に示される添字の重合度を有し化学式(III)に示されるあらゆる液状、流動性及び固体ポリマー構造が含まれる。25℃で液体であって低モル重量、即ち、約60,000g/mol未満、好ましくは20,000g/mol未満のモル重量を有するポリオルガノシロキサンb)が好ましい。
【0049】
好ましいポリオルガノ水素シロキサンb)は、化学式(IIIa〜IIIe)により示されてもよい群から選択される構造である。
HRSiO(RSiO)(RHSiO)SiRH (IIIa)
HMeSiO(MeSiO)(MeHSiO)SiMeH (IIIb)
MeSiO(MeSiO)(MeHSiO)SiMe (IIIc)
MeSiO(MeHSiO)SiMe (IIId)
{[RYSiO1/20−3[YSiO3/2][RO)n2m2 (IIIe)
{[SiO4/2}][R1/2n2[RYSiO1/20.01−10[YSiO3/20−50[RYSiO2/20−1000m2 (IIIf)
【0050】
z=(z1+z2)=0〜1000
p=0〜100
z+p=b4=1〜1000
式中、R1/2はシリコーン上のアルコキシラジカルであり、Y=水素(H)又はRであり、分子内で両方が同時に生じることが可能である。Rは上記に定義され、好ましくは、R=メチルである。
【0051】
化合物クラス(IIIe)及び(IIIf)の好ましい実施形態としては、例えば、[(MeHSiO)Si]のような単量体化合物又は[(MeHSiO1/20.7−<4Q]1−1000のような高分子化合物である。SiH濃度は好ましくは0.1〜10mmol/g(Si基準で最大80mol%)である。このSiH濃度は、ポリ水素メチルシロキサンに依拠し、より高いモル重量を有するシロキシ基の特定の粘性限度内に適合する必要がある。
【0052】
別の好ましい架橋剤群は一般式(IIIa)及び(IIIc)により示される群から選択され、z≧pである。
【0053】
化学式(IIIa)及び(IIIc)の化合物の好ましいSiH濃度は、50mol%未満(全シリコーン原子数を基準としたSiH基、ポリ水素メチルシロキサンに対する約7mmol/gに対応する)であり、より好ましくは30mol%未満である。
【0054】
ポリオルガノシロキサンb)は、好ましくは室温で液状又はシラン可溶性である。即ち、1000未満のシロキシ単位を含むことが好ましく、つまり25℃及びD=1s−1にて40Pa.s未満の粘度を有することが好ましい。
【0055】
本発明では、SiH含有量はH−NMRにより定量される。A.L.Smith(編)、 The Analytical Chemistry of Silicones,J.Wiley & Sons社 1991 第112巻 356頁以下 Chemical Analysis J.D.Winefordner(編)を参照のこと。
【0056】
ポリオルガノ水素シロキサンb)の好ましい量は、成分a)100重量部に対して0.1〜200重量部である。
【0057】
ポリオルガノ水素シロキサンb)の好ましい量は、成分a)中のSi−Hの総量とSi−アルケニルの総量とのモル比が0.5〜5:1、好ましくは1.0〜3.2:1、より好ましくは1.5〜2.5:1になるように選択される。
【0058】
SiH単位とSi−アルケニル単位の比率により、ゴムの機械的性質及び架橋速度を制御可能としつつも、その比率はアーク放電の作用による損傷に対して表面を安定化することにも寄与する。
【0059】
ヒドロシリル化反応の速度が抑制剤という名称の下に一体化される多くの化合物によって影響を受けうることは既知である。それらはここで補助物質に含まれる。
【0060】
成分a)が過酸化物で架橋される場合、それらは有機過酸化物及び無機過酸化物からなる群より選択される。ジアルキルペルオキシド、アルキルアリールペルオキシド、ペルオキシカーボネート、ジアリールペルオキシド、例えば、ジ−tert−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−ビス−2,5−ジ−tert−ブチルペルオキシヘキサン、ジベンゾイルペルオキシド、ビス−2,4−ジクロロベンジルペルオキシド、ビス−2−メチルベンゾイルペルオキシド、ビス−4−メチルベンゾイルペルオキシドなどが好ましい。
【0061】
この場合、SiH化合物の少なくとも大部分を省略することが可能であるが、成分d)は省略できない。
【0062】
過酸化物は成分a)〜e)に基づいて0.1〜2重量%の量にて用いられることが好ましい。
【0063】
成分c)は、成分b)のSiH含有化合物と共にヒドロシリル化反応によってゴムをエラストマに硬化させ、成形品を形成するために用いられる。しかし、成分c)は耐アーク性又は耐トラッキング性を向上させるための安定剤としても必要である。成分c)は、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、ニッケル、イリジウムからなる遷移族金属群又はその化合物から選択される。
【0064】
ヒドロシリル化触媒c)又は安定剤は、金属であってもよいし、錯体化合物であってもよいし、及び/又は塩であってもよい。触媒はコロイド又は粉末状態にて支持体物質の有無にかかわらず用いられうる。
【0065】
好ましくは、成分c)として白金又は白金化合物が用いられる。
【0066】
成分c)、特に白金触媒の量は、成分a)〜b)の重量に基づいて0.1〜1000ppmである(金属換算)。
【0067】
1〜50ppmの金属又は金属化合物、特に白金又は白金化合物がさらに好ましい。この量は金属(特に白金)換算であり、更により好ましくは2〜24ppm、更により好ましくは3〜15ppm、最も好ましくは4〜9.5ppmである。
【0068】
Pt、Rh、Ir、Pd、Ni及びRu化合物、即ち、それらの塩、錯体又は金属群において、成分c)は、例えば、Pt触媒、特に、オレフィン、特に好ましくはビニルシロキサンとのPt錯体化合物、例えば、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン及び/又はテトラビニルテトラメチルテトラシクロシロキサンとの1:1錯体、アミン、アゾ又はホスファイト錯体化合物から選択される。
【0069】
そのようなPt触媒は、米国特許第3,715,334号又は米国特許第3,419,593号の実施例においてに述べられている。好ましく用いられるPt−オレフィン錯体は、1,3−ジ−ビニルテトラメチルジシロキサン(MVi)の存在下で、ヘキサクロロ白金酸又は他の塩化白金の還元により調製される。
【0070】
当然ながら、他の白金化合物を用いることも可能である。ただしその場合には、迅速な架橋が可能な化合物である必要がある。例えば、欧州特許第122008号、欧州特許第146307号又は米国特許出願公開公報第2003−0199603号に記載の光活性化可能なPt触媒などがある。
【0071】
ヒドロシリル化の速度は、選択された触媒化合物、その量及び成分f)における付加抑制剤成分の性状及び量により決定される。
【0072】
触媒量の上限は結果として生じるコストによって決定され、下限は信頼性のある触媒作用によって決定される。従って、100ppm超の量の金属は、ほとんどの場合、不経済であり、1ppm未満の量は信頼性がない。成分d)を加えることにより、アーク作用及びトラッキングに対して表面を安定化するための遷移金属の量が著明に減少されうることが確認されている。
【0073】
触媒の支持体としては任意の固形物が選択されうる。ただし、ヒドロシリル化を不必要に阻害しないことが必要である。支持体は、粉状シリカ又はシリカゲル又は有機樹脂又は有機ポリマーの群から選択することができ、所望の透明度に従って用いられうる。混濁のない支持体が好ましい。
【0074】
遷移族金属又はその化合物は1つ以上の錯化剤と併せて用いることもできる。錯化剤は遷移族金属化合物の調製において事前に用いてもよいし、あるいは錯化剤「CA」は「現場で(in situ)」用いることもできる。即ち、錯化剤は、遷移族金属化合物に加えて別個に用いられてよい(即ち硬化性ポリオルガノシロキサンゴム組成物に添加してもよい)し、また、任意に遷移族金属化合物に対して化学量論的過剰量にて用いてもよい(即ち硬化性ポリオルガノシロキサンゴム組成物に添加してもよい)。
【0075】
過剰量の錯化剤が用いられる場合、遷移金属の錯化にもかかわらず、絶縁体の耐高電圧に対する更なるプラス効果が認められる場合もある。
【0076】
そのような錯化剤は、例えば、アミン、アミド、アゾ化合物、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカーボンアミド、ヒドラジン化合物、例えば、ジアルキル及び/又はジアリール化合物、グアニジン、例えば、シアノグアニジン、スルフィド、例えば、ビスアルキル及び/又はアリールスルフィド、ホスフィン、例えば、トリオルガノホスフィン、例えば、トリアルキル−及び/又はアリル−ホスフィン、ホスファイト、例えば、トリアルキル及び/又はアリールホスファイト並びにホスホネート、例えば、トリアルキル及び/又はアリールホスホネート、テトラメチルピペリジニルシロキサン、例えば、Uvasil 299、ベンゾトリアゾール、例えば、26、27及び55タイプのLowilite、キノリン、例えば、重合2,2,4−トリメチルジヒドロキノリン或いはハイドロキノン、一次又は二次酸化防止剤からなる群より選択される。
【0077】
特に好ましい錯化剤は、ホスファイト、ベンゾトリアゾール、キノリン及びキノリン誘導体、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカーボンアミドである。
【0078】
そのような錯化剤は、成分a)及びb)の量に基づいて0.001〜10重量部の量にて硬化性ポリオルガノシロキサンゴム組成物に添加することができる。
【0079】
金属のモル量換算で、好ましくは1:1〜100の遷移族金属と錯化剤とのモル比が選択されることが好ましい。
【0080】
成分d)
本発明によると、フェロセン及び/又はフェロセン誘導体(以下、共に略してフェロセン誘導体又はフェロセン化合物と称される)が用いられる。
【0081】
周知のように、フェロセンは、以下の化学式で示されるビシクロペンタジエニル鉄であり、172°Cの融点(m.p.)及び249°Cの沸点(b.p.)を有する。
【0082】
【化1】

【0083】
本発明の範囲内にあるフェロセン誘導体は、フェロセン基体の一方又は両方のシクロペンタジエニル配位子上の1つ以上の水素原子の置換によって得られ、特に以下を含む:
【0084】
アルキル又はアルケニル置換フェロセン、例えば、ビス(アルキルシクロペンタジエニル)鉄、例えば、ビス(メチルシクロペンタジエニル)鉄、25℃で液体のビス(エチルシクロペンタジエニル)鉄、25℃で液体のビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)鉄、ビス(ビニルシクロペンタジエニル)鉄(融点:51〜53℃、沸点:80〜85/0.2mmHg)、又はビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)鉄(融点:230℃/630mm)、ビス(tert−ブチルシクロペンタジエニル)鉄、ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)鉄、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)鉄、
オルガノシロキサニル−及びシリル置換フェロセン、例えば、ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)鉄、
O、P、S又はNを含む炭化水素置換シクロペンタジエン配位子を有するフェロセン、例えば、アセチルフェロセン、1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン、ブチロフェロセン、フェロセンカルボキサルデヒド(OHCC−Fe−(C)(融点:124℃)、1,1’−フェロセンジカルボン酸、フェロセンモノカルボン酸(HOOCCFe、フェロセニル酢酸((C)FeCCHCOOH、α−ヒドロキシエチルフェロセン((C)FeC4n−CHOHCH)(融点:76〜77℃)、ヒドロキシメチルフェロセン((C)FeCCHOH)(融点:66〜70℃)、C−Cアルキル及びC−C10アリル、上述のカルボキシル及びヒドロキシル含有フェロセンのアルキレンアリールエステル、例えば、1,1’−フェロセンジカルボン酸のジメチルエステル(融点:113〜115℃)、フェロセニルアセトニトリル(融点:81〜83℃)、α−(N,N−ジメチルアミノ)エチルフェロセン((C)Fe(C)CH(CH)N(CH)(沸点:110℃/0.45mm)、N,N−ジメチルアミノメチルフェロセン((C)Fe(C)CHN(CH)(沸点:91〜92℃/0.45mm)、アルキル基で四級化されたその付加塩又はハロゲン化物、
架橋ビスフェロセニル化合物、例えば、1,1’−イソプロピリデンビス(エチルフェロセン)(カトセン融点:<−10℃)。
【0085】
フェロセンは対称面を有してもよいし有しなくてもよい。対称面を有するフェロセン誘導体が好ましい。
【0086】
成分d)は、好ましくは、フェロセン、ビス(エチルシクロペンタジエニル)鉄、ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)鉄、ビス(ビニルシクロペンタジエニル)鉄、ヒドロキシメチルフェロセン、フェロセニルアセトニトリル、下記化学式:
【0087】
【化2】


で示される1,1’−イソプロピリデン−ビス−(エチルフェロセン)(カトセン)、及びトリオルガノニルシリル置換フェロセン誘導体、からなる群より選択される。
【0088】
フェロセン誘導体は、組成物の総量に基づくFeにて、0.01〜5重量%、より好ましくは0.02〜2重量%、更により好ましくは0.05〜1重量%の範囲の鉄の含有量に基づく量にて用いられることが好ましい。
【0089】
好ましいフェロセン誘導体は、好ましくは200℃未満、より好ましくは120℃未満、更により好ましくは80℃未満の融点及び、230℃超、より好ましくは280℃超の沸点を有する低融点化合物であり、それらはシロキサン又はC−C10脂肪族、C−C芳香族溶媒、C−Cクロロ有機溶媒中に少なくとも5重量%の程度まで可溶性である。
【0090】
原則的に、他のいわゆるπ錯体、即ち、アリル化合物、特にシクロペンタジエンとメタロセンを形成することができるIII〜VIII族の金属を含む化合物も成分d)として好適である。そのために、金属は、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ハフニウム、タンタル、タングステン及びレニウムからなる群より更に選択される。しかし、鉄錯体が好ましい。フェロセンの取り込みのため、それらはポリオルガノシロキサン、例えば、特に成分a)、任意に成分a)と成分e)との混合物中に分散されることが好ましい。フェロセン化合物は、溶媒中に溶解又は分散されたポリオルガノシロキサンに導入することもできる。フェロセン化合物に関して濃縮されたマスターバッチ、例えば、フェロセン化合物を最大20重量%の濃度で含有するマスターバッチが、これにより得られる。
【0091】
成分e)に関し、本発明によるシリコーンゴム混合物は任意に充填剤を含みうる。成分e)は、引張強度DIN 53 504、例えば、ASTM 624試験片Bによる破壊及び引裂強度での伸びのような機械的強度を高めるのに役立つ。成分e)が用いられる場合、それはいわゆる強化充填剤である
【0092】
これらは好ましくは無機又は有機充填剤、例えば、ケイ酸塩、炭酸塩、酸化物、カーボンブラック又はシリカである。充填剤は好ましくはいわゆる強化シリカであり、それらは、不透明〜透明のエラストマの生成を可能にし、即ち、架橋後にゴムの機械的性質を向上させ、強度を高めるものである。例えば、20〜400m/gのBET表面積を有する焼成又は沈降シリカであり、それらは本明細書では好ましくは表面上で疎水性にされている。充填剤という用語は、疎水化剤、分散剤又は加工助剤を含む充填剤も意味する。これら疎水化剤、分散剤、加工助剤は、充填剤の表面に結合し、任意に、水又はシラノールとの反応によって変化する。これによって、充填剤とポリマーとの相互作用、例えば、増粘作用に影響を与える。疎水化は混合プロセス前又は混合プロセス時に行うことができる。多くのそのような疎水化剤が公知である。
【0093】
それらは、一方で、ジシラザン、1〜60の鎖長を有するシロキサンジオール、アルコキシシラン、例えば、メチルトリアルコキシ−若しくはジメチルジアルコキシ−若しくはトリメチルアルコキシシラン、シリルアミン、シラノール、例えば、トリメチルシラノール、アセトキシシロキサン、アセトキシシラン、クロロシラン、クロロシロキサン及びアルコキシシロキサンからなる群より選択される飽和疎水化剤である。他方で、ポリビニル置換メチルジシラザン、例えば、1,3−ジビニルテトラメチルジシラザン並びに、各々が、アルケニル、アルケニルアリール、アクリル及びメタクリルからなる群由来の飽和ラジカルを有するメチルシラノール及びアルコキシシランからなる群より選択される不飽和疎水化剤であってもよい。
【0094】
用いられる場合、表面変性充填剤(処理としては、混合前又は現場で(in situ)行われる)は、成分a)100重量部に対して、1〜100重量部、好ましくは10〜70重量部、更により好ましくは10〜50重量部の量にて用いられる。
【0095】
50m/g超のBET表面積を有する充填剤は、向上したゴム機械的性質を有するシリコーンエラストマの生成を可能にする。焼成シリカ、例えば、Aerosil(登録商標)200、300、HDK(登録商標)N20又はT30、Cab−O−Sil(登録商標)MS7又はHS5は、増大したBET表面積により、向上したゴム機械的強度及び透明度をもたらす。いわゆる湿式シリカの商品名は、Degussa社製のVulkasil(登録商標)VN3若しくはFK 160又は日本シリカ株式会社製のNipsil LPである。
【0096】
特に、50〜300m/gの表面積を有する焼成シリカを用いることが好ましい。
【0097】
更に、追加的または代替的に、いわゆる非強化増量充填剤を用いてもよい。例としては、0.2〜50m/gのBET表面積を有する石英紛、珪藻土、クリストバライト粉、マイカ、酸化アルミニウム、水酸化物、Ti、Fe及びZn酸化物、白亜或いはカーボンブラックなどがある。そのような充填剤は、Sicron(登録商標)、Min−U−Sil(登録商標)、Dicalite(登録商標)、Crystallite(登録商標)、Wollastonite、Bayferrox(登録商標)、二酸化チタンP25、Xonotlit又はMartinal(登録商標)、Hymod(登録商標)又はMicral(登録商標)のような多くの商品名の下で入手できる。
【0098】
石英紛、酸化・水酸化アルミニウム、Ti、Fe、Zn酸化物及び/又はホウ酸亜鉛を、成分a)100重量部当たり50〜300重量部の量で使用することが好ましい。これらの充填剤の付加もアーク又は高電圧トラッキング電流試験において耐性を高める。
【0099】
補助物質f)は、例えば、無機又は有機顔料、熱気作用による脆化に対する更なる安定剤、例えば、有機塩、アルコール、チタン、ジルコニウム、セリウム、マンガン、鉄、ランタンのキレートからなる群より選択される。これらはd)の下では定義されず、d)には含まれない。
【0100】
補助物質f)とは、ヒドロシリル化反応によってエラストマに対する硬化速度を制御することが可能な抑制剤も含む。抑制剤は、アルキノール、マレイン酸塩、フマル酸塩などからなる群より選択され、これらは成分c)の錯化剤の下に定義されず、成分c)の錯化剤の下に含まれない。
【0101】
補助物質としてやはり好ましいものは、25℃で10〜1000mPa.sの粘度を有するポリジメチルシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサン、ポリジフェニルジメチルシロキサンから選択される、反応基を含まないシリコーン油である。これら補助物質は、風化、コロナ放電及びアーク作用による損傷に晒された絶縁体上に長期間後に再生される増強疎水性表面を生成するために用いられる。
【0102】
硬化性ポリオルガノシロキサンゴム組成物の好ましい実施形態は以下の成分を含む:
a)反応基を有する1つ以上のポリオルガノシロキサン、
b)成分a)に対する1つ以上の架橋剤及び/又は鎖延長剤、
c)白金、ロジウム、イリジウム、パラジウム、ニッケル及びルテニウムから選択される1つ以上の遷移族金属或いはその化合物、
d)1つ以上のフェロセン化合物、
e)任意に、1つ以上の充填剤、
f)任意に、1つ以上の補助物質。
白金、ロジウム及びルテニウムが特に好ましい。
【0103】
硬化性ポリオルガノシロキサンゴム組成物のより好ましい実施形態は以下の成分を含む:
a)少なくとも2つのアルケニル基を有する1つ以上のポリジメチルシロキサン、
b)少なくとも2つのSiH基を有する1つ以上のポリジメチルシロキサン、
c)1つ以上の白金化合物、
d)フェロセン、ビニルフェロセン、アルキルフェロセン、1,1’−イソプロピリデンビス(エチルフェロセン)(カトセン)及びシロキサニル−若しくはトリオルガノシリル置換フェロセン誘導体から選択される1つ以上のフェロセン化合物、
e)50〜400m/gのBET表面積を有する少なくとも1つのシリカ含有充填剤。
【0104】
硬化性ポリオルガノシロキサンゴム組成物は好ましくは以下の組成を有する:
・100重量部の成分a)、
・0.1〜50重量部の成分b)、
・a)及びb)の総量と白金金属とを基準として1〜100ppmの成分c)と、
・鉄含有量基準で0.01〜25重量部の成分d)、
・0〜300重量部の成分e)。
【0105】
特に好ましくは、硬化性ポリオルガノシロキサンゴム組成物は以下を含む:
・100重量部の成分a)、
・0.5〜10重量部の成分b)、
・5〜25ppmの成分c)、ただしこの量は白金金属基準でありかつa)およびb)の総量に依拠する量である。
・鉄含有量基準で0.05〜5重量部の成分d)、
・15〜50重量部の成分e)。
【0106】
硬化性ポリオルガノシロキサンゴム組成物は、成分a)〜e)以外に1つ以上の補助物質f)を更に含有してもよい。
【0107】
本発明の好ましい一実施形態では、成分a)における反応性Si−アルケニル基と成分b)におけるSiH基とのモル比が、成分a)における1反応基当たり平均して0.5〜5:1、好ましくは1.0〜3.2:1、より好ましくは1.5〜2.5:1となるよう1アルケニル基当たりのSiH基が選択される。
【0108】
成分c)の含有量は、好ましくは25ppm未満であり、本発明の特に好ましい実施形態では、2〜24ppm、より好ましくは3〜15ppm、最も好ましくは4〜9.5ppmである。
【0109】
好ましくは、成分c)は錯化剤「CA」と共に用いられる。成分c)の金属「Me」と錯化剤「CA」とのモル比は、Me:CA=1:2〜50であることが特に好ましく、より好ましくは1:2〜4である。
【0110】
本発明の更に好ましい実施形態では、成分d)の含有量は、成分d)の鉄含有量基準で、成分a)及び成分b)100重量部に対して10重量部未満である。
【0111】
本発明は、更に、以上に定義された硬化性ポリオルガノシロキサンゴム組成物に関する。
【0112】
本発明は、更に、上述の硬化性ポリオルガノシロキサンゴム組成物を硬化させることによって得られる硬化ポリオルガノシロキサンゴム組成物に関する。硬化には、好ましくは20〜200℃の範囲内で硬化性ポリオルガノシロキサンゴム組成物を加熱することをも含まれる。ポリオルガノシロキサンゴム組成物を放射線硬化させる場合、150〜700nmの波長範囲での光又は電子放射線を照射することも硬化の中に含まれる。
【0113】
本発明は、更に、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサンゴム組成物を硬化させることによって得られるエラストマ成形品に関する。好ましくは、エラストマ成形品は、高電圧絶縁体、陽極防食キャップ、ケーブル絶縁体、ケーブルおよびケーブル部材、スパークプラグコネクタ用の防食キャップなどの絶縁体及び受像管や点火コイルなどの高電圧コネクタ用の絶縁体の群から選択される。
【0114】
本発明は、更に、本発明による硬化性ポリオルガノシロキサンゴム組成物を硬化させることによって得られる硬化ポリオルガノシロキサンゴム組成物又はエラストマ成形品を生成する方法に関する。
【0115】
本発明は、更に、特に硬化ポリオルガノシロキサンゴム組成物を素材とする絶縁体(例えば、高電圧絶縁体など)の耐アーク性及び/又は耐トラッキング性を高めるために、フェロセン又はその誘導体を使用することに関する。
本発明は、以下の実施例により詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0116】
以下の実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明を限定する趣旨のものではない。
【0117】
[試験条件]
DIN 57 303/IEC 587 VDE 303パート10に従って、高電圧トラッキング用試験装置にて以下の実施例において得られたエラストマを評価した。そのために、特定の高電圧における最大許容限界電流60mA、穴深さ及び質量損失という観点から、5〜10枚の6×50×120mm試験シートを試験した。評価では、特に、観測された穴と6mm超の穴深さ(腐食深さ)が確認された被験シートの数との比率を求めた。各場合において測定した重量損失の平均値として洗浄後に質量損失を求めた。そのために、まず、エラストマシートから容易に除去しうる腐食生成物(灰、燃え殻)を機械的に分離し、最後に、残留成分を粗い布で拭き取った。
実質的に電流制限基準に従って、即ち、6時間の試験時間内に2秒間60mAを超えないように電圧クラスへの分類を行った。
【0118】
[事前混合物1)の調製]
保護ガス下で、成分a1−1)としてのビニル含有ポリオルガノシロキサン350g(SiVi含有量=0.03mmol/g、25°Cでの粘度=65Pa.s)、および、成分a1−2)としてのビニル含有ポリオルガノシロキサン120g(SiVi含有量=0.05mmol/g、25°Cでの粘度=10Pa.s)を、ニーダを用いて、ヘキサメチルジシラザン47g、1,3−ジビニルテトラメチルジシラザン0.15g(いずれの場合も(成分e)の疎水化剤として機能)及び水17gと混合した。次に、300m/gのBET表面積を有する焼成シリカAerosil 300 250gを5部分にて成分e)として加え、全成分を均一に混合して均一ペーストを得た。90〜100℃の還流下にて20分間、該均一ペーストを加熱した。次に、温度を150〜160℃に上昇させ、Nを通しながら気化可能な成分を除去した。該混合物を100℃まで冷却し、更に、成分a1−1)としてのビニル含有ポリオルガノシロキサン120gと、成分a1−2)としてのビニル含有ポリオルガノシロキサン110gとを加えた。次に、得られたペーストを40〜50℃まで冷却し、事前混合物1)約1000gを得た。
【0119】
冷却事前混合物1)を2部分混合物1a)及び1b)に分割した。
【0120】
部分混合物1a)500gに対して、成分a2−1)としてのビニル含有ポリオルガノシロキサン28g(SiVi含有量=0.8mmol/g、25°Cでの粘度=20Pa.s)、0.15重量%Pt(原子吸光分析により定量)を含有するPt−(0)−ビニルシロキサン錯体0.06gを加えた。この量は、以下に調整する部分混合物1a)および1b)の混合物を基準としたときの白金量8.5ppmに相当する。
【0121】
部分混合物1b)500gに、M17 14.5g(1.4mmol/g SiH)、M2020 13.5g(成分b)として約7mmol/g)及び1−エチニルシクロヘキサノール0.4g(成分f)による補助物質としての抑制剤)を加えた。SiH基とSi−ビニル基とのモル比2.5:1により、以下に調製する部分混合物1a)と1b)との混合物が得られるようにSiH量を調整した。
【0122】
次に、2つの部分混合物1a)及び1b)をそれぞれ100gずつプラスチックビーカ中で混ぜ合わせ、調理用ミキサで均一に混合した。約120〜130gの量の混合物をダイプレートに拡散させ、該ダイプレート及びカバープレートをマルチプルダイプレス(加硫プレス 333N/cm)に入れ、加圧成形を行った。150℃で10分間、全体を加熱し、6×100mm×180mmシートを成形キャビティから取り出し、空気循環炉中において新しい空気を導入しながら、200℃で4時間焼き戻した。
【0123】
[比較例1)]
フェロセン化合物を含まない硬化性ポリオルガノシロキサンゴム組成物の調製:
事前混合物1a)及び1b)からなる混合物を1:1の比率で混合し、成分d)を用いずに6mm試験シートに成形し、硬化させ、脱型後、熱風炉中で焼き戻した。
次に、耐高電圧トラッキング性の試験を行った。試験結果を表1に示す。
【0124】
[実施例1)]
フェロセン化合物を含む硬化性ポリオルガノシロキサンゴム組成物の調製:
比較実施例1のように事前混合物1a)及び1b)を調製した。3mlのクロロホルム中に溶解したフェロセン0.4g(鉄基準で0.1重量%に相当)を、得られた均一混合物120gに対して添加し、調理用ミキサを用いて5分間、再度混合を行った。
得られた混合物を比較実施例1と同様に試験シートに成形し、150℃で加硫処理し、脱型後に焼き戻した。
【0125】
[実施例2〜4]
フェロセンをアセチルフェロセン0.49g、ビニルフェロセン0.45g及びカトセン0.5gにそれぞれ置き換えて、実施例1を繰り返した。
【0126】
比較実施例1及び鉄含有量が0.1重量%である実施例1〜4で得られた成形シートの試験結果を表1に示す。
【0127】
【表1】

【0128】
フェロセン化合物の添加により、比較実施例1と比べて低い質量損失及び向上した穴比が生じることが表1より分かる。
【0129】
[実施例5、6及び7]
実施例1の一般的組成から開始し、表2に示すようにフェロセン量を変更した。0.1重量%Feは、実施例1の濃度100当たりフェロセン0.33gの初期重量に相当する。
【0130】
【表2】

【0131】
表2からは、フェロセン量が増加するに従って質量損失が減少することが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーンゴム組成物を素材とする絶縁体の生成におけるフェロセン又はその誘導体の使用。
【請求項2】
請求項1に記載の使用において、前記シリコーンゴム組成物が、硬化性ポリオルガノシロキサンゴム組成物から得られる、ことを特徴とする使用。
【請求項3】
請求項2に記載の使用において、前記硬化性ポリオルガノシロキサンゴム組成物が、
a)反応基を有する1つ以上のポリオルガノシロキサンと、
b)成分a)に対する1つ以上の架橋剤及び/又は鎖延長剤と、
c)白金、ロジウム、イリジウム、パラジウム、ニッケル及びルテニウムから選択される1つ以上の遷移族金属或いはその化合物と、
d)1つ以上のフェロセン化合物と、
e)任意に、1つ以上の充填剤と、
f)任意に、1つ以上の補助物質と、
を成分として含有することを特徴とする使用。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の使用において、前記硬化性ポリオルガノシロキサンゴム組成物が、
・100重量部の成分a)と、
・0.1〜50重量部の成分b)と、
・a)及びb)の総量と白金金属とを基準として1〜100ppmの成分c)と、
・鉄含有量基準で0.01〜25重量部の成分d)と、
・0〜300重量部の成分e)と、
から組成されることを特徴とする使用。
【請求項5】
請求項2〜請求項4のいずれかに記載の使用において、前記硬化性ポリオルガノシロキサンゴム組成物が、成分a)〜e)以外の1つ以上の補助物質f)を更に含む、ことを特徴とする使用。
【請求項6】
請求項5に記載の使用において、前記成分f)が、無機又は有機顔料、三水和アルミニウム、石英紛、酸化物、炭酸塩、無機又は有機塩、チタン、ジルコニウム、セリウム、ランタンのアルコラート又はキレート、有機又は無機の有機金属縮合触媒からなる群より選択される、ことを特徴とする使用。
【請求項7】
請求項3〜請求項6のいずれかに記載の使用において、前記成分d)が、フェロセン、ビス(エチルシクロペンタジエニル)鉄、ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)鉄、ビス(ビニルシクロペンタジエニル)鉄、ヒドロキシメチルフェロセン、フェロセニルアセトニトリル、1,1’−イソプロピリデンビス(エチルフェロセン)(カトセン)及びトリオルガノニルシリル置換フェロセン誘導体からなる群より選択される、ことを特徴とする使用。
【請求項8】
請求項3〜請求項7のいずれかに記載の使用において、前記成分c)が、白金及び白金化合物からなる群より選択される、ことを特徴とする使用。
【請求項9】
請求項3〜請求項8のいずれかに記載の使用において、前記成分b)がSiH基含有ポリオルガノシロキサンである、ことを特徴とする使用。
【請求項10】
請求項9に記載の使用において、成分a)における反応基と成分b)におけるSiH基とのモル比が、成分a)における1反応基に対して、前記硬化性ポリオルガノシロキサンゴム組成物に含有される成分b)由来のSiH基が平均して0.8〜3.5となるように選択される、ことを特徴とする使用。
【請求項11】
請求項3〜請求項10のいずれかに記載の使用において、前記成分c)の含有量が25ppm未満である、ことを特徴とする使用。
【請求項12】
請求項3〜請求項11のいずれかに記載の使用において、前記成分d)の含有量が、含有される鉄を基準として10重量部未満である、使用。
【請求項13】
硬化性ポリオルガノシロキサンゴム組成物であって、
a)反応基を有する1つ以上のポリオルガノシロキサンと、
b)成分a)に対する1つ以上の架橋剤及び/又は鎖延長剤と、
c)白金、ロジウム及びルテニウムから選択される1つ以上の遷移族金属或いはその化合物と、
d)1つ以上のフェロセン化合物と、
e)任意に、1つ以上の充填剤と、
f)任意に、1つ以上の補助物質と、
を含むことを特徴とする硬化性ポリオルガノシロキサンゴム組成物。
【請求項14】
請求項13に記載の硬化性ポリオルガノシロキサンゴム組成物において、前記硬化性ポリオルガノシロキサンゴム組成物が、請求項3〜請求項12のいずれかに規定される組成物である、ことを特徴とする硬化性ポリオルガノシロキサンゴム組成物。
【請求項15】
請求項13又は請求項14に記載の硬化性ポリオルガノシロキサンゴム組成物を硬化させることによって得られることを特徴とする硬化ポリオルガノシロキサンゴム組成物。
【請求項16】
請求項13又は請求項14に記載の硬化性ポリオルガノシロキサンゴム組成物を硬化させることによって得られることを特徴とするエラストマ。
【請求項17】
請求項16に記載のエラストマの成形品であって、この成形品が絶縁体であることを特徴とする成形品。
【請求項18】
請求項16に記載のエラストマからなる絶縁体。
【請求項19】
請求項18に記載の絶縁体において、この絶縁体が、高電圧絶縁体、陽極防食キャップ、ケーブル絶縁体、ケーブルおよびケーブル部材、スパークプラグコネクタ用防食キャップ及び高電圧コネクタ用絶縁体からなる群より選択される、ことを特徴とする絶縁体。
【請求項20】
請求項13又は請求項14に記載の硬化性ポリオルガノシロキサンゴム組成物を硬化させることによって得られる硬化ポリオルガノシロキサンゴム組成物又はエラストマ成形品を生成する方法。
【請求項21】
高電圧絶縁体のような絶縁体の耐アーク性及び/又は耐トラッキング性を高め、前記絶縁体の表面におけるコロナ放電による腐食を防止するためにフェロセン又はその誘導体を使用することを特徴とするフェロセン又はその誘導体の使用。
【請求項22】
請求項21に記載の使用において、前記絶縁体が硬化ポリオルガノシロキサンゴム組成物を素材とした絶縁体である、ことを特徴とする使用。

【公表番号】特表2010−526927(P2010−526927A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507911(P2010−507911)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【国際出願番号】PCT/EP2008/055882
【国際公開番号】WO2008/138944
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(599092697)モーメンテイブ・パーフオーマンス・マテリアルズ・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (9)
【氏名又は名称原語表記】Momentive Performance Materials GmbH
【Fターム(参考)】