説明

締め付けモジュールを有する流体移送用ライン

【課題】大きな締め付け力を提供し、特に沖合の移送ラインにより伝達される力を吸収することを可能とするしっかりとしたバネカートリッジ(a substantial spring cartridge)を有する、2つの構造物の間の流体移送用ラインを提供する。
【解決手段】2つの船舶の間で流体を移送するラインにおいて、接続・分離器4は、連結片の一方4.2にフランジ20を、及び、該フランジ20に取り付けられることができるように連結片の他方4.1に嵌め込まれる締め付けモジュール14を備えている。バタフライ弁19の操作シャフト12.1、12.2は、2つのモジュール14の間で半径方向に横切っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、締め付けモジュール(clamping modules)を有する、2つの構造物間で流体を移送する流体移送用ラインに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、その一方が船舶である2つの構造物の間で流体を移送するライン(a line)が記載されている。該ラインは、2つの連結片(two joining pieces)を有する懸垂状で、高架状の極低温可撓性配管を備えている。2つの連結片は、ライン上で単一の接続・分離器(a connector-disconnector)により連結されている。この単一の接続・分離器は、サービス接続・分離装置及び緊急分離装置(the service connection-disconnection and emergency disconnection devices)を単一のインターフェース(a single interface)にまとめるものであって、したがって、単一の分離表面又は平面を有する。2つの連結片の接続・分離のためのシステムは、締め付けカラー(a clamping collar)である。締め付けカラーの運動は、手動による再組み立てをすることなくその後の閉鎖を可能とするために制御された開放(opening)を可能とする。しかし、締め付けカラーは、カラーのさらなる閉鎖が行われる前に、自動的にこのバネカードリッジを再装備することが非常に難しいので、大きな締め付け力を提供し、特に沖合の移送ラインにより伝達される力を吸収することを可能とするしっかりとしたバネカートリッジ(a substantial spring cartridge)を有してないという不利な点を有している。球状のケーシングを有する遮断弁は、各連結片の端部において嵌め込まれている。この種の弁は、移送ラインの端部において十分な重さを与える上に、その形状は、緊急分離が行われるときの流体の損失に相当する、2つの弁の間の比較的大きな容積を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2009/071591号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上述したようなタイプの2つの構造物の間の流体移送用ラインによるこれらの問題点を排除することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る2つの構造物の間の流体移送用ラインは、弁が、連結片の対向する自由端にそれぞれ嵌め込まれているバタフライ弁(butterfly valves)であり、その操作シャフト(the maneuvering shafts)が、アクチュエータにより駆動され、接続・分離器が、連結片の一方にフランジを備え、また、該フランジに取り付けられ、該フランジから取り外されることができるように、連結片の他方に取り付けられる少なくとも3つの締め付けモジュール(clamping modules)を備え、バタフライ弁の操作シャフトが、2つの締め付けモジュールの間を半径方向に横切ることを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、互いに非常に近接して嵌め込まれている、二重補完(double offsetting)を有するバタフライ弁を使用することが可能となる。これらの操作シャフトは、ユーロデム(Eurodim)社とKSB社(国際公開第03/004925号)によりすでに設計されているように、バタフライ弁の間に非常に小さな容積しか残さないように配置される。
【0007】
弁の首部の間の距離が小さすぎて、制御された開放及び閉鎖のためにカラーをそこに配置することができないので、効率的な締め付けモジュールを用いてサービス接続・分離操作及び緊急分離操作が実行され、締め付け力は、非常にしっかりとすることができ、したがって、弁の首部及び連結片の軸に略平行に延在するモジュールとの相互作用が全くないようにすることを可能にする。
【0008】
締め付けモジュールの数は、少なくとも3つであり、対向する連結片のフランジに関連してできるだけ効果的に分布する締め付け力を保証する必要性と、2つのモジュールの間の十分な空間を有し、操作シャフトを含む弁の2つの首部の通過を可能にする必要性との間で良好な折衷案が選定されるべきである。配管の軸の周りに角度的に等間隔に分配されている3から6の締め付けモジュールにより良好な結果が得られた。
【0009】
2つの連結片には、接続が行われる前に他方の連結片に対し一方の連結片が良好に配置されることを保証するために、それらが互いに協力するように、2つの連結片に配置される雄要素及び雌要素を有する接近及び案内手段が設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る流体移送装置の概略図である。
【図2】接続・分離器が、接続位置にある部分図である。
【図3】接続・分離器が、分離位置にある部分図である。
【図4】締め付けモジュールの断面図である。
【図5】締め付けモジュールの断面図である。
【図6】締め付けモジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付されている図面は、ほんの一例として提供されている。
【0012】
液化ガスタンカー1と、排出ユニット又は充填ユニットであり得る、それ自身が海底に位置しているパイプによりガス供給網に連結されている浮遊式ターミナル2との間の液化天然ガスの移送装置は、2つの船舶1、2のタンクの間を連通する極低温の可撓性配管3を備えている。
【0013】
懸垂状の高架極低温可撓性配管3は、回転盤(a wheel)7及び例えば液化ガスタンカー1に配置される接続・分離ウインチ(a connection-disconnection winch)6を用いて展開され、巻き戻される。該ウインチは、その接続・分離ケーブル5を用いて、それが液化ガスタンカー1により近づけられ、あるいは液化ガスタンカー1からさらに離されることを可能にする。図1は、2つの船舶1、2のタンクの間の接続を提供する接続・分離器4を有する移送システムを示している。
【0014】
図2において、配管は、2つの硬質管連結片で構成される。連結片4.1は、適合部品(an adaptation part)を用いて液化ガスタンカー1のマニホルド(the manifold)に接続され、連結片4.2は、その端部にフランジ20を有し、極低温可撓性配管の端部に配置されている。この図で認められ(少なくとも3つ)、例えば連結片4.1に配置される締め付けモジュール14は、サービス中(in service operation)及び緊急操作中、互いに対して連結片4.1及び4.2を固定し(locking)、解放する(unlocking)ことにより移送システムの接続及び分離を可能とする。連結片4.1及び4.2は、それぞれ、支持体10を用いて案内用ボア(a guide bore)16と案内用ローラー18を、及び支持体11を用いて雄要素として作用する案内用シャフト15ばかりでなく雌要素として作用する案内用フォーク(a guide fork)17を支えている。連結片4.1、4.2にそれぞれ配置され、ここでは開位置に表示されているバタフライ弁13.1、13.2は、サービス又は緊急分離後これらの2つの連結片の遮断を可能とするとともに、流れのフィラメント(the flow filaments)の軸に対して操作シャフト12.1、12.2をずらすことが、バタフライ弁が操作されているとき該バタフライ弁が互いに重なり合うことを許容し、したがって、閉じられた位置にある2つのバタフライ弁の間の容積をできるだけ制限することを可能にする。カラー(collars)に含まれる操作シャフト12.1、12.2は、2つの締め付けモジュール14の間で連結片を半径方向に通過している。開いた位置に表示されている第3のバタフライ弁19は、高架極低温可撓性配管3の端部において、特に、緊急時における移送システムの分離に加えて、2重の密封バリア(a double sealing barrier)を提供することを可能にする。締め付けモジュール14に配分される油圧供給能力及び送出は、たとえ、懸垂状の可撓性配管を有する移送システムの緊急分離が実行されるための応答時間が、例えば、負荷アームの場合と同様に必ずしも短いことを要しないとしても、機械要素に霜の層が形成されること及び急激な緊急分離が実行されることによって引き起こされる力を吸収することをそれぞれ保証するくらいに十分である。上記締め付けモジュールは、操作シャフト12.1、12.2の各連結片4.1、4.2から油圧アクチュエータに向っての通過を可能にするように配置され、このような接続、したがって移送を妨害することなしに油圧エネルギの損失を受け取ることを可能にするバトレスシステム(a buttress system)を用いて機械的遮断を実行する運動学によって設計される。
【0015】
バタフライ弁13.1、13.2と同様に、締め付けモジュール14は、2つの異なる油圧制御ラインを有する。一つは、サービス機能のためのサービス・ロボット(the service automaton)に接続され、別の一つは、緊急機能(ESD)のための安全ロボットに接続される。
【0016】
図3は、分離された段階にある移送ラインを示す。バタフライ弁13.1、13.2、19は、したがって、閉じられた位置にあることを示している。分離中に、極低温可撓性ユニット3に固定されている連結片4.2は、プーリー8により案内され、案内用ボア16、案内用フォーク17及び案内用ローラー18によっても構成される案内システムの欠くことのできない部分を形成する案内シャフト15の端部に取り付けられる、接続・分離ウインチ6のケーブル5を介して、適合部品9を用いて液化ガスタンカーのマニホルドに連結されている連結片4.1と接触する。このことは、サービス接続が2つの連結片4.1、4.2の間で行われる前に、良好な位置決めを得ることを可能とする。緊急分離に関連して、操作の観点から、この緊急動作は、接続・分離器4に対応する装置のグループがサービス分離に似ているので、接続・分離ウインチ6も、ブレーキの切り離し(a drop brake)という習慣的な機能を提供する。2つの船舶の間に十分な距離を必要とする緊急分離の手順の場合、接続・分離ウインチ6のケーブル5は、移送システムの高さでケーブルが引きちぎられるという危険を妨げるように、完全に巻き戻された後、緩められる。
【0017】
図4、5及び6は、その対称面に沿う締め付けモジュールの断面図である。連結片4.1の本体に固定されている支持体23のジャーナル(journals)41を中心に旋回するように接続されているジャッキ(a jack)21は、ロッド22の端部に固定されているフォーク状継手(a fork joint)24を有する。フォーク状継手24の端部に配置されるシャフト25は、コネクチングロッド(the connecting rod)28及びコネクチングロッド29と旋回的接続(a pivot connection)を形成することを可能にする。コネクチングロッド28は、また、その他端において、連結片4.1の本体に対して、シャフト26を中心に旋回するように接続されており、コネクチングロッド29は、また、その他端において、スラスター(the thruster)30とともに、シャフト27を中心に旋回するように接続されている。押さえ具(a jaw)33の内部孔にある大きな肩部42の下方部分の支持によりその下方に向っての移動を制限されるこのようなスラスター30は、それ自身は押さえ具33の孔に固定され、スラスター30の大きな孔に支持されるバネカートリッジ32を保護しているカバー31の上方部分に対して、小さな肩部によりその上方部分を並進して誘導される。一端において押さえ具33とシャフト34を中心に旋回するように接続され、他端においてシャフト26を中心に旋回するコネクチングロッド35は、連結片4.1のフィン37の上方部分に接触し得る側部止め具(不図示)ばかりでなく、その端部にブロック(blocks)36を有する押さえ具33に接触し得る中心止め具38を有している。シャフト25には、その両端部それぞれに小さなローラーと大きなローラーの合わせて2つのローラー(不図示)が設けられる。小さなローラーは、支持体案内部23の斜面39、40に接触し、大きなローラーは、コネクチングロッド35の上方部分に接触している。
【0018】
図4は、ジャッキ21のロッド22が引き込められた位置にあるが、中心止め具38は、それ故に持ち上げられた位置に維持されている押さえ具33に接触しており、接続・分離器の案内システムを用いて、連結片4.1に向って連結片4.2を引き寄せることを可能にし、したがって、2つの連結片の間での同軸性及び面対面接触を保証する、開放位置にある締め付けモジュールを示している。
【0019】
モジュールの閉鎖は、ジャッキ21のロッド22が伸び出すことにより開始される。ロッド22の伸び出しは、シャフト27を高い位置に維持することにより、シャフト25がシャフト26と27の間に入るのに役立つようにシャフト25の移動を引き起こす。シャフト25の移動は、シャフト25の端部に固定される大きなローラーと横にあるコネクチングロッド35の上方部分との間の接触により可能となる。シャフト25の移動は、また、押さえ具33の孔の内側のスラスター30の上方への移動を引き起こし、したがって、バネカートリッジ32の圧縮を引き起こす。それとともに、支持体案内部23の斜面39、40の傾斜角度は、コネクチングロッド35の側部止め具の連結片4.1のフィン37の上方部分との接触と組み合わさって、連結片4.2のフランジ20に対し押さえ具33を閉ざすのに役立つ。
【0020】
図5は、押さえ具33がそのブロック36を使って連結片4.2のフランジ20と接触し、連結片4.2が連結片4.1に対して締め付けられたときのモジュールの様々な要素の位置を示す。この位置において、シャフト27の端部にある小さなローラーは、支持体案内部23の斜面40のレベルに位置している一方、バネカートリッジ32は、圧縮されている。
【0021】
図6に示されるように、そのフォーク状継手24が中心止め具38に接触するまでのジャッキ21のロッド22のさらなる伸び出しは、シャフト25がシャフト26、27を通過する平面に一致する状態になることを可能とする。バネカートリッジ32が圧縮されたままであるので、その中心軸に沿って下方に加えられる力は、支えをすることにより機械的に運動を阻止することを可能とする。その後、押さえ具33により吸収される力に関わりなく、シャフト25は、ジャッキ21の動作なしにはシャフト26、27を通る平面に一致した状態からもはや移動することができない。したがって、特にジャッキ21の段階で油圧供給が失敗した場合であっても、移送中は、押さえ具33の運動が阻止された位置が保証される。
【0022】
かくて、再開放は、ジャッキ21のロッド22の引き込みにより開始される。ロッド22の引き込みは、支持体案内部23の斜面40に対しその端部に固定される小さいローラーの接触によってシャフト27の位置を維持することにより可能にされる、シャフト26、27を通過する平面と一致した状態からのシャフト25の移動により、システムの運動の支えをすることからの解放を引き起こす。ジャッキ21のロッド22の引き込みの継続は、特に、コネクチングロッド29によって、その端部に固定されている小さいローラーの支持体案内部23の斜面39との接触により案内されるシャフト27の移動を引き起こし、それにより、押さえ具33を持ち上げることを可能とする。連結片4.1上の押さえ具33の位置に従う重力の影響は、小さいローラーの支持体案内部23の斜面39、40との接触により制御される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自由端部を有し、ライン上で単一の接続・分離器(4)により連結される2つの連結片(4.1、4.2)を有する懸垂状の高架可撓性配管を備え、接続・分離器(4)は、前記連結片が同じ分離面、サービス接続・分離装置及び緊急分離装置を有するように、単一のインターフェースにまとめられており、停止弁が、各連結片に嵌め込まれている、そのうちの1つが船舶である2つの構造物の間の流体移送用ラインであって、
前記弁は、それぞれ前記連結片(4.1、4.2)の対向する前記自由端部に嵌め込まれている、操作シャフト(12.1、12.2)を有するバタフライ弁であり、前記操作シャフト(12.1、12.2)は、アクチュエータにより駆動され、
前記接続・分離器は、前記連結片(4.1、4.2)の一方にフランジ(20)を、及び該フランジに取り付けられ、及び該フランジから取り外されるように、前記連結片の他方に取り付けられている少なくとも3つの締め付けモジュール(14)を備え、
前記バタフライ弁(13.1、13.2)の前記操作シャフト(12.1、12.2)は、2つの締め付けモジュール(14)の間を半径方向に通過することを特徴とする流体移送用ライン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−219086(P2011−219086A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84506(P2011−84506)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(597106035)
【Fターム(参考)】