説明

線材供給装置及び線材供給方法

【課題】 線材送出手段より線材が軸周りに回転しながら送出される場合であっても、定長線材のテンションの緩みを防止することにより次工程に確実に定長線材を供給する。
【解決手段】 本実施形態では、定長線材搬送装置14の第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62によって定長カーカスコード24Aの長手方向に離間した位置を保持した状態で第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62を互いに離間する方向に移動させることにより定長カーカスコード24Aが展張された状態で定長線材移送装置16に搬送される。従って、線材送出装置12よりカーカスコード24が軸周りに回転しながら送出される場合であっても、定長カーカスコード24Aのテンションの緩みを防止することができるので、これにより次工程としての円環状体72に確実に定長カーカスコード24Aを供給する(植え込む)ことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線材供給装置及び線材供給方法に係り、特に予め定められた長さの定長線材を形成し定長線材を次工程に供給する線材供給装置及び線材供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、予め定められた長さの定長線材を形成し定長線材を次工程に供給する線材供給装置及び線材供給方法が知られている。以下、この種の線材供給装置及び線材供給方法について、車両用の空気入りタイヤに用いられるカーカスプライの製造過程を例に説明する。
【0003】
一般的に、車両用の空気入りタイヤには、カーカスプライが用いられており、このカーカスプライには、複数の定長線材が植え込まれている(例えば、特許文献1参照)。このカーカスプライに用いられる線材の供給装置及び供給方法について簡単に説明すると、例えば、特許文献1に記載の例では、リールから供給された複数の糸状要素を並べた状態で押出し成形機に投入し、この複数の糸状要素にゴム被覆を施すことにより線材としてのストリップ状要素を形成している。
【0004】
そして、このストリップ状要素の先端部を軸周りに回転不能な第一の把持部材により把持し、この状態で把持部材をスライドすることによって押出し成形機より所定長さのストリップ状要素を引き出している。続いて、所定長さに引き出したストリップ状要素の後端部を第二の把持部材により把持し、ストリップ状要素の押出し成形機と第二の把持部材との間を線材切断部材で切断することによりカーカスプライの構成要素である定長線材としてのストリップ状長さを形成している。
【0005】
【特許文献1】特開平11−254906号公報(図1−図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の例において、例えば複数本の糸状要素を撚ることによってストリップ状要素を形成する場合には、ストリップ状要素が軸周りに回転しながら送出されることになる。ところが、特許文献1に記載の例のように、ストリップ状要素の先端部を軸周りに回転不能な第一の把持部材で単に把持する構成では、ストリップ状要素の軸周りの回転を許容しながらストリップ状要素の先端部を送出方向へ位置決めすることができないという不都合がある。
【0007】
ここで、ストリップ状要素の軸周りの回転を許容しながらストリップ状要素の先端部の送出方向への位置決めを可能にするためには、ストリップ状要素の先端部を把持する第一の把持部材を軸周りに回転可能に構成することが考えられる。ところが、このようにストリップ状要素の先端部を把持する第一の把持部材を軸周りに回転可能に構成し、これにより、ストリップ状要素の軸周りの回転を許容しながらストリップ状要素の先端部の送出方向への位置決めを可能にした場合には、以下の不具合がある。
【0008】
すなわち、比較的長いストリップ状長さを形成するためにストリップ状要素を押出し成形機から長く引き出した際に、ストリップ状要素の自重によりストリップ状要素に撓みが生じる。そして、このようにしてストリップ状要素に撓みが生じると、ストリップ状要素が押出し成形機から軸周りに回転しながら送出されることにより踊った(揺れ動いて暴れる)様になる。
【0009】
このため、ストリップ状要素をカットしてストリップ状長さを他方の把持部材で掴んだときに、ストリップ状長さのテンションが緩み、その後の円環状支持体へのストリップ状長さの植え込み時にミスが生じたり、植え込み精度が確保されなかったりするなど、次工程である円環状支持体にストリップ状長さを確実に供給できないといった不具合が生じる。
【0010】
また、特許文献1に記載の例では、一対の把持部材を往復動作させてストリップ状長さを1本ずつ円環状支持体に配置している。従って、ストリップ状長さを円環状支持体に配置してから元の位置に復帰するまでの把持部材の復路の動作が無駄となる。このため、ストリップ状長さを円環状支持体へ配置してから次のストリップ状長さの供給開始に移行するまでに要する時間が長くなる。
【0011】
また、特許文献1に記載の例では、一対の把持部材のみでストリップ状長さを円環状支持体に配置している。このため、ストリップ状要素を切断してストリップ状長さを形成してから、このストリップ状長さを円環状支持体に配置した後に、一対の把持部材が元の位置に復帰するまでの間、押出し成形機は、ストリップ状要素の送出を待機しなければならなかった。従って、押出し成形機からのストリップ状要素の送出が停止することによっても、ストリップ状長さを円環状支持体へ配置してから次のストリップ状長さの供給開始に移行するまでに要する時間が長くなる。
【0012】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、線材送出手段より線材が軸周りに回転しながら送出される場合であっても、定長線材のテンションの緩みを防止することにより次工程に確実に定長線材を供給可能な線材供給装置及び線材供給方法を提供することにある。
【0013】
また、本発明の他の目的は、定長線材の次工程への供給効率を向上させることが可能な線材供給装置及び線材供給方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、請求項1に記載発明は、予め定められた長さの定長線材を形成し前記定長線材を次工程に供給する線材供給装置であって、線材を軸周りに回転させながら送出する線材送出手段と、前記線材送出手段より軸周りに回転しながら送出される線材を前記線材の軸周りの回転を許容しながら保持した状態で線材送出方向に案内する線材案内手段と、前記線材案内手段により案内された線材を予め定められた長さで切断して前記定長線材を形成する定長線材形成手段と、前記定長線材形成手段によって切断されて形成された定長線材の長手方向に離間した位置を少なくとも一対の保持部により保持すると共に、前記少なくとも一対の保持部の少なくともいずれかを前記定長線材の長手方向に沿って互いに離間する方向に移動させることにより前記定長線材を展張させた状態で前記次工程に向けて搬送する定長線材搬送手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
次に、請求項1に記載の発明の作用について説明する。
請求項1に記載の発明では、線材送出手段より線材が軸周りに回転しながら送出されると、線材案内手段は、線材を軸周りの回転を許容しながら保持した状態で線材送出方向に案内する。そして、定長線材形成手段は、線材案内手段により案内された線材を予め定められた長さで切断して定長線材を形成する。
【0016】
また、定長線材形成手段によって切断されて形成された定長線材は、定長線材搬送手段に備えられた少なくとも一対の保持部によって長手方向に離間した位置を保持され、定長線材搬送手段は、少なくとも一対の保持部の少なくともいずれかを定長線材の長手方向に沿って互いに離間する方向に移動させることにより定長線材を展張させた状態で次工程に向けて搬送する。
【0017】
従って、定長線材搬送手段によって定長線材が展張された状態で次工程に向けて搬送されるので、線材送出手段より線材が軸周りに回転しながら送出される場合であっても、定長線材のテンションの緩みを防止することにより次工程に確実に定長線材を供給することが可能となる。
【0018】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の線材供給装置において、前記少なくとも一対の保持部のいずれかは、前記定長線材の長手方向に沿って互いに離間する方向に移動する際に前記定長線材を長手方向に相対的に移動不能に挟持する挟持ハンドで構成され、前記少なくとも一対の保持部の残りのいずれかは、前記定長線材の長手方向に沿って互いに離間する方向に移動する際に前記定長線材を長手方向に相対的に移動可能且つ長手方向への相対的な移動に対して抵抗力を付与するように挟持する少なくとも一対のローラを備えたローラハンドで構成されていることを特徴とする。
【0019】
次に、請求項2に記載の発明の作用について説明する。
請求項2に記載の発明では、少なくとも一対の保持部のいずれかが、定長線材の長手方向に沿って互いに離間する方向に移動する際に定長線材を長手方向に相対的に移動不能に挟持する挟持ハンドで構成され、少なくとも一対の保持部の残りのいずれかが、定長線材の長手方向に沿って互いに離間する方向に移動する際に定長線材を長手方向に相対的に移動可能且つ長手方向への相対的な移動に対して抵抗力を付与するように挟持する少なくとも一対のローラを備えたローラハンドで構成されている。
【0020】
従って、定長線材の一方側を挟持ハンドによって挟持すると共に、定長線材の他方側をローラハンドによって挟持した状態で、この挟持ハンド及びローラハンドを定長線材の長手方向に沿って互いに離間する方向に移動させることにより、挟持ハンドによって定長線材の一方側が長手方向に相対的に移動不能に挟持され、ローラハンドによって定長線材の他方側が長手方向に相対的に移動可能に挟持され且つ長手方向への相対的な移動に対して抵抗力が付与されるので、定長線材が確実に展張される。
【0021】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の線材供給装置において、前記線材供給装置には、前記定長線材搬送手段によって予め定められた位置に搬送された定長線材を受け取って前記次工程に移送する定長線材移送手段が設けられていることを特徴とする。
【0022】
次に、請求項3に記載の発明の作用について説明する。
請求項3に記載の発明では、線材供給装置に、定長線材搬送手段によって予め定められた位置に搬送された定長線材を受け取って次工程に移送する定長線材移送手段が設けられている。
【0023】
従って、定長線材搬送手段によって予め定められた位置に搬送された定長線材を定長線材移送手段によって次工程に供給することができる。また、定長線材移送手段によって定長線材が次工程に移送されている間に、定長線材搬送手段は、次の定長線材を形成するための準備に移行することができる。これにより、定長線材の次工程への供給効率を向上させることが可能となる。
【0024】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の線材供給装置において、前記線材供給装置は、前記定長線材搬送手段を少なくとも一対ずつ備え、前記少なくとも一対の定長線材搬送手段は、いずれかが前記定長線材移送手段への前記定長線材の搬送を完了して元の位置に復帰する間に、残りのいずれかが前記定長線材移送手段への次の定長線材の搬送を行うことを特徴とする。
【0025】
次に、請求項4に記載の発明の作用について説明する。
請求項4に記載の発明では、線材供給装置が、定長線材搬送手段を少なくとも一対ずつ備え、少なくとも一対の定長線材搬送手段のいずれかが定長線材移送手段への定長線材の搬送を完了して元の位置に復帰する間に、少なくとも一対の定長線材搬送手段の残りのいずれかが定長線材移送手段への次の定長線材の搬送を行うようにしている。
【0026】
従って、少なくとも一対の定長線材搬送手段のいずれかが定長線材移送手段への定長線材の搬送を完了して元の位置に復帰するという少なくとも一対の定長線材搬送手段の復路の動作が、少なくとも一対の定長線材搬送手段の残りのいずれかによる定長線材移送手段への次の定長線材の搬送に利用されて無駄とならない。
【0027】
このため、定長線材を定長線材移送手段に受け渡してから次の定長線材の受け渡しに移行するまでに要する時間を従来に比して短くできる。これにより、定長線材の次工程への線材供給効率を向上させることが可能となる。
【0028】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の線材供給装置において、前記線材送出手段は、前記少なくとも一対の定長線材搬送手段のいずれかが前記定長線材移送手段への前記定長線材の搬送を完了して元の位置に復帰する間に、さらに次の定長線材を形成するのに必要な長さの線材を送出しておくことを特徴とする。
【0029】
次に、請求項5に記載の発明の作用について説明する。
請求項5に記載の発明では、線材送出手段が、少なくとも一対の定長線材搬送手段のいずれかが定長線材移送手段への定長線材の搬送を完了して元の位置に復帰する間に、さらに次の定長線材を形成するのに必要な長さの線材を送出しておくようにしている。
【0030】
従って、さらに次の定長線材に必要な長さの線材の送出を待つことなく、少なくとも一対の定長線材搬送手段のいずれかによる定長線材移送手段へのさらに次の定長線材の搬送を直ちに開始することができる。これにより、少なくとも一対の定長線材搬送手段のいずれかが定長線材移送手段への定長線材の搬送を完了して元の位置に復帰してから、さらに次の定長線材を形成するのに必要な長さの線材を送出する場合に比して、少なくとも一対の定長線材搬送手段のいずれかによるさらに次の定長線材の搬送開始に移行するまでに要する時間を短くできるので、定長線材の次工程への供給効率をさらに向上させることが可能となる。
【0031】
また、上記課題を解決するために、請求項6に記載発明は、予め定められた長さの定長線材を形成し前記定長線材を次工程に供給する線材供給方法であって、線材送出手段より軸周りに回転しながら送出される線材を前記線材の軸周りの回転を許容しながら保持した状態で線材送出方向に案内すると共に、前記案内された線材を予め定められた長さで切断して前記定長線材を形成する定長線材形成工程と、前記定長線材形成工程において形成した定長線材の長手方向に離間した少なくとも二箇所の位置を保持すると共に、前記少なくとも二箇所の保持位置の少なくともいずれかを前記定長線材の長手方向に沿って互いに離間する方向に移動することにより前記定長線材を展張させた状態で前記次工程に向けて搬送する定長線材搬送工程と、を備えたことを特徴とする。
【0032】
次に、請求項6に記載の発明の作用について説明する。
請求項6に記載の発明では、定長線材形成工程において、線材送出手段より軸周りに回転しながら送出される線材を線材の軸周りの回転を許容しながら保持した状態で線材送出方向に案内すると共に、この案内された線材を予め定められた長さで切断して定長線材を形成し、定長線材搬送工程において、定長線材の長手方向に離間した少なくとも二箇所の位置を保持すると共に、この少なくとも二箇所の保持位置の少なくともいずれかを定長線材の長手方向に沿って互いに離間する方向に移動することにより定長線材を展張させた状態で次工程に向けて搬送する。
【0033】
従って、定長線材搬送工程において、定長線材が展張された状態で次工程に向けて搬送されるので、線材送出手段より線材が軸周りに回転しながら送出される場合であっても、定長線材のテンションの緩みを防止することにより次工程に確実に定長線材を供給することが可能となる。
【0034】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の線材供給方法の前記定長線材搬送工程において、前記定長線材の長手方向に離間した少なくとも二箇所の保持位置の少なくともいずれかを前記定長線材の長手方向に沿って互いに離間する方向に移動する際に、前記少なくとも二箇所の保持位置のいずれかを前記定長線材が長手方向に相対的に移動不能となるように挟持すると共に、前記少なくとも二箇所の保持位置の残りのいずれかを前記定長線材が長手方向に相対的に移動可能且つ前記定長線材の長手方向への相対的な移動に対して抵抗力を付与するように挟持することを特徴とする。
【0035】
次に、請求項7に記載の発明の作用について説明する。
請求項2に記載の発明では、定長線材搬送工程において、定長線材の長手方向に離間した少なくとも二箇所の保持位置の少なくともいずれかを定長線材の長手方向に沿って互いに離間する方向に移動する際に、この少なくとも二箇所の保持位置のいずれかを定長線材が長手方向に相対的に移動不能となるように挟持すると共に、少なくとも二箇所の保持位置の残りのいずれかを定長線材が長手方向に相対的に移動可能且つ定長線材の長手方向への相対的な移動に対して抵抗力を付与するように挟持する。
【0036】
従って、定長線材搬送工程において、定長線材の一方側は、長手方向に相対的に移動不能に挟持され、定長線材の他方側は、長手方向に相対的に移動可能に挟持され且つ長手方向への相対的な移動に対して抵抗力が付与されるので、この状態で定長線材の少なくとも二箇所の保持位置の少なくともいずれかを定長線材の長手方向に沿って互いに離間する方向に移動することにより、定長線材が確実に展張される。
【0037】
請求項8に記載の発明は、請求項6又は請求項7に記載の線材供給方法において、前記定長線材搬送工程によって予め定められた位置に搬送された定長線材を受け取って前記次工程に移送する定長線材移送工程を備えることを特徴とする。
【0038】
次に、請求項8に記載の発明の作用について説明する。
請求項8に記載の発明では、定長線材搬送工程において予め定められた位置に搬送した定長線材を受け取って前記次工程に移送する定長線材移送工程を備える。
【0039】
従って、定長線材搬送工程において予め定められた位置に搬送した定長線材を定長線材移送工程によって次工程に供給することができる。また、定長線材移送工程によって定長線材が次工程に移送されている間に、定長線材搬送工程において次の定長線材を形成するための準備に移行することができる。これにより、定長線材の次工程への供給効率を向上させることが可能となる。
【0040】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の線材供給方法の前記定長線材搬送工程において、前記定長線材移送工程への前記定長線材の搬送を完了して再び定長線材の搬送に備える間に、前記定長線材移送工程への次の定長線材の搬送を行うことを特徴とする。
【0041】
次に、請求項9に記載の発明の作用について説明する。
請求項9に記載の発明では、定長線材搬送工程において、定長線材移送工程への定長線材の搬送を完了して再び定長線材の搬送に備える間に、定長線材移送工程への次の定長線材の搬送を行うようにしている。
【0042】
従って、定長線材搬送工程において、定長線材移送工程への定長線材の搬送を完了して再び定長線材の搬送に備えるという復路の動作が、定長線材移送工程への次の定長線材の搬送に利用されて無駄とならない。このため、定長線材を定長線材移送工程に受け渡してから次の定長線材の受け渡しに移行するまでに要する時間を従来に比して短くできる。これにより、定長線材の次工程への線材供給効率を向上させることが可能となる。
【0043】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の線材供給方法の前記定長線材形成工程において、前記定長線材移送工程への前記定長線材の搬送を完了して再び定長線材の搬送に備える間に、さらに次の定長線材を形成するのに必要な長さの線材を送出しておくことを特徴とする。
【0044】
次に、請求項10に記載の発明の作用について説明する。
請求項10に記載の発明では、定長線材形成工程において、定長線材移送工程への定長線材の搬送を完了して再び定長線材の搬送に備える間に、さらに次の定長線材を形成するのに必要な長さの線材を送出しておくようにしている。
【0045】
従って、この線材を予め定められた長さで切断してさらに次の定長線材を形成することにより、さらに次の定長線材に必要な長さの線材の送出を待つことなく、定長線材形成工程において、さらに次の定長線材の搬送を直ちに開始することができる。これにより、定長線材移送工程への定長線材の搬送を完了して再び定長線材の搬送の備えを完了してから、さらに次の定長線材を形成するのに必要な長さの線材を送出する場合に比して、さらに次の定長線材の搬送開始に移行するまでに要する時間を短くできるので、定長線材の次工程への供給効率をさらに向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0046】
以上詳述したように、本発明によれば、線材送出手段より線材が軸周りに回転しながら送出される場合であっても、定長線材のテンションの緩みを防止することにより次工程に確実に定長線材を供給することが可能となる。
【0047】
また、本発明によれば、上述の如く定長線材の次工程への供給の効率化により、定長線材の次工程への供給効率を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、本発明の一実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、構成、配置等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。
【0049】
はじめに、図1、図2を参照しながら、本発明の一実施形態に係る線材供給装置10の構成について説明する。
【0050】
本発明の一実施形態に係る線材供給装置10は、予め定められた長さの定長カーカスコード24Aを形成し、この定長カーカスコード24Aを次工程としての円環状体72に供給する(植え込む)ものである。なお、本実施形態において、円環状体72は、一連の空気入りタイヤの製造過程において最終的に空気入りタイヤが構成される前段階の円環状の構造体である。
【0051】
本実施形態に係る線材供給装置10は、図1に示されるように、線材送出装置12と、定長線材搬送装置14と、定長線材移送装置16と、制御装置18とを主要構成として備えている。
【0052】
線材送出装置12は、本発明における線材送出手段を構成するものであり、ボビン20から巻き出された複数の素線22を撚って線材としてのカーカスコード24にするコンパクト撚り機で構成されている。本実施形態において、線材送出装置12は、カーカスコード24を軸周りに回転させながら送出する。なお、この種のカーカスコード24として使用されるものは、例えばスチールコードを撚り合わせたもの、生ゴムで被覆されたスチールコードを撚り合わせたもの等である。
【0053】
定長線材搬送装置14は、線材送出装置12から送出されたカーカスコード24から定長カーカスコード24Aを形成し、この定長カーカスコード24Aを定長線材移送装置16に搬送して受け渡すものである。本実施形態に係る定長線材搬送装置14は、定長線材形成部26と、定長線材搬送部28とを有して構成されている。
【0054】
定長線材形成部26は、線材送出装置12より軸周りに回転しながら送出されるカーカスコード24を案内しながら切断する案内機能付きのカッタ装置により構成されている。すなわち、本実施形態の定長線材形成部26は、線材送出装置12の線材送出方向に沿って配置されたスライド機構30と、このスライド機構30によって線材送出軸線上を線材送出方向(X方向)にスライド移動するカッタ32とから構成されている。
【0055】
カッタ32は、一対の刃34A,34Bを備えた構成となっており、一方の刃34Aには、線材送出軸線上に孔部36が形成されている。そして、カッタ32に備えられた一方の刃34Aは、この孔部36に線材送出装置12より軸周りに回転しながら送出されるカーカスコード24を挿通させることによりカーカスコード24の軸周りの回転を許容しながら保持した状態でカーカスコード24を線材送出方向に案内する。
【0056】
また、カッタ32は、このようにして孔部36により案内されたカーカスコード24が予め定められた長さに達した段階で閉じた状態となることによりカーカスコード24を切断して定長カーカスコード24Aを形成する。なお、本実施形態では、刃34Aの孔部36により線材案内手段が構成され、カッタ32により定長線材形成手段が構成されている。
【0057】
定長線材搬送部28は、定長線材形成部26にて形成された定長カーカスコード24Aを定長線材移送装置16に搬送するものである。本実施形態の定長線材搬送部28は、図2(b)に示されるように、旋回駆動用モータ38、第一ハンド拡縮用モータ40、第二ハンド拡縮用モータ42、第一減速機構44、第二減速機構46、第一エア供給機構48、第二エア供給機構50、旋回ハンド機構52により構成されている。
【0058】
第一減速機構44は、タイミングベルト44A,44B,44C、差動減速機44Dを有し、旋回駆動用モータ38の回転力を伝達して旋回ハンド機構52を旋回させると共に、第一ハンド拡縮用モータ40の回転力を伝達して旋回ハンド機構52の第一ボールねじ64を回転させる。同様に、第二減速機構46は、タイミングベルト46A,46B,46C、差動減速機46Dを有し、第二ハンド拡縮用モータ42の回転力を伝達して旋回ハンド機構52の第二ボールねじ70を回転させる。
【0059】
第一エア供給機構48は、エアシリンダ装置等により構成され、旋回ハンド機構52の第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62にエアを供給する。同様に、第二エア供給機構50は、エアシリンダ装置等により構成され、旋回ハンド機構52の第二挟持ハンド66及び第二ローラハンド68にエアを供給する。
【0060】
旋回ハンド機構52は、線材送出装置12から送出されるカーカスコード24の線材送出方向と平行に配置されており、水平軸線を回転軸として旋回可能な旋回本体部54を備えている。旋回本体部54の水平軸線を挟んだ両側には、第一ハンド部56及び第二ハンド部58が配置されている。この第一ハンド部56及び第二ハンド部58は、本発明における一対の定長線材搬送手段を構成するものであり、水平軸線を挟んで左右線対称状に構成されている。
【0061】
第一ハンド部56は、第一挟持ハンド60、第一ローラハンド62、第一ボールねじ64を有し、第二ハンド部58は、第二挟持ハンド66、第二ローラハンド68、第二ボールねじ70を有している。
【0062】
第一挟持ハンド60は、図2(a)に示されるように、一対の断面四角形状の爪60A,60Bを備えている。この第一挟持ハンド60は、第一エア供給機構48より供給されたエアによって一対の爪60A,60Bを開閉する。また、第一挟持ハンド60は、一対の爪60A,60Bを閉じて定長カーカスコード24Aを長手方向に相対的に移動不能に挟持する。
【0063】
第一ローラハンド62は、図2(a)に示されるように、一対の断面円形状のローラ62A,62Bを備えている。一対のローラ62A,62Bは、長手方向に延びる軸線を回転軸として回転可能となっている。この第一ローラハンド62は、第一エア供給機構48より供給されたエアによって一対のローラ62A,62Bを開閉する。また、第一ローラハンド62は、一対の回転可能なローラ62A,62Bを閉じることにより定長カーカスコード24Aを長手方向に相対的に移動可能且つ長手方向への相対的な移動に対して抵抗力を付与するように挟持する。
【0064】
つまり、第一ローラハンド62によって挟持された定長カーカスコード24Aは、一対のローラ62A,62Bが回転可能であることによって第一ローラハンド62に対して長手方向に相対的に移動可能にされると共に、一対のローラ62A,62Bによる回転抵抗力によって長手方向への相対的な移動に対して抵抗力が付与される。
【0065】
同様に、第二挟持ハンド66は、図2(c)に示されるように、一対の断面四角形状の爪66A,66Bを備えている。この第二挟持ハンド66は、第二エア供給機構50より供給されたエアによって一対の爪66A,66Bを開閉する。また、第二挟持ハンド66は、一対の爪66A,66Bを閉じて定長カーカスコード24Aを長手方向に相対的に移動不能に挟持する。
【0066】
第二ローラハンド68は、図2(c)に示されるように、一対の断面円形状のローラ68A,68Bを備えている。一対のローラ68A,68Bは、長手方向に延びる軸線を回転軸として回転可能となっている。この第二ローラハンド68は、第二エア供給機構50より供給されたエアによって一対のローラ68A,68Bを開閉する。また、第二ローラハンド68は、一対の回転可能なローラ68A,68Bを閉じることにより定長カーカスコード24Aを長手方向に相対的に移動可能且つ長手方向への相対的な移動に対して抵抗力を付与するように挟持する。
【0067】
つまり、第二ローラハンド68によって挟持された定長カーカスコード24Aは、一対のローラ68A,68Bが回転可能であることによって第二ローラハンド68に対して長手方向に相対的に移動可能にされると共に、一対のローラ68A,68Bによる回転抵抗力によって長手方向への相対的な移動に対して抵抗力が付与される。
【0068】
第一ボールねじ64は、長手方向中央部を境にして左ねじ領域64Aと右ねじ領域64Bを備えている。左ねじ領域64Aには、第一挟持ハンド60のナット部が螺合されており、右ねじ領域64Bには、第一ローラハンド62のナット部が螺合されている。本実施形態では、第一ボールねじ64に螺合された第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62が定長カーカスコード24Aの長手方向に離間した位置を保持する。
【0069】
そして、第一ボールねじ64は、第一ハンド拡縮用モータ40の双方向の回転力が第一減速機構44を介して伝達されたことにより双方向に回転し、一方向への回転時に第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62を互いに接近する方向にスライドさせ、他方向への回転時に第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62を互いに離間する方向にスライドさせる。
【0070】
また、本実施形態では、定長カーカスコード24Aの一方側を第一挟持ハンド60によって長手方向に相対的に移動不能に挟持すると共に、定長カーカスコード24Aの他方側を第一ローラハンド62によって長手方向に相対的に移動可能且つ長手方向への相対的な移動に対して抵抗力を付与するように挟持し、この状態で第一挟持ハンド60及び第二ローラハンド68を定長カーカスコード24Aの長手方向に沿って互いに離間する方向に移動させることにより定長カーカスコード24Aを展張させることが可能となっている。
【0071】
同様に、第二ボールねじ70は、長手方向中央部を境にして左ねじ領域70Aと右ねじ領域70Bを備えている。左ねじ領域70Aには、第二挟持ハンド66のナット部が螺合されており、右ねじ領域70Bには、第二ローラハンド68のナット部が螺合されている。本実施形態では、第二ボールねじ70に螺合された第二挟持ハンド66及び第二ローラハンド68が定長カーカスコード24Aの長手方向に離間した位置を保持する。
【0072】
そして、第二ボールねじ70は、第二ハンド拡縮用モータ42の双方向の回転力が第二減速機構46を介して伝達されたことにより双方向に回転し、一方向への回転時に第二挟持ハンド66及び第二ローラハンド68を互いに接近する方向にスライドさせ、他方向への回転時に第二挟持ハンド66及び第二ローラハンド68を互いに離間する方向にスライドさせる。
【0073】
また、本実施形態では、定長カーカスコード24Aの一方側を第二挟持ハンド66によって長手方向に相対的に移動不能に挟持すると共に、定長カーカスコード24Aの他方側を第二ローラハンド68によって長手方向に相対的に移動可能且つ長手方向への相対的な移動に対して抵抗力を付与するように挟持し、この状態で第二挟持ハンド66及び第二ローラハンド68を定長カーカスコード24Aの長手方向に沿って互いに離間する方向に移動させることにより定長カーカスコード24Aを展張させることが可能となっている。
【0074】
この上記各構成からなる旋回ハンド機構52は、旋回駆動用モータ38の一方向の回転力が第一減速機構44を介して伝達されたことにより、水平軸線を回転軸として下回りに旋回する。また、本実施形態の定長線材搬送部28は、図示しない移動機構により定長カーカスコード24Aの線材送出方向と直交する方向(Y方向)に沿って定長線材形成部26側の位置と定長線材移送装置16側の位置とを往復スライド移動する。
【0075】
定長線材移送装置16は、本発明における定長線材移送手段を構成するものであり、定長線材搬送装置14によって予め定められた位置に搬送された定長カーカスコード24Aを受け取って次工程としての円環状体72に移送する。定長線材移送装置16には、左右一対の挟持ハンド16A,16Bが備えられている。そして、定長線材移送装置16は、この挟持ハンド16A,16Bの各爪を閉じることにより、定長線材搬送装置14からの定長カーカスコード24Aを挟持すると共に、シリンダ機構16C(図8参照)により挟持ハンド16A,16Bの角度を変えながら挟持ハンド16A,16Bの各爪を開くことにより定長カーカスコード24Aを解放する。
【0076】
また、本実施形態の定長線材移送装置16は、サーボモータ17A及びボールねじ機構17Bからなる昇降機構17(図8参照)により、定長線材搬送装置14からの定長カーカスコード24Aを受け取る位置(上昇位置)と、円環状体72に定長カーカスコード24Aを植え込む位置(降下位置)との間を鉛直方向(Z方向)に沿って昇降可能となっている。さらに、定長線材位相装置16には、円環状体72に対する装置全体の角度を変えるための角度調整機構19が備えられている。
【0077】
制御装置18は、線材送出装置12、定長線材搬送装置14、定長線材移送装置16の各動作を制御する。なお、制御装置18による線材送出装置12、定長線材搬送装置14、定長線材移送装置16の各動作については、次に示す定長カーカスコード24Aの供給方法の中で詳述する。
【0078】
次に、図3乃至図11を参照しながら、本発明の一実施形態に係る線材供給装置10を用いて次工程としての円環状体72に定長カーカスコード24A〜24Cを供給する方法について説明する。
【0079】
なお、図3には、円環状体72に定長カーカスコード24A〜24Cを供給する際の各部動作を表すタイミングチャートが示されており、図4乃至図11には、円環状体72に定長カーカスコード24A〜24Cを供給する様子が示されている。
【0080】
図示しない操作スイッチをオンにすると、操作スイッチから操作信号が制御装置18(図1参照)に出力される。これにより、制御装置18は、円環状体72への線材供給動作を開始し、以下に示す如く、線材送出装置12、定長線材搬送装置14、定長線材移送装置16の各動作を制御する。
【0081】
なお、スタート時には、図4(a)に示されるように、定長線材搬送装置14のカッタ32は、線材送出装置12側に位置しており、カッタ32の孔部36には、線材送出装置12から送出されたカーカスコード24が挿通されることにより保持されている。また、定長線材搬送装置14の第一挟持ハンド60と第一ローラハンド62とは、互いに接近した位置に移動しており、第二挟持ハンド66と第二ローラハンド68とは、互いに離間した位置に移動している。また、図4において、図示を省略しているが、定長線材移送装置16(図1参照)は、定長線材搬送装置14からのカーカスコード24を受け取ることができるように、上昇した位置に移動している。
【0082】
まず、線材送出装置12は、図4(a)に示されるように、カーカスコード24を形成し、このカーカスコード24を軸周りに回転させながら送出する。本実施形態の線材送出装置12は、カーカスコード24を絶えず送出する。
【0083】
定長線材搬送装置14は、カッタ32の孔部36に線材送出装置12より軸周りに回転しながら送出されるカーカスコード24を挿通させることにより保持した状態で、このカッタ32を線材送出装置12の線材送出速度よりも若干遅い速度で線材送出方向に移動させる。これにより、線材送出装置12から送出されるカーカスコード24は、カッタ32の孔部36によって軸周りの回転が許容されながら保持された状態で線材送出方向に案内される。
【0084】
そして、定長線材搬送装置14は、図4(b)に示されるように、カッタ32が線材送出方向のストローク終端に位置したところでカッタ32を停止させる。このとき、線材送出装置12からは、カッタ32の移動速度よりも速い速度でカーカスコード24が送出されていたので、カッタ32の孔部36に挿通されることにより保持されたカーカスコード24のカッタ32よりも線材送出方向先端側は下方に垂れ下がった状態となる。なお、カッタ32が線材送出方向のストローク終端に位置したところで、線材送出装置12から送出されたカーカスコード24が予め定められた長さとなる。
【0085】
続いて、定長線材搬送装置14は、図4(c)に示されるように、カッタ32を閉じた状態とし、カーカスコード24を切断して予め定められた長さの定長カーカスコード24Aを形成する。また、定長線材搬送装置14は、カッタ32を閉じて定長カーカスコード24Aを形成すると同時に、第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62の各爪をそれぞれ閉じた状態とし、この第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62によって定長カーカスコード24Aにおける線材送出方向後端側の長手方向に離間した位置をそれぞれ挟持することにより保持する。
【0086】
そして、定長線材搬送装置14は、図5(a)に示されるように、第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62を定長カーカスコード24Aの長手方向に沿って互いに離間する方向にセンター振り分けで移動させると共に、第二挟持ハンド66及び第二ローラハンド68を互いに接近する方向に移動させる。これと同時に、定長線材搬送装置14は、定長線材搬送部28を下回りに旋回させて第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62を鉛直方向下側、第二挟持ハンド66及び第二ローラハンド68を鉛直方向上側とする。
【0087】
続いて、定長線材搬送装置14は、図5(b)に示されるように、第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62を定長カーカスコード24Aの長手方向に沿って互いに離間する方向の中間位置に位置させると共に、第二挟持ハンド66及び第二ローラハンド68を互いに接近する方向の中間位置に位置させた状態で、定長線材搬送部28全体を線材送出方向と直交する方向で定長線材形成部26から離間する側(定長線材移送装置16側)に移動させる。
【0088】
そして、定長線材搬送装置14は、図5(c)に示されるように、定長線材搬送部28を旋回させて第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62を定長線材形成部26と反対側、第二挟持ハンド66及び第二ローラハンド68を定長線材形成部26側とする。これと同時に、定長線材搬送装置14は、第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62を定長カーカスコード24Aの長手方向に沿って互いに離間する方向にさらに移動させると共に、第二挟持ハンド66及び第二ローラハンド68を互いに接近する方向にさらに移動させる。
【0089】
このとき、本実施形態では、定長カーカスコード24Aの一方側を第一挟持ハンド60によって長手方向に相対的に移動不能に挟持すると共に、定長カーカスコード24Aの他方側を第一ローラハンド62によって長手方向に相対的に移動可能且つ長手方向への相対的な移動に対して抵抗力を付与するように挟持している。従って、この状態で第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62を定長カーカスコード24Aの長手方向に沿って互いに離間する方向にセンター振り分けで移動させることにより定長カーカスコード24Aにテンションが加えられて定長カーカスコード24Aが展張する。
【0090】
そして、定長線材搬送装置14は、図6(a)に示されるように、第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62の各爪を開いて定長カーカスコード24Aを解放し定長線材移送装置16に定長カーカスコード24Aを受け渡す。定長線材移送装置16は、挟持ハンド16A,16Bの各爪を閉じることにより、定長線材搬送装置14からの定長カーカスコード24Aをそのテンションを維持した状態で挟持して受け取る。これと同時に、定長線材搬送装置14は、カッタ32の孔部36に線材送出装置12より軸周りに回転しながら送出されるカーカスコード24を挿通させながら、カッタ32を線材送出装置12側へ移動させる。
【0091】
続いて、定長線材移送装置16は、図6(b)に示されるように、鉛直方向下側(円環状体72側)に降下する。また、本実施形態では、定長線材移送装置16によって定長カーカスコード24Aが円環状体72に移送されている間に、定長線材搬送装置14は、次の定長カーカスコード24Aを形成するための準備に移行する。
【0092】
つまり、定長線材搬送装置14は、定長線材搬送部28全体を線材送出方向と直交する方向で定長線材形成部26に接近する側(定長線材移送装置16と反対側)に移動させる。また、定長線材搬送装置14は、カッタ32の孔部36に線材送出装置12より軸周りに回転しながら送出されるカーカスコード24を挿通させることにより保持した状態で、このカッタ32を線材送出装置12の線材送出速度よりも若干遅い速度で線材送出方向に移動させる。これにより、線材送出装置12から送出されるカーカスコード24は、カッタ32の孔部36によって軸周りの回転が許容されながら保持された状態で線材送出方向に案内される。
【0093】
そして、定長線材搬送装置14は、図6(b)に示されるように、カッタ32が線材送出方向のストローク終端に位置したところでカッタ32を停止させる。このとき、線材送出装置12からは、カッタ32の移動速度よりも速い速度でカーカスコード24が送出されていたので、カッタ32の孔部36に挿通されることにより保持されたカーカスコード24のカッタ32よりも線材送出方向先端側は下方に垂れ下がった状態となる。なお、カッタ32が線材送出方向のストローク終端に位置したところで、線材送出装置12から送出されたカーカスコード24が予め定められた長さとなる。
【0094】
そして、定長線材搬送装置14は、図6(c)に示されるように、カッタ32を閉じた状態とし、カーカスコード24を切断して予め定められた長さの次の定長カーカスコード24Bを形成する。また、定長線材搬送装置14は、カッタ32を閉じて次の定長カーカスコード24Bを形成すると同時に、第二挟持ハンド66及び第二ローラハンド68の各爪をそれぞれ閉じた状態とし、この第二挟持ハンド66及び第二ローラハンド68によって次の定長カーカスコード24Bにおける線材送出方向後端側の長手方向に離間した位置をそれぞれ挟持することにより保持する。これと同時に、定長線材移送装置16は、鉛直方向下側(円環状体72側)にさらに降下する。
【0095】
そして、定長線材搬送装置14は、図7(a)に示されるように、第二挟持ハンド66及び第二ローラハンド68を次の定長カーカスコード24Bの長手方向に沿って互いに離間する方向にセンター振り分けで移動させると共に、第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62を互いに接近する方向に移動させる。これと同時に、定長線材搬送装置14は、定長線材搬送部28を下回りに旋回させて第二挟持ハンド66及び第二ローラハンド68を鉛直方向下側、第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62を鉛直方向上側とする。
【0096】
また、図8に示されるように、定長線材移送装置16は、昇降機構17を作動させて円環状体72側に植込みに行った際に、角度調整機構19を作動させることにより、コードセンター部を円環状体72に接した部分より微小に旋回させて、ベルトの端部と中央部の角度を変更する。そして、シリンダ機構16Cを作動させて、円環状体72の外周に定長カーカスコード24Aが沿うように挟持ハンド16A,16Bを旋回させる。続いて、挟持ハンド16A,16Bの各爪を開き、定長カーカスコード24Aを円環状体72に移送する(植え込む)。
【0097】
続いて、定長線材搬送装置14は、図7(b)に示されるように、第二挟持ハンド66及び第二ローラハンド68を次の定長カーカスコード24Bの長手方向に沿って互いに離間する方向の中間位置に位置させると共に、第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62を互いに接近する方向の中間位置に位置させた状態で、定長線材搬送部28全体を線材送出方向と直交する方向で定長線材形成部26から離間する側(定長線材移送装置16側)に移動させる。これと同時に、定長線材移送装置16は、鉛直方向上側(円環状体72と反対側)に上昇する。
【0098】
そして、定長線材搬送装置14は、図7(c)に示されるように、定長線材搬送部28を旋回させて第二挟持ハンド66及び第二ローラハンド68を定長線材移送装置16側、第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62を定長線材形成部26側とする。これと同時に、定長線材搬送装置14は、第二挟持ハンド66及び第二ローラハンド68を次の定長カーカスコード24Bの長手方向に沿って互いに離間する方向にさらに移動させると共に、第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62を互いに接近する方向にさらに移動させる。
【0099】
このとき、本実施形態では、次の定長カーカスコード24Bの一方側を第二挟持ハンド66によって長手方向に相対的に移動不能に挟持すると共に、次の定長カーカスコード24Bの他方側を第二ローラハンド68によって長手方向に相対的に移動可能且つ長手方向への相対的な移動に対して抵抗力を付与するように挟持している。従って、この状態で第二挟持ハンド66及び第二ローラハンド68を次の定長カーカスコード24Bの長手方向に沿って互いに離間する方向にセンター振り分けで移動させることにより次の定長カーカスコード24Bにテンションが加えられて次の定長カーカスコード24Bが展張する。また、定長線材移送装置16は、定長線材搬送装置14の動きに合わせて鉛直方向上側(円環状体72と反対側)への上昇を完了する。
【0100】
そして、定長線材搬送装置14は、図9(a)に示されるように、第二挟持ハンド66及び第二ローラハンド68の各爪を開いて定長カーカスコード24Bを解放し定長線材移送装置16に次の定長カーカスコード24Bを受け渡す。定長線材移送装置16は、挟持ハンド16A,16Bの各爪を閉じることにより、定長線材搬送装置14からの次の定長カーカスコード24Bをそのテンションを維持した状態で挟持して受け取る。
【0101】
このように、本実施形態では、第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62が定長線材移送装置16への定長カーカスコード24Aの搬送を完了して元の位置に復帰する間に(さらに次の定長カーカスコード24Cの搬送に備える間に)、第二挟持ハンド66及び第二ローラハンド68が定長線材移送装置16への次の定長カーカスコード24Bの搬送を行う。
【0102】
また、定長線材搬送装置14は、第二挟持ハンド66及び第二ローラハンド68の各爪を開いて定長カーカスコード24Bを解放し定長線材移送装置16に次の定長カーカスコード24Bを受け渡すと同時に、カッタ32の孔部36に線材送出装置12より軸周りに回転しながら送出されるカーカスコード24を挿通させながら、カッタ32を線材送出装置12側へ移動させる。
【0103】
そして、定長線材移送装置16は、図9(b)に示されるように、鉛直方向下側(円環状体72側)に降下する。これと同時に、定長線材搬送装置14は、定長線材搬送部28全体を線材送出方向と直交する方向で定長線材形成部26に接近する側(定長線材移送装置16と反対側)に移動させる。
【0104】
また、定長線材搬送装置14は、カッタ32の孔部36に線材送出装置12より軸周りに回転しながら送出されるカーカスコード24を挿通させることにより保持した状態で、このカッタ32を線材送出装置12の線材送出速度よりも若干遅い速度で線材送出方向に移動させる。これにより、線材送出装置12から送出されるカーカスコード24は、カッタ32の孔部36によって軸周りの回転が許容されながら保持された状態で線材送出方向に案内される。
【0105】
そして、定長線材搬送装置14は、図9(b)に示されるように、カッタ32が線材送出方向のストローク終端に位置したところでカッタ32を停止させる。このとき、線材送出装置12からは、カッタ32の移動速度よりも速い速度でカーカスコード24が送出されていたので、カッタ32の孔部36に挿通されることにより保持されたカーカスコード24のカッタ32よりも線材送出方向先端側は下方に垂れ下がった状態となる。なお、カッタ32が線材送出方向のストローク終端に位置したところで、線材送出装置12から送出されたカーカスコード24が予め定められた長さとなる。
【0106】
このように、線材送出装置12は、第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62が定長線材移送装置16への定長カーカスコード24Aの搬送を完了して元の位置に復帰する間に(さらに次の定長カーカスコード24Cの搬送に備える間に)、さらに次の定長カーカスコード24Cを形成するのに必要な長さのカーカスコード24を送出しておくようにしている。
【0107】
そして、定長線材搬送装置14は、図9(c)に示されるように、カッタ32を閉じた状態とし、カーカスコード24を切断して予め定められた長さの定長カーカスコード24Cを形成する。また、定長線材搬送装置14は、カッタ32を閉じて定長カーカスコード24Cを形成すると同時に、第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62の各爪をそれぞれ閉じた状態とし、この第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62によってさらに次の定長カーカスコード24Cにおける線材送出方向後端側の長手方向に離間した位置をそれぞれ挟持することにより保持する。これと同時に、定長線材移送装置16は、鉛直方向下側(円環状体72側)にさらに降下する。
【0108】
そして、定長線材搬送装置14は、図10(a)に示されるように、第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62を定長カーカスコード24Cの長手方向に沿って互いに離間する方向にセンター振り分けで移動させると共に、第二挟持ハンド66及び第二ローラハンド68を互いに接近する方向に移動させる。これと同時に、定長線材搬送装置14は、定長線材搬送部28を下回りに旋回させて第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62を鉛直方向下側、第二挟持ハンド66及び第二ローラハンド68を鉛直方向上側とする。
【0109】
また、図11に示されるように、定長線材移送装置16は、昇降機構17を作動させて円環状体72側に植込みに行った際に、角度調整機構19を作動させることにより、コードセンター部を円環状体72に接した部分より微小に旋回させて、ベルトの端部と中央部の角度を変更する。そして、シリンダ機構16Cを作動させて、円環状体72の外周に定長カーカスコード24Bが沿うように挟持ハンド16A,16Bを旋回させる。続いて、挟持ハンド16A,16Bの各爪を開き、定長カーカスコード24Bを円環状体72に移送する(植え込む)。
【0110】
続いて、定長線材搬送装置14は、図10(b)に示されるように、第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62を定長カーカスコード24Cの長手方向に沿って互いに離間する方向の中間位置に位置させると共に、第二挟持ハンド66及び第二ローラハンド68を互いに接近する方向の中間位置に位置させた状態で、定長線材搬送部28全体を線材送出方向と直交する方向で定長線材形成部26から離間する側(定長線材移送装置16側)に移動させる。これと同時に、定長線材移送装置16は、鉛直方向上側(円環状体72と反対側)に上昇する。
【0111】
そして、定長線材搬送装置14は、図10(c)に示されるように、定長線材搬送部28を旋回させて第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62を定長線材移送装置16側、第二挟持ハンド66及び第二ローラハンド68を定長線材形成部26側とする。これと同時に、定長線材搬送装置14は、第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62を定長カーカスコード24Cの長手方向に沿って互いに離間する方向にさらに移動させると共に、第二挟持ハンド66及び第二ローラハンド68を互いに接近する方向にさらに移動させる。
【0112】
このとき、本実施形態では、定長カーカスコード24Cの一方側を第一挟持ハンド60によって長手方向に相対的に移動不能に挟持すると共に、定長カーカスコード24Cの他方側を第一ローラハンド62によって長手方向に相対的に移動可能且つ長手方向への相対的な移動に対して抵抗力を付与するように挟持している。従って、この状態で第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62を定長カーカスコード24Cの長手方向に沿って互いに離間する方向にセンター振り分けで移動させることにより定長カーカスコード24Cにテンションが加えられて定長カーカスコード24Cが展張する。また、定長線材移送装置16は、定長線材搬送装置14の動きに合わせて鉛直方向上側(円環状体72と反対側)への上昇を完了する。
【0113】
そして、上述の如く、第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62の各爪を開いて定長カーカスコード24Cを解放し定長線材移送装置16に定長カーカスコード24Cを受け渡す(図6(c)参照)。以降、上記要領にて、定長カーカスコード24A〜24Cを形成して、この定長カーカスコード24A〜24Cを円環状体72へ移送(植え込み)する工程を繰り返し行うことにより、円環状体72に周囲にカーカス層を形成する。
【0114】
次に、本発明の一実施形態に係る線材供給装置10を用いて円環状体72に定長カーカスコード24A〜24Cを供給する方法の作用及び効果について説明する。
【0115】
本実施形態では、定長線材搬送装置14によって定長カーカスコード24A〜24Cが展張された状態で定長線材移送装置16に搬送される。従って、線材送出装置12よりカーカスコード24が軸周りに回転しながら送出される場合であっても、定長カーカスコード24A〜24Cのテンションの緩みを防止することにより次工程としての円環状体72に確実に定長カーカスコード24A〜24Cを供給する(植え込む)ことが可能となる。
【0116】
また、本実施形態では、定長カーカスコード24A,24Cの一方側を第一挟持ハンド60によって挟持すると共に、定長カーカスコード24A,24Cの他方側を第一ローラハンド62によって挟持した状態で、この第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62を定長カーカスコード24A,24Cの長手方向に沿って互いに離間する方向に移動させている。
【0117】
従って、第一挟持ハンド60によって定長カーカスコード24A,24Cの一方側が長手方向に相対的に移動不能に挟持され、第一ローラハンド62によって定長カーカスコード24A,24Cの他方側が長手方向に相対的に移動可能に挟持され且つ長手方向への相対的な移動に対して抵抗力が付与されるので、定長カーカスコード24A,24Cが確実に展張される。また、これと同様に、定長カーカスコード24Bを第二挟持ハンド66及び第二ローラハンド68によって搬送した場合も、定長カーカスコード24Bが確実に展張される。
【0118】
また、本実施形態では、定長線材搬送装置14によって予め定められた位置に搬送された定長カーカスコード24A〜24Cを受け取って次工程としての円環状体72に移送する定長線材移送装置16が設けられている。従って、定長線材搬送装置14によって予め定められた位置に搬送された定長カーカスコード24A〜24Cを定長線材移送装置16によって次工程としての円環状体72に供給することができる。
【0119】
また、定長線材移送装置16によって定長カーカスコード24Aが円環状体72に移送されている間に、定長線材搬送装置14は、次の定長カーカスコード24Bを形成するための準備に移行することができる。これにより、定長カーカスコード24A〜24Cの円環状体72への供給効率を向上させることが可能となる。
【0120】
また、本実施形態では、第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62が定長線材移送装置16への定長カーカスコード24Aの搬送を完了して元の位置に復帰する間に(さらに次の定長カーカスコード24Cの搬送に備える間に)、第二挟持ハンド66及び第二ローラハンド68が定長線材移送装置16への次の定長カーカスコード24Bの搬送を行うようにしている。
【0121】
従って、第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62が定長線材移送装置16への定長カーカスコード24Aの搬送を完了して元の位置に復帰する(さらに次の定長カーカスコード24Cの搬送に備える)という定長線材搬送装置14の復路の動作が、第二挟持ハンド66及び第二ローラハンド68による定長線材移送装置16への次の定長カーカスコード24Bの搬送に利用されて無駄とならない。
【0122】
このため、定長カーカスコード24Aを定長線材移送装置16に受け渡してから次の定長カーカスコード24Bの受け渡しに移行するまでに要する時間を従来に比して短くできる。これにより、定長カーカスコード24A〜24Cの円環状体72への線材供給効率を向上させることが可能となる。
【0123】
さらに、本実施形態において、線材送出装置12は、第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62が定長線材移送装置16への定長カーカスコード24Aの搬送を完了して元の位置に復帰する間に(さらに次の定長カーカスコード24Cの搬送に備える間に)、さらに次の定長カーカスコード24Cを形成するのに必要な長さのカーカスコード24を送出しておくようにしている。
【0124】
従って、このカーカスコード24を予め定められた長さで切断してさらに次の定長カーカスコード24Cを形成することにより、さらに次の定長カーカスコード24Cに必要な長さのカーカスコード24の送出を待つことなく、第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62による定長線材移送装置16へのさらに次の定長カーカスコード24Cの搬送を直ちに開始することができる。
【0125】
これにより、第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62が定長線材移送装置16への定長カーカスコード24Aの搬送を完了して元の位置に復帰してから、さらに次の定長カーカスコード24Cを形成するのに必要な長さのカーカスコード24を送出する場合に比して、第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62によるさらに次の定長カーカスコード24Cの搬送開始に移行するまでに要する時間を短くできるので、定長カーカスコード24A〜24Cの円環状体72への供給効率をさらに向上させることが可能となる。
【0126】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0127】
上記実施形態では、本発明に係る次工程が円環状体72とされていたが、本発明はこれに限定されるものではない。その他にも、本発明に係る次工程は、例えば他の製造装置や搬送装置であっても良い。
【0128】
上記実施形態では、本発明に係る線材案内手段がカッタ32の刃34Aに形成された孔部36で構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。その他にも、本発明に係る線材案内手段は、線材送出装置12から送出されたカーカスコード24を線材送出方向に案内可能な溝部を備えたガイド部材等で構成されていても良い。
【0129】
また、上記実施形態では、一つの定長カーカスコード24A(24B,24C)の長手方向に離間した位置を保持する保持部が、第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62(第二挟持ハンド66及び第二ローラハンド68)の一組により構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。その他にも、第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62(第二挟持ハンド66及び第二ローラハンド68)を適宜増設して複数のハンドにより一つの定長カーカスコード24A(24B,24C)の長手方向に離間した位置を保持しても良い。
【0130】
また、上記実施形態では、第一挟持ハンド60及び第一ローラハンド62(第二挟持ハンド66及び第二ローラハンド68)の双方を定長カーカスコード24A(24B,24C)の長手方向に沿って離間する方向に移動させていたが、第一挟持ハンド60(第二挟持ハンド66)及び第一ローラハンド62(第二ローラハンド68)のいずれかを定長カーカスコード24A(24B,24C)の長手方向に沿って離間する方向に移動させても良い。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係る線材供給装置の全体構成を示す図である。
【図2】図2は本発明の一実施形態に係る定長線材搬送装置の構成を示す図である。
【図3】図3は本発明の一実施形態に係る円環状体に定長カーカスコードを供給する際の各部動作を表すタイミングチャートを示す図である。
【図4】図4は本発明の一実施形態に係る円環状体に定長カーカスコードを供給する様子を示す第一説明図である。
【図5】図5は本発明の一実施形態に係る円環状体に定長カーカスコードを供給する様子を示す第二説明図である。
【図6】図6は本発明の一実施形態に係る円環状体に定長カーカスコードを供給する様子を示す第三説明図である。
【図7】図7は本発明の一実施形態に係る円環状体に定長カーカスコードを供給する様子を示す第四説明図である。
【図8】図8は本発明の一実施形態に係る円環状体に定長カーカスコードを供給する様子を示す第五説明図である。
【図9】図9は本発明の一実施形態に係る円環状体に定長カーカスコードを供給する様子を示す第六説明図である。
【図10】図10は本発明の一実施形態に係る円環状体に定長カーカスコードを供給する様子を示す第七説明図である。
【図11】図11は本発明の一実施形態に係る円環状体に定長カーカスコードを供給する様子を示す第八説明図である。
【符号の説明】
【0132】
10 線材供給装置
12 線材送出装置(線材送出手段)
14 定長線材搬送装置
16 定長線材移送装置(線材移送手段)
24 カーカスコード(線材)
24A,24B,24C 定長カーカスコード(定長線材)
32 カッタ(定長線材形成手段)
36 孔部(線材案内手段)
56 第一ハンド部(定長線材搬送手段)
58 第二ハンド部(定長線材搬送手段)
60 第一挟持ハンド(保持部)
62 第一ローラハンド(保持部)
66 第二挟持ハンド(保持部)
68 第二ローラハンド(保持部)
72 円環状体(次工程)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた長さの定長線材を形成し前記定長線材を次工程に供給する線材供給装置であって、
線材を軸周りに回転させながら送出する線材送出手段と、
前記線材送出手段より軸周りに回転しながら送出される線材を前記線材の軸周りの回転を許容しながら保持した状態で線材送出方向に案内する線材案内手段と、
前記線材案内手段により案内された線材を予め定められた長さで切断して前記定長線材を形成する定長線材形成手段と、
前記定長線材形成手段によって切断されて形成された定長線材の長手方向に離間した位置を少なくとも一対の保持部により保持すると共に、前記少なくとも一対の保持部の少なくともいずれかを前記定長線材の長手方向に沿って互いに離間する方向に移動させることにより前記定長線材を展張させた状態で前記次工程に向けて搬送する定長線材搬送手段と、
を備えたことを特徴とする線材供給装置。
【請求項2】
前記少なくとも一対の保持部のいずれかは、前記定長線材の長手方向に沿って互いに離間する方向に移動する際に前記定長線材を長手方向に相対的に移動不能に挟持する挟持ハンドで構成され、
前記少なくとも一対の保持部の残りのいずれかは、前記定長線材の長手方向に沿って互いに離間する方向に移動する際に前記定長線材を長手方向に相対的に移動可能且つ長手方向への相対的な移動に対して抵抗力を付与するように挟持する少なくとも一対のローラを備えたローラハンドで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の線材供給装置。
【請求項3】
前記線材供給装置には、前記定長線材搬送手段によって予め定められた位置に搬送された定長線材を受け取って前記次工程に移送する定長線材移送手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の線材供給装置。
【請求項4】
前記線材供給装置は、前記定長線材搬送手段を少なくとも一対ずつ備え、
前記少なくとも一対の定長線材搬送手段は、いずれかが前記定長線材移送手段への前記定長線材の搬送を完了して元の位置に復帰する間に、残りのいずれかが前記定長線材移送手段への次の定長線材の搬送を行うことを特徴とする請求項3に記載の線材供給装置。
【請求項5】
前記線材送出手段は、前記少なくとも一対の定長線材搬送手段のいずれかが前記定長線材移送手段への前記定長線材の搬送を完了して元の位置に復帰する間に、さらに次の定長線材を形成するのに必要な長さの線材を送出しておくことを特徴とする請求項4に記載の線材供給装置。
【請求項6】
予め定められた長さの定長線材を形成し前記定長線材を次工程に供給する線材供給方法であって、
線材送出手段より軸周りに回転しながら送出される線材を前記線材の軸周りの回転を許容しながら保持した状態で線材送出方向に案内すると共に、前記案内された線材を予め定められた長さで切断して前記定長線材を形成する定長線材形成工程と、
前記定長線材形成工程において形成した定長線材の長手方向に離間した少なくとも二箇所の位置を保持すると共に、前記少なくとも二箇所の保持位置の少なくともいずれかを前記定長線材の長手方向に沿って互いに離間する方向に移動することにより前記定長線材を展張させた状態で前記次工程に向けて搬送する定長線材搬送工程と、
を備えたことを特徴とする線材供給方法。
【請求項7】
前記定長線材搬送工程において、前記定長線材の長手方向に離間した少なくとも二箇所の保持位置の少なくともいずれかを前記定長線材の長手方向に沿って互いに離間する方向に移動する際に、前記少なくとも二箇所の保持位置のいずれかを前記定長線材が長手方向に相対的に移動不能となるように挟持すると共に、前記少なくとも二箇所の保持位置の残りのいずれかを前記定長線材が長手方向に相対的に移動可能且つ前記定長線材の長手方向への相対的な移動に対して抵抗力を付与するように挟持することを特徴とする請求項6に記載の線材供給方法。
【請求項8】
前記定長線材搬送工程において予め定められた位置に搬送した定長線材を受け取って前記次工程に移送する定長線材移送工程を備えることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の線材供給方法。
【請求項9】
前記定長線材搬送工程において、前記定長線材移送工程への前記定長線材の搬送を完了して再び定長線材の搬送に備える間に、前記定長線材移送工程への次の定長線材の搬送を行うことを特徴とする請求項8に記載の線材供給方法。
【請求項10】
前記定長線材形成工程において、前記定長線材移送工程への前記定長線材の搬送を完了して再び定長線材の搬送に備える間に、さらに次の定長線材を形成するのに必要な長さの線材を送出しておくことを特徴とする請求項9に記載の線材供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−38284(P2007−38284A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−228061(P2005−228061)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】