説明

総合感冒薬組み合わせ製剤

【課題】
感冒の治療方針に従い、及び治療をしながらのQOL(Quality of Life)の向上を目的とした総合感冒薬を提供する。
【解決手段】
抗ヒスタミン剤を第1の用量で処方した第1の総合感冒薬と、該抗ヒスタミン剤を第1の用量とは異なる第2の用量で処方した第2の総合感冒薬とを含む総合感冒薬組み合わせ製剤を提供する。好ましくは、第1の用量1重量部に対して、第2の用量が1.2〜4.5重量部である総合感冒薬組み合わせ製剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感冒の治療方針に従い、及び治療をしながらのQOL(Quality of Life)の向上を目的とした総合感冒薬組み合わせ製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
インフルエンザなどの重篤な感染症を除く一般かぜ症候群は、くしゃみ、鼻水、咳、痰、発熱、頭痛などの多岐にわたる愁訴を呈する。感冒治療において、感染症候群の治療とともに、該症候群の治癒及び改善並びにQOLの向上の両面からこの愁訴改善に対する治療が重要な位置を占めている。また、一般かぜ症候群では、罹患初期に愁訴を軽減することが安静・安眠、食欲増進又は精神的苦痛の軽減などの治癒能力を向上する上で重要である。この意味で、一般かぜ症候群に対する対症療法薬として、または重篤化及び慢性化の予防を推進するための一般用医薬品として、総合感冒製剤が汎用されている。
【0003】
しかし、罹患者の多くは、総合感冒製剤を服用しながら、日常の生活を営む。その際、昼間では業務又は学娩集中、自動車の運転、精密・危険業務への従事等を避け得ないし、さらに夜間では愁訴からの安静・安眠が治療効果を上げるためには必要である。総合感冒製剤においてもこれらを満足する、よりQOL向上の治療方針が現代では必要となりつつある。
【0004】
総合感冒薬は厚生労働省により配合剤に関するガイドラインが既に設定されている。これを応用して、QOLの向上を目的とし、市販では中枢興奮薬であるカフェインが朝及び昼用に配合処方され、一方、夜間用に配合処方されていない総合感冒組み合わせ製剤が既に上市されている。しかし、カフェインの処方の有無だけでは抗ヒスタミン剤からもたらされる昼間の就業又は活動中の催眠の副作用は回避できないし、交通又は業務上の事故に対するリスクも軽減できない。また、かぜ罹患時では、愁訴による夜間の安静・安眠又は睡眠導入の障害、熟眠度の低下が、罹患期間の延長又は罹患の悪化を招くため、抗ヒスタミン剤の催眠作用が有効である。
【0005】
従来の総合感冒薬は、解熱鎮痛成分、抗ヒスタミン成分、鎮咳成分、去痰成分又は気管支拡張成分等を含有し、同じ処方のものを例えば1日3回又は1日2回服用することになっており、かぜ罹患時特有の上述の状況を考慮していない。従来の総合感冒薬の多くは、くしゃみ、鼻水を抑制する成分として抗ヒスタミン剤が処方されているが、その副作用として眠気、催眠作用が問題となっている。これらの理由から、上述の夜間用の配合処方では、中枢興奮薬であるカフェインを含有していない。
【0006】
他方、海外では抗ヒスタミン剤の有無を組み合わせた感冒薬組み合わせ製剤が市販されている。これは、抗ヒスタミン剤が催眠作用のある成分として朝及び昼用に配合処方されず、一方夜間用に配合処方されている感冒薬組み合わせ製剤である。しかし、これでは昼間のくしゃみ、鼻水が効果的に抑えられず、かぜ罹患時の日常生活を妨げることとなる。
【0007】
【特許文献1】国際公開第2003/049680号パンフレット(特表2005−511711号公報に対応する)
【特許文献2】特開2004−210750公報
【非特許文献1】桂戴作、医学と薬学、第24巻、3号、1990年、第795−817頁
【非特許文献2】Rickels K., The Journal of Clinical Pharmacology、第23巻、1983年、第235−242頁
【非特許文献3】ノバルティスファーマ株式会社、医薬品インタビューフォーム(タベジール散・タベジールシロップ)
【非特許文献4】旭化成ファーマ株式会社、医薬品インタビューフォーム(ゼスラン錠)
【非特許文献5】工藤、臨床医薬、第5巻、5号、第1047−1074頁
【非特許文献6】Abraham Sunshine, The Journal of Clinical Pharmacology、第18巻、1987年、第425−431頁
【非特許文献7】亀井千晃、薬理と治療、第27巻、5号、1999年、第777−781頁
【非特許文献8】薬事審査研究会、一般用医薬品製造(輸入)承認基準、じほう、平成12年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
カフェインが朝用及び/又は昼用に配合処方され、一方夜用及び/又は就寝前用に配合処方されていない総合感冒組み合わせ製剤では、朝、昼間においてカフェインが中枢神経興奮の作用を引き立て、かつ就寝前においてカフェインが配合処方から外されていることから、カフェインによる中枢興奮作用を除去する点では合理的である。しかし、抗ヒスタミン剤の催眠作用を抑制、除去する、又は就寝・安静作用を積極的に利用する点では消極的である。
【0009】
また、抗ヒスタミン剤が朝用及び/又は昼用に配合処方されず、一方夜用及び/又は就寝前用に配合処方された総合感冒組み合わせ製剤では、朝、昼間においてくしゃみ、鼻水、鼻づまりの症状を効果的に抑えることができない。
【0010】
従って、抗ヒスタミン剤の催眠作用の発現を有効に利用し、さらにカフェインの作用を際だたせ、総合感冒薬の有用性をQOLの観点から向上する新規の組み合わせ製剤が望まれている。
【0011】
抗ヒスタミン剤は、血管、平滑筋などに存在するH1受容体との結合において、ヒスタミンと拮抗する薬剤である。抗ヒスタミン剤は、皮膚疾患に伴うそう痒、蕁麻疹、アレルギー性鼻炎、くしゃみ、鼻水に対して効能・効果を示す。抗ヒスタミン剤は、総合感冒薬において、感冒症候群のくしゃみ、鼻水、鼻づまりへの対症療法薬として処方される。
【0012】
抗ヒスタミン剤は従来から副作用として催眠作用が問題視されているが、その催眠作用を利用した技術として以下が知られている。
【0013】
特許文献1は、抗ヒスタミン剤を鎮静性抗ヒスタミン剤と非鎮静性抗ヒスタミン剤とに分類し、その組み合わせた組成物を開示し、非鎮静性抗ヒスタミン剤を遅延放出とし、1日1回投与を目的とするが、抗ヒスタミン剤の催眠作用の用量依存性に着目した組み合わせ製剤を開示しない。
【0014】
特許文献2は、生体リズムに基づき処方が異なる2種類以上の製剤のキットを開示する。特許文献2では眠気を催す成分として抗ヒスタミン剤が挙げられているが、抗ヒスタミン剤の催眠作用の用量依存性に着目していない。さらに、特許文献2は昼夜の生体リズムに基づいた製剤の処方を目的としているが、かぜ罹患時特有の症状を考慮していない。
【0015】
抗ヒスタミン剤の催眠作用を主作用とした製剤はすでに存在し、一般医薬品として市販されている。ドリエル(製造販売元;エスエス製薬株式会社)は抗ヒスタミン剤である塩酸ジフェンヒドラミンを主成分とした睡眠改善薬である。塩酸ジフェンヒドラミンは抗ヒスタミン作用のほかに、強い催眠作用を示すことが知られている[非特許文献1を参照]。塩酸ジフェンヒドラミンの催眠作用については、Rickels K.が臨床試験を実施しており、就眠前の服用が各睡眠パラメーターを有意に改善することを報告している[非特許文献2を参照]。
【0016】
このように、抗ヒスタミン剤の催眠作用を製剤へ利用した例は上記の通り存在するが、抗ヒスタミン剤の催眠作用の用量依存性に着目し、それを組み合わせ製剤への処方に適用した例はこれまでに存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、抗ヒスタミン剤の催眠作用の用量依存性に着目し、同一の抗ヒスタミン剤を異なる用量で処方した総合感冒薬を含む総合感冒薬組み合わせ製剤とすることで、感冒の治療方針に従い、及び治療をしながらのQOLの向上を目的とした総合感冒薬組み合わせ製剤を提供することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、同一の抗ヒスタミン剤を異なる用量で処方した総合感冒薬2種を含む総合感冒薬組み合わせ製剤である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、従来の総合感冒薬に比べて、感冒の治療方針に従い、及び治療をしながらのQOLをより向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
抗ヒスタミン剤
抗ヒスタミン剤とは、血管、平滑筋などに存在するH1受容体との結合において、ヒスタミンと拮抗する作用、すなわち抗ヒスタミン作用を有する薬理学的に許容可能な化合物をいう。さらに、広義には、ヒスタミンを含むケミカルメディエーターの遊離抑制、及び拮抗作用、すなわち、抗アレルギー作用を有する薬理学的に許容可能な化合物を含めてよい。
【0020】
抗ヒスタミン剤として、ジフェニルピラリン、メブヒドロリン、メキタジン、dl−クロルフェニラミン、フェニラミン、トリプロリジン、トンジルアミン、メトジラジン、カルビノキサミン、アリメマジン、クレマスチン、プロメタジン、ケトチフェン、イソチペンジル、d−クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、トリペレナミン、シプロヘプタジン、ジフェテロール、ホモクロルシクリジン、フェネタジン若しくはイプロヘプチン又はそれらの製薬学的に許容しうる塩を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0021】
製薬学的に許容しうる塩として、塩酸、サリチル酸、ジフェニルスルホン酸、酒石酸、タンニン酸、テオクル酸、ナパジシル酸、メチレン二サリチル酸、マレイン酸、リン酸、又はフマル酸を挙げることができるが、これらに限定されない。例えば、塩酸ジフェニルピラリン、テオクル酸ジフェニルピラリン、ナパジシル酸メブヒドロリン、dl−マレイン酸クロルフェニラミン、マレイン酸フェニラミン、塩酸トリプロリジン、塩酸トンジルアミン、塩酸メトジラジン、ジフェニルジスルホン酸カルビノキサミン、マレイン酸カルビノキサミン、酒石酸アリメマジン、フマル酸クレマスチン、塩酸プロメタジン、プロメタジンメチレンジサリチル酸、フマル酸ケトチフェン、塩酸イソチペンジル、d−マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、サリチル酸ジフェンヒドラミン、タンニン酸ジフェンヒドラミン、フマル酸ジフェンヒドラミン、塩酸トリペレナミン、塩酸シプロヘプタジン、塩酸ジフェテロール、リン酸ジフェテロール、塩酸ホモクロルシクリジン、塩酸フェネタジン、タンニン酸フェネタジン、塩酸イプロヘプチンを挙げることができる。
【0022】
フマル酸クレマスチン、メキタジンはスイッチOTC薬であり、それぞれ1987年、1993年に感冒薬(一般用医薬品)への配合が承認された。フマル酸クレマスチン、メキタジンは薬理学的研究により、抗ヒスタミン作用が持続的である特徴がある[非特許文献3、4]。
【0023】
本発明で云う抗ヒスタミン剤は、抗アレルギー薬に分類されているが抗ヒスタミン作用も有する薬剤も含む。アレルギー疾患治療に用いられる薬剤には、抗アレルギー作用に加え抗ヒスタミン作用を有する薬剤も多い。その例として、アゼラスチン、エバスチン、エピナスチン、エメダスチン、オキサトミド、オロパタジン、ケトチフェン、セチリジン、フェキソフェナジン、ベポタスチン若しくはロラタジン、又はそれらの製薬学的に許容しうる塩を挙げることができるが、これらに限定されない。これら薬剤は、主としてアレルギー治療剤として使用されるが、その薬理作用に抗ヒスタミン作用を有する。この抗ヒスタミン作用を期待して、本発明の総合感冒薬に抗ヒスタミン剤として処方してよい。さらに、これらのアレルギー治療剤は副作用として眠気も報告されており、その催眠作用を期待して本発明に使用してもよい。フマル酸ケトチフェンは2005年に点鼻薬(一般医薬品)への配合が承認されたスイッチOTC薬である。
【0024】
総合感冒薬
本発明の「総合感冒薬」とは、かぜ薬製造(輸入)承認基準(非特許文献8を参照)に基づき、かぜ症候群に用いるために調整された内服用の薬剤であって、漢方処方に基づく製剤及び生薬のみよりなる製剤を除いたものをいう。従って、鼻かぜ、感冒時の頭痛、かぜの咳等、かぜに関する効能又は効果を謳う薬剤であって、抗ヒスタミン剤を配合したものは本発明の総合感冒薬に該当する。
【0025】
本発明の総合感冒薬は、抗ヒスタミン剤の他に、好ましくは解熱鎮痛成分、鎮咳成分、去痰成分、気管支拡張成分、消炎酵素成分、鎮咳去痰成分、解熱鎮痛・抗炎症成分、副交感神経遮断成分又は交感神経興奮成分のいずれか1以上をさらに含む。
【0026】
解熱鎮痛成分として、アスピリン、アセトアミノフェン、エテンザミド、サザピリン、サリチルアミド、ラクチルフェネチジン、イソプロピルアンチピリン、イブプロフェン、又はそれらの製薬学的に許容しうる塩を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0027】
鎮咳成分として、アロクラミド、クロペラスチン、ペンタトキシベリン(カルベタペンタン)、チペピジン、ジブナート、デキストロメトルファン、コデイン、ジヒドロコデイン、ノスカピン、メチルエフェドリン、ジメモルファン又はそれらの製薬学的に許容しうる塩を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0028】
去痰成分として、チペピジン、メチルエフェドリン、グアヤコールスルホン酸、グアイフェネシン又はそれらの製薬学的に許容しうる塩を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0029】
気管支拡張成分として、メチルエフェドリン又はそれらの製薬学的に許容しうる塩を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0030】
本発明の総合感冒薬は、消炎酵素成分として例えばリゾチーム、セラペプターゼ、セミアルカリプロティナーゼ、ブロメライン又はそれらの製薬学的に許容しうる塩、鎮咳去痰成分として例えばクレゾールスルホン酸、ブロメライン、ブロムヘキシン、セミアルカリプロティナーゼ、カルボシステイン、エプラジノン、セラペプターゼ、トラネキサム酸、ジメモルファン、エチルシステイン又はそれらの製薬学的に許容しうる塩、解熱鎮痛・抗炎症成分として例えばトラネキサム酸、副交感神経遮断成分として例えばベラドンナ総アルカロイド、交感神経興奮成分としてフェニルプロパノールアミン又はそれらの製薬学的に許容しうる塩のいずれか1以上をさらに含んでよい。
【0031】
本発明の総合感冒薬は、カフェイン類をさらに配合してもよい。カフェイン類としては、無水カフェイン、カフェイン又はそれらの製薬学的に許容しうる塩を挙げることができるが、これらに限定されない。カフェイン類は抗ヒスタミン剤の催眠作用を抑制、除去する目的で配合してもよいし、カフェイン類の中枢興奮作用を目的とし配合してもよい。従って、カフェイン類は、好ましくは朝用及び/又は昼用の総合感冒薬に処方される。一方、カフェイン類は安静、安眠を目的として、または抗ヒスタミン剤の催眠作用を十分に発揮させる目的で配合しなくてもよく、好ましくは夜用及び/又は就寝前用の総合感冒薬に処方されない。
【0032】
本発明の総合感冒薬剤形として、錠剤、カプセル剤、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤(粉末剤)、チュアブル剤又はシロップ剤(内用液剤)、ドライシロップ剤、トローチ剤、液剤、カプレット剤、ゼリー剤、徐放剤、又は速溶剤を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0033】
総合感冒薬組み合わせ製剤
本発明の「総合感冒薬組み合わせ製剤」とは、医薬品製造指針に基づき、配合成分を分ち、それぞれを組み合わせた一個の医薬品のことをいう。通常一個の医薬品は一つの製剤とすることが原則であって、二つ以上の製剤を組み合せて一個の医薬品とすることは適当と認められず、承認されない。しかし、配合成分を分ち、それぞれを組み合せて一個の医薬品とすることが必要であり、かつその組み合わせが合理的である場合について、例外的にこの種の剤型、すなわち組み合わせ製剤が認められている。組み合わせ製剤の例として、上述したカフェインの処方の有無の総合感冒薬を組み合わせた製剤以外に、ヘリコバクター・ピロリ除菌用組み合わせ製剤がある。胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリの除菌には、ランソプラゾール、アモキシシリン及びクラリスロマイシンの3剤併用が臨床の場で実施されてきたが、3剤併用の除菌療法においては、不完全な除菌による耐性菌出現、副作用の増加等の問題につながるおそれがあり、定められた用法・用量を遵守する必要性があった。そこで、用法・用量の遵守をより確実にするために、3製剤の1日服用分を1シートにまとめた組み合わせ製剤が承認されている(製品名 ランサップ400、ランサップ800、武田薬品工業株式会社)。
【0034】
本発明の総合感冒薬組み合わせ製剤とは、例えば、同一の抗ヒスタミン剤について異なる用量を夫々処方した総合感冒薬を一日服用量分、又は数日服用量分としてまとめ組み合わせた製剤、すなわち抗ヒスタミン剤を第1の用量で処方した第1の総合感冒薬と、該抗ヒスタミン剤を第1の用量とは異なる第2の用量で処方した第2の総合感冒薬とを含む総合感冒薬組み合わせ製剤をいう。好ましくは、第1の用量1重量部に対して、第2の用量が1.2〜4.5重量部、より好ましくは1.5〜4.0、さらに好ましくは1.75〜4.0である。このように、本発明の総合感冒薬組み合わせ製剤は、同一の抗ヒスタミン剤について異なる用量を配合し、抗ヒスタミン剤の催眠作用の用量依存性に基づき、第1の総合感冒薬は催眠作用が少なく、第2の総合感冒薬は催眠作用が多い総合感冒薬組み合わせ製剤である。第1の用量1重量部に対して、第2の用量を1.2〜4.5重量部としたのは、抗ヒスタミン剤の承認基準値(感冒薬、鎮咳去痰剤、鼻炎薬)内での最大値が4.4(プロメタジンメチレンジサリチル酸塩)まで可能であり、感冒薬の承認基準値内での最小値が1.33(塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸トンジルアミン)まで可能であるためである。
【0035】
かぜ薬製造(輸入)承認基準では、各抗ヒスタミン剤の1日最大分量、下限配合量が定められている。抗ヒスタミン剤の配合量の下限は、1日最大分量の1/2である。下限配合量の場合、1回量は1日最大分量の1/2×1/3(1日3回として)即ち1/6量とすることができる。この1日最大分量の1/6量を第1の用量とし、1日最大分量から第1の用量の2回分(朝、昼の2回分)を引いた値、即ち1日最大分量の4/6量を第2の用量とすることもできる。この場合、第1の用量1重量部に対して、第2の用量は、4重量部(1/6:4/6)である。
また、鎮咳去痰薬製造(輸入)承認基準、鼻炎用内服薬製造(輸入)承認基準及び鎮暈薬製造(輸入)承認基準(非特許文献8を参照)では、別途、各抗ヒスタミン剤の一日最大分量、一回最大分量が定められている。かぜ薬においても、それらの一回最大分量を超えて、抗ヒスタミン剤を配合することは妥当ではない。鎮咳去痰薬製造(輸入)承認基準、鼻炎用内服薬製造(輸入)承認基準、鎮暈薬製造(輸入)承認基準における各抗ヒスタミン剤の1回最大用量を、第2の用量とすることもできる。その場合、第1の用量はかぜ薬製造(輸入)承認基準の範囲内で第1の用量1重量部に対して、第2の用量を1.2〜4.5重量部となるように設定することもできる。
例えば、塩酸トンジルアミンの一回最大分量は鎮咳去痰薬製造(輸入)承認基準で20mgであり、かぜ薬の一日最大分量は50mgである。よって、第1の用量を15mgとし(1日3回として)、第2の用量を20mgとすることもできる。この場合、第1の用量1重量部に対して、第2の用量は、1.33重量部(15:20)である。
各抗ヒスタミン剤の設定し得る第1の用量と第2の用量の重量比は、各抗ヒスタミン剤の医薬・製薬学的に許容される範囲、又は、製造(輸入)承認基準範囲内で求めることができる。例えば、許容され得る最大の重量比は、抗ヒスタミン剤の1回最大分量/一回下限分量で求めることができる。一回最大分量とは、例えば、鎮咳去痰薬製造(輸入)承認基準、鼻炎用内服薬製造(輸入)承認基準、鎮暈薬製造(輸入)承認基準の抗ヒスタミン剤の一回最大分量とすることもできる。一回下限分量は、例えば、前述のようにかぜ製造(輸入)承認基準の1日最大分量の1/6としてもよい。
【0036】
さらに効果的にする目的で、第1の総合感冒薬がカフェイン類を含み、第2の総合感冒薬がカフェイン類を含まないような総合感冒薬組み合わせ製剤でもよい。本発明の総合感冒薬組み合わせ製剤において、第1の総合感冒薬が朝用及び/又は昼用であり、第2の総合感冒薬が夜用及び/又は就寝前用である。
【0037】
総合感冒薬組み合わせ製剤の包装形態として、総合感冒薬の形態に対応させるようにした包装体であれば特に限定されないが、例えば薬剤が錠剤である場合、該錠剤を入れるアルミ又はPTPシートであり、顆粒剤である場合、該顆粒剤を入れる小袋である。これらアルミ又はPTPシート、小袋はさらにピロー包装されて、外箱にいれられうる。本発明の一実施態様として、経口投与に適用される総合感冒薬組み合わせ製剤であって、一日分である一包装単位中に、経口投与するように決められた第1の総合感冒薬と第2の総合感冒薬を含み、それらはその包装単位中に空間的に分離され、個々に取り出すことができるように納められており、第1の総合感冒薬は抗ヒスタミン剤の第1の用量を含み、第2の総合感冒薬は前記抗ヒスタミン剤の第2の用量を含み、第1の用量1重量部に対して、第2の用量が1.2〜4.5重量部である、総合感冒薬組み合わせ製剤が提供される。
【0038】
また、上記第1の用量と上記第2の用量の配合比は以下のように決めてもよい。
かぜ薬製造(輸入)製造承認基準では、抗ヒスタミン剤の一日最大分量が定められている。例えば、dl-マレイン酸クロルフェニラミンの一日最大分量7.5mg、d−マレイン酸クロルフェニラミンの一日最大分量3.5mg、等である。また、抗ヒスタミン剤の配合量の下限は、一日最大分量の1/2と定められている。すなわち、抗ヒスタミン剤の一日配合量は、下限である一日最大分量の1/2から一日最大分量の範囲で設定できる。例えば、dl−マレイン酸クロルフェニラミンでは、3.75mgから7.5mg、d−マレイン酸クロルフェニラミンでは1.75mgから3.5mgである。
また、かぜ薬製造(輸入)承認基準に記載のない抗ヒスタミン剤では、医薬製薬学的に許容される範囲で一日配合量を設定してもよい。例えば、メキタジン、フマル酸クレマスチン等は、スイッチOTC薬であり、これらが配合された総合感冒薬が市販されている。これらは、それぞれ、一日量当り、4mg、1.34mg(クレマスチンとして1mg)が含有されている。そして、設定した抗ヒスタミン剤の一日配合量を、1対1.2〜4.5重量部の比(第1の用量と第2の用量の配合比)となるように分配してもよい。例えば、単純には、朝用:昼用:夜用に一日配合量の1/4:1/4:1/4(朝昼用:夜用=1:2)、1/5:1/5:3/5(朝昼用:夜用=1:3)、2/7:2/7:3/7(朝昼用:夜用=1:1.5)である。
【0039】
催眠作用の用量依存性
抗ヒスタミン剤の催眠作用の用量依存性とは、例えば以下の(1)、(2)のようなことを云うが、これらに限定されない。
(1)臨床試験による塩酸ジフェンヒドラミンの催眠作用の用量依存性
非特許文献5では、睡眠障害を訴えた142例を対象に1回用量25mg〜75mgのfixed-flexible法で塩酸ジフェンヒドラミンの睡眠障害に対する有用性を報告している。塩酸ジフェンヒドラミンの投与量を変更した症例について、寝つき、眠りの深さ、睡眠時間等の改善率を比較したところ、25mgから50mgへの増量で改善率41.2%から88.2%への著しい効果の上昇が認められ、50mgから75mgへの増量でも改善率53.8%から61.5%への効果の上昇が認められたことが記載されている。
非特許文献6は、不眠症患者を対象に塩酸ジフェンヒドラミンの催眠作用の効果を検討した文献である。塩酸ジフェンヒドラミンの投与量12.5mgから50mgまでで用量依存的な効果の上昇が認められたことを報告している。
このように抗ヒスタミン剤である塩酸ジフェンヒドラミンの投与量を増大することにより、睡眠障害の改善率の上昇、催眠作用の増強が観られることを、催眠作用の用量依存性という。このような例は塩酸ジフェンヒドラミンに限定されるものではない。
(2)動物実験による塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミンの催眠作用の用量依存性
【0040】
非特許文献7は、ラットを対象に塩酸ジフェンヒドラミン、d−マレイン酸クロルフェニラミンの睡眠に至るまでの時間ならびに睡眠持続時間について調べた文献である。睡眠に至るまでの時間は、塩酸ジフェンヒドラミンでは、投与量を2mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、20mg/kgに増大することにより、各々約60分、約50分、約45分、約30分にまで短縮され、d−マレイン酸クロルフェニラミンでは、投与量を2mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、20mg/kgに増大することにより、各々約60分、約50分、約40分、約30分にまで短縮したことが記載されている。また、睡眠持続時間は、塩酸ジフェンヒドラミンでは、投与量を2mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、20mg/kgに増大することにより、各々約30分、約40分、約150分、約200分に延長し、d−マレイン酸クロルフェニラミンでは、投与量を2mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、20mg/kgに増大することにより、各々約30分、約150分、約200分、約270分に延長したことが記載されている。
【0041】
このように抗ヒスタミン剤である塩酸ジフェンヒドラミン、d−マレイン酸クロルフェニラミンの投与量を増大することにより、睡眠に至るまでの時間が短縮され、睡眠持続時間が延長されるようなことを催眠作用の用量依存性という。このような例は、塩酸ジフェンヒドラミン、d−マレイン酸クロルフェニラミンに限定されるものではない。
【0042】
実施例
以下、本発明を詳細に説明するために実施例を記載するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0043】
用量の異なるdl−マレイン酸クロルフェニラミンを処方した以下の2種の総合感冒薬(錠剤)を作製し、組み合わせ製剤(PTP包装)とした。なお、dl−マレイン酸クロルフェニラミンの用量比(朝昼用:夜用、1錠当たり)は、1:1.75である。
[総合感冒薬−1] 朝、昼として2回服用 4錠 4錠中
イブプロフェン 300 mg
dl−マレイン酸クロルフェニラミン 4 mg
臭化水素酸デキストロメトルファン 32 mg
塩酸ブロムヘキシン 8 mg
塩化リゾチーム 40 mg
dl−塩酸メチルエフェドリン 40 mg
無水カフェイン 100 mg
[総合感冒薬−2] 夜1回服用 2錠 2錠中
イブプロフェン 150 mg
dl−マレイン酸クロルフェニラミン 3.5 mg
臭化水素酸デキストロメトルファン 16 mg
塩酸ブロムヘキシン 4 mg
塩化リゾチーム 20 mg
dl−塩酸メチルエフェドリン 20 mg
【実施例2】
【0044】
用量の異なるdl−マレイン酸クロルフェニラミンを処方した以下の2種の総合感冒薬(錠剤)を作製し、組み合わせ製剤(PTP包装)とした。なお、dl−マレイン酸クロルフェニラミンの用量比(朝昼用:夜用、1錠当たり)は、1:2.28である。
[総合感冒薬−3] 朝、昼として2回服用 4錠 4錠中
イブプロフェン 300 mg
dl−マレイン酸クロルフェニラミン 3.5 mg
臭化水素酸デキストロメトルファン 32 mg
塩酸ブロムヘキシン 8 mg
塩化リゾチーム 40 mg
dl−塩酸メチルエフェドリン 40 mg
無水カフェイン 100 mg
[総合感冒薬−4] 夜1回服用 2錠 2錠中
イブプロフェン 150 mg
dl−マレイン酸クロルフェニラミン 4 mg
臭化水素酸デキストロメトルファン 16 mg
塩酸ブロムヘキシン 4 mg
塩化リゾチーム 20 mg
dl−塩酸メチルエフェドリン 20 mg
【実施例3】
【0045】
用量の異なるdl−マレイン酸クロルフェニラミンを処方した以下の2種の総合感冒薬(錠剤)を作製し、組み合わせ製剤(PTP包装)とした。なお、dl−マレイン酸クロルフェニラミンの用量比(朝昼用:夜用、1錠当たり)は、1:3.2である。
[総合感冒薬−5] 朝、昼として2回服用 4錠 4錠中
イブプロフェン 300 mg
dl−マレイン酸クロルフェニラミン 2.5 mg
臭化水素酸デキストロメトルファン 32 mg
塩酸ブロムヘキシン 8 mg
塩化リゾチーム 40 mg
dl−塩酸メチルエフェドリン 40 mg
無水カフェイン 100 mg
[総合感冒薬−6] 夜1回服用 2錠 2錠中
イブプロフェン 150 mg
dl−マレイン酸クロルフェニラミン 4 mg
臭化水素酸デキストロメトルファン 16 mg
塩酸ブロムヘキシン 4 mg
塩化リゾチーム 20 mg
dl−塩酸メチルエフェドリン 20 mg
【実施例4】
【0046】
用量の異なる塩酸ジフェンヒドラミンを処方した以下の2種の総合感冒薬(錠剤)を作製し、組み合わせ製剤(PTP包装)とした。なお、塩酸ジフェンヒドラミンの用量比(朝昼用:夜用、1錠当たり)は、1:4である。
[総合感冒薬−7] 朝、昼として2回服用 6錠 6錠中
イブプロフェン 300 mg
塩酸ジフェンヒドラミン 25 mg
リン酸ジヒドロコデイン 16 mg
dl−塩酸メチルエフェドリン 40 mg
無水カフェイン 50 mg
ヘスペリジン 60 mg
[総合感冒薬−8] 夜1回服用 3錠 3錠中
イブプロフェン 150 mg
塩酸ジフェンヒドラミン 50 mg
リン酸ジヒドロコデイン 8 mg
dl−塩酸メチルエフェドリン 20 mg
ヘスペリジン 30 mg
【実施例5】
【0047】
用量の異なる塩酸ジフェニルピラリンを処方した以下の2種の総合感冒薬(錠剤)を作製し、組み合わせ製剤(PTP包装)とした。なお、塩酸ジフェニルピラリンの用量比(朝昼用:夜用、1錠当たり)は、1:2である。
[総合感冒薬−9] 朝、昼として2回服用 6錠 6錠中
アセトアミノフェン 600 mg
塩酸ジフェニルピラリン 2 mg
リン酸ジヒドロコデイン 16 mg
dl−塩酸メチルエフェドリン 40 mg
塩酸ブロムヘキシン 8 mg
無水カフェイン 50 mg
硝酸チアミン 16 mg
ビタミンB2 8 mg
[総合感冒薬−10] 夜1回服用 3錠 3錠中
アセトアミノフェン 300 mg
塩酸ジフェニルピラリン 2 mg
リン酸ジヒドロコデイン 8 mg
dl−塩酸メチルエフェドリン 20 mg
塩酸ブロムヘキシン 4 mg
硝酸チアミン 8 mg
ビタミンB2 4 mg
【実施例6】
【0048】
用量の異なるプロメタジンメチレン二サリチル酸塩を処方した以下の2種の総合感冒薬(カプセル剤)を作製し、組み合わせ製剤(PTP包装)とした。なお、プロメタジンメチレン二サリチル酸の用量比(朝昼用:夜用、1錠当たり)は、3:13=1:4.3である。
[総合感冒薬−11] 朝、昼として2回服用 2カプセル 2カプセル中
アセトアミノフェン 180 mg
エテンザミド 700 mg
プロメタジンメチレン二サリチル酸 6 mg
臭化水素酸デキストロメトルファン 32 mg
dl−塩酸メチルエフェドリン 40 mg
無水カフェイン 50 mg
アスコルビン酸ナトリウム 333 mg
[総合感冒薬−12] 夜1回服用 1カプセル 1カプセル中
アセトアミノフェン 90 mg
エテンザミド 350 mg
プロメタジンメチレン二サリチル酸 13 mg
臭化水素酸デキストロメトルファン 16 mg
dl−塩酸メチルエフェドリン 20 mg
アスコルビン酸ナトリウム 167 mg
【実施例7】
【0049】
用量の異なるd−マレイン酸クロルフェニラミンを処方した以下の2種の総合感冒薬(カプセル剤)を作製し、組み合わせ製剤(PTP包装)とした。なお、d−マレイン酸クロルフェニラミンの用量比(朝昼用:夜用、1錠当たり)は、1:1.5である。
[総合感冒薬−13] 朝、昼として2回服用 4カプセル 4カプセル中
アセトアミノフェン 260 mg
トラネキサム酸 280 mg
エテンザミド 567 mg
d−マレイン酸クロルフェニラミン 2 mg
ヒベンズ酸チペピジン 50 mg
dl−塩酸メチルエフェドリン 40 mg
無水カフェイン 50 mg
[総合感冒薬−14] 夜1回服用 2カプセル 2カプセル中
アセトアミノフェン 130 mg
トラネキサム酸 140 mg
エテンザミド 283 mg
d−マレイン酸クロルフェニラミン 1.5 mg
ヒベンズ酸チペピジン 25 mg
dl−塩酸メチルエフェドリン 20 mg
【実施例8】
【0050】
用量の異なるメキタジンを処方した以下の2種の総合感冒薬(カプセル剤)を作製し、組み合わせ製剤(PTP包装)とした。なお、メキタジンの用量比(朝昼用:夜用、1錠当たり)は、1:2である。
[総合感冒薬−15] 朝、昼として2回服用 4カプセル 4カプセル中
アセトアミノフェン 600 mg
メキタジン 2 mg
リン酸ジヒドロコデイン 12 mg
ノスカピン 32 mg
dl−塩酸メチルエフェドリン 40 mg
グアヤコールスルホン酸カリウム 166 mg
無水カフェイン 50 mg
[総合感冒薬−16] 夜1回服用 2カプセル 2カプセル中
アセトアミノフェン 300 mg
メキタジン 2 mg
リン酸ジヒドロコデイン 6 mg
ノスカピン 16 mg
dl−塩酸メチルエフェドリン 20 mg
グアヤコールスルホン酸カリウム 83 mg
【実施例9】
【0051】
用量の異なるdl−マレイン酸クロルフェニラミンを処方した以下の2種の総合感冒薬(カプセル剤)を作製し、組み合わせ製剤(PTP包装)とした。なお、dl−マレイン酸クロルフェニラミンの用量比(朝昼用:夜用、1錠当たり)は、1:1.33である。
[総合感冒薬−17] 朝1回服用 3錠 3錠中
アセトアミノフェン 450 mg
dl−マレイン酸クロルフェニラミン 3 mg
リン酸ジヒドロコデイン 12 mg
dl−塩酸メチルエフェドリン 40 mg
無水カフェイン 50 mg
ビタミンC 50 mg
[総合感冒薬−18] 夜1回服用 3錠 3錠中
アセトアミノフェン 450 mg
dl−マレイン酸クロルフェニラミン 4 mg
リン酸ジヒドロコデイン 12 mg
dl−塩酸メチルエフェドリン 40 mg
ビタミンC 50 mg
【実施例10】
【0052】
服用実験
実施例1〜9の総合感冒薬組み合わせ製剤を夫々服用した被験者(総合感冒薬組み合わせ製剤について男3名、女3名、年齢23〜29、健康状態;感冒初期)について、抗ヒスタミン剤を第1の用量を配合した第1の総合感冒薬(朝又は昼用の総合感冒薬)について、眠気を感じることなく又は少なく愁訴が抑えられた、との結果が得られた。一方、抗ヒスタミン剤を第1の用量とは異なる第2の用量で配合した第2の総合感冒薬(夜用の総合感冒薬)について、第2の用量で配合した抗ヒスタミン剤により夕方から就寝前の愁訴からの安静が得られ、愁訴による睡眠導入障害、熟眠度の低下を抑制し、安眠を得ることができた、との結果が得られた。従って、第1の総合感冒薬により、催眠作用による仕事、学業への支障を最小限に抑えることができ、また、第2の総合感冒薬により、夜間に十分な睡眠が得られたことにより、翌日の朝、昼に眠気を感じることなく又は少なくなる効果も得られた。このように、第1の用量の抗ヒスタミン剤を配合した第1の総合感冒薬と第2の用量の抗ヒスタミン剤を配合した第2の総合感冒薬を朝又は昼、及び、夜又は就寝前という状況に応じ使い分けることにより、感冒治療をしながらのQOLの向上が得られ、安静・安眠によりかぜ症候群からの早い回復をした。
【0053】
以上のように、本発明の総合感冒薬組み合わせ製剤は、従来の総合感冒薬に比べて、感冒の治療方針に従い安静・安眠が得られやすく、及び治療をしながらのQOLの向上を計ることが出来る利点がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗ヒスタミン剤を第1の用量で処方した第1の総合感冒薬と、該抗ヒスタミン剤を第1の用量とは異なる第2の用量で処方した第2の総合感冒薬とを含む総合感冒薬組み合わせ製剤。
【請求項2】
第1の用量1重量部に対して、第2の用量が1.2〜4.5重量部である、請求項1に記載の総合感冒薬組み合わせ製剤。
【請求項3】
第1の総合感冒薬が朝用及び/又は昼用であり、及び第2の総合感冒薬が夜用及び/又は就寝前用である、請求項1又は2に記載の総合感冒薬組み合わせ製剤。
【請求項4】
第1の総合感冒薬がカフェイン類をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の総合感冒薬組み合わせ製剤。
【請求項5】
抗ヒスタミン剤が、ジフェニルピラリン、メブヒドロリン、メキタジン、dl−クロルフェニラミン、フェニラミン、トリプロリジン、トンジルアミン、メトジラジン、カルビノキサミン、アリメマジン、クレマスチン、プロメタジン、ケトチフェン、イソチペンジル、d−クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、トリペレナミン、シプロヘプタジン、ジフェテロール、ホモクロルシクリジン、フェネタジン、イプロヘプチン及びそれらの製薬学的に許容しうる塩からなる群より選ばれる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の総合感冒薬組み合わせ製剤。
【請求項6】
第1の総合感冒薬及び第2の総合感冒薬が夫々、解熱鎮痛成分、鎮咳成分、去痰成分、気管支拡張成分、消炎酵素成分、鎮咳去痰成分、解熱鎮痛・抗炎症成分、副交感神経遮断成分又は交感神経興奮成分のいずれか1以上をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載総合感冒薬組み合わせ製剤。
【請求項7】
解熱鎮痛成分が、アスピリン、アセトアミノフェン、エテンザミド、サザピリン、サリチルアミド、ラクチルフェネチジン、イソプロピルアンチピリン、イブプロフェン及びそれらの製薬学的に許容しうる塩からなる群より選ばれる、請求項6に記載の総合感冒薬組み合わせ製剤。
【請求項8】
鎮咳成分が、アロクラミド、クロペラスチン、ペンタトキシベリン(カルベタペンタン)、チペピジン、ジブナート、デキストロメトルファン、コデイン、ジヒドロコデイン、ノスカピン、メチルエフェドリン、ジメモルファン及びそれらの製薬学的に許容しうる塩からなる群より選ばれる、請求項6に記載の総合感冒薬組み合わせ製剤。
【請求項9】
去痰成分が、チペピジン、メチルエフェドリン、グアヤコールスルホン酸、グアイフェネシン及びそれらの製薬学的に許容しうる塩からなる群より選ばれる、請求項6に記載の総合感冒薬組み合わせ製剤。
【請求項10】
気管支拡張成分が、メチルエフェドリン及びその製薬学的に許容しうる塩からなる群より選ばれる、請求項6に記載の総合感冒薬組み合わせ製剤。
【請求項11】
第1の総合感冒薬及び第2の総合感冒薬の剤形が夫々、錠剤、カプセル剤、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、チュアブル剤、シロップ剤、ドライシロップ剤、トローチ剤、液剤、カプレット剤、ゼリー剤、徐放剤、又は速溶剤である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の総合感冒薬組み合わせ製剤。
【請求項12】
リゾチーム、セラペプターゼ、セミアルカリプロティナーゼ、ブロメライン、クレゾールスルホン酸、ブロメライン、ブロムヘキシン、セミアルカリプロティナーゼ、カルボシステイン、エプラジノン、セラペプターゼ、トラネキサム酸、ジメモルファン、エチルシステイン、トラネキサム酸、ベラドンナ総アルカロイド、フェニルプロパノールアミン、又はそれらの製薬学的に許容しうる塩のいずれか1以上をさらに含む、請求項6〜11のいずれか一項に記載の総合感冒薬組み合わせ製剤。
【請求項13】
経口投与に適用される総合感冒薬組み合わせ製剤であって、一日分である一包装単位中に、経口投与するように決められた第1の総合感冒薬と第2の総合感冒薬を含み、それらはその包装単位中に空間的に分離され、個々に取り出すことができるように納められており、第1の総合感冒薬は抗ヒスタミン剤の第1の用量を含み、第2の総合感冒薬は前記抗ヒスタミン剤の第2の用量を含み、第1の用量1重量部に対して、第2の用量が1.2〜4.5重量部である、総合感冒薬組み合わせ製剤。

【公開番号】特開2008−100924(P2008−100924A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−282481(P2006−282481)
【出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【出願人】(500387995)株式会社ソーム (2)
【Fターム(参考)】