説明

網管理装置および網管理装置制御方法

【課題】通信ネットワークの網情報や、この網情報を用いた情報処理結果をユーザインタフェース部により表示する網管理装置において、ユーザインタフェース部が過負荷になることを抑制する。
【解決手段】網情報管理部120は、網情報を用いた情報処理を実行中において網情報のユーザインタフェース部110へのデータ送信要求があったとき、このデータ送信要求に対するデータ送信処理に対してもCPUリソースの割り当てを行い、マルチプロセスを実現する。また、ユーザインタフェース部110は、過去の網情報の受信履歴を履歴情報に記録し、未受信の網情報のみを網情報管理部120から受信するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワークに用いられる網管理装置の網情報管理部とユーザインタフェース部との間におけるデータ送信制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワーク事業者において、ネットワーク全体の資源を有効に利用し、転送品質の維持、ネットワークコストの低減を図るため、網情報(ネットワークのトポロジ、トラヒック量、経路情報等)の収集や分析、ネットワーク装置の設定や設計等を支援する網管理装置(NMS: Network Management System)が提案されている(非特許文献1参照)。
【0003】
この網管理装置の構成を図1に示す。網管理装置は、網情報管理部により、IP(Internet Protocol)網等の通信ネットワークから網情報を取得し、この取得した網情報をもとに、交流トラヒックの計算や、網故障時の経路シミュレーション、通信ネットワークの設定等の各種情報処理を行う。そして、ユーザインタフェース部により、この網情報や情報処理結果の表示処理を行う。例えば、ユーザインタフェース部は、GUI(Graphical User Interface)等により、ネットワークのトポロジ、リンク使用率、経路の表示等を行う。このようにすることで、ユーザは、網の挙動や網故障シミュレーションの結果を直感的に理解しやすくなる。なお、網情報管理部は、ユーザインタフェース部とのインタフェースであるインタフェース部、網情報処理部、通信ネットワークとのインタフェースであるネットワークインタフェース部、ユーザインタフェース部へのデータ送信のバッファ処理を行うバッファ処理部等を備える。網情報処理部は、網情報取得部、経路シミュレーション部、ネットワーク設定部等を備える。また、ユーザインタフェース部は、網情報管理部とのインタフェースであるインタフェース部、各種表示処理を行う表示処理部、網情報管理部へのデータ送信要求を行う要求処理部等を備える。表示処理部は、トポロジ表示部、リンク使用率表示部、経路表示部等を備える。
【0004】
この網管理装置の網情報管理部は、(1)ユーザインタフェース部の要求処理部からの要求に応じて、インタフェース部経由で、リンク使用率や交流トラヒック等の網情報のデータ送信処理を実行する。そして、網情報管理部は、(2)ユーザインタフェース部から、経路シミュレーションの実行指示等があった場合には、このデータ送信処理をいったん中止して、経路シミュレーション処理等の情報処理を実行する。つまり、割り込み処理を実行する。なお、この割り込み処理中に送信すべきデータは、網情報管理部のバッファ処理部によりバッファリングしておき、割り込み処理が終了すると、ユーザインタフェース部へ送信する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】小島他、"交流トラヒックを用いたネットワーク設計・運用方式の提案", 09年信学 全国大会 B-6-9, 2009年3月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この網管理装置による割り込み処理後の、データ送信において、網情報管理部は、バッファリングしておいたデータをまとめてユーザインタフェース部へ送信する。よって、ユーザインタフェース部が過負荷になり、各種表示処理のレスポンスタイム(応答時間)が増加するおそれがある(図2参照)。特に、網管理装置が管理対象とする網規模が拡大すると、送信するデータ量も増加するので、ユーザインタフェース部の応答時間はさらに増加するおそれがある。よって、今後、網管理装置が管理対象とする網規模が拡大することを考慮すると、このような問題の解決は非常に重要だと考えられる。そこで、本発明は、前記した問題を解決し、網情報や、この網情報を用いた情報処理結果をユーザインタフェース部により表示する網管理装置において、ユーザインタフェース部が過負荷になることを抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した課題を解決するため、本発明の網管理装置は、網情報管理部とユーザインタフェース部とを備える。この網情報管理部は、所定期間ごとに通信ネットワークの網情報を取得し、取得した網情報を、網情報の表示処理を行うユーザインタフェースからの送信要求に基づき、第1のインタフェース経由でユーザインタフェース部へ送信する網情報取得部と、ユーザインタフェース部との間のデータ送受信処理を司る第1のインタフェースと、ユーザインタフェース部から受信した情報処理要求に基づき、網情報を用いた情報処理を実行し、情報処理の結果を、第1のインタフェース経由でユーザインタフェース部へ送信する網情報処理部と、網情報管理部の各部で行う処理に対しCPU(Central Processing Unit)資源の割り当てを行うリソース管理部と、ユーザインタフェース部への網情報の送信が中断したとき、網情報のバッファリングを行い、中断が解消したとき、バッファリングされた網情報を、第1のインタフェース経由でユーザインタフェース部へ送信するバッファ処理部とを有する。また、ユーザインタフェース部は、網情報管理部との間のデータ送受信処理を司る第2のインタフェースと、第2のインタフェース経由で網情報管理部へ、網情報の送信要求および情報処理要求を送信する要求処理部と、第2のインタフェース経由で、網情報管理部から受信した網情報と情報処理結果との表示処理を行う表示処理部とを有する。そして、網情報取得部が、網情報の送信要求を受け付けた場合において、網情報処理部が、情報処理を実行中であるとき、リソース管理部は、網情報処理部による情報処理と、第1のインタフェースによる網情報の送信処理とのそれぞれに対し、CPU資源の割り当てを行う。第1のインタフェースは、割り当てられたCPU資源を用いて網情報の送信を行う。また、網情報処理部は、割り当てられたCPU資源を用いて情報処理を行う。
【0008】
このように、網管理装置の網情報管理部は、ユーザインタフェース部へ網情報のデータ送信を行うとき、この網情報の送信処理に対してもCPU資源を割り当てる。よって、網管理装置は、網情報に基づく情報処理中であっても、網情報の送信処理が中断することがなくなる。これにより、網情報管理部は、バッファリングされた網情報を、ユーザインタフェース部へ一度に送信することがなくなるので、ユーザインタフェース部が過負荷になることを抑制できる。
【0009】
また、本発明の網管理装置のユーザインタフェース部は、網情報管理部から送信された網情報群を、網情報それぞれの取得日時とともに示した履歴情報を記憶部に記憶し、要求処理部は、網情報管理部に対し、網情報の送信要求を送信するとき、履歴情報に記憶される網情報群の取得日時のうち、最新の取得日時以降の網情報の送信要求を送信する。
【0010】
このように、網管理装置のユーザインタフェース部は、網情報の受信履歴を示す履歴情報をもとに、網情報管理部に対し、今まで受信した網情報よりも取得日時が新しい網情報の送信要求を行う。よって、ユーザインタフェース部が受信する網情報のデータ量を削減できる。つまり、従来、網管理装置の網情報管理部は、ユーザインタフェース部からの網情報の送信要求を受け付けたとき、すべての網情報をユーザインタフェース部へ送信していたが、本発明の網管理装置のユーザインタフェース部は今まで受信した網情報よりも取得日時が新しい網情報の送信要求を行う。これにより、ユーザインタフェース部は、網情報管理部から、まだ受信していない差分の網情報を受信する。よって、ユーザインタフェース部が受信する網情報のデータ量を従来よりも削減できるので、ユーザインタフェース部が過負荷になることをさらに抑制することができる。
【0011】
また、本発明の網管理装置の網情報管理部は、網情報の種別ごとに、通信ネットワークにおける当該網情報の更新頻度が少ない可能性が高い網情報ほど長いタイマ値を設定したタイマ情報を記憶部に記憶する。そして、網情報処理部は、網情報の送信要求を受信した場合において、未送信の網情報があったとき、未送信の網情報の種別をキーとして、タイマ情報から、この種別の網情報のタイマ値を読み出す。そして、網情報処理部は、ユーザインタフェース部からの送信要求を受信後、読み出したタイマ値の時間が経過した後、この網情報をユーザインタフェース部へ送信する。
【0012】
このように、網管理装置の網情報管理部は、通信ネットワークから取得する網情報のうち、更新頻度が比較的少ない可能性が高いもの(例えば、通信ネットワーク内における各フローの経路を示した経路情報)については、ユーザインタフェース部への送信間隔が長くなる。つまり、網情報管理部からユーザインタフェース部へのデータ送信回数が少なくなる。よって、ユーザインタフェース部が受信する網情報群のデータ量を削減できる。これにより、ユーザインタフェース部が過負荷になることをさらに抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、通信ネットワークの網情報や、この網情報を用いた情報処理結果をユーザインタフェース部により表示する網管理装置において、このユーザインタフェース部が過負荷になることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】比較例となる網管理装置の構成を示した図である。
【図2】図1の網管理装置の処理を概念的に示した図である。
【図3】本実施の形態の網管理装置の処理を概念的に示した図である。
【図4】本実施の形態の網管理装置の処理を概念的に示した図である。
【図5】本実施の形態の網管理装置の構成を示した図である。
【図6】(a)は、図5の網管理装置の処理概要を示した図であり、(b)は、(a)のデータ送信処理の詳細を示した図である。
【図7】図5の網管理装置によるデータ送信処理を概念的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図3を用いて、本実施の形態の網管理装置100の処理概要を説明する。この網管理装置100は、網情報管理部120と、ユーザインタフェース部110とを備える。網情報管理部120は、通信ネットワークから網情報(ネットワークのトポロジ、トラヒック量、経路情報等)を取得し、この網情報に基づく情報処理(経路シミュレーション等)を行う。ユーザインタフェース部110は、網情報管理部120から網情報や、情報処理結果等のデータを受信したり、網情報や情報処理結果の表示処理を行う。なお、網情報管理部120と、ユーザインタフェース部110とは、同じハードウェア内の構成でもよいし、LANやIPネットワーク等で接続されていてもよい。同じハードウェア内であれば、網情報管理部120と、ユーザインタフェース部110との接続には、バス転送等のインタフェースが用いられる。また、LAN(Local Area Network)やIPネットワーク等による接続を前提とした場合には、ソケット通信によるインタフェースが一般的に用いられる。
【0016】
ここで、図3に示すように、網情報管理部120は、ユーザインタフェース部110へデータ送信中に、経路シミュレーション等の情報処理が発生した場合、データ送信をバックグラウンドで実行する。つまり、網管理装置100は、データ送信中に、経路シミュレーション等の情報処理が発生した場合、データ送信と情報処理それぞれに、CPU資源を割り当て、マルチプロセスを実行する。これにより、割り込み処理後、ユーザインタフェース部110にデータがまとめて送信されることがなくなるので、ユーザインタフェース部110が過負荷になることを避けることができる。また、ユーザインタフェース部110は、網情報管理部120から受信したデータ(網情報)を履歴情報115(後記)に記録しておき、この履歴情報115を参照して、未受信のデータを網情報管理部120から受信するようにする。これにより、網情報管理部120から受信するデータ量を削減できるので、ユーザインタフェース部110の処理負荷を低減できる。
【0017】
前記したマルチプロセスについて、図4を用いてさらに説明する。なお、図4において網情報管理部120のネットワークインタフェース部128以外の構成の記載を省略している。また、ユーザインタフェース部110のインタフェース部117、履歴情報115および表示処理部111以外の構成の記載も省略している。
【0018】
網管理装置100の網情報管理部120は、図4に示すように、プロセス1(経路シミュレーション等の割り込み処理)の実行中に、ネットワークインタフェース部128経由で通信ネットワークの網情報を取得すると、この網情報を、ユーザインタフェース部110のインタフェース部117へ送信する(プロセス2)。そして、ユーザインタフェース部110のインタフェース部117は、この網情報を履歴情報115および表示処理部111へ送信する。このとき、従来技術の網管理装置は、割り込み処理(プロセス1)が発生するとデータ送信を中断していたが、本実施の形態の網管理装置100は、データ送信(プロセス2)にもCPU資源の割り当て行い、データ送信処理を続行させる。よって、割り込み処理後、網管理装置100のユーザインタフェース部110にデータがまとめて送信され、ユーザインタフェース部110が過負荷な状態になることを避けることができる。
【0019】
<構成>
次に、図5を用いて、網管理装置100の構成を説明する。網管理装置100は、網情報管理部120と、ユーザインタフェース部110とを備える。網情報管理部120は、通信ネットワークから取得した網情報に基づく経路シミュレーション等の情報処理を行う。ユーザインタフェース部110は、網情報管理部120から出力された網情報や情報処理結果の表示処理を行う。
【0020】
網情報管理部120は、網情報処理部121と、タイマ情報125と、網情報126と、インタフェース部127と、ネットワークインタフェース部128と、バッファ処理部129と、リソース管理部130とを備える。
【0021】
網情報処理部121は、ネットワークインタフェース部128経由で通信ネットワークの網情報を取得し、取得した網情報に基づく経路シミュレーション等の情報処理を行う。そして、網情報処理部121は、この網情報や情報処理結果を、インタフェース部127経由で、ユーザインタフェース部110へ送信する。この網情報処理部121は、網情報取得部122を備える。また、ここでは、この網情報を用いた処理手段として、経路シミュレーション部123、ネットワーク設定部124等を備える場合を例に説明するが、これに限定されない。
【0022】
網情報取得部122は、ネットワークインタフェース部128経由で通信ネットワークから網情報を取得し、網情報126として記憶する。また、この取得した網情報をユーザインタフェース部110からの送信要求に応じて、送信する。なお、この網情報取得部122が、ユーザインタフェース部110へ網情報を送信するとき、タイマ情報125(後記)を参照して、この網情報の種別に応じた間隔で送信する。すなわち、網情報取得部122は、ユーザインタフェース部110から網情報の送信要求を受信した場合において、未送信の網情報があったとき、タイマ情報125から、この網情報のタイマ値を読み出す。そして、ユーザインタフェース部110からの送信要求の受信時刻から、この読み出したタイマ値の時間が経過していれば、この網情報をユーザインタフェース部110へ送信する。一方、まだタイマ値の時間が経過していなければ、網情報取得部122は、まだ網情報が更新されていないことを伝える応答メッセージをユーザインタフェース部110へ送信する。このときの網情報の送信処理の詳細は、図6(b)を用いて後記する。
【0023】
経路シミュレーション部123は、ユーザインタフェース部110からの処理要求に応じて、網情報126を用いて、通信ネットワークの経路シミュレーションを行う。この経路シミュレーションの結果は、インタフェース部127経由で、ユーザインタフェース部110へ送信する。また、ネットワーク設定部124は、ユーザインタフェース部110からの処理要求に応じて、ネットワークインタフェース部128経由で、通信ネットワークの設定処理を行う。そして、その設定処理結果を、インタフェース部127経由で、ユーザインタフェース部110へ送信する。
【0024】
タイマ情報125は、網情報の種別ごとに、当該種別の網情報の送信間隔であるタイマ値を示した情報である。このタイマ値は、例えば、リンクトラヒックに関する網情報等、比較的更新頻度が高いと思われる網情報については、数秒から数分程度の短いタイマ値を設定し、フロー経路情報等の比較的更新頻度が低いと思われる網情報については、数時間程度の長いタイマ値を設定しておく。このタイマ情報125は、網情報取得部122が、ユーザインタフェース部110へ網情報を送信する際に参照される。なお、タイマ情報125において、更新頻度に応じたタイマ値を設定しておくことで、更新頻度が低いと思われる網情報については、ユーザインタフェース部110が網情報管理部120から頻繁に受信することがなくなる。よって、ユーザインタフェース部110が受信するデータ量を削減できる。これにより、ユーザインタフェース部110の処理負荷を低減できる。
【0025】
網情報126は、網情報取得部122により取得された通信ネットワークの網情報である。この網情報は、例えば、ネットワークのトポロジ、リンクトラヒック量、フロー経路情報等である。この網情報126は、経路シミュレーション部123が経路シミュレーションを行うとき等に参照される。
【0026】
インタフェース部127は、網情報管理部120とユーザインタフェース部110との間でデータの送受信を行う際のインタフェースを提供する。
【0027】
ネットワークインタフェース部128は、網情報管理部120と通信ネットワークとの間でデータの送受信を行う際のインタフェースを提供する。このネットワークインタフェース部128は、通信ネットワークとデータを送受信可能な通信インタフェース等により実現される。
【0028】
バッファ処理部129は、ユーザインタフェース部110への網情報の送信が中断したとき、網情報のバッファリングを行い、中断が解消したとき、バッファリングされた網情報を、ユーザインタフェース部110へ送信する。
【0029】
リソース管理部130は、網情報管理部120で行う処理に対し、この網管理装置100の備えるCPU資源(CPUリソース)の割り当てを行う。ここでは、網情報取得部122が、ユーザインタフェース部110から網情報の送信要求を受け付けた場合において、網情報処理部121が、情報処理を実行中であるとき、リソース管理部130は、インタフェース部127による網情報の送信処理に対しても、CPU資源の割り当てを行う。つまり、リソース管理部130は、網情報処理部120による情報処理と、インタフェース部127による網情報の送信処理とのそれぞれに対し、CPU資源の割り当てを行う。つまり、インタフェース部127は、割り当てられたCPU資源を用いて網情報の送信を行い、網情報処理部121は、割り当てられたCPU資源を用いて情報処理を行う。これにより網管理装置100は、網情報の送信処理と、網情報を用いた情報処理とのマルチプロセスを実現する。
【0030】
ユーザインタフェース部110は、網情報管理部120から、網情報や、網情報管理部120による情報処理結果を取得し、この網情報や情報処理結果の表示処理を行う。
【0031】
このようなユーザインタフェース部110は、表示処理部111と、履歴情報115と、要求処理部116と、インタフェース部117とを備える。
【0032】
表示処理部111は、GUI等を備え、要求処理部116からの指示入力に基づき、網情報管理部120から取得した網情報や情報処理結果の表示処理を行う。ここでの表示は、この網管理装置100の外部に接続される外部装置に表示させてもよいし、この網管理装置100の備える表示装置(図示省略)に表示させてもよい。このような表示処理部111は、例えば、トポロジ情報を表示するトポロジ表示部112、リンク使用率を表示するリンク使用率表示部113、フロー経路情報を表示する経路表示部114等を備える。なお、この表示処理部111は、網情報取得部120から、網情報の送信要求に対し、まだ網情報が更新されていないことを伝える応答メッセージを受信したときには、履歴情報115に記憶される過去の網情報の表示処理を行う。
【0033】
履歴情報115は、ユーザインタフェース部110が今まで受信した網情報を、その網情報を取得した日時と対応付けて記憶する。この履歴情報115は、要求処理部116が網情報管理部120に対し、網情報の送信要求を出力するときに、参照される。
【0034】
要求処理部116は、インタフェース部117経由で網情報管理部120へ、網情報の送信要求や、情報処理要求を出力する。ここで、要求処理部116は、網情報管理部120に対し、網情報の送信要求を出力するとき、履歴情報115に記憶される網情報の取得日時を参照し、最新の取得日時以降の網情報の送信要求を出力する。つまり、ユーザインタフェース部110は、網情報管理部120から、ユーザインタフェース部110において未受信の網情報を受信することができる。これにより、従来よりも、網情報管理部120からユーザインタフェース部110へ送信するデータ量を削減できるので、ユーザインタフェース部110の処理負荷を低減できる。
【0035】
なお、網管理装置100は、CPU、記憶部、入出力インタフェース、通信インタフェース等を備えるコンピュータにより実現される。履歴情報115、タイマ情報125および網情報126は、記憶部(図示省略)に記憶される。また、ユーザインタフェース部110および網情報管理部120は、網管理装置100が備えるCPUによるプログラム実行処理、専用回路、通信インタフェースにより実現される。さらに、記憶部は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等の記憶媒体から構成される。なお、網管理装置100をプログラム実行処理により実現する場合、記憶部には、この網管理装置100の機能を実現するためのプログラムが格納される。以下、網管理装置100における割り込み処理が経路シミュレーションである場合を例に説明するが、これに限定されない。
【0036】
次に、図6(a)を用いて、網管理装置100の処理手順を説明する。網管理装置100の網情報管理部120は、ユーザインタフェース部110からのデータ送信要求が発生した場合において(S1)、経路シミュレーション等の割り込み処理が発生したとき(S2のYes)、リソース管理部130は、マルチプロセスを起動させる(S3)。つまり、リソース管理部130は、経路シミュレーション部123における経路シミュレーション等の情報処理のみならず、インタフェース部127による網情報の出力処理に対しても、CPU資源の割り当てを行う。そして、網情報取得部122は、ユーザインタフェース部110へのデータ送信処理を実行し(S4)、経路シミュレーション部123は、経路シミュレーション等の割り込み処理を実行する(S5)。一方、S2において、経路シミュレーション等の割り込み処理が発生していなければ(S2のNo)、S3をスキップし、網情報取得部122は、ユーザインタフェース部110へのデータ送信処理を実行する(S4)。
【0037】
さらに、図6(b)を用いて、網管理装置100における網情報管理部120からユーザインタフェース部110へのデータ送信処理を詳細に説明する。ユーザインタフェース部110において、データ送信要求が発生すると(S11)、網情報管理部120は、送信データの差分抽出を行う(S12)。つまり、ユーザインタフェース部110の要求処理部116は、履歴情報115に記憶される網情報の最新の取得日時を参照して、未受信の網情報は、いつ以降の網情報かを特定し、その未受信の網情報の送信要求を網情報管理部120へ出力する。この送信要求を受信した網情報管理部120の網情報取得部122は、網情報126として蓄積される網情報から、ユーザインタフェース部110による送信要求の網情報を抽出する。そして、網情報取得部122は、抽出した網情報を、その種別ごとに、分ける(S13:データ分離)。例えば、網情報取得部122は、リンクトラヒック量の情報、フローごとのトラヒック量の情報、フローの経路情報等に分ける。そして、網情報取得部122は、その送信データを選択し(S14)、各々のデータ送信処理が完了していれば(S15のYes)、処理を終了し、データ送信処理が完了していなければ(S15のNo)、処理をS16へ進める。
【0038】
網情報取得部122は、タイマ情報125を参照して、選択した送信データのタイマが超過しているか否かを判断する(S16)。すなわち、選択した送信データの種別をもとに、タイマ情報125から、この送信データのタイマ値を読み出す。そして、ユーザインタフェース部110からの送信要求の受信時刻から、この種別の読み出したタイマ値の時間が経過していれば(S16のYes)、データ送信処理を行う(S17)。つまり、この送信データ(網情報)を、インタフェース部127経由でユーザインタフェース部110へ送信する。一方、まだタイマ値に示される時間が経過していなければ(S16のNo)、ユーザインタフェース部127へ、網情報の更新がないことを伝える応答メッセージを送信する(S18)。そして、この応答メッセージを受信したユーザインタフェース部127は、今まで表示していた網情報(履歴情報115に記憶)を用いて表示処理を行う。その後、処理をS14へ戻す。
【0039】
つまり、網管理装置100の網情報管理部120は、図7に示すように、網情報の種別(例えば、リンクのトラヒック量、フローごとのトラヒック量、フローの経路情報等)ごとに設定されたタイマ値をもとに、ユーザインタフェース部110へデータ送信を行う。よって、リンクトラヒック量や、フローごとのトラヒック量等、比較的更新頻度の高い網情報については、短い時間間隔でユーザインタフェース部110へ送信する。一方、フローの経路情報等、比較的更新頻度の低い網情報については、比較的長い時間間隔でユーザインタフェース部110へ送信する。これにより、ユーザインタフェース部110は、比較的更新頻度の低い網情報については、網情報管理部120から頻繁に受信しなくなるので、ユーザインタフェース部110の処理負荷を低減できる。
【0040】
なお、前記したS16において、S14で選択した送信データがタイマ超過をした場合であっても(S16のYes)、前回ユーザインタフェース部110へ送信した送信データからの更新がないときには、このデータを送信しないようにしてもよい。このようにすることで、網情報管理部120は、ユーザインタフェース部110への無駄なデータ送信を省くことができるので、ユーザインタフェース部110の処理負荷をさらに低減できる。
【0041】
また、ユーザインタフェース部110は、網情報管理部120から受信した網情報や情報処理結果に対し、すぐに表示処理を行うようにしてもよいし、記憶部に記憶しておき、外部装置等からの指示入力があったときに表示処理を行うようにしてもよい。つまり、網管理装置100は、外部装置等から、最新の網情報や情報処理結果に基づく表示処理の指示入力があったとき、最新の網情報や情報処理結果に基づく表示処理を行うが、それ以外のときには、記憶部に記憶された過去の網情報や情報処理結果に基づく表示処理を行うようにしてもよい。
【0042】
なお、本実施の形態の網管理装置100は、網情報に基づく情報処理中における、網情報管理部120からユーザインタフェース部110へのデータ送信をマルチプロセスとして実行するものとして説明したがこれに限定されない。例えば、マルチスレッド、マルチCPUで実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
100 網管理装置
110 ユーザインタフェース部
111 表示処理部
112 トポロジ表示部
113 リンク使用率表示部
114 経路表示部
115 履歴情報
116 要求処理部
117,127 インタフェース部
120 網情報管理部
121 網情報処理部
122 網情報取得部
123 経路シミュレーション部
124 ネットワーク設定部
125 タイマ情報
126 網情報
128 ネットワークインタフェース部
129 バッファ処理部
130 リソース管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定期間ごとに通信ネットワークの網情報を取得し、前記取得した網情報を、前記網情報の表示処理を行うユーザインタフェース部からの送信要求に基づき、第1のインタフェース経由で前記ユーザインタフェース部へ送信する網情報取得部と、前記ユーザインタフェース部との間のデータ送受信処理を司る前記第1のインタフェースと、前記ユーザインタフェース部から受信した情報処理要求に基づき、前記網情報を用いた情報処理を実行し、前記情報処理の結果を、前記第1のインタフェース経由で前記ユーザインタフェース部へ送信する網情報処理部と、網情報管理部の各部で行う処理に対しCPU資源の割り当てを行うリソース管理部と、前記ユーザインタフェース部への網情報の送信が中断したとき、前記網情報のバッファリングを行い、前記中断が解消したとき、前記バッファリングされた網情報を、前記第1のインタフェース経由で前記ユーザインタフェース部へ送信するバッファ処理部とを有する前記網情報管理部と、
前記網情報管理部との間のデータ送受信処理を司る第2のインタフェースと、前記第2のインタフェース経由で前記網情報管理部へ、前記網情報の送信要求および前記情報処理要求を送信する要求処理部と、前記第2のインタフェース経由で前記網情報管理部から受信した前記網情報と前記情報処理結果との表示処理を行う表示処理部とを有する前記ユーザインタフェース部とを備える網管理装置であって、
前記網情報取得部が、前記網情報の送信要求を受け付けた場合において、前記網情報処理部が、前記情報処理を実行中であるとき、前記リソース管理部は、前記網情報処理部による前記情報処理と、前記第1のインタフェースによる前記網情報の送信処理とのそれぞれに対し、前記CPU資源の割り当てを行い、
前記第1のインタフェースは、前記割り当てられたCPU資源を用いて前記網情報の送信を行い、
前記網情報処理部は、前記割り当てられたCPU資源を用いて前記情報処理を行うことを特徴とする網管理装置。
【請求項2】
前記ユーザインタフェース部は、
前記網情報管理部から送信された網情報群を、前記網情報それぞれの取得日時とともに示した履歴情報を記憶部に記憶し、
前記要求処理部は、
前記網情報管理部に対し、前記網情報の送信要求を送信するとき、前記履歴情報に記憶される網情報群の取得日時のうち、最新の取得日時以降の前記網情報の送信要求を送信することを特徴とする請求項1に記載の網管理装置。
【請求項3】
前記網情報管理部は、
前記網情報の種別ごとに、前記通信ネットワークにおける当該網情報の更新頻度が少ない可能性が高い網情報ほど長いタイマ値を設定したタイマ情報を記憶部に記憶し、
前記網情報処理部は、前記網情報の送信要求を受信した場合において、未送信の前記網情報があったとき、前記未送信の網情報の種別をキーとして、前記タイマ情報から、前記種別の網情報のタイマ値を読み出し、前記送信要求を受信後、前記読み出したタイマ値の時間が経過した後、前記網情報を前記ユーザインタフェース部へ送信することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の網管理装置。
【請求項4】
所定期間ごとに通信ネットワークの網情報を取得し、前記取得した網情報を、前記網情報の表示処理を行うユーザインタフェース部からの送信要求に基づき、第1のインタフェース経由で前記ユーザインタフェース部へ送信する網情報取得部と、前記ユーザインタフェース部との間のデータ送受信処理を司る前記第1のインタフェースと、前記ユーザインタフェース部から受信した情報処理要求に基づき、前記網情報を用いた情報処理を実行し、前記情報処理の結果を、前記第1のインタフェース経由で前記ユーザインタフェース部へ送信する網情報処理部と、網情報管理部の各部で行う処理に対しCPU資源の割り当てを行うリソース管理部と、前記ユーザインタフェース部への網情報の送信が中断したとき、前記網情報のバッファリングを行い、前記中断が解消したとき、前記バッファリングされた網情報を、前記第1のインタフェース経由で前記ユーザインタフェース部へ送信するバッファ処理部とを有する前記網情報管理部と、前記網情報管理部との間のデータ送受信処理を司る第2のインタフェースと、前記第2のインタフェース経由で前記網情報管理部へ、前記網情報の送信要求および前記情報処理要求を送信する要求処理部と、前記第2のインタフェース経由で、前記網情報管理部から受信した前記網情報と前記情報処理結果との表示処理を行う表示処理部とを有するユーザインタフェース部とを備える網管理装置において、
前記網情報取得部が、前記網情報の送信要求を受け付けた際に、前記網情報処理部が、前記情報処理を実行中である場合、
前記リソース管理部が、前記網情報処理部による前記情報処理と、前記第1のインタフェースによる前記網情報の送信処理とに対し、前記CPU資源の割り当てを行い、
前記第1のインタフェースが、前記割り当てられたCPU資源を用いて前記網情報の送信を行い、
前記網情報処理部が、前記割り当てられたCPU資源を用いて前記情報処理を行うことを特徴とする網管理装置制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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