説明

締縛用コードアセンブリ及びその取付方法

【課題】多様なシートに使用することができる汎用性を有する締縛用コードアセンブリ及びその取付方法を提供する。
【解決手段】開示されるのは、締縛用コードアセンブリ及びその取付方法である。いくつかの態様によれば、締縛用コードアセンブリは、トンネル部分とフラット部分とを有するウェビングを含み、トンネル部分はスロット付きコードを収容するように構成されて、フラット部分はファブリックに装着されるように構成される。スロット付きコードは、トンネル部分に織り込まれるとともに織り出されて、シートフレーム又は他の適当な構造と相互作用を行ってファブリックをシートフレームに固定するように構成されている。締縛用コードアセンブリは、異なる寸法及び/又は構成を有するシートフレームとともに使用可能であるように汎用としての構成を持つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、概して、ファブリック又は他のカバー類をシート又は他の構造に装着するための締縛用コードアセンブリ及びその取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ファブリック又は他の適当なカバー類は、車両シートの組立中にシートの下部フレームに装着されるのが一般的である。一般的なシートフレームの下面は、フック又は柱など、複数の係止具を含む。いくつかの例では、コードを有するウェビングによってファブリックがフレームに装着される。すなわち、ウェビングがファブリックに縫着され、フレームに既設の係止具にコードを掛けることによりファブリックがシートに固定されるのである。このような構成では、加工ループ、圧着カラー、又は成形フックなどの装着手段を、コードの各端部が一般的に含み、ホグリングにより、又は他の方法でこの装着手段がシートの下面に固定されて、ウェビング及びファブリックのアセンブリをシートフレームに対して固定配置する。コードの端部は特殊な処理を必要とするため、ウェビングが使用される特定のシートに合わせて、ウェビングが予め製造されなければならない。すなわち、各ウェビング部材は、使用される特定シートに適合するように特定の長さで切断、加工されてから出荷されなければならないのである。異なる長さの部材を必要とする多数のシートカバー設計が存在するため、ユーザは部品数が多くサイズも多様なウェビングを注文する必要があり、これが在庫及び保管のコストを上げるばかりでなく、ユーザの施設におけるスペースの制約という結果を招く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本特許で使用される「発明」、「かかる発明」、「本発明」、「当該発明」は、本特許及び以下の特許請求項の主題すべてを包括的に指すものとする。これらの語を含む記載が、ここで説明される主題を限定する、又は以下の特許請求項の意味及び範囲を制限することはないと理解されるべきである。本特許に包含される本発明の実施形態は、この要約ではなく以下の請求項により規定される。この要約は、本発明の様々な態様についての大まかな概要であって、以下の詳細な説明の節でさらに説明される概念のいくつかを紹介するものである。この要約は、請求項に記載の主題の主要又は本質的な特徴を特定することを意図されたものではなく、また請求項に記載の主題の範囲を判断する際に単独で使用されることを意図されたものでもない。主題は、本特許の明細書全体、図面の一部又は全部、及び各請求項の該当部分を参照することにより理解されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、ファブリックを車両シートに固定するための締縛用コードアセンブリが提供され、かかるアセンブリは、トンネル部分とファブリックに装着されるように構成されたフラット部分とを包含するウェビングと、複数のスロット区分と複数のフラット区分とを包含するコードとを包含し、フラット区分の1つによって隣接のスロット区分が分離され、各スロット区分が上側部分と下側部分とを包含し、コードがウェビングのトンネル部分の中に収容されて、ウェビングに沿って所定の間隔でトンネル部分から織り出されるとともにトンネル部分へ再び織り込まれ、第1装着方法ではウェビングの2つの端部の間でシートの下面に装着されるようにコードが構成され、第1装着方法と異なる第2装着方法ではウェビングの2つの端部でシートに装着されるようにコードが構成される。
【0005】
別の態様によれば、第2装着方法は、ループを形成するようにスロット区分の1つの上側部分をこのスロット区分の下側部分から分離することを包含し、シートの下面と関連する構成要素に装着されるようにループが構成される。
【0006】
別の態様によれば、第1装着方法は、シートの下面と関連する構成要素にコードを掛けることを包含する。
【0007】
別の態様によれば、コードがロール又はスプールにて用意される。
【0008】
別の態様によれば、締縛用コードアセンブリがロール又はスプールにて用意される。
【0009】
別の態様によれば、スロット区分の上側部分はスロット区分の下側部分の引張特性と異なる引張特性を有する。
【0010】
別の態様によれば、ナイロンとポリエステルの一方である複数の縦糸をスロット区分の上側部分が包含し、ナイロンとポリエステルの他方である複数の縦糸をスロット区分が包含する。
【0011】
別の態様によれば、複数の縦糸と第1横糸セットと第2横糸セットとをコードが包含し、コードのフラット区分では第1横糸セットと第2横糸セットの両方を用いて複数の縦糸が織り合わされ、コードのスロット区分では、スロット区分の上側部分を形成するように複数の縦糸の一部が第1横糸セットと織り合わされるとともに、スロット区分の下側部分を形成するように複数の縦糸の残りが第2横糸セットと織り合わされる。
【0012】
また、複数のスロット区分と複数のフラット区分とを包含するコードを用意することであって、フラット区分の1つにより隣接のスロット区分が分離され、一緒にループを画定する上側部分と下側部分とをスロット区分の各々が包含することと、締縛用コードアセンブリを形成するようにウェビングのトンネル部分の中にコードを用意することであって、所定の導出点でコードがウェビングから織り出されるとともに、所定の導入点でコードがウェビングに再び織り込まれることと、締縛用コードアセンブリをファブリックに固定することと、ウェビングの端部の間の様々な箇所において、所定の導出点でウェビングから織り出されたコードを車両シートの下面に用意された係止具に固定することにより、車両シートの下面にファブリックの一部分を装着することと、ウェビングの端部又は端部付近において、スロット区分の1つのループに沿ってコードを切断して、前にあるスロット区分のループを介して車両シートの下面にコードを装着することと、を包含する、締縛用コードアセンブリの取付方法が提供される。
【0013】
かかる方法の別の態様によれば、コードがスプール又はロールにて用意される。
【0014】
かかる方法の別の態様によれば、締縛用コードアセンブリがスプール又はロールにて用意される。
【0015】
かかる方法の別の態様によれば、第1装着方法ではウェビングの端部の間でウェビングが車両シートの下面に装着され、第2装着方法ではウェビングの端部又は端部付近でウェビングが車両シートの下面に装着され、第1装着方法は第2装着方法と異なっている。
【0016】
かかる方法の別の態様によれば、第2装着方法は、スロット区分の上側部分をスロット区分の下側部分から分離することと、ループを介してシートの下面にコードを装着することとを包含する。
【0017】
かかる方法の別の態様によれば、第1装着方法は、シートの下面と関連する係止具にコードを掛けることを包含する。
【0018】
かかる方法の別の態様によれば、所定の導出点の少なくともいくつかでコードの少なくとも1つのスロット付き部分がウェビングから織り出されるように、ウェビングにコードが織り込まれる。
【0019】
かかる方法の別の態様によれば、ウェビングのトンネル部分にコードが織り込まれる。
【0020】
また、フラット部分とチューブ状部分とを包含するファブリックと、複数の縦糸と第1横糸セットと第2横糸セットとを包含するコードと、を包含し、コードの複数のフラット区分を形成するように第1横糸セットと第2横糸セットの両方を用いて複数の縦糸が織り合わされ、また、コードのスロット区分の上側部分を形成するように複数の縦糸の1部が第1横糸セットと織り合わされ、また、スロット区分の下側部分を形成するように複数の縦糸の残りが第2横糸セットと織り合わされ、また、スロット区分が複数設けられて、フラット区分がスロット区分を相互に分離し、また、スロット区分の上側部分が、スロット区分の下側部分の第2引張特性と異なる第1引張特性を有し、また、コードがファブリックの中に収容される、締縛用コードアセンブリが用意される。
【0021】
別の態様によれば、上側部分の縦糸がナイロンとポリエステルの一方であって、下側部分の縦糸がナイロンとポリエステルの他方である。
【0022】
別の態様によれば、ファブリックの端部の間で第1装着手段を介して車両シートに装着されるようにコードが構成され、また、ファブリックの端部又は端部付近では第2装着手段を介して車両シートに装着されるようにコードが構成され、第2装着手段が第1装着手段と異なっている。
【0023】
別の態様によれば、第2装着手段は、ループを形成するようにスロット区分の1つの上側部分をこのスロット区分の下側部分から分離することと、ループを介してコードを車両シートの下面に装着することとを包含する。
【0024】
また、ファブリックをシートに固定するための締縛用コードアセンブリであって、複数のスロット区分と複数の接続区分とを包含して、接続区分の1つにより隣接のスロット区分が分離され、各スロット区分が上側部分と下側部分とを包含し、スロット区分の1つにより形成される第1装着手段によりコードの2つの端部または端部付近でシートの下面に装着されるようにコードが構成され、スロット区分の1つの上側部分がスロット区分の1つの下側部分から分離されてループを形成し、シートの下面と関連する構成要素に装着されるようにループが構成され、コードの高さがコードの幅と類似している。
【0025】
別の態様によれば、第2装着手段によりコードの2つの端部の間でシートの下面に装着されるようにコードが構成され、第1装着手段が第2装着手段と異なっている。
【0026】
別の態様によれば、第2装着手段が、シートの下面と関連する係止具にコードを掛けることを包含する。
【0027】
別の態様によれば、係止具にコードを掛けることが、スロット区分の少なくとも1つの上側部分および下側部分の両方を係止具に掛けることを包含する。
【0028】
別の態様によれば、スロット区分がコードの長さにわたって一定間隔で延在する。
【0029】
別の態様によれば、コードがロール又はスプールにて用意される。
【0030】
別の態様によれば、スロット区分の上側部分がスロット区分の下側部分の引張特性と異なる引張特性を有する。
【0031】
また、締縛用コードアセンブリの取付方法であって、
(a)締縛用コードアセンブリをロール又はスプールにて用意することであって、締縛用コードアセンブリが複数のスロット区分と複数の接続区分とを包含し、接続区分の1つにより隣接のスロット区分が分離され、各スロット区分が上側部分と下側部分とを包含することと、
(b)シートカバーへの組み付けに適当な締縛用コードアセンブリの長さを決定することと、
(c)締縛用コードアセンブリを適当な長さに切断することと、
(d)スロット区分の1つの上側部分をスロット区分の下側部分から分離してループを形成することと、
(e)締縛用コードアセンブリの2つの端部又は端部付近において、シートの下面と関連する構成要素をループへ挿入することと、
(f)締縛用コードアセンブリがシートカバーと摺動嵌合するように締縛用コードアセンブリをシートカバーに組み付けることと、を包含する締縛用コードアセンブリの取付方法。
【0032】
かかる方法の別の態様によれば、締縛用コードアセンブリの2つの端部の間において、シートの下面に設けられた1つ以上の係止具に締縛用コードアセンブリを掛けることをさらに包含する。
【0033】
かかる方法の別の態様によれば、締縛用コードアセンブリを係止具に掛けることが、スロット区分の少なくとも1つの上側部分および下側部分の両方を係止具に掛けることを包含する。
【0034】
かかる方法の別の態様によれば、スロット区分の1つで締縛用コードアセンブリを切断することをさらに包含し、シートの下面と関連する構成要素をループへ挿入するステップが、シートの下面と関連する構成要素を、切断されたスロット区分の前にあるスロット区分のループへ挿入することを包含する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
添付の請求項を実施する最良の態様を含み、当業者を対象とする充分かつ実施可能な開示が、明細書の以下の部分でより詳しく提示される。明細書では以下の添付の請求項を参照するが、異なる図での同様の参照番号の使用は、同様又は類似の構成要素を指すことを意図したものである。
【0036】
【図1】一実施形態による締縛用コードアセンブリの一部分の写真である。
【図2】別の実施形態による締縛用コードアセンブリを図示したものである。
【図3】図1のアセンブリのコードの一部分の製織パターンの断面図である。
【図4】図1のアセンブリのコードを描写したものである。
【図5A】コードのフラット区分における図1の締縛用コードアセンブリの断面図である。
【図5B】コードのスロット区分における図1の締縛用コードアセンブリの断面図である。
【図6】ファブリックにより組み立てられた車両シートの下面と一実施形態による締縛用コードアセンブリとの斜視図である。
【図7】一実施形態による締縛用コードアセンブリの製織プランである。
【図8】一実施形態による締縛用コードアセンブリの織り込み及び織り出し箇所についての製織パターンのピック図である。
【図9】一実施形態による締縛用コードアセンブリのドロー図である。
【図10】一実施形態によるコードの製織パターンのピック図である。
【図11】一実施形態によるコードの製織パターンのドロー図である。
【図12】一実施形態による締縛用コードアセンブリの製織図である。
【図13】一実施形態による締縛用コードアセンブリのドロー図である。
【図14】一実施形態によるファブリックとともに組み立てられたコードの斜視図である。
【図15】図14のアセンブリの別の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
提供されるのは、シート、家具、又は他の適当な構造にファブリック、布地、又はカバー類を組み付けるための締縛用コードアセンブリである。図1〜図2に示されているように、締縛用コードアセンブリ10は、ウェビング14と、ウェビング14と混交されるコード12とを含む。製織ウェビングの代わりに、ウェビング14が皮革やビニル等、何らかの適当なファブリックであってもよい。図2に示されているように、ウェビング14はトンネル(チューブ状とも呼ばれる)部分18に隣接しているフラット部分16を有する。コード12はトンネル部分18に収容され、所定の織り出し(導出口とも呼ばれる)箇所46でトンネル部分18から織り出されるとともに、所定の織り込み(導入口とも呼ばれる)箇所48でトンネル部分18へ織り込まれる(図1参照)。そのため、コード12は、織り出し部分54においてはウェビング14の外側にあって、織り込み部分56においてはウェビング14の中に収容される(図2参照)。織り出し及び織り込み箇所の間の距離は、変化してもよい。いくつかの実施形態では、後でより詳しく説明するように締縛用コードアセンブリを汎用構造とするように、織り出し及び織り込み箇所が相互に離間している。織り出し箇所でウェビング14から織り出されるコード12の量とともに、ウェビング14から織り出されるコードの特性も、変わり得る。例を挙げると、図1に図示されたウェビングから織り出されるコードの量及びコードの特性は、図2の実施形態とは異なっている(同様の構成要素を示すのに同様の参照番号が使用されてはいるが)。
【0038】
図3〜図4は、製織コード12を図示している。コード12は、スロット区分22によって相互に分離されたフラット区分20を含む。各スロット区分22は、一緒にループ28を画定する上側部分24と下側部分26とを有する。図3に示されているように、スロット付きコード12は、複数の縦糸40と第1横糸セット42と第2横糸セット44とを含む。縦糸40は、コード12のフラット区分20を形成するように第1横糸セット42及び第2横糸セット44を用いて織り合わされる。縦糸40の一部はスロット区分22の上側部分24を形成するように第1横糸セット42と織り合わされるのに対して、縦糸40の残りはスロット区分22の下側部分26を形成するように第2横糸セット44と織り合わされる。こうして、二重横糸挿入プロセスによりコード12が形成される。いくつかの実施形態では、スロット区分22はZ形の杼口を用いて形成され、フラット区分20は通常の杼口を用いて形成される。
【0039】
いくつかの実施形態では、スロット区分22の上側部分24は、下側部分26と異なる引張特性を有する。いくつかの例では、これは、異なる材料の縦糸が上側部分24と下側部分26とを構成することによる。例えば、いくつかの実施形態では、上側部分24の縦糸はポリエステルかナイロンか弾性混合材料で製作されるが、下側部分26の縦糸は他のポリエステルやナイロン、又は別の弾性混合材料から製作される。上側及び下側区分に異なる引張特性を付与すると、ループ28を形成するように上側部分と下側部分とが自然に相互分離する。すなわち、ナイロン及びポリエステルは異なる伸長率と異なる回復率とを有し、そのため、上側部分及び下側部分の各々に異なる材料を用いるとこれらの部分を弾力的に離間させてループ28を作り出すのである。代替的に、上側及び下側部分に異なるサイズの横糸材料を用いることにより、又は上側部分と下側部分とに異なる製織パターンを用いることにより、ループ28が形成されてもよい。いくつかの実施形態では、上側部分24と下側部分26の両方の縦糸が同じ材料である(例えば、上側部分と下側部分の両方の縦糸がすべてナイロン、すべてポリエステル、又は他の適当な材料か材料の組合せであってもよい)。横糸は、ポリエステル、ナイロン、又は他の適当な材料か材料の組合せであればよい。
【0040】
上述したコード12は、ウェビング18を作り出すように他の様々な縦糸及び横糸で織られる。図5Aは、コード12のフラット区分20における締縛用コードアセンブリ10の断面図であるのに対して、図5Bはコード12のスロット区分22における締縛用コードアセンブリ10の断面図である。図5Aに示されているように、コード12は、コードの幅Wと実質的に同じである高さHを有する。
【0041】
図8は、ウェビング14の織り出し及び織り込み部分54,56についての非限定的なピック図(チェーン図又はカム図案としても知られる)を示している。織り出し部分は図8で「Dcout」と記され、織り込み部分は図8で「Dcin」と記されている。水平方向横列のます目は横糸を表し、垂直方向縦列(織機のハーネスに対応)は縦糸グループを表す。図8のピック図は、9ハーネス織機を示し、ハーネス1〜4は、ウェビング18のフラット部分16を作り出す縦糸を収容し、ハーネス5はコード12を収容し、ハーネス6〜9はウェビングのトンネル部分18を作り出す縦糸を収容する。ます目が塗りつぶされている時には、縦糸が横糸の上になるように横糸が打ち込まれる際にハーネスが持ち上げられることを意味している。図8に示されているように、織り出しプロセス(Dcout)中には、織り出し部分においてコード12が縦糸と織り合わされないようにハーネス5が持ち上げられる。こうして、図1〜図2に示されているように、織り出し箇所46でコード12がウェビング14から出る。いくつかの実施形態では、織り出し部分の場所(ゆえにコード12がウェビング14から出る場所)を簡単に見つけ出せるように、織り出し部分での製織パターンが変更されてもよい。例えば、織り出し部分のトンネル部分に綾織が用いられてもよい。これらの方針に沿って、アセンブリ10を作り出すのに適当な製織が使用されるとよい。
【0042】
図9の非限定的なドロー図は、締縛用コードアセンブリ10の一実施形態を製造するためのハーネスにおける織糸の配置を示している。図8のピック図は、製織アセンブリを作り出すためのハーネスの動作を表している。図9の垂直軸は、この特定実施形態のウェビングを製作するのに使用される織機のハーネスを表している。この実施形態では、9個のハーネスが使用される。図9の水平軸は、アセンブリを製作するのに使用される織糸を表し、一番下のラインは、各セクションが繰り返される回数を示している。例えば、図9の第1縦列は、第1織糸が第6ハーネスフレームにあって第2織糸が第7ハーネスフレームにあることを示している。上述のように、ハーネス6〜9はウェビング14のトンネル部分18を作る縦糸を収容し、ハーネス1〜4はウェビング14のフラット部分16を作る縦糸を収容し、ハーネス5はコード12を収容する。
【0043】
締縛用コードアセンブリ10の一実施形態の非限定的な製織プランが図7に図示されているが、適当なアセンブリを作り出すのに多様な製織プランが使用されてもよい。図7の製織プランは、(例えば図6に図示された)アセンブリ10を作り出すのに使用される1つの特定パターンを示している。異なる構成を持つアセンブリを作り出すには異なるパターンが使用されればよい。例えば、上記のように、織り出し部分(図7ではDCOUTと表される)と織り込み部分(図7ではDCINと表される)との長さは変化してもよい。織り出し及び織り込み部分の各々の長さはインチで示され、特定の区分が繰り返される回数は、LENGTHと記された縦列の左にある縦列に示されている。
【0044】
いくつかの実施形態では、ハーネス1〜4及び6〜9に収納されるウェビング14の縦糸はポリエステルであるが、縦糸はナイロンや、他の適当な材料又は材料の組合せでもよい。同様に、ウェビング14を作り出すのに使用される横糸は、ポリエステル、ナイロン、又は他の適当な材料や材料の組合せでよい。
【0045】
図10は、ウェビング14を作り出すように様々な縦糸及び横糸と織り合わされる前に予め織られるコード12についての、非限定的なピック図を図示している。斜線の入ったます目52は、コード12のスロット区分22を作るために二重横糸挿入(言い換えると、上記のように上側縦糸と織り合わされる第1横糸セットと、下側縦糸と織り合わされる第2横糸セット)を可能にする中間杼口ハーネス位置を表す。図11は、コード12の一実施形態の非限定的な製織プランを示す。
【0046】
図12は、締縛用コードアセンブリについての非限定的なピック図を示し、図13は同じアセンブリについての非限定的なドロー図(ハーネスプラン)を示す。
【0047】
図14〜図15は、ウェビング14などのウェビングが全く使用されない締縛用コードアセンブリ100の代替実施形態を示す。代わりに、上述したコード12に類似した構成のスロット付きコード112が、折り返された布地又は他のファブリック114の間に挿入される。コード112は、切り欠き部分116でファブリック114から出る。
【0048】
締縛用コードアセンブリ10を車両シートに装着する方法も開示される。図6は、締縛用コードアセンブリ10がファブリック、布地、又は他のカバー類38に縫着されるか他の方法で装着されてから車両シートフレーム32の下面34に固定されるという非限定的な一実施形態を図示している。すなわち、図のように、様々な織り出し箇所でウェビング14から出ているコード12が、車両シートフレームの下面に存在する様々な係止具36に掛けられるのである。ゆえに、シートフレームの設計と適合するように、織り出し部分は予め決められた間隔で離間している。織り出し及び織り込み部分の構成は、締縛用コードアセンブリ10が本質的に汎用であっていくつかの異なるシートフレームの既設の係止具とともに使用されるように、選択されるとよい。非限定的な例において、織り出し部分はウェビング14に沿っておよそ2インチごとに配置されるか、いくつかの異なるシートフレームとともに使用されるようにアセンブリを汎用とするのに充分な頻度で離間している。
【0049】
いくつかの実施形態では、ウェビング14の端部30の間の装着箇所でコード12の全体が係止具36に掛けられる。ウェビング端部30又はその付近において、コード12がスロット区分22で切断され、切断されたスロット区分の前のスロット区分22のループ28へ、ホグピン50又は他の類似の装着構造が挿入される。こうして、ウェビングへの特殊な端部処理を必要とせずに、ウェビング14の端部30で締縛用コードアセンブリ10がシートフレームに係止される。代わりに、ウェビング(及び装着されたファブリック又は布地)をシートフレーム32に係止するのに、コード12そのものが使用される。ウェビングの特殊な端部処理が必要ないため、締縛用コードアセンブリは調節可能であって、いかなる数のシート構成及び異なる寸法のシートとともに使用され得る。また、特殊な端部処理が必要とされないため、コードと締縛用コードアセンブリの両方がスプール又はロールにて用意されることが可能である。
【0050】
開示されたトンネル状締縛コードアセンブリはロール又はスプールにて用意されることが可能であり、多様なシートフレームとともに使用されるという点で汎用の性質を持つため、顧客は1つの部品番号のみを注文して、特定の用途に合わせて必要な場所でアセンブリを切断すればよく、これは、顧客の施設において在庫を減らしてスペース及び保管の要件を軽減する。また、アセンブリの端部には付加的な加工が必要とされないため、コストが削減される。最後に、締縛用コードアセンブリはコードと織り合わされるため、コードとウェビングの別々のアセンブリは必要なく、労働コストを削減する。
【0051】
図面に描かれるか上で説明された構成要素とともに、図示及び説明されていない構成要素及びステップを、異なる形で取り合わせることも可能である。同様に、いくつかの特徴及び部分的組合せが有用であって、他の特徴及び部分的組合せに言及することなく採用されてもよい。本発明の実施形態は限定目的ではなく例示のために説明されており、本特許を読んだ者には代替的な実施形態が明らかになるだろう。したがって、開示される発明は、上で説明されて図面に描かれた実施形態に限定されず、以下の請求項の範囲を逸脱することなく様々な実施形態及び変形例が可能である。
【符号の説明】
【0052】
10 締縛用コードアセンブリ
12 コード
14 ウェビング
16 フラット部分
18 トンネル部分
20 フラット区分(接続区分)
22 スロット区分
24 上側部分
26 下側部分
28 ループ
30 端部
34 下面
36 係止具
38 カバー類
40 縦糸
42 第1横糸セット
44 第2横糸セット
46 織り出し箇所
48 織り込み箇所
50 ホグピン
54 織り出し部分
56 織り込み部分
100 締縛用コードアセンブリ
112 スロット付きコード
114 ファブリック
116 切り欠き部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファブリックを車両シートに固定するための締縛用コードアセンブリであって、
トンネル部分と、前記ファブリックに装着されるように構成されたフラット部分とを包含するウェビングと、
複数のスロット区分と複数のフラット区分とを包含するコードであって、前記フラット区分の1つにより隣接のスロット区分が分離され、各スロット区分が上側部分と下側部分とを包含する、コードと、
を包含し、
前記コードが前記ウェビングの前記トンネル部分の中に収容されて、前記ウェビングに沿って所定の間隔で前記トンネル部分から織り出されるとともに前記トンネル部分へ再び織り込まれ、
第1装着方法では前記ウェビングの2つの端部の間において前記シートの下面に装着されるように前記コードが構成されるとともに、前記第1装着方法と異なる第2装着方法では前記ウェビングの前記2つの端部において前記シートに装着されるように前記コードが構成される、締縛用コードアセンブリ。
【請求項2】
前記第2装着方法が、ループを形成するように前記スロット区分の1つの前記上側部分を前記スロット区分の前記下側部分から分離することを包含し、前記シートの前記下面と関連する構成要素に装着されるように前記ループが構成される、請求項1の締縛用コードアセンブリ。
【請求項3】
前記第1装着方法が、前記シートの前記下面と関連する構成要素に前記コードを掛けることを包含する、請求項2の締縛用コードアセンブリ。
【請求項4】
前記コードがロール又はスプールにて用意される、請求項1の締縛用コードアセンブリ。
【請求項5】
前記締縛用コードアセンブリがロール又はスプールにて用意される、請求項1の締縛用コードアセンブリ。
【請求項6】
前記スロット区分の前記上側部分が、前記スロット区分の前記下側部分の引張特性と異なる引張特性を有する、請求項1の締縛用コードアセンブリ。
【請求項7】
前記スロット区分の前記上側部分がナイロンとポリエステルの一方である複数の縦糸を包含し、前記スロット区分の前記下側部分がナイロンとポリエステルの他方である複数の縦糸を包含する、請求項6の締縛用コードアセンブリ。
【請求項8】
前記コードが、複数の縦糸と第1横糸セットと第2横糸セットとを包含し、
前記フラット区分では、前記第1横糸セットと前記第2横糸セットの両方を用いて前記複数の縦糸が織り合わされ、
前記スロット区分では、前記スロット区分の前記上側部分を形成するように前記複数の縦糸の1部が前記第1横糸セットと織り合わされて、前記スロット区分の前記下側区分を形成するように前記複数の縦糸の残りが前記第2横糸セットと織り合わされる、請求項1の締縛用コードアセンブリ。
【請求項9】
複数のスロット区分と複数のフラット区分とを包含するコードを用意することであって、前記フラット区分の1つにより隣接のスロット区分が分離され、前記スロット区分の各々が、一緒にループを画定する上側部分と下側部分とを包含することと、
締縛用コードアセンブリを形成するようにウェビングのトンネル部分の中に前記コードを用意することであって、所定の導出点で前記コードが前記ウェビングから織り出されるとともに、所定の導入点で前記コードが前記ウェビングに再び織り込まれることと、
前記締縛用コードアセンブリをファブリックに固定することと、
前記ウェビングの前記端部の間の様々な箇所において、前記所定の導出点で前記ウェビングから織り出された前記コードを、車両シートの下面に用意された係止具に固定することにより、前記ファブリックの一部分を前記車両シートの前記下面に装着することと、
前記ウェビングの端部又は端部付近において、前記スロット区分の1つの前記ループに沿って前記コードを切断して、前にあるスロット区分の前記ループを介して前記車両シートの前記下面に前記コードを装着することと、
を包含する、締縛用コードアセンブリの取付方法。
【請求項10】
前記コードをスプール又はロールにて用意することをさらに包含する、請求項9の締縛用コードアセンブリの取付方法。
【請求項11】
前記締縛用コードアセンブリをスプール又はロールにて用意することをさらに包含する、請求項9の締縛用コードアセンブリの取付方法。
【請求項12】
前記ウェビングの端部の間において前記ウェビングを前記車両シートの前記下面に第1装着方法で装着することと、前記ウェビングの端部又は端部付近において前記ウェビングを前記車両シートの前記下面に第2装着方法で装着することとをさらに包含し、前記第1装着方法が前記第2装着方法と異なっている、請求項9の締縛用コードアセンブリの取付方法。
【請求項13】
前記第2装着方法が、前記スロット区分の前記上側部分を前記スロット区分の前記下側部分から分離することと、前記ループを介して前記シートの前記下面に前記コードを装着することとを包含する、請求項12の締縛用コードアセンブリの取付方法。
【請求項14】
前記第1装着方法が、前記シートの前記下面と関連する係止具に前記コードを掛けることを包含する、請求項12の締縛用コードアセンブリの取付方法。
【請求項15】
前記所定の導出点の少なくともいくつかにおいて前記コードの少なくとも1つのスロット付き部分が前記ウェビングから織り出されるように、前記ウェビングに前記コードが織り込まれる、請求項9の締縛用コードアセンブリの取付方法。
【請求項16】
前記ウェビングの前記トンネル部分に前記コードが織り込まれる、請求項9の締縛用コードアセンブリの取付方法。
【請求項17】
フラット部分とチューブ状部分とを包含するファブリックと、
複数の縦糸と第1横糸セットと第2横糸セットとを包含するコードと、
を包含し、
前記コードの複数のフラット区分を形成するように前記第1横糸セットと前記第2横糸セットの両方を用いて前記複数の縦糸が織り合わされ、
前記コードのスロット区分の上側部分を形成するように前記複数の縦糸の1部が前記第1横糸セットと織り合わされるとともに、前記スロット区分の下側部分を形成するように前記複数の縦糸の残りが前記第2横糸セットと織り合わされ、また、前記スロット区分が複数設けられて、前記フラット区分が前記スロット区分を相互に分離し、
前記スロット区分の前記上側部分が、前記スロット区分の前記下側部分の第2引張特性と異なる第1引張特性を有し、
前記コードが前記ファブリックの中に収容される、締縛用コードアセンブリ。
【請求項18】
前記上側部分の前記縦糸がナイロンとポリエステルの一方であって、前記下側部分の前記縦糸がナイロンとポリエステルの他方である、請求項17の締縛用コードアセンブリ。
【請求項19】
前記ファブリックの端部の間で第1装着手段を介して車両シートに装着されるように前記コードが構成されるとともに、前記ファブリックの端部又は端部付近において第2装着手段を介して前記車両シートに装着されるように前記コードが構成され、前記第2装着手段が前記第1装着手段と異なっている、請求項18の締縛用コードアセンブリ。
【請求項20】
前記第2装着手段が、ループを形成するように前記スロット区分の1つの前記上側部分を前記スロット区分の前記下側部分から分離することと、前記ループを介して前記コードを前記車両シートの下面に装着することとを包含する、請求項19の締縛用コードアセンブリ。
【請求項21】
ファブリックをシートに固定するための締縛用コードアセンブリであって、
複数のスロット区分と複数の接続区分とを包含して、前記接続区分の1つにより隣接のスロット区分が分離され、各スロット区分が上側部分と下側部分とを包含し、
前記スロット区分の1つにより形成される第1装着手段により前記コードの2つの端部または端部付近で前記シートの下面に装着されるように前記コードが構成され、
前記スロット区分の1つの前記上側部分が前記スロット区分の1つの前記下側部分から分離されてループを形成し、前記シートの前記下面と関連する構成要素に装着されるように前記ループが構成され、
前記コードの高さが前記コードの幅と類似している、締縛用コードアセンブリ。
【請求項22】
第2装着手段により前記コードの前記2つの端部の間で前記シートの前記下面に装着されるように前記コードが構成され、前記第1装着手段が前記第2装着手段と異なっている、請求項21の締縛用コードアセンブリ。
【請求項23】
前記第2装着手段が、前記シートの前記下面と関連する係止具に前記コードを掛けることを包含する、請求項22の締縛用コードアセンブリ。
【請求項24】
前記係止具に前記コードを掛けることが、前記スロット区分の少なくとも1つの前記上側部分および前記下側部分の両方を前記係止具に掛けることを包含する、請求項23の締縛用コードアセンブリ。
【請求項25】
前記スロット区分が前記コードの長さにわたって一定間隔で延在する、請求項21の締縛用コードアセンブリ。
【請求項26】
前記コードがロール又はスプールにて用意される、請求項21の締縛用コードアセンブリ。
【請求項27】
前記スロット区分の前記上側部分が前記スロット区分の前記下側部分の引張特性と異なる引張特性を有する、請求項21の締縛用コードアセンブリ。
【請求項28】
締縛用コードアセンブリの取付方法であって、
(a)前記締縛用コードアセンブリをロール又はスプールにて用意することであって、前記締縛用コードアセンブリが複数のスロット区分と複数の接続区分とを包含し、前記接続区分の1つにより隣接のスロット区分が分離され、各スロット区分が上側部分と下側部分とを包含することと、
(b)前記シートカバーへの組み付けに適当な前記締縛用コードアセンブリの長さを決定することと、
(c)前記締縛用コードアセンブリを前記適当な長さに切断することと、
(d)前記スロット区分の1つの前記上側部分を前記スロット区分の前記下側部分から分離してループを形成することと、
(e)前記締縛用コードアセンブリの2つの端部又は端部付近において、前記シートの下面と関連する構成要素を前記ループへ挿入することと、
(f)前記締縛用コードアセンブリが前記シートカバーと摺動嵌合するように前記締縛用コードアセンブリを前記シートカバーに組み付けることと、を包含する締縛用コードアセンブリの取付方法。
【請求項29】
前記締縛用コードアセンブリの前記2つの端部の間において、前記シートの前記下面に設けられた1つ以上の係止具に前記締縛用コードアセンブリを掛けることをさらに包含する、請求項28の締縛用コードアセンブリの取付方法。
【請求項30】
前記締縛用コードアセンブリを前記係止具に掛けることが、前記スロット区分の少なくとも1つの前記上側部分および前記下側部分の両方を前記係止具に掛けることを包含する、請求項29の締縛用コードアセンブリの取付方法。
【請求項31】
前記スロット区分の1つで前記締縛用コードアセンブリを切断することをさらに包含し、
前記シートの前記下面と関連する前記構成要素を前記ループへ挿入するステップが、前記シートの前記下面と関連する前記構成要素を、切断された前記スロット区分の前にある前記スロット区分の前記ループへ挿入することを包含する、請求項28の締縛用コードアセンブリの取付方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図1】
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