説明

線状体の腐食部分検出装置及び腐食部分検出方法

【課題】線状体の腐食部分を高精度で検出することができ、検査時間のより一層の短縮及び検査コストのさらなる低減を実現可能な線状体の腐食部分検出装置及び腐食部分検出方法を提供する。
【解決手段】円筒形状を成し且つ中心に鉄心2a,3aを具備して試験体Wの検査対象箇所Wpを磁化する一対の励磁コイル2,3と、これらの励磁コイル2,3によって磁化された試験体Wの検査対象箇所Wp内を通過する磁束量を検出する検出コイル4を備え、一対の励磁コイル2,3は、各々の鉄心2a,3aの円形端面同士を互いに対向させた状態で、試験体Wの検査対象箇所Wpをその径方向両側から挟み込んで配置され、検出コイル4は、試験体W上に巻き付けた状態で設置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊橋や斜張橋に用いられる鋼製ケーブル等の磁性を有する線状体の腐食部分を検出するのに好適な線状体の腐食部分検出装置及び腐食部分検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
磁性を有する線状体、例えば、吊橋の鋼製ケーブルは、ラッピングワイヤで束ねた多数の素線(直径5mm程度の小径鋼線)をエラストマーシートで被覆した構成を成している。この鋼製ケーブルは、風雨に晒されるうえ、周辺環境によっては塩水や亜硫酸水の影響を受けることから、素線の腐食は免れない。
【0003】
これまでは、エラストマーシート及びラッピングワイヤを順次取り除いて行う目視検査により、素線の腐食部分を見つけ出すようにしていたが、エラストマーシート及びラッピングワイヤの除去に加えて、検査終了後にはラッピングワイヤの再巻き回し及びエラストマーシートによる再被覆が必要であることから、検査工期の長期化及び検査の高コスト化を招いてしまうという欠点があった。
【0004】
従来において、このような欠点を解消するべく成された技術としては、例えば、特許文献1に記載された腐食度測定装置及び腐食度測定方法がある。この腐食度測定装置は、鋼製ケーブルの検査対象箇所に巻き付け状態で固定される検出コイルと、この検出コイルを含めて検査対象箇所を囲むようにして配置される励磁コイルを備えており、この励磁コイルは、検査対象箇所においてその径方向両側からリール半割体同士を互いに合体させて成るリールにコイルの素線を整列巻きした構成を成している。
【0005】
この腐食度測定装置では、励磁コイルに電流を流して検査対象箇所を磁化させて、この磁化された検査対象箇所を通過する磁束量を計測する。この磁束量は、検査対象箇所の断面積に比例し、そして、この検査対象箇所の断面積は、検査対象箇所における腐食の度合いに応じて変化して、腐食が生じている腐食部分の断面積は腐食がない健全部分の断面積よりも小さくなる。したがって、あらかじめ取得した鋼製ケーブルの健全部分における磁束量に対する検査対象箇所での磁束量の変化を検出することで、検査対象箇所における腐食の有無及び腐食の度合いを把握することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3056136号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した腐食度測定装置では、目視検査を行っていた際のエラストマーシート及びラッピングワイヤの除去作業や復元作業が必要でなくなる分だけ、検査時間の短縮及び検査コストの低減を実現することができるものの、励磁コイルを鋼製ケーブルの検査対象箇所に配置する際には、検査対象箇所上でリールを組み立てたり、この組み立てたリールに対してコイルの素線を整列巻きしたりする作業が必要であるうえ、この腐食度の測定は、検査対象箇所が変わる度に一からリールの組み立てやコイルの素線の整列巻きなどの作業を行うことから、多くの手間隙がかかってしまうという問題を有しており、この問題を解決することが従来の課題となっていた。
【0008】
本発明は、上記した従来の課題に着目してなされたもので、線状体の腐食部分を高精度で検出することができるのは勿論のこと、検査時間のより一層の短縮及び検査コストのさらなる低減を実現することが可能である線状体の腐食部分検出装置及び腐食部分検出方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係る発明は、磁性を有する線状体の腐食部分を検出(腐食度の測定も含む)する腐食部分検出装置であって、円筒形状を成し且つ中心に鉄心を具備して前記線状体の検査対象箇所を磁化する一対の励磁コイルと、これらの励磁コイルによって磁化された前記線状体の検査対象箇所内を通過する磁束量を検出する検出コイルを備え、前記一対の励磁コイルは、各々の前記鉄心の円形端面同士を互いに対向させた状態で、前記線状体の検査対象箇所を該検査対象箇所の径方向両側から挟み込んで配置され、前記検出コイルは、前記線状体上に巻き付けた状態で設置される構成としたことを特徴としており、この構成の線状体の腐食部分検出装置を前述した従来の課題を解決するための手段としている。
【0010】
また、本発明の請求項2に係る線状体の腐食部分検出装置において、前記検出コイルは、前記線状体上の前記一対の励磁コイルにおける鉄心の脇に、前記線状体に巻き付けた状態で設置される構成としている。
【0011】
一方、本発明の請求項3に係る発明は、円筒形状を成し且つ中心に鉄心を具備して磁性を有する線状体の検査対象箇所を磁化する一対の励磁コイルと、これらの励磁コイルによって磁化された前記線状体の検査対象箇所内を通過する磁束量を検出する検出コイルを備えた線状体の腐食部分検出装置を用いて、線状体の腐食部分を検出するに際して、前記線状体の検査対象箇所を間にして、前記一対の励磁コイルを各々の前記鉄心の円形端面同士が互いに対向するようにして配置すると共に、前記検出コイルを前記線状体上に巻き付けた状態で設置した後、前記一対の励磁コイルに電流を流して前記検査対象箇所を磁化させて、この磁化された前記検査対象箇所を通過する磁束量を計測し、前記線状体の健全部分における磁束量に対する前記検査対象箇所での磁束量の変化に基づいて、前記線状体の検査対象箇所での腐食部分を検出(腐食度の測定も含む)する構成としている。
【0012】
本発明に係る線状体の腐食部分検出装置及び腐食部分検出方法において、線状体には、吊橋、斜張橋に用いられる鋼製ケーブルや、索道の鋼製ワイヤが含まれるほか、ロッドやポールやシャフト等の棒状体も含まれる。
【0013】
また、本発明に係る線状体の腐食部分検出装置及び腐食部分検出方法において、検出コイルは、線状体上における一対の励磁コイルで挟み込まれる検査対象箇所に設置したり、一対の励磁コイルの脇に設置したりすることができるが、一対の励磁コイルに対する検出コイルの設置場所を様々変えて検出性能を比較検討したところにおいて、請求項2に記載したように、最も優れた検出性能が得られる一対の励磁コイルにおける鉄心の脇に、検出コイルを線状体に巻き付けた状態で設置することが望ましい。
【0014】
さらに、本発明に係る線状体の腐食部分検出装置及び腐食部分検出方法では、線状体の腐食部分を検出するに際して、一対の励磁コイルの各磁極が互いにS極又はN極になるように電流を流したり、一対の励磁コイルの各磁極が互いに反する極になるように電流を流したりすることができる。
【0015】
本発明に係る線状体の腐食部分検出装置及び腐食部分検出方法では、予め円筒形状に形成した一対の励磁コイルを線状体の検査対象箇所を間にしてそれぞれ配置して、各々の鉄心の円形端面同士を互いに対向させると共に、検出コイルを一対の励磁コイルで挟み込まれる検査対象箇所や一対の励磁コイルにおける鉄心の脇に巻き付けた状態で設置した後、各々の磁極が、例えば、互いに同じになるようにして両励磁コイルに電流を流して検査対象箇所を磁化させ、この磁化された検査対象箇所を通過する磁束量を検出コイルで計測する。
【0016】
上記磁束量は、腐食の度合いに応じて変化する検査対象箇所の断面積に比例し、そして、腐食が生じている腐食部分での断面積は、腐食がない健全部分での断面積よりも小さくなるので、あらかじめ取得した線状体の健全部分における磁束量に対する検査対象箇所での磁束量の変化を検出すれば、検査対象箇所における腐食の有無が検出されることとなる。
【0017】
上記した磁束量の計測は、検査対象箇所を順次ずらして複数の位置で行われる、すなわち、一対の励磁コイル及び検出コイルを線状体の軸方向に移動(走査)させて複数の位置で行われる。この際、検査対象箇所を変える場合において、一対の励磁コイルについては新たな検査対象箇所に移動させるだけでよく、励磁コイルの巻き付け作業は不要である。
つまり、本発明に係る線状体の腐食部分検出装置及び腐食部分検出方法において、検査対象箇所を変える場合には、励磁コイルの巻き付け作業が不要であり、一からのリールの組み立てや励磁コイル及び検出コイルの各素線の整列巻きなどの作業を行う場合と比べて、検査時間の短縮及び検査コストの低減が図られることとなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る線状体の腐食部分検出装置では、上記した構成としているので、線状体の腐食部分を高精度で検出することができるのは言うまでもなく、検査時間をより一層短縮することができると共に、検査に要するコストもより一層低減させることが可能であるという非常に優れた効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例による線状体の腐食部分検出装置の構成及び配置要領を示す斜視説明図である。
【図2】図1における腐食部分検出装置の対を成す励磁コイルの磁極が同じ場合の測定状況説明図である。
【図3】図1における腐食部分検出装置の検出性能試験を行った際の腐食部検出信号波形を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。
図1及び図2は本発明に係る線状体の腐食部分検出装置及び腐食部分検出方法の一実施例を示している。
【0021】
図1に示すように、この腐食部分検出装置1は、線状体としての試験体Wの検査対象箇所Wpを磁化する一対の励磁コイル2,3と、これらの励磁コイル2,3によって磁化された試験体Wの検査対象箇所Wp内を通過する磁束量を検出する検出コイル4と、励磁コイル2,3用の電源5と、検出コイル4で取得した信号を増幅するアンプ6と、このアンプ6から送られる信号を解析して腐食の有無及び度合いを評価するコンピュータ7と、検査対象箇所Wpの位置情報を取得するエンコーダ8を備えている。この場合、上記線状体としての試験体Wは、吊橋、斜張橋に用いられる鋼製ケーブルを模した構成としている。
【0022】
この腐食部分検出装置1の一対の励磁コイル2,3は円筒形状を成していて、各々の中心には、両端部が励磁コイルの本体部分をはみ出す長さの鉄心2a,3aをそれぞれ具備しており、これらの鉄心2a,3aの各円形端面同士を互いに対向させた状態で、試験体Wの検査対象箇所Wpをその径方向両側から挟み込むようにして配置される。
【0023】
一方、検出コイル4は、この実施例において、試験体W上における一対の励磁コイル2,3の各鉄心2a,3aの脇に、巻き付けた状態で設置される。なお、検出コイル4の巻き付け状態において、検出コイル4の内周を試験体Wの外周にゴムやパッキン等を用いて密着させてもよいが、検査対象箇所Wpを変える際の移動(走査)を滑らかに行い得る程度の余裕を残すことが望ましい。
【0024】
この腐食部分検出装置1により、試験体Wの腐食部分を検出するに際しては、まず、試験体Wの検査対象箇所Wpを間にして径方向両側から挟み込むように一対の励磁コイル2,3を配置して、各々の鉄心2a,3aの円形端面同士を互いに対向させると共に、検出コイル4を一対の励磁コイル2,3における各鉄心2a,3aの脇に巻き付けた状態で設置する。
【0025】
この後、両励磁コイル2,3に対して、各々の磁極が、例えば、互いに同じ極になるように電源5から電流を流して検査対象箇所Wpを磁化させ、この磁化された検査対象箇所Wpを通過する磁束量を検出コイル4で計測する。
【0026】
この検出コイル4で計測された信号はアンプ6で増幅されてコンピュータ7に送られ、このコンピュータ7においてアンプ6からの増幅信号が解析されて、具体的には、あらかじめ取得した試験体Wの健全部分における磁束量に対する検査対象箇所Wpでの磁束量の変化を検出して電圧変化として出力することで、腐食の有無及び度合いが評価される。
【0027】
このように、本実施例による線状体の腐食部分検出装置1及び腐食部分検出方法では、試験体Wの検査対象箇所Wpの径方向両側に一対の励磁コイル2,3を配置するだけで、これらの励磁コイル2,3のセッティングが完了するので、従来行われていた検査対象箇所上でのリールに対する励磁コイルの素線の整列巻き作業を必要としない分だけ、検査時間の短縮及び検査コストの低減が図られることとなる。
【0028】
そして、例えば、吊橋、斜張橋に用いられる鋼製ケーブルの腐食部分を実際に検出する場合には、検査対象箇所Wpを順次ずらして複数の位置で検査を行う、すなわち、一対の励磁コイル2,3及び検出コイル4を鋼製ケーブルの軸方向に移動(走査)させて複数の位置で検査を行うことから、検査対象箇所を変える度に励磁コイルの素線を数多く整列巻きしなくてはならない従来と比べて、検査時間のより一層の短縮及び検査コストのさらなる低減が図られることとなる。
【0029】
そこで、本実施例による線状体の腐食部分検出装置1及び腐食部分検出方法を用いて、試験体Wに対する腐食部分の検出を試みた。試験体Wには、図1及び図2に示すように、直径5mmの鋼線Ww約50本を肉厚6mm、直径50mmの圧延鋼材(SS400)から成る配管Wsに詰めて成るものを用い、試験体Wの軸方向中央には、腐食部分に見立てた断面欠損率100%の傷を設けた。
【0030】
この試験において、励磁コイル2,3には、直径1.2mmの鋼線を1880ターン巻き回して直径を約100mmとした空芯インダクタンス約124000μH、空芯インピーダンス約780Ωのものを用い、鉄心2a,3aには、直径が70mmでその両端部が励磁コイル本体部分をはみ出す長さのものを用いた。
また、試験体W上で且つ一対の励磁コイル2,3の各鉄心2a,3aの脇に、直径0.3mmの鋼線を500ターン巻き回して直径約50mmの検出コイル4を形成することとし、この際の一対の励磁コイル2,3の軸心と検出コイル4の軸方向中心(図2左右方向中心)との距離dを約40mmとした(図2参照)。
【0031】
そして、上記仕様の一対の励磁コイル2,3を試験体Wの検査対象箇所Wpの両側に配置すると共に、これらの励磁コイル2,3の各鉄心2a,3aの脇に検出コイル4を上記仕様で形成した後、両励磁コイル2,3に各磁極が互いにS極になるようにして電源5から2.6〜2.75Aの電流(負荷電圧25V)を流して検査対象箇所Wpを磁化させる。
【0032】
この状態において、図2に示す磁束線Lが生じており、磁化された検査対象箇所Wpを通過する磁束量を検出コイル4で計測し、以降、検査対象箇所Wpを順次ずらして複数の位置でこの磁束量の計測を試みたところ、図3に示す計測結果を得た。
【0033】
図3は、検査対象箇所Wpを0〜600mmの範囲内で移動させた(励磁コイル2,3及び検出コイル4を走査させた)際のアンプ6で増幅された検出信号波形(電圧波形)を表している。
【0034】
図3に示すように、試験体Wの傷がない部位におけるノイズ(楕円で囲んだ部分)がやや大きいものの、試験体Wの断面欠損率100%の傷を設けた軸方向中央(走査距離約300mmの部位)では、この傷を認識し得るのに十分な大きさの信号強度が得られていることが判る。この信号強度は、従来の測定方法(検査対象箇所上での励磁コイルのリールに対するコイルの素線の整列巻き作業を必要とする測定方法)で得られる信号強度とほぼ同等であり、したがって、本実施例による線状体の腐食部分検出装置1及び腐食部分検出方法では、従来の測定方法と比較して、検査時間のより一層の短縮及び検査コストのさらなる低減を実現したうえで、線状体の腐食部分の有無及び腐食の度合いを高精度で検出し得ることが実証できた。
【0035】
次に、両励磁コイル2,3の各磁極が互いにN極になるようにして、試験体Wに対する傷(腐食部分)の検出を試みたところ、図示はしないが従来の測定方法で得られる信号強度の約7割の強さの信号強度が得られ、このように両励磁コイル2,3の各磁極を互いにN極にした場合でも、試験体Wに設けた断面欠損率100%の傷を認識し得る信号強度、すなわち、線状体の腐食部分の有無及び腐食の度合いを検出し得る信号強度が得られることが判った。
【0036】
なお、両励磁コイル2,3の各磁極を互いにS極にした場合とN極にした場合とでは、試験体Wの断面欠損率100%の傷を認識し得る信号強度に3割程度の差が生じたが、これは試験環境の違いによるものと考えられ、今後解明すべき点である。
【0037】
また、両励磁コイル2,3の各磁極が互いに反する極になるようにして、試験体Wに対する傷(腐食部分)の検出を試みたところ、従来の測定方法で得られる信号強度の約5割の強さの信号強度が得られ、一方、試験体Wにおける一対の励磁コイル2,3の各鉄心2a,3a間に挟み込まれる検査対象箇所Wpに、直径0.3mmの鋼線を500ターン巻き回して直径約50mmの検出コイル4を形成したうえで、両励磁コイル2,3の各磁極が互いに同じ極になるようにして、試験体Wに対する傷(腐食部分)の検出を試みたところ、両励磁コイル2,3の各磁極が互いにS極であるかN極であるかにかかわらず、従来の測定方法で得られる信号強度の約3割の強さの信号強度が得られることが判った。
【0038】
つまり、本実施例による線状体の腐食部分検出装置1及び腐食部分検出方法において、試験体Wにおける一対の励磁コイル2,3の各鉄心2a,3a間に挟み込まれる検査対象箇所Wpに検出コイル4を設置したり、一対の励磁コイル2,3の各磁極が互いに反する極になるように電流を流したりする場合でも、少なくとも傷を認識し得る信号強度、すなわち、線状体の腐食部分の有無を検出し得る信号強度が得られることが判った。
【0039】
本発明に係る線状体の腐食部分検出装置及び腐食部分検出方法の構成は、上記した実施例の構成に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0040】
1 線状体の腐食部分検出装置
2,3 一対の励磁コイル
2a,3a 鉄心
4 検出コイル
W 試験体(線状体)
Wp 検査対象箇所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性を有する線状体の腐食部分を検出する腐食部分検出装置であって、
円筒形状を成し且つ中心に鉄心を具備して前記線状体の検査対象箇所を磁化する一対の励磁コイルと、
これらの励磁コイルによって磁化された前記線状体の検査対象箇所内を通過する磁束量を検出する検出コイルを備え、
前記一対の励磁コイルは、各々の前記鉄心の円形端面同士を互いに対向させた状態で、前記線状体の検査対象箇所を該検査対象箇所の径方向両側から挟み込んで配置され、
前記検出コイルは、前記線状体上に巻き付けた状態で設置される
ことを特徴とする線状体の腐食部分検出装置。
【請求項2】
前記検出コイルは、前記線状体上の前記一対の励磁コイルにおける鉄心の脇に、前記線状体に巻き付けた状態で設置される請求項1に記載の線状体の腐食部分検出装置。
【請求項3】
円筒形状を成し且つ中心に鉄心を具備して磁性を有する線状体の検査対象箇所を磁化する一対の励磁コイルと、これらの励磁コイルによって磁化された前記線状体の検査対象箇所内を通過する磁束量を検出する検出コイルを備えた線状体の腐食部分検出装置を用いて、線状体の腐食部分を検出するに際して、
前記線状体の検査対象箇所を間にして、前記一対の励磁コイルを各々の前記鉄心の円形端面同士が互いに対向するようにして配置すると共に、前記検出コイルを前記線状体上に巻き付けた状態で設置した後、
前記一対の励磁コイルに電流を流して前記検査対象箇所を磁化させて、この磁化された前記検査対象箇所を通過する磁束量を計測し、
前記線状体の健全部分における磁束量に対する前記検査対象箇所での磁束量の変化に基づいて、前記線状体の検査対象箇所での腐食部分を検出する
ことを特徴とする線状体の腐食部分検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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