説明

継手構造

【課題】非滴下式の継手構造において比較的少ない流動損失で多方面の利用可能性を実現させる。
【解決手段】継手構造6であって、第1のユニットに取付可能な連結手段と、第2のユニットに取付可能な連結対応手段と、第1の配管区域と第2の配管区域との間で位置決め可能な調節装置とを有し、調節装置は、第1の配管区域と第2の配管区域の間の接続が遮断される遮断位置と、第1の配管区域と第2の配管区域の間の接続が開放される流動位置との間で切換可能であり、調節装置32は遮断位置と流動位置の間で回転可能に支承された調節体30を有し、調節体は第1の配管区域と第2の配管区域の間で間隔をおいて位置決め可能で、調節体には配管中間区域が穿設され、配管中間区域を介して第1の配管区域を第2の配管区域と接続可能。調節体30は並進的に位置調節可能な操作手段を通じて位置調節可能であり、方向転換機構96が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に基づく、第1のユニットに設けられた第1の配管区域を第2のユニットに設けられた第2の配管区域と非滴下式に取外し可能なように連結するための継手構造に関する。そのために継手構造は、第1のユニットに取付可能な連結手段と第2のユニットに取付可能な連結対応手段とを意図しており、連結手段は連結手段に直接的または間接的に固定可能である。さらに継手構造は、第1の配管区域と第2の配管区域の間で位置決め可能である調節装置を有している。このとき調節装置は、第1の配管区域と第2の配管区域の間の接続が遮断される遮断位置と、第1の配管区域と第2の配管区域の間の接続が開放される流動位置との間で切換可能である。
【0002】
この場合、調節装置は並進または回転によって位置調節可能な調節体を有しており、この調節体は継手構造の連結状態のときに間隔をおいて位置決めされ、すなわち、第1の配管区域と第2の配管区域の間の直接的な接続部に位置決めされる。この調節体には配管中間区域が穿設されており、この配管中間区域を介して、流動位置のときに第1の配管区域を第2の配管区域と接続可能である。このとき調節体は、遮断位置と流動位置との間で回転可能なように支承されている。それにより、配管中間区域は各配管区域の間の可動の連絡配管を形成し、その断面積は全面的に調節体の内部に構成される。このように調節体に配管中間区域を全面的に構成することで、および、それが両方の配管区域を直接結んだ線上に配置されることで、配管区域に対する調節体のわずかな相対運動によってその接続を成立させ、ないしは完全に分断することが可能である。このとき配管中間区域は、流動位置のときに両方の配管区域の少なくともそれぞれの端部区域と一直線上に並ぶようにすることができ、それにより配管中間区域を介して、非常に少ない流動損失しか引き起こさない各配管区域の非常に直線的な接続が可能である。さらに、回転可能に支承された調節体により、継手構造を全体として比較的コンパクトに施工することができる。
【背景技術】
【0003】
米国特許第3,964,511号明細書は、流体接続部または電気接続部を形成する2つの連結部分を備える継手構造を記載している。そのためにこれらの継手部分は、ハウジング部分に回転可能に保持され、それぞれ他方の部分体に当接可能である、配管中間区域が刻設された部分体をそれぞれ有している。このような当接した状態にあるとき、両方の部分体は円形断面をもつ調節体を形成し、この調節体はそれによって全体として両方のハウジング部分の内部で90°だけ回転可能であり、その際に各ハウジング部分を相互にロックする。それと同時に配管中間区域によって、該当する流体接続または電気接続が閉じられる。
【0004】
米国特許第2,397,576号明細書は、2つの管区域を連結するための迅速に締結可能ないし分離可能な継手を示している。この場合にも互いに当接可能な2つの部分体が設けられており、これらの部分体に配管中間区域がそれぞれ刻設されており、これらの部分体は回転することで各管区域の間の配管接続を成立させ、そのとき同時にこれらの管区域を相互にロックする。
【0005】
欧州特許出願公開第1148286A2号明細書、米国特許第3,167,092号明細書、および米国特許第2,712,454号明細書は、配管の開閉のために回転可能である2部分からなる球形の調節体を備えた継手をそれぞれ記載している。
【0006】
米国特許第2,399,515号明細書および米国特許第2,334,875号明細書は、2部分からなる円筒形の調節体をそれぞれ示しており、それぞれ2つの部分体のうちの一方に配管中間区域が刻設されている。
【0007】
国際公開第2006/131139A1号パンフレットは、回転可能な中間導体を介して2つの接続部を電気接続可能である電気継手を記載している。
【0008】
米国特許出願公開第2008/0286986A1号明細書は、吸込管継手に加えて電気ケーブルによる電気接続も意図する継手構造を記載している。
【0009】
独国特許出願公開第102004033567A1号明細書は、2つの電気接続だけでなく、スリーブ状の接続部を用いた差込接合部を介しての2つの流体接続も行われる接続システムを示している。
【0010】
国際公開第2007/147510A1号パンフレットには、2つの鍔状の管区域を互いに嵌合式に結合する役目をするスリーブが示されている。
【0011】
独国特許第4030381号は、液体の2つの配管を非滴下式に連結/分断するための継手構造を記載している。そのために継手構造は、付属の配管と流動接続されるそれぞれ1つの通路を備える2つの接続片を有している。両方の接続片はその端部にそれぞれの通路と一直線上に並ぶ方向の頭部片を有しており、この頭部片にはそれぞれの通路から分岐する傾いた穴が形成されており、頭部片は互いに固定可能である。さらに、両方の接続片のうちの一方には、内面に切欠きが刻設されたスリーブが支承されている。このときスリーブは両方の頭部片に対して、切欠きがバイパスを形成し、このバイパスを介して両方の接続片の傾いた穴を相互に接続できるように位置決め可能である。
【0012】
公知の継手構造の欠点は、比較的多い流動損失を発生させ、単一の配管用としてしか利用可能でないことである。さらに、このような継手構造はその複雑な設計形態に基づいて比較的高価であり、比較的大きい流動断面積用としてしか適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第3,964,511号
【特許文献2】米国特許第2,397,576号
【特許文献3】欧州特許出願公開第1148286A2号
【特許文献4】米国特許第3,167,092号
【特許文献5】米国特許第2,712,454号
【特許文献6】米国特許第2,399,515号
【特許文献7】米国特許第2,334,875号
【特許文献8】国際公開第2006/131139A1号
【特許文献9】米国特許出願公開第2008/0286986A1号
【特許文献10】独国特許出願公開第102004033567A1号
【特許文献11】国際公開第2007/147510A1号
【特許文献12】独国特許第4030381号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の課題は、非滴下式の継手構造において上述した欠点を回避し、比較的少ない流動損失で多方面の利用可能性を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この課題は、請求項1の構成要件を備える継手構造によって解決される。調節体が並進的に位置調節可能な操作手段を介して位置調節可能であり、調節体と操作手段の間に、操作装置の並進運動を調節体の回転に変換する方向転換機構が設けられていると好都合である。このようにして、たとえば一方の配管区域が設けられているハウジングにスライド可能に支承され、当該ハウジングに密着して当接するスライダとして、操作手段を製作することが可能である。それにより、一方では調節体を遮断位置と流動位置の間で、快適な仕方で位置調節することができる。他方ではハウジングへの操作手段の密着した当接により、意図しない操作が回避される。
【0016】
特別に好ましい実施形態では、調節体は、第1の配管区域に付属する第1のハウジングで案内される第1の部分体と、第2の配管区域に付属する第2のハウジングで案内される第2の部分体とを有している。両方の部分体は互いに当接可能である。このような調節体の2部分からなる施工形態により、遮断位置のときに両方の配管区域をそれぞれ1つの部分体により閉止して、互いに分断することが可能である。継手構造の連結状態では、その際に互いに当接する部分体を一緒に操作することができる。
【0017】
このとき操作手段は、並進的にスライド可能に保持されたスライドスイッチによって構成されてもよい。
このときさらに方向転換機構は、スライドスイッチの直線運動を調節体の回転運動に変換するために、調節体の円弧噛み合い部と噛み合うスライドスイッチの直線噛み合い部によって構成されてもよい。
【0018】
特別に好ましい実施形態では、配管中間区域の中間断面は形状と大きさに関して第1の配管区域の第1の断面および第2の配管区域の第2の断面と一致しており、それによって流動損失が最低限に抑えられる。
【0019】
さらに、配管中間区域が調節体の貫通孔に設けられていると好都合であり、それによって配管中間区域は最小限の長さを有することができる。
【0020】
さらに、連結手段が第1の部分体にコーディング手段を有しており、このコーディング手段を、連結対応手段として機能する第2の部分体のコーティング対応手段と嵌め合わせ可能であると好都合である。このような種類のコーディング手段とコーディング対応手段は、一方では両方の配管区域の連結のために利用することができる。他方ではコーディング手段によって、たとえば複数の継手構造を含むシステムの場合に、互いに対応関係にある配管区域だけを相互に連結できることを保証することができる。
【0021】
連結手段と連結対応手段は調節体に嵌合手段と嵌合対応手段を有しているのが好ましい。これらを介して流動位置のときに両方の配管区域の間で嵌合を成立可能である。それに対して遮断位置では、嵌合を再び解消することができる。それにより、調節体の位置に依存して、遮断位置と流動位置の切換のほか、同時に第1および第2のユニットの間の嵌合も解除したり成立させたりすることが可能である。
【0022】
さらに、連結手段と連結対応手段が調節体に対して別個にロック手段とロック対応手段を有しており、これらによって各配管区域を調節装置の位置に関わりなく互いにロック可能であると好都合である。このようにして、第1のユニットと第2のユニットを遮断位置のときでも確実に互いに固定することができる。
【0023】
別の好ましい実施形態では、調節体は実質的に円筒状の外面を有している。このときこの外面は、コネクタ部材の実質的に円筒状の内面によって案内されている。このとき調節体およびコネクタ部材の内面の円筒状の形態は、これら両方の部材相互の密着した当接を可能にする。
【0024】
この場合、調節体が嵌合手段として機能するリング切片状の縁部を有していると好都合であり、この縁部は、継手構造が連結された状態のときに調節体の回転位置に依存して、ハウジング側の嵌合対応手段との間で嵌合を成立させたり解消したりする。それにより、遮断位置と流動位置の間で調節装置を調節することで、同時に、調節体を介して両方の配管区域の間で安定した嵌合を成立させることができる。
【0025】
その別案として、調節体が一方の部分体に雄型部材を有するとともに、それぞれ他方の部分体にこれと相補的な雌型部材を有しており、これらの部材が遮断位置のときに組付方向に沿って差込可能であり、特に調節体が90°だけ回転した後、流動位置で組付方向に沿って嵌合を成立させると好都合である。このようにして、調節体そのものにより成立する解消可能な嵌合を、特別に簡素な手段で具体化することができる。
【0026】
この場合、少なくとも調節体が同一構造の2つの部分体から組み合わせてなることが可能であると好ましく、それにより、調節体を全体としてより簡単かつ低コストに製造可能である。これに加えて、連結手段の全体および/または配管区域を形成する継手構造のコンポーネントが、少なくとも部分的に同一構造の部材から製作されていることも可能である。このようにして複数の部材を重複して使用することで、継手構造の製造コストを明らかに削減することができる。
【0027】
配管区域と配管中間区域は非滴下式に分離可能な少なくとも1つの流体配管を形成するのが好ましく、それにより、継手構造をたとえば電子モジュールの冷却システムで適用可能である。
【0028】
その別案として、配管区域と配管中間区域は少なくとも1つの電気配管を形成し、それにより、継手構造をたとえばエネルギー供給や通信接続あるいは測定接続を成立させるために適用可能である。
【0029】
特別に好ましい実施形態では、継手構造は少なくとも1つの電気配管と少なくとも1つの流体配管をいずれも形成しており、両者とも調節体の位置に依存して連結ないし分断することができる。それにより、両方の配管を調節体の操作によって同時に接続ないし分断することができる。それにより、純粋な流体システムまたは電気システムでの適用に加えて、複合型のシステムでも継手構造を適用することができる。
【0030】
さらに、連結手段が少なくとも1つの電気差込接続部を有していると好都合であり、それにより、両方の配管区域を連結したときに同時に電気接続も成立可能であり、この電気接続部は配管区域と配管中間区域によって形成される配管に追加して設けられており、それによって調節体の位置に関わりなく作動させることができる。
図面には本発明の一例の実施形態が示されている。

【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による継手構造を分断状態で示す斜視図である。
【図2】図1の継手構造を連結状態で示す斜視図である。
【図3】流体接続を成立させるための配管区域の高さで図2の継手構造を示す遮断位置のときの断面図である。
【図4】図3の継手構造を流動位置で示す断面図である。
【図5】継手構造のハウジングの下面を示す斜視図である。
【図6】図2の継手構造の電気接続部を示す断面図である。
【図7】継手構造の第1の代案の実施形態を示す分断状態のときの斜視図である。
【図8】継手構造の第2の代案の実施形態を示す分断状態のときの斜視図である。
【図9】連結状態の図8の継手構造を遮断位置で示す斜視図である。
【図10】図9の継手構造を流動位置で示す斜視図である。
【図11】継手構造の第4の代案の実施形態の第1の差込部材を分断状態で示す斜視図である。
【図12】図11の継手構造の第2の差込部材を示す斜視図である。
【図13】遮断位置にある連結状態の図11および図12の継手構造を方向転換機構の高さで示す断面図である。
【図14】図13の継手構造を配管区域の高さで示す断面図である。
【図15】図13の継手構造を調節体の電気導体の高さで示す断面図である。
【図16】流動位置にある図13の継手構造を方向転換機構の高さで示す断面図である。
【図17】図16の継手構造を配管区域の高さで示す断面図である。
【図18】図16の継手構造を調節体の電気導体の高さで示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1と図2は、電子配線板によってそれぞれ構成される第1のユニット2と第2のユニット4を示している。ユニット2および4は、第1のユニット2と結合された第1のハウジング8と、第2のユニット4と結合された第2のハウジング10とを有する継手構造6を介して、相互に連結可能である。
【0033】
両方のハウジング8,10は、連結手段および連結対応手段を介して、取外し可能に互いに固定されている。これらはたとえばラグ状のコーディング手段12と、これと相補的に成形された穴状のコーディング手段14と、脱着可能な嵌合を成立させるためのロック手段16およびロック対応手段18と、電気的な差込接続部24を成立させるための電気コネクタ20およびこれに対応するコネクタ受容部22とを有している。コーディング手段12およびコーディング対応手段14と、コネクタ20およびコネクタ受容部22とはいずれも両側に、すなわち両方のハウジング8,10に設けられている。このようにして、両方のハウジング8,10を連結したときに、対をなす電気差込接続部24だけでなく、対をなすコーディング結合も成立する。
【0034】
継手構造6は、電気的な差込接続部24の成立のほか、特に、図3と図4に示すように、第2のユニット4の冷却通路K2と第1のユニットの冷却通路K1との間で流体接続を成立させる役目を果たす。このとき流体接続は、生じる可能性がある配線板の損傷を避けるために、非滴下式に成立可能ないし分断可能である。
【0035】
そのために継手構造6は、第1のハウジング8にある第1の配管区域26と第2のハウジング10にある第2の配管区域28とを有しており、これらは調節装置32の円筒状の調節体30を介在させながら互いに同軸に向いている。調節体30は、第1の配管区域26と第2の配管区域28との間の接続が遮断される図3の遮断位置と、第1の配管区域26と第2の配管区域28との間の接続が開放される流動位置との間で切換可能である。
【0036】
さらに調節体は、図3および図4を見るとさらにわかるように、第1のハウジング8の相応に円筒状に成形された内面35で支承、案内される第1の部分体34を有している。この部分体は、図示した連結状態のとき、第2のハウジング10の円筒状に成形された内面37で支承、案内される同一構造の第2の部分体36に当接する。配管区域26,28の間の接続を成立させるために、部分体34,36にはそれぞれ配管中間区域38が貫通孔として穿設されている。
【0037】
調節装置32が遮断位置にあるとき(図3)、ないしは継手構造6が分断状態にあるとき(図1)、配管中間区域38は配管区域26,28に対して90°だけ回転した回転位置になっており、この回転位置ではこれらの配管区域から分断されている。すなわち配管区域26,28は、それぞれの部分体34,36によって閉止されている。
【0038】
図2に示す継手構造6の連結後、たとえばドライバー(図示せず)のような市販の工具を受容する役目をするスリット40を介して、調節装置32を90°だけ回して図4に示す流動位置にすることができる。
【0039】
互いに当接し、コーディング部材12,14を介して互いに噛み合う部分体34,36は、配管中間区域38が配管区域26,28と同軸に配置され、そのようにしてこれらを相互に接続して、図4の矢印FSで示すように冷却剤の流体の流れを可能にする流動位置へと同時に回転する。
【0040】
このとき調節体30の結果として生じる可能性がある流動損失を最低限に抑えるために、配管中間区域38は、第1の配管区域26の第1の断面Q1および第2の配管区域28の第2の断面Q2と大きさと形状に関して同一である中間断面ZQを有している。
【0041】
図5には、ハウジング8,10の一方の下面42が示されている。この下面には、該当するユニット2,4との差込可能な接続のために、電気的な接触舌部44と端子体46とが設けられており、これらをユニット2,4の対応する端子受容部(図示せず)に固定可能である。さらにこの図面には、2つの配管開口部48を見ることができ、これを介して冷却通路K1,K2(図2参照)との流体接続を成立可能である。
【0042】
図6は、電気差込接続部24の断面を継手構造6の連結状態で示している。この図から見て取れるように、電気コネクタ20は接触端子50を有しており、この接触端子が、コネクタ受容部22の内部に配置された接触舌部52に嵌め込まれている。
【0043】
さらに図6に見られるとおり、ロック手段16は、それぞれU字型の断面をもつ2つのアーム54を備えたヨークによって構成されている。図示したロック状態のとき、各々のアーム54は、第1のハウジング8の第1の段部56および第2のハウジング10の第2の段部58にそれぞれ係合し、それによってこれらのハウジングを嵌合により互いに固定する。
【0044】
図7は、部分体34,36にそれぞれリング切片状の縁部60の形態の嵌合手段が構成された、継手構造6の別案の実施形態を示している。この縁部60は破断部62を有しており、両方の部分体34,36の結合時にこの破断部に沿って、係合部材64により構成される嵌合対応手段が縁部60を通過することができる。係合部材64はそれぞれのハウジング8,10に構成されている。連結状態で調節装置32が図示した遮断位置から流動位置へ回されると、同時に縁部60がそれぞれの係合部材64に対して回転し、それによって両方のハウジング8,10の間で嵌合による結合を成立させる。
【0045】
図8から図10は、継手構造6のさらに別案の実施形態を示している。この継手構造では、調節体30の部分体34,36にそれぞれ雄型部材66の形態の嵌合手段と、これと相補的な雌型部材68の形態の嵌合対応手段とが成形されており、継手構造6の連結時にこれらを組付方向Mに沿って互いに嵌め合わせることができる。
【0046】
図9に示すこの遮断位置から図10に示す流動位置へと調節装置32が回転すると、雄型部材66は雌型部材68とともに、部分体34,36を組付方向Mで互いに固定する嵌合を成立させる。
【0047】
図11および図12は、上に説明した実施形態と同じ基本原理に基づいて機能する継手構造6のさらに別の実施形態を示している。
【0048】
ここでは調節体30の両方の部分体34,36は、純粋な流体接続のため、純粋な電気接続のため、あるいは複合型の流体・電気接続のためのいずれにも利用することができる、差込結合部の第1のコネクタ部材86および第2のコネクタ部材88に統合されている。
【0049】
図11および図12に見られるとおり、部分体34,36はここでもコーディング手段12ないしコーディング対応手段14を形成する。さらに両方の部分体34,36は、コネクタ部材86,88の対応する切欠き61で案内される円切片状の縁部60を形成している。
【0050】
ここに示す継手構造6では調節装置32は、特に図13に見られるように、並進的にスライド可能なように第2のコネクタ部材88に保持されたスライドスイッチ90を操作手段として有している。ここではスライドスイッチは、第2の部分体36に設けられた円弧噛み合い部94と噛み合う直線噛み合い部92を形成している。
【0051】
直線噛み合い部92と円弧噛み合い部94はこのようにして方向転換機構96を形成しており、これによってスライドスイッチ90の直線運動を調節体30の回転運動に変換することができる。
【0052】
継手構造6の連結状態における特に図14に示すスライドスイッチ90の遮断位置では、配管中間区域38は両方の配管区域26,28に対して垂直になっており、それにより、第1の実施形態の図3と同様に流体接続を遮断する。
【0053】
図15に見られるように、調節体30には流体接続を成立させるための配管中間区域38のほかに(図14)、同時に電気接続を成立ないし分断するための電気導体98が追加的に設けられていてよい。電気導体98は図示した遮断位置のとき、コネクタ部材86,88に設けられ、それぞれすり接点102で調節体30に当接する2つの電気配線区域100からさしあたり間隔をおいている。
【0054】
スライドスイッチ90を方向Rへスライドさせることで、円弧噛み合い部94を介して直線噛み合い部92と噛み合う第2の部分体36は、図16に示すように、第1の部分体34とともに90°だけ回転する。
【0055】
さらに図16を見るとわかるとおり、流動位置のときに縁部60はそれぞれ両方のコネクタ部材86,88にわたって延びており、したがってその円弧形状に基づいて嵌合を形成し、この嵌合によってコネクタ部材86,88は流動位置で確実に互いに固定される。
【0056】
第1の部分体34を回転させると、配管中間区域38は配管区域26,28に対して同軸に向く。こうして継手構造6は、図17に示すように調節体30を介して流動接続が成立する流動位置となる。
【0057】
それと同時にこの流動位置では、電気回線区域100の両方のすり接点102も電気導体98を介して接続されるので、流動接続と並行して電気接続も同時に成立し、たとえばこれを信号伝送やデータ伝送のための電流供給に利用することができる。
【0058】
これに応じて、上に説明した継手構造6のいずれの実施形態も、図面に示している流体接続の追加または代替として、調節体30を介して接続ないし分断することができる電気接続を有することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のユニット(2)に設けられた第1の配管区域(26)を第2のユニット(4)に設けられた第2の配管区域(28)と取外し可能に連結するための継手構造(6)であって、前記第1のユニット(2)に取付可能な連結手段と;前記連結手段に固定可能である、前記第2のユニット(4)に取付可能な連結対応手段と;前記第1の配管区域(26)と前記第2の配管区域(28)との間で位置決め可能な調節装置(32)とを有しており、該調節装置は、前記第1の配管区域(26)と前記第2の配管区域(28)の間の接続が遮断される遮断位置と、前記第1の配管区域(26)と前記第2の配管区域(28)の間の接続が開放される流動位置との間で切換可能である、そのような継手構造において、
前記調節装置(32)は遮断位置と流動位置の間で回転可能に支承された調節体(30)を有しており、該調節体は前記第1の配管区域(26)と前記第2の配管区域(28)の間で間隔をおいて位置決め可能であり、該調節体には配管中間区域(38)が穿設されており、該配管中間区域を介して前記第1の配管区域(26)を前記第2の配管区域(28)と接続可能である、そのような継手構造において、
前記調節体(30)は並進的に位置調節可能な操作手段を通じて位置調節可能であり、前記調節体(30)と前記操作手段の間には方向転換機構(96)が設けられていることを特徴とする、継手構造。
【請求項2】
前記調節体(30)は、前記第1の配管区域(26)に付属する第1のコネクタ部材(86)で案内される第1の部分体(34)と、前記第2の配管区域(28)に付属する第2のコネクタ部材(88)で案内される第2の部分体(36)とを有しており、前記両方の部分体(34、36)は互いに当接可能であることを特徴とする、請求項1に記載の継手構造。
【請求項3】
前記操作手段は並進的にスライド可能に保持されたスライドスイッチ(90)によって構成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の継手構造。
【請求項4】
前記方向転換機構(96)は前記調節体(30)の円弧噛み合い部(94)と噛み合う前記スライドスイッチ(90)の直線噛み合い部(92)によって構成されていることを特徴とする、請求項3に記載の継手構造。
【請求項5】
前記配管中間区域(38)の中間断面(ZQ)は前記第1の配管区域(26)の第1の断面(Q1)および前記第2の配管区域(28)の第2の断面(Q2)と一致していることを特徴とする、請求項1乃至4の何れか1項に記載の継手構造。
【請求項6】
前記配管中間区域(38)は前記調節体(30)の貫通孔に設けられていることを特徴とする、請求項1乃至5の何れか1項に記載の継手構造。
【請求項7】
前記連結手段と前記連結対応手段は前記第2の部分体(36)のコーディング対応手段(14)と嵌め合わせ可能であるコーディング手段(12)を前記第1の部分体(34)に有していることを特徴とする、請求項2乃至6の何れか1項に記載の継手構造。
【請求項8】
前記連結手段と前記連結対応手段は前記調節体(30)に嵌合手段と嵌合対応手段とを有しており、これらを介して流動位置のときに前記両方の配管区域(26,28)の間で嵌合を成立可能であり、前記嵌合は遮断位置のときに解消可能であることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の継手構造。
【請求項9】
前記連結手段と前記連結対応手段はロック手段(16)とロック対応手段(18)を有しており、これらによって前記配管区域(26,28)を前記調節装置(32)の位置に関わりなく互いにロック可能であることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の継手構造。
【請求項10】
前記調節体(30)は実質的に円筒状の外面を有しており、前記コネクタ部材(86,88)の実質的に円筒状の内面(35、37)によって案内されていることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の継手構造。
【請求項11】
前記調節体(30)は嵌合手段として機能するリング切片状の縁部(60)を有しており、該縁部は前記調節体(30)の回転位置に依存してハウジング側の嵌合対応手段との嵌合による結合部を形成することを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の継手構造。
【請求項12】
前記調節体(30)は前記部分体(34,36)のうちの一方に雄型部材(66)を有するとともに他方の前記部分体(34,36)にこれと相補的な雌型部材(68)を有しており、これらの部材は遮断位置のとき組付方向(M)に沿って嵌め合わせ可能であり、流動位置のときに組付方向(M)に沿って嵌合を成立させることを特徴とする、請求項2乃至11の何れか1項に記載の継手構造。
【請求項13】
少なくとも前記部分体(34,36)は同一構造で構成されていることを特徴とする、請求項2乃至12のいずれか1項に記載の継手構造。
【請求項14】
前記配管区域(26,28)と前記配管中間区域(38)は少なくとも1つの流体配管を形成することを特徴とする、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の継手構造。
【請求項15】
前記配管区域(26,28)と前記配管中間区域(38)は少なくとも1つの電気配管を形成することを特徴とする、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の継手構造。
【請求項16】
前記継手構造(6)は少なくとも1つの電気配管と少なくとも1つの流体配管を両方とも有しており、これら両者は前記調節体(30)を介して接続可能であることを特徴とする、請求項14または15に記載の継手構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−122613(P2012−122613A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−2955(P2012−2955)
【出願日】平成24年1月11日(2012.1.11)
【分割の表示】特願2011−553307(P2011−553307)の分割
【原出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(511205655)
【Fターム(参考)】