説明

緩衝体の製造方法および緩衝体の製造装置

【課題】乾燥密度が所定の目標値以上で均一な緩衝体を製造できる緩衝体の製造方法を提供すること。
【解決手段】あらかじめ設定した配合率と含水比で混練した土質材料を所定量投入する投入工程と、投入工程において投入した土質材料を敷き均し、締め固める転圧工程と、を繰り返すことにより、締め固めた土質材料を積層した緩衝体の製造方法において、転圧工程を終了するごとに土質材料の積層高さを測定する測定工程と、測定工程において測定した土質材料の積層高さと直前の測定工程において測定した土質材料の積層高さとから新たに締め固めた土質材料の層厚を求めるとともに、求めた土質材料の層厚と投入工程において投入した土質材料の投入量および含水比とから新たに締め固めた土質材料の乾燥密度を求める管理工程とを備えたので、乾燥密度が所定の目標値以上で均一な緩衝体を製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性廃棄物を封入した廃棄体を囲繞する緩衝体を製造する緩衝体の製造方法および緩衝体の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所における原子力の利用に伴い発生する放射性廃棄物は、人間環境に有意な影響を及ぼすことがないよう安全に管理するために適切な方法で処理が行われた後、最終処分される。たとえば、再処理で使用済燃料からウラン、プルトニウム等の有用物を分離した後に残存する放射能レベルの高い廃棄物(高レベル放射性廃棄物)は、ガラスで固化した後、30年から50年冷却のために貯蔵され、その後、地下深く埋設処分される。
【0003】
ガラスで固化した放射性廃棄物(ガラス固化体)を埋設する埋設処分施設(地下施設)は、地上施設から廃棄体(ガラス固化体をオーバーパック(金属製の容器)に封入したもの)や建設資材などを搬送するためのアクセス坑道や連絡坑道、廃棄体を定置するための処分坑道や処分孔などから構成される。
【0004】
廃棄体の定置方法には、処分坑道から処分孔を一定間隔で掘削し、そこに廃棄体を定置する廃棄体縦置方式がある。廃棄体縦置方式は、処分孔内を廃棄体と緩衝材によって充填するように定置する方法であって、廃棄体と処分孔壁面との間に緩衝材が配置される。
【0005】
緩衝材は、たとえば、ベントナイトと砂とを混合したベントナイト系土質材料が使用され、この土質材料を締め固めることにより、所定の弾性および遮水性を発揮する。そして、緩衝材は、地震等の外力が加わって処分孔が変形した場合に廃棄体に加わる外力を低減するとともに、地下水の侵入を阻止する。
【0006】
ところで、緩衝材を締め固めた緩衝体の性能は、ベントナイトと砂の混合比や乾燥密度によって評価され、締固め特性、熱的性質、水理的特性、力学的特性、膨潤特性、化学的性質、緩衝材の乾燥収縮、透気性、コロイドフィルトレーション機能、高温環境下における特性、ブロック間継ぎ目の特性、変質と流出特性に関するデータや知見を基に、Na型ベントナイト70wt%とケイ砂30wtパーセントを混合した乾燥密度1.6Mg/mのケイ砂混合体が要求性能として設定されている(たとえば、非特許文献1参照)。
【0007】
また、本願出願人は、上述した要求性能に加えて、緩衝体の乾燥密度を均一とすべく、締め固めによる単位面積あたりのエネルギーが均一となるように、転圧板の面積を設定している(たとえば、特許文献1参照)。
【0008】
なお、本願出願人は、内部に廃棄体を収容する廃棄体パッケージを構成する一対の円盤状の緩衝体と複数の円環状の緩衝体とを製造する緩衝体の製造方法を提案している。この緩衝体の製造方法は、型枠を固定する一方、緩衝材を締め固めるランマを回転移動させることにより、型枠の内部に撒き出した緩衝材を締め固める。そして、製造した一対の円盤状の緩衝体と複数の円環状の緩衝体とを組み合わせることにより、内部に廃棄体を収容した廃棄体パッケージを製造することとしている(たとえば、特許文献2参照)。
【0009】
また、本願出願人は、廃棄体と一体に製造する緩衝体の製造方法を提案している。この緩衝体の製造方法は、型枠を固定する一方、緩衝材を締め固めるランマを回転移動させることにより、型枠の内部に撒き出した緩衝材を締め固める。そして、締め固めた緩衝材の上に廃棄体を載置するとともに、さらに上述した型枠の上に新たな型枠を設置し、廃棄体と新たに設置した型枠との間に撒き出した緩衝材を締め固めることにより、廃棄体を囲繞する緩衝体を製造する(たとえば、特許文献3参照)。
【0010】
また、本願出願人は、廃棄体を埋設する処分孔の底から上に向けて緩衝材を順次締め固め、廃棄体を囲繞する緩衝体を製造する緩衝体の製造装置を提案している。この緩衝体の製造装置は、緩衝材を締め固めるランマを処分孔の中心軸まわりに回転移動させることにより、処分孔の内部に撒き出した緩衝材を締め固める。そして、ランマの位置を調整することにより、定置する廃棄体の下方部と、定置した廃棄体の側方部と、定置した廃棄体の上方部とに緩衝体を構築する(たとえば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−3033号公報
【特許文献2】特開2007−69112号公報
【特許文献3】特開2007−232482号公報
【特許文献4】特開2007−240153号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】原子力発電環境整備機構、”高レベル放射性廃棄物処分の技術と安全性”、[平成22年7月1日検索]、インターネット<http://www.numo.or.jp/library/technical_report/tr0401.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上述した要求性能はベントナイトと砂の混合比と乾燥密度とを特定するものであるため、緩衝体の混合比を管理保証すること、緩衝体の乾燥密度を管理保証することはできても、緩衝体の乾燥密度が均一であるとは限らない。また、締め固めによる単位面積当たりのエネルギーが均一となるように、転圧板の面積を設定しても、緩衝体の乾燥密度が均一であるとは限らない。
【0014】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、乾燥密度が所定の目標値以上で均一な緩衝体を製造できる緩衝体の製造方法および緩衝体の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、あらかじめ設定した配合率と含水比で混練した土質材料を所定量投入する投入工程と、投入工程において投入した土質材料を敷き均し、締め固める転圧工程と、を繰り返すことにより、締め固めた土質材料を積層した緩衝体の製造方法において、転圧工程を終了するごとに土質材料の積層高さを測定する測定工程と、測定工程において測定した土質材料の積層高さと直前の測定工程において測定した土質材料の積層高さとから新たに締め固めた土質材料の層厚を求めるとともに、求めた土質材料の層厚と投入工程において投入した土質材料の投入量および含水比とから新たに締め固めた土質材料の乾燥密度を求める管理工程とを備えたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記緩衝体の製造方法において、前記管理工程は、事前に製造した緩衝体において求めた土質材料の層厚と実際に計測した厚み方向の密度分布との関係を求め、求めた関係と新たに締め固めた土質材料の層厚とから新たに締め固めた土質材料の乾燥密度を求めることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記緩衝体の製造方法において、前記管理工程は、製造した緩衝体の体積および重量とから求めた緩衝体全体の乾燥密度を用いて、層ごとに求めた乾燥密度を補正することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上記緩衝体の製造方法において、前記管理工程は、新たに締め固めた土質材料の乾燥密度があらかじめ設定した乾燥密度に満たない場合に、さらに土質材料を締め固めることを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、土質材料を撒き出す撒出領域の上方域に設置され、前記撒出領域に対して相対的に回転移動可能であって、前記撒出領域に撒き出した土質材料を締め固める転圧装置を備え、締め固めた土質材料を積層した緩衝体を製造する緩衝体の製造装置において、前記撒出領域の上方域に設けられ、前記撒出領域に対して相対的に回転移動することにより、締め固めた土質材料の積層高さを測定する測定装置を備えたことを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、型枠を搭載した状態で回転可能なテーブル装置と、前記テーブル装置に搭載された型枠の内部に撒き出した土質材料を締め固める転圧装置とを備えた緩衝体の製造装置において、前記テーブル装置の上方域に設置され、締め固めた土質材料の積層高さを測定する測定装置を備えたことを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、上記緩衝体の製造装置において、前記測定装置は、テーブル装置の回転軸から半径方向に複数箇所を測定することを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、処分坑道から掘削した処分孔の上方域に設置され、前記処分孔の中心軸のまわりに回転移動することにより、前記処分孔の内部に撒き出した土質材料を締め固める転圧装置を備え、締め固めた土質材料を積層した緩衝体を前記処分孔に定置した廃棄体を囲繞する態様で構築する緩衝体の製造装置において、前記処分孔の上方域に設けられ、前記処分孔の中心軸のまわりに回転し、締め固めた土質材料の積層高さを測定する測定装置を備えたことを特徴とする。
【0023】
また、本発明は、上記緩衝体の製造装置において、前記測定装置は、処分孔の中心軸から半径方向に複数箇所を測定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明にかかる緩衝体の製造方法は、転圧工程を終了するごとに土質材料の積層高さを測定し、測定した土質材料の積層高さと直前の測定において測定した土質材料の積層高さとから新たに締め固めた土質材料の層厚を求めるとともに、求めた土質材料の層厚と投入工程において投入した土質材料の投入量および含水比とから新たに締め固めた土質材料の乾燥密度を求めるので、締め固めた土質材料の層ごとに乾燥密度が管理され、乾燥密度が所定の目標値以上で均一な緩衝体が製造できる。
【0025】
また、本発明にかかる緩衝体の製造装置は、撒出領域の上方域に設置され、締め固めた土質材料の積層高さを測定する測定装置を備えたので、締め固めた土質材料の積層高さを管理することにより、乾燥密度が所定の目標値以上で均一な緩衝体が製造できる。
【0026】
また、本発明にかかる緩衝体の製造装置は、テーブル装置の上方域に設置され、締め固めた土質材料の積層高さを測定する測定装置を備えたので、締め固めた土質材料の積層高さを管理することにより、乾燥密度が所定の目標値以上で均一な緩衝体が製造できる。
【0027】
また、本発明にかかる緩衝体の製造装置は、処分孔の上方域に設けられ、処分孔の中心軸のまわりに回転し、締め固めた土質材料の積層高さを測定する測定装置を備えたので、締め固めた土質材料の積層高さを管理することにより、乾燥密度が所定の目標値以上で均一な緩衝体が製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1である緩衝体の製造装置を示す図であって、円盤状の緩衝体の製造段階を示す図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態1である緩衝体の製造装置を示す図であって、円環状の緩衝体の製造段階を示す図である。
【図3】図3は、図1および図2に示した緩衝体の製造装置の転圧体を示す概念図である。
【図4】図4は、図1および図2に示した緩衝体の製造装置の構造を示す縦断面図(模式図)であって、円盤状の緩衝体の製造段階を示す図である。
【図5】図5は、図1および図2に示した緩衝体の製造装置の構造を示す縦断面図(模式図)であって、円盤状の緩衝体の計測段階を示す図である。
【図6】図6は、円盤状の緩衝体を構成する締め固めた土質材料を示す概念図であって、測定する土質材料の積層高さと測定位置との関係を示す図である。
【図7】図7は、新たに締め固めた土質材料の層の積層高さに基づいて、層の厚み、層の乾燥密度を算出した例を示す図である。
【図8】図8は、図7に示した層の積層高さ、層の厚み、層の乾燥密度を層ごとに整理した図である。
【図9】図9は、図8で求めた乾燥密度を実際の乾燥密度に近づける換算係数を説明するための図である。
【図10】図10は、みかけの厚みと実際の厚みとの関係を示す模式図である。
【図11】図11は、図8で求めた乾燥密度に換算係数を適用した結果を示す図である。
【図12】図12は、実際に製造した緩衝体のコアサンプルの乾燥密度と、計測した積層高さから求めた乾燥密度との関係を示す図である。
【図13】図13は、本発明の実施の形態2である緩衝体の製造装置を示す図であって、緩衝体の製造段階を示す図である。
【図14】図14は、本発明の実施の形態2である緩衝体の製造装置を示す図であって、緩衝体の計測段階を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明にかかる緩衝体の製造装置および緩衝体の製造方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0030】
(実施の形態1)
まず、図1から図5に基づいて、本発明の実施の形態1である緩衝材製造装置を説明する。なお、図1および図2は、本発明の実施の形態1である緩衝体の製造装置を示す図であって、図1は、円盤状の緩衝体の製造段階を示す図であり、図2は、円環状の緩衝体の製造段階を示す図である。また、図3は、図1および図2に示した緩衝体の製造装置の転圧体を示す概念図である。また、図4および図5は、図1および図2に示した緩衝体の製造装置の構造を示す縦断面図(模式図)であって、図4は、円盤状の緩衝体の製造段階を示す図であり、図5は、円盤状の緩衝体の計測段階を示す図である。
【0031】
図1および図2に示す緩衝体の製造装置1は、円盤状の緩衝体と円環状の緩衝体とを製造するためのもので、この緩衝体の製造装置1により製造された一対の円盤状の緩衝体と複数の円環状の緩衝体とを組み合わせることにより、内部に廃棄体を収容する廃棄体パッケージが構成される。
【0032】
図1および図2に示すように、緩衝体の製造装置1は、搭載された型枠を回転させるテーブル装置2と、型枠の内部に撒き出され、敷き均された土質材料を転圧する転圧装置3とを備えている。
【0033】
図4および図5に示すように、テーブル装置2は、駆動軸21と、駆動軸21に取り付けられ、駆動軸21を中心に回転するターンテーブル22と、ターンテーブル22の下方に設けられ、ターンテーブル22を支持するガイドローラ23とを備えている。テーブル装置2は、ターンテーブル22が60秒で一回転するように、ターンテーブル22を等速度で回転させる。
【0034】
図1および図2に示すように、ターンテーブル22には、型枠が搭載可能であって、搭載した型枠の内部に撒き出され、敷き均された土質材料は、ターンテーブル22の上で締め固められる。型枠は、円盤状の緩衝体と、円環状の緩衝体とで異なり、円盤状の緩衝体を製造する場合には、図1に示すように、円筒かつ有底の外型枠110を用い、円環状の緩衝体を製造する場合には、図2に示すように、円筒の外型枠210と円筒の内型枠220とを用いる。
【0035】
円盤状の緩衝体を製造する場合に用いる外型枠110は、金属製、より具体的には鋼製であり、そのまま円盤状の緩衝体の外殻(鋼殻)となる。これにより、外型枠110の外周径が円盤状の緩衝体の外周径となるので、外型枠110の外周径は廃棄体を定置する処分孔の内周径よりも小さく設定される。そして、円盤状の緩衝体を製造する場合には、外型枠110の中心がターンテーブル22の回転軸と一致するように外型枠110を設置する。
【0036】
円環状の緩衝体を製造する場合に用いる外型枠210は、金属製、より具体的には鋼製であり、そのまま円環状の緩衝体の外殻(鋼殻)となる。これにより、外型枠210の外周径が円環状の緩衝体の外周径となるので、外型枠210の外周径は上述した円盤状の緩衝体を製造する場合に用いる外型枠110の外周径と同一に設定される。また、円環状の緩衝体を製造する場合に用いる内型枠220は、金属製、より具体的には鋼製であり、そのまま円環状の緩衝体の内殻(鋼殻)としてもよい。この場合に、内型枠220の内周径が円環状の緩衝体の内周径となるので、内型枠220の内周径は廃棄体の外周径よりも大きく設定される。なお、内型枠220は、土質材料を締め固めた後に取り外すものとしてもよい。この場合に、内型枠220の外周径が円環状の緩衝体の内周径となるので、内型枠220の外周径は廃棄体の外周径よりも大きく設定される。そして、円環状の緩衝体を製造する場合には、外型枠210の中心と内型枠220の中心とがターンテーブル22の回転軸と一致し、外型枠210と内型枠220とが同心円を成すように外型枠210と内型枠220とを設置する。
【0037】
図1および図2に示すように、転圧装置3は、型枠の内部に撒き出され、敷き均された土質材料を転圧するもので、フレーム31と、フレーム31に昇降可能に取り付けられた支持部材32と、支持部材32に取り付けられ、複数の転圧体33をそれぞれ任意のタイミングで繰り出す複数のランマ34とを備えている。
【0038】
図1および図2に示すように、フレーム31は、門型に構成してあり、上述したテーブル装置2を挟むように設置してある。フレーム31は、テーブル装置2の両脇に設置する左右一対となる基台部31Aと、各基台部31Aの上面に立設され、前後一対となる支柱31Bと、一方の基台部31Aに立設された一対の支柱31Bと他方の基台部31Aに立設された一対に支柱31Bとを相互に接続する梁部材31Cとを備えている。
【0039】
支持部材32は、ランマ34が繰り出した転圧体33が土質材料を締め固めるのに適した位置となるように取り付けられ、積層された土質材料の高さ位置に応じて取付位置を決定する。
【0040】
複数の転圧体33は、型枠の内部に撒き出され、敷き均された土質材料を均一に締め固めるように、転圧体33ごとに土質材料に作用する転圧面の形状(転圧体の底面形状)が設定してある。すなわち、上述したテーブル装置2のように、型枠に撒き出された土質材料をターンテーブル22の回転軸を中心に回転させる場合には、ターンテーブル22の回転軸からの距離(半径r)に比例して土質材料の移動量(2πrωt(ω:角速度、t:時間))が大きくなる。このため、ターンテーブル22の回転軸からの距離(半径r)を考慮することなく、複数台の転圧体33の半径方向の幅r1,r2−r1,r3−r2,r4−r3を同一に設定すると、土質材料に加えられる単位面積あたりの転圧エネルギーは、ターンテーブル22の回転軸からの距離(半径r)に比例して減少することになる(反比例)。したがって、本発明の実施の形態1にかかる複数の転圧体33は、全体で扇形を構成し、ターンテーブル22の回転軸からの距離(半径r)に反比例して転圧体33の半径方向の幅r1,r2−r1,r3―r2,r4−r3が減少するように、転圧面の形状が設定してある。
【0041】
図3に示す例では、一つの扇形の領域を七台の転圧体33で転圧しており、同時に二つの扇形の領域を転圧している。一つの扇形の領域は、中心角が20度で、ターンテーブル22の回転軸からの距離により、内周領域、中央内側領域、中央外側領域、外周領域の四つの領域から構成され、内周領域は、一台の転圧体33Aで転圧し、中央内側領域、中央外側領域、外周領域は、それぞれ二台の転圧体33B,33C,33Dで転圧する。
【0042】
また、扇形の領域は、ターンテーブル22の回転軸から半径方向に漸次幅広となるので、ターンテーブル22の回転軸からの距離(半径r)に反比例して転圧体33の半径方向の幅r1,r2―r1,r3−r2,r4−r3が減少する。
【0043】
そして、図1に示すように、円盤状の緩衝体を製造する場合には、二つの扇形の内周領域、中央内側領域、中央外側領域、外周領域に配設した計十四台の転圧体33A,33B,33C,33Dが外型枠110の内部に撒き出され、敷き均された土質材料を締め固める。
【0044】
一方、図2に示すように、円環状の緩衝体を製造する場合には、二つの扇形の中央内側領域、中央外側領域、外周領域に配設した計十二台の転圧体33B,33C,33Dが外型枠210と内型枠220との間に撒き出され、敷き均された土質材料を締め固める。なお、円環状の緩衝体を製造する場合には、内周領域に配設した計二台の転圧体33Aは内型枠220の上方位置に移動させ、使うことはない。
【0045】
図4に示すように、転圧装置3は、転圧体33ごとに、ランマ34を備えている。ランマ34は、型枠内に撒き出され、敷き均された土質材料を締め固めるためのもので、シリンダ341と、シリンダ341に収容され、供給された圧縮空気により繰り出されるロッド342とを備えており、供給された圧縮空気によりロッド342が繰り出されると、ロッド342に取り付けられた転圧体33が土質材料に作用して、土質材料を締め固める。
【0046】
また、図4に示すように、転圧装置3は、ランマ34ごとに、圧力調整器35を備えている。圧力調整器35は、ランマ34に供給する圧縮空気の圧力を調整するもので、この圧力調整器35を操作すると、ランマ34に供給する圧縮空気の圧力が調整され、圧縮空気によって繰り出されるロッド342の繰り出し力(転圧力)が調整される。
【0047】
また、図5に示すように、緩衝体の製造装置1は、締め固めた土質材料の積層高さを測定する測定装置36を備えている。測定装置36は、ターンテーブル22の回転軸から半径方向に延びる梁部材37と、梁部材37に取り付けた複数のレーザー距離計38とにより構成してあり、レーザー距離計38から締め固めた土質材料の仕上がり面までの距離を計ることにより、締め固めた土質材料の積層高さを測定する。複数のレーザー距離計38A,38B,38C,38Dは、ターンテーブル22の回転軸から半径方向に配設してあり、それぞれ、転圧体33A,33B,33C,33Dの重心位置で締め固めた土質材料の積層高さを測定する。たとえば、図5に示す例では、ターンテーブルの回転軸から半径方向に、100mm離れた位置、300mm離れた位置、600mm離れた位置、900mm離れた位置に配設してあり、上述した内周領域、中央内側領域、中央外側領域、外周領域における土質材料の積層高さを測定する。また、レーザー距離計38は、0.5秒間隔で土質材料の積層高さを測定するものとし、上述したターンテーブルが60秒で一回転するものとすると、測定装置36は、内周領域、中央内側領域、中央外側領域、外周領域のそれぞれの領域において、3度間隔で120カ所の測定データを得ることになる。
【0048】
上述した緩衝体の製造装置1を用いて円盤状の緩衝体を製造する場合には、まず、図1に示すように、外型枠110の中心がターンテーブル22の回転軸と一致するように、外型枠110を設置する。つぎに、あらかじめ設定した配合率と含水比で混練した土質材料を所定量だけ外型枠110の内部に撒き出す。そして、メジャーを用いて撒き出した土質材料の撒き出し高さを計測する。なお、ターンテーブル22を回転させながら、測定装置36が撒き出した土質材料までの距離(土質材料の撒き出し高さ)を測定してもよい(投入工程)。
【0049】
つぎに、投入工程において撒き出した土質材料を敷き均し、ターンテーブル22を回転させながら、ランマ34に圧縮空気を供給することにより、転圧体33を繰り出して、土質材料を締め固める。このとき、土質材料に加えられる単位面積当たりの転圧エネルギーは、略同一となるので、土質材料は、密度が略均一となるように締め固められることになる(転圧工程)。
【0050】
転圧工程を終了すると、すべての転圧体33を上昇させ、ターンテーブル22を回転させながら、測定装置36が締め固めた土質材料(仕上がり面)までの距離(土質材料の積層高さ)を測定する(測定工程)。上述したように、測定装置36は、ターンテーブル22の回転軸から半径方向に100mm離れた位置、300mm離れた位置、600mm離れた位置、900mm離れた位置に配設したレーザー距離計38A,38B,38C,38Dにより、内周領域、中央内側領域、中央外側領域、外周領域において土質材料の積層高さを測定する。また、ターンテーブル22が60秒で一回転するものとし、0.5秒ごとに測定するものとすると、一つのレーザー距離計38A,38B,38C,38Dが各領域において3度間隔で120カ所を測定することになる。
【0051】
そして、測定工程を終了すると、測定工程において測定した土質材料の積層高さ(平均値)と、直前の測定工程において測定した土質材料の積層高さ(平均値)とから新たに締め固めた土質材料の層厚(平均値)を求めるとともに、求めた土質材料の層厚と投入工程において撒き出した土質材料の投入量および含水比とから新たに締め固めた土質材料の乾燥密度(みかけの乾燥密度)を求める(管理工程)。そして、内周領域、中央内側領域、中央外側領域、外周領域において、締め固めた土質材料の積層高さに所定の管理値を超えた差が生じた場合には、締め固めた土質材料の積層高さが同一となるように、ランマ34の繰り出し力(転圧力)を調整する。具体的には、上述したように、圧力調整器35を調整することにより、ランマ34の繰り出し力を調整する。また、この管理工程において求めた土質材料の乾燥密度が異常を示した場合には、乾燥密度が適正となるまで土質材料を締め固める。
【0052】
そして、上述した投入工程、転圧工程、測定工程、管理工程を繰り返すことにより、締め固めた土質材料を積層した円盤状の緩衝体を製造する。
【0053】
図6は、円盤状の緩衝体を示す概念図であって、土質材料を締め固めた層と測定位置との関係を示す図である。円盤状の緩衝体は、投入工程、転圧工程、測定工程、管理工程を14回繰り返すことにより、図6に示すように、土質材料を締め固めた層を14層積層したものであり、測定工程ごとに新たに締め固めた土質材料の層の積層高さを測定し、管理工程ごとに新たに締め固めた土質材料の層の厚みと乾燥密度とを求める。より具体的には、層ごとにターンテーブル22の回転軸から半径方向に、100mm離れた位置、300mm離れた位置、600mm離れた位置、900mm離れた位置の積層高さを計測し、各位置における土質材料の層の厚みと乾燥密度とを求める。
【0054】
図7は、新たに締め固めた土質材料の層の積層高さに基づいて、層の厚み、層の乾燥密度を算出した例を示す図である。図7に示すように、第14層の層の厚みは、第14層の積層高さと第13層の積層高さの差であり、回転軸からの距離、回転角度ごとに求められる。そして、求められた層の厚みから密度を求め、この密度を乾燥密度に換算する。乾燥密度は、絶乾状態における密度であり、土質材料の含水比を用いて換算することにより、求められる。図7に示す例において、第14層は、平均高さが247.0mm、平均厚みが50.1、平均乾燥密度が1.611と算出される。
【0055】
図8は、図7に示した層の積層高さ、層の厚み、層の乾燥密度を層ごとに整理した図である。図8に示すように、本発明の実施の形態1である緩衝体の製造方法は、土質材料を締め固めた層(第1層〜第14層)および部位(内周領域(半径r=100mm)、中央内側領域(半径r=300mm)、中央外側領域(半径r=600mm)、外周領域(半径r=900mm))ごとに、層の積層高さ、層の厚み、層の乾燥密度を管理する。したがって、緩衝体の乾燥密度の均一度を詳細に示すことができる。このようにして求めた緩衝体全体の平均乾燥密度は、1.609となる。
【0056】
図9は、図8で求めた乾燥密度を実際の乾燥密度に近づける換算係数を説明するための図であり、図10は、みかけの厚みと実際の厚みとの関係を示す模式図である。図9に示すように、実際に製造した円盤状の緩衝体が含む土質材料の重量、体積、含水比から乾燥密度を求めると、1.603となる。したがって、図8において示した緩衝体全体の平均乾燥密度との間には、差が生じることになる。この差は、図10に示すように、締め固め対象となる層(第n層)の下層域(第n−1層、第n−2層)に影響が及ぶことによるものであると考えられる。この影響を考慮して、換算係数αを求めると、0.9963となる。
【0057】
図11は、図8で求めた乾燥密度に換算係数を適用した結果を示す図である。このように、換算係数を用いて換算すると、緩衝体全体の平均密度が一致することとなり、土質材料を締め固めた層および部位ごとの乾燥密度が実際の乾燥密度に近づくことになる。
【0058】
図12は、実際に製造した緩衝体のコアサンプルの乾燥密度と、計測した積層高さから求めた乾燥密度との関係を示す図である。各層ごとに積層高さを計測し、層の厚み、層の乾燥密度を求めた緩衝体を実際にコア抜きし、高さ計測値から求めた乾燥密度(推定値)と、コア抜きしたコアサンプルの乾燥密度を比較すると、図12に示す相関が得られる。したがって、同じ配合比率で同じ含水比の土質材料を同一の条件で締め固めて緩衝体を製造する場合には、上述した換算係数に代えて、この相関関係(換算式)を適用して乾燥密度を示すことができる。なお、図12に示す緩衝体は、締め固め対象となる層(第n層)の下層域(第n−1層、第n−2層)に影響が及ぶことを考慮して上2層を削り取った12層で構成したものであり、この緩衝体の重量と体積とから計算した平均密度は、1.804Mg/mであり、コアサンプルの平均密度は、1.789Mg/mである。また、図12に示す緩衝体の相関関係は、y=2.5001x−2.6676,R=0.7342で示される。
【0059】
上述した緩衝体の製造装置1を用いて円環状の緩衝体を製造する場合には、まず、図2に示すように、外型枠210の中心と内型枠220の中心とがターンテーブル22の回転軸と一致し、外型枠210と内型枠220とが同心円を成すように外型枠210と内型枠220とを設置する。つぎに、あらかじめ設定した配合率と含水比で混練した土質材料を所定量だけ外型枠210と内型枠220との間に撒き出す。そして、メジャーを用いて撒き出した土質材料の撒き出し高さを計測する。なお、ターンテーブル22を回転させながら、測定装置36が撒き出した土質材料までの距離(土質材料の撒き出し高さ)を測定してもよい(投入工程)。
【0060】
つぎに、投入工程において撒き出した土質材料を敷き均し、ターンテーブル22を回転させながら、ランマ34に圧縮空気を供給することにより、転圧体33を繰り出して、土質材料を締め固める。このとき、土質材料に加えられる単位面積当たりの転圧エネルギーは、略同一となるので、土質材料は、密度が略均一となるように締め固められることになる(転圧工程)。
【0061】
転圧工程を終了すると、すべての転圧体33を上昇させ、図5に示すように、ターンテーブル22を回転させるとともに、測定装置36が締め固めた土質材料(仕上がり面)までの距離(土質材料の積層高さ)を測定する(測定工程)。上述したように、測定装置は、駆動軸21の回転軸から半径方向に、300mm離れた位置、600mm離れた位置、900mm離れた位置に配設したレーザー距離計38B,38C,38Dにより、中央内側領域、中央外側領域、外周領域において土質材料の積層高さを測定する。また、ターンテーブル22が60秒で一回転するものとし、0.5秒ごとに測定するものとすると、一つのレーザー距離計38B,38C,38Dが各領域において3度間隔で120カ所を測定することになる。
【0062】
そして、測定工程を終了すると、測定工程において測定した土質材料の積層高さ(平均値)と、直前の測定工程において測定した土質材料の積層高さ(平均値)とから新たに締め固めた土質材料の層厚(平均値)を求めるとともに、求めた土質材料の層厚と投入工程において撒き出した土質材料の投入量および含水比とから新たに締め固めた土質材料の乾燥密度(みかけの乾燥密度)を求める(管理工程)。そして、中央内側領域、中央外側領域、外周領域において、締め固めた土質材料の積層高さに差が生じた場合には、締め固めた土質材料の積層高さが同一となるように、ランマ34の繰り出し力(転圧力)を調整する。具体的には、上述したように、圧力調整器35を調整することにより、ランマ34の繰り出し力を調整する。また、この管理工程において求めた土質材料の乾燥密度が異常を示した場合には、乾燥密度が適正となるまで土質材料を締め固める。
【0063】
そして、上述した投入工程、転圧工程、測定工程、管理工程を繰り返すことにより、締め固めた土質材料を積層した円環状の緩衝体を製造する。
【0064】
円環状の緩衝体は、投入工程、転圧工程、測定工程、管理工程を所定回数繰り返すことにより、土質材料を締め固めた層を所定層積層したものであり、測定工程ごとに新たに締め固めた土質材料の層の積層高さを測定し、管理工程ごとに新たに締め固めた土質材料の層の厚みと乾燥密度とを求める。なお、乾燥密度は、上述したように、事前に製造した緩衝体において求めた土質材料の層厚と実際に計測した厚み方向の密度分布との関係を求め、求めた関係と新たに締め固めた土質材料の層厚とから新たに締め固めた土質材料の乾燥密度を求めても良い。また、製造した緩衝体の体積および重量とから求めた緩衝体全体の乾燥密度を用いて、層ごとに求めた乾燥密度を補正してもよい。
【0065】
上述したように、本発明の実施の形態1である緩衝体の製造方法は、転圧工程を終了するごとに土質材料の積層高さを測定し、測定した土質材料の積層高さと直前の測定において測定した土質材料の積層高さとから新たに締め固めた土質材料の層厚を求めるとともに、求めた土質材料の層厚と投入工程において投入した土質材料の投入量および含水比とから新たに締め固めた土質材料の乾燥密度を求めるので、締め固めた土質材料の層ごとに乾燥密度が管理され、乾燥密度が所定の目標値以上で均一な緩衝体が製造できる。
【0066】
また、本発明の実施の形態1である緩衝体の製造装置1は、テーブル装置2の上方域に設置され、締め固めた土質材料の積層高さを測定する測定装置36を備えたので、締め固めた土質材料の積層高さを管理することにより、乾燥密度が所定の目標値以上で均一な緩衝体が製造できる。
【0067】
(実施の形態2)
図13および図14は、本発明の実施の形態2である緩衝体の製造装置を示す図であって、図13は、緩衝体の製造段階を示す図であり、図14は、緩衝体の計測段階を示す図である。
【0068】
図13および図14に示すように、本発明の実施の形態2である緩衝体の製造装置101は、処分坑道から掘削した処分孔Hに廃棄体Wと一体に緩衝体を構築するためのものであって、処分孔Hの上方域に設置され、処分孔Hの中心軸Oのまわりに回転移動することにより、処分孔Hの内部に撒き出した土質材料Sを締め固める転圧装置103を備えている。
【0069】
図13に示すように、転圧装置103は、処分孔Hの内部に撒き出され、敷き均された土質材料Sを転圧するもので、フレーム131と、フレーム131に昇降可能かつ回転可能に取り付けられた支持部材132と、支持部材132に取り付けられ、複数の転圧体133をそれぞれ任意のタイミングで繰り出す複数のランマ134とを備えている。
【0070】
複数の転圧体133は、処分孔Hの内部に撒き出され、敷き均された土質材料Sを均一に締め固めるように、転圧体133ごとに土質材料Sに作用する転圧面の形状(転圧体の底面形状)が設定してある。
【0071】
図13に示す例では、一つの扇形の領域を七台の転圧体133で転圧しており、同時に二つの扇形の領域を転圧している。一つの扇形の領域は、中心角が20度で処分孔Hの中心軸Oからの距離により、内周領域、中央内側領域、中央外側領域、外周領域の四つの領域から構成され、内周領域は、一台の転圧体133Aで転圧し、中央内側領域、中央外側領域、外周領域は、それぞれ二台の転圧体133B、133C、133Dで転圧する。
【0072】
そして、処分孔Hの底に緩衝体を構築する場合には、二つの扇形の内周領域、中央内側領域、中央外側領域、外周領域に配設した計十四台の転圧体133A,133B,133C,133Dが処分孔Hの内部に撒き出され、敷き均された土質材料Sを締め固める。
【0073】
一方、廃棄体を囲繞する緩衝体を構築する場合には、二つの扇形の中央内側領域、中央外側領域、外周領域に配設した計十二台の転圧体133B,133C,133Dが処分孔Hと廃棄体との間に撒き出され、敷き均された土質材料Sを締め固める。なお、このとき、内周領域に配設した計二台の転圧体133Aは、廃棄体の上方位置に移動させ、使うことはない。
【0074】
また、図14に示すように、緩衝体の製造装置101は、締め固めた土質材料Sの積層高さを測定する測定装置136を備えている。測定装置136は、処分孔Hの中心軸Oから半径方向に延びる梁部材137と、梁部材137に取り付けた複数のレーザー距離計138とにより構成してあり、梁部材137を60秒で一回転するように、梁部材137を等速度で回転させる。そして、梁部材137に取り付けた複数のレーザー距離計138が締め固めた土質材料Sの仕上がり面までの距離を計ることにより、締め固めた土質材料Sの積層高さを測定する。複数のレーザー距離計138A,138B,138C,138Dは、処分孔Hの中心軸Oから半径方向に配設してあり、それぞれ、転圧体133A,133B,133C,133Dの重心位置で締め固めた土質材料Sの積層高さを測定する。また、レーザー距離計138は、0.5秒間隔で土質材料Sの積層高さを測定するものとし、上述した梁部材137が60秒で一回転するものとすると、測定装置136は、内周領域、中央内側領域、中央外側領域、外周領域のそれぞれの領域において、3度間隔で120カ所の測定データを得ることになる。
【0075】
上述した緩衝体の製造装置101を用いて廃棄体を定置する緩衝体(底部緩衝体)を製造する場合には、あらかじめ設定した配合率と含水比で混練した土質材料Sを所定量だけ処分孔Hの内部に撒き出す。そして、メジャーを用いて撒き出した土質材料Sの撒き出し高さを計測する。なお、梁部材137を回転させながら、測定装置136が撒き出した土質材料Sまでの距離(土質材料の撒き出し高さ)を測定してもよい(投入工程)。
【0076】
つぎに、投入工程において撒き出した土質材料Sを敷き均し、転圧装置103を回転移動させながら、ランマ134に圧縮空気を供給することにより、転圧体133を繰り出して、土質材料Sを締め固める。このとき、土質材料Sに加えられる単位面積当たりの転圧エネルギーは、略同一となるので、土質材料Sは、密度が略均一となるように締め固められることになる(転圧工程)。
【0077】
図14に示すように、転圧工程を終了すると、全ての転圧体133を上昇させ、梁部材137を回転させながら、測定装置136が締め固めた土質材料(仕上がり面)までの距離(土質材料の積層高さ)を測定する(測定工程)。
【0078】
そして、測定工程を終了すると、測定工程において測定した土質材料Sの積層高さ(平均値)と、直前の測定工程において測定した土質材料Sの積層高さ(平均値)とから新たに締め固めた土質材料Sの層厚(平均値)を求めるとともに、求めた土質材料Sの層厚と投入工程において撒き出した土質材料Sの投入量および含水比とから新たに締め固めた土質材料の乾燥密度(みかけの乾燥密度)を求める(管理工程)。また、この管理工程において求めた土質材料の乾燥密度が異常を示した場合には、乾燥密度が適正となるまで土質材料を締め固める。
【0079】
そして、上述した投入工程、転圧工程、測定工程、管理工程を繰り返すことにより、締め固めた土質材料を積層した廃棄体一体型の緩衝体を製造する。
【0080】
上述したように、本発明の実施の形態2である緩衝体の製造方法は、転圧工程を終了するごとに土質材料Sの積層高さを測定し、測定した土質材料Sの積層高さと直前の測定において測定した土質材料Sの積層高さとから新たに締め固めた土質材料Sの層厚を求めるとともに、求めた土質材料の層厚と投入工程において投入した土質材料の投入量および含水比とから新たに締め固めた土質材料Sの乾燥密度を求めるので、締め固めた土質材料Sの層ごとに乾燥密度が管理され、乾燥密度が所定の目標値以上で均一な緩衝体が製造できる。
【0081】
また、本発明の実施の形態2である緩衝体の製造装置101は、処分孔Hの上方域に設けられ、処分孔Hの中心軸Oのまわりに回転し、締め固めた土質材料Sの積層高さを測定する測定装置136を備えたので、締め固めた土質材料Sの積層高さを管理することにより、乾燥密度が所定の目標値以上で均一な緩衝体が製造できる。
【符号の説明】
【0082】
1 緩衝体の製造装置
2 テーブル装置
21 駆動軸
22 ターンテーブル
23 ガイドローラ
3 転圧装置
31 フレーム
31A 基台部
31B 支柱
31C 梁部材
32 支持部材
33A,33B,33C,33D 転圧体
34 ランマ
341 シリンダ
342 ロッド
35 圧力調整器
36 測定装置
37 梁部材
38A,38B,38C,38D レーザー距離計
110 外型枠
210 外型枠
220 内型枠
101 製造装置
103 転圧装置
131 フレーム
132 支持部材
133A,133B,133C,133D 転圧体
134 ランマ
136 測定装置
137 梁部材
138A,138B,138C,138D レーザー距離計
H 処分孔
O 中心軸
W 廃棄体
S 土質材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
あらかじめ設定した配合率と含水比で混練した土質材料を所定量投入する投入工程と、前記投入工程において投入した土質材料を敷き均し、締め固める転圧工程と、を繰り返すことにより、締め固めた土質材料を積層した緩衝体の製造方法において、
前記転圧工程を終了するごとに土質材料の積層高さを測定する測定工程と、
前記測定工程において測定した土質材料の積層高さと直前の測定工程において測定した土質材料の積層高さとから新たに締め固めた土質材料の層厚を求めるとともに、求めた土質材料の層厚と前記投入工程において投入した土質材料の投入量および含水比とから新たに締め固めた土質材料の乾燥密度を求める管理工程と
を備えたことを特徴とする緩衝体の製造方法。
【請求項2】
前記管理工程は、事前に製造した緩衝体において求めた土質材料の層厚と実際に計測した厚み方向の密度分布との関係を求め、求めた関係と新たに締め固めた土質材料の層厚とから新たに締め固めた土質材料の乾燥密度を求めることを特徴とする請求項1に記載の緩衝体の製造方法。
【請求項3】
前記管理工程は、製造した緩衝体の体積および重量とから求めた緩衝体全体の乾燥密度を用いて、層ごとに求めた乾燥密度を補正することを特徴とする請求項1または2に記載の緩衝体の製造方法。
【請求項4】
前記管理工程は、新たに締め固めた土質材料の乾燥密度があらかじめ設定した乾燥密度に満たない場合に、さらに土質材料を締め固めることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の緩衝体の製造方法。
【請求項5】
土質材料を撒き出す撒出領域の上方域に設置され、前記撒出領域に対して相対的に回転移動可能であって、前記撒出領域に撒き出した土質材料を締め固める転圧装置を備え、
締め固めた土質材料を積層した緩衝体を製造する緩衝体の製造装置において、
前記撒出領域の上方域に設けられ、前記撒出領域に対して相対的に回転移動することにより、締め固めた土質材料の積層高さを測定する測定装置を備えたことを特徴とする緩衝体の製造装置。
【請求項6】
型枠を搭載した状態で回転可能なテーブル装置と、
前記テーブル装置に搭載された型枠の内部に撒き出した土質材料を締め固める転圧装置と
を備えた緩衝体の製造装置において、
前記テーブル装置の上方域に設置され、締め固めた土質材料の積層高さを測定する測定装置を備えたことを特徴とする緩衝体の製造装置。
【請求項7】
前記測定装置は、テーブル装置の回転軸から半径方向に複数箇所を測定することを特徴とする請求項6に記載の緩衝体の製造装置。
【請求項8】
処分坑道から掘削した処分孔の上方域に設置され、前記処分孔の中心軸のまわりに回転移動することにより、前記処分孔の内部に撒き出した土質材料を締め固める転圧装置を備え、
締め固めた土質材料を積層した緩衝体を前記処分孔に定置した廃棄体を囲繞する態様で構築する緩衝体の製造装置において、
前記処分孔の上方域に設けられ、前記処分孔の中心軸のまわりに回転し、締め固めた土質材料の積層高さを測定する測定装置を備えたことを特徴とする緩衝体の製造装置。
【請求項9】
前記測定装置は、処分孔の中心軸から半径方向に複数箇所を測定することを特徴とする請求項8に記載の緩衝体の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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