説明

線香体収納容器

【課題】複数の線香を密に並べて紙面に見立てそこに図形や経文を印刷して判読できるような状態に並べて商品としてパックにした場合、不注意から各線香の順序が入れ替わってしまうと難解な経文などは元に戻す事が困難になる。そこで焼香など所有者の意思で線香体の配列が崩れるまでの間は前記線香体の表示内容が観賞価値のある物として維持され商品価値が低下するのを回避することにある。
【解決手段】印刷された線香2を個別に収納するための中空セルを並列に並べて形成した中空セル構造体である収納主体1を保護ケース3に内包した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は略平面的に密に並べられた複数の線香体上に経典などの文字列や図形などが印刷され判読可能にパック化された状態が不注意などにより前記線香体の位置関係が崩れて文字列や図形が意図された内容として判読不能になる事を防止するための線香体収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の線香体に経典などの文字列や図形を印刷し順序良く連続的に並べ合わせてあたかも紙面に文章や図形を描いたようなイメージにしてパック化した商品が存在する事は広く知られている事実である。紙面に印刷された図形や文字列と異なるのは行に相当する各線香体は入れ替えが自在であり判読可能に予め決められた配列が崩れて入れ替わると意味不明になり商品価値が消失することである。また印刷されてセットになった線香体ブロックの1本1本がいわゆる紙面あるいはキャンバスを形成するものであり1本でも破損したり紛失しても商品価値を失うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−190841号公報
【特許文献2】実開平6−30127号公報
【特許文献3】実開平7−38137号公報
【0004】
従来では各線香体間に容器とは別体の仕切り板を挟んだり容器自体の底面を予め収納に必要な本数分だけ区分けして一体的に成型した容器に線香体を順序正しく収納することで前記線香体の配列の入れ替わりを回避しているが、不用意に容器を落としたりひっくり返すと線香体が破損したり難解な印刷内容によっては判読可能な状態に戻す事が不可能になった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は焼香など所有者の意思で線香体の配列が崩れるまでの間は前記線香体の表示内容が観賞価値のある物として維持され商品価値が低下するのを回避することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明では第1に複数の縦長の中空セルが並列に並んで形成されている収納主体を線香体収納容器に備えた。
【0007】
第2に前記収納主体を保護ケースに内包した。
【0008】
第3に前記収納主体をピロー形の保護ケースに内包した。
【0009】
第4に前記収納主体を透明な保護ケースに内包した。
【0010】
第5に前記収納主体をOPP袋に内包した。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明の効果は印刷されて収納された線香体は全て連続して並ぶセル空間で構成される収納主体に個別に納められており周囲の障害物に接触する機会がないため損傷から守られ、図形や文章の一部が部分的に欠落したり入れ替わることもないので表示内容は安定的に維持される。
【0012】
第2の発明の効果は前記収納主体を前記収納主体より強固な保護ケースに内包することにより歩留まりが向上した。
【0013】
第3の発明の効果は前記収納体はピロー形ケースの中で周囲を空気層で囲まれて宙に浮くように保持されるため線香体収納容器としての強度が向上すると同時に鑑賞対象物としての価値が向上した。
【0014】
第4の発明の効果は線香体に印刷された表示内容が外部から一瞥で確認できるため印刷目的が強調されて観賞価値と商品価値が向上した。
【0015】
第5の発明の効果は数本程度の線香体を収納する前記収納主体はOPP袋に内包する生産形態が最も経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は本発明を実施するための最良の形態を示す斜視図(b)はイ−イ方向から見た断面図(c)は前記ピロー形の保護ケース3を形成する表裏の2枚の薄板が重なった状態の組み立て前の形状を示す参考図。
【図2】は中空セル構造体を示すもので(a)は表裏のカバー71a、71b間が波状の仕切り板81aによってダンボール様に仕切られた形状例(b)は表裏のカバー72a、72b間が平行する垂直の仕切り板82aによってプラダン様に仕切られた形状例(c)は波状の仕切り板81aの片側だけにカバー72bを設けた例(e)は丸パイプが並列に並んで一体的に形成された中空セル構造体例を示した例。
【図3】は中空セルを形成するカバーと仕切り板が独立した例で(a)波状の仕切り板83aを両端が開放された角パイプ状中空のケース301の一端から挿入した例(b)前記波状の仕切り板83bの挿入方向を90度回転させた例(c)前記波状の仕切り板83cを蓋無し箱ケース303に収納した例(d)同じく前記波状の仕切り板83dを蓋501付き箱ケース304に収納した例。
【図4】は断面が波状以外の仕切り板の他の形状例を示すもので(a)山状(b)矩形状の例。
【図5】はケースや箱を形成する垂直の面が栓あるいは蓋の代替になる例で(a)収納主体101の開放端が塞がれる向きに角パイプ状のケース305に収納主体101を挿入し収納した例(b)収納主体をケース306に収納し開放端を塞いだ例。
【図6】は中空セル構造の収納主体102の両端を蓋体502と503で塞いだ例。
【図7】は収納主体、線香及び保護ケースの多様な組み合わせ例を示したもので(a)収納主体の長さが線香の長さより短い例(b)同一収納主体の中の異なるセルに線香の種類や本数を変えて収納した例(c)2段構造の収納主体103を透明なピロー形の保護ケース307に収納した例(d)不透明な保護ケース308に収納主体を収納し内部を視認できるように透視窓9を設けた例(e)収納主体の四隅をクッション部材10で挟んで直方体の保護ケース309に収納した例(f)両端に蓋を付けた収納主体105をピロー形の保護ケース310に収納した例。
【図8】は単独の中空セル体11をケース311に複数個順序を整えて収納し複合中空セル構造体を形成して収納主体とした例。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための最良の形態を図1(a)に示す。線香体を直接収納保持する収納主体1は線香体2の長さと図形や文章を表現するのに必要な面積を確保する幅に合せて透明な樹脂製の中空セルを並べて形成されたダンボール様の中空セル構造体である。前記収納主体1の長さと幅及び厚みは前記線香体2の寸法及び必要とされる収容本数など任意に決定される。
【0018】
前記収納主体1はピロー形の保護ケース3に内包されている。図1(b)にイ−イ方向から見た断面図を示すが前記収納主体1は隙間4、4、4、4で囲まれるように前記ピロー形の保護ケース3の中心部に宙に浮く状態で保持されている。図1(c)は前記ピロー形の保護ケース3を形成する表裏の2枚の薄板が重なった状態の組み立て前の形状を示す参考図で、長辺側の縁は折り返すように接合されていて短辺側の外形縁は図中に示す短破線を弦とする円弧状に形成され、前記短破線を対称軸として前記外形縁と同形の円弧状の折り返し部が長破線で示されるように形成されている。短辺側開放端部の表裏を前記折り返し部にそって交互に内側に折り返えすと円盤状の蓋部5、5を断面形状とする立体的なピロー形の保護ケース3が完成する。
【0019】
前記収納主体1は前記ピロー形の保護ケース3の両端にある蓋部5、5のいずれか一方を開けて挿入され、前記収納主体1の縁部6が前記ピロー形の保護ケース3の長辺側縁部付近の内壁面に両側から挟まれるように係着し固定される。
【0020】
収納された線香体2、2、2、2、2、2、2、2は印刷内容が判読できるように揃えて端から有意に順序正しく収納主体1に収納されておりその順番が入れ替わることはない。前記収納主体1及び前記ピロー形の保護ケース3は共に透明或いは半透明素材で形成されており前記線香体2は表面に印刷された内容が外部から一瞥で判読可能であり一般の線香体とは異なる鑑賞目的が強調された美的効果をもたらすものになっている。
【0021】
前記線香体の収納主体1はダンボール様の中空セル構造体であり両端は開放されているが図1の例では前記ピロー形の保護ケース3の蓋部5、5が前記線香2の脱落を防止する機能を兼ねているため前記収納主体1自体には栓やキャップなどの蓋体は設けてない。
「他の実施形態」
【0022】
ここで他の実施形態と共に本発明における線香体の収納主体になる中空セル構造体について説明する。図2は何れも中空セル構造体例を示すもので(a)は表裏のカバー71a、71b間が波状の仕切り板81aによってダンボール様に仕切られた形状例を示し(b)は表裏のカバー72a、72b間が平行する垂直の仕切り板82aによって平行に仕切られた形状例を示し、(c)は前記(a)で示した波状の仕切り板81aの片側だけにカバー72bを設けた例を示したものであるが前記(a)(b)(c)は全てカバーと仕切り板が一体的に形成されている。(d)は丸パイプが並列に並んで一体的に形成された中空セル構造体例を示したものである。
【0023】
図3は中空セルを形成するカバーと仕切り板とが独立した例を示すもので(a)は波状の仕切り板83aを両端が開放された角パイプ状中空のケース301の一端から挿入した例で前記中空のケース301の表裏面を形成する2面がカバーになる。(b)は前記波状の仕切り板83bの挿入方向を90度回転させた例で両端はケース302の垂直面が蓋の機能をする。(c)は前記波状の仕切り板83cを蓋無し箱ケース303に収納した例で底部がカバーになる。(d)は同じく前記波状の仕切り板83dを蓋501付き箱ケース304に収納した例で蓋501と箱ケース304の底面が上下から前記波状の仕切り板83dを挟み両面のカバーになる。図3のように独立したカバーと仕切り板がセットになって収納主体を形成する形態は一体的に形成される中空セル構造体に対して便宜上複合中空セル構造体と仮称する。前記ダンボール様の一体的に形成された中空セル構造体は大量生産が可能で製造コストを安く抑えられる利点があり、複合中空セル構造体はカバーと仕切り板のそれぞれの形状や色などを任意に製作し組合せられる利点がある。
【0024】
図4は断面が波状以外の仕切り板の形状例を示すもので(a)は山状の例を示し(b)は矩形状の例を示しているが線香体を個別に収納可能であれば仕切り板の形状はこれらに限定されるものではない。
【0025】
図5はケースや箱を形成する垂直の面が栓あるいはキャップなどの蓋の代替になる例で(a)は収納主体101の開放端が塞がれる向きに角パイプ状のケース305に収納主体101を収納した例、図5(b)は収納主体をケース306に収納し開放端を塞いだ例を示したもので本発明では専用の蓋体の使用は絶対条件ではないことを示すものである。
【0026】
図6は中空セル構造の収納主体102の両端を蓋体502と503で塞いだ例であるが保護ケースを伴わない構成であっても収納主体を設けた線香体収納容器として認識できる形態の一例として示したもので、蓋付きの収納主体は単体であっても線香体収納容器になる。
【0027】
図7は収納主体、線香及び保護ケースなどの多様な組み合わせ例を示し(a)は折れやすさなど強度に支障がない範囲であれば状況に応じて収納主体の長さが線香の長さより短くなる例を示し、図7(b)では同一収納主体の中の異なるセルに線香の種類や本数を変えて収納した例を示している。図7(c)は2段構造の収納主体103を透明なピロー形の保護ケース307に収納した例を示している。図7(d)は不透明な保護ケース308に収納主体を収納し、内部を視認可能とする透視窓9を設けた例である。図7(e)は収納主体104の四隅をクッション部材10で挟んで表裏に隙間ができるように直方体の保護ケース309に収納した例を示す。図7(f)は両端に蓋を付けた収納主体105をピロー形の保護ケース310に収納した例を示す。図7(g)は収納主体をヘッダー付き透明OPP袋311に収納した例を示す。特に少量の線香体を収納する場合には本図のように保護ケースではなく簡易なOPP袋に内包した方が製造コストを安価に抑えることができ経済的である。
【0028】
図8は1本の線香体が収納可能な大きさに形成された単独の中空セル体11をケース312に複数個順序を整えて収納し複合中空セル構造体を形成して収納主体とした例である。本例のように独立した中空セル体を箱体などのケースに入れる以外にも独立した中空セル体同士を接着する、或いは独立した中空セル体同士を結束するなどの手段によっても中空セル構造体を実現することが可能である。
【符号の説明】
【0029】
1・・・収納主体
2・・・線香体
3・・・保護ケース
4・・・隙間
5・・・蓋部
6・・・縁部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
線香体を収納する容器であって、前記線香体を収納可能な複数の縦長の中空セルが並列に並んで形成されている収納主体を設けたことを特徴とする線香体収納容器。
【請求項2】
前記収納主体は保護ケースに内包されていることを特徴とする請求項1に記載の線香体収納容器。
【請求項3】
前記収納主体はピロー形の保護ケースに内包されていることを特徴とする請求項1に記載の線香体収納容器。
【請求項4】
前記収納主体は透明な保護ケースに内包されていることを特徴とする請求項1に記載の線香体収納容器。
【請求項5】
前記収納主体はOPP袋に内包されていることを特徴とする請求項1に記載の線香体収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−121626(P2011−121626A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282434(P2009−282434)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(507419286)株式会社ナイクウイン (2)
【Fターム(参考)】