説明

線維筋痛症候群の治療方法

【課題】線維筋痛症候群の治療方法
【解決手段】本発明は、線維筋痛症候群の治療方法に関し、治療学的有効量のカルバモイル化合物またはその薬学的に許容される塩を投与する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線維筋痛症候群の治療方法に関する。より詳細には、本発明は線維筋痛症候群の治療のためにカルバメート化合物を単独、または他の医薬と組み合わせて使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
線維筋痛症候群は、筋肉、腱及び靭帯を含む筋骨格に関する組織における広範囲の痛み、硬直及び圧痛を伴う慢性疾病のことである(ベネット(Bennett)、2009)。線維筋痛患者は、睡眠障害、倦怠感(fatigue)、不安及び/またはフィブロフォッグ(fibrofog)を示す。フィブロフォッグは集中力の低下、記憶喪失及びうつ病をもたらす。線維筋痛は米国人口の約2%で発病し、男性(0.5%)より女性(3.4%)の発病率が高い(ミース(Mease)、2005;アーノルド(Arnold)ら、2006)。
【0003】
線維筋痛の主な症状は、筋肉及び関節から生じる広範囲に渡る痛みである(ベネット(Bennett)、2009)。線維筋痛を患う多くの患者は皮膚が柔らかい。一般的に、上記の痛みは、異常な激しい活動(exertion)を伴う怒り、長期の無気力(inactivity)、軟組織負傷、手術、不十分な睡眠、寒さへの露出、長時間の車旅行及びストレスとともに強度が増減する。痛みは、位置としては主に身体中心部(axial)に発生するが、手と足にも発生する。
【0004】
倦怠感は線維筋痛患者の一般的な症状である。眠気と互換性をもって使用される倦怠感は、生活の生産性及び楽しみを損なう心及び体の疲労と説明されている(ベネット(Bennett)、2009)。抗うつ剤の治療は倦怠感のわずかな改善のみをもたらし、これはうつ病よりも大きな倦怠感の症状があることを示している。長い回復睡眠だけでは、倦怠感を軽減するのに十分でない。
【0005】
一般的に線維筋痛患者は睡眠パターンが撹乱される(ベネット(Bennett)、2009)。睡眠開始及び睡眠維持に問題があるが、患者は起きているときに倦怠感を感じるため、昼間の過剰な眠気が、睡眠の開始及び維持より昼間の機能に大きな不適合性をもたらす。
【0006】
一般的に、線維筋痛患者により圧痛が報告されており、接触に敏感で、わずかな接触後でさえも痛みを感じる(ベネット(Bennett)、2009)。広範囲の痛みが少なくとも3ヶ月持続され、11または18以上の特定の圧痛点で圧痛が発生すると、線維筋痛に分類される(ミース(Mease)、2005;アーノルド(Arnold)ら、2006)。さらに、記憶、集中及び二重の課題遂行(dual tasking)の困難が線維筋痛患者により報告される問題である。
【0007】
線維筋痛は、双極性障害、大うつ病性障害、あらゆる不安障害、あらゆる摂食障害及びあらゆる薬物乱用障害と併発することが示されてきた(アーノルド(Arnold)ら、2006)。これらの疾病は、根本的な病理生理学的関連性を共有することができ、治療は併発した表出特徴を考慮して選択されなければならない。
線維筋痛の原因は分かっていないが、セロトニン及びノルエピネフリンシステムを含む中枢モノアミン作動性神経伝達におけるいくつかの異常を示唆する証拠がある(ヴァーデュ(Verdu)ら、2008)。三環系抗うつ剤(TCAs)及びSNRIsは線維筋痛の治療法として研究されてきた。アミトリプチリンを含むTCAs及びシクロベンザプリ
ンは、痛み、硬直、倦怠感、睡眠及び圧痛の自己評価においてわずかな有効性を示す。フルオキセチン及びシタロプラムを含むSNRIsでは、制限され、かつ矛盾する結果が得られた。デュロキセチン及びミルナシプランを含むSNRIsは、TCAsと比べて、圧痛をより良く改善する肯定的な結果が得られ、これら化合物は、特に、FDAにより2007年及び2009年にそれぞれ線維筋痛の治療用として承認された。
【0008】
線維筋痛の治療のために使用された抗うつ剤はかなりの割合の患者に副作用を示す(ヴァーデュ(Verdu)ら、2008)。抗うつ剤の漸進的な導入は、忍容性を増加させることが知られている。TCAsは口腔乾燥、便秘並びに排尿難及び排便難;抗コリン性特性と関係する効果を示す。鎮静作用、眠気及び起立性低血圧も一般的である。SRIの一般的な副作用はセロトニンの作用と関係があり、吐き気、胃の不快感、嘔吐、食欲不振、下痢及び皮膚多汗症を含む。加えて、抗うつ剤治療の急な中断による肉体的依存及び禁断症状の危険がある。さらに、抗うつ剤は一般に性機能及び性欲を減退させる。デュロキセチンの忍容性は6ヶ月にわたる5つの臨床試験によって評価され、最も一般的な副作用は、吐き気、頭痛、口腔乾燥、不眠症、倦怠感、便秘、下痢及び眩暈を含み(チョイら(Choy et al.)、2009)、約20%の患者が副作用のために中断した。ミルナシプランは一般的に忍容性がよいが、プラシーボ処理群と比べて、治療群中の約2倍の患者が吐き気、便秘、心悸亢進及び顔面紅潮を含む副作用のために研究から除外された(ハリス及びクロウ(Harris&Clauw)、2008)。
【0009】
ガバペンチン及びプレガバリンを含む抗てんかん薬は、神経因性疼痛の亜型及び線維筋痛の患者に処方されてきた(ミース(Mease)、2005)。プレガバリンは、2007年、FDAにより線維筋痛に対して許可された最初の薬である。プレガバリンは、最近のいくつかの線維筋痛の試験において、改善された疼痛スコア、改善された睡眠の質及び改善された倦怠感の有効性を示してきた(キム(Kim)ら、2009)。プレガバリンの一般的な副作用は眩暈、眠気及び体重増加が挙げられる。稀な副作用は、集中困難及び注意力散漫、口腔乾燥及びかすみ目である。また、プレガバリンはスケジュールV(Schedule V)の指定化合物であり、これは乱用及び禁断症状の可能性を示唆するものである。従って、プレガバリンが一部の患者において痛みの減少を示したとしても、依然として有効性及び副作用プロフィールに改善の余地がある。
【0010】
線維筋痛の治療に有用な他の化合物は、モノアミンオキシダーゼ抑制剤(即ち、ピルリンドール)、5−HT3アンタゴニスト(即ち、トロピセトロン)、オピオイド、トラマドール、筋弛緩剤、NMDA受容体アンタゴニスト及びドーパミンアゴニスト(即ち、プラミペキソール)を含む(ミース(Mease)、2005)。これら化合物の多くは弱い有効性、症状に対するより小さい広域スペクトル有効性(broad spectrum
efficacy)または薬物依存を含む耐え難い副作用プロフィールを示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、線維筋痛症候群の治療において、痛み、睡眠、倦怠感及びうつ病を含む他の併発症状の治療を改善すること、及び副作用プロフィールを減少させることが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、構造式(1):
【化1】

(上記式において、
Rは水素原子、炭素原子数1乃至炭素原子数8の低級アルキル基、F、Cl、Br及びIから選択されるハロゲン原子、炭素原子数1乃至炭素原子数3のアルコキシ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、トリフルオロメチル基、及び炭素原子数1乃至炭素原子数3のチオアルコキシ基からなる群より選択され;
xは1乃至3の整数であり、但しxが2または3の場合、Rは同一または異なっていてもよく;
及びRは互いに同一または異なることができ、且つ、水素原子、炭素原子数1乃至炭素原子数8の低級アルキル基、アリール基、アリールアルキル基及び炭素原子数3乃至炭素原子数7のシクロアルキル基からなる群より独立に選択され;
及びRは結合して、水素原子、アルキル基、及びアリール基からなる群より選択された置換基で置換された5員乃至7員のヘテロ環を形成することができ、上記ヘテロ環化合物は1個乃至2個の窒素原子及び0個乃至1個の酸素原子を含み、前記窒素原子は互いに直接連結しておらず、また前記酸素原子とも直接連結されていない。)で表される化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量を、治療が必要な哺乳類に投与することを含む線維筋痛症候群の治療方法に関する。
【0013】
他の実施態様において、本発明は被験者(subject)における線維筋痛症候群と関係する症状を改善する方法を提供し、そのような治療が必要な被験者に式(1)で表される化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量を投与する工程を含む。
【0014】
さらに他の実施態様において、本発明は被験者における線維筋痛症候群の影響を改善または除去する方法を提供し、そのような治療が必要な被験者に式(1)で表される化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量を投与する工程を含む。
【0015】
さらに加えられる実施態様において、本発明は式(1)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量を含む線維筋痛症候群治療のための医薬組成物に関する。
【0016】
さらに他の実施態様において、本発明は被験者における線維筋痛症候群と関係する症状を改善するための医薬組成物を提供し、式(1)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量を含む。
【0017】
さらに他の実施態様において、本発明は被験者における線維筋痛症候群の症状を改善または除去するための医薬組成物を提供し、式(1)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量を含む。
【0018】
構造式(1)で表される化合物は、他の鏡像体が実質的にない鏡像体、または構造式(1
)で表される化合物の1つの鏡像体が優勢である鏡像体混合物である。1つの鏡像体は約90%またはそれより多い程度にまで優勢に存在し、また、約98%またはそれより多い程度にまで優勢に存在することが好ましい。
【0019】
上記鏡像体は構造式(1a)によって示される(S)または(L)鏡像体であるか、または構造式(1b)によって示される(R)または(D)鏡像体である:
【化2】

または
【化3】

好ましくは、Rx、R及びRは全て水素から選択され、xは1であり、下記式で表される:
【化4】

または
【化5】

【0020】
本発明の実施態様は、他の鏡像体が実質的にない式1の鏡像体である式1bの鏡像体、または式1bの鏡像体が優勢である鏡像体混合物を利用する方法を含む((注):下記式1bの構造式において、ベータ炭素に結合したアミノ基は紙面に突き出る。これは絶対配置(R)である右旋性(D)鏡像体である)。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、上述した式1のフェニルアルキルアミノカルバメートが新しくて特別な薬理学的特性を有することが見出されたことに一部基づいている。これらの化合物はいくつかの動物モデルにおいて、線維筋痛症候群及び線維筋痛症候群と関係した症状の変異(modification)を治療する効能を有することが示されてきた。
【0022】
正確な作用メカニズムは完全には分かっていないが、これらの化合物は、ほとんどの他の既知の線維筋痛症候群に対する治療と同じメカニズムでは作用しないことが分かっている。このような理由から、式1の化合物は線維筋痛及び線維筋痛症候群と関係した症状の変異のための単独のまたは付加治療としての使用に特に適する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明のこのような目的と他の目的は、下記の詳細な説明、及び本明細書に添付された請求項によってより完全に理解されるであろう。
【0024】
本発明は、構造式(1)で表される化合物またはその鏡像体、ジアステレオマー、ラセミ体またはそれらの混合物、または水和物、溶媒和物及びその薬学的に許容される塩及びアミドの治療有効量を、治療を必要とする哺乳類に投与することを含む線維筋痛症候群の治療方法に関する:
【化6】

上記式において、
Rは、水素原子、炭素原子数1乃至炭素原子数8の低級アルキル基、F、Cl、Br及びIから選択されたハロゲン原子、炭素原子数1乃至炭素原子数3のアルコキシ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、トリフルオロメチル基、及び炭素原子数1乃至炭素原子数3のチオアルコキシ基からなる群より選択され;
xは、1乃至3の整数であり、但し、xが2または3の場合、Rは同一または異なっていてもよく;
及びRは互いに同一または異なっていてもよく、且つ、水素原子、炭素原子数1乃至炭素原子数8の低級アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、炭素原子数3乃至炭素原子数7のシクロアルキル基からなる群より独立に選択され;
及びRは結合して、水素原子、アルキル基、及びアリール基からなる群から選択された置換基で置換された5員乃至7員のヘテロ環を形成することができ、上記ヘテロ環化合物は1個乃至2個の窒素原子及び0個乃至1個の酸素原子を含み、前記窒素原子は互いに直接連結しておらず、また前記酸素原子とも直接連結されていない。
【0025】
本方法は、また、式1aまたは1b、またはその鏡像体、ジアステレオマー、ラセミ体またはそれらの混合物、または水和物、溶媒和物及びその薬学的に許容される塩及びアミドからなる群から選択された化合物の使用を含む:
【化7】

または
【化8】

【0026】
上記式において、Rx、R及びRは上記で定義したものと同一である。
【0027】
本方法はまた、好ましくは、式1またはその鏡像体混合物からなる群から選択された(絶対配置Rの)D(または右旋性)鏡像体の使用を含む。式1bの構造式において、ベータ炭素に結合したアミノ基は紙面に突き出る。これは、絶対配置(R)の右旋性(D)鏡像体である。
【0028】
好ましくは、構造式1において、下記構造式で表されるように、Rx、R及びRは水素原子を表し、そしてxは1である:
【化9】

または
【化10】

【0029】
O−カルバモイル−(D)−フェニルアラニノールはまた、(R)−(ベータ−アミノ−ベンゼンプロピル)カルバメートモノ塩酸と名づけられている。鏡像体混合物では、O−カルバモイル−(D)−フェニルアラニノールは、好ましくは、約90%またはそれより多い範囲まで、より好ましくは、約98%またはそれより多い範囲まで優勢である。
【0030】
式1の化合物は当該技術分野における当業者に知られた方法により合成することができる。式(1)の化合物の合成のためのいくつかの反応スキームが文献に記載されている;米国特許第5705640号明細書、米国特許第5756817号明細書、米国特許第5955499号明細書、及び米国特許6140532号明細書。上記反応スキームの詳細と特定の化合物の製造についての代表的な例が文献に記載されている;米国特許5705640号、米国特許5756817号、米国特許5955499号、及び米国特許6140532号、これらは全て参考文献として本明細書に組み込まれる。
【0031】
式(1)の化合物の塩は、適切な溶媒中で上記化合物を酸(HX)で処理するか、または当該技術分野における当業者によく知られた手段により製造することができる。
【0032】
構造式1から、本発明の化合物の一部が、少なくとも一つ及びおそらくはそれより多い非対称炭素原子を有することは明らかである。本発明は、該化合物の立体化学的に純粋な異性体のみならず、これらのラセミ体もその範囲内に含むことを意図している。立体化学的に純粋な異性体は当該技術分野において知られた原理を適用することにより得られうる。ジアステレオマーは分別結晶及びクロマトグラフィー技術のような物理的分離方法により分離され得、鏡像体は光学的活性酸または塩基を用いたジアステレオマー塩の選択的結晶化により、またはキラルクロマトグラフィーにより互いに分離され得る。純粋な立体異性
体はまた、適切な立体化学的に純粋な出発物質から合成するか、または立体選択的反応を用いて製造され得る。
【0033】
本発明の化合物の製造のためのいずれかの工程中に、関係するいずれかの分子において感受性基または反応基を保護することが必要、及び/または、好ましくあり得る。これは、プロテクティブ グループ イン オーガニック ケミストリー、 J.F.W.マクオミー編、プレナム出版、1973(Protective Groups in Organic Chemistry,ed.J.F.W.McOmie,Plenum Press,1973);及びT.W.グリーン アンド P.G.M.ウッツ、プロテクティブ グループ イン オーガニック シンセシス、第3版、ジョン ワイリー アンド
ソンス、1999(T.W.Green&P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,Third Edition,John Wiley&Sons,1999)に記載されているような従来の保護基を用いて達成され得る。上記保護基は、当該技術分野において知られた方法を用いる適当な後続段階で除去され得る。
【0034】
本発明は、上述した式1で表されるフェニルアルキルアミノカルバメートが新規且つ特別な薬理的特性を有することを見出したことに一部基づいている。これらの化合物はいくつかの動物モデルにおいて、線維筋痛症候群及び線維筋痛症候群と関係する症状の変異を治療する効能を有することが示されてきた。
【0035】
正確な作用メカニズムは完全には分かっていないが、このような化合物は、大部分の既知の他の線維筋痛の治療と同じメカニズムで作用しないことが分かっている。このような理由から、式1で表される化合物は線維筋痛及び線維筋痛症候群と関係した症状の変異のための単独または付加治療としての使用に特に適する。
【0036】
従って、このような化合物は単独でまたは他の有用な薬剤と組み合わせて安全に用いられ、効果を向上させ、使用できる各々の薬のより少ない投与量のために副作用を減少させることができる。
【0037】
一つの態様において、本発明は線維筋痛症候群を患っている被験者の治療方法に関し;上記方法は被験者に、本発明の一つまたはそれより多いカルバメート化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量、及び薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を供給することを含む。
【0038】
別の態様において、本発明は、また、線維筋痛症候群を患っている被験者においてうつ病、睡眠障害、及びけん怠感を含む線維筋痛症候群の症状を減少、抑制または除去するための方法を提供し、上記方法は上記症状を減少、抑制または除去するために本発明のカルバメート化合物の有効量を被験者に投与することを含む。
【0039】
定義
以下、便宜のため、詳細な説明、実施例及び添付の請求項で用いられる用語をまとめて説明する。
【0040】
本発明は特定の方法論、プロトコル、動物種または属、及び記載されている試薬に限定されず変更され得る。また、本明細書で用いられる用語は特定の実施形態を説明することのみを目的とし、添付の請求項によってのみ制限される本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0041】
本明細書において、用語「被験者」は、治療、観察または実験の対象である動物、好まし
くは哺乳類、及び最も好ましくは男性及び女性を含む人間を意味する。
【0042】
本明細書で用いられる用語「治療有効量」は、治療対象である疾病または障害の一つまたはそれより多い兆候または症状の軽減を含む、研究員、獣医、医師または他の臨床医の求める組織系、動物または人間におけるの生物学的または医薬的反応を引き出す活性化合物または医薬品の量を意味する。
【0043】
用語「予防有効量」は、研究員、獣医、医師または他の臨床医の求める組織、システム、動物または人間において防ぐことが求められる生物学的または医療事象の発生の危険を防止または減少させる調合薬の量を意味することを意図している。
【0044】
用語「薬学的に許容される塩」は、本発明で用いられる化合物の非毒性塩を意味し、一般的に遊離酸を適切な有機あるいは無機塩基と反応させて製造される。このような塩の例には、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸、ホウ酸塩、臭化物、カルシウム、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストラート、エシラート、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシラート、メチルブロミド、硝酸メチル、硫酸メチル、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、カリウム、サリチル酸塩、ナトリウム、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシラート(tosylate)、トリエチオジド(triethiodide)及び吉草酸塩が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0045】
従って、本明細書で用いられる用語「治療を必要とする患者」は、抗うつ剤の投薬により治療することができる気分障害、または患者の現在の臨床状態または予後が式(1)で表される一つまたはそれより多い化合物を単独で投与するか、または他の医薬を含むがこれに限定されるものではない他の治療的介入と組み合わせて投与することにより利益が得られる他の障害を含む、上述した症状または障害のいずれかを現在有しているかまたは発症する可能性がある被験者または患者を意味する。
【0046】
本明細書で用いられる用語「治療する」または「治療」は、線維筋痛症候群の被害、病状または状態、並びに軽減;寛解;症状または患者の被害、病状を軽くすること、または患者が状態に耐えられるようにすること;変性または衰弱または疾病の悪化の速度を遅らせること;悪化の最終段階の消耗性を低くすること;または被験者の肉体的または精神的健康を改善すること;等のあらゆる客観的または主観的パラメーターを含む線維筋痛症候群の症状の変異の予防または改善が成功したことのあらゆる兆候を意味する。症状の治療または改善は、身体検査、神経学的検査、及び/または精神鑑定の結果を含む客観的または主観的パラメーターに基づくことができる。従って、上記用語「治療する」または「治療」は、男女両方におけるあらゆる形態の線維筋痛症候群の治療のための本発明の化合物または薬剤の投与を含む。場合によっては、本発明の化合物を用いた治療は、線維筋痛症候群の進行を防止、抑制、または阻止するために、他の化合物と組み合わせて行われる。
【0047】
本明細書で用いられる用語「治療効果」は、線維筋痛症候群の症状の効果的な改善または減少を意味する。本明細書で用いられる用語「治療有効量」は、上述したように、そのような線維筋痛症候群の治療を必要とする被験者または患者において、一つまたはそれより多い本発明の化合物が治療効果を示すのに十分な量を意味する。
【0048】
用語「被験者」または「患者」は、本明細書で互換性をもって用いられ、上記用語は、本発明の組成物を投与することができるヒト患者または被験者を含むヒトが挙げられるが、これに限定されないあらゆる哺乳類を意味する。上記用語「哺乳類」は、ウサギ、ラット、及びマウス、及びその他の動物などの実験動物のみならず、男女両方を含むヒト患者及びヒト以外の霊長類を含む。
【0049】
即時(instant)医薬組成物に対する治療及び予防有効投与量を定めるための方法は当該技術分野において知られている。例えば、上記化合物は、平均的成人に対し、通常、1日に1回乃至2回の投薬計画で、1日の投与量が約0.1mg乃至400mgの範囲内で用いられることができる。しかしながら、有効量は、用いられたその特定の化合物、投与方法(mode)、調剤の強度、投与方法、及び病状の進展によって異なり得る。加えて、患者の年齢、体重、食習慣及び投与の時間を含む、治療を受けている特定の患者と関係する要素は、投薬量調整の必要性をもたらす。
【0050】
上記化合物は、静脈内、経口、皮下、筋肉内、皮内及び非経口投与を含む、従来の投与経路によって被験者に投与されることができるが、これに限定されるものではない。投与経路に応じて、式(1)で表される化合物はどんな形態にでも構成されることができる。例えば、経口投与に適した形は、ピル、ジェルキャップ、錠剤、カプレット、カプセル(即時放出型、持続放出型(timed release)及び徐放性(sustained
release)配合物をそれぞれ含む)、顆粒、及び粉末などの固体形態を含む。経口投与に適した形は、また、溶液、シロップ、エリキシル、エマルション、及び懸濁液などの液体形態を含む。加えて、非経口投与に有用な形態は、滅菌溶液、エマルション及び懸濁液を含む。
【0051】
本発明の医薬組成物を製造するために、活性成分として式(1)の少なくとも一つ以上の化合物またはその塩は、従来の薬剤配合技術により薬剤担体と密接に混合される。担体は必須であり、不活性の薬剤賦形剤はバインダー、懸濁化剤、潤滑剤、香料、甘味剤、保存剤、色素及びコーティング剤を含むがこれに限定されるものではない。経口投与形態の組成物の製造には、一般的な薬学的担体のいずれも用いられ得る。例えば、液体経口剤のための適切な担体及び添加剤は水、グリコール、オイル、アルコール、香料、保存剤、着色剤などを含み;固体経口剤のための適切な担体及び添加剤はでんぷん、糖、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などを含む。非経口的な用途のため、上記担体は、例えば、溶解度の補助または保存などの目的のために他の成分を含み得るが、一般的に滅菌水を含む。注射用懸濁液も製造することができ、この場合、適切な液体担体、懸濁化剤などを用い得る。
【0052】
投与が容易であることから、錠剤及びカプセルは最も有用な経口投与単位剤形(oral
dosage unit form)であり、この場合、当然、固形の薬剤担体が用いられる。必要に応じて、錠剤は、標準技術により糖コーティング又は腸溶コーティングされ得る。坐薬が製造され得、この場合、ココアバターを担体として用いることができる。上記錠剤またはピルは、持続性作用の利点を与える剤形を提供するためにコーティングされるかまたは他の方法で混合されることができる。例えば、上記錠剤またはピルは内部投薬及び外部投薬成分を含み、後者は前者を覆う膜(envelope)の形態であることができる。上記二つの成分は、胃での分解を抑えるのに役立ち内部成分が損傷をうけずに十二指腸へ入るようにするかまたは放出を遅延させる腸溶層によって分離されることができる。多様な種類の物質がこのような腸溶層または腸溶コーティング剤として用いられることができ、このような物質はセラック、セチルアルコール及び酢酸セルロースなどの多数のポリマー酸を含む。
【0053】
活性薬はまた、小型単層ベシクル、大型単層ベシクル及び多層ベシクルなどのリポソーム供給システムの形で投与することができる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンなどの多様なリン脂質から形成されることができる。
【0054】
活性薬はまた、化合物分子が結合される個別の担体としてのモノクローナル抗体を用いて供給されることができる。活性薬は、また、目標を設定できる薬物担体として可溶性ポリマーと結合し得る。このようなポリマーは、ポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシ−プロピル−メタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシ−エチル−アスパルタミド−フェノール、またはパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシド−ポリリシンを含むことができる。さらに、活性薬は薬の制御放出の実現に有用な生分解性ポリマー群と組み合わせられ得、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸及びポリグリコール酸の共重合体、ポリエプシロンカプロラクトン(polyepsilon
caprolactone)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート及びヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロック共重合体である。
【0055】
好ましくは、このような組成物は、経口、非経口、鼻腔内、舌下または直腸投与、または吸入または吹き入れ(insufflation)による投与のための錠剤、ピル、カプセル、粉末、顆粒、滅菌非経口溶液または懸濁液、定量エアロゾルまたは液体スプレー、ドロップ、アンプル、自動注入装置または坐薬などの投与単位剤形で形成される。
【0056】
あるいは、上記組成物は週1回または月1回の投与に適した形態となり得;例えば、デカン酸塩などの活性化合物の不溶性塩が筋肉内注入用デボー製剤を提供するために適合され得る。
【0057】
本明細書において上記医薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル、粉末、注射剤、ティースプーンフル(teaspoonful)、坐薬などの投与単位あたりに、上述したような有効投与量を供給するのに必要な量の活性成分を含有するであろう。例えば、本明細書の上記医薬組成物は、投与単位あたり、約25乃至約400mgの活性成分を含有することができる。好ましくは、上記範囲は約50乃至約200mgの活性成分である。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態において、本発明の実施に際して使用に適したカルバメート化合物は、単独でまたは少なくとも一つまたはそれより多い他の化合物または治療剤と併用して投与されるであろう。これらの実施態様において、本発明は、患者における線維筋痛症候群及び線維筋痛症候群と関係した症状の変異を治療する方法を提供する。上記方法は、治療を必要とする患者に一つ以上の他の化合物または治療剤の有効量と一緒に本明細書に開示された上記カルバメート化合物の有効量を投与する工程を含む。
【0059】
本発明の化合物の置換基及び置換様式は、本明細書に開示された方法のみならず当該技術分野において知られた技術により容易に合成され化学的に安定した化合物を提供するように、当該技術分野における当業者によって選択されることができる。
【0060】
本発明は、式1で表される単離した鏡像体の使用を含む。好ましい一実施形態において、式1で表される単離したS−鏡像体を含む医薬組成物は、被験者における線維筋痛症候群の治療を提供するのに用いられる。好ましい別の実施形態において、式1で表される単離したR−鏡像体を含む医薬組成物は、被験者に線維筋痛症候群の治療を提供するのに用いられる。
【0061】
本発明は、また、式1の鏡像体混合物の使用を含む。本発明の一つの態様において、一つの鏡像体が優勢であろう。上記混合物において優勢な一つの鏡像体は、上記混合物に存在
する他のどの鏡像体よりも多い量であり、例えば、50%より多い量で、上記混合物中に存在するものである。一つの態様において、一つの鏡像体は、90%の範囲までまたは91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%または98%の範囲までまたはそれを超える範囲まで優勢であることができる。好ましい一実施形態において、式1で表される化合物を含む組成物において優勢な上記鏡像体は、式1で表されるS−鏡像体である。
【0062】
本発明は、式1によって表される化合物の鏡像体及び鏡像体混合物を用いる方法を提供する。式1で表されるカルバメート鏡像体は、フェニル環に隣接した第2の脂肪族炭素上にキラル中心を含有する。単離した一つの鏡像体は、それに対応する鏡像体が実質的にないものである。従って、単離した鏡像体は、分離技術により分離されるかまたは対応する鏡像体がないように製造された化合物を意味する。本明細書で用いられる用語「実質的にない」は、上記化合物において一つの鏡像体が非常に大きな比重を占めるように構成されることを意味する。好ましい実施形態において、上記化合物は、少なくとも約90質量%の好ましい一つの鏡像体を含む。本発明の他の実施形態において、上記化合物は、少なくとも約99質量%の好ましい一つの鏡像体を含む。好ましい鏡像体は、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)及びキラル塩の形成及び結晶化を含む当該技術分野における当業者に知られた方法でラセミ混合物から単離されるか、または本明細書に開示された方法で製造することができる。
【0063】
薬剤としてのカルバメート化合物:
本発明は、薬剤として式1で表されるラセミ混合物、鏡像体混合物及び単離した鏡像体を提供する。上記カルバメート化合物は、薬剤として調剤され、被験者における抗線維筋痛症候群作用を提供する。
【0064】
一般的に、本発明の上記カルバメート化合物は、経口、口腔、局所、全身(例えば、経皮、鼻腔、または坐薬によって)、または非経口(例えば、筋肉内、皮下、または静脈注射)を含む治療薬の投与のために当該技術分野において知られたあらゆる方法により医薬組成物として投与することができる。神経系に直接上記化合物を投与する方法は、例えば、ポンプ装置の有無にかかわらず、頭蓋内または椎間ニードルまたはカテーテルを通った供給による、脳内、心室内、脳室内、くも膜下、嚢内、脊髄内または脊髄周辺(peri−spinal)経路による投与を含むことができる。
【0065】
組成物は、錠剤、ピル、カプセル、半固体、粉末、持続放出配合物、溶液、懸濁液、エマルション、シロップ、エリキシル、エアロゾルまたはあらゆる他の適切な組成物の形態であってよく、薬学的に許容される少なくとも1つの賦形剤とともに少なくとも1つの本発明の化合物を含むことができる。適切な賦形剤は、当該技術分野における当業者によく知られており、これらと組成物の配合方法は、アルフォンソAR:レミントンズ ファーマスーティカル サイエンス 17版、マック出版社、イーストンPA、1985(Alfonso AR:Remington’s Pharmaceutical Science、17th ed.,Mack Publishing Company,Easton PA、1985)のような定評のある参考文献に記載されており、その全内容及び目的は、本明細書に参考文献として編入される。適切な液体担体、特に、注入可能な溶液のためとしては、水、食塩水溶液(aqueous saline solution)、デキストロース水溶液及びグリコールを含む。
【0066】
上記カルバメート化合物は水性懸濁液で提供されることができる。本発明の水性懸濁液は、カルバメート化合物を水性懸濁液の製造に適した賦形剤とともに含むことができる。そのような賦形剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロ
リドン、トラガカントゴム及びアカシアゴムのような懸濁化剤、並びに天然由来のリン脂質(例えば、レシチン)、脂肪酸とアルキレンオキシドの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンステアレート)、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、エチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール由来の部分エステルの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノ−オレエート)、またはエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール無水物由来の部分エステルの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノ−オレエート)のような分散剤または湿潤剤を挙げることができる。
【0067】
また、上記水性懸濁液はエチルまたはn−プロピルp−ヒドロキシベンゾエートのような1つまたはそれより多い保存剤、1つまたはそれより多い着色剤、1つまたはそれより多い香料、及びスクロース、アスパルテームまたはサッカリンのような1つまたはそれより多い甘味料を含むことができる。配合物の浸透圧濃度は調節されることができる。
【0068】
本発明の方法で使用するためのオイル懸濁液は、カルバメート化合物をラッカセイ油、オリーブ油、ごま油またはココナッツオイルのような植物油、または液体パラフィンのような鉱油、またはこれらの混合物に懸濁することによって配合することができる。上記オイル懸濁液は、蜜ろう、固形パラフィンまたはセチルアルコールのような増粘剤を含むことができる。味の良い経口調剤薬を提供するためにグリセロール、ソルビトールまたはスクロースのような甘味剤を添加することができる。これらの配合物はアスコルビン酸のような抗酸化剤を追加して保存することができる。注入可能なオイルビヒクル(vehicle)の例としては、ミント、ジェイ ファーマコル エクスプ サー、281:93−102、1997(Minto,J.Pharmacol.Exp.Ther.281:93−102,1997)参照。本発明の上記医薬組成物は水中油型エマルションの形態であることができる。上記オイル相は上述の植物油または鉱油、またはこれらの混合物であることができる。
【0069】
適切な乳化剤は、アカシアゴム及びトラガカントゴムのような天然由来のゴム、大豆レシチンのような天然由来のリン脂質、ソルビタンモノ−オレエートのような脂肪酸及びヘキシトール無水物から由来するエステルまたは部分エステル、及びポリオキシエチレンソルビタンモノ−オレエートのようなそれらの部分エステルとエチレンオキシドの縮合生成物を含む。上記エマルションは、シロップ及びエリキシル剤の配合物のように甘味剤及び香味剤も含むことができる。そのような配合物はまた、緩和剤、保存剤または着色剤を含むことができる。
上記選択された化合物は、単独または他の適切な成分とともにエアロゾル配合物にすることができる(即ち、これらは吸入により投与されるように噴霧されてよい)。エアロゾル配合物はジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などのような加圧された許容できる噴射剤中に含まれることができる。
【0070】
例えば、関節内(関節において)、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、及び皮下内経路のような非経口投与に適切な本発明の配合物は、抗酸化剤、緩衝材、静菌薬、及び上記配合物を対象受容者の血液と等張状態となるようにする溶質を含むことができる水溶性または非水溶性の等張滅菌注射溶液と、懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤及び保存剤を含むことができる水溶性または非水溶性の滅菌懸濁液とを含むことができる。許容されるビヒクル及び溶媒に用いられるものには、水及びリンガー溶液(Ringer’s solution)、等張の塩化ナトリウムがある。加えて、滅菌不揮発性油は、通常、溶媒または懸濁媒質として用いることができる。このような目的で合成のモノ−またはジグリセリドを含むあらゆる無刺激性の不揮発性油を用いることができる。加えて、オレイン酸のような脂肪酸も、注射物質を製造するために用いることができる。これらの溶液は滅菌され、また、一般的に望ましくない物質を含まない。
【0071】
上記化合物が十分に可溶性である場合、これらはプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールのような適切な有機溶媒の使用有無に関わらず、標準の食塩水(saline)に直接溶解されることができる。微細化された化合物の分散系は、水性澱粉またはカルボキシメチルセルロースナトリウム溶液、またはラッカセイ油のような適切なオイルで製造することができる。これらの配合物は、従来の、よく知られている滅菌技術により滅菌することができる。上記配合物は、生理学的状態に近づかせるように、例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウムなどのようなpH調節剤及び緩衝剤、毒性調節剤のような薬学的に許容される補助物質を含むことができる。
【0072】
これらの配合物中の上記カルバメート化合物の濃度は幅広く変化することができ、選択された特定の投与方法及び患者の要求に従って、主に液量、粘度、体重などに基づいて選択されるであろう。IV投与のために、上記配合物は滅菌された注入可能な水性または油性懸濁液のような滅菌の注射剤であることができる。この懸濁液は、上記の分散剤または湿潤剤及び懸濁化剤を使用して公知技術に従って配合することができる。また、上記滅菌注射剤は1,3−ブタンジオールの溶液のような、非毒性で非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射溶液または懸濁液であることができる。推奨される上記配合物はアンプル及びバイアルのような、単一投薬(unit−dose)または複数回投薬(multi−dose)の密封された容器中にあることができる。注射溶液及び懸濁液は上述した種類の滅菌粉末、顆粒及び錠剤から製造することができる。
【0073】
本発明の実施において、使用に適するカルバメート化合物は、経口投与されることができ、そしてそれが好ましい。組成物中の本発明の化合物の量は、組成物の形態、単位投薬のサイズ、賦形剤の種類及び当該技術分野の熟練者によく知られている他の要素に応じて幅広く変化できる。一般的に、上記最終組成物は、例えば、0.000001質量%(%w)乃至50%wのカルバメート化合物、好ましくは0.00001%w乃至25%wを、賦形剤である残余物または賦形剤とともに含むことができる。
【0074】
経口投与のための医薬配合物は、経口投与に適する投与量で当該技術分野においてよく知られている薬学的に許容される担体を使用して配合することができる。そのような担体は、医薬配合物が錠剤、ピル、粉末、糖衣錠、カプセル、液体、トローチ剤、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液等のように患者が摂取するのに適した単位投薬形態に配合されることを可能とする。
【0075】
経口投与に適した配合物は、(a)水、塩水またはポリエチレングリコール(PEG) 400などの希釈剤中に有効量の医薬配合物が懸濁したような溶液;(b)予め決定された量の活性成分を液体、固体、顆粒またはゼラチンとしてそれぞれ含有するカプセル、小袋(sachet)または錠剤;(c)適切な液体中の懸濁液;及び(d)適切なエマルションで構成されることができる。
【0076】
経口用医薬調剤は、本発明の化合物と固体賦形剤を混合し、生じた混合物を任意で粉砕し、そして、錠剤または糖衣錠コアを得るために、必要に応じて、適切な付加化合物を添加した後、顆粒の混合物を加工して得ることができる。適切な固体賦形剤は、炭水化物又はたんぱく質フィラー及び糖に限定されるものではないがラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを含む糖;トウモロコシ、小麦、米、ジャガイモまたは他の植物の澱粉;メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロースまたはカルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロース;及びアラビア及びトラガカントを含むゴム;だけでなく、ゼラチン及びコラーゲンのようなたんぱく質を含む。
【0077】
必要に応じて、架橋されたポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸、またはアルギン酸ナトリウムのようなそれらの塩などの崩壊剤または可溶化剤が添加されることができる。錠剤の形態は、1つ以上のラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、リン酸カルシウム、トウモロコシ澱粉、ジャガイモ澱粉、微晶質セルロース、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、滑石、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、及び他の賦形剤、着色剤、フィラー、結合剤、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、保存剤、香料、染料、崩壊剤、及び薬学的に適合する担体を含むことができる。トローチ剤の形態は、活性成分を例えばスクロースのような香味中だけでなく、当該技術分野において公知の活性成分、担体に加えて、ゼラチン及びグリセリンまたはスクロース及びアカシアエマルション、ゲルなどのような不活性基剤(inert base)中に活性成分を含む香錠(pastilles)中に含むことができる。
【0078】
また、本発明の化合物は、薬を直腸投与するための座薬の形態で投与されることができる。これらの配合物は、常温では固体であるが、直腸の温度では液体であるため、直腸で溶けて薬を放出する適切な刺激性のない賦形剤と薬とを混合することで製造することができる。このような物質としては、ココアバター及びポリエチレングリコールがある。
【0079】
本発明の化合物は座薬、吸入、粉末及びエアロゾル配合物を含む鼻腔内、眼球内、膣内及び直腸内の経路で投与されることができる(ステロイド吸入剤の例としては、ロハタギ、ジェイ クリン ファーマコル 35:1187−1193,1995(Rohatagi、J.Clin.Pharmacol.35:1187−1193,1995);テジュワ,アンアレルギー アズマ イムノル 75:107−111,1995(Tjwa、Ann.Allergy Asthma Immunol.75:107−111,1995)を参照)。
【0080】
本発明の化合物は、アプリケータースティック、溶液、懸濁液、エマルション、ゲル、クリーム、軟膏、ペースト、ゼリー、ペイント、粉末、及びエアロゾルとして配合され、局所経路により、経皮的に供給されることができる。
【0081】
本発明の化合物とともにカプセル化物質を用いることができ、“組成物”という用語は、他の担体の有無に関わらず、カプセル化物質と組み合わされた活性成分を配合物として含むことができる。例えば、本発明の化合物は、体内でのゆっくりとした放出のために微小球体として供給されることもできる。一つの実施態様において、微小球体は、徐々に皮下に放出される薬含有微小球体(例えば、ミフェプリストン)の皮内注入により(ラオ、ジェイ バイオマター サイ ポリム エド 7:623−645、1995(Rao、J.Biomater Sci.Polym.Ed.7:623−645、1995)参照);上記微小球体は生物分解性及び注射可能ゲル配合物として(例えば、ガオ、ファーム
レス 12:857−863、1995(Gao、Pharm.Res.12:857−863、1995)を見よ)、または経口投与用微小球体として(例えば、アイレス、ジェイ ファーム ファーマコル 49:669−674、1997(Eyles、J.Pharm.Pharmacol.49:669−674、1997)参照)投与されることができる。経皮及び皮内経路の両者とも、数週間または数ヶ月間の持続的な供給を提供する。本発明の化合物を供給するためにカシェ剤(cachets)も用いることができる。
【0082】
別の実施態様において、本発明の上記化合物は、細胞膜と融合又は取り込まれる(endocytosed)リポソームを使用することにより、即ち、細胞の表面膜たんぱく質受容体に結合してエンドサイトーシス(endocytosis)を生じるリポソームに付着したリガンドを使用することにより供給されることができる。リポソームを使用するこ
とにより、特に、リポソーム表面が目標細胞に特異リガンドを運搬したり、又は他に選択的に特定器官に向かう場合、生体内でカルバメート化合物を目標細胞に供給することに集中することができる(例えば、アル−ムハムド、ジェイ ミクロエンキャプスル 13:293−306、1996(Al−Muhammed、J.Microencapsul.13:293−306、1996);コン、カール オピン バイオテクノル 6:698−708、1995(Chonn、Curr.Opin.Biotechnol.6:698−708、1995);オストロ、アム ジェイ ホスプ ファーム 46:1576−1587、1989(Ostro、Am.J.Hosp.Pharm.46:1576−1587、1989)を見よ)。
【0083】
本発明の医薬配合物は塩として提供することが可能であり、これに限定されないが、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸などを含む多くの酸とともに形成することが可能である。塩は対応する遊離塩基の形態である水性または他のプロトン性溶媒中でよりよく溶解される傾向にある。他の場合において、好ましい調剤薬は、例えば、下記の一部または全部を含有することができる凍結乾燥された粉末である:使用前に緩衝剤と組み合わせられるpH範囲4.5乃至5.5の1mM−50mMヒスチジン、0.1%−2%スクロース、2%−7%マンニトール。
【0084】
薬学的に許容される塩は、薬学的に許容され、且つ所望する薬理学的特性を有する塩のことである。このような塩は、化合物中に存在する酸性プロトンが無機または有機塩基と反応できるところに形成され得る塩を含む。適切な無機塩は、例えば、ナトリウム及びカリウム、マグネシウム、カルシウム及びアルミニウムのアルカリ金属と形成されたものが挙げられる。適切な有機塩は、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、Nメチルグルカミンなどのアミン塩基のような有機塩基と形成されたものが挙げられる。また、薬学的に許容される塩は、親化合物内のアミン部位と無機酸(例えば、塩酸及び臭化水素酸)及び有機酸(例えば、酢酸、クエン酸、マレイン酸、そして、メタンスルホン酸とベンゼンスルホン酸のようなアルカン及びアレーンスルホン酸)との反応により形成された酸付加塩が挙げられる。酸性基が2つある場合、薬学的に許容される塩は、モノ−酸−モノ−塩(mono−acid−mono−salt)またはジ−塩(di−salt)であり得;同様に、2つを超える酸性基がある場合、そのような基の一部または全部は塩化されることができる。
【0085】
本発明で名づけられた化合物は塩化されないか、又は塩化された形態であることができ、このような化合物の名称は元の(塩化されていない)の化合物とその薬学的に許容される塩の両方を含む。本発明は式(1)で表される薬学的に許容される塩の形態を含む。式1で表される鏡像体の1つを超える結晶形態が存在することができ、これも本発明に含まれる。
【0086】
本発明の医薬組成物は、任意で、カルバメート化合物に加えて、線維筋痛症候群の治療に有用な少なくとも1つの他の治療剤を含むことができる。例えば、式1で表されるカルバメート化合物は、それらの投与を容易にするために、多剤混合薬中で他の線維筋痛症候群治療剤と物理的に組み合わせることができる。
【0087】
医薬組成物を配合する方法は、リーバーマン(Lieberman)らにより編集されたファーマスーティカル ドーゼージ フォームズ:タブレッツ 第2版 改訂及び増補版、1−3巻(Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets.Second Edition.Revised and Expanded.Volumes1−3);エイビス(Avis)らにより編集されたファーマスーティカル ドーゼージ フォームズ:パレンテラル メディケーションズ 1−2巻(Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medicat
ions.Volumes1−2);及びリーバーマン(Lieberman)らにより編集されたファーマスーティカル ドーゼージ フォームズ:ディスパースシステムズ 1−2巻、マーセル デッカー社(Pharmaceutical Dosage FormsDisperse Systems.Volumes 1−2.;published by Marcel Dekker,Inc)のような様々な文献に記載されており、これらの全ての内容及び目的は、本明細書に参考文献として編入される。
【0088】
一般的に、上記医薬組成物は滅菌、実質的に等張、そして、米国の食品医薬局の製造管理および品質管理に関する基準(Good Manufacturing Practice(GMP))の規則の全面順守により配合される。
【0089】
投薬計画
本発明は、カルバメート化合物を利用して、哺乳類において抗線維筋痛症候群作用を提供する方法を提供する。線維筋痛症候群を減少または治療するために必要なカルバメート化合物の量は、治療または薬学有効投与量と定義される。上記投薬スケジュール及び該用途に有効な量、即ち、服用または投薬計画は疾病の段階、患者の身体状況、年齢などを含む様々な要素に応じて変化する。患者のための投薬計画を計算する際には、投与形態も考慮される。
【0090】
当該技術分野における当業者は、その技術及び本明細書の内容により過度な実験なしに、本発明を実施するための特定の置換されたカルバメート化合物の治療有効量を決めることができる(例えば、リーバーマン、ファーマスーティカル ドーゼージ フォームズ(1−3巻、1992)(Lieberman、Pharmaceutical Dosage Forms(Vols.1−3、1992));ロイド、1999、ザ アート、サイエンス アンド テクノロジー オブ ファーマスーティカル カンパウンディング(Lloyd、1999、The art、Science and Technology of Pharmaceutical Compounding);及びピッカー、1999、ドーゼージ カルキュレーションズ(Pickar、1999、Dosage
Calulations)参照)。また、治療有効投与量は、治療に有益な効果が臨床学的観点から活性成分のあらゆる毒性または有害な副作用を上回るものである。さらに、それぞれの特定の患者、個別の投与計画は、個別的な要求及び上記化合物を投与または監督する人の専門的な診断に従って、時間をかけて判断され、調節されることに留意すべきである。
【0091】
治療の目的で、本明細書に開示された上記組成物または化合物は、長時間にわたる連続的な供給による単回ボーラス供給、または繰り返される投与プロトコル(例えば、時間毎の、毎日のまたは毎週の、繰り返される投与プロトコル)により患者に投与されることができる。本発明の医薬配合物は、例えば、毎日1回またはそれ以上、週に3回または週に1回投与されてもよい。本発明の一つの実施態様において、本発明の上記医薬配合物は、経口で、1日に1回あるいは2回投与される。
【0092】
この文脈で、カルバメート化合物の治療的有効投与量は、線維筋痛症候群の治療に臨床的に注目すべき結果をもたらす、長期治療計画内で繰り返される投与を含むことができる。この文脈における有効投与量の決定は、一般的に、動物モデルの研究とそれに続くヒト臨床試験に基づいており、被験者において目標となる症状または病状の発現または深刻性を著しく減少させる有効投与量及び投与プロトコルを指針とする。このようなことから、適切なモデルは、例えば、ネズミ科の動物、ラット、豚、猫、人間以外の霊長類及び当該技術分野において知られている他の許容される動物モデル被験者を含む。また、有効投与量は、試験管内(in vitro)モデルを利用して決めることができる(例えば、免疫学的及び組織病理学的アッセイ)。このようなモデルを利用して、生物学的活性剤の治療
有効量を投与するための適切な濃度及び投与量(例えば、所望する反応を誘導するための鼻腔内有効量、経皮内有効量、静脈内有効量または筋肉内有効量)を決めるための通常の計算及び調節が一般的に求められる。
【0093】
本発明の例示的な実施態様において、本化合物の単位投薬形態は標準投与計画に従って調剤される。このような方式により、上記組成物は医者の指示によってより少ない投与量に容易に細分化されることができる。例えば、単位投薬は包装された粉末、バイアルまたはアンプルに製造されることが可能で、カプセルまたは錠剤形態に製造されることが好ましい。
【0094】
本組成物のこれらの単位投薬形態中にある活性化合物は、例えば、患者の特定の要求により、1日に1回または複数回の投薬あたり約10mgから約1gまたはそれを超える量であることができる。約1gの最小の1日の投与量による治療計画を開始することによって、カルバメート化合物の血中濃度を利用し、より多いか、又はより少ない投与量の必要の有無を決めることができる。
【0095】
本発明のカルバメート化合物の有効投与は、例えば、経口または非経口投与により、約0.01mg/kg/投与乃至約150mg/kg/投与で投与されることができる。投与は約0.1mg/kg/投与乃至約25mg/kg/投与が好ましく、約0.2mg/kg/投与乃至約18mg/kg/投与がより好ましい。従って、本明細書に記載された投薬単位当たりに含有された上記活性成分の治療有効量は、例えば、平均体重70kgの患者に対し、例えば、約1mg/日乃至約7000mg/日であることができる。
【0096】
また、本発明の方法は線維筋痛症候群の治療の提供において使用するキット(kits)を提供する。本発明の1つ以上のカルバメート化合物を含む医薬組成物を、治療に有益で添加可能な1つ以上の化合物とともに適切な担体に配合した後、適切な容器に配置し、線維筋痛症候群の治療を提供するためのラベルを付けることができる。加えて、線維筋痛症候群の治療に有用な少なくとも1つの他の治療剤を含む他の薬が同様に容器に入れられ、言及された疾病の治療用のラベルが付けられることができる。このようなラベルは、例えば、それぞれの薬の量、頻度及び投与方法に関する指示を含むことができる。
【0097】
上述の発明は、明確な理解を目的として例をもって詳しく説明されたが、特定の変形及び改良は本開示によって包含され、過度な実験なしに添付された請求の範囲の範囲内で実施され、これは制限するためではなく例示するためのものであることが当業者に明らかである。下記の実施例は、本発明の特定の態様を解説するためのもので、これにより制限されるものではない。
【0098】
本発明のより良い理解は、本発明を解説するように説明されているが制限するように解釈されるものではない以下の実施例を踏まえて得られてよい。
【実施例】
【0099】
実施例1
腹腔内(IP)投与された30mg/kgの試験化合物(O−カルバモイル−(D)−フェニルアラニノール)は、坐骨神経結紮(sciatic nerve ligation)ラットにおける熱刺激に対する足引っ込み潜伏時間(paw withdrawal
latency)を著しく増加させた。これらのデータは、この試験化合物が抗熱痛覚過敏特性を示すことを示唆している。
【0100】
(方法)
まず、オスの若年成人のスプラグ−ドーリー(Sprague−Dawley)ラット(
CD(SD)IGS、150−200g)を、マスクを利用してO中のイソフルレンで麻酔し、ベネット(Bennett)及びシエ(Xie)(1998)に記載されている方法で手術を行った。簡単に言えば、右側の坐骨神経を結紮糸を利用してゆるく結んだ。全ての実験は国際疼痛研究学会(International Association
for the Study of Pain)のガイドラインに沿って行った。行動試験は術後少なくとも14日後に行った。
【0101】
上記試験化合物を食塩水に溶解し、動物に3mL/kg体重の容量で腹腔内に30mg/kgで投与した。
【0102】
熱痛覚過敏試験のために、熱反応を、足底テスター(ウゴ バジレ(UGO BASILE)、イタリア)、及びハーグリーブス(Hargreaves)ら(1988)の改良方法を利用して、後足の引っ込み潜伏時間により決定した。室温で保持された透明ガラスプレート上のプラスチックの囲い内にラットが慣れるようにした。放射熱源(強度90)をタイマーで調節して無毛皮膚を含むラットの右側の後足の足底表面上に集中させた。足引っ込みは熱源及びタイマーを両方とも停止させる。組織損傷を防止するために30秒の最大カットオフ時間(maximal cut−off 30 sec)を使用した。ラットの熱痛覚過敏を、投与前(0時間)及び30mg/kgの試験化合物投与の1、4及び8時間後に評価した。
【0103】
データは平均±平均の標準誤差(SEM)として表す。手術後のいくつかの時点における神経因性疼痛の行動信号値を、繰り返し測定の一元配置分散分析により、手術前の対照期間の値と比較した(ダネットの事後試験(Dunnett’s post−hoc test)が次に続く)。0.05未満のP値が重要であると考えられた。
【0104】
(結果)
神経損傷したラットにおける試験化合物の抗熱痛覚過敏効果を下記表1に示した。ラットに腹腔内投与された試験化合物は、30mg/kg、IPにおいて、有害熱刺激に対する足引っ込み潜伏時間を、注射前(0時間)の引っ込み潜伏時間と比べて著しく増加させた。
【0105】
【表1】

データは平均足引っ込み潜伏時間(秒)±SEMで示した。
P<0.05、**P<0.01対0時間での足引っ込み潜伏時間(秒)
拮抗作用の@%:[((各時点での足引っ込み潜伏時間(秒)/0時間での足引っ込み潜
伏時間(秒))−1)]×100
【0106】
実施例2
様々な睡眠パラメーターに対する試験化合物(50−150mg/kg、PO)の効果を、ヒポクレチン細胞が除去された8匹のナルコレプシーマウス(プレプロオレキシン/アタキシン−3トランスジェニック)及びこれらの同腹子野生型マウスで評価し、その効果を参照覚醒促進化合物であるモダフィニルと比較した。該試験化合物は、野生型及びナルコレプシーマウスの両方において著しく増加した覚醒状態の期間(bouts)を示し、ナルコレプシーマウスの睡眠パターンを正常化することができた。
【0107】
(方法)
スリープサイン(SleepSign)(キッセイコムテック(Kissei Comtech))を利用してポリグラフ信号(EEG及びEMG)を捕らえ、睡眠段階を覚醒状態、ノンレム(non−REM)睡眠及びレム(REM)睡眠を、10秒エポック(epoch)で視覚的に点数化した。点数化の基準は:覚醒は非同期化された低振幅、混合周波数(>4Hz)EEG及び高いEMG活動により特徴づけられる。律動的なアルファ(8−9Hz)波(高いEMG活動とともに)も現れ得る。ノンレムは減少したEMG活動(覚醒と比べて)とともに、同期化された、高振幅、低周波数(0.25−4Hz)により特徴づけられる。レム睡眠中のEEG活動は覚醒状態におけるそれと類似し、非同期化された、混合周波数低振幅波を有する。減少したEMG活動を有する律動的アルファ(8−9Hz)波も現れ得る。レム睡眠中のEEG活動はさらに減少し、多くの場合、完全に無くなる。レム睡眠中のEMG出力でいくらかの筋肉の攣縮が現われ得る。
【0108】
試験化合物の三種類の薬投与量(50、100及び150mg/kgPO)にビヒクル(vehicle)を加えて、ZT2(照明をつけてから2時間後)またはZT14(照明を消してから2時間後)で口腔投与し、睡眠に対する効果を薬投与後6時間観察した(睡眠データを薬注射後30時間収集し、これらは後の分析のために有用である)。モダフィニルの投与量は、50及び200mg/kgPO(ビヒクルを加えて)で、モダフィニルもまたZT2及びZT14で投与された。
【0109】
一部マウスのポリグラフ信号が正確な睡眠段階の点数をつけるのに不十分な場合(特に、不良なEMG)、これらの動物からのデータを除外し、最低限5匹の動物(暗所期間におかれた野生型マウスのうち試験化合物の最も投与量の多いものは除外、n=4)が上記データ分析に含まれ、動物の数が数値中に示されている。
【0110】
覚醒の量、ノンレム睡眠、レム睡眠(累積秒)、6時間中の各睡眠段階での症状の発現(episode)数、平均の覚醒/睡眠期間の長さ(秒)に対する試験化合物及びモダフィニルの効果を各動物で分析し、各パラメーターの平均をそれぞれの遺伝子型で計算した。覚醒及び睡眠量に対する上記化合物の効果は覚醒促進効力を評価するのに有用であり、各睡眠段階に対する症状の発現数及び平均の覚醒/睡眠期間の長さは睡眠断片化を評価するためのパラメーターである。アンフェタミン及びモダフィニルの2つの主な覚醒促進化合物は、現在、多様な病因(ナルコレプシー、特発性過眠症及び2次EDS)と関係するEDSの治療に用いられており、これらは正常及びEDS条件での覚醒時間を増加させ、覚醒期間の長さを延ばすことが知られている。
【0111】
これらのデータ分析とともに、ナルコレプシーにおいて、試験化合物の上記の覚醒促進及び治療的効果を評価し、その効果をモダフィニルのそれと比較した。ヒポクレチン欠乏マウスと野生型マウスとの効果の比較は、試験化合物の覚醒促進がヒポクレチンの利用可能性に依存しているか、そして、ナルコレプシーマウスにおいてヒポクレチンリガンド欠乏による試験化合物の受容メカニズムの敏感度に変化があるかどうかを見つけ出すのに非常
に有用である。
【0112】
(結果)
休眠期間中の睡眠に対する効果:
野生型及びヒポクレチン欠乏ナルコレプシーマウスの両方において、試験化合物の極めて強力な覚醒促進効果が観測された。上記効果は投与量に依存し、試験化合物の50、100、150mg/kgPOの投与は、大部分の野生型及びナルコレプシーマウスにおいて、それぞれ3、4及び5時間までの持続的な覚醒を誘発した。この期間中、ノンレム及びレム睡眠は完全に抑制された。試験化合物の投与後に異常なEEGパターンは現れず、長期の覚醒状態の後に発生する睡眠はポリグラフ評価(polygraphic assessments)で正常であった。
【0113】
対照的に、モダフィニルの覚醒促進効果は大きくなく、モダフィニル200mg/kgの覚醒促進効果は試験化合物の50mg/kgにおよそ対応した。しかしながら、モダフィニルは50mg/kgの試験化合物の投与後にレム睡眠を強く減少させはしなかった。さらに、試験化合物は強力にレム睡眠を減少させた。これはモダフィニルの効果と対照的である。
【0114】
活動期間中の睡眠に対する効果:
活動期間において、化合物を投与して同一の実験を繰り返した。活動期間中、ナルコレプシーマウスは野生型マウスよりも睡眠に多くの時間を費やした。一般的に、野生型動物はビヒクル投与後、ほぼ3時間覚醒していた。照明期間中に観察された効果と同様に、野生型及びナルコレプシーマウスにおいて試験化合物は投与量に依存して覚醒状態を増加させた。しかしながら、ベースラインでの高い量の覚醒状態のために暗所期間中の野生型マウスにおける覚醒促進効果は微かであり、小さな効果のみが観察された。対照的に、非常に著しい覚醒促進効果がナルコレプシーマウスで観察され、100及び150mg/kgの試験化合物投与後のこれらのマウスでの覚醒量は野生型マウスの水準までとなり、これは上記化合物がナルコレプシーマウスの睡眠/覚醒の量を正常化することを示している。同様に、ナルコレプシーマウスにおいて、試験化合物によってノンレム及びレム睡眠が減少し、ノンレム及びレム睡眠の量も野生型マウスの水準にまで低くなった。類似するが、また、さらに弱い効果がこれらのマウスでモダフィニル投与後にみられた。モダフィニルはナルコレプシーマウスにおいて投与量に依存して覚醒を増加させたが、モダフィニルの高い投与量(200mg/kg)は覚醒の量を野生型のベースライン水準にまで到達させなかった。
【0115】
実施例3
マウス及びラット両方のうつ病動物モデルにおいて、試験化合物の強制水泳試験に対する効果を試験した。試験化合物の単回投与後、マウスで16.6mg/kgPOそしてラットで18.5mg/kgPOであるED50で不動性の平均持続期間が減少した。上記試験化合物は、マウスに5.5mg/kgPOのED50で複数回投与した後でさえもさらに強力であった。これらのデータは上記試験化合物が抗うつ特性を示すことを示唆している。
【0116】
(方法)
雄CD−1マウス(16−24g)及び雄ウィスター系ラット(90−125g)をこれらの実験に利用した。上記試験化合物(10、15及び30mg/kg)を生理的食塩水(0.9%)に溶解させ、1mL/100g体重の量で、経口PO投与した。
【0117】
マウス及びラットをガラスシリンダー(1000mlビーカー;高さ14cm、直径11.5cm)及び(4000mlビーカー;高さ24.5cm、直径18.0cm)にそれ
ぞれ配置し、上記シリンダーには、マウスに対しては9.0cmまで、ラットに対しては19.0cmまでの水(摂氏25度)が入っていた。それぞれのマウスまたはラットをガラスシリンダーに配置し2分間泳がせ、次いで、不動性の信号について4分間観察した。不動性は、水中で後足をあまり動かさないか動かさずに浮遊しているような、動きの欠如と定義される。不動性の持続期間をストップ・ウオッチで測定して記録した。いくつかの実験では、強制水泳実験の前日にマウスまたはラットをそれぞれ6または10分間泳がせた。
【0118】
単回投与試験では、マウスまたはラットに試験化合物または0.9%NaClを与え、処理後1時間または4時間にそれぞれをガラスシリンダーに配置した。複数回投与試験では、マウスに3日間、1日に2回投与し、4日目に追加投与した。加えて、上記マウスを摂氏25度の水が入っているガラスシリンダーに配置し、3日目に6分間泳がせた。プロビット分析に基づいたコンピュータープログラムを利用して統計的評価を行った。0.05未満のP値で、ストゥーデントt検定(Student’s t−test)を利用して統計的有意性を決定した。
【0119】
(結果)
マウスに単回投与で投与された前記試験化合物は、10、15及び30mg/kgPOの投与で、投与量に依存して不動性の平均持続期間を減少させた。10mg/kgの試験化合物は、対照群の131秒と比べて、不動性の平均持続期間を101秒にまで減少させた。15及び30mg/kgの投与は、平均不動性時間を154秒から80秒に、132秒から30秒にそれぞれ著しく減少させた。試験化合物の上記ED50値(平均不動性時間の50%の減少)は16.6mg/kgであった。
【0120】
マウスに複数回投与後、上記試験化合物は3、5及び8mg/kgPOの投与で、不動性の平均持続期間を投与量に依存して減少させた。試験化合物3mg/kgにおいて、不動性の平均持続期間を、対照群の85秒から63秒に減少させた。5及び8mg/kgの投与量はそれぞれ、136秒から73秒及び114秒から39秒への平均不動性時間の著しい減少をもたらした。試験化合物のED50値は5.5mg/kgPOであった。
【0121】
ラットにおいて、30mg/kgで投与された上記試験化合物は、処理後4時間で不動性の平均持続期間を38秒から9秒に著しく減少させた。10及び15mg/kgでの試験化合物の投与はまた、不動性の持続期間を74秒から62秒、65秒から39秒にそれぞれ減少させたが、このような差異は統計的に有意ではなかった。ED50は18.5mg/kgPOで、これは上記マウスのED50値と類似する。
【0122】
引用された参考文献
本明細書に引用された全ての参照文献は、個々の文献または特許または特許出願が、特徴的にそして個別的にその全内容及び目的が参考文献として編入されると指示されたものと同じ程度に、その全内容及び目的が参考文献として編入される。
【0123】
ここでの参考文献の議論は単にその著者の主張を要約することを意図し、どの参考文献も公知技術を構成すると認められるものではない。出願人は引用された参考文献の正確性及び適切性に対して異議を唱える権利を保有する。
【0124】
本発明は本明細書に記載された特定の実施態様の見地から制限されず、これは本発明の各態様に対する1つの例であることを意図する。本発明の技術的思想及び範囲から外れない範囲内で本発明の様々な改良及び変更を行うことができ、これは当業者には明白である。本明細書に挙げられたものに加えて、本発明の範囲内で機能的に同等な方法及び装置は、上述の記載から当業者に自明である。このような改良及び変更は添付の請求項の範囲に含
まれることが意図される。本発明は、そのような請求項が権利を与えられるものと同等物の全範囲に加えて、添付の請求項の条項よってのみ制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0125】
【特許文献1】米国特許第5705640号明細書
【特許文献2】米国特許第5756817号明細書
【特許文献3】米国特許第5955499号明細書
【特許文献4】米国特許第6140532号明細書
【非特許文献】
【0126】
【非特許文献1】プロテクティブ グループ イン オーガニック ケミストリー、 J.F.W.マクオミー編、プレナム出版、1973(Protective Groups in Organic Chemistry,ed.J.F.W.McOmie,Plenum Press,1973)
【非特許文献2】T.W.グリーン アンド P.G.M.ウッツ、プロテクティブ グループ イン オーガニック シンセシス、第3版、ジョン ワイリー アンド ソンス、1999(T.W.Green&P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,Third Edition,John Wiley&Sons,1999)
【非特許文献3】アルフォンソ AR:レミントンズ ファーマスーティカル サイエンス 17版、マック出版社、イーストンPA、1985(Alfonso AR:Remington’s Pharmaceutical Sciences、17th ed.,Mack Publishing Company,Easton PA、1985)
【非特許文献4】ミント、ジェイ ファーマコル エクスプ サー、281:93−102、1997(Minto,J.Pharmacol.Exp.Ther.281:93−102,1997)
【非特許文献5】ロハタギ、ジェイ クリン ファーマコル 35:1187−1193,1995(Rohatagi,J.Clin.Pharmacol.35:1187−1193,1995)
【非特許文献6】テジュワ,アン アレルギー アズマ イムノル 75:107−111,1995(Tjwa,Ann.Allergy Asthma Immunol.75:107−111,1995)
【非特許文献7】ラオ、ジェイ バイオマター サイ ポリム エド 7:623−645、1995(Rao,J.Biomater Sci.Polym.Ed.7:623−645、1995)
【非特許文献8】ガオ、ファーム レス 12:857−863、1995(Gao,Pharm.Res.12:857−863,1995)
【非特許文献9】アイレス、ジェイ ファーム ファーマコル 49:669−674、1997(Eyles,J.Pharm.Pharmacol.49:669−674,1997)
【非特許文献10】アル−ムハムド、ジェイ ミクロエンキャプスル 13:293−306、1996(Al−Muhammed,J.Microencapsul.13:293−306,1996)
【非特許文献11】コン、カール オピン バイオテクノル 6:698−708、1995(Chonn,Curr.Opin.Biotechnol.6:698−708,1995)
【非特許文献12】オストロ、アム ジェイ ホスプ ファーム 46:1576−1587、1989(Ostro,Am.J.Hosp.Pharm.46:1576−1587,1989)
【非特許文献13】リーバーマン(Lieberman)ら 編、ファーマスーティカル ドーゼージ フォームズ:タブレッツ 第2版 改訂及び増補版 1−3巻、(Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets.Second Edition.Revised and Expanded.Volumes 1−3)
【非特許文献14】エイビス(Avis)ら 編、ファーマスーティカル ドーゼージ フォームズ:パレンテラル メディケーションズ 1−2巻(Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications.Volumes1−2)
【非特許文献15】リーバーマン(Lieberman)ら 編、ファーマスーティカル ドーゼージ フォームズ:ディスパースシステムズ 1−2巻、マーセル デッカー社(Pharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems.Volumes1−2.;published by Marcel Dekker,Inc)
【非特許文献16】リーバーマン、ファーマスーティカル ドーゼージ フォームズ (1−3巻、1992)(Lieberman、Pharmaceutical Dosage Forms(Vols.1−3、1992))
【非特許文献17】ロイド、1999、ザ アート、サイエンス アンド テクノロジー オブ ファーマスーティカル カンパウンディング(Lloyd、1999、The art、Science and Technology of Pharmaceutical Compounding)
【非特許文献18】ピッカー、1999、ドーゼージ カルキュレーションズ(Pickar、1999、Dosage Calulations)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療を必要とする哺乳類に構造式(1):
【化1】

(式中、Rは水素原子、炭素原子数1乃至炭素原子数8の低級アルキル基、F、Cl、Br及びIから選択されるハロゲン原子、炭素原子数1乃至炭素原子数3のアルコキシ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、トリフルオロメチル基、及び炭素原子数1乃至炭素原子数3のチオアルコキシ基からなる群から選択され;
xは1乃至3の整数であり、但し、xが2または3の場合、Rは同一または異なっていてもよく;
及びRは互いに同一または異なることができ、且つ、水素原子、炭素原子数1乃至炭素原子数8の低級アルキル基、アリール基、アリールアルキル基及び炭素原子数3乃至炭素原子数7のシクロアルキル基からなる群より独立に選択され;
及びRは結合して、水素原子、アルキル基、及びアリール基からなる群より選択された置換基で置換された5員乃至7員のヘテロ環を形成することができ、前記ヘテロ環化合物は1個乃至2個の窒素原子及び0個乃至1個の酸素原子を含み、前記窒素原子は互いに直接連結しておらず、また前記酸素原子とも直接連結されていない。)で表される化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量を投与することを含む線維筋痛症候群の治療方法。
【請求項2】
Rは水素原子を表し、そしてx=1である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
R、R及びRは水素原子を表し、そしてx=1である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
構造式(1)で表される前記化合物は、他の鏡像体が実質的に存在しない鏡像体、または構造式(1)で表される前記化合物の1つの鏡像体が優勢に存する鏡像体混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
1つの鏡像体が約90%又はそれより多い程度にまで優勢に存する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
1つの鏡像体が約98%又はそれより多い程度にまで優勢に存する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記鏡像体は構造式(1a):
【化2】

(式中、R、x、R及びRは以前に定義されたものを表す。)
によって示される(S)または(L)鏡像体である、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
1つの鏡像体が約90%又はそれより多い程度にまで優勢に存する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
1つの鏡像体が約98%又はそれより多い程度にまで優勢に存する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
Rx、R及びRは水素原子を表し、そしてxは1である、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記鏡像体は構造式(1b):
【化3】

(式中、R、x、R及びRは以前に定義されたものを表す。)
によって示される(R)または(D)鏡像体である、請求項4に記載の方法。
【請求項12】
1つの鏡像体が約90%又はそれより多い程度にまで優勢に存する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
1つの鏡像体が約98%又はそれより多い程度にまで優勢に存する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記鏡像体は(R)−(ベータ−アミノ−ベンゼンプロピル)カルバメートである、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
(R)−(ベータ−アミノ−ベンゼンプロピル)カルバメートの前記鏡像体は約90%又はそれより多い程度にまで優勢に存する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
(R)−(ベータ−アミノ−ベンゼンプロピル)カルバメートの前記鏡像体は約98%又はそれより多い程度にまで優勢に存する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
線維筋痛を患っている哺乳類に構造式(1):
【化4】

(式中、Rは水素原子、炭素原子数1乃至炭素原子数8の低級アルキル基、F、Cl、Br及びIから選択されるハロゲン原子、炭素原子数1乃至炭素原子数3のアルコキシ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、トリフルオロメチル基、及び炭素原子数1乃至炭素原子数3のチオアルコキシ基からなる群より選択され;
xは1乃至3の整数であり、但し、xが2または3の場合、Rは同一または異なっていてもよく;
及びRは互いに同一または異なることができ、且つ、水素原子、炭素原子数1乃至炭素原子数8の低級アルキル基、アリール基、アリールアルキル基及び炭素原子数3乃至炭素原子数7のシクロアルキル基からなる群より独立に選択され;
及びRは結合して、水素原子、アルキル基、及びアリール基からなる群より選択された置換基で置換された5員乃至7員のヘテロ環を形成することができ、前記ヘテロ環化合物は1個乃至2個の窒素原子及び0個乃至1個の酸素原子を含み、前記窒素原子は互いに直接連結しておらず、また前記酸素原子とも直接連結されていない。)で表される化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量を投与することを含む線維筋痛症候群の治療のための医薬組成物。

【公表番号】特表2013−510142(P2013−510142A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537802(P2012−537802)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【国際出願番号】PCT/KR2010/007603
【国際公開番号】WO2011/055944
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(511206696)エスケー バイオファーマスティカルズ カンパニー リミテッド (3)
【Fターム(参考)】