説明

綿スライバを梱包するシステムおよび方法

【課題】スライバの物理的一体性を維持する一方、輸送がスライバ用ケンス内で行われることを必要とせずに、圧縮状態における効率的輸送を許容すべくスライバを梱包するシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】たとえば綿、合成繊維または合成繊維配合物の繊維スライバを梱包するシステムおよび方法においては、スライバの積層物が投入載置され、投入載置されたスライバは頂部部材と底部部材との間で圧縮され、且つ、上記繊維積層物は上記頂部部材および底部部材と共にストラップ掛けされることで、ストラップ掛けされた繊維梱包物が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取扱いおよび搬送のために例えば綿および/または合成繊維および/または合成繊維配合物の繊維スライバなどの繊維スライバを効率的に梱包(package)するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
綿もしくは合成繊維などの短繊維(staple fiber)から原糸(yarn)を生成するプロセスは習用的に、短繊維の開繊(opening)および精選(cleaning)段階と原糸の紡績(spinning)および巻取り(winding)段階との間の中間段階として、スライバ(sliver)として公知である処の、緩く合着(coalescent)された嵩高い一塊の繊維の形成を含む。スライバにおいて、綿繊維は概略的に長さ方向関係で整列されるが、スライバ単位体はそれ自体の重量に対してさえも、繊維の分離に抗するための撚り合わせもしくは強度を保有していない。
【0003】
製糸業界の熟練者であれば、原糸の品質はスライバの品質に対して直接的に関連することを認識し得よう。たとえば均一な太さ及び密度のスライバは均一で一貫して強力な原糸を形成する一方、瘤(こぶ)(過剰に太い領域)もしくは空隙(更に細い領域)を有するスライバは何よりも先ず、品質の一貫しない原糸を形成する。処理の間において原糸から斯かる欠陥を除去し得るプロセスは開発されているが、これは非効率的なプロセスであることから、スライバにおける欠陥を最小限とすることが望ましい。取扱いの間においてスライバは特に、強度および弾性の欠如の故に、瘤および空隙が導入されやすい。
【0004】
これらの理由のために、従来の主な考えは、スライバの付加的な取扱いおよび移動が必要とされるであろうことから、且つ、スライバに対する習用的な取扱い方法はそれ自体が梱包の解決策を与えるものでないことから、スライバの梱包は困難で望ましくないということであった。しかしこの考えは、近年普及した製造プロセスに適してはいない。すなわち多くの場合、製糸プロセスの一部はひとつの工場にて行われ、第2の部分は別の工場で行われ、第3の部分は更に別の工場で行われる如く、処理工場の各機能を特化させることが更に効率的であると考えられる。故に、スライバの形成などの特定機能が所定の工場に特化されるべきであれば、スライバの搬送が必要なのである。
【0005】
従来、スライバは、処理された嵩高い綿から、練篠機(draw frame)、カード(card)もしくは精梳綿機(comb)を用いて引き出されると共に、プラスチックもしくは他の耐久材料で作成された円筒状のスライバ用ケンス(sliver can)内へと円形列で投入載置される。これらのスライバ用ケンスによればスライバに対して過剰に手を触れること無く大容量のスライバが移動され得るが、斯かるケンスは高価で高重量である。工場の集合施設における異なる建物同士などの様に、踏破されるべき距離が短ければ、それほどの困難性なしでスライバはスライバ用ケンス内とされて搬送され得る。しかし、長距離輸送もしくは海外輸送を利用するなどの様に、踏破されるべき距離が長ければ、ケンスの重量および費用、無負荷のケンスを輸送する必要性、および、復元されたスライバの極めて小さな密度の故に、斯かる輸送は不適切かつ非効率的である。綿の輸送費用に関して概略的に、決定的要因は材料の重量ではなく体積である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
綿繊維を圧縮するベーリング(baling)などの従来方法は、習用の円筒状ケンス内に投入載置されるスライバに対しては非実用的なことが判明している。その理由は、円筒状ケンス内へのスライバの習用の投入載置パターンであって本質的に同心的な円形のスライバ列のパターンは、概ね均一なスライバ密度に帰着しないということである。特に、ケンスの中央におけるスライバの密度は、縁部の近傍におけるスライバの密度よりも大きい。もし円筒状ケンス内のスライバが該ケンスの中央においてスライバの実用的な最大密度まで圧縮されるとすれば、縁部におけるスライバは、結果的な圧縮梱包物の取扱いを許容するに十分なほどに圧縮はされる。しかし、斯かる圧縮は安定した梱包物には帰着しない。故にこれまで、スライバの圧縮は非実用的と思われて来た。
【0007】
結果として、通常の様式は、概ね全ての段階を同一の箇所で行うことで短繊維を処理して原糸とすることである。しかしこれは多くの場合において融通の利かない資本集約的で非効率的な配置構成である、と言うのも、綿繰り機の近傍における(故に綿畑の近傍における)精選およびカーディングなどの一定の作業は製糸業者側で行うことが望まれるが、紡績などの他の作業は労働力もしくは設備のコストが低い地域で行うことが望まれるからである。
【0008】
必要とされるのは、スライバの物理的一体性を維持する一方、輸送がスライバ用ケンス内で行われることを必要とせずに、圧縮状態における効率的輸送を許容すべくスライバを梱包するシステムおよび方法である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の要望に従い、本発明は綿スライバの輸送のために該綿スライバを梱包する方法を包含する。該方法は、概ね長楕円形のスライバ用ケンスの内側に配設された底部キャップ上へと概ね均一な第1密度を有するパターンで上記スライバを布置する段階を含む。次に上記スライバ上には頂部キャップが載置され、且つ、上記頂部および底部キャップに対して圧力が付与されることで上記スライバは上記第1密度よりも概ね大きな第2密度へと圧縮される。好適には、上記各キャップに対して付与される上記圧力は少なくとも22063.23kPa(3200psi)であり且つ相当に高圧とされ得る。
【0010】
上記第2密度において、上記圧縮されたスライバは概ね堅固かつ中実であると共に、瘤もしくは空隙を導入せずに或いはスライバを破損せずに取扱われ得る。上記スライバを上記第2密度に保持するために、上記圧縮されたスライバおよび各キャップはストラップ掛けされて概ね堅固な梱包物を形成する。上記各キャップは好適には、上記ストラップと組み合わされて上記スライバ梱包物の分解を防止するに十分である実質的な剛性を有する段ボール紙、繊維板またはプラスチックなどの材料で形成される。上記各キャップはまた、上記ストラップ掛けの位置を決定してそれを受け入れる凹所を備える。
【0011】
更なる段階において、上記圧縮されたスライバは、該スライバを圧縮する上記段階の一部としてまたはそれに引き続き、上記スライバ用ケンスから押し出され得る。選択的に、上記梱包物は保護用外側カバー内に載置され得る。
【0012】
本発明はまた、連続長さの綿スライバの輸送のために該綿スライバを梱包する方法も包含する。本発明の該方法は、上記スライバを練篠機から引き出す段階と、上記スライバを、長さ方向寸法が幅方向寸法よりも概ね長寸であるという長さ方向寸法および幅方向寸法を有するケンス内へと、概ね均一な非圧縮密度を有するパターンにて布置する段階とを含む。上記ケンスは次に圧縮ベール作成機へと引渡され、且つ、選択的には全体的として22063.23kPa(3200psi)以上の圧力を以て上記スライバは上記ケンスの基部から上方へと押圧されることで圧縮され且つ該スライバは上記ケンスから取出される。上記スライバに対してはストラップが掛けられることで、スライバ梱包物が形成され、且つ、該梱包物の取扱いを可能とすべく選択された所望の圧縮密度にて該梱包物が保持される。
【0013】
更なる段階において、上記スライバの頂部および底部に対しては頂部および底部キャップが装着されることで、圧縮と、該圧縮の保持とが促進される。上記各キャップは好適には、上記ストラップ掛けと組み合わされて上記スライバ梱包物の分解を防止するに十分な剛性を有する段ボール紙、繊維板またはプラスチックなどの材料で形成される。上記各キャップは、上記ストラップ掛けの位置を決定してそれを受け入れる凹所を備え得る。
【0014】
保護のために、上記梱包物は保護用袋体内に載置され得る。
【0015】
本発明は更に、綿スライバの輸送のために該綿スライバを効率的に梱包するシステムを包含する。該システムは、少なくとも一個の長楕円形のスライバ用ケンスと、ベール作成装置と、ストラップ掛け装置とを含む。上記スライバ用ケンスは、幅方向寸法と、該幅方向寸法よりも概ね大きい長さ方向寸法とを有する。該ケンスは、開放頂部を介して投入載置されたスライバを均一密度にて受容すべく且つ蓄積されたスライバの積層物が梱包の間において当該ケンスを介して上方に押圧されるのを許容すべく構成される。
【0016】
上記ベール作成装置は、上記スライバ積層物の底面に対して選択圧力を付与することで該スライバを所望密度へと圧縮すべく構成された少なくとも一本の押し棒を含む。上記ベール作成装置はまた、上記スライバ積層物の頂面に対して反対圧力を付与する第2押し棒、ブロックもしくは他の任意で適切な部材などの手段も含む。
【0017】
上記ストラップ掛け装置は、上記圧縮されたスライバ積層物に対して一本以上のストラップを掛けることで、該圧縮されたスライバ積層物をスライバ梱包物として圧縮状態にて保持する。
【0018】
本発明はまた、スライバを生成する練篠機であって上記ケンス内へのスライバの投入載置を検出する練篠機も包含し得る。また、積荷されたケンスを上記練篠機から上記ベール作成装置へと引渡すコンベアも含まれる。
【0019】
本発明の更なる特徴は、上記ベール作成装置からスライバ梱包物を押圧する手段である。この押圧手段は、スライバ梱包物に対して側方力を付与する液体圧もしくは空気圧ピストンまたはコンベアなどの任意の適切なデバイスを含み得る。
【0020】
本発明の更なる実施例において、効率的輸送に適したスライバ梱包物は、長楕円形の占有面積と概ね均一な初期密度とを有する積層物へと蓄積された概ね連続長さの綿スライバを含む。上記積層物は概ね更に大きい概ね均一な圧縮密度へと圧縮されている。上記積層物の頂部上には頂部キャップが配設され、且つ、上記積層物の底部上には底部キャップが配設される。上記キャップは各々、上記積層物の占有面積と概ね同一の占有面積を有する。上記圧縮された積層物および上記各キャップの回りには該積層物を圧縮状態に保持するために複数本のストラップが配設される。
【0021】
本発明はまた、スライバ引渡しデバイスと、上記引渡しデバイスにより引渡された繊維スライバを受容して収集するスライバ受容手段と、上記収集された繊維スライバを圧縮するデバイスと、該圧縮されたスライバ積層物に対して一本以上のストラップを掛けるデバイスとを備える梱包装置とを備えて成る、繊維スライバを取扱うシステムも提供する。一好適実施例において、上記システムはケンス無しシステムであり、前記スライバ受容手段は、前記引渡しデバイスにより引渡された繊維スライバを自立スライバ積層物の形態で受容する受容表面と;上記スライバを圧縮するデバイスと、上記圧縮されたスライバ積層物に対して一本以上のストラップを掛けるデバイスとを備えて成る梱包装置と;を備えて成る。上記システムの更なる好適特徴は従属請求項29乃至48に示される。
【0022】
別の好適実施例において上記システムは、少なくとも一個のスライバ用ケンスと、投入載置されたスライバを、引き続くストラップ掛けのために上記スライバ用ケンスから取出す手段とを備えて成る。
【0023】
本発明のスライバ梱包物は、上記ストラップ掛けされた積層物に対する保護カバーを含み得る。上記各キャップの少なくとも一方は、繊維板、段ボール紙またはプラスチックで形成され得る。上記ストラップ掛けされた積層物は好適には、合着単位体であるべく十分に堅固である。
【0024】
1番目の発明によれば、綿スライバの輸送のために該綿スライバを梱包する方法であって、概ね均一な第1密度を有するパターンをなして上記スライバを概ね長楕円形のスライバ用ケンスの内側に配設された底部キャップ上に布置する段階と、上記布置されたスライバの頂上に頂部キャップを載置する段階と、上記頂部および底部キャップに対して圧力を付与することで上記スライバを上記第1密度よりも概ね大きな第2密度へと圧縮する段階であって、その結果として圧縮されたスライバは概ね堅固であるという段階と、上記圧縮されたスライバおよび各キャップをストラップ掛けして概ね堅固な梱包物を形成する段階とを備えて成る、綿スライバを梱包する方法が提供される。
2番目の発明によれば、1番目の発明において、前記圧縮されたスライバを前記スライバ用ケンスから押し出す段階を更に備えて成る。
3番目の発明によれば、1番目または2番目の発明において、前記梱包物を保護用外側カバー内に載置する段階を更に備えて成る。
4番目の発明によれば、1番目から3番目のいずれかの発明において、前記各キャップは、前記ストラップ掛けと組み合わされて前記スライバ梱包物の分解を防止するに十分な剛性を有する材料で形成される。
5番目の発明によれば、1番目から4番目のいずれかの発明において、前記各キャップの少なくとも一方は段ボール紙で形成される。
6番目の発明によれば、1番目から5番目のいずれかの発明において、前記各キャップの少なくとも一方は繊維板で形成される。
7番目の発明によれば、1番目から6番目のいずれかの発明において、前記各キャップは、前記ストラップ掛けの位置を決定してそれを受け入れる凹所を備える。
8番目の発明によれば、1番目から7番目のいずれかの発明において、前記各キャップに付与される前記圧力は少なくとも22063.23kPa(3200psi)である。
9番目の発明によれば、連続長さの綿スライバの輸送のために該綿スライバを梱包する方法であって、上記スライバを練篠機から引き出す段階と、概ね均一な非圧縮密度を有するパターンをなして上記スライバを、長さ方向寸法が幅方向寸法よりも概ね長寸であるという長さ方向寸法および幅方向寸法を有するケンス内に布置する段階と、上記ケンスを圧縮ベール作成機へと引渡す段階と、上記ケンスの基部から上方へと上記スライバを加圧することでスライバ端部を圧縮して該スライバを上記ケンスから取出す段階と、上記スライバにストラップを掛けることで、スライバ梱包物を形成し、且つ、該梱包物の取扱いを可能とすべく選択された所望の圧縮密度にて該梱包物を保持する段階とを備えて成る、梱包方法が提供される。
10番目の発明によれば、9番目の発明において、前記スライバに対して頂部および底部キャップを装着することで、圧縮と、該圧縮の保持とを促進する段階を更に備えて成る。
11番目の発明によれば、10番目の発明において、前記各キャップは、前記ストラップ掛けと組み合わされて前記スライバ梱包物の分解を防止するに十分な剛性を有する材料で形成される。
12番目の発明によれば、10番目または11番目の発明において、前記各キャップの少なくとも一方は段ボール紙で形成される。
13番目の発明によれば、10番目または11番目の発明において、前記各キャップの少なくとも一方は繊維板で形成される。
14番目の発明によれば、10番目から13番目のいずれかの発明において、前記各キャップは、前記ストラップ掛けの位置を決定してそれを受け入れる凹所を備える。
15番目の発明によれば、9番目から14番目のいずれかの発明において、前記梱包物を保護用袋体内に載置する段階を更に備えて成る。
16番目の発明によれば、9番目から15番目のいずれかの発明において、前記スライバを加圧する前記段階は前記各キャップに対して少なくとも22063.23kPa(3200psi)にて圧力を付与する段階を含む。
17番目の発明によれば、綿スライバの輸送のために該綿スライバを効率的に梱包するシステムであって、幅方向寸法と、該幅方向寸法よりも概ね大きい長さ方向寸法とを有する長楕円形のスライバ用ケンスであって、開放頂部を介して投入載置されたスライバを均一密度にて受容すべく且つ蓄積されたスライバの積層物が梱包時に当該ケンスを介して上方に押圧されるのを許容すべく構成された長楕円形のスライバ用ケンスと、上記スライバ積層物の底面に対して選択圧力を付与することで該スライバを所望密度へと圧縮すべく構成された少なくとも一本の押し棒を含み、且つ、上記スライバ積層物の頂面に対して反対圧力を付与する手段を含むベール作成装置と、上記圧縮されたスライバ積層物に対して一本以上のストラップを掛けることで、該圧縮されたスライバ積層物をスライバ梱包物として圧縮状態にて保持するストラップ掛け装置とを備えて成る、システムが提供される。
18番目の発明によれば、17番目の発明において、前記スライバを生成し、且つ、該スライバの投入載置を前記ケンス内へと導向する練篠機を更に備えて成る。
19番目の発明によれば、18番目の発明において、積荷されたケンスを前記練篠機から前記ベール作成装置へと引渡すコンベアを更に備えて成る。
20番目の発明によれば、17番目から19番目のいずれかの発明において、前記スライバ梱包物を前記ベール作成装置から押圧する手段を更に備えて成る。
21番目の発明によれば、長楕円形の占有面積と概ね均一な初期密度とを有する積層物へと蓄積されると共に、上記積層物は概ね更に大きい概ね均一な圧縮密度へと圧縮されているという概ね連続長さの綿スライバと、上記積層物の頂部上に配設されると共に、該積層物の占有面積と概ね同一の占有面積を有する頂部キャップと、上記積層物の底部上に配設されると共に、該積層物の占有面積と概ね同一の占有面積を有する底部キャップと、上記圧縮された積層物および上記各キャップの回りに配設されて該積層物を圧縮状態に保持する複数本のストラップとを備えて成る、効率的輸送に適したスライバ梱包物が提供される。
22番目の発明によれば、21番目の発明において、前記ストラップ掛けされた積層物に対する保護カバーを更に備えて成る。
23番目の発明によれば、21番目または22番目の発明において、前記各キャップの少なくとも一方は繊維板で形成される。
24番目の発明によれば、21番目から23番目のいずれかの発明において、前記各キャップの少なくとも一方は段ボール紙で形成される。
25番目の発明によれば、21番目から24番目のいずれかの発明において、前記各キャップの少なくとも一方はプラスチックで形成される。
26番目の発明によれば、21番目から25番目のいずれかの発明において、前記ストラップ掛けされた積層物は合着単位体であるべく十分に堅固である。
27番目の発明によれば、スライバ引渡しデバイスと、上記引渡しデバイスにより引渡された繊維スライバを受容して収集するスライバ受容手段と、上記収集された繊維スライバを圧縮するデバイスと、該圧縮されたスライバ積層物に対して一本以上のストラップを掛けるデバイスとを備える梱包装置とを備えて成る、繊維スライバを取扱うシステムが提供される。
28番目の発明によれば、27番目の発明において、前記スライバ受容手段は、前記引渡しデバイスにより引渡された繊維スライバを自立スライバ積層物の形態で受容する受容表面と、上記スライバを圧縮するデバイスと、上記圧縮されたスライバ積層物に対して一本以上のストラップを掛けるデバイスとを備えて成る梱包装置と、を備えて成る、ケンス無しシステムである。
29番目の発明によれば、27番目または28番目の発明において、前記スライバ積層物上に頂部キャップを載置する手段を更に備えて成り、上記スライバ積層物は上記頂部キャップおよび底部キャップとの間で圧縮されている。
30番目の発明によれば、29番目の発明において、前記受容表面および前記底部キャップの両者として作用し得る部材を備えて成る。
31番目の発明によれば、29番目の発明において、前記繊維スライバは、受容表面としての第1平坦部材上に受容され、且つ、その後に自立スライバ積層物として前記底部キャップ上へと転送される。
32番目の発明によれば、28番目から31番目のいずれかの発明において、前記受容手段の位置は垂直位置において固定される。
33番目の発明によれば、28番目から31番目のいずれかの発明において、前記受容手段は垂直に上昇および下降されるべく配置される。
34番目の発明によれば、28番目から31番目のいずれかの発明において、前記受容手段はコンベア・ベルトの上側表面である。
35番目の発明によれば、28番目から34番目のいずれかの発明において、前記受容手段は前記投入載置されたスライバを移動させる搬送デバイスの一部である。
36番目の発明によれば、35番目の発明において、前記搬送デバイスはキャリッジである。
37番目の発明によれば、35番目または36番目の発明において、前記受容手段は前記搬送デバイス上に配置されたコンベア・ベルトの一部である。
38番目の発明によれば、28番目から37番目のいずれかの発明において、前記引渡しデバイスは回転プレートである。
39番目の発明によれば、28番目から38番目のいずれかの発明において、前記繊維スライバは複数のリング状に投入載置される。
40番目の発明によれば、28番目から39番目のいずれかの発明において、前記スライバ受容手段は水平に前後移動し得る。
41番目の発明によれば、28番目から40番目のいずれかの発明において、収集された前記繊維スライバを投入載置領域から移動させる機械的手段を備えて成る。
42番目の発明によれば、41番目の発明において、前記機械的手段は押圧デバイスもしくは摺動デバイスである。
43番目の発明によれば、28番目から42番目のいずれかの発明において、前記受容手段に対して配備された昇降デバイスを有する。
44番目の発明によれば、43番目の発明において、前記昇降デバイスは、液体圧シリンダ、空気圧シリンダ、開閉式ジャッキ・フレームおよびスプリング要素の内のひとつ以上を備えて成る。
45番目の発明によれば、43番目または44番目の発明において、前記受容手段は揚動用プラットフォームの一部である。
46番目の発明によれば、45番目の発明において、前記揚動用プラットフォームはプレートである。
47番目の発明によれば、45番目の発明において、前記揚動用プラットフォームは、その上側表面上にて、前記収集された繊維スライバの摺動を増進すべく配置構成される。
48番目の発明によれば、28番目から47番目のいずれかの発明において、前記投入載置された繊維スライバは前記投入載置領域から基礎部材へと搬送されるべく配置される。
49番目の発明によれば、27番目の発明において、少なくとも一個のスライバ用ケンスと、投入載置されたスライバ積層物を、引き続くストラップ掛けのために上記スライバ用ケンスから取出す手段とを更に備えて成る。
50番目の発明によれば、49番目の発明において、前記スライバは前記ケンスから取出される前に圧縮され得る。
51番目の発明によれば、49番目または50番目の発明において、前記スライバが前記ケンスから取出された後に該スライバを圧縮する手段を備えて成る。
52番目の発明によれば、49番目から51番目のいずれかの発明において、前記投入載置された繊維スライバを受容すべく前記ケンス内に着脱自在に位置決めされるべく配置された底部キャップを備えて成る。
53番目の発明によれば、頂面と底面とを有すると共に頂部部材と底部部材との間に把持された繊維スライバ積層物を梱包する装置であって、上記頂部部材および底部部材の少なくとも一方に対して圧力を付与して上記スライバ積層物を所望密度に圧縮する手段と、上記圧縮されたスライバ積層物に対して一本以上のストラップを掛けることで該圧縮されたスライバ積層物をスライバ梱包物として圧縮状態にて保持するストラップ掛けデバイスとを備えて成る、梱包装置が提供される。
54番目の発明によれば、27番目から52番目のいずれかの発明、もしくは53番目の発明において、前記繊維スライバは綿および/または合成繊維および/または合成繊維配合物から成る。
55番目の発明によれば、21番目から26番目のいずれかの発明において、前記繊維スライバは綿および/または合成繊維および/または合成繊維配合物から成る。
56番目の発明によれば、28番目から49番目のいずれかの発明において、前記引渡しデバイスは練篠機の一部である。
57番目の発明によれば、28番目から49番目のいずれかの発明において、前記引渡しデバイスはカード機の一部である。
58番目の発明によれば、28番目から49番目のいずれかの発明において、前記引渡しデバイスは精梳綿機の一部である。
59番目の発明によれば、28番目から49番目のいずれかの発明において、前記自立スライバ積層物は長楕円形の占有面積を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下において本発明は図面に示された好適実施例に関して相当に詳細に記述される。
先ず各図面を参照すると図1(a)および図1(b)は夫々、効率的輸送のために圧縮かつバンド掛けされた本発明に係るスライバ梱包物(sliver package)10の斜視図および側面図である。スライバ梱包物10は、長楕円形(oblong)の占有面積を有する積層物へと蓄積される概ね連続長さの綿スライバ12を含む。上記綿スライバの積層物の密度は全体に亙り概ね均一である、と言うのもスライバ原形体(sliver draft)12は、習用システムにおいてスライバが円形占有面積を以て布置されたときに生成される密度と比較して均一な密度を生成すべく設計された複数のオフセット・ループ(offset loop)のパターンで布置されているからである。
【0026】
図1(a)および図1(b)において上記積層物は、スライバ梱包物10の側部14においてスライバ原形体12を破損もしくは阻害せずに該スライバ梱包物10が取扱われ得る様にスライバ梱包物10の側部14が十分に堅固に凝集される如く、概ね更に大きい概ね均一な圧縮密度へと圧縮されている。(以下において相当に詳細に記述されるプロセスにおいて)上記スライバ積層物が最初に布置されるときに該スライバ積層物の密度は均一であることから、上記積層物は頂部および底部からの圧縮力の導入により圧縮可能であり、これにより、圧縮プロセスの全体に亙りスライバ積層物の密度の均一性が維持される。
【0027】
より詳細には圧縮力は、該圧縮力が付与され得る堅固な表面を提供する頂部キャップ16および底部キャップ18に対して付与される。頂部および底部キャップ16、18は好適には、圧縮プロセスに耐えるべく且つスライバ梱包物10を圧縮状態で維持すべく十分な剛性および耐久性を有する繊維板、段ボール紙、プラスチックもしくは他の任意で適切な素材などの材料で形成される。頂部および底部キャップ16、18は、繊維強化プラスチックもしくは他の適切な材料で形成されたストラップもしくはバンド20であって(キャップ16、18を含めて)スライバ梱包物10を包囲すると共にキャップ16、18に対し且つ延いてはスライバ積層物12に対して圧縮力を維持する所定本数のストラップもしくはバンド20により、圧縮箇所に維持される。
【0028】
ストラップ掛けされたスライバ梱包物10は、輸送中にスライバが汚れたり破損することを防止するために、ポリエチレンもしくは他の適切な材料製のカバーを備え得る。スライバ密度の均一性とキャップ16、18により呈される構造的補強との故に、ストラップ掛けされた上記積層物は、概ねスライバに対する破損なしで取扱われ得るという合着単位体であるべく十分に堅固である。スライバ梱包物10が所望箇所まで搬送されたなら該梱包物はストラップ解除されて弛緩され得ると共に、スライバ原形体12は通常通りに更なる製糸作業にて使用され得る。
【0029】
次に図2を参照すると、スライバ用ケンス30が斜視図で示される。該スライバ用ケンスは開放頂部31を有すると共に、(不図示の)練篠機から引き出されたスライバ32であって概ね均一な密度のパターンで布置されて積層物12とされたスライバ32が積荷されている。スライバ用ケンス30は習用の円筒状のスライバ用ケンスと比較して長楕円形であると共に、この長楕円形の形状によればスライバ32は、積層物12の全体に亙り概ね均一な密度を許容するオフセット円形のパターンで布置され得る。スライバ用ケンス30は、後述の操作においてスライバ積層物12が該ケンス30の上方かつ外方に向けて押圧されるのを許容する開孔付き基部34であって、一方で短距離搬送に対してはスライバ積層物12を該ケンス内に保持するに十分な支持を提供する開孔付き基部34を備える。図2において理解され得る如く上記スライバ用ケンスは、幅方向寸法Aと、該幅方向寸法Aよりも概ね長寸である長さ方向寸法Bとを有する。
【0030】
本発明の方法の一部として、長楕円形の占有面積を有する底部キャップ18は充填に先立ち上記スライバ用ケンスの底部に載置され、この底部キャップ18が本発明の方法の生成物であるスライバ梱包物の基部を形成する。次にスライバ32は、ケンス30内で底部キャップ18の頂部上に布置される。上記梱包物の基本要素は、満杯とされたスライバ用ケンス30と、蓄積されて積層物12とされたスライバ32との頂部へと、底部キャップ18と同一の外郭形状を有する頂部キャップ16を載置することで完成される。
【0031】
図2に示された充填済みのスライバ用ケンス30は次に、図3に斜視図で示されるベール作成装置(baler apparatus)40へと搬送される。スライバ用ケンス30は(不図示の)練篠機から、処理のために待ち行列とされた所定数のスライバ用ケンス30に適合し得るコンベア42上へと取り外される。コンベア42は、圧縮区画44と、上昇器区画46と、スライバ梱包物10を押圧する(ピストン48などの)手段と、第2コンベア50(図4乃至図8)とを含むベール作成装置40にて、スライバ梱包物10と、今や無負荷であるスライバ用ケンス30とを収集箇所へと引渡すべく導向される。
【0032】
ベール作成装置40の上記各区画の好適実施例は、図4乃至図5に関して相当に詳細に示される。図4は、圧縮領域44へと投入された充填済みのスライバ用ケンス30を示している。スライバ用ケンス30の基部34における開孔を通して押し棒60が延在し、該押し棒は、底部キャップ18に対し、故にスライバ積層物12に対して上向き力を及ぼすことで、頂部キャップ16とスライバ積層物12とに対して反対圧力を付与する剛性プレート62などの手段62に対してスライバ積層物12を上方に駆動する。圧縮領域44は、積層物12がスライバ用ケンス30から取出されるときに該スライバ積層物の幅方向の膨張および崩壊(分解)を阻止すべく寸法設定される。結果としてスライバ積層物12に対しては、好適とされる約24821.13kPa(3600psi)もしくは他の任意で適切な圧力が付与されることで該スライバ積層物は更に小寸で更に稠密であるが依然として均一的に稠密である合着単位体(coalescent unit)70(図6参照)へと圧縮される。
【0033】
圧縮プロセスの一部として、圧縮に続いて合着単位体70をその圧縮状態に保持するためにスライバ積層物12の回りには一群のストラップ20が載置される。これらのストラップ20は図5においてスライバ積層物12の回りに全く完全には延在していないが、図6に示された如く積層物12が圧縮されるにつれ、各ストラップ20はスライバ積層物12の回りに完全に到達し得ると共に習用様式にて相互に対して締着され得る。各ストラップ20はキャップ16、18も包囲することから、該キャップ16、18は好適には、各ストラップ20を適切な場所に配置する対応凹所17(図1(b))であって梱包物70の不都合な分解を阻止すべく十分なストラップ掛けが所定位置とされるのを確実とする一群の対応凹所17を備える。
【0034】
図7においてスライバ梱包物70は今や、圧縮領域44の上部に着座し且つ、無負荷のケンス72は圧縮領域44の下部に着座している。好適実施例におけるスライバ梱包物70は次にピストン48もしくは他の適切な方法を用いて該梱包物を押圧することで上昇器区画46まで搬送され、且つ、図8において理解され得る如くコンベア50に対する基礎レベルまで下降されることで、梱包物70は収集箇所へと引渡され得る。同様に無負荷のケンス72は、本発明の方法の更なる反復における再使用のために、無負荷のケンスの収集箇所へと引渡され得る。
【0035】
次に図9を参照すると、本発明に係る方法の好適実施例はスライバ梱包物形成プロセスにおける各ステップを示すフローチャートにおいて示される。ステップ100においては、所定の長さ方向寸法および所定の幅方向寸法を有するケンスであって長さ方向寸法は幅方向寸法よりも概ね長寸であるというケンス内へと、長楕円形の外郭形状を有する底部キャップが載置される。換言すると、上記ケンスも長楕円形である。ステップ102においてスライバは、練篠機からスライバ用ケンスの方向へと引き出される。ステップ104においてスライバは、上記底部キャップ上にて、概ね均一で非圧縮密度を有するパターンでケンス内へと布置される。
【0036】
ステップ106において、布置されたスライバ積層物上には頂部キャップが載置される。上記にて言及された如く、十分な剛性を有する材料で形成された上記頂部キャップおよび底部キャップは以下で言及される如きストラップ掛けと組み合わされ、スライバ梱包物の分解を阻止する。斯かる材料としては、段ボール紙、繊維板、プラスチック、または、他の任意で適切な材料が挙げられる。上記各キャップは、それら自体がストラップの位置決定のために凹所形成され得る。
【0037】
ステップ108にて、上記ケンスは圧縮ベール作成機へと引渡される。ステップ110にて上記スライバ積層物は次に上方に向けて押圧され、該積層物は上記キャップから押し出される。圧力は底部から付与され続け;ステップ112ては、上記積層物の頂部に対して反対圧力が付与されることから、該積層物は自身に対する少なくとも22063.23kPa(3200psi)の付与により圧縮される。ステップ114にて、圧縮されたスライバおよび各キャップがストラップ掛けされることで概ね堅固で独立的に安定した梱包物が形成され;且つ、各ストラップは、スライバに対する破損なしで梱包物の取扱いを可能とすべく選択された所望の圧縮密度にて上記梱包物を保持する。ステップ116にて上記スライバ梱包物は収集箇所へと引渡され、輸送のために袋詰めされ又はカバー掛けされ得る。
【0038】
図10(a)および図10(b)に示された実施例においてスライバは、たとえばドイツ、メンヒェングラートバッハ(Moenchengladbach)のTruezschler GmbH & Co. KGにより製造されたHSR 1000(登録商標)高性能練篠機などの高性能練篠機201により吐出される。(不図示の)各ケンスから到来して練篠機構に進入する複数本の繊維スライバは、該機構にて練篠され、該練篠機構から出射した後、組み合わされて一本の繊維スライバを形成する。上記繊維スライバは回転プレート202を通過してから、ケンス無し様式で、矢印CおよびDの方向において前後に移動するキャリッジ203上に配備された基部上にリング状配置にてスライバ積層物204として投入載置される。キャリッジ203は、たとえば機械制御手段などの電子的な制御調整デバイスに接続された(不図示の)制御可能な駆動モータにより駆動される。参照番号210は、スライバ投入載置デバイス(巻取機)に対するカバー・プレートを表し、該カバー・プレートは支持プレート207に接続される。参照符号Fは上記練篠機における作用方向(繊維材料の流れ)を示し、繊維スライバ204は概ね直交方向において回転プレート202により投入載置されている。参照番号208は投入載置領域を示し、参照番号209は投入載置領域208の外側の領域を示している。
【0039】
図10(a)はキャリッジ203の一方の端部位置を示し且つ図10(b)は他方の端部位置を示しており、該キャリッジは繊維スライバ204の投入載置の間において方向C、Dにて回転プレート202の下方で水平に前後移動する。キャリッジ203の上側表面上には、たとえば支柱などの保持機構234a、234bが配置され、その上には、矢印M、Nの方向において当該コンベア・ベルト233の高さが調節され得る様にコンベア・ベルト233が取付けられる。スライバ積層物204は、選択的にはコンベア・ベルト233の上部233a上に配置された(図面では示されない)プレート上にて、上部233a上に投入載置される。スライバの投入載置の間において、上記キャリッジは矢印C、Dの方向に前後移動され得る。スライバ積層物204も同様に、矢印C、Dの方向において回転プレート202の下方において前後移動される。上記キャリッジが図10(a)に示された端部位置に到達した後で該キャリッジ203は矢印Dの方向に移動し、その間において該キャリッジ203は加速され、一定速度で駆動され、その後に制動される。上記キャリッジが図10(b)に示された端部位置に到達した後で該キャリッジ203は矢印Cの方向に後方移動し、その間において該キャリッジ203は加速され、一定速度で駆動され、その後に制動される。前後移動の切換えは、いずれもが図中には示されないという駆動モータと組み合わされた制御デバイスにより達成される。
【0040】
端部位置に到達する毎にコンベア・ベルト233は、(不図示の)駆動モータにより例えば10mmなどの約1本の繊維スライバ厚みだけ方向Mにおいて下方に調節される。図10(b)を参照すると、繊維スライバの投入載置が完了したときに上記ベルトの上部233aは例えば(不図示の)制御式駆動モータにより方向Rに移動されることから、スライバ積層物204’は、並置された例えば搬送トレイなどの概ね同一高さの支持プレート235上へと摺動される。キャリッジ203に臨む支持プレート235の縁部は、たとえば斜面形成、丸み付けなどが行われ得る。上述された如くもしスライバがコンベア・ベルト233上に受容された投入載置用プレート(底部キャップ18)上へと投入載置されているなら、該プレートはスライバ積層物と共に近傍の支持部上へと摺動可能であり、その場合に該支持部は所望であればプレート235を省略し得る。次に、支持プレート235(および/または、もし存在するなら投入載置用プレート)上のスライバ積層物204’の頂部上へと頂部キャップ16が載置され得ると共に、その後に上記スライバは例えば、支持プレート235、もしくは、もし存在するなら(夫々の場合に底部キャップ18として作用する)投入載置用プレート、および、上記頂部キャップを含め、図4乃至図8に関して記述された様式で圧縮かつストラップ掛けされる。
【0041】
上記モータは、揺動無し又は概ね揺動無しの様式で、すなわち円滑にキャリッジ203を駆動する可変速度電気モータである。加速と制動との間における速度は一定である。その手段により、図10(a)および図10(b)に従い投入載置領域208内で前後移動する間、および、投入載置領域208からの外方移動の間のいずれにおいてもスライバ積層物204は確実に安定なままとされる。上記の各移動は、スライバ積層物が滑動せずに、まして転倒などせずに可及的に大きな生産速度が達成される様に制御される。
【0042】
図11に示されたケンス無し(can−free)での投入載置を包含する更なる実施例においては、キャリッジ203上に例えばプレートなどの揚動用プラットフォーム236が配置されるが、該プラットフォームは例えばDE 44 07 849 A1号からそれ自体が公知である様式で保持要素上に取付けられて矢印O、Pの方向に調節され得る。キャリッジ203上には例えば支柱などの支持要素237が配備され、該要素上には、たとえば空気圧シリンダ、スピンドル・デバイスなど適切な制御式駆動要素239により押圧デバイス238が取付けられる。端部位置に到達する毎にプラットフォーム236は、たとえば10mmなどの約1本の繊維スライバ厚みだけ方向Pにおいて下方に調節される。揚動用プラットフォーム236の表面上に対するスライバ束204の投入載置が完了したときに押圧デバイス238はスライバ束204に抗して矢印Sの方向に移動されることから、押圧デバイス238からの直接的接触の結果としてスライバ束204は揚動用プラットフォーム236から支持プレート235上へと押圧される。支持プレート235はスタンド240などに対して着座し、且つ、スライバ積層物204と共にスタンド240の表面から取り上げられ得る。選択的に、支持プレート235の代わりに又は該プレートと共に、投入載置の間においては、投入載置の間においてプラットフォーム236上に受容されるプレート(底部キャップ)であってスライバ積層物と共にスタンド240上へと又は支持プレート235上へと押圧され得るプレート(底部キャップ)が使用され得る。スライバ積層物204’上には頂部キャップが載置され得ると共に、該頂部キャップと支持プレート235または(夫々の場合に底部キャップ218として作用する)投入載置用プレートとの間におけるスライバ積層物204’に対して圧縮力が付与可能であり、これに追随して、図4乃至図8に関して上述された様式で、頂部キャップ204’と底部キャップ218とを備えたスライバ積層物204’のストラップ掛けが行われる。
【0043】
図12の実施例においては、たとえば制御式の空気圧シリンダである揚動要素242a、242bにより矢印T、UおよびV、Wの方向に上昇および下降され得る揚動用プレート241が配備される。揚動用プレート241の表面上にはコンベア・ベルト243が配備され、そのベルト部分は(不図示の)駆動モータおよび制御手段により矢印X、Yの方向に運動され得る。投入載置の間、上記ベルトの上部243aは回転プレート202の下方にて矢印X、Yの方向で前後運動される。上記ベルトの上部243a上に繊維スライバがスライバ積層物204の形態で投入載置された後、上記駆動モータは上記制御手段により、上記ベルトの上部243aが回転プレート202の下方において投入載置領域208からスライバ積層物204を外方移動させ且つそれを支持表面235上へと降荷する如く制御される。選択的に、上記で図10(a)、図10(b)および図11に関して記述されたのと類似の様式で、所望であればスライバはベルト243上に受容された投入載置用プレート(底部キャップ18)上へと投入載置可能であり、次にそれは(選択的に支持表面235を備える)近傍の支持スタンド240へとスライバ積層物と共に転送され得る。降荷されたスライバ積層物204’は次に、頂部キャップの支援により圧縮されると共に、先の各図に関して記述された如くストラップ掛けされ得る。
【0044】
図10(a)、図10(b)、図11および図12は、スライバ用ケンス内に配置された底部キャップ上へとスライバが投入載置されるという配置構成とは対照的に、ケンスを使用せずに所定表面上へとスライバが投入載置され、すなわち、スライバが投入載置される表面は概ね囲繞されないという実施例を示している。斯かるケンス無しでの投入載置方法の利点は、練篠機においては、スライバ積層物204上には圧力が既に及ぼされ得ることからそれが事前圧縮されることである。これらの実施例においてケンスの使用は完全に省略され得る。
【0045】
本発明に関する上記記述説明に鑑みると、当業者であれば、本発明は広範囲な有用性および用途が可能であることを容易に理解し得よう。本明細書中に記述された以外の本発明の多くの実施例および適合例、ならびに多くの変形例、改変例および均等な配置構成は、本発明の本質もしくは有効範囲から逸脱することなく、本発明およびその上記記述から明らかであり又はそれにより合理的に示唆される。故に、本発明は本明細書中において好適実施例に関して詳細に記述されたが、この開示は本発明を例証かつ例示するのみであって単に本発明の完全で可能的な開示を提供するために為されていることは理解される。上記の開示は、本発明を限定すること、または、他の一切の斯かる実施例、適合例、変形例、改変例および均等な配置構成を排除することを意図しておらず且つその様に解釈されるべきでなく、本発明は添付の各請求項およびその均等物によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】(a)本発明に係るスライバ梱包物の概略的斜視図である。 (b)図1(a)におけるスライバ梱包物の側面図である。
【図2】積荷されたスライバ用ケンスの斜視図である。
【図3】本発明に係る梱包システムの斜視図である。
【図4】本発明に係る圧縮方法を示す一連の図である。
【図5】本発明に係る圧縮方法を示す一連の図である。
【図6】本発明に係る圧縮方法を示す一連の図である。
【図7】本発明に係る圧縮方法を示す一連の図である。
【図8】本発明に係る圧縮方法を示す一連の図である。
【図9】本発明に係る圧縮方法を示す概略的フローチャートである。
【図10】(a)ケンス無しでのスライバ投入載置のための搬出デバイスとして、投入載置処置の間に上昇および下降され得るコンベア・ベルトを有する実施例の概略的側面図である。 (b)搬出処置の間における図10(a)の実施例の概略的側面図である。
【図11】ケンス無しでの投入載置機構においてスライバ積層物を交換する押圧デバイスの概略的側面図である。
【図12】ケンス無しでの投入載置の間における前後移動と、搬出とに対する兼用である比較的長寸のコンベア・ベルトの概略的側面図である。
【符号の説明】
【0047】
10 スライバ梱包物
12 スライバ積層物
14 側部
16 頂部キャップ
18 底部キャップ
17 対応凹所
20 ストラップ
30 スライバ用ケンス
31 開放頂部
32 スライバ
34 基部
40 ベール作成装置
42 コンベア
44 圧縮領域
46 上昇器区画
48 ピストン
50 コンベア
60 押し棒
62 剛性プレート
70 スライバ梱包物
72 ケンス
201 高性能練篠機
202 回転プレート
203 キャリッジ
204 スライバ積層物
204’ スライバ積層物
207 支持プレート
208 投入載置領域
218 底部キャップ
233 ベルト
233a 上部
234a、234b 保持機構
235 支持プレート
236 プラットフォーム
237 支持要素
238 押圧デバイス
239 制御式駆動要素
240 支持スタンド
241 揚動用プレート
242a、242b 揚動要素
243 ベルト
243a 上部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライバ引渡しデバイスと、
上記引渡しデバイスにより引渡された繊維スライバを受容して収集するスライバ受容手段と、
上記収集された繊維スライバを圧縮するデバイスと、該圧縮されたスライバ積層物に対して一本以上のストラップを掛けるデバイスとを備える梱包装置とを備えて成る、
繊維スライバを取扱うシステム。
【請求項2】
前記スライバ受容手段は、
前記引渡しデバイスにより引渡された繊維スライバを自立スライバ積層物の形態で受容する受容表面と、
上記スライバを圧縮するデバイスと、上記圧縮されたスライバ積層物に対して一本以上のストラップを掛けるデバイスとを備えて成る梱包装置と、
を備えて成る、
ケンス無しシステムである請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記スライバ積層物上に頂部キャップを載置する手段を更に備えて成る請求項1または2に記載のケンス無しシステムであって、
上記スライバ積層物は上記頂部キャップおよび底部キャップとの間で圧縮されている、ケンス無しシステム。
【請求項4】
前記受容表面および前記底部キャップの両者として作用し得る部材を備えて成る、請求項3記載のケンス無しシステム。
【請求項5】
前記繊維スライバは、受容表面としての第1平坦部材上に受容され、且つ、その後に自立スライバ積層物として前記底部キャップ上へと転送される、請求項3記載のケンス無しシステム。
【請求項6】
前記受容手段の位置は垂直位置において固定される、請求項2乃至5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記受容手段は垂直に上昇および下降されるべく配置される、請求項2乃至5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記受容手段はコンベア・ベルトの上側表面である、請求項2乃至5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記受容手段は前記投入載置されたスライバを移動させる搬送デバイスの一部である、請求項2乃至8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記搬送デバイスはキャリッジである、請求項9記載のシステム。
【請求項11】
前記受容手段は前記搬送デバイス上に配置されたコンベア・ベルトの一部である、請求項9または10に記載のシステム。
【請求項12】
前記引渡しデバイスは回転プレートである、請求項2乃至11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記繊維スライバは複数のリング状に投入載置される、請求項2乃至12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記スライバ受容手段は水平に前後移動し得る、請求項2乃至13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
収集された前記繊維スライバを投入載置領域から移動させる機械的手段を備えて成る、請求項2乃至14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記機械的手段は押圧デバイスもしくは摺動デバイスである、請求項15記載のシステム。
【請求項17】
前記受容手段に対して配備された昇降デバイスを有する、請求項2乃至16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記昇降デバイスは、液体圧シリンダ、空気圧シリンダ、開閉式ジャッキ・フレームおよびスプリング要素の内のひとつ以上を備えて成る、請求項17記載のシステム。
【請求項19】
前記受容手段は揚動用プラットフォームの一部である、請求項17または18に記載のシステム。
【請求項20】
前記揚動用プラットフォームはプレートである、請求項19記載のシステム。
【請求項21】
前記揚動用プラットフォームは、その上側表面上にて、前記収集された繊維スライバの摺動を増進すべく配置構成される、請求項19記載のシステム。
【請求項22】
前記投入載置された繊維スライバは前記投入載置領域から基礎部材へと搬送されるべく配置される、請求項2乃至21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
少なくとも一個のスライバ用ケンスと、
投入載置されたスライバ積層物を、引き続くストラップ掛けのために上記スライバ用ケンスから取出す手段とを更に備えて成る、請求項1記載のシステム。
【請求項24】
前記スライバは前記ケンスから取出される前に圧縮され得る、請求項23記載のシステム。
【請求項25】
前記スライバが前記ケンスから取出された後に該スライバを圧縮する手段を備えて成る、請求項23または24に記載のシステム。
【請求項26】
前記投入載置された繊維スライバを受容すべく前記ケンス内に着脱自在に位置決めされるべく配置された底部キャップを備えて成る、請求項23乃至25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
頂面と底面とを有すると共に頂部部材と底部部材との間に把持された繊維スライバ積層物を梱包する装置であって、
上記頂部部材および底部部材の少なくとも一方に対して圧力を付与して上記スライバ積層物を所望密度に圧縮する手段と、
上記圧縮されたスライバ積層物に対して一本以上のストラップを掛けることで該圧縮されたスライバ積層物をスライバ梱包物として圧縮状態にて保持するストラップ掛けデバイスとを備えて成る、
梱包装置。
【請求項28】
前記繊維スライバは綿および/または合成繊維および/または合成繊維配合物から成る、請求項1乃至26のいずれか一項に記載のシステムまたは請求項27記載の装置。
【請求項29】
前記引渡しデバイスは練篠機の一部である、請求項2乃至23のいずれか一項に記載のケンス無しシステム。
【請求項30】
前記引渡しデバイスはカード機の一部である、請求項2乃至23のいずれか一項に記載のケンス無しシステム。
【請求項31】
前記引渡しデバイスは精梳綿機の一部である、請求項2乃至23のいずれか一項に記載のケンス無しシステム。
【請求項32】
前記自立スライバ積層物は長楕円形の占有面積を有する、請求項2乃至23のいずれか一項に記載のケンス無しシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−84150(P2007−84150A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−345841(P2005−345841)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(590002323)ツリュツラー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト (85)
【Fターム(参考)】