継手への二重管の接続構造及び接続装置
【課題】継手への二重管の接続において、外管の壁厚に関わらず、外管が継手から抜脱するのを確実に防止する。
【解決手段】合成樹脂製の断熱発泡体からなる外管21の内部に可撓性を有する内管11が挿通された二重管を継手1に接続するものにおいて、内管11の端部は、継手1に形成された内側筒部5に接続し、外管21の端部は、内側筒部5の外側に形成された外側筒部6に外挿するとともに、外管21を外側筒部6に外挿した状態で外管21の外周側から内部空間に抜止部材31の一対の係止突起34,34を貫通し、外側筒部6の確認窓7の凹部に形成された被係止部7aに直接係止させることにより、外管21が継手1から抜け止めするものとした。
【解決手段】合成樹脂製の断熱発泡体からなる外管21の内部に可撓性を有する内管11が挿通された二重管を継手1に接続するものにおいて、内管11の端部は、継手1に形成された内側筒部5に接続し、外管21の端部は、内側筒部5の外側に形成された外側筒部6に外挿するとともに、外管21を外側筒部6に外挿した状態で外管21の外周側から内部空間に抜止部材31の一対の係止突起34,34を貫通し、外側筒部6の確認窓7の凹部に形成された被係止部7aに直接係止させることにより、外管21が継手1から抜け止めするものとした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓継手、分岐継手等の継手に、通水管、給湯管等の内管と、この内管を覆って保護する断熱発泡体からなる外管とからなる二重管を接続する、継手への二重管の接続構造及び接続装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、屋内の台所流し、洗面、トイレなどの水栓設備、機器においては、配管接続部等に継手が接続され、この継手に給水管、給湯管等が接続されている。前記給水管、給湯管等は、外部からの損傷防止や保温などのため、外側を被覆管によって覆われることが多い。即ち、これらの配管においては、給水管、給湯管等の内管と被覆管等の外管との二重管構造となっていることが多い。ここで、被覆管等の外管は通常合成樹脂製の断熱発泡体で形成されている。
【0003】
この種の継手への二重管の接続に関しては、特許文献1に記載された接続構造などが開示されている。特許文献1に記載された接続構造では、二重管のうちの外管は、断熱効果を高めることを目的としてポリエチレンフォームなどの断熱発泡体で形成されており、外管を継手に設けられた円筒状の外側接続部に外挿した後は、抜止手段により外管が継手から抜け外れないようにしている。具体的には、U字状のクリップを管軸に直交する方向から外管の周壁を両側から挟み込むようにして取付けることにより、外管の周壁をクリップと継手の外側接続部とで挟持し、周壁の一部を外側接続部の外面に設けた凹部に食い込ませて係止させ、継手から抜け外れるのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−127835公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記外管である被覆管は寒冷地においてはより高い断熱効果を得るために壁厚の大きいものが用いられる。
ところが、特許文献1の抜止手段は、U字状のクリップで外管の周壁を両側から挟み込んでクリップと継手の外側接続部とで外管を挟持して周壁の一部を外側接続部の凹部に食い込ませ、周壁を介して間接的に抜け止める構造となっているから、一般地域用の壁厚を有する外管に用いているクリップでは、寒冷地仕様であって周壁が厚く形成されて外径の大きい外管には対応することができず、外径の大きさによっては外管を挟み込むことができないことがある。また、周壁が厚過ぎてその一部が外側接続部の外面の凹部に食い込まないため、その凹部に外管の一部を十分に係止させることができず不安定で、継手からの外管の抜け外れを確実に防止することはできない。
【0006】
なお、周壁の厚い外管を偏平に押し潰して無理にクリップを取付けようとすれば、肉厚が薄くなって保温性能が損なわれるとともに、外管が偏平化して挟圧方向と直交する両側方に押し広げられて継手の外側接続部と外管との間に隙間を生じ、外管の先端部の隙間から二重管の空間内に外部の空気が流入して外管と内管との間の空気層による断熱効果が低下し、保温効果を十分に得ることができなくなる。加えて、無理に取付けようとすれば、クリップが破損することもある。また、逆に、寒冷地用の外管の抜け止めに用いられるクリップをそのまま一般地域用の周壁が薄く外径の小さい外管に取付ければ、クリップが大き過ぎて外管を挟持できなかったり、挟持力が小さくて短期間で外れてしまったりする。
【0007】
そこで、本発明は、外管の壁厚に関わらず、外管が継手から抜脱するのを確実に防止できる、継手への二重管の接続構造及び接続装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の継手への二重管の接続構造は、合成樹脂製の断熱発泡体からなる外管の内部に可撓性を有する内管が挿通された二重管が継手に接続され、抜止手段によって前記外管が抜け止めされるものであって、前記内管の端部は、前記継手に形成された内側筒部に接続され、前記外管の端部は、前記継手の内側筒部の外側に形成された外側筒部に外挿されるとともに、前記抜止手段は、前記外管が前記外側筒部に外挿された状態で該外管の外周側からその内部空間に貫通される抜止部材と、前記継手に設けられた被係止部とが、直接係止することにより前記外管を抜け止めするものである。
ここで、外管の内部空間への貫通について、抜止部材が外管に外周側から差し込まれた後に、抜止部材の一部が外管の周壁内に埋め込まれた状態にあっても、他の部分が少なくとも継手の被係止部に直接係止する程度に内部空間に露出している状態にある場合は、外管の内部空間に貫通されているものとする。
【0009】
この構成により、外管の外周側から貫通された抜止部材が継手に設けられた被係止部と直接係止するので、係止部材が継手に対して管軸方向に移動するのが阻止される。これに伴い、係止部材が貫通されている外管も管軸方向に移動するのが阻止され、継手から抜け外れるのが防止される。
【0010】
請求項2の継手への二重管の接続構造は、抜止部材が、継手の被係止部と直接係止する係止部が外管の外周側から差し込まれて外管の周壁を突破し内部空間に貫通するものである。これにより、抜止部材は、係止部が外管の周壁を突破して外管の内部空間にまで貫通するので、外管内において継手の外側筒部の被係止部と直接係止可能となる。
【0011】
請求項3の継手への二重管の接続構造は、抜止部材の係止部が、一対の係止突起からなり、継手の被係止部が、外側筒部の外周面に互いに対向して設けられた一対の凹部からなる。
【0012】
請求項4の継手への二重管の接続構造は、抜止手段が、継手の外側筒部に外管が外挿されることによって視認できなくなる被係止部の位置を特定するための位置合わせ手段を備えている。
【0013】
請求項5の継手への二重管の接続装置は、外管の内部に可撓性を有する内管が挿通された二重管が継手に接続され、前記外管が抜け止めされるものであって、前記内管の端部が接続される内側筒部、及び前記継手の内側筒部の外側に形成され、前記外管の端部が外挿され、被係止部を有する外側筒部を備えた継手と、合成樹脂製の断熱発泡体からなる前記外管と、前記外管の外周側から内部空間に貫通され、前記継手の被係止部に直接係止する抜止部材とを具備する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1及び請求項5の発明は、抜止部材が外管の外周側から貫通されて継手の被係止部と係止するから、外管の壁厚に左右されることなく抜止部材を外管に取付けることができる。なお、それによって、例えば、1種類で各種壁厚の外管の抜け止めを行なうこともできる。
また、抜止部材は外管の外周側から貫通されて継手の被係止部と直接係止するから、外管を確実に抜け止めすることができる。
更に、抜止部材は外管の外周側から貫通されて継手の被係止部と係止するから、従来のクリップ等を使用した抜止部材のようにその取付けにおいて外管の周壁を押し潰すことがないから、抜止部材の取付けによって保温性能が損なわれることはない。
【0015】
請求項2の発明は、抜止部材の係止部が外管の周壁の突破能力を備えているので、外管の外周側から押し込んで外管の周壁を突き破るだけのワンタッチ操作で係止部を外側筒部の被係止部に直接係止させて外管の抜脱を防止することができる。
【0016】
請求項3の発明は、抜止部材の係止部が、一対の係止突起からなり、継手の外側筒部の両側方から一対の凹部からなる被係止部に係止するので、より確実に抜け止めすることができる。また、外管に対して一方向から差し込めばよいから、作業し易いし、外管の後方にまで手を伸ばす必要もないから、小さいスペースで作業できる。
【0017】
請求項4の発明は、抜止部材の係止部を係止させる際に被係止部の位置を特定するための位置合わせ手段を備えているので、継手の外側筒部に外管が外挿されることによって被係止部を視認できなくても、スケール等を使用して測定することなく、簡単に外管の外方から被係止部の位置を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第一実施形態における継手への二重管の接続装置を示す斜視図である。
【図2】図1の継手を示し、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は(a)のA−A切断線による断面図である。
【図3】図1の抜止部材を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は(b)のB−B切断線による断面図、(e)は斜視図である。
【図4】図1の継手に内管を接続し外管を外挿した直後の状態を示す一部破断右側面図である。
【図5】外管において図3の抜止部材の係止部を差し込む位置を特定するための位置合わせ方法を示し、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は左側面図である。
【図6】外管に図3の抜止部材の係止部を差し込む直前の状態を示す斜視図である。
【図7】外管の被係止部に図3の抜止部材の係止部を係止させた状態を示し、(a)は外管を仮想線で示した斜視図、(b)は外管を実線で示した斜視図である。
【図8】図4の継手の被係止部に抜止部材を係止させた状態を示す一部破断右側面図である。
【図9】本発明の第二実施形態における継手を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のC−C切断線による断面図である。
【図10】本発明の第二実施形態における継手への二重管の接続装置を示す斜視図である。
【図11】図9の継手に内管を接続し外管を外挿した直後の状態を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のD−D切断線による断面図である。
【図12】図11の継手の被係止部に抜止部材を係止させた状態を示す断面図である。
【図13】本発明の抜止部材の変形例を示す斜視図である。
【図14】外管において図13の抜止部材の係止部を差し込む位置を特定するための位置合わせ方法を示し、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〈第一実施形態〉
まず、本発明の第一実施形態における継手への二重管の接続構造及び接続装置を図1乃至図8に基づいて説明する。
【0020】
図1乃至図3において、継手への二重管の接続構造は、断熱発泡体からなる外管21の内部に可撓性を有する内管11が挿通された二重管を継手1に接続し、抜止手段によって外管21を抜け止めするするものであり、内管11の端部は、継手1に形成された内側筒部5に接続され、外管21の端部は、内側筒部5の外側に形成された外側筒部6に外挿されている。これにより、内管11の外面12と外管21の内面24との間の二重管内空間S1が外部に臨まないようになっている。ここで、前記内管11は屋内の台所流し、給湯器、浴室、トイレ、洗面等に給水、給湯する給水管、給湯管等であり、前記外管21は内管11の外側を覆って該内管11を保護するとともに、内管11と外管21との間の二重管内空間S1内に空気層を形成して断熱効果を高める被覆管等である。
【0021】
更に、この接続構造には、前記外側筒部6に接続された外管21が抜け外れるのを防止する抜止手段が設けられている。前記抜止手段は、具体的には、外管21が外側筒部6に外挿された状態で外管21の外周側から内部空間に貫通される抜止部材31の係止部33と、外側筒部6の外面6dに凹設された確認窓7の凹部からなる被係止部7aとが直接係止することにより、外管21を抜け止めするものとなっている。ここで、抜止部材31の係止部32は、外管21にその管軸に直交する方向即ち側方から差し込まれて外管21の周壁22を突き破り、先端が図4に示す、外管21の内面24と外側筒部6との間の空間である内部空間S2に貫通するようになっている。これらの内側筒部5及び外側筒部6を備えた継手1と、外管21と、抜止部材31とは、継手への二重管の接続装置を構成している。以下、各構成部材について詳細に説明する。
【0022】
まず、前記継手1は、図1及び図2に示すように、水栓、給湯器等の各種設備、機器の配管接続部に螺着される、雄ねじで形成された螺着部2と、中間部に形成された六角ナット状の鍔部3と、前記螺着部2とは反対側にあって二重管が接続される受口4側に形成された内側筒部5及び外側筒部6とで構成されている。内側筒部5及び外側筒部6はそれぞれ円筒状に形成され、間隔をおいて同心状に配設されており、内側筒部5と外側筒部6との間に形成された隙間である二重管内空間S1に内管11が挿入できるようになっている。継手1は金属材からなり、切削加工等によって形成することができる。但し、継手1は補強繊維等を添加した硬質合成樹脂材を用いて形成してもよく、この場合は、射出成形によって形成することも可能である。
【0023】
螺着部2の内部は開口側から鍔部3側に向かうに従って連続的に縮径するテーパ孔2aが形成されている。鍔部3は内部中央に螺着部2のテーパ孔2aと連通する貫通孔3aが形成され、その内壁には内側筒部5の鍔部3側の端部の外面に設けられた螺着部5aと螺合する被螺着部3bが形成されている。また、鍔部3の受口4側の下面3cには該受口4側に垂直に突出する所定長さの円環状の取着部3dが一体に設けられており、更に、前記取着部3dの外面には後述する外側筒部6の上端部に形成された環状の係合突部6cと係合する環状の係合凹部3eが形成されている。
【0024】
次に、前記継手1の内側筒部5は、上端部即ち鍔部3側の端部の外面に設けられた螺着部5aが鍔部3の被螺着部3bに螺着されることによって受口4側に突設されている。内側筒部5内の貫通孔5bは螺着部2のテーパ孔2aと連通し、貫通孔5bの内径はテーパ孔2aの最小径である鍔部3側の内径と同一に形成されており、これら両孔間において流体が円滑に通流するようになっている。更に、内側筒部5の外面の長さ方向の2箇所には環状溝5cが設けられ、この環状溝5cには環状のパッキング5dが嵌入されており、内側筒部5と内管11との隙間から流体が洩出するのを防いでいる。また、内側筒部5の外面における環状溝5cから離間した長さ方向の2箇所にはロックリング5eが嵌着されており、内管11の内面に掛止して内側筒部5から内管11が抜脱するのを防いでいる。更に、内側筒部5の上部には鍔部3との間にOリング9が取付けられている。
【0025】
一方、前記継手1の外側筒部6は、上側円筒部6aと下側円筒部6bとの2部材で構成されている。上側円筒部6aと下側円筒部6bとは隣接箇所が互いに鈎状に形成され、軸方向の圧入によってかしめられて一体に接続されている。そして、上側円筒部6aの上端部には鍔部3の取着部3dの係合凹部3eと係合する環状の係合突部6cが形成されており、軸方向の圧入により係合突部6cが鍔部3の取着部3dの係合凹部3eに係合し、これにより、外側筒部6は鍔部3に対して旋回自在に接合されている。したがって、外側筒部6に外挿された外管21も、浴室、給湯器などの水栓設備、機器に接続されている継手1に対して周方向に所定角度回動させることができる。外側筒部6の外面6dは鍔部3側に向かうに従って段階的に拡径している。
【0026】
更に、外側筒部6の上側円筒部6aの周壁には、相反対側位置即ち180度離間する位置に対向して二対の確認窓が設けられている。この確認窓は、継手1の内側筒部5に外挿し接続された内管11の先端部が所定位置まで挿入されているかを確認するために設けられたものである。このうち一方の一対の確認窓7,7は、上側円筒部6aの周壁に僅かに陥没した周方向に細長の凹部からなる被係止部7aが形成され、その中央部に貫通孔7bが設けられて成る。確認窓7の被係止部7aは外側筒部6の上側円筒部6aの周壁の弦に沿って凹設されている。この被係止部7aにおいて貫通孔7bを囲う受口側の部分7cは管軸に直交する平面に形成されている、即ち外側筒部6の外面6dに対して直角に凹設されたものとなっている。一方、この受口側の部分7cと対向する反対側の部分、即ち被係止部7aにおいて貫通孔7bを囲う鍔部側の部分7dは外側筒部6の内部側から外部側にかけて傾斜するテーパ面に形成されている。これにより、確認窓7の貫通孔7b周辺の視野が拡大し、確認窓7の正面側からだけでなく継手1の斜め上方からも確認窓7を通して内管11の先端部の位置を確認することができる。
【0027】
次に、二対のうち他方の一対の確認窓8,8は前記一対の確認窓7,7から90度周方向に離間した位置に設けられており、前記一対の確認窓7,7より小さい円形状の貫通孔や楕円形状の貫通孔で形成されている。このように、確認窓は計4個設けられているため、四方から内管11の先端部を確認できる。なお、確認窓は、一対の確認窓7,7のみを設けてもよい。
【0028】
ここで、確認窓7は、図2に示すように、幅方向の中心が、その上方の六角ナット状の鍔部3における六角形の角部3fを通る垂直線3h上に設けられており、確認窓8は、幅方向の中心が、前記鍔部3における六角形の辺部3gの中間を通る垂直線3i上に設けられている。この六角形の辺部3gの中間位置は、後述する抜止部材31の係止部33を外管21に差し込む際の位置合わせ部となる。
【0029】
次に、前記継手1の内側筒部5に接続される内管11は可撓性を有し、熱伝導率の小さいポリエチレン管、ポリブテン管等の合成樹脂管で形成されており、有色材または半透明色材が使用されていることにより継手1の外側筒部6の確認窓から外挿された内管11の先端位置を視覚により確認することができる。この内管11は継手1の受口4側から外側筒部6と内側筒部5との隙間に挿入するだけで、内側筒部5に外挿して接続され、内面に内側筒部5のパッキング5dが密接して内部の流体が洩出するのが防がれるとともに、内側筒部5のロックリング5eの爪が内面に掛止して継手1からの抜け外れが防止される。
【0030】
一方、継手1の外側筒部6に外挿される外管21は、発泡ポリエチレンフォーム、発泡ポリプロピレンフォームなどの断熱発泡体で形成されている。外管21の内径は継手1の外側筒部6の外径と同一または僅かに小さく形成されている。外管21の内径が外側筒部6の外径より小さければ、外側筒部6に圧入することにより密接状態で接続することができる。但し、外管21の内径は必ずしも外側筒部6の外径と同一または僅かに小さく形成したものに限られるものではなく、僅かに大きく形成するのを妨げるものではない。僅かに大きく形成した場合、外管21は外側筒部6に簡単に外挿することができる。その一方で、外管21の外径については特に問わない。即ち、外管21は、一般地域での通常の壁厚の他、寒冷地等での壁厚の大きい場合にも適用されるものであり、任意の外径、壁厚に形成することができる。
【0031】
次に、抜止部材31は、図3に示すように、硬質合成樹脂材または金属材により略コ字状に形成されている。抜止部材31は、中間の矩形平板状の基板部32と、係止部33とで形成されている。係止部33は、更に、基板部32の短辺側の両端部に直角方向に立設された一対の係止突起34,34により形成されている。各係止突起34は、細長板状に形成され、長さ方向の中間部から先端に向かうに従って楔状に鋭く尖った形状に形成されているとともに、側面における長手方向の中間部には、外方に鈎状に突出し、先端に向けて緩やかに傾斜する抜止爪35が設けられている。一対の係止突起34,34からなる係止部33は、少なくとも外管21の周壁22に突き差してこれを突き破るに足る強度及び剛性を有している。一対の係止突起34,34間の内側寸法は継手1の外側筒部6に周方向に180度離間して設けられた一対の確認窓7,7間の外側寸法と同一または僅かに大きく設定されていて、係止部33を外管21に突き差した後、一対の係止突起34,34が一対の確認窓7,7の凹部からなる被係止部7a,7a内に嵌入し、これらに直接係止するようになっている。
【0032】
そして、各係止突起34の先端から所定長さ基板部32側に後退した位置には、外管21に係止突起34を差し込む際の位置合わせ手段となる位置合わせ突条36が係止突起34の側面に沿って略C字状に形成されている。ここで、係止突起34の先端から位置合わせ突条36までの長さL1は、継手1の外側筒部6において、これに外挿された外管21の先端面が当接する鍔部3の下面3cから確認窓7の被係止部7aの中間高さまでの長さL2に等しい。一方、基板部32の長辺側の両端部の中間位置には、係止部材31を外管21の外周側から周壁に差し込む際の位置合わせの目印となる半円突状或いは三角突状の小突起37が設けられている。これら位置合わせ突条36及び小突起37による抜止部材31の位置合わせについては後述する。
【0033】
(二重管の接続方法)
次に、上記のように構成された継手1に内管11及び外管21を接続する方法を図4乃至図8に基づいて説明する。なお、図4は継手1に内管11を接続し、外管21を外挿した後であって抜止部材31を取付ける前の状態を示す。
まず、二重管の端部を継手1の下方に配置し、最初に内管11を継手1の内側筒部5に接続する。このとき、内管11の端部は外管21の端部から所定長さ外部に露出させておく。この状態で、手でまたは場合により工具を用いて内管11を内側筒部5と外側筒部6との間に挿入しつつ内側筒部5の外面に強制的に差し込み、図4に示すように、先端部を内側筒部5と外側筒部6との間における奥側突当部に当接するまで挿入する。この際、内管11の先端部が所定位置即ち前記奥側突当部まで到達したか否かを外側筒部6に設けられた確認窓7または確認窓8を通して確認する。このように内側筒部5に内管11が外挿された状態においては、内管11の内面は、継手1の内側筒部5のパッキング5d及びOリング9と密接するとともに、ロックリング5eが掛止し、継手1の内側筒部5から内管11内の水、温水等の流体が外部に漏出するのが確実に防止されるとともに、前記内管11が継手1の内側筒部5から抜脱するのが防止される。また、外側筒部6の内面6eが内管11の拡径を阻止し、内管11は内側筒部5の外面と外側筒部6の内面6eとで挟圧され、継手1に強固に接続される。これにより、内管11はワンタッチで継手1に接続することができる。
【0034】
内管11を内側筒部5に接続したら、外管21を押し上げて継手1の外側筒部6の外面6dに外挿し、図4に示すように、外管21の先端面を継手1の鍔部3の下面3cに当接させる。このとき、外管21の内径が継手1の外側筒部6の外径より僅かに小さい場合には、外管21を受口4側から強制的に上方に押上げることにより、外管21の周壁22は弾性的に拡開しつつ外側筒部6の外面6dに外挿され、その外面6dと密接する。この際、継手1の外側筒部6の外面6dは鍔部3側に向かうに従って段階的に拡径しているので、外管21を外側筒部6に外挿し易い。また、外管21の内径が継手1の外側筒部6の外径より僅かに大きい場合は、そのまま楽に継手1の外側筒部6の外面6dに外挿することができる。なお、外挿しただけでは、外管21は外側筒部6から落下してしまうので、次の抜止部材31を取付けるまで保持する。
【0035】
次に、外管21を継手1の外側筒部6に外挿したら、抜止部材31を外管21の外面23から継手1の外側筒部6の被係止部7aに向けて差し込むが、継手1の外側筒部6には外管21が継手1の鍔部3の下面3cに先端面が当接する位置まで外挿されており、係止部33の係止箇所である外側筒部6の被係止部7aの位置を外側から見て確認できないので、事前に外管21の外面23に抜止部材31の係止突起34の突き差す位置を設定する位置合わせを行なう必要がある。係止部33の差し込みの際の位置合わせ手段として、抜止部材31には、係止突起34に位置合わせ突条36が設けられ、基板部32に小突起37が設けられている。
【0036】
そこで、これらを使用して、まず、図5(a)及び(b)に示すように、抜止部材31を鍔部3側に倒して一対の係止突起34,34を外管21の外面23に沿わせるとともに、基板部32の小突起37を鍔部3の辺部3gの中間位置に一致させる。鍔部3の辺部3gの中間位置は目視で判断できるが、より正確には、鍔部3の辺部3gの中間位置に図2(b)に示した垂直線3i上に目印線を罫書いたり、予め目印線を刻設しておいてもよい。小突起37の位置合わせと同時に、抜止部材31の係止突起34の端部に設けられた位置合わせ突条36を鍔部3の下面3cつまりは外管21の先端に位置合わせする。これにより位置合わせされた一対の係止突起34,34の両先端が位置する、図5(a)及び(b)の×印で示した部位は、この部位において外管の外面23に一対の係止突起34,34を突き差して周壁22を貫通させれば、係止突起34の先端部は継手1の外側筒部6の確認窓7の被係止部7a内に側方から嵌入する位置となる。
【0037】
この位置合わせにより抜止部材31の係止部33を差し込む位置を特定できたら、一対の係止突起34,34の各先端部と外管21の外面23との当接位置である×印部分を軸として、図5(c)及び(d)に示すように、抜止部材31をそのまま上方に起立させる。そして、図6に示すように、特定された差し込む位置である2箇所に抜止部材31の一対の係止突起34,34の先端部を当接させた状態で、そのまま外管21の外周側であって管軸に直交する方向から係止部33を外面23に直交して真直ぐに差し込み、一対の係止突起34,34を外管21の周壁22に貫通させる。
【0038】
このとき、一対の係止突起34,34は、少なくとも外管21の周壁22に突き差してこれを突き破るに足る強度及び剛性を備えているから、確実に周壁22を貫通させることができる。また、周壁22を貫通した後は、一対の係止突起34,34は、これらの間の内側寸法が外側筒部6の一対の確認窓7,7間の外側寸法と同一または僅かに大きく設定されているので、一対の確認窓7,7の被係止部7a,7a内に嵌入し、これと直接係止する。なお、一旦一対の係止突起34,34が外管21の周壁22を貫通した後は、各係止突起34の側面に一体に設けられた鈎状の抜止爪35が外管21の周壁22内で引掛かるため、抜止部材31が外管21から簡単に引き抜かれてしまうのが防止される。
【0039】
更に、一対の係止突起34,34は、外側筒部6の確認窓7の被係止部7a内に嵌入し、その被係止部7a内を横切るようにして通過するとともに、先端部は更に進んで外管21の対向側の内面24から再度周壁22に突き差さり、その内部にまで進んで止まる。これにより、一対の係止突起34,34と一対の確認窓7,7の被係止部7a,7aとが係止した後は、図7及び図8に示した状態となり、外管21の接続が完了する。なお、図7(a)では、係止状態を分かり易くするため、外管21は二点鎖線で示してある。
【0040】
このようにして外管21の接続が完了し、一対の係止突起34,34が継手1の被係止部7aに直接係止した状態においては、抜止部材31は、一対の係止突起34,34の下面が継手1の内部に僅かに陥没した確認窓7の受口側の部分7cと当接するため、図7の下方への移動が阻止される。その結果、外管21が下方に移動し、継手1から抜け外れるのが確実に防止される。また、一対の係止突起34,34は、継手1の外側筒部6の被係止部7aである凹部に嵌入し係止することにより、外側筒部6に対して周方向に相対的に回動するのが阻止される。そして、これに伴い、外管21も管軸を中心に外側筒部6に対して周方向に相対的に回動するのが阻止される。但し、外側筒部6自体は継手1の鍔部3に対して管軸を中心に周方向に回動可能となっている。
【0041】
なお、以上の二重管の接続において、継手1の鍔部3の辺部3gの中間は、抜止部材31の小突起37が位置合わせされる部分であり、外管21の先端面が当接する鍔部3の下面3cは、外管21の先端面が当接して外管21をこの箇所に位置付ける部分であるから、これらの部分も、抜止部材31の小突起37及び係止突起34の位置合わせ突条36とともに、請求項の位置合わせ手段を構成する。
【0042】
(作用)
次に、本実施形態における継手1への二重管の接続構造及び接続装置の作用を説明する。
本実施形態の抜止部材31の一対の係止突起34,34は、外管21の外周側から貫通されて継手1の外側筒部6の凹部からなる被係止部7aと直接係止し、確認窓7の受口側の部分7cと当接して図7の下方への移動が阻止されるから、外管21は継手1に対して確実に抜け止めされる。
【0043】
その結果、管軸方向に引張る外力が加わったりしても、外管21が継手1の外側筒部6から抜け外れてしまうことはない。また、外管21自身に成形後の戻りによる縮む方向の力が作用しても、外側筒部6から抜け外れてしまうことはない。即ち、外管21は製造時には軸方向に一定のテンションで引張られた状態で成形されるため、その後に原形状に復帰して軸方向に縮もうとする。しかし、抜止部材31が取付けられているため、前記原形状への復帰が阻止され、上述のように、外管21は継手1の外側筒部6から抜け外れてしまうことはない。
【0044】
また、抜止部材31は、外管21の外周側から貫通されて継手1の被係止部7aと係止するから、外管21の壁厚とは関係なく外管21に取付けることができる。なお、それによって、例えば、1種類で各種壁厚の外管21の抜け止めに対応することもできる。
【0045】
更に、抜止部材31は、従来のクリップ等を使用した抜止部材のようにその取付けにおいて外管21の周壁22を押し潰すことはないから、周壁は薄くなることがなく一定の壁厚に保持できるため、抜止部材31の取付けによって保温性能が損なわれることはない。また、外管21がクリップ等によって両側から挟み込まれて押し潰されることにより、挟圧方向と直交する両側方に押し広げられて継手1の外側筒部6と外管21との間に隙間を生じ、外管21の先端部の隙間から二重管の空間内に外部の空気が流入して外管21と内管11との間の空気層による断熱効果が低下し、保温効果が損なわれてしまうこともない。
【0046】
そして、抜止部材31の係止部33の係止突起34は、外管21の周壁の突破能力を備えているので、外管21の外周側から押し込んで外管21の周壁22を突き破るだけのワンタッチ操作で係止部33を外側筒部6の被係止部7aに係止させることができる。
【0047】
加えて、抜止部材31の係止部33は、一対の係止突起34,34からなるので、継手1の被係止部7aに対して両側から係止する。このため、係止部33は継手1の被係止部7aに安定した状態で強固に係止する。また、抜止部材31は、略コ字状に形成され、係止部33は、一対の係止突起34,34からなるので、抜止部材31の取付けに際しては、外管21に対して一方向から押し込めばよい。したがって、作業性が向上するとともに、外管21の後方に手を伸ばす必要もないから、小さいスペースで作業できる。
【0048】
更には、抜止部材31の係止部33を係止させる際に継手1の被係止部7aの位置を特定するための位置合わせ手段を備えているので、継手1の外側筒部6に外管21が外挿されることによって被係止部7aを視認できなくても、スケール等を使用して測定することなく、簡単に被係止部7aの位置を特定することができる。
【0049】
〈第二実施形態〉
次に、第二実施形態の継手への二重管の接続構造及び接続装置を図9乃至図12に基づいて説明する。第一実施形態では、内管11をワンタッチで接続できる継手1に適用し、抜止部材31の係止部33は継手1の外側筒部6の凹部からなる被係止部7aに係止し、接続後、外管21は管軸を中心に周方向に回動しないものを示している。これに対して、第二実施形態では、内管11を締付リングを使用して接続する継手41に適用し、抜止部材の係止部は継手41に形成された小径の円筒部の被係止部に係止し、接続後、外管21は管軸を中心に周方向に回動するものを示す。
【0050】
図9において、第二実施形態で適用される継手41は、鍔部43の一側には、円筒状をなし外周面に雄ねじを有する螺着部42が形成されており、この螺着部42を螺着することにより図示しない給湯器等の配管接続部に接続できるようになっている。鍔部43の他側即ち内管11の接続側には、図9の下方に長く突出した内側筒部44と、内側筒部44の外側に形成され、下方に僅かに突出した短尺の外側筒部45とが一体に形成されている。外側筒部45は、下部に円弧状に切欠されてなる確認窓45aが周方向に間隔をおいて4箇所設けられている。鍔部43と外側筒部45との間には外径が鍔部43及び外側筒部45より小さい円筒部46が介在している。そして、鍔部43の下面43aと円筒部46の外周面と外側筒部45の上面45bとによって囲まれた凹部は、第一実施形態と同様の抜止部材31の一対の係止突起33が水平方向から嵌入し横方向に通過する被係止部46aを形成している。この凹部に形成された被係止部46aは小径の円筒部46の外周面の周囲全周に至って形成されている。
【0051】
内側筒部44の外周面には内管11が接続され、内側筒部44と外側筒部45との隙間には内管11の先端部が嵌入するようになっている。そして、内側筒部44に内管11が接続された後には、予め内管11の端部に取付けられた別体の締付リング47を内管11の外周面に沿って鍔部63側に強制的に移動させることにより内管11を継手41に強固に接続固定できるようになっている。
【0052】
一方、外管21の抜け外れを防止するための抜止部材は、第一実施形態の抜止部材31と同一のものが用いられる。なお、係止突起34の幅は、継手1の被係止部46a内に嵌入する大きさに形成されている。
【0053】
次に、上述のように形成された継手41に内管11及び外管21を接続する方法を説明する。
まず、二重管のうち内管11を継手41に接続するには、図10に示すように、外管21の端部から内管11を所定長引き出すとともに、その端部に締付リング47を外挿しておく。この状態で、図示しない拡径工具等を使用して内管11の端部を図10に示すように拡径し、継手41の内側筒部44に外嵌し、内側筒部44と外側筒部45との間の奥側突当部まで圧入する。内管11が奥側突当部まで圧入されているかは、確認窓45aを通して外部から目視により確認することができる。次に、図示しないが、スライダ等の挟み工具を使用して、この工具先端のクランプで外側筒部45の上面46aと締付リング47の下面とを挟み、締付リング47を外側筒部45の下端に当接するまで圧入して内管11の端部を内側筒部44と締付リング47とで強く挟み込む。これにより、内管11は、図11に示すように、内側筒部44に強固に接続される。
【0054】
次に、外管21の端部を継手41側に押し戻して、図11に示すように、先端面を継手41の鍔部43の下面43aの位置まで押し込む。外管21を押し込んで外側筒部45に外挿したら、第一実施形態と同様の要領で、位置合わせ手段を用いて外管21の外側から被係止部46aの位置を特定する。但し、被係止部46aは円筒部46の外周面の周囲全周に至って形成されているので、周方向については任意の位置に設定すればよい。したがって、位置合わせにおいては、図5(a)及び(b)に示したと同様にして、抜止部材31を鍔部3側に倒し、係止突起34の位置合わせ突条36を外管21の先端面が当接する鍔部43の下面43aに位置合わせする。そして、抜止部材31をそのまま上方に起立させれば、起立した係止突起34の先端部が外管21の外面23に当接する部位が、外管21の外面23上において係止突起34を突き差すべき位置として特定される。このようにして被係止部46aの位置を特定したら、抜止部材31の係止部33を外管21の外面側から差し込んで一対の係止突起34,34を外管21の周壁22に突き差し貫通させる。これにより、一対の係止突起34,34は、図12に示すように、継手41の円筒部46の外周面の周囲に形成された被係止部46aに直接係止する。
【0055】
以上により、内管11及び外管21の接続が完了する。接続を完了した後は、抜止部材31は、一対の係止突起34,34が継手41の被係止部46aに隣接する外側筒部45の上面45bと当接して図12の下方への移動が阻止される。その結果、抜止部材31の係止突起34が貫通している外管21が下方に移動し、継手41から抜け外れるのが確実に防止される。なお、一対の係止突起34,34は、小径の円筒部46の外周面の周囲に形成された被係止部46aに係止され、被係止部46aは前述のように周方向に方向性を有しないので、円筒部46の外周面に沿って周方向に回動可能となっている。これに伴い、外管21も円筒部46つまりは継手41に対して管軸を中心に周方向に自在に回動可能となっている。
【0056】
この第二実施形態の接続構造は、継手41に対する抜止部材31の係止箇所等が第一実施例と相違するが、第一実施形態と同様に作用し、外管21の壁厚に関わらず、保温性能を損なうことなく確実に継手41からの外管21の抜脱を防止することができる。
【0057】
〈その他〉
ところで、上記各実施形態の継手において抜止部材31が係止する被係止部は、第一実施形態の継手1では、外側筒部6の確認窓7の凹部に形成され、第二実施形態の継手41では、小径の円筒部46の外周面の周囲に形成されているが、本発明を実施する場合には、これらの箇所に形成されたものに限定されるものではなく、継手の外面において外管21が外挿される部分のいずれか他の箇所に形成してもよい。
【0058】
加えて、上記各実施形態において、継手の外側筒部に外挿した外管21に対して抜止部材31の係止部33を差し込む位置を特定するための位置合わせ手段についても、各実施形態に示したものに限られるものではない。例えば、抜止部材31に、図13及び14に示すように、基板部32の係止突起34が立設する面と反対側の面において一対の係止突起34,34の真反対となる位置に先端が尖った一対の小さい位置合わせ突起38を設けたものに形成して位置合わせを行なうこともできる。
【0059】
この抜止部材31を継手1に外挿された外管21に取付ける際の位置合わせを行ない、外管21に抜止部材31の係止部33を差し込むには、予め、抜止部材31の位置合わせ突起38の中心から基板部32の長辺までの長さを、継手1の鍔部3の下面3cから確認窓7の被係止部7aまでの長さと一致させておく。そして、まず、図14(a)及び(b)に示すように、一対の係止突起34,34を外管21の外面23と反対の上向きとし、即ち一対の位置合わせ突起38を外管21の外面23に対向させた状態で、抜止突起31の基板部32の一方の長辺部を外管21の先端面に位置合わせするとともに、抜止突起31の小突起37を使用して継手1に対するセンター合わせを行なう。これにより位置合わせが終了するので、次に、基板部32の一対の位置合わせ突起38を外管21の外面23に突き差してその外面23上に目印となる一対の小孔を形成する。この小孔は一対の係止突起34,34を突き差す位置を特定することになる。そこで、一対の小孔が形成されたら、抜止部材31を180度反転して、一対の係止突起34,34を外管21側に向け、外面23上の前記一対の小孔の部位に突き差せばよい。
【0060】
また、抜止部材31は、位置合わせ手段として、継手に対するセンター合わせのための小突起37を基板部32の両長辺部の中央に1個ずつ設けているが、小突起37に代えて、基板部32に中央位置を示すための目印用の切欠を形成したり、垂直線や水平線を罫書いたりしたものとしてもよい。
更には、位置合わせ手段について、第一実施形態では、確認窓7の凹部に形成された被係止部7aを通る垂直線3iは鍔部3の辺部3gの中間位置を通るので、この位置を、外管21の外部から被係止部7aの位置を確認するための位置合わせの目印に設定している。しかし、継手によっては、前記垂直線3iは鍔部3の辺部3gの中間位置を通るとは限らないので、その場合は、センター合わせの目印は継手における他の箇所、部位に設定する。
【0061】
更に、抜止部材31の基板部32は、矩形平板状に形成しているが、これに限られるものではなく、矩形以外の形状であってもよく、外管21の外面23に対応して円弧板状に形成してもよい。円弧板状に形成した場合は、基板部32は外管21の外面23に沿った湾曲面となっているため、両端部が平板状のように円形の外面23から浮き上がらない。このため、他の部材等が基板部32の両端部に引掛かったりするのを防止できる。
【0062】
そして、抜止部材31の各係止突起34は、外管21からの抜け止めのため、それぞれの側面に、外方に鈎状に突出する1個の抜止爪35が設けられているが、側面を、多数の鈎状歯を備えた鋸歯の形状などに形成することもできる。
【0063】
なお、上記実施形態の抜止部材31は、上下方向、左右方向に対称形をなすものであってもよく、非対称形のものであってもよいが、対称形をなすものとすれば、外管21の外面23に取付ける際、上下、左右の取付方向性を問わないから、作業性が向上する。
【0064】
また、上記実施形態では、抜止部材31自身で外管21の周壁22を貫通させるとともに、この抜止部材31を継手の被係止部に直接係止させているが、本発明を実施する場合には、これに限られるものではなく、穿孔用の部材や工具を使用して外管21の周壁22に小さめの貫通孔を設けた後、前記穿孔用の部材とは異なる別の抜止部材を用いてこれを外管21の周壁22に穿設された前記貫通孔に押し込んで貫通させ、更に被係止部に直接係止させるものとしてもよい。この場合、前記別の抜止部材は、外管21の周壁22に小さめの貫通孔が既に設けられているので、先端は鋭く尖らせたものでなくてもよく、また、周壁22を突き破るに足る強度及び剛性を備えていないものであってもよい。
【0065】
加えて、上記実施形態の抜止手段としての抜止部材は、基板部32に一対の係止突起34,34を立設した一体物からなる抜止部材31で形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、抜止部材を別個独立した2本の係止突起のみで構成し、係止突起を1本ずつ外管21に差し込むものなどとすることを妨げるものでもない。
【0066】
なお、二重管が接続される継手についても、上記各実施形態に示した形態のものに限られるものではない。例えば、上記各実施形態では、内管11の端部が継手1の内側筒部に外挿されて接続されるとともに、外管21の端部が外側筒部に外挿されて接続され、内側筒部と外側筒部とが互いに離間している継手を示しているが、内側筒部と外側筒部とが共通する同一の円筒部に形成され、内側筒部は前記同一の円筒部の内面側に、また、外側筒部は前記同一の円筒部の外面側に形成されていて、内管11の端部は同一の円筒部の内側筒部に内挿して接続され、外管21の端部は同一の円筒部の外側筒部に外挿して接続される継手であってもよい。この場合、内管11は挿入端部内に内管11の内径と略同一の外径を有する円筒状のインコアを挿入して挿入端部に剛性を付与した後、内側筒部に内挿して接続することができる。
【符号の説明】
【0067】
1、41 継手
3c、43a 下面(位置合わせ手段)
3i 垂直線(位置合わせ手段)
5、44 内側筒部
6、45 外側筒部
7a、46a 被係止部
11 内管
21 外管
31 抜止部材
33 係止部
34 係止突起
36 位置合わせ突条(位置合わせ手段)
37 小突起(位置合わせ手段)
S2 外管と外側筒部との間の内部空間
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓継手、分岐継手等の継手に、通水管、給湯管等の内管と、この内管を覆って保護する断熱発泡体からなる外管とからなる二重管を接続する、継手への二重管の接続構造及び接続装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、屋内の台所流し、洗面、トイレなどの水栓設備、機器においては、配管接続部等に継手が接続され、この継手に給水管、給湯管等が接続されている。前記給水管、給湯管等は、外部からの損傷防止や保温などのため、外側を被覆管によって覆われることが多い。即ち、これらの配管においては、給水管、給湯管等の内管と被覆管等の外管との二重管構造となっていることが多い。ここで、被覆管等の外管は通常合成樹脂製の断熱発泡体で形成されている。
【0003】
この種の継手への二重管の接続に関しては、特許文献1に記載された接続構造などが開示されている。特許文献1に記載された接続構造では、二重管のうちの外管は、断熱効果を高めることを目的としてポリエチレンフォームなどの断熱発泡体で形成されており、外管を継手に設けられた円筒状の外側接続部に外挿した後は、抜止手段により外管が継手から抜け外れないようにしている。具体的には、U字状のクリップを管軸に直交する方向から外管の周壁を両側から挟み込むようにして取付けることにより、外管の周壁をクリップと継手の外側接続部とで挟持し、周壁の一部を外側接続部の外面に設けた凹部に食い込ませて係止させ、継手から抜け外れるのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−127835公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記外管である被覆管は寒冷地においてはより高い断熱効果を得るために壁厚の大きいものが用いられる。
ところが、特許文献1の抜止手段は、U字状のクリップで外管の周壁を両側から挟み込んでクリップと継手の外側接続部とで外管を挟持して周壁の一部を外側接続部の凹部に食い込ませ、周壁を介して間接的に抜け止める構造となっているから、一般地域用の壁厚を有する外管に用いているクリップでは、寒冷地仕様であって周壁が厚く形成されて外径の大きい外管には対応することができず、外径の大きさによっては外管を挟み込むことができないことがある。また、周壁が厚過ぎてその一部が外側接続部の外面の凹部に食い込まないため、その凹部に外管の一部を十分に係止させることができず不安定で、継手からの外管の抜け外れを確実に防止することはできない。
【0006】
なお、周壁の厚い外管を偏平に押し潰して無理にクリップを取付けようとすれば、肉厚が薄くなって保温性能が損なわれるとともに、外管が偏平化して挟圧方向と直交する両側方に押し広げられて継手の外側接続部と外管との間に隙間を生じ、外管の先端部の隙間から二重管の空間内に外部の空気が流入して外管と内管との間の空気層による断熱効果が低下し、保温効果を十分に得ることができなくなる。加えて、無理に取付けようとすれば、クリップが破損することもある。また、逆に、寒冷地用の外管の抜け止めに用いられるクリップをそのまま一般地域用の周壁が薄く外径の小さい外管に取付ければ、クリップが大き過ぎて外管を挟持できなかったり、挟持力が小さくて短期間で外れてしまったりする。
【0007】
そこで、本発明は、外管の壁厚に関わらず、外管が継手から抜脱するのを確実に防止できる、継手への二重管の接続構造及び接続装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の継手への二重管の接続構造は、合成樹脂製の断熱発泡体からなる外管の内部に可撓性を有する内管が挿通された二重管が継手に接続され、抜止手段によって前記外管が抜け止めされるものであって、前記内管の端部は、前記継手に形成された内側筒部に接続され、前記外管の端部は、前記継手の内側筒部の外側に形成された外側筒部に外挿されるとともに、前記抜止手段は、前記外管が前記外側筒部に外挿された状態で該外管の外周側からその内部空間に貫通される抜止部材と、前記継手に設けられた被係止部とが、直接係止することにより前記外管を抜け止めするものである。
ここで、外管の内部空間への貫通について、抜止部材が外管に外周側から差し込まれた後に、抜止部材の一部が外管の周壁内に埋め込まれた状態にあっても、他の部分が少なくとも継手の被係止部に直接係止する程度に内部空間に露出している状態にある場合は、外管の内部空間に貫通されているものとする。
【0009】
この構成により、外管の外周側から貫通された抜止部材が継手に設けられた被係止部と直接係止するので、係止部材が継手に対して管軸方向に移動するのが阻止される。これに伴い、係止部材が貫通されている外管も管軸方向に移動するのが阻止され、継手から抜け外れるのが防止される。
【0010】
請求項2の継手への二重管の接続構造は、抜止部材が、継手の被係止部と直接係止する係止部が外管の外周側から差し込まれて外管の周壁を突破し内部空間に貫通するものである。これにより、抜止部材は、係止部が外管の周壁を突破して外管の内部空間にまで貫通するので、外管内において継手の外側筒部の被係止部と直接係止可能となる。
【0011】
請求項3の継手への二重管の接続構造は、抜止部材の係止部が、一対の係止突起からなり、継手の被係止部が、外側筒部の外周面に互いに対向して設けられた一対の凹部からなる。
【0012】
請求項4の継手への二重管の接続構造は、抜止手段が、継手の外側筒部に外管が外挿されることによって視認できなくなる被係止部の位置を特定するための位置合わせ手段を備えている。
【0013】
請求項5の継手への二重管の接続装置は、外管の内部に可撓性を有する内管が挿通された二重管が継手に接続され、前記外管が抜け止めされるものであって、前記内管の端部が接続される内側筒部、及び前記継手の内側筒部の外側に形成され、前記外管の端部が外挿され、被係止部を有する外側筒部を備えた継手と、合成樹脂製の断熱発泡体からなる前記外管と、前記外管の外周側から内部空間に貫通され、前記継手の被係止部に直接係止する抜止部材とを具備する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1及び請求項5の発明は、抜止部材が外管の外周側から貫通されて継手の被係止部と係止するから、外管の壁厚に左右されることなく抜止部材を外管に取付けることができる。なお、それによって、例えば、1種類で各種壁厚の外管の抜け止めを行なうこともできる。
また、抜止部材は外管の外周側から貫通されて継手の被係止部と直接係止するから、外管を確実に抜け止めすることができる。
更に、抜止部材は外管の外周側から貫通されて継手の被係止部と係止するから、従来のクリップ等を使用した抜止部材のようにその取付けにおいて外管の周壁を押し潰すことがないから、抜止部材の取付けによって保温性能が損なわれることはない。
【0015】
請求項2の発明は、抜止部材の係止部が外管の周壁の突破能力を備えているので、外管の外周側から押し込んで外管の周壁を突き破るだけのワンタッチ操作で係止部を外側筒部の被係止部に直接係止させて外管の抜脱を防止することができる。
【0016】
請求項3の発明は、抜止部材の係止部が、一対の係止突起からなり、継手の外側筒部の両側方から一対の凹部からなる被係止部に係止するので、より確実に抜け止めすることができる。また、外管に対して一方向から差し込めばよいから、作業し易いし、外管の後方にまで手を伸ばす必要もないから、小さいスペースで作業できる。
【0017】
請求項4の発明は、抜止部材の係止部を係止させる際に被係止部の位置を特定するための位置合わせ手段を備えているので、継手の外側筒部に外管が外挿されることによって被係止部を視認できなくても、スケール等を使用して測定することなく、簡単に外管の外方から被係止部の位置を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第一実施形態における継手への二重管の接続装置を示す斜視図である。
【図2】図1の継手を示し、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は(a)のA−A切断線による断面図である。
【図3】図1の抜止部材を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は(b)のB−B切断線による断面図、(e)は斜視図である。
【図4】図1の継手に内管を接続し外管を外挿した直後の状態を示す一部破断右側面図である。
【図5】外管において図3の抜止部材の係止部を差し込む位置を特定するための位置合わせ方法を示し、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は左側面図である。
【図6】外管に図3の抜止部材の係止部を差し込む直前の状態を示す斜視図である。
【図7】外管の被係止部に図3の抜止部材の係止部を係止させた状態を示し、(a)は外管を仮想線で示した斜視図、(b)は外管を実線で示した斜視図である。
【図8】図4の継手の被係止部に抜止部材を係止させた状態を示す一部破断右側面図である。
【図9】本発明の第二実施形態における継手を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のC−C切断線による断面図である。
【図10】本発明の第二実施形態における継手への二重管の接続装置を示す斜視図である。
【図11】図9の継手に内管を接続し外管を外挿した直後の状態を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のD−D切断線による断面図である。
【図12】図11の継手の被係止部に抜止部材を係止させた状態を示す断面図である。
【図13】本発明の抜止部材の変形例を示す斜視図である。
【図14】外管において図13の抜止部材の係止部を差し込む位置を特定するための位置合わせ方法を示し、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〈第一実施形態〉
まず、本発明の第一実施形態における継手への二重管の接続構造及び接続装置を図1乃至図8に基づいて説明する。
【0020】
図1乃至図3において、継手への二重管の接続構造は、断熱発泡体からなる外管21の内部に可撓性を有する内管11が挿通された二重管を継手1に接続し、抜止手段によって外管21を抜け止めするするものであり、内管11の端部は、継手1に形成された内側筒部5に接続され、外管21の端部は、内側筒部5の外側に形成された外側筒部6に外挿されている。これにより、内管11の外面12と外管21の内面24との間の二重管内空間S1が外部に臨まないようになっている。ここで、前記内管11は屋内の台所流し、給湯器、浴室、トイレ、洗面等に給水、給湯する給水管、給湯管等であり、前記外管21は内管11の外側を覆って該内管11を保護するとともに、内管11と外管21との間の二重管内空間S1内に空気層を形成して断熱効果を高める被覆管等である。
【0021】
更に、この接続構造には、前記外側筒部6に接続された外管21が抜け外れるのを防止する抜止手段が設けられている。前記抜止手段は、具体的には、外管21が外側筒部6に外挿された状態で外管21の外周側から内部空間に貫通される抜止部材31の係止部33と、外側筒部6の外面6dに凹設された確認窓7の凹部からなる被係止部7aとが直接係止することにより、外管21を抜け止めするものとなっている。ここで、抜止部材31の係止部32は、外管21にその管軸に直交する方向即ち側方から差し込まれて外管21の周壁22を突き破り、先端が図4に示す、外管21の内面24と外側筒部6との間の空間である内部空間S2に貫通するようになっている。これらの内側筒部5及び外側筒部6を備えた継手1と、外管21と、抜止部材31とは、継手への二重管の接続装置を構成している。以下、各構成部材について詳細に説明する。
【0022】
まず、前記継手1は、図1及び図2に示すように、水栓、給湯器等の各種設備、機器の配管接続部に螺着される、雄ねじで形成された螺着部2と、中間部に形成された六角ナット状の鍔部3と、前記螺着部2とは反対側にあって二重管が接続される受口4側に形成された内側筒部5及び外側筒部6とで構成されている。内側筒部5及び外側筒部6はそれぞれ円筒状に形成され、間隔をおいて同心状に配設されており、内側筒部5と外側筒部6との間に形成された隙間である二重管内空間S1に内管11が挿入できるようになっている。継手1は金属材からなり、切削加工等によって形成することができる。但し、継手1は補強繊維等を添加した硬質合成樹脂材を用いて形成してもよく、この場合は、射出成形によって形成することも可能である。
【0023】
螺着部2の内部は開口側から鍔部3側に向かうに従って連続的に縮径するテーパ孔2aが形成されている。鍔部3は内部中央に螺着部2のテーパ孔2aと連通する貫通孔3aが形成され、その内壁には内側筒部5の鍔部3側の端部の外面に設けられた螺着部5aと螺合する被螺着部3bが形成されている。また、鍔部3の受口4側の下面3cには該受口4側に垂直に突出する所定長さの円環状の取着部3dが一体に設けられており、更に、前記取着部3dの外面には後述する外側筒部6の上端部に形成された環状の係合突部6cと係合する環状の係合凹部3eが形成されている。
【0024】
次に、前記継手1の内側筒部5は、上端部即ち鍔部3側の端部の外面に設けられた螺着部5aが鍔部3の被螺着部3bに螺着されることによって受口4側に突設されている。内側筒部5内の貫通孔5bは螺着部2のテーパ孔2aと連通し、貫通孔5bの内径はテーパ孔2aの最小径である鍔部3側の内径と同一に形成されており、これら両孔間において流体が円滑に通流するようになっている。更に、内側筒部5の外面の長さ方向の2箇所には環状溝5cが設けられ、この環状溝5cには環状のパッキング5dが嵌入されており、内側筒部5と内管11との隙間から流体が洩出するのを防いでいる。また、内側筒部5の外面における環状溝5cから離間した長さ方向の2箇所にはロックリング5eが嵌着されており、内管11の内面に掛止して内側筒部5から内管11が抜脱するのを防いでいる。更に、内側筒部5の上部には鍔部3との間にOリング9が取付けられている。
【0025】
一方、前記継手1の外側筒部6は、上側円筒部6aと下側円筒部6bとの2部材で構成されている。上側円筒部6aと下側円筒部6bとは隣接箇所が互いに鈎状に形成され、軸方向の圧入によってかしめられて一体に接続されている。そして、上側円筒部6aの上端部には鍔部3の取着部3dの係合凹部3eと係合する環状の係合突部6cが形成されており、軸方向の圧入により係合突部6cが鍔部3の取着部3dの係合凹部3eに係合し、これにより、外側筒部6は鍔部3に対して旋回自在に接合されている。したがって、外側筒部6に外挿された外管21も、浴室、給湯器などの水栓設備、機器に接続されている継手1に対して周方向に所定角度回動させることができる。外側筒部6の外面6dは鍔部3側に向かうに従って段階的に拡径している。
【0026】
更に、外側筒部6の上側円筒部6aの周壁には、相反対側位置即ち180度離間する位置に対向して二対の確認窓が設けられている。この確認窓は、継手1の内側筒部5に外挿し接続された内管11の先端部が所定位置まで挿入されているかを確認するために設けられたものである。このうち一方の一対の確認窓7,7は、上側円筒部6aの周壁に僅かに陥没した周方向に細長の凹部からなる被係止部7aが形成され、その中央部に貫通孔7bが設けられて成る。確認窓7の被係止部7aは外側筒部6の上側円筒部6aの周壁の弦に沿って凹設されている。この被係止部7aにおいて貫通孔7bを囲う受口側の部分7cは管軸に直交する平面に形成されている、即ち外側筒部6の外面6dに対して直角に凹設されたものとなっている。一方、この受口側の部分7cと対向する反対側の部分、即ち被係止部7aにおいて貫通孔7bを囲う鍔部側の部分7dは外側筒部6の内部側から外部側にかけて傾斜するテーパ面に形成されている。これにより、確認窓7の貫通孔7b周辺の視野が拡大し、確認窓7の正面側からだけでなく継手1の斜め上方からも確認窓7を通して内管11の先端部の位置を確認することができる。
【0027】
次に、二対のうち他方の一対の確認窓8,8は前記一対の確認窓7,7から90度周方向に離間した位置に設けられており、前記一対の確認窓7,7より小さい円形状の貫通孔や楕円形状の貫通孔で形成されている。このように、確認窓は計4個設けられているため、四方から内管11の先端部を確認できる。なお、確認窓は、一対の確認窓7,7のみを設けてもよい。
【0028】
ここで、確認窓7は、図2に示すように、幅方向の中心が、その上方の六角ナット状の鍔部3における六角形の角部3fを通る垂直線3h上に設けられており、確認窓8は、幅方向の中心が、前記鍔部3における六角形の辺部3gの中間を通る垂直線3i上に設けられている。この六角形の辺部3gの中間位置は、後述する抜止部材31の係止部33を外管21に差し込む際の位置合わせ部となる。
【0029】
次に、前記継手1の内側筒部5に接続される内管11は可撓性を有し、熱伝導率の小さいポリエチレン管、ポリブテン管等の合成樹脂管で形成されており、有色材または半透明色材が使用されていることにより継手1の外側筒部6の確認窓から外挿された内管11の先端位置を視覚により確認することができる。この内管11は継手1の受口4側から外側筒部6と内側筒部5との隙間に挿入するだけで、内側筒部5に外挿して接続され、内面に内側筒部5のパッキング5dが密接して内部の流体が洩出するのが防がれるとともに、内側筒部5のロックリング5eの爪が内面に掛止して継手1からの抜け外れが防止される。
【0030】
一方、継手1の外側筒部6に外挿される外管21は、発泡ポリエチレンフォーム、発泡ポリプロピレンフォームなどの断熱発泡体で形成されている。外管21の内径は継手1の外側筒部6の外径と同一または僅かに小さく形成されている。外管21の内径が外側筒部6の外径より小さければ、外側筒部6に圧入することにより密接状態で接続することができる。但し、外管21の内径は必ずしも外側筒部6の外径と同一または僅かに小さく形成したものに限られるものではなく、僅かに大きく形成するのを妨げるものではない。僅かに大きく形成した場合、外管21は外側筒部6に簡単に外挿することができる。その一方で、外管21の外径については特に問わない。即ち、外管21は、一般地域での通常の壁厚の他、寒冷地等での壁厚の大きい場合にも適用されるものであり、任意の外径、壁厚に形成することができる。
【0031】
次に、抜止部材31は、図3に示すように、硬質合成樹脂材または金属材により略コ字状に形成されている。抜止部材31は、中間の矩形平板状の基板部32と、係止部33とで形成されている。係止部33は、更に、基板部32の短辺側の両端部に直角方向に立設された一対の係止突起34,34により形成されている。各係止突起34は、細長板状に形成され、長さ方向の中間部から先端に向かうに従って楔状に鋭く尖った形状に形成されているとともに、側面における長手方向の中間部には、外方に鈎状に突出し、先端に向けて緩やかに傾斜する抜止爪35が設けられている。一対の係止突起34,34からなる係止部33は、少なくとも外管21の周壁22に突き差してこれを突き破るに足る強度及び剛性を有している。一対の係止突起34,34間の内側寸法は継手1の外側筒部6に周方向に180度離間して設けられた一対の確認窓7,7間の外側寸法と同一または僅かに大きく設定されていて、係止部33を外管21に突き差した後、一対の係止突起34,34が一対の確認窓7,7の凹部からなる被係止部7a,7a内に嵌入し、これらに直接係止するようになっている。
【0032】
そして、各係止突起34の先端から所定長さ基板部32側に後退した位置には、外管21に係止突起34を差し込む際の位置合わせ手段となる位置合わせ突条36が係止突起34の側面に沿って略C字状に形成されている。ここで、係止突起34の先端から位置合わせ突条36までの長さL1は、継手1の外側筒部6において、これに外挿された外管21の先端面が当接する鍔部3の下面3cから確認窓7の被係止部7aの中間高さまでの長さL2に等しい。一方、基板部32の長辺側の両端部の中間位置には、係止部材31を外管21の外周側から周壁に差し込む際の位置合わせの目印となる半円突状或いは三角突状の小突起37が設けられている。これら位置合わせ突条36及び小突起37による抜止部材31の位置合わせについては後述する。
【0033】
(二重管の接続方法)
次に、上記のように構成された継手1に内管11及び外管21を接続する方法を図4乃至図8に基づいて説明する。なお、図4は継手1に内管11を接続し、外管21を外挿した後であって抜止部材31を取付ける前の状態を示す。
まず、二重管の端部を継手1の下方に配置し、最初に内管11を継手1の内側筒部5に接続する。このとき、内管11の端部は外管21の端部から所定長さ外部に露出させておく。この状態で、手でまたは場合により工具を用いて内管11を内側筒部5と外側筒部6との間に挿入しつつ内側筒部5の外面に強制的に差し込み、図4に示すように、先端部を内側筒部5と外側筒部6との間における奥側突当部に当接するまで挿入する。この際、内管11の先端部が所定位置即ち前記奥側突当部まで到達したか否かを外側筒部6に設けられた確認窓7または確認窓8を通して確認する。このように内側筒部5に内管11が外挿された状態においては、内管11の内面は、継手1の内側筒部5のパッキング5d及びOリング9と密接するとともに、ロックリング5eが掛止し、継手1の内側筒部5から内管11内の水、温水等の流体が外部に漏出するのが確実に防止されるとともに、前記内管11が継手1の内側筒部5から抜脱するのが防止される。また、外側筒部6の内面6eが内管11の拡径を阻止し、内管11は内側筒部5の外面と外側筒部6の内面6eとで挟圧され、継手1に強固に接続される。これにより、内管11はワンタッチで継手1に接続することができる。
【0034】
内管11を内側筒部5に接続したら、外管21を押し上げて継手1の外側筒部6の外面6dに外挿し、図4に示すように、外管21の先端面を継手1の鍔部3の下面3cに当接させる。このとき、外管21の内径が継手1の外側筒部6の外径より僅かに小さい場合には、外管21を受口4側から強制的に上方に押上げることにより、外管21の周壁22は弾性的に拡開しつつ外側筒部6の外面6dに外挿され、その外面6dと密接する。この際、継手1の外側筒部6の外面6dは鍔部3側に向かうに従って段階的に拡径しているので、外管21を外側筒部6に外挿し易い。また、外管21の内径が継手1の外側筒部6の外径より僅かに大きい場合は、そのまま楽に継手1の外側筒部6の外面6dに外挿することができる。なお、外挿しただけでは、外管21は外側筒部6から落下してしまうので、次の抜止部材31を取付けるまで保持する。
【0035】
次に、外管21を継手1の外側筒部6に外挿したら、抜止部材31を外管21の外面23から継手1の外側筒部6の被係止部7aに向けて差し込むが、継手1の外側筒部6には外管21が継手1の鍔部3の下面3cに先端面が当接する位置まで外挿されており、係止部33の係止箇所である外側筒部6の被係止部7aの位置を外側から見て確認できないので、事前に外管21の外面23に抜止部材31の係止突起34の突き差す位置を設定する位置合わせを行なう必要がある。係止部33の差し込みの際の位置合わせ手段として、抜止部材31には、係止突起34に位置合わせ突条36が設けられ、基板部32に小突起37が設けられている。
【0036】
そこで、これらを使用して、まず、図5(a)及び(b)に示すように、抜止部材31を鍔部3側に倒して一対の係止突起34,34を外管21の外面23に沿わせるとともに、基板部32の小突起37を鍔部3の辺部3gの中間位置に一致させる。鍔部3の辺部3gの中間位置は目視で判断できるが、より正確には、鍔部3の辺部3gの中間位置に図2(b)に示した垂直線3i上に目印線を罫書いたり、予め目印線を刻設しておいてもよい。小突起37の位置合わせと同時に、抜止部材31の係止突起34の端部に設けられた位置合わせ突条36を鍔部3の下面3cつまりは外管21の先端に位置合わせする。これにより位置合わせされた一対の係止突起34,34の両先端が位置する、図5(a)及び(b)の×印で示した部位は、この部位において外管の外面23に一対の係止突起34,34を突き差して周壁22を貫通させれば、係止突起34の先端部は継手1の外側筒部6の確認窓7の被係止部7a内に側方から嵌入する位置となる。
【0037】
この位置合わせにより抜止部材31の係止部33を差し込む位置を特定できたら、一対の係止突起34,34の各先端部と外管21の外面23との当接位置である×印部分を軸として、図5(c)及び(d)に示すように、抜止部材31をそのまま上方に起立させる。そして、図6に示すように、特定された差し込む位置である2箇所に抜止部材31の一対の係止突起34,34の先端部を当接させた状態で、そのまま外管21の外周側であって管軸に直交する方向から係止部33を外面23に直交して真直ぐに差し込み、一対の係止突起34,34を外管21の周壁22に貫通させる。
【0038】
このとき、一対の係止突起34,34は、少なくとも外管21の周壁22に突き差してこれを突き破るに足る強度及び剛性を備えているから、確実に周壁22を貫通させることができる。また、周壁22を貫通した後は、一対の係止突起34,34は、これらの間の内側寸法が外側筒部6の一対の確認窓7,7間の外側寸法と同一または僅かに大きく設定されているので、一対の確認窓7,7の被係止部7a,7a内に嵌入し、これと直接係止する。なお、一旦一対の係止突起34,34が外管21の周壁22を貫通した後は、各係止突起34の側面に一体に設けられた鈎状の抜止爪35が外管21の周壁22内で引掛かるため、抜止部材31が外管21から簡単に引き抜かれてしまうのが防止される。
【0039】
更に、一対の係止突起34,34は、外側筒部6の確認窓7の被係止部7a内に嵌入し、その被係止部7a内を横切るようにして通過するとともに、先端部は更に進んで外管21の対向側の内面24から再度周壁22に突き差さり、その内部にまで進んで止まる。これにより、一対の係止突起34,34と一対の確認窓7,7の被係止部7a,7aとが係止した後は、図7及び図8に示した状態となり、外管21の接続が完了する。なお、図7(a)では、係止状態を分かり易くするため、外管21は二点鎖線で示してある。
【0040】
このようにして外管21の接続が完了し、一対の係止突起34,34が継手1の被係止部7aに直接係止した状態においては、抜止部材31は、一対の係止突起34,34の下面が継手1の内部に僅かに陥没した確認窓7の受口側の部分7cと当接するため、図7の下方への移動が阻止される。その結果、外管21が下方に移動し、継手1から抜け外れるのが確実に防止される。また、一対の係止突起34,34は、継手1の外側筒部6の被係止部7aである凹部に嵌入し係止することにより、外側筒部6に対して周方向に相対的に回動するのが阻止される。そして、これに伴い、外管21も管軸を中心に外側筒部6に対して周方向に相対的に回動するのが阻止される。但し、外側筒部6自体は継手1の鍔部3に対して管軸を中心に周方向に回動可能となっている。
【0041】
なお、以上の二重管の接続において、継手1の鍔部3の辺部3gの中間は、抜止部材31の小突起37が位置合わせされる部分であり、外管21の先端面が当接する鍔部3の下面3cは、外管21の先端面が当接して外管21をこの箇所に位置付ける部分であるから、これらの部分も、抜止部材31の小突起37及び係止突起34の位置合わせ突条36とともに、請求項の位置合わせ手段を構成する。
【0042】
(作用)
次に、本実施形態における継手1への二重管の接続構造及び接続装置の作用を説明する。
本実施形態の抜止部材31の一対の係止突起34,34は、外管21の外周側から貫通されて継手1の外側筒部6の凹部からなる被係止部7aと直接係止し、確認窓7の受口側の部分7cと当接して図7の下方への移動が阻止されるから、外管21は継手1に対して確実に抜け止めされる。
【0043】
その結果、管軸方向に引張る外力が加わったりしても、外管21が継手1の外側筒部6から抜け外れてしまうことはない。また、外管21自身に成形後の戻りによる縮む方向の力が作用しても、外側筒部6から抜け外れてしまうことはない。即ち、外管21は製造時には軸方向に一定のテンションで引張られた状態で成形されるため、その後に原形状に復帰して軸方向に縮もうとする。しかし、抜止部材31が取付けられているため、前記原形状への復帰が阻止され、上述のように、外管21は継手1の外側筒部6から抜け外れてしまうことはない。
【0044】
また、抜止部材31は、外管21の外周側から貫通されて継手1の被係止部7aと係止するから、外管21の壁厚とは関係なく外管21に取付けることができる。なお、それによって、例えば、1種類で各種壁厚の外管21の抜け止めに対応することもできる。
【0045】
更に、抜止部材31は、従来のクリップ等を使用した抜止部材のようにその取付けにおいて外管21の周壁22を押し潰すことはないから、周壁は薄くなることがなく一定の壁厚に保持できるため、抜止部材31の取付けによって保温性能が損なわれることはない。また、外管21がクリップ等によって両側から挟み込まれて押し潰されることにより、挟圧方向と直交する両側方に押し広げられて継手1の外側筒部6と外管21との間に隙間を生じ、外管21の先端部の隙間から二重管の空間内に外部の空気が流入して外管21と内管11との間の空気層による断熱効果が低下し、保温効果が損なわれてしまうこともない。
【0046】
そして、抜止部材31の係止部33の係止突起34は、外管21の周壁の突破能力を備えているので、外管21の外周側から押し込んで外管21の周壁22を突き破るだけのワンタッチ操作で係止部33を外側筒部6の被係止部7aに係止させることができる。
【0047】
加えて、抜止部材31の係止部33は、一対の係止突起34,34からなるので、継手1の被係止部7aに対して両側から係止する。このため、係止部33は継手1の被係止部7aに安定した状態で強固に係止する。また、抜止部材31は、略コ字状に形成され、係止部33は、一対の係止突起34,34からなるので、抜止部材31の取付けに際しては、外管21に対して一方向から押し込めばよい。したがって、作業性が向上するとともに、外管21の後方に手を伸ばす必要もないから、小さいスペースで作業できる。
【0048】
更には、抜止部材31の係止部33を係止させる際に継手1の被係止部7aの位置を特定するための位置合わせ手段を備えているので、継手1の外側筒部6に外管21が外挿されることによって被係止部7aを視認できなくても、スケール等を使用して測定することなく、簡単に被係止部7aの位置を特定することができる。
【0049】
〈第二実施形態〉
次に、第二実施形態の継手への二重管の接続構造及び接続装置を図9乃至図12に基づいて説明する。第一実施形態では、内管11をワンタッチで接続できる継手1に適用し、抜止部材31の係止部33は継手1の外側筒部6の凹部からなる被係止部7aに係止し、接続後、外管21は管軸を中心に周方向に回動しないものを示している。これに対して、第二実施形態では、内管11を締付リングを使用して接続する継手41に適用し、抜止部材の係止部は継手41に形成された小径の円筒部の被係止部に係止し、接続後、外管21は管軸を中心に周方向に回動するものを示す。
【0050】
図9において、第二実施形態で適用される継手41は、鍔部43の一側には、円筒状をなし外周面に雄ねじを有する螺着部42が形成されており、この螺着部42を螺着することにより図示しない給湯器等の配管接続部に接続できるようになっている。鍔部43の他側即ち内管11の接続側には、図9の下方に長く突出した内側筒部44と、内側筒部44の外側に形成され、下方に僅かに突出した短尺の外側筒部45とが一体に形成されている。外側筒部45は、下部に円弧状に切欠されてなる確認窓45aが周方向に間隔をおいて4箇所設けられている。鍔部43と外側筒部45との間には外径が鍔部43及び外側筒部45より小さい円筒部46が介在している。そして、鍔部43の下面43aと円筒部46の外周面と外側筒部45の上面45bとによって囲まれた凹部は、第一実施形態と同様の抜止部材31の一対の係止突起33が水平方向から嵌入し横方向に通過する被係止部46aを形成している。この凹部に形成された被係止部46aは小径の円筒部46の外周面の周囲全周に至って形成されている。
【0051】
内側筒部44の外周面には内管11が接続され、内側筒部44と外側筒部45との隙間には内管11の先端部が嵌入するようになっている。そして、内側筒部44に内管11が接続された後には、予め内管11の端部に取付けられた別体の締付リング47を内管11の外周面に沿って鍔部63側に強制的に移動させることにより内管11を継手41に強固に接続固定できるようになっている。
【0052】
一方、外管21の抜け外れを防止するための抜止部材は、第一実施形態の抜止部材31と同一のものが用いられる。なお、係止突起34の幅は、継手1の被係止部46a内に嵌入する大きさに形成されている。
【0053】
次に、上述のように形成された継手41に内管11及び外管21を接続する方法を説明する。
まず、二重管のうち内管11を継手41に接続するには、図10に示すように、外管21の端部から内管11を所定長引き出すとともに、その端部に締付リング47を外挿しておく。この状態で、図示しない拡径工具等を使用して内管11の端部を図10に示すように拡径し、継手41の内側筒部44に外嵌し、内側筒部44と外側筒部45との間の奥側突当部まで圧入する。内管11が奥側突当部まで圧入されているかは、確認窓45aを通して外部から目視により確認することができる。次に、図示しないが、スライダ等の挟み工具を使用して、この工具先端のクランプで外側筒部45の上面46aと締付リング47の下面とを挟み、締付リング47を外側筒部45の下端に当接するまで圧入して内管11の端部を内側筒部44と締付リング47とで強く挟み込む。これにより、内管11は、図11に示すように、内側筒部44に強固に接続される。
【0054】
次に、外管21の端部を継手41側に押し戻して、図11に示すように、先端面を継手41の鍔部43の下面43aの位置まで押し込む。外管21を押し込んで外側筒部45に外挿したら、第一実施形態と同様の要領で、位置合わせ手段を用いて外管21の外側から被係止部46aの位置を特定する。但し、被係止部46aは円筒部46の外周面の周囲全周に至って形成されているので、周方向については任意の位置に設定すればよい。したがって、位置合わせにおいては、図5(a)及び(b)に示したと同様にして、抜止部材31を鍔部3側に倒し、係止突起34の位置合わせ突条36を外管21の先端面が当接する鍔部43の下面43aに位置合わせする。そして、抜止部材31をそのまま上方に起立させれば、起立した係止突起34の先端部が外管21の外面23に当接する部位が、外管21の外面23上において係止突起34を突き差すべき位置として特定される。このようにして被係止部46aの位置を特定したら、抜止部材31の係止部33を外管21の外面側から差し込んで一対の係止突起34,34を外管21の周壁22に突き差し貫通させる。これにより、一対の係止突起34,34は、図12に示すように、継手41の円筒部46の外周面の周囲に形成された被係止部46aに直接係止する。
【0055】
以上により、内管11及び外管21の接続が完了する。接続を完了した後は、抜止部材31は、一対の係止突起34,34が継手41の被係止部46aに隣接する外側筒部45の上面45bと当接して図12の下方への移動が阻止される。その結果、抜止部材31の係止突起34が貫通している外管21が下方に移動し、継手41から抜け外れるのが確実に防止される。なお、一対の係止突起34,34は、小径の円筒部46の外周面の周囲に形成された被係止部46aに係止され、被係止部46aは前述のように周方向に方向性を有しないので、円筒部46の外周面に沿って周方向に回動可能となっている。これに伴い、外管21も円筒部46つまりは継手41に対して管軸を中心に周方向に自在に回動可能となっている。
【0056】
この第二実施形態の接続構造は、継手41に対する抜止部材31の係止箇所等が第一実施例と相違するが、第一実施形態と同様に作用し、外管21の壁厚に関わらず、保温性能を損なうことなく確実に継手41からの外管21の抜脱を防止することができる。
【0057】
〈その他〉
ところで、上記各実施形態の継手において抜止部材31が係止する被係止部は、第一実施形態の継手1では、外側筒部6の確認窓7の凹部に形成され、第二実施形態の継手41では、小径の円筒部46の外周面の周囲に形成されているが、本発明を実施する場合には、これらの箇所に形成されたものに限定されるものではなく、継手の外面において外管21が外挿される部分のいずれか他の箇所に形成してもよい。
【0058】
加えて、上記各実施形態において、継手の外側筒部に外挿した外管21に対して抜止部材31の係止部33を差し込む位置を特定するための位置合わせ手段についても、各実施形態に示したものに限られるものではない。例えば、抜止部材31に、図13及び14に示すように、基板部32の係止突起34が立設する面と反対側の面において一対の係止突起34,34の真反対となる位置に先端が尖った一対の小さい位置合わせ突起38を設けたものに形成して位置合わせを行なうこともできる。
【0059】
この抜止部材31を継手1に外挿された外管21に取付ける際の位置合わせを行ない、外管21に抜止部材31の係止部33を差し込むには、予め、抜止部材31の位置合わせ突起38の中心から基板部32の長辺までの長さを、継手1の鍔部3の下面3cから確認窓7の被係止部7aまでの長さと一致させておく。そして、まず、図14(a)及び(b)に示すように、一対の係止突起34,34を外管21の外面23と反対の上向きとし、即ち一対の位置合わせ突起38を外管21の外面23に対向させた状態で、抜止突起31の基板部32の一方の長辺部を外管21の先端面に位置合わせするとともに、抜止突起31の小突起37を使用して継手1に対するセンター合わせを行なう。これにより位置合わせが終了するので、次に、基板部32の一対の位置合わせ突起38を外管21の外面23に突き差してその外面23上に目印となる一対の小孔を形成する。この小孔は一対の係止突起34,34を突き差す位置を特定することになる。そこで、一対の小孔が形成されたら、抜止部材31を180度反転して、一対の係止突起34,34を外管21側に向け、外面23上の前記一対の小孔の部位に突き差せばよい。
【0060】
また、抜止部材31は、位置合わせ手段として、継手に対するセンター合わせのための小突起37を基板部32の両長辺部の中央に1個ずつ設けているが、小突起37に代えて、基板部32に中央位置を示すための目印用の切欠を形成したり、垂直線や水平線を罫書いたりしたものとしてもよい。
更には、位置合わせ手段について、第一実施形態では、確認窓7の凹部に形成された被係止部7aを通る垂直線3iは鍔部3の辺部3gの中間位置を通るので、この位置を、外管21の外部から被係止部7aの位置を確認するための位置合わせの目印に設定している。しかし、継手によっては、前記垂直線3iは鍔部3の辺部3gの中間位置を通るとは限らないので、その場合は、センター合わせの目印は継手における他の箇所、部位に設定する。
【0061】
更に、抜止部材31の基板部32は、矩形平板状に形成しているが、これに限られるものではなく、矩形以外の形状であってもよく、外管21の外面23に対応して円弧板状に形成してもよい。円弧板状に形成した場合は、基板部32は外管21の外面23に沿った湾曲面となっているため、両端部が平板状のように円形の外面23から浮き上がらない。このため、他の部材等が基板部32の両端部に引掛かったりするのを防止できる。
【0062】
そして、抜止部材31の各係止突起34は、外管21からの抜け止めのため、それぞれの側面に、外方に鈎状に突出する1個の抜止爪35が設けられているが、側面を、多数の鈎状歯を備えた鋸歯の形状などに形成することもできる。
【0063】
なお、上記実施形態の抜止部材31は、上下方向、左右方向に対称形をなすものであってもよく、非対称形のものであってもよいが、対称形をなすものとすれば、外管21の外面23に取付ける際、上下、左右の取付方向性を問わないから、作業性が向上する。
【0064】
また、上記実施形態では、抜止部材31自身で外管21の周壁22を貫通させるとともに、この抜止部材31を継手の被係止部に直接係止させているが、本発明を実施する場合には、これに限られるものではなく、穿孔用の部材や工具を使用して外管21の周壁22に小さめの貫通孔を設けた後、前記穿孔用の部材とは異なる別の抜止部材を用いてこれを外管21の周壁22に穿設された前記貫通孔に押し込んで貫通させ、更に被係止部に直接係止させるものとしてもよい。この場合、前記別の抜止部材は、外管21の周壁22に小さめの貫通孔が既に設けられているので、先端は鋭く尖らせたものでなくてもよく、また、周壁22を突き破るに足る強度及び剛性を備えていないものであってもよい。
【0065】
加えて、上記実施形態の抜止手段としての抜止部材は、基板部32に一対の係止突起34,34を立設した一体物からなる抜止部材31で形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、抜止部材を別個独立した2本の係止突起のみで構成し、係止突起を1本ずつ外管21に差し込むものなどとすることを妨げるものでもない。
【0066】
なお、二重管が接続される継手についても、上記各実施形態に示した形態のものに限られるものではない。例えば、上記各実施形態では、内管11の端部が継手1の内側筒部に外挿されて接続されるとともに、外管21の端部が外側筒部に外挿されて接続され、内側筒部と外側筒部とが互いに離間している継手を示しているが、内側筒部と外側筒部とが共通する同一の円筒部に形成され、内側筒部は前記同一の円筒部の内面側に、また、外側筒部は前記同一の円筒部の外面側に形成されていて、内管11の端部は同一の円筒部の内側筒部に内挿して接続され、外管21の端部は同一の円筒部の外側筒部に外挿して接続される継手であってもよい。この場合、内管11は挿入端部内に内管11の内径と略同一の外径を有する円筒状のインコアを挿入して挿入端部に剛性を付与した後、内側筒部に内挿して接続することができる。
【符号の説明】
【0067】
1、41 継手
3c、43a 下面(位置合わせ手段)
3i 垂直線(位置合わせ手段)
5、44 内側筒部
6、45 外側筒部
7a、46a 被係止部
11 内管
21 外管
31 抜止部材
33 係止部
34 係止突起
36 位置合わせ突条(位置合わせ手段)
37 小突起(位置合わせ手段)
S2 外管と外側筒部との間の内部空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の断熱発泡体からなる外管の内部に可撓性を有する内管が挿通された二重管が継手に接続され、抜止手段によって前記外管が抜け止めされる、継手への二重管の接続構造であって、
前記内管の端部は、前記継手に形成された内側筒部に接続され、
前記外管の端部は、前記継手の内側筒部の外側に形成された外側筒部に外挿されるとともに、
前記抜止手段は、前記外管が前記外側筒部に外挿された状態で該外管の外周側から内部空間に貫通される抜止部材と、前記継手に設けられた被係止部とが直接係止することにより、前記外管を抜け止めすることを特徴とする継手への二重管の接続構造。
【請求項2】
前記抜止部材は、前記継手の被係止部と直接係止する係止部が前記外管の外周側から差し込まれて該外管の周壁を突破し内部空間に貫通することを特徴とする請求項1に記載の継手への二重管の接続構造。
【請求項3】
前記抜止部材の係止部は、一対の係止突起からなり、
前記継手の被係止部は、前記外側筒部の外周面に互いに対向して設けられた一対の凹部からなることを特徴とする請求項2に記載の継手への二重管の接続構造。
【請求項4】
前記抜止手段は、前記継手の外側筒部に前記外管が外挿されることによって視認できなくなる被係止部の位置を特定するための位置合わせ手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の継手への二重管の接続構造。
【請求項5】
外管の内部に可撓性を有する内管が挿通された二重管が継手に接続され、前記外管が抜け止めされる、継手への二重管の接続装置であって、
前記内管の端部が接続される内側筒部と、前記継手の内側筒部の外側に形成され、前記外管の端部が外挿され、被係止部を有する外側筒部とを備えた継手と、
合成樹脂製の断熱発泡体からなる前記外管と、
前記外管の外周側から内部空間に貫通され、前記継手の被係止部に直接係止する抜止部材とを具備することを特徴とする継手への二重管の接続装置。
【請求項1】
合成樹脂製の断熱発泡体からなる外管の内部に可撓性を有する内管が挿通された二重管が継手に接続され、抜止手段によって前記外管が抜け止めされる、継手への二重管の接続構造であって、
前記内管の端部は、前記継手に形成された内側筒部に接続され、
前記外管の端部は、前記継手の内側筒部の外側に形成された外側筒部に外挿されるとともに、
前記抜止手段は、前記外管が前記外側筒部に外挿された状態で該外管の外周側から内部空間に貫通される抜止部材と、前記継手に設けられた被係止部とが直接係止することにより、前記外管を抜け止めすることを特徴とする継手への二重管の接続構造。
【請求項2】
前記抜止部材は、前記継手の被係止部と直接係止する係止部が前記外管の外周側から差し込まれて該外管の周壁を突破し内部空間に貫通することを特徴とする請求項1に記載の継手への二重管の接続構造。
【請求項3】
前記抜止部材の係止部は、一対の係止突起からなり、
前記継手の被係止部は、前記外側筒部の外周面に互いに対向して設けられた一対の凹部からなることを特徴とする請求項2に記載の継手への二重管の接続構造。
【請求項4】
前記抜止手段は、前記継手の外側筒部に前記外管が外挿されることによって視認できなくなる被係止部の位置を特定するための位置合わせ手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の継手への二重管の接続構造。
【請求項5】
外管の内部に可撓性を有する内管が挿通された二重管が継手に接続され、前記外管が抜け止めされる、継手への二重管の接続装置であって、
前記内管の端部が接続される内側筒部と、前記継手の内側筒部の外側に形成され、前記外管の端部が外挿され、被係止部を有する外側筒部とを備えた継手と、
合成樹脂製の断熱発泡体からなる前記外管と、
前記外管の外周側から内部空間に貫通され、前記継手の被係止部に直接係止する抜止部材とを具備することを特徴とする継手への二重管の接続装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−122601(P2011−122601A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278077(P2009−278077)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
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