説明

緑化装置

【課題】簡便に設置でき、かつ強風を受けても容易に倒れたり吹き飛ばされたりすることがなく、強風が吹く地域や高層のマンションのベランダ等にも安心して設置できる緑化装置を提供すること。
【解決手段】適宜間隔を空けて立設された2本の支柱と、該支柱間に差し渡された網状体とを備え、前記支柱は、いずれも伸縮自在となされると共に、上下方向に相対向する二つの面の間にその上下端を突っ張らせるようにして固定可能となされ、前記網状体は、前記2本の支柱間に差し渡されているようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緑化装置に関するものであり、より詳しくは、マンションのベランダなどに設置され、壁面または窓の前面につる植物などを生育させて緑化及び室内の温度上昇抑制を図るための緑化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球の温暖化が進むにつれ、夏場の気温の上昇によるヒートアイランド現象や室内の極端な温度上昇等が生じている。室内の温度上昇に対しては、エアコン他の空調設備により温度を下げることも可能であり多く利用されているが、そのような設備を利用すると、エネルギーの問題や設備利用により排出される熱エネルギーによる外気温の上昇など、様々な弊害が生じている。
【0003】
そこで、上記問題の解決方法の一つとして、広く「緑のカーテン」と呼ばれる活動が広がっている。これは、例えば蔦やゴーヤ、ヘチマ、アサガオなどのつる植物を建物の壁面や屋上に這わせるようにして生育させ、自然を利用して室内の温度上昇抑制を図るものである。
【0004】
そして、そのような「緑のカーテン」を簡便に創出できるようにするために、格子状の板或いは網状体をフレームに取り付けて床面に自立させ、又は壁面に立て掛けるようにしたものがある(下記特許文献1及び2)。これら従来の緑化装置によれば、確かに簡単に緑のカーテンを創出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−125389号公報
【特許文献2】登録実用新案第3149857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えば高層のマンションなどでは、ベランダに強風が吹きつけることが多々ある。そのような場合、上記従来の緑化装置では、容易に倒れたり吹き飛ばされたりする恐れが多分にある。また、万が一、緑化装置が吹き飛ばされて高層階から落ちてしまうようなことがあると、大事故につながる危険性がある。したがって、上記従来の緑化装置では、安心して設置することができない。
【0007】
本発明は、上記のような問題を克服するためになされたものであり、簡便に設置でき、かつ強風を受けても容易に倒れたり吹き飛ばされたりすることがなく、強風が吹く地域や高層のマンションのベランダ等にも安心して設置できる緑化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明に係る緑化装置は、適宜間隔を空けて立設された2本の支柱と、該支柱間に差し渡された網状体とを備え、前記支柱は、いずれも伸縮自在となされると共に、上下方向に相対向する二つの面の間にその上下端を突っ張らせるようにして固定可能となされ、前記網状体は、前記2本の支柱間に差し渡されていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る緑化装置によれば、2本の支柱が上下に相対向する二つの面、すなわち例えばベランダの床面と天井面(庇部の裏面)との間に突っ張らせるようにして固定されて立設されるので、強固にかつ安定的に設置される。それゆえ、強風によっても容易に倒れたり吹き飛ばされたりすることもない。
【0010】
また、本発明に係る緑化装置において、2本の支柱間に差し渡される水平杆を更に備え、該水平杆から吊下げるようにして網状体が2本の支柱間に差し渡されるようになされ、かつ、網状体は、前記水平杆に巻き付けることが可能となされているようにすることもできる。このようにすれば、簡単かつコンパクトに網状体を収納することができる。
【0011】
さらに、本発明に係る緑化装置において、網状体は、収納時においては支柱に巻き付けられるようになされ、使用時には網状体を引き出すことによって支柱間に差し渡すことができるようにしてもよい。このようにすれば、不使用時には、網状態をコンパクトに収納できる。尚、このとき網状体は、支柱のいずれか1本に巻き付けられるようにしてもよいし、又は2枚の網状体を利用して2本の支柱それぞれに巻き付けられるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
以上のとおり、本発明に係る緑化装置によれば、2本の支柱をそれぞれ上下方向に相対向する面、すなわち例えばベランダの床面と天井面(庇部の裏面)との間に突っ張らせるようにして立設し、当該支柱間に網状体を差し渡すようにするだけで簡便に設置でき、しかも、上述の通り支柱は上下方向に相対向する面間に突っ張らせるようにして固定されているので、強風によっても容易に倒れたり吹き飛ばされたりすることもない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る緑化装置の一実施形態を示す図であり、網状体を収納した状態を示した説明図である。
【図2】図1に示した緑化装置の使用状態を示す図であり、網状体の下にプランターを設置し、植物を生育させている様子を示す図である。
【図3】本発明に係る緑化装置の別の一実施形態を示す図であり、網状体を左右2分割とし、左右それぞれの支柱に該網状態を巻き付けた状態を示す図である。
【図4】図3に示した緑化装置の使用状態を示す図である。
【図5】図3に示した緑化装置の変形形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
(実施例1)図1及び図2は、本発明に係る緑化装置1の一実施形態におけるベランダへの設置状態を示す図である。図2に示すように、この実施形態においては、所定の間隔を空けて立設された2本の支柱2の上部間には水平杆3が差し渡され、当該水平杆3から網状体4が吊り下げられている。この網状体4の下方にプランターPなどを設置し、このプランターにP植えた植物Vを網状体4上を這うように生長させて所謂「緑のカーテン」を生育できるようにするとともに、植物を植えないときには、網状体4が水平杆3に巻き上げられて収納されるようになされたものである。以上が、図1〜3に示した実施形態における緑化装置1の基本的な構成である。
【0016】
この実施形態の緑化装置1をより詳細に説明すると、2本の支柱2は、それぞれ管状の外パイプ21と、外パイプ21の内径よりも僅かに小さい外径を有し前記外パイプ21内に嵌挿される同じく管状の内パイプ22と、任意の高さ位置で内パイプ22を外パイプ21に対して固定可能とすることにより支柱2の長さを任意に調整できるようにするためのロック部材23とを備えている。また、支柱2の上下それぞれの端部には、端部キャップ24、25が被せられている。これにより、支柱2は、その上下端部がそれぞれ端部キャップ24、25を介してベランダの天井面Cと床面Fとを押圧するように所定の長さに調整され、天井面Cと床面Fとの間に突っ張らせた状態で固定されることにより設置される。
【0017】
水平杆3は、円筒状の棒状体であり、図2に示すように、水平杆保持部5を介して支柱2間に差し渡されて取り付けられている。水平杆3は、その長手方向の中心軸を中心として水平杆保持部5に対して回動可能であり、水平杆保持部本体51の左右いずれか一方又は双方に設けられたハンドル52に接続され(図1〜2に示した実施例においては一方のみ)、当該ハンドル52を回すことによって、水平杆3も回動するようになされている。また、水平杆3には網状体4の上端縁が固定されており、当該網状体4を使用しないときは、ハンドル52を回して図1に示すように網状体4を巻き上げた状態とできるものである。そして、網状体4を使用するときは、ハンドル52を回して、或いは網状体4の下端縁を引っ張ることにより、網状体4を引き出せばよいものである。
【0018】
尚、この網状体4は、ポリエチレン、ナイロン等の合成樹脂材料により作成された線材を格子状に編んで作成されたものであるが、これに限られるものではなく、天然の繊維により編まれたものや、樹脂被覆した金属材料により作成されたものであってもよい。
【0019】
以上のように構成された緑化装置は、例えば図2に示したように使用される。すなわち、床面に設置したプランターPに植物Vを植え、当該植物を網状体4に沿って生長させ、これにより緑のカーテンを形成するようにできる。尚、植える植物の種類は特に限定されるものではないが、網状体4に沿って広がるように伸びて緑のカーテンを形成しやすい蔓性の植物(例えば、ゴーヤ、キュウリ、ヘチマ、あさがおなど)を植えるのが好ましい。
【0020】
(実施例2)図3及び図4は、本発明に係る緑化装置の別の一実施形態を示す図である。この実施例2は、上述した実施例1と共通する構成も含んでいるため、相違する点のみ説明することとする。
【0021】
図3及び図4に示すように、実施例2の緑化装置においても、実施例1と同様の支柱2が適宜間隔を空けて立設される。実施例2の緑化装置も、支柱2間に網状体4を広げてこれに植物を生育させるものであるが(図4参照)、実施例2においては、網状体4を左右2枚の網状体に分割して第一網状体41と第二網状体42との2枚の網状体により構成されるようにしている。
【0022】
第一網状体41及び第二網状体42は、一端部が支柱2に取り付けられて当該支柱2に巻き付けることが可能となされ、網状体4を使用しないときには、図3のようにして、それぞれ左右の支柱2に巻き取られるように構成されている。また、第一網状体41及び第二網状体42の支柱2に取り付けられていない他端部には、その側端縁に沿って棒状体により形成される連結支柱411、421が設けられており、当該連結支柱411、421同士を連結することにより、支柱2間に網状体4を広げ、これにより網状体4に植物を生育させることができるようになされている。
【0023】
また、当該連結支柱411、421の下端部にはキャスター412、422が設けられ、また連結支柱411、421の上端部の近傍には、それぞれ他の連結支柱と連結するための連結部413、423が設けられている。この実施例においては、連結部413、423はマグネットを備えるようにしており、2つの連結部を近接させると磁力により互いに引き合い、連結するようになされている。
【0024】
このようにして形成された網状体4に、図4に示すようにハンギングバスケットを吊るして植物を植えることもできるし、図示しないが上述した実施例1の場合と同様、床面にプランターPを置いて植物Vを植え、網状体4に沿って植物が這うように生長させて緑のカーテンを形成させることもできる。
【0025】
(実施例3)図5に示した実施例3は、上述した実施例2の変形例であり、実施例2との相違点のみを説明すると、この実施形態においては、2本の支柱2の上部間に水平バー7が差し渡されて取り付けられている。水平バー7は、支柱2と同様に外パイプ71と内パイプ72とロック機構73とを備えることによって伸縮自在となされており、これにより支柱2間の距離を調節可能としている。尚、水平バー7は、図5に示した実施形態においては、支柱2に直接接続するようにしているが、継手などの接続部材を介して接続するようにしてもよい。
【0026】
また、連結支柱の上端部及び網状体41、42の上端縁には、リング部材8が取り付けられ、当該リング部材8のリング内に水平バー7が挿通されている。このリング部材8が設けられることによって、網状体41、42に掛かる植物の重さ等の荷重にかかわらず、網状体41、42が弛むことなく、好適に使用できるものとなる。
【0027】
以上のとおり、いくつかの具体的な実施形態を示して本発明に係る緑化装置を説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々に形態等を変更することが可能なものである。
【符号の説明】
【0028】
1 緑化装置
2 支柱
3 水平杆
4 網状体
41 第一網状体
42 第二網状体
5 水平杆保持部
7 水平バー
P プランター
V 植物




【特許請求の範囲】
【請求項1】
適宜間隔を空けて立設された2本の支柱と、該支柱間に差し渡された網状体とを備え、
前記支柱は、いずれも伸縮自在となされると共に、上下方向に相対向する二つの面の間にその上下端を突っ張らせるようにして固定可能となされ、
前記網状体は、前記2本の支柱間に差し渡されていることを特徴とする緑化装置。
【請求項2】
2本の支柱間に差し渡される水平杆を更に備え、
該水平杆から吊下げるようにして網状体が2本の支柱間に差し渡されるようになされ、
かつ、網状体は、前記水平杆に巻き付けることが可能となされていることを特徴とする請求項1に記載の緑化装置。
【請求項3】
網状体は、収納時においては支柱に巻き付けられるようになされ、使用時には網状体を引き出すことによって支柱間に差し渡すことができるようになされたことを特徴とする請求項1に記載の緑化装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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