説明

継手

【課題】 部品種類数を減少した継手を提供する。
【解決手段】 ボルト5は、先端部分におねじ14aが形成されて残りの部分14bにはおねじが形成されていない軸部14を有している。第1および第2の継手部材2,3は、同一形状とされており、各継手部材2,3に、突き合わせ端面側の軸挿通孔15およびこれに連なって反突き合わせ端面までのびるねじ孔16が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フランジ式管継手などの継手に関する。
【背景技術】
【0002】
継手として、互いに連通する流体通路を有している第1および第2の継手部材と、両継手部材の突き合わせ端面間に介在させられるシール部材と、両継手部材を結合するねじ手段とを備えているものは、よく知られている。
【0003】
このような継手のうちフランジ式管継手と称されているものは、各継手部材がスリーブとフランジとから構成されており、フランジ同士が複数のボルトで結合されることで継手部材同士が結合される。このようなフランジ式管継手では、各継手部材のフランジが同じ形状とされて、ボルトおよびナットによって結合されるもの(特許文献1)と、ナットの代わりにいずれか一方のフランジにねじ孔を設けて、ボルトだけを使用して結合されるもの(特許文献2)とがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3141837号公報
【特許文献2】特開昭63−292801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のフランジ式管継手において、ボルトおよびナットによって継手部材同士を結合するものでは、ナットの分だけ部品数が多く必要となるという問題があり、また、ボルトだけを使用するものでは、フランジとして、ボルト挿通孔が設けられているものとねじ孔が設けられているものとの2種類が必要となり、部品種類数としては、減少にはならないという問題がある。
【0006】
この発明の目的は、部品種類数を減少した継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明による継手は、互いに連通する流体通路を有している第1および第2の継手部材と、両継手部材の突き合わせ端面間に介在させられるシール部材と、両継手部材を結合するボルトとを備えている継手において、ボルトは、先端部分におねじが形成されて残りの部分にはおねじが形成されていない軸部を有しており、第1および第2の継手部材は、同一形状とされており、各継手部材に、ボルトが挿入される孔として、突き合わせ端面側の軸挿通孔およびこれに連なって反突き合わせ端面までのびるねじ孔が形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
ボルトは、一般的なボルトでは、軸部のほぼ全長にわたっておねじが形成されているのに対し、先端部分におねじが形成されて残りの部分にはおねじが形成されていない軸部を有しているものとされる。そして、各継手部材には、突き合わせ端面側の軸挿通孔およびこれに連なって反突き合わせ端面までのびるねじ孔が形成され、これにより、継手部材を上記のボルトに対応する形状としかつ第1および第2の継手部材を同一形状とすることができる。
【0009】
継手部材の軸挿通孔の長さおよびねじ孔の長さならびにボルトの長さおよびそのおねじの長さは、互いに対応させて適宜設定される。
【0010】
この継手は、例えばフランジ式管継手に適用されるが、これに限定されるものではなく、2つの部材を接合する用途に種々適用できる。
【0011】
各継手部材は、1つの部材からなる(流体通路が形成された本体に結合のためのフランジ部が一体に形成されている)ことがあり、また、2つ以上の部材からなる(内周が流体通路となる円筒状のスリーブ部材とこれとは別部材のフランジ部材とからなる)こともある。
【0012】
好ましくは、各継手部材は、内周が通路となる円筒状のスリーブ部材と、これとは別部材のフランジ部材からなり、スリーブ部材およびフランジ部材がいずれも同一形状とされ、軸挿通孔およびねじ孔がフランジ部材に設けられているものとされる。
【0013】
このようにすると、スリーブ部材およびフランジ部材の製作が容易となり、製作の手間の増加を抑えて、部品数を低減することができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明の継手によると、ボルトは、先端部分におねじが形成されて残りの部分にはおねじが形成されていない軸部を有し、各継手部材に、ボルトが挿入される孔として、突き合わせ端面側の軸挿通孔およびこれに連なって反突き合わせ端面までのびるねじ孔が形成されているので、第1および第2の継手部材を同一形状とすることができる。これにより、第1の継手部材と第2の継手部材とが異なる形状とされていた従来のものに比べて、部品数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、この発明による継手の1実施形態を示す縦断面図である。
【図2】図2は、この発明による継手の組立て途中の状態を示す縦断面図である。
【図3】図3は、この発明による継手で使用されているフランジ部材を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。
【0017】
図1および図2は、この発明による継手の1実施形態を示しており、継手(1)は、互いに連通する流体通路を有している第1および第2の継手部材(2)(3)と、両継手部材(2)(3)間に介在させられた円環状ガスケット(4)と、両継手部材(2)(3)を結合する複数(1または複数)のボルト(5)とを備えている。
【0018】
各継手部材(2)(3)は、内周が流体通路となる円筒状のスリーブ(スリーブ部材)(11)と、これとは別部材のフランジ(フランジ部材)(12)とからなり、突き合わされるスリーブ(11)同士およびフランジ(12)同士がいずれも同一形状とされている。
【0019】
ガスケット(4)は、リテーナ(6)に保持されており、リテーナ(6)は、断面円形の金属製線材がC状に形成されたスナップリング(7)によって第2の(図では下側に示す)継手部材(3)に保持されている。
【0020】
各ボルト(5)は、六角孔が形成された頭部(13)と、軸部(14)とからなり、軸部(14)は、先端部分におねじ(14a)が形成されて残りの部分(14b)にはおねじが形成されていないものとされている。
【0021】
各継手部材(2)(3)のスリーブ(11)は、互いに突き合わされており、その突き合わせ端部の外周には、フランジ部(11a)が設けられ、突き合わせ端面には、ガスケット(4)およびリテーナ(5)を収容するための凹所(11b)が形成されている。
【0022】
各継手部材(2)(3)のフランジ(12)は、スリーブ(11)に挿通される貫通孔(12a)を有し、スリーブ(11)に嵌め合わされた状態で互いに突き合わされている。フランジ(12)の突き合わせ端部の内周には、スリーブ(11)のフランジ部(11a)が嵌め入れられている凹所(12b)が形成されている。
【0023】
フランジ(12)には、図3にも別途示すように、ボルト(5)が挿入される孔として、突き合わせ端面側の軸挿通孔(15)およびこれに連なって反突き合わせ端面までのびるねじ孔(16)が形成されている。軸挿通孔(15)の長さとねじ孔(16)の長さとはほぼ同じとされている。ボルト(5)の長さは、軸挿通孔(15)の長さ+ねじ孔(16)の長さの略2倍とされ、ボルト(5)のおねじ(14a)の長さは、ねじ孔(16)の長さに略等しくされている。軸挿通孔(15)およびねじ孔(16)の長さは、使用条件等によって、自由に変更できるのは勿論である。
【0024】
上記のボルト(5)およびフランジ(12)の構成により、ボルトを使用する従来のフランジ式管継手では、軸挿通孔が設けられた第1のフランジとねじ孔が設けられた第2のフランジとが別部材とされていたのに対し、同じフランジ(12)が両継手部材(2)(3)の構成部材として使用されている。これにより、部品種類数の低減が図られている。フランジ(12)の向きは、規定する必要があり、1対のフランジ(12)は、突き合わせ端面側に軸挿通孔(15)が反突き合わせ端面側にねじ孔(16)がある対向状の配置とされる。
【0025】
図2は、継手(1)の組立て途中の状態を示している。同図において、第1の継手部材(2)の反突き合わせ端面側(図の上側)からボルト(5)をフランジ(12)のねじ孔(16)に合わせてねじ込んでいくと、ボルト(5)は、そのおねじ部(14a)がねじ孔(16)を通過し、図2に示す状態では、第1の継手部材(2)に対する軸方向の移動がフリーとなっている。したがって、この状態において、第2の継手部材(3)のフランジ(12)のねじ孔(16)に突き合わせ端面側からボルト(5)を合わせてねじ込んでいくことが可能であり、この操作によって、各継手部材(2)(3)のフランジ(12)(12)同士が結合される。これに伴い、両フランジ(12)(12)の突き合わせ端部の凹所(12b)にスリーブ(11)のフランジ部(11a)が嵌め入れられ、この状態からさらにボルト(5)を締め付けていくと、スリーブ(11)(11)同士が接近させられて、スリーブ(11)(11)間に配置されたガスケット(4)が変形して所要のシール効果が奏される。
【0026】
なお、図1および図2において、ボルト(5)は、上側の(第1の)継手部材(2)からねじ込まれているが、下側の(第2の)継手部材(2)からねじ込むこともできる。また、フランジ(フランジ部材)(12)の軸方向から見た形状は図示省略しているが、その外周面形状は、円形でも多角形(方形、六角形など)でもよい。
【0027】
上記において、各継手部材(2)(3)は、スリーブ(11)およびフランジ(12)からなるものとされているが、継手部材の構成は、これに限定されるものではない。各継手部材は、例えば、1つの部材とされてもよく、3以上の部材から構成されてもよく、各部材の形状についても、種々変更が可能である。要するに、上記の継手(1)は、フランジ(12)およびボルト(5)を使用して結合する種々の用途に適用することができる。
【符号の説明】
【0028】
(1):継手、(2)(3):継手部材、(4):ガスケット、(5):ボルト、(11):スリーブ(スリーブ部材)、(12):フランジ(フランジ部材)、(14):軸部、(14a):おねじ、(14b):残りの部分、(15):軸挿通孔、(16):ねじ孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2の継手部材と、両継手部材を結合するボルトとを備えている継手において、
ボルトは、先端部分におねじが形成されて残りの部分にはおねじが形成されていない軸部を有しており、第1および第2の継手部材は、同一形状とされており、各継手部材に、ボルトが挿入される孔として、突き合わせ端面側の軸挿通孔およびこれに連なって反突き合わせ端面までのびるねじ孔が形成されていることを特徴とする継手。
【請求項2】
各継手部材は、内周が通路となる円筒状のスリーブ部材と、これとは別部材のフランジ部材からなり、スリーブ部材およびフランジ部材がいずれも同一形状とされ、軸挿通孔およびねじ孔がフランジ部材に設けられていることを特徴とする請求項1の継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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