説明

緑色発光蛍光体粒子、色変換シート、発光装置及び画像表示装置組立体

【課題】ユウロピウムを過剰にドープした場合であっても、内部量子効率が低下し難い緑色発光蛍光体粒子を提供する。
【解決手段】緑色発光蛍光体粒子の製造方法は、ユウロピウム化合物とストロンチウム化合物とを含む溶液からユウロピウム及びストロンチウムを含む粉体を得た後、該粉体と粉状ガリウム化合物とを混合し、次いで、焼成する各工程から成る。また、本発明の緑色発光蛍光体粒子は、(Sr,Ba,Ca)1-xGa24:Eux(但し、0.10≦x≦0.20、好ましくは、0.10≦x≦0.18)から成り、(内部量子効率/吸収効率)の値が0.7以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緑色発光蛍光体粒子、色変換シート、発光装置及び画像表示装置組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
白色発光ダイオード(LED)用の蛍光体材料として、SrGa24:Eu蛍光体が周知である。SrGa24:Eu蛍光体の輝度を増幅させるには、発光中心であるユウロピウム(Eu)を高濃度でドープし、励起光を多く吸収する必要がある。しかしながら、ユウロピウムを過剰にドープした場合、励起光の吸収量は増加するものの、発光中心の濃度飽和により内部量子効率が低下し、逆に輝度が下がってしまうといった問題がある。一般に、これを濃度消光と呼ぶ。従って、ドープするユウロピウムの濃度には最適値がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6153123号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
米国特許第6153123号明細書には、M1(M2,Ga)24、具体的には、(Sr,Ca)Ga24から成る蛍光体粒子の発明が開示されており、付活剤の原子百分率を0.02%乃至15%とすることが記載されている。しかしながら、付活剤の原子百分率を例えば10%乃至15%とすると、濃度消光が発生し、輝度が低下するといった問題を解決するに至っていない。
【0005】
従って、本発明の目的は、ユウロピウムを過剰にドープした場合であっても、内部量子効率が低下し難い緑色発光蛍光体粒子、緑色発光蛍光体粒子を用いた色変換シート、発光装置及び画像表示装置組立体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本発明の色変換シートは、
第1透明基材、
第2透明基材、及び、
第1透明基材と第2透明基材とによって挟まれた色変換層、
から成り、
色変換層は、少なくとも緑色発光蛍光体粒子から成り、
緑色発光蛍光体粒子は、(Sr,Ba,Ca)1-xGa24:Eux(但し、0.10≦x≦0.20、好ましくは、0.10≦x≦0.18)から成り、(内部量子効率/吸収効率)の値が0.7以上である。
【0007】
上記の目的を達成するための本発明の発光装置は、
(a)光源、及び、
(b)光源から出射された光によって励起される蛍光体粒子、
を備えた発光装置であって、
蛍光体粒子は、少なくとも緑色発光蛍光体粒子から成り、
緑色発光蛍光体粒子は、(Sr,Ba,Ca)1-xGa24:Eux(但し、0.10≦x≦0.20、好ましくは、0.10≦x≦0.18)から成り、(内部量子効率/吸収効率)の値が0.7以上である。
【0008】
上記の目的を達成するための本発明の画像表示装置組立体は、
(A)画像表示装置、及び、
(B)画像表示装置を背面から照明する発光装置、
から成り、
発光装置は、
(a)光源、及び、
(b)光源から出射された光によって励起される蛍光体粒子、
を備えており、
蛍光体粒子は、少なくとも緑色発光蛍光体粒子から成り、
緑色発光蛍光体粒子は、(Sr,Ba,Ca)1-xGa24:Eux(但し、0.10≦x≦0.20、好ましくは、0.10≦x≦0.18)から成り、(内部量子効率/吸収効率)の値が0.7以上である。
【0009】
上記の目的を達成するための本発明の緑色発光蛍光体粒子は、(Sr,Ba,Ca)1-xGa24:Eux(但し、0.10≦x≦0.20、好ましくは、0.10≦x≦0.18)から成り、(内部量子効率/吸収効率)の値が0.7以上である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の緑色発光蛍光体粒子、色変換シート、発光装置及び画像表示装置組立体は、緑色発光蛍光体粒子の吸収効率が高くなっても、高い内部量子効率を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施例1及び比較例1の緑色発光蛍光体粒子における(内部量子効率/吸収効率)の計算結果を示すグラフである。
【図2】図2は、実施例1の緑色発光蛍光体粒子の吸収効率、内部量子効率、外部量子効率の測定結果を示すグラフである。
【図3】図3は、比較例1の緑色発光蛍光体粒子の吸収効率、内部量子効率、外部量子効率の測定結果を示すグラフである。
【図4】図4の(A)及び(B)は、実施例1及び比較例1の緑色発光蛍光体粒子の走査型電子顕微鏡写真である。
【図5】図5は、実施例1及び比較例1の緑色発光蛍光体粒子の信頼性試験結果を示すグラフである。
【図6】図6の(A)、(B)及び(C)は、実施例2の色変換シートの模式的な断面図である。
【図7】図7は、実施例3の画像表示装置組立体の概念図である。
【図8】図8は、実施例3の画像表示装置組立体の変形例の概念図である。
【図9】図9は、実施例3の画像表示装置組立体の別の変形例の概念図である。
【図10】図10は、実施例3の画像表示装置組立体の更に別の変形例の概念図である。
【図11】図11の(A)及び(B)は、実施例4の画像表示装置組立体での使用に適したエッジライト型の発光装置(面状発光装置)及びその変形例の概念図である。
【図12】図12は、実施例4の画像表示装置組立体での使用に適したエッジライト型の発光装置(面状発光装置)の別の変形例の概念図である。
【図13】図13の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例5の画像表示装置組立体での使用に適した発光装置の模式的な断面図、及び、実施例5の画像表示装置組立体の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本発明の緑色発光蛍光体粒子、本発明の第1の態様及び第2の態様に係る緑色発光蛍光体粒子の製造方法、並びに、色変換シート、発光装置及び画像表示装置組立体、全般に関する説明
2.実施例1(本発明の緑色発光蛍光体粒子、本発明の第1の態様及び第2の態様に係る緑色発光蛍光体粒子の製造方法)
3.実施例2(本発明の色変換シート)
4.実施例3(本発明の発光装置及び画像表示装置組立体)
5.実施例4(実施例3の変形)
6.実施例5(実施例3の別の変形)、その他
【0013】
[本発明の緑色発光蛍光体粒子、本発明の第1の態様及び第2の態様に係る緑色発光蛍光体粒子の製造方法、並びに、色変換シート、発光装置及び画像表示装置組立体、全般に関する説明]
本発明の第1の態様に係る緑色発光蛍光体粒子の製造方法においては、限定するものではないが、ユウロピウム化合物とストロンチウム化合物とを含む溶液に亜硫酸塩を滴下することで、(Sr,Eu)SO3から成る前記粉体(中間粉体物)を得る形態とすることができる。また、本発明の第2の態様に係る緑色発光蛍光体粒子の製造方法においては、限定するものではないが、ユウロピウム化合物とストロンチウム化合物とを含む溶液に粉末ガリウム化合物を加え、亜硫酸塩を滴下することで、Sr、Eu及びGaを含む前記粉体を得る形態とすることができる。
【0014】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態を含む本発明の第1の態様に係る緑色発光蛍光体粒子の製造方法において、前記粉体(中間粉体物)と粉状ガリウム化合物との混合は、ボールミルを用いて行う形態とすることができるが、これに限定するものではない。混合時間等の混合条件は、各種の試験を行い、適宜、決定すればよい。
【0015】
上記の好ましい形態を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る緑色発光蛍光体粒子の製造方法においては、焼成を、硫化水素ガス(H2S)雰囲気中で行う形態とすることができ、あるいは又、硫化炭素(CS2)といった雰囲気中で行う形態とすることができる。焼成温度、焼成時間、昇温速度、昇温時間等の焼成条件は、各種の試験を行い、適宜、決定すればよい。
【0016】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態を含む本発明の第1あるいは第2の態様の態様に係る緑色発光蛍光体粒子の製造方法において、緑色発光蛍光体粒子は、Sr1-xGa24:Eux(但し、0.10≦x≦0.20、好ましくは、0.10≦x≦0.18)から成り、(内部量子効率/吸収効率)の値が0.7以上である形態とすることができる。
【0017】
本発明の色変換シートにおいて、色変換層は、緑色発光蛍光体粒子及び赤色発光粒子から成る形態とすることができる。そして、このような形態においては、色変換シートに青色光が入射し、色変換シートから白色光を出射する構成とすることができる。
【0018】
本発明の発光装置あるいは画像表示装置組立体において、蛍光体粒子は、緑色発光蛍光体粒子及び赤色発光粒子から成る形態とすることができる。そして、このような形態を含む本発明の発光装置あるいは画像表示装置組立体において、蛍光体粒子は、透明基材の第1面上に層状に形成されており、光源は、第1面と対向する透明基材の第2面に対向して配置されている形態とすることができ、この場合、蛍光体粒子は第2透明基材によって被覆されている形態とすることができる。尚、このような構成、構造は、実質的に、本発明の色変換シートと同じ構成、構造とすることができる。
【0019】
但し、本発明の発光装置あるいは画像表示装置組立体における蛍光体粒子の構成、構造は、これに限定するものではなく、緑色発光蛍光体粒子、あるいは、緑色発光蛍光体粒子及び赤色発光粒子から成る蛍光体粒子を透明基材の内部に分散させた形態とすることもできる。このような透明基材は、例えば、周知の押出し成形法やカレンダー成形法にて成形することができる。あるいは又、緑色発光蛍光体粒子形成領域及び赤色発光粒子形成領域が設けられた透明基材を、光源と画像表示装置の間に配置する形態とすることもできる。ここで、緑色発光蛍光体粒子形成領域は、画像表示装置における緑色発光副画素(副画素[G])と光源との間に位置するように透明基材に設けられており、赤色発光粒子形成領域は、画像表示装置における赤色発光副画素(副画素[R])と光源との間に位置するように透明基材に設けられている。画像表示装置における青色発光副画素(副画素[B])と光源との間には、緑色発光蛍光体粒子や赤色発光粒子は配置されていない。あるいは又、光源にキャップ状の部材を被せ、キャップ状の部材の内面に層状の蛍光体粒子(蛍光体粒子層)を形成する形態としてもよい。あるいは又、蛍光体粒子を透明基材の内部に分散させた材料(シート状あるいはフィルム状の材料)をキャップ状の部材の内面に配置する形態としてもよい。このようなシート状あるいはフィルム状の材料は、例えば、周知の押出し成形法やカレンダー成形法にて成形することができる。あるいは又、蛍光体粒子をキャップ状の部材の内部に分散させた形態とすることもできる。このようなキャップ状の部材は、周知の射出成形法、押出し成形法、移送成形法(トランスファーモールド法)、カレンダー成形法、流出成形法、積層板成形法、成膜成形法、圧縮成形法、焼成法、注型法、吹込成形法、インフレーション成形法、溶液浸漬成形法、発泡成形法、反応射出成形法等によって成形することができる。
【0020】
発光装置を面状発光装置(面状光源装置)から構成することができる。ここで、面状発光装置として、例えば実開昭63−187120や特開2002−277870に開示された直下型の面状発光装置、並びに、例えば特開2002−131552に開示されたエッジライト型(サイドライト型とも呼ばれる)の面状発光装置を挙げることができる。発光装置は、光拡散板、拡散シート、プリズムシート(フィルム)、BEFやDBEF(これらは、住友スリーエム株式会社の商品名)、偏光変換シート(フィルム)といった光学機能シート(フィルム)群や、反射シートを備えている構成とすることができる。光学機能シート群は、離間配置された各種シートから構成されていてもよいし、積層され一体として構成されていてもよい。光拡散板や光学機能シート群は、発光装置と画像表示装置との間に配置される。光拡散板を構成する材料として、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリスチレン系樹脂(PS)、メタクリル樹脂、ノルボルネン系の重合体樹脂である日本ゼオン株式会社製「ゼオノア」(ZEONOR)等のシクロオレフィン樹脂を挙げることができる。
【0021】
発光装置を直下型の面状発光装置(面状光源装置)から構成する場合、蛍光体粒子を層状とし、この層状の蛍光体粒子(蛍光体粒子層)を、光源と画像表示装置との間に配置すればよい。更には、蛍光体粒子層を、光源と上記の光拡散板や光学機能シート群との間に配置してもよいし、光拡散板と光学機能シート群の間に配置してもよいし、光学機能シート群の間に配置してもよい。
【0022】
エッジライト型の面状発光装置(面状光源装置)にあっては、導光板が備えられている。ここで、導光板を構成する材料として、例えば、ガラスや、プラスチック材料(例えば、PMMA、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、非晶性のポリプロピレン系樹脂、AS樹脂を含むスチレン系樹脂)を挙げることができ、上述した射出成形法等の各種の成形法に基づき成形することができる。導光板は、第1面(底面)、この第1面と対向した第2面(頂面)、第1側面、第2側面、第1側面と対向した第3側面、及び、第2側面と対向した第4側面を有する。導光板のより具体的な形状として、全体として、楔状の切頭四角錐形状を挙げることができ、この場合、切頭四角錐の2つの対向する側面が第1面及び第2面に相当し、切頭四角錐の底面が第1側面に相当する。そして、第1面(底面)の表面部には凸部及び/又は凹部が設けられていることが望ましい。導光板の第1側面から光が入射され、第2面(頂面)から画像表示装置に向けて光が出射される。ここで、導光板の第2面は、平滑としてもよいし(即ち、鏡面としてもよいし)、拡散効果のあるブラストシボを設けてもよい(即ち、微細な凹凸面とすることもできる)。
【0023】
導光板の第1面(底面)には、凸部及び/又は凹部が設けられていることが望ましい。即ち、導光板の第1面には、凸部が設けられ、あるいは又、凹部が設けられ、あるいは又、凹凸部が設けられていることが望ましい。凹凸部が設けられている場合、凹部と凸部とが連続していてもよいし、不連続であってもよい。導光板の第1面に設けられた凸部及び/又は凹部は、導光板への光入射方向と所定の角度を成す方向に沿って延びる連続した凸部及び/又は凹部である構成とすることができる。このような構成にあっては、導光板への光入射方向であって第1面と垂直な仮想平面で導光板を切断したときの連続した凸形状あるいは凹形状の断面形状として、三角形;正方形、長方形、台形を含む任意の四角形;任意の多角形;円形、楕円形、放物線、双曲線、カテナリー等を含む任意の滑らかな曲線を例示することができる。尚、導光板への光入射方向と所定の角度を成す方向とは、導光板への光入射方向を0度としたとき、60度〜120度の方向を意味する。以下においても同様である。あるいは又、導光板の第1面に設けられた凸部及び/又は凹部は、導光板への光入射方向と所定の角度を成す方向に沿って延びる不連続の凸部及び/又は凹部である構成とすることができる。このような構成にあっては、不連続の凸形状あるいは凹形状の形状として、角錐、円錐、円柱、三角柱や四角柱を含む多角柱、球の一部、回転楕円体の一部、回転放物線体の一部、回転双曲線体の一部といった各種の滑らかな曲面を例示することができる。尚、導光板において、場合によっては、第1面の周縁部には凸部や凹部が形成されていなくともよい。更には、光源から出射され、導光板に入射した光が導光板の第1面に形成された凸部あるいは凹部に衝突して散乱されるが、導光板の第1面に設けられた凸部あるいは凹部の高さや深さ、ピッチ、形状を、一定としてもよいし、光源から離れるに従い変化させてもよい。後者の場合、例えば凸部あるいは凹部のピッチを光源から離れるに従い、細かくしてもよい。ここで、凸部のピッチ、あるいは、凹部のピッチとは、導光板への光入射方向に沿った凸部のピッチ、あるいは、凹部のピッチを意味する。
【0024】
導光板を備えた面状発光装置にあっては、導光板の第1面(底面)に対向して反射部材を配置することができる。また、導光板の第2面(頂面)に対向して画像表示装置が配置されている。
【0025】
そして、発光装置をエッジライト型の面状発光装置から構成する場合、蛍光体粒子を層状とし、この層状の蛍光体粒子(蛍光体粒子層)を、導光板の第2面(頂面)と画像表示装置との間に配置すればよい。光源から出射された光は、導光板の第1側面(例えば、切頭四角錐の底面に相当する面)から導光板に入射し、第1面(底面)の凸部あるいは凹部に衝突して散乱され、第1面(底面)から出射し、反射部材にて反射され、第1面(底面)に再び入射し、第2面(頂面)から出射され、蛍光体粒子層を通過して、画像表示装置を照射する。更には、蛍光体粒子層を、光源と上記の光拡散板や光学機能シート群との間に配置してもよいし、光拡散板や光学機能シート群の間に配置してもよい。あるいは又、蛍光体粒子層を、光源と導光板の第1側面との間に配置すればよい。あるいは又、蛍光体粒子層を、導光板の第1面(底面)に対向した反射部材と導光板の第1面(底面)との間に配置することができる。尚、蛍光体粒子層を、導光板の第2面(頂面)上に形成してもよいし、導光板の第1側面上に形成してもよいし、導光板の第1面(底面)上に形成してもよい。光源から出射された光を直接、導光板に導いてもよいし、間接的に導光板に導いてもよい。後者の場合、例えば、光ファイバーを用いればよい。
【0026】
以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る緑色発光蛍光体粒子の製造方法、本発明の色変換シート、本発明の発光装置あるいは本発明の画像表示装置組立体において、緑色発光蛍光体粒子のメジアン径(D50)は1μm乃至7μmである構成とすることができる。
【0027】
以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る緑色発光蛍光体粒子の製造方法(以下、これらを総称して、単に、『本発明の製造方法』と呼ぶ)において、ユウロピウム化合物として、ユウロピウム塩、具体的には、硝酸ユウロピウム[Eu(NO33・xH2O]、蓚酸ユウロピウム[Eu2(C243・xH2O]、炭酸ユウロピウム[Eu2(CO33・xH2O]、硫酸ユウロピウム[Eu2(SO43]、塩化ユウロピウム[EuCl3・xH2O]、フッ化ユウロピウム[EuF3]、水素化ユウロピウム[EuHx]、硫化ユウロピウム[EuS]、トリ−i−プロポキシユウロピウム[Eu(O−i−C373]、酢酸ユウロピウム[Eu(O−CO−CH33]を挙げることができるし、ストロンチウム化合物として、ストロンチウム塩、具体的には、硝酸ストロンチウム[Sr(NO32]、酸化ストロンチウム[SrO]、臭化ストロンチウム[SrBr2・xH2O]、塩化ストロンチウム[SrCl2・xH2O]、炭酸ストロンチウム[SrCO3]、蓚酸ストロンチウム[SrC24・H2O]、フッ化ストロンチウム[SrF2]、ヨウ化ストロンチウム[SrI2・xH2O]、硫酸ストロンチウム[SrSO4]、水酸化ストロンチウム[Sr(OH)2・xH2O]、硫化ストロンチウム[SrS]を挙げることができる。粉状ガリウム化合物として、酸化ガリウム[Ga23]、硫酸ガリウム[Ga2(SO43・xH2O]、硝酸ガリウム[Ga(NO33・xH2O]、臭化ガリウム[GaBr3]、塩化ガリウム[GaCl3]、ヨウ化ガリウム[GaI3]、硫化ガリウム(II)[GaS]、硫化ガリウム(III)[Ga23]、オキシ水酸化ガリウム[GaOOH]を挙げることができる。ユウロピウム化合物とストロンチウム化合物とを含む溶液における溶媒として、純水、硝酸水溶液、アンモニア水溶液、塩酸水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、これらの混合水溶液を挙げることができる。亜硫酸塩として、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウムを挙げることができる。また、亜硫酸塩以外にも、炭酸塩(具体的には、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム)を用いることも可能である。
【0028】
また、本発明の製造方法における粉体の一般的な組成として、上述したユウロピウム及びストロンチウムを含む亜硫酸化合物以外にも、硫酸化合物、炭酸塩を挙げることができる。また、ユウロピウム化合物とストロンチウム化合物とを含む溶液からユウロピウム及びストロンチウムを含む粉体を得る代わりに、ユウロピウム化合物とアルカリ土類金属(ラジウムを除く)とを含む溶液からユウロピウム及びアルカリ土類金属(ラジウムを除く)を含む粉体を得た後、この粉体と粉状ガリウム化合物とを混合し、次いで、焼成することで、本発明の緑色発光蛍光体粒子を製造することもできる。
【0029】
以上に説明した各種の好ましい形態を含む色変換シート、発光装置あるいは画像表示装置組立体において、使用する透明基材は、光源からの光を最低80%、透過させるような材料から構成することが好ましい。第1透明基材、第2透明基材、透明基材として、ガラス基板、具体的には、高歪点ガラス、ソーダガラス(Na2O・CaO・SiO2)、硼珪酸ガラス(Na2O・B23・SiO2)、フォルステライト(2MgO・SiO2)、鉛ガラス(Na2O・PbO・SiO2)、無アルカリガラスを例示することができる。あるいは又、ポリメチルメタクリレート(ポリメタクリル酸メチル,PMMA)やポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、環状非晶質ポリオレフィン、多官能アクリレート、多官能ポリオレフィン、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂に例示される有機ポリマー(高分子材料から構成された可撓性を有するプラスチック・フィルムやプラスチック・シート、プラスチック基板といった高分子材料の形態を有する)を挙げることができる。光源として、具体的には、例えば、440nm乃至460nmの範囲内のいずれかの値の波長を有する光(青色光)を出射する発光素子(例えば、発光ダイオードや半導体レーザ)、蛍光ランプ、エレクトロルミネッセンス発光装置、又は、プラズマ発光装置を例示することができる。光源の配置光源の状態、光源の数は、本質的に任意であり、発光装置や画像表示装置組立体の仕様に基づき、適宜、決定すればよい。
【0030】
尚、発光ダイオード(LED)は、例えば、基体上に形成された第1導電型(例えばn型)を有する第1化合物半導体層、第1化合物半導体層上に形成された活性層、活性層上に形成された第2導電型(例えばp型)を有する第2化合物半導体層の積層構造を有し、第1化合物半導体層に電気的に接続された第1電極、及び、第2化合物半導体層に電気的に接続された第2電極を備えている。発光ダイオードを構成する層は、発光波長に依存して、周知の化合物半導体材料から構成すればよいし、基体も周知の材料、例えば、サファイア(屈折率:1.785)、GaN(屈折率:2.438)、GaAs(屈折率:3.4)、AlInP(屈折率:2.86)、アルミナ(屈折率:1.78)等から構成すればよい。尚、発光ダイオード(LED)は、フェイスアップ構造を有していてもよいし、フリップチップ構造を有していてもよい。
【0031】
一般に、発光ダイオードの色温度は作動電流に依存する。従って、所望の輝度を得ながら、忠実に色を再現させるためには、即ち、色温度を一定に維持するためには、パルス幅変調(PWM)信号によって発光ダイオードを駆動することが好ましい。パルス幅変調(PWM)信号のデューティ比を変化させると、発光ダイオードにおける平均的な順方向電流の変化と輝度とは、線形的に変化する。
【0032】
発光素子は、通常、基板に取り付けられている。ここで、基板は、限定するものではないが、発光素子の発する熱に耐え、しかも、放熱性に優れた基板であることが好ましい。具体的には、基板として、片面あるいは両面に配線が形成されたメタルコアプリント配線板、多層メタルコアプリント配線板、片面あるいは両面に配線が形成されたメタルベースプリント配線板、多層メタルベースプリント配線板、片面あるいは両面に配線が形成されたセラミックス配線板、多層セラミックス配線板を例示することができる。これらの各種のプリント配線板の製造方法は、従来の方法とすればよい。また、発光素子と基板に形成された回路との電気的な接続方法(実装方法)として、発光素子の構造にもよるが、ダイボンド法、ワイヤボンド法、これらの方法の組合せ、サブマウントを用いる方式を挙げることができる。尚、ダイボンド法として、ハンダ・ボールを用いる方法、ハンダ・ペーストを用いる方法、AuSn共晶ハンダを溶融してボンディングする方法、金バンプを形成して超音波を用いて接合する方法を挙げることができる。発光素子の基板への取付け方法は、周知の取付け方法とすればよい。また、基板をヒートシンクに固定することが望ましい。
【0033】
本発明の色変換層を構成する赤色発光粒子、本発明の発光装置における蛍光体粒子を構成する赤色発光粒子、本発明の画像表示装置組立体における蛍光体粒子を構成する赤色発光粒子として、(ME:Eu)S、(M:Sm)x(Si,Al)12(O,N)16、ME2Si58:Eu、(ME:Eu)SiN2、(ME:Eu)AlSiN3、(ME:Eu)3SiO5、(Ca:Eu)SiN2、(Ca:Eu)AlSiN3、Y23:Eu、YVO4:Eu、Y(P,V)O4:Eu、3.5MgO・0.5MgF2・Ge2:Mn、CaSiO3:Pb,Mn、Mg6AsO11:Mn、(Sr,Mg)3(PO43:Sn、La22S:Eu、Y22S:Euといった赤色発光蛍光体粒子を挙げることができる。ここで、「ME」は、Ca、Sr及びBaから成る群から選択された少なくとも1種類の原子を意味し、「M」は、Li、Mg及びCaから成る群から選択された少なくとも1種類の原子を意味する。あるいは又、例えば、間接遷移型のシリコン系材料において、直接遷移型のように、キャリアを効率良く光へ変換させるために、キャリアの波動関数を局所化し、量子効果を用いた、2次元量子井戸構造、1次元量子井戸構造(量子細線)、0次元量子井戸構造(量子ドット)等の量子井戸構造を適用した発光粒子を挙げることもできるし、半導体材料に添加された希土類原子は殻内遷移により鋭く発光することが知られており、このような技術を適用した発光粒子を挙げることもできる。
【0034】
本発明の色変換層、本発明の発光装置あるいは本発明の画像表示装置組立体における蛍光体粒子は、緑色発光蛍光体粒子から成り、あるいは又、緑色発光蛍光体粒子及び赤色発光粒子から成るが、その他の構成要素として、バインダーや、シアン色発光蛍光体粒子、黄色発光蛍光体粒子、ガラスビーズから成る分散材を挙げることができる。蛍光体粒子が緑色発光蛍光体粒子及び赤色発光粒子から成る場合、緑色発光蛍光体粒子及び赤色発光粒子を混合することで色変換層を得ることができる。
【0035】
メジアン径(D50)は、株式会社堀場製作所製の光分散型の粒度分布計であるLA500を用い、以下の方法で求めることができる。即ち、メジアン径(D50)の測定、粒度分布は、エタノール中に蛍光体粒子を分散させ、超音波を用いて凝集を解いた上で、溶媒中に蛍光体粒子を投入し、チューブ内を移動させ、チューブを光源で照らし、フォトダイオードアレイ上に投射し、フォトダイオードアレイで蛍光体粒子の影をモニターすることで測定することができる。また、内部量子効率、吸収効率、外部量子効率は、日本分光株式社製FP−6500の積分球オプションを用い、以下の方法で求めることができる。即ち、リファレンスとして硫酸バリウムを用い、硫酸バリウムの反射率を100%とし、標準の治具に蛍光体粒子をパッキングして、硫酸バリウムとの比較で内部量子効率、外部量子効率、吸収効率を算出する。
【0036】
本発明の画像表示装置組立体において、画像表示装置として液晶表示装置を挙げることができる。尚、液晶表示装置として、より具体的には、透過型あるいは半透過型のカラー液晶表示装置を挙げることができる。これらの液晶表示装置は、例えば、透明第1電極を備えたフロント・パネル、透明第2電極を備えたリア・パネル、及び、フロント・パネルとリア・パネルとの間に配された液晶材料から成る。
【0037】
フロント・パネルは、より具体的には、例えば、ガラス基板やシリコン基板から成る第1の基板と、第1の基板の内面に設けられた透明第1電極(共通電極とも呼ばれ、例えば、ITOから成る)と、第1の基板の外面に設けられた偏光フィルムとから構成されている。更には、フロント・パネルは、第1の基板の内面に、アクリル樹脂やエポキシ樹脂から成るオーバーコート層によって被覆されたカラーフィルターが設けられている。カラーフィルターは、一般に、着色パターン間の隙間を遮光するためのブラックマトリクス(例えば、クロムから成る)と、各副画素に対向した例えば、青色、緑色、赤色の着色層から構成されており、染色法、顔料分散法、印刷法、電着法等によって作製される。着色層は、例えば、樹脂材料から成り、あるいは又、顔料で着色されている。着色層のパターンは、副画素の配列状態(配列パターン)と一致させればよく、デルタ配列、ストライプ配列、ダイアゴナル配列、レクタングル配列を挙げることができる。そして、フロント・パネルは、更に、オーバーコート層上に透明第1電極が形成された構成を有している。透明第1電極上には配向膜が形成されている。一方、リア・パネルは、より具体的には、例えば、ガラス基板やシリコン基板から成る第2の基板と、第2の基板の内面に形成されたスイッチング素子と、スイッチング素子によって導通/非導通が制御される透明第2電極(画素電極とも呼ばれ、例えば、ITOから成る)と、第2の基板の外面に設けられた偏光フィルムとから構成されている。透明第2電極を含む全面には配向膜が形成されている。これらの透過型あるいは半透過型のカラー液晶表示装置を構成する各種の部材や液晶材料は、周知の部材、材料から構成することができる。尚、スイッチング素子として、単結晶シリコン半導体基板に形成されたMOS型FETや、ガラス基板に形成された薄膜トランジスタ(TFT)といった3端子素子や、MIM素子、バリスタ素子、ダイオード等の2端子素子を例示することができる。液晶材料の駆動方式は、使用する液晶材料に適した駆動方式とすればよい。
【0038】
第1の基板や第2の基板として、ガラス基板、表面に絶縁膜が形成されたガラス基板、石英基板、表面に絶縁膜が形成された石英基板、表面に絶縁膜が形成された半導体基板を挙げることができるが、製造コスト低減の観点からは、ガラス基板、あるいは、表面に絶縁膜が形成されたガラス基板を用いることが好ましい。ガラス基板として、高歪点ガラス、ソーダガラス(Na2O・CaO・SiO2)、硼珪酸ガラス(Na2O・B23・SiO2)、フォルステライト(2MgO・SiO2)、鉛ガラス(Na2O・PbO・SiO2)、無アルカリガラスを例示することができる。あるいは又、ポリメチルメタクリレート(ポリメタクリル酸メチル,PMMA)やポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)に例示される有機ポリマー(高分子材料から構成された可撓性を有するプラスチック・フィルムやプラスチック・シート、プラスチック基板といった高分子材料の形態を有する)を挙げることができる。
【0039】
透明第1電極と透明第2電極の重複領域であって液晶セルを含む領域が、1副画素(サブピクセル)に該当する。そして、例えば、各画素(ピクセル)を構成する赤色発光副画素(副画素[R]と呼ぶ場合がある)は、係る領域を構成する液晶セルと赤色光を透過するカラーフィルターとの組合せから構成され、緑色発光副画素(副画素[G]と呼ぶ場合がある)は、係る領域を構成する液晶セルと緑色光を透過するカラーフィルターとの組合せから構成され、青色発光副画素(副画素[B]と呼ぶ場合がある)は、係る領域を構成する液晶セルと青色光を透過するカラーフィルターとの組合せから構成されている。副画素[R]、副画素[G]及び副画素[B]の配置パターンは、上述したカラーフィルターの配置パターンと一致する。尚、画素は、副画素[R]、副画素[G]、及び、副画素[B]の3種の副画素[R,G,B]を1組として構成される構成に限定されず、例えば、これらの3種の副画素[R,G,B]に更に1種類あるいは複数種類の副画素を加えた1組(例えば、輝度向上のために白色光を発光する副画素を加えた1組、色再現範囲を拡大するために補色を発光する副画素を加えた1組、色再現範囲を拡大するためにイエローを発光する副画素を加えた1組、色再現範囲を拡大するためにマゼンタを発光する副画素を加えた1組、色再現範囲を拡大するためにイエロー及びシアンを発光する副画素を加えた1組)から構成することもできる。尚、時分割で赤色、緑色、青色の発光状態を高速に切り替えることでカラー表示を行う所謂フィールドシーケンシャル液晶表示装置の場合、副画素毎に分かれたカラーフィルターを必要としない。
【実施例1】
【0040】
実施例1は、本発明の緑色発光蛍光体粒子、並びに、本発明の第1の態様及び第2の態様に係る緑色発光蛍光体粒子の製造方法に関する。
【0041】
実施例1においては、以下の製造方法で緑色発光蛍光体粒子を得た。即ち、実施例1にあっては、ユウロピウム化合物とストロンチウム化合物とを含む溶液に粉末ガリウム化合物を加え、塩を加えることで粉体を得た後、具体的には、ユウロピウム化合物とストロンチウム化合物を析出するための塩を加えることで粉体を得た後、この粉体を焼成する。即ち、ユウロピウム化合物とストロンチウム化合物とを含む溶液に粉末ガリウム化合物を加え、次いで、塩を加えることで、ユウロピウムとストロンチウムとを含む粉体と粉末ガリウム化合物との混合物から成る粉体(粉体混合物)を得た後、この粉体(粉体混合物)を焼成する。ここで、ユウロピウム化合物とストロンチウム化合物とを含む溶液に粉末ガリウム化合物を加え、亜硫酸塩を滴下することで、Sr、Eu及びGaを含む粉体を得る。
【0042】
先ず、株式会社高純度化学研究所製の試薬であるGa23(純度7N)、Sr(NO32(純度3N)、及び、Eu23(純度3N)、並びに、関東化学株式会社製の硝酸水溶液(濃度20%)及び亜硫酸アンモニウム一水和物を準備した。
【0043】
そして、Eu23を硝酸水溶液に添加して80゜Cで攪拌することでEu23を硝酸水溶液に溶解し、その後、溶媒を蒸発させることによって、Eu(NO33を得た。
【0044】
次いで、ユウロピウム化合物[Eu(NO33]とストロンチウム化合物[Sr(NO32]とを500ミリリットルの純水に添加し、攪拌した。こうして、ユウロピウム化合物とストロンチウム化合物とを含む溶液を得ることができた。尚、Eu(NO33とSr(NO32の割合を変えることで、xの値を変えることができ、これによって、発光中心であるEu濃度を調整した。その後、この溶液に、所望の割合の粉状ガリウム化合物(具体的には、粉状Ga23)を加え、攪拌しながら、この溶液に亜硫酸塩を滴下した。具体的には、この溶液を攪拌しながら、Sr及びEuのモル数の合計の1.5倍のモル数の亜硫酸アンモニウムを含む溶液を滴下することで析出・沈殿物を得た。この析出・沈殿物は、Sr、Eu及びGaを含み、より具体的には、亜硫酸ユウロピウム・ストロンチウム粉体と酸化ガリウム粉体の混合物である。そして、伝導率が0.1mS/cm以下になるまで沈殿物を純水で洗浄、濾過し、120゜Cで6時間、乾燥させることで、ユウロピウム、ストロンチウム及びガリウムを含む粉体(ユウロピウムとストロンチウムとを含む粉体と粉末ガリウム化合物との混合物から成る粉体混合物を得る。より具体的には、亜硫酸ユウロピウム・ストロンチウム粉体[(Sr,Eu)SO3から成る粉体]と酸化ガリウム粉体の混合物)を得た。このように、実施例1におけるユウロピウム、ストロンチウム及びガリウムを含む粉体を得る方法は、湿式法(即ち、出発物質を液相にて生成させる方法)である。
【0045】
そして、こうして得られた粉体(粉体混合物)20グラムとジルコニアボール200グラムとエタノール200ミリリットルとを、500ミリリットルのポットに入れ、回転速度90rpmで30分間回転させることで混合した。混合終了後、濾過し、120゜Cで6時間、乾燥させた。その後、公称目開き100μmの金網を通し、粉体混合品を得た。
【0046】
次いで、粉体混合品を電気炉で焼成した。焼成条件を以下のとおりとした。即ち、1.5時間で925゜Cまで昇温し、その後、1.5時間、925゜Cを保持し、次いで、2時間で室温まで降温させた。焼成中、0.5リットル/分の割合で電気炉に硫化水素を流した。その後、公称目開き25μmのメッシュを通し、Sr1-xGa24:Euxから成る実施例1の緑色発光蛍光体粒子を得ることができた。この実施例1の緑色発光蛍光体粒子は、(Sr,Ba,Ca)1-xGa24:Eux(但し、0.10≦x≦0.20、好ましくは、0.10≦x≦0.18)から成り、(内部量子効率/吸収効率)の値が0.7以上である。
【0047】
比較例1として、以下の製造方法で緑色発光蛍光体粒子を得た。
【0048】
実施例1と同じGa23及びEu23を準備し、併せて、株式会社高純度化学研究所製の試薬であるSrSO4(純度3N)を準備した。
【0049】
そして、所望のSr1-xGa24:Eux組成比となるように、Ga23、Eu23及びSrSO4を調合し(即ち、比較例1にあっては、乾式法を採用し)、実施例1と同様に方法でボールミルを用いて混合した。即ち、比較例1にあっては、乾式法を採用した。混合終了後、濾過し、80゜Cで6時間、乾燥させた。その後、公称目開き100μmの金網を通した。次いで、粉体混合品を電気炉で焼成した。焼成条件を以下のとおりとした。即ち、1時間で500゜Cまで昇温し、その後、1時間で930゜Cまで昇温し、4時間、930゜Cを保持し、次いで、2時間で降温させた。焼成中、0.5リットル/分の割合で電気炉に硫化水素を流した。その後、公称目開き25μmのメッシュを通し、Sr1-xGa24:Euxから成る比較例1の緑色発光蛍光体粒子を得ることができた。調合の際、xを変化させることによって、発光中心であるEu濃度を調整した。
【0050】
実施例1及び比較例1の緑色発光蛍光体粒子の走査型電子顕微鏡写真を、それぞれ、図4の(A)及び(B)に示す。実施例1の緑色発光蛍光体粒子は、比較例1の緑色発光蛍光体粒子よりも粒子径が小さいことが判る。メジアン径(D50)の測定の結果、実施例1の緑色発光蛍光体粒子にあっては、作製サンプルによってばらつきがあったが、1μm乃至7μmであった。一方、比較例1の緑色発光蛍光体粒子にあっては、8.3μm乃至15μmであった。
【0051】
また、実施例1及び比較例1の緑色発光蛍光体粒子の吸収効率、内部量子効率、外部量子効率の測定結果を、ぞれぞれ、図2及び図3に示し、(内部量子効率/吸収効率)の計算値を図1に示す。ここで、図1にあっては、「A」は実施例1の緑色発光蛍光体粒子における計算値であり、「B」は比較例1の緑色発光蛍光体粒子における計算値である。また、図2及び図3において、「A」は吸収効率の測定結果を示し、「B」は内部量子効率の測定結果を示し、「C」は外部量子効率の測定結果を示す。
【0052】
図3から、比較例1の緑色発光蛍光体粒子にあっては、内部量子効率はxの値が大きくなる従い、減少している。一方、吸収効率は、xの値と共に増加していく。そして、外部量子効率はx=0.06で最大ピークを持つことが判る。そのときの外部量子効率の値は50%である。
【0053】
一方、図2から、実施例1の緑色発光蛍光体粒子にあっては、x=0.15で内部量子効率が最も高い値となった。そして、外部量子効率はx=0.13で最大ピークを持つことが判る。そのときの外部量子効率の値は61%である。
【0054】
(内部量子効率/吸収効率)の計算値から、実施例1の緑色発光蛍光体粒子にあっては、x=0.20でも70%以上である。一方、比較例1の緑色発光蛍光体粒子にあっては、x=0.10で70%を下回っている。
【0055】
濃度消光はEu間の相互作用で起こることが知られており、Eu同士の距離が近いと相互作用が生じ易いと考えられている(交差失活)。比較例1の緑色発光蛍光体粒子にあっては、乾式法を採用しており、Eu濃度が高い状態にあっては、局所的にEu密度が高い領域が存在し、交差失活が生じ易いと考えられる。一方、実施例1の製造方法で製造した緑色発光蛍光体粒子は、湿式法にて(Sr,Eu)SO3を得ているので、Euが均一に分散されていることが予想され、局所的にEu密度が高い領域が存在しないが故に、比較例1に比べて、交差失活が生じ難いと考えられる。そして、その結果、実施例1の緑色発光蛍光体粒子は、吸収効率が高くなっても、高い内部量子効率を維持すると考えられる。
【0056】
また、x=0.15とした実施例1の緑色発光蛍光体粒子、及び、x=0.06とした比較例1の緑色発光蛍光体粒子を、温度85゜C、相対湿度85%の雰囲気中に放置し、時間の経過と共に、発光強度がどの程度変化するかを調べた。その結果を図5に示すが、「A」で示される実施例1の緑色発光蛍光体粒子の方が、「B」で示される比較例1の緑色発光蛍光体粒子よりも、発光強度の経時変化が少ないという結果が得られ、実施例1の緑色発光蛍光体粒子は高い信頼性を有することが判った。
【0057】
尚、代替的に、以下の方法(実施例1の変形例)で緑色発光蛍光体粒子を製造することもできる。即ち、ユウロピウム化合物とストロンチウム化合物とを含む溶液からユウロピウム及びストロンチウムを含む粉体(中間粉体物)を得た後、この粉体(中間粉体物)と粉状ガリウム化合物とを混合し、次いで、焼成する。ここで、ユウロピウム化合物とストロンチウム化合物とを含む溶液に、亜硫酸塩を滴下することで、(Sr,Eu)SO3から成る粉体(中間粉体物)を得る。また、この粉体(中間粉体物)と粉状ガリウム化合物との混合は、ボールミルを用いて行う。
【0058】
具体的には、上述したEu23を硝酸水溶液に添加して80゜Cで攪拌することでEu23を硝酸水溶液に溶解し、その後、溶媒を蒸発させることによって、Eu(NO33を得た。
【0059】
次いで、ユウロピウム化合物[Eu(NO33]とストロンチウム化合物[Sr(NO32]とを500ミリリットルの純水に添加し、攪拌した。こうして、ユウロピウム化合物とストロンチウム化合物とを含む溶液を得ることができた。尚、Eu(NO33とSr(NO32の割合を変えることで、xの値を変えることができ、これによって、発光中心であるEu濃度を調整した。その後、この溶液に亜硫酸塩を滴下した。具体的には、この溶液を攪拌しながら、Sr及びEuのモル数の合計の1.5倍のモル数の亜硫酸アンモニウムを含む溶液を滴下することで、(Sr,Eu)SO3を析出、沈殿させた。そして、伝導率が0.1mS/cm以下になるまで沈殿物を純水で洗浄、濾過し、120゜Cで6時間、乾燥させることで、ユウロピウム及びストロンチウムを含む粉体(中間粉体物)、具体的には、(Sr,Eu)SO3粉体を得た。このように、実施例1の変形例におけるユウロピウム及びストロンチウムを含む粉体(中間粉体物)を得る方法は、湿式法(即ち、出発物質を液相にて生成させる方法)である。
【0060】
そして、こうして得られた粉体(中間粉体物)と粉状ガリウム化合物(具体的には、粉状Ga23)とを、所望の割合にて、ボールミルを用いて混合した。具体的には、粉体混合品20グラムとジルコニアボール200グラムとエタノール200ミリリットルとを、500ミリリットルのポットに入れ、回転速度90rpmで30分間回転させることで混合した。混合終了後、濾過し、120゜Cで6時間、乾燥させた。その後、公称目開き100μmの金網を通した。
【0061】
次いで、粉体混合品を電気炉で焼成した。焼成条件を以下のとおりとした。即ち、1.5時間で925゜Cまで昇温し、その後、1.5時間、925゜Cを保持し、次いで、2時間で室温まで降温させた。焼成中、0.5リットル/分の割合で電気炉に硫化水素を流した。その後、公称目開き25μmのメッシュを通し、Sr1-xGa24:Euxから成る実施例1の緑色発光蛍光体粒子を得ることができた。この実施例1の変形例の製造方法にて得られた緑色発光蛍光体粒子も、(Sr,Ba,Ca)1-xGa24:Eux(但し、0.10≦x≦0.20、好ましくは、0.10≦x≦0.18)から成り、(内部量子効率/吸収効率)の値が0.7以上である。
【実施例2】
【0062】
実施例2は、本発明の色変換シートに関する。実施例2の色変換シート10の模式的な断面図を図6の(A)に示すが、この色変換シート10は、
第1透明基材11、
第2透明基材12、及び、
第1透明基材11と第2透明基材12とによって挟まれた色変換層13、
から成る。
【0063】
そして、第1透明基材11と第2透明基材12とは、第1貼合層14及び第2貼合層15により、色変換層13を挟み込むようにして貼り合わせられている。第1透明基材11及び第2透明基材12は、色変換層13への水蒸気の浸入を防止するものであり、色変換層13の光入射側及び光出射側に互いに対向するように配置されている。
【0064】
色変換層13は、少なくとも緑色発光蛍光体粒子から成る。具体的には、実施例2にあっては、色変換層は、緑色発光蛍光体粒子及び赤色発光粒子(より具体的には、CaS:Euから成る赤色発光蛍光体粒子)が混合されて成る。そして、緑色発光蛍光体粒子は実施例1において説明した緑色発光蛍光体粒子、即ち、(Sr,Ba,Ca)1-xGa24:Eux(但し、0.10≦x≦0.20、好ましくは、0.10≦x≦0.18)から成り、(内部量子効率/吸収効率)の値が0.7以上である。
【0065】
そして、色変換シート10は、例えば青色発光ダイオードから成る光源の直上に配置されて使用される。具体的には、色変換シート10に青色光が入射し、色変換シート10から白色光が出射される。
【0066】
図6の(B)に模式的な一部断面図を示すように、第1透明基材11は、2枚の樹脂シート11A,11Bの間に、水蒸気バリア層(不透水層)1Cを挟み込んだ構成を有する。即ち、色変換層13は、樹脂シート11A若しくは樹脂シート11Bを介在させて水蒸気バリア層11Cで封止されている。樹脂シート11A,11Bは、透明性、加工性、耐熱性等の観点から、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、環状非晶質ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂や多官能アクリレート、多官能ポリオレフィン、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂等から構成することができる。第2透明基材12も第1透明基材11と同様の構成、構造を有する。
【0067】
水蒸気バリア層11Cは、水蒸気透過率の低い材料、例えばシリコン酸化物やシリコン窒化物、酸化マグネシウム(MgO)、インジウム酸化物、酸化アルミニウムあるいはスズ酸化物等の無機材料や、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリルあるいはポリ塩化ビニリテン等の有機材料から成り、単層若しくは複合層により構成されている。水蒸気透過率は例えば2.0g/m2/日以下であることが好ましい。更に、水蒸気透過率に加えて、酸素ガス等のガス透過率の低い材料を用いることが好ましい。
【0068】
第1貼合層14は、色変換層13の光出射面と第2透明基材12との間に設けられ、第2貼合層15は、色変換層13の外周に沿って、即ち、色変換層13を囲むように、額縁状に設けられている。このような第1貼合層14及び第2貼合層15は、水蒸気バリア性を有する接着材料、例えば、紫外線硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、粘着剤、ホットメルト剤等により構成されている。但し、第1貼合層14は、色変換層13から出射される光の光路上に配置されるため、透明性を有する材料により構成されている。第2貼合層15は、透明であっても不透明であってもよいが、水蒸気バリア性の高い材料を用いることが好ましい。尚、第1貼合層14は、設けなくともよい。
【0069】
このように、実施例2の色変換シートにあっては、水蒸気バリア性の高い材料で色変換層を封止しているが故に、水蒸気による色変換層の劣化を確実に防止することができる。
【0070】
実施例2の色変換シート10は、例えば以下に説明する製造方法に基づき製造することができる。
【0071】
先ず、図6の(B)に示した構成を有する第1透明基材11及び第2透明基材12を作製する。具体的には、樹脂シート11A上に、各種成膜方法、例えば真空蒸着法やスパッタリング法等により水蒸気バリア層11Cを成膜する。尚、水蒸気バリア層11Cとして有機材料を用いた場合には、各種コーティング法に基づき成膜することもできる。続いて、形成した水蒸気バリア層11Cの上に樹脂シート11Bを重ね合わせて接着し、水蒸気バリア層11Cを樹脂シート11A,11B間に封止する。
【0072】
次いで、第1透明基材11の周縁部に第2貼合層15を塗布、形成する。このとき、第1透明基材11の周縁部において、第2貼合層15を形成しない部分(開口部、図示せず)を設けておく。続いて、第2透明基材12を、第1透明基材11と対向するように第2貼合層15の上に置き、第1透明基材11と第2貼合層15、第2透明基材12と第2貼合層15とを接着する。その後、第1透明基材11と第2透明基材12と第2貼合層15とによって囲まれた空間内に、開口部から、実施例1において得られた緑色発光蛍光体粒子及び赤色発光蛍光体粒子の混合品を入れる。その後、第2透明基材12と第2貼合層15と蛍光体粒子混合品によって囲まれた空間内に、開口部から第1貼合層14を注入し、接着し、更に、開口部を封止することにより、図6の(A)に示した色変換シート10を完成することができる。
【0073】
あるいは又、例えば以下に説明する製造方法に基づき製造することができる。
【0074】
即ち、第1透明基材11の周縁部を除いた領域に色変換層13を塗布、形成する。続いて、第1透明基材11の周縁部に、色変換層13を囲むように第2貼合層15を形成する。次いで、色変換層13の全面を覆うように第1貼合層14を形成した後、第2透明基材12を第1貼合層14及び第2貼合層15の上に置き、第1透明基材11と第2貼合層15、第2透明基材12と第2貼合層15とを接着する。
【0075】
あるいは又、第1透明基材11の周縁部を除いた領域に色変換層13を塗布、形成する。次いで、色変換層13の光出射側の全面を覆うように第1貼合層14を形成した後、第1貼合層14の上から第2透明基材12を貼り合わせる。その後、第2透明基材12と第1透明基材11との間を、外側から封止するように第2貼合層15を形成する。このような方法によっても、実施例2の色変換シート10を製造することができる。
【0076】
図6の(C)に模式的な断面図を示すように、第1透明基材11上に配置された色変換層13全体を覆うようにして貼合層16が設けられており、色変換層13が第1透明基材11と第2透明基材12との間に貼合層16のみによって気密封止された構成とすることもできる。貼合層16は、第1貼合層14と同様の材料から構成すればよい。また、例えば、第2透明基材12として光学機能シート(フィルム)を用いることもできる。光学機能シート(フィルム)は、例えば、拡散板、拡散フィルム、レンズフィルムあるいは反射型偏光フィルム等の単層構成あるいは積層構成とすることができる。
【0077】
実施例2の色変換シート10は、次に説明する実施例3の発光装置、画像表示装置組立体に適用することができる。
【実施例3】
【0078】
実施例3は、本発明の発光装置及び本発明の画像表示装置組立体に関する。概念図を図7に示す実施例3の画像表示装置組立体は、
(A)画像表示装置20、及び、
(B)画像表示装置20を背面から照明する発光装置(具体的には、面状発光装置、面状光源装置)30、
から成り、
発光装置30は、
(a)光源31、及び、
(b)光源から出射された光によって励起される蛍光体粒子、
を備えている。
【0079】
そして、蛍光体粒子は、少なくとも緑色発光蛍光体粒子から成る。具体的には、実施例3において、蛍光体粒子は緑色発光蛍光体粒子及び赤色発光粒子から成り、緑色発光蛍光体粒子は、実施例1にて説明したとおり、(Sr,Ba,Ca)1-xGa24:Eux(但し、0.10≦x≦0.20)から成り、(内部量子効率/吸収効率)の値が0.7以上である。
【0080】
ここで、層状の蛍光体粒子(蛍光体粒子層)は、透明基材(第1透明基材11)の第1面上に形成されており、光源31は、第1面と対向する透明基材(第1透明基材11)の第2面に対向して配置されている。更には、蛍光体粒子(蛍光体粒子層)は、第2透明基材12によって被覆されている。より具体的には、この構成は、実施例2の色変換シート10によって実現されている。ここで、蛍光体粒子層は、実施例2の色変換シート10における色変換層13に相当する。
【0081】
画像表示装置20は、周知の透過型のカラー液晶表示装置から成る。具体的には、カラー液晶表示装置から成る画像表示装置20は、第1の方向に沿ってM0個、第1の方向と直交する第2の方向に沿ってN0個の、合計M0×N0個の画素(ピクセル)が2次元マトリクス状に配列された表示領域を備えている。より具体的には、例えば、画像表示用解像度としてHD−TV規格を満たすものであり、2次元マトリクス状に配列された画素(ピクセル)の数M0×N0を(M0,N0)で表記したとき、例えば、(1920,1080)である。各画素は、それぞれが異なる色を発光する複数の副画素を1組として構成されている。各画素は、赤色発光副画素(副画素[R])、緑色発光副画素(副画素[G])、及び、青色発光副画素(副画素[B])の3種の副画素(サブピクセル)から構成されている。この画像表示装置は、線順次駆動される。画像表示装置は、マトリクス状に交差する走査電極(第1の方向に沿って延びている)とデータ電極(第2の方向に沿って延びている)とを有し、走査電極に走査信号を入力して走査電極を選択、走査し、データ電極に入力されたデータ信号(制御信号に基づく信号である)に基づき画像を表示させ、1画面を構成する。
【0082】
実施例3における発光装置(面状発光装置)30は、直下型の面状発光装置である。画像表示装置20と発光装置30との間には、発光装置30の側から順に、例えば、拡散板21、拡散フィルム22、レンズフィルム(集光部材)23、及び、反射型偏光フィルム24の各種光学機能フィルム(シート)が配置されている。拡散板21及び拡散フィルム22は、入射光を拡散して強度分布を均一化するものであり、レンズフィルム23は、プリズム状の突起が複数並列して成り、入射光を集光する機能を有する。反射型偏光フィルム24は、一方の偏光を透過させ、他方の偏光を下方(色変換シート10の側)に反射させて光を再利用に供するものであり、光利用効率を高めるために設けられている。尚、図7あるいは後述する図8〜図13においては、これらの光学機能フィルム(シート)を別々に図示しているが、これらの光学機能フィルム(シート)は積層された状態としてもよい。
【0083】
光源31は、支持基板32上に複数の青色光を発光する発光素子、具体的には、青色発光ダイオード(LED,Light Emitting Diode)組立体33が配置されて成り、全体として面発光を行う。このような光源31の直上に、実施例2において説明した色変換シート10が配置されている。そして、青色発光ダイオード組立体33から出射された青色光は、色変換シート10に入射し、色変換シート10から白色光が出射され、画像表示装置20を背面から照明する。更には、画像表示装置20に入射した光は、画像データに基づいて変調され、画像表示が行われる。
【0084】
色変換シート10を、拡散板21と拡散フィルム22との間に配置してもよいし(図8参照)、拡散フィルム22とレンズフィルム23との間に配置してもよい(図9参照)。このように、色変換シート10を、光源31の直上に限らず、光源31と反射型偏光フィルム24との間のいずれかの位置に配置されていてもよい。但し、色変換シート10から出射される光の色度の視野角依存性を最小にするためには、図7に示すように、光源31の直上に配置するか、あるいは図8に示すように、拡散板21と拡散フィルム22との間に配置することが好ましい。一方、出射光の色度の光源31からの放射角依存性を最小にするためには、図8の配置構成、若しくは、図9に示したように、拡散フィルム22とレンズフィルム23との間に配置することが好ましい。よって、出射光における色度の視野角依存性及び光源からの放射角依存性のいずれも最小とすることのできる図8の配置構成が最も好ましい。
【0085】
色変換シート10の代わりに、緑色発光蛍光体粒子及び赤色発光粒子を内部に分散させた透明基材を用いることもできる。このような透明基材は、周知の押出し成形法やカレンダー成形法にて成形することができる。以下に説明する実施例4においても同様である。
【0086】
あるいは又、色変換シート10の代わりに、緑色発光蛍光体粒子形成領域34及び赤色発光粒子形成領域35が設けられた透明基材36を、光源31と画像表示装置20の間に配置してもよい(図10参照)。ここで、緑色発光蛍光体粒子形成領域34は、画像表示装置20における緑色発光副画素(副画素[G])と光源31との間に位置するように透明基材36上に設けられている。また、赤色発光粒子形成領域35は、画像表示装置20における赤色発光副画素(副画素[R])と光源31との間に位置するように透明基材36上に設けられている。画像表示装置20における青色発光副画素(副画素[B])と光源31との間には、緑色発光蛍光体粒子や赤色発光粒子は配置されていない。あるいは又、このような透明基材36を画像表示装置に積層してもよいし、画像表示装置内に組み込んでもよい。あるいは又、緑色発光蛍光体粒子形成領域34を、画像表示装置20における緑色発光副画素(副画素[G])と光源31との間に位置するように画像表示装置20内に形成し、赤色発光粒子形成領域35を、画像表示装置20における赤色発光副画素(副画素[R])と光源31との間に位置するように画像表示装置20内に形成してもよい。
【実施例4】
【0087】
実施例4は実施例3の変形である。実施例3にあっては、発光装置30を直下型の面状発光装置とした。一方、実施例4にあっては、発光装置をエッジライト型(サイドライト型)の面状発光装置とする。図11の(A)に示すように、実施例4において、発光装置40は、実施例2において説明した色変換シート10、光源41、及び、導光板50から構成されている。
【0088】
ポリカーボネート樹脂から成る導光板50は、第1面(底面)51、この第1面51と対向した第2面(頂面)53、第1側面54、第2側面55、第1側面54と対向した第3側面56、及び、第2側面55と対向した第4側面を有する。導光板のより具体的な形状は、全体として、楔状の切頭四角錐形状であり、切頭四角錐の2つの対向する側面が第1面51及び第2面53に相当し、切頭四角錐の底面が第1側面54に相当する。そして、第1面51の表面部には凹凸部52が設けられている。導光板50への光入射方向であって第1面51と垂直な仮想平面で導光板50を切断したときの連続した凸凹部の断面形状は、三角形である。即ち、第1面51の表面部に設けられた凹凸部52は、プリズム状である。導光板50の第2面53は、平滑としてもよいし(即ち、鏡面としてもよいし)、拡散効果のあるブラストシボを設けてもよい(即ち、微細な凹凸面とすることもできる)。導光板50の第1面51に対向して反射部材57が配置されている。また、導光板50の第2面53に対向してカラー液晶表示装置から成る画像表示装置20が配置されている。更には、画像表示装置20と導光板50の第2面53との間には、色変換シート10、拡散シート58及びプリズムシート59が配置されている。光源41から出射された光は、導光板50の第1側面54(例えば、切頭四角錐の底面に相当する面)から導光板50に入射し、第1面51の凹凸部52に衝突して散乱され、第1面51から出射し、反射部材57にて反射され、第1面51に再び入射し、第2面53から出射され、色変換シート10、拡散シート58及びプリズムシート59を通過して、画像表示装置20を照射する。
【0089】
あるいは又、図11の(B)に示すように、光源41と導光板50との間に色変換シート10を配置してもよいし、図12に示すように、導光板50の第1面51と反射部材57との間に色変換シート10を配置してもよい。あるいは又、緑色発光蛍光体粒子及び赤色発光粒子を内部に分散させた導光板を用いることもできる。
【実施例5】
【0090】
実施例5も実施例3の変形である。実施例5においても、発光装置60は、模式的な断面図を図13の(A)に示すように、
(a)光源、及び、
(b)光源から出射された光によって励起される蛍光体粒子、
を備えている。ここで、実施例5においては、光源及び蛍光体粒子は一体に組み立てられており、半導体発光素子組立体によって構成されている。
【0091】
具体的には、サブマウント71に固定され、光源としての半導体発光素子(青色発光ダイオード)61は、サブマウント71に設けられた配線(図示せず)、金線73Aを介して外部電極73Bに電気的に接続され、外部電極73Bは駆動回路(図示せず)に電気的に接続されている。また、サブマウント71はリフレクターカップ74に取り付けられ、リフレクターカップ74はヒートシンク75に取り付けられている。更には、半導体発光素子61の上方には、例えば、シリコーン樹脂から成り、キャップ状の部材であるプラスチックレンズ72が配置され、プラスチックレンズ72と半導体発光素子61との間には、半導体発光素子61から出射される光に対して透明なエポキシ樹脂(屈折率:例えば1.5)、ゲル状材料[例えば、Nye社の商品名OCK−451(屈折率:1.51)、商品名OCK−433(屈折率:1.46)]、シリコーンゴム、シリコーンオイルコンパウンドといったオイルコンパウンド材料[例えば、東芝シリコーン株式会社の商品名TSK5353(屈折率:1.45)]で例示される光透過媒体層(図示せず)が充填されている。また、プラスチックレンズ72の内面には、実施例1にて説明した緑色発光蛍光体粒子及び赤色発光粒子から成る層状の蛍光体粒子(蛍光体粒子層62)が塗布、形成されている。
【0092】
実施例5の画像表示装置組立体の概念図を図13の(B)に示すが、実施例3において説明した青色発光ダイオード組立体33を実施例5の発光装置60に置き換え、色変換シート10の配置は省略する。発光装置60から出射された白色光は、画像表示装置20を背面から照明する。
【0093】
蛍光体粒子層62をプラスチックレンズ72の内面に形成する代わりに、蛍光体粒子をプラスチックレンズ72の内部に分散させた状態としてもよい。また、プラスチックレンズ72の内面に緑色発光蛍光体粒子及び赤色発光粒子から成る蛍光体粒子層62を塗布、形成する代わりに、緑色発光蛍光体粒子及び赤色発光粒子を分散させたシート状材料を用いることもできる。
【0094】
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例において説明した緑色発光蛍光体粒子の製造方法における各種製造条件、使用した原材料、色変換シートの構成、構造、構成材料、発光装置及び画像表示装置組立体の構成、構造、構成材料等は例示であり、適宜変更することができる。光源として、発光ダイオード(LED)の代わりに半導体レーザ(LD)を用いることもできる。
【0095】
場合によっては、光源から出射されるエネルギー線を青色光とする代わりに紫外線としてもよい。この場合には、紫外線の照射によって励起される青色発光蛍光体粒子(例えば、BaMgAl1017:Eu、BaMg2Al1627:Eu、Sr227:Eu、Sr5(PO43Cl:Eu、(Sr,Ca,Ba,Mg)5(PO43Cl:Eu、CaWO4、CaWO4:Pb)を併せて使用すればよい。
【0096】
発光装置の適用分野として、上述した発光装置、画像表示装置、面状発光装置(面状光源装置)、カラー液晶表示装置組立体を含む液晶表示装置組立体だけでなく、自動車、電車、船舶、航空機等の輸送手段における灯具や灯火(例えば、ヘッドライト、テールライト、ハイマウントストップライト、スモールライト、ターンシグナルランプ、フォグライト、室内灯、メーターパネル用ライト、各種のボタンに内蔵された光源、行き先表示灯、非常灯、非常口誘導灯等)、建築物における各種の灯具や灯火(外灯、室内灯、照明具、非常灯、非常口誘導灯等)、街路灯、信号機や看板、機械、装置等における各種の表示灯具、トンネルや地下通路等における照明具や採光部、生物顕微鏡等の各種検査装置における特殊照明、光を用いた殺菌装置、光触媒と組み合わせた消臭・殺菌装置、写真や半導体リソグラフィーにおける露光装置、光を変調して空間若しくは光ファイバーや導波路を経由して情報を伝達する装置を挙げることができる。
【符号の説明】
【0097】
10・・・色変換シート、11・・・第1透明基材、11A,11B・・・樹脂シート、11C・・・水蒸気バリア層(不透水層)、12・・・第2透明基材、13・・・色変換層、14・・・第1貼合層、15・・・第2貼合層、16・・・貼合層、20・・・画像表示装置、21・・・拡散板、22・・・拡散フィルム、23・・・レンズフィルム(集光部材)、24・・・反射型偏光フィルム、30,60・・・発光装置、31,41・・・光源、32・・・支持基板、33・・・青色発光ダイオード(LED)組立体、34・・・緑色発光蛍光体粒子形成領域、35・・・赤色発光粒子形成領域、36・・・透明基材、50・・・導光板、51・・・第1面(底面)、52・・・凹凸部、53・・・第2面(頂面)、54・・・第1側面、55・・・第2側面、56・・・第3側面、57・・・反射部材、58・・・拡散シート、59・・・プリズムシート、61・・・半導体発光素子(青色発光ダイオード、光源)、62・・・層状の蛍光体粒子(蛍光体粒子層)、71・・・サブマウント、72・・・プラスチックレンズ、73A・・・金線、73B・・・外部電極、74・・・リフレクターカップ、75・・・ヒートシンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1透明基材、
第2透明基材、及び、
第1透明基材と第2透明基材とによって挟まれた色変換層、
から成り、
色変換層は、少なくとも緑色発光蛍光体粒子から成り、
緑色発光蛍光体粒子は、(Sr,Ba,Ca)1-xGa24:Eux(但し、0.10≦x≦0.20)から成り、(内部量子効率/吸収効率)の値が0.7以上である色変換シート。
【請求項2】
色変換層は、緑色発光蛍光体粒子及び赤色発光粒子から成る請求項1に記載の色変換シート。
【請求項3】
青色光が入射し、白色光を出射する請求項2に記載の色変換シート。
【請求項4】
(a)光源、及び、
(b)光源から出射された光によって励起される蛍光体粒子、
を備えた発光装置であって、
蛍光体粒子は、少なくとも緑色発光蛍光体粒子から成り、
緑色発光蛍光体粒子は、(Sr,Ba,Ca)1-xGa24:Eux(但し、0.10≦x≦0.20)から成り、(内部量子効率/吸収効率)の値が0.7以上である発光装置。
【請求項5】
蛍光体粒子は、緑色発光蛍光体粒子及び赤色発光粒子から成る請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
層状の蛍光体粒子は、透明基材の第1面上に形成されており、
光源は、第1面と対向する透明基材の第2面に対向して配置されている請求項4又は請求項5に記載の発光装置。
【請求項7】
蛍光体粒子は、第2透明基材によって被覆されている請求項6に記載の発光装置。
【請求項8】
(A)画像表示装置、及び、
(B)画像表示装置を背面から照明する発光装置、
から成り、
発光装置は、
(a)光源、及び、
(b)光源から出射された光によって励起される蛍光体粒子、
を備えており、
蛍光体粒子は、少なくとも緑色発光蛍光体粒子から成り、
緑色発光蛍光体粒子は、(Sr,Ba,Ca)1-xGa24:Eux(但し、0.10≦x≦0.20)から成り、(内部量子効率/吸収効率)の値が0.7以上である画像表示装置組立体。
【請求項9】
蛍光体粒子は、緑色発光蛍光体粒子及び赤色発光粒子から成る請求項8に記載の画像表示装置組立体。
【請求項10】
層状の蛍光体粒子は、透明基材の第1面上に形成されており、
光源は、第1面と対向する透明基材の第2面に対向して配置されている請求項8又は請求項9に記載の画像表示装置組立体。
【請求項11】
蛍光体粒子は、第2透明基材によって被覆されている請求項10に記載の画像表示装置組立体。
【請求項12】
(Sr,Ba,Ca)1-xGa24:Eux(但し、0.10≦x≦0.20)から成り、(内部量子効率/吸収効率)の値が0.7以上である緑色発光蛍光体粒子。
【請求項13】
メジアン径が1μm乃至7μmである請求項12に記載の緑色発光蛍光体粒子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−77825(P2013−77825A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−257825(P2012−257825)
【出願日】平成24年11月26日(2012.11.26)
【分割の表示】特願2010−108220(P2010−108220)の分割
【原出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(000108410)デクセリアルズ株式会社 (595)
【Fターム(参考)】